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JP2003334420A - 湿式排煙脱硫装置 - Google Patents

湿式排煙脱硫装置

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Publication number
JP2003334420A
JP2003334420A JP2002146554A JP2002146554A JP2003334420A JP 2003334420 A JP2003334420 A JP 2003334420A JP 2002146554 A JP2002146554 A JP 2002146554A JP 2002146554 A JP2002146554 A JP 2002146554A JP 2003334420 A JP2003334420 A JP 2003334420A
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JP
Japan
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circulation tank
liquid
baffle plate
flue gas
wall
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Application number
JP2002146554A
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English (en)
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Motoomi Iwatsuki
元臣 岩月
Hiroshi Ishizaka
浩 石坂
Hirobumi Yoshikawa
博文 吉川
Naoki Oda
直己 尾田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
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Publication date
Application filed by Babcock Hitachi KK filed Critical Babcock Hitachi KK
Priority to JP2002146554A priority Critical patent/JP3842693B2/ja
Publication of JP2003334420A publication Critical patent/JP2003334420A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンパクトな循環タンクで、かつ液の滞留時
間の確保と酸化効率の向上、気泡の吸い込み防止が可能
な湿式排煙脱硫装置を提供すること。 【解決手段】 循環タンク6の内壁の周方向全体に液の
下降流速を減少させる機能を有する邪魔板17を設け、
該邪魔板17により循環タンク6の内壁近傍の液下降流
速を減少させることができ、滞留時間の確保と泡沫層
(気泡)16の吸収液循環ポンプ4による吸い込みが防
止できる。さらに、邪魔板17によって、内壁近傍の液
が循環タンク6の中央部へと流れ込むため、溶存酸素濃
度の高い液との混合が促進され、酸化効率が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボイラなどの燃焼
装置から排出される排ガス中の二酸化硫黄(SO 2)を
除去する湿式排煙脱硫装置に係わり、特に、循環タンク
のコンパクト化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】火力発電所等において、化石燃料の燃焼
に伴って発生する排煙中の硫黄酸化物は、大気汚染・酸
性雨等の環境問題における主原因の一つである。排煙中
の硫黄酸化物を取り除く脱硫システムは、石灰石−石膏
法による湿式法が主流を占めており、中でも実績が多く
信頼性の高いスプレ方式が世界的にも多く採用されてい
る。このような湿式排煙脱硫装置は完成された技術とも
考えられているが、燃料の多様化、排水量低減などに伴
い、脱硫装置に対して厳しい運転条件が要求されてい
る。一方、脱硫装置自体のコンパクト化も望まれてお
り、脱硫装置には小型化と高性能化を同時に達成する高
度な技術が必要となる。
【0003】従来技術のスプレ方式を採用した湿式排煙
脱硫装置の公知例として、脱硫装置を構成する吸収塔の
側断面略図を図12に示す。この湿式排煙脱硫装置は、
主に吸収塔本体1、入口ダクト2、出口ダクト3、吸収
液循環ポンプ4、循環タンク6、攪拌機7、空気供給管
8、ミストエリミネータ9、吸収液抜出し管10、循環
配管11、スプレヘッダー12、スプレノズル13、吸
込み配管14等から構成される。
【0004】ボイラから排出される排ガスは、入口ダク
ト2から吸収塔本体1に導入され、塔頂部に設けられた
出口ダクト3から排出される。吸収液循環ポンプ4から
送られる炭酸カルシウムを含んだ吸収液5がスプレノズ
ル13から噴射されており、吸収液5と排ガスの気液接
触が行われる。このとき吸収液5は排ガス中のSO2
吸収し、Ca(HSO32を生成する。循環タンク6に
落下した吸収液5は、循環タンク内を下降し、循環ポン
プ4に吸込まれて再びスプレノズル13から噴射され
る。この間に、酸化用攪拌機7によって攪拌されなが
ら、空気供給管8から供給される空気15中の酸素によ
り吸収液中のCa(HSO32が酸化され、硫酸カルシ
ウム(石膏)が生成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、循
環タンク6内におけるCa(HSO32の酸化に必要な
液の滞留時間及び酸化効率に関して、十分な対策がとら
れていない。亜硫酸を十分に酸化して、高い脱硫性能を
得るためには長時間の滞留時間を確保する必要があり、
循環タンク6は大容量としなくてはならなかった。ま
た、循環タンク6に落下する液滴が泡沫層16(図12)
を生じさせ、この泡沫層16からの気泡が循環ポンプ4
に吸い込まれて、液循環量を減少させる問題があった。
【0006】本発明の課題は、コンパクトな循環タンク
で、かつ液の滞留時間の確保と酸化効率の向上、気泡の
吸い込み防止が可能な湿式排煙脱硫装置を提供すること
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、次
の構成により解決される。
【0008】すなわち、吸収液を貯留する循環タンクの
上側に、ボイラなどの燃焼装置から排出される排ガスを
入口ダクトから導入し、出口ダクトから排出する排ガス
流路を有し、循環タンクから抜き出した吸収液を前記ガ
ス流路内に設けられるガス吸収部で噴霧して排ガスと気
液接触させることにより、排ガス中の硫黄酸化物を処理
する吸収塔を備えた湿式排煙脱硫装置において、循環タ
ンク内壁の周方向全体に液の下降流速を減少させる機能
を有する手段を設けた湿式排煙脱硫装置である。
【0009】前記下降流速を減少させる機能を有する手
段として循環タンク内壁の周囲全体に邪魔板を設置する
ことができる。
【0010】前記邪魔板は、循環タンク内壁近傍を流下
する液の流れ方向が循環タンク中心部に向かうように配
置することができる。
【0011】また、邪魔板は、循環タンク底部に向けて
傾斜させ、循環タンク内壁面に設けること、多孔板とす
ること、その循環タンク内壁側壁面の接合部分を曲面に
したこと、循環タンク垂直壁面に少なくとも2段以上設
置することなどの構成を採用することができる。
【0012】また、邪魔板上に鉛直方向に壁面を有する
ガイドベーンを設けること、さらにガイドベーンを循環
タンクの中心軸を通る平面に対して0度を超え、かつ9
0度以下の傾斜角度で循環タンク側壁と交わる壁面を有
するように配置することができる。
【0013】また、本発明の前記邪魔板は、循環タンク
液深の1/2〜7/8の位置に設置し、該邪魔板の幅は
循環タンクの径の1/20〜1/4とすることが望まし
い。
【0014】
【作用】図12に示す従来技術において、循環タンク6
の液面に落下した吸収液は循環タンク6内を下降し、循
環ポンプ4に吸込まれるまでの間に、空気供給管8から
供給される酸化空気15により酸化されて硫酸カルシウ
ムとなる。
【0015】図13は、循環タンク6内の液と気泡の流
動シミュレーションの結果から、酸化空気供給管8から
供給される空気気泡軌跡を表した図である。従来、循環
タンク6内に供給された空気15は、攪拌機7から吐出
する液流れに同伴して循環タンク6内に均一に分散され
ると考えられていた。しかしながら、その多くが攪拌機
7による吐出流により循環タンク6の中心部に集まって
いることが明らかとなった。中心部に集まった気泡は上
昇し始めるが、気泡上昇に伴い液も循環タンク6の中心
部において上方に向かう上昇流となる。一方、循環タン
ク6の液面には、スプレノズル13から噴出した吸収液
が落下し続けている。
【0016】図14は、循環タンク6の液面に落下した
吸収液の流線の一部を示す。循環タンク6の中心部付近
に落下した吸収液は、該上昇流によって循環タンク6の
中心部に落下できず、液面に沿って水平方向に流れ、循
環タンク6の内壁に衝突して、次に下降流となっている
ことが分かる。この下降流は内壁近傍のごく狭い領域に
液が集中するため高流速となり、かつ、図15に示すよ
うに循環タンク6内の周囲全体に発生する。循環タンク
内壁近傍の液は該下降流によって十分な滞留時間を得な
いまま循環ポンプ4に吸い込まれ、亜硫酸の酸化が不十
分となる。さらに、図13に示したように循環タンク6
の中心部においては気泡15が多く存在するため、液中
の溶存酸素濃度は高く、逆に循環タンク内壁近傍におい
ては低濃度となる。溶存酸素濃度が低い循環タンク内壁
近傍を吸収液は短時間で通過するため、酸化不十分は顕
著なものとなる。また、下降流に同伴して、液面近傍の
泡沫層16が循環ポンプ4に吸い込まれるため、目標と
する吸収液の循環量が得られず脱硫性能が低下するとい
う問題が発生する。
【0017】このような問題に対し、本発明では、例え
ば図1に示す循環タンク6の内壁の周方向全体に液の下
降流速を減少させる機能を有する手段を設けることに特
徴がある。下降流速を減少させる機能を有する手段とし
ては、循環タンク6の内壁に邪魔板17を設置する。こ
のような邪魔板17によって、内壁近傍の液下降流速を
減少させることができ、滞留時間の確保と泡沫層(気
泡)16の吸収液循環ポンプ4による吸い込みが防止で
きる。さらに、邪魔板17によって、循環タンク6の内
壁近傍の液が循環タンク6の中央部へと流れ込むため、
溶存酸素濃度の高い液との混合が促進され、酸化効率が
向上する。
【0018】循環タンク内壁に設置した邪魔板が水平方
向に対して循環タンクの底面に向かって傾斜した角度で
設置されていると吸収液中の石膏が邪魔板上で堆積する
ことを防止できる。また、邪魔板を多孔板とすることに
よって、高スラリー濃度の吸収液においても石膏の堆積
を防止できる。
【0019】循環タンク内壁に側壁高さ方向に少なくと
も2段の邪魔板を設置すると、循環タンクの内壁近傍の
吸収液の高速下降流をより確実に防止でき、液滞留時間
を確保できる。また、その多段邪魔板を、循環タンクの
底面に向かって傾斜をつけると邪魔板上で石膏が堆積し
にくくなる。
【0020】邪魔板の循環タンク6の内壁面との接合部
分を曲面にすることにより、循環タンク6の液面から降
下してきた吸収液を淀み無く循環タンクの中心部へと流
すことが可能となり、邪魔板上の石膏が堆積するのを防
止できる。
【0021】また、邪魔板上に鉛直方向に壁面を有する
ガイドベーンを1以上設けると、循環タンクの中心部へ
と向かう液流れを整流し、より効率的な液混合が可能と
なる。また、ガイドベーンは邪魔板の補強にも成る。さ
らにガイドベーンを循環タンクの中心軸を通る平面に対
して0度を超え、かつ90度以下の傾斜角度で循環タン
ク側壁と交わる壁面を有するように配置することで、水
平方向に対して旋回流となっている循環タンク内の液流
れの方向と同一方向にガイドベーンで落下吸収液を誘導
できるので効率的な液混合が可能となる。
【0022】また、本発明の邪魔板を循環タンク6の液
深の1/2から7/8の範囲の位置に設置することが、
吸収液の滞留時間の確保および液混合促進効率が良くな
るので望ましい。また、邪魔板の幅を循環タンク径の1
/20〜1/4とすることで、循環タンク内壁近傍の高
速下降流を抑制することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を用いて説明する。
【0024】図1に示す本実施の形態では、図12に示
す排煙脱硫装置と同一符号の部材は同一番号を付してそ
の説明は省略する。
【0025】図1は本実施の形態の循環タンク6の内壁
の周方向全体にリング状の邪魔板17を設置した吸収塔
の側面を表した図であり、図2は循環タンク6内の液流
れを従来技術(図2(a))と本発明(図2(b))で
比較した図である。図3は、本発明を適用した循環タン
ク6に落下する吸収液の流線を示した図である。図4
は、循環タンク6に落下する液中の亜硫酸が循環ポンプ
4に吸い込まれるまでに完全酸化されるのに必要な循環
タンク容量、供給空気量を、従来技術の場合を1とし
て、本発明を適用した循環タンク6と比較した図であ
る。
【0026】図1に示す装置では、循環タンク6の内壁
の周方向全体にリング状の邪魔板17を設置した点で従
来技術と異なる。スプレノズル13から噴射された吸収
液5は、吸収塔内で排ガス中のSO2を吸収し、Ca
(HSO32が生成され、循環タンク6に落下する。循
環タンク6の液面に落下した吸収液は循環タンク6内を
下降し循環ポンプ4に吸込まれるまでの間に、空気供給
管8から供給される酸化空気15により酸化され硫酸カ
ルシウムとなる。循環タンク6内に供給された空気15
は、攪拌機7から吐出する液流れに同伴して循環タンク
6内に分散されるが、その多くが循環タンク6中心部に
集まる。中心部に集まった気泡は上昇し始めるが、気泡
上昇に伴い液も循環タンク6中心部において上方に向か
う上昇流となる。一方、吸収塔内でSO2を吸収し亜硫
酸Ca(HSO32が生成された液滴は、液面全体に常
に落下し続けている。落下した吸収液は、循環タンク6
内を下降し始めるが、その流れは気泡上昇によって発生
した上昇流の影響を強く受ける。
【0027】図2(a)の従来技術に示した循環タンク
6では、循環タンク6の液面に落下した液滴は気泡によ
って生じた上昇流によって下降できず、液面に沿って水
平方向に流れ、循環タンク6の内壁に衝突し、下降流と
なる。循環タンク6内壁近傍では、多量の吸収液が流れ
込み、高速の下降流が発生する。
【0028】循環タンク6内壁近傍に生じた高速下降流
は、以下のような問題を起こす。まず、循環タンク6内
壁近傍の吸収液の大部分は、循環タンク6液面に落下し
た亜硫酸濃度の高い液で、かつ短時間で循環タンク6の
底面まで下降する。このため、酸化に十分な液滞留時間
が得られず、循環ポンプ4に吸い込まれるまでに亜硫酸
が完全に酸化されない問題が発生する。また、循環タン
ク6の中央部においては気泡が多く存在するため液中の
溶存酸素濃度は高く、逆に循環タンク6内壁近傍におい
ては低濃度となる。循環タンク6液面に落下した吸収液
が流れこむ循環タンク6内壁近傍には、酸化に十分な酸
素も無く、亜硫酸の酸化不十分がさらに顕著なものとな
る。さらに、高速下降流は液面付近に存在する泡沫層1
6を同伴して下降するため、泡沫層16がそのまま循環
ポンプ4に吸い込まれる。循環ポンプ4に吸い込まれた
泡沫(気泡)は液循環量を減少させるだけでなく、気泡混
入量が極端に多い場合には循環ポンプ4を破損させる。
【0029】図2(b)に示す従来技術の比較で示す本
発明の実施の形態では、循環タンク6内壁の周方向全体
にわたってリング状の邪魔板17が設置してある。気泡
が循環タンク6の中心部に集まり上昇流が発生するのは
従来技術とほぼ同じである。しかし、吸収液が循環タン
ク6の内壁に衝突し、下降し始めると、邪魔板17によ
って下方に向かう流れは、一旦、方向を転換され、従来
技術で見られた循環タンク6の内壁近傍の高速下降流は
発生しない。
【0030】図3は、本発明を適用した循環タンク6に
落下する吸収液の流動シミュレーションから得た流線図
である。図2の本発明で示したように、循環タンク6の
液面に落下した吸収液が循環タンク6中心部へと方向を
転換させられていることがわかる。このため、まず、吸
収液の液滞留時間が十分に確保できることから、亜硫酸
の酸化が十分に行われる。また、液面近傍の泡沫層16
が下降流に同伴して循環ポンプ4に吸い込まれることも
防止できる。さらに、邪魔板17によって方向転換させ
られた液は、循環タンク6の中心部へと流れ込む。循環
タンク6の中心部では、気泡が多く存在し、液中の溶存
酸素濃度が高い。高亜硫酸濃度である壁近傍を流れる吸
収液と溶存酸素濃度が高い循環タンク6の中心部の吸収
液の混合が促進されるので、亜硫酸の酸化がより完全な
ものとなる。
【0031】リング状の邪魔板17の設置位置は、液面
近傍であるほうが吸収液の滞留時間の確保および液混合
促進の点から効率が良いため、循環タンク6の液深の1
/2から7/8の範囲の位置に設置することが望まし
い。また、邪魔板17の幅は、循環タンク6内壁近傍の
高速下降流を抑制しなければならないことから、循環タ
ンク6径の1/20〜1/4とすることが望ましい。こ
のように、循環タンク6内壁の周方向全体にわたってリ
ング状の邪魔板17を設置することにより、液の滞留時
間の確保と泡沫層16の循環ポンプ4への吸い込み、お
よび亜硫酸の酸化効率の向上が同時に達成できる。した
がって、コンパクト化が可能となり、かつ亜硫酸の高効
率酸化が可能となる。
【0032】図4は、循環タンク6に落下する液中の亜
硫酸濃度が5 [mmol/L]のとき、循環ポンプ4
に吸い込まれるまでに完全酸化されるのに必要な循環タ
ンク容量、供給空気量を従来技術の場合を1として、本
発明を適用した循環タンク6と比較した図である。図4
より、循環タンク容量、供給空気量ともに減少している
ことがわかる。本発明を適用することにより、循環タン
ク6のコンパクト化が可能となり、供給空気量も低減可
能であり、ランニングコストおよび空気を供給するブロ
アの台数も減らせられる。
【0033】本発明の他の実施の形態について図5によ
り説明する。図5に示す実施例は、循環タンク6内壁に
設置したリング状の邪魔板17が、水平方向に対して循
環タンク6の底面に向かって45度の角度で設置されて
いる点で図1に示した実施の形態と異なる。吸収液は石
膏スラリーであるため、邪魔板17には石膏が堆積す
る。邪魔板17を循環タンク6底面に向かって傾斜させ
ることによって邪魔板17上での石膏の堆積を防止でき
る。
【0034】図6に示す実施例は、リング状邪魔板17
を多孔板とした点で図1〜図5に示した実施の形態と異
なる。邪魔板17を多孔板とすることによって、高スラ
リー濃度の吸収液においても石膏の堆積を防止できる。
【0035】図7に示す実施例は、垂直方向に対し、循
環タンク6内壁に少なくとも2列以上のリング状邪魔板
17を設置した点で図1〜図6に示した実施の形態と異
なる。邪魔板17を多く設置することによって、循環タ
ンク6の内壁近傍の吸収液の高速下降流をより確実に防
止でき、液滞留時間を確保できる。
【0036】図8に示す実施の形態は、垂直方向に対し
多段にわたって設置したリング状邪魔板17を、循環タ
ンク6の底面に向かって45度の傾斜をつけた点で図1
〜図7に示した実施の形態と異なる。リング状邪魔板1
7を多段に設置すると、循環タンク6の内壁近傍の液下
降流速が顕著に減少するため、邪魔板17には石膏が堆
積しやすい。そこで、邪魔板17を循環タンク6の底面
に向かって傾斜をつけることによって石膏の堆積を防止
できる。
【0037】図9に示す実施の形態は、リング状邪魔板
17の循環タンク6の内壁面との接合部分を曲面にした
点で図1〜図8に示した実施例と異なる。前記接合部を
曲面とすることにより、循環タンク6の液面から降下し
てきた吸収液を淀み無く循環タンク6の中心部へと流す
ことが可能となり、邪魔板17上の石膏堆積を防止でき
る。
【0038】図10に示す実施の形態は、リング状邪魔
板17上にガイドベーン18を設けた点で図1〜図9に
示した実施例と異なる。ガイドベーン18により、循環
タンク6の中心部へと向かう液流れを整流し、より効率
的な液混合が可能となる。また、ガイドベーン18はリ
ング状邪魔板17の補強にもなり得る。
【0039】図11に示す実施例は、リング状邪魔板1
7上にガイドベーン18を設け、該ガイドベーン18を
循環タンク6の中心軸を通る平面に対して0度を超え、
かつ90度以下の傾斜角度で循環タンク6側壁と交わる
壁面を有するように配置する点において図1〜図10に
示した実施の形態と異なる。攪拌機7によって循環タン
ク6内の液流れは水平方向に対して旋回流となってい
る。この旋回方向と同一方向に旋回するよう該ガイドベ
ーン18を傾斜させることにより、効率的な液混合が可
能となる。
【0040】
【発明の効果】以上述べたごとく、本発明によれば、循
環タンク内壁近傍に発生する高速下降流を防止できる。
これにより、循環タンク中心部の高溶存酸素濃度の吸収
液との液混合が促進されるため、液滞留時間の確保と亜
硫酸の酸化効率が同時に達成でき、かつ、循環ポンプへ
の気泡吸い込みも防止可能である。従来技術よりも、少
ない循環タンク容量で効率的に亜硫酸を酸化できるた
め、コンパクトで、かつ高性能な湿式排煙脱硫装置とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の湿式排煙脱硫装置の循
環タンク内壁の周方向全体にリング状の邪魔板を設置し
た概略断面図である。
【図2】 本発明の湿式排煙脱硫装置の循環タンク内の
液流れを従来技術と比較した図である。
【図3】 図1の循環タンクに落下する吸収液の流線を
示した図である。
【図4】 図1の循環タンクに落下する液中の亜硫酸が
完全酸化されるのに必要な循環タンク容量、供給空気量
を、従来技術の場合を1として、本発明を適用した循環
タンクと比較した図である。
【図5】 本発明の実施の形態の湿式排煙脱硫装置の循
環タンク壁面にリング状の邪魔板が、水平方向に対して
循環タンク底面に向かい45度の角度で設置した概略断
面図である。
【図6】 本発明の実施の形態の湿式排煙脱硫装置の循
環タンク壁面に多孔板とした邪魔板を設置した概略断面
図である。
【図7】 本発明の実施の形態の湿式排煙脱硫装置の循
環タンク壁面にタンク壁面の垂直方向に対し多段にリン
グ状邪魔板を設置した概略断面図である。
【図8】 本発明の実施の形態の湿式排煙脱硫装置の循
環タンク壁面に垂直方向に対し多段のリング状邪魔板
を、循環タンク底面に向かって45度の傾斜をつけて設
置した概略断面図である。
【図9】 本発明の実施の形態の湿式排煙脱硫装置の邪
魔板と循環タンク内壁との接合部分を曲面とした概略断
面図である。
【図10】 本発明の実施の形態の湿式排煙脱硫装置の
邪魔板上にガイドベーンを設けた循環タンクの斜視図で
ある。
【図11】 本発明の実施の形態の湿式排煙脱硫装置の
邪魔板上に傾斜させたガイドベーンを設けた循環タンク
の斜視図である。
【図12】 従来技術による湿式脱硫装置の概略断面図
である。
【図13】 従来技術による循環タンクに設けた酸化空
気供給管から供給される空気気泡の軌跡を表した図であ
る。
【図14】 従来技術による循環タンク液面に落下した
吸収液の流線を示した図である。
【図15】 従来技術による循環タンク液面に落下した
吸収液の液流れを示した図である。
【符号の説明】
1 吸収塔本体 2 入口ダクト 3 出口ダクト 4 吸収液循環ポンプ 5 吸収液 6 循環タンク 7 攪拌機 8 空気供給管 9 ミストエリミネータ 10 吸収液抜出し管 11 循環配管 12 スプレヘッダー 13 スプレノズル 14 吸込み配管 15 空気 16 泡沫層 17 邪魔板 18 ガイドベーン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉川 博文 広島県呉市宝町3番36号 バブコック日立 株式会社呉研究所内 (72)発明者 尾田 直己 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日立 株式会社呉事業所内 Fターム(参考) 4D002 AA02 AC01 BA02 BA16 CA01 DA05 DA16 EA12 FA03 GA01 GB20 HA05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸収液を貯留する循環タンクの上側に、
    ボイラなどの燃焼装置から排出される排ガスを入口ダク
    トから導入し、出口ダクトから排出する排ガス流路を有
    し、循環タンクから抜き出した吸収液を前記ガス流路内
    に設けられるガス吸収部で噴霧して排ガスとを気液接触
    させることにより、排ガス中の硫黄酸化物を処理する吸
    収塔を備えた湿式排煙脱硫装置において、 循環タンク内壁の周方向全体に液の下降流速を減少させ
    る機能を有する手段を設けたことを特徴とする湿式排煙
    脱硫装置。
  2. 【請求項2】 前記下降流速を減少させる機能を有する
    手段として循環タンク内壁の周囲全体に邪魔板を設置し
    たことを特徴とする請求項1記載の湿式排煙脱硫装置。
  3. 【請求項3】 邪魔板は、循環タンク内壁近傍を流下す
    る液の流れ方向が循環タンク中心部に向かうように配置
    したことを特徴とする請求項2記載の湿式排煙脱硫装
    置。
  4. 【請求項4】 邪魔板は、循環タンク底部に向けて傾斜
    させ、循環タンク内壁面に設けたことを特徴とする請求
    項2又は3記載の湿式排煙脱硫装置。
  5. 【請求項5】 邪魔板は、多孔板としたことを特徴とす
    る請求項2〜4のいずれか記載の湿式排煙脱硫装置。
  6. 【請求項6】 循環タンク垂直壁面に少なくとも2段以
    上の邪魔板を設置したことを特徴とする請求項2〜5の
    いずれか記載の湿式排煙脱硫装置。
  7. 【請求項7】 邪魔板は、その循環タンク内壁側壁面の
    接合部分を曲面にしたことを特徴とする請求項2〜6の
    いずれか記載の湿式排煙脱硫装置。
  8. 【請求項8】 邪魔板上に鉛直方向に壁面を有するガイ
    ドベーンを設けたことを特徴とする請求項2〜7のいず
    れか記載の湿式排煙脱硫装置。
  9. 【請求項9】 ガイドベーンは、循環タンクの中心軸を
    通る平面に対して0度を超え、かつ90度以下の傾斜角
    度で循環タンク側壁と交わる壁面を有することを特徴と
    する請求項2〜8のいずれか記載の湿式排煙脱硫装置。
  10. 【請求項10】 邪魔板は、循環タンク液深の1/2〜
    7/8の位置に設置され、該邪魔板の幅は循環タンクの
    径の1/20〜1/4としたことを特徴とする請求項2
    〜9のいずれか記載の湿式排煙脱硫装置。
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