JP2003275327A - 医療用システムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
い体内部位に留置して、長期間安定して薬剤を徐放でき
る、生体分解性材料で構成された非侵襲性の薬物配送シ
ステムおよびその製造方法を提供することにある。 【解決手段】 本発明の薬物配送システムは、薬剤を貯
蔵できるチャンバ部を有する、ポリ乳酸からなるタンク
部と、タンク部から延びる、ポリ乳酸からなる少なくと
も1つのアンカ部とを備え、アンカ部は、先端部に向か
って先細りし、少なくとも1つの突起部を有する。アン
カ部の突起部は、実質的な四角錐形状を有するか、先端
部に向かう長手方向に対して鈍角をなす方向に延びる。
Description
よびその製造方法に関する。本発明は、とりわけ、血液
または体液の流れが速い体内部位に留置して、長期間安
定して薬剤を徐放できる、生体分解性材料で構成された
非侵襲性の薬物配送システム(ドラッグ・デリバリ・シ
ステム)およびその製造方法に関する。
合、服用された薬剤の多くは、消化器系および肝臓にお
いて分解され、その薬効を失う。したがって実際には、
多くの薬剤成分が分解されることを見越して、治療に必
要とされる量よりも遥かに多量の薬剤を経口服用してい
る。しかし、薬剤は、通常、副作用を有し、例えば、抗
がん剤の副作用は人体の他の正常部位にとって極めて有
害である。そこで、薬剤が必要な部位に必要な量だけ配
送しようとする薬物配送システムの研究が進められてき
た。
テムの1つにリポソームが挙げられる。これは、リン脂
質二重層からなる微細で球状の閉鎖小包体であり、その
内部に薬剤を封入できる。リポソームは、補体系の活性
化により崩壊すると、封入された薬剤を外部へ放出す
る。しかしながら、この補体系の活性化メカニズムが完
全に解明されていないため、リポソームは、未だ有効な
薬物配送システムとはいえない。
が国の技術革新は、他国の追随を許さず、極めて優秀な
研究成果が報告されている。とりわけ、血管、骨、およ
び角膜などを再生治療するために必要な再生細胞および
再生因子の精製技術が、すでに確立されている。例え
ば、血管を再生するためには、再生細胞および再生因子
を長期間に亙って安定して既存の血管壁に局所的に供給
する必要がある。同様に、骨を再生するためには、再生
を要する骨折部位などに、再生するまでの長い間、薬剤
(再生細胞および再生因子)を投与し続けなければなら
ない。角膜再生に際しても、再生細胞および再生因子を
長期間安定して局所的に徐放する必要がある。
を参照しながら、冠状動脈梗塞などの循環器系疾病に関
する従来の治療方法について以下に説明する。これまで
の最も一般的な治療方法によれば、図20(a)ないし
(c)に示すように、カテーテル(catheter)CTの先
端部に取り付けたバルーン(balloon)BLを動脈(blo
od vessel)BVの梗塞部分(infraction)INFに配
置し、これを膨らませて、狭くなった血管壁などの血管
周囲組織(perivascular tissue)PVを押し広げるこ
とにより、正常に血液を循環させる。しかし、こうした
梗塞部分INFは、処置した後しばらくすると、再び血
管壁PVが狭くなる、すなわち再発する可能性が非常に
高い。また、この治療方法で完治させることが困難であ
る場合、バイパス形成外科手術が施される。一般に、こ
うした外科手術は侵襲性のものであり、患者に対する負
担はバルーンカテーテル法に比べて遥かに大きい。
ーテルCTの先端部に設けた注射針(injection)Iを
用いて、先に説明した血管を再生させる再生細胞および
再生因子を、動脈BVの梗塞部分INFに隣接する血管
壁PVに継続的に投与することにより、梗塞した動脈の
機能を補完するようなバイパス血管BYPを形成する手
法が考案されている。
動脈BVの血管壁PVは、視認しにくく、心臓の鼓動に
呼応して常に動いているので、注射針Iを用いて、血管
壁PVの正確な位置に適当な深さで、再生細胞および再
生因子を継続的に注入することは不可能である。注射針
Iを血管壁PVにあまりにも深く突き刺すと心臓を貫通
して、心臓内にまで達する惧れがあり、あまりにも浅く
突き刺して、再生細胞および再生因子を注入した場合、
注射針Iを抜くと直ぐに、速い血液の流れにより、注入
した薬剤が血管壁PVに留まることなく、流されてしま
う。つまり、再生すべき部位の近傍において、血液の流
れまたは循環が速い場合、再生細胞および再生因子は、
これらの部位に留まることができず、血管再生に寄与し
得ない。
解決しようとするためになされたもので、その目的は、
血液または体液の流れが速い体内部位に留置して、長期
間安定して薬剤を徐放できる、生体分解性材料で構成さ
れた非侵襲性の薬物配送システムおよびその製造方法を
提供することにある。
によれば、薬剤を貯蔵できるチャンバ部を有する、生分
解性材料からなるタンク部と、タンク部から延びる、生
分解性材料からなる少なくとも1つのアンカ部とを備
え、アンカ部は、先端部に向かって先細りし、少なくと
も1つの突起部を有する薬物配送システムを提供するこ
とができる。したがって、この薬物配送システムは、鋭
利な先端部を有するので、組織内に容易に挿入でき、ポ
リ乳酸などの生分解性材料を構成材料とし、突起部を含
むアンカ部を有するので、人体に悪影響を与えることな
く、血液または体液の流れが速い体内部位に留置でき、
しかもポリ乳酸膜が徐々に溶け出すにつれて、タンク部
の内部に格納されていた薬剤を、所定の投薬期間に亙っ
て少量ずつ放出させることができる。これにより、従来
式の侵襲性の高い外科手術の代わりに、より安全で患者
に対する負担の少ない治療手段を提供することができ
る。
貯蔵できるチャンバ部を有する、生分解性材料からなる
複数のタンク部と、隣接するタンク部を接続するため
の、生分解性材料からなるコネクタ部と、コネクタ部上
に配置され、タンク部を気密封止するためのキャップ部
と、少なくとも1つのタンク部から延びる、生分解性材
料からなる少なくとも1つのアンカ部とを備え、アンカ
部は、先端部に向かって先細りし、少なくとも1つの突
起部を有する薬物配送システムを提供することができ
る。したがって、この薬物配送システムは、鋭利な先端
部を有するので、組織内に容易に挿入でき、ポリ乳酸な
どの生分解性材料を構成材料とし、突起部を含むアンカ
部を有するので、人体に悪影響を与えることなく、血液
または体液の流れが速い体内部位に留置でき、しかもポ
リ乳酸膜が徐々に溶け出すにつれて、タンク部の内部に
格納されていた薬剤を、所定の投薬期間に亙って少量ず
つ放出させることができる。さらに、この薬物配送シス
テムは、複数のタンク部を有するので、同じまたは異な
る種類の薬剤を異なるタイミングで供給することができ
る。
貯蔵できるチャンバ部を有する、生分解性材料からなる
アンカ部を備え、アンカ部は、先端部に向かって先細り
し、少なくとも1つの突起部を有する薬物配送システム
を提供することができる。したがって、この薬物配送シ
ステムは、組織内に容易に挿入でき、人体に悪影響を与
えることなく、血液または体液の流れが速い体内部位に
留置でき、しかもその内部に格納されていた薬剤を、所
定の投薬期間に亙って少量ずつ放出させることができ
る。
含浸した生分解性材料からなるタンク部と、タンク部か
ら延びる、生分解性材料からなる少なくとも1つのアン
カ部とを備え、アンカ部は、先端部に向かって先細り
し、少なくとも1つの突起部を有する薬物配送システム
を提供することができる。したがって、この薬物配送シ
ステムのタンク部は、ポリ乳酸などの生分解性材料に含
まれた薬剤を少量ずつ放出させることができる。
含浸した生分解性材料からなるアンカ部を備え、アンカ
部は、先端部に向かって先細りし、少なくとも1つの突
起部を有する薬物配送システムを提供することができ
る。こうして、この薬物配送システムのアンカ部は、ポ
リ乳酸などの生分解性材料に含まれた薬剤を少量ずつ放
出させることができる。
性材料からなるアンカ部を備え、アンカ部は、長手方向
の一方の端部において実質的に鋭利な先端部を有し、他
方の端部において薬剤が固定され、アンカ部は、少なく
とも1つの突起部を有する薬物配送システムを提供する
ことができる。こうして、この薬物配送システムは、ア
ンカ部の他方の端部に固定された薬剤を治療部位に留置
することができる。
貯蔵できるチャンバ部を有する、生分解性材料からなる
アンカ部を備え、アンカ部は、長手方向の両方の端部に
おいて先端部に向かって先細りし、少なくとも1つの突
起部を有する薬物配送システムを提供することができ
る。したがって、この薬物配送システムは、チャンバ部
内に格納されていた薬剤を、所定の投薬期間に亙って少
量ずつ放出させることができる。
部の突起部は、実質的な四角錐形状を有する薬物配送シ
ステムを提供することができる。このような四角錐形状
の突起部は、例えば、シリコン基板を水酸化カリウムで
ウェットエッチングすることにより、容易に形成でき
る。
部の突起部は、先端部に向かう長手方向に対して鈍角を
なす方向に延びる薬物配送システムを提供することがで
きる。このような突起部は、例えば、六フッ化硫黄を用
いて、シリコン基板を反応性イオンエッチングすること
により、容易に形成できる。
解性材料は、ポリ乳酸、にかわ、でんぷん、蛋白質、ま
たは水あめである薬物配送システムを提供することがで
きる。
カ部は、タンク部のチャンバ部と連通するチャンネル部
を有する薬物配送システムを提供することができる。
ク部から異なる方向に延びる複数のアンカ部を有する薬
物配送システムを提供することができる。
ク部から同じ方向に延びる複数のアンカ部を有する薬物
配送システムを提供することができる。
カ部は、先端部に向かって先細りする平面形状および断
面形状を有する医療用システムを提供することができ
る。
および第2半導体基板上に半導体酸化膜を形成するステ
ップと、タンク領域および複数の離散的に配置された円
形領域において、第1半導体基板の半導体酸化膜をエッ
チングして、半導体酸化膜によるマスクを形成するステ
ップと、半導体酸化膜によるマスクを用いて、第1半導
体基板をウェットエッチングするステップと、ウェット
エッチングされた第1半導体基板上に、半導体酸化膜を
形成するステップと、第1および第2半導体基板の半導
体酸化膜の上に、ポリ乳酸からなる薄膜を形成するステ
ップと、第1および第2半導体基板のポリ乳酸からなる
薄膜が互いに対向するように、第1および第2半導体基
板を接合するステップと、第1および第2半導体基板の
半導体酸化膜を残し、第1および第2半導体基板をエッ
チングするステップと、ポリ乳酸を残し、第1および第
2半導体基板の半導体酸化膜をエッチングするステップ
とを有する製造方法を提供することができる。これによ
り、マイクロマシン技術を用いて、任意の所望する寸法
および形状を有する薬物配送システムを極めて精緻に、
かつ安価に大量生産することができる。
体基板上に半導体酸化膜を形成するステップと、タンク
領域および複数の離散的に配置された円形領域を貫通す
るブリッジ領域を除いた、これらのタンク領域および複
数の離散的に配置された円形領域において、半導体酸化
膜をエッチングして、半導体酸化膜からなる第1マスク
を形成するステップと、半導体酸化膜による第1マスク
を用いて、半導体基板をウェットエッチングするステッ
プと、ウェットエッチングされた半導体基板上に、半導
体酸化膜を形成するステップと、半導体酸化膜の上に、
ポリ乳酸からなる薄膜を形成するステップと、ポリ乳酸
からなる薄膜の上に、所定の材料からなる薄膜を形成す
るステップと、所定の領域において、所定の材料からな
る薄膜をエッチングして、所定の材料からなる第2マス
クを形成するステップと、所定の材料からなる第2マス
クを用いて、ポリ乳酸をエッチングするステップと、所
定の材料からなる第2マスクを用いて、半導体酸化膜を
エッチングするステップと、半導体酸化膜を残し、半導
体基板をエッチングするステップと、ポリ乳酸を残し、
所定の材料からなる第2マスクをエッチングするステッ
プと、ポリ乳酸を残し、半導体酸化膜をエッチングする
ステップとを有する製造方法を提供することができる。
および第2半導体基板上に半導体酸化膜を形成するステ
ップと、タンク領域およびアンカ領域において、第1半
導体基板の半導体酸化膜をエッチングして、半導体酸化
膜によるマスクを形成するステップと、半導体酸化膜に
よるマスクを用いて、第1半導体基板を反応性イオンエ
ッチングするステップと、反応性イオンエッチングされ
た第1半導体基板上に、半導体酸化膜を形成するステッ
プと、第1および第2半導体基板の半導体酸化膜の上
に、ポリ乳酸からなる薄膜を形成するステップと、第1
および第2半導体基板のポリ乳酸からなる薄膜が互いに
対向するように、第1および第2半導体基板を接合する
ステップと、第1および第2半導体基板の半導体酸化膜
を残し、第1および第2半導体基板をエッチングするス
テップと、ポリ乳酸を残し、第1および第2半導体基板
の半導体酸化膜をエッチングするステップとを有する製
造方法を提供することができる。
体基板上に半導体酸化膜を形成するステップと、タンク
領域およびアンカ領域において、半導体酸化膜をエッチ
ングして、半導体酸化膜によるマスクを形成するステッ
プと、半導体酸化膜によるマスクを用いて、半導体基板
を反応性イオンエッチングして、タンク領域およびアン
カ領域において凹部を形成するステップと、所定の材料
を溶融して、凹部内に充填し、硬化させて、所定の材料
からなる金型を形成するステップと、ポリ乳酸からなる
薄膜を金型の周囲に形成するステップと、金型の一部を
露出させる開口部を形成するステップと、ポリ乳酸を残
し、所定の材料をエッチングするステップとを有する製
造方法を提供することができる。
体基板上に半導体酸化膜を形成するステップと、タンク
領域の周縁部およびアンカ領域において、半導体酸化膜
をエッチングして、半導体酸化膜による第1マスクを形
成するステップと、半導体酸化膜によるマスクを用い
て、半導体基板を反応性イオンエッチングして、タンク
領域の周縁部およびアンカ領域において凹部を形成する
ステップと、ポリ乳酸を溶融して、凹部内に充填して、
ポリ乳酸からなる薄膜を形成するステップと、ポリ乳酸
からなる薄膜の上に、所定の材料からなる薄膜を形成す
るステップと、所定の領域において、所定の材料からな
る薄膜をエッチングして、所定の材料からなる第2マス
クを形成するステップと、所定の材料からなる第2マス
クを用いて、ポリ乳酸をエッチングするステップと、所
定の材料からなる第2マスクを用いて、半導体酸化膜を
エッチングするステップと、半導体酸化膜を残し、半導
体基板をエッチングするステップと、ポリ乳酸を残し、
所定の材料からなる第2マスクをエッチングするステッ
プと、ポリ乳酸を残し、半導体酸化膜をエッチングし
て、タンク領域の周縁部に対応する領域に開口部を有す
るポリ乳酸からなる構造体を形成するステップと、ポリ
乳酸からなる構造体の開口部を、ポリ乳酸からなる薄膜
を用いてカバーするステップとを有する製造方法を提供
することができる。
を貯蔵できるチャンバ部を有する、ポリ乳酸からなるタ
ンク部を形成するステップと、先端部に向かって先細り
し、少なくとも1つの突起部を有するポリ乳酸からなる
アンカ部を形成するステップと、アンカ部をタンク部に
接合させるステップとを有する製造方法を提供すること
ができる。
および第2半導体基板に、それぞれ複数の第1および第
2の基板凹部を形成するステップと、所定の材料を複数
の第1および第2の基板凹部に充填し、硬化させるステ
ップと、所定の材料を残し、第1および第2半導体基板
をエッチングして、所定の材料からなる第1および第2
金型を形成するステップと、溶融したポリ乳酸を第1金
型の金型凹部に充填するステップと、ポリ乳酸が充填さ
れた第1金型に第2金型を嵌合させるステップと、ポリ
乳酸を残し、所定の材料をエッチングして、複数のタン
ク部を形成するステップと、アンカ部を少なくとも1つ
のタンク部に接合するステップとを有する製造方法を提
供することができる。
および第2半導体基板上に半導体酸化膜を形成するステ
ップと、所定のマスクにおいて、第1半導体基板の半導
体酸化膜をエッチングして、半導体酸化膜によるマスク
を形成するステップと、半導体酸化膜によるマスクを用
いて、第1半導体基板をウェットエッチングするステッ
プと、ウェットエッチングされた第1半導体基板上に、
半導体酸化膜を形成するステップと、第1および第2半
導体基板の半導体酸化膜の上に、ポリ乳酸からなる薄膜
を形成するステップと、第1および第2半導体基板のポ
リ乳酸からなる薄膜が互いに対向するように、第1およ
び第2半導体基板を接合するステップと、第1および第
2半導体基板の半導体酸化膜を残し、第1および第2半
導体基板をエッチングするステップと、ポリ乳酸を残
し、第1および第2半導体基板の半導体酸化膜をエッチ
ングするステップとを有する製造方法を提供することが
できる。
体基板上に半導体酸化膜を形成するステップと、所定の
マスク領域において、半導体酸化膜をエッチングして、
半導体酸化膜によるマスクを形成するステップと、半導
体酸化膜によるマスクを用いて、半導体基板をウェット
エッチングして、所定のマスク領域において凹部を形成
するステップと、所定の材料を溶融して、凹部内に充填
し、硬化させて、所定の材料からなる金型を形成するス
テップと、ポリ乳酸からなる薄膜を金型の周囲に形成す
るステップと、金型の一部を露出させる開口部を形成す
るステップと、ポリ乳酸を残し、所定の材料をエッチン
グするステップとを有する製造方法を提供することがで
きる。
のマスク領域は、半導体基板の<100>結晶方向に対
して、実質的に(π/2−arctan(√2))の角度を有する
辺を用いて形成される製造方法を提供することができ
る。
の材料は、アルミニウムである製造方法を提供すること
ができる。
に係る薬物配送システム(ドラッグ・デリバリ・システ
ム)の実施形態を説明する。各実施形態の説明におい
て、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば、
「上方」、「下方」など)を適宜用いるが、これは説明
のためのものであって、これらの用語は本発明を限定す
るものでない。
1および図2を参照しながら、本発明の第1の実施形態
による薬物配送システムを以下に説明する。この薬物配
送システム1は、概略、タンク部(容器部)2と、タン
ク部2から延びるアンカ部(係留部)3とを有する。タ
ンク部2は、これに限定しないが、ほぼ直方体の外形形
状を有し、その内部には再生細胞および再生因子、また
は抗がん剤などの薬剤を貯蔵することができるチャンバ
部4が形成されている。アンカ部3は、図1(a)およ
び(b)の矢印Aで示す長手方向において先細り、一端
部においてタンク部2にしっかりと固定され、他端部に
おいて実質的に鋭利な先端部6を有する。またアンカ部
3は、図1(a)ないし(c)に示すような複数の(例
えば、4つの)突起部7を有する。各突起部7は、ピラ
ミッド状四角錐の部分的な外形形状を有し、アンカ部3
は、1辺の長さが異なる四角錐形状の突起部7を組み合
わせた外形形状を有する。さらにアンカ部3は、その内
部にチャンバ部4と流体連通するチャンネル部5を有す
る。
ポリ乳酸で構成されている。ポリ乳酸は、生体適合性お
よび生分解性を有する高分子系材料であり、加水分解す
ると、生体に対して無毒で代謝可能な乳酸となる。な
お、ポリ乳酸以外の他の任意の生分解性材料(例えば、
にかわ、でんぷん、蛋白質、または水あめなど)を用い
て、タンク部2およびアンカ部3を構成してもよい。こ
うして、ポリ乳酸などの生分解性材料を構成材料とする
本発明の薬物配送システム1は、好適にも、体内に放置
または埋め込むことができる。また、ポリ乳酸は、土中
においては好気性細菌のもつ酵素の働きで二酸化炭素と
水に分解される。これらは、光合成により再び乳酸に戻
り、TCA回路と呼ばれる循環サイクルを形成する。す
なわち、ポリ乳酸からなる製品は、土中に廃棄でき、環
境に優しいリサイクルを実現できるので、この観点から
「エコロジ性」および「リサイクル性」に優れている。
成材料として、シリコン系材料が多く用いられるが、近
年、ポリイミドとパリレンなどのフレキシブル高分子系
材料も応用されつつある。しかし、シリコン系材料(例
えば、Si,SiO2,SiN)は、生体組織に対して
化学的に不活性であるものの、体外に自然に排泄される
ことはなく、例えば、血管内に存在すると、これを核と
して血栓が形成される可能性がある。血栓が大きくなる
と、血管を詰まらせ、脳梗塞などの重大な疾患を招く。
同様に、ポリイミドとパリレンは生分解性をもたず、す
なわち体外に自然に排泄されないので、体内に放置する
ことはできない。したがって、本発明の薬物配送システ
ム1のように体内に留置することを意図したマイクロマ
シン製品の構成材料として、生体適合性および生分解性
を有するポリ乳酸を用いることは、極めて有用である。
また、ポリ乳酸のヤング率(剛性)などの機械的特性
は、表1に示すように上述のポリイミドとパリレンと比
較して、ほとんど遜色がない。このように、生体適合性
および生分解性を有し、充分な強度を有するポリ乳酸
は、「グリーンプラスチック」とも呼ばれている。
うに、鋭利な先端部6を有するので、例えば、ピンセッ
ト状の挟持デバイスを有するカテーテル(図示せず)を
用いて、図2(a)に示すように、冠状動脈の血管梗塞
部位INFの近傍にある血管壁PVの組織内に容易に挿
入することができる。また、この薬物配送システム1
は、ポリ乳酸などの生分解性材料を構成材料とするの
で、好適にも、人体に悪影響を与えることなく、血管壁
PVの組織内に放置することができる。さらに、この薬
物配送システム1は、突起部7を含むアンカ部3を有す
るので、血液の流れが速い血管壁PVにおいても長期間
に亙って留置することができる。こうして、この薬物配
送システム1が血管壁PVの組織内に埋め込まれると、
タンク部2またはアンカ部3を構成するポリ乳酸膜が徐
々に加水分解して溶け出し、その内部に格納されていた
薬剤(例えば、血管を再生する再生細胞および再生因
子)を、所定の投薬期間(例えば、約1ないし約2週
間)に亙って少量ずつ放出させることができる。こうし
て、図2(b)に示すように、所定の投薬期間中に、梗
塞した動脈の機能を補完するようなバイパス血管BYP
が形成される。このとき、タンク部2およびアンカ部3
を構成するポリ乳酸膜は、完全に加水分解して乳酸とな
り、体内に蓄積されることがないので、これを撤去する
必要がない。なお、図示しないが、例えば、アンカ部3
の先端部6において、これを構成するポリ乳酸膜を他の
領域よりも薄く形成することにより、先端部のポリ乳酸
膜が最も早く溶け出して開口部を形成し、チャンバ部4
に格納されていた薬剤を、チャンネル部5および先端部
6を介して徐放させることができる。
送システム1を、血流の速い血管壁PVに長期間安定し
て留置して、その内部に貯蔵された再生細胞および再生
因子を治療すべき体内部位に徐々に供給することによ
り、侵襲性の高い外科手術によらず、バイパス血管BY
Pを容易に形成することができる。
造方法)次に、図3ないし図6を参照しながら、第1の
実施形態による薬物配送システム1の製造方法について
以下に説明する。
のシリコン基板10,11を用意する。そして図3
(a)および(b)に示すように、一方のシリコン基板
10の両面上にシリコン酸化膜(SiO2)12a,1
2bを形成した後、硫酸過水洗浄(H2SO4:H2O
2=3:1)およびアンモニア過水洗浄(NH4OH:
H 2O2:H2O=1:1:5)を5分間行う。
14を塗布して90℃で10分間ベークする。
に、マスクM1を用いて、フォトレジスト14にパター
ン形成する。このマスクM1は、図3(d)のハッチン
グで示す領域において、フォトレジスト14をカバーし
ない。すなわち、マスクM1は、タンク領域16、およ
び直線状に並ぶ離散的に配置された複数の円形領域18
をカバーしない。また各円形領域18は、その中心位置
がタンク領域16から離れるにしたがって、その直径が
小さくなるように形成されている。
(CHF3)ガス(条件:5sccm,5Pa、100
W、1時間)を用いて、シリコン酸化膜(SiO2)1
2aを反応性イオンエッチングする。
後、残存するシリコン酸化膜(SiO 2)12aをマス
クとし、水酸化カリウム(KOH)をエッチャント(条
件:33重量%,70℃,55分間)として用い、シリ
コン基板10をウェットエッチングする。シリコンは、
一般に、水酸化カリウム(KOH)のエッチャントに対
して面方位依存性(エッチング異方性)を有し、シリコ
ン結晶の(111)面に沿ってエッチングが進むので、
図3(g)および(h)に示すように、離散的に配置さ
れた各円形領域18においては、ピラミッドを上下反転
させたような四角錐形状の凹部が形成され、これらの複
数のピラミッド状凹部が互いに重なり合って、アンカ凹
部22が形成される。同様に、タンク領域16において
は、タンク凹部20が形成され、これはアンカ凹部22
と連通する。
成されたシリコン基板10(以下、「第1のシリコン基
板」という。)の表面上に、図4(a)に示すように、
再度シリコン酸化膜(SiO2)24を形成した後、図
4(b)に示すように、ポリ乳酸からなる薄膜26をそ
の上に形成する。
は、例えば、溶媒溶解スピンコート法と、加熱溶融スピ
ンコート法がある。溶媒溶解スピンコート法によれば、
固体のポリ乳酸をクロロホルム(CHCl3)などの溶
媒に溶かした溶液を、シリコン基板上に塗布してスピン
コートし、溶媒を完全に蒸発させてポリ乳酸だけからな
る薄膜を形成する。この一連の処理を反復することによ
り、薄膜の厚みを任意に制御することができる。一方、
加熱溶融スピンコート法によれば、固体のポリ乳酸を加
熱溶融させて得た液状のポリ乳酸を、シリコン基板上に
塗布してスピンコートした後、常温放置して冷却するこ
とにより、ポリ乳酸からなる薄膜を形成する。なお、ポ
リ乳酸からなる薄膜26は、当業者により広く知られた
他の任意の手法を用いて形成してもよい。
処理のシリコン基板11(以下、「第2のシリコン基
板」という。)の両面上に、図4(c)に示すように、
シリコン酸化膜(SiO2)13a,13bを形成す
る。
11の一方の表面上に、同様に、ポリ乳酸からなる薄膜
28を形成する。
からなる薄膜26,28を形成した第1および第2のシ
リコン基板10,11の表面が互いに対向するように、
第1のシリコン基板10の上に第2のシリコン基板11
を貼り合わせる。このとき、ポリ乳酸の融点近くまで加
熱することにより、第1および第2のシリコン基板上1
0,11のポリ乳酸薄膜26,28を互いにしっかりと
接合することができる。こうして、ポリ乳酸薄膜26,
28の間に、タンク部2のチャンバ部4と、アンカ部3
のチャンネル部5に相当する空間が形成される。
(条件:5sccm,5Pa、100W、1時間)を用
いて、シリコン酸化膜(SiO2)12b,13bを反
応性イオンエッチングする。そして、図4(f)に示す
ように、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(T
MAH)を用いてウェットエッチングするか、六フッ化
硫黄(SF6)を用いて反応性イオンエッチングするこ
とにより、シリコン酸化膜(SiO2)を残して、シリ
コンを除去する。
ば、フッ酸(HF)を用いてウェットエッチングする
か、フルオロホルム(CHF3)ガスを用いて反応性イ
オンエッチングすることにより、シリコン酸化膜(Si
O2)13b,24を除去して、ポリ乳酸だけを残し
て、第1の実施形態による薬物配送システム1を得る。
チャンバ部4内に、適当な方法を用いて、薬剤を注入す
る。例えば、集束イオンビーム(FIB)装置などを用
いて、タンク部2またはアンカ部3の任意の位置に、チ
ャンバ部4またはチャンネル部5まで貫通するような貫
通孔(図示せず)を形成し、これを介して薬剤を注入
し、注入完了後、貫通孔の周囲のポリ乳酸膜を加熱溶融
して、貫通孔を塞ぐ。
ステム1は、半導体集積回路デバイスの微細加工技術を
応用したマイクロマシン技術に立脚して製造することが
できる。現在利用可能な微細加工技術によれば、サブミ
クロンオーダの構造体に関するナノメータ単位の加工精
度が実現可能である。つまり、マイクロマシン技術を用
いて、任意の所望する寸法および形状を有する薬物配送
システムを極めて精緻に、かつ安価に大量生産すること
ができる。
ステムの択一的な製造方法)ここで、図5および図6を
参照しながら、第1の実施形態による薬物配送システム
1の択一的な製造方法(変形例1)について以下に説明
する。
0)結晶面を主面とする1枚のシリコン基板30を用意
する。上述の実施形態1による薬物配送システムの製造
方法と同様であるので図示しないが、このシリコン基板
30の両面上にシリコン酸化膜(SiO2)32a,3
2bを形成した後、硫酸過水洗浄(H2SO4:H2O
2=3:1)およびアンモニア過水洗浄(NH4OH:
H2O2:H2O=1:1:5)を5分間行い、フォト
レジスト34を塗布して90℃で10分間ベークする。
て、フォトレジスト34をパターン形成する。このマス
クM2は、図5(a)のハッチングで示す領域におい
て、フォトレジストをカバーしない。すなわち、マスク
M2は、タンク領域36、および直線状に並ぶ離散的に
配置された複数の円形領域38をカバーしない。ただし
マスクM2は、タンク領域36および各円形領域38を
貫通するブリッジ領域37をカバーする。また各円形領
域38は、その中心位置がタンク領域36から離れるに
したがって、その直径が小さくなるように形成されてい
る。
(条件:5sccm,5Pa、100W、1時間)を用
いて、シリコン酸化膜(SiO2)32aを反応性イオ
ンエッチングし、図5(b)に示すように、フォトレジ
スト34を剥離させた後、残存するシリコン酸化膜(S
iO2)32aをマスクとし、水酸化カリウム(KO
H)をエッチャント(条件:33重量%,70℃,55
分間)として用い、シリコン基板10をウェットエッチ
ングする。先に説明したように、シリコンは、一般に、
水酸化カリウム(KOH)のエッチャントに対して面方
位依存性(エッチング異方性)を有するので、離散的に
配置された各円形領域38においては、図5(c)およ
び(d)に示すように、ピラミッドを上下反転させたよ
うな四角錐形状の凹部が形成され、これらの複数のピラ
ミッド状凹部が互いに重なり合って、アンカ凹部42が
形成される。同様に、タンク領域36においては、タン
ク凹部40が形成され、これはアンカ凹部42と連通す
る。なお、ブリッジ領域37においては、依然としてシ
リコン酸化膜(SiO2)が残り、これが後にチャンバ
部4およびチャンネル部5を構成する。
凹部40およびアンカ凹部42が形成されたシリコン基
板30の表面上に再度シリコン酸化膜(SiO2)44
を形成した後、加熱溶融したポリ乳酸をシリコン基板3
0(タンク凹部40およびアンカ凹部42を含む)上に
流し込み、ポリ乳酸薄膜46を形成する。
しないが、アルミニウム(Al)を金属蒸着してアルミ
ニウム薄膜を形成した後、フォトレジスト膜を形成す
る。そして図6(a)に示すマスクM3を用いて、フォ
トレジストをパターン形成する。このマスクM3は、ブ
リッジ領域37を含むタンク凹部40およびアンカ凹部
42の上方をカバーする。そして、マスクM3を用い
て、リン酸(H3PO4)または混酸によりエッチング
することにより、図6(b)に示すようなパターン形成
されたアルミニウム薄膜48を得る。
(c)において、このアルミニウム薄膜48をマスクと
し、例えば、酸素ガス(O2)によりプラズマエッチン
グして、アルミニウム(Al)を残し、ポリ乳酸を除去
(アッシング)する。さらに、例えばフルオロホルム
(CHF3)ガス(条件:5sccm,5Pa、100
W、1時間)を用いて、シリコン酸化膜44を反応性イ
オンエッチングする。
i)を溶かし、シリコン酸化膜(SiO2)を溶かさな
いエッチャントを用いて、シリコン基板30をエッチン
グする。例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(T
MAH)を用いてウェットエッチングするか、六フッ化
硫黄(SF6)を用いて反応性イオンエッチングする。
し、ポリ乳酸およびシリコン酸化膜(SiO2)を溶か
さないリン酸(H3PO4)または混酸を用いて、アル
ミニウム薄膜48をエッチングする。
解し、ポリ乳酸を溶解しないフッ酸(HF)などのエッ
チャント液に浸して、ポリ乳酸の下方にあるシリコン酸
化膜(SiO2)44と、ブリッジ領域37に残ったシ
リコン酸化膜(SiO2)を完全に除去して、ポリ乳酸
だけからなる薬物配送システム1を得る。
は、図5(c)に示すブリッジ領域37の両端部に対応
する位置に開口部(図示せず)を有する。この開口部を
介して、薬剤を注入し、注入完了後、タンク部2または
アンカ部3を構成するポリ乳酸膜を加熱して、貫通孔を
塞ぐ。
7を参照しながら、本発明の第2の実施形態による薬物
配送システムを以下に説明する。この薬物配送システム
51は、第1の実施形態による薬物配送システム1と同
様、概略、タンク部(容器部)52と、タンク部52か
ら延びるアンカ部(係留部)53とを有する。タンク部
52は、これに限定しないが、ほぼ直方体の外形形状を
有し、その内部には再生細胞および再生因子、または抗
がん剤などの薬剤を貯蔵することができるチャンバ部5
4が形成されている。アンカ部53は、図7(a)およ
び(b)の矢印Bで示す長手方向において先細り、一端
部においてタンク部52にしっかりと固定され、他端部
において実質的に鋭利な先端部56を有する。またアン
カ部53は、図7(a)および(b)に示すような複数
の(例えば、4つの)突起部57を有する。各突起部5
7は、三角柱の一部の外形形状を有し、その三角柱の側
面の少なくとも一方、好適には両方が、先端部56に向
かう長手方向(矢印Bの方向)とは鈍角(θ)をなす方
向に延びている。さらにアンカ部53は、その内部にチ
ャンバ部54と流体連通するチャンネル部55を有す
る。
およびアンカ部53は、第1の実施形態と同様、ポリ乳
酸などの生分解性材料で構成されており、鋭利な先端部
56を有する。したがって、この薬物配送システム51
は、人体に悪影響を与えることなく、体内の任意の部位
(治療部位)に埋め込むことができる。さらに、アンカ
部53は、この薬物配送システム51を埋め込む方向
(図7(a)および(b)の矢印Bの方向)とは鈍角
(θ)をなす方向に延びる突起部57を有するので、い
ったん治療部位に埋め込まれると、突起部57は、周辺
の組織と係合し、血液などの体液の流れが速い治療部位
においても長期間に亙って、薬物配送システム51が治
療部位から離脱しないように、これを係留することがで
きる。こうして埋め込まれた薬物配送システム51のタ
ンク部52またはアンカ部53の一部を構成するポリ乳
酸膜が徐々に加水分解して溶け出し、タンク部52の内
部に格納されていた薬剤を、所定の投薬期間に亙って少
量ずつ放出させることができる。また、図示しないが、
例えば、突起部57の側面におけるポリ乳酸膜を他の領
域よりも薄く形成することにより、突起部57の側面の
ポリ乳酸膜が最も早く溶け出して開口部を形成し、チャ
ンバ部54に格納されていた薬剤を、チャンネル部55
および突起部57の側面を介して徐放させることができ
る。したがって、この薬物配送システム51を用いて、
第1の実施形態と同様、図2(b)に示すように、梗塞
した動脈の機能を補完するようなバイパス血管BYPを
形成することができる。
造方法)次に、図8および図9を参照しながら、第2の
実施形態による薬物配送システム51の製造方法につい
て以下に説明する。
意する。そして図8(a)および(b)に示すように、
一方のシリコン基板60の両面上にシリコン酸化膜(S
iO 2)62a,62bを形成した後、硫酸過水洗浄
(H2SO4:H2O2=3:1)およびアンモニア過
水洗浄(NH4OH:H2O2:H2O=1:1:5)
を5分間行う。
64を塗布して90℃で10分間ベークする。
に、マスクM4を用いて、フォトレジスト64をパター
ン形成する。このマスクM4は、図8(d)のハッチン
グで示す領域において、フォトレジスト64をカバーし
ない。すなわち、マスクM4は、ほぼ矩形平面形状を有
するタンク領域66、および2組の錨を重ね合わせたよ
うなアンカ領域68をカバーしない。
(CHF3)ガス(条件:5sccm,5Pa、100
W、1時間)を用いて、シリコン酸化膜(SiO2)6
2aを反応性イオンエッチングする。
64を剥離させた後、残存するシリコン酸化膜(SiO
2)62aをマスクとし、六フッ化硫黄(SF6)ガス
(条件:50sccm,20Pa、100W、45分
間)を用いて反応性イオンエッチングする。こうして、
タンク領域66およびアンカ領域68において、所定の
深さを有し、互いに連通する凹部70が形成される。
板60(以下、「第1のシリコン基板」という。)の表
面上に、図9(a)に示すように、再度シリコン酸化膜
(SiO2)72を形成する。その後、上述の溶媒溶解
スピンコート法または加熱溶融スピンコート法を用い
て、図9(b)に示すように、ポリ乳酸からなる薄膜7
4を第1のシリコン基板60の上に形成する。
未処理のシリコン基板61(以下、「第2のシリコン基
板」という。)の両面上に、図9(c)に示すように、
酸化膜(SiO2)63a,63bを形成する。
61の一方の表面上に、同様に、ポリ乳酸からなる薄膜
76を形成する。
からなる薄膜74,76を形成した第1および第2のシ
リコン基板60,61の表面が互いに対向するように、
第1のシリコン基板60の上に第2のシリコン基板61
を貼り合わせる。このとき、ポリ乳酸の融点近くまで加
熱することにより、第1および第2のシリコン基板6
0,61上のポリ乳酸薄膜74,76を互いにしっかり
と接着することができる。
HF3)ガス(条件:5sccm,5Pa、100W、
1時間)を用いて、シリコン酸化膜(SiO2)62
b,63bを反応性イオンエッチングする。その後、第
1および第2のシリコン基板60,61に対し、例え
ば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を用
いてウェットエッチングするか、六フッ化硫黄(S
F6)を用いて反応性イオンエッチングすることによ
り、シリコン酸化膜(SiO2)63a,72を残し、
シリコン基板60,61を除去する。
対する耐性を有し、シリコン酸化膜(SiO2)を除去
するエッチャントを用いて、エッチングする。例えば、
フッ酸(HF)を用いてウェットエッチングするか、フ
ルオロホルム(CHF3)ガスを用いてドライエッチン
グする。こうして、第2の実施形態による薬物配送シス
テム51を実現する。
当な任意の方法を用いて、薬剤を注入する。例えば、集
束イオンビーム(FIB)装置などを用いて、タンク部
52またはアンカ部53の任意の位置に、チャンバ部5
4またはチャンネル部55まで貫通するような貫通孔
(図示せず)を形成し、これを介して薬剤を注入し、注
入完了後、タンク部52またはアンカ部53を構成する
ポリ乳酸膜を加熱して、開口部を塞ぐ。
ステムの択一的な製造方法)ここで、図10を参照しな
がら、第2の実施形態による薬物配送システム51の択
一的な製造方法(変形例2)について以下に説明する。
シリコン基板を用意する。そして、このシリコン基板6
0に対して、図8(a)ないし(g)を参照して先に説
明した処理を同様に行う。
M4のタンク領域66およびアンカ領域68において所
定の深さを有する凹部70に、溶融したアルミニウム
(Al)を流し込む。
より、図10(b)および(c)に示すように、第2の
実施形態による薬物配送システムと同様の外形形状を有
するアルミニウム(Al)からなる微小金型78を得る
ことができる。
小金型78を溶融したポリ乳酸に浸漬させ、引き揚げ、
そして常温放置することにより、その周囲全体にポリ乳
酸膜80を形成する。
B)装置などを用いて、タンク部52またはアンカ部5
3の任意の位置に貫通孔82を形成し、アルミニウム
(Al)からなる微小金型78の一部を露出させる。そ
して、アルミニウム(Al)をエッチングし、ポリ乳酸
を溶かさないエッチャント、例えば、リン酸(H3PO
4)水溶液の中に、ポリ乳酸膜80が被膜された微小金
型78を浸漬させて、図10(e)に示すような開口部
82を有する薬物配送システム51を形成する。最後
に、この開口部82を介して薬剤を注入し、注入完了
後、開口部82加熱圧着して、これを閉じる。
に、本発明の第3の実施形態による薬物配送システムを
以下に説明する。この薬物配送システム51は、アンカ
部53の内部において、タンク部52のチャンバ部54
と流体連通するチャンネル部55が形成されない点を除
いて、実施形態2による薬物配送システム51と同様の
構成を有するので、重複する説明を省略する。
において、タンク部52のチャンバ部54は、再生細胞
および再生因子、または抗がん剤などの薬剤を貯蔵する
ことができ、アンカ部53の突起部57は、いったん治
療部位に埋めこまれると、周辺の組織と係合し、血液な
どの体液の流れが速い治療部位においても長期間に亙っ
て、薬物配送システム51が治療部位から離脱しないよ
うに、これを係留することができる。そして、埋め込ま
れた薬物配送システム51のタンク部52またはアンカ
部53の一部を構成するポリ乳酸膜が徐々に加水分解し
て溶け出すとき、その内部に格納されていた薬剤を、所
定の投薬期間に亙って少量ずつ放出させることができ
る。
造方法)図11および図12を参照しながら、第3の実
施形態による薬物配送システム51の製造方法について
以下に説明する。
る。そして図11(a)および(b)に示すように、シ
リコン基板80の両面上にシリコン酸化膜(SiO2)
82a,82bを形成した後、硫酸過水洗浄(H2SO
4:H2O2=3:1)およびアンモニア過水洗浄(N
H4OH:H2O2:H2O=1:1:5)を5分間行
う。
ト84を塗布して90℃で10分間ベークする。
うに、マスクM5を用いて、フォトレジスト84にパタ
ーン形成する。このマスクM5は、図11(d)のハッ
チングで示す領域において、フォトレジスト84をカバ
ーしない。すなわち、マスクM5は、ほぼ矩形平面形状
を有するタンク領域86の周縁部87、および2組の錨
を重ね合わせたようなアンカ領域88をカバーしない。
ただし、マスクM5はタンク領域86の中央部89をカ
バーする。
ム(CHF3)ガス(条件:5sccm,5Pa、10
0W、1時間)を用いて、シリコン酸化膜(SiO2)
82aを反応性イオンエッチングする。
するシリコン酸化膜(SiO2)82aをマスクとし、
六フッ化硫黄(SF6)ガス(条件:50sccm,2
0Pa、100W、45分間)を用いて反応性イオンエ
ッチングすることにより、図11(g)に示すように、
タンク領域86の周縁部87およびアンカ領域88にお
いて、所定の深さを有し、互いに連通する凹部90が形
成される。
板80の表面上に、図12(a)に示すように、再度シ
リコン酸化膜(SiO2)92を形成する。その後、図
12(b)に示すように、加熱溶融したポリ乳酸をタン
ク領域86の周縁部87およびアンカ領域88に形成さ
れた凹部90に流し込み、ポリ乳酸からなる薄膜94を
形成する。
しないが、アルミニウム(Al)を金属蒸着してアルミ
ニウム薄膜を形成した後、さらにその上にフォトレジス
ト膜を形成する。そして、図12(c)に示すマスクM
6を用いて、アルミニウム薄膜をパターン形成する。こ
のマスクM6は、図12(c)に示すように、タンク領
域86と、アンカ領域88の上方をカバーする。次に、
図12(d)に示すように、リン酸(H3PO4)また
は混酸を用いて、アルミニウム薄膜をエッチングするこ
とにより、図12(d)に示すようなパターンが形成さ
れたアルミニウム薄膜96を得る。
ウム薄膜96をマスクとし、例えば、酸素ガス(O2)
によりプラズマエッチングして、アルミニウム(Al)
を溶かさず、ポリ乳酸を除去(アッシング)する。さら
に、例えばフルオロホルム(CHF3)ガス(条件:5
sccm,5Pa、100W、1時間)を用いて、シリ
コン酸化膜82b,94を反応性イオンエッチングす
る。
ン(Si)を溶かし、シリコン酸化膜(SiO2)を溶
かさないエッチャントを用いて、シリコン基板80をエ
ッチングする。例えば、水酸化テトラメチルアンモニウ
ム(TMAH)を用いてウェットエッチングするか、六
フッ化硫黄(SF6)を用いて反応性イオンエッチング
する。
うに、アルミニウム(Al)を溶かし、ポリ乳酸および
シリコン酸化膜(SiO2)を溶かさないリン酸(H3
PO 4)または混酸を用いて、アルミニウム薄膜96を
エッチングし、最後に、フルオロホルム(CHF3)ガ
ス(条件:5sccm,5Pa、100W、1時間)を
用いて、シリコン酸化膜(SiO2)12aを反応性イ
オンエッチングして、ポリ乳酸の下側にあるシリコン酸
化膜(SiO2)を除去し、図12(h)に示すポリ乳
酸だけからなる構造体を得る。なお、図12(h)は、
図12(f)を上下反転させて図示したものである。
リ乳酸だけからなる構造体99は、タンク部52に相当
する部分において、上面全体が開口した開口部98を有
し、この開口部98から薬剤を注入することができる。
注入完了後、別の図示しないポリ乳酸からなる薄膜を用
いて、開口部98を被い、これらを加熱して互いに圧着
すると、薬剤がチャンバ部54内に封止された薬物配送
システム51が形成される。
3の実施形態によるアンカ部53は、実施形態2のよう
なチャンネル部55を有さず、ポリ乳酸で充填されてお
り、いわばソリッド(solid)タイプのアンカ部53と
して構成されたが、アンカ領域88の中央部も同様にカ
バーするようにマスクM5を設計することにより、実施
形態2のような中空(hollow)タイプのアンカ部53も
同様に製造することができる。
様に、チャンバ部54を有さず、ポリ乳酸で充填したソ
リッド(solid)タイプのタンク部52を形成すること
ができる。ただし、この場合、これらのタンク部52お
よびアンカ部53を構成するポリ乳酸材料の中に、薬剤
を事前に含ませておく必要がある。このように薬剤を含
浸させたポリ乳酸材料を用いて製造された薬物配送シス
テム51が体内に留置されると、ポリ乳酸材料が加水分
解して徐々に溶け出すにつれて、これに含浸させた薬剤
が徐放され、上記の実施形態と同様の効果が期待でき
る。
13および図14を参照しながら、本発明の第4の実施
形態による薬物配送システムを以下に説明する。この薬
物配送システム51は、タンク部を有さない点を除い
て、実施形態2による薬物配送システム51と同様の構
成を有するので、重複する説明を省略する。
細胞および再生因子、または抗がん剤などの薬剤を貯蔵
できるチャンバ部54は、アンカ部53の内部に配置さ
れている。図13(a)ないし(c)において、6つの
突起部57を有する薬物配送システム51が図示されて
いるが、突起部57の数はそれ以上でもそれ以下であっ
てもよい。また、当業者ならば容易に理解されるよう
に、この実施形態による薬物配送システムは、第2の実
施形態のそれと同様に製造することができる。
テム51は、第2の実施形態と同様の中空タイプのアン
カ部53として構成したが、第3の実施形態と同様のソ
リッドタイプのアンカ部53として形成することも可能
である。このとき、第3の実施形態と同様、薬剤を含浸
したポリ乳酸材料を用いて、ソリッドタイプのアンカ部
53を製造する。
イプおよびソリッドタイプのアンカ部53のみからなる
薬物配送システムは、さまざまに応用することができ
る。例えば、図14(a)に示すように、アンカ部53
の先端部56とは反対側の端部において、固形のタブレ
ット状の薬剤58を直接的に固定してもよい。
る手法を用いて、チャンバ部を有するポリ乳酸からなる
タンク部(図示せず)を個別に形成しておき、例えば、
この実施形態のアンカ部53を加熱してタンク部に圧着
することにより、薬物配送システムを形成することがで
きる。あるいは、ポリ乳酸からなるアンカ部とタンク部
は、他の適当な生体分解性材料(例えば、にかわ、でん
ぷん、蛋白質、または水あめなど)を用いて容易に接合
することができる。
に、図14(b)に示すように1つの方向に、あるいは
図14(c)に示すように複数の方向に延びるように、
接合してもよい。
実施形態によるアンカ部を2つ組み合わせてもよい。こ
のとき、その長手方向の両端部において、鋭利な先端部
が形成される。
15を参照しながら、本発明の第5の実施形態による薬
物配送システムを以下に説明する。この薬物配送システ
ム101は、概略、複数(9個のうち5個を図示)のタ
ンク部(容器部)102と、隣接するタンク部102を
接続するコネクタ部(連結部)103と、コネクタ部1
03上に配置され、タンク部102を気密封止するため
のキャップ部104と、各タンク部102から延びる複
数のアンカ部(係留部)105とを有する。各タンク部
102は、第1の実施形態と同様、ほぼ直方体の外形形
状を有し、その内部には薬剤を貯蔵できるチャンバ部1
06が形成されている。各アンカ部105は、図15
(a)および(b)の矢印Cで示す長手方向において先
細り、一端部においてタンク部102にしっかりと固定
され、他端部において実質的に鋭利な先端部107を有
する。またアンカ部105は、図15(a)および
(b)に示すような複数の(例えば、4つの)突起部1
08を有する。各突起部108は、第2および第3の実
施形態で説明した突起部と同様の外形形状を有し、ソリ
ッドタイプまたは中空タイプのいずれであってもよい。
成部品は、第1ないし第4の実施形態と同様、ポリ乳酸
などの生分解性材料で構成されており、各アンカ部は、
鋭利な先端部107を有する。したがって、この薬物配
送システム101は、人体に悪影響を与えることなく、
体内の任意の部位(治療部位)に埋め込むことができ
る。さらに、アンカ部105は、突起部108を有する
ので、いったん治療部位に埋めこまれると、突起部10
8が周辺の組織と係合し、血液などの体液の流れが速い
治療部位においても長期間に亙って、薬物配送システム
101が治療部位から離脱しないように、これを係留す
ることができる。こうして埋め込まれた薬物配送システ
ム101のタンク部102またはアンカ部105の一部
を構成するポリ乳酸膜が徐々に加水分解して溶け出し、
その内部に格納されていた薬剤を、所定の投薬期間に亙
って少量ずつ放出させることができる。
側壁を構成するポリ乳酸膜の厚みを調整して、内部に格
納された薬剤が放出されるまでの時間を制御することが
できる。すなわち、異なる種類の薬剤を異なるタイミン
グで供給することができる。例えば、側壁が薄いタンク
部102(薬剤を早い時期に放出するタンク部102)
のチャンバ部106内に、血管再生を誘発する再生細胞
を収容し、別の側壁が厚いタンク部102(薬剤をより
遅い時期に放出するタンク部102)のチャンバ部10
6内に、血管細胞を増殖させる再生因子を収容する。こ
うして、治療部位に対し、再生細胞で血管再生を誘発し
て、適当な時間が経過した後に、再生因子を与えること
により、再生細胞を制御しながら、効率よく血管を再生
することができる。あるいは、同じ種類の薬剤を異なる
タイミングで放出するように、複数のタンク部102を
構成してもよい。すると、同じ種類の薬剤をより長い期
間に亙って放出させることができる。
造方法)次に、図16および図17を参照しながら、第
5の実施形態による薬物配送システム101の製造方法
について以下に説明する。
を用意する。そして、これまで説明したような微細フォ
トリソグラフィ技術を用いて、シリコン基板110,1
20の上に、それぞれ図16(a)および(b)に示す
ような凹部112,122を形成する。
うに、溶解したアルミニウム(Al)をこれらの凹部1
12,122に流し込む。
水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を用いて
ウェットエッチングするか、六フッ化硫黄(SF6)を
用いて反応性イオンエッチングして、シリコン(Si)
を除去して、アルミニウム鋳型114,124を得る。
なお、図16(f)は、図16(d)に示すアルミニウ
ム鋳型124を上下反転させて図示している。
融したポリ乳酸130を一方のアルミニウム鋳型124
の凹部に流し込み、続いて図17(b)に示すように、
このアルミニウム鋳型124に他方のアルミニウム鋳型
114を挿入する。そして、これを常温放置して冷却
し、ポリ乳酸130を硬化させる。
(H3PO4)または混酸を用いて、アルミニウム鋳型
114,124をエッチングして、ポリ乳酸からなる複
数のタンク部102と、隣接するタンク部102を接続
するコネクタ部103が形成される。
よるアンカ部105を、任意の適当な生分解性材料(例
えば、にかわ、でんぷん、蛋白質、または水あめなど)
を用いて、少なくとも1つの、好適にはすべてのタンク
部102の底部に接合する。
32を介して、適当な薬剤を注入した後、別途用意され
たポリ乳酸からなる薄膜を、コネクタ部103の上に接
合して、薬剤を各タンク部102のチャンバ部106内
に気密封止する。
18を参照しながら、本発明の第6の実施形態による薬
物配送システムを以下に説明する。この薬物配送システ
ム201は、概略、複数の(例えば、2つの)アンカ部
210,220を組み合わせて構成される。各アンカ部
210,220は、船の舳先のような外形形状を有し、
その内部には再生細胞および再生因子、または抗がん剤
などの薬剤を貯蔵できるチャンバ部212,222がそ
れぞれ形成されている。各チャンバ部212,222
は、図18(b)に図示するように、互いに連通してい
るが、分離するように構成してもよい。各チャンバ部2
12,222を分離して構成した場合、異なる薬剤を各
チャンバ部212,222に貯蔵することができる。
にチャンバ部を有するもの(中空タイプ)として説明し
たが、ポリ乳酸を完全に充填させたソリッドタイプとし
て形成することができる。この場合、第4の実施形態と
して図14(a)を参照して説明したように、アンカ部
220の先端部226とは反対側の端部において、固形
のタブレット状の薬剤(図示せず)を直接的に取り付け
てもよいし、図14(b)および図14(c)に示すよ
うに、別途作成したポリ乳酸からなるタンク部を、適当
な接着手法を用いて(例えば、にかわなどの糊を用いる
か、赤外線やキセノン光を部分的に照射して、その部分
だけを加熱して溶融接合するなどして)接合してもよ
い。
対のフィン状の突起部214a,214b,224a,
224bを有する。図18(b)に示す薬物配送システ
ム201の平面形状において、各アンカ部210,22
0および各突起部214a,214b,224a,22
4bを形成するすべての辺は、矢印Dで示す長手方向に
対して、約35.3°(φ=π/2−arctan(√2))をな
す角度を有するように設計されている。同様に、図18
(d)に示す断面形状において、各アンカ部210,2
20および各突起部214a,214b,224a,2
24bを形成するすべての辺も(上面225を除く)、
長手方向と約35.3°(φ=π/2−arctan(√2))の
角度をなす。こうして、各突起部214,224は、矢
印Dで示す長手方向に対して後方に延び、各アンカ部2
10,220は、平面方向のみならず断面方向において
も先細った実質的に鋭利な先端部226を有する。
つのアンカ部210,220を組み合わせて構成される
ものとして説明したが、ただ1つのアンカ部、または3
つ以上のアンカ部から構成されるように設計してもよ
い。
10,220は、第1の実施形態と同様、ポリ乳酸など
の生分解性材料で構成されており、しかも極めて鋭利な
先端部226を有する。したがって、この薬物配送シス
テム201は、体内の任意の部位(治療部位)に容易に
埋め込むことができ、そのまま体内に留置しても人体に
悪影響を与えない。さらに、アンカ部210,220
は、この薬物配送システム201を埋め込む方向(図1
8(a)ないし(d)の矢印Dの方向)とは鈍角(π−
φ)をなす方向に延びる突起部214,224を有する
ので、いったん治療部位に埋め込まれると、突起部21
4,224は、周辺の組織と係合し、血液などの体液の
流れが速い治療部位においても長期間に亙って、薬物配
送システム201が治療部位から離脱しないように、こ
れを係留することができる。こうして埋め込まれた薬物
配送システム201のアンカ部210,220の一部を
構成するポリ乳酸膜が徐々に加水分解して溶け出し、チ
ャンバ部212,222の内部に格納されていた薬剤
を、所定の投薬期間に亙って少量ずつ放出させることが
できる。したがって、この薬物配送システム201を用
いて、第1の実施形態と同様、図2(b)に示すよう
に、梗塞した動脈の機能を補完するようなバイパス血管
BYPを形成することができる。
造方法)ここで、図19を参照しながら、第6の実施形
態による薬物配送システム201の製造方法について以
下に説明する。
テムの製造方法とは異なり、(100)結晶面ではな
く、(110)結晶面を主面とするシリコン基板230
を用意する。そして図19(a)および(b)に示すよ
うに、シリコン基板230の両面上にシリコン酸化膜
(SiO2)232a,232bを形成した後、硫酸過
水洗浄(H2SO4:H2O2=3:1)およびアンモ
ニア過水洗浄(NH4OH:H2O2:H2O=1:
1:5)を5分間行う。
で10分間ベークし、図19(c)および(d)に示す
ようなマスクM7を用いて、フォトレジスト234にパ
ターン形成する。このマスクM7は、図19(c)のハ
ッチングで示す領域において、フォトレジスト234を
カバーしない。すなわち、マスクM7は、チャンバ領域
236およびフィン領域238をカバーしない。また、
マスクM7を構成するすべての辺は、シリコン基板の<
100>結晶方向D’に対して、約35.3°(φ=π
/2−arctan(√2))の角度をなすように設計されてい
る。
ム(CHF3)ガス(条件:5sccm,5Pa、10
0W、1時間)を用いて、シリコン酸化膜(SiO2)
212aを反応性イオンエッチングする。
後、残存するシリコン酸化膜(SiO2)232aをマ
スクとし、水酸化カリウム(KOH)をエッチャント
(条件:33重量%,70℃,55分間)として用い、
シリコン基板230をウェットエッチングする。シリコ
ンは、先に説明したように、水酸化カリウム(KOH)
のエッチャントに対して面方位依存性(エッチング異方
性)を有し、シリコン結晶の(111)面に沿ってエッ
チングが進む。したがって、図19(f)および(g)
に示すように、マスクM7の下方において、シリコン結
晶の(111)面であるシリコン基板に対して垂直でか
つ<100>結晶方向に対して約35.3°(φ=π/2
−arctan(√2))の角度をなす側面240と、同様に<
100>結晶方向に対して約35.3°(φ=π/2−ar
ctan(√2))の角度をなす底面242に沿ってエッチン
グが進む。こうして、チャンバ領域236において図1
9(g)の実線で示すチャンバ凹部244と、フィン領
域238において図19(g)の破線で示すフィン凹部
246が形成される。チャンバ凹部244とフィン凹部
246を合わせてアンカ凹部250という。
シリコン基板230を用いて、第1の実施形態による薬
物配送システムの製造方法と同様に(図4参照)、シリ
コン酸化膜(SiO2)およびポリ乳酸薄膜が積層され
た別のシリコン基板を貼り合わせ、所定のエッチャント
を用いて順次エッチングすることにより、最終的に、ポ
リ乳酸薄膜からなる薬物配送システム201を実現する
ことができる。このとき、ポリ乳酸薄膜を調整すること
により、各チャンバ部212,222を互いに連通させ
るか、分離させることができる。
るように、アンカ凹部250が形成されたシリコン基板
230を用いて、第2の実施形態の変形例2による薬物
配送システムの製造方法と同様にして(図10参照)、
薬物配送システム201を得ることができる。
1は、上述の実施形態による薬物配送システムと同様
に、体内に安全に長期間留置して、薬剤を徐放すること
ができる。
(バイパス血管を形成する)ために、本発明の薬物配送
システムを用いたが、他の疾患を治療するためにも利用
することができる。以下に、本発明による薬物配送シス
テムの他のいくつかの適用例について説明する。
起因して、角膜が損傷すると、角膜を再生して治療する
必要がある。角膜を効率よく再生するためには、角膜を
形成する再生細胞および再生因子を、損傷した角膜部位
に継続的に安定して供給する必要がある。点眼薬として
再生細胞および再生因子を供給することも考えられる
が、眼には常時、新鮮な涙が循環しており、点眼薬とし
て供給された再生細胞および再生因子のほとんどは、損
傷部位に留まることなく流れてしまう。そこで、本発明
の薬物配送システムを約1mmの厚みを有する角膜組織
に直接的に埋めこむことにより、再生細胞および再生因
子を損傷した角膜部位に継続的に安定して供給できる。
胞の変性脱落により、線条体におけるドーパミンが不足
するために発症すると考えられている。現在の一般的な
内科的な治療法は、ドーパミン不足を解消するため、例
えば、線条体に入ってドーパミンに変わるL−ドーパ製
剤、ドーパミンの代わりをするドーパミンアゴニスト、
ドーパミンとアセチルコリンのバランスを改善する抗コ
リン薬などの薬剤を組み合わせて経口服用することであ
る。しかし、こうした薬剤は、経口服用され、体内で希
釈されるので、線条体におけるドーパミン不足を解消す
るよりも遥かに多くの用量を人体に摂取する必要があ
る。すると、例えば、L−ドーパ製剤により、不随意運
動といった副作用が生じる。そこで、カテーテルを用い
て本発明の薬物配送システムを治療部位に留置し、これ
らの薬剤を安定して徐放することにより、必要量の薬剤
を、薬剤を必要とする治療部位に長期間に亙って安定し
て供給することができる。
殖因子を直接投与することが一番有効な治療法とされて
いる。そこで同様に、本発明の薬物配送システムを治療
部位に留置し、骨増殖因子を安定して供給できる。
戻すためにプラスチック製の人工頭蓋骨を埋め込むこと
がある。この場合も本発明の薬物配送システムを用い
て、骨増殖因子を頭蓋骨陥没部位に供給することによ
り、頭蓋骨を再生することができる。さらに、例えば、
鼻を高くするための美容形成手術において、従来、シリ
コンゴムなどの人工物を鼻部分に注入する手法が用いら
れてきたが、本発明の薬物配送システムを用いて、鼻部
分に骨増殖因子を長期間安定して徐放することにより、
自らの骨を増殖させることが可能となる。この場合、鼻
の骨が徐々に成長するので、他人に気付かれることな
く、鼻を少しずつ高くすることができる。
まな薬物配送システムのみならず、その他の医療デバイ
スに対してもポリ乳酸を用いて構成することができる。
近年、金属が接触して拒絶反応を起こし、皮膚がかぶれ
る疾患(アレルギー性接触皮膚炎)、いわゆる金属アレ
ルギを有する患者が急増している。こうした患者に対し
ては、ステンレス製注射針の使用を回避することが好ま
しい。一方、チタンコーティングされた注射針の利用が
着目されているが、これは極めて高価である。そこで、
本発明によれば、既存のステンレス製注射針を加熱溶融
したポリ乳酸に浸漬させることにより、ポリ乳酸からな
る薄膜が金属外側表面に形成された注射針を提供するこ
とができる。このように、本発明は、ポリ乳酸が有する
利点を活かして、さまざまな医療デバイスにおいてポリ
乳酸を応用することができる。
れば、この薬物配送システムは、鋭利な先端部を有する
ので、組織内に容易に挿入でき、ポリ乳酸を構成材料と
し、突起部を含むアンカ部を有するので、人体に悪影響
を与えることなく、血液または体液の流れが速い体内部
位に留置でき、しかもポリ乳酸膜が徐々に溶け出すにつ
れて、タンク部の内部に格納されていた薬剤を、所定の
投薬期間に亙って少量ずつ放出させることができる。こ
れにより、従来式の侵襲性の高い外科手術の代わりに、
より安全で患者に対する負担の少ない治療手法を提供す
ることができる。
ば、この薬物配送システムは、複数のタンク部を有する
ので、同じまたは異なる種類の薬剤を異なるタイミング
で供給することができる。
れば、マイクロマシン技術を用いて、任意の所望する寸
法および形状を有する薬物配送システムを極めて精緻
に、かつ安価に大量生産することができる。
1の実施形態による薬物配送システムの斜視図、平面
図、および側面図である。
1の実施形態による薬物配送システムを用いて形成され
たバイパス血管の断面図である。
による薬物配送システムの製造方法を示し、図3
(a),(d),および(g)は、シリコン基板の平面
図で、図3(b),(c),(e),(f),および
(h)は、図3(a)のIIIB−IIIB線から見た断面図
である。
による薬物配送システムの製造方法を示し、図3(a)
のIIIB−IIIB線から見た断面図である。
による薬物配送システムの択一的な製造方法を示し、図
5(a)および(c)は、シリコン基板の平面図で、図
5(b),(d),および(e)は、図5(a)のVB
−VB線から見た断面図である。
による薬物配送システムの択一的な製造方法を示し、図
6(a)は、シリコン基板の平面図で、図6(b)ない
し(f)は、図6(a)のVIB−VIB線から見た断面図
である。
2の実施形態による薬物配送システムの斜視図、平面
図、および側面図である。
による薬物配送システムの製造方法を示し、図8(a)
および(d)は、シリコン基板の平面図で、図8
(b),(c),および(e)ないし(g)は、図8
(a)のVIIIB−VIIIB線から見た断面図である。
による薬物配送システムの製造方法を示し、図8(a)
のVIIIB−VIIIB線から見た断面図である。
形態による薬物配送システムの択一的な製造方法を示
し、図8(a)のVIIIB−VIIIB線から見た断面図であ
る。
形態による薬物配送システムの製造方法を示し、図11
(a)および(d)は、シリコン基板の平面図で、図1
1(b),(c),および(e)ないし(g)は、図1
1(a)のXIB−XIB線から見た断面図である。
形態による薬物配送システムの製造方法を示し、図12
(c)および(g)は、それぞれ、アルミニウム薄膜パ
ターンおよび完成されたポリ乳酸膜の平面図で、図11
(a),(b),(d)ないし(f)および(g)は、
図11(a)のXIB−XIB線から見た断面図である。
る第4の実施形態による薬物配送システムの斜視図、平
面図、および側面図である。
形態による薬物配送システムの変形例を示す。
る第5の実施形態による薬物配送システムの斜視図、お
よび図15(a)のXVB−XVB線から見た断面図であ
る。
形態による薬物配送システムの製造方法を示し、図15
(a)のXVB−XVB線から見た断面図である。
形態による薬物配送システムの製造方法を示し、図15
(a)のXVB−XVB線から見た断面図である。
る第6の実施形態による薬物配送システムの斜視図、平
面図、および側面図であり、図18(d)は、図18
(b)のXVIIID−XVIIID線から見た断面図である。
形態による薬物配送システムの製造方法を示し、図19
(b),(d),(e)および(g)は、図19(a)
のXIXB−XIXB線から見た断面図である。
テーテルを用いて梗塞血管部位を拡張させるための従来
技術による手法を示す。
よび再生因子を注射器で注入することにより、梗塞血管
部位を拡張させる別の従来技術による手法を示す。
アンカ部(係留部)、4.チャンバ部、5.チャンネル
部、6.先端部、7.突起部、10,11,30.シリ
コン基板、12a,12b,13a,13b,32a,
32b,24,44.シリコン酸化膜(SiO2)、1
4.フォトレジスト、16,36.タンク領域、18,
38.円形領域、20,40.タンク凹部、22,4
2.アンカ凹部、26,28,46.ポリ乳酸薄膜、3
7.ブリッジ領域、48.アルミニウム薄膜。
Claims (25)
- 【請求項1】 医療用システムであって、 薬剤を貯蔵できるチャンバ部を有する、生分解性材料か
らなるタンク部と、タンク部から延びる、生分解性材料
からなる少なくとも1つのアンカ部とを備え、 アンカ部は、先端部に向かって先細りし、少なくとも1
つの突起部を有することを特徴とする医療用システム。 - 【請求項2】 医療用システムであって、 薬剤を貯蔵できるチャンバ部を有する、生分解性材料か
らなる複数のタンク部と、 隣接するタンク部を接続するための、生分解性材料から
なるコネクタ部と、 コネクタ部上に配置され、タンク部を気密封止するため
のキャップ部と、 少なくとも1つのタンク部から延びる、生分解性材料か
らなる少なくとも1つのアンカ部とを備え、 アンカ部は、先端部に向かって先細りし、少なくとも1
つの突起部を有することを特徴とする医療用システム。 - 【請求項3】 医療用システムであって、 薬剤を貯蔵できるチャンバ部を有する、生分解性材料か
らなるアンカ部を備え、 アンカ部は、先端部に向かって先細りし、少なくとも1
つの突起部を有することを特徴とする医療用システム。 - 【請求項4】 医療用システムであって、 薬剤を含浸した生分解性材料からなるタンク部と、 タンク部から延びる、生分解性材料からなる少なくとも
1つのアンカ部とを備え、 アンカ部は、先端部に向かって先細りし、少なくとも1
つの突起部を有することを特徴とする医療用システム。 - 【請求項5】 医療用システムであって、 薬剤を含浸した生分解性材料からなるアンカ部を備え、 アンカ部は、先端部に向かって先細りし、少なくとも1
つの突起部を有することを特徴とする医療用システム。 - 【請求項6】 医療用システムであって、 生分解性材料からなるアンカ部を備え、 アンカ部は、長手方向の一方の端部において先細りする
先端部を有し、他方の端部において薬剤が固定され、 アンカ部は、少なくとも1つの突起部を有することを特
徴とする医療用システム。 - 【請求項7】 医療用システムであって、 薬剤を貯蔵できるチャンバ部を有する、生分解性材料か
らなるアンカ部を備え、 アンカ部は、長手方向の両方の端部において先端部に向
かって先細りし、少なくとも1つの突起部を有すること
を特徴とする医療用システム。 - 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれか1に記載の
医療用システムであって、 アンカ部の突起部は、実質的な四角錐形状を有すること
を特徴とする医療用システム。 - 【請求項9】 請求項1ないし7のいずれか1に記載の
医療用システムであって、 アンカ部の突起部は、先端部に向かう長手方向に対して
鈍角をなす方向に延びることを特徴とする医療用システ
ム。 - 【請求項10】 請求項1ないし7のいずれか1に記載
の医療用システムであって、 生分解性材料は、ポリ乳酸、にかわ、でんぷん、蛋白
質、または水あめであることを特徴とする医療用システ
ム。 - 【請求項11】 請求項1または2に記載の医療用シス
テムであって、 アンカ部は、タンク部のチャンバ部と連通するチャンネ
ル部を有することを特徴とする医療用システム。 - 【請求項12】 請求項1または2に記載の医療用シス
テムであって、 タンク部から異なる方向に延びる複数のアンカ部を有す
ることを特徴とする医療用システム。 - 【請求項13】 請求項1または2に記載の医療用シス
テムであって、 タンク部から同じ方向に延びる複数のアンカ部を有する
ことを特徴とする医療用システム。 - 【請求項14】 請求項3に記載の医療用システムであ
って、 アンカ部は、先端部に向かって先細りする平面形状およ
び断面形状を有することを特徴とする医療用システム。 - 【請求項15】 医療用システムの製造方法であって、 第1および第2半導体基板上に半導体酸化膜を形成する
ステップと、 タンク領域および複数の離散的に配置された円形領域に
おいて、第1半導体基板の半導体酸化膜をエッチングし
て、半導体酸化膜によるマスクを形成するステップと、 半導体酸化膜によるマスクを用いて、第1半導体基板を
ウェットエッチングするステップと、 ウェットエッチングされた第1半導体基板上に、半導体
酸化膜を形成するステップと、 第1および第2半導体基板の半導体酸化膜の上に、ポリ
乳酸からなる薄膜を形成するステップと、 第1および第2半導体基板のポリ乳酸からなる薄膜が互
いに対向するように、第1および第2半導体基板を接合
するステップと、 第1および第2半導体基板の半導体酸化膜を残し、第1
および第2半導体基板をエッチングするステップと、 ポリ乳酸を残し、第1および第2半導体基板の半導体酸
化膜をエッチングするステップとを有することを特徴と
する製造方法。 - 【請求項16】 医療用システムの製造方法であって、 半導体基板上に半導体酸化膜を形成するステップと、 タンク領域および複数の離散的に配置された円形領域を
貫通するブリッジ領域を除いた、これらのタンク領域お
よび複数の離散的に配置された円形領域において、半導
体酸化膜をエッチングして、半導体酸化膜からなる第1
マスクを形成するステップと、 半導体酸化膜による第1マスクを用いて、半導体基板を
ウェットエッチングするステップと、 ウェットエッチングされた半導体基板上に、半導体酸化
膜を形成するステップと、 半導体酸化膜の上に、ポリ乳酸からなる薄膜を形成する
ステップと、 ポリ乳酸からなる薄膜の上に、所定の材料からなる薄膜
を形成するステップと、 所定の領域において、所定の材料からなる薄膜をエッチ
ングして、所定の材料からなる第2マスクを形成するス
テップと、 所定の材料からなる第2マスクを用いて、ポリ乳酸をエ
ッチングするステップと、 所定の材料からなる第2マスクを用いて、半導体酸化膜
をエッチングするステップと、 半導体酸化膜を残し、半導体基板をエッチングするステ
ップと、 ポリ乳酸を残し、所定の材料からなる第2マスクをエッ
チングするステップと、 ポリ乳酸を残し、半導体酸化膜をエッチングするステッ
プとを有することを特徴とする製造方法。 - 【請求項17】 医療用システムの製造方法であって、 第1および第2半導体基板上に半導体酸化膜を形成する
ステップと、 タンク領域およびアンカ領域において、第1半導体基板
の半導体酸化膜をエッチングして、半導体酸化膜による
マスクを形成するステップと、 半導体酸化膜によるマスクを用いて、第1半導体基板を
反応性イオンエッチングするステップと、 反応性イオンエッチングされた第1半導体基板上に、半
導体酸化膜を形成するステップと、 第1および第2半導体基板の半導体酸化膜の上に、ポリ
乳酸からなる薄膜を形成するステップと、 第1および第2半導体基板のポリ乳酸からなる薄膜が互
いに対向するように、第1および第2半導体基板を接合
するステップと、 第1および第2半導体基板の半導体酸化膜を残し、第1
および第2半導体基板をエッチングするステップと、 ポリ乳酸を残し、第1および第2半導体基板の半導体酸
化膜をエッチングするステップとを有することを特徴と
する製造方法。 - 【請求項18】 医療用システムの製造方法であって、 半導体基板上に半導体酸化膜を形成するステップと、 タンク領域およびアンカ領域において、半導体酸化膜を
エッチングして、半導体酸化膜によるマスクを形成する
ステップと、 半導体酸化膜によるマスクを用いて、半導体基板を反応
性イオンエッチングして、タンク領域およびアンカ領域
において凹部を形成するステップと、 所定の材料を溶融して、凹部内に充填し、硬化させて、
所定の材料からなる金型を形成するステップと、 ポリ乳酸からなる薄膜を金型の周囲に形成するステップ
と、 金型の一部を露出させる開口部を形成するステップと、 ポリ乳酸を残し、所定の材料をエッチングするステップ
とを有することを特徴とする製造方法。 - 【請求項19】 医療用システムの製造方法であって、 半導体基板上に半導体酸化膜を形成するステップと、 タンク領域の周縁部およびアンカ領域において、半導体
酸化膜をエッチングして、半導体酸化膜による第1マス
クを形成するステップと、 半導体酸化膜によるマスクを用いて、半導体基板を反応
性イオンエッチングして、タンク領域の周縁部およびア
ンカ領域において凹部を形成するステップと、 ポリ乳酸を溶融して、凹部内に充填して、ポリ乳酸から
なる薄膜を形成するステップと、 ポリ乳酸からなる薄膜の上に、所定の材料からなる薄膜
を形成するステップと、 所定の領域において、所定の材料からなる薄膜をエッチ
ングして、所定の材料からなる第2マスクを形成するス
テップと、 所定の材料からなる第2マスクを用いて、ポリ乳酸をエ
ッチングするステップと、 所定の材料からなる第2マスクを用いて、半導体酸化膜
をエッチングするステップと、 半導体酸化膜を残し、半導体基板をエッチングするステ
ップと、 ポリ乳酸を残し、所定の材料からなる第2マスクをエッ
チングするステップと、 ポリ乳酸を残し、半導体酸化膜をエッチングして、タン
ク領域の周縁部に対応する領域に開口部を有するポリ乳
酸からなる構造体を形成するステップと、 ポリ乳酸からなる構造体の開口部を、ポリ乳酸からなる
薄膜を用いてカバーするステップとを有することを特徴
とする製造方法。 - 【請求項20】 医療用システムの製造方法であって、 薬剤を貯蔵できるチャンバ部を有する、ポリ乳酸からな
るタンク部を形成するステップと、 先端部に向かって先細りし、少なくとも1つの突起部を
有するポリ乳酸からなるアンカ部を形成するステップ
と、 アンカ部をタンク部に接合させるステップとを有するこ
とを特徴とする製造方法。 - 【請求項21】 複数のタンク部を有する医療用システ
ムの製造方法であって、 第1および第2半導体基板に、それぞれ複数の第1およ
び第2の基板凹部を形成するステップと、 所定の材料を複数の第1および第2の基板凹部に充填
し、硬化させるステップと、 所定の材料を残し、第1および第2半導体基板をエッチ
ングして、所定の材料からなる第1および第2金型を形
成するステップと、 溶融したポリ乳酸を第1金型の金型凹部に充填するステ
ップと、 ポリ乳酸が充填された第1金型に第2金型を嵌合させる
ステップと、 ポリ乳酸を残し、所定の材料をエッチングして、複数の
タンク部を形成するステップと、 アンカ部を少なくとも1つのタンク部に接合するステッ
プとを有することを特徴とする製造方法。 - 【請求項22】 医療用システムの製造方法であって、 第1および第2半導体基板上に半導体酸化膜を形成する
ステップと、 所定のマスク領域において、第1半導体基板の半導体酸
化膜をエッチングして、半導体酸化膜によるマスクを形
成するステップと、 半導体酸化膜によるマスクを用いて、第1半導体基板を
ウェットエッチングするステップと、 ウェットエッチングされた第1半導体基板上に、半導体
酸化膜を形成するステップと、 第1および第2半導体基板の半導体酸化膜の上に、ポリ
乳酸からなる薄膜を形成するステップと、 第1および第2半導体基板のポリ乳酸からなる薄膜が互
いに対向するように、第1および第2半導体基板を接合
するステップと、 第1および第2半導体基板の半導体酸化膜を残し、第1
および第2半導体基板をエッチングするステップと、 ポリ乳酸を残し、第1および第2半導体基板の半導体酸
化膜をエッチングするステップとを有することを特徴と
する製造方法。 - 【請求項23】 医療用システムの製造方法であって、 半導体基板上に半導体酸化膜を形成するステップと、 所定のマスク領域において、半導体酸化膜をエッチング
して、半導体酸化膜によるマスクを形成するステップ
と、 半導体酸化膜によるマスクを用いて、半導体基板をウェ
ットエッチングして、所定のマスク領域において凹部を
形成するステップと、 所定の材料を溶融して、凹部内に充填し、硬化させて、
所定の材料からなる金型を形成するステップと、 ポリ乳酸からなる薄膜を金型の周囲に形成するステップ
と、 金型の一部を露出させる開口部を形成するステップと、 ポリ乳酸を残し、所定の材料をエッチングするステップ
とを有することを特徴とする製造方法。 - 【請求項24】 請求項22または23に記載の製造方
法であって、 所定のマスク領域は、半導体基板の<100>結晶方向
に対して、実質的に(π/2−arctan(√2))の角度を有
する辺を用いて形成されることを特徴とする製造方法。 - 【請求項25】 請求項16、19、21または23に
記載の製造方法であって、 所定の材料は、アルミニウムであることを特徴とする製
造方法。
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