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JP2004087070A - 追記型光記録媒体 - Google Patents

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JP2004087070A
JP2004087070A JP2002377676A JP2002377676A JP2004087070A JP 2004087070 A JP2004087070 A JP 2004087070A JP 2002377676 A JP2002377676 A JP 2002377676A JP 2002377676 A JP2002377676 A JP 2002377676A JP 2004087070 A JP2004087070 A JP 2004087070A
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JP2002377676A
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Hisamitsu Kamezaki
亀崎 久光
Noboru Sasa
笹 登
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

【課題】青色レーザ波長領域であっても記録可能な、有機材料からなる追記型光記録媒体、また、高密度化が可能であり、変調度が大きく、記録再生波長の変動に対し、記録特性や反射率等の変化が少ない追記型光記録媒体、更には、記録に用いるレーザー波長に吸収極大を持たない材料を記録材料として選択した場合でも、詳細な記録形状の制御を行うことができる追記型光記録媒体の提供。
【解決手段】透光性の基板上に、下部熱受容層、無機材料からなる光吸収層、上部熱受容層がこの順に設けられ、更に直接又は中間層を介して反射層が設けられた追記型光記録媒体において、下部熱受容層及び/又は上部熱受容層は、光吸収層よりも低い温度でその材料が熱的状態変化(溶融、融解、分解、昇華等)を起すか及び/又は熱による形状変化(膨張、陥没、空洞化、凹凸変形等)を起すものである追記型光記録媒体。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザーにより情報の記録再生が可能な追記型光記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
超高密度の記録が可能となる青色レーザの開発は急速に進んでおり、それに対応した追記型光記録媒体の開発が行なわれている。
従来の追記型光記録媒体では、有機材料からなる記録層にレーザ光を照射し、有機材料の分解・変質による屈折率変化を主に生じさせることで記録ピットを形成させており、記録層に用いられる有機材料の光学定数、分解挙動が良好な記録ピットを形成させるための重要な要素となっている。
従って、記録層に用いる有機材料は、青色レーザ波長に対する光学的性質、分解挙動の適切な材料を選択する必要がある。
しかしながら、青色レーザ波長に対する光学的性質が従来並みの値を有する材料は見出されていない。何故ならば、有機材料の吸収帯を青色レーザ波長近傍に持たせるには、分子骨格を小さくするか或いは共役系を短くする必要があるが、そうすると吸収係数の低下、即ち屈折率の低下を招くためである。
つまり、青色レーザ波長近傍に吸収帯を持つ有機材料は多数存在し、吸収係数を制御することは可能であるが、大きな屈折率を持たないため、大きな変調度を得ることができないためである。
【0003】
青色レーザ対応の有機材料としては、例えば、特許文献1〜5に記載されている。しかし、これらの公報では、実施例において溶液と薄膜のスペクトルを測定したのみで、記録再生に関する記載がない。
特許文献6〜8には、実施例に記録の記載があるものの、記録波長は488nmであり、また記録条件や記録密度に関する記載はなく、良好な記録ピットが形成できた旨の記載があるのみである。
特許文献9には、実施例に記録の記載があるものの、記録波長は430nmであり、また記録条件や記録密度に関する記載はなく、良好な変調度が得られた旨の記載があるのみである。
【0004】
特許文献10〜19には、実施例に記録波長430nm、NA0.65での記録例があるが、最短ピットが0.4μmという低記録密度条件(DVDと同等の記録密度)である。
特許文献20には、記録再生波長405〜408nmの記載があるが、記録密度に関する具体的な記載はなく、14T−EFM信号の記録という低記録密度条件である。
【0005】
また、従来のCD、DVD系光記録媒体と異なる層構成や記録方法に関して、以下のような技術が公開されている。
特許文献21には、基板/可飽和吸収色素含有層/反射層という構成で、可飽和吸収色素の消衰係数(本発明でいう吸収係数)の変化により記録を行なう技術が開示されている。
特許文献22には、基板/金属蒸着層/光吸収層/保護シートという構成で、光吸収層によって発生した熱によって、金属蒸着層を変色又は変形させることで記録を行なう技術が開示されている。
特許文献23には、基板/誘電体層/光吸収体を含む記録層/反射層という構成で、記録層の膜厚を変え溝部の深さを変えることにより記録を行なう技術が開示されている。
特許文献24には、基板/光吸収体を含む記録層/金属反射層という構成で、記録層の膜厚を10〜30%変化させることにより記録を行なう技術が開示されている。
【0006】
特許文献25には、基板/有機色素を含有する記録層/金属反射層/保護層という構成で、基板の溝幅を未記録部に対して20〜40%広くすることにより記録を行なう技術が開示されている。
特許文献26には、基板/中間層/金属薄膜という構成で、金属薄膜を変形させてバブルを形成することにより記録を行なう技術が開示されている。
特許文献27には、基板/絶縁層/シアニン記録膜/反射膜/保護膜という構成で、絶縁膜に熱を逃がし記録部を修正する技術が開示されている。
特許文献28には、基板/光吸収層/記録補助層/光反射層という構成で、記録補助層を凹状に変形させると共に、記録補助層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行なう技術が開示されている。
【0007】
特許文献29には、基板/光吸収層/多孔質な記録補助層/光反射層、或いは基板/多孔質な記録補助層/光吸収層/光反射層という構成で、記録補助層を凹状に変形させると共に、記録補助層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行なう技術が開示されている。
特許文献30には、基板/多孔質な光吸収層/光反射層という構成で、光吸収層を凹状に変形させると共に、光吸収層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させて記録を行なう技術が開示されている。
特許文献31には、基板/有機色素を含む記録層/記録補助層という構成で、記録補助層と有機色素が相溶して、有機色素の吸収スペクトルを短波長側へシフトさせることで記録を行なう技術が開示されている。
しかしながら、上記の諸々の技術は、何れも青色レーザ波長領域での光記録媒体の実現を狙ったものではなく、青色レーザ波長領域で有効となる層構成や記録方法ではない。
【0008】
以上のように、現段階では、青色レーザ波長領域において、特に、現在実用化されている青色半導体レーザの発振波長の中心である405nm近傍において、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数を有する有機材料が殆んど存在しない。また、405nm近傍で記録条件を明確にし、DVDよりも高記録密度で記録された例はない。
更に、上記公報における実施例は、従来のディスク構成での実験であり、青色レーザ波長領域で、有機材料からなる追記型光記録媒体を容易に実現する層構成や記録原理、記録方式についての有効な提案はない。
また、従来から、有機材料からなる追記型光記録媒体では、有機材料の光学定数の波長依存性が大きいため(波長によって光学定数が大きく変動するため)、レーザの個体差や、環境温度の変化等による記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等が大きく変化するという問題があった。
【0009】
一方、従来技術として、特許文献32〜37には、プリグルーブが形成されている基板と、前記基板上に順次積層された金属記録膜、バッファ層及び反射層を有する光記録媒体において、前記バッファ層が、波長600〜800nmのレーザービームに対する吸光性の低い物質として、650nmでは吸光率(k)が1.0以下であり、780nmでは吸光率(k)が0.1以下である有機物質からなることを特徴とする光記録媒体が提案されている。
また、特許文献38には、下地層に関する技術として、基板上にゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール(PVA)などよりなる増減層と、Cr、Ni、Auなどの金属薄膜記録層がこの順に積層された記録媒体が開示されている。該記録媒体の光記録原理によれば、金属薄膜が照射されるレーザー光の熱を吸収し、この熱により増減層と金属薄膜が変形されることによって記録ピットが形成される。しかし、該記録媒体の記録ピットが露出しているため記録情報を長期保存し難い。
【0010】
また、特許文献39には、少なくとも光ビームの案内部を有するプリフォーマットパターンが形成された透明基板と、当該透明基板のプリフォーマットパターン形成面に有機色素層を介して被着された光反射性膜と、当該光反射性膜上に直接又は他の薄膜を介して積層されたヒートモード記録材料又はフォトンモード記録材料からなる記録膜と、当該記録膜の外側を覆う保護膜とからなることを特徴とする追記型光記録媒体が提案されている。
更に、特許文献40には、ディスク基板がポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、又はエポキシ樹脂から形成され、記録層がテルルを主成分とする合金で形成され、下地層が、メタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレン、ベンゼン、スチレン、テトラメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルスズ、テトラメチルゲルマニウム、フェロセン、ペンタエトキシタンタルから選択された少なくとも1種の有機物質から形成されていることを特徴とする光情報記録ディスクが提案されている。
【0011】
上記の従来技術では、記録層にピット形成などを行う際の効率を上げるため、下地層に補助的な役割を持たせている。しかし、記録層が高い屈折率及び高い吸収率を有する場合には、下地層の作用は補助的でもよいが、色素材料の場合には、照射レーザー波長350〜450nmの範囲において好適な光学特性を有する有機記録材料は少ないのが現状である。
一方、照射レーザー波長には吸収を持たないが、熱を受容することができ、その熱によりそれぞれの層が光学的に変化するような層(熱受容層)を設けることにより記録を行うことが可能である。
例えば、光吸収層で光を吸収し熱変換して、その熱を熱受容層に伝えて記録を行う場合、光吸収層からの熱は上下の層に伝えられる。しかしながら、特に基板上に直に光吸収層を形成した場合、光吸収層の比熱を中心とする熱的振る舞いが直に基板に伝わり、基板の持つ熱的特性が支配的となり、緻密な記録形状の制御が不可能となる。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−181524号公報
【特許文献2】
特開2001−158865号公報
【特許文献3】
特開2000−343824号公報
【特許文献4】
特開2000−343825号公報
【特許文献5】
特開2000−335110号公報
【特許文献6】
特開平11−221964号公報
【特許文献7】
特開平11−334206号公報
【特許文献8】
特開2000−43423号公報
【特許文献9】
特開平11−58955号公報
【特許文献10】
特開2001−39034号公報
【特許文献11】
特開2000−149320号公報
【特許文献12】
特開2000−113504号公報
【特許文献13】
特開2000−108513号公報
【特許文献14】
特開2000−222772号公報
【特許文献15】
特開2000−218940号公報
【特許文献16】
特開2000−222771号公報
【特許文献17】
特開2000−158818号公報
【特許文献18】
特開2000−280621号公報
【特許文献19】
特開2000−280620号公報
【特許文献20】
特開2001−146074号公報
【特許文献21】
特開平7−304258号公報
【特許文献22】
特開平8−83439号公報
【特許文献23】
特開平8−138245号公報
【特許文献24】
特開平8−297838号公報
【特許文献25】
特開平9−198714号公報
【特許文献26】
特許第2506374号公報
【特許文献27】
特許第2506867号公報
【特許文献28】
特許第2591939号公報
【特許文献29】
特許第2591940号公報
【特許文献30】
特許第2591941号公報
【特許文献31】
特許第2982925号公報
【特許文献32】
特許第2966377号公報
【特許文献33】
特開平10−134415号公報
【特許文献34】
特開平10−124926号公報
【特許文献35】
特開平10−124927号公報
【特許文献36】
特開平9−265660号公報
【特許文献37】
特表2000−516007号公報
【特許文献38】
特開昭63−268142号公報
【特許文献39】
特許第3224834号公報
【特許文献40】
特公平08−003914号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術に鑑みて、青色レーザ波長領域、特に405nm近傍の波長領域であっても記録可能な、有機材料からなる追記型光記録媒体、また、高密度化が可能であり、変調度が大きく、記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等の変化が少ない追記型光記録媒体、更には、記録に用いるレーザー波長に吸収極大を持たない材料を記録材料として選択した場合でも、詳細な記録形状の制御を行うことができる追記型光記録媒体の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、次の1)〜15)の発明(以下、本発明1〜15という。)によって解決される。
1) 透光性の基板上に、下部熱受容層、無機材料からなる光吸収層、上部熱受容層がこの順に設けられ、更に直接又は中間層を介して反射層が設けられた追記型光記録媒体において、下部熱受容層及び/又は上部熱受容層は、光吸収層よりも低い温度でその材料が熱的状態変化(溶融、融解、分解、昇華等)を起すか及び/又は熱による形状変化(膨張、陥没、空洞化、凹凸変形等)を起すものであることを特徴とする追記型光記録媒体。
2) 透光性の基板上に、反射層、直接又は中間層を介して上部熱受容層、無機材料からなる光吸収層、下部熱受容層、保護層又はカバー層がこの順に設けられた追記型光記録媒体において、下部熱受容層及び/又は上部熱受容層は、光吸収層よりも低い温度でその材料が熱的状態変化(溶融、融解、分解、昇華等)を起すか及び/又は熱による形状変化(膨張、陥没、空洞化、凹凸変形等)を起すものであることを特徴とする追記型光記録媒体。
3) 光ビームの照射により下部熱受容層、無機材料からなる光吸収層、上部熱受容層の少なくとも一層が熱による形状変化(膨張、陥没、空洞化、凹凸変形等)を起すことによって情報の記録が行われることを特徴とする1)又は2)記載の追記型光記録媒体。
4) 形状変化が下部熱受容層及び/又は上部熱受容層の膜厚の変化を伴い、情報を記録した部分の少なくとも一部において、その膜厚が未記録部の膜厚に比べて薄くなっていることを特徴とする3)記載の追記型光記録媒体。
5) ガウス分布を示す光を照射して記録した際に、ガウス分布の中央部に対応する部分の熱受容層材料の量がガウス分布の外周部に対応する部分の熱受容層材料の量よりも少なくなり、下部熱受容層及び/又は上部熱受容層の膜厚が変化することを特徴とする4)記載の追記型光記録媒体。
6) レーザ光を照射して記録した際に、下部熱受容層及び/又は上部熱受容層と無機材料からなる光吸収層との界面に空洞が形成されることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
7) 下部熱受容層及び/又は上部熱受容層が、記録マーク領域において、材料の熱的状態変化を起因として材料の溶解特性が変化する変質を起すことにより記録が行われることを特徴とする1)〜6)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
8) 材料の溶解特性が変化する変質が、変質部分の溶解性が低下して溶け難くなる方向への変質であることを特徴とする7)記載の追記型光記録媒体。
9) 下部熱受容層及び/又は上部熱受容層が、分解温度が160〜400℃の有機物質を含有する材料からなり、該有機物質は、芳香族化合物、脂肪族化合物、アミド、エステル、アミン、ウレア、硫黄化合物及びヒドロキシ化合物からなる群より選択される少なくとも1つであるか、又は、アントラキノン系、ダイオキシディン系、トリフェノジチアジン系、フェナントレン系、シアニン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、メロシアニン系、ピリリウム系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、クロコニウム系、アゾ系、インジゴイド系、メチン系、アズレン系、スクアリリウム系、スルファイド系及びメタンジチオールレート系の色素からなる群より選択される少なくとも1つであり、更に、記録再生に用いる波長の照射光に対して0.4以下の吸光度を有することを特徴とする1)〜8)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
10) 下部熱受容層及び/又は上部熱受容層が、アントラキノン系、ダイオキシディン系、トリフェノジチアジン系、フェナントレン系、シアニン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、メロシアニン系、ピリリウム系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、クロコニウム系、アゾ系、インジゴイド系、メチン系、アズレン系、スクアリリウム系、スルファイド系及びメタンジチオールレート系の色素からなる群より選択される少なくとも1つの色素に加えて、ビニールアルコール系樹脂、ビニールアセテート系樹脂、アクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂及び脂肪酸系樹脂からなる群より選択される少なくとも1つの高分子物質を50重量%以下含有する材料からなることを特徴とする1)〜8)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
11) 下部熱受容層の膜厚が5〜1000nmであり、上部熱受容層の膜厚が5〜200nmであることを特徴とする1)〜10)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
12) 無機材料からなる光吸収層が、Fe、Ti、Zr、Ta、Cr、Mo、W、Ni、Rh、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、In、Si、Ge、Te、Sn、Bi、Sb及びTlからなる群より選択される少なくとも1つからなり、厚さが5〜200nmであることを特徴とする1)〜11)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
13) 反射層が形状変化(膨張、凹凸形成等)しないことを特徴とする1)〜12)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
14) 光を照射して情報を記録した際の無機材料からなる光吸収層から発する熱により、反射層が形状変化(膨張、凹凸形成等)して情報が記録されることを特徴とする1)〜12)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
15) 反射層の上に保護層を有することを特徴とする1)〜14)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
【0015】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明者等は、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数を得ることが困難な青色レーザ波長領域であっても高密度化が図れ、かつ高変調度が得られる追記型光記録媒体の記録形状及びその記録原理について検討した結果、従来、熱発生層であり、かつ分解・変質に起因した屈折率(複素屈折率の実部)変化による変調度発生層として機能していた有機材料からなる記録層から、熱発生層としての機能と変調度発生層としての機能を分離させることにより目的とする追記型光記録媒体を得ることに成功した。
即ち、本発明の追記型光記録媒体では、熱受容層に、無機材料からなる光吸収層(以下、光吸収層という)よりも低い温度でその材料が熱的状態変化(溶融、融解、分解、昇華等)を起すような記録を行うか及び/又は熱による形状変化(膨張、陥没、空洞化、凹凸変形等)を起すような記録を行う。更に好ましくは、熱受容層にその溶解特性が変化する変質を与える記録を行い、また、媒体にガウス分布を示す光を照射して記録することにより、ガウス分布の中央部に対応する部分の色素層材料の量がガウス分布の外周部に対応する部分の色素層材料の量よりも少なくなる形状変化によって変調度を発生させる。
その結果、有機材料層には屈折率の制限が全く無くなり、また、記録再生波長に対して光吸収能を有する必要も無くなるため、光学定数に関して従来のような厳しい制限が無くなる。
【0016】
本発明の追記型光記録媒体の構成の一例(第一の例)を、図1、図2に基づいて説明する。図1は本発明の追記型光記録媒体の層構成の一例を示す要部拡大断面図であり、図2は本発明の追記型光記録媒体(光ディスク)の構成の一例を示す斜視図である。
これらの図から明らかなように、この追記型光記録媒体は、片面に微細な凹凸状のプリフォーマットパターン2を有する透明基板1、下部熱受容層3、無機材料からなる光吸収層4(以下、光吸収層4という)、上部熱受容層5、反射層10、保護層15がこの順に積層された層構成を有する。
【0017】
透明基板1としては、例えばポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルペンテン、エポキシ樹脂、ポリエステル、非晶質ポリオレフィンなどの透明樹脂材料(好ましくはガラス転移温度Tgが100〜200℃)を所望の形状に成形し、その片面に所望のプリフォーマットパターンを転写したものや、所望の形状に形成されたガラス等の透明セラミックス板の片面に所望のプリフォーマットパターンが転写された透明樹脂層を密着したものなど、公知に属する任意の透明基板を用いることができる。ディスク状追記型光記録媒体(以下、光ディスクという)を構成する透明基板1は、図2に示すように、中心部にセンタ孔1aを有する円盤状に形成される。なお、透明基板1の作製は、公知の方法で行うことができる。
更に、基板表面に形成されるプリグルーブの深さは10〜200nmとすることが望ましい。深さが10nm未満の場合には、記録後の基板膨脹により反射率が大きく増大して記録信号にノイズが多くなり、200nmを超える場合には、上部熱受容層層にもプリグルーブが深く生じるため均一な膜を得難い。
【0018】
プリフォーマットパターン2は、少なくとも記録・再生用レーザビームを記録トラックに追従させるためのビーム案内部を含んで構成される。
図1、図2の例では、ビーム案内部が、センタ孔1aと同心の渦巻状又は同心円状に形成された案内溝2aをもって構成されており、当該案内溝2aに沿って、アドレスピットやクロックピット等のプリピット2bが形成されている。
プリピット2bが案内溝2a上に重ねて形成される場合には、両者を光学的に識別できるようにするため、図1に示すように、案内溝2aとプリピット2bとがそれぞれ異なる深さに形成される。プリピット2bが相隣接する案内溝2aの間に形成される場合には、両者を同じ深さに形成することもできる。
なお、ビーム案内部としては、案内溝2aに代えて、ウォブルピットを記録トラックに沿って形成することもできる。また、プリピット2bを省略し、案内溝のみで形成しても良い。
【0019】
下部熱受容層3の材料としては、光吸収層4よりも低い温度で熱的状態変化(溶融、融解、分解、昇華等)を起すか及び/又は熱により層の形状変化(膨張、陥没、空洞化、凹凸変形等)を起す材料を用いる。
このような材料の好ましい例としては色素が挙げられる。
色素の例としては、ポリメチン系色素、アントラキノン系色素、ダイオキシディン系色素、トリフェノジチアジン系色素、フェナントレン系色素、シアニン系色素、ジカルボシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、メロシアニン系色素、ピリリウム系色素、ポルフィリン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、アズレン系色素、含金属アゾ染料、アゾ染料、アゾ系色素、スクアリリウム系色素、ポリエン系色素、ベーススチリル系色素、ホルマザンキレート系色素、クロコニウム系色素、インジゴイド系色素、メチン系色素、スルファイド系色素、メタンジチオールレート系色素等を挙げることができ、中でも、シアニン誘導体、ジカルボシアニン誘導体、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、アゾ染料誘導体が特に好適に用いられる。また、アミニウム系色素などの各種クエンチャを添加した色素材料を用いることもできる。
【0020】
更に、上記色素材料群より選択される1種又は2種以上の色素材料を樹脂中に分散して用いることもできる。
色素材料を分散可能な樹脂としては、アクリル樹脂、特にアクリレート系樹脂、ビニル樹脂、特にビニールアルコール系樹脂、ビニールアセテート系樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、脂肪酸系樹脂などを挙げることができる。色素材料の機能を十分に発揮させるため樹脂の配合量は全体の50重量%以下とすることが好ましい。
【0021】
下部熱受容層3は、透明基板1のプリフォーマットパターン形成面に、例えば上記色素材料群より選択された色素材料の溶剤溶液をスピンコートして形成する。即ち、溝状のプリフォーマットパターン2内に色素材料を充填した後、プリフォーマットパターン2の間のランド部2cに付着した色素材料を選択的に除去し、透明基板1の表面を露出すると共に、プリフォーマットパターン2内にのみ色素材料を充填することによって形成する。なお、色素材料の溶剤としては、アルコール系溶剤やセルソルブ系溶剤などを用いることができる。
更に、二座配位を取り得るキレート材を含有させて色素の褪色防止を図ることもできる。このようなキレート材としては、無機酸類、ジカルボン酸類、オキシカルボン酸類、ジオキシ化合物類、オキシオキシム類、オキシアルデヒド及び誘導体類、ジケトン及び類似化合物類、オキシキノン類、トロボロン類、N−オキシド化合物類、アミノカルボン酸及び類似化合物類、ヒドロキシルアミン類、オキシン類、アルジミン類、オキシアゾ化合物類、ニトロソナフトール類、トリアゼン類、ピウレット類、ホルマザン類及びジチゾン類、ビクアリド類、グリオキシム類、ジアミン及び類似化合物類、ヒドラジン誘導体類、チオエーテル類などが挙げられる。
更に、イミノ基を有する誘導体も使用可能である。
【0022】
また、上記の有機材料の他に、原子配列の変化により情報の記録ができる相変化材料も使用可能である。具体的にはα−β−γ−Ge−Teで代表される合金が挙げられる。
ここで、αはCu、Ag、Au、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Hf、Ta、W、Ir、Pt、Hg、B、C、N、P、O、S、Se、ランタニド元素、アクチニド元素、アルカリ土類金属元素、不活性ガス元素などの中の少なくとも一つの元素を表す。βは、Iなどのハロゲン元素、Naなどのアルカリ金属元素、及びTlのうち少なくとも一つを表す。
γはSb、Sn、As、Pb、Bi、Zn、Cd、Si、Al、Ga及びInのうち少なくとも一つを表す。
【0023】
また、光磁気材料に使用される金属材料、例えばTb、Fe、Coなど;Fe、Ti、Zr、Ta、Cr、Mo、W、Ni、Rh、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、In、Si、Ge、Te、Sn、Bi、Sb、Tl及びPtからなる群より選ばれる少なくとも一種の物質;SiO、SiN、AlN、SiC、ZnO等の無機材料も使用可能であり、特に銀又は銀を主体とする合金が好適である。ここで銀を主体とするとは、銀の含有率が80原子%以上、好ましくは90原子%以上であることを意味する。
更に、芳香族化合物、脂肪族化合物、アミド、エステル、アミン、ウレア、硫黄化合物及びヒドロキシ化合物からなる群から選択される少なくとも1つを用いることもできる。
下部熱受容層3の厚さは、5〜1000nmが好適である。5nmより薄いと欠陥が発生し成膜ができない。また、1000nmよりも厚いと、体積が大き過ぎるため変形が不十分となる。
例えば、材料としてSiCを選択した場合には、膜厚は8〜14nmが好適であり、銀を選択した場合には、膜厚10〜40nmが好適である。
また、下部熱受容層3は単層でも重層(2層以上の積層)でもよい。
【0024】
下部熱受容層3の成膜に際し結合剤を使用する場合の結合剤の例としては、例えばゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機高分子物質;及びポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。
結合剤の使用量は、通常、色素に対して0.01〜50倍量(質量比)の範囲とし、好ましくは0.1〜5倍量(質量比)の範囲とする。このようにして調製される塗布液の濃度は、通常、0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法などを挙げることができる。
【0025】
下部熱受容層3の材料としては、特に分解温度が160〜400℃である有機物を含有し、波長350〜450nmの範囲の照射光に対し、成膜後に0.4以下の吸光度を有し、情報記録により光吸収層から熱を受容し、該光吸収層よりも低い温度で熱的状態変化(溶融、融解、分解、昇華等)を起すか及び/又は熱による層の形状変化(膨張、陥没、空洞化、凹凸変形等)を起すことができるものが好ましい。分解温度が160℃よりも低いと変形が大きくなりクロストークが発生するし、分解温度が400℃よりも高いと十分な変形が起きず、記録が不十分となる。また、光吸収層に十分な光を到達させるためには、吸光度を0.4以下とすることが好ましい。
【0026】
また、下部熱受容層3は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸、ポリプロピレングリコール、メチルセルロース、ポリビニルナイトレート、ニトロセルロースなどの親水性樹脂を用いて形成してもよい。
形成方法としては、例えば上記親水性樹脂の水溶液を、透明基板1のプリフォーマットパターン形成面2にスピンコートして成膜すればよい。
しかし、親水性樹脂からなるため、耐水性(耐湿性、透湿性)及び耐熱性が悪いので、架橋処理や結晶化処理を施して耐水性及び耐熱性を改善することが好ましい。具体的には、親水性樹脂の水溶液に架橋剤を添加し、下部熱受容層3を成膜した後に、光照射による架橋反応や加熱による架橋反応を起させたり、或いは架橋剤の添加のない下部熱受容層3を熱処理して結晶化させる。例えば、親水性樹脂としてポリビニルアルコール(PVA)を用いる場合には、PVAを変性PVA化させる。
【0027】
架橋処理と結晶化処理とを比較すると、加熱による悪影響を透明基板1に与えることがなく、かつ作業性にも優れていることから、架橋処理の方が好ましい。以下に、架橋反応の具体例を示すが、実施に際しては、これらの架橋反応から、必要に応じて任意の手段を選択して採用することができる。
(1)架橋剤として、重クロム酸アンモニウムを添加し、色素表面を処理すると同時に成膜後反応光を照射して、下部熱受容層3に架橋反応を起させる方法。
(2)無機系架橋剤として、例えば銅、ホウ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ、バナジウム、クロム等を添加する方法。
(3)アルデヒドを用いてアセタール化する方法。
(4)水酸基をアルデヒド化する方法。
(5)活性化ビニル化合物を添加する方法。
(6)エポキシ化合物を添加してエテール化する方法。
(7)酸触媒の元でジカルボン酸反応を起させる方法。
(8)コハク酸及び硫酸を添加する方法。
(9)トリエチレングリコール及びアクリル酸メチルを添加する方法。
(10)ポリアクリル酸及びメチルビニルエテールマレイン酸共重合体をブレンドする方法。
【0028】
上部熱受容層5の材料、必要とされる物性及び形成方法は、上記した下部熱受容層3の場合と同様である。但し、光吸収層4にはマイクロポアが存在することもあるので、その場合には、マイクロポアに進入しない一定の接触角を有する溶液を用いて上部熱受容層5を形成する必要がある。
ここで、マイクロポアに進入しない一定の接触角は、マイクロポアのサイズにより必要とされる表面張力が異なるため、その値を数値で示すことはできない。しかし、成膜後のマイクロポア部分に発生する平均膜厚よりも平均膜厚の2%以上薄い部分の面積は225μmが上限であり、225μmを超えるとトラッキング精度、エラー訂正が不可能になるなどの問題が発生するので、マイクロポアに溶液が浸透した場合でも上記の範囲以上に浸透が広がらなければ、マイクロポアに進入しない一定の接触角を有する溶液に相当すると判断する。
【0029】
上記マイクロポアに進入しない一定の接触角を有する溶液を形成することができる溶剤としては、例えば、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフルオルプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などが挙げられる。
【0030】
また、これらの溶剤としては、使用する色素の溶解度が5mg/1ml以上あるものを用いる必要がある。そこで使用する色素の溶解性を考慮して適宜単独で又は二種以上併用して用いる。また、塗布液中には、必要に応じて酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤など各種の添加剤を添加してもよい。
更に、マイクロポアへの進入を一層効果的に防止するため、下部熱受容層用の溶液を塗布した後、乾燥するか又は架橋処理、結晶化処理などを行って早期に膜を固定化することが好ましい。架橋処理の具体的手段としては、後述する親水性樹脂を用いる場合と同様の手段を採用することができる。
また、上部熱受容層5も、下部熱受容層3と同様に単層でも重層(2層以上の積層)でもよい。
上部熱受容層5の厚さは、5〜200nmが好適である。5nmよりも薄いと熱の吸収が十分でなく変形や変化が不十分となる。また、200nmよりも厚いと、体積が大き過ぎるため、変形が抑えられたり、熱的な影響を受けて光学的に変化できない部分ができてしまうので問題がある。
【0031】
光吸収層4には、光エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換する材料であって、下部及び上部熱受容層3、5よりも高い温度で層の形状変化(膨張、陥没、凹凸変形等)を起すことができる無機材料を用いる。
具体例としては、Fe、Ti、Zr、Ta、Cr、Mo、W、Ni、Rh、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、In、Si、Ge、Te、Sn、Bi、Sb及びTlからなる群より選択される少なくとも1つが挙げられる。
光吸収層4の熱伝導度は、10(W/cm・℃)以下であることが望ましい。10(W/cm・℃)を超えると、レーザーにより光吸収層4から発生する熱が周囲に急速に伝導(放熱)されて薄膜自体が必要な所定温度以上に加熱され難く、所定温度以上に加熱されたとしても記録ピットが大きいので隣接したトラックまで変形させてしまう恐れがある。
更に、光吸収層4の線膨脹係数は、3×10−7/℃以上であることが望ましい。線膨張係数がこれよりも小さいと、記録時に基板の膨脹により光吸収層4に亀裂が生じ、均一な記録信号が得られない。
光吸収層4の膜厚は、5〜200nmが好適である。膜厚が5nmより薄いと吸収率が低下し光から熱への変換が不十分となる。また膜厚が200nmより厚い場合には、体積が大き過ぎるため、形状変化や熱の伝達が不十分となる。
具体例としては、SiCを選択した場合の膜厚は8〜14nmが好適であり、銀を選択した場合の膜厚は10〜40nmが好適である。
光吸収層4は単層でも重層(2層以上の積層)でもよい。
【0032】
一方、光吸収層4には超解像技術を付加することも可能である。通常光ディスクの再生限界はλ/2NAで表される。(ここで、λは波長、NAは光の絞り込み角度の正弦である)
この限界を超える分解能を実現するため、以下の超解像技術を適応する。即ち、対物レンズでレーザー光を媒体の上に集光させた再生ビームの強度分布Iは
I=I×exp〔−2(r/r
で表される(ここで、Iはレーザービームの中心部の強度、rはレーザービームの強度が1/eになる半径である)。
このように強度分布がガウス分布の再生ビームで記録媒体が加熱されると、ビームが照射された部分の温度分布も同じようにガウス分布に近いものとなる。
ビームの中心付近の温度が高い部分を再生領域とし、周辺部分の温度の低い部分を記録再生に関与しない部分とすることで実効的なビームスポットの径が小さくなり分解能が向上する。
ガウス分布では中心温度のおよそ0.6倍のところ、即ち半径r/2のところで傾斜が急になる。この部分に合わせると安定した記録再生が可能となる。
【0033】
反射層10に用いる材料には特に限定はないが、アルミニウム、銀、銅などの金属材料又はこれらを主成分とする合金材料を使用することができる。特に銀又は銀を主成分とする合金を用いることが好適である。ここで、銀を主成分とするとは、銀の含有率が80〜100原子%、特に90〜100%であることを意味する。また、安価で且つコンパクトディスクにおいて使用された実績があることから、アルミニウムを使用することもできる。
このような反射層10は、スパッタリングや真空蒸着などの真空成膜方法によって形成することができる。この場合、真空槽内の真空度を変えて(例えば、10〜5torr程度)スパッタリングを行い、密度又は結晶化の状態の違う膜を形成して反射膜の反射率を高くする技術を適用することもできる。
【0034】
保護層15は、例えばSiO、SiN、AlN等の無機材料や、光硬化性樹脂などの有機材料を用いて形成することができる。
無機保護層は、真空成膜法によって形成することができ、有機保護層は、反射層10上に光硬化性樹脂膜(例えば、大日本インキ化学工業社製のSD1700、SD318、SD301)をスピンコートした後、樹脂硬化光を照射することによって形成できる。
また、高密度化を図るために高NAのレンズを用いる場合、保護層15を光透過性とする必要があり、通常の場合、高NA化するには再生光が透過する部分の厚さを薄くする必要がある。これは、高NA化に伴い、光学ピックアップの光軸に対してディスク面が垂直からズレる角度(いわゆるチルト角、光源の波長の逆数と対物レンズの開口数の積の2乗に比例する)により発生する収差の許容量が小さくなるためであり、このチルト角が基板の厚さによる収差の影響を受け易いためである。
【0035】
従って、チルト角に対する収差の影響がなるべく小さくなるように、保護層の厚さを薄くして保護層側から光を照射することが行われる。
この場合、例えば基板上に凹凸を形成して、その上に反射層を設け、その上に上部熱受容層、光吸収層、下部熱受容層を順に積層し、更にその上に光透過性の保護層を設けるようにし、保護層側から再生光を照射して記録層の情報を再生するような光記録媒体や、基板上に反射層を設け、その上に記録膜を形成して記録層とし、更にその上に光透過性を有するカバー層を設けるようにし、カバー層側から再生光を照射して記録層の情報を再生するような光記録媒体が提案されている。
このようにすれば、保護層又はカバー層を薄型化していくことにより対物レンズの高NA化に対応することができる。つまり、薄い保護層又はカバー層を設け、この保護層又はカバー層側から記録再生することにより、更なる高記録密度化を図ることができる。
なお、保護層又はカバー層は、ポリカーボネートシートや紫外線硬化型樹脂により形成されるのが一般的である。
【0036】
以上のような追記型光記録媒体にレーザーを照射すると、レーザービームが光吸収層4を加熱し、この熱が下部熱受容層3及び上部熱受容層5に伝達され、その結果、光吸収層4の加熱された領域に隣接した下部熱受容層3及び/又は上部熱受容層5の領域は、材料の熱的状態変化(溶融、融解、分解、昇華等)を起すか及び/又は熱により層の形状変化(膨張、陥没、空洞化、凹凸変形等)を起す。
各層の形状変化の例を図3〜図7により説明する。
基板1は、図3に示すように隆起する場合、図4に示すように形状変化しないか又は一時的に形状変化して最終的に形状変化なしの形となる場合、図5に示すように陥没する場合がある。
基板1上に積層された下部熱受容層3は、図3〜図5に示すように凹状に形状変化するか又は図7に示すように空洞を形成する。
下部熱受容層3上に積層された光吸収層4は、図3のように凸状に変化する場合、図4に示すように形状変化しないか又は一時的に形状変化して最終的に形状変化なしの形となる場合、図5に示すように凹状に形状変化する場合がある。
【0037】
光吸収層4上に積層された上部熱受容層5は、図3〜図6に示すように凹状に形状変化するか又は図7に示すように空洞を形成する。
また、図3〜図7では、反射層10が形状変化しない場合を示したが、記録部位において、光吸収層4がレーザービームにより発熱し、この熱によって下部熱受容層3が形状変化し、その影響で上部熱受容層5も形状変化し、その影響が反射層10にまで及んで反射層10も形状変化する場合(図8、図9参照)がある。このときの形状変化の程度は、光吸収層4から発生する熱と相関があり、また光吸収層4と上部熱受容層5の構成成分の種類及び厚さによっても変わる。
更に、記録部位では熱により各層の変質が発生する。特に色素を含有する層では色素の分解などにより、溶解性の変化、光学特性の変化が起きる。
図8、図9には、記録スポットの中央部に相当する有機熱受容層の色素量が減少すると共に、「101」の×印で示した個所が外観上コークスのようになり、溶解特性が変わる変質を起す場合を示した。
【0038】
次に、熱受容層に含まれる色素材料の熱による変質について説明する。
色素材料は光吸収層4より熱を受け取るか、又は色素自身が光を吸収し、その一部又は全部が分解、溶融、昇華等の熱的状態変化を起す。その結果、通常、色素材料は変質し、変質部分が反射層に癒着し、上部熱受容層を境目として剥離した際、変質部は反射層に非変質部は光吸収層にそれぞれ優先的に密着して剥離される。
本例では、反射層/上部熱受容層界面が反射の担い手であるため、反射層界面に変質した色素材料が癒着することは、その部分からの反射光を制御する意味で重要である。
また、逆に変質により密着性が変わり、非変質部が反射層に癒着し、上部熱受容層を境目として剥離した際、非変質部は反射層に変質部は光吸収層にそれぞれ優先的に密着して剥離される場合もある。この場合は記録後に反射率が増加することがある。
【0039】
また、変質の様子や範囲を確認しながら、記録パワー、記録パルスの長さ、種類を決める必要がある。変質部の色素はその構造が破壊されているため、溶解性が変化する。
その変化は、溶け難い方向に変化する場合と、色素が分解し低分子化し溶解性が上がる、つまり溶け易い方向に変化する場合とがある。溶解性の変化について変質部と非変質部とで差が生じれば変質の範囲を確認することができる。
本例では、変質部の溶解性が下がって溶け難い方向に変質する方が、色素の熱的状態変化(溶融、分解、昇華等)に伴う光学的特性の変化である反射率の低下の方向と一致し好適であった。
【0040】
溶解性の確認に際しては、直接、変質部と非変質部に溶剤を浸透させ、溶解性を比較する。用いる溶剤としては、例えば、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフルオルプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で又は二種以上併用して適宜用いることができる。
【0041】
熱による変質は、ガウス分布を示す光を照射して記録を行ったとき、記録のため光強度を高くした範囲、いわゆる記録マーク領域の熱受容層で起きる。
記録マーク領域は、以下のスポット径rを有する光を照射し移動することで得られる範囲である。
ここで、記録スポット径rとは、r=λ/NA×0.82(λは記録に用いる波長、NAはレンズの開口率)で表される範囲であり、この範囲の場合、信号はジッターの少ない良好な記録となる。これは、1/e(=0.82)の強さで定義する範囲である。
また、r=λ/NAの場合でも、熱受容層の膜厚を制御することでジッターの少ない良好な記録を達成することができる。
また、r=λ/NA×1.22の場合には、未記録部分の反射率を低下させることができ、未記録部分の反射率も制御することが出来る。これはいわゆるエアリー像の範囲であり、本系においてはエアリー像の範囲に影響が及んでいる場合がある。
熱による変質の範囲は熱受容層の熱伝導により制御することができる。この制御は溶解性の違いから得られたピットのサイズと電気信号より適宜調整される。本例では、特に記録後の未記録部の見掛け上の光学特性の変化量が、記録前の未記録部の光学特性の値に対して相対値で±50%以内となるように設定することが好ましく、これにより、未記録部の反射率が記録により変化しないため、記録領域と非記録領域で反射率の変動によるトラックオフなどが起きなくなる。
【0042】
更に、上部熱受容層5にサーモクロミック色素を使用し、吸収係数の変化などの光吸収層4の光学的変化を利用して記録再生することもできる。
用いるサーモクロミック色素としては、スピロピラン、フルオラン、ビアントロン、トリアリールイミダゾールなどが挙げられる。
更に、光吸収層4で光を吸収し、その光を電気エネルギーに変換し、その電気化学的酸化還元により上部熱受容層5に記録を行うこともできる。
その場合、光吸収層4にはGe、Si、GaAs、Gap、CdSe、CdS、ZnO、SnO、TiO、SiCなどを使用することができ、上部熱受容層5にはチオニン色素、インジゴ系色素、酸化タングステン、メロシアニン、フタロシアニン、スクアリリウム、ペリレンテトラカルボン酸、ローダミン、キナクリドン、ポリアセチレン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(N−メチルピロール)を使用することができる。
【0043】
次に、本発明に係る追記型光記録媒体の第二の例を図10に基づいて説明する。
図10は要部拡大断面図であり、本例では、上部熱受容層5と反射層10の間に中間層6を設けている。
中間層6は、上部熱受容層5と反射層10の密着性改善、記録感度の改善、更に上部熱受容層5の保護等のために設けられるものであって、前記第一の例における下部熱受容層3と同種の親水性樹脂、又は前記第一の例の光吸収層4に含有できるGe、Si、GaAs、GaP、CdSe、CdS、ZnO、SnO、TiO、SiC、酸化タングステンなどが使用可能である。
中間層6の材料として親水性樹脂を選択した場合には、その水溶液を、上部熱受容層5上にスピンコートして中間層6を形成する。
また、中間層6についても、耐水性及び耐熱性を改善するため、スピンコートした後で、架橋処理や結晶化処理を施すことが好ましい。架橋処理及び結晶化処理は、前記第一の例において説明した方法で行うことができる。
その他、透明基板1、下部熱受容層3、光吸収層4、上部熱受容層5、反射層10、保護層15については、前記第一の例の場合と同じである。
【0044】
次に、本発明に係る追記型光記録媒体(ディスク)の製造工程の一例のフローチャートを図11に示す。各工程は公知であるが、簡単に説明すると以下の通りである。なお、S12のハードコート層形成工程は、必要に応じて行えばよい。また、中間層形成工程は、必要に応じて、S15の後に行えばよい。
S1:ガラス円盤を研磨、洗浄する。
S2:シランコートを行う。
S3:ガラス円盤上にフォトレジストをスピンコートし、所定の膜厚を有するレジスト層を形成する。
S4:溶剤をとばすためプリベークを行う。
S5:集光レンズを介してレジスト層にレーザーを照射する(カッティング)。
S6:この露光済みガラス円盤を現像処理する。
S7:レジストをTg以上に加熱し溝形状を整形する(第一ベーク)。
S8:パターンの固化のためベークを行う(第二ベーク)。
S9:蒸着、メッキを行う。
S10:ガラス円盤の凹凸面に金属膜を形成し、該金属膜を剥離することによりスタンパを作成する。
S11:スタンパを用いて射出成形を行い、所定の膜厚を有するレプリカを形成する。
S12:透明基板の片側にスピンコート法によりハードコート層を形成する。S13:透明基板の片面にスピンコート法又はスパッタ法により下部熱受容層を形成する。
S14:下部熱受容層の上にスピンコート法又はスパッタ法で光吸収層を形成する。
S15:光吸収層の上に上部熱受容層を形成する。
S16:上部熱受容層の上に反射層を形成する。
S17:必要に応じて保護層などの他の層を積層し、ディスク単板とする。(単板のままで使用する場合)
S18:必要に応じて保護層などの他の層を積層して得られる単板ディスクを2枚貼り合わせて両面ディスクとする。
S19:ディスクをカートリッジに収納する。
S20:特性の評価を行う。
このフローチャートにおいて、S7とS8の工程は同時に行うこともできる。また、S7工程の溝形状の整形は、加熱温度90〜180℃、時間5〜90分の範囲から任意に選択できる。
【0045】
本発明の追記型光記録媒体は、片面2層の記録再生可能な媒体とすることもできる。その構成としては、2枚の基板にそれぞれ下部熱受容層、光吸収層、上部熱受容層からなる3層構造(以下、3層構造という)を形成し、両者を透明な材料で貼り合わせ、どちらか一方の基板側からレーザ光を入射し、両方の3層構造に対して情報の記録及び再生を行うものである。貼り合わせ材料としては、紫外線硬化樹脂、両面テープなど平坦性の良好なものを用いる。
また、本発明の追記型光記録媒体は、1枚の基板上に3層構造を2組以上設けることもできる。その構成は、1枚の基板に2組の3層構造を形成して、基板側或いは基板と反対側からレーザ光を入射し、両方の3層構造に対して情報の記録及び再生を行うものである。
この場合において、記録再生用のレーザ光が入射する側の基板に形成された3層構造を第1組、反対側の3層構造を第2組と呼ぶと、第2組に対し情報を記録再生するためには、第1組は記録再生用レーザ光の少なくとも一部を透過しなければならない。
【0046】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。特に実施例では、ディスク状光記録媒体を対象としているが、本発明は、例えばカード状、スティック状、テープ状など、他の形態の光記録媒体にも応用できることは勿論である。
これらの実施例から、本発明の光記録媒体の層構成と記録原理が、青色レーザ波長対応の有機材料からなる追記型光記録媒体、更には高変調度が確保できる追記型光記録媒体の実現に非常に有効であることが分る。
【0047】
実施例1
図1及び図2に示すプリフォーマットパターンを有するポリカーボネート基板上に、下記〔化1〕からなる材料を用いて、下部熱受容層をスピンコート法(平均膜厚80nm)により成膜した。
次に、光吸収層として、Teをスパッタ法により膜厚6±2nmで成膜した。
次に、上部熱受容層を、下部熱受容層と同様にして膜厚50±10nmで成膜した。
更に反射層として、Agをスパッタ法により膜厚80±20nmで成膜した。
この反射層上に大日本インキ化学工業(株)のSD1700(熱伝導率1.0以下)を膜厚5μmで積層し保護層とした。
上記のようにして作製した追記型光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、下記の条件で記録を行なった。
その結果、短マーク、長マークとも、変調度が充分大きく非常に明瞭な信号が得られた。
【0048】
【化1】
Figure 2004087070
【0049】
<記録条件>
記録線速度:6.0(m/s)
記録ストラテジ:Basic strategy(基本ストラテジ)
Ttop−Tmp=1.40−0.75(T)
記録パワー:11.0(mW)
記録パターン:3T、4T、5T、8T、14Tの単一周期信号
上記の記録条件は記録媒体の記録部を観察しながら決定した。具体的には、熱受容層を境目として媒体を剥離し光学顕微鏡で観察したところ、変質部の色素材料が反射層に優先的に癒着し、非変質部は光吸収層側に優先的に癒着していた。更に、熱受容層を境目として剥離された反射層及び光吸収層にエタノールを滴下して変質の範囲を測定し、その結果を記録条件に反映させることにより、上記の記録条件を見出した。
ランドに記録した場合の記録部の断面の様子を図8に、グルーブに記録した場合の記録部の断面の様子を図9に示す。各図中の101(×印の部分)は、下部熱受容層及び上部熱受容層の材料が変質した部分を示しており、これらの図から分るように、本実施例では、熱受容層の記録スポットの中央部の色素量が減少し、溶解特性が変化する変質が見られた。
ここで、用いた記録スポット径rとは、r=λ/NA×1.22(エアリー像)で表される範囲である。
この媒体では、光吸収層に10個以上のφ=2μmのポア、4個のφ=5μmのポア、1個のφ=10μmのポアが存在し、この影響により、225μmの範囲で、平均膜厚より平均膜厚の2%以上薄い部分があったが、プレーヤーでエラー訂正され良好に再生することができた。
また、ポアが存在しない部分でも島状の平均膜厚より平均膜厚の2%以上薄い部分が確認できた。この部分は連続気泡ではなく独立気泡となっていた。
このように、記録部の形状や記録部の変質の程度を、上記変質の確認方法により確認することにより、未記録部の反射率を100とした場合の記録部の反射率を10〜250の範囲で任意に調整できる。
【0050】
実施例2
光吸収層としてSiCをスパッタ法により成膜した点以外は、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を作製し、実施例1と同様の記録を行ったところ、明瞭な信号が得られた。
光吸収層を、SiCに代えて、Fe、Ti、Zr、Ta、Cr、Mo、W、Ni、Rh、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、In、Ge、Te、Sn、Bi、Sb、Tl及びPtからなる群より選ばれる少なくとも一種の物質を用いて成膜した場合も同様の効果が得られた。
【0051】
実施例3
基板上に、SiCをスパッタ法で成膜し、その上に下記〔化2〕のシアニン色素と〔化3〕のメロシアニン色素の混合物からなる有機材料層をスピンコート法によって形成し、平均膜厚100nmの二層構造の下部熱受容層を形成した点以外は、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を作製し、実施例1と同様の記録を行ったところ、短マーク、長マークとも、変調度が充分大きく非常に明瞭な信号が得られた。
【0052】
【化2】
Figure 2004087070
【化3】
Figure 2004087070
【0053】
実施例4
基板上に、SiCをスパッタ法で成膜し、その上に、下記一般式〔化4〕で示されるフタロシアニン色素の一種であるテトラβ−(1−ベンズイミダゾリル)フタロシアニンと下記一般式〔化5〕で示されるナフタロシアニン色素の一種であるバナジル−5,14,23,32−テトラフェニル−2,3−ナフタロシアニンとの混合物からなる有機材料層をスピンコート法によって形成し、平均膜厚100nmの二層構造の下部熱受容層を形成した点以外は、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を作製し、実施例1と同様の記録を行ったところ、短マーク、長マークとも、変調度が充分大きく非常に明瞭な信号が得られた。
【0054】
【化4】
Figure 2004087070
【化5】
Figure 2004087070
【0055】
実施例5
基板上に、SiCをスパッタ法で成膜し、その上に下記一般式〔化6〕で示されるアゾ染料の一種であるR〜R=Hの染料からなる有機材料層をスピンコート法によって形成し、平均膜厚100nmの二層構造の下部熱受容層を形成した点以外は、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を作製し、実施例1と同様の記録を行ったところ、短マーク、長マークとも、変調度が充分大きく非常に明瞭な信号が得られた。
【化6】
Figure 2004087070
【0056】
実施例6〜8
図1、図2に示すプリフォーマットパターンを有するポリカーボネート基板上に、1重量%に調整されたアゾベンゼンのフッ化アルコール溶液をスピンコートし、アゾベンゼンのλmax=597nmの吸光度が0.2になるように、下部熱受容層(光吸収性を有する)を形成した。このアゾベンゼンの分解温度は387度である。
次に、この下部熱受容層上に、スパッタ法で、膜厚5nm(実施例6)、10nm(実施例7)、15nm(実施例8)のSiC膜を形成し光吸収層とした。
次に、各光吸収層上に、1重量%に調整されたアゾベンゼンのフッ化アルコール溶液をスピンコートし、アゾベンゼンのλmax=597nmの吸光度が0.4になるようにして上部熱受容層を形成した。
次に、各上部熱受容層上に、スパッタ法により膜厚100nmの銀膜を形成し反射層とした。
次に、各反射層上に、大日本インキ化学工業社製の光硬化性樹脂SD1700(熱伝導率1.0以下)を膜厚5μmで積層し保護層とした。
以上のようにして作製した実施例6〜8の媒体に、波長405nm、膜面パワー10mWの光を照射し、媒体を6m/sで回転させながら記録を行ったところ、光吸収層が光を吸収し、その熱で下部熱受容層、上部熱受容層、反射層が変形し、記録前後に十分な反射率差が得られる良好な記録を行うことができた。
【0057】
実施例9〜11
図1、図2に示すプリフォーマットパターンを有するポリカーボネート基板上に、1重量%に調整されたシアニン色素のフッ化アルコール溶液をスピンコートし、シアニン色素のλmax=632nmの吸光度が0.2になるように、下部熱受容層(光吸収性を有する)を形成した。このシアニン色素の分解温度は160度である。
次に、この下部熱受容層上に、スパッタ法で膜厚、5nm(実施例9)、10nm(実施例10)、15nm(実施例11)のSiC膜を形成し光吸収層とした。
次に、各光吸収層上に、アゾベンゼンのフッ化アルコール溶液をスピンコートし、アゾベンゼンのλmax=597nmの吸光度が0.4になるように上部熱受容層を形成した。
次に、各上部熱受容層上に、スパッタ法で膜厚100nmの銀膜を形成し反射層とした。
次に、各反射層上に、大日本インキ化学工業社製の光硬化性樹脂SD1700(熱伝導率1.0以下)を膜厚5μmで積層し保護層とした。
以上のようにして作製した実施例9〜11の媒体に、波長405nm、膜面パワー10mWの光を照射し、媒体を6m/sで回転させながら記録を行ったところ、光吸収層が光を吸収し、その熱で下部熱受容層、上部熱受容層、反射層が変形し、記録前後に十分な反射率差が得られる良好な記録を行うことができた。
【0058】
実施例12
図1、図2に示すプリフォーマットパターンを有するポリカーボネート基板1上に、銀膜をスパッタ法で成膜して反射層とし、その上に、実施例1と同じ〔化1〕で示される色素からなる有機材料層(上部熱受容層に相当)をスピンコート法によって形成し(平均膜厚100nm)、その上に、SiC光吸収層を厚さ12nmで設けた光記録媒体を作成し、その上に、〔化1〕で示される色素からなる有機材料層(下部熱受容層に相当)をスピンコート法によって形成し、更にその上に、0.1mmのポリカーボネート製保護層を積層した。
なお、405nmにおける〔化1〕の複素屈折率は、1.485−i0.069であり、追記型光記録媒体に用いる有機材料に要求される複素屈折率に対し、著しく劣った複素屈折率である(例えばDVD−Rに用いられている色素の、記録再生波長近傍での複素屈折率は、2.5−i0.10程度である)。
上記光記録媒体に対し、パルステック工業社製の光ディスク評価装置DDU−1000を用いて、以下の条件で記録を行なった結果、短マーク及び長マークとも、変調度が充分大きく非常に明瞭な信号が得られた。
<記録条件>
記録線密度:0.0917(μm/bit)
記録線速度:6.0(m/s)
記録ストラテジ:Basic strategy Ttop−Tmp=
1.40−0.75(T)
記録パワー:11.0(mW)
記録パターン:3T、4T、5T、8T、14Tの単一周期信号
【0059】
【発明の効果】
本発明1〜15によれば、大容量で波長依存性が少なく、ジッターの少ない良好な記録を行うことができる追記型光記録媒体を提供できる。
更に本発明3によれば、コントラストの大きな信号特性を有する追記型光記録媒体を提供できる。
更に本発明8によれば、記録形状の把握が容易であり、記録条件の算出が簡単な追記型光記録媒体を提供できる。
更に本発明12によれば、光から熱への変換が良好な追記型光記録媒体を提供できる。
更に本発明13によれば、記録層の多層化が可能な追記型光記録媒体を提供できる。
本発明14によれば、記録の際に光吸収層より発する熱で反射層が変形することにより大きなコントラストが得られる追記型光記録媒体を提供できる。
本発明15によれば、キズや水等から保護された追記型光記録媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の追記型光記録媒体の層構成の一例(第一の例)を示す要部拡大断面図。
【図2】本発明の追記型光記録媒体(光ディスク)の構成の一例を示す斜視図。
【図3】本発明の追記型光記録媒体の記録状態の一例を示す要部拡大断面図。
【図4】本発明の追記型光記録媒体の記録状態の一例を示す要部拡大断面図。
【図5】本発明の追記型光記録媒体の記録状態の一例を示す要部拡大断面図。
【図6】本発明の追記型光記録媒体の記録状態の一例を示す要部拡大断面図。
【図7】本発明の追記型光記録媒体の記録状態の一例を示す要部拡大断面図。
【図8】本発明の追記型光記録媒体の記録状態における熱受容層の変質の様子を示す要部拡大断面図(ランド記録の場合)。
【図9】本発明の追記型光記録媒体の記録状態における熱受容層の変質の様子を示す要部拡大断面図(グルーブ記録の場合)。
【図10】本発明の追記型光記録媒体の第二の例の要部拡大断面図。
【図11】本発明の追記型光記録媒体(ディスク)の製造工程の一例のフローチャート。
【符号の説明】
1 透明基板
1a センタ孔
2 プリフォーマットパターン
2a 案内溝
2b プリピット
2c ランド部
3 下部熱受容層
4 無機材料からなる光吸収層
5 上部熱受容層
6 中間層
10 反射層
15 保護層
101 色素の変質した部分

Claims (15)

  1. 透光性の基板上に、下部熱受容層、無機材料からなる光吸収層、上部熱受容層がこの順に設けられ、更に直接又は中間層を介して反射層が設けられた追記型光記録媒体において、下部熱受容層及び/又は上部熱受容層は、光吸収層よりも低い温度でその材料が熱的状態変化(溶融、融解、分解、昇華等)を起すか及び/又は熱による形状変化(膨張、陥没、空洞化、凹凸変形等)を起すものであることを特徴とする追記型光記録媒体。
  2. 透光性の基板上に、反射層、直接又は中間層を介して上部熱受容層、無機材料からなる光吸収層、下部熱受容層、保護層又はカバー層がこの順に設けられた追記型光記録媒体において、下部熱受容層及び/又は上部熱受容層は、光吸収層よりも低い温度でその材料が熱的状態変化(溶融、融解、分解、昇華等)を起すか及び/又は熱による形状変化(膨張、陥没、空洞化、凹凸変形等)を起すものであることを特徴とする追記型光記録媒体。
  3. 光ビームの照射により下部熱受容層、無機材料からなる光吸収層、上部熱受容層の少なくとも一層が熱による形状変化(膨張、陥没、空洞化、凹凸変形等)を起すことによって情報の記録が行われることを特徴とする請求項1又は2記載の追記型光記録媒体。
  4. 形状変化が下部熱受容層及び/又は上部熱受容層の膜厚の変化を伴い、情報を記録した部分の少なくとも一部において、その膜厚が未記録部の膜厚に比べて薄くなっていることを特徴とする請求項3記載の追記型光記録媒体。
  5. ガウス分布を示す光を照射して記録した際に、ガウス分布の中央部に対応する部分の熱受容層材料の量がガウス分布の外周部に対応する部分の熱受容層材料の量よりも少なくなり、下部熱受容層及び/又は上部熱受容層の膜厚が変化することを特徴とする請求項4記載の追記型光記録媒体。
  6. レーザ光を照射して記録した際に、下部熱受容層及び/又は上部熱受容層と無機材料からなる光吸収層との界面に空洞が形成されることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  7. 下部熱受容層及び/又は上部熱受容層が、記録マーク領域において、材料の熱的状態変化を起因として材料の溶解特性が変化する変質を起すことにより記録が行われることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  8. 材料の溶解特性が変化する変質が、変質部分の溶解性が低下して溶け難くなる方向への変質であることを特徴とする請求項7記載の追記型光記録媒体。
  9. 下部熱受容層及び/又は上部熱受容層が、分解温度が160〜400℃の有機物質を含有する材料からなり、該有機物質は、芳香族化合物、脂肪族化合物、アミド、エステル、アミン、ウレア、硫黄化合物及びヒドロキシ化合物からなる群より選択される少なくとも1つであるか、又は、アントラキノン系、ダイオキシディン系、トリフェノジチアジン系、フェナントレン系、シアニン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、メロシアニン系、ピリリウム系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、クロコニウム系、アゾ系、インジゴイド系、メチン系、アズレン系、スクアリリウム系、スルファイド系及びメタンジチオールレート系の色素からなる群より選択される少なくとも1つであり、更に、記録再生に用いる波長の照射光に対して0.4以下の吸光度を有することを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  10. 下部熱受容層及び/又は上部熱受容層が、アントラキノン系、ダイオキシディン系、トリフェノジチアジン系、フェナントレン系、シアニン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、メロシアニン系、ピリリウム系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、クロコニウム系、アゾ系、インジゴイド系、メチン系、アズレン系、スクアリリウム系、スルファイド系及びメタンジチオールレート系の色素からなる群より選択される少なくとも1つの色素に加えて、ビニールアルコール系樹脂、ビニールアセテート系樹脂、アクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂及び脂肪酸系樹脂からなる群より選択される少なくとも1つの高分子物質を50重量%以下含有する材料からなることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  11. 下部熱受容層の膜厚が5〜1000nmであり、上部熱受容層の膜厚が5〜200nmであることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  12. 無機材料からなる光吸収層が、Fe、Ti、Zr、Ta、Cr、Mo、W、Ni、Rh、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、In、Si、Ge、Te、Sn、Bi、Sb及びTlからなる群より選択される少なくとも1つからなり、厚さが5〜200nmであることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  13. 反射層が形状変化(膨張、凹凸形成等)しないことを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  14. 光を照射して情報を記録した際の無機材料からなる光吸収層から発する熱により、反射層が形状変化(膨張、凹凸形成等)して情報が記録されることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の追記型光記録媒体。
  15. 反射層の上に保護層を有することを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の追記型光記録媒体。
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WO2015020135A1 (ja) * 2013-08-07 2015-02-12 太陽誘電株式会社 光記録媒体

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