JP2003335572A - マグネシア−チタニア−アルミナ系クリンカー及びそれを用いて得られる耐火物 - Google Patents
マグネシア−チタニア−アルミナ系クリンカー及びそれを用いて得られる耐火物Info
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Abstract
耐スラグ性に優れ且つ耐スポーリング性に優れた、マグ
ネシアを主成分とする塩基性耐火物原料、即ちマグネシ
ア−チタニア−アルミナ系クリンカー、及びそれを用い
て得られる耐火物を提供すること。 【解決手段】 マグネシア:25〜95重量%、チタニ
ア:2〜50重量%、及びアルミナ:3〜73重量%な
る化学組成を与える組成物の100重量部に対して、ガ
ラス成分、リン酸若しくはリン酸塩及び塩基性乳酸アル
ミニウムのうちの1種又は2種以上を、0.2〜10重
量部の割合で配合せしめた配合物を焼成することによ
り、目的とするクリンカーを得る。
Description
ナ系クリンカー及びそれを用いて得られる耐火物に係
り、特に、製鉄業における溶鋼用容器、精錬炉用容器或
いはセメントや石灰等を焼成するキルン等における内張
り用耐火物、またはキャスタブルや吹付け材等の不定形
耐火物、補修材等に用いられる塩基性耐火物用の原料に
関するものである。
アルミナ、スピネル、マグネシア、ジルコニア、シリカ
等の金属酸化物が、耐火材料として広く用いられてきて
いるが、その中でも、マグネシアは、耐食性が優れてい
るところから、塩基性耐火物の主要原料として使用され
ている。
いた耐火材料は、耐食性には優れているものの、熱膨張
が大きく、耐スポーリング性に劣ること、スラグ浸潤が
著しいこと、及び消化し易いという欠点を内在するもの
であるところから、マグネシア耐火材料は、熱応力によ
るスポーリングやスラグ浸潤による構造スポーリングに
よって、寿命低下を起こす問題があり、また耐消化性が
低いために、キャスタブル等のように水分を要するとこ
ろでは使用し難い等の欠点があった。
スラグ浸潤による構造スポーリングに対しては、マグネ
シアとカーボンの組合せにて解決が図られており、マグ
ネシア−カーボン煉瓦として、転炉や溶鋼鍋等において
用いられている。しかしながら、このマグネシア−カー
ボン煉瓦は、その使用中において、地球温暖化の源であ
る二酸化炭素を放出することとなるところから、環境を
考慮したこれからの耐火物としては、大きな問題を含ん
でいる煉瓦と言わざるを得ないのである。
には、シリカフラワー等のシリカを添加する対応があ
り、広く採用されているが、そのようなシリカの添加に
より、低融点化合物が形成されて、耐食性が悪化するよ
うになるところから、その添加量には制限があり、耐消
化性の向上にも制約を受けるという問題を内在するもの
であった。
タニア等を添加した塩基性耐火物が報告されており、例
えば特開平9−2055号公報では、マグネシア−カル
シア−チタニア系塩基性耐火物が明らかにされ、また特
開昭58−1593号公報では、スピネルにチタン酸ア
ルミニウムを添加した焼結体が明らかにされ、更に特開
昭49−6008号公報では、マグネシア−チタニア−
アルミナ−ジルコニア系耐火物が提案されている。
ルミナを添加する方法は、マグネシア・アルミナスピネ
ルとチタン酸マグネシウムの固溶体の生成によって、熱
応力によるスポーリング性を向上せしめる働きがあると
ころから、有効な手段と考えられるのであるが、耐火物
として用いられたときに、チタニアが、溶湯やスラグと
接触する表面である稼働面において、酸化鉄やシリカと
反応して、耐食性が低下するという欠点がある。
まれるカルシアが、添加したチタニアとの反応により、
ペロブスカイトを生成し、それによって耐消化性を向上
せしめる作用が期待されるものの、不純物としてのカル
シアの含有量が低いために、生成するペロブスカイトも
少なく、従って耐消化性の向上は充分に満足し得るもの
ではなかったのである。
たチタニアと反応して、上記したペロブスカイトを生成
し、稼働面に緻密な層を形成して、耐スラグ性を向上さ
せるものではあるものの、チタニアが、前記したよう
に、時間と共に、シリカや酸化鉄と反応することとなる
ところから、耐食性の低下を惹起する問題を内在してい
るのである。
景にして為されたものであって、その解決課題とすると
ころは、耐食性に優れ、また耐消化性に優れ、更には耐
スラグ浸潤性に優れ、且つ耐スポーリング性にも優れ
た、マグネシアを主成分とする塩基性耐火物原料、即ち
マグネシア−チタニア−アルミナ系クリンカー、及びそ
れを用いて得られる耐火物を提供することにある。
めに、マグネシア:25〜95重量%、チタニア:2〜
50重量%、及びアルミナ:3〜73重量%なる化学組
成を与える組成物の100重量部に対して、ガラス成
分、リン酸若しくはリン酸塩及び塩基性乳酸アルミニウ
ムのうちの1種又は2種以上を、0.2〜10重量部の
割合において配合せしめた配合物を焼成して得られた焼
成物からなることを特徴とするマグネシア−チタニア−
アルミナ系クリンカーを、その要旨とするものである。
料たるクリンカーは、耐食性に優れたマグネシアを主成
分とし、これに、チタニア及びアルミナを配合し、更
に、ガラス成分、リン酸若しくはリン酸塩及び塩基性乳
酸アルミニウムのうちの1種又は2種以上を配合せしめ
て、構成されているのであって、そのようなガラス成分
等が、焼成物(クリンカー)中に相を形成したり、マグ
ネシア等との間において種々なる化合物を生成せしめ
て、耐消化性の向上に大きく寄与し得ることとなるので
ある。
タニア−アルミナ系クリンカーにおいては、前記塩基性
乳酸アルミニウムが、ポリエチレングリコール及び/又
はモノエタノールアミンを含有していることが、望まし
い。このような化合物を含有する塩基性乳酸アルミニウ
ムの配合によって、耐消化性の向上に有利に寄与せしめ
得るのである。
よれば、前記塩基性乳酸アルミニウムが、前記ポリエチ
レングリコール及び/又はモノエタノールアミンと共
に、或いはポリエチレングリコール等に代えて、更に、
シリカを含有しているのであり、これによっても、ま
た、耐消化性の更なる向上が図られ得るのである。
アルミナ系クリンカーにおいては、好ましくは、酸化
鉄、酸化クロム及び酸化ジルコニウムのうちの1種又は
2種以上が、前記組成物の100重量部に対して0.2
〜10重量部の割合において、更に配合せしめられて、
複合スピネルが生成せしめられることとなる。このよう
な特定の化合物を更に配合し、複合スピネルを生成せし
めることによって、耐消化性のみならず、耐食性、耐ス
ラグ浸潤性、更には耐スポーリング性の向上に、有利に
寄与せしめ得るのである。
クリンカーを耐火材料として用いてなることを特徴とす
る耐火物をも、その要旨とするものである。このような
本発明に従う耐火物にあっても、前記した本発明に従う
クリンカーの特徴、即ち、優れた耐食性、耐消化性、耐
スポーリング性、耐スラグ浸潤性が、そのまま発揮され
得るのである。
グネシア−チタニア−アルミナ系クリンカーにおいて、
マグネシアは、25〜95重量%の割合において、好ま
しくは50〜70重量%の割合において含有せしめられ
る必要がある。このマグネシアの含有量が25重量%よ
りも少なくなると、マグネシア・アルミナスピネルとチ
タン酸マグネシウムよりなる固溶体が充分に生成され
ず、マグネシアによる高融点及び耐食性の付与効果を充
分に奏し得なくなるからであり、また95重量%を超え
るようになると、他の成分(チタニア、アルミナ)の含
有割合が少なくなって、目的とする特性のクリンカーを
得ることが困難となるからである。
れるチタニア及びアルミナは、それぞれ、2〜50重量
%及び3〜73重量%の化学組成、望ましくは10〜3
0重量%及び20〜40重量%の化学組成とする必要が
あるが、それらの成分の添加効果を充分に発揮させるた
めには、チタニアは2重量%以上、アルミナは3重量%
以上の含有量とする必要がある。また、チタニアの一部
はマグネシアと反応し、チタン酸マグネシウムを生成す
る一方、アルミナはマグネシアと反応し、マグネシア・
アルミナスピネルを生成することとなる。そして、生成
したスピネルは、チタン酸マグネシウムと固溶体を形成
するが、この場合、チタニアが多過ぎると、低融点物で
あるチタン酸マグネシウムが増加し、スピネルとの固溶
体もチタン酸マグネシウムに偏った組成となり、耐食性
の低下を来すことから、チタニアの含有量の上限は50
重量%とすることが望ましい。また、アルミナの含有量
は、73重量%を超えるとマグネシア・アルミナスピネ
ルとチタン酸マグネシウムとの固溶体の生成量が充分で
なくなるため、アルミナの含有量の上限は、73重量%
とすることが、望ましい。
は、マグネシア、チタニア、及びアルミナと共に、ガラ
ス成分、リン酸若しくはリン酸塩及び塩基性乳酸アルミ
ニウムのうちの1種又は2種以上が配合されて、構成さ
れているところに、大きな特徴を有しているのである。
すなわち、マグネシア、チタニア、及びアルミナよりな
る組成物中に、ガラス成分等のうちの少なくとも1種又
は2種以上を配合せしめて、その得られた配合物を焼成
すると、焼成物(クリンカー)中に、ガラス成分等の相
や種々なる化合物が生成せしめられるのであって、この
ような化合物等により、マグネシアと水分子との接触が
有効に回避され得、以て、耐消化性が有利に向上せしめ
られ得るのである。
アルミナよりなる組成物に対して、上述の如き成分を配
合すると、マグネシアとの間において、ガラス成分を用
いた場合にあっては、マグネシア中にガラス相を形成さ
せ、ペリクレース表面を被覆し、またリン酸若しくはリ
ン酸塩を用いた場合にあっては、ペリクレースと反応し
て、リン酸マグネシウムを生成することとなる。更に、
塩基性乳酸アルミニウムにあっては、マグネシア等より
なる組成物中に良好に分散することから、かかる塩基性
乳酸アルミニウムを配合せしめた配合物を焼成すると、
単体のアルミナのみを用いた場合と比較して、より効果
的に、MgO−Al2O3系化合物が生成する。而して、
そのような種々の化合物が生成し、マグネシアと水分子
との接触が有効に阻止され得るところから、クリンカー
の耐消化性が有利に向上せしめられ得るのである。
ネシア、チタニア及びアルミナよりなる組成物の100
重量部に対して、10重量部を超える割合において配合
すると、焼成物(クリンカー)の耐食性を低下せしめる
恐れがあり、一方、0.2重量部未満の配合量では、そ
れを配合することによる耐消化性の向上が充分に図られ
得ないところから、本発明におけるガラス成分、リン酸
若しくはリン酸塩及び塩基性乳酸アルミニウムの配合量
としては、目的とするクリンカーの特性等に応じて、上
記組成物の100重量部に対して0.2〜10重量部の
範囲内において、適宜に選択されることとなる。
なる組成物に配合せしめられるガラス成分等としては、
公知の各種のものを用いることが出来るのであり、例え
ば、ガラス成分としては、珪酸塩ガラス、ホウ酸ガラ
ス、リン酸塩ガラス等が挙げられ、また、リン酸塩とし
ては、第一リン酸アンモニウム等が、適宜に用いられる
こととなる。一方、リン酸を配合せしめるに際しては、
市販のリン酸がそのまま用いられ得ることは勿論のこ
と、適宜水にて希釈したものも使用可能である。
酸アルミニウムとは、一般にAl2O3 /乳酸の割合
(モル比)が0.2〜2.0なる化学組成を有するもの
であり、例えば、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウ
ム、硝酸アルミニウム、塩基性塩化アンモニウム等の水
溶性アルミニウム塩と、アルカリ金属又はアンモニアの
炭酸塩若しくは重炭酸塩(炭酸水素塩)等を反応させ
て、生成した沈澱物(アルミナ水和物)を乳酸に溶解さ
せる方法等の、公知の各種の方法により製造されるもの
である。
ニウムとしては、特に、ポリエチレングリコール及び/
又はモノエタノールアミンを含有しているものが、有利
に用いられることとなる。このような物質を含有する塩
基性乳酸アルミニウムが配合せしめられることにより、
クリンカーの耐消化性が効果的に向上せしめられ得るの
である。
ムに含有せしめられるポリエチレングリコールとして
は、平均分子量が約200〜20000程度のものが好
適に用いられるのであり、また、ポリエチレングリコー
ル及びモノエタノールアミンの含有量は、塩基性乳酸ア
ルミニウムにおけるAl2O3/乳酸のモル比や、クリン
カーに要求される耐消化性等に応じて、適宜に決定され
る。具体的には、塩基性乳酸アルミニウムにおけるAl
2O3成分の100重量部に対して、ポリエチレングリコ
ールにあっては30〜350重量部の割合において、一
方、モノエタノールアミンにあっては10〜200重量
部の割合において、ポリエチレングリコール及び/又は
モノエタノールアミンを含有する塩基性乳酸アルミニウ
ムが、用いられるのである。
ルミニウムにおいては、より有利には、前記ポリエチレ
ングリコール及び/又はモノエタノールアミンと共に、
或いは、それらポリエチレングリコール等に代えて、シ
リカが配合せしめられることとなる。ここで、そのよう
なシリカとしては、粒径が10μm以下のものが、望ま
しいのである。そして、このような塩基性乳酸アルミニ
ウムが用いられることにより、それに含まれるシリカの
微細な粒子と、マグネシアやアルミナとの間において、
MgO−SiO2 −Al2O3系等の種々の化合物が生成
するのであり、以て、クリンカーの耐消化性の更なる向
上が図られ得ると共に、クリンカーの物理的強度をも、
また、有利に向上せしめられ得るのである。
ムを、マグネシア、チタニア、及びアルミナよりなる化
学組成を与える組成物に対して配合せしめるに際して
は、それが、乾燥させた粉末状のもの、或いは乾燥され
ていない溶液形態の何れのものであっても、利用するこ
とが出来る。
ず、マグネシアとチタニアとアルミナとが、前述の如き
化学組成にて与えられるように、それぞれの成分の原料
を配合して、組成物が調製されることとなるが、そのよ
うな組成物を調製するための各成分の原料としては、公
知の各種のものを用いることが出来る。例えば、マグネ
シア源材料としては、天然マグネシア、海水マグネシア
を始め、公知の各種製法により製造されるマグネシア・
クリンカーや水酸化マグネシウム、電融マグネシア等が
使用され得、また、チタニア源材料としては、ルチル型
やアナターゼ型のチタニアを使用することが出来、更に
アルミナ源材料としては、仮焼アルミナや焼結アルミナ
等を使用することが出来る。
成分、リン酸若しくはリン酸塩及び塩基性乳酸アルミニ
ウムのうちの1種又は2種以上が、所定割合となるよう
に配合せしめられるのであるが、より有利には、酸化
鉄、酸化クロム及び酸化ジルコニウムのうちの1種又は
2種以上が、該組成物の100重量部に対して0.2〜
10重量部の割合において、更に配合せしめられること
となる。このような酸化鉄の配合は、焼成によって種々
の複合スピネルを形成せしめ、耐消化性のみならず、耐
食性、耐スラグ浸潤性、更には耐スポーリング性を高め
ることにある。
は、Mg(Fe,Al)2O4複合スピネルが、酸化クロ
ムを用いた場合にあっては、Mg(Cr,Al)2O4複
合スピネルが、それぞれ生成し、また、それらの両者を
用いた場合にあっては、(Mg,Fe)(Cr,Al)
2O4複合スピネルが生成し、そのような複合スピネルと
チタン酸マグネシウムとの間において固溶体を形成する
のであり、一方、酸化ジルコニウムを用いた場合にあっ
ては、ペリクレースと反応して安定化ジルコニアとな
り、耐消化性、耐食性等の向上に寄与するのである。こ
こで、本発明においては、FeO、Fe2O3、Fe3O4
の何れの酸化鉄でも用いることができ、また、酸化クロ
ムとしても、CrO、Cr2O3、CrO2 、Cr2O5、
CrO3 等の何れのものであっても用いることが出来
る。
前記組成物の100重量部に対して、0.2重量部未満
では、その効果が認められず、また10重量部を超える
量を配合しても、費用対効果の観点から実用的ではない
ことから、かかる酸化鉄等の配合量は、目的とするクリ
ンカーの特性等に応じて、上記組成物の100重量部に
対して、0.2〜10重量部の範囲内において、適宜に
決定されることとなる。
ア−アルミナ系クリンカーを製造するに際しては、先
ず、前記した化学組成を与える組成物に、ガラス成分、
リン若しくはリン酸塩及び塩基性乳酸アルミニウムのう
ちの1種又は2種以上を配合したもの、または、それに
酸化鉄、酸化クロム及び酸化ジルコニウムのうちの1種
又は2種以上を配合したものを準備し、次いで、それに
水を加えて、スラリー状と為し、その後、脱水して、押
出成形するか、或いは上記の調製物にバインダーを加え
て混練し、その後ブリケットマシンで成形した後、通常
の焼成操作に従って、1500〜2000℃程度の温度
において焼成することにより、焼成物として、目的とす
るクリンカーを得ることが出来る。
いられるバインダーとしては、公知の各種のものを挙げ
ることが出来、例えばリグニン類、デンプン類、ポリビ
ニルアルコールやメチルセルロース類、各種フェノール
樹脂、糖蜜等が、適宜の割合において用いられ、目的と
する形状に有利に成形されることとなる。
きクリンカーが耐火材料として用いられ、有利には、以
下の如き手法にて形成されることとなる。
リンカーに対して、常法に従って、粉砕、整粒操作を施
し、それにより、該クリンカーの粉末または粒状物から
なる耐火材料を得た後、その得られた耐火材料を、従来
から公知の手法にて所定の形状に成形し、更に必要に応
じて加熱、焼結せしめることによって、煉瓦等の成形耐
火物を得るのである。
得られる本発明に従うクリンカーからなる耐火材料に対
して、各種のセメントやバインダー等を配合して、粉末
状や練り土状の不定形耐火物を得る方法がある。なお、
この不定形耐火物においては、よく知られているよう
に、その後、水を添加して、スタンプ成形法や振動成形
法等による成形操作が実施され、以て、所望の形状を有
する耐火製品が形成されることとなる。
耐火物としても或いは不定形耐火物としても、どちらの
形状のものとしても有利に製造され得るのであり、しか
も、そのような耐火物は、前述せるように耐消化性に優
れ、また耐食性に優れ、更に耐スラグ浸潤性に優れ、且
つ耐スポーリング性にも優れているのである。
かの実験例を示し、本発明を更に具体的に明らかにする
こととするが、本発明が、そのような実験例の記載によ
って、何等の制約をも受けるものでないことは、言うま
でもないところである。また、本発明には、以下の実験
例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明
の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づ
いて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものである
ことが理解されるべきである。
して用いると共に、チタニア(ルチルフラワー)、仮焼
アルミナをそれぞれチタニア源材料、アルミナ源材料と
して用い、更に消化防止剤として珪酸塩ガラス粉、第一
リン酸アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウムを用い
て、それらを、下記表1に示す配合割合において(但
し、水酸化マグネシウムについてはマグネシアに換算さ
れている)配合せしめた後、バインダーとしてのポリビ
ニルアルコールを水と共に添加して、混練せしめ、次い
でブリケットマシンにて成形した後、その得られた成形
物を150℃の温度で10時間、乾燥せしめ、更にその
後、ロータリーキルンにて1600℃の温度にて焼成す
ることにより、各種クリンカー(焼成物)を得た。そし
て、この得られた焼成物からなる各種クリンカーについ
て、それぞれの特性、即ち見掛け気孔率、耐消化性、耐
スポーリング性及び耐スラグ(浸潤)性について調べ
て、その結果を、下記表1に併せ示した。
る見掛け気孔率は、焼成して得られたクリンカーを粉砕
して、3.35〜1.70mmに篩分けした粒子につい
ての物性であり、JIS−R−2205に準拠して測定
して、得られたものであり、また耐消化性は、45μm
以下の粒子を用いて、それを、水蒸気中において、3気
圧の圧力下、131℃の温度で、3時間、オートクレー
ブで処理した後の重量増加率として示されており、更に
耐スポーリング性は、3.35〜2.80mmの粒子を
用いて、1000℃の温度で30分間加熱した後、水中
に投入する操作を3回繰り返したときの、2.80mm
以下の粉末の発生率(粉化率)として、示されている。
ーの1mm以下の粒子の60重量%と、ミル粉(45μ
m以下のクリンカー粉)の40重量%とを、ポリビニル
アルコール水溶液を用いて混練した後、所定の形状に成
形して得られた成形体について、1650℃の温度で焼
成することにより得られたものを用い、そのような成形
体の焼成物の上に、鉄:60重量%、石灰:30重量
%、及びシリカ:10重量%なる組成のスラグを載せ、
1600℃×2時間の条件にて、スラグ浸潤実験を実施
することによって得られた、スラグ浸潤深さ(mm)に
て評価した結果として、示されている。
No.1においては、消化防止成分の配合のない原料組
成が採用されているところから、得られたクリンカー
は、耐消化性に劣るものとなっている。これに対して、
試料No.2以下においては、珪酸塩ガラス粉等の消化
防止成分が配合せしめられていることによって、得られ
たクリンカーの耐消化性の向上が認められる。また、珪
酸塩ガラス粉、第一リン酸アルミニウムに関しては、添
加量を増加することにより、耐消化性が若干向上する
が、見掛け気孔率、耐スポーリング性、耐スラグ性が低
下しているのであり、更に、塩基性乳酸アルミニウムに
ついては、その添加量の増加により、耐消化性、見掛け
気孔率、耐スポーリング性及び耐スラグ性の何れもが向
上することが、認められる。
ネシウム、チタニア、仮焼アルミナ、及び珪酸塩ガラス
粉を用いると共に、更に添加物として、酸化鉄(III)
(Fe2O3)、酸化クロム(III)(Cr2O3)、又は
バデライト(酸化ジルコニウム)を、下記表2に示され
る各種配合割合にて配合せしめた後、実験例1と同様に
焼成を行ない、各種のクリンカーを得た。そして、その
得られた各種クリンカーについて、実験例1と同様にし
て、見掛け気孔率、耐消化性、耐スポーリング性、及び
耐スラグ性を評価し、その結果を、下記表2に併せ示し
た。
鉄(III)、酸化クロム(III)、又はバデライトを配合
せしめた試料No.9〜15においては、それらを配合
していない試料No.8と同程度、あるいはそれ以上の
耐消化性、耐スポーリング性、及び耐スラグ性を示すこ
とが、認められるのである。
に従うマグネシア−チタニア−アルミナ系クリンカーに
あっては、耐食性に優れたマグネシアを主成分とし、こ
れに、チタニア、アルミナを配合し、更に、ガラス成
分、リン酸若しくはリン酸塩及び塩基性乳酸アルミニウ
ムのうちの1種又は2種以上を配合して構成することに
より、マグネシアの消化を効果的に防止し、得られるク
リンカーの耐消化性を大幅に向上せしめ得たのであり、
また、酸化鉄、酸化クロム、及び酸化ジルコニウムのう
ちの1種又は2種以上を更に配合せしめることにより、
耐消化性に優れ、また耐食性に優れ、更には耐スポーリ
ング性に優れ、且つ耐スラグ性にも優れた、塩基性耐火
物原料が実現され得たのである。
れる耐火物にあっても、原料たるクリンカーの特性をそ
のまま引き継ぎ、従って耐食性は勿論、耐消化性、耐ス
ポーリング性及び耐スラグ性において優れた特徴を発揮
するものであるところから、各種用途における耐火物と
して、例えば溶鋼用容器や精錬炉用容器、或いは焼成キ
ルン等の内張り用耐火物、またはキャスタブルや吹付け
材等の不定形耐火物、補修材等に好適に使用される塩基
性耐火物として、有利に用いられることとなるのであ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 マグネシア:25〜95重量%、チタニ
ア:2〜50重量%、及びアルミナ:3〜73重量%な
る化学組成を与える組成物の100重量部に対して、ガ
ラス成分、リン酸若しくはリン酸塩及び塩基性乳酸アル
ミニウムのうちの1種又は2種以上を、0.2〜10重
量部の割合で配合せしめた配合物を焼成して得られた焼
成物からなることを特徴とするマグネシア−チタニア−
アルミナ系クリンカー。 - 【請求項2】 前記塩基性乳酸アルミニウムが、ポリエ
チレングリコール及び/又はモノエタノールアミンを含
有している請求項1に記載のマグネシア−チタニア−ア
ルミナ系クリンカー。 - 【請求項3】 前記塩基性乳酸アルミニウムが、シリカ
を含有している請求項1又は請求項2に記載のマグネシ
ア−チタニア−アルミナ系クリンカー。 - 【請求項4】 酸化鉄、酸化クロム及び酸化ジルコニウ
ムのうちの1種又は2種以上が、前記組成物の100重
量部に対して0.2〜10重量部の割合において、更に
配合せしめられて、複合スピネルが生成せしめられてい
る請求項1乃至請求項3の何れかに記載のマグネシア−
チタニア−アルミナ系クリンカー。 - 【請求項5】 請求項1乃至請求項4の何れかに記載の
マグネシア−チタニア−アルミナ系クリンカーを、耐火
材料として用いてなることを特徴とする耐火物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002145672A JP2003335572A (ja) | 2002-05-21 | 2002-05-21 | マグネシア−チタニア−アルミナ系クリンカー及びそれを用いて得られる耐火物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002145672A JP2003335572A (ja) | 2002-05-21 | 2002-05-21 | マグネシア−チタニア−アルミナ系クリンカー及びそれを用いて得られる耐火物 |
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WO2013057756A1 (ja) * | 2011-10-18 | 2013-04-25 | ロザイ工業株式会社 | マグネシア質焼成れんが |
JPWO2013057756A1 (ja) * | 2011-10-18 | 2015-04-02 | ロザイ工業株式会社 | マグネシア質焼成れんが |
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WO2013057756A1 (ja) * | 2011-10-18 | 2013-04-25 | ロザイ工業株式会社 | マグネシア質焼成れんが |
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