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JP2003335860A - 球状ポリメチルフェニルシルセスキオキサン微粒子およびその製造方法 - Google Patents

球状ポリメチルフェニルシルセスキオキサン微粒子およびその製造方法

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Publication number
JP2003335860A
JP2003335860A JP2002144532A JP2002144532A JP2003335860A JP 2003335860 A JP2003335860 A JP 2003335860A JP 2002144532 A JP2002144532 A JP 2002144532A JP 2002144532 A JP2002144532 A JP 2002144532A JP 2003335860 A JP2003335860 A JP 2003335860A
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JP
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fine particles
solution
spherical
particle size
polymethylphenylsilsesquioxane
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Yukinobu Harada
幸伸 原田
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Momentive Performance Materials Japan LLC
Original Assignee
GE Toshiba Silicones Co Ltd
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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    • C08G77/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage containing silicon with or without sulfur, nitrogen, oxygen or carbon in the main chain of the macromolecule
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    • C08G77/06Preparatory processes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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    • C08G77/04Polysiloxanes
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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    • C08G77/18Polysiloxanes containing silicon bound to oxygen-containing groups to alkoxy or aryloxy groups

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平均粒子径が大きく粒度分布がシャープであ
り、高濃度下でも真球状のシリコーン微粒子およびその
製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明の製造方法は、(A)(a)メチ
ルトリアルコキシシランと、(b)フェニルトリアルコ
キシシランとの混合物を、酸性水中で加水分解してシラ
ノ−ル溶液を得る工程と、(B)前記シラノ−ル溶液に
アルカリ性水溶液を添加、混合し、それを静置状態にお
いて、メチルシラントリオールとフェニルシラントリオ
ールおよび/またはそれらの部分縮合物を重縮合反応さ
せ、球状ポリメチルフェニルシルセスキオキサン微粒子
を形成する工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真球状でかつ単分
散な粒度分布を有するポリメチルフェニルシルセスキオ
キサン微粒子およびその製造方法に係わり、さらに詳し
くは、平均粒子径が大きく粒度分布がシャープで粒径が
揃った真球状のポリメチルフェニルシルセスキオキサン
微粒子、およびその製造方法に関する。また、理論樹脂
濃度が高い状態でも、粒度分布がシャープで粒径の揃っ
た真球状のポリメチルフェニルシルセスキオキサン微粒
子、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、球状ポリオルガノシルセスキ
オキサン微粒子を得る方法としては、次のような方法が
知られている。
【0003】特開昭63−77940号公報には、メチ
ルトリアルコキシシランおよび/またはその部分加水分
解物、あるいはメチルトリアルコキシシランおよび/ま
たはその部分加水分解物と有機溶剤との混合液を上層に
し、アンモニアおよび/またはアミンと有機溶剤との混
合液を下層にして、それらの界面でメチルトリアルコキ
シシランおよび/またはその部分加水分解物を加水分解
・重縮合させて、平均粒子径の±30%の範囲と粒径の
揃った球状ポリメチルシルセスキオキサン微粒子を得る
方法が開示されている。
【0004】この方法で得られるポリメチルシルセスキ
オキサン微粒子は、粒子の形状が真球状で、疎水性が高
く、凝集性が小さく、比重が小さいという特徴を有して
いるので、そのような特性を生かして、塗料、プラスチ
ック、ゴム、化粧品、紙などへの滑り性付与、分散性向
上、光拡散機能付加を目的とした改質用添加剤として用
いられている。
【0005】しかしながら、このような球状ポリメチル
シルセスキオキサン微粒子の製造方法は、メチルトリア
ルコキシシランおよび/またはその部分加水分解物を加
水分解・重縮合する反応界面の維持が繁雑であり、時間
と装置容積に対する生産効率が低いという問題があっ
た。
【0006】特願平8−203484号には、オルガノ
トリアルコキシシランを加水分解して得られるオルガノ
シラントリオールおよび/またはその部分縮合物の水/
アルコール溶液に、アルカリ性水溶液を添加し、混合後
静置することにより球状ポリメチルシルセスキオキサン
微粒子を製造する方法が提案されている。この製造方法
によれば、加水分解・重縮合する反応界面の維持を必要
としないため、均一な反応状態によって加水分解・重縮
合反応を行うことができ、時間と装置容積に対する生産
効率か大幅に改善される。
【0007】しかしながら、この方法では、平均粒径と
粒度分布の精密な制御が難しいという問題があった。
【0008】この問題を解決するため、本発明者らは、
メチルトリアルコキシシランを加水分解して得られるメ
チルシラントリオールおよび/またはその部分縮合物の
水/アルコール溶液を得る工程において、加水分解に用
いる水の電導度および酸触媒の電導度を調整することに
より反応を制御し、平均粒径が1〜10μmの範囲でし
かも粒径の標準偏差のばらつきが小さい微粒子、好まし
くは標準偏差が平均粒径の10%以下に制御された球状
ポリメチルシルセスキオキサン微粒子を製造する方法を
提案した(特開平10−45914号公報参照)。
【0009】この方法で得られる球状ポリメチルシルセ
スキオキサン微粒子は,それ以前に提案された製造方法
により得られる粒子に比較して、平均粒子径が制御され
ているので、プラスチックに配合して液晶表示装置の光
拡散板を製造するための光拡散材料や、高画質用ビデオ
テープの走行安定性を高めるための滑り性付与剤として
用いられている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法では、理論樹脂濃度が7.5%以下であることを必要
とするため、生産性の向上が難しく、また平均粒径が1
0μm以上の粒子を得ることができなかった。
【0011】最近、球状ポリオルガノシルセスキオキサ
ン微粒子を配合した応用製品の増加に伴い、性能のさら
なる向上やコストダウンが望まれている。そのため、球
状ポリオルガノシルセスキオキサン微粒子の平均粒径や
粒度分布が極めて重要であり、粒子径の制御やばらつき
の減少である単分散化がよりいっそう望まれている。ま
た、高機能化・高付加価値化も望まれており、さらにコ
ストダウンの観点から、より高濃度での製造が要求され
ている。
【0012】因みに、特開2002−47348公報に
は、平均粒子径が3〜30μmの球状ポリオルガノシル
セスキオキサン粒子を再現性良く製造する方法として、
金属イオンを共存させたアルカリ水溶液中に、メチルト
リアルコキシシラン、フェニルトリアルコキシシランの
ようなオルガノトリアルコキシシランまたはその加水分
解物等を滴下し、加水分解・縮合反応を行わせる方法が
開示されている。
【0013】しかしながら、この方法においては、粒度
分布が十分に狭いものが得られないばかりでなく、加水
分解・縮合反応工程で金属イオンが存在しているため、
生成物である球状シリコーン微粒子に金属イオンが残留
し、電気特性の低下や機械的特性の劣化を引き起こすお
それがあった。
【0014】本発明は、このような問題を解消するため
になされたもので、理論樹脂濃度7.5%以上でも1〜
30μmの平均粒子径を有し、粒度分布がシャープで粒
径が揃った真球状のポリオルガノシルセスキオキサン微
粒子、およびそのようなポリオルガノシルセスキオキサ
ン微粒子を効率よく製造する方法を提供することを目的
とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の球状ポリメチル
フェニルシルセスキオキサン微粒子は、フェニルトリシ
ロキシ単位およびメチルトリシロキシ単位から成り、前
記フェニルトリシロキシ単位と前記メチルトリシロキシ
単位とのモル比が0.01〜13である球状ポリメチル
フェニルシルセスキオキサン微粒子であり、平均粒子径
が1〜30μmであるか、25%粒径と75%粒径との
比が0.9以上であることの少なくとも一方を満足させ
ることを特徴とする。
【0016】本発明の球状ポリメチルフェニルシルセス
キオキサン微粒子の製造方法は、(A)(a)一般式:
CHSi(OR………(I)(式中、Rは置
換または非置換のアルキル基を表す。)で表されるメチ
ルトリアルコキシシランと、(b)一般式:C
Si(OR………(II)(式中、Rは置換ま
たは非置換のアルキル基を表す。)で表されるフェニル
トリアルコキシシランとの混合物を、酸性水中で加水分
解して、メチルシラントリオールおよび/またはその部
分縮合物とフェニルシラントリオールおよび/またはそ
の部分縮合物の溶液を得る工程と、(B)前記メチルシ
ラントリオールとフェニルシラントリオールおよび/ま
たはそれらの部分縮合物の溶液に、アルカリ性水溶液を
添加、混合し、この混合溶液を静置状態において、前記
メチルシラントリオールとフェニルシラントリオールお
よび/またはそれらの部分縮合物を重縮合反応させ、球
状ポリメチルフェニルシルセスキオキサン微粒子を形成
する工程を有することを特徴とする。
【0017】本発明においては、(A)の加水分解工程
で出発物質として、(a)メチルトリアルコキシシラン
と(b)フェニルトリアルコキシシランとを併用するこ
とにより、平均粒子径が大きくかつ高濃度でも粒度分布
が狭い真球状のポリオルガノシルセスキオキサン微粒子
を得ることができる。
【0018】また、重縮合反応の結果、フェニル基を含
有するポリメチルフェニルシルセスキオキサンが生成さ
れるので、耐熱性に優れた球状シリコーン微粒子が得ら
れる。また、(a)メチルトリアルコキシシランと
(b)フェニルトリアルコキシシランとの配合比を変え
ることで、微粒子の屈折率を1.43〜1.57の範囲
で変えることもできる。
【0019】さらに本発明では、(B)の重縮合反応工
程で金属イオンが使用されていないので、生成物に金属
イオンが残留することがなく、電気特性の低下や機械的
特性の劣化が生じない。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について説明
する。
【0021】本発明の製造方法の第1の工程である
(A)工程は、(a)前記した一般式(I)で表される
メチルトリアルコキシシランと、(b)前記一般式(I
I)で表されるフェニルトリアルコキシシランとの混合
物を、酸性条件下で加水分解して、メチルシラントリオ
ールとフェニルシラントリオールおよび/またはそれら
の部分縮合物の溶液を得る工程である。
【0022】本発明に用いられるメチルトリアルコキシ
シランとしては、公知の方法でメチルトリクロロシラン
を適当なアルコールでアルコキシ化したものを使用する
ことができる。
【0023】すなわち、一般式(I)におけるRが、
メチル基、エチル基、ブチル基のようなアルキル基;お
よび2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2
−プロポキシエチル基、2−ブトキシエチル基のような
アルコキシ置換炭化水素基であるものが例示される。加
水分解速度が大きいことから、メチル基、エチル基、お
よび2−メトキシエチル基が好ましく、特にメチル基が
好ましい。このような好ましいメチルトリアルコキシシ
ランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリ
エトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、
メチルトリイソプロポキシシランおよびメチルトリス
(2−メトキシエトキシ)シランが例示され、1種また
は2種以上を混合したものが用いられる。
【0024】本発明に用いられるフェニルトリアルコキ
シシランとしては、公知の方法によりフェニルトリクロ
ロシランを適当なアルコールでアルコキシ化したものを
使用し得る。すなわち、一般式(II)におけるRが、
メチル基、エチル基、ブチル基のようなアルキル基;お
よび2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2
−プロポキシエチル基、2−ブトキシエチル基のような
アルコキシ置換炭化水素基であるものが例示される。加
水分解速度が大きいことから、メチル基、エチル基、お
よび2−メトキシエチル基が好ましく、特にメチル基が
好ましい。このような好ましいフェニルトリアルコキシ
シランとしては、フェニルトリメトキシシラン、フェニ
ルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシ
シラン、フェニルトリイソプロポキシシランおよびフェ
ニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランが例示さ
れ、1種または2種以上混合したものが用いられる。
【0025】メチルトリアルコキシシランおよびフェニ
ルトリアルコキシシランの加水分解は、水に酸性触媒を
加えた酸性水中で行われる。アルコキシシラン中に微量
に含まれる酸を、触媒として利用してもよい。しかし、
多量の酸は粒度分布に影響を与えるため、その使用量
は、2〜600μS/cmの範囲内に抑える必要があ
る。なお、本発明において、酸やアルカリの濃度単位に
電気伝導度を用いたのは、酸やアルカリの使用量が非常
に小さく、重量単位では誤差が大きくなるためである。
【0026】酸性触媒に用いられる酸としては、有機
酸、無機酸のいずれも使用可能である。有機酸として
は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸な
どを例示することができる。電気伝導度の制御が容易
で、かつ生成したメチルシラントリオールおよびフェニ
ルシラントリオールの部分縮合反応の制御が容易である
ことから、酢酸が特に好ましい。
【0027】無機酸としては、最終的に得られるポリメ
チルフェニルシルセスキオキサン微粒子の用途を制限す
るようなイオン性物質などの不純物を残さないものであ
れば、どのような無機酸でも使用可能である。入手が容
易であることから、塩酸が特に好ましい。
【0028】加水分解に使用する水としては、電気伝導
度が2μS/cm以下のイオン交換水が適している。酸
の使用量は、使用する水の量により異なるため、酸を水
に溶かした酸水溶液の電気伝導度により管理することが
望ましい。
【0029】本発明における加水分解に用いる酸水溶液
の電気伝導度は、2〜600μS/cmとすることが望
ましい。電気伝導度が2μS/cm未満の場合には、加
水分解反応の十分な進行が得られず、粒度分布の広い、
つまり粒子径のばらつきの大きいポリオルガノシルセス
キオキサン微粒子が生成しやすい。
【0030】また、電気伝導度が600μS/cmを超
える場合には、加水分解反応が制御しにくく、最終的に
得られるポリオルガノシルセスキオキサン微粒子の粒度
分布の制御ができなくなる。
【0031】加水分解反応に用いる水の量は、メチルト
リアルコキシシランおよびフェニルトリアルコキシシラ
ンの合計1モルに対して、1〜50モルの範囲にあるこ
とが好ましい。水の量が1モル未満の場合には加水分解
が十分に進行せず、50モルを超える場合には、最終的
に得られるポリオルガノシルセスキオキサン微粒子の収
量が低下して、生産効率が低下する。
【0032】また、本発明においては、(b)フェニル
トリアルコキシシランと(a)メチルトリアルコキシシ
ランとの混合モル比(フェニル/メチル)を、0.01
〜13の範囲に調整することが望ましい。さらに、理論
樹脂濃度を25重量%以下(シランの総仕込み割合が3
5重量%以下)とすることが望ましい。なお、理論樹脂
濃度は、出発物質であるシラン量から理論的に算出され
る樹脂量換算濃度である。
【0033】前記したフェニル/メチルのモル比が前記
範囲を外れた場合(0.01未満あるいは13を超えた
場合)には、高濃度においてシャープな粒度分布を有す
る微粒子が得られない。また、理論樹脂濃度が25重量
%よりも高い状態では、粒子生成途中で粒子間の凝集が
著しくなりゲル化が生じるため、好ましくない。
【0034】(A)工程の加水分解反応の条件は特に制
限されないが、メチルシラントリオールとフェニルシラ
ントリオールおよび/またはそれらの部分縮合物を収率
良く生成し、なおかつ平均粒子径およびその標準偏差を
精度良く制御するには、10〜60℃の温度を1〜6時
間保持した状態で反応を行うことが好ましい。
【0035】このようにして、メチルトリアルコキシシ
ランおよびフェニルトリアルコキシシランの加水分解に
よって、メチルシラントリオールとフェニルシラントリ
オールおよび/またはそれらの部分縮合物が、加水分解
に消費された以外の過剰の水と反応によって生成したア
ルコールまたは置換アルコールとの混合液に溶解した溶
液の形で得られる。
【0036】最終的に得られる微粒子の平均粒子径をよ
り大きくするには、フェニルトリアルコキシシランを先
に加水分解することが好ましい。
【0037】本発明の製造方法の第2の工程である
(B)工程は、(A)工程で得られた、またはさらに水
で希釈して得られたメチルシラントリオールとフェニル
シラントリオールおよび/またはそれらの部分縮合物の
水/アルコール溶液(以下、シラノール溶液という)か
ら、重縮合反応により、球状ポリオルガノシルセスキオ
キサン(ポリメチルフェニルシルセスキオキサン)微粒
子を得る工程である。
【0038】(B)工程の反応は、(A)で得られたシ
ラノール溶液にアルカリ性水溶液を速やかに添加、混合
し、均一に混合された反応系を、さらに速やかに静置状
態に置くことによって行われる。
【0039】(B)工程で用いられるアルカリ性水溶液
は、塩基性を示す水溶液であり、(A)工程で用いられ
た酸の中和剤として作用するとともに、さらに(B)工
程における重縮合反応の触媒としても作用する。
【0040】このようなアルカリ性水溶液に用いるアル
カリ性物質としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物;ア
ンモニア;およびモノメチルアミン、ジメチルアミンの
ような有機アミン類を例示することができる。得られる
球状ポリオルガノシルセスキオキサン微粒子の用途を制
限するような微量の不純物を残さないことから、これら
の中でもアンモニアおよび有機アミン類の使用が好まし
く、除去が容易なことから特にアンモニアの使用が好ま
しい。
【0041】アルカリ性水溶液の使用量は、酸を中和す
るとともに重縮合反応の触媒として有効に作用する量で
あり、また均一に混合された反応系を、ポリオルガノシ
ルセスキオキサン微粒子の生成・析出の前に、速やかに
静置状態に置くことが可能な量である。
【0042】すなわち、中和に必要な量を超えることを
前提として、例えば、濃度0.1〜0.5重量%のアン
モニア水溶液を、(A)工程で得られた、あるいはさら
に水で希釈して得られたシラノール溶液100重量部に
対して、0.5〜10重量部を使用することが好まし
い。
【0043】(B)工程においては、シラノール溶液を
反応容器に仕込み、該シラノール溶液中に、上記のアル
カリ性溶液を添加して、撹拌などの任意の手段により速
やかに均一に混合する。添加方法は、最小限の混合時間
内に有効に添加できる方法であれば特に限定されず、シ
ラノール溶液の上から添加しても、ノズルなどを介して
シラノール溶液中に送入してもよい。混合時間は、アル
カリ触媒を反応系に溶解させるのに必要な適切には最小
限の時間であり、例えば5〜30℃、好ましくは10〜
20℃の温度において、添加時間を含めて0.5〜30
分、好ましくは0.5〜10分かけて混合を行う。
【0044】均一に混合した後、系を静置して重縮合を
完結させる。静置は、好ましい平均粒子径およびシャー
プな粒度分布を可能にし、時間と装置容積に対する効率
も良好であることから、例えば上記の混合温度のまま2
〜24時間、好ましくは2〜10時間行う。
【0045】生成するポリオルガノシルセスキオキサン
微粒子の平均粒子径は、フェニル/メチルのモル比、シ
ランの仕込み組成(理論樹脂濃度)、アルカリ触媒の添
加量、アルカリ触媒添加時の温度などにより制御するこ
とができる。さらに粒径を大きくする効果を得るために
は、フェニルアルコキシシランの加水分解を先に行うこ
とが好ましい。そして、フェニル基の導入により、より
耐熱性に優れた球状シリコーン微粒子を得ることができ
る。
【0046】(B)工程で重縮合反応を行うことによ
り、球状ポリメチルフェニルシルセスキオキサン微粒子
を、水/アルコール混合液中にディスバージョンまたは
ゾルとして得ることができる。
【0047】本発明によって得られる球状ポリメチルフ
ェニルシルセスキオキサン微粒子は、ディスパージョン
またはゾルの形のまま用いることができ、また必要に応
じて、さらにろ過、乾燥、解砕などの適当な処理を施
し、微粉体として回収することもできる。
【0048】本発明の製造方法によれば、球状ポリメチ
ルフェニルシルセスキオキサン微粒子の平均粒子径の制
御と同時に、標準偏差をも平均粒子径の10%以下に制
御することができる。そして、例えば平均粒子径が1〜
30μmと大きく、粒子径の変動係数が10%以下、あ
るいは25%粒径と75%粒径との比が0.9以上と、
シャープな粒度分布を有する真球状のポリオルガノシル
セスキオキサン微粒子を得ることができる。
【0049】なお、平均粒子径に対する標準偏差の割合
(標準偏差÷平均粒子径×100)を、変動係数とす
る。また、粒径の小さい順に並べて、全体の25%番目
および75%番目に相当する粒子の粒径を、それぞれ2
5%粒径および75%粒径という。粒子径のばらつきの
程度を表わす指標として、前記した変動係数および25
%粒径と75%粒径との比の値を用いることができる。
【0050】本発明の実施形態により得られた球状ポリ
オルガノシルセスキオキサン微粒子は、有機溶媒に不溶
で、非溶融性であり、その表面は撥水性および潤滑性に
優れ、無機系粉末より比重が小さいうえに、有機系粉末
や従来のポリメチルシルセスキオキサン微粒子に比べて
耐熱性に優れ、しかも凝集性が少なく、分散性に優れる
という特徴を有している。さらに最大の特徴として、粒
子径が大きくかつ均一化され、粒度分布が狭く制御され
ることにより、これまでにない滑り性およびころがり性
付与にすぐれ、なおかつ均一な光反射あるいは光拡散作
用を有する。
【0051】したがって、このような特徴を生かして、
塗料、プラスチック、ゴム、紙、化粧品などに対する充
填剤や滑り性向上剤として、あるいは光学液晶表示装置
への光拡散機能付加を目的としたプラスチック改質用添
加剤として有用である。
【0052】以下、実施例および比較例によって、本発
明をさらに詳しく説明する。これらの例において、部は
重量部を表す。本発明は、これらの実施例によって限定
されるものではない。
【0053】実施例1 (A)工程 温度計、還流器および撹拌器を備えた反応容器に、電気
伝導度計(東亜電波工業(株)製CM−14P)を用い
て測定した電気伝導度が1.02μS/cmの水300
0部を仕込み、塩酸を添加して混合溶液の電気伝導度を
30.4μS/cmとした。この溶液を25℃で撹拌し
ながら、その中にフェニルトリメトキシシシラン200
部を添加したところ、加水分解が進行し、均一な反応溶
液が得られた。次いで、その中にメチルトリメトキシシ
ラン800部を添加したところ、加水分解が進行し、約
15分で温度が35℃まで上昇し、均一な反応溶液とな
った。さらに撹拌を2時間継続した後、20℃まで冷却
してシラノール溶液を得た。このシラノール溶液の電気
伝導度は、12.76μS/cmであった。
【0054】(B)工程 (A)工程で得られたシラノール溶液を20℃で撹拌し
ながら、0.5%のアンモニア水溶液を15部添加し、
3分間撹拌したのち、撹拌を停止して12時間静置し
た。この工程において、アンモニア水溶液を添加して約
16分後に粒子が析出し、反応容器全体が白濁した。な
お、この実施例における理論樹脂濃度は13.8%、シ
ラン総仕込み割合は25%である。
【0055】次いで、反応溶液を200メッシュの金網
を通過させてから吸引ろ過を行い、湿ケーキを得た。こ
れを200℃で12時間乾燥し、白色粉末を得た。
【0056】この粉末を電子顕微鏡で観察したところ、
粒子形状は真球状であった。また、得られた粒子の平均
粒子径(ベックマン・コールター(株)社製、粒度分布
測定装置マルチサイザーIIによる測定)は19.5μm
であった。また、粒子径の変動係数は9.0%、25%
粒径と75%粒径との比(D25/D75)は0.94
であり、極めてシャープな粒度分布を有していた。
【0057】実施例2〜4 (A)工程におけるメチルトリメトキシシランとフェニ
ルトリメトキシシシランの仕込み比(モル比)を表1に
示すように変える以外は、実施例1と同様にして、それ
ぞれ白色粉末を得た。また、比較例1として、(A)工
程でメチルトリメトキシシランのみを表1に示す組成で
配合し、実施例1と同様にして、白色粉末を得た。さら
に、比較例2として、(A)工程でメチルトリメトキシ
シランのみを表1に示す組成で加水分解し、アンモニア
を添加したところ、反応溶液全体がゲル化した。
【0058】実施例5 (A)工程において、表1に示す組成で各成分を配合
し、メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシ
シシランの添加、加水分解を同時に行った以外は、実施
例1と同様にして、白色粉末を得た。
【0059】実施例6 (A)工程におけるメチルトリメトキシシランとフェニ
ルトリメトキシシシランの仕込み比(モル比)を、表1
に示すように変える以外は、実施例1と同様にして、白
色粉末を得た。
【0060】実施例7 (A)工程において、表1に示す組成で各成分を配合
し、メチルトリメトキシシランの加水分解を行った後、
フェニルトリメトキシシシランの添加、加水分解を行っ
た。それ以外は実施例1と同様にして、白色粉末を得
た。
【0061】次に、実施例2〜7、および比較例1で得
られた粉末を、電子顕微鏡で観察したところ、いずれも
粒子形状は真球状であった。また、これらの粒子の平均
粒子径と粒子径の変動係数、および25%粒径と75%
粒径との比(D25/D75)を、実施例1と同様にし
てそれぞれ測定した。測定結果を、表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】表から明らかなように、実施例2〜7で得
られた粒子は、実施例1で得られた粒子と同様に、8〜
20μmと極めて大きな平均粒子径を有し、しかも粒子
径の変動係数が10%以下で25%粒径と75%粒径と
の比(D25/D75)が0.9以上であり、極めてシ
ャープな粒度分布を有していた。
【0064】
【発明の効果】以上の記載から明らかなように、本発明
によれば、平均粒子径が大きくかつ粒度分布が狭い真球
状のポリメチルフェニルシルセスキオキサン微粒子を得
ることができる。また、高理論樹脂濃度においても粒度
分布が狭い真球状のポリメチルフェニルシルセスキオキ
サン微粒子を得ることができる。
【0065】本発明により得られる球状ポリメチルフェ
ニルシルセスキオキサン微粒子は、有機溶媒に不溶で非
溶融性であり、その表面は撥水性および潤滑性に優れ、
無機系粉末より比重が小さいうえに、有機系粉末や従来
のポリメチルシルセスキオキサン微粒子に比べて耐熱性
に優れ、そのうえ凝集性が少なく、分散性に優れるとい
う特徴を有している。さらに、粒度分布の単分散化すな
わち粒子径の均一化が優れているので、滑り性およびこ
ろがり性付与に優れ、かつ均一な光反射作用あるいは光
拡散作用を有する。
【0066】したがって、塗料、プラスチック、ゴム、
紙、化粧品などに対する充填剤や滑り性向上剤として、
あるいは光学液晶表示装置への光拡散機能付加を目的と
したプラスチック改質用添加剤として有用である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェニルトリシロキシ単位およびメチル
    トリシロキシ単位から成り、前記フェニルトリシロキシ
    単位と前記メチルトリシロキシ単位とのモル比が0.0
    1〜13である球状ポリメチルフェニルシルセスキオキ
    サン微粒子であり、 平均粒子径が1〜30μmであり、かつ粒子径の変動係
    数が10%以下であるか、25%粒径と75%粒径との
    比が0.9以上であることの少なくとも一方を満足させ
    ることを特徴とする球状ポリメチルフェニルシルセスキ
    オキサン微粒子。
  2. 【請求項2】 (A)(a)一般式:CHSi(OR
    ………(I)(式中、Rは置換または非置換の
    アルキル基を表す。)で表されるメチルトリアルコキシ
    シランと、(b)一般式:CSi(OR
    ………(II)(式中、Rは置換または非置換のアルキ
    ル基を表す。)で表されるフェニルトリアルコキシシラ
    ンとの混合物を、酸性水中で加水分解して、メチルシラ
    ントリオールおよび/またはその部分縮合物とフェニル
    シラントリオールおよび/またはその部分縮合物の溶液
    を得る工程と、 (B)前記メチルシラントリオールとフェニルシラント
    リオールおよび/またはそれらの部分縮合物の溶液に、
    アルカリ性水溶液を添加、混合し、この混合溶液を静置
    状態において、前記メチルシラントリオールとフェニル
    シラントリオールおよび/またはそれらの部分縮合物を
    重縮合反応させ、球状ポリメチルフェニルシルセスキオ
    キサン微粒子を形成する工程を有することを特徴とする
    球状ポリメチルフェニルシルセスキオキサン微粒子の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記(A)工程において、前記(b)フ
    ェニルトリアルコキシシランと前記(a)メチルトリア
    ルコキシシランとの混合比が、モル比で0.01〜13
    であることを特徴とする請求項2記載の球状ポリメチル
    フェニルシルセスキオキサン微粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記(A)工程において、(a)メチル
    トリアルコキシシランおよび(b)フェニルトリアルコ
    キシシランの加水分解に使用する水の量が、(a)メチ
    ルトリアルコキシシランと(b)フェニルトリアルコキ
    シシランの合計1モルに対して1〜50モルの範囲であ
    ることを特徴とする請求項2または3記載の球状ポリメ
    チルフェニルシルセスキオキサン微粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記(B)工程において、理論樹脂濃度
    が25重量%以下であることを特徴とする請求項2乃至
    4のいずれか1項記載の球状ポリメチルフェニルシルセ
    スキオキサン微粒子の製造方法。
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