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JP2004077410A - ターゲット投影式3次元形状計測方法および装置 - Google Patents

ターゲット投影式3次元形状計測方法および装置 Download PDF

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JP2004077410A JP2002241551A JP2002241551A JP2004077410A JP 2004077410 A JP2004077410 A JP 2004077410A JP 2002241551 A JP2002241551 A JP 2002241551A JP 2002241551 A JP2002241551 A JP 2002241551A JP 2004077410 A JP2004077410 A JP 2004077410A
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Abstract

【課題】数m角以上の巨大な対象物体の3次元形状を、短時間で精度良く計測することができる3次元形状計測方法および装置を提供する。
【解決手段】縦横2本のスリット光2、3を順次位置を変えながら対象物1に照射し、それぞれのスリット光の投影位置4を撮影し、その交点5及び/又は消失点6を特徴点として3次元位置を計測する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、数m角以上の巨大な対象物体の3次元形状を、短時間で精度良く計測するターゲット投影式3次元形状計測方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
数m角以上の巨大な対象物体の3次元形状を計測する手段として、特開平3−131706号、特開平5−26639号、特開2001−116526、等が既に提案されている。
【0003】
特開平3−131706号の「3次元位置計測装置」は、図10に示すように、対象物51を撮像する第1と第2の2つの撮像装置52、53を有し、2つの撮像装置から得られる2枚の画像に基づいて対象物の3次元位置を計測する装置である。また、対象物51を含む空間に向けてスリット光54を投光するスリット光投光装置55を具備し、3角測量の原理で対象物面上のスリット像の奥行きを求め、両眼立体視で対応探索における水平走査線上の探索範囲を制限するようになっている。
【0004】
また、特開平5−26639号の「3次元測定方法」は、図11に示すように、ワーク61の周囲、或いは被測定物上の少なくとも4箇所に基準点部材62を付設すると共に、2点の距離が既知のリファレンスバー63を付設しておき、2台以上のCCDカメラ64からの画像データによる測定点の位置算出時、先ず、この画像データ中の上記各基準点部材及びリファレンスバーの2点の距離から、2台以上のCCDカメラの絶対的な位置を算出し、この後、このデータを基準として測定点の位置を算出し、更に、上記画像データが変わる毎に、2台以上のCCDカメラの絶対的な位置を算出し直すようにしたものである。
【0005】
また、特開2001−116526の「3次元形状計測装置」は、図12に示すように、パターンコードに基づいて3値以上に強度変調された複数の領域からなるパターン光をレーザ光によって生成し物体に投影する投影手段71と、前記パターン光の投影によって物体から反射された光を撮影してパターン像を得る撮影手段72と、前記パターンコードとパターン像に基づいて物体までの距離情報を演算する演算手段73とを備えたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の3次元形状計測手段は、位置検出ターゲットを対象物に投影することで対象物の3次元形状を計測する手段(例えば特開2001−116526)、レーザスリット光による光切断法(特開平3−131706号)、リファレンスバーを付設する手段(特開平5−26639号)、或いはスポット光を投影して複数視点から撮影することでスポット光の投影位置を算出する手段、等であった。
【0007】
しかし、リファレンスバーやスポット光の位置検出では、検出点に限りがある。また、位置検出ターゲットを対象物に投影する場合、多くの点を検出するためには長い時間がかかる。更に、レーザスリット光による光切断法では、検出位置を厳密に絞りきることができず、精度が不十分となる等の問題点があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、数m角以上の巨大な対象物体の3次元形状を、短時間で精度良く計測することができる3次元形状計測方法および装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、縦横2本のスリット光(2、3)を順次位置を変えながら対象物(1)に照射し、それぞれのスリット光の投影位置(4)を撮影し、その交点(5)及び/又は消失点(6)を特徴点として3次元位置を計測する、ことを特徴とするターゲット投影式3次元形状計測方法が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、縦横2本のスリット光(2、3)を順次位置を変えながら対象物(1)に照射するスリット光照射装置(12)と、それぞれのスリット光の投影位置(4)を異なる位置から撮影するデジタルカメラ(14)と、撮影した画像を基にその交点(5)及び/又は消失点(6)を特徴点として3次元位置を演算する演算装置(16)とを備えた、ことを特徴とするターゲット投影式3次元形状計測装置が提供される。
【0011】
上記本発明の方法及び装置によれば、スリット光照射装置(12)により縦横2本のスリット光(2、3)を順次位置を変えながら対象物(1)に照射し、デジタルカメラ(14)によりそれぞれのスリット光の投影位置(4)を撮影し、演算装置(16)によりその交点(5)及び/又は消失点(6)を特徴点として3次元位置を演算することにより、数m角以上の巨大な対象物体の3次元形状を短時間で精度良く計測することができる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、単一のデジタルカメラ(14)を用い、該カメラの位置を変えながら、スリット光の投影位置(4)を撮影する。
この方法により、単一のデジタルカメラ(14)で、巨大な対象物体の3次元形状を精度良く計測することができる。
【0013】
また、別の好ましい実施形態によれば、複数のデジタルカメラ(14)を用い、異なる位置から同時にスリット光の投影位置(4)を撮影する。更に、スリット光(2、3)の照射とカメラによる撮影とを同期させる。
この方法により、計測時間を大幅に短縮できる。
【0014】
また、デジタルカメラ(14)の出力からスリット光の投影位置(4)を抽出し、ノイズ成分を除去し、領域を細線化し、該細線の垂線方向に加重平均処理を加え、真の中心軸位置を捉えた点群を算出し、次いで、この点群に対する最小二乗直線を算出する。
この方法により、スリット光の投影位置(4)を高い精度で求めることができる。
【0015】
また、点光源とその前面に位置する拡散板とからなる自己発光式の基準スケール(18)を対象物(1)に貼付し、該基準スケール(18)を基に3次元位置を計測する。
この方法により、1枚の画像に収まらない巨大な対象物でも、画像の重なり合う部分に基準スケールを配置することで、全体の3次元位置を高い精度で求めることができる。
【0016】
前記スリット光照射装置(12)は、扇形のスリット光を発生する半導体レーザ装置と、扇形のスリット光を順次異なる位置に反射するスキャナミラーとからなる。
この構成により、スリット光の投影位置(4)の変更を高速化でき、かつ多数の投影位置(4)を容易に設定できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0018】
1.概要
1.1 開発までの経緯
船や橋梁などの大型構造物の部品の形状を、現場で容易に捉えることができるシステムが要望されている。そこで、実際の構造物(曲がり板)を対象に計測試験を実施し、その性能を評価することを目標に、ターゲットの貼付が不要な3次元計測技術を開発した。本技術の確立により、大型構造物の部品の3次元形状を容易に計測することができ、不良部品の発生による組立のロスの削減が可能になる。
【0019】
1.2 手法
本発明のターゲット投影式3次元形状計測では、まず、計測対象物に格子状のレーザを照射する。レーザの交点や消失点などが、従来の貼付ターゲットに相当する。続いて、複数視点から計測対象物を撮影して、画像処理によりレーザの交点や消失点の画像上の位置を認識する。最後にその画像をデータ処理することで、対象物の3次元モデルを作成する。図1に、本発明のターゲット投影式3次元形状計測装置の構成を示す。
本発明の3次元形状計測のメリットとして、ターゲットの位置変更が容易なこと、ターゲット数の増減が自在なこと、等が挙げられる。また、対象物に接触する必要が無いため、短時間で計測が可能になる。また、手が届かない部分の形状を計測する際、ターゲットを貼り付けるために足場を組んだりする必要がなくなり、作業時間の縮小が望める。
【0020】
1.3 装置
本発明のターゲット投影式3次元形状計測装置10は以下の機器で構成される。
(1)スリット光照射装置12:格子状のレーザ光を対象物に投影するレーザ投光機である。
(2)デジタルカメラ14:画像入力装置としての600万画素デジタルカメラ。
(3)演算装置16:画像処理装置として、A4ノートPC(CPU:500MHz)を採用した。
(4)基準スケール18:3次元計測の基準となる自己発光式のスケールである。
【0021】
1.4 計測試験
船殻用曲がり板(約3m×2.5m)を対象物1とし、曲がり板1から約5mのところに鉛直にポールを設置し、このポールにカメラを取り付けた。ポール上をカメラを移動させ、また、ポールを移動させて、全20箇所のカメラ位置から撮影を行った。
【0022】
1.5 計測試験結果
本発明のターゲット投影式3次元計測の精度評価のために、従来方式(ターゲット貼付式)による計測結果との比較を行った。
この結果、レーザの交点の3次元位置の計測精度は、誤差±1.0mm以内、誤差の標準偏差0.5mm程度であり、従来方式とほぼ同程度であるという結論を得た。要求精度は±1.0mm程度であり、十分な精度であると思われる。また、撮影箇所を20箇所から6箇所程度に減らしても十分な精度を得ることができた。
【0023】
1.6 結論
本発明のターゲット投影式3次元計測の計測精度は、レーザラインの交点に関しては従来法と比較して遜色ない。
計測時間は、画像の撮影に2時間程度、処理に2時間程度必要であったが、1箇所のカメラ位置における処理を自動化することで、現状の単カメラ方式でも50分程度まで処理時間を短縮することが可能となる。
また、複数のカメラを同時に使用する複カメラ方式を用いることで、ターゲット投影式3次元計測の処理時間は大幅に短縮できる。6台のカメラを使用すると、処理時間は5分程度になる。
【0024】
2.運用手順
2.1 単カメラ方式による3次元計測
本発明の第1の方法では、一台のカメラを用いて、このカメラの位置を変えながらターゲットが投影されている対象物を撮影し、その結果を最後にまとめてターゲットの3次元位置を算出する。以下、この方法を単カメラ方式と呼ぶ。図2に、単カメラ方式による3次元計測処理のフローチャートを示す。以下、図2の処理フローについて説明する。
【0025】
レーザ投光器および自己発光スケールの設置が完了すると、オペレータは適切な位置(自己発光スケールおよび複数のターゲットが撮影可能な場所)にカメラを設置する。オペレータはカメラをその位置に固定し、これから格子状に複数本投影していく予定のレーザラインのうち、ただ一本だけを投影し、その様子を撮影する。続いて、先ほど投影していた一本のレーザラインは消し、別の一本のレーザラインを投影し、その様子を撮影する。これをレーザラインの本数分繰り返す。
あるカメラ位置で自己発光スケールと全てのレーザラインの画像を撮影したら、それらの画像から、ターゲット(レーザラインの交点、消失点、自己発光スケール)の画面上の2次元位置を算出する。
例として、図3に、2本のレーザラインの交点の位置を算出するイメージを示す。画像1に映っているレーザライン1と、画像2に映っているレーザライン2に対して画像処理を加え、レーザライン1と2の交点の、画像上の2次元位置を算出している。
【0026】
交点の2次元位置はサブピクセル精度で算出される必要があるため、単純な画像処理では抽出できない。このため、交点の近傍で各レーザラインの線分近似を行い、その直線式同士の交点を計算することで、サブピクセル精度の位置検出を行っている。
ここまでの処理で、あるカメラ位置における、ターゲットの2次元位置が算出される。続いて、カメラ位置を変更して、同様の撮影、処理を行う。これを、予定しているカメラ位置の数だけ繰り返す。
これにより、複数視点からのターゲットの2次元位置を抽出できたことになる。最後に、この複数の2次元位置データから、ターゲットの3次元位置を算出する。
【0027】
2.2 複カメラ方式による3次元計測
次に、本発明の第2の方法である、複カメラ方式の処理フローについて述べる。
複カメラ方式は、あらかじめ複数台のカメラをセットしておき、同時に撮影、処理を行う方式である。図4は4台のカメラで並列処理している様子を示している。図中の四角で囲われた部分が、1台のカメラが担当する処理である。
このように、複カメラ方式の処理内容は単カメラ式と同等であるが、計測時間を大幅に短縮することができる。
【0028】
3.ハードウェア仕様
3.1 レーザ投光機(スリット光照射装置12)
内部のLDレーザから射出されるシート光をガルバノメータスキャナミラーを介して目的の方向に投影するレーザ投光機(スリット光照射装置12)を新たに開発した。本装置のスペックを以下に示す。
(1)レーザ部
・レーザ:半導体レーザ(635nm、5mW未満)
・クラス:クラス3A
・照射光:扇形(5.5m先で、長さ6m、幅2mm程度)
(2)スキャナ部
・方式:温度制御付ガルバノメータ方式
・走査軸:独立走査XY軸
・走査角:±30°
このスリット光照射装置12を用いることで、レーザ切り替えの高速化、ターゲット数の増減が可能となる。本装置を用いて設定可能なレーザラインの交点の数の上限は、(32768×2)2=4.295×109点である。レーザ光の切り替え、ガルバノの向きのコントロールは、レーザ投光機とRS232C接続された計算機のソフトウェア側からコントロールできる。
【0029】
3.2 自己発光式基準スケール18
ターゲットの画像上の2次元位置から3次元位置を算出する際に、寸法基準となるものとして、従来は、オリエントバーと呼ばれるスケールを用いていた。また方眼紙に反射ターゲットを貼り付けたものをオリエントバーの代用品とした。しかし、これらの形式では、熱や風で寸法にゆがみが発生する可能性があった。また、このオリエントバーのターゲットを撮影するために、フラッシュ光を照射する必要があり、レーザラインを撮影するときとの統合が取れない問題があった。
そこで、フラッシュ光を照射しなくとも正確にターゲット位置を取れるような、自己発光式基準スケール18(以下、自己発光スケール)を開発した。
本装置のスペックを以下に示す。
(1)光源部スペック
・ランプ:小型クリプトンランプ
・発光色:可視光域
・光学系:前面に樹脂拡散板
(2)全体スペック
・十字架型サイズ:W400×D58×H550mm
・直線型サイズ:W1000×D58×H50mm
【0030】
3.3 画像入力装置
画像入力装置として、Kodak社の1眼レフデジタルカメラDCS760を選択した。DCS760の仕様は以下の通り。
(1)撮像素子:27.6×18.4mmCCD、600万画素
(2)画質モード:Lossless圧縮TIFF、非圧縮TIFF
(3)インタフェース:IEEE1394、PCMCIAType II ×2
市販のデジタルカメラを使用することで、システムを安価に作成できる。また、インタフェースにIEEE1394を持っており、高速な画像取り込みが可能となる。
【0031】
4.ソフトウェア仕様
4.1 ターゲット2次元位置算出フロー
本発明の方法では、あるカメラ位置から、自己発光スケール18のみが発光している画像と、レーザライン(スリット光2、3)のうち1本だけが投光されている画像を撮影する。これらの画像を組み合わせて、ターゲット(自己発光スケール18、レーザラインの交点5、消失点6)の画像上の位置を、サブピクセル精度で算出する。
作成したプログラムでは、縦5本、横5本のレーザラインを対象物に投影し、撮影した画像を対象に処理を行った。
【0032】
その処理フローを図5に示す。以下、図5の処理の各項目の内容を説明する。
(1)画像処理パラメータの設定
ターゲットの位置算出には、画像をある閾値で2値化したり、ある面積以下の領域を除去したりする必要がある。これらの値はパラメータとしてユーザが設定できるようにしておく。
(2)画像ファイルのパスのセット
12枚の画像ファイルが保存されているパスを設定する。
(3)縮小画像の作成
今回のシステムで対象とする画像は、600万画素の非圧縮TIFFファイルであり、そのまま画像処理を加えるのは、処理時間的にもメモリ的にも問題が多い。そこで、いったん画像サイズを縦横1/4ずつ(データサイズ1/16)に縮小してから、画像処理を行うこととする。
【0033】
(4)大まかな自己発光スケールの位置算出
縮小した画像に対して、2値化、ノイズ除去を加え、自己発光スケール領域を抽出する。さらに、抽出した領域に加重平均処理を加え、領域ごとの中心位置を算出する。この位置を、自己発光ターゲットの大まかな位置としてリストに加える。
(5)大まかなレーザライン消失点の位置算出
縮小した画像に対して、2値化、ノイズ除去、細線化処理を加え、細線の端点(周囲8近傍に有効画素が1つしかない点)を抽出する。この点の位置を、レーザラインの消失点の大まかな位置としてリストに加える。
(6)大まかなレーザライン交点の位置算出
縮小した画像に対して、2値化、ノイズ除去を加え、さらに、2つの縮小画像(例えば、横線の縮小画像と縦線の縮小画像)のANDをとり、交点領域を抽出する。抽出した領域に加重平均処理を加え、領域の中心位置を算出する。この位置を、レーザライン同士の交点の大まかな位置としてリストに加える。
【0034】
(7)詳細な自己発光スケールの位置算出
大まかな自己発光スケールの位置を中心に、スケール画像の一部(例えば32×32Pixel)を切り出す。このエリア内で、ノイズ成分を除去し、加重平均を加えることで、自己発光スケールの詳細な位置を算出する。
(8)詳細なレーザラインの消失点の算出
大まかなレーザライン消失点の位置を中心に、レーザラインが写った600万画素TIFF画像の一部(ここでは32×32Pixel)を切り出す。このエリア内で、ノイズ成分を除去し、領域の端部を抽出することで、レーザラインの消失点の詳細な位置を算出する。ただし、自己発光スケールや交点位置とは異なり、算出精度はPixel精度にとどまる。
(9)詳細なレーザラインの交点の算出
大まかなレーザライン交点の位置を中心に、レーザラインが写った600万画素TIFF画像の一部(ここでは32×32Pixel)を切り出す。仮に横線画像と縦線画像の交点を算出する場合について考える。まず、横線画像から32×32Pixelを切り出す。このエリア内で、ノイズ成分を除去し、領域を細線化する。さらに、この細線の垂線方向に加重平均処理を加え、真の中心軸位置を捉えた点群を算出する。続いて、この点群に対する最小二乗直線を算出する。同様の処理を縦線画像にも加え、最小二乗直線を算出する。この2本の最小二乗直線の交点を、レーザラインの交点とする。
【0035】
4.2 レーザ投光機コントロールソフトウェア
本システムで使用するレーザ投光機(スリット光照射装置12)は、COMポートを介して計算機からコマンドを送ることにより操作することが可能である。検証試験にあたり、簡単なインタフェースを持つコントロールソフトを開発した。その機能を以下に示す。
(1)レーザのON/OFF:ダイアログのチェックボックスをクリックすることで、レーザラインを投光/消灯することができる。
(2)ガルバノメータの角度変更:ダイアログのラジオボタンをクリックすることで、あらかじめ設定した角度にガルバノメータを振ることができ、これによりレーザラインを投影する位置を変更することができる。
(3)ガルバノメータの連続運転:ダイアログのボタンを押すことにより、ガルバノメータを最大振幅で振りつづけることができる。
検証試験に用いたインタフェースをはレーザの位置をオペレータが手動で変えるようになっているが、カメラコントロール、画像処理との同期を取って、自動的にレーザの位置を変えるような処理を構築することも可能である。
【0036】
5.計測試験
5.1 試験環境
実験場の壁に対象物を立て、レーザを投影し、その様子をデジタルカメラで撮影することで、3次元計測に必要な画像を採取する。撮影試験時には、外光が入らないようにする必要がある。そのため、撮影作業は周囲が十分に暗くなってから実施する。
【0037】
5.2 データ採取
以下の手順で撮影を行い、画像データを採取する。
(1)撮影
カメラをある位置にセッティングし、レーザを10回(縦5回×横5回)投影し、それぞれを1枚ずつ、計10枚撮影する。さらに、レーザを投影せず、自己発光ターゲットを発光させた画像を1枚撮影する。よって、カメラ位置一箇所に対して11枚の画像を採取する。
(2)カメラ位置の移動
カメラ位置を次の位置に移動し、再度上記(1)を実施する。これを、全てのカメラ位置で繰り返す。
ターゲット投影の様子を、図6に示す。この図は、レーザラインを投影した画像10枚、自己発光ターゲットを発光させた画像1枚、さらに照明下で撮影した背景画像1枚を合成したものである。また、レーザ光の輝度はソフト的に強調している。
カメラ位置は、壁面から6m離れた、図7に示す20箇所とした。
撮影枚数は、全カメラ位置で撮影すると、20(箇所)×11(枚)=220枚となる。
撮影時間は、1枚撮影するのに必要な時間を30秒とすると、全カメラ位置で撮影するのに220×30=6600(秒)=約2時間となる。
画像データ量は、全カメラ位置で撮影すると、1枚約6MBなので、6(MB)×220(枚)=1320で、約1.3GBとなる
また、同じ曲がり板を対象に、従来法(ターゲット貼り付け式3次元計測)による計測も実施した。レーザの格子の交点位置、消失点位置にターゲットを貼り付け、その3次元位置を計測した。従来法では、カメラ位置60箇所から撮影を行った。また、ターゲット投影式3次元計測の精度の比較対照として、従来法でカメラ位置20箇所から撮影を行った。
【0038】
以上、計測試験では、以下の3つのパターンで計測を行った。
(1)カメラ位置60箇所から撮影した画像にもとづく、従来法(ターゲット貼付式)の結果
(2)カメラ位置20箇所から撮影した画像にもとづく、従来法(ターゲット貼付式)の結果
(3)カメラ位置60箇所から撮影した画像にもとづく、ターゲット投影式3次元計測の結果
以下、上記(1)をターゲットの空間座標真値とする。この空間座標真値に対して、(2)および(3)の誤差を比較、検討した。
【0039】
6.開発結果
6.1 精度検証
(1)交点ターゲットの精度
まず、本手法における、レーザラインの交点(以下、交点ターゲット)の3次元位置算出精度を検証した。
空間座標真値とは、従来法にて曲がり板の周囲60方向から採取した画像に基づき算出された、交点ターゲットの3次元座標である。この座標を正として、従来法およびターゲット投影式の精度を検討する。
従来法の20方向画像解析誤差と、ターゲット投影式の20方向画像解析誤差を比較すると、ほぼ同程度の計測精度を有していることが分かる。また、空間座標真値に対して誤差量はほぼ±1.0mm以内、標準偏差は0.5mm程度であり、要求精度±1.0mmを満たしているといえる。
また、観察方向を6方向に減らして、交点ターゲットの3次元座標を算出し、真値との誤差を算出した。6方向画像解析誤差を見ると、予想したほどの精度の悪化は見られず、空間座標真値に対して誤差量はほぼ±1.0mm以内、標準偏差は0.5mm程度であり、要求精度を満たしているといえる。
【0040】
(2)消失点ターゲットの精度
続いて、レーザラインの消失点(以下、消失点ターゲット)の3次元座標算出精度を検討した。
従来法よる消失点ターゲットの計測精度は、交点ターゲットの計測精度とほぼ同等である。これは、従来法においては交点も消失点も同じターゲットとして認識できるためである。一方、ターゲット投影式における消失点ターゲットの検出精度は、誤差の最小値が−8.14mm、最大値が2.71mm、標準偏差が1.5mm程度と、十分な精度が得られなかった。これは、カメラの位置によって、板厚などにより消失点自体がずれることがあることと、画像から消失点位置をサブピクセル精度で抽出するアルゴリズムが確定しておらず、抽出結果が真に消失点を捉えていないことがあるため、と考えられる。
現状では、レーザラインの消失点の計測精度は不十分であるが、計測対象物を絞り、画面上のどのような位置に消失点が出現するかをあらかじめ決めておくことで、精度の向上を図ることが可能である。
【0041】
(3)観察範囲の分割・統合における交点ターゲット精度
今回の試験で対象としている曲がり板のサイズは3.0m×2.5m程度であり、カメラの画角に十分収まるサイズである。ただし、将来的にインラインで運用することを想定すると、長さ20m程度の曲がり板の3次元計測を行うことが考えられる。このような場合、3次元計測の基準となる自己発光スケールが入るようにしながら撮影部位をずらしていき、最後に3次元位置の統合を行うことで、全体の3次元形状を算出することになる。図8に分割撮影のイメージを示す。
【0042】
このような観察範囲の分割・統合を行った場合、3次元位置精度はどのようになるか、簡単なテストを行った。このテストから空間座標真値に対して誤差量はほぼ±1.0mm以内、標準偏差は0.5mm程度であり、要求精度を満たしている。このことから、カメラの画角に納まりきらない巨大な構造物でも、重なり合う部分を作ってそこに計測基準スケールを配置することで、3次元形状を算出することが可能である。
【0043】
6.2 運用構想案
図9に、想定される運用構想図を示す。本システムの有効性は、船の設計データとの比較が可能な照射方向をどのようにするかが、重要な検討課題となると思われる。図9では、X方向のレーザシート光は、船の設計データ(輪切り方向)との比較を考慮し、等間隔で、水平面に直下方向に照射するイメージである。
【0044】
6.3 まとめ
本手法の計測精度は、レーザラインの交点に関しては従来法に比較して遜色ない。
レーザラインの消失点の計測精度は現状では不十分であるが、計測対象物を絞り、画面上のどのような位置に消失点が出現するかをあらかじめ決めておくことで、精度の向上を図ることが可能である。
計測時間は、画像の撮影に2時間程度、処理に2時間程度必要であったが、1箇所のカメラ位置における処理を自動化することで、現状の単カメラ方式でも50分程度まで処理時間を短縮することが可能と思われる。
また、複数のカメラを同時に使用する複カメラ方式を用いることで、ターゲット投影式3次元計測の処理時間は大幅に短縮できる。さらに試験の結果、カメラ台数は6台でも十分な精度が得られた。6台のカメラを使用するものとすると、処理時間は5分程度に短縮される。将来的な案としては、複カメラを組み込み、インラインで曲がり板の3次元形状を計測する、といった運用が考えられる。
【0045】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0046】
【発明の効果】
上述したように、本発明の3次元形状計測方法および装置は、数m角以上の巨大な対象物体の3次元形状を、短時間で精度良く計測することができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のターゲット投影式3次元形状計測装置の構成図である。
【図2】単カメラ方式による3次元計測処理のフローチャートである。
【図3】2本のレーザラインの交点の位置を算出するイメージ図である。
【図4】複カメラ方式による3次元計測処理のフローチャートである。
【図5】ターゲットの2次元位置算出のフローチャートである。
【図6】ターゲット投影の様子を示す図である。
【図7】カメラ位置を示す図である。
【図8】分割撮影のイメージ図である。
【図9】想定される運用構想図である。
【図10】従来の3次元位置計測装置の構成図である。
【図11】従来の別の3次元位置計測装置の構成図である。
【図12】従来の別の3次元位置計測装置の構成図である。
【符号の説明】
1 対象物、2、3 スリット光、
4 スリット光の投影位置、
5 交点、6 消失点、
10 ターゲット投影式3次元形状計測装置、
12 スリット光照射装置、
14 デジタルカメラ、
16 演算装置、
18 基準スケール、

Claims (8)

  1. 縦横2本のスリット光(2、3)を順次位置を変えながら対象物(1)に照射し、それぞれのスリット光の投影位置(4)を撮影し、その交点(5)及び/又は消失点(6)を特徴点として3次元位置を計測する、ことを特徴とするターゲット投影式3次元形状計測方法。
  2. 単一のデジタルカメラ(14)を用い、該カメラの位置を変えながら、スリット光の投影位置(4)を撮影する、ことを特徴とする請求項1に記載のターゲット投影式3次元形状計測方法。
  3. 複数のデジタルカメラ(14)を用い、異なる位置から同時にスリット光の投影位置(4)を撮影する、ことを特徴とする請求項1に記載のターゲット投影式3次元形状計測方法。
  4. スリット光(2、3)の照射とカメラによる撮影とを同期させる、ことを特徴とする請求項1に記載のターゲット投影式3次元形状計測方法。
  5. デジタルカメラ(14)の出力からスリット光の投影位置(4)を抽出し、ノイズ成分を除去し、領域を細線化し、該細線の垂線方向に加重平均処理を加え、真の中心軸位置を捉えた点群を算出し、次いで、この点群に対する最小二乗直線を算出する、ことを特徴とする請求項1に記載のターゲット投影式3次元形状計測方法。
  6. 点光源とその前面に位置する拡散板とからなる自己発光式の基準スケール(18)を対象物(1)に貼付し、該基準スケール(18)を基に3次元位置を計測する、ことを特徴とする請求項1に記載のターゲット投影式3次元形状計測方法。
  7. 縦横2本のスリット光(2、3)を順次位置を変えながら対象物(1)に照射するスリット光照射装置(12)と、それぞれのスリット光の投影位置(4)を異なる位置から撮影するデジタルカメラ(14)と、撮影した画像を基にその交点(5)及び/又は消失点(6)を特徴点として3次元位置を演算するとを備えた、ことを特徴とするターゲット投影式3次元形状計測装置。
  8. 前記スリット光照射装置(12)は、扇形のスリット光を発生する半導体レーザ装置と、扇形のスリット光を順次異なる位置に反射するスキャナミラーとからなる、ことを特徴とする請求項7に記載のターゲット投影式3次元形状計測装置。
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