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JP2003255105A - 透明反射防止膜、光学フィルター、および画像表示装置 - Google Patents

透明反射防止膜、光学フィルター、および画像表示装置

Info

Publication number
JP2003255105A
JP2003255105A JP2002058890A JP2002058890A JP2003255105A JP 2003255105 A JP2003255105 A JP 2003255105A JP 2002058890 A JP2002058890 A JP 2002058890A JP 2002058890 A JP2002058890 A JP 2002058890A JP 2003255105 A JP2003255105 A JP 2003255105A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
optical filter
thin film
antireflection film
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002058890A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsumi Inoue
克巳 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2002058890A priority Critical patent/JP2003255105A/ja
Publication of JP2003255105A publication Critical patent/JP2003255105A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Liquid Crystal (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】1つの光学フィルムで画像表示装置のコントラ
ストを効果的に改善することを可能とする透明反射防止
膜、コントラストが効果的に改善され、かつ赤外光強度
の低減、色純度の改善、電磁線の遮蔽機能も併せ持つ多
機能の光学フィルター、およびこの光学フィルターを備
えた画像表示装置を提供する。 【解決手段】透明支持体上に金属薄膜層および金属酸化
物薄膜層が積層され、金属薄膜層の膜厚が1〜8nmで
あり、かつ金属酸化物薄膜層の層厚が50〜120nm
である透明反射防止膜、この反射防止膜から構成され、
所望により可視光吸収層、赤外線吸収層、電磁波遮断層
を有する光学フィルター、およびこの光学フィルターを
備えた画像表示装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反射防止膜、光学
フィルター、およびこれらを備えた画像表示装置に関す
る。詳細には、本発明は、プラズマディスプレイパネル
(PDP)、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミ
ネッセンスディスプレイ(ELD)、蛍光表示管、電界
放射型ディスプレイなどの画像表示装置に、外光の映り
込み防止のために用いられる光学フィルター、該光学フ
ィルターに用いられる反射防止膜、および該光学フィル
ターを用いた表示装置に関し、特にはプラズマディスプ
レイパネル(PDP)に不要発光の遮断、色純度の向
上、赤外線の遮断、電磁線遮蔽、透過光量の調整、反射
防止のために取り付けられる光学フィルターおよび該光
学フィルターが取り付けられたプラズマディスプレイパ
ネルに関する。
【0002】
【従来の技術】プラズマディスプレイパネル(PD
P)、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセ
ンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CR
T)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイなどの画像
表示装置は、もともと画面がフラットであったり、フラ
ットパネル化が進んだりしている。フラットパネル化す
ることにより画面端部の歪みは低減するが画面表面での
外光の映りこみは依然として問題であり、大画面化でさ
らに問題が拡大している。また、PDPやCRTでは、
ディスプレイ内に入射した外光がディスプレイ内の蛍光
体などで反射してコントラストを低下させることも避け
られない問題である。
【0003】また、これら表示装置は、赤、青、緑の三
原色の光の組み合わせでカラー画像を表示する。しか
し、表示のための光を理想的な三原色にすることは、非
常に難しく、実質的には不可能である。例えば、PDP
では、三原色蛍光体からの発光に余分な光(波長が50
0乃至620nmの範囲)が含まれていることが知られ
ている。そこで、外光の移りこみの改善としては、従
来、屈折率の異なる透明膜を真空成膜法や塗布法で積層
したものが用いられている。さらに、ディスプレイ内で
の外光の反射の対策としては、可視光領域で均一な吸収
を有するNDフィルターを併用し、入射光はNDフィル
ターを2回通ることで、効果的に削減している。また、
表示色の色バランス補正などの余分な発光の遮断に関し
ては、特定の波長の光を吸収するフィルターを用いて、
色補正を行うことが提案されている。フィルターによる
色補正については、特開昭58−153904号、同6
1−188501号、特開平3−231988号、同5
−205643号、同9−145918号、同9−30
6366号、同10−26704号の各公報に記載があ
る。しかしながら、赤外線光強度の低減、色純度の向
上、電磁線の遮断、透過光量の調整、反射防止の全ての
機能を同時に充分に満足する光学フィルターは無かっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、1つ
の光学フィルムで画像表示装置のコントラストを効果的
に改善することを可能とする透明反射防止膜を提供する
ことにある。本発明の他の目的は、コントラストが効果
的に改善され、かつ画像表示装置から放出される赤外光
強度の低減、色純度の改善、画像表示装置から放出され
る電磁線の遮蔽機能も併せ持つ多機能の光学フィルター
を提供することにある。本発明のさらなる他の目的は、
上記光学フィルターを備えた画像表示装置を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記構
成の透明反射防止フィルム、光学フィルターおよび画像
表示装置が提供されて、本発明の上記目的が達成され
る。 1.透明支持体上に該透明支持体に近い側から金属薄膜
層(1)および金属酸化物薄膜層が積層された透明反射
防止膜であって、金属薄膜層(1)の層厚が1〜8nm
であり、かつ金属酸化物薄膜層の層厚が50〜120n
mであることを特徴とする透明反射防止膜。 2.下記層構成(i)〜(iii)のいずれかの層構成を
有することを特徴とする上記1に記載の透明反射防止
膜。 (i)金属薄膜層(1)と金属酸化物薄膜層の中間層と
して金属薄膜層(1)より屈折率の高い金属薄膜層
(2)が積層されている層構成。 (ii)金属薄膜層(1)の下地層として金属薄膜層
(1)より屈折率の高い金属薄膜層(3)が積層されて
いる層構成。 (iii)金属薄膜層(1)と金属酸化物薄膜層の中間層
として金属薄膜層(1)より屈折率の高い金属薄膜層
(2)と、金属薄膜層(1)の下地層として金属薄膜層
(1)より屈折率の高い金属薄膜層(3)とが積層され
ている層構成。 3.金属薄膜層(1)〜(3)および金属酸化物薄膜層
が真空成膜法で形成されたことを特徴とする上記1また
は2に記載の透明反射防止膜。 4.金属薄膜層(1)が銀を90%以上含有する合金か
らなり、金属酸化物薄膜が二酸化ケイ素からなることを
特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の透明反射防止
膜。 5.金属薄膜層(2)および(3)がシリコンまたはチ
タンからなり、これらの層の層厚が0.5〜3nmであ
ることを特徴とする上記2〜4のいずれかに記載の透明
反射防止膜。 6.透明支持体がハードコート層を有する透明フィルム
からなり、ハードコート層の層厚が該透明支持体の0.
05〜30%であることを特徴とする上記1〜5のいず
れかに記載の透明反射防止膜。 7.上記1〜6に記載の透明反射防止膜を用いたことを
特徴とする画像表示装置。 8.画像表示装置がプラズマディスプレイであることを
特徴とする上記7に記載の表示装置。 9.上記1〜6のいずれかに記載の透明反射防止膜と、
色素を含有する可視光吸収層および赤外線吸収層の少な
くともいずれかの層とを含むことを特徴とする光学フィ
ルター。 10.可視光吸収層に含有される可視光吸収色素が、シ
アニン色素であることを特徴とする上記9に記載の光学
フィルター。 11.可視光吸収層が、560nm〜620nmの波長
領域に吸収極大を有することを特徴とする上記9または
10に記載の光学フィルター。 12.可視光吸収層の光吸収バンドの半値幅が、50n
m以下であることを特徴とする上記9〜11に記載の光
学フィルター。 13.赤外線吸収層に含有される赤外線吸収色素が、7
50〜850nm、851〜950nmおよび951〜
1100nmの範囲にそれぞれ吸収極大を有しているこ
とを特徴とする上記9〜12のいずれかに記載の光学フ
ィルター。 14.電磁波遮蔽層を含むことを特徴とする上記9〜1
3のいずれかに記載の光学フィルター。 15.上記9〜14のいずれかに記載の光学フィルター
がプラズマディスプレイパネル本体の前面に貼りつけら
れていることを特徴とするプラズマディスプレイパネ
ル。 16.上記9〜14のいずれかに記載の光学フィルター
がプラズマディスプレイパネル本体の前面に設置した前
面板に用いられていることを特徴とするプラズマディス
プレイパネル。
【0006】
【発明の実施の形態】下記に本発明の実施の形態につき
記述する。図1および図2には、本発明の光学フィルタ
ーの層構造の一例が模式的な概略断面図として示されて
いるが、無論これらに限定されるものではない。図1に
示される光学フィルターは、分割されて、透明支持体
(PETフィルム)、ハードコート層、透明反射防止膜
などの積層体部分がPDPの前面板ガラス上方に貼り付
けられ、透明支持体(PETフィルム)、電磁線遮蔽層
の積層体部分および透明支持体(PETフィルム)、赤
外線吸収層、可視光吸収層などの積層体部分が前面板ガ
ラスの下方に貼り付けられている様子を示している。図
2に示される光学フィルターは、透明支持体(PETフ
ィルム)、ハードコート、透明反射防止膜などの積層体
部分と、透明支持体(PETフィルム)、電磁線遮蔽層
の積層体部分および透明支持体(PETフィルム)、赤
外線吸収層、可視光吸収層などの積層体がディスプレイ
本体上に粘着層を介して貼り付けられている様子を示し
ている。上記透明反射防止膜は、ディスプレイ表面への
外光の映り込みを防止する。可視光吸収層は、プラズマ
ディスプレイで三原色蛍光体からの発光赤、青、緑の三
原色の組み合わせでカラー画像を表示するときに、不可
避的に発生する余分な光(波長が500から620nm
の範囲)を選択的に吸収・遮断し、色純度を向上させ
る。赤外線吸収層は、電子ディスプレイの表示面から放
射されている赤外光を遮断する。電磁線遮蔽層は電子デ
ィスプレイの表面から放射される電磁線を遮断する。
【0007】以下に本発明の透明反射防止膜、光学フィ
ルターなどの詳細を述べる。 <透明反射防止膜>本発明の透明反射防止膜は、金属薄
膜層(1)と金属酸化物薄膜層を有する。金属薄膜
(1)の金属としては、金、銀、銅、白金、ロジウム、
イリジウム、およびパラジウムから選ばれる1種の金属
もしくは2種以上金属の合金が好ましい。特に、銀また
はパラジウムと銀との合金が特に好ましく、該合金中の
銀の含有率は90質量%以上であることが好ましい。金
属酸化物薄膜層の金属酸化物としては、二酸化ケイ素ま
たはフッ化マグネシウムが好ましく、さらに好ましくは
二酸化ケイ素である。透明反射防止膜は、下記層構成
(i)〜(iii)のいずれかの層構成を有することがで
きる。 (i)金属薄膜層(1)と金属酸化物薄膜層の中間層と
して金属薄膜層(1)より屈折率の高い金属薄膜層
(2)が積層されている層構成。 (ii)金属薄膜層(1)の下地層として金属薄膜層
(1)より屈折率の高い金属薄膜層(3)が積層されて
いる層構成。 (iii)金属薄膜層(1)と金属酸化物薄膜層の中間層
として金属薄膜層(1)より屈折率の高い金属薄膜層
(2)と、金属薄膜層(1)の下地層として金属薄膜層
(1)より屈折率の高い金属薄膜層(3)とが積層され
ている層構成。 上記中間層および下地層としての金属薄膜層(2)およ
び(3)の金属としては、シリコン、チタン、スズ、亜
鉛が好ましく、さらに好ましくはシリコン、チタンであ
る。
【0008】本発明においては、反射防止効果を得るた
めには、金属薄膜層(1)および金属酸化物薄膜層を特
定の層厚に制御することが重要であり、一般的には金属
薄膜層(1)の層厚は1〜8nmの範囲に、金属酸化物
薄膜層の層厚は50〜120nmの範囲に制御する。例
えば、金属薄膜層(1)として銀、金属酸化物薄膜層と
して二酸化ケイ素を用いる場合は、銀の層厚が1〜8n
mの範囲でないと良好な反射防止特性は得られず、二酸
化ケイ素の層厚が50〜120nmの範囲でないと可視
光の反射率の低減が十分でない。また、金属薄膜層
(1)の安定化のために設ける基板と金属薄膜層(1)
の間の下地層としての金属薄膜層(3)および金属薄膜
層(1)と金属酸化物層の間の中間層としての金属薄膜
層(2)としては、反射防止性能を劣化させないために
金属薄膜層(1)より屈折率の高い金属層であることが
好ましく、該金属層にはシリコン、チタンなどを用いる
ことが特に好ましい。銀およびシリコン、チタンの薄膜
の屈折率は「American Instisute
of Physics Handbook」によると、
それぞれ0.055(550nm)、4.4(550n
m)、2.53(546nm)である。シリコン、チタ
ンを用いる場合は、反射防止機能上では層厚は0.5〜
3.0nmが好ましく、更に好ましくは1.0〜3.0
nmである。
【0009】金属薄膜層、金属酸化物薄膜層は、スパッ
タリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プ
ラズマCVD法、プラズマPVD法あるいは金属または
金属酸化物の超微粒子塗布により形成することができ
る。好ましくはスパッタリング法、真空蒸着法、イオン
プレーティング法であり、特に好ましくはスパッタリン
グ法である。
【0010】金属薄膜層をスパッタリング法により成膜
する方法としては、金属ターゲットを用いたDCマグネ
トロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリ
ング法などが利用できる金属酸化物薄膜層をスパッタリ
ング法により成膜する方法としては、金属ターゲットを
用い、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネ
トロンスパッタリング法、ACマグネトロンスパッタリ
ング法で成膜する方法や、金属酸化物ターゲットを用い
てRFマグネトロンスパッタリング法を用いる方法など
がありるが、成膜速度および放電の安定性の点から考え
ると、ACマグネトロンスパッタを用い、プラズマエミ
ッションモニター法で酸素の流量を制御して成膜するこ
とが好ましい。スパッタリングなどの際には、基板を冷
却することが好ましい。好ましくは−30℃〜30℃で
あり、さらに好ましくは−30℃〜20℃であり、特に
好ましくは−30℃〜10℃である。
【0011】透明反射防止膜の表面抵抗は帯電防止性能
の観点から考えると10×1012Ω/□以下であること
が好ましい。また、この金属薄膜層と金属酸化物薄膜層
を積層した透明反射防止膜の表面にはフッ素系の樹脂を
コーティングして防汚性を付与することも可能である。
【0012】<赤外線吸収層>本発明の光学フィルター
は、好ましくは750〜850nm、851nm〜95
0nmおよび951〜1100nmに、さらに好ましく
は、790〜845nm、860〜945nmおよび9
60〜1050nmに、最も好ましくは、800〜84
0nm、870〜940nmおよび970〜1030n
mにおいて、それぞれ平均透過率が25%以下であり、
より好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは1
5%以下であり、特に好ましくは10%以下である。中
でも好ましくはそれぞれの波長域で光吸収の極大を有し
ていることである。本発明の光学フィルターに上記の吸
収スペクトルを付与するために、染料や顔料等の色素を
用いて、上記赤外線吸収層を形成することが好ましい。
【0013】上記波長が750〜1100nmの範囲に
吸収極大を示す染料の吸収スペクトルは、蛍光体の輝度
を下げることのないよう、可視域(400〜700n
m)の副吸収が少ないほうが好ましい。好ましい吸収波
形を得るために、会合状態にある染料を用いることが特
に好ましい。会合状態の染料は、いわゆるJバンドを形
成するため、シャープな吸収スペクトルピークを示す。
染料の会合とJバンドについては、文献(例えば、Phot
ographic Science and Engineering Vol 18,No 323-335
(1974))に詳細がある。J会合状態の染料の吸収極大
は、溶液状態の染料の吸収極大よりも長波側に移動す
る。従って、フィルター層に含まれる染料が会合状態で
あるか、非会合状態であるかは、吸収極大を測定するこ
とで容易に判断できる。本明細書では、溶液状態の染料
の吸収極大より30nm以上長波長側に移動している状
態を会合状態と称する。会合状態の染料では、吸収極大
の移動が30nm以上であることが好ましく、40nm
以上であることがさらに好ましく、45nm以上である
ことが最も好ましい。
【0014】染料には、水に溶解するだけで会合体が形
成する化合物もある。但し、一般には、染料の水溶液に
ゼラチンまたは塩(例、塩化バリウム、塩化カリウム、
塩化ナトリウム、塩化カルシウム)を添加して会合体を
形成する。染料の水溶液にゼラチンを添加する方法が特
に好ましい。染料の会合体は、染料の固体微粒子分散物
として形成することもできる。固体微粒子分散物にする
ためには、公知の分散機を用いることが出来る。分散機
の例には、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミ
ル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル及びロー
ラミルが含まれる。分散機については、特開昭52ー9
2716号及び国際公開WO88/074794号に記
載がある。縦型又は横型の媒体分散機が好ましい。
【0015】分散は、適当な媒体(例、水、アルコー
ル)の存在下で実施してもよい。この場合、分散用界面
活性剤を用いることが好ましい。分散用界面活性剤とし
ては、アニオン界面活性剤(上記特開昭52−9271
6号及び国際公開WO88/074794号に記載)が
好ましく用いられる。必要に応じてアニオン性ポリマ
ー、ノニオン性界面活性剤あるいはカチオン性界面活性
剤を用いてもよい。染料を適当な溶媒中に溶解した後、
その貧溶媒を添加して、微粒子状の粉末を得てもよい。
この場合も、上記の分散用界面活性剤を用いてもよい。
あるいはpHを調整することによって溶解し、次にpH
を変化させて染料の微結晶を析出させてもよい。この微
結晶も染料の会合体である。会合状態の染料が微粒子
(または微結晶)である場合、平均粒径は0.01〜1
0μmであることが好ましい。会合状態で使用する染料
は、メチン染料(例えば、シアニン、メロシアニン、オ
キソノール、スチリル)であることが好ましく、シアニ
ン染料またはオキソノール染料であることが最も好まし
い。
【0016】シアニン染料は、下記式で定義される。 Bs=Lo−Bo 式中、Bsは、塩基性核であり、Boは、塩基性核のオ
ニウム体であり、Loは、奇数個のメチンからなるメチ
ン鎖である。さらに、下記式(1)で表されるシアニン
染料は、(特に会合状態で)好ましく用いることができ
る。 式(1)
【0017】
【化1】
【0018】式(1)において、Z1及びZ2は、それぞ
れ独立に、5員又は6員の含窒素複素環を形成する非金
属原子群である。含窒素複素環には、他の複素環、芳香
族環または脂肪族環が縮合してもよい。上記含窒素複素
環およびその縮合環の例には、オキサゾール環、イソオ
キサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾ
ール環、オキサゾロカルバゾール環、オキサゾロジベン
ゾフラン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフ
トチアゾール環、インドレニン環、ベンゾインドレニン
環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイ
ミダゾール環、キノリン環、ピリジン環、ピロロピリジ
ン環、フロピロール環、インドリジン環、イミダゾキノ
キサリン環およびキノキサリン環等が含まれる。含窒素
複素環は、6員環より5員環の方が好ましい。5員の含
窒素複素環にベンゼン環又はナフタレン環縮合している
のがさらに好ましい。なかでも、ベンゾチアゾール環、
ナフトチアゾール環、インドレニン環およびベンゾイン
ドレニン環が特に好ましい。
【0019】含窒素複素環およびそれに縮合している環
は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロ
ゲン原子、シアノ、ニトロ、脂肪族基、芳香族基、複素
環基、−OR10、−COR11、−COOR12、−OCO
13、−NR1415、−NHCOR16、−CONR17
18、NHCONR1920、NHCOOR21、−SR22
−SO223、−SO2OR24、−NHSO225または
−SO2NR2627である。R10〜R27は、それぞれ独
立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基で
ある。なお、−COOR12のR12が水素の場合、すなわ
ちカルボキシルの場合、および−SO2OR24のR24
水素原子の場合、すわちスルホの場合は、水素原子が解
離していても、塩の状態であってもよい。
【0020】本明細書において、肪族族基は、アルキル
基、アルケニル基、アルキニル基またはアラルキル基を
表す。これらの基は置換基を有していてもよい。アルキ
ル基は、環状であっても鎖状であってもよい。鎖状アル
キル基は、分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素
数は1〜20が好ましく、1〜12であることがさらに
好ましく、1〜8であることが最も好ましい。アルキル
基の具体例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロ
ピル、ブチル、t−ブチル、シクロプロピル、シクロヘ
キシルおよび2−エチルヘキシルが含まれる。置換アル
キル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様であ
る。置換アルキル基の置換基としては、Z1およびZ2
含窒素複素環の置換基と同じである(但し、シアノ基お
よびニトロ基は除く)。置換アルキル基の例には、2−
ヒドロキシエチル、2−カルボキシエチル、2−メトキ
シエチル、2−ジエチルアミノエチル、3−スルホプロ
ピルおよび4−スルホブチルが含まれる。
【0021】アルケニル基は、環状であっても鎖状であ
ってもよい。鎖状アルケニル基は、分岐を有していても
よい。アルケニル基の炭素数は、2〜20が好ましく、
2〜12がさらに好ましく、2〜8が最も好ましい。ア
ルケニル基の例には、ビニル、アリル、1−プロペニ
ル、2ーブテニル、2−ペンテニル及び2−ヘキセニル
が含まれる。置換アルケニル基のアルケニル部分は、上
記アルケニル基と同様である。置換アルケニル基の置換
基は、アルキル基の置換基と同じである。アルキニル基
は、環状であっても鎖状であってもよい。鎖状アルキニ
ル基は、分岐を有していてもよい。アルキニル基の炭素
数は、2〜20が好ましく、2〜12がさらに好まし
く、2〜8が最も好ましい。アルキニル基の例には、エ
チニルおよび2−プロピニルが含まれる。置換アルキニ
ル基のアルキニル部分は、上記アルキニル基と同様であ
る。置換アルキニル基の置換基は、アルキル基の置換基
と同じである。アラルキル基のアルキル部分は、上記ア
ルキル基と同様である。アラルキル基のアリール部分
は、後述するアリール基と同様である。アラルキル基の
例には、ベンジルおよびフェネチルが含まれる。置換ア
ラルキル基のアラルキル部分は、上記アラルキル基と同
様である。置換アラルキル基のアリール部分は、後述す
るアリール基と同様である。
【0022】本明細書において、芳香族基はアリール基
または置換アリール基を意味する。アリール基の炭素数
は6〜25であることが好ましく、6〜15であること
がさらに好ましく、6〜10であることが最も好まし
い。アリール基の例には、フェニルおよびナフチルが含
まれる。置換アリール基の置換基の例は、Z1およびZ2
の含窒素複素環の置換基と同じである。置換アリール基
の例には、4−カルボキシフェニル、4−アセトアミド
フェニル、3−メタンスルホンアミドフェニル、4−メ
トキシフェニル、3−カルボキシフェニル、3,5−ジ
カルボキシフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニ
ルおよび4−ブタンスルホンアミドフェニルが含まれ
る。
【0023】上記複素環基は、置換基を有していてもよ
い。複素環基の複素環は、5または6員環であることが
好ましい。複素環に、脂肪族環、芳香族環または他の複
素環が縮合していてもよい。複素環(縮合環を含む)の
例には、ピリジン環、ピペリジン環、フラン環、フルフ
ラン環、チオフェン環、ピロール環、キノリン環、モル
ホリン環、インドール環、イミダゾール環、ピラゾール
環、カルバゾール環、フェノチアジン環、フェノキサジ
ン環、インドリン環、チアゾール環、ピラジン環、チア
ジアジン環、ベンゾキノリン環およびチアジアゾール環
が含まれる。複素環の置換基は、Z1およびZ2の含窒素
複素環の置換基と同じである。
【0024】式(1)のR1およびR2で表される脂肪族
基および芳香族基は前述と同じである。L1は奇数個の
メチンからなるメチン鎖であり、5個または7個が好ま
しい。メチン基は置換基を有していてもよい。置換基を
有するメチン基は中央の(メソ位の)メチン基であるこ
とが好ましい。置換基の例としては、Z1およびZ2の含
窒素複素環の置換基と同様である。また、メチン鎖の二
つの置換基が結合して5または6員環を形成してもよ
い。
【0025】a,b及びcは、それぞれ独立に、0また
は1である。aおよびbは、0であることが好ましい。
cはシアニン染料がスルホやカルボキシルのようなアニ
オン性置換基を有して分子内塩を形成する場合は、0で
ある。X1はアニオンである。アニオンの例としては、
ハライドイオン(Cl-、Br -、I-)、p−トルエン
スルホン酸イオン、エチル硫酸イオン、PF6 -,BF4 -
またはClO4 -が含まれる。用いられるシアニン染料
は、カルボキシル基またはスルホ基を含むことが好まし
い。シアニン染料の具体例を示す。
【0026】
【化2】
【0027】
【化3】
【0028】
【化4】
【0029】
【化5】
【0030】
【化6】
【0031】オキソノール染料は、下記式で定義され
る. AK=Lo−Ae 式中、AKは、ケト型酸性核であり、Aeは、エノール
型酸性核であり、Loは、奇数個のメチンからなるメチ
ン鎖である。下記一般式(2)で表されるオキソノール
染料は、特に会合状態で、好ましく用いることができ
る。
【0032】
【化7】
【0033】上記式(2)において、Y1およびY2は、
それぞれ独立に、脂肪族環または複素環を形成する非金
属原子群である。脂肪族環より複素環のほうが好まし
い。脂肪族環の例には、インダンジオン環が含まれる。
複素環の例には、5−ピラゾロン環、イソオキサゾロン
環、バルビツール酸環、ピリドン環、ローダニン環、ピ
ラゾリジンジオン環、ピラゾロピリドン環およびメルド
ラム酸環が含まれる。脂肪族環および複素環は置換基を
有していてもよい。置換基は前述のZ1およびZ2の含窒
素複素環の置換基と同様である。5−ピラゾロン環およ
びバルビツール酸環が好ましい。L2は、奇数個のメチ
ンからなるメチン鎖である。メチンの数は3、5または
7個であることが好ましく、5個が最も好ましい。メチ
ン基は置換基を有していてもよい。置換基を有するメチ
ン基は中央の(メソ位の)メチン基であることが好まし
い。置換基の例としては、前述のアルキル基の置換基と
同様である。また、メチン鎖の二つの置換基が結合して
5または6員環を形成してもよい。X2は、水素原子ま
たはカチオンである。カチオンの例には、アルカリ金属
(例,Na,K)イオン、アンモニウムイオン、トリエ
チルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオ
ン、ピリジニウムイオンおよびテトラブチルアンモニウ
ムイオンが含まれる。以下に、式(2)で表されるオキ
ソノール染料の例を示す。
【0034】
【化8】
【0035】
【化9】
【0036】
【化10】
【0037】
【化11】
【0038】750〜850nm用としては、式(2)
のオキソノール染料を、851〜950nmおよび95
1〜1100nm用としては、式(1)のシアニン染料
を用いることがさらに好ましい。
【0039】なお、赤外線吸収層には、赤外線遮蔽性成
分として、上記色素に加えて、銅(特開平6−1182
28号公報記載)、銅化合物またはリン化合物(特開昭
62−5190号公報記載)、銅化合物またはチオ尿素
化合物(特開平6−73197号公報記載)あるいはタ
ングステン化合物(米国特許3647772号明細書記
載)を併用することができる。
【0040】<可視光吸収層>本発明の光学フィルター
には、特定の波長の光を選択的に吸収する可視光吸収層
を設けることができる。可視光吸収層は、560〜62
0nmの波長領域に吸収極大(透過率の極小)を有して
いることが好ましい。吸収極大は、570〜600nm
の波長領域にあることがさらに好ましく、580〜60
0nmの波長領域にあることが最も好ましい。吸収極大
における透過率は、0.01〜90%であることが好ま
しく、0.1〜70%であることがさらに好ましい。吸
収極大の波長は、光を照射することにより移動させるこ
ともできる。
【0041】光学フィルターは、560〜620nmの
波長領域における吸収極大に加えて、500〜550n
mの波長領域にも吸収極大を有していてもよい。500
〜550nmの波長領域の吸収極大における透過率は、
20〜85%であることが好ましい。500〜550n
mの波長領域の吸収極大は、視感度が高い緑の蛍光体の
発光強度を調整するために設定される。緑の蛍光体の発
光域は、なだらかにカットすることが好ましい。500
〜550nmの波長領域の吸収極大での半値幅(吸収極
大での吸光度の半分の吸光度を示す波長領域の幅)は、
30〜300nmであることが好ましく、40〜300
nmであることがより好ましく、50〜150nmであ
ることがさらに好ましく、60〜150nmであること
が最も好ましい。
【0042】560〜620nmの波長領域における吸
収極大は、なるべく緑の蛍光体の発光に影響を与えない
よう選択的に光をカットするために吸収スペクトルのピ
ークをシャープにすることが好ましい。560〜620
nmの波長領域における吸収極大での半値幅は、5〜7
0nmであることが好ましく、10〜50nmであるこ
とがさらに好ましく、10〜30nmであることが最も
好ましい。
【0043】可視光吸収層に上記の吸収スペクトルを付
与するためには、色素(染料または顔料)を用いること
が好ましい。500〜550nmの波長領域に吸収極大
を持つ色素としては、スクアリリウム染料、アゾメチン
染料、シアニン染料、オキソノール染料、アントラキノ
ン染料、アゾ染料、ベンジリデン染料あるいはそれらを
レーキ化した顔料が好ましく用いられる。500〜55
0nmの波長領域に吸収極大を持つ染料の例を以下に示
す。
【0044】
【化12】
【0045】
【化13】
【0046】
【化14】
【0047】560〜620nmの波長領域に吸収極大
を持つ色素としては、シアニン染料、スクアリリウム染
料、アゾメチン染料、キサンテン染料、オキソノール染
料、アゾ染料あるいはそれらをレーキ化した顔料が好ま
しく用いられる。560〜620nmの波長領域に吸収
極大を持つ染料の例を以下に示す。
【0048】
【化15】
【0049】
【化16】
【0050】
【化17】
【0051】
【化18】
【0052】また、本発明の光学フィルターは380〜
440nmの波長領域に吸収極大(透過率の極小)を有
していることが好ましい。380〜440nmの波長範
囲に吸収を持つ染料としてはメチン系、アントラキノン
系、キノン系、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメ
タン染料、キサンテン染料、アゾ系、アゾメチン系の化
合物が好ましい。メチン系としてはシアニン系、メロシ
アニン系、オキソノール系、アリーリデン系、スチリル
系などである。具体例を下に示す。
【0053】
【化19】
【0054】可視光吸収層には、2種類以上の色素を組
み合わせて用いることができる。可視光吸収層の厚さ
は、0.1〜5μmであることが好ましく、0.5〜1
00μmであることがさらに好ましく、1〜15μmで
あることが最も好ましい。
【0055】可視光吸収層は、色素単独でも形成可能だ
が、色素の安定性および反射率特性の制御のためポリマ
ーバインダーを含むことができる。
【0056】可視光吸収層のポリマーバインダーとして
は、ゼラチンが好ましいが、そのほかにアクリル系、ウ
レタン系、SBR系、オレフィン系、塩化ビニリデン
系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、またはこれらの共
重合体が好ましく用いられる。ポリマーとしては直鎖の
ポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋され
たポリマーでも良い。またポリマーとしては単一のモノ
マーが重合したいわゆるホモポリマーでも良いし、2種
以上のモノマーが重合したコポリマー でも良い。コポ
リマーの場合はランダムコポリマーでもブロックコポリ
マーでも良い。ポリマーの分子量は数平均分子量(GP
C法で測定されたポリスチレン換算値)で5,000〜
1,000,000、好ましくは10,000〜100,0
00程度が好ましい。分子量が小さすぎるものは膜強度
が不十分であり、大きすぎるものは製膜性が悪く好まし
くない。
【0057】その他、可視光吸収層のポリマーバインダ
ーとして使用できる高分子ラテックスの具体例として
は、以下のようなものがある。メチルメタクリレート/
エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマーのラテッ
クス、メチルメタクリレート/2-エチルヘキシルアクリ
レート/スチレン/アクリル酸コポリマーのラテック
ス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリマーのラ
テックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベンゼン/
メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリ
レート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーのラテック
ス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/アクリロニ
トリル/メタクリル酸コポリマーのラテックスなど。
【0058】可視光吸収層に、褪色防止剤を添加しても
よい。染料の安定化剤として機能する褪色防止剤の例に
は、ハイドロキノン誘導体(米国特許3935016
号、同3982944号の各明細書記載)、ハイドロキ
ノンジエーテル誘導体(米国特許4254216号明細
書および特開昭55−21004号公報記載)、フェノ
ール誘導体(特開昭54−145530号公報記載)、
スピロインダンまたはメチレンジオキシベンゼンの誘導
体(英国特許公開2077455号、同2062888
号の各明細書および特開昭61−90155号公報記
載)、クロマン、スピロクロマンまたはクマランの誘導
体(米国特許3432300号、同3573050号、
同3574627号、同3764337号の各明細書お
よび特開昭52−152225号、同53−20327
号、同53−17729号、同61−90156号の各
公報記載)、ハイドロキノンモノエーテルまたはパラア
ミノフェノールの誘導体(英国特許1347556号、
同2066975号の各明細書および特公昭54−12
337号、特開昭55−6321号の各公報記載)およ
びビスフェノール誘導体(米国特許3700455号明
細書および特公昭48−31625号公報記載)が含ま
れる。
【0059】光あるいは熱に対する色素の安定性を向上
させるため、金属錯体(米国特許4245018号明細
書および特開昭60−97353号公報記載)を褪色防
止剤として用いてもよい。さらに色素の耐光性を改良す
るために、一重項酸素クエンチャーを褪色防止剤として
用いてもよい。一重項酸素クエンチャーの例には、ニト
ロソ化合物(特開平2−300288号公報記載)、ジ
インモニウム化合物(米国特許465612号明細書記
載)、ニッケル錯体(特開平4−146189号公報記
載)および酸化防止剤(欧州特許公開820057A1
号明細書記載)が含まれる。
【0060】<電磁線遮蔽層>画像表示装置のディスプ
レイから発生される電磁波を遮蔽する必要がある場合に
は、ディスプレイの前面に導電性の高い膜が必要であ
り、本発明の光学フィルターに導電層が設けられる。導
電層の種類としては、銀などの金属層と金属酸化物の積
層系を用いる方法、格子状等にエッチングした金属薄
膜、導電性メッシュを用いる方法などがあるが、モアレ
を起こさないという点で銀などの金属層と金属酸化物の
積層系を用いる方法が好ましい。導電層の抵抗は、50
0Ω/□以下であることが好ましく、さらに好ましくは
50Ω/□以下であることが好ましく、特に好ましくは
3Ω/□以下である。また、実質的な下限としては、ス
パッタ膜で1Ω/□、金属メッシュでは0.5Ω/□程
度である。
【0061】透明導電層を設置する層としては、可視光
吸収層と同一の支持体上でもよいし、他の支持体でもよ
い。
【0062】上記銀などの金属層と金属酸化物の積層系
は、透明であることが好ましい。金属薄膜の金属として
は、金、銀、銅、白金、ロジウム、イリジウム、パラジ
ウム、から選ばれる1種もしくは2種以上の合金が好ま
しく、パラジウムと銀との合金が特に好ましい。この合
金中の銀の含有率は、80質量%以上であることが好ま
しい。金属酸化物薄膜の金属酸化物としては、Ti
2、SnO2、ZnO、ITOおよびIn23を主成分
とするものであることが好ましく、Ga23などを添加
しても良い。金属層と金属酸化物層とを積層すると、金
属酸化物層により金属層を保護(酸化防止)し、可視光
の透過率を高くすることができる。積層する構成として
は、支持体/(金属酸化物層/金属層)n/金属酸化物
層であることが好ましい。ここでnは1以上の整数であ
り、1〜10の整数が好ましく、更に好ましくは1〜7
の整数であり、特に好ましくは1〜5の整数である。金
属層、金属酸化物層はそれぞれ、二種以上の積層であっ
ても良い。また金属層上に金属層を保護するための層を
設けても良い。
【0063】また、上記層構成において、金属アルコキ
サイド化合物の薄膜も、金属層と積層することができ
る。金属酸化物または金属アルコキサイド化合物の層
は、金属層の両側に積層することができる。金属層の両
側に積層する場合、異なる種類の層を用いてもよい。金
属層の厚さは、合計5〜60nmであることが好まし
く、10〜55nmであることがさらに好ましく、15
〜50nmであることが最も好ましい。金属酸化物また
は金属アルコキサイド化合物層の厚さは、20〜300
nmであることが好ましく、40〜150nmであるこ
とがさらに好ましい。金属層は、スパッタリング法、真
空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD
法、プラズマPVD法あるいは金属または金属酸化物の
超微粒子塗布により形成することができる。中でもスパ
ッタリング法が好ましい。また、スパッタリングする透
明支持体上には支持体からの可塑剤の揮散を防ぐために
アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シロキサン系の
ポリマー、オリゴマーまたはモノマー(例、紫外線硬化
型樹脂)を用いてオーバーコート層を10μm以下の厚
みで有することが好ましい。
【0064】<透明支持体>本発明で用いる透明支持体
の好ましい例としては、ガラス板、セルロースエステル
(例、セルロースジアセテート、セルローストリアセテ
ート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレー
ト、セルロースアセテートプロピオネート、セルロース
ニトレート)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエ
ステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−
1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポ
リエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−
ジカルボキシレート)、ポリスチレン(例、シンジオタ
クチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン)、ポリ
(メタ)アクリレート(例、ポリメチルメタクリレー
ト)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエー
テルケトン、ポリエーテルイミドおよびポリオキシエチ
レンが含まれる。好ましくはガラス板、セルローストリ
アセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレン
ナフタレートである。透明支持体の透過率は80%以上
であることが好ましく、86%以上であることがさらに
好ましい。ヘイズは、2%以下であることが好ましく、
1%以下であることがさらに好ましい。屈折率は、1.
45〜1.70であることが好ましい。
【0065】透明支持体に、赤外線吸収剤あるいは紫外
線吸収剤を添加してもよい。赤外線吸収剤の添加量は、
透明支持体の0.01〜20質量%であることが好まし
く、0.05〜10質量%であることがさらに好まし
い。さらに滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を透
明支持体に添加してもよい。無機化合物の例には、Si
2、TiO2、BaSO4、CaCO3、タルクおよびカ
オリンが含まれる。
【0066】透明支持体には、その上に設ける層(例、
下塗り層)との接着性をより強固にするために表面処理
を施すことが好ましい。表面処理の例には、薬品処理、
機械的処理、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処
理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、
レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が含まれ
る。グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理
および火炎処理が好ましく、コロナ放電処理がさらに好
ましい。
【0067】<下塗り層>透明支持体と隣接する層との
間に、下塗り層を設けることが好ましい。下塗り層は、
(イ)ガラス転移温度が25℃以下のポリマーを含む
層、(ロ)隣接する層側の表面が粗面である層、または
(ハ)隣接する層のポリマーと親和性を有するポリマー
を含む層、として形成される。なお、隣接する層が設け
られていない透明支持体の面に下塗り層を設けて、透明
支持体とその上に設けられる層(例えば、低屈折率層、
高・中屈折率層等)との接着力を改善してもよい。ま
た、下塗り層は、光学フィルターと画像形成装置とを接
着するための接着剤と光学フィルターとの親和性を改善
するために設けてもよい。下塗り層の厚みは、20〜1
000nmが好ましく、80〜300nmがより好まし
い。
【0068】ガラス転移温度が25℃以下のポリマーを
含む下塗り層は、ポリマーの粘着性で透明支持体と隣接
する層とを接着し、好ましく用いることができる。ガラ
ス転移温度が25℃以下のポリマーは、塩化ビニル、塩
化ビニリデン、酢酸ビニル、ブタジエン、ネオプレン、
スチレン、クロロプレン、アクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル、アクリロニトリルまたはメチルビニル
エーテルの重合または共重合により得ることができる。
ガラス転移温度は、20℃以下であることがより好まし
く、15℃以下であることがさらに好ましく、10℃以
下であることがさらに好ましく、5℃以下であることが
さらに好ましく、0℃以下であることが最も好ましい。
表面が粗面である下塗り層は、粗面の上に隣接する層を
形成することで、透明支持体と隣接する層とを接着す
る。表面が粗面である下塗り層は、高分子ラテックスの
塗布により容易に形成することができる。ラテックスの
平均粒径は、0.02〜3μmであることが好ましく、
0.05〜1μmであることがさらに好ましい。可視光
吸収層のバインダーポリマーと親和性を有するポリマー
の例には、アクリル樹脂、セルロース誘導体、ゼラチ
ン、カゼイン、でんぷん、ポリビニルアルコール、可溶
性ナイロンおよび高分子ラテックスが含まれる。二層以
上の下塗り層を設けてもよい。
【0069】下塗り層には、帯電防止剤を添加してもよ
い。この場合、下塗り層は帯電防止層を兼ねることにな
る。帯電防止剤は、上記の下塗り層に付与してもよい
し、第2の下塗り層に付与してもよい。また、支持体の
透明反射防止膜側の下塗り層に付与しても、反対側の下
塗り層に付与してもよい。両方の側に付与することがよ
り好ましい。帯電防止性を付与するためには、以下の説
明する導電性材料をバインダーとともに分散し塗布する
ことにより付与することができる。
【0070】好ましく使用される帯電防止用導電性材料
は、結晶性の金属酸化物粒子であり、酸素欠陥を含むも
の、及び用いられる金属酸化物に対してドナーを形成す
る異種原子を少量含むもの等は一般的にいって導電性が
高いので特に好ましい。金属酸化物の例としてはZn
O、TiO2、SnO2、Al23、In23、Si
2、MgO、BaO、MoO3、V25等、或いはこれ
らの複合酸化物が好ましく、特にZnO、In23、V
25、およびSnO2が好ましい。異種原子を含む例と
しては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、
SnO2に対してはSb、Nb、P、ハロゲン元素等の
添加、またTiO2に対してはNb、Ta等の添加が効
果的である。これらの異種原子の添加量は、0.01〜
30mol%の範囲が好ましいが、0.1〜10mol
%であれば特に好ましい。更に、微粒子分散性、透明性
改良のために、微粒子形成時に珪素化合物を添加しても
よい。上記金属酸化物微粒子は、導電性を有しており、
その体積抵抗率は107Ω−cm以下、特に105Ω−c
m以下である。これらの酸化物については特開昭56−
143431号、同56−120519号、同58−6
2647号、特開平4−79104号などの各公報に記
載されている。
【0071】さらに、特公昭59−6235号公報に記
載のごとく、他の結晶性金属酸化物粒子あるいは繊維状
物(例えば酸化チタン)に上記の金属酸化物を付着させ
た導電性素材を使用してもよい。利用できる一次粒子サ
イズは0.0001〜1μmのものが好ましいが、0.
001〜0.5μmであると分散後の安定性がよく使用
しやすい。また、光散乱性をできるだけ小さくするため
に粒径が0.001〜0.3μmの導電性粒子を利用す
ると透明材料を形成することが可能となり大変好まし
い。これらの粒子は分散液及び塗布膜中での粒子は通常
数個以上の一次粒子が集合した二次凝集体であり、その
粒径は0.3〜0.01μmであり、好ましくは0.2
〜0.03μmである。また、導電性材料が針状あるい
は繊維状の場合はその長さは30μm以下で直径が1μ
m以下が好ましく、特に好ましいのは長さが10μm以
下で直径0.3μm以下であり長さ/直径比が3以上で
ある。
【0072】帯電防止用金属酸化物は、バインダーと共
に塗布されることが好ましい。バインダーとしては、特
に限定されないが、例えばゼラチンやデキストラン、ポ
リアクリルアミド、デンプン、ポリビニルアルコールの
ような水溶性バインダーでもよいし、ポリ(メタ)アク
リル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、スチレン/ブタジエ
ン共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレ
ン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレン、ポリカ
ーボネートなどの合成重合体バインダーを有機溶媒で使
ってもよいし、更にこれらの重合体バインダーを水分散
体の形体で用いてもよい。また、これらの金属酸化物は
球形状のものと繊維状のものを混合して使用しても良
い。帯電防止用金属酸化物の含有量は、0.0005g
/m2以上であり、より好ましくは0.0009〜0.
5g/m2、特に好ましくは0.0012〜0.3g/
2である。
【0073】下塗り層の表面抵抗率は、102〜1012
Ω/□の範囲が一般的であり、106〜1012Ω/□の
範囲が好ましく、さらに109〜1012Ω/□の範囲が
より好ましい。表面抵抗率が1012Ω/□をこえると、
帯電防止機能が十分でなく、ほこり等の付着を防ぐこと
ができない。また、表面抵抗率が102Ω/□を下回る
には、多量の導電性金属酸化物を添加しなければなら
ず、そのため下塗り層の膜質が弱くなり低屈折率層の接
着強度が低下したり、透明反射防止膜のヘイズが大きく
な過ぎ実用的でない。また、下塗り層には、透明支持体
を膨潤させる溶剤、マット剤、界面活性剤、帯電防止
剤、塗布助剤や硬膜剤を添加してもよい。
【0074】<ハードコート層>所望により光学フィル
ターに強度を付与するためにハードコート層を設けるこ
とができる。ハードコート層は、架橋しているポリマー
を含むことが好ましい。ハードコート層は、アクリル
系、ウレタン系、エポキシ系、シロキサン系のポリマ
ー、オリゴマーまたはモノマー(例、紫外線硬化型樹
脂)を用いて形成することができる。シリカ系のフィラ
ーをハードコート層に添加することもできる。
【0075】<潤滑層>透明反射防止膜の上に、潤滑層
を形成してもよい。潤滑層は、透明反射防止膜表面に滑
り性を付与し、耐傷性を改善する機能を有する。潤滑層
は、ポリオルガノシロキサン(例、シリコンオイル)、
天然ワックス、石油ワックス、高級脂肪酸金属塩、フッ
素系潤滑剤またはその誘導体を用いて形成することがで
きる。潤滑層の厚さは、2〜20nmであることが好ま
しい。
【0076】<光学フィルターの用途>光学フィルター
は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパ
ネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレ
イ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像
表示装置に用いられる。本発明の光学フィルターは、プ
ラズマディスプレイパネル(PDP)または陰極管表示
装置(CRT)、特にプラズマディスプレイパネル(P
DP)に用いると、顕著な効果が得られる。
【0077】プラズマディスプレイパネル(PDP)
は、一般に、ガス、ガラス基板、電極、電極リード材
料、厚膜印刷材料、蛍光体により構成される。ガラス基
板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板の二枚である。
二枚のガラス基板には電極と絶縁層が形成される。後面
ガラス基板には、さらに蛍光体層を形成する。二枚のガ
ラス基板を組み立てて、その間にガスを封入する。プラ
ズマディスプレイパネル(PDP)は、既に市販されて
いる。プラズマディスプレイパネルについては、特開平
5−205643号、同9−306366号の各公報に
記載がある。前面板をプラズマディスプレイパネルの前
面に配置することがある。前面板はプラズマディスプレ
イパネルを保護するために充分な強度を備えていること
が好ましい。前面板は、プラズマディスプレイパネルと
隙間を置いて使用することもできるし、プラズマディス
プレイ本体に直貼りして使用することもできる。プラズ
マディスプレイパネルのような画像表示装置では、本発
明のフィルムををディスプレイ表面に取り付ける。本発
明のフィルムをディスプレイの表面に直接貼り付けるこ
とができる。また、ディスプレイの前に前面板が設けら
れている場合は、前面板の表側(外側)または裏側(デ
ィスプレイ側)に本発明のフィルムを貼り付けることも
できる。貼りつける際には粘着剤を用いる。ここでいう
粘着剤とは粘着性を有する材料でありゴム状の粘りを有
する。粘着剤として好ましくは、天然ゴム系、SBR
系、ブチルゴム系、再生ゴム系、アクリル系、ポリイソ
ブチレン系、シリコーンゴム系、ポリビニルブチルエー
テルなどを上げることができ、中でもアクリル系が好ま
しい。本発明の層構成としては下記の例が挙げられるが
無論これらに限定されるものではない。
【0078】
【実施例】[実施例1] (透明反射防止膜(金属薄膜層/金属酸化物薄膜層)の
作製)厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート支
持体上にUV硬化型多官能メタクリル酸樹脂(JSR製
Z7503)を3μmの厚みとなるよう塗布した。次
に、金属薄膜層として銀を走行式スパッタリング装置で
DCマグネトロンスパッタ法にて成膜した。スパッタガ
スとしてはアルゴンのみを使用した。真空度は0.4P
aであった。次に、金属酸化物層としてSiO2を走行
式スパッタリング装置でデュアルマグネトロンスパッタ
法にて製膜した。このとき酸素量はプラズマエミッショ
ンモニター法にて制御した。真空度は0.27Paであ
った。上記方法にて支持体上にオーバーコート層上にA
g/SiO2の順にそれぞれ層厚1.6nm/100n
mの積層膜を形成した。本膜の最低反射率は1.5%で
あり、550nmでの透過率は79.1%であった。ま
た、面積抵抗値は2.1×1011Ω/□と帯電防止に必
要なレベルを達成した。
【0079】(下塗り層の形成)厚さ175μmの透明
支持体(2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィル
ム)の両面をコロナ処理した後、可視光吸収層、赤外線
遮蔽フィルター層を設置する面に屈折率1.55、ガラ
ス転移温度37℃のスチレン−ブタジエンコポリマーか
らなるラテックス(LX407C5、日本ゼオン(株)
製)を膜厚が300nmとなるよう塗布し、下塗り層を
形成した。
【0080】(可視光および赤外線吸収層の作製)ゼラ
チンの10質量%水溶液180gにpHが7になるよう
に1規定の水酸化ナトリウム溶液を添加し、下記(色素
1)16mg/m2および前記染料2−7、22.5m
g/m2および前記染料1−12、45.9mg/m2
前記染料1−13,27.4mg/m2および下記(色
素2),110mg/m2を添加し、30℃で24時間
攪拌した。得られたフィルター層用塗布液を300nm
の下塗り層上に、乾燥膜厚が3.1μmとなるように塗
布し、120℃で10分間乾燥して可視光および赤外線
吸収層を含むフィルムを作成した。作成した可視光およ
び赤外線吸収層について、分光透過率を調べたところ、
400nmの吸収極大での透過率は31%、593nm
の透過率は27%、810nmの透過率は4%、905
nmの透過率は2%、983nmの透過率は3%と良好
であった。また、593nmの半価幅は24nmであっ
た。
【0081】(電磁遮蔽フィルムの作製)厚さ120μ
mのポリエチレンテレフタレート支持体上に無電解めっ
き法で銅膜を形成した後、電解めっきでニッケルを積層
した。合計膜厚を3μmとした。その後、この銅/ニッ
ケル積層膜を格子状にパターニングし、金属メッシュを
作製した。
【0082】上記透明反射防止膜と電磁遮蔽フィルムと
可視光および赤外吸収層を含むフィルムとをアクリル粘
着剤にて貼り合わせ、光学フィルターを作製した。この
光学フィルターを透明反射防止層が最外面になるように
プラズマディスプレイに貼り合わせ、外観を観察したと
ころ、色が改良され、さらにディスプレイ表面からの反
射光の低減およびセル内からの反射光の低減効果で、画
像のコントラストが改善され、視認性が向上した。ま
た、800〜900nmの領域での透過率が10%以下
であり、さらに、良好な電磁遮蔽効果も示した。
【0083】[実施例2]膜の構成を次のように変えた
以外は実施例1と同様にして透明反射防止膜を作製し
た。 変更部分:オーバーコート層上にAg層/SiO2層の
順にそれぞれ膜厚4.6nm/100nmの積層膜を形
成した。本透明反射防止膜の最低反射率は0.15%で
あり、550nmでの透過率は72.8%であった。ま
た、面積抵抗値は1.0×105Ω/□であった。反射
防止膜以外は実施例1と同様にして光学フィルターを作
製した。この光学フィルターを実施例1と同様に、プラ
ズマディスプレイに貼り合わせたところ、色および画像
のコントラストが改善され、視認性が向上した。
【0084】[実施例3]膜の構成を次のように変えた
以外は実施例1と同様にして透明反射防止膜を作製し
た。 変更部分:オーバーコート層上にAg層/SiO2層の
順にそれぞれ膜厚7.05nm/100nmの積層膜を
形成した。本透明反射防止膜の最低反射率は1.55%
であり、550nmでの透過率は66.9%であった。
また、面積抵抗値は17Ω/□であった。反射防止膜以
外は実施例1と同様にして光学フィルターを作製した。
この光学フィルターを実施例1と同様に、プラズマディ
スプレイに貼り合わせたところ、色および画像のコント
ラストが改善され、視認性が向上した。
【0085】[実施例4]膜の構成を次のように変えた
以外は実施例1と同様にして透明反射防止膜を作製し
た。 変更部分:オーバーコート層上にAg層/Ti層/Si
2層の順にそれぞれ膜厚7.05/1.3nm/10
0nmの積層膜を形成した。本透明反射防止膜の最低反
射率は0.34%であり、550nmでの透過率は5
7.1%であった。また、面積抵抗値は20.4Ω/□
であり、実施例3と比較して、同じ銀膜厚でも低反射の
特性が得られた。反射防止膜以外は実施例1と同様にし
て光学フィルターを作製した。この光学フィルターを実
施例1と同様に、プラズマディスプレイに貼り合わせた
ところ、色および画像のコントラストが改善され、視認
性が向上した。
【0086】[実施例5]膜の構成次のように変えた以
外は実施例1と同様にして透明反射防止膜を作製した。 変更部分:オーバーコート層上にTi層/Ag層/ S
iO2層の順にそれぞれ膜厚1.3nm/7.05nm/
100nmの積層膜を形成した。本透明反射防止膜の最
低反射率は1.36%であり、550nmでの透過率は
62.02%であった。また、面積抵抗値は9.46Ω
/□であり、実施例3と比較して、同じ銀量でも低反射
でかつ低抵抗の特性が得られた。反射防止膜以外は実施
例1と同様にして光学フィルターを作製した。この光学
フィルターを実施例1と同様に、プラズマディスプレイ
に貼り合わせたところ、色および画像のコントラストが
改善され、視認性が向上した。
【0087】[実施例6]膜の構成を次のように変えた
以外は実施例1と同様にして透明反射防止膜を作製し
た。 変更部分:オーバーコート層上にTi層/Ag層/Ti
層/SiO2層の順にそれぞれ膜厚1.3nm/7.0
5/1.3nm/100nmの積層膜を形成した。本透
明反射防止膜の最低反射率は0.41%であり、550
nmでの透過率は60.7%であった。また、面積抵抗
値は14Ω/□であり、実施例3と比較して、同じ銀量
でも低反射でかつ低抵抗の特性が得られた。反射防止膜
以外は実施例1と同様にして光学フィルターを作製し
た。この光学フィルターを実施例1と同様に、プラズマ
ディスプレイに貼り合わせたところ、色および画像のコ
ントラストが改善され、視認性が向上した。
【0088】以上のように、金属膜の層厚や下地層およ
び中間層の条件の広い範囲で反射防止性および帯電防止
性において良好な透明反射防止膜が得られた。また、実
施例5のように、10Ω/□以下の面積抵抗値も得ら
れ、本発明の透明反射防止膜が電磁波防止膜として機能
し得ることも示唆される。
【0089】[比較例1]膜の構成を次のように変えた
以外は実施例1と同様にして透明反射防止膜を作製し
た。 変更部分:オーバーコート層上にAg層/SiO2層の
順にそれぞれ膜厚8.11nm/100nmの積層膜を
形成した。本膜の最低反射率は2.25%であり、反射
防止膜として充分な特性は有さなかった。反射防止膜以
外は実施例1と同様にして光学フィルターを作製した。
この光学フィルターを実施例1と同様に、プラズマディ
スプレイに貼り合わせたところ、色改善効果はあるもの
の、反射が大きくコントラストが改善されず、画像の視
認性は良好でなかった。
【0090】[比較例2]膜の構成を次のように変えた
以外は実施例5と同様にして透明反射防止膜を作製し
た。 変更部分:オーバーコート層の上にAg層/SiO2
の順にそれぞれ膜厚9.3/100nmの積層膜を形成
した。本透明反射防止膜の最低反射率は5.11%であ
り、反射防止膜としての特性は有さなかった。反射防止
膜以外は実施例1と同様にして光学フィルターを作製し
た。この光学フィルターを実施例1と同様に、プラズマ
ディスプレイに貼り合わせたところ、色改善効果はある
ものの、反射が大きくコントラストが改善されず、画像
の視認性は良好でなかった。
【0091】[比較例3]膜の構成を次のように変えた
以外は実施例1と同様にして透明反射防止膜を作製し
た。 変更部分:オーバーコート層上にTi層/Ag層/Ti
層/SiO2層の順にそれぞれ膜厚0.4nm/8.1
1nm/0.4nm/100nmの積層膜を形成した。
本膜の最低反射率は9.8%と反射率が悪化し、反射防
止膜として特性は有さなかった。反射防止膜以外は実施
例1と同様にして光学フィルターを作製した。この光学
フィルターを実施例1と同様に、プラズマディスプレイ
に貼り合わせたところ、色改善効果はあるものの、反射
が大きくコントラストが改善されず、画像の視認性は良
好でなかった。
【0092】[比較例4]実施例1において可視光吸収
層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして光
学フィルターを形成した。プラズマディスプレイパネル
に本フィルムを貼りつけ赤色を表示させたが橙に近い色
となってしまった
【0093】[比較例5]実施例1において赤外線光吸
収層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして
光学フィルターを形成した。800〜900nmの領域
での透過率は50%以上であり赤外線遮断能としては不
十分なものであった。
【0094】[比較例6]反射防止膜として、基板側よ
りスパッタリング法で作製したインジウム・スズ酸化物
層/SiO2層/インジウム・スズ酸化物層/SiO2
の4層膜を20nm/25nm/50nm/80nmの
順に作製した。本反射防止膜の最低反射率は0.50%
と良好な反射防止性能を示したが、透過率は92%で透
過光量の調整機能は有さなかった。反射防止膜以外は実
施例1と同様にして光学フィルターを形成した。セル内
の反射が大きく、画像のコントラストが悪く、視認性は
良好ではなかった。
【0095】以上の実施例等の結果から、本発明の透明
反射防止膜およびそれを用いた光学フィルターは、色改
良および赤外線遮断能力の点で優れているだけでなく、
反射防止機能とコントラストの改善を同時に達成でき、
画像表示装置の視認性を著しく向上させることが明かで
ある。
【0096】
【発明の効果】本発明によれば、1つの光学フィルムで
画像表示装置のコントラストを効果的に改善することを
可能とする透明反射防止膜、この透明反射防止膜を有
し、画像表示装置のコントラストが効果的に改善され、
かつ画像表示装置から放出される赤外光強度の低減、色
純度の改善、画像表示装置から放出される電磁線の遮蔽
機能も併せ持つ多機能の光学フィルター、さらにはこの
光学フィルターを備え、視認性が著しく優れた画像表示
装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学フィルターの層構造の一例を模式
的に示す概略断面図である。
【図2】本発明の光学フィルターの層構造の一例を模式
的に示す概略断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H048 CA04 CA12 CA14 CA19 CA24 2H091 FA01X FA02X FA37X FB08 FC02 FD06 LA08 LA17 LA30 2K009 AA05 BB24 CC01 CC03 DD04 4F100 AA17C AB01B AR00D AT00A BA03 BA04 BA07 BA10A BA10C CA13D GB41 HB00D JD12D JD14D JL10D JM02B JM02C JN01 JN06 YY00B YY00C

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明支持体上に該透明支持体に近い側か
    ら金属薄膜層(1)および金属酸化物薄膜層が積層され
    た透明反射防止膜であって、 金属薄膜層(1)の層厚が1〜8nmであり、かつ金属
    酸化物薄膜層の層厚が50〜120nmであることを特
    徴とする透明反射防止膜。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の透明反射防止膜を用い
    たことを特徴とする画像表示装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の透明反射防止膜と、色
    素を含有する可視光吸収層および赤外線吸収層の少なく
    ともいずれかの層とを含むことを特徴とする光学フィル
    ター。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の光学フィルターがプラズ
    マディスプレイパネル本体の前面に貼りつけられている
    ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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