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JP2003531581A - 黒色腫分化関連遺伝子−5およびプロモーターならびにこれらの使用 - Google Patents

黒色腫分化関連遺伝子−5およびプロモーターならびにこれらの使用

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Publication number
JP2003531581A
JP2003531581A JP2001564200A JP2001564200A JP2003531581A JP 2003531581 A JP2003531581 A JP 2003531581A JP 2001564200 A JP2001564200 A JP 2001564200A JP 2001564200 A JP2001564200 A JP 2001564200A JP 2003531581 A JP2003531581 A JP 2003531581A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mda
cells
cell
gene
cancer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001564200A
Other languages
English (en)
Inventor
フィッシャー,ポール,ビー
カング,ドング−チュル
ゴパルクリシュナン,ラウル,ヴィー.
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Columbia University of New York
Original Assignee
Columbia University of New York
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Columbia University of New York filed Critical Columbia University of New York
Publication of JP2003531581A publication Critical patent/JP2003531581A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • C07K14/4701Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals not used
    • C07K14/4748Tumour specific antigens; Tumour rejection antigen precursors [TRAP], e.g. MAGE
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
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    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
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    • G01N2500/10Screening for compounds of potential therapeutic value involving cells

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  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
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  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、Mda-5(黒色腫分化関連遺伝子-5)をコードする単離された核酸および単離されたMda-5ポリペプチドを提供する。本発明はさらに、Mda-5をコードする核酸を含むベクターならびに該ベクターを含む宿主細胞を提供する。本発明は、Mda-5ポリペプチドに特異的に結合する抗体を提供する。本発明はさらに、化合物がMda-5遺伝子発現のインデューサーであるか否かを判定する方法および化合物がMda-5ポリペプチドの酵素活性を改変するか否かのアッセイにも関する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 本出願は、2000年2月29日出願の米国出願第09/515,363号の継続出願で
あり、該出願の内容を参照により本明細書に組込むこととする。 【0002】 本明細書に開示する発明は、米国保健社会福祉省(U.S. Department of Health
and Human Services)からの国立衛生研究所チェルノウ基金(National Institut
es of Health Cheronow Endowment)の下に政府の助成により達成された。したが
って、本発明に関する権利は、米国政府が有する。 【0003】発明の背景 本明細書中に、種々の刊行物を著者と日付で示している。これらの刊行物につ
いての完全な記載は、図面の間単な説明の前の欄に示すアルファベット順のリス
トを参照されたい。本明細書に引用する全ての特許、特許出願および刊行物は、
記載順に関わらず、全文を本明細書中に参照として組込む。これらの刊行物の全
文における開示は、本明細書の記載された発明および特許請求の範囲に係る発明
がなされた日の当技術分野の現況をより十分に記載するために本明細書に組込む
ものである。 【0004】 ヒトの癌では、分化異常が通常起こっている((1)FisherおよびGrant,1985;(2
)Waxman,1995)。さらに、癌細胞は、最終的に新規表現型を発達させるか、また
は、既存の形質転換に関連する特性のさらなる精巧さを獲得することを誘発し、
分化関連形質の発現程度はさらに減退させられることが多い。これらの知見から
、腫瘍細胞を、分化および癌特性の消失を誘導する薬剤で治療する新規癌治療手
段、すなわち「分化治療」と呼ばれる方法が開発された(2-4)Waxmanら、1988、1
991;Jiangら、1994;Waxman、1995)。原則的に、分化治療は、現在の化学療法
手段(放射性治療、および毒性の化合物を用いた治療を含む)を用いるよりも、毒
性が少ないとされ得る。臨床的に分化治療を適用する合理的な計画を開発するこ
とを可能とするためには、正常な細胞に対して毒性を及ぼすことなく、癌細胞に
おける分化をモジュレートし得る適切な薬剤を同定および特性解析するためのin
vitroおよびin vivoの適切なモデル系を必要とする。 【0005】発明の概要 本発明は配列番号1に示すMda-5ポリペプチドをコードする単離された核酸、
および配列番号2に示す配列を有するポリペプチドを提供する。 【0006】 本発明は、その下流に位置する異種コード配列の転写を指令し得る単離された
Mda-5プロモーターを提供する。該プロモーターは、(a)配列番号3に示すヌクレ
オチド配列を含むプロモーター;(b)配列番号3に示すヌクレオチド配列に機能
的に等価なヌクレオチド配列を含むプロモーター;および(c)ストリンジェント
な条件下でのサザンハイブリダイゼーション反応において(a)または(b)のプロモ
ーターに相補的な配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むプロモータ
ー、からなる群より選択される。本発明は、本明細書に記載の組換え発現構築物
を含む宿主細胞を提供する。本発明は、外来DNAを宿主細胞内で発現させる方法
であって、所望のポリペプチドまたはRNAをコードする外来DNAに機能し得る形で
連結されたMda-5プロモーターヌクレオチド配列を含む遺伝子転移ベクターを宿
主細胞に導入し、該外来DNAを発現させることを含む方法を提供する。本発明は
さらに、癌に罹っている患者の癌を治療する方法であって、(a)選択されたポリ
ペプチドをコードする核酸分子;および(b)エレメント(a)の核酸分子に機能し得
る形で連結したMda-5プロモーターヌクレオチド配列;を含む組換え発現構築物
を薬学的に許容され得る担体と共に含む医薬組成物を有効量で患者に投与するこ
とを含み、該Mda-5プロモーターはコード配列に対して異種であり、該コード配
列が宿主細胞内で転写および翻訳されて、選択されたポリペプチドが産生される
ことを特徴とする上記方法を提供する。 【0007】発明の詳細な説明 本明細書で用いる略称については:Mda-5は、黒色腫分化関連遺伝子-5であり
、CMVは、サイトメガロウイルスである。 【0008】 本発明は、黒色腫分化関連遺伝子-5(Mda-5)をコードする配列番号1に示す配
列を含む単離された核酸を提供する。 【0009】 1実施形態では、本発明は、Mda-5に機能的に等価であるポリペプチドをコード
する配列番号1の配列の誘導体を含む単離された核酸を提供する。 【0010】 本発明はまた、Mda-5の生物学的活性を有するポリペプチドをコードする断片
である、上記単離された核酸の断片も提供する。 【0011】 本発明は、配列番号1に示すDNAまたはこれに相補的な鎖にハイブリダイズす
る核酸であって、該核酸またはその相補鎖がMda-5活性を有するポリペプチドを
コードすることを特徴とする核酸を提供する。 【0012】 本発明はさらに、本明細書に記載の核酸のうちのいずれかを含むベクターを提
供する。1実施形態では、ベクターは複製可能なベクター、遺伝子転移ベクター
、発現ベクター、または宿主細胞で対象の遺伝子の発現を駆動し得るベクターで
ある。 【0013】 本発明は、上記ベクターを含む宿主細胞を提供する。 【0014】 本発明は、インターフェロン-β、インターフェロン-αまたはインターフェロ
ン-γのアゴニストまたはアンタゴニストとしての化合物を同定する方法であっ
て、(a)レポーター遺伝子に機能し得る形で連結された、配列番号2に示す配列
を有する核酸またはその機能的等価物を含む細胞を、化合物に接触させ;(b)化
合物の存在下で細胞によって発現されるレポーター遺伝子のレベルを測定し;(c
)ステップ(b)において測定されたレポーター遺伝子の発現レベルを、化合物の非
存在下で測定されたレポーター遺伝子の発現レベルと比較して、化合物がインタ
ーフェロンのアゴニストまたはアンタゴニストであるか否かを決定すること;を
含み、ここで、ステップ(b)において測定されたレポーター遺伝子の発現レベル
が高い場合は、化合物がインターフェロンのアゴニストであり、ステップ(b)に
おいて測定されたレポーター遺伝子の発現レベルが低い場合は、化合物がインタ
ーフェロンのアンタゴニストであることを示すことを特徴とする方法を提供する
。 【0015】 1実施形態では、化合物は、分子量が約5キロダルトン以下の低分子有機化合
物である。 【0016】 他の実施形態では、細胞はHO-1ヒト黒色腫細胞である。また別の実施形態では
、アゴニストであることを示すレポーター遺伝子発現の測定レベルは、化合物の
非存在下で測定されたレポーター遺伝子発現レベルより10〜1000倍高い。 【0017】 本発明の別の実施形態では、レポーター遺伝子は、ルシフェラーゼである。 【0018】 本発明は、Mda-5をコードする配列番号2に示すアミノ酸配列を有する単離さ
れたポリペプチドを提供する。 【0019】 本発明は、配列番号2に示す配列を有するポリペプチドに特異的に結合する単
離された抗体もまた提供する。 【0020】 ある実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。 【0021】 本発明は、その下流に位置する異種コード配列の転写を指令し得る単離された
Mda-5プロモーターを提供する。該プロモーターは、(a)配列番号3に示すヌクレ
オチド配列を含むプロモーター;(b)配列番号3に示すヌクレオチド配列に機能
的に等価なヌクレオチド配列を含むプロモーター;および(c)ストリンジェント
な条件下でのサザンハイブリダイゼーション反応において(a)または(b)のプロモ
ーターに相補的な配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むプロモータ
ー、からなる群より選択される。 【0022】 ある実施形態では、プロモーターは配列番号3に示すヌクレオチド配列を含む
。 【0023】 本発明は、(a)請求項15記載のMda-5プロモーターヌクレオチド配列;および
(b) 該プロモーターに機能し得る形で連結しているコード配列を含み、該プロモ
ーターはコード配列に対して異種であり、そして、該コード配列は宿主細胞内で
転写および翻訳されることを特徴とする、選択されたコード配列の転写の指令に
効果的である組換え発現構築物を提供する。 【0024】 ある実施形態では、Mda-5プロモーターは、ヒトMda-5プロモーターを含む。 【0025】 他の実施形態では、ヒトMda-5プロモーターは配列番号3に示すヌクレオチド
配列を含む。 【0026】 他の実施形態では、コード配列は腫瘍抑制ポリペプチドをコードする。 【0027】 また別の実施形態では、腫瘍抑制ポリペプチドが、p21、網膜芽細胞腫タンパ
ク質またはp53である。 【0028】 本発明は、本明細書に記載の組換え発現構築物を含む宿主細胞を提供する。あ
る実施形態では、宿主細胞は、組換え発現構築物で恒常的に形質転換される。 【0029】 別の実施形態では、宿主細胞は腫瘍細胞である。 【0030】 別の実施形態では、宿主細胞は黒色腫細胞である。 【0031】 別の実施形態では、細胞は不死化細胞である。 【0032】 別の実施形態では、腫瘍細胞は、黒色腫細胞、神経芽腫細胞、星状細胞腫細胞
、多形性膠芽腫細胞、子宮頚癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞または前立腺癌細胞で
ある。 【0033】 本発明は、その下流に位置する異種コード配列の転写を指令し得る単離された
Mda-5プロモーターを提供する。該プロモーターは、(a)配列番号3に示すヌクレ
オチド配列を含むプロモーター;(b) エレメント(a)におけるプロモーターに機
能的に等価なヌクレオチド配列を含むプロモーター;および(c)ストリンジェン
トな条件下でのサザンハイブリダイゼーション反応においてエレメント(a)また
はエレメント(b)のプロモーターに相補的な配列にハイブリダイズするヌクレオ
チド配列を含むプロモーター、からなる群より選択される。 【0034】 本発明はまた、癌に罹っている患者の癌を治療する方法であって: (a) 対象のポリペプチドをコードする核酸分子;および (b) エレメント(a)の核酸分子に機能し得る形で連結している、上記核酸分子
に対して異種であるMda-5プロモーターのヌクレオチド配列; を含む組換え発現構築物を薬学的に許容され得る担体と共に含有する有効量の医
薬組成物を患者に投与することを含む、上記方法も提供する。 【0035】 ある実施形態では、癌が、黒色腫、神経芽細胞腫、星状細胞腫、多形性膠芽腫
、子宮頚癌細胞、乳癌、結腸癌、前立腺癌細胞、骨肉腫または軟骨肉腫である。 【0036】 ある実施形態では、癌が患者の中枢神経系の癌である。 【0037】 ある実施形態では、投与が、注射、経口投与、局所投与、アデノウイルス感染
、リポソーム介在性送達、患者の癌への局所適用、または微量注入により達成さ
せる。 【0038】 ある実施形態では、担体は、水性担体、リポソームまたは液体担体である。 【0039】 【0040】 本発明の実施には、他に記載がない限り、分子生物学、微生物学、ウイルス学
、組換えDNA技術および免疫学における当業者に公知の慣用技術を用いる。この
ような技術は十分に文献に記載されている。例えば、Sambrook, FritschおよびM
aniatis, Molecular Cloning: a Laboratory Manual第2版(1989);DNAクローニ
ング第I巻および第II巻(D.N.Glover編、1985)、オリゴヌクレオチド合成(M.J.G
ait編、1984)、核酸ハイブリダイゼーション(B.D.Hames&S.J.Higgins編、1984
)、動物細胞培養(R.K.Freshney編、1986)、不死化細胞と酵素(IRL press, 1986)
、Perbal, B., 分子クローニング実施指針(1984)、Method In Enzymology(S.C
olowickおよびN.kaplan編、Academic Press, Inc.)、および実験免疫学ハンドブ
ックI巻〜IV巻(D. M. WeirおよびC. C. Blackwell編、1986、Blackwell Scienti
fic Publications)を参照のこと。 【0041】 本明細書および請求項に用いる場合、単数形での記載は、明確な指示がある場
合を除いて、複数形も包含する。 【0042】 本発明は、その下流に位置する異種コード配列の転写を指令し得る単離された
Mda-5プロモーターを提供する。該プロモーターは、(a)配列番号3に示すヌクレ
オチド配列を含むプロモーター;(b)配列番号3に示すヌクレオチド配列に機能
的に等価なヌクレオチド配列を含むプロモーター;および(c)ストリンジェント
な条件下でのサザンハイブリダイゼーション反応において(a)または(b)のプロモ
ーターに相補的な配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むプロモータ
ー、からなる群より選択される。 【0043】 本発明のある実施形態では、プロモーターは、配列番号3に示すヌクレオチド
配列を含む。 【0044】 本発明はまた、選択されたコード配列の転写を効果的に指令する組換え発現構
築物であって: (a) 本明細書に記載のMda-5プロモーターヌクレオチド配列;および (b) 該プロモーターに機能し得る形で連結したコード配列; を含み、該Mda-5プロモーターはコード配列に対して異種であり、宿主細胞内で
の該コード配列の転写および翻訳を可能とする、上記組換え発現構築物も提供す
る。本発明の他の実施形態では、Mda-5プロモーターはヒトMda-5プロモーターを
含む。 【0045】 本発明の別の実施形態では、ヒトMda-5プロモーターは、配列番号3に示すヌ
クレオチド配列を含む。 【0046】 本発明の別の実施形態では、コード配列は、腫瘍抑制ポリペプチドをコードする
。 【0047】 本発明の別の実施形態では、腫瘍抑制ポリペプチドは、p21、網膜芽細胞腫また
はp53である。 【0048】 本発明は、上記の組換え発現構築物を含有する宿主細胞を提供する。 【0049】 本発明の別の実施形態では、宿主細胞は、本明細書に記載の組換え発現構築物で
恒常的に形質転換されている。 【0050】 本発明の別の実施形態では、宿主細胞は、腫瘍細胞である。 【0051】 本発明の別の実施形態では、宿主細胞は、メラニン細胞である。 【0052】 本発明の別の実施形態では、細胞は、不死化細胞である。 【0053】 本発明の別の実施形態では、腫瘍細胞は、黒色腫細胞、神経芽腫細胞、星状細胞
腫細胞、多形性膠芽腫細胞、子宮頚癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞または前立腺癌
細胞である。 【0054】 本発明はまた、宿主細胞内で異種DNAを発現させるための方法であって、所望
のポリペプチドまたはRNAをコードする異種DNAに機能し得る形で連結されたMda-
5プロモーターヌクレオチド配列を含む遺伝子転移ベクターを宿主細胞に導入し
て、該異種DNAを発現させることを含む、上記方法に関する。 【0055】 本発明の他の実施形態では、遺伝子転移ベクターは、レポーター分子をコード
し、これを発現させる。 【0056】 本発明の他の実施形態では、レポーター分子は、β-ガラクトシダーゼ、ルシフ
ェラーゼおよびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼからなる群よ
り選択される。 【0057】 本発明の他の実施形態では、「導入」は、アデノウイルス感染、リポソーム介在
性送達、細胞への局所適用および微量注入からなる群より選択される手段によっ
て達成される。 【0058】 本発明は、その下流に位置する異種コード配列の転写を指令し得る単離された
Mda-5プロモーターを提供する。該プロモーターは、(a) 配列番号3に示すヌク
レオチド配列を含むプロモーター;(b) エレメント(a)におけるプロモーターと
機能的に等価なヌクレオチド配列を含むプロモーター;および(c)ストリンジェ
ントな条件下でのサザンハイブリダイゼーション反応において、上記エレメント
(a)または(b)のプロモーターに相補的な配列にハイブリダイズするヌクレオチド
配列を含むプロモーターからなる群より選択される。 【0059】 本発明はさらに、本発明はさらに、癌に罹っている患者の癌を治療する方法で
あって、(a) 選択されたポリペプチドをコードする核酸分子;および(b)エレメ
ント(a)の核酸分子に機能し得る形で連結したMda-5プロモーターヌクレオチド配
列;を含む組換え発現構築物を薬学的に許容され得る担体と共に含有する有効量
の医薬組成物を患者に投与することを含み、該コード配列が宿主細胞内で転写お
よび翻訳されて、選択されたポリペプチドが産生されることを特徴とする上記方
法に関する。 【0060】 本発明の他の実施形態では、癌が、黒色腫、神経芽細胞腫、星状細胞腫、多形
性膠芽腫、子宮頚癌細胞、乳癌、結腸癌、前立腺癌細胞、骨肉腫または軟骨肉腫
である。 【0061】 本発明の他の実施形態では、癌は患者の中枢神経系の癌である。 【0062】 本発明の他の実施形態では、投与は、注射、経口投与または局所投与により達成
される。 【0063】 本発明の他の実施形態では、担体が、水性担体、リポソームまたは液体担体であ
る。 【0064】 化合物が、細胞内でのMda-5遺伝子発現のインデューサーおよび該細胞の最終
分化のインデューサーであるか否かを判定するための方法であって:(a) Mda-5
プロモーターに機能し得る形で連結されている、配列番号1に示す配列を有する
Mda-5をコードする核酸またはその機能的等価物を含む細胞に化合物を接触させ
て;(b) 以下の(i) 産生されるMda-5 mRNAレベル、または(ii) 化合物の存在下
で細胞によって発現されるMda-5ポリペプチドのレベルのいずれかを測定し;(c)
ステップ(b)で測定されたMda-5 mRNAまたはポリペプチドの発現レベルを、化合
物の非存在下で測定された該レベルと比較して、化合物がMda-5遺伝子発現のイ
ンデューサーおよび該細胞の最終分化のインデューサーであるか否かを判定する
こと、を含む上記方法にも関する。 【0065】 癌に罹っている患者の癌を治療する方法であって、本明細書に記載のMda-5遺
伝子発現のインデューサーを同定する方法により同定された化合物の有効量を、
薬学的に許容され得る担体と共に患者に投与し、患者体内の癌細胞の最終分化を
誘導することにより、癌を治療することを含む、上記方法に関する。 【0066】定義 本明細書で使用する「治療遺伝子」とは、癌細胞に対して治療的効果を発揮でき
る、または細胞中での機能の発現に対して調節効果を有する機能タンパク質に対
応するアミノ酸配列をコードするDNAを意味する。 【0067】 本明細書で使用する「核酸分子」とは、DNAおよびRNAの両方を含み、特に明記し
ない限り、二本鎖および一本鎖核酸の両方を含む。また、DNA-RNAハイブリッド
などのハイブリッドも含まれる。核酸配列に言及する場合にはまた、タンパク質
などのリガンドが核酸と結合すること、またはワトソン-クリック型塩基対合の
どちらも修飾により有意に妨害されない限り、修飾塩基も含まれ得る。 【0068】 本明細書で使用する「Mda-5プロモーター」とは、図10に示すMda-5遺伝子の5'側
隣接領域由来の約1000塩基対(bp)を有するプロモーターを意味する。以下の配列
番号3を参照のこと。 【0069】 Mda-5 cDNA(配列番号1)およびMda-5ポリペプチド(配列番号2) Mda-5 cDNA(配列番号1) MDA-5タンパク質配列(配列番号2) Mda-5 プロモーター配列(配列番号3) (Mda-5プロモーター配列については図10も参照のこと) 本明細書で使用する「エンハンサーエレメント」とは、治療遺伝子または目的の
遺伝子の転写率を高めるが、プロモーター活性はないヌクレオチド配列である。
エンハンサーは、活性を有意に失うことなく、上流、下流、およびプロモーター
の反対側に移動できる。 【0070】 2つのDNAまたはポリペプチド配列は、少なくとも80%(好ましくは少なくとも
約90%、最も好ましくは少なくとも約95%)のヌクレオチドまたはアミノ酸が分
子の所定の長さにわたり一致する場合に「実質的に相同」である。本明細書で使用
する「実質的に相同」とはまた、特定のDNAまたはポリペプチド配列に対して同一
性を示す配列を指す。実質的に相同なDNA配列は、サザンハイブリダイゼーショ
ン、すなわちその特定の系に対して定められる例えばストリンジェントな条件下
での実験で同定できる。適切なハイブリダイゼーション条件を定めることは、当
業者の範囲内にある。例えば、Sambrookら、前掲;DNA Cloning, vols I and II
、前掲;Nucleic Acid Hybridization、前掲を参照のこと。 【0071】 Mda-5プロモーター配列に「機能的に等価」な配列とは、Mda-5プロモータ配列と
同様に機能するものを言う。従って、本明細書に記載するMda-5プロモーターに「
機能的に等価」なプロモーター配列とは、Mda-5プロモーターと発現の時間枠が実
質的に同様、かつ実質的に同様の量および実質的に同様の組織特異性で、下流コ
ード配列の転写を命じることができるものを言う。 【0072】 一般的な意味において、「類似体」とは、所与の物質の機能的等価物であり、治
療的代替物など該物質の代替物となり得ると理解される。類似体はまた、構造等
価物であってもよい。本明細書で使用する「Mda-5類似体」は、Mda-5により誘導お
よび/または仲介される生物学的効果を模倣する物質である。このような模倣的
性質を有するあらゆる物質が、それらの化学的または生化学的特性とは関係なく
、本明細書においてMda-5類似体として使用され得る。本明細書で使用する場合
、Mda-5類似体は「模倣体(a "mimic" or a "mimetic")」とも呼ばれ得る。 【0073】 DNA「コード配列」または特定のタンパク質を「コードするヌクレオチド配列」は
、適切な調節配列の制御下に置かれた場合にin vivoまたはin vitroでポリペプ
チドに転写および翻訳されるDNA配列である。 【0074】 コード配列の境界は、5'側-(アミノ)末端にある開始コドン、および3'側-(カ
ルボキシ)末端にある翻訳停止コドンにより決定される。コード配列は、原核生
物配列、真核生物mRNA由来のcDNA、真核生物(例えば、哺乳動物)由来源から得た
ゲノムDNA配列、ウイルスRNAまたはDNA、および合成ヌクレオチド配列までも含
み得るがこれらに限定されない。転写終結配列は、通常、コード配列の3'側に位
置する。 【0075】 DNA「制御配列」とは、集合的に、プロモーター配列、ポリアデニル化シグナル
、転写終結配列、上流調節ドメイン、エンハンサーなど、非翻訳領域(5'-UTRお
よび3'-UTRを含む)を指し、これらは宿主細胞において集合的にコード配列の転
写および翻訳をもたらす。 【0076】「作用可能に連結」とは、そう記載する成分が通常の機能を行うように構成され
る、ヌクレオチド配列エレメントの配置を指す。従って、コード配列に作用可能
に連結した制御配列は、該コード配列の発現を生じることができる。制御配列は
、コード配列の発現を命じるように機能する限り、コード配列と連続している必
要はない。従って、例えば、翻訳されないが転写される介在配列が、プロモータ
ー配列とコード配列との間に存在していてもなおプロモーター配列はコード配列
に「作用可能に連結」していると考慮される。 【0077】 RNAポリメラーゼがプロモーター配列に結合し、コード配列をmRNAに転写させ
た後にコード配列にコードされるポリペプチドに翻訳させる場合に、制御配列は
細胞におけるコード配列の「転写を命じる」。 【0078】 外因性DNAが細胞膜内に導入された場合に、細胞は該外因性DNAにより「形質転
換された」という。外因性DNAは、細胞のゲノムを構成する染色体DNAに組込まれ
ても(共有結合されても)されなくてもよい。原核生物および酵母においては、例
えば、外因性DNAは、プラスミドなどのエピソームエレメント上に維持され得る
。真核生物細胞においては、安定して形質転換された細胞は、概して、染色体に
外因性DNAが組み込まれて染色体複製を経て娘細胞に遺伝されたもの、または安
定して維持された染色体外プラスミドを含むものである。この安定性は、真核生
物細胞が、外因性DNAを含む娘細胞の集合を含む細胞系またはクローンを確立す
る能力により実証される。 【0079】 DNA構築物の「異種」領域は、別のDNA分子の中にあるかまたはそれに付着したDN
Aの同定可能なセグメントであり、該別のDNA分子は自然界においては該他方の分
子と共には認められない。例えば、Mda-5以外のタンパク質をコードする配列は
、Mda-5プロモーターと連結した場合に異種配列と考えられる。同様に、Mda遺伝
子(すなわち、Mda-6、Mda-7)をコードする配列は、通常は共に認められないMda
遺伝子プロモーターと連結した場合に異種であると考えられる。異種コード配列
の別の例として、コード配列自体が自然界では認められない構築物がある(例え
ば、天然型遺伝子とは異なるコドンを有する合成配列)。同様に、異種構造遺伝
子、およびMdaプロモーターに連結したMdaまたはMdaの一部をコードする遺伝子
を含むキメラ配列は、同じMda遺伝子または異なるMda遺伝子から誘導されること
とは関係なく、異種であると考えられる。なぜなら、このようなキメラ構築物は
自然界において通常認められないからである。対立遺伝子変異または天然型突然
変異事象は、本明細書でいうDNAの異種領域をもたらさない。 【0080】ベクター 特に好ましいのは、ウイルスに基づくベクターである。真核生物細胞の場合、
レトロウイルスまたはアデノウイルスに基づくベクターが好ましい。このような
ベクターは、長末端反復配列(「LTR」)、プロモーター(例えば、CMVプロモーター
、SV40プロモーター、RSVプロモーター)、エンハンサーなどのウイルスゲノムの
全体または一部を含む。宿主細胞が真核生物である場合、細菌ウイルス、または
ファージが好ましい。このようなベクターの例としては、例えばλファージに基
づくベクターが挙げられる。いずれの場合も、ベクターは1を上回るウイルスの
エレメントを含み得る。 【0081】 得られるベクターを、真核生物でも原核生物でもあり得る宿主細胞中でトラン
スフェクトまたは形質転換させる。 【0082】 本発明の遺伝子導入ベクターは、マーカーまたはリポーター分子をコードする
遺伝子をさらに含んで、ベクターの発現がより簡単に追跡できるようにしてもよ
い。 【0083】 本発明に採用できるこのようなリポーター分子の例は当該分野で周知であり、
βガラクトシダーゼ(Fowlerら, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 74:1507 (1977)
)、ルシフェラーゼ(Tuら, Biochem., 14:1970 (1975)、およびクロラムフェニコ
ールアセチルトランスフェラーゼ(Gormanら, Mol. Cell Biol., 2:1044-1051 (1
982))が挙げられる。 【0084】 遺伝子導入ベクターは、同じまたは異なる外来ポリペプチドまたはRNAをコー
ドする1を上回る遺伝子を含んでいてもよい。 【0085】 遺伝子導入ベクターは、宿主細胞中で複製可能な任意の構築物であってよく、
プラスミド、DNAウイルス、レトロウイルス、および単離ヌクレオチド分子が挙
げられる。遺伝子導入ベクターのリポソーム仲介型導入も本発明において行うこ
とができる。 【0086】 本発明において採用できるプラスミドの例としては、pGL3に基づくプラスミド
(Promega)が挙げられる。本発明において採用できるDNAウイルスの例としては、
アデノウイルスがある。 【0087】 アデノウイルスは、特にヒト遺伝子療法のための発現ベクターとして高い注目
を集めてきた(Berkner, Curr. Top. Microbiol. Immunol., 158:39-66 (1992))
。 【0088】 本発明で採用できるアデノウイルス血清型の例は当該分野で周知であり、40を
上回る異なるヒトアデノウイルス、例えば、Ad12(A亜属(subgenus))、Ad3およ
びAd7(B亜属)、Ad2およびAd5(C亜属)、Ad8(D亜属)、Ad4(E亜属)、Ad40(F亜
属)が挙げられる(Adenovirus DNA, Doerfler編, Martinus Nijhoff Publishing,
Boston, pp. 408-441 (1986)に掲載のWigandら)。C亜属のAd5は、本発明で採
用するのに好ましいアデノウイルスである。これは、Ad5が、生化学的および遺
伝学的情報が相当に知られているヒトアデノウイルスであり、従来からアデノウ
イルスをベクターとして採用するほとんどの構築において使われてきたからであ
る。また、アデノウイルスベクターは、例えばpCA3(Microbix Biosystems Inc.)
などが市販されている。 【0089】 アデノウイルスベクターの生成方法は当該分野で周知である(Berknerら, Nucl
eic Acids Res., 11:6003-6020 (1983);van Dorenら, Mol. Cell. Biol., 4:16
53-1656 (1984);Ghosh-Choudhuryら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 147:9
64-973 (1987);McGroryら, Virol., 163:614-617 (1988);およびEurkaryotic
Viral Vectors, Gluzman, Y.編, 187-192頁, Cold Spring Harbor Laboratory (
1982)に掲載のGluzmanら)機能的等価物 Mda-5プロモーターまたはMda-5 cDNAに「機能的に等価」な核酸分子は、Mda-5 c
DNAまたはMDA-5プロモーターの機能的性質を保持する。核酸分子は、核酸の機能
を実質的に変化させないヌクレオチド配列における置換、欠失、挿入または変更
を有する、Mda-5 cDNAまたはプロモーターの誘導体であってもよい。例えば、こ
のような置換を有するMda-5プロモーターの機能的等価物であるプロモーター分
子は、それに作用可能に連結し、生物中で発現する目的の遺伝子の組織特異的発
現をなお可能にする。誘導型分子が、Mda-5プロモーター単独の場合と比べてそ
の高い能力、およびその組織特異性を維持したままである限り改変は許容できる
。Mda-5 cDNAの機能的等価物は、Mda-5特有の生物学的機能と実質的に同じ生物
学的機能を保持するタンパク質をコードする。 【0090】 一実施形態における本発明のプロモーターは、目的の遺伝子と作用可能に連結
している。このような目的の遺伝子は、治療遺伝子であることが好ましい。治療
遺伝子の例としては、例えば、癌治療を想定した自殺遺伝子が挙げられる。これ
らは、発現することにより、腫瘍細胞成長を阻害するかまたは腫瘍細胞死を誘導
するタンパク質または薬剤を生成する遺伝子配列である。自殺遺伝子としては、
酵素をコードする遺伝子、癌遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、毒素をコードする遺伝子
、サイトカインをコードする遺伝子、またはオンコスタチンをコードする遺伝子
が挙げられる。治療遺伝子の目的は、癌細胞の成長を阻害するか、癌細胞を殺す
か、または直接的もしくは間接的に癌細胞の成長を阻害するか、または癌細胞を
殺すサイトカインもしくは他の細胞毒性剤を生成することである。 【0091】 適切な酵素としては、チミジンキナーゼ(dTK)、大腸菌由来キサンチン-グア
ニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(GPT)遺伝子、または大腸菌シトシンデ
アミナーゼ(CD)、またはヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPR
T)が挙げられる。 【0092】 適切な癌遺伝子および腫瘍抑制遺伝子としては、neu、EGF、raf(H、KおよびN
rasを含む)、p53、網膜芽細胞腫腫瘍抑制遺伝子(Rb)、ウィルムス腫遺伝子生成
物、ホスホチロシンホスファターゼ(PTPアーゼ)、およびnm23が挙げられる。適
切な毒素としては、シュードモナス外毒素AおよびS;ジフテリア毒素(DT);大
腸菌LT毒素、志賀毒素、志賀毒素様毒素(SLT-1、-2)、リシン、アブリン、サポ
リン、ならびにゲロニン(gelonin)が挙げられる。 【0093】 一実施形態では、目的の遺伝子はサイトカインである。適切なサイトカインと
しては、インターフェロン、GM-CSFインターロイキン、腫瘍壊死因子(TNF)が挙
げられる(Wong Gら, Human GM-CSF:「相補的DNAの分子クローニング並びに天然
および組換えタンパクの精製」(Molecular cloning of the complementary DNA
and purification of the natural and recombinant proteins)。Science 1985;
228:810);WO9323034 (1993);Horisberger M. A.ら, 「インターフェロンβお
よびウイルス誘導ヒトMxタンパクについてのcDNAのクローニングおよび配列解析
より、それらが推定的にグアニンヌクレオチド結合部位を含むことが明らかであ
る」(Cloning and sequence analyses of cDNAs for interferon-beta and viru
s-induced human Mx proteins reveal that they contain putative guanine nu
cleotide-binding sites): 「対応する遺伝子プロモーターの機能の研究」(func
tional study of the corresponding gene promoter)。Journal of Virology, 1
990 Mar, 64(3): 1171-81;Li YPら,「前炎症性サイトカイン腫瘍壊死因子αお
よびIL-6(IL-1ではない)は、オステオカルシン遺伝子プロモーターをダウンレギ
ュレートする」(Proinflammatory cytokines tumor necrosis factor-alpha and
IL-6, but not IL-1, down-regulate the osteocalcin gene promoter)。Journ
al of Immunology, Feb. 1, 1992, 148(3):788-94;Pizarro T. T.ら「ラット心
臓移植における同種異系移植拒絶反応中のTNFαおよびTNFβ遺伝子発現の誘導」
(Induction of TNF alpha and TNF beta gene expression in rat cardiac tran
splants during allograft rejection)。Transplantation, 1993 Aug., 56(2):
399-404)。(Breviario F.ら,「内皮細胞におけるインターロイキン-1-誘導可能
遺伝子」(Interleukin-1-inducible genes in endothelial cells)。「C反応タ
ンパクおよび血清アミロイドP成分に関する新規な遺伝子のクローニング」(Clon
ing of a new gene related to C-reactive protein and serum amyloid P comp
onent)。Journal of Biological Chemistry, Nov. 5, 1992, 267(31):22190-7;
Espinoza-Delgado I.ら,「ヒト単球におけるIL-2レセプターサブユニット遺伝子
の調節」(Regulation of IL-2 receptor subunit genes in human monocytes)。
「IL-2およびIFN-γの分別効果」(Differential effects of IL-2 and IFN-gamm
a)。Journal of Immunology, Nov. 1, 1992, 149(9):2961-8;Algate P. A.ら,
「胎仔肝臓由来FL5.12細胞系におけるIL-3によるインターロイキン-3(IL-3)レセ
プターの調節」(Regulation of the interleukin-3(IL-3) receptor by IL-3 in
the fetal liver-derived FL5.12 cell line)。Blood, 1994 May 1, 83(9): 24
59-68; Cluitmans F. H.ら,「末梢血単球において、IL-4はIL-2-、IL-3-および
GM-CSF-誘導サイトカイン遺伝子発現をダウンレギュレートする」(IL-4 down-re
gulates IL-2-, IL-3-, and GM-CSF-induced cytokine gene expression in per
ipheral blood monocytes)。Annals of Hematology, 1994 Jun., 68(6): 293-8
;Lagoo, A.S.ら,「超抗原活性化T細胞における分泌に対するIL-2、IL-4およびI
FN-γ遺伝子発現」(IL-2, IL-4, and IFN-gamma gene expression versus secre
tion in superantigen-activated T cells)。「接着分子を通る補助シグナルの
ための明瞭な必要条件」(Distinct requirement for costimulatory signals th
rough adhesion molecules)。Journal of Immunology, Feb. 15, 1994, 152 (4)
: 1641-52;Martinez O. M.ら, 「肝臓同種異系移植受容体およびin vitroにお
けるアロ抗原に応答するIL-2およびIL-5遺伝子発現」(IL-2 and IL-5 gene expr
ession in response to alloantigen in liver allograft recipients and in v
itro)。Transplantation, 1993 May, 55(5):1159-66;Pang Gら,「リポポリ多糖
、IL-1αおよびTNF-αに刺激されるヒト十二指腸繊維芽細胞におけるGM-CSF、IL
-1α、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-10、ICAM-1およびVCAM-1遺伝子発現およびサイ
トカイン生成物」(GM-CSF, IL-1 alpha, IL-1 beta, IL-6, IL-8, IL-10, ICAM-
1 and VCAM-1 gene expression and cytokine production in human duodenal f
ibroblasts stimulated with lipopolysaccharide, IL-1 alpha and TNF-alpha)
。Clinical and Experimental Immunology, 1994 Jun., 96(3): 437-43;Ulich
T.R.ら,「in vivoでのエンドトキシン誘導サイトカイン遺伝子発現」(Endotoxin
-induced cytokine gene expression in vivo)。「III.IL-6 mRNAおよび血清タ
ンパク発現およびin vivoでのIL-6の血液学的効果」(III. IL-6 mRNA and serum
protein expression and the in vivo hematologic effects of IL-6)。Journa
l of Immunology, Apr. 1, 1991, 146(7):2316-23;Mauviel A.ら,「ヒト皮膚繊
維芽細胞におけるロイコレグリン、T細胞誘導サイトカイン、誘導されたIL-8遺
伝子発現および分泌」(Leukoregulin, a T cell-derived cytokine, induced IL
-8 gene expression and secretion in human skin fibroblasts)。「ヒト皮膚
繊維芽細胞における実証および分泌」(Demonstration and secretion in human
skin fibroglasts)。「強化されたNF-カッパB結合およびNF-カッパB駆動プロモ
ーター活性の実証」(Demonstration of enhanced NF-kappa B binding and NF-k
appa B-driven promoter activity)。Journal of Immunology Nov. 1, 1992, 14
9(9): 2969-76)。 【0094】 目的の遺伝子は、一実施形態において成長因子である。成長因子としては、形
質転換成長因子α(TGF-α)およびβ(TGF-β)、サイトカインコロニー刺激因子が
挙げられる(Shimane M.ら,「G-CSF誘導遺伝子cDNAの分子クローニングおよび特
徴付け」(Molecular cloning and characterization of G-CSF induced gene cD
NA), Biochemical and Biophysical Research Communications, Feb. 28, 1994,
199(1):26-32;Kay A. B.ら,「アトピー対象のアレルゲン誘導後期皮膚反応に
おけるサイトカイン遺伝子集団、インターロイキン3(IL-3)、IL-4、IL-5および
梓粒球/マクロファージコロニー刺激因子のメッセンジャーRNA発現」(Messenge
r RNA expression of the cytokine gene cluster, interleukin 3 (IL-3), IL-
4, IL-5, and granulocyte/macrophage colony-stimulating factor, in allerg
en-induced late-phase cutaneous reactions in atopic subjects)。Journal o
f Exprimental Medicine, Mar. 1, 1991, 173(3):775-8;de Wit Hら, 「単球細
胞におけるM-CSFおよびIL-6遺伝子発現の調節差異」(Differential regulation
of M-CSF and IL-6 gene expression in monocytic cells)。British Journal o
f Haematology, 1994 Feb. 86(2):259-64;Sprecher E.ら,「表皮ケラチン細胞
、ランゲルハンス細胞および腹腔浸出細胞における、単純ヘルペスウイルス感染
中の、IL-1β、TNF-αおよびIL-6遺伝子転写のPCR法による検出」(Detection of
IL-1 beta, TNF-alpha, and IL-6 gene transcription by the polymerase cha
in reaction in keratinocytes, Langerhans cells and peritoneal exudate ce
lls during infection with herpes simplex virus-1)。Archives of Virology,
1992, 126(1-4):253-69)。 【0095】 本発明の方法で使用するのに好適なベクターは、アデノウイルス、レトロウイ
ルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターなどのウイルス性のものであ
る。 【0096】 選択されたウイルスベクターは、以下の基準を満たしていなければならない:
1)ベクターは腫瘍細胞を感染可能であり、従って適切な宿主範囲を有するウイル
スベクターが選択されなければならない;2)導入された遺伝子は、長時間にわた
り細胞中で存続し発現できなければならない;および3)ベクターは、宿主に対し
て安全でなければならず、最小限の細胞形質転換を生じなければならない。レト
ロウイルスベクターおよびアデノウイルスは、哺乳動物細胞において効率的に外
来遺伝子を導入および発現するための効率的、有用、かつ現時点で最も特徴決定
された手段を提供する。これらのベクターは、非常に広範な宿主および細胞型範
囲を有し、遺伝子を安定かつ効率的に発現する。これらのベクターの安全性は、
数多くの研究グループにより証明されている。実際、多くは臨床治験中である。 【0097】 細胞へ遺伝子導入して障害を直すために使用し得る他のウイルスベクターとし
ては、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)などのレトロウイルス;JC、SV40
、ポリオーマ、アデノウイルスなどのパポバウイルス;エプスタイン-バーウイ
ルス(EBV);パピローマウイルス(例えば、ウシパピローマウイルスI型(BPV));
ワクシニアおよびポリオウイルス、ならびに他のヒトおよび動物ウイルスが挙げ
られる。 【0098】 アデノウイルスは、クローニングビヒクルとして注目に値するいくつかの性質
を有している(Bachettisら:「精製された単純ヘルペスウイルスDNAによるチミジ
ンキナーゼ欠損ヒト細胞の遺伝子転移」(Transfer of gene for thymidine kina
se-deficient human cells by purified herpes simplex viral DNA)。PNAS USA
, 1977 74:1590;Berkner, K. L.:「異種遺伝子発現のためのアデノウイルスベ
クターの開発」(Development of adenovirus vectors for expression of heter
ologous genes)。Biotechniques, 1988 6:616;Ghosh-Choudhury G.ら, 「感染
性細菌性プラスミドに基づいたヒトアデノウイルスクローニングベクター」(Hum
an adenovirus cloning vectors based on infectious bacterial plasmids)。G
ene 1986; 50:161;Hag-Ahmand Y.ら,「単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ
遺伝子の転移におけるヘルパー独立ヒトアデノウイルスベクターの開発およびそ
の使用」(Devlopment of a helper-independent human adenovirus vector and
its use in the trasfer of the herpes simplex virus thymidine kinase gene
)。 J Virol 1986; 57:257;Rosenfeld M.ら,「in vivo肺上皮における組換えα
、サブ1、抗トリプシン遺伝子のアデノウイルス仲介型転移」(Adenovirus-media
ted tranfer of a recombinant .alpha..sub.1 -antitrypsin gene to the lung
epithelium in vivo)。Science 1991; 252:431)。 【0099】 例えば、アデノウイルスは細胞核中で複製する中間の大きさのゲノムを有する
;多くの血清型が臨床的に無害である;アデノウイルスゲノムは、外来遺伝子の
挿入に関わらず安定していると思われる;外来遺伝子は、損失または再配置する
ことなく維持されると思われる;およびアデノウイルスは、4週間から数ヶ月に
わたる発現期間を有する高レベルの一時的発現ベクターとして使用できる。多く
の生化学的および遺伝学的研究は、生存可能で条件付のヘルパー独立型ベクター
を生成する天然型アデノウイルス配列を7〜7.5 kbにおよぶ異種配列に置き換え
ることが可能であることを示唆している(Kaufman R. J.;「cDNA発現ベクターに
おけるアデノウイルス翻訳制御に必要な成分の同定およびその利用」(identific
ation of the component necessary for adenovirus translational control an
d their utilization in cDNA expression vectors)。PNAS USA, 1985 82:689)
。 【0100】 AAVは、約5kbの一本鎖DNAゲノムを有する小さいヒトパルボウイルスである。
このウイルスは、いくつかのヒト細胞型において組込みプロウイルスとして増殖
できる。AAVベクターは、ヒト遺伝子療法のためにいくつかの利点を有する。例
えば、これらは、ヒト細胞に対しては栄養性を有するが、他の哺乳動物細胞を感
染させることもできる;(2)ヒトまたは他の動物においてAAVはどの疾患にも関連
付けられていない;(3)組込みAAVゲノムはそれらの宿主細胞内において安定であ
るように思われる;(4)AAVの組込みによって、宿主遺伝子またはプロモーターの
発現が変化したり、それらの再配置が促されるという証拠はない;(5)導入され
た遺伝子は、アデノウイルスなどのヘルパーウイルスでの感染により、宿主細胞
から出すこと(rescue)ができる。 【0101】 HSV-1ベクター系は、本質的にどの遺伝子の非有糸分裂細胞への導入も促進す
る(Gellerら「不完全単純ヘルペスウイルスベクターのための有効な欠失突然変
異パッケージング系」(an efficient deletion mutant packaging system for a
defective herpes simplex virus vectors):「ヒト遺伝子治療への適用可能性
およびニューロン生理学」(Potential applications to human gene therapy an
d neuronal physiology)。PNAS USA, 1990 87:8950)。 【0102】 哺乳動物遺伝子導入のための別のベクターとして、ウシパピローマウイルスに
基づくベクターがある(Sarver Nら, Bovine papilloma virsu DNA:「新規な成熟
核クローニングベクター」(A novel eukaryotic cloning vector)。Mol Cell Bi
ol 1981; 1:486)。 【0103】 ワクシニアおよび他のポックスウイルスに基づくベクターは、哺乳動物遺伝子
導入系を提供する。ワクシニアウイルスは、120キロダルトン(kd)ゲノムの大き
さの大きい二本鎖DNAウイルスである(Panicali Dら,「クローニングベクターと
してのポックスウイルスの構造」(Construction of poxvirus as cloning vecto
rs): 「単純ヘルペスウイルス由来チミジンキナーゼの、感染性ワクチンウイル
スのDNAへの挿入」(Insertion of the thymidine kinase gene from herpes sim
plex virus into the DNA of infectious vaccine virus)。Proc Natl Acad Sci
USA 1982; 79:4927;Smithら「肝炎Bウイルス表面抗原を発現する感染性ワクチ
ニアウイルス組換え体」(infectious vaccinia virus recombinants that expre
ss hepatitis B virus surface antigens)。 Nature, 1983 302:490)。 【0104】 レトロウイルスは、ウイルス遺伝子を宿主細胞に挿入するために設計されるパ
ッケージである(Guild Bら,「培養されたマウス胎児細胞およびin vivoの造血細
胞において発現する遺伝子に使用できるレトロウイルスベクターの開発」(Devel
opment of retrovirus vectors useful for expressing genes in cultured mur
ine embryonic cells and hematopoietic cells in vivo)。J Virol 1988; 62:7
95;Hock R. A.ら,「ヒト造血前駆細胞におけるレトロウイルス仲介型転移およ
び薬剤耐性遺伝子の発現」(Retrovirus mediated transfer and expression of
drug resistance genes in human hemopoietic progenitor cells)。 Nature 19
86; 320:275)。 【0105】 基本的なレトロウイルスは、プロウイルスタンパク質にパッケージングされた
RNAの2本の同一鎖からなる。先の宿主の膜から誘導されるが、ウイルスにより
寄与される糖タンパク質で改変されるエンベロープと呼ばれる保護コートにより
コアは囲まれる。 【0106】 マーカーおよび増幅因子(amplifier)も、本発明の遺伝子導入ベクター中で採
用できる。形質転換細胞系を選択する際に有用な様々なマーカーが公知であり、
細胞を適切な選択培地中で培養した場合に発現により形質転換細胞上に選択可能
表現型をもたらす遺伝子を一般的に含む。哺乳動物細胞系のためのこのようなマ
ーカーとしては、例えば、ミコフェノール酸およびキサンチンを含む培地中で選
択され得る細菌キサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(
Mulliganら (1981) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2072-2076)、ならびに哺乳
動物細胞に対して通常毒性であるG418などのネオマイシン誘導体を含む培地を使
用して選択できるアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ遺伝子(ネオマイ
シン/カナマイシン誘導体の抗菌活性を不活化させるタンパク質を特定する)(Col
bere-Garapinら (1981) J. Mol. Biol. 150:1-14)が挙げられる。他の真核生物
発現系のために有用なマーカーは、当業者に周知である。 【0107】 細胞の感染は、in vitroまたはin vivoで行うことができる。細胞のin vitro
感染は、遺伝子導入ベクターを細胞培養培地に添加することで行われる。感染を
in vivoで行う場合、遺伝子導入ベクターを含む溶液を、感染させる組織に応じ
て様々な様式で投与できる。このような投与様式の例としては、遺伝子導入ベク
ターの皮膚への注射、皮膚への局所塗布、上皮表面への直接塗布、または器官へ
の注入(例えば、皮下または腫瘍への時間放出パッチまたはカプセル)、経口投与
、脳脊髄液への注射、鼻腔内塗布、点眼注入器による点眼などが挙げられる。 【0108】 発現は、コード配列に隣接するマウスジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)遺伝子
など増幅可能遺伝子を入れることにより増幅できる。次いで、dhfr欠損細胞にお
けるメトトレキセート耐性について細胞を選択できる。例えば、Urlaubら (1980
) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220;Rungoldら (1981) J. Mol. and
Appl. Genet. 1:165-175を参照。 【0109】 上記系は、例えばワクチン抗原として使用するのに適したウイルス糖タンパク
質、免疫応答を調節するための免疫モジュレーター、ホルモン、サイトカイン、
および成長因子を含む幅広い種類の原核生物、真核生物およびウイルスタンパク
質、(目的の遺伝子)、ならびに他の生物医薬の生成において有用なタンパク質の
発現を命じるために使用できる。 【0110】 目的のタンパク質の変異体または類似体を生成することも望ましいかもしれな
い。上記した「機能的に等価」な核酸の記載を参照のこと。一実施形態における目
的のタンパク質のこのような変異体または類似体は、目的の遺伝子またはMda-5
cDNAの機能的に等価な核酸から発現される。変異体または類似体は、タンパク質
をコードする配列の一部の欠失、配列の挿入、および/または配列内における1
以上のヌクレオチドの置換により調製され得る。部位特異的突然変異誘発などの
ヌクレオチド配列の改変技術は、当業者に周知である。例えば、Sambrookら, 前
掲;DNA Cloning, Vols. I and II, 前掲;Nucleic Acid Hybridization, 前掲
を参照のこと。 【0111】 本発明の目的のために、コード配列をさらに操作して、宿主生物からポリペプ
チドを分泌させることが望ましいかもしれない。これにより、クローン安定性が
向上し、宿主細胞内にあるタンパク質で構成される毒素を防いで、発現がより効
率的に進行するようにできる。この目的のために、相同シグナル配列を、シグナ
ル配列に関連することが通常知られているタンパク質と共に使用できる。さらに
、タンパク質の分泌をもたらす異種リーダー配列を、構築物に添加できる。プロ
セシング部位が含まれて、リーダー断片が共に発現されるタンパク質から切断さ
れ得ることが好ましい(このような切断部位がどのように導入され得るかの議論
については、例えば米国特許第4,336,246号を参照のこと)。リーダー配列断片は
、典型的に、疎水性アミノ酸を含むシグナルペプチドをコードする。 【0112】 本発明の一実施形態では、異種遺伝子配列(すなわち、治療遺伝子)を、本発明
の核酸分子に挿入する。本発明の単離された核酸分子の他の実施形態は、組織特
異性に障害を生じることなく異種治療遺伝子の発現を増幅させる単一のエンハン
サーエレメントまたは複数のエンハンサーエレメントの追加を含む。 【0113】 使用する形質転換手順は、形質転換する宿主に拠る。哺乳動物細胞は、例えば
DEAE-デキストラン利用手順、リン酸カルシウム沈降(Graham, F.L.およびVan de
r Eb, A. J. (1973) Virology 52:456-467)、プロトプラスト融合、リポソーム
仲介型導入、ポリブレン仲介型トランスフェクション、ならびに核へのDNAの直
接マイクロインジェクションにより都合よく形質転換され得る。細菌細胞は、一
般的に、塩酸カルシウムを単独または他の二価陽イオンとの組合せのいずれか、
およびDMSOを使用して形質転換される(Sambrook, FritschおよびManiatis, Mole
cular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition (1989))。DNAはまた、
エレクトロポレーションにより細菌細胞に導入され得る。外因性DNAを酵母宿主
に導入する方法は、典型的に、スフェロプラストの形質転換、またはアルカリ陽
イオンで処理した無傷酵母細胞の形質転換のいずれかを含む。 【0114】 構築物はまた、遺伝子療法または核酸免疫処置に使用され、発現構築物を直接
被検体に投与してそのin vivo翻訳を行うことにより、所望の遺伝子生成物のin
vivo生成を命じることができる。例えば、EPA公報第336,523号(1989年10月11日
に発行されたDreanoら)を参照のこと。あるいはまた、被検体の細胞または組織
を発現構築物でex vivoトランスフェクトし、形質転換物質を宿主に再導入する
ことにより遺伝子導入を行うことができる。構築物は、宿主生物に直接、すなわ
ちインジェクションにより導入できる(国際特許公報第WO/90/11092号;およびWo
lffら, (1990) Science 247:1465-1468を参照のこと)。リポソーム仲介型遺伝子
導入はまた公知の方法を用いて達成できる。例えば、Hazinskiら, (1991) Am. J
. Respir. Cell Mol. Biol. 4:206-209;Brighamら (1989) Am. J. Med. Sci. 2
98:278-281;Canonicoら (1991) Clin. Res. 39:219A;およびNabelら (1990) S
cience 249:1285-1288を参照のこと。特定の細胞型上で発現される表面抗原に向
けられた抗体などの標的化剤をリポソーム表面に共有結合させ、核酸を特異的な
組織および細胞に送達して局所投与を行うこともできる。 【0115】ヒト遺伝子療法および診断におけるベクターの使用 標的細胞感染およびトランスフェクト細胞の投与の一般的なプロトコールに準
拠する組換えDNA諮問委員会(RAC)により使用が承認されているヒト遺伝子療法の
ためのプロトコールがいくつかある(例えば、Blaese, R.M.ら, 1990;Anderson,
W.F., 1992;Culver, K.W.ら, 1991を参照)。さらに、米国特許第5,399,346号(
Anderson, W.F.ら、1995年3月21日、米国特許シリアル番号第220,175号)は、レ
トロウイルス遺伝子導入の手順を記載する。これらの補佐的な参考文献の内容全
体を参照により本明細書に組み入れる。レトロウイルス仲介型遺伝子導入は、安
定した組込みを得るために細胞分裂中の標的細胞を必要とするため、多くの場合
血液または骨髄液を採取して細胞を被検体から回収する。元々回収された細胞の
特定の亜集合を、感染プロトコールに使用するために選択する必要があるかもし
れない。次に目的の遺伝子を含むレトロウイルスベクターを、培養培地に混ぜる
。ベクターは、被検体の細胞に表面に結合し、細胞に入り、目的の遺伝子をラン
ダムに染色体に挿入させる。この時点で目的の遺伝子は、安定して組み込まれ、
その場所に留まり、細胞の数が増えるにつれて全ての娘細胞に受け継がれる。細
胞は、再浸出(reinfusion)の前に合計9〜10日間の培養により拡張され得る(Culv
erら, 1991)。標的細胞が培養状態にある時間が長ければ長いほど、汚染の可能
性も高まる。従って、短いプロトコールの方がより有益である。本発明は、複製
可能遺伝子導入ベクターに入ったMda-5 cDNA、または目的の遺伝子に連結したMd
a-5プロモーターを含むレトロウイルスベクターの構築を遺伝子療法または診断
的使用のために提供する。これらのベクターの形質導入の効率は、細胞培養系に
おいてテストできる。 【0116】本発明の組成物の使用 本発明は、目的の遺伝子を癌細胞に標的化させて、該遺伝子がコードするタン
パク質が発現されて、直接または間接的に疾患症状を改善することを伴う。 【0117】 感受性の強い細胞を感染させた後、ベクター中の特定のプロモーターで駆動さ
れるトランスジーンは、該遺伝子によりコードされるタンパク質を発現する。高
度に特異的な遺伝子ベクターの使用により、癌細胞中の特定の遺伝子の選択的発
現が可能になる。 【0118】 一実施形態では、本発明は、改変ベクターを皮膚に投与して、皮膚癌または皮
膚に関連した障害を治療するプロセスに関する。特に、本発明は、機能的治療遺
伝子を担持するベクターを使用し、皮膚中の細胞に直接的または間接的に作用さ
せて、欠陥、疾患または外傷により細胞が受ける損傷を修復することが可能な分
子を生成することに関する。 【0119】 癌を治療、または皮膚中の細胞の欠陥、疾患もしくは損傷を治療するために、
本発明のベクターは、治療遺伝子またはトランスジーン(例えば、TKをコードす
る遺伝子)を含むことが好ましい。遺伝的に改変されたベクターを皮膚に投与し
て、in vivoで改善効果のある内因性分子の生成を増強する1または複数の治療
遺伝子生成物を皮膚に導入することにより、欠陥、疾患(皮膚癌など)を治療する
。 【0120】 本発明のこの方法における基本的な課題は、目的の遺伝子を単離すること、適
切なベクタービヒクルを選択して、目的の遺伝子を身体に送達すること、目的の
遺伝子を有するベクターを身体に投与すること、そして目的の遺伝子の適切な発
現を得ることである。本発明は、クローニングした遺伝子(すなわち、目的の遺
伝子)を、それを必要とする患者の血流または関連する器官に直接注射できるよ
うにパッケージングすることを提供する。パッケージングは、外来DNAが免疫系
により除去されることを防ぎ、適切な組織または細胞に向けさせる。 【0121】 本発明の一実施形態では、目的の遺伝子(所望のコード配列)は、腫瘍抑制遺伝
子である。腫瘍抑制遺伝子は、p21、RB(網膜芽細胞腫)またはp53である。当業者
は、その他の腫瘍抑制遺伝子を知っているであろう。腫瘍抑制遺伝子に関する現
行技術をより明確に説明するために、最近の米国特許第6,025,127号および同第5
,912,236号を参照により本明細書に組み入れる。 【0122】 目的のヒトまたは動物遺伝子と共に、改変レトロウイルスを取り込んだ細胞の
同定を容易にする別の遺伝子(例えば、選択可能マーカー)を、挿入できる。遺伝
子療法のプロセスにおける重大な焦点は、新規遺伝子が標的細胞において、適切
なレベルで、かつ充分な発現持続期間で発現されなければならないことである。 【0123】 ベクターを改変し、このような改変ベクターを皮膚に投与するための以下に記
載する方法は、あくまで説明の目的のためのものであり、使用できるものの代表
的なものである。しかし、当該分野において理解されるように、他の手順も採用
され得る。 【0124】 ベクターなどを構築するために使用される技術のほとんどは、当該分野におい
て幅広く実施されており、ほとんどの実施者は、特定の条件および手順を記載す
る標準的なリソース資料に精通している。しかし、便宜上、以下の段落はガイド
ラインとして役立ち得る。 【0125】 ベクター構築のための一般的方法 所望の治療遺伝子コード配列および制御配列を含む適切なベクターの構築は、
当該分野で周知の標準的なライゲーションおよび制限技術を採用する(Molecular
Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York (
1982)に掲載のManiatisらを参照)。単離されたプラスミド、DNA配列、または合
成されたオリゴヌクレオチドを、切断し、仕立て(tailor)、そして所望の形態に
再ライゲートする。 【0126】 当該分野で一般的に理解され、具体的には市販の制限酵素の製造元が特定して
いる条件下(例えば、New England Biolabs 製品カタログを参照)で、1または複
数の適切な制限酵素を用いて処理することにより、部位特異的DNA切断を行う。
一般的に、約1μgのプラスミドまたはDNA配列を、約20μlの緩衝液中の1ユニ
ットの酵素で切断する。典型的には、過剰量の制限酵素を使用して、DNA基質の
完全な消化を確実に行う。 【0127】 37℃での約1〜2時間のインキュベーション時間が実行可能であるが、変更も
許容され得る。各インキュベーションの後、フェノール/クロロホルムでの抽出
によりタンパク質を取り出し、その後エーテル抽出を行ってもよく、エタノール
沈降により水性画分から核酸を回収してもよい。所望であれば、標準的な技術を
用いてポリアクリルアミドゲルまたはアガロースゲル電気泳動により切断した断
片のサイズ分離を行ってもよい。サイズ分離の全般的な説明はMethods in Enzym
ology 65:499-560 (1980)に記載されている。 【0128】 制限切断した断片を、50 mM Tris(pH 7.6) 50 mM NaCl、6 mM MgCl2、6 nM D
TTおよび5〜10 μM dNTP中、20〜25℃にて約15〜25分間のインキュベーション時
間で、4つのデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)の存在下で、大腸菌DNAポリ
メラーゼI(クレノウ)ラージフラグメントにより平滑末端化してもよい。クレノ
ウ断片は、5'側付着末端は埋めるが、突出している3'側一本鎖は4つのdNTPが存
在していてもちぎりとる。所望であれば、付着末端の性質より決まる制限内で、
1つのdNTPのみを供給することにより、または選択されたdNTPにより選択的修復
を行うことができる。クレノウでの処理の後、混合物をフェノール/クロロホル
ムで抽出し、エタノールで沈降する。適切な条件下におけるS1ヌクレアーゼまた
はBal-31での処理は、任意の一本鎖部分の加水分解を生じる。 【0129】 以下の標準的条件および温度下でT4 DNAリガーゼを用いて、10〜50μlの容量
でライゲーションを行う。ライゲーションプロトコールは、標準的なものである
(D. Goeddel編 Gene Expression Technology: Methods in Enzymology (1991))
。「ベクター断片」を使用するベクター構築においては、5'側ホスフェートを除去
してベクターの再ライゲーションを防ぐために、ベクター断片を細菌アルカリホ
スファターゼ(BAP)または仔ウシ腸アルカリホスファターゼ(CIP)で処理すること
が多い。あるいはまた、所望でない断片のさらなる制限酵素消化により二重消化
されたベクターにおいて再ライゲーションを防ぐこともできる。 【0130】 適切なベクターとしては、ウイルスベクター系(例えば、ADV、RVおよびAAV)が
挙げられる(D. V. Goeddel編のGene Expression Technology (1991)に掲載のR.
J. Kaufman "Vectors used for expression in mammalian cells")。 【0131】 機能的DNAトランスジーンを細胞に挿入するための多くの方法が当該分野にお
いて知られている。例えば、非ベクター方法として、DNAの細胞への非ウイルス
性の物理的トランスフェクション;例えば、マイクロインジェクション(DePamph
ilisら, BioTechnique 6:662-680 (1988));リポソーム仲介型トランスフェクシ
ョン(Felgnerら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84:7413-7417 (1987)、Felgner
およびHolm, Focus 11:21-25 (1989)、ならびにFelgnerら, Proc. West. Pharma
col. Soc. 32:115-121 (1989)) 、ならびに当該分野で公知の他の方法が挙げら
れる。 【0132】 被検体への改変型ベクターの投与 DNAを標的細胞に入れる1つの方法としては、スフェロプラストもしくはリポ
ソームなどの膜に結合する包もしくは小胞の中に入れること、またはリン酸カル
シウム沈降(CaPO4)によるものがある(Graham F.およびVan der Eb, A., Virolog
y 52:456 1973;Schaefer-Ridder M.ら, Liposomes as gene carriers: Efficie
nt transduction of mouse L cells by thymidine kinase gene. Science 1982;
215:166;Stavridis J. C.ら, Construction of transferrin-coated liposome
s for in vivo transport of exogenous DNA to bone marrow erythroblasts in
rabbits. Exp Cell Res 1986; 164:568-572)。 【0133】 小胞は、その膜が標的細胞の外膜と融合するように構築できる。小胞内にある
本発明のベクターは、癌細胞に向かい得る。 【0134】 スフェロプラストを、ポリエチレングリコールなどの融合誘導因子を用いて哺
乳動物標的細胞を介して融合され得るまで、高イオン強度緩衝液中に維持する。 【0135】 リポソームは、人工的なリン脂質小胞である。小胞は、0.2〜4.0マイクロメー
トルの大きさにわたり、10%〜40%の高分子含有水性緩衝液を内包できる。リポ
ソームは、DNAをヌクレアーゼから保護し、標的細胞への導入を容易にする。ト
ランスフェクションはエレクトロポーレーションを介しても生じ得る。 【0136】 投与前に、改変型ベクターを、注射のために選択された濃度で完全PBS中に懸
濁させる。PBSに加えて、被検体と生理学的に適合する任意の等張液を使用して
改変型ベクターを懸濁し、宿主に注射してもよい。 【0137】 注射のためには、細胞懸濁液を注射器に引き入れ、麻酔をかけたレシピエント
に投与する。この手順により複数の注射を行ってもよい。従って、ウイルス懸濁
手順は、遺伝的改変されたベクターを皮膚中の任意の所定の部位に投与すること
を可能にし、比較的無外傷的であり、いくつかの異なる部位または同じ部位にお
いて同時に同じウイルス懸濁液を用いた複数の投与を可能にする。複数の注射は
、治療的遺伝子の混合物で構成されていてもよい。 【0138】 このように投与される改変型ベクターの存続 遺伝子の発現は、転写、翻訳または翻訳後レベルで制御される。転写開始は、
遺伝子発現において初期の重要な事象である。これは、プロモーターおよびエン
ハンサー配列に依存し、これらの配列と相互作用する特定の細胞性因子に影響を
受ける。多くの原核生物遺伝子の転写ユニットは、プロモーターおよび場合によ
ってはエンハンサーまたは調節エレメントからなる(Banerjiら, Cell 27:299 (1
981);Cordenら, Science 209:1406 (1980);ならびにBreathnachおよびChambon
, Ann. Rev. Biochem. 50:349 (1981))。 【0139】 レトロウイルスに関しては、レトロウイルスゲノムの複製に関与する制御エレ
メントが、長末端反復配列(LTR)に存在する(The molecular biology of tumor v
iruses: RNA tumor viruses, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Ha
rbor, N.Y. (1982)に掲載のWeissら編)。 【0140】 モロニーマウス白血病ウイルス(MLV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRは、
プロモーター配列およびエンハンサー配列を含む(Jollyら, Nucleic Acids Res.
11:1855 (1983);Enhancer and eukaryotic gene expression, GulzmanおよびS
henk編, pp. 101-102, Cold Spring Harbor Laboratories, Cold Spring Harbor
, N.Y.に掲載のCapecchiら)。 【0141】 多くの非ウイルスプロモーターのプロモーターおよびエンハンサー領域も説明
されている(Schmidtら, Nature 314:285 (1985);Rossiおよびde Crombrugghe,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:5590-5594 (1987))。 【0142】 本発明は、組織特異的プロモーターを用いて、治療遺伝子の発現を維持および
高める方法を提供する。 【0143】 治療遺伝子発現を駆動するためにウイルスおよび非ウイルスプロモーターを使
用することに加えて、エンハンサー配列を使用して、治療遺伝子発現のレベルを
高めてもよい。エンハンサーは、それらの天然型遺伝子のみならず、一部の外来
遺伝子の転写活性も高めることができる(Armelor, Proc. Natl. Acad. Sci. USA
70:2702 (1973))。 【0144】 例えば、本発明では、CMVエンハンサー配列をMda-5プロモーターと共に使用し
て、治療遺伝子発現を高める。治療遺伝子発現はまた、サイトカインを用いてプ
ロモーター活性をモジュレートすることにより、注射後の長期安定型発現のため
に高めることができる。 【0145】 本発明の方法は、治療遺伝子を担持する改変型ベクターを被検体に脳内注射す
る好適な実施形態により例示される。 【0146】 本発明の分子の最も効果的な投与および投薬計画の様式は、治療する黒色腫の
正確な位置、癌の重度および経過、被検体の健康状態および治療に対する反応、
ならびに治療を施す医師の判断に依存する。従って、分子の用量は、個々の被検
体に対して滴定するべきである。分子は、直接的または別の細胞を介して間接的
に送達され得る。自己由来細胞が好ましいが、外来細胞も本発明の範囲に含まれ
る。 【0147】 mg/m2表面積に基づく様々な大きさおよび種の動物、ならびにヒトについての
用量の相互関係は、Freireich, E.J.ら, Cancer Chemother., Rep. 50(4):219-2
44 (1966)に記載されている。投薬計画を調節して、腫瘍細胞成長を阻害および
殺す応答を最適化してもよい。例えば、用量を分けて毎日投与してもよいし、状
況に相応じて用量を減らしてもよい(例えば、いくつかの分配された用量を毎日
投与してもよいし、または特定の治療状況に相応じて減らしてもよい)。 【0148】 治療を達成するために必要な本発明の分子の用量を、スケジュールの最適化に
よりさらに減らすことができることは明白であろう。 【0149】 本発明の利点 本発明のMda-5プロモーターは、メラノサイト組織特異性を示す。本発明のMda
-5プロモーターは組織特異的であるため、標的化細胞(すなわち、皮膚)でのみ活
性化される。従って、Mda-5プロモーターにより駆動される目的の遺伝子は、こ
れらの細胞において差別的に発現されて、全身性毒性を最小限にする。 【0150】 本発明を、以下に続く実験の詳細の節において説明する。これらの節は、本発
明の理解を助けるために記載するが、請求の範囲に記載する本発明をいかように
も限定することを意図しておらず、またそのように解釈すべきではない。 【0151】 実験の詳細 実施例1:黒色腫分化関連遺伝子-5(Mda-5)。RNAヘリカーゼおよびCARDモチー フ含有タンパク質と構造的類似性を有する、新規インターフェロン誘導可能遺伝 要約 黒色腫分化関連遺伝子-5、すなわちmda-5は、組換え繊維芽細胞インターフェ
ロン(IFN-)および抗白血病化合物メゼレイン(mezerein)(MEZ)の組合せで処理さ
れるヒト黒色腫細胞において、最終分化の間に誘導される。mda-5 cDNAおよびそ
のプロモーター領域の完全オープンリーディングフレームは、すでに同定および
特徴決定されている。Mda-5は、カスパーゼ動員(caspase recruitment)ドメイン
(CARD)およびRNAヘリカーゼモチーフを含む116.7kDaタンパク質をコードする。H
O-1ヒト黒色腫およびヒト皮膚繊維芽細胞をIFN-α、IFN-β、IFN-γ、TNF-αお
よびポリICで処理することにより、mda-5発現が誘導される。IFN-βおよびポリI
Cは、mda-5発現の最も強力な単一インデューサーであり、他のインデューサーに
比べて5倍以上も高い誘導を生じる。IFN-βによるmda-5発現の誘導はまた、多
様な由来源の正常細胞系および腫瘍細胞系でもはっきりと見とめられている。従
って、mda-5は、新規のIFN-β応答遺伝子である。HO-1細胞における分化の特定
のマーカーを可逆的に誘導するMEZは、mda-5発現を誘導しないが、定常状態のmd
a-5 mRNAレベルおよびmda-5 RNA転写レベルを両方高める。脳および肺を除くほ
とんどの器官が低レベルのmda-5転写物を含むという発見は、mda-5の生物学的役
割が外因性薬剤による誘導に密接に関係しているかもしれないことを示唆する。
核ラン・オンアッセイ (nuclear run-on assay) は、mda-5の調節レベルが転写
的に生じることを示す。IFN-βまたはIFN-β+MEZでの治療後のmda-5の半減期は
5〜6時間であり、これらの薬剤によるmda-5の主要な調節は増強されたRNA転写
率により生じることを確認した。mda-5のプロモーター領域の単離および特徴決
定により、この遺伝子の調節の主要な様式がRNA転写の変化を伴うというさらな
る証拠(documentation)が得られる。一過性発現融合タンパク質のin vitro翻訳
およびウェスタンブロット分析により、MDA-5タンパク質を予想した大きさで検
出した。GFP-mda-5融合タンパク質を作成して、mda-5が、mRNA翻訳、mRNA隔絶(s
equestration)、および特定のメッセージの遅延に影響を与えるであろう細胞質
に局在化することを見出した。mda-5の異所性発現は、HO-1黒色腫細胞のコロニ
ー形成効率を約70%低下させ、これは、mda-5の成長阻害的な役割またはアポト
ーシス推進的(pro-apoptotic)な役割を示唆する。これに関連して、mda-5は、IF
N-βにより誘導される成長阻害において重要な役割を果たし、またアポトーシス
シグナリングにおいて機能し得る。 【0152】 序論 分化における異常は、ヒト癌ではよく発生することである((1)FisherおよびGr
ant, 1985; (2) Waxman, 1995)。さらに、癌細胞が進化して、最終的に新規表現
型が発現したり、または既存の形質転換関連特性のさらなる複雑化(elaboration
)をもたらしたりすることにより、分化関連形質の発現の程度がさらに低下する
ことが多い。これらの観察は、「分化療法」と呼ばれる戦略である、分化および癌
的特性の喪失を誘導する薬剤で腫瘍細胞を処置する癌治療の新規方法として利用
されてきた((2-4)Waxmanら, 1988, 1991;Jiangら, 1994;Waxman, 1995)。原則
として、分化療法は放射および毒性化学物質を用いる治療を含む現在採用されて
いる化学療法アプローチよりも毒性が低いことが判明され得よう。分化療法を臨
床的に適用するための合理的なスキームを開発可能にするためには、正常細胞に
不適当な毒性をもたらすことなく、癌細胞における分化をモジュレートできる1
または複数の適切な薬剤を同定および特徴決定するための適切なin vitroおよび
in vivoモデル系が必要である。 【0153】 組換えヒト繊維芽細胞インターフェロン(IFN-β)および抗白血病化合物メゼレ
イン(MEZ)の組合せでのヒト黒色腫細胞の治療は、成長の迅速かつ不可逆的な抑
制および最終細胞分化をもたらす((5)Fisherら, 1985)。このプロセスは、細胞
の表現型および遺伝子発現における多くの変化を伴う((3、6-7)Jiangら, 1993,
Jiangら, 1994)。ヒト黒色腫細胞における最終分化の分子的基盤を規定するため
に、差引きハイブリダイゼーションが採用される((8)JiangおよびFisher, 1993)
。簡潔に言うと、IFN-β+MEZで処理したHO-1ヒト黒色腫細胞および対照の未処
理HO-1細胞から得た一時的RNAサンプルからcDNAライブラリーを調製し、対照cDN
Aを分化インデューサーで処理したcDNAから差し引いた((8)JiangおよびFisher,
1993)。このアプローチにより、異なるインデューサーでの処理の作用としての
高い発現、ならびに不可逆的成長抑制および末期細胞分化の誘導を示す遺伝子を
富化させた。差し引きされた分化インデューサー処理HO-1 cDNAライブラリーの
スクリーニングにより、分化インデューサー処理HO-1細胞において高い発現を示
す公知cDNAと新規cDNAの両方を同定した((3、6、8-14)JiangおよびFisher, 1993
;Jiangら, 1994, 1995, 1996;Linら, 1994, 1996;Huangら, 1999a, 1999b)。
黒色腫分化関連(mda)遺伝子と呼ばれる4つのクラスの遺伝子が、このアプロー
チを用いてクローニングされている((8)JiangおよびFisher, 1993)。これらには
、IFN-βおよびIFN-β+MEZ(mdaI型遺伝子);MEZおよびIFN-β+MEZ(mdaII型遺
伝子);IFN-β、MEZおよびIFN-β+MEZ(mdaIII型遺伝子);ならびに優勢的にIFN
-β+MEZでの処理の作用として高い発現を示す遺伝子が挙げられる((3、8)Jiang
およびFisher, 1993;Jiangら, 1994)。このアプローチは、細胞周期制御(mda-6
/p21)、インターフェロンシグナリング(ISG-15、ISG-54)、癌成長制御(mda-7)、
免疫インターフェロン応答(mda-9)、転写制御(c-jun、jun-B)、免疫認識(HLAク
ラスI)、および細胞膜プロセス(α5インテグリン、βaインテグリン、フィブロ
ネクチン)を含む重要な細胞性プロセスに関与する公知遺伝子および新規遺伝子
の両方のクローニングをもたらした((3、8-15)JiangおよびFisher, 1993;Jiang
ら, 1994;Jiangら, 1995a, 1995b, 1996, 1996;Linら, 1994, 1996)。 【0154】 差引きハイブリダイゼーションは、mda-5と称される小さいESTを最初に同定し
た。mda-5の発現は、IFN-β+MEZで処理したHO-1細胞において高くなり、IFNβ
+IFN-γではそれを下回る程度で高くなった。これまでに完全mda-5 cDNAがクロ
ーニングされ、その特性が決定されている。この遺伝子は、新規初期IFN応答遺
伝子であり、IFN-βおよびdsRNAでの処理によりその活性は最大にまで高められ
る。さらに、IFN-β+MEZの組合せは、HO-1およびさらなる細胞系(正常および異
常の両方を含む)におけるmda-5発現を相乗的に誘導する。MDA-5のタンパク質構
造は、RNAヘリカーゼおよびCARDドメインを含む遺伝子との潜在的な関係を示す
。しかし、MDA-5タンパク質の構造に基づき、この遺伝子は、ヘリカーゼ遺伝子
ファミリーの新規メンバーであるかもしれない。mda-5の異所性発現は、HO-1ヒ
ト黒色腫細胞において、コロニー形成の減少に示されるように成長抑制を誘導す
る。上流ゲノム配列の同定、クローニングおよび分析から、mda-5遺伝子が、主
にIFN-βおよびdsRNAによる誘導に対して転写時に応答することが確認された。I
FNにより誘導される成長抑制における、およびウイルス感染に対する細胞性防御
メカニズムに関与する分子としてのmda-5についての潜在的な役割が示唆されて
いる。 【0155】 材料および方法 細胞培養および処理プロトコール:HO-1ヒト黒色腫細胞、初期継代ヒト皮膚繊
維芽細胞(ATCCから購入)および293T細胞を、10%仔ウシ血清を補ったダルベッコ
改変型イーグル培地にて、37℃にて5%CO2/95%空気加湿インキュベーター内で
培養した。処理前に、細胞を、新鮮な培地で精製(refed)し、図面の注意書きに
特定する濃度で記載の化合物に曝した。 【0156】 mda-5のクローニングおよび配列決定:完全長のmda-5 cDNAを、完全オープン
リーディングフレーム(C-ORF)技術を用いて、部分mda-5 EST配列に基づきクロー
ニングした((16)KangおよびFisher, 2000)。色素共役型ジデオキシ鎖停止法によ
り配列決定を行った。mda-5のORFを、EF-1αプロモーターによりmda-5発現が調
節されるpcDEF3のSmaI部位にクローニングした。クレノウ搭載AlwNI-NotI断片を
有するBamHI-StuI断片をpcDEF3にライゲートすることにより、欠失変異体DN7(AT
PアーゼにわたるD310-484)を構築した。1〜1830 bp mda-5 cDNA断片をアンチセ
ンス方向でpcDEF3にクローニングすることにより、アンチセンスmda-5発現ベク
ターを構築した。mda-5 cDNAをpEGFP-C2のSmaI部位にライゲートすることにより
、GFP-mda-5融合発現ベクターを構築した。発現ベクターの配列を、上述したよ
うに確かめた。 【0157】 ノーザンブロット分析および核ラン・オンアッセイ:グアニジウムイソチオシ
アナート/フェノール抽出後にイソプロパノール沈降を行うことにより全細胞RNA
サンプルを調製した。10の10μgの全RNAを、ホルムアルデヒドを含む1%アガロ
ースゲルで分割し、ナイロン膜に移した。mda-5 cDNA(2.5 kb)のEcoRI断片を、
マルチプライム標識化キット(Boehringer Mannheim)を用いて32Pで標識化し、移
した膜をプローブするのに用いた。核ラン・オンアッセイを先に記載されている
ように行った((17)Suら, 1993, 1999)。核ラン・オンアッセイのために使用する
プローブはRT-PCRにより調製し、mda-5 5'、9〜837 bp;mda-5 3'、2531〜3365
bp;およびGAPDH断片を含んでいた。 【0158】 In vitro翻訳:mda-5のin vitro翻訳を、NovagenのSTP3キットで、35S-メチオ
ニンを含むT7 RNAポリメラーゼを用いて、製造元のプロトコールに記載されるよ
うに行った。転写および翻訳のための鋳型は、pGEM-7Zf(+)-mda-5をBamH1消化し
た後、フェノール/クロロホルム抽出を行うことにより調製した。In vitroで翻
訳されたタンパク質は、9%SDS-PAGEで分割し、オートフルオログラフィーによ
り検出した。 【0159】 一過性トランスフェクションアッセイ:293T細胞を、トランスフェクションの
前日に平板培養し、約70%の集密度まで培養した。細胞内局在化のために、滅菌
カバースリップを培養皿に置き、細胞を1×105細胞/6cm組織培養プレートにて
播種した。Qiagen製のSuperFectを、製造元のプロトコールに記載されるように
用いて、一過性トランスフェクションアッセイを行った。10μgのスーパーコイ
ルプラスミドDNAを、10cm組織培養皿にトランスフェクトし、トランスフェクト
の2日後に細胞を回収した。 【0160】 ウェスタンブロット分析および蛍光共焦点顕微鏡検査:一過性トランスフェク
ト細胞から、プロテアーゼ阻害剤を補ったRIPA緩衝液中での溶解によりタンパク
質サンプルを調製した。20μgのタンパク質を、9%SDS-PAGEで分割し、ニトロ
セルロース膜に移した。MDA-5融合タンパク質を、α-HA抗体(Boehringer Mannhe
im)またはα-GFP抗体(ClonTech)のいずれか、およびHRPコンジュゲート抗マウス
IgG(Sigma)でプローブし、ECL(Amersham)で検出した。蛍光顕微鏡検査のために
、トランスフェクトされた細胞を含むカバーグラスをPBSで洗浄し、封入剤と共
にグラススライド上に載せた。蛍光共焦点顕微鏡検査により細胞を観察した。 【0161】 コロニー形成アッセイ:HO-1黒色腫細胞を、トランスフェクションの前日に6
cm皿中8×105にて平板培養した。5μgのスーパーコイル発現ベクターDNAを、上
述したようにSuperFect(Qiagen)を用いて、細胞にトランスフェクトした(18)。
トランスフェクションの2日後、トリプシン化により細胞を回収し、750μg/ml
のG418を含有する完全培地を用いて、105細胞/6cm皿にて再度平板培養した。各
トランスフェクションから、3つの皿を平板培養した。3週間の間、G418含有培
地を1週間に一度取り換えた。ギムザで細胞を染色し、50を上回る細胞を含むコ
ロニーを数えた。 【0162】 結果 mda-5のクローニングおよび配列分析:時間間隔をあけて分化インデューサー(
IFN-β+メゼレイン(MEZ))で処理したHO-1ヒト黒色腫cDNAライブラリーと、時間
間隔をあけた未処理対照HO-1 cDNAライブラリーとの間の差引きハイブリダイゼ
ーションにより、異なって発現される0.3 kb EST、すなわち黒色腫分化関連遺伝
子-5(mda-5)を同定した((8)JiangおよびFisher, 1993)。ノーザンブロット分析
は、mda-5 ESTが、IFN-β+MEZ処理したHO-1細胞では約3.8 kbのmRNA種とハイブ
リダイズしたことを示した((8)JiangおよびFisher, 1993;Jiangら, 1994)。完
全オープンリーディングフレーム(ORF)を含む完全長mda-5 cDNAを、C-ORF技術を
用いて得た(図1A)((16)KangおよびFisher, 2000)。mda-5 cDNAのORF(ポリAテ
イルを除いて3,362 bp)は、169から3,246 bpに延び、116.7kDaの分子質量を有す
る1,025アミノ酸の予想タンパク質をコードする。代謝回転の速いRNA種において
よく見とめられる2つのATTTAモチーフが、位置3,225および3,284に存在する。
ポリAシグナル(AATAAA)は、ポリAテイルの23 bp上流に位置する。mda-5の3'端
にさらに202 bpが付着したmda-5pと呼ばれるmda-5の変異体を、胎盤cDNAライブ
ラリーをスクリーニングすることにより同定した。mda-5pのためのポリAシグナ
ルもそのポリAテイルの23 bp上流に位置し、ORFは一定のままであることから、
mda-5pは、代替的にポリアデニル化されたmda-5の変異体である可能性がある。m
da-5の2つの変異体形態の存在および組織特異性分布を決定する必要が残ってい
る。しかし、HO-1黒色腫細胞を用いたRT-PCR分析は、mda-5のみを同定し、mda-5
pは同定しなかった。 【0163】 タンパク質データベースに現存するタンパク質のモチーフおよびプロフィール
走査を用いたMDA-5タンパク質の電子的配列分析により、2つの保存されたドメ
イン、すなわちカスパーゼ動員ドメイン(CARD)およびRNAヘリカーゼドメインが
同定された。RAIDDおよびICH-1アミノ末端領域内における一般化(generalized)
プロフィールアライメントにより定義されたCARDドメインは、Mch6、ICE、ICH-2
、c-IAP1、c-IAP2およびCed-3などの様々なアポトーシス分子に存在する。現存
する証拠は、CARDの生物学的役割が、アポトーシスシグナリング受容体複合体へ
のカスパーゼの動員であることを示唆する(19)。MDA-5のN末端にある50アミノ
酸(アミノ酸125-174)と、他のCARDタンパク質との配列アライメントから、CARD
の保存されたアミノ酸において有意な配列相同性が明らかになった(図1B)。MD
A-5は、TNF-R1仲介型アポトーシスシグナル形質導入に関与するRAIDDのCARD領域
に対して最も高い相同性を示す(図1C)(19)。MDA-5のC末端の100アミノ酸(ア
ミノ酸722-823)はまた、RNA結合および二本鎖RNAの巻戻しに関与するRNAヘリカ
ーゼC末端保存ドメインに対して有意な配列相同性を示す(図1D)(20)。さらに
、他のRNAヘリカーゼと共に、MDA-5はATPアーゼAおよびBモチーフも含む(331-
TGSGKTおよび443-DECH)(図1D)(20)。しかし、MDA-5は、そのヘリカーゼC末端
モチーフおよびATPアーゼAモチーフにおいて独特の特徴を有している。MDA-5は
、他のRNAヘリカーゼにおけるRNA結合に重要なよく保存されたYIHRIGRXXRモチー
フの代わりにARGRAを有している(20)。MDA-5のATPアーゼモチーフ(LPTGSGKT)は
また、他のRNAヘリカーゼにおいて見とめられるコンセンサス配列モチーフ(A/GX
XGXGKT)とは異なる(20)。さらに、MDA-5は、変更されたRNA結合モチーフおよびA
TPアーゼAモチーフの両方を保持する最初の推定RNAへリカーゼである。これら
のモチーフを両方含む相同配列についてのSwissProtデータベースのスクリーニ
ングにより、推定ヘリカーゼをコードする3つの酵母仮定ORFが同定された(Gen
Bank受託番号Q09884、Q58900、およびP34529)。MDA-5およびこれらの酵母タンパ
ク質において保存されているユニークな特徴は、MDA-5が新規ヘリカーゼファミ
リーのメンバーであることを示しているかもしれない。RNAヘリカーゼは、RNAス
プライシング、RNA編集、RNA核細胞質型輸送、転写、およびdsRNAのATP依存型巻
戻しによるウイルス複製などの多様な細胞性プロセスに関与することが知られて
いる(20)。しかし、MDA-5のユニークな構造に基づき、生物学的役割をこの新規
分子および新規ヘリカーゼファミリーに帰することは現時点では不可能である。 【0164】 mda-5の発現パターン:mda-5 ESTは、IFN-β+MEZで処理された分化中のHO-1
黒色腫細胞からクローニングされたため、さらなる調査を行い、mda-5発現を調
節できる分子の種類を定めた。この目的のために、黒色腫細胞において成長およ
び分化に作用する範囲の薬剤(レチノイン酸、ミコフェノール酸、12-O-テトラデ
カノイルホルボール-13-アセテート(TPA)、および3'-5'環状AMPを含む)でHO-1細
胞を処理した。mda-5発現に対する、異なる種類のIFNおよびdsRNA(ポリIC)の影
響、ならびに無血清培地における成長の影響も、ノーザンブロット分析により評
価した。図2Aに示すように、定常状態のmda-5メッセージレベルは、IFN-βま
たはdsRNAでの処理後に劇的に高まる。IFN-α(図4A)およびIFN-γもまた、mda
-5転写レベルを高めるが、この影響の大きさはIFN-βまたはdsRNAでの処理より
も小さい。テストした他の試薬はmda-5発現の効果的なインデューサーではなか
ったため、mda-5は、インターフェロン応答型(主にIFN-β応答型)遺伝子であり
得る。MEZ処理自体はmda-5発現を誘導しないが、IFN-βおよびIFN-γと組み合わ
せて用いた場合にmda-5発現をそれぞれ約3倍から5倍に増強することができる(
図2A)。HO-1細胞に見とめられるのと同様のmda-5の発現パターンは、IFN-β、
IFN-γまたはMEZを単独でまたは組合せて用いて処理したヒト皮膚繊維芽細胞に
おいても生じる(図2B)。MEZ同時処理は、mda-5転写物の半減期を延長しないた
め(図7A)、IFN-βまたはIFN-γ誘導型mda-5発現の増強は、おそらくIFNおよび
MEZシグナリング経路間のクロストークにより、転写レベルで生じているのであ
ろう。 【0165】 IFN-βによるmda-5発現の誘導は、IFN-βで処理したさらに別のヒト黒色腫細
胞ならびに多様な由来源の正常細胞系および腫瘍細胞系においても生じる(図3
Aおよび3B)。IFN-βによるmda-5発現の誘導は、p53およびRBの状態とは無関
係である。この点で、mda-5は、異なる腫瘍細胞系に存在する遺伝的多様性とは
無関係に、幅広い範囲の正常および腫瘍細胞型において誘導され得る真にIFN-β
応答性の遺伝子である。 【0166】 膜受容体を介するIFNシグナルはチロシンキナーゼに関連する(associated)た
め、他の膜チロシンキナーゼ受容体のリガンド(IL-6、EGF、TGF-α、TGF-β、TN
F-α、およびPDGFを含む)による、HO-1黒色腫におけるmda-5の誘導性をノーザン
ブロッティングにより調査した(図4Aおよび4B)。異なるIFNサブタイプ間で
のmda-5の誘導の強さの直接比較も評価した(図4Aおよび4B)。IFN-βは、mda
-5誘導において、IFN-αまたはIFN-γよりも少なくとも10倍高い能力を示した(
図4A)。 【0167】 2E 膜受容体の他のリガンドのうち、TNF-αは、IFN-αに匹敵するレベルでmd
a-5発現を誘導した(図4A)。mda-5発現誘導の同様のパターンはまた、初期継代
ヒト皮膚繊維芽細胞においてもはっきりと見られた(図4B)。従って、IFN-α、
IFN-β、IFN-γおよびTNF-αによるmda-5発現の誘導は、HO-1細胞独特のもので
はなく、むしろ多様な細胞の関係におけるこの遺伝子の一般的な応答と言えるだ
ろう。これらの薬剤が特定の標的細胞においてアポトーシスシグナルを生成でき
ることを考慮すると、この過程におけるCARDドメインを介したMDA-5の可能性の
ある役割は可能である。 【0168】 IFN-β+MEZでのHO-1細胞の処理は、最終分化、およびそれに伴う細胞増殖の
不可逆的な損失を生じる(Fisherら, 1985)。インデューサー処理された細胞の大
部分において、最終分化は、処理してから24時間以内に生じる。この点で、mda-
5発現のタイミングは、分化の誘導または分化表現型の維持におけるmda-5の関与
に関する手がかりを与え得る。また、処理に対する応答のタイミングは、mda-5
の誘導のメカニズムについての洞察も与える。mda-5発現のタイミングをノーザ
ンブロッティングで調査したところ、mda-5メッセージレベルは、IFN-βまたはI
FN-β+MEZでの処理の2時間以内に上昇し始めた(図5)。mda-5メッセージレベ
ルは、6〜8時間の間にピークに達し、高レベルは96時間にわたり高いままであ
る。MEZは、IFN-β単独の場合で見とめられるものを上回ってmda-5メッセージレ
ベルをさらに高めるが、mda-5発現のタイミングには影響を与えない。mda-5誘導
の高速反応速度は、mda-5が、初期IFN-β応答遺伝子、ならびにIFN-β誘導型成
長阻害および抗ウイルス能力を仲介する主要な成分であることを示唆する。対照
的に、MEZ単独または血清欠乏の場合は、低いレベルのmda-5発現が誘導され、誘
導のタイミングは遅れた(48時間後に初めてはっきりと表れた)(図5)。MEZ処理
および血清欠乏による遅延したmda-5誘導の反応速度から判断すると、この誘導
は、延長された処理持続期間の間の細胞の産生物の生成により生じる間接的なも
のかもしれない。 【0169】 mda-5発現の器官特異性:この遺伝子と、複数の組織ノーザンブロット(ClonTe
ch)上に固定化された異なる器官由来のポリA+ RNAとのハイブリダイゼーション
によりmda-5の器官特異的発現パターンを決定した(図6)。発現がほとんど検出
不可能であった脳および肺を除くほとんどの器官が、mda-5を低いレベルで発現
した。精巣では、他の器官に存在する3.8 kbバンドの代わりに2.4 kbのバンドが
、mda-5プローブを用いて検出された。しかし、どの器官も有意に高いレベルのm
da-5発現を示さなかった。多様な細胞型におけるIFN(特にIFN-β)およびTNF-α
による高度にmda-5発現を誘導可能な性質、ならびに様々な器官における比較的
低い基底(basal)メッセージレベルは、mda-5が、IFNシグナリングに特異的な応
答においては役割を果たすかもしれないが、正常な生理学的プロセスにおいては
それほど決定的でないことを強く示唆する。 【0170】 mda-5誘導の機構的見地:HO-1黒色腫細胞における最終分化の誘導の間に、mda
-5の定常状態転写レベルが非常に高まった。高くなったmda-5メッセージレベル
は、メッセージ安定化などの転写後制御、または増強された転写によるものかも
しれない。IFN-βおよびIFN-β+MEZで誘導されたmda-5 mRNAレベルの低下の時
間経過を、アクチノマイシンDで転写をブロックすることにより測定した。アク
チノマイシンD処理後のmda-5転写レベルのゆるやかな一時的な減少が、IFN-β
で処理した細胞とIFN-β+MEZで処理した細胞との両方において見とめられた(図
7A)。インデューサー処理されたHO-1細胞におけるmda-5転写物の半減期は、約
5〜6時間であった。mda-5 mRNAの基底レベルは、定量的にモニターするには低
過ぎるので、mda-5メッセージ安定性の転写後制御に対するIFN-βおよびIFN-β
+MEZの影響は測定できないと考えられる。しかし、アクチノマイシンD処理に
より、mda-5メッセージレベルの減少が生じたため、IFN-βおよびIFN-β+MEZに
よるmda-5の誘導はこの遺伝子の転写率の変化により生じたのかもしれない。さ
らに、mda-5メッセージレベルの低下率がIFN-βで処理した細胞とIFN-β+MEZで
処理した細胞とで顕著に異なるわけではないという事実から、mda-5はまたMEZに
より、IFN-βと組み合わせて用いるときに、転写レベルで制御され得る。IFN-β
処理およびIFN-β+MEZ処理によるmda-5発現の転写制御についての直接的な証拠
を、核ラン・オフアッセイにより得た(図7B)。IFN-βでのHO-1細胞の処理によ
り、mda-5転写が、未処理またはMEZ処理した細胞におけるわずかな程度の転写レ
ベルと比べて非常に高くなった。IFN-β+MEZ処理は、IFN-βのみの場合と比べ
て約3倍、mda-5の転写レベルをさらに増強した。これらの結果は、IFN-β処理
およびIFN-β+MEZ処理により生じるmda-5メッセージの高い定常状態レベルが、
主に高いmda-5転写の結果によるものであることを実証づける。上記したように
、MEZは、有意には転写を高めないが、IFN-βと組み合わせられたMEZはmda-5転
写を増強する。従って、mda-5 mRNAレベルを増強するMEZ+IFN-βの能力は、mda
-5転写の相乗効果的上昇により生じるというのが最も可能性が高いかもしれない
。MEZは、酵素タンパク質キナーゼC(PKC)の弱いアクチベーターとして認識され
ているため、IFN-βシグナリングにより開始されるmda-5転写のPKC依存型増強は
、MEZ処理後に生じるという可能性がある。 【0171】 特定の遺伝子発現変化は、前タンパク質合成の有無に関係なく、シグナリング
事象に応答して変更され得る。転写因子および主要なシグナリング分子を含む特
定の遺伝子発現変化(初期応答遺伝子)は、それらの発現の前にタンパク質合成を
必要としない。翻訳阻害剤であるシクロヘキシミドでタンパク質合成をブロック
することにより、適切なインデューサー処理によるmda-5発現の誘導が事前のタ
ンパク質合成を必要とするか、または依存しないかを決定できる(図7C)。シク
ロヘキシミド前処理は、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、TNF-γおよびポリICにより誘
導されるmda-5定常状態mRNAレベルを阻害しない。従って、mda-5は、IFN-α、IF
N-β、IFN-γ、TNF-γおよびポリIC処理により調節される主要な応答遺伝子であ
る。実際、特定の状況では、シクロヘキシミド処理により、mda-5メッセージの
誘導レベルがさらに高まった。この発見は、シクロヘキシミド処理が、mda-5 mR
NAを脱安定化させるタンパク質の合成を阻害し得ることを示唆する。 【0172】 MDA-5タンパク質の発現およびMDA-5の細胞内局在:mda-5 cDNAクローンの真偽
を確かめるために、in vitro翻訳実験を行った。in vitro翻訳アッセイにおける
mda-5 cDNAの発現は、MDA-5タンパク質の予想した大きさ(116.7 kDa)に近い約12
0 kDaのコードタンパク質を生じる(図8A)。MDA-5タンパク質を、緑色蛍光タン
パク質(GFP)または赤血球凝集素(HA)のいずれかによりタグ付けし、293細胞に一
過的にトランスフェクトした。細胞溶解産物のウェスタンブロット分析では、md
a-5 cDNAトランスフェクト細胞中で約120 kDaタンパク質(HAタグ付き)および約1
60 kDaタンパク質(GFPタグ付き)が特異的に検出された。これらの発見は、クロ
ーニングされたmda-5 cDNAが、この遺伝子の予想される大きさのタンパク質を確
かにコードすることを示す。GFP-mda-5融合タンパク質で一過的にトランスフェ
クトされた293T細胞の共焦点蛍光顕微鏡検査は、タンパク質が細胞質ゾルに局在
することを実証した(図8C)。GFP-mda-5融合タンパク質の細胞質内で特定の局
在パターンは見とめられなかった。細胞質中のMDA-5タンパク質が、特定のmRNA
の翻訳において役割を果たし得ることが考えられる。 【0173】 HO-1細胞のコロニー形成能力に対するmda-5の影響:IFN-βで処理されたHO-1
細胞は、ゆっくりと成長し、未処理細胞と比べて大きさの顕著な増大を示す。md
a-5は、主にIFN-βにより誘導されるため、mda-5の異所性発現は、IFN-β処理の
効果を模倣して、増殖を減少させ得る。また、mda-5のCARD領域が、アポトーシ
スシグナルを誘導し、mda-5の異所性発現が細胞生存をもたらし得ることも考え
られる。mda-5の成長阻害性またはアポトーシス推進効果をテストするために、
この遺伝子をトランスフェクトし、HO-1細胞において異所性発現させて、コロニ
ー形成能力を測定した(図9)。親ベクタートランスフェクト細胞と比較して、md
a-5発現ベクターでトランスフェクトした細胞におけるG418耐性コロニーの数は
約70%減少していた。HO-1細胞をmda-5の欠失変異体でトランスフェクトした場
合にも、mda-5完全コード枠ほど劇的ではないコロニー数の減少が親ベクタート
ランスフェクト細胞と比べて明白であった。mda-5欠失変異体(DN7、ATPアーゼモ
チーフの両方を含んでいるD310-484)の異所性発現により47%の減少が生じ、2
kbアンチセンスmda-5(EB11)でのトランスフェクションは、ベクターでトランス
フェクトした対照と比べてコロニー形成を56%減少させた。アンチセンスmda-5
は、mda-5発現を有効にブロックしないと思われる。実際、内因性mda-5発現が、
アンチセンスmda-5でトランスフェクトした細胞において見とめられた。アンチ
センスmda-5発現が細胞内dsRNA形成を誘導し、そしてdsRNAが内因性mda-5発現を
誘導する可能性がある。このようにして、アンチセンスmda-5の異所性発現は、H
O-1細胞におけるmda-5のレベルを直接変化させることにより、これらの細胞のコ
ロニー形成効率に作用し得る。これは、この見とめられた逆説的な観察に対する
仮説的説明の1つにすぎない。mda-5の異所性発現がHO-1細胞のコロニー形成能
力に対して効果を発揮する正確なメカニズムを規定するためには、さらなる研究
が必要である。 【0174】 Mda-5プロモーターの単離および特徴決定:ノーザンブロット調査に基づき、
ヒトHO-1黒色腫細胞をIFN-βで処理した後のmda-5 mRNAの誘導は、遺伝子発現の
転写調節の強い可能性を示した。調節の初期レベルが本当に転写によるものであ
るか否かを決定するために、核ラン・オン実験を行った(図7)。未処理細胞にお
けるもっと低いシグナルとは対照的に、mda-5遺伝子発現の誘導(ポジティブハイ
ブリダイゼーションシグナルにより検出)はIFN-βで処理されたHO-1サンプルに
おいて生じ、上記仮説を確認した。 【0175】 Mda-5 mRNAの誘導が主に転写レベルで生じることを確認したので、このプロセ
スに関与する調節ゲノムDNA配列を単離および特徴決定することとした。この目
的のために、細菌人工染色体ベクター(BAC、Genome Systems Inc.)中に構築した
ヒトゲノムDNAライブラリーを、mda-5 cDNAをプローブとして用いてスクリーニ
ングした。2ラウンドのスクリーニングを行って、翻訳開始コドンの上流に数千
bpの配列を含むmda-5ゲノム遺伝子座全体にわたる2つの重複クローンを得た。
制限酵素消化、サザンブロッティングおよび配列分析による上流領域を含むBAC
クローンのマッピングにより、ほとんどのタンパク質コード遺伝子で転写開始部
位の上流に存在する潜在的に重要な調節配列を含むDNA断片の同定が可能になっ
た。部分的な第1のエキソン(開始メチオニンを含む)を含む約7kbのHindIII断
片、および約6kbの上流配列(図10)を、プロモーターを含まないルシフェラーゼ
リポーターベクターpGL3(Promega)のHindIII部位にサブクローニングした。IFN-
βの存在下または不在下における、この構築物のHO-1細胞へのトランスフェクシ
ョンでは、光測定(luminometric)定量アッセイにより測定したところ、ルシフェ
ラーゼ酵素の生成は生じず、クローニングされたDNA配列の再検査を必要とした
。クローン配列の概念上の翻訳は、mda-5翻訳開始ATG部位(図10)から開始した場
合、その後に酵素活性の損失を生じるルシフェラーゼオープンリーディングフレ
ームの翻訳誤読および未熟末端切断をもたらすことを示した。この問題を回避す
るために、mda-5開始メチオニンを含むDNA配列の小さい欠失をBstXI制限消化(図
10)を用いて行い、その後、不適合末端突出部分の平滑末端化、およびライゲー
ションによるプラスミドの再環状化を行った。 【0176】 改変mda-5レポーター構築物を、IFN-βで処理したHO-1細胞とIFN-βで処理し
なかったHO-1細胞との平行なセットにトランスフェクトした。ルシフェラーゼ活
性の定量により、一部欠失したエキソン1および約6kbの上流配列を含むこの改
変レポーターが、IFN-βで処理していない対照細胞中に比べてINF-βで処理した
細胞中において約10倍の高さのルシフェラーゼ活性を示すことが分かった。この
誘導レベルは、ノーザンブロット分析において内因性遺伝子を用いて見られるも
のに匹敵するレベルであった。したがって、レポーター構築物中にクローニング
された調節ゲノムDNA配列は、mda-5遺伝子の調節に必要なエレメントを含んでい
たと思われる。しかし、クローニングされた配列が内因性細胞内遺伝子の転写制
御に関与する全ての調節エレメントを含んでいることを確かめることが必要であ
った。HO-1黒色腫細胞は非常に低く且つ変わり易いトランスフェクション効率を
示すので、初めは、誘導の動態、インデューサーの最適濃度および他の潜在的ア
クチベータの同定(identification)などの変動要因があるために、一過的にト
ランスフェクトされたレポーターの活性を安定的に測定することが非常に困難で
あることが判明した。この技術的問題を回避するために、ピューロマイシン耐性
プラスミドとの同時トランスフェクションによりmda-5プロモーター構築物をHO-
1細胞のゲノムDNA中に安定に組み込み、安定な組込み体からなるクローン集団を
選択し単離した。この選択手法により幾つかのクローンを作製し、そのうち48個
を無作為に取り出してさらに分析を行った。これらの安定なプロモータークロー
ンをINF-βで処理してスクリーニングを行った結果、ルシフェラーゼ活性により
測定したところ、完全に不活性なものから非常に活性なものまでの全ての範囲が
得られたことが分かった(図11)。クローン単離株のうちの幾つかは、内因性
遺伝子と同じような誘導レベル(10倍程度)を示し、他ものはこれよりずっと高
い誘導レベル(100倍程度)を示した。高い誘導レベルを示すクローンは、付加
的な影響によってより高い活性レベルを示す組み込まれたプラスミドのコピーを
複数含む可能性が高い。2つの個々のクローン(#20および#40)を選択して更
に分析を行い、活性動態およびインデューサーに対する総合的な応答性(単離さ
れたプロモーター配列の完全性を確認するための尺度として)が、内因性遺伝子
について以前に観察されたものと似ているか否かを決定した。最初のスクリーニ
ング(図11)において、クローン#20は、誘導されると1000倍を超える、非常
に低い基底活性を示した。したがって、クローン#20は、スケールが他のクロー
ン(0〜150倍誘導)を正確に表すことができるように、そのプロット中に含めな
かった。続く分析においてこのクローンは非常に低い基底活性を示したが、最初
のスクリーニングで見られたものよりもずっと低い最終活性倍数であった(図1
2)。しかし、このクローンは継代培養においてその何代かにわたってこの特性
を維持した。IFN-βで処理した後のプロモーター構築物の誘導動態を測定するた
めに、固定数の細胞(106/6cm培養皿)をインデューサーで処理し、ルシフェラ
ーゼ活性について、平行的な非誘導対照サンプルと比較して処理後の様々な時点
でアッセイを行った(図12)。ルシフェラーゼレベルの最終誘導倍数(個々の
クローンにおいてまちまちである)に関係なく、誘導動態の全体的なパターンは
、ノーザンブロットによって測定した内因性遺伝子のそれとほぼ同じまたは似て
いた。同様に、アッセイを行って、ルシフェラーゼ読み出し値により、外部から
加えたインターフェロンレベルの検出感度範囲を測定した(図13)。このアッ
セイの結果は、該内因性遺伝子について観察されたものとほぼ平行しており、IF
N-βの0.2Uの測定可能レベルが検出可能であった。また、プロモータークローン
単離株を用いて、HO-1黒色腫細胞内における、ヒトIFN-α、βおよびγ合成二本
鎖RNA(ポリIC:IC;Amersham)を含む異なる形態のIFNおよびTNF-α(図14A
)に対する応答性を、レポーター構築物での一過性トランスフェクションアッセ
イを用いて測定した。さらに、クローン#40安定HO-1細胞を、ヒトIFN-αA、-α
b2、-αC、αD、αF、-αG、αH、-αI、-αJ、-αA/D、PBL1001、ウシTau、Ω
およびヒトIFN‐βで処理した(図14B)。応答性のレベルの違いは、用いた
化合物のタイプによるものと思われ、一般に、Mda-5プロモーター構築物は他のI
FNに比べてIFN-βに対する応答性が最も高く、これは、内因性細胞内遺伝子を用
いたノーザン分析で得られた結果に匹敵するものであった。先に記載した通り、
合成二本鎖RNA(ポリIC:IC)で細胞を処理した場合も、Mda-5遺伝子誘導が起き
た。IFN-βについて記載したものと同じ研究を、安定HO-1プロモータークローン
と共に二本鎖RNAをインデューサーとして用いて行った。これらの実験により、
時間および誘導レベルを含むパラメータについて、内因性遺伝子誘導と同様の結
果が得られた(図15)。 【0177】考察 IFN-β+MEZによるHO-1黒色腫細胞の処理によって、最終分化の誘導の作用とし
て分化の発現を示す遺伝子は、これらの誘導パターンに基づいて4つのサブグル
ープに分類される(JiangおよびFisher, 1993)。Mda-5は、I型mda遺伝子(IFN
-βおよびIFN-β+MEZにより誘導される)を表す。プロテインキナーゼCアクチベ
ーターであって弱い第2段階の発癌プロモーター(a weak second-stage tumor
promoter)であるMEZ単独で処理してもmda-5の発現を誘導しないが、IFN-βと組
み合わせると、mda-5の発現を転写レベルで強化する。2'-5'オリゴアデニル酸シ
ンセターゼ(他のIFN誘導性遺伝子)のIFN-αによる誘導性発現は、TPAによって
促進される。PKCインヒビターの使用に基づく様々な証拠は、TPAによるIFN遺伝
子発現の促進はPKCの活性化を伴うことを示しているが、この誘導の正確なメカ
ニズムは不明のままである。 【0178】 IFN-βで処理したHO-1黒色腫細胞はサイズが大きくなり、成長動態が遅くなり
、メラニン形成が促進されるが、明らかな形態学的変化や細胞死は起こさない(
Fisherら, 1985)。これに対し、mda-5を誘導しないMEZは、HO-細胞の形態に大
きな変化(樹状突起様プロセスの発生を含む)を誘導する。ヒト黒色腫細胞にお
いてメラノサイト分化の特定の成分を誘導する試薬(例えば全トランスレチノイ
ン酸(RA)、ミコフェノール酸(MPA)、サイクリック-AMP(cAMP)、ジメチル
スルホキシド(DMSO)およびTPAを含む)もまた、mda-5発現を有意に誘導するこ
とができない。したがって、IFN-β+MEZによるHO-1細胞の最終細胞分化の誘導に
おけるmda-5の主な役割は、IFN-βにより媒介される細胞増殖の抑制に限定され
る可能性がある。 【0179】 IFN-αおよびIFN-γはmda-5発現を有意に誘導するが、IFN-βはIFN-αやIFN-
γに比べてmda-5発現の誘導において5倍を超える効力があった。IFN-βは正常
細胞系および腫瘍細胞系(p53またはRb状態にかかわらず様々な黒色腫細胞系を
含む)においてmda-5の発現を促進した。mda-5は、全脳ポリA+mRNAのノーザンブ
ロットにおいて検出されなかったが、mda-5は、培養した正常小脳細胞および多
形性神経膠芽腫細胞において検出され、IFN-β処理によりさらに誘導された。こ
れらの点から、mda-5は、IFN-β誘導型遺伝子として分類することができる。IFN
-βおよびIFN-αの2つは共通の受容体(IFN-R1)を共有し、しばしば遺伝子発
現変化の同様なパターンを示すが、これらの作用因子の生物学的効果は異なり得
る。mda-5およびINF-R1と呼ばれる遺伝子は、これらがIFN-αに対するよりもIFN
-βに対して大きな応答性を示すという点で独特であり、これは、IFN-β特異的
細胞内プロセスを伴っているかもしれない。 【0180】 IFN以外に、mda-5の発現はTNF-αおよびポリICによっても、HO-1黒色腫細胞お
よびヒト皮膚線維芽細胞の両方において誘導される。TNF-αおよびポリICは共に
、IFN-β遺伝子発現のインデューサーとして確立されている。これらの事実を基
に、TNF-αおよびポリICがIFN-β遺伝子の発現を調節することによってmda-5遺
伝子発現を誘導する可能性がある。これに対し、シクロヘキシミド(CHX)で前
処理を行うと、タンパク質合成インヒビターは、TNF-αまたはポリICにより誘導
されるmda-5発現を阻害しなかった。このことは、これらの作用因子がmda-5の直
接的なインデューサーであることを示唆するものである。ポリICはPKR(dsRNA活
性化インターフェロン誘導性プロテインキナーゼ)を直接活性化し、クラスI MH
Cの発現を誘導する。またTNF-αシグナル伝達も、PKR活性化に依存することが分
かった。あるいは、またはこれに加えて、IFN受容体シグナル伝達とは独立してI
kBをリン酸化しNFkBをトランス活性化するPKRは、TNF-αおよびポリIC誘導型mda
-5発現を媒介する物質であり得る。しかし、TNF-αおよびポリICは、新たなタン
パク質合成を必要とせずに既存のIFN-βの分泌を刺激できるかもしれない。 【0181】 IFNは、当初は、処理した細胞において抗ウイルス状態を誘発することにより
ウイルス感染に対する即効的な防御を提供する分子として同定された。IFN処理
は、標的細胞によって異なった反応(成長阻害、分化の変化、アポトーシスの誘
導または阻害、および免疫系調節遺伝子の発現の変化を含む)を誘発する。IFN-
βは、正常なメラノサイトおよび黒色腫細胞(HO-1など)に対して、IFN-αおよ
びIFN-γよりも強力な成長阻害効果を示す。興味深いことに、これらの細胞にお
けるIFNの成長阻害効果は、mda-5発現の誘導レベルに非常によく相関している。
さらに、mda-5のインデューサーであるTNF-αおよびポリICはいずれも細胞増殖
を阻害し、細胞型特異的にアポトーシスを誘導する。定常状態のmRNAメッセージ
レベルは処理後2時間以内に増加し始めるので、IFN-βによるmda-5の誘導は、初
期の出来事(early event)である。これらの結果は、mda-5が、IFN-β媒介性細
胞増殖の抑制において中枢の役割を果たし得ることを示唆している。 【0182】 mda-5の異所性発現は、HO-1黒色腫細胞のコロニー形成能を約70%低減させる
。トランスフェクションの非効率的性質および細胞内ゲノム中へのトランスフェ
クトされた遺伝子の無作為な取込みを考慮すると、コロニー形成効率に対する異
所性mda-5発現の効果は非常に大きい。驚くべきことに、mda-5の欠失突然変異の
発現(ATPアーゼモチーフの欠失)もまた、コロニー形成を(約47%)低減する
が、野生型mda-5遺伝子に比べて効力は非常に小さい。コロニー形成効率は、本
来の培養効率、およびトランスフェクトされた遺伝子産物の成長阻害効果もしく
は毒性効果を含む多数のパラメータにより調節される。mda-5を異所性発現させ
る細胞のコロニー形成効率を低下させるのに最も重要な因子がどの因子であるか
を決定するためには、さらなる研究が必要である。 【0183】 MDA-5タンパク質のプロフィールをスキャニングすれば、推定CARDおよびRNAヘ
リカーゼモチーフが明らかになる。ClustalWシステムを用いたMDA-5の中のCARD
モチーフの多重的配列アラインメントは、この領域がRAIDDのCARDに最も似てい
ることを示している。RAIDDは、TNF-R1媒介性アポトーシスシグナル伝達経路の
成分であり、deathドメインおよびCARDモチーフの両方を含む。RAIDDは、そのde
athドメインを介してRIPと、およびおそらくそのCARDモチーフを介してICH-1(
カスパーゼ-2)と、相互作用する。IFN-βほど効果的ではないが、TNF-αもまた
、HO-1黒色腫細胞においてmda-5発現を誘導する。したがって、mda-5はRAIDDと
相互作用し、ICH-1と同様にdeathエフェクター分子として機能すると考えられる
。mda-5のアポトーシス促進的役割(pro-apoptotic role)は、この遺伝子(成
長抑制およびアポトーシスに関与すると認められた分子であるPKRも活性化する
)のdsRNA依存型誘導によっても支持される。しかし、mda-5の直接的なアポトー
シス促進的役割は、HO-1黒色腫細胞に対するIFN-βの影響と同時には起こらず、
これは、細胞死ではなく成長抑制をもたらす。mda-5はdeathエフェクター分子の
成分であると考えられるが、それ自体はアポトーシスの引金となる能力を持たな
い。この点において、mda-5の異所性発現は、アポトーシスではなく成長阻害を
もたらし得る。また、mda-5の異所性発現のレベルは、この分子が成長阻害性で
あるか毒性であるかを決定し得る。これが本当であれば、強力なプロモーターの
制御下におけるアデノウイルスによるmda-5の発現は、成長阻害ではなく細胞死
を誘導するのに十分な高レベルのMDA-5を生成し得る。 【0184】 MDA-5タンパク質内に存在する他の明確なモチーフは、RNAヘリカーゼのシグネ
チャードメインであり、該ドメインはこの分子のC末端側半分にわたり広がって
いる。RNAヘリカーゼは、ヘリカーゼモチーフを有する酵素のファミリーであっ
て、これは、NTP依存型dsRNA巻戻し活性を潜在的に触媒する。RNAヘリカーゼの
間ではコア残基が保存されているのみならず、これらの残基間のスペースも、異
なるRNAヘリカーゼにおいて保存されている。3つの主な特徴が、RNAヘリカーゼ
をN末端からC末端にかけて特徴づける。すなわち、ATPアーゼAモチーフ(GXXGXG
KT)、ATPアーゼBモチーフ(DEAD、DEAHまたはDEXH)、およびRNA相互作用のた
めの必須ドメイン(HRIGRXXR)(Dong-chul)である。RNAヘリカーゼは、それら
のATPアーゼBモチーフに基づいて3つのサブグループに分類される。RNAヘリカ
ーゼは、RNAのプロセッシングおよび転写、核RNAおよびミトコンドリアRNAのス
プライシング、RNAの編集、リボソームの生物発生、核細胞質ゾルRNA送出、非セ
ンスRNAの変性およびRNA翻訳に関連する工程の大部分に関与する。したがって、
RNAヘリカーゼは、細胞の分化、増殖、発生およびウイルスのライフサイクルを
含む多くの生物学的現象に影響を及ぼす。RNAヘリカーゼは3つのサブグループ
に分類されるが、これらのグループの生物学的関連性は、まだ定義されていない
。さらに、多くの推定RNAヘリカーゼの酵素活性はまだ確認されていない。これ
は、一部には、これらの酵素が多様であるために、適当な基質および標準的なプ
ロトコールがないからである。 【0185】 RNAヘリカーゼの非常に良く保存された特質にもかかわらず、MDA-5は、機能の
多様性を媒介し得る4つのユニークな特徴を含む。そのN末端領域にあるMDA-5の
CARDドメインは、この領域の機能的重要性は現在調査中であるが、これまでに同
定された何れのヘリカーゼにも見られない。mda-5のATPアーゼAモチーフはユニ
ークであり、他のRNAヘリカーゼの中に見られる配列(GXXGXGKT)とは対照的にL
PTGSGKTを含み、マウスeIF-4Aの最初のグリシン残基がバリンに突然変異すると
、ATP結合能が消失する。ロイシンはバリンと同じく非極性アミノ酸であるが、
バリンよりも嵩高い側鎖を有するので、MDA-5はATPに効率良く結合せず、したが
って、ATPアーゼ欠陥ヘリカーゼとなったり、または異なるエネルギー源および/
または金属を活性のために必要としたりする場合がある。MDA-5のこの特性によ
り、MDA-5タンパク質のこの領域を欠くmda-5の突然変異体の発現によりコロニー
形成効率が低下することが説明できる。in vitroでのRNA結合にとって重要なHRI
GRXXRモチーフはMDA-5(ARGRI)の中に良く保存されていない。MDA-5タンパク質
におけるこのような配列多様性の機能的役割は、まだ決定されていない。3つの
酵母推定ORFは共に、ATPアーゼおよびRNA結合部位を含むMDA-5の特定の特徴を有
するが、これらの生物学的機能は確認されていない。これらのタンパク質間の相
補性アッセイ(complementation assay)は、これらの分子間の機能的および進
化的関係についての洞察を提供し得る。 【0186】 まとめると、MDA-5タンパク質特有の特徴は、この分子がRNAヘリカーゼの新し
いファミリーのメンバーであることを示唆している。そうである場合、mda-5は
、そのRNAヘリカーゼドメインを介してアポトーシス促進性(pro-apoptotic)も
しくはアポトーシス阻害性(anti-apoptotic)RNA分子の分解、翻訳または翻訳
の阻害に関与し得る。あるいは、mda-5は、細胞にウイルスの侵入およびdsRNAの
蓄積のための準備をさせるためのIFNシグナルとアポトーシス機構との間のシグ
ナル変換分子(signal transducer)である可能性がある。細胞質内におけるGFP
-mda-5融合タンパク質の局在化は、この仮説に矛盾しない。 【0187】 ルシフェラーゼcDNAを駆動するmda-5プロモーター配列を含むレポーター単離
株は、処理した細胞から得たRNAのノーザンブロット分析において見られる誘導
倍数に対するルシフェラーゼアッセイの定量の比較に基づいてみたところ、内因
性遺伝子の誘導動態に非常に良く似ていた。主にIFN-βおよび二本鎖RNAを用い
た場合に、またこれより程度は低いが他のIFNを用いた場合に、遺伝子発現の活
性化は生じた。従って、このDNA配列は、特にmda-5の調節の理解、一般的にはIF
N-β誘導遺伝子の理解(この経路に影響を及ぼす合成低分子を含む化合物の分析
も含むがこれらに限定されない)において非常に有用である。 【0188】 ルシフェラーゼアッセイは、感度レベルが高く、技術的に単純で、且つその半
自動化が可能であるので、HO-1黒色腫細胞の中のmda-5プロモータークローン単
離株は、コスト、簡便さおよび再現性の点において潜在的に非常に有利である、
IFNレベルについてのさらに非常に有用な検出系およびアッセイ系を含む。さら
に、in vivoの生物学的環境内に該レポーター構築物が存在するため、外から加
えられたIFNの量が定量できること、または特定のIFNに対する応答性が決定でき
ることに加えて、この系は、複数の生物学的および薬理学的側面において該経路
に対して潜在的に影響を及ぼす多様性を有する化合物の研究に利用することがで
きる。これらの側面としては、可能性としては同じアッセイ自体の中で、特定の
化合物または化合物の組み合わせの、一般的な生物学的毒性と組み合わせたIFN
経路に対するそのアゴニスト的もしくはアンタゴニスト的影響が挙げられる。該
プロモーター配列はまた、HO-1について得られたのと同様のIFN関連応答性を有
する適当な細胞の中に導入して、HO-1ヒト黒色腫系について実施したことが記載
されているものに相当する研究ができる。 【0189】 まとめると、mda-5は、CARDモチーフを含む新しいIFN-β誘導性推定RNAヘリカ
ーゼである。またmda-5は、成長阻害シグナル分子およびアポトーシスシグナル
分子(TNF-_およびポリICなど)によっても誘導される。この実験では示されな
かったが、IFN-βおよびポリICがmda-5発現を誘導する能力は、この遺伝子のウ
イルス誘導の可能性を支持している。mda-5の異所性発現は、この遺伝子の誘導
的性質および配列から推測される通り、HO-1黒色腫細胞のコロニー形成効率を有
意に低減する。MDA-5の酵素活性はまだ決定されていない。以前に記載したよう
に、mda-5は、欠陥RNAヘリカーゼであり、さらなる未知のヘリカーゼの天然イン
ヒビターであり得る。もしそうである場合、抗ウイルス的、増殖阻害的および/
またはアポトーシス的役割を細胞内生理機能において示すmda-5の対応物を同定
することが重要であろう。特筆すべきは、C型肝炎ウイルス(HCV)のようなウイ
ルスが、これらのゲノムの中にヘリカーゼを含むことである。MDA-5の酵素活性
は、2'-5'オリゴアデニル酸等の潜在的刺激物質を用いて、実験条件を調節する
ことによって、すなわち、NTPおよび金属の要件を含む反応条件を変えることに
よって、規定することができる。mda-5の作用の生理学的役割および分子基盤の
研究は、IFNにより与えられるウイルスの攻撃に対する細胞防御のメカニズムに
重要な洞察を与えるであろう。この情報は、ウイルスの病原性を阻害するための
新しい戦略を開発する上で、およびより有効な抗ウイルス治療を設計する上で、
価値あるものであることが分かるであろう。 【0190】実施例2:レポーター細胞系 ゲノムに組み込まれた黒色腫分化関連遺伝子-5(mda-5)のコピーをプロモー
ター配列の上流に含むHO-1ヒト黒色腫細胞系に由来するレポーター細胞系。 【0191】 細菌人工染色体(BAC)、ヒトゲノムライブラリーをスクリーニングして、Mda
-5遺伝子を含む配列を単離した。該遺伝子のコード配列および上流配列を含む2
つのBACクローンを単離し、特徴を分析した。 【0192】 コード配列の完全イントロン/エキソン構造を決定した。転写開始部位の上流
にある約6kbのフラグメントも単離した。このフラグメントを、プロモーターを
持たないルシフェラーゼベクター(pGL3 Basic, Promega)中にクローニングし
、一過性トランスフェクションアッセイによって転写活性についてアッセイした
。このプロモーター構築物によって示される活性は、インデューサー(組換えヒ
トβ-インターフェロンまたは合成二本鎖RNA、ポリIC)に対する応答性および誘
導の時間的動態の点で、内因性遺伝子のそれと同じであった。 【0193】 安定に組み込まれた転写活性ルシフェラーゼプラスミドのコピーをHO-1ヒト黒
色腫の環境中に含む幾つかのサブラインを構築した。独立したクローンとして単
離したコロニーを増殖し、組換えヒトβ-インターフェロンまたは合成二本鎖RNA
、ポリICの存在下でルシフェラーゼ活性についてアッセイした。これらのクロー
ンは、おそらく各クローン毎に組み込まれたコピー数に応じて誘導レベルが10〜
100倍の範囲で変化したことを除いては、内因性遺伝子に似たルシフェラーゼ活
性を示した(内因性遺伝子は、約10倍誘導される)。これらのクローンは、組換
えヒトβ-インターフェロンまたは合成二本鎖RNA、ポリICに対して最も反応性が
高かったが、これらは他のインターフェロンによってもより低いレベルで誘導さ
れる。 【0194】 これらの細胞系は、以下の用途で使用することができる: A.様々な手法によって産生される生物学的に活性な量のインターフェロンの定
量; B.インターフェロンの生化学的およびシグナル伝達経路に対してアゴニストも
しくはアンタゴニストとして作用する化合物の相対的効力を決定または識別する
ための高速高出力スクリーニング; C.細胞内インターフェロン経路に相乗効果を示すまたはそれを促進する、潜在
的に薬理学的および治療的に有用な低分子を検出するための高速高出力スクリー
ニング。 【0195】 参考文献 【図面の簡単な説明】 【図1】 図1A〜Dは、mda-5の配列と、CARDおよびRNAへリカーゼとのアラインメント
を示す。Aは、mda-5のヌクレオチド配列(配列番号1)と対応するアミノ酸配列
(配列番号2)である。下線を付した配列はAUUUAの配列である。太字の配列は
、ポリAシグナルである。Bは、mda-5pの追加のアミノ酸配列である(配列番号4
)。ポリAシグナルは太字で示す。Cは、MDA-5のN末端領域付近の50アミノ酸残基
とのCARDタンパク質のアラインメントである(アミノ酸125〜174が、1〜50に対応
する)。(配列番号5〜11)。Dは、mda-5のRNAヘリカーゼ保存モチーフとeIF-4
A(配列番号12)およびp68 RNAヘリカーゼ-2E(配列番号13)とのアラインメン
トを示す。 【図2】 図2A〜Bは、HO-1ヒト黒色腫細胞における分化を誘導する種々の化合物によ
るmda-5発現のノーザンブロット解析の結果である。RNAサンプルは、記載の通り
に24時間処理した細胞から抽出した。Aは、HO-1ヒト黒色腫細胞の結果である。
Bは、継代数の少ないヒト皮膚線維芽細胞の結果である。ノーザンハイブリダイ
ゼーションは、材料および方法の欄に記載したとおり実施した。記載の略号と試
薬の濃度は以下の通りである;ctlは、コントロール;DMSOは、0.1%ジメチルス
ルホキシド;EtOHは、最終濃度0.25%エタノール;Mezは、10ng/mlのメゼレイン
;IFN-βは、2,000U/mlのインターフェロン-β;IFN-β+Mezは、2,000U/mlのイ
ンターフェロン-βと10ng/mlのメゼレイン;IFN-γは、100 U/mlのインターフェ
ロン-γ;IFN-γ+Mezは、100U/mlのインターフェロン-γと10ng/mlのメゼレイ
ン;RAは、オールトランスレチノイン酸 2.5 B5M(EtOHに溶解);MPAは、ミコ
フェノール酸 3 B5M;TPAは、16nMの12-0-テトラデカノイルホルボル-13-アセテ
ート;cAMPは、1mMの3'-5'サイクリックアデノシン一リン酸;8-Br-cAMPは、1mM
の8-ブロモ-3'-5'サイクリックアデノシン一リン酸;MMSは、10ng/mlのメチルメ
タンスルホネート;ポリIC 10 μg/ml。 【図3】 図3は、正常細胞系および腫瘍細胞系におけるIFN-βにより誘導されるmda-5
発現のノーザンブロットの結果である。RNAサンプルは、2000 U/mlインターフェ
ロン-βで24時間処理した細胞から抽出した。ノーザンハイブリダイゼーション
は、材料および方法の欄に記載したとおり実施した。 【図4】 図4A〜Bは、種々の膜受容体に対するリガンドによるmda-5発現のノーザン
ブロット解析の結果である。RNAサンプルは、記載の通りに24時間処理した細胞
から抽出した。Aは、HO-1ヒト黒色腫細胞の結果である。Bは、継代数の少ない
ヒト皮膚線維芽細胞の結果である。ノーザンハイブリダイゼーションは、材料お
よび方法の欄に記載したとおり実施した。記載の略号と試薬の濃度は以下の通り
である;ctlは、コントロール;IFN-αは、1,000U/mlのインターフェロン-α;I
FN-βは、1,000U/mlのインターフェロン-β;IFN-γは、1,000U/mlのインターフ
ェロン-γ;IL-6は、1ng/mlのインターロイキン-6;EGFは、10ng/mlの上皮細胞
増殖因子;TGF-αは、10ng/mlのトファンスフォーミング増殖因子α;TGF-βは
、2.5ng/mlのトファンスフォーミング増殖因子β;TNF-αは、10ng/mlの腫瘍壊
死因子α;PDGFは、10ng/mlの血小板由来増殖因子。 【図5】 図5は、mda-5発現のノーザンブロット解析および経時変化を示す。RNAサンプ
ルは、記載の通りに試薬で処理した後記載の時点で回収したHO-1細胞から抽出し
た。ノーザンブロティングは、材料および方法の欄に記載したとおり実施した。
記載の略号と試薬の濃度は以下の通りである; Mezは、10ng/mlのメゼレイン;I
FN-βは、2,000U/mlのインターフェロン-β;IFN-β+Mezは、2,000U/mlのイン
ターフェロン-βと10ng/mlのメゼレイン。 【図6】 図6は、種々の器官のmda-5は告げんのノーザンブロット解析の結果を示す。
多重組織ノーザンブロット(Multiple tissue Northern blots)は、ClonTechから
購入した。各レーンは2μgのポリA+ RNAを含む。ノーザンハイブリダイゼーショ
ンは、材料および方法の欄に記載したとおり実施した。 【図7】 図7A〜Cはmda-5発現の誘導の機序を示す。Aは、mda-5のノーザンブロット
解析の結果である。HO-1黒色腫細胞を、2,000U/mlのインターフェロン-βと共に
、または2,000U/mlのインターフェロン-βと10ng/mlのメゼレインと共にインキ
ュベーションした後に、5μg/mlのアクチノマイシンDと共に24時間処理した。細
胞は、アクチノマイシンD処理の後に記載の時点で回収した。ノーザンハイブリ
ダイゼーションは、材料および方法の欄に記載したとおり実施した。Bは、mda-
5転写速度を測定するための核ラン-オンアッセイの結果である。核は、記載の試
薬で4時間処理したHO-1黒色腫細胞から調製した。ブロットを調製し、材料およ
び方法の欄に記載したとおりハイブリダイズさせた。記載の略号と試薬の濃度は
以下の通りである;mda-5は、それぞれmda-5 cDNAの5'および3'断片;ctlは、コ
ントロール;Mezは、10ng/mlのメゼレイン;IFN-βは、2,000U/mlのインターフ
ェロン-β;IFN-β+Mezは、2,000U/mlのインターフェロン-βと10ng/mlのメゼ
レイン。Cは、シクロヘキシミド(CHX)によりタンパク質合成を阻害した後のmda
-5発現のノーザンブロットの結果である。HO-1黒色腫細胞を、50μg/mlのシクロ
ヘキシミドで30分間予め処理して、記載の試薬で8時間処理した後、RNAサンプ
ルを調製した。記載の略号と試薬の濃度は、図4と同じである。 【図8】 図8A〜Cは、mda-5のタンパク質発現を示す。Aは、in vitro翻訳したmda-5
cDNAの9%SDS-PAGEのオートラジオグラムである。β-ガラクトシダーゼは、ポ
ジティブコントロールとして用いた。Bは、9%SDS-PAGEで解析したmda-5融合タ
ンパク質のウェスタンブロット解析の結果である。タンパク質抽出物は、記載の
発現ベクターで一過性トランスフェクトした293T細胞から調製した。トランスフ
ェクションとイムノブロットの詳細は、材料と方法の欄に記載した。Cは、mda-
5タンパク質の細胞内分布である。記載の融合タンパク質で一過性トランスフェ
クトした293T細胞をマウントして蛍光共焦点顕微鏡(400倍)で観察した。 【図9】 図9は、mda-5の異所発現のHO-1黒色腫細胞のG418-耐性コロニー形成に対する
効果を示す。HO-1黒色腫細胞は、材料および方法の欄に記載したとおりにトラン
スフェクトしてG418で選択した。約50個以上の細胞を含むギムザ染色で染色され
たコロニーを計数した。結果は、2つの異なるプラスミドのバッチを用いた3回
の独立したトランスフェクション(各トランスフェクションあたり3枚のプレー
トを用いた)の結果からの平均±標準誤差で示す。 【図10】 図10は、mda-5遺伝子の近位プロモーター領域の配列であり、目印とする制
限酵素部位も示している。開始メチオニンコドンは、四角で囲んで示している。
本文中に記載の通りATGを除去して内部欠失体とするために用いたBstXI部位も四
角で囲んで示している。 【図11】 図11は、恒常的に組込まれたmda-5レポーター構築物のプロモーター活性に
ついての、恒常的ヒトHO-1黒色腫クローンスクリーニングを示す。トランスフェ
クトしたHO-1細胞をピューロマイシン薬剤選択で選択し、各コロニーをIFN-βの
存在下でルシフェラーゼ活性の誘導について分析した。値は、ルシフェラーゼ活
性の未誘導の値に対して何倍変化したかという値で示している。 【図12】 図12は、mda-5プロモーター活性の誘導キネティクスを示す。恒常的クロー
ン#20および#40をIFN-βで処理して、サンプルを回収し記載の時点でルシフェ
ラーゼ活性を分析した。 【図13】 図13は、IFN-βに対するmda-5プロモーターの応答性を示す。恒常的クロー
ン#20および#40をIFN-βで処理して、サンプルを回収し48時間後にルシフェラ
ーゼ活性を分析した。活性の強度は、等タンパク質含量として標準化し、各クロ
ーンについて2連で実施した。 【図14】 図14A〜Bは、種々の誘導剤に対する、mda-5プロモーターの応答性を示す
。Aは、HO-1細胞を、mda-5レポーターで一過性トランスフェクトして、等ユニ
ット数のIFN-α、β、γ、およびTNF-α、ならびにポリIC:ICで48時間処理した
。ルシフェラーゼ活性は、未処理のコントロール細胞に比べて何倍増大したかで
示している。Bは、クローン#40を等ユニット数の記載のIFNで48時間処理し、
ルシフェラーゼ活性が、未処理の細胞について測定した活性に比べて増大した倍
数を示している。 【図15】 図15は、二本鎖RNAによるmda-5プロモーター活性の誘導キネティクスを示す
。恒常的クローン#20および#40を2μg/mlのポリIC:ICで処理して、サンプルを
回収し、記載の時点でルシフェラーゼ活性について分析した。 【配列表】
【手続補正書】 【提出日】平成14年10月30日(2002.10.30) 【手続補正1】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】特許請求の範囲 【補正方法】変更 【補正の内容】 【特許請求の範囲】 【請求項1】 黒色腫分化関連遺伝子-5(Mda-5)ポリペプチドをコードす
る配列番号1に示す配列を含む単離された核酸。 【請求項2】 Mda-5と機能的に同等なポリペプチドをコードする配列番号
1の配列の誘導体を含む単離された核酸。 【請求項3】 請求項1記載の単離された核酸の断片であって、癌細胞増殖
抑制、アポトーシスまたは抗ウイルス活性を特徴とする、Mda-5の生物学的活性
を有するポリペプチドをコードする断片。 【請求項4】 配列番号1に示すDNAまたはその相補鎖にハイブリダイズす
る核酸。 【請求項5】 請求項1、2または4記載の核酸を含むベクター。 【請求項6】 請求項5記載のベクターを含む宿主細胞。 【請求項7】 請求項5記載のベクターで恒常性形質転換した、請求項6記
載の宿主細胞。 【請求項8】 腫瘍細胞である、請求項6記載の宿主細胞。 【請求項9】 メラノサイトである、請求項6記載の宿主細胞。 【請求項10】 不死化細胞である、請求項6記載の宿主細胞。 【請求項11】 腫瘍細胞が、黒色腫細胞、神経芽腫細胞、星状細胞腫細胞
、多形性膠芽腫細胞、子宮頚癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞または前立腺癌細胞で
ある、請求項8記載の宿主細胞。 【請求項12】 化合物が細胞におけるMda-5遺伝子発現の誘導剤であるか
否かを決定する方法であって、 (a) 配列番号1に示す配列を有するMda-5またはその機能的等価物をコードす
る核酸を含む細胞を、第1化合物と接触させ; (b) 第1化合物の存在下で細胞によって(i)生成されるMda-5 mRNAまたは(ii)
発現されるMda-5ポリペプチドのいずれかのレベルを測定し; (c) ステップ(b)において測定されたMda-5 mRNAまたはポリペプチドの発現レ
ベルを、第1化合物の非存在下で測定された該レベルと比較して、第1化合物が細
胞におけるMda-5遺伝子発現の誘導剤であるか否かを決定すること; を含む上記方法。 【請求項13】 第1化合物が、分子量が約5キロダルトン以下の有機低分子
である、請求項12記載の方法。 【請求項14】 第1化合物が、インターフェロン-α、インターフェロン-
β、インターフェロン-γ、TNF-α、ウイルスまたは二本鎖RNA分子である、請求
項12記載の方法。 【請求項15】 細胞がHO-1ヒト黒色腫細胞である、請求項12記載の方法
。 【請求項16】 細胞が、黒色腫細胞、神経芽腫細胞、星状細胞腫細胞、多
形性膠芽腫細胞、子宮頚癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞または前立腺癌細胞である
、請求項12記載の方法。 【請求項17】 測定されたMda-5遺伝子発現レベルが化合物の非存在下で
測定されたMda-5遺伝子発現のレベルに比べて10〜1000倍高いことを特徴とする
、請求項12記載の方法。 【請求項18】 ステップ(a)において、Mda-5発現を誘導する第1化合物と
相乗効果を示す第2化合物を細胞と接触させることを特徴とする、請求項12記
載の方法。 【請求項19】 ステップ(a)において、Mda-5発現を誘導する第1化合物の
アンタゴニストである第2化合物を細胞および第1化合物と混合することを特徴と
する、請求項12記載の方法。 【請求項20】 第2化合物が、分子量が約10キロダルトン以下の低分子で
ある、請求項18または19記載の方法。 【請求項21】 Mda-5をコードする配列番号2に示すアミノ酸配列を有す
る単離されたポリペプチド。 【請求項22】 配列番号2に示す配列を有するポリペプチドに特異的に結
合する単離された抗体。 【請求項23】 抗体がモノクローナル抗体である、請求項22記載の抗体
。 【請求項24】 有効量の請求項12記載の方法により同定された化合物と
薬学的に許容される担体とを患者に投与して、患者において癌細胞の最終分化を
誘導して癌を治療することを含む、癌を罹っている患者の癌を治療する方法。 【請求項25】 癌が、黒色腫、神経芽細胞腫、星状細胞腫、多形性膠芽腫
、子宮頚癌、乳癌、大腸癌、前立腺癌、骨肉腫または軟骨肉腫である、請求項2
4記載の方法。 【請求項31】 癌が患者の中枢神経系の癌である、請求項24記載の方法
。 【請求項32】 投与が、注射、経口投与、局所投与、アデノウイルス感染
、リポソーム介在型送達、患者の癌への局所適用、または微量注入により行われ
る、請求項24記載の方法。 【請求項33】 担体が、水性担体、リポソームまたは液体担体である、請
求項24記載の方法。 【請求項34】 基質から最終産物への変換をモニターすることを含む、化
合物が、Mda-5ポリペプチドの酵素活性を変化させるか否かを判定するためのア
ッセイ。 【請求項35】 モニターされる酵素活性がヘリカーゼ活性である、請求項
34記載のアッセイ。 【請求項36】 配列番号3に示す黒色腫分化関連遺伝子-5(mda-5)プロモ
ーターの配列を含む単離された核酸。 【請求項37】 配列番号3の核酸配列に対して90%の相同性を有するmda- 5プロモーターを含む単離された核酸。 【請求項38】 請求項36または37に記載の単離された核酸を含むベク ター。 【請求項39】 単離された核酸が、治療用遺伝子に機能し得る形で連結さ れていることを特徴とする、請求項38記載のベクター。 【請求項40】 治療用遺伝子が自殺遺伝子である、請求項39記載のベク ター。 【請求項41】 自殺遺伝子が、酵素をコードする遺伝子、癌遺伝子、腫瘍 抑制遺伝子、毒素をコードする遺伝子、サイトカインをコードする遺伝子および オンコスタチンをコードする遺伝子からなる群より選択される、請求項40記載 のベクター。 【請求項42】 酵素をコードする遺伝子が、単純ヘルペスウイルスチミジ ンキナーゼ遺伝子、大腸菌キサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラ
ーゼ遺伝子、大腸菌シトシンデアミナーゼ遺伝子および大腸菌ヒポキサンチンホ スホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子からなる群より選択される、請求項41 記載のベクター。 【請求項43】 癌遺伝子が、neu遺伝子、上皮細胞増殖因子(EGF)遺伝子、 ras遺伝子およびp53遺伝子からなる群より選択される、請求項41記載のベクタ ー。 【請求項44】 腫瘍抑制遺伝子が、網膜芽細胞腫(Rb)腫瘍抑制遺伝子、ウ ィルムス腫瘍(WT-1)遺伝子、ホスホチロシンホスファターゼ(PTPase)遺伝子およ びnm23遺伝子からなる群より選択される、請求項41記載のベクター。 【請求項45】 毒素をコードする遺伝子が、緑膿菌(Pseudomonas aerugi nosa)外毒素Aをコードする遺伝子、緑膿菌外毒素Sをコードする遺伝子、ジフ テリア菌(Corynebacterium diphtheriae)ジフテリア毒素をコードする遺伝子、
大腸菌LT毒素をコードする遺伝子、大腸菌志賀毒素をコードする遺伝子、大腸菌 志賀毒素様毒素1をコードする遺伝子、大腸菌志賀毒素様毒素2をコードする遺伝 子、ヒマ(Ricinus communis)毒素リシンをコードする遺伝子、アブラス・プレカ トリウス(Abrus precatorius)毒素アブリンおよびその変異体をコードする遺伝
子ならびにゲロニウム・マルチフロラム(Gelonium multiflorum)毒素ゲロニンを コードする遺伝子からなる群より選択される、請求項41記載のベクター。 【請求項46】 サイトカインをコードする遺伝子が、インターフェロン-
αをコードする遺伝子、インターフェロン-βをコードする遺伝子、インターフ
ェロン-γをコードする遺伝子、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子をコ
ードする遺伝子、腫瘍壊死因子αをコードする遺伝子および腫瘍壊死因子βをコ ードする遺伝子からなる群より選択される、請求項41記載のベクター。 【請求項47】 ベクターが、アデノウイルス、レトロウイルスベクター、 アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、エプスタイン-
バーウイルス、バクテリオファージ、プラスミド、コスミドおよびレプリコンか らなる群より選択される、請求項38記載のベクター。 【請求項48】 有効量の請求項47記載のベクターと薬学的に許容される 担体とを患者に投与することを含む、癌を罹っている患者の癌を治療する方法。 【請求項49】 癌が、黒色腫、神経芽細胞腫、星状細胞腫、多形性膠芽腫 、子宮頚癌、乳癌、大腸癌、肺癌、前立腺癌、骨肉腫または軟骨肉腫である、請 求項48記載の方法。 【手続補正2】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0163 【補正方法】変更 【補正の内容】 【0163】 タンパク質データベースに現存するタンパク質のモチーフおよびプロフィール
走査を用いたMDA-5タンパク質の電子的配列分析により、2つの保存されたドメ
イン、すなわちカスパーゼ動員ドメイン(CARD)およびRNAヘリカーゼドメインが
同定された。RAIDDおよびICH-1アミノ末端領域内における一般化(generalized)
プロフィールアライメントにより定義されたCARDドメインは、Mch6、ICE、ICH-2
、c-IAP1、c-IAP2およびCed-3などの様々なアポトーシス分子に存在する。現存
する証拠は、CARDの生物学的役割が、アポトーシスシグナリング受容体複合体へ
のカスパーゼの動員であることを示唆する(19)。MDA-5のN末端にある50アミノ
酸(アミノ酸125-174)と、他のCARDタンパク質との配列アライメントから、CARD
の保存されたアミノ酸において有意な配列相同性が明らかになった(図1B)。MD
A-5は、TNF-R1仲介型アポトーシスシグナル形質導入に関与するRAIDDのCARD領域
に対して最も高い相同性を示す(図1C)(19)。MDA-5のC末端の100アミノ酸(ア
ミノ酸722-823)はまた、RNA結合および二本鎖RNAの巻戻しに関与するRNAヘリカ
ーゼC末端保存ドメインに対して有意な配列相同性を示す(図1D)(20)。さらに
、他のRNAヘリカーゼと共に、MDA-5はATPアーゼAおよびBモチーフも含む(331-
TGSGKT;配列番号14および443-DECH;配列番号15)(図1D)(20)。しかし、M
DA-5は、そのヘリカーゼC末端モチーフおよびATPアーゼAモチーフにおいて独
特の特徴を有している。MDA-5は、他のRNAヘリカーゼにおけるRNA結合に重要な
よく保存されたYIHRIGRXXR(配列番号17)モチーフの代わりにARGRA(配列番
号16)を有している(20)。MDA-5のATPアーゼモチーフ(LPTGSGKT;配列番号1
)はまた、他のRNAヘリカーゼにおいて見とめられるコンセンサス配列モチーフ
(A/GXXGXGKT;配列番号19)とは異なる(20)。さらに、MDA-5は、変更されたRNA
結合モチーフおよびATPアーゼAモチーフの両方を保持する最初の推定RNAへリカ
ーゼである。これらのモチーフを両方含む相同配列についてのSwissProtデータ
ベースのスクリーニングにより、推定ヘリカーゼをコードする3つの酵母仮定OR
Fが同定された(Gen Bank受託番号Q09884、Q58900、およびP34529)。MDA-5および
これらの酵母タンパク質において保存されているユニークな特徴は、MDA-5が新
規ヘリカーゼファミリーのメンバーであることを示しているかもしれない。RNA
ヘリカーゼは、RNAスプライシング、RNA編集、RNA核細胞質型輸送、転写、およ
びdsRNAのATP依存型巻戻しによるウイルス複製などの多様な細胞性プロセスに関
与することが知られている(20)。しかし、MDA-5のユニークな構造に基づき、生
物学的役割をこの新規分子および新規ヘリカーゼファミリーに帰することは現時
点では不可能である。 【手続補正3】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0184 【補正方法】変更 【補正の内容】 【0184】 MDA-5タンパク質内に存在する他の明確なモチーフは、RNAヘリカーゼのシグネ
チャードメインであり、該ドメインはこの分子のC末端側半分にわたり広がって
いる。RNAヘリカーゼは、ヘリカーゼモチーフを有する酵素のファミリーであっ
て、これは、NTP依存型dsRNA巻戻し活性を潜在的に触媒する。RNAヘリカーゼの
間ではコア残基が保存されているのみならず、これらの残基間のスペースも、異
なるRNAヘリカーゼにおいて保存されている。3つの主な特徴が、RNAヘリカーゼ
をN末端からC末端にかけて特徴づける。すなわち、ATPアーゼAモチーフ(GXXGXG
KT)、ATPアーゼBモチーフ(DEAD;配列番号20、DEAH;配列番号21またはDE
XH;配列番号22)、およびRNA相互作用のための必須ドメイン(HRIGRXXR;配
列番号23)である。RNAヘリカーゼは、それらのATPアーゼBモチーフに基づい
て3つのサブグループに分類される。RNAヘリカーゼは、RNAのプロセッシングお
よび転写、核RNAおよびミトコンドリアRNAのスプライシング、RNAの編集、リボ
ソームの生物発生、核細胞質ゾルRNA送出、非センスRNAの変性およびRNA翻訳に
関連する工程の大部分に関与する。したがって、RNAヘリカーゼは、細胞の分化
、増殖、発生およびウイルスのライフサイクルを含む多くの生物学的現象に影響
を及ぼす。RNAヘリカーゼは3つのサブグループに分類されるが、これらのグル
ープの生物学的関連性は、まだ定義されていない。さらに、多くの推定RNAヘリ
カーゼの酵素活性はまだ確認されていない。これは、一部には、これらの酵素が
多様であるために、適当な基質および標準的なプロトコールがないからである。 【手続補正4】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0185 【補正方法】変更 【補正の内容】 【0185】 RNAヘリカーゼの非常に良く保存された特質にもかかわらず、MDA-5は、機能の
多様性を媒介し得る4つのユニークな特徴を含む。そのN末端領域にあるMDA-5の
CARDドメインは、この領域の機能的重要性は現在調査中であるが、これまでに同
定された何れのヘリカーゼにも見られない。mda-5のATPアーゼAモチーフはユニ
ークであり、他のRNAヘリカーゼの中に見られる配列(GXXGXGKT)とは対照的にL
PTGSGKTを含み、マウスeIF-4Aの最初のグリシン残基がバリンに突然変異すると
、ATP結合能が消失する。ロイシンはバリンと同じく非極性アミノ酸であるが、
バリンよりも嵩高い側鎖を有するので、MDA-5はATPに効率良く結合せず、したが
って、ATPアーゼ欠陥ヘリカーゼとなったり、または異なるエネルギー源および/
または金属を活性のために必要としたりする場合がある。MDA-5のこの特性によ
り、MDA-5タンパク質のこの領域を欠くmda-5の突然変異体の発現によりコロニー
形成効率が低下することが説明できる。in vitroでのRNA結合にとって重要なHRI
GRXXRモチーフはMDA-5(ARGRI;配列番号24)の中に良く保存されていない。M
DA-5タンパク質におけるこのような配列多様性の機能的役割は、まだ決定されて
いない。3つの酵母推定ORFは共に、ATPアーゼおよびRNA結合部位を含むMDA-5の
特定の特徴を有するが、これらの生物学的機能は確認されていない。これらのタ
ンパク質間の相補性アッセイ(complementation assay)は、これらの分子間の
機能的および進化的関係についての洞察を提供し得る。 【手続補正5】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0195 【補正方法】変更 【補正の内容】 【0195】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/82 C07K 16/32 4C084 16/32 C12Q 1/02 4H045 C12N 5/10 1/25 C12Q 1/02 C12P 21/08 1/25 C12N 15/00 ZNAA // C12P 21/08 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD, GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG, MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,P T,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL ,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US, UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 フィッシャー,ポール,ビー アメリカ合衆国 10583 ニューヨーク州, スカースデール,ゴードン プレイス 15 (72)発明者 カング,ドング−チュル アメリカ合衆国 07070 ルーサーフォー ド ユニオン アヴェニュー 200,アパ ートメント エー. (72)発明者 ゴパルクリシュナン,ラウル,ヴィー. アメリカ合衆国 10024 ニューヨーク州, ニューヨーク,79ティーエイチ ストリー ト ウエスト 302,アパートメント 2 エー Fターム(参考) 4B024 AA01 BA21 BA36 CA04 DA03 EA02 FA02 GA11 HA17 4B063 QA18 QQ08 QQ42 QR01 QR32 QS31 4B064 AG27 CA10 CA19 CC24 DA05 4B065 AA90X AA99Y AB01 AC20 BA02 CA44 4C076 AA16 AA19 BB01 BB11 CC27 4C084 AA17 MA23 MA24 MA52 MA66 NA14 ZB261 4H045 AA10 AA11 AA30 BA10 CA41 DA76 DA86 EA28 FA74

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 黒色腫分化関連遺伝子-5(Mda-5)ポリペプチドをコードす
    る配列番号1に示す配列を含む単離された核酸。 【請求項2】 Mda-5と機能的に同等なポリペプチドをコードする配列番号
    1の配列の誘導体を含む単離された核酸。 【請求項3】 請求項1記載の単離された核酸の断片であって、癌細胞増殖
    抑制、アポトーシスまたは抗ウイルス活性を特徴とする、Mda-5の生物学的活性
    を有するポリペプチドをコードする断片。 【請求項4】 配列番号1に示すDNAまたはその相補鎖にハイブリダイズす
    る核酸。 【請求項5】 請求項1、2または4記載の核酸を含むベクター。 【請求項6】 請求項5記載のベクターを含む宿主細胞。 【請求項7】 請求項5記載のベクターで恒常性形質転換した、請求項6記
    載の宿主細胞。 【請求項8】 腫瘍細胞である、請求項6記載の宿主細胞。 【請求項9】 メラノサイトである、請求項6記載の宿主細胞。 【請求項10】 不死化細胞である、請求項6記載の宿主細胞。 【請求項11】 腫瘍細胞が、黒色腫細胞、神経芽腫細胞、星状細胞腫細胞
    、多形性膠芽腫細胞、子宮頚癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞または前立腺癌細胞で
    ある、請求項8記載の宿主細胞。 【請求項12】 化合物が細胞におけるMda-5遺伝子発現の誘導剤であるか
    否かを決定する方法であって、 (a) 配列番号1に示す配列を有するMda-5またはその機能的等価物をコードす
    る核酸を含む細胞を、第1化合物と接触させ; (b) 第1化合物の存在下で細胞によって(i)生成されるMda-5 mRNAまたは(ii)
    発現されるMda-5ポリペプチドのいずれかのレベルを測定し; (c) ステップ(b)において測定されたMda-5 mRNAまたはポリペプチドの発現レ
    ベルを、第1化合物の非存在下で測定された該レベルと比較して、第1化合物が細
    胞におけるMda-5遺伝子発現の誘導剤であるか否かを決定すること; を含む上記方法。 【請求項13】 第1化合物が、分子量が約5キロダルトン以下の有機低分子
    である、請求項12記載の方法。 【請求項14】 第1化合物が、インターフェロン-α、インターフェロン-
    β、インターフェロン-γ、TNF-α、ウイルスまたは二本鎖RNA分子である、請求
    項12記載の方法。 【請求項15】 細胞がHO-1ヒト黒色腫細胞である、請求項12記載の方法
    。 【請求項16】 細胞が、黒色腫細胞、神経芽腫細胞、星状細胞腫細胞、多
    形性膠芽腫細胞、子宮頚癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞または前立腺癌細胞である
    、請求項12記載の方法。 【請求項17】 測定されたMda-5遺伝子発現レベルが化合物の非存在下で
    測定されたMda-5遺伝子発現のレベルに比べて10〜1000倍高いことを特徴とする
    、請求項12記載の方法。 【請求項18】 ステップ(a)において、Mda-5発現を誘導する第1化合物と
    相乗効果を示す第2化合物を細胞と接触させることを特徴とする、請求項12記
    載の方法。 【請求項19】 ステップ(a)において、Mda-5発現を誘導する第1化合物の
    アンタゴニストである第2化合物を細胞および第1化合物と混合することを特徴と
    する、請求項12記載の方法。 【請求項20】 第2化合物が、分子量が約10キロダルトン以下の低分子で
    ある、請求項18または19記載の方法。 【請求項21】 Mda-5をコードする配列番号2に示すアミノ酸配列を有す
    る単離されたポリペプチド。 【請求項22】 配列番号2に示す配列を有するポリペプチドに特異的に結
    合する単離された抗体。 【請求項23】 抗体がモノクローナル抗体である、請求項22記載の抗体
    。 【請求項24】 有効量の請求項12記載の方法により同定された化合物と
    薬学的に許容される担体とを患者に投与して、患者において癌細胞の最終分化を
    誘導して癌を治療することを含む、癌を罹っている患者の癌を治療する方法。 【請求項25】 癌が、黒色腫、神経芽細胞腫、星状細胞腫、多形性膠芽腫
    、子宮頚癌、乳癌、大腸癌、前立腺癌、骨肉腫または軟骨肉腫である、請求項2
    4記載の方法。 【請求項31】 癌が患者の中枢神経系の癌である、請求項24記載の方法
    。 【請求項32】 投与が、注射、経口投与、局所投与、アデノウイルス感染
    、リポソーム介在型送達、患者の癌への局所適用、または微量注入により行われ
    る、請求項24記載の方法。 【請求項33】 担体が、水性担体、リポソームまたは液体担体である、請
    求項24記載の方法。 【請求項34】 、基質から最終産物への変換をモニターすることを含む、
    化合物が、Mda-5ポリペプチドの酵素活性を変化させるか否かを判定するための
    アッセイ。 【請求項35】 モニターされる酵素活性がヘリカーゼ活性である、請求項
    34記載のアッセイ。
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