JP2004050518A - インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】予備吐によるインク浪費、記録時間低下を最小限に抑えながら、低価格化を実現可能なインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のインクジェット記録方法では、記録ヘッドのノズル列を複数個のノズルからなるノズルブロックに分割し、前記記録データに基づき、前記各ノズルブロック毎にインク液滴の吐出予定数をカウントする(ステップS112)。そして、前記カウント値が一定期間内に一定値N以上に達したか否かを各ブロックに対して判別し(ステップS115)、前記カウント値が所定期間内に一定値以上に達しないブロックが存在した場合に前記記録ヘッドの少なくとも1つのブロックにおいて予備吐出(ステップS122)を行う。
【選択図】 図15
【解決手段】本発明のインクジェット記録方法では、記録ヘッドのノズル列を複数個のノズルからなるノズルブロックに分割し、前記記録データに基づき、前記各ノズルブロック毎にインク液滴の吐出予定数をカウントする(ステップS112)。そして、前記カウント値が一定期間内に一定値N以上に達したか否かを各ブロックに対して判別し(ステップS115)、前記カウント値が所定期間内に一定値以上に達しないブロックが存在した場合に前記記録ヘッドの少なくとも1つのブロックにおいて予備吐出(ステップS122)を行う。
【選択図】 図15
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法、詳しくは、予備吐出動作によって記録ヘッドの吐出状態を適正に保ち得るようにしたインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置では、時間の経過と共にノズル先端からインク揮発成分が蒸発し、吐出不良を起こすことがある。この吐出不良による記録品位の劣化を回避するため、記録には直接寄与しないインクの吐出(予備吐出)を行い、常に正常な吐出が可能な状態にインクを保つのが一般的である。例えば、記録ヘッドの温度、記録装置内部の温度、及び記録装置内部の湿度などの条件から、正常なインク吐出を保ち得る最大時間間隔(最大時間)を算出し、その最大時間内の所定の時間間隔で定期的に予備吐出を実施するようになっている。
【0003】
しかし、一定の時間が経過することにより必ず予備吐出を実施するよう構成した従来のインクジェット記録装置にあっては、記録動作の実行によってインク吐出が十分に行われ、実際には予備吐出動作が不必要なノズルに対しても、無条件で予備吐が実施されることとなり、インクの浪費や記録速度の低下を招くという問題がある。
【0004】
また、特開平08―112904号公報には、記録媒体上に予備吐を実施する技術、及び、ノズル単位で記録の吐出数をカウントすることにより、必要な予備吐出の回数を算出する技術が開示されており、これらの技術は上記課題を解決し得るものとなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年では、インクジェット記録装置に対するユーザーの要求が高まり、記録動作の高速化、高画質化、及び装置の低価格化などが進んでいる。特に、高画質化の要請に応えるべく小液滴化と多色化が図られる傾向にある。吐出されるインク液滴を微小にすることは、記録媒体上に形成される記録ドットを微小化して解像度を高めることを意味し、これによって自然画ハイライト部の粒状感を低減することが可能となる。
【0006】
従来の一般的なインクジェット記録装置は、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4種類のインクで画像を形成していたが、ハイライト部、中間濃度部の画質を向上させるため、染料濃度を下げた淡い色合いのライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)を加えて記録を行うものも知られている。高速化に対しては、1色あたりのノズル数を増やすことで対応することができる。
【0007】
また、多色化、多ノズル化により、記録に用いる総ノズル数は従来に比して大幅に増加された。このため特開平08―112904で開示された技術では、記録吐出数をカウントすると共に、カウント数を保持するために膨大な電気回路が必要になり、しかもその膨大なデータを瞬時に処理することが必要となるため、高速処理が可能なCPUが必要とされる。このため、記録装置全体のコストが上昇し、低価格という一般ユーザの要求を満たすことが困難になっている。一方、小液滴化の実現により、着弾した単発のドットは非常に見えにくくなっており、現在のインクジェット記録装置による解像度は、全ノズル中の1〜2%のノズルが吐出不良を起こしていても画像劣化が認識されない程度にまで高まっている。こうした高解像度化が実現されているにも拘わらず、従来では1ノズルでも吐出不良の可能性があると予備吐出を実施しており、画像品質に反映しないインクの浪費が行われていた。
【0008】
本発明は上記問題点に着目してなされたものであり、予備吐によるインク浪費、記録時間低下を最小限に抑えながら、低価格化を実現可能なインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成を有するものとなっている。
すなわち、本発明は、インクを吐出するノズル列を形成してなる記録ヘッドと、記録データに基づき前記ノズルからインク液滴を吐出させると共に記録ヘッドのインク吐出状態を適正に保つべく前記ノズルからインクを吐出させる予備吐出動作を制御するヘッド制御手段とを有するインクジェット記録装置であって、前記ヘッド制御手段は、前記記録ヘッドのノズル列を複数個のノズルからなるノズルブロックに分割し、前記記録データに基づき、前記各ノズルブロック毎にインク液滴の吐出予定数をカウントするカウント手段と、前記カウント手段のカウント値が一定期間内に一定値以上に達したか否かを各ブロックに対して判別する判別手段と、を備え、前記カウント値が所定期間内に一定値以上に達しないブロックが存在した場合に前記記録ヘッドの少なくとも1つのブロックにおいて予備吐出を行うことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明は、インクを吐出するノズル列を形成してなる記録ヘッドと、記録データに基づき前記ノズルからインク液滴を吐出させると共に記録ヘッドのインク吐出状態を適正に保つべく前記ノズルからインクを吐出させる予備吐出動作を制御するヘッド制御手段とを有するインクジェット記録装置であって、前記ヘッド制御手段は、前記記録ヘッドのノズル列を複数個のノズルからなるノズルブロックに分割し、前記記録データに基づき、前記各ノズルブロック毎にインク液滴の吐出予定数をカウントするカウント手段と、前記カウント値が所定期間内に一定値以上に達したか否かを判別する判別手段と、前記カウント値が一定期間内に一定値以上に達したときに前記カウント値に所定の定数を乗算する乗算手段と、この乗算手段によって乗算された値と次の所定期間内に前記カウント手段によってカウントされたカウント値とを加算する加算手段と、前記加算手段によって加算された値が前記一定値以上に達したか否かを判別する加算値判別手段と、を備え、前記加算値が一定値以下となるまで前記前記加算手段による加算と前記乗算手段による乗算とを繰り返し、前記加算値が一定値以下となった時点で予備吐出を行うことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明は、インクを吐出するノズル列を形成してなる記録ヘッドを備え、記録データに基づき前記ノズルからインク液滴を吐出させると共に、記録ヘッドのインク吐出状態を適正に保つべく前記ノズルからインクを吐出させるようにしたインクジェット記録方法であって、前記記録ヘッドのノズル列を複数個のノズルからなるノズルブロックに分割し、前記記録データに基づき、前記各ノズルブロック毎にインク液滴の吐出予定数をカウントするステップと、前記カウント値が一定期間内に一定値以上に達したか否かを各ブロックに対して判別する判別ステップと、を備え、前記カウント値が所定期間内に一定値以上に達しないブロックが存在した場合に前記記録ヘッドの少なくとも1つのブロックにおいて予備吐出を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、インクを吐出するノズル列を形成してなる記録ヘッドを備え、記録データに基づき前記ノズルからインク液滴を吐出させると共に、記録ヘッドのインク吐出状態を適正に保つべく前記ノズルからインクを吐出させるようにしたインクジェット記録方法であって、前記記録ヘッドのノズル列を複数個のノズルからなるノズルブロックに分割し、前記記録データに基づき、前記各ノズルブロック毎にインク液滴の吐出予定数をカウントするステップと、前記カウント値が所定期間内に一定値以上に達したか否かを判別する判別ステップと、前記カウント値が一定期間内に一定値以上に達したときに前記カウント値に所定の定数を乗算する乗算ステップと、この乗算手段によって乗算された値と次の所定期間内に前記カウント手段によってカウントされたカウント値とを加算する加算ステップと、前記加算手段によって加算された値が前記一定値以上に達したか否かを判別する加算値判別ステップと、を備え、前記加算値が一定値以下となるまで前記前記加算手段による加算と前記乗算手段による乗算とを繰り返し、前記加算値が一定値以下となった時点で予備吐出を行うことを特徴とする。
【0013】
上記構成を有する発明にあっては、複数のノズルを単位とするブロックを複数個設定し、ブロック単位で記録データをカウントする。個々のノズルからの吐出数とは関係なしに、ブロック毎にカウントされた値に基づき予備吐動作を行うか否かを決定する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0015】
(インクジェット記録装置の基本構成)
まず、本発明の実施形態に適用するインクジェット記録装置の基本構成を説明する。
なお、本明細書において、「プリント」(「記録」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広くプリント媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も言うものとする。
【0016】
ここで、「プリント媒体」または「記録シート」とは、一般的なプリント装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板等、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能な物も言うものとするが、以下では「記録媒体」または単に「紙」という場合もある。
【0017】
さらに、「インク」(「液体」という場合もある)とは、上記「プリント」の定義と同様広く解釈されるべきもので、プリント媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成またはプリント媒体の加工、或いはインクの処理(例えばプリント媒体に付与されるインク中の色材の凝固または不溶化)に供され得る液体を言うものとする。
【0018】
1.装置本体
図1及び図2にインクジェット記録装置の概略構成を示す。図1において、この実施形態における記録装置本体M1000の外殻は、下ケースM1001、上ケースM1002、アクセスカバーM1003及び排出トレイM1004を含む外装部材と、その外装部材内に収納されたシャーシM3019(図2参照)とから構成される。
【0019】
シャーシM3019は、所定の剛性を有する複数の板状金属部材によって構成され、記録装置の骨格をなし、後述の各記録動作機構を保持するものとなっている。
また、前記下ケースM1001は装置本体M1000の外装の略下半部を、上ケースM1002は装置本体M1000の外装の略上半部をそれぞれ形成しており、両ケースの組合せによって内部に後述の各機構を収納する収納空間を有する中空体構造をなしている。装置本体M1000の上面部及び前面部には、それぞれ、開口部が形成されている。
【0020】
さらに、排出トレイM1004は、その一端部が下ケースM1001に回転自在に保持され、その回転によって下ケースM1001の前面部に形成される前記開口部を開閉させ得るようになっている。このため、記録動作を実行させる際には、排出トレイM1004を前面側へと回転させて開口部を開成させることにより、ここから記録シートが排出可能となると共に排出された記録シートPを順次積載し得るようになっている。また、排紙トレイM1004には、2枚の補助トレイM1004a,M1004bが収納されており、必要に応じて各トレイを手前に引き出すことにより、用紙の支持面積を3段階に拡大、縮小させ得るようになっている。
【0021】
アクセスカバーM1003は、その一端部が上ケースM1002に回転自在に保持され、上面に形成される開口部を開閉し得るようになっており、このアクセスカバーM1003を開くことによって本体内部に収納されている記録ヘッドカートリッジH1000あるいはインクタンクH1900等の交換が可能となる。なお、ここでは特に図示しないが、アクセスカバーM1003を開閉させると、その裏面に形成された突起がカバー開閉レバーを回転させるようになっており、そのレバーの回転位置をマイクロスイッチなどで検出することにより、アクセスカバーの開閉状態を検出し得るようになっている。
【0022】
また、上ケースM1002の後部上面には、電源キーE0018及びレジュームキーE0019が押下可能に設けられると共に、LED E0020が設けられており、電源キーE0018を押下すると、LED E0020が点灯し記録可能であることをオペレータに知らせるものとなっている。また、LED E0020は点滅の仕方や色の変化をさせたり、記録装置のトラブル等をオペレータに知らせる等種々の表示機能を有する。さらに、ブザーE0021(図7)をならすこともできる。なお、トラブル等が解決した場合には、レジュームキーE0019を押下することによって記録が再開されるようになっている。
【0023】
2.記録動作機構
次に、記録装置の装置本体M1000に収納、保持される本実施形態における記録動作機構について説明する。
【0024】
本実施形態における記録動作機構としては、記録シートPを装置本体内へと自動的に給送する自動給送部M3022と、自動給送部から1枚ずつ送出される記録シートPを所定の記録位置へと導くと共に、記録位置から排出部M3030へと記録シートPを導く搬送部M3029と、記録位置に搬送された記録シートPに所望の記録を行なう記録部と、前記記録部等に対する回復処理を行う回復部(M5000)とから構成されている。
【0025】
ここで、記録部について説明するに、その記録部は、キャリッジ軸M4021によって移動可能に支持されたキャリッジM4001と、このキャリッジM4001に着脱可能に搭載される記録ヘッドカートリッジH1000とからなる。
【0026】
2.1 記録ヘッドカートリッジ
まず、記録部に用いられる記録ヘッドカートリッジについて図3〜5に基づき説明する。
【0027】
この実施形態における記録ヘッドカートリッジH1000は、図3に示すようにインクを貯留するインクタンクH1900と、このインクタンクH1900から供給されるインクを記録情報に応じてノズルから吐出させる記録ヘッドH1001とを有する。記録ヘッドH1001は、後述するキャリッジM4001に対して着脱可能に搭載される、いわゆるカートリッジ方式を採るものとなっている。
【0028】
ここに示す記録ヘッドカートリッジH1000では、写真調の高画質なカラー記録を可能とするため、インクタンクとして、例えば、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタ及びイエローの各色独立のインクタンクH1900が用意されており、図4に示すように、それぞれが記録ヘッドH1001に対して着脱自在となっている。
【0029】
そして,記録ヘッドH1001は、図5の分解斜視図に示すように、記録素子基板H1100、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300、第2のプレートH1400、タンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、シールゴムH1800から構成されている。
【0030】
記録素子基板H1100には、Si基板の片面にインクを吐出するための複数の記録素子と、各記録素子に電力を供給するAl等の電気配線とが成膜技術により形成され、この記録素子に対応した複数のインク流路と複数の吐出口H1100Tとがフォトリソグラフィ技術により形成されると共に、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。また、記録素子基板H1100は第1のプレートH1200に接着固定されており、ここには、前記記録素子基板H1100にインクを供給するためのインク供給口H1201が形成されている。さらに、第1のプレートH1200には、開口部を有する第2のプレートH1400が接着固定されており、この第2のプレートH1400を介して、電気配線基板H1300が記録素子基板H1100に対して電気的に接続されるよう保持されている。この電気配線基板H1300は、記録素子基板H1100にインクを吐出するための電気信号を印加するものであり、記録素子基板H1100に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し本体からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301とを有しており、外部信号入力端子H1301は、後述のタンクホルダーH1500の背面側に位置決め固定されている。
【0031】
一方、インクタンクH1900を着脱可能に保持するタンクホルダーH1500には、流路形成部材H1600が例えば、超音波溶着により固定され、インクタンクH1900から第1のプレートH1600に亘るインク流路H1501を形成している。また、インクタンクH1900と係合するインク流路H1501のインクタンク側端部には、フィルターH1700が設けられており、外部からの塵埃の侵入を防止し得るようになっている。また、インクタンクH1900との係合部にはシールゴムH1800が装着され、係合部からのインクの蒸発を防止し得るようになっている。
【0032】
さらに、前述のようにタンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700及びシールゴムH1800から構成されるタンクホルダー部と、前記記録素子基板H1100、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300及び第2のプレートH1400から構成される記録素子部とを、接着等で結合することにより、記録ヘッドH1001を構成している。
【0033】
2.2 キャリッジ
次に、図2を参照して記録ヘッドカートリッジH1000を搭載するキャリッジM4001を説明する。
【0034】
図2に示すように、キャリッジM4001には、キャリッジM4001と係合し記録ヘッドH1001をキャリッジM4001上の所定の装着位置に案内するためのキャリッジカバーM4002と、記録ヘッドH1001のタンクホルダーH1500と係合し記録ヘッドH1001を所定の装着位置にセットさせるよう押圧するヘッドセットレバーM4007とが設けられている。
すなわち、ヘッドセットレバーM4007はキャリッジM4001の上部にヘッドセットレバー軸に対して回動可能に設けられると共に、記録ヘッドH1001との係合部には、ばね付勢されるヘッドセットプレート(不図示)が備えられ、このばね力によって記録ヘッドH1001を押圧しながらキャリッジM4001に装着する構成となっている。
【0035】
また、キャリッジM4001の記録ヘッドH1001との別の係合部にはコンタクトフレキシブルプリントケーブル(図7参照、以下、コンタクトFPCと称す)E0011が設けられ、コンタクトFPC E0011上のコンタクト部と記録ヘッドH1001に設けられたコンタクト部(外部信号入力端子)H1301とが電気的に接触し、記録のための各種情報の授受や記録ヘッドH1001への電力の供給などを行い得るようになっている。
【0036】
ここでコンタクトFPC E0011のコンタクト部とキャリッジM4001との間には不図示のゴムなどの弾性部材が設けられ、この弾性部材の弾性力とヘッドセットレバーばねによる押圧力とによってコンタクト部とキャリッジM4001との確実な接触を可能とするようになっている。さらに前記コンタクトFPC E0011はキャリッジM4001の背面に搭載されたキャリッジ基板E0013に接続されている(図7参照)。
【0037】
3.スキャナ
この実施形態における記録装置は、上述した記録ヘッドカートリッジH1000の代わりにキャリッジM4001にスキャナを装着することで読取装置としても使用することができる。
【0038】
このスキャナは、記録装置側のキャリッジM4001と共に主走査方向に移動し、記録媒体に代えて給送された原稿画像をその主走査方向への移動の過程で読み取るようになっており、その主走査方向の読み取り動作と原稿の副走査方向の給送動作とを交互に行うことにより、1枚の原稿画像情報を読み取ることができる。
【0039】
図6(a)および(b)は、このスキャナM6000の概略構成を説明するために、スキャナM6000を上下逆にして示す図である。
【0040】
図示のように、スキャナホルダM6001は、略箱型の形状であり、その内部には読み取りに必要な光学系・処理回路などが収納されている。また、このスキャナM6000をキャリッジM4001へと装着した時に、原稿面と対面する部分には読取部レンズM6006が設けられており、このレンズM6006により原稿面からの反射光を内部の読取部に収束することで原稿画像を読み取るようになっている。一方、照明部レンズM6005は内部に不図示の光源を有し、その光源から発せられた光がレンズM6005を介して原稿へと照射される。
【0041】
スキャナホルダM6001の底部に固定されたスキャナカバーM6003は、スキャナホルダM6001内部を遮光するように嵌合し、側面に設けられたルーバー状の把持部によってキャリッジM4001への着脱操作性の向上を図っている。スキャナホルダM6001の外形形状は記録ヘッドH1001と略同形状であり、キャリッジM4001へは記録ヘッドカートリッジH1000と同様の操作で着脱することができる。
【0042】
また、スキャナホルダM6001には、読取り処理回路を有する基板が収納される一方、この基板に接続されたスキャナコンタクトPCBが外部に露出するよう設けられており、キャリッジM4001へとスキャナM6000を装着した際、スキャナコンタクトPCB M6004がキャリッジM4001側のコンタクトFPC E0011に接触し、基板を、キャリッジM4001を介して本体側の制御系に電気的に接続させるようになっている。
【0043】
4.記録装置の電気回路の構成
次に、本発明の実施形態における電気的回路構成を説明する。
図7は、この実施形態における電気的回路の全体構成例を概略的に示す図である。
【0044】
この実施形態における電気的回路は、主にキャリッジ基板(CRPCB)E0013、メインPCB(Printed Circuit Board)E0014、電源ユニットE0015等によって構成されている。
ここで、電源ユニットE0015は、メインPCB E0014と接続され、各種駆動電源を供給するものとなっている。
また、キャリッジ基板E0013は、キャリッジM4001(図2)に搭載されたプリント基板ユニットであり、コンタクトFPC E0011を通じて記録ヘッドとの信号の授受を行うインターフェースとして機能する他、キャリッジM4001の移動に伴ってエンコーダセンサE0004から出力されるパルス信号に基づき、エンコーダスケールE0005とエンコーダセンサE0004との位置関係の変化を検出し、その出力信号をフレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメインPCB E0014へと出力する。
【0045】
さらに、メインPCB E0014はこの実施形態におけるインクジェット記録装置の各部の駆動制御を司るプリント基板ユニットであり、紙端検出センサ(PEセンサ)E0007、ASF(自動給紙装置)センサE0009、カバーセンサE0022、パラレルインターフェース(パラレルI/F)E0016、シリアルインターフェース(シリアルI/F)E0017、レジュームキーE0019、LED E0020、電源キーE0018、ブザーE0021等に対するI/Oポートを基板上に有する。またさらに、キャリッジM1400を主走査させるための駆動源をなすモータ(CRモータ)E0001、記録媒体を搬送するための駆動源をなすモータ(LFモータ)E0002、記録ヘッドの回動動作と記録媒体の給紙動作に兼用されるモータ(PGモータ)E0003と接続されてこれらの駆動を制御する他、インクエンプティセンサE0006、GAPセンサE0008、PGセンサE0010、CRFFC E0012、電源ユニットE0015との接続インターフェイスを有する。
【0046】
図8は、メインPCB E0014の内部構成を示すブロック図である。図において、E1001はCPUであり、このCPU E1001は内部に発振回路E1005に接続されたクロックジェネレータ(CG) E1002を有し、その出力信号E1019によりシステムクロックを発生する。また、制御バスE1014を通じてROM E1004およびASIC(Application Specific Integrated Circuit) E1006に接続され、ROMに格納されたプログラムに従って、ASIC E1006の制御、電源キーからの入力信号E1017、及びレジュームキーからの入力信号E1016、カバー検出信号E1042、ヘッド検出信号(HSENS)E1013の状態の検知を行ない、さらにブザー信号(BUZ)E1018によりブザーE0021を駆動し、内蔵されるA/DコンバータE1003に接続されるインクエンプティ検出信号(INKS)E1011及びサーミスタによる温度検出信号(TH)E1012の状態の検知を行う一方、その他各種論理演算・条件判断等を行ない、インクジェット記録装置の駆動制御を司る。
【0047】
ここで、ヘッド検出信号E1013は、記録ヘッドカートリッジH1000からフレキシブルフラットケーブルE0012、キャリッジ基板E0013及びコンタクトフレキシブルプリントケーブルE0011を介して入力されるヘッド搭載検出信号であり、インクエンプティ検出信号E1011はインクエンプティセンサE0006から出力されるアナログ信号、温度検出信号E1012はキャリッジ基板E0013上に設けられたサーミスタ(図示せず)からのアナログ信号である。
【0048】
E1008はCRモータドライバであって、モータ電源(VM)E1040を駆動源とし、ASIC E1006からのCRモータ制御信号E1036に従って、CRモータ駆動信号E1037を生成し、CRモータE0001を駆動する。E1009はLF/PGモータドライバであって、モータ電源E1040を駆動源とし、ASIC E1006からのパルスモータ制御信号(PM制御信号)E1033に従ってLFモータ駆動信号E1035を生成し、これによってLFモータを駆動すると共に、PGモータ駆動信号E1034を生成してPGモータを駆動する。
【0049】
E1010は電源制御回路であり、ASIC E1006からの電源制御信号E1024に従って発光素子を有する各センサ等への電源供給を制御する。パラレルI/F E0016は、ASIC E1006からのパラレルI/F信号E1030を、外部に接続されるパラレルI/FケーブルE1031に伝達し、またパラレルI/FケーブルE1031の信号をASIC E1006に伝達する。シリアルI/F E0017は、ASIC E1006からのシリアルI/F信号E1028を、外部に接続されるシリアルI/FケーブルE1029に伝達し、また同ケーブルE1029からの信号をASIC E1006に伝達する。
【0050】
一方、電源ユニットE0015からは、ヘッド電源(VH)E1039及びモータ電源(VM)E1040、ロジック電源(VDD)E1041が供給される。また、ASIC E1006からのヘッド電源ON信号(VHON)E1022及びモータ電源ON信号(VMOM)E1023が電源ユニットE0015に入力され、それぞれヘッド電源E1039及びモータ電源E1040のON/OFFを制御する。電源ユニットE0015から供給されたロジック電源(VDD)E1041は、必要に応じて電圧変換された上で、メインPCB E0014内外の各部へ供給される。
【0051】
またヘッド電源信号E1039は、メインPCB E0014上で平滑化された後にフレキシブルフラットケーブルE0011へと送出され、記録ヘッドカートリッジH1000の駆動に用いられる。
E1007はリセット回路で、ロジック電源電圧E1041の低下を検出して、CPU E1001及びASIC E1006にリセット信号(RESET)E1015を供給し、初期化を行なう。
【0052】
このASIC E1006は1チップの半導体集積回路であり、制御バスE1014を通じてCPU E1001によって制御され、前述したCRモータ制御信号E1036、PM制御信号E1033、電源制御信号E1024、ヘッド電源ON信号E1022、及びモータ電源ON信号E1023等を出力し、パラレルI/F E0016およびシリアルI/F E0017との信号の授受を行なう他、PEセンサE0007からのPE検出信号(PES)E1025、ASFセンサE0009からのASF検出信号(ASFS)E1026、記録ヘッドと記録媒体とのギャップを検出するためのセンサ(GAP)センサE0008からのGAP検出信号(GAPS)E1027、PGセンサE0010からのPG検出信号(PGS)E1032の状態を検知して、その状態を表すデータを制御バスE1014を通じてCPU E1001に伝達し、入力されたデータに基づきCPU E1001はLED駆動信号E1038の駆動を制御してLEDE0020の点滅を行なう。
【0053】
さらに、エンコーダ信号(ENC)E1020の状態を検知してタイミング信号を生成し、ヘッド制御信号E1021で記録ヘッドカートリッジH1000とのインターフェイスをとり記録動作を制御する。ここにおいて、エンコーダ信号(ENC)E1020はフレキシブルフラットケーブルE0012を通じて入力されるCRエンコーダセンサE0004の出力信号である。また、ヘッド制御信号E1021は、フレキシブルフラットケーブルE0012、キャリッジ基板E0013、及びコンタクトFPC E0011を経て記録ヘッドH1000に供給される。
【0054】
図9は、ASIC E1006の内部構成例を示すブロック図である。
【0055】
なお、同図において、各ブロック間の接続については、記録データやモータ制御データ等、ヘッドや各部機構部品の制御にかかわるデータの流れのみを示しており、各ブロックに内蔵されるレジスタの読み書きに係わる制御信号やクロック、DMA制御にかかわる制御信号などは図面上の記載の煩雑化を避けるため省略している。
【0056】
図中、E2002はPLLコントローラであり、図9に示すようにCPU E1001から出力されるクロック信号(CLK)E2031及びPLL制御信号(PLLON)E2033により、ASIC E1006内の大部分へと供給するクロック(図示しない)を発生する。
【0057】
また、E2001はCPUインターフェース(CPUI/F)であり、リセット信号E1015、CPU E1001から出力されるソフトリセット信号(PDWN)E2032、クロック信号(CLK)E2031及び制御バスE1014からの制御信号により、以下に説明するような各ブロックに対するレジスタ読み書き等の制御や、一部ブロックへのクロックの供給、割り込み信号の受け付け等(いずれも図示しない)を行ない、CPU E1001に対して割り込み信号(INT)E2034を出力し、ASIC E1006内部での割り込みの発生を知らせる。
【0058】
また、E2005はDRAMであり、記録用のデータバッファとして、受信バッファE2010、ワークバッファE2011、プリントバッファE2014、展開用データバッファE2016などの各領域を有すると共に、モータ制御用としてモータ制御バッファE2023を有し、さらにスキャナ動作モード時に使用するバッファとして、上記の各記録用データバッファに代えて使用されるスキャナ取込みバッファE2024、スキャナデータバッファE2026、送出バッファE2028などの領域を有する。
【0059】
また、このDRAM E2005は、CPU E1001の動作に必要なワーク領域としても使用されている。すなわち、E2004はDRAM制御部であり、制御バスによるCPU E1001からDRAM E2005へのアクセスと、後述するDMA制御部E2003からDRAM E2005へのアクセスとを切り替えて、DRAM E2005への読み書き動作を行なう。
【0060】
DMA制御部E2003では、各ブロックからのリクエスト(図示せず)を受け付けて、アドレス信号や制御信号(図示せず)、書込み動作の場合には書込みデータE2038、E2041、E2044、E2053、E2055、E2057などをDRAM制御部E2004に出力してDRAMアクセスを行なう。また読み出しの場合には、DRAM制御部E2004からの読み出しデータE2040、E2043、E2045、E2051、E2054、E2056、E2058、E2059を、リクエスト元のブロックに受け渡す。
【0061】
また、E2006は、IEEE1284I/Fであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、パラレルI/F E0016を通じて、図示しない外部ホスト機器との双方向通信インターフェイスを行なう他、記録時にはパラレルI/F E0016からの受信データ(PIF受信データE2036)をDMA処理によって受信制御部E2008へと受け渡し、スキャナ読み取り時にはDRAM E2005内の送出バッファE2028に格納されたデータ(IEEE1284送信データ(RDPIF)E2059)をDMA処理によりパラレルI/Fに送信する。
【0062】
E2007は、ユニバーサルシリアルバス(USB)I/Fであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、シリアルI/F E0017を通じて、図示しない外部ホスト機器との双方向通信インターフェイスを行なう他、印刷時にはシリアルI/F E0017からの受信データ(USB受信データE2037)をDMA処理により受信制御部E2008に受け渡し、スキャナ読み取り時にはDRAM E2005内の送出バッファE2028に格納されたデータ(USB送信データ(RDUSB)E2058)をDMA処理によりシリアルI/F E0017に送信する。受信制御部E2008は、1284I/F E2006もしくはUSBI/F E2007のうちの選択されたI/Fからの受信データ(WDIF)E2038)を、受信バッファ制御部E2039の管理する受信バッファ書込みアドレスに、書込む。
E2009は圧縮・伸長DMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPUE1001の制御により、受信バッファE2010上に格納された受信データ(ラスタデータ)を、受信バッファ制御部E2039の管理する受信バッファ読み出しアドレスから読み出し、そのデータ(RDWK)E2040を指定されたモードに従って圧縮・伸長し、記録コード列(WDWK)E2041としてワークバッファ領域に書込む。
【0063】
E2013は記録バッファ転送DMAコントローラで、CPUI/F E2001を介したCPU E1007の制御によってワークバッファE2011上の記録コード(RDWP)E2043を読み出し、各記録コードを、記録ヘッドカートリッジH1000へのデータ転送順序に適するようなプリントバッファE2014上のアドレスに並べ替えて転送(WDWP E2044)する。また、E2012はワーククリアDMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御によって記録バッファ転送DMAコントローラ E2013による転送が完了したワークバッファ上の領域に対し、指定したワークフィルデータ(WDWF)E2042を繰返し書込む。
【0064】
E2015は記録データ展開DMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、ヘッド制御部E2018からのデータ展開タイミング信号E2050をトリガとして、プリントバッファ上に並べ替えて書込まれた記録コードと展開用データバッファE2016上に書込まれた展開用データとを読み出し、展開記録データ(RDHDG)E2045をカラムバッファ書込みデータ(WDHDG)E2047としてカラムバッファE2017に書込む。ここで、カラムバッファE2017は、記録ヘッドカートリッジH1000への転送データ(展開記録データ)を一時的に格納するSRAMであり、記録データ展開DMAコントローラE2015とヘッド制御部E2018とのハンドシェーク信号(図示せず)によって両ブロックにより共有管理されている。
【0065】
E2018はヘッド制御部で、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、ヘッド制御信号を介して記録ヘッドカートリッジH1000またはスキャナとのインターフェイスを行なう他、エンコーダ信号処理部E2019からのヘッド駆動タイミング信号E2049に基づき、記録データ展開DMAコントローラに対してデータ展開タイミング信号E2050の出力を行なう。
【0066】
また、印刷時には、前記ヘッド駆動タイミング信号E2049に従って、カラムバッファから展開記録データ(RDHD)E2048を読み出し、そのデータをヘッド制御信号E1021として記録ヘッドカートリッジH1000に出力する。
また、スキャナ読み取りモードにおいては、ヘッド制御信号E1021として入力された取込みデータ(WDHD)E2053をDRAM E2005上のスキャナ取込みバッファE2024へとDMA転送する。E2025はスキャナデータ処理DMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPUE1001の制御により、スキャナ取込みバッファE2024に蓄えられた取込みバッファ読み出しデータ(RDAV)E2054を読み出し、平均化等の処理を行なった処理済データ(WDAV)E2055をDRAM E2005上のスキャナデータバッファE2026に書込む。
E2027はスキャナデータ圧縮DMAコントローラで、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、スキャナデータバッファE2026上の処理済データ(RDYC)E2056を読み出してデータ圧縮を行ない、圧縮データ(WDYC)E2057を送出バッファE2028に書込み転送する。
【0067】
E2019はエンコーダ信号処理部であり、エンコーダ信号(ENC)を受けて、CPU E1001の制御で定められたモードに従ってヘッド駆動タイミング信号E2049を出力する他、エンコーダ信号E1020から得られるキャリッジM4001の位置や速度にかかわる情報をレジスタに格納して、CPU E1001に提供する。CPU E1001はこの情報に基づき、CRモータE0001の制御における各種パラメータを決定する。また、E2020はCRモータ制御部であり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、CRモータ制御信号E1036を出力する。
【0068】
E2022はセンサ信号処理部で、PGセンサE0010、PEセンサE0007、ASFセンサE0009、及びGAPセンサE0008等から出力される各検出信号E1033,E1025,E1026,E1027を受けて、CPUE1001の制御で定められたモードに従ってこれらのセンサ情報をCPU E1001に伝達する他、LF/PGモータ制御用DMAコントローラ E2021に対してセンサ検出信号E2052を出力する。
【0069】
LF/PGモータ制御用DMAコントローラE2021は、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、DRAM E2005上のモータ制御バッファE2023からパルスモータ駆動テーブル(RDPM)E2051を読み出してパルスモータ制御信号E1033を出力する他、動作モードによっては前記センサ検出信号を制御のトリガとしてパルスモータ制御信号E1033を出力する。
また、E2030はLED制御部であり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、LED駆動信号E1038を出力する。さらに、E2029はポート制御部であり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、ヘッド電源ON信号E1022、モータ電源ON信号E1023、及び電源制御信号E1024を出力する。
【0070】
5.インクジェット記録装置の基本動作
次に、上記のように構成された本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の基本動作を図10のフローチャートに基づき説明する。
【0071】
AC電源に装置本体1000が接続されると、まず、ステップS1では装置の第1の初期化処理を行なう。この初期化処理では、本装置のROMおよびRAMのチェックなどの電気回路系のチェックを行ない、電気的に本装置が正常に動作可能であるかを確認する。
【0072】
次にステップS2では、装置本体M1000の上ケースM1002に設けられた電源キーE0018がONされたかどうかの判断を行い、電源キーE0018が押された場合には、次のステップS3へと移行し、ここで第2の初期化処理を行う。
【0073】
この第2の初期化処理では、本装置の各種駆動機構及び記録ヘッドのチェックを行なう。すなわち、各種モータの初期化やヘッド情報の読み込みを行うに際し、装置が正常に動作可能であるかを確認する。
【0074】
次にステップS4ではイベント待ちを行なう。すなわち、本装置に対して、外部I/Fからの指令イベント、ユーザ操作によるパネルキーイベントおよび内部的な制御イベントなどを監視し、これらのイベントが発生すると当該イベントに対応した処理を実行する。
【0075】
例えば、ステップS4で外部I/Fからの印刷指令イベントを受信した場合には、ステップS5へと移行し、同ステップでユーザ操作による電源キーイベントが発生した場合にはステップS10へと移行し、同ステップでその他のイベントが発生した場合にはステップS11へと移行する。
ここで、ステップS5では、外部I/Fからの印刷指令を解析し、指定された紙種別、用紙サイズ、印刷品位、給紙方法などを判断し、その判断結果を表すデータを本装置内のRAM E2005に記憶し、ステップS6へと進む。
次いでステップS6ではステップS5で指定された給紙方法により給紙を開始し、用紙を記録開始位置まで送り、ステップS7に進む。
ステップS7では記録動作を行なう。この記録動作では、外部I/Fから送出されてきた記録データを、一旦記録バッファに格納し、次いでCRモータE0001を駆動してキャリッジM4001の主走査方向への移動を開始すると共に、プリントバッファE2014に格納されている記録データを記録ヘッドH1001へと供給して1行の記録を行ない、1行分の記録データの記録動作が終了するとLFモータE0002を駆動し、LFローラM3001を回転させて用紙を副走査方向へと送る。この後、上記動作を繰り返し実行し、外部I/Fからの1ページ分の記録データの記録が終了すると、ステップ8へと進む。
【0076】
ステップS8では、LFモータE0002を駆動し、排紙ローラM2003を駆動し、用紙が完全に本装置から送り出されたと判断されるまで紙送りを繰返し、終了した時点で用紙は排紙トレイM1004a上に完全に排紙された状態となる。
【0077】
次にステップS9では、記録すべき全ページの記録動作が終了したか否かを判定し、記録すべきページが残存する場合には、ステップS5へと復帰し、以下、前述のステップS5〜S9までの動作を繰り返し、記録すべき全てのページの記録動作が終了した時点で記録動作は終了し、その後ステップS4へと移行し、次のイベントを待つ。
【0078】
一方、ステップS10では記録装置終了処理を行ない、本装置の動作を停止させる。つまり、各種モータやヘッドなどの電源を切断するために、電源を切断可能な状態に移行した後、電源を切断しステップS4に進み、次のイベントを待つ。
【0079】
また、ステップS11では、上記以外の他のイベント処理を行なう。例えば、本装置の各種パネルキーや外部I/Fからの回復指令や内部的に発生する回復イベントなどに対応した処理を行なう。なお、処理終了後にはステップS4に進み、次のイベントを待つ。
【0080】
(第1の実施形態)
次に、本発明の第1の実施形態における予備吐出制御動作を説明する。
この実施形態においては、前述の基本構成において説明した図7ないし図9に示す電気回路によって、記録ヘッドの吐出動作、キャリッジの往復動作、及び記録媒体を搬送する搬送系の動作制御等を行う一方、これによって、後述の予備吐出制御方法を実行する予備吐出制御装置(ヘッド制御手段、カウント手段、判別手段)をも構成している。なお、この実施形態においては、前述の基本構成においても説明したように、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、淡シアン(LC)及び淡マゼンタ(LM)等のインクに対応する6個の記録ヘッドを備える場合を例に採り説明する。
【0081】
図11は、この実施形態に適用するインクジェット記録ヘッドの構成を模式的に示す図である。図において、ここに示す記録ヘッドは、ノズルが千鳥状に配列されたものとなっており、これらのノズルのうち隣接する8ノズルを1ブロックとして設定している。すなわち、BkノズルについてはB1〜B64に仮想的に分割されている。同様に、他の色のインクを吐出する記録ヘッドにおいても、隣接する8ノズルを1ブロックとして8ブロックが形成されている。そして、本実施形態においては、記録中の吐出ドット数が各ブロック毎にカウントできる構成となっている。
【0082】
以下、この第1の実施形態における予備吐出制御動作を図15のフローチャートに基づき詳細に説明する。
記録装置本体がホスト装置から記録開始命令を受信すると(ステップS110)、給紙動作が開始される(ステップS111)。そして、ホストから次に記録する1スキャン分の記録データが送信されてくると、これを受信し(ステップS112)。受信した記録データに基づき、記録装置本体に設けられたカウンタが、そのスキャンによって吐出されるべきドット数を前述のブロック毎にカウントする(ステップS113)。
【0083】
次いで、ステップS114〜ステップS117では、予備吐出フラグを0に設定した後、ステップS113でカウントした吐出ドット数(X)と予め設定された閾値Nとを比較する。そして、閾値Nよりも吐出ドット数(X)が少ないブロックが1つでも存在した場合には、予備吐フラグを1にする。
【0084】
ところで、1スキャン分の時間経過では、1ノズルあたり3発の吐出をすれば吐出不良を発生させないことが実験的に確認されている。このため、前述の閾値Nは8(ノズル)×3(発)=24以上に設定される。全ての記録データが各ノズルに均等に配分されることは稀であるため、この実施形態では、24の5倍の120を閾値として設定している。閾値を小さく設定すれば、予備吐動作の回数が減るためスループット向上の効果は大きいが、吐出不良の可能性は大きくなる。しかし、この実施形態の構成では、1色あたり2ノズルまでの吐出不良は、殆どの画像で記録品位の劣化を視覚的に認識できないことが経験的に確認されている。このため、いたずらに閾値を大きく設定する必要はない。
【0085】
また、例えば、高速出力を目的とした記録装置では、多少の記録画像の乱れは度外視し、スループット向上を優先させるような記録を行う必要がある場合もあり、このような場合には閾値を小さく設定すれば良い。つまり、適用する記録装置の性格に合わせて閾値を設定することも可能である。
【0086】
ステップS118では受信した記録データを1スキャン分記録し、記録が終了すると各ブロックのカウント値をクリアする(ステップS119)。その後、予備吐フラグが1であるか否かの判断を行い(ステップS120)、予備吐出フラグが1であれば、キャリッジを予備吐出位置へと移動させた後(ステップS121)、記録ヘッドに設けられている全てのノズルに対して3発のドットを吐出する予備吐出を行う(ステップS122)。また、予備吐出フラグが0である場合には、ステップS123において全ての記録データを受信したか否かを判断し、全ての記録データが受信されていなければ、ステップS112へと移行して上記ステップS112〜S123までの動作を繰り返す。また、全ての記録データを受信し、記録したと判断された場合には、排紙動作(ステップS124)を行って記録動作を終了する。
【0087】
以上のように、この第1の実施形態においては、ブロック単位でのみ吐出カウント数を管理すれば良く、従来のように全ノズルの吐出を管理する必要がないため、膨大な電気回路を不要とし、かつ記録乱れが少なく、予備吐動作によるスループット低下を最小限に抑えることが可能なインクジェット記録装置を提供することができる。
【0088】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態における予備吐出制御動作を図16に基づき説明する。なお、この第2の実施形態においても上記第1の実施形態と同様の構成を有するインクジェット記録装置を適用するものとする。
図16において、記録装置本体がホストから記録開始命令を受信すると(ステップS130)、給紙動作が開始される(ステップS131)。そして、ホストから次に記録する1スキャン分の記録データから送信されてくると、これを受信し(ステップS132)、受信した記録データに基づき記録装置本体に設けられたカウンタが、そのスキャンによって吐出されるべきドット数を前述のブロック毎にカウントする(ステップS133)。
【0089】
次いで、ステップS134〜S137では、全てのブロックにおいてカウントされた吐出ドット数と予め設定された閾値Nとを比較する。ここで、閾値Nよりも吐出ドット数が少ないブロックがあった場合には、予備吐フラグを1にする(ステップS136)と同時に、そのブロック名を記録装置本体に設けられたメモリに記憶する(S)。この第2の実施形態においても、閾値Nは120とした。
【0090】
また、ステップS138では、受信した記録データを1スキャン分記録し、記録が終了すると各ブロックのカウント値をクリアする(ステップS139)。その後、予備吐フラグが1であるか否かの判断を行い(ステップS141)、予備吐出フラグが1であれば、キャリッジを予備吐出位置へと移動させた後(ステップ142)、予備吐出を行う。ここで、予備吐出は本体メモリに記憶されたブロックに対してのみ実施し、記憶されていないブロックについては実施しない。また、ステップS140にて予備吐出フラグが0であると判断された場合には、ステップS144において全ての記録データを受信したか否かを判断し(ステップS145)、全ての記録データが受信されていなければ、ステップS132へ移行して上記ステップS132〜S144までの動作を繰り返す。また、全ての記録データを受信し、記録したと判断された場合には、排紙動作(ステップS145)を行って記録動作を終了する。
【0091】
以上のように、この第2の実施形態においては、上記第1の実施形態と同様の効果を期待できると共に、必要なブロックに対してのみ予備吐出を実施することができるため、予備吐出によるインク浪費を抑えることが可能である。
【0092】
(第3の実施形態)
次に本発明の第3の実施形態における予備吐出制御動作を図17に基づき説明する。なお、この第2の実施形態においても上記第1の実施形態と同様の構成を有するインクジェット記録装置を適用するものとする。但し、この第3の実施形態では、同一の記録領域に対して、記録ヘッド内の異なるノズルブロックを用いて複数回記録走査(パス)を行うことにより、画像を完成させるようにする、いわゆるマルチパス記録を行うものとなっている。
【0093】
図17において、記録装置本体がホストから記録開始命令を受信すると(ステップS150)、給紙動作が開始される(ステップS151)。また、記録開始命令と同時にマルチパス記録における記録パス数や記録媒体の種類に関する情報もホストより入手する(ステップS152)。この記録パス数情報に従って、記録ヘッド内のノズルを分割するブロックの定義を図12ないし図14に示すようにして行う(ステップS153)。例えば、1パス記録であった場合には、図12に示すように隣接する8ノズルを1ブロックと定義する。また、8パス記録では、図13に示すようにマルチパス記録における各ノズルブロックにおいて同一順位にあるノズル、すなわち、0、32、64、128、160、192、224等のように31ノズルおきに配列された8個のノズルを1ブロックと定義する。また、図14に示す4パス記録の場合には、0,64,128,192の4個のノズル、及び1,65,129,193の4個のノズル等をそれぞれ1ブロックと定義する。
【0094】
このように、一定間隔で配置されたノズルによってブロックを定義した場合には、吐出ドットが隣接ノズルで均等に配分されないパターンを記録するとき、例えば、主走査方向の罫線パターンを形成するときなどに有効である。つまり、形成パターンを形成する場合には、ドットを殆ど吐出しないノズルからなるブロックと、ドットの吐出が頻繁に行われるノズルを含んだブロックとを明確に分けることが可能となり、それによって予備吐出を要するブロックと不要とするブロックとを適確に判定することができる。
【0095】
これに対し、図12に示すように隣接ノズルによってブロックを形成するようにした場合には罫線を形成するノズルが各ブロックに分散することとなるため、罫線を形成しないノズルについては予備吐出を必要とするにも拘わらず、各ブロックが全て予備吐出を必要としないと判断される可能性がある。そこで、上記のように、複数パスによって画像を形成する場合には、この第3の実施形態におけるようなブロックの定義を行うことが望ましい。また、このステップS153では、ブロックの定義と共に、閾値の設定も行う。
【0096】
次に、ステップS155では、ホストから記録装置本体に対して次に記録する1スキャン分の記録データが送信されてくると、これを受信し(ステップS154)、受信した記録データに基づき、そのスキャンによって吐出されるべきドット数を前述のブロック毎にカウントする(ステップS155)。
【0097】
次いで、ステップS156〜S159では、予備吐フラグを0にセットした後、全てのブロックにおいてカウントされた吐出ドット数と予め設定された閾値Nとを比較する。ここで、閾値Nよりも吐出ドット数が少ないブロックが存在した場合には、予備吐フラグを1にする。
【0098】
この第3の実施形態において、1スキャン分の時間経過では、1ノズルあたり3発の吐出があれば記録乱れを発生させないことが実験的に確認されているため、閾値Nは8×3=24以上に設定される。普通紙記録においては、着弾後のインクが滲んでしまうため、多少の吐出不良があったとしても画像劣化はほとんど認識できない。しかし、発色性向上のためメディア表面をコーティングした記録媒体(特殊紙)では、着弾したインクが真円に近いドットを形成するため、普通紙と比較すると、吐出不良による画像劣化が視認され易い。このため、記録媒体として普通紙が設定された場合には、閾値として48、特殊紙が設定された場合には、普通紙における閾値より大きな値、例えば120を設定する。
【0099】
ステップS160、S161では、受信した記録データを1スキャン分記録し、各ブロックのカウント値をクリアする。この後、ステップS162において予備吐出フラグが1であると判断されれば、記録領域外に設けられた予備吐位置までキャリッジを移動させ予備吐動作を実施する(ステップS163,S164)。この第3の実施形態においても、予備吐出は全ノズルに対して3発実施する。一方、ステップS162において、予備吐出フラグが0であると判断されれば、予備吐出を実施せずにステップS154に戻り、次のスキャンの記録データを受信する。また、ステップS165において全ての記録データが記録されたと判断された場合には、排紙動作を行って記録動作を終了する(ステップS166)。
【0100】
以上のように、この第3の実施形態では、記録パス数によりブロックの定義を変更しているため、マルチパス記録時に主走査方向に罫線パターンを形成する場合にも正しいカウントを行うことができる。さらに、この第3の実施形態では、記録媒体の種類によって閾値を変更しているため、スループットの向上と記録画像の乱れとのバランスを細かく設定することが可能になる。
【0101】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を図18に基づき説明する。なお、この第2の実施形態においても上記第1の実施形態と同様の構成を有するインクジェット記録装置を適用するものとする。
【0102】
記録装置本体がホスト装置から記録開始命令を受信すると(ステップS170)、給紙動作が開始される(ステップS171)。そして、ホストから次に記録する1スキャン分の記録データが送信されてくると、これを受信し(ステップS172)。受信した記録データに基づき、記録装置本体に設けられたカウンタが、そのスキャンによって吐出されるべきドット数を前述のブロック毎にカウントし、そのカウント値x0に、その前のスキャンまでに保持されているカウント値x−1に加算した加算値Xを設定する(ステップS173)。
【0103】
次に、予備吐出フラグを0に設定し(ステップS174)、設定した加算値Xと予め設定された閾値Nとを比較を行い、閾値Nよりも加算値Xが少なくなるブロックが1つでも存在した場合には、予備吐出フラグを1にする(ステップS175〜S177)。
【0104】
この後、ステップS178では受信した記録データを1スキャン分記録し、記録が終了する。そして、予備吐出フラグが1であるか否かの判断を行い、予備吐出フラグが1であれば、キャリッジを予備吐出位置へと移動させた後(ステップS180)、記録ヘッドに設けられている全てのノズルに対して3発のドットを吐出する予備吐出を行う(ステップS181)。予備吐出を行った後、ステップS182では、全てのブロックにおける加算値XをNに設定し、ステップS183に移行する。また、ステップS179において、予備吐出フラッグが1であると判断された場合には、ステップS183へ移行する。そして、ステップ183では、各ブロックの加算値Xに1/2を乗じる。
【0105】
この後、ステップS185では、前記加算値Xに1/2を乗じた値1/2Xと、前述の閾値Nを2倍した値2Nとを比較し(ステップS184)、2Nより1/2Xが小さい場合には、ステップS172へ移行し、また、1/2Xが2N以上である場合には、ステップS185においてXを2Nに設定する。
【0106】
以上の動作を全ての記録データが受信されるまで繰り返して行い、全てのデータが受信された場合には、排紙動作を行って記録動作を終了する(ステップS186,S187)。
【0107】
上記のように、この第4の実施形態においては、各スキャンの記録データ毎に、次のスキャンのための予備吐出を行うか否かを判断するようにしたが、この第4の実施形態では、現在のスキャン以前の記録データをも勘案して、次のスキャンにおいて予備吐出を行うか否かの判断を行うようになっている。
【0108】
例えば、現在のスキャン(第1のスキャン)以前の加算値Xが2N(=x0+x−1)であった場合、ステップS176における予備吐出フラグは0となり、記録動作後も予備吐出は行われない。そして、加算値XはステップS183で1/2が乗じられてNとなった後、この値Nがステップ184において2Nと比較される。その結果、次のスキャン(第2のスキャン)のステップS173において、前記の値Nはx−1となり、これが記録データのカウント値x0と加算されてXとなる。従って、前記値x0が、仮に0であったとしても、予備吐出フラグは依然として0に保たれ、第2のスキャン後も予備吐出は行われない。この後、ステップS183において、仮にXがNであったとすると、この値はステップS183によって1/2Nとなり、これが次の第3のスキャンにおけるx−1となる。そして、次のスキャン(第3のスキャン)の記録データにおけるx0のカウント値が1/2Nより小であるとすると、ステップS175においてXはN以下となり、予備吐出フラグは1となる。その結果、この第3のスキャンによる記録動作が行われた後に、予備吐出が実行される。つまり、この例においては、第2のスキャンにおける記録データのカウント値x0が、例えNより小なる値であったとしても第2のスキャンの後には予備吐出を実行しない。このように、この第4の実施形態は、連続する数回のスキャンにおいて記録データが存在しない場合であっても吐出不良が発生しないような吐出性能を有する記録装置において、インクの無駄な消費を抑えることができる。
【0109】
なお、ステップS183においては、加算値Xに乗じる値を1/2とし、ステップS185における最大値を2Nとしたが、これらの値は、これらの値は、記録装置の吐出性能に応じて設定すれば良い。すなわち、予備吐出を行わずに何スキャンまで適正に吐出を行うことができるかという記録装置の吐出性能に応じて適宜設定すれば良く、上記実施形態に示した値に限定されるものではない。
【0110】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、ノズル列を複数のブロックに分割し、各ブロック単位で記録中の吐出ドットをカウントし、カウントされた数値によって予備吐動作を行うか否かを判断するようにしたため、予備吐出動作によるスループット低下を抑えつつ、予備吐出によるインク浪費を低減することができ、しかも電気回路の規模を大幅に増大させる必要がなく、安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すものの外装部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に用いる記録ヘッドカートリッジを組立てた状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す記録ヘッドカートリッジを示す分解斜視図である。
【図5】図4に示した記録ヘッドを斜め下方から観た分解斜視図である。
【図6】本発明の実施形態におけるスキャナカートリッジを示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態における電気的回路の全体構成を概略的に示すブロック図である。
【図8】図7に示したメインPCBの内部構成を示すブロック図である。
【図9】図8に示したASICの内部構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の基本動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態における記録ヘッドの各ノズルの配置を具体的に示す底面図である。
【図12】本発明の第1の実施形態における記録ヘッドの各ノズルを隣接する複数のノズル毎に分割した状態を模式的に示す底面図であり、1パス記録を行う場合を示している。
【図13】本発明の第3の実施形態における記録ヘッドのノズルをブロックに分割した状態を模式的に示す底面図であり、8パス記録を行う場合を示す図である。
【図14】本発明の第3の実施形態における記録ヘッドのノズルをブロック毎に分割した状態を模式的に示す底面図であり、4パス記録を行う場合を示している。
【図15】本発明の第1の実施形態における予備吐出制御動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第2の実施形態における予備吐出制御動作を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第3の実施形態における予備吐出制御動作を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第4の実施形態における予備吐出制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
M1000 装置本体
M3022 自動給送部
M3029 搬送部
M3030 排出部
M4001 キャリッジ
M5000 回復系ユニット
E1001 CPU
E1002 OSC(CPU内蔵オシレータ)
E1003 A/D(CPU内蔵A/Dコンバータ)
E1004 ROM
E2049 ヘッド駆動タイミング信号
E2050 データ展開タイミング信号
E2051 RDPM(パルスモータ駆動テーブル読み出しデータ)
E2052 センサ検出信号
H1000 記録ヘッドカートリッジ
H1001 記録ヘッド
H1100 記録素子基板
H1100T 吐出口
H1200 第1のプレート
H1201 インク供給口
H1300 電気配線基板
【発明が属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法、詳しくは、予備吐出動作によって記録ヘッドの吐出状態を適正に保ち得るようにしたインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置では、時間の経過と共にノズル先端からインク揮発成分が蒸発し、吐出不良を起こすことがある。この吐出不良による記録品位の劣化を回避するため、記録には直接寄与しないインクの吐出(予備吐出)を行い、常に正常な吐出が可能な状態にインクを保つのが一般的である。例えば、記録ヘッドの温度、記録装置内部の温度、及び記録装置内部の湿度などの条件から、正常なインク吐出を保ち得る最大時間間隔(最大時間)を算出し、その最大時間内の所定の時間間隔で定期的に予備吐出を実施するようになっている。
【0003】
しかし、一定の時間が経過することにより必ず予備吐出を実施するよう構成した従来のインクジェット記録装置にあっては、記録動作の実行によってインク吐出が十分に行われ、実際には予備吐出動作が不必要なノズルに対しても、無条件で予備吐が実施されることとなり、インクの浪費や記録速度の低下を招くという問題がある。
【0004】
また、特開平08―112904号公報には、記録媒体上に予備吐を実施する技術、及び、ノズル単位で記録の吐出数をカウントすることにより、必要な予備吐出の回数を算出する技術が開示されており、これらの技術は上記課題を解決し得るものとなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年では、インクジェット記録装置に対するユーザーの要求が高まり、記録動作の高速化、高画質化、及び装置の低価格化などが進んでいる。特に、高画質化の要請に応えるべく小液滴化と多色化が図られる傾向にある。吐出されるインク液滴を微小にすることは、記録媒体上に形成される記録ドットを微小化して解像度を高めることを意味し、これによって自然画ハイライト部の粒状感を低減することが可能となる。
【0006】
従来の一般的なインクジェット記録装置は、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4種類のインクで画像を形成していたが、ハイライト部、中間濃度部の画質を向上させるため、染料濃度を下げた淡い色合いのライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)を加えて記録を行うものも知られている。高速化に対しては、1色あたりのノズル数を増やすことで対応することができる。
【0007】
また、多色化、多ノズル化により、記録に用いる総ノズル数は従来に比して大幅に増加された。このため特開平08―112904で開示された技術では、記録吐出数をカウントすると共に、カウント数を保持するために膨大な電気回路が必要になり、しかもその膨大なデータを瞬時に処理することが必要となるため、高速処理が可能なCPUが必要とされる。このため、記録装置全体のコストが上昇し、低価格という一般ユーザの要求を満たすことが困難になっている。一方、小液滴化の実現により、着弾した単発のドットは非常に見えにくくなっており、現在のインクジェット記録装置による解像度は、全ノズル中の1〜2%のノズルが吐出不良を起こしていても画像劣化が認識されない程度にまで高まっている。こうした高解像度化が実現されているにも拘わらず、従来では1ノズルでも吐出不良の可能性があると予備吐出を実施しており、画像品質に反映しないインクの浪費が行われていた。
【0008】
本発明は上記問題点に着目してなされたものであり、予備吐によるインク浪費、記録時間低下を最小限に抑えながら、低価格化を実現可能なインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成を有するものとなっている。
すなわち、本発明は、インクを吐出するノズル列を形成してなる記録ヘッドと、記録データに基づき前記ノズルからインク液滴を吐出させると共に記録ヘッドのインク吐出状態を適正に保つべく前記ノズルからインクを吐出させる予備吐出動作を制御するヘッド制御手段とを有するインクジェット記録装置であって、前記ヘッド制御手段は、前記記録ヘッドのノズル列を複数個のノズルからなるノズルブロックに分割し、前記記録データに基づき、前記各ノズルブロック毎にインク液滴の吐出予定数をカウントするカウント手段と、前記カウント手段のカウント値が一定期間内に一定値以上に達したか否かを各ブロックに対して判別する判別手段と、を備え、前記カウント値が所定期間内に一定値以上に達しないブロックが存在した場合に前記記録ヘッドの少なくとも1つのブロックにおいて予備吐出を行うことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明は、インクを吐出するノズル列を形成してなる記録ヘッドと、記録データに基づき前記ノズルからインク液滴を吐出させると共に記録ヘッドのインク吐出状態を適正に保つべく前記ノズルからインクを吐出させる予備吐出動作を制御するヘッド制御手段とを有するインクジェット記録装置であって、前記ヘッド制御手段は、前記記録ヘッドのノズル列を複数個のノズルからなるノズルブロックに分割し、前記記録データに基づき、前記各ノズルブロック毎にインク液滴の吐出予定数をカウントするカウント手段と、前記カウント値が所定期間内に一定値以上に達したか否かを判別する判別手段と、前記カウント値が一定期間内に一定値以上に達したときに前記カウント値に所定の定数を乗算する乗算手段と、この乗算手段によって乗算された値と次の所定期間内に前記カウント手段によってカウントされたカウント値とを加算する加算手段と、前記加算手段によって加算された値が前記一定値以上に達したか否かを判別する加算値判別手段と、を備え、前記加算値が一定値以下となるまで前記前記加算手段による加算と前記乗算手段による乗算とを繰り返し、前記加算値が一定値以下となった時点で予備吐出を行うことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明は、インクを吐出するノズル列を形成してなる記録ヘッドを備え、記録データに基づき前記ノズルからインク液滴を吐出させると共に、記録ヘッドのインク吐出状態を適正に保つべく前記ノズルからインクを吐出させるようにしたインクジェット記録方法であって、前記記録ヘッドのノズル列を複数個のノズルからなるノズルブロックに分割し、前記記録データに基づき、前記各ノズルブロック毎にインク液滴の吐出予定数をカウントするステップと、前記カウント値が一定期間内に一定値以上に達したか否かを各ブロックに対して判別する判別ステップと、を備え、前記カウント値が所定期間内に一定値以上に達しないブロックが存在した場合に前記記録ヘッドの少なくとも1つのブロックにおいて予備吐出を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、インクを吐出するノズル列を形成してなる記録ヘッドを備え、記録データに基づき前記ノズルからインク液滴を吐出させると共に、記録ヘッドのインク吐出状態を適正に保つべく前記ノズルからインクを吐出させるようにしたインクジェット記録方法であって、前記記録ヘッドのノズル列を複数個のノズルからなるノズルブロックに分割し、前記記録データに基づき、前記各ノズルブロック毎にインク液滴の吐出予定数をカウントするステップと、前記カウント値が所定期間内に一定値以上に達したか否かを判別する判別ステップと、前記カウント値が一定期間内に一定値以上に達したときに前記カウント値に所定の定数を乗算する乗算ステップと、この乗算手段によって乗算された値と次の所定期間内に前記カウント手段によってカウントされたカウント値とを加算する加算ステップと、前記加算手段によって加算された値が前記一定値以上に達したか否かを判別する加算値判別ステップと、を備え、前記加算値が一定値以下となるまで前記前記加算手段による加算と前記乗算手段による乗算とを繰り返し、前記加算値が一定値以下となった時点で予備吐出を行うことを特徴とする。
【0013】
上記構成を有する発明にあっては、複数のノズルを単位とするブロックを複数個設定し、ブロック単位で記録データをカウントする。個々のノズルからの吐出数とは関係なしに、ブロック毎にカウントされた値に基づき予備吐動作を行うか否かを決定する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0015】
(インクジェット記録装置の基本構成)
まず、本発明の実施形態に適用するインクジェット記録装置の基本構成を説明する。
なお、本明細書において、「プリント」(「記録」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広くプリント媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も言うものとする。
【0016】
ここで、「プリント媒体」または「記録シート」とは、一般的なプリント装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板等、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能な物も言うものとするが、以下では「記録媒体」または単に「紙」という場合もある。
【0017】
さらに、「インク」(「液体」という場合もある)とは、上記「プリント」の定義と同様広く解釈されるべきもので、プリント媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成またはプリント媒体の加工、或いはインクの処理(例えばプリント媒体に付与されるインク中の色材の凝固または不溶化)に供され得る液体を言うものとする。
【0018】
1.装置本体
図1及び図2にインクジェット記録装置の概略構成を示す。図1において、この実施形態における記録装置本体M1000の外殻は、下ケースM1001、上ケースM1002、アクセスカバーM1003及び排出トレイM1004を含む外装部材と、その外装部材内に収納されたシャーシM3019(図2参照)とから構成される。
【0019】
シャーシM3019は、所定の剛性を有する複数の板状金属部材によって構成され、記録装置の骨格をなし、後述の各記録動作機構を保持するものとなっている。
また、前記下ケースM1001は装置本体M1000の外装の略下半部を、上ケースM1002は装置本体M1000の外装の略上半部をそれぞれ形成しており、両ケースの組合せによって内部に後述の各機構を収納する収納空間を有する中空体構造をなしている。装置本体M1000の上面部及び前面部には、それぞれ、開口部が形成されている。
【0020】
さらに、排出トレイM1004は、その一端部が下ケースM1001に回転自在に保持され、その回転によって下ケースM1001の前面部に形成される前記開口部を開閉させ得るようになっている。このため、記録動作を実行させる際には、排出トレイM1004を前面側へと回転させて開口部を開成させることにより、ここから記録シートが排出可能となると共に排出された記録シートPを順次積載し得るようになっている。また、排紙トレイM1004には、2枚の補助トレイM1004a,M1004bが収納されており、必要に応じて各トレイを手前に引き出すことにより、用紙の支持面積を3段階に拡大、縮小させ得るようになっている。
【0021】
アクセスカバーM1003は、その一端部が上ケースM1002に回転自在に保持され、上面に形成される開口部を開閉し得るようになっており、このアクセスカバーM1003を開くことによって本体内部に収納されている記録ヘッドカートリッジH1000あるいはインクタンクH1900等の交換が可能となる。なお、ここでは特に図示しないが、アクセスカバーM1003を開閉させると、その裏面に形成された突起がカバー開閉レバーを回転させるようになっており、そのレバーの回転位置をマイクロスイッチなどで検出することにより、アクセスカバーの開閉状態を検出し得るようになっている。
【0022】
また、上ケースM1002の後部上面には、電源キーE0018及びレジュームキーE0019が押下可能に設けられると共に、LED E0020が設けられており、電源キーE0018を押下すると、LED E0020が点灯し記録可能であることをオペレータに知らせるものとなっている。また、LED E0020は点滅の仕方や色の変化をさせたり、記録装置のトラブル等をオペレータに知らせる等種々の表示機能を有する。さらに、ブザーE0021(図7)をならすこともできる。なお、トラブル等が解決した場合には、レジュームキーE0019を押下することによって記録が再開されるようになっている。
【0023】
2.記録動作機構
次に、記録装置の装置本体M1000に収納、保持される本実施形態における記録動作機構について説明する。
【0024】
本実施形態における記録動作機構としては、記録シートPを装置本体内へと自動的に給送する自動給送部M3022と、自動給送部から1枚ずつ送出される記録シートPを所定の記録位置へと導くと共に、記録位置から排出部M3030へと記録シートPを導く搬送部M3029と、記録位置に搬送された記録シートPに所望の記録を行なう記録部と、前記記録部等に対する回復処理を行う回復部(M5000)とから構成されている。
【0025】
ここで、記録部について説明するに、その記録部は、キャリッジ軸M4021によって移動可能に支持されたキャリッジM4001と、このキャリッジM4001に着脱可能に搭載される記録ヘッドカートリッジH1000とからなる。
【0026】
2.1 記録ヘッドカートリッジ
まず、記録部に用いられる記録ヘッドカートリッジについて図3〜5に基づき説明する。
【0027】
この実施形態における記録ヘッドカートリッジH1000は、図3に示すようにインクを貯留するインクタンクH1900と、このインクタンクH1900から供給されるインクを記録情報に応じてノズルから吐出させる記録ヘッドH1001とを有する。記録ヘッドH1001は、後述するキャリッジM4001に対して着脱可能に搭載される、いわゆるカートリッジ方式を採るものとなっている。
【0028】
ここに示す記録ヘッドカートリッジH1000では、写真調の高画質なカラー記録を可能とするため、インクタンクとして、例えば、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタ及びイエローの各色独立のインクタンクH1900が用意されており、図4に示すように、それぞれが記録ヘッドH1001に対して着脱自在となっている。
【0029】
そして,記録ヘッドH1001は、図5の分解斜視図に示すように、記録素子基板H1100、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300、第2のプレートH1400、タンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、シールゴムH1800から構成されている。
【0030】
記録素子基板H1100には、Si基板の片面にインクを吐出するための複数の記録素子と、各記録素子に電力を供給するAl等の電気配線とが成膜技術により形成され、この記録素子に対応した複数のインク流路と複数の吐出口H1100Tとがフォトリソグラフィ技術により形成されると共に、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。また、記録素子基板H1100は第1のプレートH1200に接着固定されており、ここには、前記記録素子基板H1100にインクを供給するためのインク供給口H1201が形成されている。さらに、第1のプレートH1200には、開口部を有する第2のプレートH1400が接着固定されており、この第2のプレートH1400を介して、電気配線基板H1300が記録素子基板H1100に対して電気的に接続されるよう保持されている。この電気配線基板H1300は、記録素子基板H1100にインクを吐出するための電気信号を印加するものであり、記録素子基板H1100に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し本体からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301とを有しており、外部信号入力端子H1301は、後述のタンクホルダーH1500の背面側に位置決め固定されている。
【0031】
一方、インクタンクH1900を着脱可能に保持するタンクホルダーH1500には、流路形成部材H1600が例えば、超音波溶着により固定され、インクタンクH1900から第1のプレートH1600に亘るインク流路H1501を形成している。また、インクタンクH1900と係合するインク流路H1501のインクタンク側端部には、フィルターH1700が設けられており、外部からの塵埃の侵入を防止し得るようになっている。また、インクタンクH1900との係合部にはシールゴムH1800が装着され、係合部からのインクの蒸発を防止し得るようになっている。
【0032】
さらに、前述のようにタンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700及びシールゴムH1800から構成されるタンクホルダー部と、前記記録素子基板H1100、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300及び第2のプレートH1400から構成される記録素子部とを、接着等で結合することにより、記録ヘッドH1001を構成している。
【0033】
2.2 キャリッジ
次に、図2を参照して記録ヘッドカートリッジH1000を搭載するキャリッジM4001を説明する。
【0034】
図2に示すように、キャリッジM4001には、キャリッジM4001と係合し記録ヘッドH1001をキャリッジM4001上の所定の装着位置に案内するためのキャリッジカバーM4002と、記録ヘッドH1001のタンクホルダーH1500と係合し記録ヘッドH1001を所定の装着位置にセットさせるよう押圧するヘッドセットレバーM4007とが設けられている。
すなわち、ヘッドセットレバーM4007はキャリッジM4001の上部にヘッドセットレバー軸に対して回動可能に設けられると共に、記録ヘッドH1001との係合部には、ばね付勢されるヘッドセットプレート(不図示)が備えられ、このばね力によって記録ヘッドH1001を押圧しながらキャリッジM4001に装着する構成となっている。
【0035】
また、キャリッジM4001の記録ヘッドH1001との別の係合部にはコンタクトフレキシブルプリントケーブル(図7参照、以下、コンタクトFPCと称す)E0011が設けられ、コンタクトFPC E0011上のコンタクト部と記録ヘッドH1001に設けられたコンタクト部(外部信号入力端子)H1301とが電気的に接触し、記録のための各種情報の授受や記録ヘッドH1001への電力の供給などを行い得るようになっている。
【0036】
ここでコンタクトFPC E0011のコンタクト部とキャリッジM4001との間には不図示のゴムなどの弾性部材が設けられ、この弾性部材の弾性力とヘッドセットレバーばねによる押圧力とによってコンタクト部とキャリッジM4001との確実な接触を可能とするようになっている。さらに前記コンタクトFPC E0011はキャリッジM4001の背面に搭載されたキャリッジ基板E0013に接続されている(図7参照)。
【0037】
3.スキャナ
この実施形態における記録装置は、上述した記録ヘッドカートリッジH1000の代わりにキャリッジM4001にスキャナを装着することで読取装置としても使用することができる。
【0038】
このスキャナは、記録装置側のキャリッジM4001と共に主走査方向に移動し、記録媒体に代えて給送された原稿画像をその主走査方向への移動の過程で読み取るようになっており、その主走査方向の読み取り動作と原稿の副走査方向の給送動作とを交互に行うことにより、1枚の原稿画像情報を読み取ることができる。
【0039】
図6(a)および(b)は、このスキャナM6000の概略構成を説明するために、スキャナM6000を上下逆にして示す図である。
【0040】
図示のように、スキャナホルダM6001は、略箱型の形状であり、その内部には読み取りに必要な光学系・処理回路などが収納されている。また、このスキャナM6000をキャリッジM4001へと装着した時に、原稿面と対面する部分には読取部レンズM6006が設けられており、このレンズM6006により原稿面からの反射光を内部の読取部に収束することで原稿画像を読み取るようになっている。一方、照明部レンズM6005は内部に不図示の光源を有し、その光源から発せられた光がレンズM6005を介して原稿へと照射される。
【0041】
スキャナホルダM6001の底部に固定されたスキャナカバーM6003は、スキャナホルダM6001内部を遮光するように嵌合し、側面に設けられたルーバー状の把持部によってキャリッジM4001への着脱操作性の向上を図っている。スキャナホルダM6001の外形形状は記録ヘッドH1001と略同形状であり、キャリッジM4001へは記録ヘッドカートリッジH1000と同様の操作で着脱することができる。
【0042】
また、スキャナホルダM6001には、読取り処理回路を有する基板が収納される一方、この基板に接続されたスキャナコンタクトPCBが外部に露出するよう設けられており、キャリッジM4001へとスキャナM6000を装着した際、スキャナコンタクトPCB M6004がキャリッジM4001側のコンタクトFPC E0011に接触し、基板を、キャリッジM4001を介して本体側の制御系に電気的に接続させるようになっている。
【0043】
4.記録装置の電気回路の構成
次に、本発明の実施形態における電気的回路構成を説明する。
図7は、この実施形態における電気的回路の全体構成例を概略的に示す図である。
【0044】
この実施形態における電気的回路は、主にキャリッジ基板(CRPCB)E0013、メインPCB(Printed Circuit Board)E0014、電源ユニットE0015等によって構成されている。
ここで、電源ユニットE0015は、メインPCB E0014と接続され、各種駆動電源を供給するものとなっている。
また、キャリッジ基板E0013は、キャリッジM4001(図2)に搭載されたプリント基板ユニットであり、コンタクトFPC E0011を通じて記録ヘッドとの信号の授受を行うインターフェースとして機能する他、キャリッジM4001の移動に伴ってエンコーダセンサE0004から出力されるパルス信号に基づき、エンコーダスケールE0005とエンコーダセンサE0004との位置関係の変化を検出し、その出力信号をフレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメインPCB E0014へと出力する。
【0045】
さらに、メインPCB E0014はこの実施形態におけるインクジェット記録装置の各部の駆動制御を司るプリント基板ユニットであり、紙端検出センサ(PEセンサ)E0007、ASF(自動給紙装置)センサE0009、カバーセンサE0022、パラレルインターフェース(パラレルI/F)E0016、シリアルインターフェース(シリアルI/F)E0017、レジュームキーE0019、LED E0020、電源キーE0018、ブザーE0021等に対するI/Oポートを基板上に有する。またさらに、キャリッジM1400を主走査させるための駆動源をなすモータ(CRモータ)E0001、記録媒体を搬送するための駆動源をなすモータ(LFモータ)E0002、記録ヘッドの回動動作と記録媒体の給紙動作に兼用されるモータ(PGモータ)E0003と接続されてこれらの駆動を制御する他、インクエンプティセンサE0006、GAPセンサE0008、PGセンサE0010、CRFFC E0012、電源ユニットE0015との接続インターフェイスを有する。
【0046】
図8は、メインPCB E0014の内部構成を示すブロック図である。図において、E1001はCPUであり、このCPU E1001は内部に発振回路E1005に接続されたクロックジェネレータ(CG) E1002を有し、その出力信号E1019によりシステムクロックを発生する。また、制御バスE1014を通じてROM E1004およびASIC(Application Specific Integrated Circuit) E1006に接続され、ROMに格納されたプログラムに従って、ASIC E1006の制御、電源キーからの入力信号E1017、及びレジュームキーからの入力信号E1016、カバー検出信号E1042、ヘッド検出信号(HSENS)E1013の状態の検知を行ない、さらにブザー信号(BUZ)E1018によりブザーE0021を駆動し、内蔵されるA/DコンバータE1003に接続されるインクエンプティ検出信号(INKS)E1011及びサーミスタによる温度検出信号(TH)E1012の状態の検知を行う一方、その他各種論理演算・条件判断等を行ない、インクジェット記録装置の駆動制御を司る。
【0047】
ここで、ヘッド検出信号E1013は、記録ヘッドカートリッジH1000からフレキシブルフラットケーブルE0012、キャリッジ基板E0013及びコンタクトフレキシブルプリントケーブルE0011を介して入力されるヘッド搭載検出信号であり、インクエンプティ検出信号E1011はインクエンプティセンサE0006から出力されるアナログ信号、温度検出信号E1012はキャリッジ基板E0013上に設けられたサーミスタ(図示せず)からのアナログ信号である。
【0048】
E1008はCRモータドライバであって、モータ電源(VM)E1040を駆動源とし、ASIC E1006からのCRモータ制御信号E1036に従って、CRモータ駆動信号E1037を生成し、CRモータE0001を駆動する。E1009はLF/PGモータドライバであって、モータ電源E1040を駆動源とし、ASIC E1006からのパルスモータ制御信号(PM制御信号)E1033に従ってLFモータ駆動信号E1035を生成し、これによってLFモータを駆動すると共に、PGモータ駆動信号E1034を生成してPGモータを駆動する。
【0049】
E1010は電源制御回路であり、ASIC E1006からの電源制御信号E1024に従って発光素子を有する各センサ等への電源供給を制御する。パラレルI/F E0016は、ASIC E1006からのパラレルI/F信号E1030を、外部に接続されるパラレルI/FケーブルE1031に伝達し、またパラレルI/FケーブルE1031の信号をASIC E1006に伝達する。シリアルI/F E0017は、ASIC E1006からのシリアルI/F信号E1028を、外部に接続されるシリアルI/FケーブルE1029に伝達し、また同ケーブルE1029からの信号をASIC E1006に伝達する。
【0050】
一方、電源ユニットE0015からは、ヘッド電源(VH)E1039及びモータ電源(VM)E1040、ロジック電源(VDD)E1041が供給される。また、ASIC E1006からのヘッド電源ON信号(VHON)E1022及びモータ電源ON信号(VMOM)E1023が電源ユニットE0015に入力され、それぞれヘッド電源E1039及びモータ電源E1040のON/OFFを制御する。電源ユニットE0015から供給されたロジック電源(VDD)E1041は、必要に応じて電圧変換された上で、メインPCB E0014内外の各部へ供給される。
【0051】
またヘッド電源信号E1039は、メインPCB E0014上で平滑化された後にフレキシブルフラットケーブルE0011へと送出され、記録ヘッドカートリッジH1000の駆動に用いられる。
E1007はリセット回路で、ロジック電源電圧E1041の低下を検出して、CPU E1001及びASIC E1006にリセット信号(RESET)E1015を供給し、初期化を行なう。
【0052】
このASIC E1006は1チップの半導体集積回路であり、制御バスE1014を通じてCPU E1001によって制御され、前述したCRモータ制御信号E1036、PM制御信号E1033、電源制御信号E1024、ヘッド電源ON信号E1022、及びモータ電源ON信号E1023等を出力し、パラレルI/F E0016およびシリアルI/F E0017との信号の授受を行なう他、PEセンサE0007からのPE検出信号(PES)E1025、ASFセンサE0009からのASF検出信号(ASFS)E1026、記録ヘッドと記録媒体とのギャップを検出するためのセンサ(GAP)センサE0008からのGAP検出信号(GAPS)E1027、PGセンサE0010からのPG検出信号(PGS)E1032の状態を検知して、その状態を表すデータを制御バスE1014を通じてCPU E1001に伝達し、入力されたデータに基づきCPU E1001はLED駆動信号E1038の駆動を制御してLEDE0020の点滅を行なう。
【0053】
さらに、エンコーダ信号(ENC)E1020の状態を検知してタイミング信号を生成し、ヘッド制御信号E1021で記録ヘッドカートリッジH1000とのインターフェイスをとり記録動作を制御する。ここにおいて、エンコーダ信号(ENC)E1020はフレキシブルフラットケーブルE0012を通じて入力されるCRエンコーダセンサE0004の出力信号である。また、ヘッド制御信号E1021は、フレキシブルフラットケーブルE0012、キャリッジ基板E0013、及びコンタクトFPC E0011を経て記録ヘッドH1000に供給される。
【0054】
図9は、ASIC E1006の内部構成例を示すブロック図である。
【0055】
なお、同図において、各ブロック間の接続については、記録データやモータ制御データ等、ヘッドや各部機構部品の制御にかかわるデータの流れのみを示しており、各ブロックに内蔵されるレジスタの読み書きに係わる制御信号やクロック、DMA制御にかかわる制御信号などは図面上の記載の煩雑化を避けるため省略している。
【0056】
図中、E2002はPLLコントローラであり、図9に示すようにCPU E1001から出力されるクロック信号(CLK)E2031及びPLL制御信号(PLLON)E2033により、ASIC E1006内の大部分へと供給するクロック(図示しない)を発生する。
【0057】
また、E2001はCPUインターフェース(CPUI/F)であり、リセット信号E1015、CPU E1001から出力されるソフトリセット信号(PDWN)E2032、クロック信号(CLK)E2031及び制御バスE1014からの制御信号により、以下に説明するような各ブロックに対するレジスタ読み書き等の制御や、一部ブロックへのクロックの供給、割り込み信号の受け付け等(いずれも図示しない)を行ない、CPU E1001に対して割り込み信号(INT)E2034を出力し、ASIC E1006内部での割り込みの発生を知らせる。
【0058】
また、E2005はDRAMであり、記録用のデータバッファとして、受信バッファE2010、ワークバッファE2011、プリントバッファE2014、展開用データバッファE2016などの各領域を有すると共に、モータ制御用としてモータ制御バッファE2023を有し、さらにスキャナ動作モード時に使用するバッファとして、上記の各記録用データバッファに代えて使用されるスキャナ取込みバッファE2024、スキャナデータバッファE2026、送出バッファE2028などの領域を有する。
【0059】
また、このDRAM E2005は、CPU E1001の動作に必要なワーク領域としても使用されている。すなわち、E2004はDRAM制御部であり、制御バスによるCPU E1001からDRAM E2005へのアクセスと、後述するDMA制御部E2003からDRAM E2005へのアクセスとを切り替えて、DRAM E2005への読み書き動作を行なう。
【0060】
DMA制御部E2003では、各ブロックからのリクエスト(図示せず)を受け付けて、アドレス信号や制御信号(図示せず)、書込み動作の場合には書込みデータE2038、E2041、E2044、E2053、E2055、E2057などをDRAM制御部E2004に出力してDRAMアクセスを行なう。また読み出しの場合には、DRAM制御部E2004からの読み出しデータE2040、E2043、E2045、E2051、E2054、E2056、E2058、E2059を、リクエスト元のブロックに受け渡す。
【0061】
また、E2006は、IEEE1284I/Fであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、パラレルI/F E0016を通じて、図示しない外部ホスト機器との双方向通信インターフェイスを行なう他、記録時にはパラレルI/F E0016からの受信データ(PIF受信データE2036)をDMA処理によって受信制御部E2008へと受け渡し、スキャナ読み取り時にはDRAM E2005内の送出バッファE2028に格納されたデータ(IEEE1284送信データ(RDPIF)E2059)をDMA処理によりパラレルI/Fに送信する。
【0062】
E2007は、ユニバーサルシリアルバス(USB)I/Fであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、シリアルI/F E0017を通じて、図示しない外部ホスト機器との双方向通信インターフェイスを行なう他、印刷時にはシリアルI/F E0017からの受信データ(USB受信データE2037)をDMA処理により受信制御部E2008に受け渡し、スキャナ読み取り時にはDRAM E2005内の送出バッファE2028に格納されたデータ(USB送信データ(RDUSB)E2058)をDMA処理によりシリアルI/F E0017に送信する。受信制御部E2008は、1284I/F E2006もしくはUSBI/F E2007のうちの選択されたI/Fからの受信データ(WDIF)E2038)を、受信バッファ制御部E2039の管理する受信バッファ書込みアドレスに、書込む。
E2009は圧縮・伸長DMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPUE1001の制御により、受信バッファE2010上に格納された受信データ(ラスタデータ)を、受信バッファ制御部E2039の管理する受信バッファ読み出しアドレスから読み出し、そのデータ(RDWK)E2040を指定されたモードに従って圧縮・伸長し、記録コード列(WDWK)E2041としてワークバッファ領域に書込む。
【0063】
E2013は記録バッファ転送DMAコントローラで、CPUI/F E2001を介したCPU E1007の制御によってワークバッファE2011上の記録コード(RDWP)E2043を読み出し、各記録コードを、記録ヘッドカートリッジH1000へのデータ転送順序に適するようなプリントバッファE2014上のアドレスに並べ替えて転送(WDWP E2044)する。また、E2012はワーククリアDMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御によって記録バッファ転送DMAコントローラ E2013による転送が完了したワークバッファ上の領域に対し、指定したワークフィルデータ(WDWF)E2042を繰返し書込む。
【0064】
E2015は記録データ展開DMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、ヘッド制御部E2018からのデータ展開タイミング信号E2050をトリガとして、プリントバッファ上に並べ替えて書込まれた記録コードと展開用データバッファE2016上に書込まれた展開用データとを読み出し、展開記録データ(RDHDG)E2045をカラムバッファ書込みデータ(WDHDG)E2047としてカラムバッファE2017に書込む。ここで、カラムバッファE2017は、記録ヘッドカートリッジH1000への転送データ(展開記録データ)を一時的に格納するSRAMであり、記録データ展開DMAコントローラE2015とヘッド制御部E2018とのハンドシェーク信号(図示せず)によって両ブロックにより共有管理されている。
【0065】
E2018はヘッド制御部で、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、ヘッド制御信号を介して記録ヘッドカートリッジH1000またはスキャナとのインターフェイスを行なう他、エンコーダ信号処理部E2019からのヘッド駆動タイミング信号E2049に基づき、記録データ展開DMAコントローラに対してデータ展開タイミング信号E2050の出力を行なう。
【0066】
また、印刷時には、前記ヘッド駆動タイミング信号E2049に従って、カラムバッファから展開記録データ(RDHD)E2048を読み出し、そのデータをヘッド制御信号E1021として記録ヘッドカートリッジH1000に出力する。
また、スキャナ読み取りモードにおいては、ヘッド制御信号E1021として入力された取込みデータ(WDHD)E2053をDRAM E2005上のスキャナ取込みバッファE2024へとDMA転送する。E2025はスキャナデータ処理DMAコントローラであり、CPUI/F E2001を介したCPUE1001の制御により、スキャナ取込みバッファE2024に蓄えられた取込みバッファ読み出しデータ(RDAV)E2054を読み出し、平均化等の処理を行なった処理済データ(WDAV)E2055をDRAM E2005上のスキャナデータバッファE2026に書込む。
E2027はスキャナデータ圧縮DMAコントローラで、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、スキャナデータバッファE2026上の処理済データ(RDYC)E2056を読み出してデータ圧縮を行ない、圧縮データ(WDYC)E2057を送出バッファE2028に書込み転送する。
【0067】
E2019はエンコーダ信号処理部であり、エンコーダ信号(ENC)を受けて、CPU E1001の制御で定められたモードに従ってヘッド駆動タイミング信号E2049を出力する他、エンコーダ信号E1020から得られるキャリッジM4001の位置や速度にかかわる情報をレジスタに格納して、CPU E1001に提供する。CPU E1001はこの情報に基づき、CRモータE0001の制御における各種パラメータを決定する。また、E2020はCRモータ制御部であり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、CRモータ制御信号E1036を出力する。
【0068】
E2022はセンサ信号処理部で、PGセンサE0010、PEセンサE0007、ASFセンサE0009、及びGAPセンサE0008等から出力される各検出信号E1033,E1025,E1026,E1027を受けて、CPUE1001の制御で定められたモードに従ってこれらのセンサ情報をCPU E1001に伝達する他、LF/PGモータ制御用DMAコントローラ E2021に対してセンサ検出信号E2052を出力する。
【0069】
LF/PGモータ制御用DMAコントローラE2021は、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、DRAM E2005上のモータ制御バッファE2023からパルスモータ駆動テーブル(RDPM)E2051を読み出してパルスモータ制御信号E1033を出力する他、動作モードによっては前記センサ検出信号を制御のトリガとしてパルスモータ制御信号E1033を出力する。
また、E2030はLED制御部であり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、LED駆動信号E1038を出力する。さらに、E2029はポート制御部であり、CPUI/F E2001を介したCPU E1001の制御により、ヘッド電源ON信号E1022、モータ電源ON信号E1023、及び電源制御信号E1024を出力する。
【0070】
5.インクジェット記録装置の基本動作
次に、上記のように構成された本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の基本動作を図10のフローチャートに基づき説明する。
【0071】
AC電源に装置本体1000が接続されると、まず、ステップS1では装置の第1の初期化処理を行なう。この初期化処理では、本装置のROMおよびRAMのチェックなどの電気回路系のチェックを行ない、電気的に本装置が正常に動作可能であるかを確認する。
【0072】
次にステップS2では、装置本体M1000の上ケースM1002に設けられた電源キーE0018がONされたかどうかの判断を行い、電源キーE0018が押された場合には、次のステップS3へと移行し、ここで第2の初期化処理を行う。
【0073】
この第2の初期化処理では、本装置の各種駆動機構及び記録ヘッドのチェックを行なう。すなわち、各種モータの初期化やヘッド情報の読み込みを行うに際し、装置が正常に動作可能であるかを確認する。
【0074】
次にステップS4ではイベント待ちを行なう。すなわち、本装置に対して、外部I/Fからの指令イベント、ユーザ操作によるパネルキーイベントおよび内部的な制御イベントなどを監視し、これらのイベントが発生すると当該イベントに対応した処理を実行する。
【0075】
例えば、ステップS4で外部I/Fからの印刷指令イベントを受信した場合には、ステップS5へと移行し、同ステップでユーザ操作による電源キーイベントが発生した場合にはステップS10へと移行し、同ステップでその他のイベントが発生した場合にはステップS11へと移行する。
ここで、ステップS5では、外部I/Fからの印刷指令を解析し、指定された紙種別、用紙サイズ、印刷品位、給紙方法などを判断し、その判断結果を表すデータを本装置内のRAM E2005に記憶し、ステップS6へと進む。
次いでステップS6ではステップS5で指定された給紙方法により給紙を開始し、用紙を記録開始位置まで送り、ステップS7に進む。
ステップS7では記録動作を行なう。この記録動作では、外部I/Fから送出されてきた記録データを、一旦記録バッファに格納し、次いでCRモータE0001を駆動してキャリッジM4001の主走査方向への移動を開始すると共に、プリントバッファE2014に格納されている記録データを記録ヘッドH1001へと供給して1行の記録を行ない、1行分の記録データの記録動作が終了するとLFモータE0002を駆動し、LFローラM3001を回転させて用紙を副走査方向へと送る。この後、上記動作を繰り返し実行し、外部I/Fからの1ページ分の記録データの記録が終了すると、ステップ8へと進む。
【0076】
ステップS8では、LFモータE0002を駆動し、排紙ローラM2003を駆動し、用紙が完全に本装置から送り出されたと判断されるまで紙送りを繰返し、終了した時点で用紙は排紙トレイM1004a上に完全に排紙された状態となる。
【0077】
次にステップS9では、記録すべき全ページの記録動作が終了したか否かを判定し、記録すべきページが残存する場合には、ステップS5へと復帰し、以下、前述のステップS5〜S9までの動作を繰り返し、記録すべき全てのページの記録動作が終了した時点で記録動作は終了し、その後ステップS4へと移行し、次のイベントを待つ。
【0078】
一方、ステップS10では記録装置終了処理を行ない、本装置の動作を停止させる。つまり、各種モータやヘッドなどの電源を切断するために、電源を切断可能な状態に移行した後、電源を切断しステップS4に進み、次のイベントを待つ。
【0079】
また、ステップS11では、上記以外の他のイベント処理を行なう。例えば、本装置の各種パネルキーや外部I/Fからの回復指令や内部的に発生する回復イベントなどに対応した処理を行なう。なお、処理終了後にはステップS4に進み、次のイベントを待つ。
【0080】
(第1の実施形態)
次に、本発明の第1の実施形態における予備吐出制御動作を説明する。
この実施形態においては、前述の基本構成において説明した図7ないし図9に示す電気回路によって、記録ヘッドの吐出動作、キャリッジの往復動作、及び記録媒体を搬送する搬送系の動作制御等を行う一方、これによって、後述の予備吐出制御方法を実行する予備吐出制御装置(ヘッド制御手段、カウント手段、判別手段)をも構成している。なお、この実施形態においては、前述の基本構成においても説明したように、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、淡シアン(LC)及び淡マゼンタ(LM)等のインクに対応する6個の記録ヘッドを備える場合を例に採り説明する。
【0081】
図11は、この実施形態に適用するインクジェット記録ヘッドの構成を模式的に示す図である。図において、ここに示す記録ヘッドは、ノズルが千鳥状に配列されたものとなっており、これらのノズルのうち隣接する8ノズルを1ブロックとして設定している。すなわち、BkノズルについてはB1〜B64に仮想的に分割されている。同様に、他の色のインクを吐出する記録ヘッドにおいても、隣接する8ノズルを1ブロックとして8ブロックが形成されている。そして、本実施形態においては、記録中の吐出ドット数が各ブロック毎にカウントできる構成となっている。
【0082】
以下、この第1の実施形態における予備吐出制御動作を図15のフローチャートに基づき詳細に説明する。
記録装置本体がホスト装置から記録開始命令を受信すると(ステップS110)、給紙動作が開始される(ステップS111)。そして、ホストから次に記録する1スキャン分の記録データが送信されてくると、これを受信し(ステップS112)。受信した記録データに基づき、記録装置本体に設けられたカウンタが、そのスキャンによって吐出されるべきドット数を前述のブロック毎にカウントする(ステップS113)。
【0083】
次いで、ステップS114〜ステップS117では、予備吐出フラグを0に設定した後、ステップS113でカウントした吐出ドット数(X)と予め設定された閾値Nとを比較する。そして、閾値Nよりも吐出ドット数(X)が少ないブロックが1つでも存在した場合には、予備吐フラグを1にする。
【0084】
ところで、1スキャン分の時間経過では、1ノズルあたり3発の吐出をすれば吐出不良を発生させないことが実験的に確認されている。このため、前述の閾値Nは8(ノズル)×3(発)=24以上に設定される。全ての記録データが各ノズルに均等に配分されることは稀であるため、この実施形態では、24の5倍の120を閾値として設定している。閾値を小さく設定すれば、予備吐動作の回数が減るためスループット向上の効果は大きいが、吐出不良の可能性は大きくなる。しかし、この実施形態の構成では、1色あたり2ノズルまでの吐出不良は、殆どの画像で記録品位の劣化を視覚的に認識できないことが経験的に確認されている。このため、いたずらに閾値を大きく設定する必要はない。
【0085】
また、例えば、高速出力を目的とした記録装置では、多少の記録画像の乱れは度外視し、スループット向上を優先させるような記録を行う必要がある場合もあり、このような場合には閾値を小さく設定すれば良い。つまり、適用する記録装置の性格に合わせて閾値を設定することも可能である。
【0086】
ステップS118では受信した記録データを1スキャン分記録し、記録が終了すると各ブロックのカウント値をクリアする(ステップS119)。その後、予備吐フラグが1であるか否かの判断を行い(ステップS120)、予備吐出フラグが1であれば、キャリッジを予備吐出位置へと移動させた後(ステップS121)、記録ヘッドに設けられている全てのノズルに対して3発のドットを吐出する予備吐出を行う(ステップS122)。また、予備吐出フラグが0である場合には、ステップS123において全ての記録データを受信したか否かを判断し、全ての記録データが受信されていなければ、ステップS112へと移行して上記ステップS112〜S123までの動作を繰り返す。また、全ての記録データを受信し、記録したと判断された場合には、排紙動作(ステップS124)を行って記録動作を終了する。
【0087】
以上のように、この第1の実施形態においては、ブロック単位でのみ吐出カウント数を管理すれば良く、従来のように全ノズルの吐出を管理する必要がないため、膨大な電気回路を不要とし、かつ記録乱れが少なく、予備吐動作によるスループット低下を最小限に抑えることが可能なインクジェット記録装置を提供することができる。
【0088】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態における予備吐出制御動作を図16に基づき説明する。なお、この第2の実施形態においても上記第1の実施形態と同様の構成を有するインクジェット記録装置を適用するものとする。
図16において、記録装置本体がホストから記録開始命令を受信すると(ステップS130)、給紙動作が開始される(ステップS131)。そして、ホストから次に記録する1スキャン分の記録データから送信されてくると、これを受信し(ステップS132)、受信した記録データに基づき記録装置本体に設けられたカウンタが、そのスキャンによって吐出されるべきドット数を前述のブロック毎にカウントする(ステップS133)。
【0089】
次いで、ステップS134〜S137では、全てのブロックにおいてカウントされた吐出ドット数と予め設定された閾値Nとを比較する。ここで、閾値Nよりも吐出ドット数が少ないブロックがあった場合には、予備吐フラグを1にする(ステップS136)と同時に、そのブロック名を記録装置本体に設けられたメモリに記憶する(S)。この第2の実施形態においても、閾値Nは120とした。
【0090】
また、ステップS138では、受信した記録データを1スキャン分記録し、記録が終了すると各ブロックのカウント値をクリアする(ステップS139)。その後、予備吐フラグが1であるか否かの判断を行い(ステップS141)、予備吐出フラグが1であれば、キャリッジを予備吐出位置へと移動させた後(ステップ142)、予備吐出を行う。ここで、予備吐出は本体メモリに記憶されたブロックに対してのみ実施し、記憶されていないブロックについては実施しない。また、ステップS140にて予備吐出フラグが0であると判断された場合には、ステップS144において全ての記録データを受信したか否かを判断し(ステップS145)、全ての記録データが受信されていなければ、ステップS132へ移行して上記ステップS132〜S144までの動作を繰り返す。また、全ての記録データを受信し、記録したと判断された場合には、排紙動作(ステップS145)を行って記録動作を終了する。
【0091】
以上のように、この第2の実施形態においては、上記第1の実施形態と同様の効果を期待できると共に、必要なブロックに対してのみ予備吐出を実施することができるため、予備吐出によるインク浪費を抑えることが可能である。
【0092】
(第3の実施形態)
次に本発明の第3の実施形態における予備吐出制御動作を図17に基づき説明する。なお、この第2の実施形態においても上記第1の実施形態と同様の構成を有するインクジェット記録装置を適用するものとする。但し、この第3の実施形態では、同一の記録領域に対して、記録ヘッド内の異なるノズルブロックを用いて複数回記録走査(パス)を行うことにより、画像を完成させるようにする、いわゆるマルチパス記録を行うものとなっている。
【0093】
図17において、記録装置本体がホストから記録開始命令を受信すると(ステップS150)、給紙動作が開始される(ステップS151)。また、記録開始命令と同時にマルチパス記録における記録パス数や記録媒体の種類に関する情報もホストより入手する(ステップS152)。この記録パス数情報に従って、記録ヘッド内のノズルを分割するブロックの定義を図12ないし図14に示すようにして行う(ステップS153)。例えば、1パス記録であった場合には、図12に示すように隣接する8ノズルを1ブロックと定義する。また、8パス記録では、図13に示すようにマルチパス記録における各ノズルブロックにおいて同一順位にあるノズル、すなわち、0、32、64、128、160、192、224等のように31ノズルおきに配列された8個のノズルを1ブロックと定義する。また、図14に示す4パス記録の場合には、0,64,128,192の4個のノズル、及び1,65,129,193の4個のノズル等をそれぞれ1ブロックと定義する。
【0094】
このように、一定間隔で配置されたノズルによってブロックを定義した場合には、吐出ドットが隣接ノズルで均等に配分されないパターンを記録するとき、例えば、主走査方向の罫線パターンを形成するときなどに有効である。つまり、形成パターンを形成する場合には、ドットを殆ど吐出しないノズルからなるブロックと、ドットの吐出が頻繁に行われるノズルを含んだブロックとを明確に分けることが可能となり、それによって予備吐出を要するブロックと不要とするブロックとを適確に判定することができる。
【0095】
これに対し、図12に示すように隣接ノズルによってブロックを形成するようにした場合には罫線を形成するノズルが各ブロックに分散することとなるため、罫線を形成しないノズルについては予備吐出を必要とするにも拘わらず、各ブロックが全て予備吐出を必要としないと判断される可能性がある。そこで、上記のように、複数パスによって画像を形成する場合には、この第3の実施形態におけるようなブロックの定義を行うことが望ましい。また、このステップS153では、ブロックの定義と共に、閾値の設定も行う。
【0096】
次に、ステップS155では、ホストから記録装置本体に対して次に記録する1スキャン分の記録データが送信されてくると、これを受信し(ステップS154)、受信した記録データに基づき、そのスキャンによって吐出されるべきドット数を前述のブロック毎にカウントする(ステップS155)。
【0097】
次いで、ステップS156〜S159では、予備吐フラグを0にセットした後、全てのブロックにおいてカウントされた吐出ドット数と予め設定された閾値Nとを比較する。ここで、閾値Nよりも吐出ドット数が少ないブロックが存在した場合には、予備吐フラグを1にする。
【0098】
この第3の実施形態において、1スキャン分の時間経過では、1ノズルあたり3発の吐出があれば記録乱れを発生させないことが実験的に確認されているため、閾値Nは8×3=24以上に設定される。普通紙記録においては、着弾後のインクが滲んでしまうため、多少の吐出不良があったとしても画像劣化はほとんど認識できない。しかし、発色性向上のためメディア表面をコーティングした記録媒体(特殊紙)では、着弾したインクが真円に近いドットを形成するため、普通紙と比較すると、吐出不良による画像劣化が視認され易い。このため、記録媒体として普通紙が設定された場合には、閾値として48、特殊紙が設定された場合には、普通紙における閾値より大きな値、例えば120を設定する。
【0099】
ステップS160、S161では、受信した記録データを1スキャン分記録し、各ブロックのカウント値をクリアする。この後、ステップS162において予備吐出フラグが1であると判断されれば、記録領域外に設けられた予備吐位置までキャリッジを移動させ予備吐動作を実施する(ステップS163,S164)。この第3の実施形態においても、予備吐出は全ノズルに対して3発実施する。一方、ステップS162において、予備吐出フラグが0であると判断されれば、予備吐出を実施せずにステップS154に戻り、次のスキャンの記録データを受信する。また、ステップS165において全ての記録データが記録されたと判断された場合には、排紙動作を行って記録動作を終了する(ステップS166)。
【0100】
以上のように、この第3の実施形態では、記録パス数によりブロックの定義を変更しているため、マルチパス記録時に主走査方向に罫線パターンを形成する場合にも正しいカウントを行うことができる。さらに、この第3の実施形態では、記録媒体の種類によって閾値を変更しているため、スループットの向上と記録画像の乱れとのバランスを細かく設定することが可能になる。
【0101】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を図18に基づき説明する。なお、この第2の実施形態においても上記第1の実施形態と同様の構成を有するインクジェット記録装置を適用するものとする。
【0102】
記録装置本体がホスト装置から記録開始命令を受信すると(ステップS170)、給紙動作が開始される(ステップS171)。そして、ホストから次に記録する1スキャン分の記録データが送信されてくると、これを受信し(ステップS172)。受信した記録データに基づき、記録装置本体に設けられたカウンタが、そのスキャンによって吐出されるべきドット数を前述のブロック毎にカウントし、そのカウント値x0に、その前のスキャンまでに保持されているカウント値x−1に加算した加算値Xを設定する(ステップS173)。
【0103】
次に、予備吐出フラグを0に設定し(ステップS174)、設定した加算値Xと予め設定された閾値Nとを比較を行い、閾値Nよりも加算値Xが少なくなるブロックが1つでも存在した場合には、予備吐出フラグを1にする(ステップS175〜S177)。
【0104】
この後、ステップS178では受信した記録データを1スキャン分記録し、記録が終了する。そして、予備吐出フラグが1であるか否かの判断を行い、予備吐出フラグが1であれば、キャリッジを予備吐出位置へと移動させた後(ステップS180)、記録ヘッドに設けられている全てのノズルに対して3発のドットを吐出する予備吐出を行う(ステップS181)。予備吐出を行った後、ステップS182では、全てのブロックにおける加算値XをNに設定し、ステップS183に移行する。また、ステップS179において、予備吐出フラッグが1であると判断された場合には、ステップS183へ移行する。そして、ステップ183では、各ブロックの加算値Xに1/2を乗じる。
【0105】
この後、ステップS185では、前記加算値Xに1/2を乗じた値1/2Xと、前述の閾値Nを2倍した値2Nとを比較し(ステップS184)、2Nより1/2Xが小さい場合には、ステップS172へ移行し、また、1/2Xが2N以上である場合には、ステップS185においてXを2Nに設定する。
【0106】
以上の動作を全ての記録データが受信されるまで繰り返して行い、全てのデータが受信された場合には、排紙動作を行って記録動作を終了する(ステップS186,S187)。
【0107】
上記のように、この第4の実施形態においては、各スキャンの記録データ毎に、次のスキャンのための予備吐出を行うか否かを判断するようにしたが、この第4の実施形態では、現在のスキャン以前の記録データをも勘案して、次のスキャンにおいて予備吐出を行うか否かの判断を行うようになっている。
【0108】
例えば、現在のスキャン(第1のスキャン)以前の加算値Xが2N(=x0+x−1)であった場合、ステップS176における予備吐出フラグは0となり、記録動作後も予備吐出は行われない。そして、加算値XはステップS183で1/2が乗じられてNとなった後、この値Nがステップ184において2Nと比較される。その結果、次のスキャン(第2のスキャン)のステップS173において、前記の値Nはx−1となり、これが記録データのカウント値x0と加算されてXとなる。従って、前記値x0が、仮に0であったとしても、予備吐出フラグは依然として0に保たれ、第2のスキャン後も予備吐出は行われない。この後、ステップS183において、仮にXがNであったとすると、この値はステップS183によって1/2Nとなり、これが次の第3のスキャンにおけるx−1となる。そして、次のスキャン(第3のスキャン)の記録データにおけるx0のカウント値が1/2Nより小であるとすると、ステップS175においてXはN以下となり、予備吐出フラグは1となる。その結果、この第3のスキャンによる記録動作が行われた後に、予備吐出が実行される。つまり、この例においては、第2のスキャンにおける記録データのカウント値x0が、例えNより小なる値であったとしても第2のスキャンの後には予備吐出を実行しない。このように、この第4の実施形態は、連続する数回のスキャンにおいて記録データが存在しない場合であっても吐出不良が発生しないような吐出性能を有する記録装置において、インクの無駄な消費を抑えることができる。
【0109】
なお、ステップS183においては、加算値Xに乗じる値を1/2とし、ステップS185における最大値を2Nとしたが、これらの値は、これらの値は、記録装置の吐出性能に応じて設定すれば良い。すなわち、予備吐出を行わずに何スキャンまで適正に吐出を行うことができるかという記録装置の吐出性能に応じて適宜設定すれば良く、上記実施形態に示した値に限定されるものではない。
【0110】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、ノズル列を複数のブロックに分割し、各ブロック単位で記録中の吐出ドットをカウントし、カウントされた数値によって予備吐動作を行うか否かを判断するようにしたため、予備吐出動作によるスループット低下を抑えつつ、予備吐出によるインク浪費を低減することができ、しかも電気回路の規模を大幅に増大させる必要がなく、安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すものの外装部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に用いる記録ヘッドカートリッジを組立てた状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す記録ヘッドカートリッジを示す分解斜視図である。
【図5】図4に示した記録ヘッドを斜め下方から観た分解斜視図である。
【図6】本発明の実施形態におけるスキャナカートリッジを示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態における電気的回路の全体構成を概略的に示すブロック図である。
【図8】図7に示したメインPCBの内部構成を示すブロック図である。
【図9】図8に示したASICの内部構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の基本動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態における記録ヘッドの各ノズルの配置を具体的に示す底面図である。
【図12】本発明の第1の実施形態における記録ヘッドの各ノズルを隣接する複数のノズル毎に分割した状態を模式的に示す底面図であり、1パス記録を行う場合を示している。
【図13】本発明の第3の実施形態における記録ヘッドのノズルをブロックに分割した状態を模式的に示す底面図であり、8パス記録を行う場合を示す図である。
【図14】本発明の第3の実施形態における記録ヘッドのノズルをブロック毎に分割した状態を模式的に示す底面図であり、4パス記録を行う場合を示している。
【図15】本発明の第1の実施形態における予備吐出制御動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第2の実施形態における予備吐出制御動作を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第3の実施形態における予備吐出制御動作を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第4の実施形態における予備吐出制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
M1000 装置本体
M3022 自動給送部
M3029 搬送部
M3030 排出部
M4001 キャリッジ
M5000 回復系ユニット
E1001 CPU
E1002 OSC(CPU内蔵オシレータ)
E1003 A/D(CPU内蔵A/Dコンバータ)
E1004 ROM
E2049 ヘッド駆動タイミング信号
E2050 データ展開タイミング信号
E2051 RDPM(パルスモータ駆動テーブル読み出しデータ)
E2052 センサ検出信号
H1000 記録ヘッドカートリッジ
H1001 記録ヘッド
H1100 記録素子基板
H1100T 吐出口
H1200 第1のプレート
H1201 インク供給口
H1300 電気配線基板
Claims (14)
- インクを吐出するノズル列を形成してなる記録ヘッドと、記録データに基づき前記ノズルからインク液滴を吐出させると共に記録ヘッドのインク吐出状態を適正に保つべく前記ノズルからインクを吐出させる予備吐出動作を制御するヘッド制御手段とを有するインクジェット記録装置であって、
前記ヘッド制御手段は、前記記録ヘッドのノズル列を複数個のノズルからなるノズルブロックに分割し、前記記録データに基づき、前記各ノズルブロック毎にインク液滴の吐出予定数をカウントするカウント手段と、
前記カウント手段のカウント値が一定期間内に一定値以上に達したか否かを各ブロックに対して判別する判別手段と、を備え、
前記カウント値が所定期間内に一定値以上に達しないブロックが存在した場合に前記記録ヘッドの少なくとも1つのブロックにおいて予備吐出を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記ヘッド制御手段は、前記カウント値が一定期間内に一定値以上に達しないブロックに対してのみ予備吐出を行うことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
- 前記ヘッド制御手段は、前記カウント値が一定期間内に一定値以上に達しないブロックが存在した場合に、全てのブロックにおけるノズルに対して予備吐出を行うことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
- 前記ヘッド制御手段は、記録モードに応じて、前記ブロックを構成するノズルの組合せを決定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記ヘッド制御手段は、1回のスキャンにて記録画像を形成する1パス記録モードにおいては隣接位置に配列された複数のノズルによってブロックを構成し、同一の記録領域に対して異なるノズル群を用いて複数回スキャンを行うことにより記録画像を形成するマルチパス記録モードにおいては各記録画像の同一記録領域を構成するノズルによって同一ブロックを構成することを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録装置。
- 前記ヘッド制御手段は、使用する記録媒体の種類に応じた異なるノズルの組合せによってブロックを形成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- インクを吐出するノズル列を形成してなる記録ヘッドと、記録データに基づき前記ノズルからインク液滴を吐出させると共に記録ヘッドのインク吐出状態を適正に保つべく前記ノズルからインクを吐出させる予備吐出動作を制御するヘッド制御手段とを有するインクジェット記録装置であって、
前記ヘッド制御手段は、前記記録ヘッドのノズル列を複数個のノズルからなるノズルブロックに分割し、前記記録データに基づき、前記各ノズルブロック毎にインク液滴の吐出予定数をカウントするカウント手段と、
前記カウント値が所定期間内に一定値以上に達したか否かを判別する判別手段と、
前記カウント値が一定期間内に一定値以上に達したときに前記カウント値に所定の定数を乗算する乗算手段と、
この乗算手段によって乗算された値と次の所定期間内に前記カウント手段によってカウントされたカウント値とを加算する加算手段と、
前記加算手段によって加算された値が前記一定値以上に達したか否かを判別する加算値判別手段と、を備え、
前記加算値が一定値以下となるまで前記前記加算手段による加算と前記乗算手段による乗算とを繰り返し、前記加算値が一定値以下となった時点で予備吐出を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。 - インクを吐出するノズル列を形成してなる記録ヘッドを備え、記録データに基づき前記ノズルからインク液滴を吐出させると共に、記録ヘッドのインク吐出状態を適正に保つべく前記ノズルからインクを吐出させるようにしたインクジェット記録方法であって、
前記記録ヘッドのノズル列を複数個のノズルからなるノズルブロックに分割し、前記記録データに基づき、前記各ノズルブロック毎にインク液滴の吐出予定数をカウントするステップと、
前記カウント値が一定期間内に一定値以上に達したか否かを各ブロックに対して判別する判別ステップと、を備え、
前記カウント値が所定期間内に一定値以上に達しないブロックが存在した場合に前記記録ヘッドの少なくとも1つのブロックにおいて予備吐出を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記カウント値が一定期間内に一定値以上に達しないブロックに対してのみ予備吐出を行うことを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録方法。
- 前記カウント値が一定期間内に一定値以上に達しないブロックが存在した場合に、全てのブロックにおけるノズルに対して予備吐出を行うことを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録方法。
- 記録モードに応じて、前記ブロックを構成するノズルの組合せを決定することを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 1回のスキャンにて記録画像を形成する1パス記録モードにおいては隣接位置に配列された複数のノズルによってブロックを構成する一方、同一の記録領域に対して異なるノズル群を用いて複数回スキャンを行うことにより記録画像を形成するマルチパス記録モードにおいては各記録画像の同一ラスタを構成するノズルによって同一ブロックを構成することを特徴とする請求項11記載のインクジェット記録方法。
- 前記使用する記録媒体の種類に応じた異なるノズルの組合せによってブロックを形成することを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- インクを吐出するノズル列を形成してなる記録ヘッドを備え、記録データに基づき前記ノズルからインク液滴を吐出させると共に、記録ヘッドのインク吐出状態を適正に保つべく前記ノズルからインクを吐出させるようにしたインクジェット記録方法であって、
前記記録ヘッドのノズル列を複数個のノズルからなるノズルブロックに分割し、前記記録データに基づき、前記各ノズルブロック毎にインク液滴の吐出予定数をカウントするステップと、
前記カウント値が所定期間内に一定値以上に達したか否かを判別する判別ステップと、
前記カウント値が一定期間内に一定値以上に達したときに前記カウント値に所定の定数を乗算する乗算ステップと、
この乗算手段によって乗算された値と次の所定期間内に前記カウント手段によってカウントされたカウント値とを加算する加算ステップと、
前記加算手段によって加算された値が前記一定値以上に達したか否かを判別する加算値判別ステップと、を備え、
前記加算値が一定値以下となるまで前記前記加算手段による加算と前記乗算手段による乗算とを繰り返し、前記加算値が一定値以下となった時点で予備吐出を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
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2002
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