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JP2004081365A - パンツ型おむつ - Google Patents

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JP2004081365A JP2002244313A JP2002244313A JP2004081365A JP 2004081365 A JP2004081365 A JP 2004081365A JP 2002244313 A JP2002244313 A JP 2002244313A JP 2002244313 A JP2002244313 A JP 2002244313A JP 2004081365 A JP2004081365 A JP 2004081365A
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Abstract

【課題】高価な材料を使用することなく、十分な漏れ防止性能を有しつつ、ファッション性・着用感の高いパンツ型オムツを提供する。
【解決手段】液透過性の表面材と液不透過性の裏面材とこれら表面材と裏面材との間に吸収体を具備するパンツ型おむつにおいて、着用者の胴回りに位置する胴周囲部における吸収体の長手方向側部には少なくとも2枚のシートを備えるとともに吸収体の存在しないサイドフラップ領域を設け、胴周囲部に関して少なくともサイドフラップ領域には複数本の弾性部材が2枚のシート間に平均5mm以下の間隔で配設し、吸収体の剛性を350mN/50mm以下、胴周囲部全体を80%伸長させるための荷重を3〜8Nとして、サイドフラップ領域に配設された弾性部材の本数をA、前記胴周囲部全体を80%伸長させるための荷重をBNとするとき、
B/A≦0.4N
である関係が成立するように弾性部材1本当り伸長荷重を設定する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、胴周りに弾性部材を配したパンツ型オムツに関する。
【0002】
【従来の技術】
比較的高月齢の幼児や、活動の活発な大人用にパンツ型おむつが市販されている。これらパンツ型オムツは着用時の漏れやズレ落ちを防止するためにウエスト開口部分と、脚回り開口部分に弾性部材が設けられているものが一般的である。そして、ズレ落ち防止目的でこれら弾性部材に加えて、胴周囲の側部に伸長性のサイドパネルを設けたもの、さらに漏れ防止性能を高めるために胴周囲部の全周もしくは側部に複数本の弾性部材を設けたものが知られている。また、近年おむつのファッション性(意匠性)や着用感についても、通常の下着と同様な性能を求める声が高まっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、使い捨てを前提とするおむつに高価な材料は使用し難いという問題があった。また通常の下着のようにファッション性に着目して見かけのみを良くしたり、また着用感を高めるためにゆとりを持たせようとしたりすると、排泄物の漏れ防止性が疎かになってしまうという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、高価な材料を使用することなく、十分な漏れ防止性能を有しつつ、ファッション性・着用感の高いパンツ型オムツを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、下着に近い形状を保ちつつ着用感及び漏れ防止性能に優れるパンツ型おむつを安価に提供するには、前記サイドパネル形状では困難であり、やわらかな吸収体を使用し、かつ胴周囲部に複数本の弾性部材を設けることが不可欠であることを見出した。以下、本発明についてさらに具体的に説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0006】
本発明の第1の態様は、液透過性の表面材(21)と液不透過性の裏面材(22)とこれら表面材と裏面材との間に吸収体(23)を具備するパンツ型おむつであって、着用者の胴回りに位置する胴周囲部(9)における吸収体の長手方向側部には少なくとも2枚のシートを備えるとともに吸収体の存在しないサイドフラップ領域を有し、胴周囲部に関して少なくともサイドフラップ領域には複数本の弾性部材(32)が2枚のシート(24A、24B)間に平均5mm以下の間隔で配設されており、吸収体の曲げ剛性が350mN/50mm以下、胴周囲部全体を80%伸長させるための荷重は2〜8Nであり、サイドフラップ領域に配設された弾性部材の本数をA、前記胴周囲部全体を80%伸長時させるための荷重をBNとするとき、
B/A≦0.4N
であることを特徴とするパンツ型おむつ(1)を提供して前記課題を解決する。ここに、「吸収体の曲げ剛性」とは、JIS K7116に規定される「3点負荷による曲げクリープ」であり、その詳細な測定法は発明の実施の形態の項において説明する。
【0007】
この発明の第1の態様によれば、胴周囲部全体を80%伸長させるための荷重(言い換えれば、胴周囲部全体の80%伸長時応力値)Bは2〜8Nなので、装着時のズレが発生しにくい。また、荷重Bを、胴周囲部を構成する弾性部材の本数Aで除した値B/Aが0.4N以下であるので、弾性部材が幅方向に横断する部分直下の圧力(線圧)を低くおさえることができる。すなわちおむつに組み付けられた状態での弾性部材1本あたりの伸長荷重(言い換えれば弾性部材1本あたりの応力値)を所定値以下に設定したので、胴周り部における装着時のゴムの跡付きを抑制することができると共に、より良い装着感を着用者に与えることが可能となる。ここに「伸長荷重」とは、弾性部材を所定長に伸長するために必要な荷重をいう(以下同じ。)。また、吸収体の剛性は350mN/50mm以下と柔らかであるにもかかわらず、弾性体1本あたりの伸長荷重が小さいため、吸収体に必要以上に大きなしわが発生せず、着用者に違和感を与えることがなく、また、意匠性を高めることができる。また着用者の不意の動きにより大きなしわが発生するような事態を回避することができる。
【0008】
また上記のような構成をとることにより、例えばサイドフラップ領域のみならず全周に弾性部材を配した場合にも、以下に説明する利点がある。すなわち、吸収体の部分と吸収体側部部分との間に着用者が感じる柔らかさが連続的で、おむつを着用しているときに感じがちな違和感が低減される。また吸収体に大きなしわが発生することが防止され、着用時には吸収体側部のギャザーが吸収体を中央方向に引き寄せるので側部にポケット構造が形成されて染み出しを防止することができる。さらに、吸収体上にはギャザー(しわ)が形成されにくく、吸収体は縮むことがないため、吸収体の幅が確保されて、勢いよく排出された尿でもしっかりと受け止めることができる。
【0009】
この態様において、2枚のシートは裏面材よりもさらに着用者から離隔する側に設けられた不織布であって、その坪量は10〜30g/mであり、不織布を構成する繊維の繊度が1〜4dtexであり、且つ少なくとも一方のバルクソフトネスが製品の幅方向において0.1N/30mm以下であり、弾性部材と2枚のシートとは、少なくとも一方のシート側に設けられた疎水性接着剤によって固定されていることとしてもよい。
【0010】
このようにすれば、所定の物性を備えた不織布を使用することにより着用者にやさしい感触を与えることができる。また、一方の不織布側に設けられた疎水性接着剤が、弾性部材によるギャザーによって局所的に高密度化されるので、排泄物の染み出しが防止される。なお、「バルクソフトネス」とは、不織布等のやわらかさを評価する試験評価項目の1つであり、具体的な試験方法については発明の実施の形態の項において説明する。
【0011】
上記態様のオムツにおいて、ウエスト開口部胴回り方向にギャザー形成用の複数本の弾性部材を平均3mm以下の間隔をもって配設し、ウエスト開口部全体を80%伸長させるための荷重を3〜6Nとして、ウエスト開口部の弾性部材の本数をC、ウエスト開口部全体を80%伸長させるための荷重をDNとしたとき、D/C≦0.8N
なる関係が成立するように構成することもできる。
【0012】
このように構成した場合には、ウエスト部の弾性部材直下の圧力が分散されるので、おむつをはかせたり脱がせたりする際の違和感を低減することができる。また胴周りと同様にウエスト部におけるゴム跡付きの問題を解消することができる。
【0013】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0014】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態:サイドフラップ領域に弾性部材を配したパンツ型おむつ>
図1は、本発明のパンツ型おむつ(ベビー用)の一実施形態を示す斜視図である。パンツ型おむつ1は、着用者の腹側に配される腹側部2と背側に配される背側部3とその間に位置する股下部4とを備えている。腹側部2と背側部3との両側縁部が互いに接合されて、ウエスト開口部5及び一対のレッグ開口部6A、6Bが形成されている。ウエスト開口部5端とレッグ開口部6A、6B端とのおむつ長手方向間の距離を3分割したときにウエスト開口部5より3分の1の範囲にあるウエスト部7には、胴回り全周にわたって、ウエストギャザー8が形成されている。またウエスト部7の下方に位置し、上記3分の1を除いた範囲の胴回り部9には、胴回りギャザー10が形成されている。胴回りギャザー10は、胴回り部9の全周には配置されておらず、胴回り側部のみに配されている。さらに一対のレッグ開口部6A、6Bには、開口部の全周にわたってレッグギャザー11A、11B(11Bは図示せず)が形成されている。
【0015】
図2は、図1に示すパンツ型おむつ1を組み立てる前の状態を、着用者の肌に接する側から見た伸長状態での平面図である。また、図3は図2におけるIII−III線断面図である。図2及び図3において、パンツ型おむつ1は、液透過性の表面材21と液不透過性の裏面材22と両部材21、22の間に介在する液保持性の吸収体23とを備えた実質的に縦長の吸収体本体20と、該吸収体本体20の裏面材22側に配された外層体24とを備えている。吸収体23は、吸収体台紙25によって被覆されている。外層体24は、裏面材22側のレッグカバー不織布24Aと、レッグカバー不織布24Aに対向するようにパンツ型おむつ1の最外表面側に配置された外層不織布24Bとにより構成されている。
【0016】
表面材21と裏面材22とはいずれも長方形に形成されている。吸収体23は長方形、又は長方形の両長辺の中央部が内側方向にえぐられた砂時計形状に形成されている。これら表面材21、裏面材22、及び吸収体23は所定の手段により互いに接合されて、全体として長方形の吸収体本体20を形成している。吸収体本体20は、その長手方向を外層体24の長手方向に一致させて外層体24の略中央部に配置されている。外層体24は、パンツ型おむつ1の外形を形成している。外層体24を構成する外層不織布24Bはパンツ型おむつ1の最外表面をなしている。レッグカバー不織布24Aは外層不織布24Bの内面側に接合されている。外層体24は、その両側縁が、長手方向中央部において内側にえぐられた砂時計形状に形成されている。外層体24を構成するレッグカバー不織布24Aと外層不織布24Bとの間には、左右のレッグ開口部6A、6Bの周囲に沿って、レッグ部弾性部材30A、30Bがそれぞれ3本伸長状態にて配されている。これによって、パンツ型おむつ1が組み立てられたときに、レッグ開口部6A、6Bの周囲を巡って完全に連続したレッグ開口部ギャザー11A、11Bが形成される。
【0017】
吸収体本体20の左右両側には、立体ギャザー26A、26Bが形成されている。各立体ギャザー26A、26Bは、吸収体本体20の長手方向に沿って固定端27A、27B及び自由端28A、28Bを有している。固定端27A、27Bは、表面材21に固定されている。一方、自由端28A、28Bの近傍には、立体ギャザー用弾性部材29A、29Bが伸長状態で配されている。これによって立体ギャザー26A、26Bが起立して、吸収体本体20の幅方向への液のモレが防止される。
【0018】
図4(a)は図2におけるIV−IV線断面図である。以下に図1、図2及び図4(a)を参照しつつウエストギャザー8及び胴回りギャザー10について説明する。
【0019】
外層体24における前後端部には、前後端縁5A、5B(パンツ型おむつ1を組み立てた状態におけるウエスト開口部5の縁)に沿って、複数のウエスト部弾性部材31がおむつの周方向に配されている。ウエスト部弾性部材31は、レッグカバー不織布24Aと外層不織布24Bとにより、伸長状態で挟持固定されている。ウエスト部弾性部材31のそれぞれは、パンツ型おむつ1の腹側部2の両側縁2A、2Bと背側部3の両側縁3A、3Bとを互いに接合させたときに、弾性部材31それぞれの端部がほぼ重なるように配置されている。これによって、ウエスト部弾性部材31は、パンツ型おむつ1のウエスト開口部5の周方向に向けて整然と配列され、図1に示されるように、ウエスト開口部5には実質的に連続した環状のウエストギャザー8が形成される。
【0020】
胴回り部9は、ウエスト開口部5の端部とレッグ開口部6A、6Bの端部とのおむつ長手方向間の距離を3分割したときに、ウエスト開口部5から3分の1の領域を除いたレッグ開口部6A、6B寄り3分の2の領域をさす。本実施形態においては、胴回り弾性部材32は、少なくとも上記3分割領域の中央3分の1の領域に配されている。各胴回り弾性部材32は、パンツ型おむつ1の腹側部2及び背側部3において、吸収体23の両側縁よりも外方の領域41A、41B;42A、42Bに配置されている。また、各胴回り弾性部材32は、伸縮弾性を発現することができるようにレッグカバー不織布24Aと外層不織布24Bとによって伸長状態で挟持固定されている。各胴回り弾性部材32は、パンツ型おむつ1の腹側部2の両側縁2A、2Bと背側部3の両側縁3A、3Bとを互いに接合させたときに、それぞれの弾性部材32の端部同士が概略重なるように配置されている。このようにすることによって、胴回り弾性部材32は、パンツ型おむつ1の胴回り部9の周方向に向けて整然と配列され、パンツ型おむつ1における吸収体23の両側縁よりも外方の領域41A、41B;42A、42Bに、図1に示されているように、胴回りギャザー10が形成される。
【0021】
本実施形態において、胴周囲部全体を80%伸長させるための荷重は、着用者の胴回りに適度な応力にてフィットさせて、ズレ落ちを発生させることがなく、また必要以上に着用者の胴回りを締め付けることを防止するという観点から、2〜8N、好ましくは3〜7N、さらに好ましくは4〜6Nに設定することが望ましい。また、胴周囲部全体を80%伸長させるための荷重を「B」N、胴周囲部を構成する弾性部材の本数を「A」としたとき、BをAで除した値「B/A」が0.4N以下、好ましくは0.3N以下、さらに好ましくは0.25N以下にすることが望ましい。このように胴周囲部を構成している弾性部材一本あたりを80%伸長させるための荷重「B/A」を設定することによって、弾性部材が幅方向に横断する部分における直下の圧力(線圧)を低くおさえることができる。これにより、胴周り部における装着時のゴムの跡付きを抑制することができる。さらにより良い装着感を着用者に与えることができる。なお、「80%伸長させるための荷重」は、パンツ型おむつの胴回り部のみを環状の状態で切り出し、胴回り部を最大伸長したときの長さを100%としたとき、80%まで伸長させるための荷重であって、テンシロン万能試験機により測定することができる。
【0022】
また、本実施形態における吸収体の曲げ剛性は350mN/50mm以下、好ましくは300mN/50mm以下、さらに好ましくは250mN/50mm以下に設定することが望ましい。このように設定することにより、やわらかな吸収体を実現することが可能となる。吸収体がやわらかいことによって、着用者に違和感を与えることがなくなる。また、おむつにファッション性を与えることができる。さらに、着用者が不意の動きをしても大きなしわができることがない。このようなやわらかな吸収体を形成するには、吸収体に使用する解繊パルプの坪量や、成型時のプレスの条件などをおむつ全体の厚さが所定以上にならないような条件のもとで、適切に決定することが必要である。また、吸収体に吸水性ポリマーを混入して使用する場合には、該ポリマーの混入は吸収体をやわらかくすることに対する制限条件として働くので、少量の使用で済むポリマー、すなわち少量にて多量の水分を吸収する高性能のポリマーを使用することが好ましい。
【0023】
なお、吸収体の曲げ剛性の測定は、テンシロン試験機〔株式会社オリエンテック製のRTC−1150A〕を用い、JIS規格K7116法(プラスチック−曲げ特性の試験方法)に準拠して測定を行う(R1=5.0±0.1mm、R2=5.0±0.2mm一定)。
【0024】
試験片をエッジスパン間Lを50mmとした支持台の両エッジ間に渡すように置き、試験片に僅かに接するように圧子先端部を配置する。ロードセル5kg(レンジ1.96N)、速度30mm/minの条件で、圧子を降下させ、荷重−たわみ曲線を得る。得られた曲げ荷重の最大値を曲げ剛性値(mN/50mm)とする。
【0025】
試験片はギャザーを除去したおむつから、測定に影響するような折り目、しわ等が含まれないように表面材から裏面材までの構成部材を含めておむつの長手方向50mm、幅方向80mmの長方形の大きさに切り出す。曲げ剛性値の単位の50mmは試験片の短辺の長さであり、試験時の圧子でたわませた試験片の幅である。
【0026】
本実施形態のパンツ型おむつ1では、おむつのやさしい感触を妨げることなく排泄物の染み出し防止効果を得るという観点から、各胴回り弾性部材32を糸ゴムで構成し、その太さを390dtex以下、好ましくは310dtex以下にすることが望ましい。各胴回り弾性部材32の太さがこれを超えると、着用者及び着用者に装着を行う保護者が「やわらかさ」や「やさしさ」を実感することが難しくなり、着用者の肌にゴム跡付きが生じ易くなる。また、弾性部材32に直接接着剤を塗布することが好ましい。このようにした場合、通常抜けやすい糸ゴムを、どのような伸縮の状態となっても抜け難いものとして、上記効果を確実なものとすることができる。
【0027】
さらに、各胴回り弾性部材32はそれぞれの間隔が平均5mm以下となるように配置することが好ましい。このようにすることによって、パンツ型おむつ1が着用者からズレ落ちるのを防止するのに必要な本数の胴回り弾性部材32を胴回り部9に確保して配置することができる。また、上記太さに設定された糸ゴムの弾性部材32を、5mm以下の平均間隔で配置したことで、広い範囲のサイズ(例えば12kg〜22kgの着用者範囲)で、やさしくかつやわらかな感触を着用者に与えることができる。
【0028】
このような配置で弾性部材32が胴回り部9における吸収体本体20の側部に設けられることによって、所定部位のみの締め付けによる心地よいフィット感が得られると共に、意外にも漏れ防止効果も高められる。このメカニズムは明らかではないが、以下のように推察される。すなわち、排泄された尿や軟便は吸吸体23中を拡散し易く、特に寝ている状態では胴回り部9への移行傾向が高い。その場合、胴回り部9の吸収体23上において一度尿や軟便は停滞し、その後に吸収体23へ吸収されてゆく。ところが、吸収体23の剛性が低いような場合には側部のギャザーが大きいとそこから吸収体23側部へ、更には吸収体23外へと移動しうる状態が形成されていると考えられる。しかし、本実施形態のように1本1本の伸長荷重が上述のような特性を有し、その配設ピッチを小さくすることでギャザーが小さくなり、側部方向への尿等の移動を妨げるものと考えられる。
【0029】
また、本実施形態においては従来よりも細い弾性体を使用するために、当該弾性部材を貼付ける相手方のシート部材との貼り付け強度が出難い。このために弾性体に接着剤を直接塗工することが好ましい。この場合には、細かいギャザーが形成されることによって、接着剤の高密度領域が、粗いギャザーが形成されたものに較べて密になる。このために、吸収体本体の上面(液透過性のトップシート等)を伝わって染み出そうとする排泄物を遮断する能力が高いものと考えられる。
【0030】
更に、本実施態様で示したように吸収体の外側両側部に立体ガード26を設けた場合には、細かいギャザーと相俟って漏れ防止効果が高められる。これは、以下のようなメカニズムによるものと推察される。すなわち、立体ギャザーは通常液が吸収体側縁部に到達した際に漏れを物理的に防止する立体的な空間(ポケット)を形成しているが、弾性体の伸長荷重が強いと吸収体側縁部の収縮によって前記立体ガード26も収縮し、ポケットの容量を下げてしまう恐れがある。これに対して本実施形態におけるように弾性体1本1本の伸長荷重が上述のような特性を有しかつ配設ピッチを小さくすることによって、吸収体側縁部における収縮は低減され、その結果、漏れ防止ポケットの容量を設計通りに保つことが可能となり、漏れ防止性能が改善される。
【0031】
ウエスト部弾性部材31を伸長状態で挟持固定するレッグカバー不織布24Aと外層不織布24Bとは、着用者にやさしい感触を与えようとする観点から、坪量を10g/m〜30g/m、好ましくは15g/m〜25g/m、さらに好ましくは15g/m〜20g/mに設定することが望ましい。また、レッグカバー不織布24Aと外層不織布24Bとのうち、いずれか一方は疎水性接着剤にて固定することが好ましい。このようにすると、疎水性接着剤が、弾性部材によるギャザーにより局所的に高密度化されて、排泄物の染み出しを防止することができる。胴回り弾性部材32は、レッグカバー不織布24Aと外層不織布24Bとの間に固定されているので、胴回り弾性部材32のいわゆる「抜け」を防止して、確実に固定することができる。また、胴回り弾性体32を固定保持する2枚のシートが不織布で構成されるので、胴回りの伸縮性が阻害されることがなく、着用者にやわらかな感触を与えることができ、かつ低廉なコストにてシート材料を入手することができる。
【0032】
本実施形態においては、上述の効果を有効に得る目的で、上記個々の弾性部材として糸ゴムを使用し、かつ従来よりも細いもの(具体的には390dtex以下、さらに好ましくは310dtex以下)を使用している。ところで、このような細い弾性部材は、製造工程でおむつのシート部材へ導入する際に導入部と接触して大きな摩擦力を受けて破断しやすい環境に置かれる。このために細い弾性部材には、摩擦力の低減を目的としてその表面に油剤が施されている。これがおむつのシート部材との接着を阻害するものとなって、固定することが困難となり、例え一時的には固定することができても、広いサイズ適合性を要求されるおむつの大きな伸縮幅には耐えられず、シート部材から弾性部材が剥がれてしまうものと考えられていたのである。しかし本願発明者らは、弾性部材物性、シート部材種類、接着剤種類及び製造面の工夫等によって、上述の常識を打ち破った。
【0033】
具体的には、以下の▲1▼〜▲4▼の素材面での工夫と、▲5▼の製造面での工夫とを組み合わせることによって、上記常識を覆すことが可能となった。
▲1▼ 弾性部材として、伸長率の増加に対する荷重の増加率の低いもの(3倍に伸長させるための荷重が2倍に伸長させるための荷重の2倍以下)を使用する。
▲2▼ 弾性部材を挟持固定する2枚のシート材として、坪量が10〜30g/mのものを使用する。
▲3▼ 上記2枚のシート材のうち、少なくとも一方は構成する繊維太さ(平均)が4.5dtex以下(好ましくは2.0dtex以下)のものを使用する。
▲4▼ 接着剤として、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体系のホットメルトを使用する。
▲5▼ 弾性部材に接着剤を10〜50g/m(好ましくは20〜40g/m)塗工して2枚のシート材に接着固定する。
【0034】
胴回り弾性部材32を固定する上記2枚の不織布は、互いに接着されていることが好ましい。この際、接着剤はレッグカバー不織布24Aと外層不織布24Bのうち少なくとも一方に塗布すればよい。また、これら不織布に接着剤を塗布することによって胴回り弾性部材32の固定がより堅固なものとなり、着用者がイレギュラーな激しい動きをしても弾性部材が抜け落ちることがなくなる。なお、この際にはこれら不織布への接着剤塗工量を従来よりも減らすことができ(具体的には塗工量は1〜8g/m)、細い弾性部材を短いピッチで配して生じたギャザーと相俟って、おむつにやわらかな風合いを与えることができる。
【0035】
図5は従来のパンツ型おむつの一例を示す斜視図である。また図4(b)は、従来のパンツ型おむつの図4(a)と同一位置に対応する断面図である。図1と図5とを比較すれば本実施形態にかかるパンツ型おむつ1の胴回りギャザーがより細かく、より多数形成されていることが明らかとなるであろう。また図4において(a)と(b)とを比較すれば、個々の胴回り弾性部材の太さ、及び使用本数の差が明らかとなる。
【0036】
本実施形態のパンツ型おむつ1を製造する方法の一例を以下に示す。外層体24を製造するには、まず、外層不織布24Bの全面にホットメルト接着剤を塗布する。次に、胴回り部9に、外層不織布24Bの幅方向に、胴回り部弾性部材32を所定の伸長状態で配設固定する。そして、ウエスト部弾性部材31及びレッグ部弾性部材30Bをそれぞれ所定位置に所定の伸長状態で配設固定する。その後、外層不織布24B上にレッグカバー不織布24Aを重ね合わせて両者を接合する。次いで、胴回り部弾性部材32をその幅方向中央部において切断する。このようにして、外層体24が得られる。一方、通常の製法に従って、吸収体本体20を製造する。しかる後に、吸収体本体20と外層体24とを部分接合によって固定する。更に、外層体24における腹側部2及び背側部3の左右両側縁2A、2B;3A、3Bをそれぞれ接合固定してパンツ型とし、本実施形態のパンツ型おむつ1が得られる。この接合には例えばヒートシール、高周波シール、超音波シール等の方法を好適に使用することができる。
【0037】
本実施形態のパンツ型おむつ1を構成する表面材21は、排泄物を吸収体23へ透過させる液透過性シートで、肌着に近い感触を有するものが好ましく、このような液透過性シートとしては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等が好ましい。
【0038】
また、裏面材22の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの高分子の液不透過性シートが好適に使用される。ムレ防止の観点からは、さらにこれらのシートに透湿性を付与して使用することが好ましい。
【0039】
吸収体23は、解繊パルプを主材として、高分子吸水ポリマーを併用したものが好ましく、また熱可塑性樹脂、セルロース繊維、高分子吸水ポリマーの混合物に熱処理を施したものが好ましい。吸収性本体の形状は矩形、砂時計型等が好ましく、またその構成は、単層からなるもの、2層を重ねあわせたもの等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0040】
立体ギャザー用弾性部材29A、29B、レッグ部弾性部材30A、30B、及びウエスト部弾性部材31は、天然ゴムや合成ゴムからなるエラストマーであり、その形態として糸状やフィラメント状、フィルム状、帯状のもののいずれかを使用することが好ましい。
【0041】
胴回り弾性部材32は、例えば、東レ・デュポン株式会社製の「Lycra」(商品名:登録商標)、旭化成株式会社製の「Roica」(商品名:登録商標)、アサヒテック株式会社製の「シルバークイーン」(商品名:登録商標)等を使用することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
レックカバー不繊布24A、外層不繊布24Bとしてはエアースルー不繊布、ヒートロール不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、メルトブローンとスパンボンドとを積層したもの(例えばSMS、SMMS等)等一般的なものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。不織布を構成する繊維としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンーポリプロピレンランダム共重合体を主成分とする樹脂等のポリオレフイン系繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等が好ましい。繊維の構造は単独繊維、芯/鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維等が挙げられる。
【0043】
レッグカバー不織布に関しては風合い(肌触り感)、コスト、強度の点、特に胴回り弾性部材の固定安定等を考慮するとスパンボンド不織布、またはSMS、SMMSが好ましい。またその繊維の太さは良好な風合いを得るという観点から3.0dtex以下が好ましい。
【0044】
また、外層不織布24Bに関しては風合い(肌触り感)、コスト、毛羽立ち性の観点から、エアースルー不織布が好ましい。その繊維の太さは風合い、特に細かいシャーリングの風合いを良好なものとするという観点から2.0dtex以下が好ましい。レッグカバー不織布24A、外層不織布24Bともに液の防漏性を考慮すると撥水処理が施されているものがより好ましい。もしレッグカバー不織布24Aにスパンボンド系以外の不織布を用いるときは、外層不織布24Bにスパンボンド系不織布を使用してもよい。いずれか一方にスパンボンド系不織布を使用すると胴回り弾性部材32の固定安定性がより高まるからである。
【0045】
接着剤は、製造工程の簡略化、接着強度の確保等の観点からホットメルト系接着剤が好ましく使用されるが、本発明はこれに限定されるものではなく、適宜酢酸ビニル、石油樹脂、コールドグルー等を使用することもできる。
【0046】
本願発明者等は、風合いの良好なパンツ型オムツを構成するため、使用する不織布のやわらかさを評価するべく「バルクソフトネス」なる観念を導入した。以下にバルクソフトネスを評価する方法について説明する。
【0047】
[試験片の調製]
製品より弾性体を保持している2枚のシートを取り出し、有機溶媒を用いて分離する。完全に乾燥させた後、製品の幅方向に30mm、長さ方向に150mmの矩形に切り取る(図9(a)参照)。各試験片を、直径が45mm、高さが30mmの円筒になるようにし(重なり幅:約8mm)、上端と下端を超音波シーラーで接着し、測定サンプルとする。(図9(b)参照)
[測定方法]
圧縮試験機を用いて、測定サンプルの上端周囲を円筒方向に、圧縮速度10mm/min.で圧縮した時に示す最大荷重を測定し、バルクソフトネスとする。
【0048】
【実施例】
▲1▼ 手触り感の評価
胴回り部の柔らかさの指標として接触時の抵抗力の測定を行った。
[測定装置]
カーテック株式会社製 自動化表面試験機(KESFB4−AUTO−A)を使用した。
[測定方法]
アクリル板上に未伸長状態のサンプルを両面テープで固定し、サンプル面を上にして試料台にセットし、測定を行った。
[測定条件]
測定速度(試料台の移動スピード)を1mm/sec、摩擦測定荷重(W)を0.5Nとした。測定から得られる平均表面摩擦係数(μ)を用い、次式から摩擦力((F)、抵抗力)を求めた。なお測定は少なくとも3回行い、その摩擦力の平均値をもって柔らかさとした。
F=μW
[測定結果]
【0049】
【表1】
Figure 2004081365
【0050】
本発明にかかるパンツ型おむつの柔らかさは、従来品と比較して数値が小であった。すなわち摩擦力が小さく、従来品より柔らかなことを示している。
【0051】
▲2▼ 弾性体直下にかかる装着圧
[測定方法]
周長=570mmの塩ビ管におむつを装着し(Lサイズ)、胴回り部側部の装着圧を測定した。測定装置として、株式会社エイ エム アイ社製、衣服圧測定器(AMI3037−2)を使用し、装着圧の値を、測定に用いたセンサーにかかっている弾性体の本数で除した値を弾性体直下における装着圧とした。胴回り部側部の各点における測定値を頻度(%)として表示した。サンプルは表1における実施例1及び比較例1とした。
[測定結果]
【0052】
【表2】
Figure 2004081365
【0053】
従来のパンツ型おむつに比較して、本発明にかかるパンツ型おむつは、弾性体直下における装着圧が低く、すなわち圧力の部分的集中の度合いが低くなり、圧力の分散が実現され、平均値も低くなっている。もって、着用者の肌にゴム跡付きが生じることがなく、やわらかくやさしい感触を得ることができる。
【0054】
▲3▼ 各種性能評価
吸収体の剛性、胴周囲部に配される弾性体の繊度、及び弾性体を配置する間隔を各種変化させてサンプルを作製し、これらのサンプルについて、胴周囲部全体を80%伸長させるための荷重B、外観(ファッション性)、胴回り部へのゴム跡付き、ズレ落ち、吸収性能について評価した。各評価項目に該当する試験の方法は以下のとおりである。
(1)胴周囲部全体を80%伸長させるための荷重B
「胴回り部における80%伸長させるための荷重」はパンツ型おむつの胴回り部のみを環状の状態で切り出し、胴回り部を最大伸長した時の長さを100%とした時、80%まで伸長させるための荷重であり、試験速度300mm/分の条件の下、テンシロン万能試験機にて測定した。
(2)外観(ファッション性)
サンプルをモデルに装着し、外観を目視にて観察評価した。
(3)ゴム跡付き
サンプルを標準的な体型のモニターに装着し、3時間後のゴム跡付きを目視にて判定した。
(4)吸収性能
股部から液を注入することができるモデルにサンプルを装着し、横寝状態にて評価液を股部より注入した。評価液は生理食塩水(0.9wt%)とし、5g/secの速度にて1回あたり40g注入した。2回目以降は5分おきにモレが生じるまで行い、モレが生じたときまでに注入した総液量(g)を吸収性能とした。(5)ズレ落ち防止性能
サンプルを標準的な体型のモニターに装着し、3時間後のおむつのずれ落ち状態を目視にて評価した。
【0055】
以上に説明した各試験の結果をまとめて表3に示す。
【0056】
【表3】
Figure 2004081365
【0057】
*1:○は良好な外観であることを意味し、△はしわ等により○よりは少し劣ることを意味し、×は△より更に劣ることを意味する。
*2:○はゴム跡付きがほとんどないことを意味し、×はゴム跡付きが生じたことを意味する。
*3:○は装着後においてずれ落ち時がほとんどない理想的な状態であることを意味し、×はずれ落ちが生じたことを意味する。
*4:○は理想的な吸収性能を意味し、△は○と比較してやや劣っていることを意味する。
【0058】
▲4▼ 断面拡大比較
本発明にかかるパンツ型おむつ(実施例1)、及び従来のパンツ型おむつ(比較例2)の胴側面部を、立位における水平方向に切断して、切断面の顕微鏡写真を撮影し、両者を比較した。図6(a)は、本発明にかかるパンツ型おむつ、(b)は従来のパンツ型おむつの断面顕微鏡写真を示している。各写真におけるスケールの長さは5mmを表している。両者を比較すれば明らかなように、本発明にかかるパンツ型おむつは、従来のパンツ型おむつより細かなギャザーが多数形成されている。これによっても、圧力の部分的集中の度合いが低くなり、圧力の分散が実現されて、着用者の肌に局部的に高い圧力を生じる部分がなく、ゴム跡付きが生じることがないことがわかる。
【0059】
<第2実施形態:ウエスト部にも細かいギャザーが形成されたパンツ型おむつ>
図7は、本発明の第2実施形態のパンツ型おむつ100を示す斜視図である。本実施形態のパンツ型おむつ100は、基本構造は第一実施形態のパンツ型おむつ1と同様であるが、胴回りギャザー110に加えてウエストギャザー108にもギャザー形成用弾性部材として細い糸ゴムを使用して、細かなギャザー形成を実現している。具体的には、ウエスト開口部胴回り方向にギャザー形成用の複数本の弾性部材を平均3mm以下の間隔をもって配設している。また、ウエスト開口部全体を80%伸長させるための荷重を3〜6N、好ましくは4〜5Nの範囲に設定している。更に、ウエスト開口部の弾性部材の本数をC、ウエスト開口部全体を80%伸長させるための荷重をDNとしたとき、
D/C≦0.8N
なる関係が成立するように弾性部材1本あたりの伸長荷重を設定しても良い。
【0060】
このように構成した場合には、ウエスト部の弾性部材直下の圧力が分散されるので、おむつをはかせたり脱がせたりする際の違和感を低減することができる。また胴周りと同様にウエスト部におけるゴム跡付きの問題を解消することができる。
【0061】
また、漏れ防止性能をより高めるという観点から、ウエスト開口部全体を80%伸長させるための荷重を、胴周囲部全体を80%伸長させるための荷重より大であるように構成することが好ましい。
【0062】
このように構成すれば、胴周り部よりもウエスト部の伸長荷重を大きく取ることによって、胴周囲部における着用者への押し付け圧力が緩和され、吸収体側部によって形成されるポケット構造がより有効なものとなる。
【0063】
本実施形態のパンツ型おむつ100を製造する方法は、第一実施形態のパンツ型おむつ1に関して説明したものと基本的に同一である。ウエスト部への弾性部材を所定位置に所定の伸長状態で配設固定する際に上記条件を充たすように行えばよい。
【0064】
<第3実施形態:全周に弾性部材を配したパンツ型おむつ>
図8は、本発明の第3実施形態のパンツ型おむつ200を示す斜視図である。本実施形態においては、第2実施形態のパンツ型おむつ100と同様にウエストギャザー208にギャザー形成用弾性部材として細い糸ゴムを使用して細かなギャザー形成を実現していることに加えて、細かな胴回りギャザー210が胴回り部209の全周に配置されている。この点において胴周りギャザーが胴回り側部のみに配されている第2実施形態にかかるパンツ型おむつ100とは異なっているが他の構成は同一である。
【0065】
このような胴回り全周に弾性部材を配したパンツ型おむつを製造する方法の一例を以下に示す。外層体を製造するには、まず、外層不織布の全面にホットメルト接着剤を塗布する。次に、胴回り部に、外層不織布の幅方向に、胴回り部弾性部材を全長にわたり伸長状態で配設固定する。そして、ウエスト部弾性部材及びレッグ部弾性部材をそれぞれ所定位置に所定の伸長状態で配設固定する。その後、外層不織布上にレッグカバー不織布を重ね合わせて両者を接合する。次いで、胴回り部弾性部材をその幅方向中央部において切断する。
このようにして、外層体が得られる。一方、通常の製法に従って、吸収体本体を製造する。しかる後に、吸収体本体と外層体とを部分接合によって固定する。更に、外層体における腹側部及び背側部の左右両側縁をそれぞれ接合固定してパンツ型とし、本実施形態のパンツ型おむつ200が得られる。
【0066】
このように、胴回り部209全周に弾性部材を配したことによって、吸収体の部分と吸収体側部部分との間に着用者が感じる柔らかさが連続的なものとなって、おむつを着用しているときに感じがちな違和感を低減することができる。また吸収体に大きなしわが発生することが防止され、着用時には吸収体側部のギャザーが吸収体を中央方向に引き寄せるので側部にポケット構造が形成されて染み出しを防止することができる。さらに、吸収体上にはギャザーが形成されにくく、吸収体は縮むことがないため、吸収体の幅が確保されて、勢いよく排出された尿でもしっかりと受け止めることができるという利点がある。
【0067】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うパンツ型おむつもまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0068】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のパンツ型おむつによれば、胴周囲部全体を80%伸長させるための荷重Bは2〜8Nなので、装着時のズレが発生しにくい。また、荷重Bを、胴周囲部を構成する弾性部材の本数Aで除した値B/Aが0.4N以下であるので、弾性部材が幅方向に横断する部分直下の圧力(線圧)を低くおさえることができる。すなわち弾性部材1本あたりの伸長荷重を所定値以下に設定したので、胴周り部における装着時のゴムの跡付きを抑制することができると共に、より良い装着感を着用者に与えることができる。
【0069】
また、吸収体の剛性は350mN/50mm以下と、柔らかであり、これによって吸収体に必要以上に大きなしわが発生しないので、着用者に違和感を与えることがなく、また、意匠性を高めることができる。さらに着用者の不意の動きにより大きなしわが発生するような事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパンツ型おむつの一実施例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すパンツ型おむつを組み立てる前の状態を表面材側から見た伸長状態での平面図である。
【図3】図2におけるIII−III線断面図である。
【図4】(a)は図2におけるIV−IV線断面図、(b)は従来のパンツ型おむつにおける(a)に相当する断面図である。
【図5】従来のパンツ型おむつの一例を示す斜視図である。
【図6】本発明にかかるパンツ型おむつと従来のパンツ型おむつの胴回り側部の断面顕微鏡写真である。
【図7】本発明の第2実施形態のパンツ型おむつを示す斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態のパンツ型おむつを示す斜視図である。
【図9】バルクソフトネス試験の試料を示す図である。
【符号の説明】
1、100、200 パンツ型おむつ
9 胴周囲部(胴回り部)
21 表面材
22 裏面材
23 吸収体
24A レッグカバー不織布(シート)
24B 外層不織布(シート)
32 胴回り弾性部材

Claims (6)

  1. 液透過性の表面材と、液不透過性の裏面材と、これら表面材と裏面材との間に吸収体を具備するパンツ型おむつであって、
    着用者の胴回りに位置する胴周囲部における前記吸収体の長手方向側部には、少なくとも2枚のシートを備えるとともに、吸収体の存在しないサイドフラップ領域を有し、
    前記胴周囲部に関して、少なくとも前記サイドフラップ領域には複数本の弾性部材が前記2枚のシート間に平均5mm以下の間隔で配設されており、
    前記吸収体の曲げ剛性が350mN/50mm以下、前記胴周囲部全体を80%伸長させるための荷重は2〜8Nであり、
    前記サイドフラップ領域に配設された弾性部材の本数をA、前記胴周囲部全体を80%伸長させるための荷重をBNとするとき、
    B/A≦0.4N
    であることを特徴とするパンツ型おむつ。
  2. 前記2枚のシートは前記裏面材よりもさらに前記着用者から離隔する側に設けられた不織布であって、
    前記不織布はその坪量が10〜30g/mであり、不織布を構成する繊維の繊度が1〜4dtexであり、且つ少なくとも一方のバルクソフトネスが製品の幅方向において0.1N/30mm以下であり、前記弾性部材と前記2枚のシートとは、少なくとも一方のシート側に設けられた疎水性接着剤によって固定されていることを特徴とする請求項1に記載のパンツ型おむつ。
  3. 前記弾性部材は糸ゴムであり、その太さは390dtex以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパンツ型おむつ。
  4. 前記弾性部材に直接接着剤が塗布されていることを特徴とする請求項3に記載のパンツ型おむつ。
  5. ウエスト開口部胴回り方向にギャザー形成用の複数本の弾性部材が平均3mm以下の間隔をもって配設され、
    前記ウエスト開口部全体を80%伸長させるための荷重は3〜6Nであり、
    前記ウエスト開口部の弾性部材の本数をC、前記ウエスト開口部全体を80%伸長させるための荷重をDNとしたとき、
    D/C≦80N
    であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載されたパンツ型おむつ。
  6. 前記ウエスト開口部全体を80%伸長させるための荷重が、前記胴周囲部全体を80%伸長させるための荷重より大であることを特徴とする請求5に記載のパンツ型おむつ。
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