JP2004076786A - 防振マウント - Google Patents
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Abstract
【解決手段】弾性体33とは別部材からなるコイルばね37を、弾性体33を取囲んだ状態で旋回フレーム5とキャブ8との間に取付け、このコイルばね37によってキャブ8の自重を支える構成とする。これにより、キャブ8の自重によって弾性体33が予め圧縮されてしまうのを抑えることができ、弾性体33の耐久性を確保しつつ弾性体33のばね定数を小さく設定することができる。このため、旋回フレーム5からキャブ8に伝わる微小な振動を、ばね定数の小さな弾性体33によって適正に吸収することができ、キャブ8内の居住性を向上させることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば建設機械の旋回フレームとキャブとの間、鉄道車両の走行装置と車体との間、工場の床と機械装置との間等、第1の部材上に第2の部材を取付けるときに両者間に用いて好適な防振マウントに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体のベースをなすフレーム上に防振マウントを介して設けられたキャブと、上部旋回体の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成されている。
【0003】
そして、キャブを支持する防振マウントは、作業装置を用いた掘削作業時の振動、下部走行体の走行時における振動がフレームからキャブに伝わるのを抑え、運転室内の居住性を高めるものである。このため、防振マウントは、フレームに取付けられるケーシングと、弾性材料により形成され該ケーシングに固着して設けられた弾性体と、該弾性体に固着されキャブに取付けられる取付軸とにより大略構成されている(例えば、特開平8−254241号公報、特開平7−127683号公報等)。
【0004】
そこで、上述の従来技術による防振マウントを、油圧ショベルの旋回フレームとキャブとの間に適用した場合を例に挙げ、図8ないし図12を参照しつつ説明する。
【0005】
図中、1は油圧ショベルで、該油圧ショベル1の車体は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより構成され、上部旋回体3の前部側には、掘削作業用の作業装置4が俯仰動可能に設けられている。
【0006】
そして、上部旋回体3は、下部走行体2上に旋回可能に設けられた後述の旋回フレーム5と、該旋回フレーム5上に取付けられた後述のキャブ8とを備えている。
【0007】
5は上部旋回体3のベースをなす第1の部材としての旋回フレームで、旋回フレーム5は、図9および図10等に示すように、下部走行体2に取付けられるセンタフレーム6を有し、該センタフレーム6の前部左側には、後述のキャブ8を下側から支持するキャブ支持部7が設けられている。
【0008】
そして、センタフレーム6は、厚肉な鋼板からなる底板6Aと、該底板6A上を前,後方向に延びる縦板(図示せず)とにより大略構成されている。また、キャブ支持部7は、前,後方向に離間して底板6Aから左,右方向に延びた2本の横梁7A,7Bと、該各横梁7A,7Bの左端側を連結し前,後方向に延びた側枠7Cと、横梁7Aから前側に突出し側枠7Cと平行して前,後方向に延びた縦梁7Dと、横梁7Aよりも前側に位置して側枠7Cと縦梁7Dとを左,右方向で連結する前枠7Eとにより大略構成されている。
【0009】
8は後述の防振マウント11を介して旋回フレーム5のキャブ支持部7上に支持された第2の部材としてのキャブで、該キャブ8は旋回フレーム5上に運転室を画成するものである。ここで、キャブ8は、例えば薄肉な鋼板にプレス加工、溶接加工等を施すことにより、前面部8A、後面部8B、左,右の側面部8C(左側のみ図示)、および上面部8Dによって囲まれた箱状に形成されている。そして、キャブ8の下端側には床板用ブラケット8Eが設けられ、該床板用ブラケット8Eには、キャブ8の底部をなす床板9が取付けられている。
【0010】
11は旋回フレーム5のキャブ支持部7とキャブ8との間に設けられた4個の防振マウントで、これら各防振マウント11は、図10に示すように、キャブ支持部7の横枠7Bとキャブ8の床板9との間に左,右に離間して2個配置されると共に、キャブ支持部7の前枠7Eとキャブ8の床板9との間に左,右に離間して2個配置され、旋回フレーム5の振動がキャブ8に伝わるのを抑えるものである。そして、各防振マウント11は、図11に示すように、後述のケーシング12、弾性体15、取付軸16、粘性液体20、抵抗板21等からなる液体封入式マウントとして構成されている。
【0011】
12は旋回フレーム5のキャブ支持部7(横梁7B,前枠7E)に取付けられたケーシングで、該ケーシング12は、軸方向の一側(上端側)が開口部となった中空な円筒状の筒体12Aと、該筒体12Aの上端側に一体形成されたフランジ部12Bと、筒体12Aの軸方向の他側(下端側)を閉塞する底板12Cとにより有底円筒状に形成されている。また、フランジ部12Bには、断面J字状をなす環状の補強部材12Dが溶接等の手段によって固着され、該補強部材12Dの内周側は筒体12A内に環状に突出している。
【0012】
そして、ケーシング12は、キャブ支持部7の横梁7Bに穿設されたマウント取付穴13内に筒体12Aを挿通した状態で、フランジ部12Bと補強部材12Dとに挿通した2個のボルト14を用いて横梁7Bに締結される構成となっている。
【0013】
15はケーシング12にその開口部を閉塞した状態で固着された弾性体で、該弾性体15は、例えばゴム等の弾性材料により形成され、ケーシング12の筒体12A、補強部材12D等の内周面と後述する取付軸16の外周面とに固着されている。
【0014】
16は弾性体15内を軸方向に挿通して設けられた取付軸で、該取付軸16は、軸方向に延びる円柱状に形成され、その軸方向の中間部位が弾性体15に固着されることにより、ケーシング12の中心部に配置されている。ここで、取付軸16の軸方向の一側(上端側)はケーシング12の外部に突出し、キャブ8に取付けられる雄ねじ部16Aとなっている。一方、取付軸16の軸方向の他側(下端側)はケーシング12内に挿入され、後述の抵抗板21が取付けられる構成となっている。
【0015】
17は取付軸16の雄ねじ部16Aに嵌合され弾性体15の上端側に固着された規制板で、該規制板17の上面17Aはキャブ8の取付面となっている。ここで、規制板17は、弾性体15が圧縮側に過大な弾性変形を生じたときに、弾性体15を介して補強部材12Dの上面に当接することにより、弾性体15がそれ以上に圧縮側に変形するのを規制するものである。
【0016】
そして、取付軸16は、雄ねじ部16Aをキャブ8の床板用ブラケット8Eと床板9とに挿通し、規制板17の上面17Aをキャブ8の床板9に当接させた状態で、雄ねじ部16Aに螺着したナット18によってキャブ8に取付けられる構成となっている。
【0017】
19はケーシング12内に画成された流体室で、該流体室19は、ケーシング12と弾性体15と取付軸16とによって囲まれた密閉空間として構成されている。そして、流体室19内には、例えばシリコン油等の大きな粘性を有する粘性液体20が封入されている。
【0018】
21は流体室19内に位置して取付軸16の下端側に設けられた抵抗板で、該抵抗板21は、粘性液体20が流通する複数の流通穴21Aが穿設された円板状に形成され、流体室19内に延びた取付軸16の下端側にボルト22を用いて固定されている。そして、抵抗板21は、流体室19内に封入した粘性液体20に常時浸されており、弾性体15が弾性変形するときに取付軸16と共に粘性液体20中を移動することにより、取付軸16の移動に対して抵抗力(減衰力)を発生するものである。
【0019】
従来技術による防振マウント11は上述の如き構成を有するもので、ケーシング12をボルト14によって旋回フレーム5のキャブ支持部7に取付け、取付軸16の雄ねじ部16Aをナット18によってキャブ8に取付けることにより、旋回フレーム5上でキャブ8を弾性的に支持する。
【0020】
そして、防振マウント11は、油圧ショベル1の走行時、掘削作業時に旋回フレーム5が振動すると、ケーシング12と取付軸16との間で弾性体15が上,下方向に弾性変形することにより、旋回フレーム5からキャブ8に伝わる振動を抑える。
【0021】
一方、取付軸16に固定された抵抗板21は、弾性体15の弾性変形に応じて流体室19内で上,下方向に移動し、流体室19内に封入された粘性液体20は、抵抗板21の流通穴21A、抵抗板21の外周側とケーシング12との間の隙間を通じて抵抗板21の上,下に流動する。この場合、粘性液体20は大きな粘性を有しているので、抵抗板21の上,下に流動する粘性液体20の粘性抵抗、流動抵抗により、取付軸16の上,下方向の移動に対して抵抗力を与え、その結果、キャブ8に伝わった振動を減衰することができる。
【0022】
また、防振マウント11に対して弾性体15の伸長側に過大な荷重が作用したときには、抵抗板21が弾性体15を介して補強部材12Dの下面に当接することにより、弾性体15がそれ以上に伸長側に変形するのを規制する。さらに、防振マウント11に対して弾性体15の圧縮側に過大な荷重が作用したときには、規制板17が弾性体15を介して補強部材12Dの上面に当接することにより、弾性体15がそれ以上に圧縮側に変形するのを規制する。
【0023】
ここで、防振マウント11が、キャブ8から受ける荷重に応じて上,下方向に伸縮する状態を、規制板17の位置に着目して図12を参照しつつ説明する。
【0024】
まず、防振マウント11にキャブ8を搭載していない無負荷状態では、防振マウント11は破線で示す無負荷位置を保持し、キャブ支持部7から規制板17までの高さ寸法は、無負荷高さXとなる。次に、キャブ8を搭載することにより防振マウント11に対してキャブ8の自重(初期荷重)のみが作用しているときには、防振マウント11は実線で示す中立位置に変位し、キャブ支持部7から規制板17までの高さ寸法は、キャブ取付高さYとなる。
【0025】
即ち、防振マウント11は、キャブ8を搭載していないときの無負荷高さXと、キャブ8を搭載したときのキャブ取付高さYとの間で、変位量△Yだけ下方に変位し、防振マウント11の弾性体15は、この変位量△Yだけキャブ8の自重によって予め圧縮されている。
【0026】
一方、油圧ショベル1の走行時等において、防振マウント11に対して弾性体15の伸長側に過大な荷重が作用したときには、防振マウント11は一点鎖線で示す最大伸長位置に変位し、弾性体15の圧縮側に過大な荷重が作用したときには、防振マウント11は二点鎖線で示す最大圧縮位置に変位する。
【0027】
この場合、防振マウント11が最大伸長位置と最大圧縮位置との間で変位する距離が、弾性体15の耐久性、強度等を考慮して設定された防振マウント11の全許容ストロークZとなり、この全許容ストロークZは、防振マウント11が中立位置から最大伸長位置に変位するときの伸長側許容ストロークZ1と、防振マウント11が中立位置から最大圧縮位置に変位するときの圧縮側許容ストロークZ2とに大別される。
【0028】
そして、キャブ8の自重による静的な荷重によって、防振マウント11が無負荷高さXからキャブ取付高さYまで圧縮されるときの静的なストロークと、油圧ショベル1の走行時等にキャブ8から受ける動的な荷重によって、防振マウント11が伸縮するときの動的なストロークとが、上述の全許容ストロークZ内に収まるように、弾性体15のばね定数が設定されている。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来技術による防振マウント11は、主として油圧ショベル1の走行時や掘削作業時に発生する大きな振動、例えば振動数が10Hz以下の振幅が大きな振動がキャブ8に伝わるのを抑えるため、通常、弾性体15のばね定数を大きく設定している。このため、振動数が10Hzを超える微小な振動を弾性体15によって適正に吸収することができず、この微小な振動がキャブ8に伝わることにより、キャブ8内の居住性(乗り心地)が低下してしまうという問題がある。
【0030】
これに対し、弾性体15のばね定数を小さく設定した場合には、該弾性体15が微小な振動に追従して変形することにより、旋回フレーム5からキャブ8に伝わる微小な振動を適正に吸収することができ、キャブ8内の居住性を高めることができる。
【0031】
しかし、防振マウント11上にキャブ8を搭載したときには、上述の如く弾性体15がキャブ8の自重によって予め圧縮されることにより、防振マウント11の全許容ストロークZのうち、圧縮側許容ストロークZ2が伸長側許容ストロークZ1よりも小さくなってしまう(Z2<Z1)。
【0032】
このため、油圧ショベル1の走行時等において、防振マウント11を圧縮する方向に大きな荷重が作用した場合には、この大きな荷重を防振マウント11によって適正に受承することができなくなる上に、弾性体15の耐久性、強度が低下してしまうという問題がある。
【0033】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、弾性体の耐久性を保ちつつ該弾性体のばね定数を小さくし、第1の部材から第2の部材に伝わる振動を適正に抑えることができるようにした防振マウントを提供することを目的としている。
【0034】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、請求項1の発明に係る防振マウントは、軸方向の一側が開口部となると共に軸方向の他側が閉塞され第1の部材に取付けられるケーシングと、弾性材料により形成され該ケーシングにその開口部を閉塞した状態で固着して設けられた弾性体と、該弾性体内を軸方向に挿通して設けられケーシングの外部に突出した軸方向の一側が第2の部材に取付けられる取付軸と、弾性体とは別部材からなり基端側がケーシング側に取付けられると共に先端側が第2の部材に取付けられ該第2の部材の自重を支えるばね部材とにより構成してなる。
【0035】
このように構成したことにより、ケーシングと第2の部材との間に取付けられたばね部材によって第2の部材の自重を支えることができ、ケーシングと取付軸との間に設けられた弾性体が、第2の部材の自重によって予め圧縮側に変形するのを抑えることができる。このため、弾性体の耐久性を確保しつつ該弾性体のばね定数を小さく設定することができるので、第1の部材から第2の部材に伝わる微小な振動を弾性体によって適正に吸収することができる。
【0036】
請求項2の発明は、ばね部材は、取付軸を外周側から取囲んだ状態で軸方向に延びるコイルばねにより構成したことにある。このように構成したことにより、第2の部材の自重をコイルばねによって支えた状態で、ケーシングと取付軸との間で弾性体が弾性変形することにより、第1の部材から第2の部材に伝わる振動を抑えることができる。
【0037】
請求項3の発明は、ケーシング内には粘性を有する粘性液体を封入して設け、取付軸には弾性体が弾性変形するときに粘性液体中を移動して抵抗力を発生する抵抗板を設ける構成としたことにある。
【0038】
このように構成したことにより、第1の部材からの振動が第2の部材に伝わるのを弾性体の弾性変形によって抑えることができる上に、弾性体の変形に伴って抵抗板が粘性液体中を移動するときに発生する粘性抵抗、流動抵抗により、取付軸の移動に対して抵抗力を与えることができ、第2の部材に伝わった振動を減衰することができる。
【0039】
請求項4の発明は、弾性体は、取付軸の外周を軸方向に延びる柱状に形成し、弾性体の外周側には、該弾性体に沿って軸方向に延びコイルばねを案内する筒状のばねガイドを設ける構成としたことにある。
【0040】
このように構成したことにより、第1の部材と第2の部材との間にコイルばねを配設するときに、弾性体の外周側に設けたばねガイドを利用して、コイルばねを軸方向に案内することができる。
【0041】
請求項5の発明は、ばねガイドは、弾性体の径方向への変形を抑えるため該弾性体の外周面に固着して設け、弾性体の軸方向の一側には、該弾性体が圧縮側に過剰に変形するのを抑えるため取付軸が当接するストッパを設ける構成としたことにある。
【0042】
このように構成したことにより、ばねガイドは、コイルばねを案内する役目の他に、軸方向に延びる弾性体の外周面を覆う芯金の役目を果たし、弾性体が径方向に変形するのを抑えることができる。また、弾性体が圧縮側に大きく変形したときには、該弾性体の軸方向の一側に設けたストッパに取付軸が当接することにより、弾性体が圧縮側に過剰に変形するのを抑えることができる。
【0043】
請求項6の発明は、ばねガイドは、軸方向の一側が取付軸または第2の部材に固着されケーシングに向けて延びる構成とし、該ばねガイドの軸方向の他側は、弾性体が圧縮側に過剰に変形するのを抑えるためケーシングに当接するストッパを構成したことにある。
【0044】
このように構成したことにより、ばねガイドによってコイルばねを軸方向に案内することができる上に、弾性体が圧縮側に大きく変形したときには、ばねガイドの軸方向の他側がケーシングに当接することにより、弾性体が圧縮側に過剰に変形するのを抑えることができる。
【0045】
請求項7の発明は、ケーシングには、コイルばねの基端部を径方向に位置決めする位置決め部を設ける構成としたことにある。このように構成したことにより、第1の部材と第2の部材との間にコイルばねを配設するときに、ケーシングの位置決め部によってコイルばねの基端部を径方向に位置決めすることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る防振マウントの実施の形態を、油圧ショベルの旋回フレームとキャブとの間に適用した場合を例に挙げ、図1ないし図7を参照しつつ詳細に説明する。
【0047】
まず、図1ないし図4は第1の実施の形態を示している。なお、本実施の形態では上述した従来技術と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0048】
図中、31は従来技術による防振マウント11に代えて旋回フレーム5(第1の部材)のキャブ支持部7とキャブ8(第2の部材)との間に設けられた本実施の形態による防振マウントで、該防振マウント31は、従来技術によるものとほぼ同様に、後述のケーシング32、弾性体33、取付軸34、粘性液体20、抵抗板21等を備えた液体封入式マウントとして構成されている。しかし、防振マウント31は、弾性体33とは別部材からなる後述のコイルばね37を備えている点で、従来技術による防振マウント11とは異なるものである。
【0049】
32は旋回フレーム5のキャブ支持部7に取付けられたケーシングで、該ケーシング32は、軸方向の一側(上端側)が開口部となった中空な円筒状の筒体32Aと、該筒体32Aの上端側に一体形成されたフランジ部32Bと、筒体32Aの軸方向の他側(下端側)を閉塞する底板32Cとにより有底円筒状に形成されている。
【0050】
そして、フランジ部32Bは、ボルト14を用いてキャブ支持部7に取付けられている。また、フランジ部32Bには、断面J字状をなす環状の補強部材32Dが溶接等の手段によって固着され、該補強部材32Dの内周側は筒体32A内に環状に突出している。
【0051】
33はケーシング32にその開口部を閉塞した状態で固着された弾性体で、該弾性体33は、例えばゴム等の弾性材料により、後述する取付軸34の外周を軸方向に延びる円柱状に形成され、ケーシング32の筒体32A、補強部材32D等の内周面と取付軸34の外周面とに固着されている。ここで、弾性体33は、従来技術による防振マウント11に用いた弾性体15よりも軸方向寸法が大きく、該弾性体15よりもばね定数が小さく設定されている。また、弾性体33の軸方向の一側(上端側)は、後述する取付軸34の固定プレート34Aが当接することにより弾性体33が圧縮側に過剰に変形するのを抑えるストッパ部33Aとなっている。
【0052】
34は弾性体33内を軸方向に挿通して設けられた取付軸で、該取付軸34は、軸方向に延びる段付き円柱状に形成され、軸方向の中間部に位置する大径な円板状の固定プレート34Aと、該固定プレート34Aから上方に突出した軸方向の一側(上端側)に位置する雄ねじ部34Bと、固定プレート34Aから下方に突出した軸方向の他側(下端側)に位置する円柱部34Cとを備えている。
【0053】
ここで、取付軸34は、例えば円柱部34Cの外周側が弾性体33に固着されることにより、ケーシング32の中心部に配置され、雄ねじ部34Bはケーシング32の外部に突出し、円柱部34Cの下端側はケーシング32内に挿入されている。
【0054】
そして、取付軸34は、雄ねじ部34Bをキャブ8の床板用ブラケット8Eと床板9とに挿通し、固定プレート34Aの上面34A1を床板9に当接させた状態で、雄ねじ部34Bに螺着したナット18によってキャブ8に取付けられる。一方、ケーシング32内に挿入された円柱部34Cの下端側には、ボルト22を用いて抵抗板21が固着されている。
【0055】
35はケーシング32内に画成された流体室で、該流体室35は、ケーシング32と弾性体33と取付軸34とによって囲まれた密閉空間として構成されている。そして、流体室35内には粘性液体20が封入され、該粘性液体20中には抵抗板21が常時浸される構成となっている。
【0056】
36は弾性体33の外周側に設けられたばねガイドで、該ばねガイド36は、弾性体33に沿って軸方向に延びる円筒状に形成され、ケーシング32の上方に突出した弾性体33の外周面に固着されている。そして、ばねガイド36は、後述のコイルばね37を軸方向に案内すると共に、軸方向寸法を大きくした弾性体33が径方向(水平方向)に撓むように変形するのを抑える芯金の役目を果たすものである。
【0057】
また、ばねガイド36の軸方向の一側(上端側)には、縮径方向に折曲げられた環状の上フランジ部36Aが一体に設けられ、該上フランジ部36Aによって弾性体33のストッパ部33Aを下側から支持する構成となっている。さらに、ばねガイド36の軸方向の他側(下端側)には、拡径方向に折曲げられた環状の下フランジ部36Bが一体に設けられ、該下フランジ部36Bによって後述するコイルばね37の基端部を支持する構成となっている。
【0058】
37は弾性体33を取囲んでケーシング32とキャブ8との間に取付けられた圧縮ばねからなるコイルばねで、該コイルばね37は、ばねガイド36の外周面にこれを取囲む状態で遊挿され、該ばねガイド36に沿って案内されつつ軸方向に延びている。ここで、コイルばね37の基端部は、ばねガイド36の下フランジ部36Bに当接し、コイルばね37の先端部は、キャブ8の床板9の下面に当接している。なお、床板9の下面には、コイルばね37の先端部を径方向に位置決めする環状のブラケット38が溶接等によって固着されている。
【0059】
そして、コイルばね37は、キャブ8の自重を支え、当該キャブ8の自重によって弾性体33が圧縮側に変形するのを抑えるものである。従って、コイルばね37のばね定数は、防振マウント31によって支持すべきキャブ8の自重に対応した値に設定されている。
【0060】
本実施の形態による防振マウント31は上述の如き構成を有するもので、該防振マウント31を介して旋回フレーム5上にキャブ8を支持するときには、まず、図2に示すように、防振マウント31のケーシング32を、旋回フレーム5のキャブ支持部7にボルト14を用いて取付ける。
【0061】
ここで、防振マウント31上にキャブ8を搭載していない状態、即ち、防振マウント31に対して荷重が作用していない無負荷状態では、弾性体33およびコイルばね37は、図2に示すように自由長さを保持する。
【0062】
次に、図1に示すように、防振マウント31上にキャブ8を搭載し、該キャブ8によってコイルばね37を圧縮しつつ、取付軸34の雄ねじ部34Bをキャブ8の床板用ブラケット8Eと床板9とに挿通する。そして、固定プレート34Aの上面34A1をキャブ8の床板9に当接させた状態で、雄ねじ部34Bにナット18を螺着することにより、取付軸34をキャブ8に取付ける。これにより、防振マウント31は、旋回フレーム5のキャブ支持部7上でキャブ8を弾性的に支持する。
【0063】
ここで、防振マウント31の取付軸34にキャブ8を取付けたときには、コイルばね37が図2に示す自由長さから圧縮され、このコイルばね37のばね力によってキャブ8の自重を支えることができる。このとき、弾性体33は自由長さを保ち、キャブ8の自重によって弾性体33が圧縮側に変形してしまうのを抑えることができる。
【0064】
そして、油圧ショベル1の走行時等において旋回フレーム5が振動したときには、防振マウント31は、ケーシング32と取付軸34との間で弾性体33が上,下方向に弾性変形することにより、旋回フレーム5からキャブ8に伝わる振動を抑える。
【0065】
この場合、防振マウント31に対して弾性体33の伸長側に過大な荷重が作用したときには、抵抗板21が弾性体33を介して補強部材32Dの下面に当接することにより、弾性体33の過剰な変形を抑えることができる。また、防振マウント31に対して弾性体33の圧縮側に過大な荷重が作用したときには、取付軸34の固定プレート34Aが弾性体33のストッパ部33Aに当接することにより、弾性体33の過剰な変形を抑えることができる。
【0066】
ここで、防振マウント31が、キャブ8から受ける荷重に応じて上,下方向に伸縮する状態を、固定プレート34Aの位置に着目して図3を参照しつつ説明する。
【0067】
まず、防振マウント31にキャブ8を搭載していない無負荷状態では、防振マウント31は実線で示す無負荷位置となり、キャブ支持部7から固定プレート34Aまでの高さ寸法は、無負荷高さAとなる。次に、キャブ8を搭載することにより、防振マウント31のコイルばね37に対してキャブ8の自重が作用しているときには、該キャブ8の自重によってコイルばね37のみが圧縮されるので、防振マウント31は実質的に無負荷位置を保持し、キャブ支持部7から固定プレート34Aまでの高さ寸法は、無負荷高さAとなる。
【0068】
一方、油圧ショベル1の走行時等において、防振マウント31に対して弾性体33の伸長側に過大な荷重が作用したとき(抵抗板21が補強部材32Dの下面に当接したとき)には、防振マウント31は、一点鎖線で示す最大伸長位置に変位する。また、防振マウント31に対して弾性体33の圧縮側に過大な荷重が作用したとき(固定プレート34Aが弾性体33のストッパ部33Aに当接したとき)には、防振マウント31は二点鎖線で示す最大圧縮位置に変位する。
【0069】
この場合、防振マウント31が最大伸長位置と最大圧縮位置との間で変位する距離が、弾性体33の耐久強度を考慮して設定された防振マウント31の全許容ストロークBとなり、この全許容ストロークBは、従来技術による防振マウント11の全許容ストロークZとほぼ等しい長さに設定されている。
【0070】
そして、防振マウント31の全許容ストロークBは、防振マウント31が中立位置から最大伸長位置へと変位するときの伸長側許容ストロークB1と、防振マウント31が中立位置から最大圧縮位置へと変位するときの圧縮側許容ストロークB2とに大別される。
【0071】
ここで、防振マウント31は、コイルばね37のばね力によってキャブ8の自重を支える構成としたので、該キャブ8の自重によって弾性体33が予め圧縮側に変形するのを抑え、防振マウント31の中立位置が最大圧縮位置側に偏るのを抑えることができる。このため、従来技術による防振マウント11に比較して、本実施の形態による防振マウント31は、全許容ストロークB中に占める圧縮側許容ストロークB2を、伸長側許容ストロークB1よりも大きく確保することができる(B2>B1)。
【0072】
このように、本実施の形態による防振マウント31は、従来技術による防振マウント11の全許容ストロークZとほぼ同じ長さの全許容ストロークBを有するものの、全許容ストロークB中に占める伸長側許容ストロークB1と圧縮側許容ストロークB2のうち、伸長側許容ストロークB1を小さくし、圧縮側許容ストロークB2を大きく確保することができる。
【0073】
これにより、例えば油圧ショベル1が走行中に地面上の凸部を乗越えた場合等において、防振マウント31の圧縮側に大きな荷重が作用したとしても、この大きな荷重を弾性体33によって適正に受承することができ、該弾性体33の耐久性を保つことができる。即ち、本実施の形態による防振マウント31は、弾性体33の耐久性を保ちつつ該弾性体33のばね定数を小さく設定することができる構成となっている。
【0074】
ここで、本実施の形態による防振マウント31にキャブ8から圧縮側の荷重が作用したときのストローク(撓み量)と、上述した従来技術による防振マウント11にキャブ8から圧縮側の荷重が作用したときのストロークとの比較について、図4を参照しつつ説明する。
【0075】
まず、従来技術による防振マウント11のストロークは、図4中に特性線L1として示され、該防振マウント11の弾性体15は、キャブ8の自重による静的な荷重W1によってストロークS1だけ圧縮側に撓み、キャブ8の振動による動的な荷重W2が作用したときにはストロークS1から最大ストロークS2まで圧縮側に撓む。即ち、従来技術による防振マウント11は、油圧ショベル1の作動時にキャブ8から作用する動的な荷重W2を吸収するための実質的なストローク量が、ストロークS1からS2までの小さなストローク量Spとなるため、弾性体15のばね定数を大きく設定する必要がある。
【0076】
これに対し、本実施の形態による防振マウント31のストロークは、図4中に特性線L2として示され、キャブ8の自重による静的な荷重W1をコイルばね37によって支えるため、防振マウント31の弾性体33は、キャブ8の振動による動的な荷重W2が作用したときに最大ストロークS2まで圧縮側に撓む。即ち、本実施の形態による防振マウント31は、油圧ショベル1の作動時にキャブ8から作用する動的な荷重W2を吸収するための実質的なストローク量Stを、上述のストローク量Spよりも大きく確保することができ、この分、弾性体33のばね定数を小さく設定することができる。
【0077】
かくして、本実施の形態による防振マウント31は、コイルばね37のばね力によってキャブ8の自重(初期荷重)を支えることにより、当該キャブ8の自重によって弾性体33が予め圧縮側に撓むのを抑え、油圧ショベル1の作動時にキャブ8から作用する動的な荷重を吸収するための実質的なストローク量Stを大きく確保することができる。これにより、弾性体33の耐久性を確保しつつ該弾性体33のばね定数を小さく設定することができるので、旋回フレーム5からキャブ8に伝わる微小な振動を、ばね定数の小さな弾性体33によって適正に吸収することができ、キャブ8内の居住性を向上させることができる。
【0078】
一方、取付軸34に固定された抵抗板21は、弾性体33の弾性変形に応じて流体室35内を上,下方向に移動し、流体室35内に封入された粘性液体20は、抵抗板21の流通穴21A等を通じて抵抗板21の上,下に流動する。そして、このときの粘性液体20の粘性抵抗、流動抵抗により、取付軸34の上,下方向の移動に対して抵抗力を与え、その結果、キャブ8に伝わった振動を減衰することができるので、キャブ8内の居住性を一層向上させることができる。
【0079】
次に、図5および図6は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、取付軸にばねガイドを設けると共に、ケーシングにコイルばねの基端部を径方向に位置決めする位置決め部を設けたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0080】
図中、41は旋回フレーム5のキャブ支持部7とキャブ8との間に設けられた本実施の形態による防振マウントで、該防振マウント41は、上述した第1の実施の形態によるものとほぼ同様に、後述のケーシング42、弾性体43、取付軸44、粘性液体20、抵抗板21、コイルばね37等を備えた液体封入式マウントとして構成されているものの、取付軸44に後述のばねガイド46を設けると共に、ケーシング42に後述の位置決め突起42Eを設けた点で第1の実施の形態による防振マウント31とは異なるものである。
【0081】
42は旋回フレーム5のキャブ支持部7に取付けられたケーシングで、該ケーシング42は、上端側が開口部となった円筒状の筒体42Aと、該筒体42Aの上端側に一体形成されボルト14を用いてキャブ支持部7に取付けられたフランジ部42Bと、筒体42Aの下端側を閉塞する底板42Cと、フランジ部42Bに固着された断面J字状をなす補強部材42Dとにより有底円筒状に形成されている。
【0082】
42Eはケーシング42の上端側に一体に設けられた位置決め部としての4個の位置決め突起で、該各位置決め突起42Eは、例えばフランジ部42Bの外周側に予め設けられた4個の突起片を上向きに折曲げることにより、ケーシング42の外周に互いに90°の角度間隔をもって立設されている。そして、各位置決め突起42Eは、コイルばね37の基端部を外周側から取囲むことにより、該コイルばね37をケーシング42に対して径方向に位置決めするものである。
【0083】
43はケーシング42にその開口部を閉塞した状態で固着された弾性体で、該弾性体43は、例えばゴム等の弾性材料により、後述する取付軸44の外周を軸方向に延びる円柱状に形成され、ケーシング42の筒体42A、補強部材42D等の内周面と取付軸44の外周面とに固着されている。
【0084】
44は弾性体43内を軸方向に挿通して設けられた取付軸で、該取付軸44は、大径な円板状の固定プレート44Aと、該固定プレート44Aから上方に突出した雄ねじ部44Bと、固定プレート44Aから下方に突出し外周側が弾性体43に固着された円柱部44Cとにより構成されている。
【0085】
そして、取付軸44は、固定プレート44Aの上面をキャブ8の床板9に当接させた状態で、該床板9等に挿通した雄ねじ部44Bにナット18を螺着することにより、キャブ8に取付けられている。また、ケーシング42内に挿入された円柱部44Cの下端側には抵抗板21が固着され、該抵抗板21は、ケーシング42の流体室45内に封入された粘性液体20に常時浸されている。
【0086】
46は弾性体43の外周側に設けられたばねガイドで、該ばねガイド46は、弾性体43の外周側を全周に亘って取囲んで軸方向に延びる円筒体からなり、軸方向の一側(上端側)が取付軸44の固定プレート44Aに溶接等によって固着され、ケーシング42に向けて垂下している。そして、ばねガイド46は、その外周側に遊挿されたコイルばね37を軸方向に案内するものである。また、ばねガイド46の軸方向の他側(下端側)は、弾性体43が圧縮方向に変形したときにケーシング42の補強部材42Dに当接するストッパ部46Aとなり、該ストッパ部46Aによって弾性体43が過剰に変形するのを抑える構成となっている。
【0087】
本実施の形態による防振マウント41は上述の如き構成を有するもので、第1の実施の形態による防振マウント31と同様に、コイルばね37によってキャブ8の自重を支えることにより、旋回フレーム5からキャブ8に伝わる微小な振動を、ばね定数の小さな弾性体43によって適正に吸収することができ、キャブ8の居住性を向上させることができる。
【0088】
しかも、本実施の形態による防振マウント41は、ケーシング42に4個の位置決め突起42Eを一体に設け、該各位置決め突起42Eによってコイルばね37の基端部を径方向に容易に位置決めすることができるので、該コイルばね37の取付時の作業性を高めることができる。
【0089】
なお、上述した第2の実施の形態では、ばねガイド46の上端側を取付軸44の固定プレート44Aに固着した場合を例に挙げている。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図7に示す変形例のように、ばねガイド46′の上端側をキャブ8(第2の部材)の床板9に固着する構成としてもよい。
【0090】
また、上述した第1の実施の形態では、弾性体33とは別部材からなるばね部材として、コイルばね37を用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば弾性体33とは異なるばね定数をもったゴム等を用いてばね部材を構成してもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0091】
また、上述した第1の実施の形態では、防振マウント31としてケーシング32内に粘性液体20を封入した液体封入式ゴムマウントを用い、コイルばね37によってキャブ8の自重を支えつつ弾性体33によってキャブ8に伝わる振動を抑え、抵抗板21が粘性液体20中を移動することによってキャブ8の振動を減衰する場合を例示している。
【0092】
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばケーシング32内に粘性液体20が封入されていないゴムマウントを用い、コイルばね37によってキャブ8の自重を支えつつ弾性体33によってキャブ8に伝わる振動を抑える構成としてもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0093】
さらに、上述した第1,第2の実施の形態では、防振マウント31,41を、油圧ショベル1の旋回フレーム5(第1の部材)とキャブ8(第2の部材)との間に設けた場合を例に挙げている。しかし、本発明はこれに限らず、例えば鉄道車両の走行装置と車体との間、自動車の車体フレームとエンジンとの間、工場の床と機械装置との間等、第1の部材上で第2の部材を防振支持する防振マウントとして広く適用することができるものである。
【0094】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1の発明によれば、第1の部材に取付けられるケーシングと第2の部材に取付けられる取付軸との間に弾性体を設けると共に、該弾性体とは別部材からなるばね部材を、ケーシングと第2の部材との間に設ける構成としたので、このばね部材によって第2の部材の自重を支えることにより、弾性体が第2の部材の自重によって予め圧縮側に変形するのを抑えることができる。これにより、弾性体の耐久性を確保しつつ該弾性体のばね定数を小さく設定することができ、第1の部材から第2の部材に伝わる微小な振動を弾性体によって適正に吸収することができる。
【0095】
また、請求項2の発明によれば、ばね部材を、取付軸を外周側から取囲んだ状態で軸方向に延びるコイルばねにより構成したので、第2の部材の自重をコイルばねによって支えた状態で、ケーシングと取付軸との間で弾性体が弾性変形することにより、第1の部材から第2の部材に伝わる振動を抑えることができる。
【0096】
また、請求項3の発明によれば、ケーシング内には粘性を有する粘性液体を封入して設け、取付軸には弾性体が弾性変形するときに粘性液体中を移動して抵抗力を発生する抵抗板を設ける構成としている。これにより、第1の部材からの振動が第2の部材に伝わるのを弾性体の弾性変形によって抑えることができる上に、弾性体の変形に伴って抵抗板が粘性液体中を移動するときに発生する粘性抵抗、流動抵抗により、取付軸の移動に対して抵抗力を与えることができ、第2の部材に伝わった振動を減衰することができる。
【0097】
また、請求項4の発明によれば、弾性体を、取付軸の外周を軸方向に延びる柱状に形成し、弾性体の外周側には該弾性体に沿って軸方向に延びる筒状のばねガイドを設けたので、第1の部材と第2の部材との間にコイルばねを配設するときに、弾性体の外周側に設けたばねガイドを利用して、コイルばねを軸方向に案内することができる。
【0098】
また、請求項5の発明によれば、ばねガイドは弾性体の外周面に固着して設け、弾性体の軸方向の一側には取付軸が当接するストッパを設ける構成としたので、ばねガイドが、コイルばねを案内する役目の他に、軸方向に延びる弾性体の外周面を覆う芯金の役目を果たし、弾性体が径方向に変形するのを抑えることができる。また、弾性体が圧縮側に大きく変形したときには、弾性体に設けたストッパに取付軸が当接することにより、弾性体が圧縮側に過剰に変形するのを抑えることができ、弾性体を保護することができる。
【0099】
また、請求項6の発明によれば、ばねガイドを、軸方向の一側が取付軸または第2の部材に固着されケーシングに向けて延びる構成とし、ばねガイドの軸方向の他側を、ケーシングに当接するストッパとして構成している。これにより、ばねガイドによってコイルばねを軸方向に案内することができる上に、弾性体が圧縮側に大きく変形したときには、ばねガイドの軸方向の他側がケーシングに当接することにより、弾性体が圧縮側に過剰に変形するのを抑えることができる。
【0100】
さらに、請求項7の発明によれば、ケーシングに、コイルばねの基端部を径方向に位置決めする位置決め部を設ける構成としたので、第1の部材と第2の部材との間にコイルばねを配設するときに、ケーシングの位置決め部によってコイルばねの基端部を径方向に容易に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による防振マウントを示す断面図である。
【図2】キャブを取外した状態での防振マウントを示す断面図である。
【図3】防振マウントの全許容ストローク、伸長側許容ストローク、圧縮側許容ストロークをキャブを取外した状態で示す正面図である。
【図4】弾性体に作用する荷重とストロークとの関係を示す特性線図である。
【図5】第2の実施の形態による防振マウントを示す一部破断の正面図である。
【図6】防振マウントのばねホルダ等を図5中の矢示VI−VI方向からみた断面図である。
【図7】防振マウントの変形例を示す図5と同様の一部破断の正面図である。
【図8】従来技術による防振マウントを備えた油圧ショベルを示す正面図である。
【図9】図8中の旋回フレーム、キャブ等を拡大して示す一部破断の正面図である。
【図10】旋回フレームのキャブ支持部、防振マウント等を図9中の矢示X−X方向からみた断面図である。
【図11】従来技術による防振マウントを示す断面図である。
【図12】従来技術による防振マウントの全許容ストローク、伸長側許容ストローク、圧縮側許容ストロークをキャブを取外した状態で示す正面図である。
【符号の説明】
5 旋回フレーム(第1の部材)
8 キャブ(第2の部材)
20 粘性液体
21 抵抗板
31,41 防振マウント
32,42 ケーシング
33,43 弾性体
33A ストッパ部
34,44 取付軸
35,45 流体室
36,46,46′ばねガイド
37 コイルばね(ばね部材)
42E 位置決め突起(位置決め部)
46A ストッパ部
Claims (7)
- 軸方向の一側が開口部となると共に軸方向の他側が閉塞され第1の部材に取付けられるケーシングと、弾性材料により形成され該ケーシングにその開口部を閉塞した状態で固着して設けられた弾性体と、該弾性体内を軸方向に挿通して設けられ前記ケーシングの外部に突出した軸方向の一側が第2の部材に取付けられる取付軸と、前記弾性体とは別部材からなり基端側が前記ケーシング側に取付けられると共に先端側が前記第2の部材に取付けられ該第2の部材の自重を支えるばね部材とにより構成してなる防振マウント。
- 前記ばね部材は、前記取付軸を外周側から取囲んだ状態で軸方向に延びるコイルばねにより構成してなる請求項1に記載の防振マウント。
- 前記ケーシング内には粘性を有する粘性液体を封入して設け、前記取付軸には前記弾性体が弾性変形するときに前記粘性液体中を移動して抵抗力を発生する抵抗板を設ける構成としてなる請求項1または2に記載の防振マウント。
- 前記弾性体は、前記取付軸の外周を軸方向に延びる柱状に形成し、前記弾性体の外周側には、該弾性体に沿って軸方向に延び前記コイルばねを案内する筒状のばねガイドを設ける構成としてなる請求項2または3に記載の防振マウント。
- 前記ばねガイドは、前記弾性体の径方向への変形を抑えるため該弾性体の外周面に固着して設け、前記弾性体の軸方向の一側には、該弾性体が圧縮側に過剰に変形するのを抑えるため前記取付軸が当接するストッパを設ける構成としてなる請求項4に記載の防振マウント。
- 前記ばねガイドは、軸方向の一側が前記取付軸または前記第2の部材に固着され前記ケーシングに向けて延びる構成とし、該ばねガイドの軸方向の他側は、前記弾性体が圧縮側に過剰に変形するのを抑えるため前記ケーシングに当接するストッパを構成してなる請求項4に記載の防振マウント。
- 前記ケーシングには、前記コイルばねの基端部を径方向に位置決めする位置決め部を設ける構成としてなる請求項2,3,4,5または6に記載の防振マウント。
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