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JP2003268011A - ポリアクリル酸の製造方法 - Google Patents

ポリアクリル酸の製造方法

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JP2003268011A
JP2003268011A JP2002078678A JP2002078678A JP2003268011A JP 2003268011 A JP2003268011 A JP 2003268011A JP 2002078678 A JP2002078678 A JP 2002078678A JP 2002078678 A JP2002078678 A JP 2002078678A JP 2003268011 A JP2003268011 A JP 2003268011A
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acrylic acid
heat
steam
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JP2002078678A
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Yukihiro Matsumoto
行弘 松本
Hitoshi Nakahara
整 中原
Kunihiko Ishizaki
邦彦 石▲崎▼
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Priority to ZA200301591A priority patent/ZA200301591B/xx
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F20/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride, ester, amide, imide or nitrile thereof
    • C08F20/02Monocarboxylic acids having less than ten carbon atoms, Derivatives thereof
    • C08F20/04Acids, Metal salts or ammonium salts thereof
    • C08F20/06Acrylic acid; Methacrylic acid; Metal salts or ammonium salts thereof

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  • Organic Chemistry (AREA)
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  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクリル酸製造プロセス、及び該プロセスで
製造された高純度アクリル酸を用いてポリアクリル酸を
製造するプロセスを含む複合プロセスにおいてアクリル
酸製造プロセスからの反応熱の効率的な利用方法、及び
潜熱の効率的な利用方法を提供すること。 【解決手段】 プロピレンおよび/またはプロパンを接
触気相酸化させて生成する反応生成物を溶剤で捕集し、
得られるアクリル酸溶液からアクリル酸を精製するアク
リル酸製造プロセスに引き続いて、アクリル酸溶液また
はアクリル酸からポリアクリル酸を製造するに当り、該
アクリル酸製造プロセスで回収した熱媒をポリアクリル
酸製造プロセスに利用することに要旨を有するポリアク
リル酸の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル酸製造プ
ロセスから発生する蒸気,冷液を有効利用するポリアク
リル酸の製造方法及び該方法を実施する設備に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル酸は様々な化学製品の原料とし
て用いられているが、特に近年、アクリル酸製造プラン
トから得られた高純度アクリル酸を原料として、該プラ
ントと同一乃至隣接する場所に設置したポリアクリル酸
製造プラントにて吸水性樹脂等の所望のポリアクリル酸
が製造されている。
【0003】アクリル酸は様々な方法によって製造され
ているが、アクリル酸の製造方法として例えば、まずプ
ロピレンおよび/またはプロパンを蒸発装置に供給して
ガス化し、該ガス化したプロピレンおよび/またはプロ
パンを接触気相酸化装置に供給して触媒存在下に気体と
接触させてアクリル酸及び反応副生物を含む反応生成物
を生成させている。そして該反応生成物と捕集溶剤を捕
集装置に供給して吸収捕集して副生物を含有するアクリ
ル酸溶液を得、次いでこれを共沸蒸留塔,高沸物分離
塔,精留塔などの蒸留精製装置に導入して順次蒸留・精
製を行ない、高純度アクリル酸を製造している。更に得
られた高純度アクリル酸を原料として、該プラントと同
一乃至隣接する場所に設置したポリアクリル酸製造プラ
ントに供給して吸水性樹脂等の所望のポリアクリル酸が
製造されている。
【0004】特に高純度のアクリル酸を安価でしかも大
量に生産することが要求される工業的規模の製造におい
ては、各製造工程における操業条件の適正化に加え、他
の工程から排出される様々な物質を他の工程にリサイク
ルしてコスト削減を図っている。例えば上記蒸発装置に
て液化プロピレンをガス化する際に用いた熱媒のリサイ
クル方法として、特開平2001−131109号に
は、液化プロピレン等をガス化する際に発生する潜熱を
用いて熱媒から液状冷熱媒を調製し、該アクリル酸製造
工程で使用する冷却器,凝縮器などの熱交換器で使用す
ることによって、従来廃棄されていた潜熱を有効活用
し、冷却エネルギーを低減できることが開示されてい
る。
【0005】尚、アクリル酸製造プロセスでは接触気相
酸化装置内で生じる反応熱を回収して水蒸気が得られる
が、この様な反応熱以外にも接触気相酸化装置で生成し
た反応性生物を冷却した際に回収される水蒸気や、アク
リル酸製造プロセスから排出される廃ガスや廃液などを
燃焼処理した際の燃焼熱を回収することによっても水蒸
気が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来ではこれら水蒸気
をアクリル酸製造プロセス内で再利用していたが、十分
な利用がなされていない。例えば接触気相酸化装置内で
の反応熱をボイラーなどの熱回収装置で回収して得られ
る水蒸気が1.0MPaゲージ圧(以下、ゲージ圧をG
と略記する)以上の高圧蒸気(尚、温度は特に限定され
ないが、通常183℃以上、270℃未満)である場
合、該高圧蒸気をアクリル酸蒸留精製装置に付設されて
いるリボイラーなどの加熱装置の熱媒として利用する
と、アクリル酸が過熱されて重合物が発生してしまうた
めに、高圧蒸気は減圧をしなければ利用することができ
なかった。また水蒸気が0.6MPaG以上、1.0M
PaG未満の中圧蒸気(例えば164℃以上、183℃
未満)である場合、該水蒸気を減圧せずに共沸蒸留塔や
高沸点物除去塔などの加熱に利用することができるが、
高純度アクリル酸精製段階である製品化塔等においては
中圧蒸気であっても重合物が生じることがあるため、更
に水蒸気を減圧しなければならず、中圧蒸気の使用箇所
も限られていた。したがって製品化塔に付設するリボイ
ラーに熱媒として供給する水蒸気は0.2MPaG以
上、0.6MPaG未満の低圧蒸気(例えば133℃以
上、164℃未満)であることが望ましいとされてい
る。勿論、これら蒸気は蒸留塔の加熱以外にも熱交換器
の熱媒として利用されたり、また駆動タービンの動力源
として利用されているが、アクリル酸製造プロセスにお
ける反応熱や燃焼熱を回収して得られる水蒸気全量に対
して、該アクリル酸製造プロセス内での水蒸気消費量,
特に高圧な水蒸気であるほどその利用箇所は限られてい
るために、蒸気発生量に比べて蒸気消費量は少なく、結
局、再利用されずにパージされる水蒸気が多く、特に高
圧水蒸気は減圧しなければ再利用できず、そのほとんど
は系外にパージされていた。
【0007】尚、蒸発装置にて液化プロピレンをガス化
した際に回収される潜熱のリサイクル方法として、特開
平2001−131109号において潜熱(液状冷熱
媒)のリサイクル技術が開示されているが、アクリル酸
製造プロセスで製造されたアクリル酸をポリアクリル酸
製造プロセスに供給してポリアクリル酸を製造する場合
など、アクリル酸製造プロセス以外のプロセスを含めた
総合的なリサイクルシステムは未だ開発されていない。
【0008】本発明はこれら事情に鑑みてなされた発明
であって、その目的はアクリル酸製造プロセス、及び該
プロセスで製造されたアクリル酸を用いてポリアクリル
酸を製造するプロセスを含む複合プロセスにおいて、ア
クリル酸製造プロセスからの反応熱などの熱源を回収し
て得られる水蒸気の効率的な利用方法、及びプロピレン
等をガス化した際に回収される潜熱の効率的な利用方法
を提供することである。また本発明は上記方法を実施し
得る設備を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成し得た本
発明の方法とは、プロピレンおよび/またはプロパンを
接触気相酸化させて生成する反応生成物を溶剤で捕集
し、得られるアクリル酸溶液からアクリル酸を精製する
アクリル酸製造プロセスに引き続いて、アクリル酸溶液
またはアクリル酸からポリアクリル酸を製造するに当
り、該アクリル酸製造プロセスで回収した熱をポリアク
リル酸製造プロセスに供給することに要旨を有するポリ
アクリル酸の製造方法であり、回収した熱としては、後
記する水蒸気,冷熱媒がある。
【0010】本発明を実施するにあたっては前記接触気
相酸化時に生じる反応熱を回収して得られる水蒸気の全
部または一部をポリアクリル酸製造プロセスの加熱工
程、即ち少なくとも重合,乾燥,表面架橋などのいずれ
かの工程の熱媒として利用することが推奨される。
【0011】本発明では前記水蒸気が1.0MPaG以
上の高圧蒸気であることが望ましく、また前記ポリアク
リル酸製造の工程に用いた水蒸気をドレン回収して1.
0MPaG未満の蒸気を生成し、前記アクリル酸蒸留精
製の熱媒として用いることが推奨される。
【0012】更に本発明ではプロピレンおよび/または
プロパンを蒸発器に液状熱媒を供給して潜熱回収によ
り、冷熱媒を調整し、その冷熱媒をポリアクリル酸製造
プロセスに供給することも望ましく、冷熱媒をポリアク
リル酸の冷却に使用することも好ましい。特に本発明の
方法は前記ポリアクリル酸製造プロセスが、吸水性樹脂
製造プロセスである場合に好適である。
【0013】また本発明はプロピレンおよび/またはプ
ロパンをガス化する蒸発装置、該ガス化プロピレンおよ
び/またはプロパンを接触気相酸化させる接触気相酸化
装置,該接触によって生成した反応生成物を溶剤で捕集
する捕集装置,該捕集によって生成したアクリル酸溶液
からアクリル酸を精製する蒸留精製装置,該アクリル酸
溶液または、該アクリル酸を重合前に中和(モノマーで
中和)、または重合中或いは重合後に中和(ゲルで中
和)する中和装置,重合装置,該重合物を乾燥する乾燥
装置を有するポリアクリル酸製造設備において、該アク
リル酸製造設備に熱回収装置で得られた熱媒を供給する
パイプラインを備えたポリアクリル酸製造設備である。
【0014】本発明の設備では、前記接触気相酸化装置
に熱回収装置が付設され、該熱回収装置で得られた熱媒
を前記乾燥工程に供給するパイプラインに少なくとも1
つの圧力調節器を備えていることも好ましい実施態様で
ある。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の方法はプロピレンおよび
/またはプロパンを接触気相酸化させて生成する反応生
成物を溶剤で捕集し、得られるアクリル酸溶液からアク
リル酸を精製するアクリル酸製造プロセスに引き続い
て、アクリル酸溶液またはアクリル酸からポリアクリル
酸を製造するに当り、該アクリル酸製造プロセスで回収
した熱をポリアクリル酸製造プロセスに供給することを
特徴とする。また本発明はプロピレンおよび/またはプ
ロパンを蒸発させたときに回収される潜熱の全部または
一部をポリアクリル酸製造プロセスに供給することを特
徴とする。
【0016】本発明においてポリアクリル酸とは、アク
リル酸および/またはその塩を単量体の主成分(好まし
くは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、
最も好ましくは実質的に100モル%)とする(共)重
合体であって、具体的には水溶性ポリアクリル酸
(塩),吸水性樹脂(即ち、吸水性ポリアクリル酸
(塩))が例示される。またポリアクリル酸塩として
は、好ましくは一価塩、より好ましくはアルカリ金属
塩,アンモニウム塩が例示される。これらポリアクリル
酸は他の単量体と共重合させてもよく、また例えば単量
体以外に0.001〜5モル%(アクリル酸に対する
値)程度の架橋剤で架橋させたり、或いは澱粉やポリビ
ニルアルコールなどの他の親水性ポリマーにグラフト重
合させてもよい。尚、水溶性ポリマーとは、水に実質的
に100%溶解する重合体をいう。また吸水性樹脂と
は、架橋構造を有した水膨潤性水不溶性のポリアクリル
酸をいい、自重の3倍以上、好ましくは10〜1000
倍の純水或いは生理食塩水を吸水し、水溶性成分(水可
溶分)が好ましくは25質量%以下、より好ましくは1
0質量%以下の水不溶性ヒドロゲルを生成するものをい
う。この様な吸水性樹脂の例示や物性測定方法としては
例えば米国特許第607196号,同第6107358
号,同第6174978号,同第6241928号が例
示される。
【0017】以下、本発明の方法をプロピレンおよび/
またはプロパン(以下、「プロピレン」と略記する。)
を原料とするアクリル酸の製造プロセス、及び該プロセ
スで製造されたアクリル酸を用いたポリアクリル酸の製
造プロセス(尚、本発明では代表例として吸水性樹脂製
造プロセスを示す。)を例示する図1に基づいて説明す
るが、本発明は以下の製造プロセスに限定される趣旨で
はなく、本発明の効果を阻害しない範囲で製造プロセス
に適宜変更を加えることができる。したがってアクリル
酸製造プロセスにて生成する水蒸気、及び回収する潜熱
は以下の種類に限定される趣旨ではなく、例示以外の水
蒸気,潜熱についても同様に本発明の方法で好適に処理
できる。
【0018】液化プロピレンをパイプライン1を介して
該プロピレンをガス化する蒸発装置である蒸発器2に供
給すると共に、液化プロピレンのガス化に利用する液状
熱媒をタンク3からパイプライン4,温度調節装置であ
る熱交換器5を介して蒸発器2に供給する。蒸発器2で
は液化プロピレンを液状熱媒と熱交換してガス化するた
め、ガス化する液化プロピレンの温度が液状熱媒の温度
よりも低くなくてはならない。この際、液化プロピレン
の温度が低過ぎると、液化プロピレンを蒸発させるため
の運転圧力を低くしなければならず、ガス化プロピレン
比容積が大きくなる。そのため蒸発器内の適正な蒸発速
度を保持するために蒸発器の気室容積を大きくしなけれ
ばならず、蒸発器自体が大きくなる。この様な蒸発器の
大型化を回避するためには供給する液状熱媒の温度を好
ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上とすること
が望ましい。
【0019】これに対して、蒸発器2に供給する液状熱
媒の温度を高くすれば、ガス化する液化プロピレンの温
度も高くできるので、ガス化プロピレンの比容積が小さ
くなり、上記問題を解消できるが、蒸発器2内の温度が
高くなると液化プロピレン供給タンク(図示せず)内圧
よりも蒸発器内圧が高くなり、高圧供給ポンプを配設し
なければ液化プロピレンを送給できなくなることがあ
る。
【0020】つまり、蒸発器2に供給する液状熱媒と液
化プロピレンが高温の場合、液化プロピレンの供給に高
圧ポンプが必要となると共に、蒸発器,パイプライン1
及びこれらに付設する設備の耐圧性を高める必要が生
じ、送給コスト,設備コストが上昇することがある。し
たがって液状熱媒の温度は好ましくは50℃以下、より
好ましくは40℃以下、更に好ましくは35℃以下とす
ることが望ましい。またガス化する液状プロピレンの温
度は、好ましくは−30℃以上、より好ましくは−20
℃以上であって、好ましくは30℃以下、より好ましく
は20℃以下である。
【0021】蒸発器2で安定した蒸発量を継続するため
には、蒸発器2に供給する液状熱媒の温度が一定である
ことが望ましく、供給する液状熱媒が所望の温度で蒸発
器2に供給できる様に熱交換器5などの任意の温度調節
装置を設けることが好ましい。勿論、供給タンク3に温
度調節装置(図示せず)を併設して液状熱媒の温度調節
してもよい。
【0022】また液状熱媒の温度調節方法については特
に限定されず、例えば熱交換器5に導入する温度調節用
の熱媒としては後記する様な熱回収装置から得られる低
圧蒸気(圧力:0.2MPaG以上,0.6MPaG未
満、尚、温度は例えば133℃以上、164℃未満)、
或いは中圧蒸気(圧力:0.6MPaG以上,1MPa
G未満、尚、温度は例えば164℃以上、183℃未
満)を導入し、液状熱媒の温度が一定になる様に熱媒量
を調整するなど適宜温度調節すればよい。尚、この様に
熱交換器に利用する熱媒として後記する様な熱回収装置
から得られる水蒸気を利用することによって、温度調節
コストが削減できるので望ましい。また液状熱媒の温度
を低下させる場合には、後記する液状冷熱媒を熱交換器
に導入して温度調節することが望ましい。
【0023】本発明で採用する熱交換器は公知の装置で
よく、昇温用としては多管式熱交換器,プレート式熱交
換器,スパイラル式熱交換器などが例示される。また冷
却用としては吸収式冷凍機などが例示される。
【0024】液状熱媒としては液体であればよく、また
少なくとも液化プロピレンとの熱交換時の潜熱によって
固化することのない液体が推奨される。液状熱媒として
は例えば工業用水,水道水などの水、エチレングリコー
ル水溶液やメタノール水溶液などのブラインが挙げられ
る。本発明では水よりも固化温度が低いブラインを用い
た例を示すが、操業条件によって液状熱媒を適宜選定す
ればよい。
【0025】蒸発器2内の圧力は特に限定されないが、
圧力が低すぎると蒸発効率が十分得られなくなることが
ある。したがって圧力は好ましくは0.1MPaG以
上、より好ましくは0.2MPaG以上、更に好ましく
は0.3MPaG以上とすることが望ましい。また蒸発
圧力が高すぎると、蒸発器や供給管等の耐圧性を高める
必要があるので望ましくない。したがって蒸発圧力は好
ましくは2.0MPaG以下、より好ましくは1.5M
PaG以下、更に好ましくは1.0MPaG以下である
ことが望ましい。
【0026】本発明では図示しないが、必要に応じてパ
イプライン4やパイプライン1、及びその他のパイプラ
インに必要に応じて圧力調節弁や流量調節弁或いは送液
ポンプを配設して適宜蒸発器内の圧力を調節することが
望ましい。
【0027】また蒸発器2では液化プロピレンのガス化
に伴って潜熱が生じるが、該潜熱は液状熱媒を冷却する
ことによって回収される(以下、冷却された液状熱媒を
「液状冷熱媒」という)。該液状冷熱媒は蒸発器2から
抜出されライン8を介してタンク3に返送される。
【0028】蒸発器から抜出された直後の液状冷熱媒の
温度は、供給する液化プロピレンの温度、蒸発器の処理
能力、液化プロピレンや液状熱媒の供給量などによって
異なるため特に限定されない。しかしながら例えば上記
温度範囲内にある液状熱媒を蒸発器に供給し、抜出され
た液状冷熱媒の温度が−10℃を下回る場合、液状冷熱
媒粘度が上昇するために伝熱係数が低下し、熱交換効率
が低いことを示す。したがって液状冷熱媒の温度が好ま
しくは−10℃以上、より好ましくは−5℃以上、更に
好ましくは0℃以上となる様に液状熱媒の供給量、供給
する液状熱媒や抜出される液状プロピレンの温度などの
操業条件を適宜調整することが望ましい。また熱交換後
の液状冷熱媒の温度が高いと、該液状冷熱媒を後記する
様な凝縮器や熱交換器などの装置に用いる冷媒として利
用するために冷凍器などの冷却装置を用いて該液状冷熱
媒の温度を更に低下させる必要が生じることがあり、該
液状冷熱媒の温度調節に要するコストが上昇するため望
ましくない。したがって熱交換後の液状冷熱媒の温度
は、好ましくは40℃以下、より好ましくは35℃以
下、更に好ましくは30℃以下となる様に操業条件を調
整することが推奨される。
【0029】尚、該液状冷熱媒をポリアクリル酸製造プ
ロセスに供給せずに、または系外に排出せずにアクリル
酸製造プロセス内に全量を留保しておくと、液状冷熱媒
はアクリル酸製造プロセスにおける凝縮器や冷却器だけ
では消費しきれないため、タンク3を大型化して該タン
ク内に留保しなければならず、また熱交換器5での液状
冷熱媒を昇温させる際に消費される熱量が増大するた
め、熱回収して得られた水蒸気の効率的な利用が妨げら
れることがあるので、液状冷熱媒の一部または全部は、
パイプライン8,パイプライン4aを介してポリアクリ
ル酸製造プロセスの冷却装置に供給することが望まし
い。したがって液状冷媒は図示する様に蒸発器2からパ
イプライン8を介してタンク3に返送しパイプライン4
aを介して、或いはタンク3に返送せずに直接、冷却装
置37供給してもよい。また適宜パイプラインを設けて
アクリル酸製造プロセスにおける各種熱交換器,冷却
器,凝縮器などの所望の装置で冷媒として利用してもよ
い。
【0030】液状冷熱媒は必要に応じて任意の箇所に設
けた温度調節装置(図示せず)に供給して温度を調整し
てから他の設備に供給してもよく、更に必要に応じて保
温材でパイプラインを包摂して温度変化を抑制したり、
送液ポンプや流量調節弁,圧力調節弁を適宜配設して供
給量を調節してもよい。液状冷熱媒を冷媒として熱交換
器や凝縮器などに供給する場合、該液状冷熱媒を所望の
一定温度で供給できる様に温度調節装置を介在させるな
どして温度調節することによって、冷却や凝縮など熱交
換の操作を安定して行なうことができるので望ましい。
【0031】蒸発器2でガス化されたガス化プロピレン
はパイプライン6を介して接触気相酸化装置である反応
器7に供給される。反応器7内ではガス化プロピレン
と、図示しないパイプラインを介して供給される分子状
酸素との気相接触酸化反応が行なわれる。分子状酸素と
しては例えば空気,酸素富化空気,純酸素を用いること
ができる。また接触気相酸化装置としては特に限定され
ないが、熱交換率の優れた多管式反応器を用いることが
推奨される。
【0032】反応器7の操業条件は限定されないが、例
えば反応器7にて二段接触気相酸化反応をおこなう場
合、前段触媒層では供給したガス化プロピレンからアク
ロレイン含有ガスを生成する。この際、例えば反応温度
250〜450℃,反応圧力0〜0.5MPaG,空間
速度300〜5000h-1(STP)とすることが優れ
た反応効率を得る観点から推奨される。そして前段触媒
層で生成したアクロレイン含有ガスを後段触媒層に導入
してアクリル酸含有ガスを生成する。尚、後段触媒層で
は反応温度を好ましくは100℃以上、より好ましくは
150℃以上とし、好ましくは380℃以下、より好ま
しくは300℃以下の範囲に設定し、反応圧力を0〜
0.5MPaG,空間速度300〜5000h-1(ST
P)とすることが優れた反応効率を得る観点から推奨さ
れる。反応器に充填する触媒としては、前段,後段共に
通常のアクリル酸製造に用いられている酸化触媒を使用
すればよい。勿論、アクリル酸含有ガスの生成方法とし
ては、二段階接触気相酸化反応に限られず、1段、或い
は複数段による公知のアクリル酸含有ガス生成方法を採
用することができる。
【0033】上記の様にガス化プロピレンを接触気相酸
化させると反応熱が生じる。例えば反応器7の管内に充
填された前段触媒層にガス化プロピレンを供給し接触気
相酸化により生じた反応熱を、胴側に硝酸カリウム50
質量%,亜硝酸ナトリウム50質量%などの高温熱媒を
所定の反応温度(例えば250〜450℃)で供給する
ことにより、管内の反応熱を除熱する。反応熱を回収し
た高温熱媒の一部を抜出し、熱回収装置(除熱ボイラ
ー)に供給することにより、水蒸気を発生させ、所定の
温度まで冷却する。冷却された高温熱媒を反応器胴側に
供給し、所定の反応温度に調節する。また後段触媒層も
同様に高温熱媒を所定の反応温度で供給することにより
反応熱除去が行なわれる。
【0034】熱回収装置は、前段、後段反応器それぞれ
に設置し、前段に高圧水蒸気、後段に中圧水蒸気を発生
させる場合もあるが、前段、後段反応器共通の熱回収装
置を設置させ、高圧水蒸気または中圧水蒸気を発生させ
る場合もある。
【0035】本発明で反応熱、或いは燃焼熱などの熱回
収装置としては特に限定されず、例えば丸ボイラー,自
然循環式水管ボイラー,強制循環ボイラー,貫流ボイラ
ーなど、公知の熱回収装置を用いることができる。反応
熱を回収して得られた水蒸気は1.0MPaG以上の高
圧蒸気であり、該高圧蒸気の全部または一部をパイプラ
インを介してポリアクリル酸製造プロセスの乾燥装置に
供給することが推奨される。
【0036】図示例の場合、前段触媒層から得られる反
応熱は後段触媒層から得られる反応熱よりも反応温度が
高温であるため、前段触媒層の該反応熱を回収して得ら
れる水蒸気の方が高圧蒸気であるため、パイプラインを
介してポリアクリル酸製造プロセスの乾燥装置に供給す
ることが望ましい。特に該前段触媒層の水蒸気が好まし
くは2.0MPaG以上、より好ましくは3.0MPaG
以上の高圧蒸気である場合、該乾燥装置における熱媒と
して好適であり、乾燥を効率的に行なうことができる。
【0037】尚、この様な高圧蒸気をアクリル酸製造プ
ロセスの蒸留精製装置における熱交換器や再加熱器など
に熱媒として供給すると、重合物を生じさせることがあ
り、好ましくない。勿論、該高圧蒸気を中圧、或いは低
圧まで減圧するなど所望の圧力に調節してからアクリル
酸製造プロセスにおける熱交換器や再加熱器などに熱媒
として利用することもできる。
【0038】また反応器7の後段触媒層で生じる反応熱
は前段触媒層と同様にボイラーなどの熱回収装置に導入
して飽和水蒸気を発生させて除熱を行なえばよい。この
際得られる蒸気の圧力は操作条件にもよるが1MPaG
超〜4MPaG程度の高圧蒸気である場合、効率的に吸
水性樹脂の乾燥を行なうには上記前段触媒層の水蒸気を
用いることが好ましいが、後段触媒層の高圧蒸気を熱媒
として吸水性樹脂の乾燥工程に供給してもよい。その
際、高圧蒸気には少なくとも1つの圧力調節器を設置す
ることが望ましい。即ち、熱回収装置の飽和水蒸気の発
生圧力を一定に保持できる様に圧力調節器を設置するこ
とが好ましく、また吸水性樹脂製造設備への供給パイプ
ラインにも圧力調節器を設置して供給圧力を一定にする
ことが望ましい。更に発生した高圧蒸気が吸水性樹脂製
造設備の高圧蒸気消費よりも過剰な場合、圧力調節器を
介してアクリル酸蒸留精製装置への供給パイプラインの
圧力が一定になるように供給することが好ましい。勿
論、高圧蒸気熱回収装置のブローダウン水を回収して中
圧,低圧蒸気を発生させ、アクリル酸蒸留精製装置や吸
水性樹脂製造設備に供給することも望ましい。通常、該
前段触媒層の該蒸気量で吸水性樹脂の乾燥などに必要な
熱量を賄うことができ、後段触媒層の高圧蒸気の使用は
特に必要ない。したがって後段触媒層の中圧蒸気を発生
させてアクリル酸製造プロセスで使用する熱媒として利
用することが望ましく、圧力調節器を介して中圧、或い
は低圧まで減圧して蒸留塔に付設されている加熱・保温
手段に使用し、過剰な蒸気はパイプラインの圧力が一定
となる様に圧力調節器を設置してパージすることが好ま
しい。
【0039】即ち、本発明では前記接触気相酸化時に生
じる反応熱を回収して得られる水蒸気の全部または一部
をポリアクリル酸の製造工程での加熱工程に利用され
る。適用される加熱工程としては重合工程,乾燥工程,
表面架橋工程など加熱を要する工程が例示されるが、特
に好ましくは乾燥工程での加熱に好適である。乾燥工程
では蒸気を用いて乾燥することによって、得られる吸水
性樹脂の残存モノマーの低減が図れる。
【0040】反応器7で生成した反応生成物であるアク
リル酸含有ガスはライン10を介してアクリル酸含有ガ
スからアクリル酸を溶剤で捕集する捕集装置である捕集
塔11に供給される。この際、捕集塔11に供給するア
クリル酸含有ガスの温度が高い場合には捕集塔内におい
て捕集したアクリル酸含有液が重合し易くなり、アクリ
ル酸の収率が低下することがあるために予め200℃以
下となるまで冷却することが推奨される。したがって反
応器7の反応生成物抜出し口、或いはライン10の任意
の位置に冷却装置および/または熱回収装置を付設する
ことが望ましく、特にボイラーなどの熱回収装置を付設
して該反応生成物を冷却すると共に、熱回収することが
好ましい。
【0041】例えば反応器7出口における反応生成物の
温度が150〜380℃である場合、該反応生成物をボ
イラーに供給して熱回収を行なえばよい。該熱回収して
得られる水蒸気が0.6MPaG以上1.0MPaG未
満の中圧蒸気である場合、最終の蒸留精製段階である精
留塔24以外の蒸留塔,リボイラー,加熱器,熱交換器
などの熱媒として好適に用いることができる。また水蒸
気が0.2MPaG以上0.6MPaG未満の低圧蒸気
である場合、精留塔24の熱媒,即ち該精留塔24に付
設するリボイラー,加熱器,熱交換器に熱媒として利用
しても重合物を生じる恐れがほとんどない。勿論、中圧
蒸気,高圧蒸気を減圧して熱媒として利用することもで
きる。
【0042】捕集塔11には捕集溶剤冷却器12からパ
イプライン13を介して捕集用の溶剤を供給し、アクリ
ル酸含有ガスと捕集溶剤との気液接触によりアクリル酸
含有溶液が生成し、該アクリル酸含有液はパイプライン
15を介して次工程に送給すると共に、捕集塔11内の
残存物はパイプライン14を介して廃ガスとして排出さ
れる。尚、該廃ガスは未捕集の反応ガスを含むものであ
り、図示しないパイプラインを介して反応器7に循環し
て接触気相酸化に供してもよく、或いは図示しない燃焼
処理工程に供給してもよく、廃ガスの処理方法は特に限
定されない。例えば該廃ガスを燃焼処理して得られる燃
焼ガスは高温であるため、該燃焼熱をボイラーなどの熱
回収装置に供給して該燃焼熱を水蒸気として回収しても
よい。この様に回収された水蒸気は蒸気圧に応じて熱交
換器などの熱媒として利用すればよい。
【0043】本発明において廃ガスや後記する廃液の燃
焼処理に用いる燃焼装置としては特に限定されないが、
気液燃焼、或いは液体燃焼の場合には縦型燃焼炉,横型
燃焼炉など公知燃焼装置が推奨され、燃焼方法について
も特に限定されない。例えば廃ガスの場合、触媒を用い
た気体燃焼方法や燃料を用いた気液燃焼方法を採用でき
る。
【0044】捕集塔11に供給する溶剤としては、水、
有機酸含有水などの低沸点溶剤(アクリル酸より低沸
点)、或いは高沸点(アクリル酸より高沸点)の不活性
疎水性有機溶媒(ジフェニルエーテル、ジフェニル等)
の従来公知の捕集溶剤を使用することができる。例えば
水を溶剤として用いる場合、捕集塔内で水とアクリル酸
含有ガスとを接触させると、該アクリル酸含有ガスに含
まれているアクリル酸が捕集されて、アクリル酸水溶液
(例えばアクリル酸50〜80質量%、残部が水及び不
純物)が得られる。
【0045】また例えばジフェニルエーテルとビフェニ
ルとの混合溶剤などの高沸点溶剤を用いてアクリル酸含
有ガスと接触させると、アクリル酸含有ガスの一部が高
沸点溶剤中に捕集されてアクリル酸溶液が得られる。
尚、捕集塔11の操業温度等については適宜決定すれば
よく、特に限定されないが、効率的な捕集を行うには塔
頂温度が40〜70℃の範囲となる様に制御することが
望ましい。
【0046】またアクリル酸を捕集する際、高い捕集率
を得るには溶剤の温度が低い方が好ましく、また安定し
て該捕集操作を継続するためには捕集塔に供給する溶剤
の温度が一定であることが望ましく、溶剤の温度は好ま
しくは0℃以上,より好ましくは5℃以上であって、好
ましくは35℃以下、より好ましくは30℃以下となる
様に制御することが望ましい。この際、熱交換器5aに
導入する冷媒としてパイプライン4aを介して液状冷熱
媒を利用することによって冷却コストを削減できる。ま
た液状冷熱媒を昇温させる場合には、ボイラーなどで回
収された低圧蒸気、或いは中圧蒸気を熱媒として熱交換
器5aに利用すると加熱コストを削減できるので望まし
い。
【0047】捕集塔11にて得られたアクリル酸溶液
(好ましくは水溶液)はパイプライン15を介して次工
程に供給される。尚、該アクリル酸溶液には、アクリル
酸以外にも未反応状態で残存するプロピレン等の生成
物,ホルムアルデヒド,アクロレイン,フルフラール,
ベンズアルデヒド,蟻酸,酢酸,マレイン酸,アクリル
酸ダイマーなどの副生物、更には重合防止剤などの添加
剤が含まれていることがある。
【0048】アクリル酸溶液はパイプライン15を介し
て共沸分離塔18に直接送液してもよいが、目的に応じ
て任意の工程を介在させてもよい。例えばアクリル酸溶
液中に残存するアクロレインを低減するために放散塔1
6を介在させてもよい。放散塔16にてアクロレインが
除去されたアクリル酸含有液はパイプライン17を介し
て精製分離塔(共沸分離塔)18に導入される。また放
散塔14で除去されたアクロレインはパイプライン14
aを介して系外へ廃ガスとして除去してもよく、或いは
捕集塔11を介してパイプライン14から除去してもよ
い。
【0049】尚、該廃ガスは任意の工程に付してもよ
く、或いは前記パイプライン14を介して排出される廃
ガス同様、図示しない燃焼処理工程に供給して燃焼し、
該燃焼熱を水蒸気として回収してアクリル酸製造プロセ
スで使用する熱媒として利用してもよい。
【0050】共沸蒸留塔18では任意の共沸溶剤(任意
の1種以上)を用いて共沸蒸留を行ない、アクリル酸水
溶液から水や共沸溶剤などの軽沸物の除去を行なう。本
発明では水と共沸する共沸溶剤を用いて脱水蒸留を行な
う例を説明するが、共沸分離塔18の運転条件は特に制
限はなく、公知のアクリル酸製造プロセスにおいて採用
され得る条件であればいずれも適用できる。また共沸蒸
留に代えて任意の蒸留方法を採用してアクリル酸水溶液
から目的の不純物を分離・除去してもよく、この際の蒸
留方法,蒸留条件,蒸留操作回数,蒸留装置の組合せな
どは目的に応じて適宜選択しもよい。
【0051】共沸溶剤としては公知の溶剤を用いればよ
く、特にアクリル酸とは共沸しない性質を有する共沸溶
剤を用いることが望ましい。また共沸溶剤が水に難溶性
であれば、共沸溶剤を回収,再利用する際に留出水相と
の分離が容易になるので推奨される。この様な共沸溶剤
としてはトルエン、キシレン、ヘキサン、へプタン、シ
クロヘキサン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチルな
どが例示される。また共沸溶剤は1種、或いは2種以上
の混合物として用いてもよく、十分な分離効果が得られ
る量を用いることが共沸蒸留効率向上の観点から望まし
い。
【0052】この共沸蒸留によって、アクリル酸よりも
低沸点を有する副生物,水などの軽沸物は、共沸溶剤と
共に塔頂から蒸留留去ガス(以下、留去ガスということ
がある。)として排出(パイプライン19)される。ま
たマレイン酸,アクリル酸ダイマーなどの高沸点不純
物,アクリル酸,重合防止剤は塔底から粗製アクリル酸
として抜き出され(パイプライン23)、次工程に供給
される。
【0053】留去ガスは図示する様にパイプライン19
を介して凝縮器26aにて凝縮,冷却された後、留出液
となりデカンターなどの共沸溶剤分離手段20に供給し
ている。共沸溶剤分離手段では、該留出液を油相(共沸
溶剤)と水相(捕集液)とに分離し、分離された共沸溶
剤は、パイプライン21を介し共沸分離塔18に再循環
しているが、図示しない他の工程に導入してもよく、特
に図示例に限定されない。また該水相は更に任意の処理
工程に供給してもよく、例えば該廃水を燃焼処理する場
合、上記の様に燃焼処理によって生じた燃焼熱はボイラ
ーなどの熱回収装置に導入して水蒸気として熱回収を行
ない、該水蒸気をアクリル酸製造プロセスにおける各種
装置の熱媒として利用することが好ましい。
【0054】凝縮器26aには冷媒として、タンク3か
らパイプライン4aを介して供給される液状冷熱媒を用
いることが好ましい。該液状冷熱媒を用いることによっ
て冷媒冷却コストを削減できる。また上記熱交換器5a
の場合と同様、安定した凝縮操作の維持、及び凝縮効率
向上の観点から凝縮器26に供給する液状冷熱媒が所望
の温度で一定となる様に適宜調整することが望ましい。
【0055】共沸蒸留によって得られる粗製アクリル酸
はパイプライン23を介して精留塔24などの蒸留精製
装置に導入される。尚、粗製アクリル酸に含まれる不純
物量を更に低減すべく、他の蒸留工程を介在させてもよ
い。例えばアクリル酸含有液を図示しない軽沸物分離塔
や高沸物分離塔など任意の蒸留精製塔に供給して不純物
低減を図ってもよい。即ち、通常のアクリル酸製造プロ
セスにおいて採用され得るアクリル酸の蒸留精製装置を
目的,条件等に応じて任意に組合せてもよいことを意味
する。そしてこれら蒸留塔において凝縮,冷却,加熱な
どの加熱操作や冷却操作が必要であれば、冷媒として温
度調節された液状冷熱媒を冷却器,凝縮器,熱交換器な
ど所望の装置に供給することが好ましく、また熱媒とし
て熱回収して得られた水蒸気を適宜温度,圧力調節して
加熱器,リボイラー,熱交換器など所望の装置に供給す
ることが好ましい。
【0056】本発明においてアクリル酸溶液とは、上記
の様にアクリル酸含有ガスを捕集塔で捕集した液体、ま
たはその捕集液を放散塔によりアクロレインを低減させ
た液体をいい、粗製アクリル酸とは、上記の様にアクリ
ル酸溶液を蒸留して得られたアクリル酸を主成分とする
液体をいう。粗製アクリル酸は例えば酢酸,ホルムアル
デヒド,アクロレイン,プロピオン酸,マレイン酸,ア
セトン,フルフラール,ベンズアルデヒドなどの副生成
物や不純物を含んでいるので、次にこの粗製アクリル酸
を精製(蒸留,晶析など)することによってこれらを除
去し、実質的にアルデヒドを含まないアクリル酸(アル
デヒドが0.001質量%以下、好ましくは0.000
5質量%以下)を高純度アクリル酸という。
【0057】図中、精留塔24では粗製アクリル酸から
高純度アクリル酸の精製を目的とする蒸留(精留)操作
が行なわれ、該蒸留によって高純度アクリル酸が得られ
る。図示例の場合、精留塔24に供給した粗製アクリル
酸に含まれるアクリル酸は蒸留操作によって蒸気とな
り、該蒸気は塔頂より留出した後、パイプライン25を
介して任意の凝縮器26に導入され、該凝縮器で凝縮さ
れて凝縮液となる。凝縮器26にて得られた凝縮液は、
パイプライン27を介して還流タンク28に貯蔵しても
よい。また還流タンク28内の凝縮液の一部は還流液と
して精留塔24に循環させてもよい。精留塔24には塔
頂留出物を凝縮、冷却させるための凝縮器26を併設す
ることになるが、該凝縮器にてアクリル酸蒸気と熱交換
する場合には、凝縮を安定して行なうためには凝縮器に
導入する冷媒が所望の温度で一定であることが好まし
い。凝縮器26にはライン4aを介して液状冷熱媒を供
給すればよく、該液状冷熱媒の温度を低下させる場合は
図示しない冷却器にて温度調節すればよく、また液状冷
熱媒の温度を上昇させる場合には図示熱交換器に導入す
ると共に、熱媒としてボイラーから得られる低圧蒸気、
或いは中圧蒸気を導入して温度調整を行なえばよい。
【0058】凝縮器26にて凝縮されて得られた凝縮液
は不純物をほとんど含まない、高純度のアクリル酸(精
製アクリル酸)である。高純度のアクリル酸の純度は精
留条件によっても異なるが、通常99.5質量%以上の
純度のアクリル酸が精製される。
【0059】還流タンク28内の凝縮液はパイプライン
30を介してポリアクリル酸製造プロセス(尚、図中3
3は吸水性樹脂製造プロセスである。)に原料として供
給されが、高純度アクリル酸はポリアクリル酸製造プロ
セスへの供給に先立って任意の工程に供給して、所望の
処理を施してもよい。
【0060】尚、粗製アクリル酸に含まれている高沸点
不純物や重合防止剤は該蒸留によりアクリル酸から分離
されて塔底に蓄積され、廃液としてパイプライン31を
介して除去される。この除去された廃液は任意の処理工
程に供給して所望の処理を施せばよい。例えばパイプラ
イン31を介して廃液を任意の燃焼処理工程に供給して
燃焼し、該燃焼によって生じた燃焼熱をボイラーなど熱
回収装置に導入して飽和水蒸気として熱回収し、所望の
装置に熱媒として供給することが好ましい。勿論、本発
明ではアクリル酸製造プロセスから排出される各種廃液
(廃水,廃油)や廃ガスを燃焼処理した場合に生じる廃
熱を任意の方法により熱回収を行ない、該回収した熱を
熱媒として利用することができる。
【0061】また本発明では図示した以外にも冷却器や
凝縮器などの熱交換作用を有する装置が用いることがで
き、本発明ではこれら図示しない冷却器や凝縮器に冷媒
として上記蒸発器2で回収される液状冷熱媒(潜熱)を
利用することが望ましい。
【0062】本発明では重合防止剤や不純物を含む塔底
液の一部はリボイラー32に循環させると共に、該塔底
液の他の一部はライン31を介して抜き出して本発明の
廃液処理工程に供給してもよく、或いは他の処理工程に
付してもよい。また精留塔24に限らず、共沸蒸留塔,
軽沸物分離塔,酢酸分離塔,高沸物分離塔,精留塔など
の各種蒸留塔を設けた場合においても、図示しないリボ
イラー,蒸留塔保温ジャケット,供給原料の予熱器,熱
交換器などの加熱・保温装置が付設されており、これら
蒸留塔に付設されている加熱・保温手段に利用する熱媒
としてアクリル酸製造プロセスにて熱回収して得られた
水蒸気を供給することが加熱コスト削減の観点から望ま
しい。
【0063】本発明では図示しないが各種蒸留工程に供
給するフィード液および/または蒸留塔には重合防止に
必要な量の重合防止剤を適宜添加することが望ましい。
重合防止剤の投入方法は限定されず、例えば塔内に導入
する粗製アクリル酸や還流液など塔内に導入される液体
に予め添加しておき、塔内に供給してもよく、或いは重
合防止剤(尚、重合防止剤は粉体、液体または気体など
いずれの状態であってもよい)を塔内に直接供給しても
よい。例えば重合防止剤として分子状酸素を塔内に供給
する場合、エアーバブリングなどを採用して塔底からに
直接供給してもよいし、また重合防止剤を他の溶媒に溶
解させて間接的に供給してもよい。
【0064】重合防止剤としては特に限定されず、アク
リル酸の重合防止効果を有するものであればよく、ハイ
ドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェ
ノチアジン、4−ヒドロキシー2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジン、ニトロソフェノール、ジメチルジチオ
カルバミン酸銅などの銅塩化合物、酢酸マンガンなどの
マンガン化合物などの重合防止剤が例示される。もちろ
ん重合防止剤は1種または数種を組合せた混合物を用い
てもよく、重合防止剤の組成等は目的に応じて適宜決定
すればよい。
【0065】アクリル酸溶液またはアクリル酸(好まし
くは高純度アクリル酸)の一部若しくは全部はパイプラ
イン30を介して吸水性樹脂(水を吸収してゲル化する
水不溶性の親水性樹脂)製造プロセス33に供給され
る。吸水性樹脂製造プロセスにおいては該アクリル酸を
中和工程34(任意の付加工程),重合工程35,乾燥
工程36,冷却工程37に順次導入して所望の処理を施
すことによって吸水性樹脂が製造される。勿論、各種物
性の改善を目的として所望の処理を施してもよく、例え
ば重合中,或いは重合後に架橋工程を介在させてもよ
い。
【0066】中和工程は任意の付加工程であるが、例え
ば所定量の塩基性物質の粉末や水溶液とアクリル酸や、
得られたポリアクリル酸(塩)とを混合する方法が例示
されるが、公知の方法を採用すればよく、特に限定され
ない。尚、中和工程は重合前(モノマーで中和)、また
は重合中、或いは重合後(ゲルで中和)のいずれで行な
ってもよく、また重合前後の両方で行なってもよい。
尚、図示例では中和後、重合を行なう工程を示すが、重
合後、中和を行なう場合、装置の構成も工程に併せて適
宜変更すればよい。また重合装置と中和装置は同一装置
であってもよく、異なる装置であってもよい。
【0067】アクリル酸の中和に用いられる塩基性物質
としては、例えば炭酸(水素)塩、アルカリ金属の水酸
化物、アンモニア、有機アミンなど公知の塩基性物質を
適宜用いればよい。またアクリル酸の中和率についても
特に限定されず、任意の中和率(例えば30〜100モ
ル%,好ましくは50〜80モル%の任意の値)となる
様に調整すればよい。尚、中和時の反応熱を除去する必
要がある場合は、任意の冷却手段、例えば任意の冷水塔
などの冷却装置に導入すればよいが、この際にライン4
aを介して供給される液状冷熱媒を冷媒として用いる
と、冷却コストを低減することができるので望ましい。
【0068】必要により、中和後、該アクリル酸塩溶液
を重合工程に導入するが、該工程での重合方法は特に限
定されず、ラジカル重合開始剤による重合,放射線重
合,電子線重合,光増感剤による紫外線重合など公知の
重合方法を用いればよい。尚、重合工程ではアクリル酸
を必要に応じて中和し、好ましくは10質量%以上、よ
り好ましくは20質量%以上であって、好ましくは80
質量%以下、より好ましくは70質量%以下の濃度のア
クリル酸(塩)水溶液として重合することが望ましい。
【0069】本発明においては重合開始剤,重合条件な
ど各種条件については任意に選択できる。勿論、必要に
応じて架橋剤や他の単量体、更には水溶性連鎖移動剤や
親水性高分子など公知の添加剤を添加してもよい。また
重合工程には任意の容器や装置を用いればよく、通常用
いられている重合装置であれば特に限定されない。
【0070】重合後のアクリル酸塩系ポリマー(以下、
「吸水性樹脂」と略記することがある)は通常、含水ゲ
ル状重合体であり、水分を除去するために更に乾燥工程
に付される。乾燥方法としては特に限定されず、熱風乾
燥機,流動層乾燥機,ドラムドライヤー,ナウター式乾
燥機など公知の乾燥装置を用いて、適宜所望の乾燥温度
(好ましくは70〜230℃)で乾燥させればよい。ま
た乾燥工程36に供給する熱媒としてはアクリル酸製造
プロセスで排出された蒸気、特に接触気相酸化装置に付
設した熱回収装置にて反応熱を回収して得られる高圧蒸
気を用いることが推奨される。
【0071】乾燥に際しては、ポリアクリル酸のヒドロ
ゲル(含水状重合体)を各種乾燥機を用いて加熱乾燥さ
せる。例えば乾燥はドラムドライヤーやパドルドライヤ
ーなどの伝導伝熱型乾燥機を用いて水蒸気で乾燥機の該
伝熱面を加熱させた伝熱面とヒドロゲルを接触させて乾
燥させてもよいが、残存モノマー低減や乾燥効率の面か
ら、ヒドロゲルが水蒸気と直接接触させる熱風伝熱乾燥
させることが望ましい。即ち、水蒸気を含有する気体
(好ましくは露点50℃以上、より好ましくは60℃以
上であって、好ましくは90℃以下、より好ましくは8
0℃以下)であって、且つ温度が好ましくは100℃以
上、より好ましくは150℃以上であって、好ましくは
200℃以下、より好ましくは180℃以下の熱風によ
って該ヒドロゲルを乾燥することによって、残存モノマ
ーの低減、吸水性樹脂の吸水倍率の向上が図れるので望
ましい。尚、乾燥時間は通常、1分〜3時間(好ましく
は5分〜1時間)程度で適宜選定すればよい。
【0072】乾燥工程を経て得られた吸水性樹脂は高温
のまま排出されるため、冷却工程37にて所望の温度
(例えば室温〜90℃、好ましくは40℃〜80℃)に
冷却することが望ましい。吸水性樹脂を冷却する方法と
しては限定されないが、例えば冷風を吹付けたり、或い
は任意の冷凍器などの冷却装置に導入すればよい。また
冷媒としてライン4aを介して供給される液状冷熱媒を
利用すると、冷却コストを低減できる。
【0073】所望の温度まで冷却して得られた吸水性樹
脂はそのままで使用してもよく、或いは更に所望の形状
に造粒・粉砕したり、還元剤,香料,バインダーなど各
種添加剤を更に添加するなど、用途に応じた利用に供す
ることができる。
【0074】また本発明では乾燥させたポリアクリル酸
を冷却することが好ましい。例えばヒドロゲルを約1〜
数mm程度に細分化して乾燥する場合、乾燥後のポリア
クリル酸は約1〜数mm程度の乾燥粒子であって、乾燥
方法にもよるが、通常は乾燥後の該乾燥粒子は凝集物で
ある。したがって該乾燥ポリアクリル酸を必要に応じて
粉砕、或いは更に分級してポリアクリル酸粉末(例えば
重量平均粒子径10〜1000μm、好ましくは100
〜800μm)とし、更に必要に応じて該粉末に各種改
質剤(例えば表面架橋剤の水溶液,造粒バインダー,消
臭剤など)を添加する場合、冷却工程を適用すること
で、粉砕効率が向上し、粒度分布がシャープになるのみ
ならず、各種改質剤等も該粉末に均一に添加できるの
で、吸水性樹脂の諸物性(例えば加圧下における吸収倍
率など)も粉末間のバラツキを抑制しつつ向上できる。
【0075】尚、乾燥工程36に供給した水蒸気は該水
蒸気の潜熱が加熱に利用された後、該工程から排出され
る。該排出された水蒸気は系外に排出してもよいが、該
蒸気は乾燥工程導入前と比べて温度,圧力共に低下して
いるものの、比較的高温,高圧状態である場合、任意に
圧力,温度調節を行なってアクリル酸製造プロセスに熱
源としてリサイクルしてもよい。特にドレンの一部を圧
力調整により水蒸気として発生させ、残存ドレンを回収
してボイラー給水に再利用することが望ましい。ドレン
回収装置で生成した水蒸気を蒸留精製装置に供給しても
よく、該蒸気の圧力,温度に応じてアクリル酸製造プロ
セスにおける熱源としてリサイクルしてもよい。
【0076】また本発明では上記の様にアクリル酸製造
プロセス及びポリアクリル酸製造プロセスにて生じた反
応熱を回収して得られた水蒸気の温度,圧力に応じて、
所望の装置に熱媒として利用することが好ましいが、必
要に応じて適宜減圧,降温させて所望の装置の熱媒とし
て利用してもよい。また減圧,降温手段としては特に限
定されず、任意の調節手段を用いればよく、更に不要な
水蒸気は適宜系外に排出し、系内の圧力バランスを保つ
ことが望ましい。
【0077】以上の様に一般的なアクリル酸の製造プロ
セス及びそれに続くポリアクリル酸の製造プロセスにつ
いて図1を例示しながら説明したが、以下、更に上記ア
クリル酸製造プロセスに引き続いて、ポリアクリル酸製
造プロセスを行なう際の製造設備について上記図1の製
造プロセスにおける蒸気のフローを示す概略図である図
2を参照にしならが説明する。
【0078】プロピレンおよび/またはプロパンを蒸発
装置でガス化して得られたガス化プロピレンおよび/ま
たはプロパンを接触気相酸化させる接触気相酸化装置で
ある反応器には熱回収装置、例えば装置内に供給した水
などの熱媒体に反応熱による熱を伝えて所要の蒸気を発
生させるボイラーなどが付設されている。本発明では2
段階接触気相酸化を行なう反応器を用いた例を示すが、
該反応器の前段触媒層41及び後段触媒層42には任意
の熱回収装置40a,40bが付設されており、該熱回
収装置にて夫々の触媒層で生じた反応熱を回収してい
る。本発明では前段触媒層の反応熱を回収して得られた
水蒸気は、熱回収装置40aの発生圧力が一定になる様
に圧力調節弁51で制御され、パイプライン50を介し
てアクリル酸(好ましくは精製アクリル酸)を中和する
中和装置,該中和物を重合する重合装置,該重合物を乾
燥する乾燥装置,該乾燥されたポリアクリル酸を冷却す
る冷却装置を有するポリアクリル酸製造設備の所望の装
置に熱媒として供給している。ポリアクリル酸製造プロ
セスが吸水性樹脂製造プロセスの場合、精製アクリル酸
を中和,重合して得られる重合物を乾燥させる乾燥装置
に該水蒸気を供給することが望ましい。乾燥装置では供
給された該水蒸気を熱媒とし、熱交換によって空気など
の気体を所望の温度まで昇温させ、該高温気体を重合物
に吹付けて該重合物から水分を除去して乾燥させてもよ
い。
【0079】本発明では前段触媒層の水蒸気の一部はパ
イプライン50gを介して乾燥装置52に供給すると共
に、該水蒸気の他の一部はパイプライン50fを介して
アクリル酸製造プロセスの所望の装置に供給している。
またパイプライン50fの任意の位置に減圧手段51を
設け、所望の圧力まで水蒸気を減圧することが望まし
い。また前段触媒層の水蒸気供給量が過剰である場合、
残部水蒸気を任意のパイプラインの位置から系外に排出
してもよい。
【0080】尚、図示例では前段触媒層の水蒸気のみを
ポリアクリル酸製造プロセスに供給し、後段触媒層の水
蒸気はパイプライン50a,50hを介してアクリル酸
製造プロセスの任意の装置に供給しているが、後段触媒
層の水蒸気をポリアクリル酸製造プロセスに供給しても
よく、特に前段触媒層,後段触媒層を問わず、水蒸気が
1.0MPaG以上の高圧蒸気である場合、水蒸気の回
収量やポリアクリル酸製造プロセスにて要求される熱量
などに応じて適宜供給してもよい。
【0081】また反応器7に該反応器にて生成した反応
生成物を冷却する熱回収装置40cを付設した場合、該
反応生成物の有する熱を回収して得られる水蒸気も熱媒
として所望の装置で利用することが望ましい。尚、該反
応生成物から回収して得られる水蒸気が中圧蒸気(0.
6MPaG以上、1.0MPaG未満)である場合、該
水蒸気の一部または全部を図示する様にライン50bを
介して減圧せずに、或いは所望の圧力まで減圧した後に
蒸留精製装置46に付設されているリボイラーなどの缶
液を過熱蒸発させる加熱器,供給液を予熱する熱交換器
や、凝縮器などに供給する冷媒の温度を調節するための
熱交換器など任意の加熱器,熱交換器の熱媒として供給
してもよい。
【0082】更に反応生成物を溶剤で捕集する捕集装置
から排出される廃ガスなどアクリル酸製造プロセスから
排出される廃ガスを燃焼処理44した場合に発生する燃
焼熱を熱回収装置40dで熱回収して得られる水蒸気
や、アクリル酸溶液からアクリル酸を精製する蒸留精製
装置から排出される廃液などアクリル酸製造プロセスか
ら排出される廃液を燃焼処理45した場合に発生する燃
焼熱を熱回収装置40eで熱回収して得られる水蒸気を
熱媒として所望の装置で利用することができる。またこ
れら水蒸気が中圧蒸気である場合、上記の様に所望の装
置の熱媒として供給すればよい。
【0083】尚、アクリル酸を精製する蒸留精製装置の
うち、特に高純度の精製アクリル酸を製造する最終の製
品化塔47など特に重合物が生じ易い装置の場合、該装
置に付設する加熱器や熱交換器に中圧蒸気を熱媒として
利用すると重合物を生じさせることがあるので、低圧蒸
気(0.2MPaG以上、0.6MPaG未満)を供給
することが望ましく、供給する水蒸気を所望の圧力に調
節して供給することが好ましい。
【0084】また乾燥装置52にはドレン回収装置40
fを付設し、該乾燥機52から排出される水蒸気のドレ
ンを回収して中圧、または低圧水蒸気ボイラー給水に利
用することが望ましい。この様に乾燥装置52に供給し
た水蒸気をドレン回収して再利用することによって、ボ
イラーの燃料消費量低減,ボイラー用水の節減,燃焼量
減少によるNOx発生量低減という効果が得られる。ま
た該ドレン回収装置40fで生成した中圧蒸気或いは低
圧水蒸気を蒸留精製装置47などアクリル酸製造設備に
おける熱媒として利用することによって蒸気再利用によ
る熱コストを節減できる。したがって該ドレン回収装置
40fから蒸留精製装置に水蒸気を供給するパイプライ
ン50Jを備えることが望ましい。
【0085】尚、パイプラインを断熱材で包摂するなど
して水蒸気の移送中に温度低下が生じないようにするこ
とが望ましい。また図示した以外にも水蒸気供給先に応
じて適宜パイプラインの配管を変更すると共に、圧力調
節弁などを設けて供給量や圧力の調節を行なうことも好
ましい実施態様である。
【0086】以下、本発明を実施例を用いて更に説明す
るが、本発明を以下の実施例に限定する趣旨ではない。
【0087】
【実施例】アクリル酸を製造すると共に、該アクリル酸
を用いた吸水性樹脂を製造した。液状熱媒体供給タンク
から液状熱媒温度調節器(蒸気によるヒータ)で温度1
2℃に調整した冷水(エチレングリコール30質量%水
溶液)をプロピレン蒸発器へ流量26m3/hで供給
し、液化プロピレンを蒸発させることにより、温度2.
4℃の冷水が得られた。該冷水全量を液状熱媒供給タン
クにリサイクルした。その液状熱媒供給タンクの冷水を
アクリル酸精製設備の蒸留塔に付属する凝縮器と冷却器
に38m3/h、吸水性樹脂製造設備の中和,重合,乾
燥の冷却に38m3/h使用し、安定運転後、夫々13
℃、15℃になった。液状熱媒供給タンクの冷水温度は
11℃であり、12℃に調整するのに0.2MPaGの
蒸気50kg/hを消費した。
【0088】蒸発させたプロピレンを空気で接触触媒気
相酸化し、前段触媒で反応温度320℃にて主としてプ
ロピレンからアクロレイン、後段触媒で反応温度270
℃にて主としてアクリル酸を得る際、前段用熱媒除熱ボ
イラーで4.0MPaG蒸気7.5metricT/h
(以下、「T/h」と略記する)、後段用熱媒除熱ボイ
ラーで2.0MPaG蒸気7.0T/h、を発生させ、
反応熱を除去した。
【0089】生成した反応ガスは、廃熱ボイラーで0.
6MPaGの蒸気0.8T/h発生で冷却し、水を用い
て吸収塔でアクリル酸を捕集し、アクリル酸水溶液を得
た。吸収塔塔頂から出たガスの一部は反応器にリサイク
ルし、残りのガスは廃ガス触媒燃焼装置で処理した。廃
ガスを燃焼させる際の燃焼熱を、廃熱ボイラーで0.6
MPaGの蒸気2.2T/hを発生し、熱回収した。
【0090】発生した蒸気は以下のプロセスで使用し、
4.0MPaGから順次2MPaG,0.6MPaG,
0.2MPaGとそれぞれ圧力調節弁を介して配管がつ
ながっており、高い蒸気圧力で蒸気が過剰になれば低い
蒸気圧力に蒸気が流れていく。0.2MPaGでも蒸気
が過剰になる際は、そこから圧力調節弁で大気にパージ
される。
【0091】アクリル酸水溶液から蒸留で精製すること
により、吸水性樹脂用の精製アクリル酸を得た。その際
に再沸騰器、加熱器で必要な0.6MPaG蒸気9.0
T/hは、上記の4MPaGの残り、2MPaG、0.
6MPaGを用いる。また同様に再沸騰器、加熱器で必
要な0.2MPaG蒸気2.3T/hは、上記及び下記
の2MPaG及び0.6MPaGの残り、0.2MPa
Gを用いた。
【0092】精製アクリル酸から中和、重合、乾燥等に
より吸水性樹脂を製造する際に、主として中和重合後の
熱風乾燥の空気を昇温するのにアクリル酸前段反応で発
生した4.0MPaG蒸気のうち、7.4T/hが消費
され、凝縮蒸気はフラッシュカラムで0.2MPaG蒸
気1.5T/hが発生回収され、アクリル酸の精製に用
いられた。したがって冷水については、吸水性樹脂製造
がない場合、38m3/h冷水の11℃から15℃に昇
温するに必要な蒸気270kg/hが必要になるととも
に、吸水性樹脂製造に必要な冷凍機の電力を削減でき
る。
【0093】また蒸気についても、吸水性樹脂製造にア
クリル酸製造設備で発生した蒸気を使用することによ
り、0.2MPaG圧力調節弁から0.25T/hの蒸
気パージで済む。吸水性樹脂製造設備がない場合は、
5.9T/hの蒸気がパージされる。
【0094】
【発明の効果】アクリル酸製造設備から発生する蒸気の
圧力を複数持つことにより、アクリル酸製造設備ばかり
でなく、吸水性樹脂製造設備にも使用することで蒸気の
ロスをなくすことができる。また潜熱についても同様に
アクリル酸製造設備だけでは冷水温度が低くなりすぎ昇
温する必要があり、それを吸水性樹脂製造プロセスに用
いることで昇温もほとんどする必要なく、冷凍機に必要
な電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のアクリル酸製造プロセス及び潜熱利
用フローの一例を示す概略説明図である。
【図2】 本発明の蒸気利用フローの一例を示す概略説
明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石▲崎▼ 邦彦 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 Fターム(参考) 4D076 AA16 AA22 BB03 DA25 DA34 EA14Z FA02 FA04 FA12 FA13 FA31 JA03 JA04 4J011 AA01 DB23

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレンおよび/またはプロパンを接
    触気相酸化させて生成する反応生成物を溶剤で捕集し、
    得られるアクリル酸溶液からアクリル酸を精製するアク
    リル酸製造プロセスに引き続いて、アクリル酸溶液また
    はアクリル酸からポリアクリル酸を製造するに当り、該
    アクリル酸製造プロセスで回収した熱をポリアクリル酸
    製造プロセスに供給することを特徴とするポリアクリル
    酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記接触気相酸化時に生じる反応熱を回
    収して得られる水蒸気の全部または一部をポリアクリル
    酸製造プロセスに供給する請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記水蒸気が1.0MPaG以上の高圧
    蒸気である請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記ポリアクリル酸製造プロセスに供給
    した水蒸気をドレン回収して1.0MPaG未満の蒸気
    を生成し、前記アクリル酸蒸留精製の熱媒として用いる
    請求項2または3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 プロピレンおよび/またはプロパンを蒸
    発器に液状熱媒を供給して潜熱回収により、冷熱媒を調
    整し、その冷熱媒をポリアクリル酸製造プロセスに供給
    する請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 プロピレンおよび/またはプロパンをガ
    ス化する蒸発装置、該ガス化プロピレンおよび/または
    プロパンを接触気相酸化させる接触気相酸化装置,該接
    触によって生成した反応生成物を溶剤で捕集する捕集装
    置,該捕集によって生成したアクリル酸溶液からアクリ
    ル酸を精製する蒸留精製装置,該アクリル酸溶液または
    該アクリル酸を重合前または重合中或いは重合後に中和
    する中和装置,重合装置,該重合物を乾燥する乾燥装置
    を有するポリアクリル酸製造設備において、該アクリル
    酸製造設備に熱回収装置で得られた熱媒を供給するパイ
    プラインを備えたポリアクリル酸製造設備。
  7. 【請求項7】 前記接触気相酸化装置に熱回収装置が付
    設され、該熱回収装置で得られた熱媒を前記乾燥工程に
    供給するパイプラインに少なくとも1つの圧力調整器を
    備えている請求項6に記載の設備。
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