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JP2003217844A - 発光装置の製造装置、発光装置の製造方法、電子装置の製造装置、電気光学装置、並びに電子機器 - Google Patents

発光装置の製造装置、発光装置の製造方法、電子装置の製造装置、電気光学装置、並びに電子機器

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Publication number
JP2003217844A
JP2003217844A JP2002016122A JP2002016122A JP2003217844A JP 2003217844 A JP2003217844 A JP 2003217844A JP 2002016122 A JP2002016122 A JP 2002016122A JP 2002016122 A JP2002016122 A JP 2002016122A JP 2003217844 A JP2003217844 A JP 2003217844A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light emitting
substrate
layer
manufacturing apparatus
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002016122A
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English (en)
Other versions
JP2003217844A5 (ja
JP4366896B2 (ja
Inventor
Shunichi Seki
関  俊一
Takayuki Hayashi
高之 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2002016122A priority Critical patent/JP4366896B2/ja
Publication of JP2003217844A publication Critical patent/JP2003217844A/ja
Publication of JP2003217844A5 publication Critical patent/JP2003217844A5/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造装置が配設される施設内のスペースを有
効に利用できるとともに、複数の処理装置の間での相互
影響による不都合を防止し、発光装置の品質を向上させ
ることができる発光装置の製造装置を提供する。 【解決手段】 発光装置の製造装置20は、基体を搬送
し、連続的に配置された搬送装置21と、基体の上に発
光素子を形成するための複数の処理装置22とを有して
なる。複数の処理装置22は、搬送装置21に対して両
側に分かれて配置される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光装置の製造装
置、発光装置の製造方法、電子装置の製造装置、電気光
学装置、並びに電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】電気光学素子や半導体素子などの電子素
子は、基体上に複数の物質を積層した多層構造からな
り、その製造過程においては、各層を形成する処理が繰
り返し行われる。ここで、電気光学素子としては、有機
EL素子、液晶表示素子、及び撮像素子(CCD)など
が挙げられる。図19に、電子素子の一例としての有機
EL素子(発光素子)を備える有機EL装置(発光装
置)の断面模式図を示す。
【0003】図19において、有機EL装置は、基体と
しての基板900上に、回路素子部901、画素電極
(陽極)902、発光層を含む有機機能層903、対向
電極(陰極)904、及び封止部905等が順次積層さ
れた構造からなる。このうち画素電極902、機能層9
03、及び対向電極904等を含んで、電気光学素子と
しての発光素子(有機EL素子)が構成される。
【0004】こうした発光装置を含む電子装置を製造す
る装置は、従来より、電子素子が形成される基体を搬送
する搬送系と、基体に対して所定の処理を行う処理系と
を備えて構成され、このうち処理系は、基体上に積層さ
れる各層に対応して複数の処理装置を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】電子装置の製造装置で
は、基体上に積層される各層に対応して複数の処理装置
を有するため、それらを含む処理系と搬送系とが連続し
て並ぶと、全体の長さが長くなりやすい。そのため、製
造装置が配設される施設内のスペースを有効に利用しに
くい。また、従来の電子装置の製造装置では、ある処理
装置の熱や振動が別の処理装置に伝わり、それが電子装
置の品質を向上させる上で不都合となる場合があった。
【0006】本発明は、上述した事情に鑑みてなされた
ものであり、製造装置が配設される施設内のスペースを
有効に利用できるとともに、複数の処理装置の間での相
互影響による不都合を防止し、発光装置(電子装置)の
品質を向上させることができる発光装置(電子装置)の
製造装置を提供することを目的とする。また、本発明
は、品質の向上を図ることができる電気光学装置を提供
することを目的とする。また、本発明は、表示手段の性
能が向上した電子機器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の発光装置の製造
装置は、発光素子を形成するための発光装置の製造装置
であって、基体を搬送し、連続的に配置された搬送装置
と、前記基体の上に前記発光素子を形成するための複数
の処理装置と、を有してなり、前記複数の処理装置は、
前記搬送装置に対して両側に分かれて配置されてなるこ
とを特徴とする。上記発光装置の製造装置によれば、複
数の処理装置が搬送装置に対して両側に分けて配置され
ることから、製造装置全体の長さを短くできる。そのた
め、製造装置が配設される施設内のスペースを有効に利
用できる。
【0008】上記発光装置の製造装置において、前記複
数の処理装置のうち、前記搬送装置の少なくとも一方の
側にほぼ同様な機能を有する装置が配置されてなるのが
好ましい。搬送装置の少なくとも一方の側にほぼ同様な
機能を有する装置が配置されてなることにより、ユーテ
ィリティの配置設計の最適化や、メンテナンス性の向上
が図られる。また、まとめられた複数の装置の間で熱や
振動等の相互影響が生じても、機能的に同列なもの同士
であることから、その影響による不都合が生じにくい。
【0009】この場合において、前記複数の処理装置の
うち、前記搬送装置の一方の側に塗布装置が配置されて
なり、他方の側に乾燥装置が配置されてなるのが好まし
い。加熱装置と塗布装置とが搬送装置に対して両側に分
けて配置されることにより、加熱装置の熱の影響が塗布
装置に及ぶのを防ぐことができる。
【0010】また上記発光装置の製造装置において、前
記塗布装置としては、例えば、前記発光素子に形成され
てなる発光層を形成するためのインクジェット装置であ
ってもよく、前記発光素子に形成されてなる正孔注入/
輸送層を形成するためのインクジェット装置であっても
よい。
【0011】本発明の電子装置の製造装置は、電子素子
が形成される基体を搬送する搬送装置と、前記基体に対
して所定の処理を行う複数の処理装置とを備える電子装
置の製造装置であって、前記搬送装置は、連続的に配置
され、前記複数の処理装置は、前記搬送装置に対して両
側に分けて配置されていることを特徴とする。上記電子
装置の製造装置によれば、複数の処理装置が搬送装置に
対して両側に分けて配置されることから、製造装置全体
の長さを短くできる。そのため、製造装置が配設される
施設内のスペースを有効に利用できる。
【0012】上記電子装置の製造装置において、前記複
数の処理装置は、前記搬送装置の少なくとも一方の側に
ほぼ同様な機能を有する装置が配置されているのが好ま
しい。搬送装置の少なくとも一方の側に機能的に同列な
複数の処理装置がまとめられることにより、ユーティリ
ティの配置設計の最適化や、メンテナンス性の向上が図
られる。また、まとめられた複数の処理装置の間で熱や
振動等の相互影響が生じても、機能的に同列なもの同士
であることから、その影響による不都合が生じにくい。
【0013】この場合において、前記搬送装置の一方の
側に複数の乾燥装置が配置され、他方の側に複数の塗布
装置が配置されているのが好ましい。加熱装置と塗布装
置とが搬送装置の両側に分けて配置されることにより、
加熱装置の熱の影響が塗布装置に及ぶのを防ぐことがで
きる。
【0014】前記塗布装置としては、例えば、前記所定
の物質を含む液滴を吐出する液滴吐出装置を用いること
ができる。
【0015】また、上記電子装置の製造装置において、
前記複数の処理装置は、互いに間隔を空けて配置されて
いるのが好ましい。複数の処理装置が互いに間隔を空け
て配置されることにより、熱や振動等、複数の処理装置
の間で互いの影響を受けにくい。
【0016】本発明の電気光学装置は、上記電子装置の
製造装置を用いて製造された電子装置を備えることを特
徴とする。上記電気光学装置によれば、上述した製造装
置を用いて製造された電子装置を備えることから、品質
の向上を図ることができる。
【0017】本発明の電子機器は、上記電気光学装置を
表示手段として備えることを特徴とする。上記電子機器
によれば、表示手段の性能の向上を図ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明
する。図1は、本発明の電子装置の製造装置の実施の形
態例を模式的に示す図である。図1において、本例の電
子装置の製造装置20は、有機EL装置(発光装置)を
製造するものであり、電子素子の一例としての有機EL
素子が形成される基体である基板を搬送する搬送系21
と、基板に対して所定の処理を行う複数の処理装置を含
む処理系22とを備えて構成されている。
【0019】具体的には、図1に示す製造装置20は、
有機EL装置の機能層を形成する際の前処理を行うプラ
ズマ処理装置25、機能層の一部である正孔注入/輸送
層を形成する正孔注入/輸送層形成装置26、及び同じ
く機能層の一部である発光層を形成する発光層形成装置
27を備えて構成されている。なお、本発明はこれらの
処理装置に限定されるものではない。また、各装置にお
ける詳しい処理工程については後述する。
【0020】搬送系21においては、多関節型の搬送ア
ームを備える複数の振り分け装置30,31,…36が
互いに間隔を空けて直線状に配置されており、その複数
の振り分け装置30,31,…36の間に、基板の受け
渡しを行う受け渡し装置40,41,…46が配置され
ている。つまり、複数の振り分け装置30,31,…3
6と、複数の受け渡し装置40,41,…46とがほぼ
交互に直列に接続されている。
【0021】図2は、上記振り分け装置、及び受け渡し
装置を含む搬送系21の構成例を概略的に示している。
図2において、振り分け装置は、水平方向、垂直方向、
及び垂直軸周りの回転方向に移動自在な多関節型のロボ
ットアーム(搬送アーム37A)を有しており、搬送ア
ーム37Aには、基板2を保持するための複数の吸着孔
38が設けられている。吸着孔38は不図示の真空ポン
プに接続されており、圧力差を利用して基板を吸着保持
する。また、受け渡し装置は、基板2を支持するための
複数のピン47を有し、この複数のピン47の高さは、
複数のピン47上に基板2を搭載した際に基板2の下に
搬送アーム37Aを挿入できる空間が形成される高さで
ある。基板2の受け渡しにあたっては、まず、第1の搬
送アーム37Aが移動して複数のピン47の上方に基板
2を搬送し、その後、搬送アーム37Aが下降して基板
2を複数のピン47上に搭載する。第1の搬送アーム3
7Aは、基板2の搭載が完了すると、複数のピン47か
ら離れる。次に、第2の搬送アーム37Bが基板2の下
に移動し、その後上昇して複数のピン47から基板2を
受け取る。なお、本発明は、搬送系の構成として上記し
た構成に限定されない。上記例では、搬送アームが垂直
方向に移動することにより複数のピンに対して基板の受
け渡しや受け取りを行う構成となっているが、複数のピ
ンを上下に移動させる機構を設け、複数のピンの上下移
動により上記基板の受け渡しや受け取りを行う構成とし
てもよい。さらに、基板の位置を整える整列機構、各処
理室への基板振り分け方向を整える回転機構を設けても
よい。また、本発明の搬送系は、多関節型の搬送アーム
を備えることにより、搬送系の両側の装置に基板を容易
に振り分けることができるという利点を有するが、これ
に限らず、ローラコンベアを備えるもの等、他の形態の
搬送手段を用いてもよい。
【0022】図1に戻り、プラズマ処理装置25は、予
備加熱処理室51、第1プラズマ処理室52、第2プラ
ズマ処理室53、及び冷却処理室54を備えている。予
備加熱処理室51と冷却処理室54とは同一箇所で多段
に配置されている。また、予備加熱処理室51/冷却処
理室54、第1プラズマ処理室52、及び第2プラズマ
処理室53は、振り分け装置30を中心として放射状に
配置されている。処理対象の基板は基板投入部48を介
して投入され、振り分け装置30に受け渡される。振り
分け装置30は、予備加熱処理室51、第1プラズマ処
理室52、第2プラズマ処理室53、及び冷却処理室5
4に順次基板を搬入するとともに、処理後の基板を各処
理室から搬出する。プラズマ処理装置25で処理された
基板は、振り分け装置30、及び受け渡し装置40を介
して正孔注入/輸送層形成装置26に送られる。
【0023】正孔注入/輸送層形成装置26は、正孔注
入/輸送層の形成材料を含む組成物を基板上に塗布する
塗布処理室70の他に、予備加熱処理室71、加熱処理
室72、及び冷却処理室73を備えている。加熱処理室
72と冷却処理室73とは同一箇所で多段に配置されて
いる。また、進行方向に向かって振り分け装置31,3
2の一方の側(ここでは右側)に塗布処理室70が配置
され、他方の側(ここでは左側)に、予備加熱処理室7
1、及び加熱処理室72/冷却処理室73が配置されて
いる。振り分け装置31は、受け渡し装置40から基板
を受け取ると、塗布処理室70、及び予備加熱処理室7
1に順次基板を搬入するとともに、処理後の基板を各処
理室から搬出し、受け渡し装置41に受け渡す。また、
振り分け装置32は、受け渡し装置41から基板を受け
取ると、その基板を加熱処理室72/冷却処理室73に
搬入し、処理後の基板を搬出する。正孔注入/輸送層形
成装置26で処理された基板は、振り分け装置32,3
3、及び受け渡し装置42,43を介して発光層形成装
置27に送られる。
【0024】ここで、受け渡し装置42は、複数の基板
を一時的に保持するバッファ部を有している。バッファ
部に保持された基板は振り分け装置33によって随時取
り出され、受け渡し装置43に受け渡される。受け渡し
装置43も同様に、複数の基板を一時的に保持するバッ
ファ部を有しており、バッファ部に保持された基板は振
り分け装置34によって随時取り出される。なお、振り
分け装置33及び受け渡し装置43は省略してもよい。
また、受け渡し装置42においてカセットに基板を収納
し、そのカセットを受け渡し装置43に搬送してもよ
い。
【0025】発光層形成装置27は、赤(R)、緑
(G)、青(B)のいずれかの色に対応して、発光層の
形成材料を含む組成物を基板上に塗布する塗布処理室7
5,76,77を備えている。また、各塗布処理室7
5,76,77ごとに、加熱処理室78,79,80、
及び冷却処理室81,82,83を備えている。各加熱
処理室と各冷却処理室とは同一箇所で多段に配置されて
いる。また、進行方向に向かって振り分け装置34,3
5,36の右側に塗布処理室75,76,77が配置さ
れ、同左側に、加熱処理室78,79,80/冷却処理
室81,82,83が配置されている。振り分け装置3
4は、受け渡し装置43から基板を受け取ると、塗布処
理室75、加熱処理室78/冷却処理室81に順次基板
を搬入するとともに、処理後の基板を各処理室から搬出
し、受け渡し装置44に受け渡す。同様に、振り分け装
置35、振り分け装置36においても各処理室に対して
基板の搬出入を順次行う。発光層形成装置27で処理さ
れた基板は、振り分け装置36、及び受け渡し装置46
を介して不図示の陰極形成装置に送られる。
【0026】このように、本例の製造装置20では、搬
送系21がほぼ直線状に連続的に配置され、処理系22
を構成する複数の処理装置(処理室)がその搬送系21
の両側に分けて配置されている。そのため、製造装置全
体の長さを短くでき、製造装置が配設される施設内のス
ペースを有効に利用できる。しかも、処理系22に含ま
れる複数の処理室のうち、機能的に同列なものがまとめ
て配置されている。すなわち、進行方向に向かって搬送
系21の右側に塗布処理室70,75,76,77がま
とめて配置され、同左側に、加熱装置及び冷却処理装置
78〜83がまとめて配置されている。そのため、ユー
ティリティの配置設計の最適化や、メンテナンス性の面
で有利である。また、まとめられた複数の処理装置の間
で熱や振動等の相互影響が生じても、機能的に同列なも
の同士であることから、その影響による不都合が生じに
くい。また、熱源を有する加熱処理室78,79,80
と、塗布処理室70,75,76,77とが搬送系21
の両側に分けて配置されているので、加熱処理室の熱の
影響が塗布処理室に及びにくい。そのため、熱による塗
布材料の粘度変化や、塗布機構の熱変化が起こりにく
く、品質の向上を図りやすい。
【0027】また、本例の製造装置20では、処理系2
2の各処理室が搬送系21の両側のそれぞれにおいて互
いに間隔を空けて配置されている。すなわち、塗布処理
室70、75、76、77はそれぞれ互いに離間して配
置されており、加熱/冷却装置78〜83もそれぞれ互
いに離間して配置されている。そのため、搬送系21の
同一側(右側あるいは左側)に配される複数の処理装置
の間においても、熱や振動等の相互影響は小さい。
【0028】上記製造装置20においては、処理対象と
なる基板が配される空間を、水、酸素が排除された雰囲
気とする事が好ましい。例えば、窒素雰囲気、アルゴン
雰囲気等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。こ
れにより、基板上に形成される層の酸化等の劣化が防止
される。
【0029】また、不図示の空調装置により、プラズマ
処理装置25、正孔注入/輸送層形成装置26、発光層
形成装置27が配される空間の雰囲気を個別に制御する
のが好ましい。すなわち、例えば、上述した各装置2
5,26,27の間に壁を設けて複数の空間を設け、各
空間の雰囲気(温度、パージガスなど)を個別に制御す
る。これにより、装置間の熱や振動の伝達を確実に防止
できる。また、各装置25,26,27が配される空間
を上述した不活性ガス雰囲気に置換することにより、基
板が配される空間の上記不活性ガス雰囲気状態を確実に
維持することができる。さらに、メンテナンス時などに
おいて上述した不活性ガス雰囲気が破壊される場合にも
その破壊領域を最小限に抑制できる。
【0030】また、上記製造装置20において、塗布処
理室70,75,76,77における塗布方法として
は、材料を液滴状に吐出する液滴吐出技術、いわゆるイ
ンクジェット方式を用いるとよい。インクジェット方式
は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所
望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。
【0031】ここで、インクジェット方式としては、帯
電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変
換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式
は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の
飛翔方向を制御してノズルから吐出させるものである。
また、加圧振動方式は、材料に超高圧を印加してノズル
先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけ
ない場合には材料が直進してノズルから吐出され、制御
電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が
飛散してノズルから吐出されない。また、電気機械変換
方式(ピエゾ方式)は、ピエゾ素子(圧電素子)がパル
ス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもの
で、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した
空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料
を押し出してノズルから吐出させるものである。また、
電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒー
タにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生
させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させる
ものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に
微小圧力を加え、ノズルに材料のメニスカスを形成し、
この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すもので
ある。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利
用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用
可能である。上記液滴吐出技術のうち、ピエゾ方式は、
材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにく
いという利点を有する。
【0032】図3は、本発明の電気光学装置を有機EL
装置を用いたアクティブマトリクス型の表示装置(有機
EL表示装置)に適用した実施の形態例であり、上記電
子装置の製造装置20を用いて製造される有機EL素子
を発光素子として備えるものである。また、この表示装
置1は、薄膜トランジスタを用いたアクティブ型の駆動
方式を採用している。
【0033】表示装置1は、基板2の上に、回路素子と
しての薄膜トランジスタを含む回路素子部14、発光層
を含む機能層110、陰極12、及び封止部3等を順次
積層した構造からなる。
【0034】基板2としては、本例ではガラス基板が用
いられる。本発明における基板としては、ガラス基板の
他に、シリコン基板、石英基板、セラミックス基板、金
属基板、プラスチック基板、プラスチックフィルム基板
等、電気光学装置や回路基板に用いられる公知の様々な
基板が適用される。基板2上には、発光領域としての複
数の画素領域Aがマトリクス状に配列されており、カラ
ー表示を行う場合、例えば、赤(R)、緑(G)、青
(B)の各色に対応する画素領域Aが所定の配列で並
ぶ。各画素領域Aには、画素電極111が配置され、そ
の近傍には信号線132、電源線133、走査線131
及び図示しない他の画素電極用の走査線等が配置されて
いる。画素領域Aの平面形状は、図に示す矩形の他に、
円形、長円形など任意の形状が適用される。
【0035】また、封止部3は、水や酸素の侵入を防い
で陰極12あるいは機能層110の酸化を防止するもの
であり、基板2に塗布される封止樹脂、及び基板2に貼
り合わされる封止基板3b(封止缶)等を含む。封止樹
脂の材料としては、例えば、熱硬化樹脂あるいは紫外線
硬化樹脂等が用いられ、特に、熱硬化樹脂の1種である
エポキシ樹脂が好ましく用いられる。封止樹脂は、基板
2の周縁に環状に塗布されており、例えば、マイクロデ
ィスペンサ等により塗布される。封止基板3bは、ガラ
スや金属等からなり、基板2と封止基板3bとは封止樹
脂を介して張り合わされる。
【0036】図4は、上記表示装置1の回路構造を示し
している。図4において、基板2上には、複数の走査線
131と、走査線131に対して交差する方向に延びる
複数の信号線132と、信号線132に並列に延びる複
数の電源線133とが配線されている。また、走査線1
31及び信号線132の各交点ごとに上記画素領域Aが
形成されている。信号線132には、例えば、シフトレ
ジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイ
ッチを含むデータ側駆動回路103が接続されている。
また、走査線131には、シフトレジスタ及びレベルシ
フタを含む走査側駆動回路104が接続されている。
【0037】画素領域Aには、走査線131を介して走
査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の第1
の薄膜トランジスタ123と、この薄膜トランジスタ1
23を介して信号線132から供給される画像信号を保
持する保持容量135と、保持容量135によって保持
された画像信号がゲート電極に供給される駆動用の第2
の薄膜トランジスタ124と、この薄膜トランジスタ1
24を介して電源線133に電気的に接続したときに電
源線133から駆動電流が流れ込む画素電極111(陽
極)と、画素電極111と対向電極12(陰極)との間
に挟み込まれる機能層110とが設けられている。機能
層110は、発光層としての有機EL層を含む。
【0038】画素領域Aでは、走査線131が駆動され
て第1の薄膜トランジスタ123がオンとなると、その
ときの信号線132の電位が保持容量135に保持さ
れ、この保持容量135の状態に応じて、第2の薄膜ト
ランジスタ124の導通状態が決まる。また、第2の薄
膜トランジスタ124のチャネルを介して電源線133
から画素電極111に電流が流れ、さらに機能層110
を通じて対向電極12(陰極)に電流が流れる。そし
て、このときの電流量に応じて、機能層110が発光す
る。
【0039】図5は、表示装置1における表示領域の断
面構造を拡大した図である。この図5には3つの画素領
域Aが図示されている。表示装置1は、基板2上に、T
FTなどの回路等が形成された回路素子部14、機能層
110が形成された発光素子部11及び陰極12が順次
積層されて構成されている。表示装置1においては、機
能層110から基板2側に発した光が、回路素子部14
及び基板2を透過して基板2の下側(観測者側)に出射
されるとともに、機能層110から基板2の反対側に発
した光が陰極12により反射されて、回路素子部14及
び基板2を透過して基板2の下側(観測者側)に出射さ
れるようになっている。なお、陰極12として、透明な
材料を用いることにより陰極側から発光する光を出射さ
せることができる。透明な材料としては、ITO、P
t、Ir、Ni、もしくはPdを用いる事ができる。膜
厚としては75nmほどの膜厚にする事が好ましく、こ
の膜厚よりも薄くした方がより好ましい。
【0040】回路素子部14には、基板2上にシリコン
酸化膜からなる下地保護膜2cが形成され、この下地保
護膜2c上に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜1
41が形成されている。なお、半導体膜141には、ソ
ース領域141a及びドレイン領域141bが高濃度P
イオン打ち込みにより形成されている。なお、Pが導入
されなかった部分がチャネル領域141cとなってい
る。さらに回路素子部14には、下地保護膜2c及び半
導体膜141を覆う透明なゲート絶縁膜142が形成さ
れ、ゲート絶縁膜142上にはAl、Mo、Ta、T
i、W等からなるゲート電極143(走査線)が形成さ
れ、ゲート電極143及びゲート絶縁膜142上には透
明な第1層間絶縁膜144aと第2層間絶縁膜144b
が形成されている。ゲート電極143は半導体膜141
のチャネル領域141cに対応する位置に設けられてい
る。また、第1、第2層間絶縁膜144a、144bを
貫通して、半導体膜141のソース、ドレイン領域14
1a、141bにそれぞれ接続されるコンタクトホール
145,146が形成されている。そして、第2層間絶
縁膜144b上には、ITO等からなる透明な画素電極
111が所定の形状にパターニングされて形成され、一
方のコンタクトホール145がこの画素電極111に接
続されている。また、もう一方のコンタクトホール14
6が電源線133に接続されている。このようにして、
回路素子部14には、各画素電極111に接続された駆
動用の薄膜トランジスタ123が形成されている。な
お、回路素子部14には、前述した保持容量135及び
スイッチング用の薄膜トランジスタ124も形成されて
いるが、図5ではこれらの図示を省略している。
【0041】発光素子部11は、複数の画素電極111
…上の各々に積層された機能層110と、各画素電極1
11及び機能層110の間に備えられて各機能層110
を区画するバンク部112とを主体として構成されてい
る。機能層110上には陰極12が配置されている。発
光素子である有機EL素子は、画素電極111、陰極1
2、及び機能層110等を含んで構成される。ここで、
画素電極111は、例えばITOにより形成されてな
り、平面視略矩形にパターニングされて形成されてい
る。この画素電極111の厚さは、50〜200nmの
範囲が好ましく、特に150nm程度がよい。この各画
素電極111…の間にバンク部112が備えられてい
る。
【0042】バンク部112は、図5に示すように、基
板2側に位置する無機物バンク層112a(第1バンク
層)と基板2から離れて位置する有機物バンク層112
b(第2バンク層)とが積層されて構成されている。
【0043】無機物バンク層、有機物バンク層(112
a、112b)は、画素電極111の周縁部上に乗上げ
るように形成されている。平面的には、画素電極111
の周囲と無機物バンク層112aとが平面的に重なるよ
うに配置された構造となっている。また、有機物バンク
層112bも同様であり、画素電極111の一部と平面
的に重なるように配置されている。また無機物バンク層
112aは、有機物バンク層112bよりも画素電極1
11の中央側にさらに形成されている。このようにし
て、無機物バンク層112aの各第1積層部112eが
画素電極111の内側に形成されることにより、画素電
極111の形成位置に対応する下部開口部112cが設
けられている。また、有機物バンク層112bには、上
部開口部112dが形成されている。この上部開口部1
12dは、画素電極111の形成位置及び下部開口部1
12cに対応するように設けられている。上部開口部1
12dは、図5に示すように、下部開口部112cより
広く、画素電極111より狭く形成されている。また、
上部開口部112dの上部の位置と、画素電極111の
端部とがほぼ同じ位置になるように形成される場合もあ
る。この場合は、図5に示すように、有機物バンク層1
12bの上部開口部112dの断面が傾斜する形状とな
る。そしてバンク部112には、下部開口部112c及
び上部開口部112dが連通することにより、無機物バ
ンク層112a及び有機物バンク層112bを貫通する
開口部112gが形成されている。
【0044】また、無機物バンク層112aは、例え
ば、SiO2、TiO2等の無機材料からなることが好ま
しい。この無機物バンク層112aの膜厚は、50〜2
00nmの範囲が好ましく、特に150nmがよい。膜
厚が50nm未満では、無機物バンク層112aが後述
する正孔注入/輸送層より薄くなり、正孔注入/輸送層
の平坦性を確保できなくなるので好ましくない。また膜
厚が200nmを越えると、下部開口部112cによる
段差が大きくなって、正孔注入/輸送層上に積層する後
述の発光層の平坦性を確保できなくなるので好ましくな
い。
【0045】さらに、有機物バンク層112bは、アク
リル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性のある
レジストから形成されている。この有機物バンク層11
2bの厚さは、0.1〜3.5μmの範囲が好ましく、
特に2μm程度がよい。厚さが0.1μm未満では、後
述する正孔注入/輸送層及び発光層の合計厚より有機物
バンク層112bが薄くなり、発光層が上部開口部11
2dから溢れるおそれがあるので好ましくない。また、
厚さが3.5μmを越えると、上部開口部112dによ
る段差が大きくなり、有機物バンク層112b上に形成
する陰極12のステップガバレッジを確保できなくなる
ので好ましくない。また、有機物バンク層112bの厚
さを2μm以上にすれば、駆動用の薄膜トランジスタ1
23との絶縁を高めることができる点でより好ましい。
【0046】また、バンク部112には、親液性を示す
領域と、撥液性を示す領域が形成されている。親液性を
示す領域は、無機物バンク層112aの第1積層部11
2e及び画素電極111の電極面111aであり、これ
らの領域は、酸素を処理ガスとするプラズマ処理によっ
て親液性に表面処理されている。また、撥液性を示す領
域は、上部開口部112dの壁面及び有機物バンク層1
12bの上面112fであり、これらの領域は、4フッ
化メタン、テトラフルオロメタン、もしくは四フッ化炭
素を処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化
処理(撥液性に処理)されている。
【0047】図5に示すように、機能層110は、画素
電極111上に積層された正孔注入/輸送層110a
と、正孔注入/輸送層110a上に隣接して形成された
発光層110bとから構成されている。なお、発光層1
10bに隣接してその他の機能を有する他の機能層をさ
らに形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成する事
も可能である。正孔注入/輸送層110aは、正孔を発
光層110bに注入する機能を有するとともに、正孔を
正孔注入/輸送層110a内部において輸送する機能を
有する。このような正孔注入/輸送層110aを画素電
極111と発光層110bの間に設けることにより、発
光層110bの発光効率、寿命等の素子特性が向上す
る。また、発光層110bでは、正孔注入/輸送層11
0aから注入された正孔と、陰極12から注入される電
子が発光層で再結合し、発光が得られる。
【0048】正孔注入/輸送層110aは、下部開口部
112c内に位置して画素電極面111a上に形成され
る平坦部110a1と、上部開口部112d内に位置し
て無機物バンク層の第1積層部112e上に形成される
周縁部110a2から構成されている。また、正孔注入
/輸送層110aは、構造によっては、画素電極111
上であって、且つ無機物バンク層112aの間(下部開
口部112c)にのみ形成されている(前述に記載した
平坦部にのみ形成される形態もある)。この平坦部11
0a1は、その厚さが一定で例えば50〜70nmの範
囲に形成される。周縁部110a2が形成される場合に
おいては、周縁部110a2は、第1積層部112e上
に位置するとともに上部開口部112dの壁面、即ち有
機物バンク層112bに密着している。また、周縁部1
10a2の厚さは、電極面111aに近い側で薄く、電
極面111aから離れる方向に沿って増大し、下部開口
部112cの壁面近くで最も厚くなっている。周縁部1
10a2が上記の様な形状を示す理由としては、正孔注
入/輸送層110aが、正孔注入/輸送層形成材料及び
極性溶媒を含む第1組成物を開口部112内に吐出して
から極性溶媒を除去して形成されたものであり、極性溶
媒の揮発が主に無機物バンク層の第1積層部112e上
で起こり、正孔注入/輸送層形成材料がこの第1積層部
112e上に集中的に濃縮・析出されたためである。
【0049】また発光層110bは、正孔注入/輸送層
110aの平坦部110a1及び周縁部110a2上に渡
って形成されており、平坦部112a1上での厚さが5
0〜80nmの範囲とされている。発光層110bは、
赤色(R)に発光する赤色発光層110b1、緑色
(G)に発光する緑色発光層110b2、及び青色
(B)に発光する青色発光層110b3、の3種類を有
し、各発光層110b1〜110b3がストライプ配置さ
れている。
【0050】上記のように、正孔注入/輸送層110a
の周縁部110a2が上部開口部112dの壁面(有機
物バンク層112b)に密着しているので、発光層11
0bが有機物バンク層112bに直接に接することがな
い。従って、有機物バンク層112bに不純物として含
まれる水が発光層110b側に移行するのを、周縁部1
10a2によって阻止することができ、水による発光層
110bの酸化を防止できる。また、無機物バンク層の
第1積層部112e上に不均一な厚さの周縁部110a
2が形成されるため、周縁部110a2が第1積層部11
2eによって画素電極111から絶縁された状態とな
り、周縁部110a2から発光層110bに正孔が注入
されることがない。これにより、画素電極111からの
電流が平坦部112a1のみに流れ、正孔を平坦部11
2a1から発光層110bに均一に輸送させることがで
き、発光層110bの中央部分のみを発光させることが
できるとともに、発光層110bにおける発光量を一定
にすることができる。また、無機物バンク層112aが
有機物バンク層112bよりも画素電極111の中央側
にさらに延出されているので、この無機物バンク層11
2aによって画素電極111と平坦部110a1との接
合部分の形状をトリミングすることができ、各発光層1
10b間の発光強度のばらつきを抑えることができる。
【0051】さらに、画素電極111の電極面111a
及び無機物バンク層の第1積層部112eが親液性を示
すので、機能層110が画素電極111及び無機物バン
ク層112aに均一に密着し、無機物バンク112a上
で機能層110が極端に薄くならず、画素電極111と
陰極12との短絡を防止できる。また、有機物バンク層
112bの上面112f及び上部開口部112d壁面が
撥液性を示すので、機能層110と有機物バンク層11
2bとの密着性が低くなり、機能層110が開口部11
2gから溢れて形成されることがない。
【0052】なお、正孔注入/輸送層形成材料として
は、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン等のポリ
チオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸等の混合物
を用いることができる。また、発光層110bの材料と
しては、例えば、[化1]〜[化5]が、ポリフルオレ
ン誘導体か、その他に(ポリ)パラフェニレンビニレン
誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導
体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、
またはこれらの高分子材料にペリレン系色素、クマリン
系色素、ローダミン系色素、ルブレン、ペリレン、9,
10-ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジ
エン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をド
ープして用いることができる。
【0053】
【化1】
【0054】
【化2】
【0055】
【化3】
【0056】
【化4】
【0057】
【化5】
【0058】陰極12は、発光素子部11の全面に形成
されており、画素電極111と対になって機能層110
に電流を流す役割を果たす。この陰極12は、例えば、
カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成され
ている。このとき、発光層に近い側の陰極には仕事関数
が低いものを設けることが好ましく、特にこの形態にお
いては発光層110bに直接に接して発光層110bに
電子を注入する役割を果たす。また、フッ化リチウムは
発光層の材料によっては効率よく発光させるために、発
光層110bと陰極12との間にLiFを形成する場合
もある。なお、赤色及び緑色の発光層110b1、11
10b2にはフッ化リチウムに限らず、他の材料を用い
ても良い。従ってこの場合は青色(B)発光層110b
3のみにフッ化リチウムからなる層を形成し、他の赤色
及び緑色の発光層110b1、110b2にはフッ化リチ
ウム以外のものを積層しても良い。また、赤色及び緑色
の発光層110b1、110b2上にはフッ化リチウムを
形成せず、カルシウムのみを形成しても良い。なお、フ
ッ化リチウムの厚さは、例えば2〜5nmの範囲が好ま
しく、特に2nm程度がよい。またカルシウムの厚さ
は、例えば2〜50nmの範囲が好ましい。また、陰極
12を形成するアルミニウムは、発光層110bから発
した光を基板2側に反射させるもので、Al膜の他、A
g膜、AlとAgの積層膜等からなることが好ましい。
また、その厚さは、例えば100〜1000nmの範囲
が好ましく、特に200nm程度がよい。さらにアルミ
ニウム上にSiO、SiO2、SiN等からなる酸化防
止用の保護層を設けても良い。
【0059】次に、図1に示した電子装置の製造装置2
0を用いて有機EL装置を製造する方法について図6〜
図20を参照して詳しく説明する。本例の有機EL装置
の製造方法は、(1)プラズマ処理工程、(2)正孔注
入/輸送層形成工程、(3)発光層形成工程、(4)対
向電極(陰極)形成工程、及び(7)封止工程を含む。
なお、製造方法はこれに限られるものではなく必要に応
じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合
もある。また、製造装置20には、回路素子としての薄
膜トランジスタが形成された基板2上に画素電極11
1、及びバンク部112が形成されたものが投入され
る。
【0060】(1)プラズマ処理工程 プラズマ処理工程では、画素電極111の表面を活性化
すること、さらにバンク部112の表面を表面処理する
事を目的として行われる。特に活性化工程では、画素電
極111(ITO)上の洗浄、さらに仕事関数の調整を
主な目的として行っている。さらに、画素電極111の
表面の親液化処理、バンク部112表面の撥液化処理を
行う。
【0061】プラズマ処理工程は、(1)-1予備加熱工
程、(1)-2活性化処理工程(親液性にする親液化工
程)、(1)-3撥液化処理工程、及び(1)-4冷却工程とに大
別される。なお、このような工程に限られるものではな
く、必要に応じて工程を削減、更なる工程追加も行われ
る。
【0062】まず、図1に示すプラズマ処理装置25を
用いた概略の工程を説明する。予備加熱工程は、図1に
示す予備加熱処理室51において行われる。そしてこの
処理室51により、バンク部形成工程から搬送された基
板2を所定の温度に加熱する。予備加熱工程の後、親液
化工程及び撥液化処理工程を行う。すなわち、基板は第
1,第2プラズマ処理室52,53に順次搬送され、そ
れぞれの処理室52,53においてバンク部112にプ
ラズマ処理を行い親液化する。この親液化処理後に撥液
化処理を行う。撥液化処理の後に基板を冷却処理室に搬
送し、冷却処理室54おいて基板を室温まで冷却する。
この冷却工程後、搬送装置により次の工程である正孔注
入/輸送層形成工程に基板を搬送する。
【0063】以下に、それぞれの工程について詳細に説
明する。 (1)-1 予備加熱工程 予備加熱工程は予備加熱処理室51により行う。この処
理室51において、バンク部112を含む基板2を所定
の温度まで加熱する。基板2の加熱方法は、例えば処理
室51内にて基板2を載せるステージにヒータを取り付
け、このヒータで当該ステージごと基板2を加熱する手
段がとられている。なお、これ以外の方法を採用するこ
とも可能である。予備加熱処理室51において、例えば
70℃〜80℃の範囲に基板2を加熱する。この温度は
次工程であるプラズマ処理における処理温度であり、次
の工程に合わせて基板2を事前に加熱し、基板2の温度
ばらつきを解消することを目的としている。仮に予備加
熱工程を加えなければ、基板2は室温から上記のような
温度に加熱されることになり、工程開始から工程終了ま
でのプラズマ処理工程中において温度が常に変動しなが
ら処理される事になる。したがって、基板温度が変化し
ながらプラズマ処理を行うことは、特性の不均一につな
がる可能性がある。したがって、処理条件を一定に保
ち、均一な特性を得るために予備加熱を行うのである。
【0064】そこで、プラズマ処理工程においては、第
1,第2プラズマ処理装置52,53内の試料ステージ
上に基板2を載置した状態で親液化工程または撥液化工
程を行う場合に、予備加熱温度を、親液化工程または撥
液化工程を連続して行う試料ステージ56の温度にほぼ
一致させることが好ましい。そこで、第1,第2プラズ
マ処理装置52,53内の試料ステージが上昇する温
度、例えば70〜80℃まで予め基板2を予備加熱する
ことにより、多数の基板にプラズマ処理を連続的に行っ
た場合でも、処理開始直後と処理終了直前でのプラズマ
処理条件をほぼ一定にすることができる。これにより、
基板2の表面処理条件を同一にし、バンク部112の組
成物に対する濡れ性を均一化することができ、一定の品
質を有する表示装置を製造することができる。また、基
板2を予め予備加熱しておくことにより、後のプラズマ
処理における処理時間を短縮することができる。
【0065】(1)-2 活性化処理 つぎに第1プラズマ処理室52では、活性化処理が行わ
れる。活性化処理には、画素電極111における仕事関
数の調整、制御、画素電極表面の洗浄、画素電極表面の
親液化処理が含まれる。親液化処理として、大気雰囲気
中で酸素を処理ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ
処理)を行う。図6は第1プラズマ処理を模式的に示し
た図である。図6に示すように、バンク部112を含む
基板2は加熱ヒータ内臓の試料ステージ56上に載置さ
れ、基板2の上側にはギャップ間隔0.5〜2mm程度
の距離をおいてプラズマ放電電極57が基板2に対向し
て配置されている。基板2は、試料ステージ56によっ
て加熱されつつ、試料ステージ56は図示矢印方向に向
けて所定の搬送速度で搬送され、その間に基板2に対し
てプラズマ状態の酸素が照射される。O2プラズマ処理
の条件は、例えば、プラズマパワー100〜800k
W、酸素ガス流量50〜100ml/min、板搬送速
度0.5〜10mm/sec、基板温度70〜90℃の
条件で行われる。なお、試料ステージ56による加熱
は、主として予備加熱された基板2の保温のために行わ
れる。
【0066】このO2プラズマ処理により、図7に示す
ように、画素電極111の電極面111a、無機物バン
ク層112aの第1積層部112e及び有機物バンク層
112bの上部開口部112dの壁面ならびに上面11
2fが親液処理される。この親液処理により、これらの
各面に水酸基が導入されて親液性が付与される。図8で
は、親液処理された部分を一点鎖線で示している。な
お、このO2プラズマ処理は、親液性を付与するのみな
らず、上述の通り画素電極であるITO上の洗浄,仕事
関数の調整も兼ねている。
【0067】(1)-3 撥液処理工程 つぎに、第2プラズマ処理室53では、撥液化工程とし
て、大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスと
するプラズマ処理(CF4プラズマ処理)を行う。第2
プラズマ処理室53の内部構造は図6に示した第1プラ
ズマ処理室52の内部構造と同じである。即ち、基板2
は、試料ステージによって加熱されつつ、試料ステージ
ごと所定の搬送速度で搬送され、その間に基板2に対し
てプラズマ状態のテトラフルオロメタン(四フッ化炭
素)が照射される。CF4プラズマ処理の条件は、例え
ば、プラズマパワー100〜800kW、4フッ化メタ
ンガス流量50〜100ml/min、基板搬送速度
0.5〜10mm/sec、基板温度70〜90℃の条
件で行われる。なお、加熱ステージによる加熱は、第1
プラズマ処理室52の場合と同様に、主として予備加熱
された基板2の保温のために行われる。なお、処理ガス
は、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、
他のフルオロカーボン系のガスを用いることができる。
【0068】CF4プラズマ処理により、図8に示すよ
うに、上部開口部112d壁面及び有機物バンク層の上
面112fが撥液処理される。この撥液処理により、こ
れらの各面にフッ素基が導入されて撥液性が付与され
る。図8では、撥液性を示す領域を二点鎖線で示してい
る。有機物バンク層112bを構成するアクリル樹脂、
ポリイミド樹脂等の有機物はプラズマ状態のフルオロカ
ーボンが照射することで容易に撥液化させることができ
る。また、O2プラズマにより前処理した方がフッ素化
されやすい、という特徴を有しており、本実施形態には
特に有効である。なお、画素電極111の電極面111
a及び無機物バンク層112aの第1積層部112eも
このCF4プラズマ処理の影響を多少受けるが、濡れ性
に影響を与える事は少ない。図8では、親液性を示す領
域を一点鎖線で示している。
【0069】(1)-4 冷却工程 次に冷却工程として、冷却処理室54を用い、プラズマ
処理のために加熱された基板2を管理温度まで冷却す
る。これは、この以降の工程であるインクジェット工程
(液滴吐出工程)の管理温度まで冷却するために行う工
程である。この冷却処理室54は、基板2を配置するた
めのプレートを有し、そのプレートは基板2を冷却する
ように水冷装置が内蔵された構造となっている。また、
プラズマ処理後の基板2を室温、または所定の温度(例
えばインクジェット工程を行う管理温度)まで冷却する
ことにより、次の正孔注入/輸送層形成工程において、
基板2の温度が一定となり、基板2の温度変化が無い均
一な温度で次工程を行うことができる。したがって、こ
のような冷却工程を加えることにより、インクジェット
法等の吐出手段により吐出された材料を均一に形成でき
る。例えば、正孔注入/輸送層を形成するための材料を
含む第1組成物を吐出させる際に、第1組成物を一定の
容積で連続して吐出させることができ、正孔注入/輸送
層を均一に形成することができる。
【0070】上記のプラズマ処理工程では、材質が異な
る有機物バンク層112b及び無機物バンク層112a
に対して、O2プラズマ処理とCF4プラズマ処理とを順
次行うことにより、バンク部112に親液性の領域と撥
液性の領域を容易に設けることができる。また,上記プ
ラズマ装置は,大気圧下の装置でなくとも,真空下のプ
ラズマ装置を用いても良い。
【0071】(2)正孔注入/輸送層形成工程 次に正孔注入/輸送層形成工程では、先の図1に示した
正孔注入/輸送層形成装置26を用いて電極(ここでは
画素電極111)上に正孔注入/輸送層を形成する。正
孔注入/輸送層形成工程では、液滴吐出法(インクジェ
ット法)を用いることにより、正孔注入/輸送層形成材
料を含む第1組成物(組成物)を電極面111a上に吐
出する。その後に乾燥処理及び熱処理を行い、画素電極
111上及び無機物バンク層112a上に正孔注入/輸
送層110aを形成する。なお、正孔注入/輸送層11
0aが形成された無機物バンク層112aをここでは第
1積層部112eという。この正孔注入/輸送層形成工
程を含めこれ以降の工程は、水、酸素の無い雰囲気とす
る事が好ましい。例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気
等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
【0072】なお、正孔注入/輸送層110aは第1積
層部112e上に形成されないこともある。すなわち、
画素電極111上にのみ正孔注入/輸送層が形成される
形態もある。
【0073】インクジェット法による層の形成方法は以
下の通りである。図9に示すように、インクジェットヘ
ッドH1に形成された複数のノズルから正孔注入/輸送
層形成材料を含む第1組成物を吐出する。ここではイン
クジェットヘッドを走査することにより各画素毎に組成
物を充填しているが、基板2を走査することによっても
可能である。さらに、インクジェットヘッドと基板2と
を相対的に移動させることによっても組成物を充填させ
ることができる。なお、これ以降のインクジェットヘッ
ドを用いて行う工程では上記の点は同様である。
【0074】インクジェットヘッドによる吐出は以下の
通りである。すなわち、インクジェットヘッドH1に形
成されてなる吐出ノズルH2を電極面111aに対向し
て配置し、ノズルH2から第1組成物を吐出する。画素
電極111の周囲には下部開口部112cを区画するバ
ンク部112が形成されており、この下部開口部112
c内に位置する画素電極面111aにインクジェットヘ
ッドH1を対向させ、このインクジェットヘッドH1と基
板2とを相対移動させながら、吐出ノズルH2から1滴
当たりの液量が制御された第1組成物滴110cを電極
面111a上に吐出する。
【0075】ここで用いる第1組成物としては、例え
ば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリ
チオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸(PSS)等の
混合物を、極性溶媒に溶解させた組成物を用いることが
できる。極性溶媒としては、例えば、イソプロピルアル
コール(IPA)、ノルマルブタノール、γ−ブチロラクト
ン、N−メチルピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−
2−イミダゾリジノン(DMI)及びその誘導体、カルビト
−ルアセテート、ブチルカルビト−ルアセテート等のグ
リコールエーテル類等を挙げることができる。より具体
的な第1組成物の組成としては、PEDOT/PSS混合物(PEDO
T/PSS=1:20):12.52重量%、PSS:1.44重量
%、IPA:10重量%、NMP:27.48重量%、DMI:
50重量%のものを例示できる。なお、第1組成物の粘
度は2〜20Ps程度が好ましく、特に4〜15cPs
程度が良い。上記の第1組成物を用いることにより、吐
出ノズルH2に詰まりが生じることがなく安定吐出でき
る。なお、正孔注入/輸送層形成材料は、赤(R)、緑
(G)、青(B)の各発光層110b1〜110b3に対
して同じ材料を用いても良く、各発光層毎に変えても良
い。
【0076】図9に示すように、吐出された第1組成物
滴110cは、親液処理された電極面111a及び第1
積層部112e上に広がり、下部、上部開口部112
c、112d内に充填される。仮に、第1組成物滴11
0cが所定の吐出位置からはずれて上面112f上に吐
出されたとしても、上面112fが第1組成物滴110
cで濡れることがなく、はじかれた第1組成物滴110
cが下部、上部開口部112c、112d内に転がり込
む。
【0077】電極面111a上に吐出する第1組成物量
は、下部、上部開口部112c、112dの大きさ、形
成しようとする正孔注入/輸送層の厚さ、第1組成物中
の正孔注入/輸送層形成材料の濃度等により決定され
る。また、第1組成物滴110cは1回のみならず、数
回に分けて同一の電極面111a上に吐出しても良い。
この場合、各回における第1組成物の量は同一でも良
く、各回毎に第1組成物を変えても良い。さらに電極面
111aの同一箇所のみならず、各回毎に電極面111
a内の異なる箇所に第1組成物を吐出しても良い。
【0078】インクジェットヘッドの構造については、
図10のようなヘッドHを用いる事ができる。さらに、
基板とインクジェットヘッドの配置に関しては図11の
ように配置することが好ましい。図10中、符号H7は
前記のインクジェットヘッドH1を支持する支持基板で
あり、この支持基板H7上に複数のインクジェットヘッ
ドH1が備えられている。インクジェットヘッドH1のイ
ンク吐出面(基板との対向面)には、ヘッドの長さ方向
に沿って列状に、且つヘッドの幅方向に間隔をあけて2
列で吐出ノズルが複数(例えば、1列180ノズル、合
計360ノズル)設けられている。また、このインクジ
ェットヘッドH1は、吐出ノズルを基板側に向けるとと
もに、X軸(またはY軸)に対して所定角度傾いた状態
で略X軸方向に沿って列状に、且つY方向に所定間隔を
あけて2列に配列された状態で平面視略矩形状の支持板
に複数(図11では1列6個、合計12個)位置決めさ
れて支持されている。また図11に示すインクジェット
装置において、符号1115は基板2を載置するステー
ジであり、符号1116はステージ1115を図中x軸
方向(主走査方向)に案内するガイドレールである。ま
たヘッドHは、支持部材1111を介してガイドレール
1113により図中y軸方向(副主走査方向)に移動で
きるようになっており、さらにヘッドHは図中θ軸方向
に回転できるようになっており、インクジェットヘッド
H1を主走査方向に対して所定の角度に傾けることがで
きるようになっている。このように、インクジェットヘ
ッドを走査方向に対して傾けて配置することにより、ノ
ズルピッチを画素ピッチに対応させることができる。ま
た、傾き角度調整することにより、どのような画素ピッ
チに対しても対応させることができる。
【0079】また、図11に示す基板2は、マザー基板
に複数のチップを配置した構造となっている。即ち、1
チップの領域が1つの表示装置に相当する。ここでは、
3つの表示領域2aが形成されているが、これに限られ
るものではない。例えば、基板2上の左側の表示領域2
aに対して組成物を塗布する場合は、ガイドレール11
13を介してヘッドHを図中左側に移動させるととも
に、ガイドレール1116を介して基板2を図中上側に
移動させ、基板2を走査させながら塗布を行う。次に、
ヘッドHを図中右側に移動させて基板の中央の表示領域
2aに対して組成物を塗布する。右端にある表示領域2
aに対しても前記と同様である。なお、図10に示すヘ
ッドH及び図11に示すインクジェット装置は、正孔注
入/輸送層形成工程のみならず、発光層形成工程にも用
いるとよい。
【0080】次に、図12に示すような乾燥工程を行
う。乾燥工程を行う事により、吐出後の第1組成物を乾
燥処理し、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、
正孔注入/輸送層110aを形成する。乾燥処理を行う
と、第1組成物滴110cに含まれる極性溶媒の蒸発
が、主に無機物バンク層112a及び有機物バンク層1
12bに近いところで起き、極性溶媒の蒸発に併せて正
孔注入/輸送層形成材料が濃縮されて析出する。これに
より図13に示すように、第1積層部112e上に、正
孔注入/輸送層形成材料からなる周縁部110a2が形
成される。この周縁部110a2は、上部開口部112
dの壁面(有機物バンク層112b)に密着しており、
その厚さが電極面111aに近い側では薄く、電極面1
11aから離れた側、即ち有機物バンク層112bに近
い側で厚くなっている。
【0081】また、これと同時に、乾燥処理によって電
極面111a上でも極性溶媒の蒸発が起き、これにより
電極面111a上に正孔注入/輸送層形成材料からなる
平坦部110a1が形成される。電極面111a上では
極性溶媒の蒸発速度がほぼ均一であるため、正孔注入/
輸送層の形成材料が電極面111a上で均一に濃縮さ
れ、これにより均一な厚さの平坦部110a1が形成さ
れる。このようにして、周縁部110a2及び平坦部1
10a1からなる正孔注入/輸送層110aが形成され
る。なお、周縁部110a2には形成されず、電極面1
11a上のみに正孔注入/輸送層が形成される形態であ
っても構わない。
【0082】上記の乾燥処理は、例えば窒素雰囲気中、
室温で圧力を例えば133.3Pa(1Torr)程度
にして行う。圧力が低すぎると第1組成物滴110cが
突沸してしまうので好ましくない。また、温度を室温以
上にすると、極性溶媒の蒸発速度が高まり、平坦な膜を
形成する事ができない。乾燥処理後は、窒素中、好まし
くは真空中で200℃で10分程度加熱する熱処理を行
うことで、正孔注入/輸送層110a内に残存する極性
溶媒や水を除去することが好ましい。
【0083】上記の正孔注入/輸送層形成工程では、吐
出された第1組成物滴110cが、下部、上部開口部1
12c、112d内に満たされる一方で、撥液処理され
た有機物バンク層112bで第1組成物がはじかれて下
部、上部開口部112c、112d内に転がり込む。こ
れにより、吐出した第1組成物滴110cを必ず下部、
上部開口部112c、112d内に充填することがで
き、電極面111a上に正孔注入/輸送層110aを形
成することができる。
【0084】(3)発光層形成工程 次に発光層形成工程は、発光層形成材料吐出工程、およ
び乾燥工程、とからなり、先の図1に示した発光層形成
装置27を用いて行われる。
【0085】発光層形成工程として、インクジェット法
(液滴吐出法)により、発光層形成材料を含む第2組成
物を正孔注入/輸送層110a上に吐出した後に乾燥処
理して、正孔注入/輸送層110a上に発光層110b
を形成する。
【0086】図14に、インクジェットによる吐出方法
を示す。図14に示すように、インクジェットヘッドH
5と基板2とを相対的に移動し、インクジェットヘッド
に形成された吐出ノズルH6から各色(たとえばここで
は青色(B))発光層形成材料を含有する第2組成物が
吐出される。吐出の際には、下部、上部開口部112
c、112d内に位置する正孔注入/輸送層110aに
吐出ノズルを対向させ、インクジェットヘッドH5と基
板2とを相対移動させながら、第2組成物が吐出され
る。吐出ノズルH6から吐出される液量は1滴当たりの
液量が制御されている。このように液量が制御された液
(第2組成物滴110e)が吐出ノズルから吐出され、
この第2組成物滴110eを正孔注入/輸送層110a
上に吐出する。
【0087】発光層形成材料としては、[化1]〜[化
5]に示すポリフルオレン系高分子誘導体や、(ポリ)
パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導
体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、
ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、
あるいは上記高分子に有機EL材料をドープして用いる
事ができる。例えば、ルブレン、ペリレン、9,10-
ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、
ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープす
ることにより用いることができる。
【0088】非極性溶媒としては、正孔注入/輸送層1
10aに対して不溶なものが好ましく、例えば、シクロ
へキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチ
ルベンゼン、テトラメチルベンゼン等を用いることがで
きる。このような非極性溶媒を発光層110bの第2組
成物に用いることにより、正孔注入/輸送層110aを
再溶解させることなく第2組成物を塗布できる。
【0089】図14に示すように、吐出された第2組成
物110eは、正孔注入/輸送層110a上に広がって
下部、上部開口部112c、112d内に満たされる。
その一方で、撥液処理された上面112fでは第1組成
物滴110eが所定の吐出位置からはずれて上面112
f上に吐出されたとしても、上面112fが第2組成物
滴110eで濡れることがなく、第2組成物滴110e
が下部、上部開口部112c、112d内に転がり込
む。
【0090】各正孔注入/輸送層110a上に吐出する
第2組成物量は、下部、上部開口部112c、112d
の大きさ、形成しようとする発光層110bの厚さ、第
2組成物中の発光層材料の濃度等により決定される。ま
た、第2組成物110eは1回のみならず、数回に分け
て同一の正孔注入/輸送層110a上に吐出しても良
い。この場合、各回における第2組成物の量は同一でも
良く、各回毎に第2組成物の液量を変えても良い。さら
に正孔注入/輸送層110aの同一箇所のみならず、各
回毎に正孔注入/輸送層110a内の異なる箇所に第2
組成物を吐出配置しても良い。
【0091】次に、第2の組成物を所定の位置に吐出し
終わった後、吐出後の第2組成物滴110eを乾燥処理
することにより発光層110b3が形成される。すなわ
ち、乾燥により第2組成物に含まれる非極性溶媒が蒸発
し、図15に示すような青色(B)発光層110b3が
形成される。なお、図15においては青に発光する発光
層が1つのみ図示されているが、図1やその他の図より
明らかなように本来は発光素子がマトリックス状に形成
されたものであり、図示しない多数の発光層(青色に対
応)が形成されている。
【0092】続けて、図16に示すように、前述した青
色(B)発光層110b3の場合と同様の工程を用い、
赤色(R)発光層110b1を形成し、最後に緑色
(G)発光層110b2を形成する。なお、発光層11
0bの形成順序は、前述の順序に限られるものではな
く、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層
形成材料に応じて形成する順番を決める事も可能であ
る。
【0093】また、発光層の第2組成物の乾燥条件は、
青色110b3の場合、例えば、窒素雰囲気中、室温で
圧力を133.3Pa(1Torr)程度として5〜1
0分行う条件とする。圧力が低すぎると第2組成物が突
沸してしまうので好ましくない。また、温度を室温以上
にすると、非極性溶媒の蒸発速度が高まり、発光層形成
材料が上部開口部112d壁面に多く付着してしまうの
で好ましくない。また緑色発光層110b2、および赤
色発光層110b1の場合、発光層形成材料の成分数が
多いために素早く乾燥させることが好ましく、例えば、
40℃で窒素の吹き付けを5〜10分行う条件とするの
がよい。その他の乾燥の手段としては、遠赤外線照射
法、高温窒素ガス吹付法等を例示できる。このようにし
て、画素電極111上に正孔注入/輸送層110a及び
発光層110bが形成される。
【0094】(4)対向電極(陰極)形成工程 次に対向電極形成工程では、図17に示すように、発光
層110b及び有機物バンク層112bの全面に陰極1
2(対向電極)を形成する。なお、陰極12は複数の材
料を積層して形成しても良い。例えば、発光層に近い側
には仕事関数が小さい材料を形成することが好ましく、
例えばCa、Ba等を用いることが可能であり、また材
料によっては下層にLiF等を薄く形成した方が良い場
合もある。また、上部側(封止側)には下部側よりも仕
事関数が高い材料、例えばAlを用いる事もできる。こ
れらの陰極12は、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD
法等で形成することが好ましく、特に蒸着法で形成する
ことが、熱による発光層110bの損傷を防止できる点
で好ましい。また、フッ化リチウムは、発光層110b
上のみに形成しても良く、さらに所定の色に対応して形
成する事ができる。例えば、青色(B)発光層110b
3上のみに形成しても良い。この場合、他の赤色(R)
発光層及び緑色(G)発光層110b1、110b2に
は、カルシウムからなる上部陰極層が接することとな
る。
【0095】また陰極12の上部には、蒸着法、スパッ
タ法、CVD法等により形成したAl膜、Ag膜等を用
いることが好ましい。また、その厚さは、例えば100
〜1000nmの範囲が好ましく、特に200〜500
nm程度がよい。また陰極12上に、酸化防止のために
SiO2、SiN等の保護層を設けても良い。
【0096】(5)封止工程 最後に封止工程は、発光素子が形成された基板2と封止
基板3b(図3参照)とを封止樹脂を介して封止する工
程である。たとえば、熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂
からなる封止樹脂を基板2の周縁部に塗布し、封止樹脂
上に封止基板3bを配置する。この工程により基板2上
に封止部3を形成する。封止工程は、窒素、アルゴン、
ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
大気中で行うと、陰極12にピンホール等の欠陥が生じ
ていた場合にこの欠陥部分から水や酸素等が陰極12に
侵入して陰極12が酸化されるおそれがあるので好まし
くない。
【0097】以上のプロセスにより、有機EL装置が完
成する。この後、基板2の配線に陰極12を接続すると
ともに、基板2上あるいは外部に設けられる駆動IC
(駆動回路)に回路素子部14(図3参照)の配線を接
続することにより、本例の有機EL装置1が完成する。
【0098】図18(a)〜(c)は、本発明の電子機
器の実施の形態例を示している。本例の電子機器は、上
述した有機EL装置等の本発明の電気光学装置を表示手
段として備えている。図18(a)は、携帯電話の一例
を示した斜視図である。図18(a)において、符号6
00は携帯電話本体を示し、符号601は前記の表示装
置を用いた表示部を示している。図18(b)は、ワー
プロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示し
た斜視図である。図18(b)において、符号700は
情報処理装置、符号701はキーボードなどの入力部、
符号703は情報処理装置本体、符号702は前記の表
示装置を用いた表示部を示している。図18(c)は、
腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図18
(c)において、符号800は時計本体を示し、符号8
01は前記の表示装置を用いた表示部を示している。図
18(a)〜(c)に示すそれぞれの電子機器は、本発
明の電気光学装置を表示手段として備えているので、品
質の優れた表示を実現することができる。
【0099】以上、添付図面を参照しながら本発明に係
る好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に
限定されないことは言うまでもない。上述した例におい
て示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であ
って、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要
求等に基づき種々変更可能である。
【0100】
【発明の効果】本発明の電子装置の製造装置によれば、
複数の処理装置が搬送系の両側に分けて配置されること
により、製造装置が配設される施設内のスペースを有効
に利用できる。また、搬送系の少なくとも一方の側に機
能的に同列な複数の処理装置がまとめられることによ
り、複数の処理装置の間での相互影響による不都合を防
止し、電子装置の品質を向上させることができる。
【0101】また、本発明の電気光学装置によれば、上
記電子装置を備えることから、品質の向上を図ることが
できる。
【0102】また、本発明の電子機器によれば、上記電
気光学装置を表示手段として備えることから、表示手段
の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子装置の製造装置の実施の形態例
を模式的に示す図である。
【図2】 振り分け装置及び受け渡し装置を含む搬送系
の構成例を概略的に示す図であり、(a)は平面図、
(b)は側面図である。
【図3】 本発明の電気光学装置の実施の形態例である
有機EL装置の構成を模式的に示す図である。
【図4】 アクティブマトリクス型有機EL装置の回路
の一例を示す回路図である。
【図5】 有機EL装置における表示領域の断面構造を
拡大した図である。
【図6】 プラズマ処理装置の第1プラズマ処理室の内
部構造を示す模式図である。
【図7】 有機EL装置の製造方法を説明する工程図で
ある。
【図8】 有機EL装置の製造方法を説明する工程図で
ある。
【図9】 有機EL装置の製造方法を説明する工程図で
ある。
【図10】 液滴吐出用のヘッド(インクジェットヘッ
ド)を示す平面図である。
【図11】 液滴吐出装置(インクジェット装置)を示
す平面図である。
【図12】 有機EL装置の製造方法を説明する工程図
である。
【図13】 有機EL装置の製造方法を説明する工程図
である。
【図14】 有機EL装置の製造方法を説明する工程図
である。
【図15】 有機EL装置の製造方法を説明する工程図
である。
【図16】 有機EL装置の製造方法を説明する工程図
である。
【図17】 有機EL装置の製造方法を説明する工程図
である。
【図18】 本発明の電子機器の実施の形態例を示す図
である。
【図19】 電子装置の一例としての有機EL素子を備
える有機EL装置の断面模式図である。
【符号の説明】
1…有機EL装置(発光装置、電気光学装置) 2…基板(基体) 3…封止部 12…陰極(対向電極) 20…製造装置 21…搬送系(搬送装置) 22…処理系(処理装置) 25…プラズマ処理装置 26…正孔注入/輸送層形成装置 27…発光層形成装置 70,75,76,77…塗布処理室(塗布装置) 72,73,78,79,80…加熱処理室(加熱装
置) 110…機能層 110a…正孔注入/輸送層 110b…発光層 111…画素電極(電極) 112…バンク部
フロントページの続き Fターム(参考) 3K007 AB04 AB18 BA06 BB07 DB03 FA01 FA02 5C094 AA07 AA08 AA43 BA03 BA12 BA27 CA19 CA24 DA13 FA01 FA02 FB01 FB20 GB10 5G435 AA04 AA17 BB05 CC09 CC12 EE37 HH01 HH20 KK05 KK10

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発光素子を形成するための発光装置の製
    造装置であって、 基体を搬送し、連続的に配置された搬送装置と、 前記基体の上に前記発光素子を形成するための複数の処
    理装置と、を有してなり、 前記複数の処理装置は、前記搬送装置に対して両側に分
    かれて配置されてなることを特徴とする発光装置の製造
    装置。
  2. 【請求項2】 前記複数の処理装置のうち、前記搬送装
    置の少なくとも一方の側にほぼ同様な機能を有する装置
    が配置されてなることを特徴とする請求項1に記載の発
    光装置の製造装置。
  3. 【請求項3】 前記複数の処理装置のうち、前記搬送装
    置の一方の側に塗布装置が配置されてなり、他方の側に
    乾燥装置が配置されてなることを特徴とする請求項2に
    記載の発光装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記塗布装置は、前記発光素子に形成さ
    れてなる発光層を形成するためのインクジェット装置で
    あることを特徴とする請求項3に記載の発光装置の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記塗布装置は、前記発光素子に形成さ
    れてなる正孔注入/輸送層を形成するためのインクジェ
    ット装置であることを特徴とする請求項3に記載の発光
    装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 電子素子が形成される基体を搬送する搬
    送装置と、前記基体に対して所定の処理を行う複数の処
    理装置とを備える電子装置の製造装置であって、 前記搬送装置は、連続的に配置され、 前記複数の処理装置は、前記搬送装置に対して両側に分
    けて配置されていることを特徴とする電子装置の製造装
    置。
  7. 【請求項7】 前記複数の処理装置は、前記搬送装置の
    少なくとも一方の側にほぼ同様な機能を有する装置が配
    置されていることを特徴とする請求項6に記載の電子装
    置の製造装置。
  8. 【請求項8】 前記搬送装置の一方の側に複数の乾燥装
    置が配置され、他方の側に複数の塗布装置が配置されて
    いることを特徴とする請求項7に記載の電子装置の製造
    装置。
  9. 【請求項9】 前記複数の塗布装置は、前記所定の物質
    を含む液滴を吐出する液滴吐出装置を含むことを特徴と
    する請求項8に記載の電子装置の製造装置。
  10. 【請求項10】 前記複数の処理装置は、互いに間隔を
    空けて配置されていることを特徴とする請求項6乃至請
    求項9のいずれかに記載の電子装置の製造装置。
  11. 【請求項11】 請求項6乃至請求項10のいずれかに
    記載の電子装置の製造装置を用いて製造された電子装置
    を備えることを特徴とする電気光学装置。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の電気光学装置を表
    示手段として備えることを特徴とする電子機器。
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