JP2003346803A - 負極材料、その製造方法及び蓄電素子 - Google Patents
負極材料、その製造方法及び蓄電素子Info
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Abstract
高出力の非水系リチウム型蓄電素子用負極材料を提供す
る。 【解決手段】 炭素質材料前駆体と活性炭を熱処理を行
うことによって活性炭の表面に炭素質材料を被着させた
複合多孔性材料において、該炭素質材料前駆体が軟化点
が260℃以下のピッチであり、400℃以上1000
℃以下かつ30分から10時間の間、該熱処理を行うこ
とにより得られた複合多孔性材料よりなる非水系リチウ
ム型蓄電素子用負極材料。
Description
よりも高エネルギー密度であり、従来の電池よりも高出
力であることを兼ね備えた非水系リチウム型蓄電素子用
負極材料及びその製造方法、並びに該負極材料を用いた
蓄電素子に関する。
指したエネルギーの有効利用の観点から、深夜電力貯蔵
システム、太陽光発電技術に基づく家庭用分散型蓄電シ
ステム、電気自動車用の蓄電システムなどが注目を集め
ている。
事項は、用いられる電池のエネルギー密度が高いことで
ある。この様な要求に対応すべく、リチウム電池電力貯
蔵技術研究組合(LIBES)などにより、高エネルギ
ー密度電池の有力候補として、リチウムイオン電池の開
発が精力的に進められている。
ることである。例えば、高効率エンジンと蓄電システム
との組み合わせ(例えば、ハイブリッド電気自動車)、
あるいは燃料電池と蓄電システムとの組み合わせ(例え
ば、燃料電池電気自動車)において、エンジンあるいは
燃料電池が最大効率で運転するためには、一定出力での
運転が必須であり、負荷側の出力変動あるいはエネルギ
ー回生に対応するために、蓄電システムにおける高出力
放電特性および/または高率充電受け入れ特性が要求さ
れている。
に活性炭を用いた大型電気二重層キャパシタが開発され
ており、信頼性(サイクル特性、高温保存特性)が高
く、2kW/lを超える出力特性を有する。これら電気
二重層キャパシタは、上記高出力が要求される分野で最
適のデバイスと考えられるが、そのエネルギー密度は、
1〜5Wh/l程度に過ぎず、実用化には出力持続時間
(エネルギー密度)が足枷となっている。
されているニッケル水素電池は、2kW/l以上の高出
力を実現し、かつ160Wh/l程度のエネルギー密度
を有している。しかしながら、そのエネルギー密度、出
力をより一層高めるとともに、高温での安定性をさらに
改善させることにより、信頼性をより一層向上させるた
めの研究が精力的に進められている。
出力化に向けての研究が進められている。例えば、放電
深度(素子の放電容量の何%を放電した状態かをあらわ
す値)50%において3kW/lを超える高出力が得ら
れるリチウムイオン電池が開発されているが、そのエネ
ルギー密度は、100Wh/l以下であり、リチウムイ
オン電池の最大の特徴である高エネルギー密度を敢えて
抑制した設計となっている。また、その信頼性(サイク
ル特性、高温保存特性)については、上記キャパシタに
比べ劣る為、信頼性をより一層向上させるための研究が
精力的に進められている。
頼性とを兼ね備えた電池・キャパシタの実用化が強く求
められているが、現在のところ、この技術的要求を充足
する電池・キャパシタは開発されていない。
圧に比例する。電気二重層キャパシタの耐電圧は2−3
V程度であり、電解液にリチウム塩を含む非水系電解液
を用い耐電圧を向上しようとする試みがある。例えば、
特開平11−121285号公報、特開平11−297
578号公報、特開2000−124081号公報等に
は、正極、負極に活性炭を用い、電解液にリチウム塩を
含む非水系電解液を用いるキャパシタが開示されている
が、負極活性炭のリチウムイオンに対する充放電効率が
悪い為、サイクル特性に問題を残していた。また、特開
昭60−182670号公報、特開平8−107048
号公報、特開平10−27733号公報等には正極に活
性炭、負極に黒鉛等の炭素材料を用いる検討がされてい
るが、負極の黒鉛等の炭素材料は活性炭に比べ出力特性
が劣る為、キャパシタの特徴である出力が充分に得られ
ないという問題が残されていた。
には、活性炭表面に炭素質材料を被覆したリチウム系二
次電池用負極材料および該負極材料の製造方法が開示さ
れている。該負極材料は、リチウムイオンに対する充放
電効率が高く、出力特性に優れた材料である。
パシタよりも高容量を有し、かつ高出力の非水系リチウ
ム型蓄電素子用負極材料及びその製造方法、並びに該負
極材料を用いた蓄電素子を提供することを主な目的とす
る。
開2001−229926号公報に記載された炭素系材
料を非水系リチウム型高出力蓄電素子用負極材料に使用
するため最適化するにあたって、特定の条件で熱処理さ
れた複合多孔性材料が、高容量かつ高出力を兼ね備える
ことを見出した。
ム型蓄電素子用負極材料及びその製造方法、並びに該負
極材料を用いた蓄電素子を提供する。
行うことによって活性炭の表面に炭素質材料を被着させ
た複合多孔性材料において、該炭素質材料前駆体が軟化
点が260℃以下のピッチであり、400℃以上100
0℃以下かつ30分から10時間の間、該熱処理を行う
ことにより得られた複合多孔性材料よりなることを特徴
とする非水系リチウム型蓄電素子用負極材料。
あることを特徴とする上記1に記載の非水系リチウム型
蓄電素子用負極材料。
行うことによって活性炭の表面に炭素質材料を被着させ
た複合多孔性材料よりなる負極材料の製造方法におい
て、該炭素質材料前駆体が軟化点が260℃以下のピッ
チであり、400℃以上1000℃以下かつ30分から
10時間の間、該熱処理を行って複合多孔性材料とする
ことを特徴とする非水系リチウム型蓄電素子用負極材料
の製造方法。
あることを特徴とする上記3に記載の非水系リチウム型
蓄電素子用負極材料の製造方法。
ム型蓄電素子用負極材料を負極に用いることを特徴とす
る蓄電素子。
詳細に説明する。
材料前駆体として軟化点が260℃以下のピッチを用
い、活性炭と共に熱処理することで活性炭に炭素質材料
を被着させることを特徴とする。
の方法で製造できる。
性材料が所望の特性を発揮する限り、その原料などに特
に制限はなく、石油系、石炭系、植物系、高分子系など
の各種の原料から得られた市販品を使用することができ
る。該活性炭は、平均粒径が1〜500μmの粉末であ
ることが好ましく、1〜50μmの粉末であることがよ
り好ましい。
点260℃以下のピッチとの共存下で熱処理することに
より得られる。一般に、ピッチは石油系ピッチと石炭系
ピッチとに分けられるが、本発明においては、芳香族炭
化水素含有量が高い石炭系ピッチが好ましい。また、ピ
ッチは等方性でもよく、異方性でもよく、両者が混在し
ている状態でもよい。
に炭素質材料を付着させたものであるが、特に、電気化
学的な初回の充電、すなわちリチウムのドーピングと、
初回の放電、すなわちリチウムのアンドーピングの電気
量の比である初回電流効率を向上させることで高容量を
実現させるとともに、高出力を維持させることが重要で
ある。
素質材料前駆体である軟化点が260℃以下、より好ま
しくは200℃以下、さらに好ましくは120℃以下の
ピッチとを共に熱処理することで得ることができる。ピ
ッチの軟化点が260℃より高いと、熱処理によって活
性炭表面に被着すべき炭素質材料が増加しにくいため大
量のピッチを必要とするので好ましくない。
する場合は熱処理温度を上げれば活性炭に被着する炭素
質材料の量も増えるのではないかと考えたが、実際には
400℃〜1000℃の温度範囲において熱処理温度を
上げても該被着量はほとんどふえなかった。従って、熱
処理温度をあげても効果はないので、多量のピッチを使
用せずに製造するには、本発明に開示した軟化点の低い
ピッチを使用する必要がある。軟化点はピッチに含まれ
る低分子量成分の含有量を反映しているものであり、一
定以上に熱処理温度を上げてもピッチからの揮発量はそ
れ以上増加しないのではないかと考えられる。
は、15%から80%が好ましく、更に好ましくは30
%から75%である。付着量が15%未満では活性炭に
炭素質材料を付着させることによる、電気化学的な特
性、すなわち高容量化のために初回電流効率を高めるこ
とができないことがある。また、80%を越えると、B
ET比表面積が小さくなりすぎて、高出力を維持できな
いことがある。
以上、更に好ましくは45%以上であると、素子の高容
量化が容易に行われ好ましい。また、複合多孔性材料の
BET比表面積は、好ましくは20m2/g以上100
0m2/g以下、さらに好ましくは30m2/g以上80
0m2/g以下である。BET比表面積が大きいと高出
力化には有利であるが、初回電流効率が低くなりやすく
高容量化が達成しにくくなる。また比表面積が小さいと
初回電流効率が高くなりやすく高容量化には有利である
が、高出力化が達成しにくくなる。
材料前駆体であるピッチの重量比率は、0.2以上10
以下、より好ましくは0.5以上8以下、更に好ましく
は0.5以上5以下である。上記の好ましい重量比率
は、該ピッチの軟化点によってもかわり、軟化点が20
1〜260℃のピッチでは該重量比率が2〜10の範
囲、軟化点が121〜200℃のピッチでは該重量比率
が1〜8の範囲、軟化点が120℃以下のピッチでは該
重量比率が0.5〜5の範囲が好ましい。
法としては、炭素質材料前駆体の共存下で活性炭を熱処
理する手法が好ましい。例えば、熱処理によりピッチか
ら発生した炭化水素ガスを活性炭と接触させる方法、ピ
ッチと活性炭をミキサー等で混合して、得られた混合物
を熱処理する方法、ピッチを溶媒中に溶解または分散し
て活性炭と混合し、得られた混合物を必要に応じてろ過
乾燥して熱処理する方法などが挙げられるが、ピッチに
含まれる不純物や不要物を除去できるために、ピッチか
ら発生した炭化水素ガスを活性炭と接触させる方法が好
ましい。この方法による複合多孔性材料は、活性炭の表
面でピッチの揮発成分あるいは熱分解成分を熱反応させ
ることにより、活性炭の表面に炭素質材料を被着させる
ことで得られる。この場合、200〜500℃程度の温
度において、ピッチの揮発成分、あるいは、熱分解成分
の活性炭細孔内への被着が進行し、400℃以上で該被
着成分が炭素質材料となる反応が進行する。熱処理時の
ピーク温度は得られる複合多孔性材料の特性、熱反応パ
ターン、熱反応雰囲気等により適宜決定されるものであ
るが、400℃以上1000℃以下であることが好まし
く、更に好ましくは450℃〜1000℃であり、特に
500〜800℃程度のピーク温度であることが好まし
い。また、熱処理時のピーク温度を維持する時間は30
分間から10時間であればよく、好ましくは1時間から
7時間、更に好ましくは2時間から5時間である。50
0〜800℃程度のピーク温度で2時間から5時間熱処
理する場合、活性炭表面に被着している炭素質材料は多
環芳香族系炭化水素と考えられる。
構造を有し、そのX線広角回折法による(002)面の
面間隔d002が3.60Å以上4.00Å以下であり、
このピークの半価幅から得られるc軸方向の結晶子サイ
ズLcが8.0Å以上20.0Å以下であることが好ま
しく、d002が3.60Å以上3.75Å以下であり、
このピークの半価幅から得られるc軸方向の結晶子サイ
ズLcが11.0Å以上16.0Å以下であることがよ
り好ましい。
材料は、公知の手法により負極に成型した後、リチウム
塩を含む非水系電解液と活性炭よりなる正極を組みあわ
せた非水系リチウム型蓄電素子の構成材料として使用さ
れる。
は、公知のリチウムイオン電池、キャパシタ等の電極製
造技術により製造することが可能であり、例えば、結着
剤である樹脂の有機溶剤溶液を用いて、複合材料を集電
体である金属上に塗着し、乾燥し、必要に応じてプレス
することにより得られる。
負極材料あるいはこの非水系リチウム型蓄電素子用負極
材料を用いた電極中には、あらかじめリチウムをドーピ
ングしておくこともできる。リチウムをドープしておく
ことにより、素子の容量を制御することが可能である。
ところをさらに明確にする。
5m2/gのピッチ系活性炭150gをステンレススチ
ールメッシュ製の籠に入れ、軟化点38℃の石炭系ピッ
チ300gを入れたステンレス製バットの上に置き、電
気炉(炉内有効寸法300mm×300mm×300m
m)内に設置して、熱処理を行った。熱処理は窒素雰囲
気下で、670℃のピーク温度で4時間行ったところ、
得られた生成物(本発明の複合多孔性材料)の重量は6
7.3%増加していて、BET比表面積は115m2/
gであった。また、X線広角回折法による(002)面
の面間隔d002が3.71Åであり、このピークの半価
幅から得られるc軸方向の結晶子サイズLcは12.6
Åであった。
4重量部、アセチレンブラック8.3重量部およびPV
dF(ポリフッ化ビニリデン)8.3重量部をNMP
(N−メチルピロリドン)に混合して、スラリーを得
た。次いで、得られたスラリーを厚さ14μmの銅箔の
片面に塗布し、乾燥し、プレスして電極を得た。
し、金属リチウムを対極および参照極として使用し、エ
チレンカーボネートとジエチルカーボネートを3:7重
量比で混合した溶媒に1mol/Lの濃度になるように
LiPF6を溶解した溶液を電解液として使用して、ア
ルゴンドライボックス中で電気化学セルを作成した。リ
チウムのドーピングは、まずリチウム電位に対して1m
Vになるまで活物質重量に対して200mA/gの速度
で行い、リチウム電位に対して1mVの定電圧印加する
操作を合計8時間実施し、ドーピングを終了した。次い
で、活物質重量に対し200mA/gの速度でリチウム
電位に対して2Vまで脱ドーピングを行ったところ、脱
ドーピング容量348mAh/g、初回電流効率として
59.0%の値を得た。
80℃の石炭系ピッチを使用して、活性炭とピッチの重
量を1:1とした以外は実施例1と同様の方法で電極を
作成し、リチウム脱ドーピング容量、効率を測定した。
熱処理後の活性炭の重量増は16.3%であり、X線広
角回折法では明瞭な(002)面のピークは認められな
かった。
ーピング容量、効率を測定したところ、脱ドーピング容
量は449mAh/gと高いものの、初回電流効率は2
7.1%であり、素子の高容量化が困難であった。
10℃の石炭系ピッチを使用して、活性炭とピッチの重
量比を1:1とした以外は、実施例1と同様に熱処理し
た。得られた複合多孔性材料の重量増は31.6%であ
り、BET比表面積は648m2/gであった。また、
X線広角回折法による(002)面の面間隔d002が
3.72Åであり、このピークの半価幅から得られるc
軸方向の結晶子サイズLcは12.6Åであった。
ーピング容量、効率を測定したところ、脱ドーピング容
量449mAh/g、初回電流効率41.9%の値を得
た。
10℃の石炭系ピッチを使用して、活性炭とピッチの重
量比を1:2とした以外は、実施例1と同様に熱処理し
た。得られた複合多孔性材料の重量増は55.1%であ
り、BET比表面積は245m2/gであった。また、
X線広角回折法による(002)面の面間隔d002が
3.66Åであり、このピークの半価幅から得られるc
軸方向の結晶子サイズLcは12.1Åであった。
ーピング容量、効率を測定したところ、脱ドーピング容
量393mAh/g、初回電流効率53.3%の値を得
た。
炭電極を正極、実施例1の複合多孔性材料よりなる電極
を負極としてリチウム型キャパシタを組立てた。この
時、負極として材料重量あたり400mAh/gのリチ
ウムを電気化学的にプリドーピングしたものを使用し、
電解液としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネ
ートを3:7重量比で混合した溶媒に1mol/Lの濃
度になるようにLiPF6を溶解した溶液を使用した。
で充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流定
電圧充電を8時間行った。続いて、1mAの定電流で
2.0Vまで放電した。放電容量は、0.92mAhで
あった。次に同様の充電を行い100mAで放電2.0
Vまで放電したところ、0.59mAhの容量が得られ
た。100Cという高出力での放電が可能であった。
来のキャパシタよりも高容量を有し、かつ高出力の非水
系リチウム型蓄電素子用負極材料及びその製造方法、並
びに該負極材料を用いた蓄電素子を提供することができ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 炭素質材料前駆体と活性炭を熱処理を行
うことによって活性炭の表面に炭素質材料を被着させた
複合多孔性材料において、該炭素質材料前駆体が軟化点
が260℃以下のピッチであり、400℃以上1000
℃以下かつ30分から10時間の間、該熱処理を行うこ
とにより得られた複合多孔性材料よりなることを特徴と
する非水系リチウム型蓄電素子用負極材料。 - 【請求項2】 前記炭素質材料前駆体が石炭ピッチであ
ることを特徴とする請求項1に記載の非水系リチウム型
蓄電素子用負極材料。 - 【請求項3】 炭素質材料前駆体と活性炭を熱処理を行
うことによって活性炭の表面に炭素質材料を被着させた
複合多孔性材料よりなる負極材料の製造方法において、
該炭素質材料前駆体が軟化点が260℃以下のピッチで
あり、400℃以上1000℃以下かつ30分から10
時間の間、該熱処理を行って複合多孔性材料とすること
を特徴とする非水系リチウム型蓄電素子用負極材料の製
造方法。 - 【請求項4】 前記炭素質材料前駆体が石炭ピッチであ
ることを特徴とする請求項3に記載の非水系リチウム型
蓄電素子用負極材料の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1または2に記載の非水系リチウ
ム型蓄電素子用負極材料を負極に用いることを特徴とす
る蓄電素子。
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