JP2004000681A - 内視鏡 - Google Patents
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Abstract
【課題】オートクレーブ滅菌の際、侵入した蒸気によって光学系に観察に重要な悪影響を及ぼす曇りの発生や、電子部品等が劣化して観察画像が劣化することを防止した内視鏡を提供する。
【解決手段】管状に形成されて一端側に光学窓を保持する第1の枠体(先端枠151,絶縁枠154)と、この第1の枠体の他端側と嵌合する第2の枠体(枠159)との嵌合部から気密空間に蒸気が侵入することを防ぐために、前記嵌合部を溶接し第1の枠体と第2の枠体とを一体的に接合する。
【選択図】図4
【解決手段】管状に形成されて一端側に光学窓を保持する第1の枠体(先端枠151,絶縁枠154)と、この第1の枠体の他端側と嵌合する第2の枠体(枠159)との嵌合部から気密空間に蒸気が侵入することを防ぐために、前記嵌合部を溶接し第1の枠体と第2の枠体とを一体的に接合する。
【選択図】図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内視鏡、更に詳しくは挿入部に柔軟部分を有し、内蔵物の構造に特徴のあるオートクレーブ滅菌対応の内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
挿入部を体腔内等に導入することによって体腔内の深部等を観察したり、必要に応じて処置具を用いることにより治療処置等を行なうことのできる内視鏡が医療分野において広く用いられるようになった。医療用内視鏡の場合、使用した内視鏡を確実に消毒滅菌することが感染症等を防止するために必要不可欠である。
【0003】
従来、使用済みの内視鏡の消毒滅菌処理は、エチレンオキサイドガス(EOG)等の滅菌ガスや、消毒液で行っていた。しかし、周知のように滅菌ガス類は猛毒であり、滅菌作業の安全性を確保するために作業が煩雑になるとともに、ガスが与える環境への悪影響が問題視されている。
【0004】
また、滅菌後に機器に付着したガスを取り除くエアレーションに時間がかかるので滅菌後すぐに使用することができなかった。そして、ランニングコストが高いという点が問題でもあった。
【0005】
一方、消毒液の場合は、消毒液の管理が煩雑であり、消毒液を廃棄処理するために多大な費用がかかるという点も問題であった。
【0006】
そこで、最近では、煩雑な作業を伴わず、滅菌後すぐに使用することが可能で、かつランニングコストが安価なオートクレーブ滅菌(以下高圧蒸気滅菌とも記載する)が内視鏡機器の消毒滅菌処理の主流になりつつある。
【0007】
このオートクレーブ滅菌の代表的な条件としては、米国規格協会承認、医療機器開発協会発行の米国規格ANSI/AAMI ST37−1992があり、この条件としてはプレバキュームタイプで滅菌工程132゜C、4分、またグラビティタイプで滅菌工程132゜C、10分になっている。オートクレーブ滅菌の温度としては一般的に115℃から140℃の範囲で設定されることが多い。
【0008】
一般的なプレバキュームタイプのオートクレーブ滅菌工程には、滅菌対象の医療機器を収容した滅菌室内を滅菌前に減圧(陰圧)状態にするプレバキューム工程と、その後に前記滅菌室内に高圧高温蒸気を送り込んで滅菌を行う滅菌工程と、滅菌後の内視鏡を乾燥させるために前記滅菌室内を再度減圧状態にする乾燥工程が含まれている。
【0009】
プレバキューム工程は、滅菌工程時に医療機器の細部にまで蒸気を浸透させるための工程である。滅菌室内を減圧させることによって、収容された医療機器全体に高圧高温蒸気が行き渡るようになる。このプレバキューム工程及び前記乾燥工程における滅菌室内圧力は、大気圧に対して−0.07MPa程度である。一方、滅菌工程時の圧力は、大気圧に対して+0.2MPa程度に設定されることが多い。なお、前記プレバキューム工程は、エチレンオキサイドガスを使用するガス滅菌においても行われる。
【0010】
一般的に、挿入部が柔軟性を有する内視鏡や湾曲部を有する湾曲付き内視鏡の場合、柔軟な挿入部や湾曲部の外装部材としてゴム、エラストマー等、柔軟な高分子材料からなる外皮チユーブが使用される。また、内視鏡は、薬液に浸漬させる必要があるので、内視鏡全体が水密構造になっている。
【0011】
したがって、水密構造の内視鏡をオートクレーブ滅菌した場合、プレバキューム工程等の減圧工程時に柔軟な外皮チューブが膨らんで破損したり、部品間の接合部分が内視鏡内外圧の差に耐えられなくなって破損するおそれがあった。
【0012】
このため、実公平1−12802号公報に示す気密内視鏡の内外連通装置では、プレバキューム工程のあるガス滅菌を行う際、湾曲部の湾曲外皮チューブが破裂するのを防止するため、減圧工程時には内視鏡外壁に設けた内外連通装置に気密解除キャップを取り付けて内視鏡の内部空間(以下内視鏡内部とも記載する)と外部とを連通させていた。
【0013】
また、特開昭63−315024号公報に示すように内視鏡外壁の一部に設けた連通路を予め防水キャップで塞ぐ構造の内視鏡の場合にはこの防水キャップを外した状態にしてガス滅菌を行う。このことにより、減圧工程時に湾曲部の外皮チューブ等が破裂するのを防止していた。
【0014】
しかし、オートクレーブ滅菌の際、内視鏡内部と外部とを連通させて、高圧高温蒸気を積極的に侵入させた場合、この蒸気によって内視鏡内部に設けられている観察手段を始めとする各種内蔵物や内部構造部材が早期に劣化するという問題が発生する。
【0015】
このことに対処するため、特公平4−67445号公報に示されている気密型内視鏡の内圧調整装置では、内視鏡内部から外部への気体の通過は可能で、外部から内視鏡内部への気体が侵入するのを防止した逆止弁機構を内視鏡の外装に設けている。このことによって、オートクレーブ滅菌を行った場合でも内視鏡内部に高圧高温蒸気が侵入することが積極的に防止される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、内視鏡の一部に例えばプラスチックやゴムといった高分子材料で形成された部材が設けられている場合には、オートクレーブ滅菌の際の高圧高温蒸気が前記高分子材料部材を透過して内視鏡内部に侵入してしまう。言いかえれば、内視鏡全体を金属や、セラミックス(広義ではガラスも含む)、或いは結晶性材料等の素材で形成しない限り、オートクレーブ滅菌の際の高圧高温蒸気が内視鏡内部に侵入してしまう。
【0017】
つまり、前記特公平4−67445号公報で示した逆止弁機能を設けた内視鏡でも、例えば挿入部に湾曲部を有する湾曲機能付き内視鏡等の場合では、湾曲部に柔軟なゴムやエラストマー等の高分子材料で形成した外皮チューブが設けられているので、高圧高温蒸気がこの外皮チューブを透過して内視鏡内部に徐々に侵入してしまう。
【0018】
また、前記湾曲機能付きの内視鏡では、前記湾曲部の湾曲操作を行う操作レバーの回転軸のシール部材として、一般に高分子材料で形成したOリング等のゴムシール部材を用いている。このため、オートクレーブ滅菌の高圧高温蒸気が前記ゴムシール部材を透過して内視鏡内部に徐々に侵入してしまう。
【0019】
さらに、挿入部に湾曲機能を有していない内視鏡であっても、挿入部全体が軟性である場合には挿入部の外皮チューブとしてやはり高分子材料が用いられる。このため、オートクレーブ滅菌の際の高圧高温蒸気がこの外皮チューブを透過して内視鏡内部に徐々に侵入してしまう。
【0020】
即ち、気密型内視鏡と呼ばれている内視鏡の場合でも、湾曲機能付き内視鏡或いは挿入部を軟性に構成した内視鏡においては、オートクレーブ滅菌における高圧高温蒸気については上述したように徐々にではあるが内視鏡内部に侵入する。
【0021】
なお、内視鏡内部に蒸気が侵入する現象については、プレバキュームタイプ、グラピティータイプに関わらず、オートクレーブ滅菌工程にて発生するものである。
【0022】
そして、内視鏡内部に蒸気が侵入することによって、徐々にではあるが内視鏡内部の観察手段を始めとする各種内蔵物や内部構造部材が劣化するおそれがある。
【0023】
例えば電子内視鏡の場合では、この内視鏡内部に侵入した蒸気によって、撮像ユニット内に設けられている対物レンズユニットを構成するレンズ表面やカバーガラスの内部表面に結露が生じたり、固体撮像素子等の電子部品に不具合が生じて観察画像不良が生じる可能性があった。
【0024】
また、前記電子内視鏡に限らずファイバスコープでも、内視鏡内部に侵入した蒸気が観察光学系に到達することにより、この観察光学系を構成するレンズ表面やカバーガラスの内部表面に結露が生じて視野不良を起こす可能性があった。
【0025】
さらに、前記レンズ及びカバーガラスとして一般的に多く使用されているレンズ硝材である加工性の良い多成分ガラスは、オートクレーブ滅菌の際の高圧高温蒸気に曝されることによって劣化してしまう。このため、内視鏡内部に蒸気が侵入することによって、硝材自体が劣化したり、レンズ面に施されているコーティング或いはレンズ面に塗布された接着剤が劣化して観察画像不良が発生する可能性があった。
【0026】
特開昭62−212614号公報には、光学系の少なくとも一部を気密構造にし、光学系内部への蒸気の侵入を防止した内視鏡が示されている。しかし、この内視鏡ではレンズやカバーガラス等の光学部材を枠体に接着剤によって接合していた。このため、前述した現在米国規格等で規定されている条件下でオートクレーブ滅菌を行ったときには、前記接着剤を通して光学系内部に蒸気が侵入してしまう。つまり、この構造では実際的に高圧高温蒸気が侵入することを阻止する効果は得られない。
【0027】
一般的に使用されるエポキシ系接着剤やシリコーン系接着剤等の高分子材料を主成分とした接着剤の硬化層では、上述したようなオートクレーブ条件下においては高圧高温蒸気が透過してしまう。
【0028】
また、前記接着剤は、接合強度があまり高くないため、例えば金属とガラス等、異種材質の部品同士を接合した接合部においては、部品同士の熱膨張率が異なることにより、オートクレーブ滅菌時の熱変化の際、接着部に応力が働いて接着剤が剥離してしまうおそれがあった。
【0029】
これらのことを考慮して、挿入部を硬性に形成した硬性内視鏡においては、特開平9−265046号公報に示すようにカバーガラスを内視鏡外装部品である外筒に半田によって隙間なく気密に接合し、外装構造体である内視鏡外装を気密に密封した内視鏡が開示されている。
【0030】
しかし、挿入部に湾曲部を有する等、挿入部の少なくとも一部が柔軟な内視鏡において、前述したように内視鏡の外装の少なくとも一部に高分子材料によって形成された部材が配設されるため、たとえ挿入部の先端部のみを気密に接合したとしても、内視鏡外装全体を完全に気密に密封することはできない。
【0031】
つまり、特開平9−265047号公報に示されるような内視鏡外装全体を気密に密閉して構成することが可能な内視鏡としては、湾曲機能を有さず、よって挿入部を金属やセラミックスによって構成することが可能な、硬性の内視鏡に限られる。
【0032】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、オートクレーブ滅菌の際、高圧高温蒸気が挿入部の少なくとも一部に設けられている高分子材料で形成された外皮チューブを透過して内視鏡内部に侵入した場合でも、この侵入した蒸気によって光学系による観察に重要な悪影響を及ぼす曇りの発生や、電子部品等が劣化して観察画像が劣化することを防止した内視鏡を提供することを目的にしている。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の内視鏡は、被検体を観察するための内視鏡において、前記被検体に挿入可能で、内部空間を水密に保つために外装の少なくとも一部に柔軟な高分子材料を用いた挿入部と、管状に形成されて、一端側に光学窓を保持する第1の枠体と、前記挿入部の先端側に設けられ、前記光学窓を介して前記被検体からの光が前記内部空間内に入射される所定の位置に前記光学窓を配置するとともに前記内部空間の水密を保つように前記第1の枠体を保持する先端部と、前記光学窓の前記内部空間側を気密に封止する前記内部空間と隔離した気密空間を形成するために、前記第1の枠体の他端側と嵌合する第2の枠体と、前記第1の枠体と前記第2の枠体との嵌合部から前記気密空間に蒸気が侵入することを防ぐために、前記嵌合部を溶接し前記第1の枠体と前記第2の枠体とを一体的に接合する接合部と、を具備したことを特徴とする。
【0034】
本発明の第2の内視鏡は、被検体を観察するための内視鏡において、前記被検体に挿入可能で、内部空間を水密に保つために外装の少なくとも一部に柔軟な高分子材料を用いた挿入部と、管状に形成されて内部に前記被検体の光学像を結像する対物レンズを保持する第1の枠体と、前記挿入部の先端側に設けられ、前記対物レンズによって前記被検体の光学像を所定の位置に結像可能に前記第1の枠体を保持する先端部と、前記対物レンズにより結像される光学像を撮像するための撮像面を有する固体撮像素子と、前記固体撮像素子を内部に保持するとともに、保持している前記固体撮像素子の前記撮像面が前記所定の位置に配置されるように前記第1の枠体と嵌合する第2の枠体と、前記第1の枠体と前記第2の枠体との嵌合部から前記対物レンズと前記撮像素子との間の光路に蒸気が侵入することを防ぐために、前記嵌合部を溶接し前記第1の枠体と前記第2の枠体とを一体的に接合する接合部と、を具備したことを特徴とする。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1ないし図8は本発明の第1実施形態に係り、図1は電子内視鏡の構成を説明する図、図2は逆止弁キャップの構成を説明する断面図、図3は電子内視鏡の先端部付近の構成を説明する断面図、図4は撮像ユニットの構成を説明する断面図、図5は2種類のカバーガラスを説明する図、図6は絶縁枠の外表面を説明する図、図7は枠とカバーガラスとの接合部分を説明する断面図、図8は撮像ユニットを構成する気密密閉対物レンズユニット部を説明する断面図である。
【0036】
なお、図5(a)は先端側に配置されたカバーガラスを説明する外観図、図5(b)は固体撮像素子の前面に配置されたカバーガラスを説明する外観図、図7(a)はカバーガラスを枠に気密に接合した状態を示す断面図、図7(b)は気密接合部分を説明するために拡大した図である。
【0037】
(構成)
図1に示すように本実施の形態の電子内視鏡1は、固体撮像素子として例えばCCDを先端側に内蔵した挿入部2と、この挿入部2の基端側に接続され観察者が把持して種々の操作を行う操作部3と、この操作部3より延出したユニバーサルコード4とで主に構成されている。前記ユニバーサルコード4の他端部にはコネクタ部5がに設けらている。このコネクタ部5は、図示しない光源装置及び図示しないカメラコントロールユニット(以下、CCU)に接続される。
【0038】
なお、光源装置にはライトガイドコネクタ6が接続され、CCUにはカメラコネクタ7が接続される。また、前記挿入部2、前記操作部3、前記ユニバーサルコード4、コネクタ部5のそれぞれ内部空間は互いに連通している。つまり、内視鏡外装に対して1つの内視鏡内部空間(単に内部空間とも記載する)を形成している。
【0039】
前記挿入部2は、先端部8と、湾曲自在の湾曲部9と、可撓性を有する可撓管10とで構成されている。
前記操作部3には、湾曲部9の動作を制御する湾曲操作レバー11と、鉗子等の処置具を挿入する処置具挿入口12と、画像のフリーズ、レリーズ等を行うための複数のスイッチ13が設けられている。前記湾曲操作レバー11は、回転自在であり、図示しないOリングによって水密状態に組み付けられている。
【0040】
前記カメラコネクタ7の内側には内部空間と外部とを通気するための通気口14が設けられている。このカメラコネクタ7には防水キャップ15が着脱可能になっている。この防水キャップ15をカメラコネクタ7に取り付けることによって内視鏡1の内部空間は水密に密閉された密封度(第1の密封レベルと呼ぶ)になる。そして、前記防水キャップ15を取り外すことによって、内視鏡外装に対する内外、つまり、内視鏡1の内部空間と外部とが連通する。
【0041】
前記防水キャップ15は、使用後の内視鏡1を洗滌するとき或いは薬液浸漬するときにカメラコネクタ7に取り付けて使用されるものである。つまり、この防水キャップ15は、流水洗滌時や薬液浸漬時に、内視鏡1の内部空間に液体が侵入しないように水密に密閉するものである。このカメラコネクタ7には、内視鏡の内部空間から外部へ気体を通過させるが、外部から内部へ気体が通過することを阻止する逆止弁機能を備えた逆止弁キヤップ200も着脱可能である。
【0042】
図2に示すように前記逆止弁キャップ200は、弁座201を設けた例えば金属製の逆止弁キャップ本体202と、ゴム製のシール部材203を一体的に配設した例えば金属製の弁体204と、前記弁座201に対して前記弁体204を付勢するバネ205と、前記カメラコネクタ7に取り付けられる例えば金属製の取り付け部206と、この取付け部206を前記カメラコネクタ7に取り付けた状態のとき、取付け部206の内周面とカメラコネクタ7の外周面との間の水密を保持する例えばゴム製のシール部材217とで構成されている。
【0043】
前記逆止弁キャップ200は、内視鏡1をオートクレーブ滅菌する際、前記防水キャップ15の代わりにカメラコネクタ7に取り付けられる。この逆止弁キャップ200を取り付けることによって、オートクレーブ滅菌時の高圧高温蒸気が通気口14を通って侵入することが阻止される。
【0044】
なお、前記バネ205の付勢力量は、逆止弁キヤップ200をカメラコネクタ7に取り付けた通常状態のとき、弁体204を弁座201方向に付勢することによってシール部材203が弁座201に密着する力量で、オートクレーブ滅菌の減圧工程時には弁体204の弁座201方向への付勢を解除する力量に設定されている。
【0045】
つまり、内視鏡の内部空間の内圧が外気圧より高くならない限り、言いかえれば、通常の使用状況においてはこの逆止弁キャップ200を取り付けることによって内視鏡の内部空間は外気に対して第1の密封レベルに保持される。このため、内視鏡1を洗滌或いは薬液浸漬するとき、前記防水キャップ15の代わりにこの逆止弁キャップ200を取り付けるようにしてもよい。
【0046】
図3に示すように内視鏡1の先端部8を構成する先端部本体16には観察手段であり画像伝達手段でもある撮像ユニット18及び照明光を伝達するライトガイドファイバ32等が配設されている。このライトガイドファイバ32の先端面には照明レンズ34が接着剤によって前記先端部本体16に固定されている。
【0047】
前記先端部本体16の外周には先端カバー部材107が組み付けられている。この先端カバー部材107の基端部には前記湾曲部9を構成する複数の湾曲駒の最先端に位置する第1湾曲駒108がリベット109によって回動自在に連接されている。そして、この第1湾曲駒108の基端側には複数の湾曲駒108,…,108が回動自在に連接され、その外周には金属製の網状管110及び外皮チューブ39が被覆されている。この外皮チューブ39は、フッ素ゴム等の柔軟性を有するゴムやエラストマーからなる高分子材料によって形成されている。
【0048】
なお、前記撮像ユニット18の硬質部111は、最先端側に位置するリベット109より先端側、つまり先端硬質長部218内に位置している。
【0049】
図4に示すように前記撮像ユニット18の先端には挿入部2の外装(本実施形態では先端面)の一部として配置されて観察手段の光学窓を構成する先端カバーガラス150が設けられている。
【0050】
この先端カバーガラス150は、高強度で、高圧高温蒸気耐性を有する気密隔壁部材であるサファイア若しくは高圧高温蒸気耐性を有するガラス硝材によって形成されている。この先端カバーガラス150の外周面には後述するメタルコート等の表面処理が施されており、この先端カバーガラス150を高圧蒸気耐性を有する気密隔壁部材である金属製の先端枠151の内周面に後述するように高い接合強度を有し、かつ蒸気によって劣化しない気密接合手段によって隙間なく気密に接合されるようになっている。なお、前記光学窓として、光学系設計によってはカバーガラスの代わりにレンズを用いることもある。
【0051】
前記先端枠151は、ステンレスやコバールで形成されている。
この先端枠151の内周面には例えば電気めっきによってめっき層が設けられている。このめっき層は、例えば下層がニッケルめっき層で上層が金めっき層である。
【0052】
前記先端カバーガラス150の基端側には複数の光学レンズ等を配置して被写体像を結像するように構成した対物レンズ群152を備えたレンズ枠153が組み付けられるようになっている。このレンズ枠153は、高圧高温蒸気耐性を有する気密隔壁部材でかつ絶縁材料あるセラミックス等によって形成された絶縁枠154の先端部側に接着固定されるようになっている。この絶縁枠154は、セラミックス素材の中でも、熱伝導率が高く、かつ熱衝撃に強い材質である。また、絶縁枠154の基端部内周面には絞り155が接着固定されるようになっている。
【0053】
前記対物レンズ群152を通して結像された被写体像を撮像する固体撮像素子であるCCD156は、サファイヤ若しくは高圧高温蒸気耐性を有するガラス硝材によって形成されたカバーガラス157にレチクル等によって位置出しされた状態で接着固定されている。このカバーガラス157は、前記対物レンズ群152の基端面に対向した一種の光学窓である。なお、本実施形態においてはCCD156の撮像チップの前面にCCDカバーガラス221を配置している。また、このカバーガラス157の先端側面にはレンズ群158を構成するレンズが位置出しされた状態で接着固定されている。
【0054】
前記カバーガラス157の外周面及び面取り部には前記先端カバーガラス150と同様の表面処理が施されている。このカバーガラス157は、高圧蒸気耐性を有する気密隔壁部材である金属部材によって形成されている枠159に後述する気密接合手段によって気密に接合されるようになっている。前記レンズ群158の外周面と前記枠159の内周面との間には隙間が設けられるようになっている。この隙間は、熱膨張率の異なる枠159とレンズ群158とがオートクレーブ滅菌の加熱によって熱膨張した場合、レンズ接合面に枠159からの応力がかかることを防止するためである。
【0055】
なお、前記枠159の先端部分は、前記絶縁枠154の基端部に気密接合手段によって気密に接合されるようになっている。また、この枠159は、前記先端枠151と同様にステンレスやコバールで形成され、表面には前記先端枠151と同様のめっき層が設けられている。
【0056】
また、前記先端カバーガラス150と前記先端枠151とのはめあい及び前記先端枠151と絶縁枠154とのはめあい及び前記絶縁枠154と前記枠159とのはめあいは0に近いほど良い。また、前記カバーガラス157と枠159との間には適切な寸法の隙間が設けられている。
【0057】
前記CCD156は、基板160を介してケーブル161と電気的に接続されている。この基板160にはICやコンデンサーなどの電子部品が実装されており、これら電子部品は絶縁性を有する接着剤によって封止固定されている。
【0058】
前記CCD156等は、金属製の第1シールド枠162によって覆い包まれている。この第1シールド枠162は、前記枠159の外周に接着或いは溶接によって一体的に組付けられるようになっている。また、この第1シールド枠162の基端部には金属製の第2シールド枠222が接着或いは溶接によって組み付けられるようになっている。
【0059】
前記第1シールド枠162と前記CCD156とカバーガラス157とで形成される空間には蒸気透過性の低い接着剤、シール剤或いはポッティング剤が充填されるようになっている。
【0060】
また、前記第2シールド枠222の内部に配置されているケーブル161の周囲には接着剤が充填されるようになっており、前記第2シールド枠222の外周部には蒸気透過性の低い、例えばフッ素樹脂系の熱収縮チューブ223、224が被せられている。
【0061】
なお、部材同士を接着剤によって固定する場合においては、接合する部材の材質によって、オートクレーブ滅菌によって、接着剤の剥離が生じ易いものと生じ難いものとがある。
【0062】
そして、光学部材を金属枠に接着固定した場合、金属の熱膨張率と光学部材の熱膨張率とが大きく異なっていることにより、オートクレーブ滅菌の高温時に互いの部材の熱膨張差によって、接着部に大きな応力が働くことによって接着剤が剥離を起こす。
【0063】
これに対して、同じ部材、例えば金属部材同士を接着固定している場合等には部材同士の熱膨張の差によって接着部に応力がほとんど働かないので接着部は剥離し難い。また、接着剤を充填した充填部においても熱膨張の差による応力を受け難いので剥離・亀裂が生じ難い。
【0064】
これらのことを踏まえて、本実施形態においては、蒸気の侵入の影響を受ける部分に使用する部材同士を接着剤によって固定するとき、なるべく熱膨張係数が同じ部材同士、或いは熱膨張係数差の少ない部材同志を接着固定したり、又は接着剤を充填にのみ使用する。このことにより、これら接着剤を使用した部分の剥離が生じ難くなるので、接着剤による接合であっても、蒸気の透過を低く抑えることが可能になる。
【0065】
次に、図5ないし図7を参照して気密接合手段を具体的に説明する。
図5(a)に示すように先端カバーガラス150の側周面表面163にはメタルコートによる表面処理が施してある。前記メタルコートは、メタライズ層として最下層に設けたクロム層と、中間層である2層目として設けたニッケル層と、最上層を形成する金層とによって構成されている。各層は、真空中での蒸着やスパッタリング、或いはめっきによって施されている。
【0066】
そして、図5(b)に示すように前記カバーガラス157の側周面表面166と面取り部167にも前記先端カバーガラス150の側周面表面163に設けたように表面処理を施している。
【0067】
なお、前記先端カバーガラス150及びカバーガラス157の最下層を酸化クロム層にすることで、この酸化クロム層が前記クロム層より低反射層になるので光学特性が向上する。そして、この酸化クロム層を設ける場合には、この酸化クロム層の上層にクロム層を設け、その他の構成を上述した構成と同様にしてメタルコート層を形成する。
【0068】
また、低反射を考慮する場合、前記カバーガラス150,157の側周面表面163、166の面粗さを、平均粗さ(Ra)で0.1μm〜1μm、又は最大粗さ(PV)で2μm〜5μmに研磨して、前述した表面処理を施すとよい。
【0069】
さらに、前記側周面表面163、166の表面を鏡面仕上げした場合には反射し易くなるばかりでなく、コーティング層の密着強度が低下する。一方、面粗さが荒らすぎる場合には表面に付着した異物を取り除くことが困難になって、コーティング層の密着強度が低下する。
【0070】
そして、図6に示すように前記先端枠151に嵌入する絶縁枠154の外表面164及び前記枠159に嵌入する絶縁枠154の外表面165にもメタルコートが施されている。
【0071】
前記外表面164、165のメタルコートは、メタライズ層として最下層に設けたニッケル層と、最上層を形成する金層とで構成されている。各層は、真空での蒸着、又は真空でのスパッタリング、又はめっきによって設けられている。
【0072】
なお、前記外表面164と外表面165との間には導電性を有する材質による表面処理は施されていない。そして、内周面についても導電性を有する材質による表面処理は施されていない。よって、前記外表面164に嵌合して組付けられる先端枠151と、前記外表面165に嵌合して組付けられる枠159とは電気的に絶縁された状態である。
【0073】
図7を用いて枠159とカバーガラス157との気密接合手段を具体的に説明する。
図に示すように前記カバーガラス157が嵌入配置される枠159の凹部168の深さ寸法は、前記カバーガラス157の厚み寸法分より浅く設定してある。つまり、カバーガラス157の一面が凹部168が形成された端面から突出するように構成されている。
【0074】
前記カバーガラス157の側周面表面166と前記凹部168の内周面との間の隙間にろう材又は半田を流し込んで気密に接合する。このとき、前記カバーガラス157の突出した端面部及び前記凹部168内に配置されている面取り部167にろう材又は半田の溜まり部分である断面形状が略三角形のフィレット171が形成される。このフィレット171の断面形状が確実に三角形状に形成されることによって気密を保持した接合が完了する。本実施形態においては、このフィレット171が確実に形成されているか否かを目視にて確認することが可能である。
【0075】
なお、半田、ろう付け時にフラックスを使用した場合には、金属の腐食防止のため、この枠159及びカバーガラス157を接合状態で充分に洗滌する必要がある。
【0076】
また、この半田、ろう付け箇所は、生体に対して接触する部分でない。このため、半田及びろう材として任意に選択して適用することが可能である。ただし、半田、ろう材として、好ましくはAu−Sn半田、金ろうが使用される。枠159のメッキ及びカバーガラス157のメタルコートの最外層は金層であるため、Au−Sn半田、金ろうとの密着性が非常に良好である。
【0077】
図8を参照して撮像ユニット18の接合方法を含む組み付け手順について説明する。
まず、めっきが施されている先端枠151の凹部に、側周面表面163にメタルコートが施されている先端カバーガラス150を嵌入配置する。そして、この状態で、前記先端カバーガラス150が配置されている先端枠151の外周面に対して矢印A方向からレーザ光を全周に渡って照射する。
【0078】
すると、このレーザ光の熱によって、先端カバーガラス150の側周面表面163にコーティングされている金層及び先端枠151にコーティングされている金層が溶融し、その後冷却されて金層同士が結合する。このことによって、前記先端カバーガラス150の外周面と先端枠151の内周面との間が隙間のない状態で接合される、つまり気密な状態で接合される。
【0079】
なお、前記レーザ光を照射するレーザー装置としては、低出力で微調整の可能なYAGレーザーが好ましい。また、パルス波のレーザー装置でレーザー光の照射を行う場合には隣あうパルスとの重ね合わせを80%以上とることで、確実に気密を確保する接合が可能である。
【0080】
次に、カバーガラス157に対して、基板160及びケーブル161を組付けた状態のCCD156を位置出した状態で接着固定する。この後、前記カバーガラス157にレンズ群158を位置出しして接着固定する。前記画像伝達手段であるCCD156の画像入力側とカバーガラス157とは光透過性の接着剤により固定される。
【0081】
このとき、この接着層に空気層を存在させないようにする。また、透光性の接着剤としては、光軸を位置合わせさせた状態で確実に固定するため、紫外線硬化型の接着剤を使用する。なお、この接着部分は気密域外部になる。このため、オートクレーブの際、高圧高温蒸気によって少なくとも剥離,変色等の劣化が生じない特性を有する接着剤を選択して使用する。これらのことにより、前記CCD156と前記カバーガラス157との問で画像不良の原因となる現象の発生が防止される。
【0082】
上述した本実施形態においては、前記CCD156の撮像チップ前方側にCCDカバーガラス221を貼り付けている。このとき、CCD156の撮像チップの撮像面とCCDカバーガラス221との間は、蒸気が侵入可能な空気層が存在しないように密着固定、又は気密的に密閉されている。そして、前記CCDカバーガラス221の前面が固体操像素子156の実質上の画像入力端部になっている。しかし、前記CCDカバーガラス221を配置しない場合には、前記CCD156の撮像チップの画像入力端を直接カバーガラス157に密着させて貼り付けるようにしてもよい。
【0083】
次いで、絞り170が接着固定されている絶縁枠154に、枠159を嵌合配置する。そして、枠159の外周面に矢印B方向よりレーザ光を全周に渡って照射する。すると、このレーザ光の熱によって、絶縁枠154にコーティングされている金層及び枠159にコーティングされている金層とが溶融し、その後冷却されて金層同士が結合する。このことによって、絶縁枠154の外周面と枠159の内周面との間が隙間のない、気密な状態で接合される。
【0084】
次に、対物レンズ群152を構成するレンズ等を接着によってレンズ枠153に組付け固定する。この後、このレンズ枠153を絶縁枠154に配置し、軸方向の位置調整を行ってピント出しを行い、前記レンズ枠153を前記絶縁枠154に接着固定する。
【0085】
次いで、前記レンズ枠153を覆うように先端カバーガラス150が接合されている先端枠151を絶縁枠154に嵌合配置する。そして、先端枠151の外周面に矢印C方向よりレーザ光を全周に渡って照射する。すると、このレーザ光の熱によって、絶縁枠154にコーティングされている金層及び先端枠151にコーティングされている金層とが溶融し、その後冷却されて金層同士が結合する。このことによって、絶縁枠154の外周面と先端枠151の内周面との間が隙間のない、つまり気密な状態に接合される。
【0086】
上述した接合に使用されるレーザー装置は、低出力で微調整可能なYAGレーザーであり、レーザー接合時、接合部は1000℃以上の高温になるが、レーザ光の照射が局部的かつ瞬時であるため絞り170の接着部分やCCD156、レンズ枠153と絶縁枠154の接着部分、対物レンズ群152等へ熱による悪影響は及ばない。
【0087】
このように、先端カバーレンズ150と先端枠151、先端枠151と絶縁枠154、絶縁枠154と枠159を、それぞれレーザ光を使用してそれぞれの部材に予めコーティングされている金層を一度溶融させて結合するとともに、枠159とカバーガラス157を半田、ろう材等によって部材同士の間に全く隙間のない気密な接合を行ったことによって、オートクレーブ滅菌を行った際、蒸気が内部に侵入しない気密な状態の密封度(第2の密封レベルと呼ぶ)で密閉した気密密閉部である気密密閉対物レンズユニット部219が構成される。この気密密閉対物レンズユニット部219は、内視鏡内部の内蔵物である撮像ユニット18の一部である。
【0088】
また、前記気密密閉対物レンズユニット部219は、先端カバーガラス150、先端枠151、絶縁枠154、枠159、カバーガラス157に後述するように真空特性の高い気密隔壁部材を使用し、これら部材同士を気密接合手段によって接合して構成したことにより、オートクレーブ滅菌時の減圧及び加圧のみならず、温度変化によって破壊されない耐圧性及び接合強度を有している。このため、オートクレーブ滅菌を行った際、たとえ蒸気が高分子材料によって形成された外皮チューブを透過して内部空間に侵入した場合でも、第2の密封レベルで密閉され気密密閉対物レンズユニット部219内に蒸気が侵入することが防止される。
【0089】
前記気密密閉対物レンズユニット部219の後端側に配置されるCCD156と、気密密閉対物レンズユニット部219の後端側の光学窓であるカバーガラス157とを透光性の接着剤により、空気層を除去した状態で密着接合している。
【0090】
このため、内視鏡1の先端面で露出している光学窓である先端側の先端カバーガラス150からCCD156の画像入力端部までの光路中に、オートクレーブ滅菌の蒸気が侵入することによって結露する部分がない。すなわち、この構成であれば、たとえ対物レンズとともに固体撮像素子を気密に密閉しない構成であっても観察に不具合が起こらないので、撮像ユニットを小型に形成することが可能になる。
【0091】
なお、固体撮像素子等の電子部品は、わずかに侵入した蒸気によって結露という観察に支障をきたす問題を発生させる光学部材とは異なり、ある程度の蒸気に対する耐性を有している。
【0092】
また、本実施形態では、CCD156を覆う第1シールド枠162が枠159に接着又は溶接によって組付けられ、さらにこの第1シールド枠162に第2シールド枠222を接着又は溶接によって組み付けている。そして、前記第1シールド枠162と前記CCD156と前記カバーガラス157とによって囲まれて形成された空間部に、蒸気透過性の低い接着剤、シール剤或いはポッティング剤を充填するとともに、第2シールド枠222の内側に配置されているケーブル161の周りに接着剤を充填した。このため、CCD156周りが完全な気密構造になされていないものの、少なくともCCD156等の電子部品が蒸気によって破壊されないレベルで密閉された状態になっている。この構成により、後述する第2の実施形態のハーメチックコネクタを使用することなく、撮像ユニット全体にオートクレーブ滅菌耐性をもたせることができ、かつ撮像ユニットの小型化を可能にしている。
【0093】
さらに、照明光学系に関しては気密に密閉していない。これは照明光学系については、たとえ照明レンズに若干の結露等が生じた場合でも照明不良等の機能上で大きな問題が発生しないためである。本実施形態のように接着による固定で許容されるレベルである。
【0094】
具体的に、本実施形態において気密密閉対物レンズユニット部を気密に密閉して構成する気密隔壁部材として使用している金属、セラミックス、ガラス、サファイア等の素材は、耐熱性が高く、オートクレーブ滅菌の減圧、加圧によって破壊されない耐圧性を有し、かつ素材自体の真空特性が高く(JIS Z2331などに示されるヘリウム漏れ検出器によって、試験体内空間容積0.1〜0.4cm3 の場合の等価基準リーク量が、1×10−9Pa・m3 / 以下)、かつ気密接合可能である。
【0095】
気密接合可能な素材とは、即ち、後述するような気密接合手段による接合時の加温に耐える耐熱性を有した素材である。
【0096】
これに対し、一般の樹脂、ゴム等の高分子材料では上述のような気密隔壁部材としての条件をクリアすることができない。このため、気密隔壁部材の素材は、金属、セラミックス、ガラス、結晶性材料を主成分とする素材に限られ、その中からより好ましい素材を選択することになる。
【0097】
金属としては各種素材を使用することが可能であり、例えばステンレスやコバール等の金属を使用できる。
【0098】
また、本実施形態ではセラミックスとガラスとを別素材のように分けて表現している。しかし、セラミックスは、一般的に、成形、焼成などの工程を経て得られる非金属無機材料の総称である。このため、広義においてはガラスもセラミックスに含まれる。このようなセラミック素材の中には上述した気密隔壁部材の条件をクリアするものが数多くあり、絶縁の問題や、光学的な問題等から気密隔壁部材として金属を用いることができない場合に使用される。
【0099】
しかしながら、前記セラミックスの中でも真空特性の低い素材、気密接合時の加熱により割れが生じ易い素材、蒸気によって極端に劣化するおそれのある素材もあるので、素材選択時に注意が必要である。このため、例えば絶縁部材としては窒化アルミ、サイアロン、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素等の絶縁性を有し、かつ真空特性が高いファインセラミックスを使用することが好ましい。
【0100】
また、一般に光学部材として使用される多成分ガラスは蒸気によって劣化するものが多い。このため、気密隔壁部材として使用する光学部材、つまり光学窓としては、透光性を有する結晶性材料、又は高い高圧高温蒸気耐性を有する多成分ガラスを使用する。上述したサファイアは、Al2O3の単結晶であり、透光性の結晶性材料に分類され、前記気密隔壁部材の条件をクリアする代表的な光学材料である。また、他の透光性の結晶性材料としては水晶(石英)等がある。
【0101】
一方、本実施形態においては、気密接合手段としてレーザ照射による熱を利用して金めっきを溶融させて接合する溶接の一種である融接及び半田付け又はろう付けといったろう接を採用しているが、これに限らず、各種溶接による接合を採用することが可能である。
【0102】
溶接の種類としては、レーザー溶接、電子ビーム溶接等に代表される融接、抵抗溶接に代表される圧接、ろう付け、半田付け等のろう接等があり、これらの接合手段であれば気密接合が可能である。例えば気密隔壁部材である2つの金属部品をレーザー溶接で接合すると、2つの金属部品は溶融して一体化する。このため、接合部は気密隔壁部材自体となり、確実な気密を確保することができる。
【0103】
前記ろう接を行った場合には気密隔壁部材間に設けられる接合部に金属が充填されて気密を確保することができる。前記ろう材としては、金ろう、銀ろう、ニッケルろう、銅ろう等、各種ろう材を使用することが可能である。しかし、この場合も耐食性を考慮して、金ろう、ニッケルろう等の錆びにくいろう材が選択するとよい。また、半田剤としては、一般のPb−Sn半田の他に、Ag入り半田、Cu入り半田、Au−Sn半田等が使用可能である。この場合も、耐食性の高いAu−Sn半田等の錆びにくい半田材がよい。
【0104】
また、金属溶接以外に溶融ガラスによる接合も気密に接合可能な接合手段であり、当然採用可能である。気密に充填、接合するための溶融ガラスとしては、低融点粉末ガラス等があり、これを加熱溶融することにより、気密隔壁部材間に設けられる接合部にガラスを充填して気密を確保することができる。
【0105】
前記低融点粉末ガラスとしては、ガラス状になるものと、結晶化するものとがある。また、ガラス以外のセラミックスに関しては、焼成することにより気密接合可能な接合剤が存在する。つまり、接合部の主成分が金属、セラミックス、ガラス、または結晶化する物質となる接合手段であれば、気密接合手段として採用可能である。
【0106】
尚、上述した気密接合手段による接合時、かなりの高温になることが多い。例えば代表的な金属溶接である半田付けの場合では200℃〜400℃、ろう付けの場合では700℃〜1000℃、さらにレーザー溶接の場合では金属の溶融温度まで温度が上昇する。つまり、ステンレスである場合には1400℃程度まで上昇する。又、気密接合用の溶融ガラスとして一般に使用される低融点ガラスでは、その融点が300℃〜600℃である。
【0107】
(作用)
まず、内視鏡使用後、オートクレーブ滅菌可能な内視鏡であっても、必ず洗滌を行う。このため、洗滌時には流水洗滌時や薬液浸漬時に液体が浸入しないように、少なくとも防水キャップ15を取り付けて第1の密封レベルで内視鏡外装全体を水密的に密閉する。このことにより、内視鏡洗滌時に内視鏡内部に液体が浸入して内視鏡内部の部材が劣化することが防止される
次に、洗滌後、防水キャップ15を取り外し、逆止弁キャップ200を取り付ける。そして、この内視鏡1を、プレバキュームタイプのオートクレーブ滅菌装置で滅菌する。すると、プレバキューム工程において、内視鏡1の内部空間の空気が逆止弁キャップ200を通じて外部に放出されていく。このことにより、第2の密封レベルで気密に密閉された気密密閉対物レンズユニット部219の内部と外部との間に圧力差が生じるが、内視鏡外装を構成する湾曲部9の外皮チューブ39が膨らんで破裂することは無い。また、前記気密密閉対物レンズユニット部219は、気密隔壁部材及びこれら気密隔壁部材同士を気密接合して構成されているのでこの圧力差によって破壊されることはない。
【0108】
この後の滅菌工程時においては、前記逆止弁キャップ200が取り付けられていることにより、高圧高温蒸気が内視鏡内部空間に積極的に侵入しない。しかし、高圧高温蒸気は、内視鏡外装を構成する高分子材料で形成された外皮チューブ39等を透過して内視鏡内部空間に徐々に侵入していくが、気密密閉対物レンズユニット部219は気密隔壁部材及びこれら気密隔壁部材同士を気密接合して構成されているので気密密閉対物レンズユニット部219の内部に蒸気か侵入することはない。また、内視鏡1は、115 ℃ 〜140 ℃ 程度まで熱せられるが温度変化によって破壊されることはない。
【0109】
次いで、乾燥工程に移行する。すると、前記プレバキューム工程時と同様の圧力差が気密密閉対物レンズユニット部219の内部と外部に生じる。このとき、気密密閉対物レンズユニット部219は、気密隔壁部材及びこれら気密隔壁部材同士を気密接合して構成されているのでこの圧力差及び前記温度変化の影響等によって破壊されることはない。さらに、このときも気密密閉対物レンズユニット部219内部に蒸気は侵入しない。
【0110】
尚、オートクレーブ滅菌後、内視鏡内部空間は外気に対して圧力が低い状態になって、例えば湾曲部9を構成する外皮チューブ39が内部構造体に張り付いた状態になる。
【0111】
万一、この状態で湾曲操作が行われると、外皮チューブ39に傷がつくおそれがある。しかし、内視鏡使用前、必ずカメラコネクタ7をCCUに取り付けなければならない。言いかえれば、逆止弁キャップ200は、必ずカメラコネクタ7から取り外されるので、その際、カメラコネクタ7内部に設けられている通気口14を通じて内視鏡内部空間内に大気が流れ込むことによって、前記気密密閉対物レンズユニット部219の内部と外部及び内視鏡内部空間と外気との圧力差がなくなる。従って、前記外皮チューブ39が内部構造体に張り付いた状態が解除されて、湾曲操作時に外皮チューブ39が傷つくことがない。
【0112】
本実施の形態ではオートクレーブ滅菌を行う医療用内視鏡に関して記載したが、その他蒸気滅菌を行う内視鏡、薬液に長時間浸漬する内視鏡、蒸気が内視鏡内部に侵入する可能性のある内視鏡、高湿環境下で使用される例えば工業用内視鏡等に本発明の構成を採用するようにしてもよい。
【0113】
また、本実施形態では挿入部2に湾曲部9を有する内視鏡に関して記載したが、硬性な挿入部の一部に湾曲部9を設けた内視鏡や挿入部全体を軟性に形成して湾曲部の設けられていない内視鏡に本発明の構成を採用するようにしてもよい。
(効果)
本実施形態は以下の効果を有する。
【0114】
・内視鏡の外装部材として高分子材料を使用した湾曲付き内視鏡をオートクレーブ滅菌した場合でも、湾曲部の外皮チューブが破裂することがない。
【0115】
・オートクレーブ滅菌を行うことによって、気密密閉対物レンズユニット部の外装を構成する気密隔壁部材及びこれら気密隔壁部材同士を気密接合した接合部を透過して内部に蒸気が侵入することがない。従って、レンズの結露等による観察画像不良の発生が防止される。
【0116】
・オートクレーブ滅菌を行うことによって、気密密閉対物レンズユニット部の外装を構成する気密隔壁部材及びこれら気密隔壁部材同士を気密接合した接合部が破壊されることがない。従って、破壊が発生することによって内部に蒸気が侵入することはない。当然、レンズの結露等による観察画像不良は発生しない。
【0117】
・オートクレーブ滅菌を行う際、逆止弁キャップの効果により内視鏡内部空間に蒸気が積極的に侵入しない。従って、内視鏡内部部材の劣化が低減される。さらに、オートクレーブ滅菌後の内視鏡は、この内視鏡を使用する前に必ず逆止弁キャップがカメラコネクタから取り外される。このため、内視鏡内部空間の内圧が外気に対して低い状態で使用されることは無い。このことにより、湾曲部の外皮チューブが内部構造体に張り付いた状態で使用されることによって発生する外皮チューブの傷が無くなる。
【0118】
・固体撮像素子の画像入力端部に密着させて気密密閉対物レンズユニット部を配置したことにより、オートクレーブ滅菌を行っても視野不良が起こらない。また、撮像ユニットがコンパクトに構成される。従って、湾曲付き内視鏡であっても、湾曲部先端側の先端硬質長内に撮像ユニットの硬質部を配置することが可能であり、かつ先端硬質長が短くなる。
【0119】
・撮像ユニットは、気密密閉対物レンズユニット部を気密に密閉して構成する一方、固体撮像素子を覆い包む部分を接着剤を含む接合手段によって密閉して構成したため、オートクレーブ滅菌を行った際、固体撮像素子の破壊といった観察画像不良が起こらない。また、撮像ユニットのコンパクト化が可能である。従って、湾曲付き内視鏡であっても、湾曲部の先端の先端硬質部長内にオートクレーブ滅菌耐性を有する撮像ユニットの硬質部を配置することが可能であり、かつ先端硬質長が長くなることが防止される。
【0120】
尚、本発明において述べた気密とは、基本的にJIS Z2331などに示されるヘリウム漏れ検出器によって、等価
基準リーク量(試験体内空間容積0.1〜0.4cm3 )が、目安としては1×10−9Pa・m3 / 以下である場合をいう。
【0121】
前記値1×10−9Pa・m3 / を超える場合にはオートクレーブ滅菌を行った際蒸気が侵入し、繰り返しオートクレーブ滅菌行う事で水蒸気が蓄積してレンズに結露やくもりが発生したり、レンズやレンズ表面に施したコーティング、接着剤が劣化して観察画像不良などの不具合が発生する可能性がある。
【0122】
接合方法の違いによる前記等価基準リーク量の差と、蒸気侵入の有無の関係を表1に示す。
【0123】
溶接による気密構造、換言すれば、上述した実施形態で示した前記気密密閉対物レンズユニット部219の気密構造と、一般的なOリングや接着剤を用いて構成した水密構造とでは等価基準リーク量が異なることが分かる。
【0124】
【表1】
オートクレーブ滅菌後の水蒸気侵入の有無のデータにより、ろう接、融接といった溶接に対し、高分子材料を使用した接着又はシールでは、接着部、シール部材を通して蒸気が侵入することが分かる。これは、繰り返しオートクレーブ滅菌を行うことにより、より顕著な差として表れる。
【0125】
図9ないし図12は本発明の第2実施形態に係り、図9は電子内視鏡の先端部付近の構成を説明する断面図、図10は撮像ユニットの構成を説明する断面図、図11はライトガイドコネクタの構成を説明する断面図、図12はスイッチの構成を説明する断面図である。
【0126】
本実施形態の全体構成は前記第1実施形態の図1で示したものと略同様であり、第1実施形態と異なる構成のみを説明して、同一の構成には同符号を付けて説明を省略する。
【0127】
(構成)
図9に示すように本実施の形態の内視鏡1の挿入部2の先端部8は、金属製の先端部本体16と、先端カバー17と、この先端部本体16と先端カバー17に設けられた貫通孔に挿入されて固定された観察手段で画像伝達手段である撮像ユニット18と、照明手段であるライトガイド19とによって構成されている。
【0128】
前記先端カバー17は、絶縁の役目も果たしており、材質は絶縁性及び耐熱性及び耐水性を有するポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン等のプラスチック、又はセラミックスで形成されている。
【0129】
前記先端部本体16の基端部には湾曲部9を構成する複数の湾曲駒の最先端に位置する第1駒38が固定されている。そして、前記第1駒38の後端側には、第1リベット115によって湾曲駒108が回動自在に連結されている。また、先端部本体16の外周には前記湾曲部9を構成する前記湾曲駒の外周を被覆するフッ素ゴム等の柔軟な高分子材料で形成された外皮チューブ39の先端部が水密に固定されている。
【0130】
図10に示すように本実施形態の撮像ユニット18は、被写体像を結像する対物レンズ群20と、結像された被写体像を撮像するCCD21と、このCCD21に関わる電気信号を処理するコンデンサやIC等の電子部品を実装した基板22と、前記対物レンズ群20を保持する気密隔壁部材である金属製のレンズ枠23と、前記レンズ枠23の基端部に嵌合する前記CCD21を保持する気密隔壁部材である金属製のCCD枠24と、このCCD枠24の基端に設けられたハーメチックコネクタ25と、前記レンズ枠23と前記CCD枠24とにまたがって嵌合配置される気密隔壁部材である金属製の気密保持パイプ212と、前記ハーメチックコネクタ25に接続されるCCDケーブル26とで主に構成されている。
【0131】
前記ハーメチックコネクタ25は、気密隔壁部材である金属製のコネクタ本体28に形成されている透孔に金属製の接点ピン30を配置し、気密接合手段の1つである溶融ガラス等からなる絶縁気密封止部剤29を前記透孔に流し込み、接点ピン30をコネクタ本体28に対して絶縁して配設したコネクタである。前記透孔に溶融ガラスを充填させたことにより、接点ピン30と透孔との間に隙間のない気密な接合になっている。
【0132】
図9に示すように前記ハーメチックコネクタ25と前記CCDケーブル26との間には熱収縮チューブ27が被せてある。この熱収縮チューブ27の内部にはエポキシ系接着剤、セラミックス接着剤、シリコン系接着剤等の充填剤31が充填されている。このことにより、前記接点ピン30とCCDケーブル26内の各信号線との接合部、つまり半田等によって接合された金属が露出している部分を充填剤31が覆って蒸気によって錆びることを防止している。なお、前記撮像ユニット18の硬質部114は、湾曲部9の第1リベット115よりも先端側の先端硬質長116内に収納配置されている。
【0133】
図10示すように前記対物レンズ群20の最先端に配置され、内視鏡の先端面表面を構成するように配置される光学窓となる第1レンズ113は、前記サファイア又は高圧高温蒸気耐性のあるガラスで形成されている。この第1レンズ113の側周面表面及び面取り部には前記第1実施形態で説明したメタルコートが施されている。そして、この第1レンズ113は、前記金属製のレンズ枠23に前記第1実施形態で説明した気密接合手段によって接合されている。
【0134】
また、前記CCD枠24とハーメチックコネクタ25とは、両部材の突き当て部に矢印D方向よりレーザ光を全周に渡って照射して、溶接によって気密に接合されている。
【0135】
前記CCD枠24とレンズ枠23とを接合する際は、まずCCD枠24に前記対物レンズ群20が固定されているレンズ枠23を嵌入し、このレンズ枠23を軸方向に適宜移動させてピントが合ったところで接着剤によって固定する。
【0136】
その後、気密保持パイプ212を、前記CCD枠24とレンズ枠23との両部品にまたがるように挿入配置する。そして、この状態で矢印E方向よりレーザ光を全周に渡って照射して気密保持パイプ212とCCD枠24との突き当て部を溶接によって気密に接合するとともに、矢印F方向よりレーザ光を全周に渡って照射して気密保持パイプ212とレンズ枠23との重ね合わせ部を溶接によって気密に接合する。
【0137】
以上のように構成することにより前記第1実施形態の気密密閉対物レンズユニット部219と同等の第2の密封レベルの気密密閉撮像ユニット本体部220が構成される。
【0138】
なお、前記レーザー装置は、前記第1実施形態と同様、低出力での微調整が可能なYAGレーザーである。また、パルス波のレーザーで照射する場合は、隣のパルスと重ね合わせを80%以上とることで、確実な気密性を確保することかできる。
【0139】
図9に示すように前記ライトガイド19は、コアとクラッドとを有した複数の光学繊維であるファイバ素線を束ねた光学繊維束として構成されたライトガイドファイバ32と、このライトガイドファイバ32を内挿した気密隔壁部材である金属製の第1のライトガイドファイバ枠33と、前記ライトガイドファイバ32の先端面側に配置された照明角を広げるための照明レンズ34と、この照明レンズ34のさらに先端面側に配置された気密隔壁部材であるサファイア製の照明カバーガラス35と、これらの部材を内挿した気密隔壁部材である金属製の照明レンズ枠36と、この照明レンズ枠36の基端部に一端部が配置され前記ライトガイドファイバ32を被覆するライトガイドファイバ外装チューブ37とで構成されている。
【0140】
前記第1のライトガイドファイバ枠33に挿入配置されているライトガイドファイバ32の先端部分には気密接合手段の1つである溶融ガラスが充填されている。つまり、ライトガイドファイバ32を構成するファイバ素線間には溶融ガラスが隙間なく充填されている。
【0141】
なお、前記溶融ガラスとしては、ファイバ素線の融点より低く、かつ照明光の発熱によって再溶融することのない、溶融温度が300℃〜600℃で、かつ組立時に使い勝手の良い、有機バインダーが混合されているペースト状の低融点粉末ガラスがよい。
【0142】
前記ペースト状の低融点粉末ガラスを使用して気密に接合する場合、まず、予め低融点粉末ガラスを含浸させた状態のファイババンドルを第1のライトガイドファイバ枠33内に挿入配置する。そして、その部分を300℃〜600℃に加熱して有機バインダを飛ばし、低融点粉末ガラスが溶融したところで今後はこの部分を冷却する。
【0143】
このことによって、ファイバ素線間に溶融ガラスがより気密に充填されるとともに、その素線間に気密に充填されたライトガイドファイバ32の端部外周と第1のライトガイドファイバ枠33とが溶融ガラスによって気密に接合される。
【0144】
つまり、前記溶融ガラスは、ファイバ素線間の気密保持充填剤の役割と、ライトガイドファイバ32と第1のライトガイドファイバ枠33とを気密に接合する気密接合手段とを兼ねている。
【0145】
前記照明カバーガラス35の外周面には第1実施形態に示したと同様のメタルコートが施されている。そして、この照明カバーガラス35と照明レンズ枠36とは第1実施形態で示したと同様に気密接合手段よって気密に接合されている。
【0146】
ライトガイド19の構成を具体的に説明する。
まず、照明カバーガラス35が気密に接合されている照明レンズ枠36の内部に照明レンズ34を挿入配置する。次に、照明レンズ枠36に前記ライトガイドファイバ32の端部が溶融ガラスによって気密に接合されているライトガイド枠33を挿入し、レーザー溶接によって照明レンズ枠36とライトガイド枠33とを気密に接合する。
【0147】
このことにより、照明カバーガラス35と、照明レンズ枠36と、第1のライトガイドファイバ枠33と、ライトガイドファイバ32端部とによって囲まれた部分は、前記気密密閉撮像ユニット本体部220等と同様、気密に密閉される。
【0148】
この構成であれば、高分子材料であるライトガイドファイバ外装チューブ37を透過してチューブ内に侵入した蒸気がファイバ素線間や、ライトガイドファイバ32と第1のライトガイドファイバ枠33との間を通って照明レンズ34まで侵入することが防止される。
【0149】
また、本構成をとることにより、前記照明レンズ34は完全な気密空間内に配置される。このため、照明レンズ34として気密隔壁部材を使用する必要はなく、加工性に優れた一般的に使用される多成分ガラスを用いることが可能になる。
【0150】
さらに、前記照明レンズ34をサファイア等の高圧高温蒸気耐性を有する光学部材で構成し、この照明レンズ34を直接、第1のライトガイドファイバ枠33に気密に接合することによって、前記照明カバーガラス35を廃止するように構成してもよい。なお、どちらの構成であっても前記照明レンズ34の内面に結露か発生しないので照明不良は起こらない。
【0151】
図11に示すように前記ライトガイドコネクタ6は、前記ライトガイドファイバ32の基端部を内挿した気密隔壁部材である金属製の第2のライトガイドファイバ枠40と、このライトガイドファイバ32の基端面側に配置されたライトガイドファイバ32への入射光の均一化を図るロッドレンズ41と、このロッドレンズ41の後端面側に配置された気密隔壁部材であるサファイア製の入射端カバーガラス42と、これらの部材を内挿する気密隔壁部材である金属製の入射端カバーガラス枠43と、この入射端カバーガラス枠43にビス44によって取り付けられるコネクタ口金本体45とで構成されている。なお、ビス44の頭部側には水密を保持するための接着剤等の充填剤46が充填されている。
【0152】
なお、前記ライトガイドファイバ32の基端部は上述した先端部と同様、溶融ガラスが隙間なく充填されて、このライトガイドファイバ32の端部外周と第2のライトガイドファイバ枠40とは溶融ガラスによって気密に接合されている。
また、前記入射端カバーガラス42の側周面表面にはメタルコートが施されており、この入射端カバーガラス42と入射端カバーガラス枠43とは気密接合手段によって気密に接合されている。
【0153】
さらに、前記第2のライトガイドファイバ枠40と入射端カバーガラス枠43とはレーザー溶接により気密に接合されている。
【0154】
このことにより、入射端カバーガラス42と、入射端カバーガラス枠43と、第2のライトガイドファイバ枠40と、ライトガイドファイバ32端部に囲まれた部分は、前記気密密閉撮像ユニット本体部220と同様、気密に密閉される。
【0155】
このことにより、前記ロッドレンズ41は、気密に密閉された内部に配置されることになるので、高圧高温蒸気耐性を有してない多成分ガラス等からなる単ファイバを用いた場合でも蒸気によって劣化する心配は全くない。
【0156】
また、前記ライトガイドファイバ32は、前記ライトガイドファイバ外装チューブ37と、のライトガイドファイバ枠33,40によって、第1の密封レベルと同等又はそれ以上の密封度で密封されている。このライトガイドファイバ外装チューブ37としては、一般にシリコーンチューブが採用されている。しかし、本実施形態においてはシリコーンチューブより蒸気透過性が低く、かつ高圧高温蒸気耐性を有するフッ素樹脂チューブ等を使用する。このとき、チューブにある程度の柔軟性を有するか否かを確認することが必要である。
【0157】
図12に示すように前記スイッチ13は、パッケージ部材47に取り付けられる電子部品である小型の電気スイッチ48と、この電気スイッチ48をオン/オフ操作するための押圧ピン49と、この押圧ピン49をインサートして成形したフッ素ゴム等のゴム製のスイッチカバー50と、このスイッチカバー50を操作部外装51に水密的に固定するとともに、前記押圧ピン49が挿通配置される押さえ部材52と、この押さえ部材52を固定するナット53と、前記パッケージ部材47を操作部外装51に固定するためのビス54と、前記パッケージ部材47と操作部外装51との水密を図るフッ素ゴム製のOリング55と、電気スイッチ48の接点56と接続されるスイッチケーブル57とで主に構成されている。このことにより、前記電気スイッチ48は、スイッチカバー50とOリング55とによって第1の密封レベルと同等又はそれ以上の密封度で密閉された密閉空間部に配置される。
【0158】
前記密閉空間部を構成する前記スイッチカバー50は、オートクレーブ滅菌時の減圧、加圧によって前記密閉空間部内の空気が膨張或いは収縮した場合でも破裂、破損しないように予めある程度の厚みを持たせて形成されたものである。
【0159】
前記密閉空間部は、オートクレーブ滅菌時の減圧、加圧に対する耐圧性を有している。また、前記密閉空間部は、内視鏡内部空間に比べて極めて小さな空間である。このため、オートクレーブ滅菌時の減圧によって膨張する空気量も少ない。したがって、先行例で述べられている湾曲部の外皮チューブの破裂のようにこのスイッチカバー50が破裂する可能性は極めて低い。このことを考慮すると、前記スイッチカバー50の厚みを極端に厚くする必要は無い。
【0160】
このことから、スイッチ部に限らず、内視鏡内部空間の中で、完全に気密に密閉する必要はないが、ある程度の密封度にして少しでも蒸気の侵入を阻止したい部分について、上述したスイッチ部のように第1の密封レベルと同等、又はそれ以上の密封度に密閉することにより、蒸気の侵入を低減させることを効果的に行える。
【0161】
また、前記密閉空間部内に吸水性部材58を配置しておくことにより、侵入した蒸気が前記吸水部材によって吸収されて電子部品の劣化を防止する上で効果的である。そして、この吸水性部材を交換可能にしておくとさらに効果的である。
【0162】
さらに、前記Oリング等、ゴムシール部材は、一般的にシリコーンゴム、フッ素ゴム等が使用される。しかし、シリコーンゴムは、非常に蒸気を透過しやすい。このため、上述したようにフッ素ゴム製のシール部材を使用することが好ましい。同様の理由で、蒸気の侵入を阻止したい空間の隔壁や接合部にシリコーンゴムやシリコーン系接着剤を使用する代わりに、隔壁として例えばフッ素ゴム等の素材、接着剤としてエポキシ系接着剤、セラミックス接着剤等を使用するとよい。
【0163】
又、寸法上、或いは構成上、気密隔壁部材や気密接合手段を用いて気密に密閉することができない部分については、ガスバリア性のコーティングを施す。このことは、蒸気の侵入を阻止する上で効果的である。
【0164】
例えば、ライトガイドファイバ外装チューブ37の外表面、撮像ユニット18の熱収縮チューブ外表面、その他接着剤による接合部の外表面等にガスバリア性のコーティングを施すことによって、内部の部品である例えばライトガイドファイバ32等が劣化し難くなる効果を得られる。
【0165】
このガスバリア性のコーティングとしては、パリレン樹脂コーティング等の樹脂コーティング、蒸着や半田ディップコーテイング等の金属薄膜コーティング、シラザンから転化するシリカコーティング等のセラミックスコーテイング、結晶質コーティング等がある。例えば、ライトガイドファイバ外装チューブ37等では柔軟なコーティングを採用する必要がある。この方法であれば、密閉する内蔵物を大きくすることなく蒸気の侵入を阻止することが可能になる。そして、金属薄膜コーティング、セラミックスコーティング、結晶質コーティング等によって第2の密封レベルにまで密閉できる場合には光学部材を有した観察光学系に採用することも可能である。
【0166】
(作用)
前記第1実施形態と同様、本実施形態の内視鏡をオートクレーブ滅菌した場合、前記気密密閉撮像ユニット本体部220が破壊されること及び内部に蒸気が侵入することは無い。
【0167】
また、本実施形態においてはライトガイド19の出射端部及び入射端部の気密に密閉された部分についても、前記気密密閉撮像ユニット本体部220と同様、気密接合部が破壊されたり、蒸気が侵入することがない。
【0168】
さらに、スイッチ部は、第1の密封レベルと同等又はそれ以上に密閉されて蒸気の侵入が低減されているので、内視鏡内部に浸入した高圧高温蒸気が電気スイッチを直接アタックしない。
【0169】
又、わずかに侵入した蒸気については吸水部材が蒸気を吸収するため、電気スイッチ等が蒸気或いは湿気によって故障することが防止される。また、ライトガイドファイバについても外装チューブの効果により高圧高温蒸気が直接アタックしないため、ファイバ硝材の劣化を防止して折れる可能性が少なくなる。
【0170】
このように、本実施形態では内視鏡内部空間に侵入する蒸気によって劣化されやすい内蔵物のほとんどを気密、又は水密に密閉したので、内視鏡全体として故障する可能性がより低くなっている。
【0171】
また、逆止弁キャップを取り付けずに、従来のエチレンオキサイドガス滅菌のときと同じように、内視鏡外壁の通気口を開口状態のままでオートクレーブ滅菌を行い、高圧高温蒸気が積極的に内視鏡内部に侵入する形態を取った場合でも、内視鏡内部の蒸気により劣化しやすい観察手段、照明手段、スイッチ部といった内蔵物のほとんどが気密、又は水密に密閉されているので内視鏡が故障することが無い。
【0172】
(効果)
本実施形態は以下の効果を有する。
【0173】
・内視鏡の外装部材として高分子材料を使用する湾曲付き内視鏡をオートクレーブ滅菌した場合でも、湾曲部の外皮チューブが破裂すること及び内視鏡内部の機能部品が故障することがない。
【0174】
・オートクレーブ滅菌を行うことによって、気密密閉撮像ユニット本体部の外装を構成する気密隔壁部材及びこれら気密隔壁部材同士を気密接合した接合部を透過して内部に侵入する蒸気がない。従って、CCD等の電子部品の故障や、レンズの結露等による観察画像不良の発生が防止される。
【0175】
・オートクレーブ滅菌を行うことによって、気密密閉対物レンズユニット部の外装を構成する気密隔壁部材及びこれら気密隔壁部材同士を気密接合した接合部がが破壊されることがない。従って、破壊が発生することによって内部に蒸気が侵入することはない。当然、CCD等の電子部品の故障や、レンズの結露等による観察画像不良は発生しない。
【0176】
・オートクレーブ滅菌を行うことによって、ライトガイドの出射端部及び入射端部の気密に密閉した部分に蒸気が侵入することがない。従って、レンズの結露等による照明不良が発生しない。
【0177】
・オートクレーブ滅菌を行うことによって、内視鏡内部空間に侵入した高圧高温蒸気が電気スイッチに直接アタックしない。また、スイッチ部に侵入したわずかな蒸気を吸水部材が吸収するため、電気スイッチが蒸気或いは湿気により故障することはない。
【0178】
・オートクレーブ滅菌を行うことによって、ライトガイドファイバに高圧高温蒸気が直接アタックしない。このため、ファイバ硝材が劣化して折れる可能性は少ない。
【0179】
・オートクレーブ滅菌を行う際、逆止弁キャップを取り付けず、湾曲部の外皮チューブ破裂対策として内視鏡内部空間と外部とを完全に通気状態にした場合でも、内視鏡内部に配置されている観察光学系、照明光学系、スイッチ等の各種内蔵物が故障しない。
【0180】
図13ないし図15は本発明の第3実施形態に係り、図13は内視鏡の構成を説明する図、図14は内視鏡の先端部付近の構成を説明する断面図、図15は内視鏡の接眼部の構成を説明する断面図である。
【0181】
本実施形態は、前記第2実施形態と略同様の構成である。このため、異なる構成部分についてのみ説明をして、同一の構成部材には同符号を付けて説明を省略する。
【0182】
(構成)
本実施の形態の内視鏡100は、図13及び図14に示すように、観察手段、つまり画像伝送手段としてファイバを使用したファイバスコープである。
【0183】
挿入部2の内部にはコアとクラッドとを有した複数の光学繊維であるファイバ素線を束ねて形成した光学繊維束で構成されたイメージガイドファイバ101が内挿されている。このイメージガイドファイバ101の先端部には対物レンズ102が配置され、他端部には接眼部103が配置されている。
【0184】
コネクタ部104にはライトガイドコネクタ105と内視鏡内部空間と外部とを通気する通気口金106が設けられており、この通気口金106に通気キャップ107を取り付けることによって内視鏡内外を通気することができるようになっている。
【0185】
先端部8には前記第2実施形態における撮像ユニット部の代わりに、イメージガイドファイバ101と、イメージガイドファイバ101を内挿した気密隔壁部材である金属製のイメージガイドファイバ枠108と、イメージガイドファイバ101の先端側に配置され被写体像を結像するための対物レンズ102と、この対物レンズ102のさらに先端側に配置された気密隔壁部材であるサファイア製の対物カバーガラス109と、これらの部材を内挿した気密隔壁部材である金属製の対物レンズ枠110と、イメージガイドファイバ101を外装するイメージガイドファイバ外装チューブ111とが配置されている。
【0186】
前記イメージガイドファイバ101は、先端部及び後端部において素線の配列を同じにする必要がある。このため、製法上、両端部には酸溶解ガラス等、薬液によって溶けるガラスが素線間に充填された状態で固められている。つまり、この酸溶解ガラスは、ここでは前記イメージガイドファイバ101の端部のファイバ素線間の気密保持充填剤の役割を果たしている。
【0187】
前記酸溶解ガラスによって固められたイメージガイドファイバ101の先端部とイメージガイドファイバ枠108とは前記第2実施形態で示したように溶融ガラスによって気密に接合されている。また、この先端部には対物レンズ102を構成する後方側レンズが透光性の接着剤により接着固定されている。
【0188】
前記対物カバーガラス109の側周面表面及び対物レンズ枠110の内周面にはメタルコートが施されている。そして、対物カバーガラス109と対物レンズ枠110とは半田付けにより気密に接合されている。
【0189】
この対物カバーガラス109を気密に接合した対物レンズ枠110の内部に、前記対物レンズ102を構成する前方側レンズを配置固定する。その後、この対物レンズ枠110内に前記対物レンズ102の後方レンズが固定されているイメージガイドファイバ101を挿入していく。そして、ピントの合った位置で例えばスポット溶接によって仮止めを行った後、対物レンズ枠110とイメージガイドファイバ枠108とをレーザー溶接によって気密に接合する。
【0190】
このことにより、対物カバーガラス109と対物レンズ枠110とイメージガイドファイバ枠108とイメージガイドファイバ101端部に囲まれた部分は、第2実施形態の気密密閉撮像ユニット本体部220と同様、気密に密閉される。
【0191】
したがって、ファイバ素線間及びイメージガイドファイバ101とイメージガイドファイバ枠108との間を通って蒸気が対物カバーガラス109まで侵入することは無い。
【0192】
なお、酸溶解ガラスによって固めたイメージガイドファイバ101の先端部とイメージガイドファイバ枠108との接合は、溶融ガラスによる接合以外の方法であってもよい。例えば、酸溶解ガラスによって固められたイメージガイドファイバ先端部の外周にメタルコートを施し、この表面処理の施されたイメージガイドファイバ先端部とイメージガイドファイバ枠108とを半田によって気密に接合するようにしてもよい。
【0193】
また、イメージガイドファイバ101としては前述した両端部が酸溶解ガラスによって固められていて、中間部が薬液により溶かされてコアとクラッドを有する素線がバラバラの状態になっているフレキシブルファイババンドルに限らず、例えば全長にわたって一本のコンジットとなっている、クラッドガラス内に複数のコアガラスが配列したコンジットファイバであってもよい。この場合、クラッドガラスが光学繊維のコアガラス間の気密保持充填剤の役割を果たす。
【0194】
一般に、フレキシブルファイババンドルは、多成分ガラスによって構成されることが多く、コンジットファイバは多成分ガラス以外に石英ガラスによって構成されることがある。
【0195】
図15に示すように接眼部103は、、接眼レンズユニット112とアイピース113とで構成され、この接眼部103は内視鏡本体114に着脱自在になっている。
【0196】
前記接眼レンズユニット112は、複数のレンズで構成された接眼レンズ群115と、この接眼レンズ群115が内孔に配置される気密隔壁部材である金属製の接眼レンズ枠116と、気密隔壁部材であるサファイア製の接眼第1カバーガラス117及び接眼第2カバーガラス118とによって構成されている。カバーガラス117,118の外周面にはメタルコートが施されており、前記接眼レンズ枠116と2つのカバーガラス117,118とは半田によって気密に接合されている。
【0197】
つまり、接眼レンズユニット112の接眼レンズ郡115が配置されている内部空間は、接眼レンズ枠116と、接眼第1カバーガラス117と、接眼第2カバーガラス118とによって気密に密閉されている。
【0198】
なお、内視鏡本体114に前記接眼部103を取り付けた状態では、前記接眼第1カバーガラス117が内視鏡外装の一部として配置された光学窓になる。
【0199】
また、内視鏡本体114に配置されたイメージガイドファイバ101の後端部については前述したイメージガイドファイバ101の先端部と同様の構造である。
【0200】
また、前記カバーガラス119の側周面表面にはメタルコートが施してあり、カバーガラス119とファイバ保持部材120とは半田付けによって気密に接合されている。そして、第2のイメージガイドファイバ枠121とファイバ保持部材120とも半田によって気密に接合されている。
【0201】
このことにより、イメージガイドファイバ101の端部は、気密に密閉して構成されるので、イメージガイドファイバ101の端部及びカバーガラス119の内面に蒸気が侵入しない。
【0202】
このため、前記内視鏡本体114に接眼部103を取り付けていない状態では、カバーガラス119が内視鏡外表の一部として配置された光学窓になる。
【0203】
また、本実施形態では気密に密閉されて構成された接眼レンズユニット112を、イメージガイドファイバ101の画像出力端に着脱自在に構成しているが、前記第1実施形態の気密密閉対物レンズユニット部219とCCD156の画像入力端部との関係と同様、イメージガイドファイバ101の画像出力端に、気密に密閉された接眼レンズユニット112を透光性の接着剤によって空気層のないように密着接合するようにしてもよい。この場合には、視度調整のため、気密に密閉された接眼レンズユニット内に接眼レンズ焦点調整機構を設けるとよい。
【0204】
また、イメージガイドファイバ101についても前記第2実施形態のライトガイドファイバ32と同様、外装チューブと口金とによって第1の密封レベルと同等又はそれ以上の密封度で密閉されている。
【0205】
(作用)
内視鏡100は、通気口金106に通気キャップ107を取り付けることによって内視鏡内部空間と外部とを通気させることができる。したがって、洗滌時は通気キャップ107を取り付けず水密状態で洗滌を行う。そしてオートクレーブ滅菌の際には、通気キャップ107を取り付けてオートクレーブ装置に投入し、湾曲部9の外被チューブ37の破裂を防止する。
【0206】
その際、内視鏡本体114内部に多量の水蒸気が通気部を通じて浸入していくが、内視鏡本体114内部の気密に密閉されて構成された、イメージガイドファイバ101先端部、内視鏡本体114に着脱可能な接眼レンズユニット112には蒸気が浸入しない。このため、これらの密閉空間内部に蒸気が浸入して光学部材に水滴が付着することはない。
【0207】
(効果)
本実施形態は以下の効果を有する。
【0208】
・内視鏡の外装部材として高分子材料を使用する湾曲付き内視鏡をオートクレーブ滅菌した場合で、湾曲部の外皮チューブが破裂すること及び視野不良が発生することはない。
【0209】
・オートクレーブ滅菌を行うことによって、気密に密閉されたイメージガイドファイバ先端部、接眼レンズユニットに蒸気が侵入することが無い。また、接眼レンズユニットのカバーガラスの表面に水滴が付着した場合には、この接眼レンズユニットを取り外すことによって水滴を拭く事ができる。従って、レンズの結露等による視野不良は発生しない。
【0210】
・オートクレーブ滅菌を行うことによって、気密に密閉されたイメージガイドファイバ先端部、接眼レンズユニットの外装を構成する気密隔壁部材及びこれら気密隔壁部材同士を気密接合した接合部が破壊されることがない。従って、破壊が発生することによって内部に蒸気が侵入することはない。当然、レンズの結露等による視野不良は発生しない。
【0211】
・オートクレーブ滅菌を行うとこによって、イメージガイドファイバに高圧高温蒸気が直接アタックしない。このため、ファイバ硝材が劣化して折れることはない。
【0212】
(変形例)
本実施形態では、通気口金106に通気キャップではなく、前記第1実施形態の逆止弁キャップ200と同様の逆止弁機能を有するキャップ部材を取り付けてもよい。
【0213】
この場合、キャップ部材を取り付けたとき通気口金106が連通し、キャップ部材の逆止弁機能が働くように構成する必要がある。この構成であれば、オートクレーブ滅菌を行っても前記第1実施形態と同様、内視鏡内部に積極的に蒸気が侵入しないので、より内視鏡内部の内蔵物の劣化が防止される。
【0214】
また、本実施形態では対物レンズ枠110とイメージガイドファイバ枠108とを直接レーザー溶接によって気密に接合している。しかし、図16に示すように、前記第2実施形態で示した気密保持パイプのように、金属、セラミックス等の気密保持部材225を使用し、この気密保持部材225と対物レンズ枠110及び、気密保持部材225とイメージガイドファイバ枠108とをレーザー溶接、半田付け等で気密に接合するようにしてもよい。この場合、対物レンズ枠110とイメージガイドファイバ枠108とを接着により固定することが可能となるので、組立時の対物レンズ102のピント出し作業が容易になる。
【0215】
なお、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0216】
[付記]
以上詳述したような本発明の上記実施形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。
【0217】
(1)外装の少なくとも一部に柔軟な高分子材料で形成した柔軟部材を設けた挿入部と、この挿入部の内部空間を含む内視鏡内部空間に全て又は一部が収納される内蔵物とを具備する内視鏡において、
前記内視鏡内部空間を外部に対して水密な第1の密封レベルで密封可能に構成し、前記内蔵物の少なくとも一部に、前記第1の密封レベルよりも密封度の高い気密である第2の密封レベルで構成した気密密閉部を設けた内視鏡。
【0218】
(2)前記第2の密封レベルで構成した気密密閉部は、オートクレーブ滅菌時における陰圧及び加圧によって破壊されない耐圧性と、オートクレーブ滅菌時における高圧高温蒸気が内部へ侵入することを防止する密封度とを有する付記1記載の内視鏡。
【0219】
(3)前記気密密閉部の内部に、少なくとも光学部材が収納される付記1記載の内視鏡。
【0220】
(4)前記気密密閉部は、光学窓を有する観察手段の少なくとも一部であり、前記観察窓は、内視鏡の外装の一部として外表面に露出している付記1記載の内視鏡。
【0221】
(5)前記気密密閉部は、対物レンズユニットと固体撮像素子とを含んで構成される撮像ユニットの少なくとも一部である付記1記載の内視鏡。
【0222】
(6)前記気密密閉部は、対物レンズユニットの少なくとも一部である付記1記載の内視鏡。
【0223】
(7)前記気密密閉部は、接眼レンズユニットの少なくとも一部である付記1記載の内視鏡。
【0224】
(8)前記気密密閉部は、外装を構成する複数の気密隔壁部材と、これら気密隔壁部材同士を隙間なく接合する気密接合手段とによって構成される付記1記載の内視鏡。
【0225】
(9)前記気密隔壁部材は、金属、セラミックス、ガラス、結晶性材料で形成された部材である付記1記載の内視鏡。
【0226】
(10)前記気密接合手段は、融接、圧接、ろう接等の金属溶接、又は溶融ガラスによる接合である付記1記載の内視鏡。
【0227】
(11)前記気密接合手段により接合された部分の成分が、金属、セラミックス、ガラス、又は結晶化する物質である付記1記載の内視鏡。
【0228】
(12)前記金属溶接は、レーザー溶接、半田付け、ろう付けを含む付記11記載の内視鏡。
【0229】
(13)前記挿入部の先端部付近に湾曲操作可能な湾曲部を備え、前記気密密閉部をこの湾曲部より先端側の先端硬質部内に配置した付記5又は付記6記載の内視鏡。
【0230】
(14)前記内蔵物は、照明手段であり、この照明手段の少なくとも一部が気密密閉部である付記1記載の内視鏡。
【0231】
(15)外装の少なくとも一部を柔軟な高分子材料で構成した挿入部と、この挿入部の内部空間を含む内視鏡内部空間内に完全又は一部を外装に配置して収納される内蔵物とを備えた内視鏡において、
前記内視鏡内部空間を外部に対して水密な第1の密封レベルで構成し、前記内蔵物の少なくとも一部に前記第1の密封レベルの密封度と同等又はそれ以上の密封度である第3の密封レベルで構成した密閉空間部を設けた内視鏡。
【0232】
(16)前記第3の密封レベルで構成した密閉空間部は、少なくともオートクレーブ滅菌時の陰圧及び加圧によって破壊されない耐圧性を有する隔壁部材及び接合手段で構成される付記15記載の内視鏡。
【0233】
(17)前記密閉空間部にシール部材としてフッ素ゴム製のシール剤を使用する付記16記載の内視鏡。
【0234】
(18)前記密封部の内部に、光学部材又は電子部品の少なくとも1つが収納される付記16記載の内視鏡。
【0235】
(19)前記密封部の内部に、電気スイッチが収納される付記18記載の内視鏡。
【0236】
(20)前記密封部の内部に、イメージガイドファイバ又はライトガイドファイバが収納される付記18記載の内視鏡。
【0237】
(21)前記内視鏡内部空間と外部とを連通する連通手段を備えた付記1又は付記15に記載の内視鏡。
【0238】
(22)前記連通手段は、少なくとも内視鏡外部の圧力が内視鏡内部空間の圧力より減圧されたとき連通する付記21記載の内視鏡。
【0239】
(23)外気に対して水密な第1の密封レベルで密封可能で、かつ内蔵物を収納した内部空間と、前記内部空間と外気とを選択的に連通可能な連通手段を有する内視鏡において、
前記内蔵物を、オートクレーブ滅菌時の陰圧に対して対陰圧性を有し、かつ少なくとも前記オートクレーブ滅菌時の高圧高温蒸気下での内部への水蒸気の侵入の防止が可能な前記第1の密封レベルより高い第2の密封レベルで密封した内視鏡。
【0240】
【発明の効果】
以上説明したような本発明の内視鏡によれば、オートクレーブ滅菌の際、高圧高温蒸気が挿入部の少なくとも一部に設けられている高分子材料で形成された外皮チューブを透過して内視鏡内部に侵入した場合でも、この侵入した蒸気によって光学系に観察に重要な悪影響を及ぼす曇りの発生や、電子部品等が劣化して観察画像が劣化することを防止した内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1ないし図8は本発明の第1実施形態に係り、図1は電子内視鏡の構成を説明する図
【図2】逆止弁キャップの構成を説明する断面図
【図3】電子内視鏡の先端部付近の構成を説明する断面図
【図4】撮像ユニットの構成を説明する断面図
【図5】2種類のカバーガラスを説明する図
【図6】絶縁枠の外表面を説明する図
【図7】枠とカバーガラスとの接合部分を説明する断面図
【図8】撮像ユニットを構成する気密密閉対物レンズユニット部を説明する断面図
【図9】図9ないし図12は本発明の第2実施形態に係り、図9は電子内視鏡の先端部付近の構成を説明する断面図
【図10】撮像ユニットの構成を説明する断面図
【図11】ライトガイドコネクタの構成を説明する断面図
【図12】スイッチの構成を説明する断面図
【図13】図13ないし図15は本発明の第3実施形態に係り、図13は内視鏡の構成を説明する図
【図14】内視鏡の先端部付近の構成を説明する断面図
【図15】内視鏡の接眼部の構成を説明する断面図
【図16】観察手段の先端部の他の構成を説明する断面図
【符号の説明】
1…電子内視鏡
2…挿入部
3…操作部
4…ユニバーサルコード
5…コネクタ部
6…ライトガイドコネクタ
7…カメラコネクタ
8…先端部
9…湾曲部
10…可撓管
11…湾曲操作レバー
12…処置具挿入口
13…スイッチ
14…通気口
15…防水キャップ
16…先端部本体
17…先端カバー
18…撮像ユニット
19…ライトガイド
20…対物レンズ群
21…CCD
22…基板
23…撮像ユニット枠
24…対物カバーガラス
25…ハーメチックコネクタ
26…CCDケーブル
27…熱収縮チューブ
28…コネクタ本体
29…絶縁気密封止部材
30…接点ピン
31…充填剤
32…ライトガイドファイバ
33…ライトガイドファイバ枠
34…照明レンズ
35…照明カバーガラス
36…照明レンズ枠
37…ライトガイドファイバ外装チューブ37
38…第1駒
39…外被チューブ
40…第2のライトガイドファイバ枠
41…ロッドレンズ
42…入射端カバーガラス
43…入射端カバーガラス枠
44…ビス
45…コネクタ口金本体
46…充填剤
47…パッケージ部材
48…電気スイッチ
49…押圧ピン
50…スイッチカバー
51…操作部外装
52…押さえ部材
53…ナット
54…ビス
55…Oリング
56…接点
57…スイッチケーブル
58…吸水性部材
【発明の属する技術分野】
本発明は内視鏡、更に詳しくは挿入部に柔軟部分を有し、内蔵物の構造に特徴のあるオートクレーブ滅菌対応の内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
挿入部を体腔内等に導入することによって体腔内の深部等を観察したり、必要に応じて処置具を用いることにより治療処置等を行なうことのできる内視鏡が医療分野において広く用いられるようになった。医療用内視鏡の場合、使用した内視鏡を確実に消毒滅菌することが感染症等を防止するために必要不可欠である。
【0003】
従来、使用済みの内視鏡の消毒滅菌処理は、エチレンオキサイドガス(EOG)等の滅菌ガスや、消毒液で行っていた。しかし、周知のように滅菌ガス類は猛毒であり、滅菌作業の安全性を確保するために作業が煩雑になるとともに、ガスが与える環境への悪影響が問題視されている。
【0004】
また、滅菌後に機器に付着したガスを取り除くエアレーションに時間がかかるので滅菌後すぐに使用することができなかった。そして、ランニングコストが高いという点が問題でもあった。
【0005】
一方、消毒液の場合は、消毒液の管理が煩雑であり、消毒液を廃棄処理するために多大な費用がかかるという点も問題であった。
【0006】
そこで、最近では、煩雑な作業を伴わず、滅菌後すぐに使用することが可能で、かつランニングコストが安価なオートクレーブ滅菌(以下高圧蒸気滅菌とも記載する)が内視鏡機器の消毒滅菌処理の主流になりつつある。
【0007】
このオートクレーブ滅菌の代表的な条件としては、米国規格協会承認、医療機器開発協会発行の米国規格ANSI/AAMI ST37−1992があり、この条件としてはプレバキュームタイプで滅菌工程132゜C、4分、またグラビティタイプで滅菌工程132゜C、10分になっている。オートクレーブ滅菌の温度としては一般的に115℃から140℃の範囲で設定されることが多い。
【0008】
一般的なプレバキュームタイプのオートクレーブ滅菌工程には、滅菌対象の医療機器を収容した滅菌室内を滅菌前に減圧(陰圧)状態にするプレバキューム工程と、その後に前記滅菌室内に高圧高温蒸気を送り込んで滅菌を行う滅菌工程と、滅菌後の内視鏡を乾燥させるために前記滅菌室内を再度減圧状態にする乾燥工程が含まれている。
【0009】
プレバキューム工程は、滅菌工程時に医療機器の細部にまで蒸気を浸透させるための工程である。滅菌室内を減圧させることによって、収容された医療機器全体に高圧高温蒸気が行き渡るようになる。このプレバキューム工程及び前記乾燥工程における滅菌室内圧力は、大気圧に対して−0.07MPa程度である。一方、滅菌工程時の圧力は、大気圧に対して+0.2MPa程度に設定されることが多い。なお、前記プレバキューム工程は、エチレンオキサイドガスを使用するガス滅菌においても行われる。
【0010】
一般的に、挿入部が柔軟性を有する内視鏡や湾曲部を有する湾曲付き内視鏡の場合、柔軟な挿入部や湾曲部の外装部材としてゴム、エラストマー等、柔軟な高分子材料からなる外皮チユーブが使用される。また、内視鏡は、薬液に浸漬させる必要があるので、内視鏡全体が水密構造になっている。
【0011】
したがって、水密構造の内視鏡をオートクレーブ滅菌した場合、プレバキューム工程等の減圧工程時に柔軟な外皮チューブが膨らんで破損したり、部品間の接合部分が内視鏡内外圧の差に耐えられなくなって破損するおそれがあった。
【0012】
このため、実公平1−12802号公報に示す気密内視鏡の内外連通装置では、プレバキューム工程のあるガス滅菌を行う際、湾曲部の湾曲外皮チューブが破裂するのを防止するため、減圧工程時には内視鏡外壁に設けた内外連通装置に気密解除キャップを取り付けて内視鏡の内部空間(以下内視鏡内部とも記載する)と外部とを連通させていた。
【0013】
また、特開昭63−315024号公報に示すように内視鏡外壁の一部に設けた連通路を予め防水キャップで塞ぐ構造の内視鏡の場合にはこの防水キャップを外した状態にしてガス滅菌を行う。このことにより、減圧工程時に湾曲部の外皮チューブ等が破裂するのを防止していた。
【0014】
しかし、オートクレーブ滅菌の際、内視鏡内部と外部とを連通させて、高圧高温蒸気を積極的に侵入させた場合、この蒸気によって内視鏡内部に設けられている観察手段を始めとする各種内蔵物や内部構造部材が早期に劣化するという問題が発生する。
【0015】
このことに対処するため、特公平4−67445号公報に示されている気密型内視鏡の内圧調整装置では、内視鏡内部から外部への気体の通過は可能で、外部から内視鏡内部への気体が侵入するのを防止した逆止弁機構を内視鏡の外装に設けている。このことによって、オートクレーブ滅菌を行った場合でも内視鏡内部に高圧高温蒸気が侵入することが積極的に防止される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、内視鏡の一部に例えばプラスチックやゴムといった高分子材料で形成された部材が設けられている場合には、オートクレーブ滅菌の際の高圧高温蒸気が前記高分子材料部材を透過して内視鏡内部に侵入してしまう。言いかえれば、内視鏡全体を金属や、セラミックス(広義ではガラスも含む)、或いは結晶性材料等の素材で形成しない限り、オートクレーブ滅菌の際の高圧高温蒸気が内視鏡内部に侵入してしまう。
【0017】
つまり、前記特公平4−67445号公報で示した逆止弁機能を設けた内視鏡でも、例えば挿入部に湾曲部を有する湾曲機能付き内視鏡等の場合では、湾曲部に柔軟なゴムやエラストマー等の高分子材料で形成した外皮チューブが設けられているので、高圧高温蒸気がこの外皮チューブを透過して内視鏡内部に徐々に侵入してしまう。
【0018】
また、前記湾曲機能付きの内視鏡では、前記湾曲部の湾曲操作を行う操作レバーの回転軸のシール部材として、一般に高分子材料で形成したOリング等のゴムシール部材を用いている。このため、オートクレーブ滅菌の高圧高温蒸気が前記ゴムシール部材を透過して内視鏡内部に徐々に侵入してしまう。
【0019】
さらに、挿入部に湾曲機能を有していない内視鏡であっても、挿入部全体が軟性である場合には挿入部の外皮チューブとしてやはり高分子材料が用いられる。このため、オートクレーブ滅菌の際の高圧高温蒸気がこの外皮チューブを透過して内視鏡内部に徐々に侵入してしまう。
【0020】
即ち、気密型内視鏡と呼ばれている内視鏡の場合でも、湾曲機能付き内視鏡或いは挿入部を軟性に構成した内視鏡においては、オートクレーブ滅菌における高圧高温蒸気については上述したように徐々にではあるが内視鏡内部に侵入する。
【0021】
なお、内視鏡内部に蒸気が侵入する現象については、プレバキュームタイプ、グラピティータイプに関わらず、オートクレーブ滅菌工程にて発生するものである。
【0022】
そして、内視鏡内部に蒸気が侵入することによって、徐々にではあるが内視鏡内部の観察手段を始めとする各種内蔵物や内部構造部材が劣化するおそれがある。
【0023】
例えば電子内視鏡の場合では、この内視鏡内部に侵入した蒸気によって、撮像ユニット内に設けられている対物レンズユニットを構成するレンズ表面やカバーガラスの内部表面に結露が生じたり、固体撮像素子等の電子部品に不具合が生じて観察画像不良が生じる可能性があった。
【0024】
また、前記電子内視鏡に限らずファイバスコープでも、内視鏡内部に侵入した蒸気が観察光学系に到達することにより、この観察光学系を構成するレンズ表面やカバーガラスの内部表面に結露が生じて視野不良を起こす可能性があった。
【0025】
さらに、前記レンズ及びカバーガラスとして一般的に多く使用されているレンズ硝材である加工性の良い多成分ガラスは、オートクレーブ滅菌の際の高圧高温蒸気に曝されることによって劣化してしまう。このため、内視鏡内部に蒸気が侵入することによって、硝材自体が劣化したり、レンズ面に施されているコーティング或いはレンズ面に塗布された接着剤が劣化して観察画像不良が発生する可能性があった。
【0026】
特開昭62−212614号公報には、光学系の少なくとも一部を気密構造にし、光学系内部への蒸気の侵入を防止した内視鏡が示されている。しかし、この内視鏡ではレンズやカバーガラス等の光学部材を枠体に接着剤によって接合していた。このため、前述した現在米国規格等で規定されている条件下でオートクレーブ滅菌を行ったときには、前記接着剤を通して光学系内部に蒸気が侵入してしまう。つまり、この構造では実際的に高圧高温蒸気が侵入することを阻止する効果は得られない。
【0027】
一般的に使用されるエポキシ系接着剤やシリコーン系接着剤等の高分子材料を主成分とした接着剤の硬化層では、上述したようなオートクレーブ条件下においては高圧高温蒸気が透過してしまう。
【0028】
また、前記接着剤は、接合強度があまり高くないため、例えば金属とガラス等、異種材質の部品同士を接合した接合部においては、部品同士の熱膨張率が異なることにより、オートクレーブ滅菌時の熱変化の際、接着部に応力が働いて接着剤が剥離してしまうおそれがあった。
【0029】
これらのことを考慮して、挿入部を硬性に形成した硬性内視鏡においては、特開平9−265046号公報に示すようにカバーガラスを内視鏡外装部品である外筒に半田によって隙間なく気密に接合し、外装構造体である内視鏡外装を気密に密封した内視鏡が開示されている。
【0030】
しかし、挿入部に湾曲部を有する等、挿入部の少なくとも一部が柔軟な内視鏡において、前述したように内視鏡の外装の少なくとも一部に高分子材料によって形成された部材が配設されるため、たとえ挿入部の先端部のみを気密に接合したとしても、内視鏡外装全体を完全に気密に密封することはできない。
【0031】
つまり、特開平9−265047号公報に示されるような内視鏡外装全体を気密に密閉して構成することが可能な内視鏡としては、湾曲機能を有さず、よって挿入部を金属やセラミックスによって構成することが可能な、硬性の内視鏡に限られる。
【0032】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、オートクレーブ滅菌の際、高圧高温蒸気が挿入部の少なくとも一部に設けられている高分子材料で形成された外皮チューブを透過して内視鏡内部に侵入した場合でも、この侵入した蒸気によって光学系による観察に重要な悪影響を及ぼす曇りの発生や、電子部品等が劣化して観察画像が劣化することを防止した内視鏡を提供することを目的にしている。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の内視鏡は、被検体を観察するための内視鏡において、前記被検体に挿入可能で、内部空間を水密に保つために外装の少なくとも一部に柔軟な高分子材料を用いた挿入部と、管状に形成されて、一端側に光学窓を保持する第1の枠体と、前記挿入部の先端側に設けられ、前記光学窓を介して前記被検体からの光が前記内部空間内に入射される所定の位置に前記光学窓を配置するとともに前記内部空間の水密を保つように前記第1の枠体を保持する先端部と、前記光学窓の前記内部空間側を気密に封止する前記内部空間と隔離した気密空間を形成するために、前記第1の枠体の他端側と嵌合する第2の枠体と、前記第1の枠体と前記第2の枠体との嵌合部から前記気密空間に蒸気が侵入することを防ぐために、前記嵌合部を溶接し前記第1の枠体と前記第2の枠体とを一体的に接合する接合部と、を具備したことを特徴とする。
【0034】
本発明の第2の内視鏡は、被検体を観察するための内視鏡において、前記被検体に挿入可能で、内部空間を水密に保つために外装の少なくとも一部に柔軟な高分子材料を用いた挿入部と、管状に形成されて内部に前記被検体の光学像を結像する対物レンズを保持する第1の枠体と、前記挿入部の先端側に設けられ、前記対物レンズによって前記被検体の光学像を所定の位置に結像可能に前記第1の枠体を保持する先端部と、前記対物レンズにより結像される光学像を撮像するための撮像面を有する固体撮像素子と、前記固体撮像素子を内部に保持するとともに、保持している前記固体撮像素子の前記撮像面が前記所定の位置に配置されるように前記第1の枠体と嵌合する第2の枠体と、前記第1の枠体と前記第2の枠体との嵌合部から前記対物レンズと前記撮像素子との間の光路に蒸気が侵入することを防ぐために、前記嵌合部を溶接し前記第1の枠体と前記第2の枠体とを一体的に接合する接合部と、を具備したことを特徴とする。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1ないし図8は本発明の第1実施形態に係り、図1は電子内視鏡の構成を説明する図、図2は逆止弁キャップの構成を説明する断面図、図3は電子内視鏡の先端部付近の構成を説明する断面図、図4は撮像ユニットの構成を説明する断面図、図5は2種類のカバーガラスを説明する図、図6は絶縁枠の外表面を説明する図、図7は枠とカバーガラスとの接合部分を説明する断面図、図8は撮像ユニットを構成する気密密閉対物レンズユニット部を説明する断面図である。
【0036】
なお、図5(a)は先端側に配置されたカバーガラスを説明する外観図、図5(b)は固体撮像素子の前面に配置されたカバーガラスを説明する外観図、図7(a)はカバーガラスを枠に気密に接合した状態を示す断面図、図7(b)は気密接合部分を説明するために拡大した図である。
【0037】
(構成)
図1に示すように本実施の形態の電子内視鏡1は、固体撮像素子として例えばCCDを先端側に内蔵した挿入部2と、この挿入部2の基端側に接続され観察者が把持して種々の操作を行う操作部3と、この操作部3より延出したユニバーサルコード4とで主に構成されている。前記ユニバーサルコード4の他端部にはコネクタ部5がに設けらている。このコネクタ部5は、図示しない光源装置及び図示しないカメラコントロールユニット(以下、CCU)に接続される。
【0038】
なお、光源装置にはライトガイドコネクタ6が接続され、CCUにはカメラコネクタ7が接続される。また、前記挿入部2、前記操作部3、前記ユニバーサルコード4、コネクタ部5のそれぞれ内部空間は互いに連通している。つまり、内視鏡外装に対して1つの内視鏡内部空間(単に内部空間とも記載する)を形成している。
【0039】
前記挿入部2は、先端部8と、湾曲自在の湾曲部9と、可撓性を有する可撓管10とで構成されている。
前記操作部3には、湾曲部9の動作を制御する湾曲操作レバー11と、鉗子等の処置具を挿入する処置具挿入口12と、画像のフリーズ、レリーズ等を行うための複数のスイッチ13が設けられている。前記湾曲操作レバー11は、回転自在であり、図示しないOリングによって水密状態に組み付けられている。
【0040】
前記カメラコネクタ7の内側には内部空間と外部とを通気するための通気口14が設けられている。このカメラコネクタ7には防水キャップ15が着脱可能になっている。この防水キャップ15をカメラコネクタ7に取り付けることによって内視鏡1の内部空間は水密に密閉された密封度(第1の密封レベルと呼ぶ)になる。そして、前記防水キャップ15を取り外すことによって、内視鏡外装に対する内外、つまり、内視鏡1の内部空間と外部とが連通する。
【0041】
前記防水キャップ15は、使用後の内視鏡1を洗滌するとき或いは薬液浸漬するときにカメラコネクタ7に取り付けて使用されるものである。つまり、この防水キャップ15は、流水洗滌時や薬液浸漬時に、内視鏡1の内部空間に液体が侵入しないように水密に密閉するものである。このカメラコネクタ7には、内視鏡の内部空間から外部へ気体を通過させるが、外部から内部へ気体が通過することを阻止する逆止弁機能を備えた逆止弁キヤップ200も着脱可能である。
【0042】
図2に示すように前記逆止弁キャップ200は、弁座201を設けた例えば金属製の逆止弁キャップ本体202と、ゴム製のシール部材203を一体的に配設した例えば金属製の弁体204と、前記弁座201に対して前記弁体204を付勢するバネ205と、前記カメラコネクタ7に取り付けられる例えば金属製の取り付け部206と、この取付け部206を前記カメラコネクタ7に取り付けた状態のとき、取付け部206の内周面とカメラコネクタ7の外周面との間の水密を保持する例えばゴム製のシール部材217とで構成されている。
【0043】
前記逆止弁キャップ200は、内視鏡1をオートクレーブ滅菌する際、前記防水キャップ15の代わりにカメラコネクタ7に取り付けられる。この逆止弁キャップ200を取り付けることによって、オートクレーブ滅菌時の高圧高温蒸気が通気口14を通って侵入することが阻止される。
【0044】
なお、前記バネ205の付勢力量は、逆止弁キヤップ200をカメラコネクタ7に取り付けた通常状態のとき、弁体204を弁座201方向に付勢することによってシール部材203が弁座201に密着する力量で、オートクレーブ滅菌の減圧工程時には弁体204の弁座201方向への付勢を解除する力量に設定されている。
【0045】
つまり、内視鏡の内部空間の内圧が外気圧より高くならない限り、言いかえれば、通常の使用状況においてはこの逆止弁キャップ200を取り付けることによって内視鏡の内部空間は外気に対して第1の密封レベルに保持される。このため、内視鏡1を洗滌或いは薬液浸漬するとき、前記防水キャップ15の代わりにこの逆止弁キャップ200を取り付けるようにしてもよい。
【0046】
図3に示すように内視鏡1の先端部8を構成する先端部本体16には観察手段であり画像伝達手段でもある撮像ユニット18及び照明光を伝達するライトガイドファイバ32等が配設されている。このライトガイドファイバ32の先端面には照明レンズ34が接着剤によって前記先端部本体16に固定されている。
【0047】
前記先端部本体16の外周には先端カバー部材107が組み付けられている。この先端カバー部材107の基端部には前記湾曲部9を構成する複数の湾曲駒の最先端に位置する第1湾曲駒108がリベット109によって回動自在に連接されている。そして、この第1湾曲駒108の基端側には複数の湾曲駒108,…,108が回動自在に連接され、その外周には金属製の網状管110及び外皮チューブ39が被覆されている。この外皮チューブ39は、フッ素ゴム等の柔軟性を有するゴムやエラストマーからなる高分子材料によって形成されている。
【0048】
なお、前記撮像ユニット18の硬質部111は、最先端側に位置するリベット109より先端側、つまり先端硬質長部218内に位置している。
【0049】
図4に示すように前記撮像ユニット18の先端には挿入部2の外装(本実施形態では先端面)の一部として配置されて観察手段の光学窓を構成する先端カバーガラス150が設けられている。
【0050】
この先端カバーガラス150は、高強度で、高圧高温蒸気耐性を有する気密隔壁部材であるサファイア若しくは高圧高温蒸気耐性を有するガラス硝材によって形成されている。この先端カバーガラス150の外周面には後述するメタルコート等の表面処理が施されており、この先端カバーガラス150を高圧蒸気耐性を有する気密隔壁部材である金属製の先端枠151の内周面に後述するように高い接合強度を有し、かつ蒸気によって劣化しない気密接合手段によって隙間なく気密に接合されるようになっている。なお、前記光学窓として、光学系設計によってはカバーガラスの代わりにレンズを用いることもある。
【0051】
前記先端枠151は、ステンレスやコバールで形成されている。
この先端枠151の内周面には例えば電気めっきによってめっき層が設けられている。このめっき層は、例えば下層がニッケルめっき層で上層が金めっき層である。
【0052】
前記先端カバーガラス150の基端側には複数の光学レンズ等を配置して被写体像を結像するように構成した対物レンズ群152を備えたレンズ枠153が組み付けられるようになっている。このレンズ枠153は、高圧高温蒸気耐性を有する気密隔壁部材でかつ絶縁材料あるセラミックス等によって形成された絶縁枠154の先端部側に接着固定されるようになっている。この絶縁枠154は、セラミックス素材の中でも、熱伝導率が高く、かつ熱衝撃に強い材質である。また、絶縁枠154の基端部内周面には絞り155が接着固定されるようになっている。
【0053】
前記対物レンズ群152を通して結像された被写体像を撮像する固体撮像素子であるCCD156は、サファイヤ若しくは高圧高温蒸気耐性を有するガラス硝材によって形成されたカバーガラス157にレチクル等によって位置出しされた状態で接着固定されている。このカバーガラス157は、前記対物レンズ群152の基端面に対向した一種の光学窓である。なお、本実施形態においてはCCD156の撮像チップの前面にCCDカバーガラス221を配置している。また、このカバーガラス157の先端側面にはレンズ群158を構成するレンズが位置出しされた状態で接着固定されている。
【0054】
前記カバーガラス157の外周面及び面取り部には前記先端カバーガラス150と同様の表面処理が施されている。このカバーガラス157は、高圧蒸気耐性を有する気密隔壁部材である金属部材によって形成されている枠159に後述する気密接合手段によって気密に接合されるようになっている。前記レンズ群158の外周面と前記枠159の内周面との間には隙間が設けられるようになっている。この隙間は、熱膨張率の異なる枠159とレンズ群158とがオートクレーブ滅菌の加熱によって熱膨張した場合、レンズ接合面に枠159からの応力がかかることを防止するためである。
【0055】
なお、前記枠159の先端部分は、前記絶縁枠154の基端部に気密接合手段によって気密に接合されるようになっている。また、この枠159は、前記先端枠151と同様にステンレスやコバールで形成され、表面には前記先端枠151と同様のめっき層が設けられている。
【0056】
また、前記先端カバーガラス150と前記先端枠151とのはめあい及び前記先端枠151と絶縁枠154とのはめあい及び前記絶縁枠154と前記枠159とのはめあいは0に近いほど良い。また、前記カバーガラス157と枠159との間には適切な寸法の隙間が設けられている。
【0057】
前記CCD156は、基板160を介してケーブル161と電気的に接続されている。この基板160にはICやコンデンサーなどの電子部品が実装されており、これら電子部品は絶縁性を有する接着剤によって封止固定されている。
【0058】
前記CCD156等は、金属製の第1シールド枠162によって覆い包まれている。この第1シールド枠162は、前記枠159の外周に接着或いは溶接によって一体的に組付けられるようになっている。また、この第1シールド枠162の基端部には金属製の第2シールド枠222が接着或いは溶接によって組み付けられるようになっている。
【0059】
前記第1シールド枠162と前記CCD156とカバーガラス157とで形成される空間には蒸気透過性の低い接着剤、シール剤或いはポッティング剤が充填されるようになっている。
【0060】
また、前記第2シールド枠222の内部に配置されているケーブル161の周囲には接着剤が充填されるようになっており、前記第2シールド枠222の外周部には蒸気透過性の低い、例えばフッ素樹脂系の熱収縮チューブ223、224が被せられている。
【0061】
なお、部材同士を接着剤によって固定する場合においては、接合する部材の材質によって、オートクレーブ滅菌によって、接着剤の剥離が生じ易いものと生じ難いものとがある。
【0062】
そして、光学部材を金属枠に接着固定した場合、金属の熱膨張率と光学部材の熱膨張率とが大きく異なっていることにより、オートクレーブ滅菌の高温時に互いの部材の熱膨張差によって、接着部に大きな応力が働くことによって接着剤が剥離を起こす。
【0063】
これに対して、同じ部材、例えば金属部材同士を接着固定している場合等には部材同士の熱膨張の差によって接着部に応力がほとんど働かないので接着部は剥離し難い。また、接着剤を充填した充填部においても熱膨張の差による応力を受け難いので剥離・亀裂が生じ難い。
【0064】
これらのことを踏まえて、本実施形態においては、蒸気の侵入の影響を受ける部分に使用する部材同士を接着剤によって固定するとき、なるべく熱膨張係数が同じ部材同士、或いは熱膨張係数差の少ない部材同志を接着固定したり、又は接着剤を充填にのみ使用する。このことにより、これら接着剤を使用した部分の剥離が生じ難くなるので、接着剤による接合であっても、蒸気の透過を低く抑えることが可能になる。
【0065】
次に、図5ないし図7を参照して気密接合手段を具体的に説明する。
図5(a)に示すように先端カバーガラス150の側周面表面163にはメタルコートによる表面処理が施してある。前記メタルコートは、メタライズ層として最下層に設けたクロム層と、中間層である2層目として設けたニッケル層と、最上層を形成する金層とによって構成されている。各層は、真空中での蒸着やスパッタリング、或いはめっきによって施されている。
【0066】
そして、図5(b)に示すように前記カバーガラス157の側周面表面166と面取り部167にも前記先端カバーガラス150の側周面表面163に設けたように表面処理を施している。
【0067】
なお、前記先端カバーガラス150及びカバーガラス157の最下層を酸化クロム層にすることで、この酸化クロム層が前記クロム層より低反射層になるので光学特性が向上する。そして、この酸化クロム層を設ける場合には、この酸化クロム層の上層にクロム層を設け、その他の構成を上述した構成と同様にしてメタルコート層を形成する。
【0068】
また、低反射を考慮する場合、前記カバーガラス150,157の側周面表面163、166の面粗さを、平均粗さ(Ra)で0.1μm〜1μm、又は最大粗さ(PV)で2μm〜5μmに研磨して、前述した表面処理を施すとよい。
【0069】
さらに、前記側周面表面163、166の表面を鏡面仕上げした場合には反射し易くなるばかりでなく、コーティング層の密着強度が低下する。一方、面粗さが荒らすぎる場合には表面に付着した異物を取り除くことが困難になって、コーティング層の密着強度が低下する。
【0070】
そして、図6に示すように前記先端枠151に嵌入する絶縁枠154の外表面164及び前記枠159に嵌入する絶縁枠154の外表面165にもメタルコートが施されている。
【0071】
前記外表面164、165のメタルコートは、メタライズ層として最下層に設けたニッケル層と、最上層を形成する金層とで構成されている。各層は、真空での蒸着、又は真空でのスパッタリング、又はめっきによって設けられている。
【0072】
なお、前記外表面164と外表面165との間には導電性を有する材質による表面処理は施されていない。そして、内周面についても導電性を有する材質による表面処理は施されていない。よって、前記外表面164に嵌合して組付けられる先端枠151と、前記外表面165に嵌合して組付けられる枠159とは電気的に絶縁された状態である。
【0073】
図7を用いて枠159とカバーガラス157との気密接合手段を具体的に説明する。
図に示すように前記カバーガラス157が嵌入配置される枠159の凹部168の深さ寸法は、前記カバーガラス157の厚み寸法分より浅く設定してある。つまり、カバーガラス157の一面が凹部168が形成された端面から突出するように構成されている。
【0074】
前記カバーガラス157の側周面表面166と前記凹部168の内周面との間の隙間にろう材又は半田を流し込んで気密に接合する。このとき、前記カバーガラス157の突出した端面部及び前記凹部168内に配置されている面取り部167にろう材又は半田の溜まり部分である断面形状が略三角形のフィレット171が形成される。このフィレット171の断面形状が確実に三角形状に形成されることによって気密を保持した接合が完了する。本実施形態においては、このフィレット171が確実に形成されているか否かを目視にて確認することが可能である。
【0075】
なお、半田、ろう付け時にフラックスを使用した場合には、金属の腐食防止のため、この枠159及びカバーガラス157を接合状態で充分に洗滌する必要がある。
【0076】
また、この半田、ろう付け箇所は、生体に対して接触する部分でない。このため、半田及びろう材として任意に選択して適用することが可能である。ただし、半田、ろう材として、好ましくはAu−Sn半田、金ろうが使用される。枠159のメッキ及びカバーガラス157のメタルコートの最外層は金層であるため、Au−Sn半田、金ろうとの密着性が非常に良好である。
【0077】
図8を参照して撮像ユニット18の接合方法を含む組み付け手順について説明する。
まず、めっきが施されている先端枠151の凹部に、側周面表面163にメタルコートが施されている先端カバーガラス150を嵌入配置する。そして、この状態で、前記先端カバーガラス150が配置されている先端枠151の外周面に対して矢印A方向からレーザ光を全周に渡って照射する。
【0078】
すると、このレーザ光の熱によって、先端カバーガラス150の側周面表面163にコーティングされている金層及び先端枠151にコーティングされている金層が溶融し、その後冷却されて金層同士が結合する。このことによって、前記先端カバーガラス150の外周面と先端枠151の内周面との間が隙間のない状態で接合される、つまり気密な状態で接合される。
【0079】
なお、前記レーザ光を照射するレーザー装置としては、低出力で微調整の可能なYAGレーザーが好ましい。また、パルス波のレーザー装置でレーザー光の照射を行う場合には隣あうパルスとの重ね合わせを80%以上とることで、確実に気密を確保する接合が可能である。
【0080】
次に、カバーガラス157に対して、基板160及びケーブル161を組付けた状態のCCD156を位置出した状態で接着固定する。この後、前記カバーガラス157にレンズ群158を位置出しして接着固定する。前記画像伝達手段であるCCD156の画像入力側とカバーガラス157とは光透過性の接着剤により固定される。
【0081】
このとき、この接着層に空気層を存在させないようにする。また、透光性の接着剤としては、光軸を位置合わせさせた状態で確実に固定するため、紫外線硬化型の接着剤を使用する。なお、この接着部分は気密域外部になる。このため、オートクレーブの際、高圧高温蒸気によって少なくとも剥離,変色等の劣化が生じない特性を有する接着剤を選択して使用する。これらのことにより、前記CCD156と前記カバーガラス157との問で画像不良の原因となる現象の発生が防止される。
【0082】
上述した本実施形態においては、前記CCD156の撮像チップ前方側にCCDカバーガラス221を貼り付けている。このとき、CCD156の撮像チップの撮像面とCCDカバーガラス221との間は、蒸気が侵入可能な空気層が存在しないように密着固定、又は気密的に密閉されている。そして、前記CCDカバーガラス221の前面が固体操像素子156の実質上の画像入力端部になっている。しかし、前記CCDカバーガラス221を配置しない場合には、前記CCD156の撮像チップの画像入力端を直接カバーガラス157に密着させて貼り付けるようにしてもよい。
【0083】
次いで、絞り170が接着固定されている絶縁枠154に、枠159を嵌合配置する。そして、枠159の外周面に矢印B方向よりレーザ光を全周に渡って照射する。すると、このレーザ光の熱によって、絶縁枠154にコーティングされている金層及び枠159にコーティングされている金層とが溶融し、その後冷却されて金層同士が結合する。このことによって、絶縁枠154の外周面と枠159の内周面との間が隙間のない、気密な状態で接合される。
【0084】
次に、対物レンズ群152を構成するレンズ等を接着によってレンズ枠153に組付け固定する。この後、このレンズ枠153を絶縁枠154に配置し、軸方向の位置調整を行ってピント出しを行い、前記レンズ枠153を前記絶縁枠154に接着固定する。
【0085】
次いで、前記レンズ枠153を覆うように先端カバーガラス150が接合されている先端枠151を絶縁枠154に嵌合配置する。そして、先端枠151の外周面に矢印C方向よりレーザ光を全周に渡って照射する。すると、このレーザ光の熱によって、絶縁枠154にコーティングされている金層及び先端枠151にコーティングされている金層とが溶融し、その後冷却されて金層同士が結合する。このことによって、絶縁枠154の外周面と先端枠151の内周面との間が隙間のない、つまり気密な状態に接合される。
【0086】
上述した接合に使用されるレーザー装置は、低出力で微調整可能なYAGレーザーであり、レーザー接合時、接合部は1000℃以上の高温になるが、レーザ光の照射が局部的かつ瞬時であるため絞り170の接着部分やCCD156、レンズ枠153と絶縁枠154の接着部分、対物レンズ群152等へ熱による悪影響は及ばない。
【0087】
このように、先端カバーレンズ150と先端枠151、先端枠151と絶縁枠154、絶縁枠154と枠159を、それぞれレーザ光を使用してそれぞれの部材に予めコーティングされている金層を一度溶融させて結合するとともに、枠159とカバーガラス157を半田、ろう材等によって部材同士の間に全く隙間のない気密な接合を行ったことによって、オートクレーブ滅菌を行った際、蒸気が内部に侵入しない気密な状態の密封度(第2の密封レベルと呼ぶ)で密閉した気密密閉部である気密密閉対物レンズユニット部219が構成される。この気密密閉対物レンズユニット部219は、内視鏡内部の内蔵物である撮像ユニット18の一部である。
【0088】
また、前記気密密閉対物レンズユニット部219は、先端カバーガラス150、先端枠151、絶縁枠154、枠159、カバーガラス157に後述するように真空特性の高い気密隔壁部材を使用し、これら部材同士を気密接合手段によって接合して構成したことにより、オートクレーブ滅菌時の減圧及び加圧のみならず、温度変化によって破壊されない耐圧性及び接合強度を有している。このため、オートクレーブ滅菌を行った際、たとえ蒸気が高分子材料によって形成された外皮チューブを透過して内部空間に侵入した場合でも、第2の密封レベルで密閉され気密密閉対物レンズユニット部219内に蒸気が侵入することが防止される。
【0089】
前記気密密閉対物レンズユニット部219の後端側に配置されるCCD156と、気密密閉対物レンズユニット部219の後端側の光学窓であるカバーガラス157とを透光性の接着剤により、空気層を除去した状態で密着接合している。
【0090】
このため、内視鏡1の先端面で露出している光学窓である先端側の先端カバーガラス150からCCD156の画像入力端部までの光路中に、オートクレーブ滅菌の蒸気が侵入することによって結露する部分がない。すなわち、この構成であれば、たとえ対物レンズとともに固体撮像素子を気密に密閉しない構成であっても観察に不具合が起こらないので、撮像ユニットを小型に形成することが可能になる。
【0091】
なお、固体撮像素子等の電子部品は、わずかに侵入した蒸気によって結露という観察に支障をきたす問題を発生させる光学部材とは異なり、ある程度の蒸気に対する耐性を有している。
【0092】
また、本実施形態では、CCD156を覆う第1シールド枠162が枠159に接着又は溶接によって組付けられ、さらにこの第1シールド枠162に第2シールド枠222を接着又は溶接によって組み付けている。そして、前記第1シールド枠162と前記CCD156と前記カバーガラス157とによって囲まれて形成された空間部に、蒸気透過性の低い接着剤、シール剤或いはポッティング剤を充填するとともに、第2シールド枠222の内側に配置されているケーブル161の周りに接着剤を充填した。このため、CCD156周りが完全な気密構造になされていないものの、少なくともCCD156等の電子部品が蒸気によって破壊されないレベルで密閉された状態になっている。この構成により、後述する第2の実施形態のハーメチックコネクタを使用することなく、撮像ユニット全体にオートクレーブ滅菌耐性をもたせることができ、かつ撮像ユニットの小型化を可能にしている。
【0093】
さらに、照明光学系に関しては気密に密閉していない。これは照明光学系については、たとえ照明レンズに若干の結露等が生じた場合でも照明不良等の機能上で大きな問題が発生しないためである。本実施形態のように接着による固定で許容されるレベルである。
【0094】
具体的に、本実施形態において気密密閉対物レンズユニット部を気密に密閉して構成する気密隔壁部材として使用している金属、セラミックス、ガラス、サファイア等の素材は、耐熱性が高く、オートクレーブ滅菌の減圧、加圧によって破壊されない耐圧性を有し、かつ素材自体の真空特性が高く(JIS Z2331などに示されるヘリウム漏れ検出器によって、試験体内空間容積0.1〜0.4cm3 の場合の等価基準リーク量が、1×10−9Pa・m3 / 以下)、かつ気密接合可能である。
【0095】
気密接合可能な素材とは、即ち、後述するような気密接合手段による接合時の加温に耐える耐熱性を有した素材である。
【0096】
これに対し、一般の樹脂、ゴム等の高分子材料では上述のような気密隔壁部材としての条件をクリアすることができない。このため、気密隔壁部材の素材は、金属、セラミックス、ガラス、結晶性材料を主成分とする素材に限られ、その中からより好ましい素材を選択することになる。
【0097】
金属としては各種素材を使用することが可能であり、例えばステンレスやコバール等の金属を使用できる。
【0098】
また、本実施形態ではセラミックスとガラスとを別素材のように分けて表現している。しかし、セラミックスは、一般的に、成形、焼成などの工程を経て得られる非金属無機材料の総称である。このため、広義においてはガラスもセラミックスに含まれる。このようなセラミック素材の中には上述した気密隔壁部材の条件をクリアするものが数多くあり、絶縁の問題や、光学的な問題等から気密隔壁部材として金属を用いることができない場合に使用される。
【0099】
しかしながら、前記セラミックスの中でも真空特性の低い素材、気密接合時の加熱により割れが生じ易い素材、蒸気によって極端に劣化するおそれのある素材もあるので、素材選択時に注意が必要である。このため、例えば絶縁部材としては窒化アルミ、サイアロン、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素等の絶縁性を有し、かつ真空特性が高いファインセラミックスを使用することが好ましい。
【0100】
また、一般に光学部材として使用される多成分ガラスは蒸気によって劣化するものが多い。このため、気密隔壁部材として使用する光学部材、つまり光学窓としては、透光性を有する結晶性材料、又は高い高圧高温蒸気耐性を有する多成分ガラスを使用する。上述したサファイアは、Al2O3の単結晶であり、透光性の結晶性材料に分類され、前記気密隔壁部材の条件をクリアする代表的な光学材料である。また、他の透光性の結晶性材料としては水晶(石英)等がある。
【0101】
一方、本実施形態においては、気密接合手段としてレーザ照射による熱を利用して金めっきを溶融させて接合する溶接の一種である融接及び半田付け又はろう付けといったろう接を採用しているが、これに限らず、各種溶接による接合を採用することが可能である。
【0102】
溶接の種類としては、レーザー溶接、電子ビーム溶接等に代表される融接、抵抗溶接に代表される圧接、ろう付け、半田付け等のろう接等があり、これらの接合手段であれば気密接合が可能である。例えば気密隔壁部材である2つの金属部品をレーザー溶接で接合すると、2つの金属部品は溶融して一体化する。このため、接合部は気密隔壁部材自体となり、確実な気密を確保することができる。
【0103】
前記ろう接を行った場合には気密隔壁部材間に設けられる接合部に金属が充填されて気密を確保することができる。前記ろう材としては、金ろう、銀ろう、ニッケルろう、銅ろう等、各種ろう材を使用することが可能である。しかし、この場合も耐食性を考慮して、金ろう、ニッケルろう等の錆びにくいろう材が選択するとよい。また、半田剤としては、一般のPb−Sn半田の他に、Ag入り半田、Cu入り半田、Au−Sn半田等が使用可能である。この場合も、耐食性の高いAu−Sn半田等の錆びにくい半田材がよい。
【0104】
また、金属溶接以外に溶融ガラスによる接合も気密に接合可能な接合手段であり、当然採用可能である。気密に充填、接合するための溶融ガラスとしては、低融点粉末ガラス等があり、これを加熱溶融することにより、気密隔壁部材間に設けられる接合部にガラスを充填して気密を確保することができる。
【0105】
前記低融点粉末ガラスとしては、ガラス状になるものと、結晶化するものとがある。また、ガラス以外のセラミックスに関しては、焼成することにより気密接合可能な接合剤が存在する。つまり、接合部の主成分が金属、セラミックス、ガラス、または結晶化する物質となる接合手段であれば、気密接合手段として採用可能である。
【0106】
尚、上述した気密接合手段による接合時、かなりの高温になることが多い。例えば代表的な金属溶接である半田付けの場合では200℃〜400℃、ろう付けの場合では700℃〜1000℃、さらにレーザー溶接の場合では金属の溶融温度まで温度が上昇する。つまり、ステンレスである場合には1400℃程度まで上昇する。又、気密接合用の溶融ガラスとして一般に使用される低融点ガラスでは、その融点が300℃〜600℃である。
【0107】
(作用)
まず、内視鏡使用後、オートクレーブ滅菌可能な内視鏡であっても、必ず洗滌を行う。このため、洗滌時には流水洗滌時や薬液浸漬時に液体が浸入しないように、少なくとも防水キャップ15を取り付けて第1の密封レベルで内視鏡外装全体を水密的に密閉する。このことにより、内視鏡洗滌時に内視鏡内部に液体が浸入して内視鏡内部の部材が劣化することが防止される
次に、洗滌後、防水キャップ15を取り外し、逆止弁キャップ200を取り付ける。そして、この内視鏡1を、プレバキュームタイプのオートクレーブ滅菌装置で滅菌する。すると、プレバキューム工程において、内視鏡1の内部空間の空気が逆止弁キャップ200を通じて外部に放出されていく。このことにより、第2の密封レベルで気密に密閉された気密密閉対物レンズユニット部219の内部と外部との間に圧力差が生じるが、内視鏡外装を構成する湾曲部9の外皮チューブ39が膨らんで破裂することは無い。また、前記気密密閉対物レンズユニット部219は、気密隔壁部材及びこれら気密隔壁部材同士を気密接合して構成されているのでこの圧力差によって破壊されることはない。
【0108】
この後の滅菌工程時においては、前記逆止弁キャップ200が取り付けられていることにより、高圧高温蒸気が内視鏡内部空間に積極的に侵入しない。しかし、高圧高温蒸気は、内視鏡外装を構成する高分子材料で形成された外皮チューブ39等を透過して内視鏡内部空間に徐々に侵入していくが、気密密閉対物レンズユニット部219は気密隔壁部材及びこれら気密隔壁部材同士を気密接合して構成されているので気密密閉対物レンズユニット部219の内部に蒸気か侵入することはない。また、内視鏡1は、115 ℃ 〜140 ℃ 程度まで熱せられるが温度変化によって破壊されることはない。
【0109】
次いで、乾燥工程に移行する。すると、前記プレバキューム工程時と同様の圧力差が気密密閉対物レンズユニット部219の内部と外部に生じる。このとき、気密密閉対物レンズユニット部219は、気密隔壁部材及びこれら気密隔壁部材同士を気密接合して構成されているのでこの圧力差及び前記温度変化の影響等によって破壊されることはない。さらに、このときも気密密閉対物レンズユニット部219内部に蒸気は侵入しない。
【0110】
尚、オートクレーブ滅菌後、内視鏡内部空間は外気に対して圧力が低い状態になって、例えば湾曲部9を構成する外皮チューブ39が内部構造体に張り付いた状態になる。
【0111】
万一、この状態で湾曲操作が行われると、外皮チューブ39に傷がつくおそれがある。しかし、内視鏡使用前、必ずカメラコネクタ7をCCUに取り付けなければならない。言いかえれば、逆止弁キャップ200は、必ずカメラコネクタ7から取り外されるので、その際、カメラコネクタ7内部に設けられている通気口14を通じて内視鏡内部空間内に大気が流れ込むことによって、前記気密密閉対物レンズユニット部219の内部と外部及び内視鏡内部空間と外気との圧力差がなくなる。従って、前記外皮チューブ39が内部構造体に張り付いた状態が解除されて、湾曲操作時に外皮チューブ39が傷つくことがない。
【0112】
本実施の形態ではオートクレーブ滅菌を行う医療用内視鏡に関して記載したが、その他蒸気滅菌を行う内視鏡、薬液に長時間浸漬する内視鏡、蒸気が内視鏡内部に侵入する可能性のある内視鏡、高湿環境下で使用される例えば工業用内視鏡等に本発明の構成を採用するようにしてもよい。
【0113】
また、本実施形態では挿入部2に湾曲部9を有する内視鏡に関して記載したが、硬性な挿入部の一部に湾曲部9を設けた内視鏡や挿入部全体を軟性に形成して湾曲部の設けられていない内視鏡に本発明の構成を採用するようにしてもよい。
(効果)
本実施形態は以下の効果を有する。
【0114】
・内視鏡の外装部材として高分子材料を使用した湾曲付き内視鏡をオートクレーブ滅菌した場合でも、湾曲部の外皮チューブが破裂することがない。
【0115】
・オートクレーブ滅菌を行うことによって、気密密閉対物レンズユニット部の外装を構成する気密隔壁部材及びこれら気密隔壁部材同士を気密接合した接合部を透過して内部に蒸気が侵入することがない。従って、レンズの結露等による観察画像不良の発生が防止される。
【0116】
・オートクレーブ滅菌を行うことによって、気密密閉対物レンズユニット部の外装を構成する気密隔壁部材及びこれら気密隔壁部材同士を気密接合した接合部が破壊されることがない。従って、破壊が発生することによって内部に蒸気が侵入することはない。当然、レンズの結露等による観察画像不良は発生しない。
【0117】
・オートクレーブ滅菌を行う際、逆止弁キャップの効果により内視鏡内部空間に蒸気が積極的に侵入しない。従って、内視鏡内部部材の劣化が低減される。さらに、オートクレーブ滅菌後の内視鏡は、この内視鏡を使用する前に必ず逆止弁キャップがカメラコネクタから取り外される。このため、内視鏡内部空間の内圧が外気に対して低い状態で使用されることは無い。このことにより、湾曲部の外皮チューブが内部構造体に張り付いた状態で使用されることによって発生する外皮チューブの傷が無くなる。
【0118】
・固体撮像素子の画像入力端部に密着させて気密密閉対物レンズユニット部を配置したことにより、オートクレーブ滅菌を行っても視野不良が起こらない。また、撮像ユニットがコンパクトに構成される。従って、湾曲付き内視鏡であっても、湾曲部先端側の先端硬質長内に撮像ユニットの硬質部を配置することが可能であり、かつ先端硬質長が短くなる。
【0119】
・撮像ユニットは、気密密閉対物レンズユニット部を気密に密閉して構成する一方、固体撮像素子を覆い包む部分を接着剤を含む接合手段によって密閉して構成したため、オートクレーブ滅菌を行った際、固体撮像素子の破壊といった観察画像不良が起こらない。また、撮像ユニットのコンパクト化が可能である。従って、湾曲付き内視鏡であっても、湾曲部の先端の先端硬質部長内にオートクレーブ滅菌耐性を有する撮像ユニットの硬質部を配置することが可能であり、かつ先端硬質長が長くなることが防止される。
【0120】
尚、本発明において述べた気密とは、基本的にJIS Z2331などに示されるヘリウム漏れ検出器によって、等価
基準リーク量(試験体内空間容積0.1〜0.4cm3 )が、目安としては1×10−9Pa・m3 / 以下である場合をいう。
【0121】
前記値1×10−9Pa・m3 / を超える場合にはオートクレーブ滅菌を行った際蒸気が侵入し、繰り返しオートクレーブ滅菌行う事で水蒸気が蓄積してレンズに結露やくもりが発生したり、レンズやレンズ表面に施したコーティング、接着剤が劣化して観察画像不良などの不具合が発生する可能性がある。
【0122】
接合方法の違いによる前記等価基準リーク量の差と、蒸気侵入の有無の関係を表1に示す。
【0123】
溶接による気密構造、換言すれば、上述した実施形態で示した前記気密密閉対物レンズユニット部219の気密構造と、一般的なOリングや接着剤を用いて構成した水密構造とでは等価基準リーク量が異なることが分かる。
【0124】
【表1】
オートクレーブ滅菌後の水蒸気侵入の有無のデータにより、ろう接、融接といった溶接に対し、高分子材料を使用した接着又はシールでは、接着部、シール部材を通して蒸気が侵入することが分かる。これは、繰り返しオートクレーブ滅菌を行うことにより、より顕著な差として表れる。
【0125】
図9ないし図12は本発明の第2実施形態に係り、図9は電子内視鏡の先端部付近の構成を説明する断面図、図10は撮像ユニットの構成を説明する断面図、図11はライトガイドコネクタの構成を説明する断面図、図12はスイッチの構成を説明する断面図である。
【0126】
本実施形態の全体構成は前記第1実施形態の図1で示したものと略同様であり、第1実施形態と異なる構成のみを説明して、同一の構成には同符号を付けて説明を省略する。
【0127】
(構成)
図9に示すように本実施の形態の内視鏡1の挿入部2の先端部8は、金属製の先端部本体16と、先端カバー17と、この先端部本体16と先端カバー17に設けられた貫通孔に挿入されて固定された観察手段で画像伝達手段である撮像ユニット18と、照明手段であるライトガイド19とによって構成されている。
【0128】
前記先端カバー17は、絶縁の役目も果たしており、材質は絶縁性及び耐熱性及び耐水性を有するポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン等のプラスチック、又はセラミックスで形成されている。
【0129】
前記先端部本体16の基端部には湾曲部9を構成する複数の湾曲駒の最先端に位置する第1駒38が固定されている。そして、前記第1駒38の後端側には、第1リベット115によって湾曲駒108が回動自在に連結されている。また、先端部本体16の外周には前記湾曲部9を構成する前記湾曲駒の外周を被覆するフッ素ゴム等の柔軟な高分子材料で形成された外皮チューブ39の先端部が水密に固定されている。
【0130】
図10に示すように本実施形態の撮像ユニット18は、被写体像を結像する対物レンズ群20と、結像された被写体像を撮像するCCD21と、このCCD21に関わる電気信号を処理するコンデンサやIC等の電子部品を実装した基板22と、前記対物レンズ群20を保持する気密隔壁部材である金属製のレンズ枠23と、前記レンズ枠23の基端部に嵌合する前記CCD21を保持する気密隔壁部材である金属製のCCD枠24と、このCCD枠24の基端に設けられたハーメチックコネクタ25と、前記レンズ枠23と前記CCD枠24とにまたがって嵌合配置される気密隔壁部材である金属製の気密保持パイプ212と、前記ハーメチックコネクタ25に接続されるCCDケーブル26とで主に構成されている。
【0131】
前記ハーメチックコネクタ25は、気密隔壁部材である金属製のコネクタ本体28に形成されている透孔に金属製の接点ピン30を配置し、気密接合手段の1つである溶融ガラス等からなる絶縁気密封止部剤29を前記透孔に流し込み、接点ピン30をコネクタ本体28に対して絶縁して配設したコネクタである。前記透孔に溶融ガラスを充填させたことにより、接点ピン30と透孔との間に隙間のない気密な接合になっている。
【0132】
図9に示すように前記ハーメチックコネクタ25と前記CCDケーブル26との間には熱収縮チューブ27が被せてある。この熱収縮チューブ27の内部にはエポキシ系接着剤、セラミックス接着剤、シリコン系接着剤等の充填剤31が充填されている。このことにより、前記接点ピン30とCCDケーブル26内の各信号線との接合部、つまり半田等によって接合された金属が露出している部分を充填剤31が覆って蒸気によって錆びることを防止している。なお、前記撮像ユニット18の硬質部114は、湾曲部9の第1リベット115よりも先端側の先端硬質長116内に収納配置されている。
【0133】
図10示すように前記対物レンズ群20の最先端に配置され、内視鏡の先端面表面を構成するように配置される光学窓となる第1レンズ113は、前記サファイア又は高圧高温蒸気耐性のあるガラスで形成されている。この第1レンズ113の側周面表面及び面取り部には前記第1実施形態で説明したメタルコートが施されている。そして、この第1レンズ113は、前記金属製のレンズ枠23に前記第1実施形態で説明した気密接合手段によって接合されている。
【0134】
また、前記CCD枠24とハーメチックコネクタ25とは、両部材の突き当て部に矢印D方向よりレーザ光を全周に渡って照射して、溶接によって気密に接合されている。
【0135】
前記CCD枠24とレンズ枠23とを接合する際は、まずCCD枠24に前記対物レンズ群20が固定されているレンズ枠23を嵌入し、このレンズ枠23を軸方向に適宜移動させてピントが合ったところで接着剤によって固定する。
【0136】
その後、気密保持パイプ212を、前記CCD枠24とレンズ枠23との両部品にまたがるように挿入配置する。そして、この状態で矢印E方向よりレーザ光を全周に渡って照射して気密保持パイプ212とCCD枠24との突き当て部を溶接によって気密に接合するとともに、矢印F方向よりレーザ光を全周に渡って照射して気密保持パイプ212とレンズ枠23との重ね合わせ部を溶接によって気密に接合する。
【0137】
以上のように構成することにより前記第1実施形態の気密密閉対物レンズユニット部219と同等の第2の密封レベルの気密密閉撮像ユニット本体部220が構成される。
【0138】
なお、前記レーザー装置は、前記第1実施形態と同様、低出力での微調整が可能なYAGレーザーである。また、パルス波のレーザーで照射する場合は、隣のパルスと重ね合わせを80%以上とることで、確実な気密性を確保することかできる。
【0139】
図9に示すように前記ライトガイド19は、コアとクラッドとを有した複数の光学繊維であるファイバ素線を束ねた光学繊維束として構成されたライトガイドファイバ32と、このライトガイドファイバ32を内挿した気密隔壁部材である金属製の第1のライトガイドファイバ枠33と、前記ライトガイドファイバ32の先端面側に配置された照明角を広げるための照明レンズ34と、この照明レンズ34のさらに先端面側に配置された気密隔壁部材であるサファイア製の照明カバーガラス35と、これらの部材を内挿した気密隔壁部材である金属製の照明レンズ枠36と、この照明レンズ枠36の基端部に一端部が配置され前記ライトガイドファイバ32を被覆するライトガイドファイバ外装チューブ37とで構成されている。
【0140】
前記第1のライトガイドファイバ枠33に挿入配置されているライトガイドファイバ32の先端部分には気密接合手段の1つである溶融ガラスが充填されている。つまり、ライトガイドファイバ32を構成するファイバ素線間には溶融ガラスが隙間なく充填されている。
【0141】
なお、前記溶融ガラスとしては、ファイバ素線の融点より低く、かつ照明光の発熱によって再溶融することのない、溶融温度が300℃〜600℃で、かつ組立時に使い勝手の良い、有機バインダーが混合されているペースト状の低融点粉末ガラスがよい。
【0142】
前記ペースト状の低融点粉末ガラスを使用して気密に接合する場合、まず、予め低融点粉末ガラスを含浸させた状態のファイババンドルを第1のライトガイドファイバ枠33内に挿入配置する。そして、その部分を300℃〜600℃に加熱して有機バインダを飛ばし、低融点粉末ガラスが溶融したところで今後はこの部分を冷却する。
【0143】
このことによって、ファイバ素線間に溶融ガラスがより気密に充填されるとともに、その素線間に気密に充填されたライトガイドファイバ32の端部外周と第1のライトガイドファイバ枠33とが溶融ガラスによって気密に接合される。
【0144】
つまり、前記溶融ガラスは、ファイバ素線間の気密保持充填剤の役割と、ライトガイドファイバ32と第1のライトガイドファイバ枠33とを気密に接合する気密接合手段とを兼ねている。
【0145】
前記照明カバーガラス35の外周面には第1実施形態に示したと同様のメタルコートが施されている。そして、この照明カバーガラス35と照明レンズ枠36とは第1実施形態で示したと同様に気密接合手段よって気密に接合されている。
【0146】
ライトガイド19の構成を具体的に説明する。
まず、照明カバーガラス35が気密に接合されている照明レンズ枠36の内部に照明レンズ34を挿入配置する。次に、照明レンズ枠36に前記ライトガイドファイバ32の端部が溶融ガラスによって気密に接合されているライトガイド枠33を挿入し、レーザー溶接によって照明レンズ枠36とライトガイド枠33とを気密に接合する。
【0147】
このことにより、照明カバーガラス35と、照明レンズ枠36と、第1のライトガイドファイバ枠33と、ライトガイドファイバ32端部とによって囲まれた部分は、前記気密密閉撮像ユニット本体部220等と同様、気密に密閉される。
【0148】
この構成であれば、高分子材料であるライトガイドファイバ外装チューブ37を透過してチューブ内に侵入した蒸気がファイバ素線間や、ライトガイドファイバ32と第1のライトガイドファイバ枠33との間を通って照明レンズ34まで侵入することが防止される。
【0149】
また、本構成をとることにより、前記照明レンズ34は完全な気密空間内に配置される。このため、照明レンズ34として気密隔壁部材を使用する必要はなく、加工性に優れた一般的に使用される多成分ガラスを用いることが可能になる。
【0150】
さらに、前記照明レンズ34をサファイア等の高圧高温蒸気耐性を有する光学部材で構成し、この照明レンズ34を直接、第1のライトガイドファイバ枠33に気密に接合することによって、前記照明カバーガラス35を廃止するように構成してもよい。なお、どちらの構成であっても前記照明レンズ34の内面に結露か発生しないので照明不良は起こらない。
【0151】
図11に示すように前記ライトガイドコネクタ6は、前記ライトガイドファイバ32の基端部を内挿した気密隔壁部材である金属製の第2のライトガイドファイバ枠40と、このライトガイドファイバ32の基端面側に配置されたライトガイドファイバ32への入射光の均一化を図るロッドレンズ41と、このロッドレンズ41の後端面側に配置された気密隔壁部材であるサファイア製の入射端カバーガラス42と、これらの部材を内挿する気密隔壁部材である金属製の入射端カバーガラス枠43と、この入射端カバーガラス枠43にビス44によって取り付けられるコネクタ口金本体45とで構成されている。なお、ビス44の頭部側には水密を保持するための接着剤等の充填剤46が充填されている。
【0152】
なお、前記ライトガイドファイバ32の基端部は上述した先端部と同様、溶融ガラスが隙間なく充填されて、このライトガイドファイバ32の端部外周と第2のライトガイドファイバ枠40とは溶融ガラスによって気密に接合されている。
また、前記入射端カバーガラス42の側周面表面にはメタルコートが施されており、この入射端カバーガラス42と入射端カバーガラス枠43とは気密接合手段によって気密に接合されている。
【0153】
さらに、前記第2のライトガイドファイバ枠40と入射端カバーガラス枠43とはレーザー溶接により気密に接合されている。
【0154】
このことにより、入射端カバーガラス42と、入射端カバーガラス枠43と、第2のライトガイドファイバ枠40と、ライトガイドファイバ32端部に囲まれた部分は、前記気密密閉撮像ユニット本体部220と同様、気密に密閉される。
【0155】
このことにより、前記ロッドレンズ41は、気密に密閉された内部に配置されることになるので、高圧高温蒸気耐性を有してない多成分ガラス等からなる単ファイバを用いた場合でも蒸気によって劣化する心配は全くない。
【0156】
また、前記ライトガイドファイバ32は、前記ライトガイドファイバ外装チューブ37と、のライトガイドファイバ枠33,40によって、第1の密封レベルと同等又はそれ以上の密封度で密封されている。このライトガイドファイバ外装チューブ37としては、一般にシリコーンチューブが採用されている。しかし、本実施形態においてはシリコーンチューブより蒸気透過性が低く、かつ高圧高温蒸気耐性を有するフッ素樹脂チューブ等を使用する。このとき、チューブにある程度の柔軟性を有するか否かを確認することが必要である。
【0157】
図12に示すように前記スイッチ13は、パッケージ部材47に取り付けられる電子部品である小型の電気スイッチ48と、この電気スイッチ48をオン/オフ操作するための押圧ピン49と、この押圧ピン49をインサートして成形したフッ素ゴム等のゴム製のスイッチカバー50と、このスイッチカバー50を操作部外装51に水密的に固定するとともに、前記押圧ピン49が挿通配置される押さえ部材52と、この押さえ部材52を固定するナット53と、前記パッケージ部材47を操作部外装51に固定するためのビス54と、前記パッケージ部材47と操作部外装51との水密を図るフッ素ゴム製のOリング55と、電気スイッチ48の接点56と接続されるスイッチケーブル57とで主に構成されている。このことにより、前記電気スイッチ48は、スイッチカバー50とOリング55とによって第1の密封レベルと同等又はそれ以上の密封度で密閉された密閉空間部に配置される。
【0158】
前記密閉空間部を構成する前記スイッチカバー50は、オートクレーブ滅菌時の減圧、加圧によって前記密閉空間部内の空気が膨張或いは収縮した場合でも破裂、破損しないように予めある程度の厚みを持たせて形成されたものである。
【0159】
前記密閉空間部は、オートクレーブ滅菌時の減圧、加圧に対する耐圧性を有している。また、前記密閉空間部は、内視鏡内部空間に比べて極めて小さな空間である。このため、オートクレーブ滅菌時の減圧によって膨張する空気量も少ない。したがって、先行例で述べられている湾曲部の外皮チューブの破裂のようにこのスイッチカバー50が破裂する可能性は極めて低い。このことを考慮すると、前記スイッチカバー50の厚みを極端に厚くする必要は無い。
【0160】
このことから、スイッチ部に限らず、内視鏡内部空間の中で、完全に気密に密閉する必要はないが、ある程度の密封度にして少しでも蒸気の侵入を阻止したい部分について、上述したスイッチ部のように第1の密封レベルと同等、又はそれ以上の密封度に密閉することにより、蒸気の侵入を低減させることを効果的に行える。
【0161】
また、前記密閉空間部内に吸水性部材58を配置しておくことにより、侵入した蒸気が前記吸水部材によって吸収されて電子部品の劣化を防止する上で効果的である。そして、この吸水性部材を交換可能にしておくとさらに効果的である。
【0162】
さらに、前記Oリング等、ゴムシール部材は、一般的にシリコーンゴム、フッ素ゴム等が使用される。しかし、シリコーンゴムは、非常に蒸気を透過しやすい。このため、上述したようにフッ素ゴム製のシール部材を使用することが好ましい。同様の理由で、蒸気の侵入を阻止したい空間の隔壁や接合部にシリコーンゴムやシリコーン系接着剤を使用する代わりに、隔壁として例えばフッ素ゴム等の素材、接着剤としてエポキシ系接着剤、セラミックス接着剤等を使用するとよい。
【0163】
又、寸法上、或いは構成上、気密隔壁部材や気密接合手段を用いて気密に密閉することができない部分については、ガスバリア性のコーティングを施す。このことは、蒸気の侵入を阻止する上で効果的である。
【0164】
例えば、ライトガイドファイバ外装チューブ37の外表面、撮像ユニット18の熱収縮チューブ外表面、その他接着剤による接合部の外表面等にガスバリア性のコーティングを施すことによって、内部の部品である例えばライトガイドファイバ32等が劣化し難くなる効果を得られる。
【0165】
このガスバリア性のコーティングとしては、パリレン樹脂コーティング等の樹脂コーティング、蒸着や半田ディップコーテイング等の金属薄膜コーティング、シラザンから転化するシリカコーティング等のセラミックスコーテイング、結晶質コーティング等がある。例えば、ライトガイドファイバ外装チューブ37等では柔軟なコーティングを採用する必要がある。この方法であれば、密閉する内蔵物を大きくすることなく蒸気の侵入を阻止することが可能になる。そして、金属薄膜コーティング、セラミックスコーティング、結晶質コーティング等によって第2の密封レベルにまで密閉できる場合には光学部材を有した観察光学系に採用することも可能である。
【0166】
(作用)
前記第1実施形態と同様、本実施形態の内視鏡をオートクレーブ滅菌した場合、前記気密密閉撮像ユニット本体部220が破壊されること及び内部に蒸気が侵入することは無い。
【0167】
また、本実施形態においてはライトガイド19の出射端部及び入射端部の気密に密閉された部分についても、前記気密密閉撮像ユニット本体部220と同様、気密接合部が破壊されたり、蒸気が侵入することがない。
【0168】
さらに、スイッチ部は、第1の密封レベルと同等又はそれ以上に密閉されて蒸気の侵入が低減されているので、内視鏡内部に浸入した高圧高温蒸気が電気スイッチを直接アタックしない。
【0169】
又、わずかに侵入した蒸気については吸水部材が蒸気を吸収するため、電気スイッチ等が蒸気或いは湿気によって故障することが防止される。また、ライトガイドファイバについても外装チューブの効果により高圧高温蒸気が直接アタックしないため、ファイバ硝材の劣化を防止して折れる可能性が少なくなる。
【0170】
このように、本実施形態では内視鏡内部空間に侵入する蒸気によって劣化されやすい内蔵物のほとんどを気密、又は水密に密閉したので、内視鏡全体として故障する可能性がより低くなっている。
【0171】
また、逆止弁キャップを取り付けずに、従来のエチレンオキサイドガス滅菌のときと同じように、内視鏡外壁の通気口を開口状態のままでオートクレーブ滅菌を行い、高圧高温蒸気が積極的に内視鏡内部に侵入する形態を取った場合でも、内視鏡内部の蒸気により劣化しやすい観察手段、照明手段、スイッチ部といった内蔵物のほとんどが気密、又は水密に密閉されているので内視鏡が故障することが無い。
【0172】
(効果)
本実施形態は以下の効果を有する。
【0173】
・内視鏡の外装部材として高分子材料を使用する湾曲付き内視鏡をオートクレーブ滅菌した場合でも、湾曲部の外皮チューブが破裂すること及び内視鏡内部の機能部品が故障することがない。
【0174】
・オートクレーブ滅菌を行うことによって、気密密閉撮像ユニット本体部の外装を構成する気密隔壁部材及びこれら気密隔壁部材同士を気密接合した接合部を透過して内部に侵入する蒸気がない。従って、CCD等の電子部品の故障や、レンズの結露等による観察画像不良の発生が防止される。
【0175】
・オートクレーブ滅菌を行うことによって、気密密閉対物レンズユニット部の外装を構成する気密隔壁部材及びこれら気密隔壁部材同士を気密接合した接合部がが破壊されることがない。従って、破壊が発生することによって内部に蒸気が侵入することはない。当然、CCD等の電子部品の故障や、レンズの結露等による観察画像不良は発生しない。
【0176】
・オートクレーブ滅菌を行うことによって、ライトガイドの出射端部及び入射端部の気密に密閉した部分に蒸気が侵入することがない。従って、レンズの結露等による照明不良が発生しない。
【0177】
・オートクレーブ滅菌を行うことによって、内視鏡内部空間に侵入した高圧高温蒸気が電気スイッチに直接アタックしない。また、スイッチ部に侵入したわずかな蒸気を吸水部材が吸収するため、電気スイッチが蒸気或いは湿気により故障することはない。
【0178】
・オートクレーブ滅菌を行うことによって、ライトガイドファイバに高圧高温蒸気が直接アタックしない。このため、ファイバ硝材が劣化して折れる可能性は少ない。
【0179】
・オートクレーブ滅菌を行う際、逆止弁キャップを取り付けず、湾曲部の外皮チューブ破裂対策として内視鏡内部空間と外部とを完全に通気状態にした場合でも、内視鏡内部に配置されている観察光学系、照明光学系、スイッチ等の各種内蔵物が故障しない。
【0180】
図13ないし図15は本発明の第3実施形態に係り、図13は内視鏡の構成を説明する図、図14は内視鏡の先端部付近の構成を説明する断面図、図15は内視鏡の接眼部の構成を説明する断面図である。
【0181】
本実施形態は、前記第2実施形態と略同様の構成である。このため、異なる構成部分についてのみ説明をして、同一の構成部材には同符号を付けて説明を省略する。
【0182】
(構成)
本実施の形態の内視鏡100は、図13及び図14に示すように、観察手段、つまり画像伝送手段としてファイバを使用したファイバスコープである。
【0183】
挿入部2の内部にはコアとクラッドとを有した複数の光学繊維であるファイバ素線を束ねて形成した光学繊維束で構成されたイメージガイドファイバ101が内挿されている。このイメージガイドファイバ101の先端部には対物レンズ102が配置され、他端部には接眼部103が配置されている。
【0184】
コネクタ部104にはライトガイドコネクタ105と内視鏡内部空間と外部とを通気する通気口金106が設けられており、この通気口金106に通気キャップ107を取り付けることによって内視鏡内外を通気することができるようになっている。
【0185】
先端部8には前記第2実施形態における撮像ユニット部の代わりに、イメージガイドファイバ101と、イメージガイドファイバ101を内挿した気密隔壁部材である金属製のイメージガイドファイバ枠108と、イメージガイドファイバ101の先端側に配置され被写体像を結像するための対物レンズ102と、この対物レンズ102のさらに先端側に配置された気密隔壁部材であるサファイア製の対物カバーガラス109と、これらの部材を内挿した気密隔壁部材である金属製の対物レンズ枠110と、イメージガイドファイバ101を外装するイメージガイドファイバ外装チューブ111とが配置されている。
【0186】
前記イメージガイドファイバ101は、先端部及び後端部において素線の配列を同じにする必要がある。このため、製法上、両端部には酸溶解ガラス等、薬液によって溶けるガラスが素線間に充填された状態で固められている。つまり、この酸溶解ガラスは、ここでは前記イメージガイドファイバ101の端部のファイバ素線間の気密保持充填剤の役割を果たしている。
【0187】
前記酸溶解ガラスによって固められたイメージガイドファイバ101の先端部とイメージガイドファイバ枠108とは前記第2実施形態で示したように溶融ガラスによって気密に接合されている。また、この先端部には対物レンズ102を構成する後方側レンズが透光性の接着剤により接着固定されている。
【0188】
前記対物カバーガラス109の側周面表面及び対物レンズ枠110の内周面にはメタルコートが施されている。そして、対物カバーガラス109と対物レンズ枠110とは半田付けにより気密に接合されている。
【0189】
この対物カバーガラス109を気密に接合した対物レンズ枠110の内部に、前記対物レンズ102を構成する前方側レンズを配置固定する。その後、この対物レンズ枠110内に前記対物レンズ102の後方レンズが固定されているイメージガイドファイバ101を挿入していく。そして、ピントの合った位置で例えばスポット溶接によって仮止めを行った後、対物レンズ枠110とイメージガイドファイバ枠108とをレーザー溶接によって気密に接合する。
【0190】
このことにより、対物カバーガラス109と対物レンズ枠110とイメージガイドファイバ枠108とイメージガイドファイバ101端部に囲まれた部分は、第2実施形態の気密密閉撮像ユニット本体部220と同様、気密に密閉される。
【0191】
したがって、ファイバ素線間及びイメージガイドファイバ101とイメージガイドファイバ枠108との間を通って蒸気が対物カバーガラス109まで侵入することは無い。
【0192】
なお、酸溶解ガラスによって固めたイメージガイドファイバ101の先端部とイメージガイドファイバ枠108との接合は、溶融ガラスによる接合以外の方法であってもよい。例えば、酸溶解ガラスによって固められたイメージガイドファイバ先端部の外周にメタルコートを施し、この表面処理の施されたイメージガイドファイバ先端部とイメージガイドファイバ枠108とを半田によって気密に接合するようにしてもよい。
【0193】
また、イメージガイドファイバ101としては前述した両端部が酸溶解ガラスによって固められていて、中間部が薬液により溶かされてコアとクラッドを有する素線がバラバラの状態になっているフレキシブルファイババンドルに限らず、例えば全長にわたって一本のコンジットとなっている、クラッドガラス内に複数のコアガラスが配列したコンジットファイバであってもよい。この場合、クラッドガラスが光学繊維のコアガラス間の気密保持充填剤の役割を果たす。
【0194】
一般に、フレキシブルファイババンドルは、多成分ガラスによって構成されることが多く、コンジットファイバは多成分ガラス以外に石英ガラスによって構成されることがある。
【0195】
図15に示すように接眼部103は、、接眼レンズユニット112とアイピース113とで構成され、この接眼部103は内視鏡本体114に着脱自在になっている。
【0196】
前記接眼レンズユニット112は、複数のレンズで構成された接眼レンズ群115と、この接眼レンズ群115が内孔に配置される気密隔壁部材である金属製の接眼レンズ枠116と、気密隔壁部材であるサファイア製の接眼第1カバーガラス117及び接眼第2カバーガラス118とによって構成されている。カバーガラス117,118の外周面にはメタルコートが施されており、前記接眼レンズ枠116と2つのカバーガラス117,118とは半田によって気密に接合されている。
【0197】
つまり、接眼レンズユニット112の接眼レンズ郡115が配置されている内部空間は、接眼レンズ枠116と、接眼第1カバーガラス117と、接眼第2カバーガラス118とによって気密に密閉されている。
【0198】
なお、内視鏡本体114に前記接眼部103を取り付けた状態では、前記接眼第1カバーガラス117が内視鏡外装の一部として配置された光学窓になる。
【0199】
また、内視鏡本体114に配置されたイメージガイドファイバ101の後端部については前述したイメージガイドファイバ101の先端部と同様の構造である。
【0200】
また、前記カバーガラス119の側周面表面にはメタルコートが施してあり、カバーガラス119とファイバ保持部材120とは半田付けによって気密に接合されている。そして、第2のイメージガイドファイバ枠121とファイバ保持部材120とも半田によって気密に接合されている。
【0201】
このことにより、イメージガイドファイバ101の端部は、気密に密閉して構成されるので、イメージガイドファイバ101の端部及びカバーガラス119の内面に蒸気が侵入しない。
【0202】
このため、前記内視鏡本体114に接眼部103を取り付けていない状態では、カバーガラス119が内視鏡外表の一部として配置された光学窓になる。
【0203】
また、本実施形態では気密に密閉されて構成された接眼レンズユニット112を、イメージガイドファイバ101の画像出力端に着脱自在に構成しているが、前記第1実施形態の気密密閉対物レンズユニット部219とCCD156の画像入力端部との関係と同様、イメージガイドファイバ101の画像出力端に、気密に密閉された接眼レンズユニット112を透光性の接着剤によって空気層のないように密着接合するようにしてもよい。この場合には、視度調整のため、気密に密閉された接眼レンズユニット内に接眼レンズ焦点調整機構を設けるとよい。
【0204】
また、イメージガイドファイバ101についても前記第2実施形態のライトガイドファイバ32と同様、外装チューブと口金とによって第1の密封レベルと同等又はそれ以上の密封度で密閉されている。
【0205】
(作用)
内視鏡100は、通気口金106に通気キャップ107を取り付けることによって内視鏡内部空間と外部とを通気させることができる。したがって、洗滌時は通気キャップ107を取り付けず水密状態で洗滌を行う。そしてオートクレーブ滅菌の際には、通気キャップ107を取り付けてオートクレーブ装置に投入し、湾曲部9の外被チューブ37の破裂を防止する。
【0206】
その際、内視鏡本体114内部に多量の水蒸気が通気部を通じて浸入していくが、内視鏡本体114内部の気密に密閉されて構成された、イメージガイドファイバ101先端部、内視鏡本体114に着脱可能な接眼レンズユニット112には蒸気が浸入しない。このため、これらの密閉空間内部に蒸気が浸入して光学部材に水滴が付着することはない。
【0207】
(効果)
本実施形態は以下の効果を有する。
【0208】
・内視鏡の外装部材として高分子材料を使用する湾曲付き内視鏡をオートクレーブ滅菌した場合で、湾曲部の外皮チューブが破裂すること及び視野不良が発生することはない。
【0209】
・オートクレーブ滅菌を行うことによって、気密に密閉されたイメージガイドファイバ先端部、接眼レンズユニットに蒸気が侵入することが無い。また、接眼レンズユニットのカバーガラスの表面に水滴が付着した場合には、この接眼レンズユニットを取り外すことによって水滴を拭く事ができる。従って、レンズの結露等による視野不良は発生しない。
【0210】
・オートクレーブ滅菌を行うことによって、気密に密閉されたイメージガイドファイバ先端部、接眼レンズユニットの外装を構成する気密隔壁部材及びこれら気密隔壁部材同士を気密接合した接合部が破壊されることがない。従って、破壊が発生することによって内部に蒸気が侵入することはない。当然、レンズの結露等による視野不良は発生しない。
【0211】
・オートクレーブ滅菌を行うとこによって、イメージガイドファイバに高圧高温蒸気が直接アタックしない。このため、ファイバ硝材が劣化して折れることはない。
【0212】
(変形例)
本実施形態では、通気口金106に通気キャップではなく、前記第1実施形態の逆止弁キャップ200と同様の逆止弁機能を有するキャップ部材を取り付けてもよい。
【0213】
この場合、キャップ部材を取り付けたとき通気口金106が連通し、キャップ部材の逆止弁機能が働くように構成する必要がある。この構成であれば、オートクレーブ滅菌を行っても前記第1実施形態と同様、内視鏡内部に積極的に蒸気が侵入しないので、より内視鏡内部の内蔵物の劣化が防止される。
【0214】
また、本実施形態では対物レンズ枠110とイメージガイドファイバ枠108とを直接レーザー溶接によって気密に接合している。しかし、図16に示すように、前記第2実施形態で示した気密保持パイプのように、金属、セラミックス等の気密保持部材225を使用し、この気密保持部材225と対物レンズ枠110及び、気密保持部材225とイメージガイドファイバ枠108とをレーザー溶接、半田付け等で気密に接合するようにしてもよい。この場合、対物レンズ枠110とイメージガイドファイバ枠108とを接着により固定することが可能となるので、組立時の対物レンズ102のピント出し作業が容易になる。
【0215】
なお、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0216】
[付記]
以上詳述したような本発明の上記実施形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。
【0217】
(1)外装の少なくとも一部に柔軟な高分子材料で形成した柔軟部材を設けた挿入部と、この挿入部の内部空間を含む内視鏡内部空間に全て又は一部が収納される内蔵物とを具備する内視鏡において、
前記内視鏡内部空間を外部に対して水密な第1の密封レベルで密封可能に構成し、前記内蔵物の少なくとも一部に、前記第1の密封レベルよりも密封度の高い気密である第2の密封レベルで構成した気密密閉部を設けた内視鏡。
【0218】
(2)前記第2の密封レベルで構成した気密密閉部は、オートクレーブ滅菌時における陰圧及び加圧によって破壊されない耐圧性と、オートクレーブ滅菌時における高圧高温蒸気が内部へ侵入することを防止する密封度とを有する付記1記載の内視鏡。
【0219】
(3)前記気密密閉部の内部に、少なくとも光学部材が収納される付記1記載の内視鏡。
【0220】
(4)前記気密密閉部は、光学窓を有する観察手段の少なくとも一部であり、前記観察窓は、内視鏡の外装の一部として外表面に露出している付記1記載の内視鏡。
【0221】
(5)前記気密密閉部は、対物レンズユニットと固体撮像素子とを含んで構成される撮像ユニットの少なくとも一部である付記1記載の内視鏡。
【0222】
(6)前記気密密閉部は、対物レンズユニットの少なくとも一部である付記1記載の内視鏡。
【0223】
(7)前記気密密閉部は、接眼レンズユニットの少なくとも一部である付記1記載の内視鏡。
【0224】
(8)前記気密密閉部は、外装を構成する複数の気密隔壁部材と、これら気密隔壁部材同士を隙間なく接合する気密接合手段とによって構成される付記1記載の内視鏡。
【0225】
(9)前記気密隔壁部材は、金属、セラミックス、ガラス、結晶性材料で形成された部材である付記1記載の内視鏡。
【0226】
(10)前記気密接合手段は、融接、圧接、ろう接等の金属溶接、又は溶融ガラスによる接合である付記1記載の内視鏡。
【0227】
(11)前記気密接合手段により接合された部分の成分が、金属、セラミックス、ガラス、又は結晶化する物質である付記1記載の内視鏡。
【0228】
(12)前記金属溶接は、レーザー溶接、半田付け、ろう付けを含む付記11記載の内視鏡。
【0229】
(13)前記挿入部の先端部付近に湾曲操作可能な湾曲部を備え、前記気密密閉部をこの湾曲部より先端側の先端硬質部内に配置した付記5又は付記6記載の内視鏡。
【0230】
(14)前記内蔵物は、照明手段であり、この照明手段の少なくとも一部が気密密閉部である付記1記載の内視鏡。
【0231】
(15)外装の少なくとも一部を柔軟な高分子材料で構成した挿入部と、この挿入部の内部空間を含む内視鏡内部空間内に完全又は一部を外装に配置して収納される内蔵物とを備えた内視鏡において、
前記内視鏡内部空間を外部に対して水密な第1の密封レベルで構成し、前記内蔵物の少なくとも一部に前記第1の密封レベルの密封度と同等又はそれ以上の密封度である第3の密封レベルで構成した密閉空間部を設けた内視鏡。
【0232】
(16)前記第3の密封レベルで構成した密閉空間部は、少なくともオートクレーブ滅菌時の陰圧及び加圧によって破壊されない耐圧性を有する隔壁部材及び接合手段で構成される付記15記載の内視鏡。
【0233】
(17)前記密閉空間部にシール部材としてフッ素ゴム製のシール剤を使用する付記16記載の内視鏡。
【0234】
(18)前記密封部の内部に、光学部材又は電子部品の少なくとも1つが収納される付記16記載の内視鏡。
【0235】
(19)前記密封部の内部に、電気スイッチが収納される付記18記載の内視鏡。
【0236】
(20)前記密封部の内部に、イメージガイドファイバ又はライトガイドファイバが収納される付記18記載の内視鏡。
【0237】
(21)前記内視鏡内部空間と外部とを連通する連通手段を備えた付記1又は付記15に記載の内視鏡。
【0238】
(22)前記連通手段は、少なくとも内視鏡外部の圧力が内視鏡内部空間の圧力より減圧されたとき連通する付記21記載の内視鏡。
【0239】
(23)外気に対して水密な第1の密封レベルで密封可能で、かつ内蔵物を収納した内部空間と、前記内部空間と外気とを選択的に連通可能な連通手段を有する内視鏡において、
前記内蔵物を、オートクレーブ滅菌時の陰圧に対して対陰圧性を有し、かつ少なくとも前記オートクレーブ滅菌時の高圧高温蒸気下での内部への水蒸気の侵入の防止が可能な前記第1の密封レベルより高い第2の密封レベルで密封した内視鏡。
【0240】
【発明の効果】
以上説明したような本発明の内視鏡によれば、オートクレーブ滅菌の際、高圧高温蒸気が挿入部の少なくとも一部に設けられている高分子材料で形成された外皮チューブを透過して内視鏡内部に侵入した場合でも、この侵入した蒸気によって光学系に観察に重要な悪影響を及ぼす曇りの発生や、電子部品等が劣化して観察画像が劣化することを防止した内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1ないし図8は本発明の第1実施形態に係り、図1は電子内視鏡の構成を説明する図
【図2】逆止弁キャップの構成を説明する断面図
【図3】電子内視鏡の先端部付近の構成を説明する断面図
【図4】撮像ユニットの構成を説明する断面図
【図5】2種類のカバーガラスを説明する図
【図6】絶縁枠の外表面を説明する図
【図7】枠とカバーガラスとの接合部分を説明する断面図
【図8】撮像ユニットを構成する気密密閉対物レンズユニット部を説明する断面図
【図9】図9ないし図12は本発明の第2実施形態に係り、図9は電子内視鏡の先端部付近の構成を説明する断面図
【図10】撮像ユニットの構成を説明する断面図
【図11】ライトガイドコネクタの構成を説明する断面図
【図12】スイッチの構成を説明する断面図
【図13】図13ないし図15は本発明の第3実施形態に係り、図13は内視鏡の構成を説明する図
【図14】内視鏡の先端部付近の構成を説明する断面図
【図15】内視鏡の接眼部の構成を説明する断面図
【図16】観察手段の先端部の他の構成を説明する断面図
【符号の説明】
1…電子内視鏡
2…挿入部
3…操作部
4…ユニバーサルコード
5…コネクタ部
6…ライトガイドコネクタ
7…カメラコネクタ
8…先端部
9…湾曲部
10…可撓管
11…湾曲操作レバー
12…処置具挿入口
13…スイッチ
14…通気口
15…防水キャップ
16…先端部本体
17…先端カバー
18…撮像ユニット
19…ライトガイド
20…対物レンズ群
21…CCD
22…基板
23…撮像ユニット枠
24…対物カバーガラス
25…ハーメチックコネクタ
26…CCDケーブル
27…熱収縮チューブ
28…コネクタ本体
29…絶縁気密封止部材
30…接点ピン
31…充填剤
32…ライトガイドファイバ
33…ライトガイドファイバ枠
34…照明レンズ
35…照明カバーガラス
36…照明レンズ枠
37…ライトガイドファイバ外装チューブ37
38…第1駒
39…外被チューブ
40…第2のライトガイドファイバ枠
41…ロッドレンズ
42…入射端カバーガラス
43…入射端カバーガラス枠
44…ビス
45…コネクタ口金本体
46…充填剤
47…パッケージ部材
48…電気スイッチ
49…押圧ピン
50…スイッチカバー
51…操作部外装
52…押さえ部材
53…ナット
54…ビス
55…Oリング
56…接点
57…スイッチケーブル
58…吸水性部材
Claims (2)
- 被検体を観察するための内視鏡において、
前記被検体に挿入可能で、内部空間を水密に保つために外装の少なくとも一部に柔軟な高分子材料を用いた挿入部と、
管状に形成されて、一端側に光学窓を保持する第1の枠体と、
前記挿入部の先端側に設けられ、前記光学窓を介して前記被検体からの光が前記内部空間内に入射される所定の位置に前記光学窓を配置するとともに前記内部空間の水密を保つように前記第1の枠体を保持する先端部と、
前記光学窓の前記内部空間側を気密に封止する前記内部空間と隔離した気密空間を形成するために、前記第1の枠体の他端側と嵌合する第2の枠体と、
前記第1の枠体と前記第2の枠体との嵌合部から前記気密空間に蒸気が侵入することを防ぐために、前記嵌合部を溶接し前記第1の枠体と前記第2の枠体とを一体的に接合する接合部と、
を具備したことを特徴とする内視鏡。 - 被検体を観察するための内視鏡において、
前記被検体に挿入可能で、内部空間を水密に保つために外装の少なくとも一部に柔軟な高分子材料を用いた挿入部と、
管状に形成されて内部に前記被検体の光学像を結像する対物レンズを保持する第1の枠体と、
前記挿入部の先端側に設けられ、前記対物レンズによって前記被検体の光学像を所定の位置に結像可能に前記第1の枠体を保持する先端部と、
前記対物レンズにより結像される光学像を撮像するための撮像面を有する固体撮像素子と、
前記固体撮像素子を内部に保持するとともに、保持している前記固体撮像素子の前記撮像面が前記所定の位置に配置されるように前記第1の枠体と嵌合する第2の枠体と、
前記第1の枠体と前記第2の枠体との嵌合部から前記対物レンズと前記撮像素子との間の光路に蒸気が侵入することを防ぐために、前記嵌合部を溶接し前記第1の枠体と前記第2の枠体とを一体的に接合する接合部と、
を具備したことを特徴とする内視鏡。
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