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JP2003137549A - 管状酸化チタン粒子の製造方法および管状酸化チタン粒子 - Google Patents

管状酸化チタン粒子の製造方法および管状酸化チタン粒子

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JP2003137549A
JP2003137549A JP2001332547A JP2001332547A JP2003137549A JP 2003137549 A JP2003137549 A JP 2003137549A JP 2001332547 A JP2001332547 A JP 2001332547A JP 2001332547 A JP2001332547 A JP 2001332547A JP 2003137549 A JP2003137549 A JP 2003137549A
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oxide particles
tubular
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柳 嗣 雄 小
Katsuhiro Kino
野 勝 博 城
Atsushi Tanaka
中 敦 田
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JGC Catalysts and Chemicals Ltd
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Catalysts and Chemicals Industries Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】触媒、触媒担体、吸着剤、光触媒、化粧材料、
光学材料、光電変換材料等として有用な管状酸化チタン
粒子の製造方法および管状酸化チタン粒子を提供する。 【解決手段】 (i)酸化チタン粒子および/または(ii)
酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物からなる酸化チタ
ン系複合酸化物粒子が水に分散してなり、かつこれらの
粒子の平均粒子径が2〜100nmの範囲にある水分散
ゾルを、アルカリ金属水酸化物の存在下で水熱処理する
管状酸化チタン粒子の製造方法。(i)酸化チタン粒子お
よび/または(ii)酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物
からなる酸化チタン系複合酸化物粒子が水に分散してな
り、かつこれらの粒子の平均粒子径が2〜100nmの
範囲にある水分散ゾルを、アルカリ金属水酸化物の存在
下、および必要に応じて水酸化アンモニウムおよび/ま
たは有機塩基の共存下に水熱処理した後、さらにアルカ
リ金属カチオン以外のカチオン(プロトンを含む)存在
下で水熱処理する管状酸化チタン粒子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、触媒、触媒担体、光触
媒、光電変換材料、化粧料用材料および光学材料などの
用途に有用な管状酸化チタン粒子の製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】酸化チタン粒子、酸化チタン系複
合酸化物粒子はその化学的特性を利用した用途が広く、
たとえば酸素と適当な結合力を有するとともに耐酸性を
有するため、酸化還元触媒あるいは担体、紫外線の遮蔽
力を利用した化粧材料またはプラスチックの表面コート
剤、さらには高屈折を利用した反射防止コート材、導電
性を利用した帯電防止材として用いられたり、これらの
効果を組み合わせて機能性ハードコート材に用いられた
り、さらに光触媒作用を使用した防菌剤、防汚剤、超親
水性被膜などに用いられている。さらに近年、酸化チタ
ンは、高いバンドギャップを有することから光触媒、さ
らには光エネルギーを電気エネルギーに変換する、いわ
ゆる光電変換材料として好適に用いられるようになって
いる。また、リチウムバッテリーのような2次電池、水
素吸蔵材料、プロトン導電材料等にも利用されるように
なってきている。
【0003】このように、酸化チタン、酸化チタン系複
合酸化物は多くの用途に用いられており、いずれの場合
であっても酸化チタン、酸化チタン系複合酸化物には多
くの機能が要求される。たとえば、触媒として酸化チタ
ンを用いる場合には、主反応に対する活性だけでなく、
選択性、機械的強度、耐熱性、耐酸性、あるいは耐久性
が求められ、また化粧料として酸化チタンを用いる場合
には、紫外線の遮蔽効果だけでなく、円滑性、肌ざわ
り、透明性などが求められている。
【0004】さらにコート材として酸化チタンを用いる
場合には、透明性、高屈折率に加えて、さらに優れた被
膜形成性、密着性、被膜硬度、機械的強度、耐摩耗性な
どが求められている。このような観点から、ナノチュー
ブ状の結晶性酸化チタンが注目されており、たとえば、
特開平10−152323号公報に高比面積を有するナ
ノチューブ状結晶性チタニアが提案されている。
【0005】この公報では、結晶性チタニア粉末をアル
カリ接触処理したのち、必要に応じて加熱(焼成)処理
して、ナノチューブ状結晶性チタニアを製造することが
開示されているものの、当該公報に記載された方法、た
とえば実施例に記載された方法を、忠実に実施しても、
得られる結晶性チタニア粒子中には、チューブ状以外に
粒状粒子や凝集体粒子が生成するため、ナノチューブ状
結晶性チタニアの収率が低く、またナトリウムの残存量
が多いために触媒、触媒担体、光触媒等としては充分な
性能が得られず、全く性能を発現しない場合があるなど
問題点が多かった。
【0006】このような状況のもと、本発明者らは、チ
ューブ状結晶性酸化チタン粒子の製造方法について鋭意
検討した結果、前記特開平10−152323号公報で
は、原料として結晶性酸化チタンの粉末、特に、ゾルゲ
ル法等で調製した粉体を高温で焼成して得られた粉末を
結晶性チタニアが使用されており、このような粉末原料
を使用すると、所望のチューブ状結晶性酸化チタン粒子
が得られないことを見出した。そして、さらに本発明者
らは検討を行ったところ、特定の粒径の粒子が分散した
酸化チタンゾルをアルカリ存在下で水熱処理することに
より、チューブ状(管状)酸化チタン粒子を製造すれ
ば、凝集体や球状粒子などが生成することなく非常に高
い収率で管状酸化チタン粒子が得られ、しかも得られた
粒子中のナトリウム残量が極めて少なくなっていること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】本発明は、触媒、触媒担体、吸着剤、光
触媒、化粧材料、光学材料、光電変換材料等として有用
な管状酸化チタン粒子の製造方法および管状酸化チタン
粒子を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】本発明に係る管状酸化チタン粒子の製造
方法は、(i)酸化チタン粒子および/または(ii)酸化チ
タンと酸化チタン以外の酸化物からなる酸化チタン系複
合酸化物粒子が水に分散してなり、かつこれらの粒子の
平均粒子径が2〜100nmの範囲にある水分散ゾル
を、アルカリ金属水酸化物の存在下で水熱処理すること
を特徴としている。
【0009】本発明では、アルカリ金属水酸化物ととも
に、水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基の存在
下に水熱処理してもよい。本発明に係る管状酸化チタン
粒子の製造方法は、(i)酸化チタン粒子および/または
(ii)酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物からなる酸化
チタン系複合酸化物粒子が水に分散してなり、かつこれ
らの粒子の平均粒子径が2〜100nmの範囲にある水
分散ゾルを、アルカリ金属水酸化物、および必要に応じ
て水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基の存在下
に水熱処理した後、さらにアルカリ金属カチオン以外の
カチオン(プロトンを含む)存在下で水熱処理すること
を特徴としている。
【0010】前記酸化チタン以外の酸化物が周期律表の
第Ia族、第Ib族、第IIa族、第IIb族、第IIIa族、第IIIb
族、第IVa族、第IVb族、第Va族、第Vb族、第VIa族、第V
Ib族、第VIIa族、第VIII族から選ばれる元素の1種以上
の酸化物が好ましく、このような酸化チタン以外の酸化
物としては、SiO2、ZrO2、ZnO、Al23、Ce
2、Y23、Nd23、WO3、Fe23、Sb25から
選ばれる1種以上が好適である。
【0011】また、本発明に係る管状酸化チタン粒子の
製造方法は、(i)酸化チタン粒子および/または(ii)酸
化チタンと酸化チタン以外の酸化物からなる酸化チタン
系複合酸化物粒子が水に分散してなり、かつこれらの粒
子の平均粒子径が2〜100nmの範囲にある水分散ゾ
ルを、アルカリ金属水酸化物の存在下に水熱処理した
後、さらに水酸化アンモニウムまたは有機塩基の存在下
で水熱処理することを特徴としている。
【0012】前記酸化チタン以外の酸化物が周期律表の
第Ia族、第Ib族、第IIa族、第IIb族、第IIIa族、第IIIb
族、第IVa族、第IVb族、第Va族、第Vb族、第VIa族、第V
Ib族、第VIIa族、第VIII族から選ばれる元素の1種また
は2種以上の酸化物であることが好ましく、具体的には
SiO2、ZrO2、ZnO、Al23、CeO2、Y23、N
d23、WO3、Fe23、Sb25から選ばれる1種の酸
化物または2種以上の複合酸化物が例示される。
【0013】本発明では、前記酸化チタンとしてペルオ
キソチタン酸に由来するものが好ましい。本発明に係る
管状酸化チタン粒子は、前記記載の製造方法で得られ、
かつ粒子中のナトリウム含有量がNa2O換算で0.1重
量%以下であることを特徴としている。
【0014】
【発明の具体的な説明】
以下に、本発明に係る管状酸化チタン粒子の製造方法に
ついて具体的に説明する。[管状酸化チタン粒子の製造
方法]本発明に係る管状酸化チタン粒子の製造方法は、
(i)酸化チタン粒子および/または(ii)酸化チタン系複
合酸化物粒子が水に分散してなる水分散ゾルを、アルカ
リ金属水酸化物存在下で水熱処理する。
【0015】酸化チタン粒子および酸化チタン系複合酸
化物粒子 本発明で使用される酸化チタン粒子および酸化チタン系
複合酸化物粒子としては、平均粒子径が2〜100n
m、好ましくは5〜80nmの範囲にある酸化チタン粒
子および/または酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物
からなる酸化チタン系複合酸化物粒子の水分散ゾルを用
いる。
【0016】平均粒子径が前記範囲内にあれば、安定な
水分散ゾルが得られ、非常に高い収率でしかも単分散性
に優れた管状酸化チタン粒子を製造することができる。
なお平均粒子径が前記範囲を外れて小さいと、安定な水
分散ゾルを得ること自体が困難である。また、平均粒子
径を前記範囲を外れて大きくしても、得られる管状酸化
チタンの収率、単分散性などの点でより優れた管状酸化
チタン粒子を得ることが困難であり、粒子自体の分散性
が低下したり、また粒子およびゾルの調製に時間と手間
を要すことがある。
【0017】本発明では、前記粒子が水に分散して水分
散ゾルを使用するが、このゾル中には必要に応じてアル
コール等の有機溶媒が含まれていてもよい。前記酸化チ
タン粒子および/または酸化チタンと酸化チタン以外の
酸化物からなる酸化チタン系複合酸化物粒子の水分散ゾ
ルの濃度としては特に制限はないが、酸化物として2〜
50重量%、さらには5〜40重量%の範囲にあること
が好ましい。このような濃度範囲にあれば、ゾルは安定
であり、アルカリ処理時に粒子が凝集することもなく、
効率的に管状酸化チタン粒子を製造することができる。
なお、前記濃度が前記範囲を外れて少ないと、濃度が低
すぎてしまい管状酸化チタンの生成に長時間を要した
り、得られる管状酸化チタンの収率が低く効率的でな
く、前記濃度が前記範囲を外れて大きいと水分散ゾルの
安定性が低下したり、アルカリ処理時の濃度が高いため
に得られる管状酸化チタンが凝集することがある。
【0018】本発明では、酸化チタン粒子を単独で使用
しても、また、酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物か
らなる酸化チタン系複合酸化物粒子を使用しても、ある
いは双方を混合して使用してもよい。酸化チタン以外の
酸化物としては周期律表の第Ia族、第Ib族、第IIa族、
第IIb族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族、第IVb族、第V
a族、第Vb族、第VIa族、第VIb族、第VIIa族、第VIII族
から選ばれる元素の1種以上の酸化物であることが好ま
しく、具体的にはSiO2、ZrO2、ZnO、Al23、C
eO2、Y23、Nd23、WO3、Fe23、Sb25、C
eO2、CuO、AgO、AuO、Li2O、SrO、BaO、
RuO2等を挙げることができる。
【0019】このような酸化物が含まれていると、酸化
物がアルカリ可溶の酸化物の場合には管状酸化チタン粒
子が特に生成しやすく、またアルカリ難溶の酸化物であ
ると、該酸化物が得られる管状酸化チタン粒子中に残留
し、複合酸化物としての機能たとえば固体酸触媒機能、
イオン交換機能等を、得られる管状酸化チタン粒子に付
与することができる。
【0020】本発明ではこれらの酸化物のうち、特に、
SiO2、ZrO2、ZnO、Al23、CeO2、Y23、N
d23、WO3、Fe23、Sb25が好適である。これら
の酸化物が含まれていると、管状酸化チタンの収率が極
めて高く、またこれらの酸化物が残存することにより得
られる環状酸化チタン粒子の紫外線吸収領域、誘電率、
光触媒活性、プロトン導電性、固体酸特性等を調節する
ことができ、さらに熱的安定性や化学的安定性等を調節
することもできる。
【0021】前記酸化チタン系複合酸化物粒子(酸化チ
タンと酸化物チタン系複合酸化物粒子との混合物を使用
する場合は、複合酸化物粒子)中の酸化チタン以外の酸
化物の含有量は、酸化物がアルカリ可溶性であるか、ア
ルカリ難溶性であるかなどによって異なるが、1〜50
重量%、さらには2〜25重量%の範囲にあることが好
ましい。このような範囲にあると、高い収率で管状酸化
チタン粒子を製造することができる。
【0022】また、酸化チタン以外の酸化物の含有量が
上記範囲の上限よりも大きいと、酸化物がアルカリ可溶
の酸化物であっても管状酸化チタンの収率が低下した
り、球状や針状の粒子が生成することがあり、酸化物が
アルカリ難溶である場合は管状酸化チタンが生成しない
ことがある。以上のような粒子が分散した水分散ゾルの
製造方法としては、特に制限はないが、本願出願人の出
願による特開昭62−283817号公報、特開昭63
−185820号公報、特開平2−255532号公報
等に開示した酸化チタンゾル、酸化チタン系複合酸化物
ゾルを好適に用いることができる。
【0023】たとえば、チタニアゾルまたはチタニアゲ
ルに過酸化水素を加えてチタニアゾルまたはチタニアゲ
ルを溶解し、ついで得られた溶液に酸化チタンゾルある
いは水酸化チタンゾルまたは酸化チタン以外の無機酸化
物ゾルあるいは無機水酸化物ゾルを混合した後加熱する
ことによって製造することができる。本発明の管状酸化
チタン粒子の製造方法に用いる酸化チタン粒子、酸化チ
タン系複合酸化物粒子の製造には、酸化チタン源として
ペルオキソチタン酸に由来する酸化チタンを用いること
が好ましい。ペルオキソチタン酸を用いて得られる酸化
チタン粒子、酸化チタン系複合酸化物粒子は平均粒子径
が均一で、安定な水分散ゾルを得ることができる。
【0024】ペルオキソチタン酸を用いる酸化チタン粒
子の水分散液(ゾル)、酸化チタン系複合酸化物粒子の
水分散液(ゾル)の製造方法としては以下のような方法
を例示することができる。(a)オルソチタン酸のゲルまたはゾルの調製工程 まず、従来公知の方法によってチタン化合物を加水分解
してオルソチタン酸のゾルまたはゲルを調製する。
【0025】オルソチタン酸のゲルは、チタン化合物と
して塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニルなどのチタ
ン塩を使用し、この水溶液にアルカリを加えて中和し、
洗浄することによって得ることができる。また、オルソ
チタン酸のゾルは、チタン塩の水溶液をイオン交換樹脂
に通して陰イオンを除去するか、あるいはチタンテトラ
メトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライ
ソプロポキシドなどのチタンアルコキシドの水および/
または有機溶媒に酸またはアルカリを加えて加水分解す
ることによって得ることができる。
【0026】中和あるいは加水分解する際のチタン化合
物溶液のpHは7〜13の範囲にあることが好ましい。
チタン化合物溶液のpHが上記範囲にない場合は後述す
るゲルまたはゾルの比表面積が低すぎることがあり、管
状酸化チタン、特に結晶性酸化チタンの生成が低下する
傾向がある。さらに、中和あるいは加水分解する際の温
度は0〜40℃の範囲にあることが好ましく、特に好ま
しい範囲は0〜30℃の範囲である。中和あるいは加水
分解する際の温度が上記範囲を外れると管状酸化チタ
ン、特に結晶性管状酸化チタンの生成が低下する傾向が
ある。
【0027】得られたゲルまたはゾル中のオルソチタン
酸粒子は、非晶質であることが好ましい。(b)酸化チタン微粒子の水分散ゾルの調製工程 次に、オルソチタン酸のゲルまたはゾルあるいはこれら
の混合物に、過酸化水素を添加してオルソチタン酸を溶
解してペルオキソチタン酸水溶液を調製する。ついでさ
らに高温で熟成して酸化チタン微粒子の水分散ゾルを調
製する。
【0028】ペルオキソチタン酸水溶液を調製するに際
しては、オルソチタン酸のゲルまたはゾルあるいはこれ
らの混合物を、必要に応じて約50℃以上に加熱した
り、攪拌したりすることが好ましい。また、この際、オ
ルソチタン酸の濃度が高くなるすぎると、その溶解に長
時間を必要とし、さらに未溶解のゲルが沈殿したり、あ
るいは得られるペルオキソチタン酸水溶液が粘調になる
ことがある。このため、TiO2濃度としては、約10重
量%以下であることが好ましく、さらに約5重量%以下
であることが望ましい。
【0029】添加する過酸化水素の量は、H22/Ti
2(オルソチタン酸はTiO2に換算)重量比で1以上で
あれば、オルソチタン酸を完全に溶解することができ
る。H22/TiO2重量比が1未満であると、オルソチ
タン酸が完全には溶解せず、未反応のゲルまたはゾルが
残存することがある。また、H22/TiO2重量比は大
きいほど、オルソチタン酸の溶解速度は大きく反応時間
は短時間で終了するが、あまり過剰に過酸化水素を用い
ても、未反応の過酸化水素が系内に残存するだけであ
り、経済的でない。前記した量で過酸化水素を用いる
と、オルソチタン酸は0.5〜20時間程度で溶解す
る。
【0030】ついでさらに50℃以上の高温で熟成して
酸化チタン微粒子の水分散ゾルを調製することができ
る。さらに、得られた酸化チタン微粒子の水分散ゾル
は、必要に応じて水酸化アンモニウムおよび/または有
機塩基の存在下、50〜300℃、好ましくは80℃〜
250℃の温度範囲で水熱処理することができる。有機
塩基としては後述する有機塩基と同様のものを用いるこ
とができる。
【0031】水酸化アンモニウムおよび/または有機塩
基の使用量は、分散液のpHが室温基準で8〜14、さ
らには10〜13.5となるように添加することが好ま
しい。上記温度範囲および分散液のpH範囲で水熱処理
すると、最終的に得られる管状酸化チタンの結晶性およ
び収率が向上する傾向にある。
【0032】なお、上記(a),(b)工程において、チタン
化合物として水素化チタン微粉体を使用することによっ
てペルオキソチタン酸水溶液、ついで酸化チタン微粒子
の水分散ゾルを調製することもできる。この場合、この
ような水素化チタン微粉体を水に分散させれば、上記
(a)工程で調製したオルソチタン酸のゲルまたはゾルの
代わりとなる。
【0033】水酸化チタン微粉体を水に分散させる際
に、TiO2濃度としては、約10重量%以下であること
が好ましく、さらに好ましい範囲は約5重量%以下であ
ることが望ましい。また、オルソチタン酸の代わりに、
水素化チタン微粉体を用いる場合であっても、添加する
過酸化水素の量は、同様にH22/TiO2(水素化チタ
ンはTiO2に換算)重量比で1以上であればよい。この
とき、水素化チタン微粉体の水分散体を、必要に応じて
約50℃以上に加熱したり、攪拌したりしてもよい。
【0034】なお、酸化チタン系複合酸化物粒子の水分
散液(ゾル)を調製するには前記オルソチタン酸のゲル
またはゾルあるいはこれらの混合物に、過酸化水素を添
加してオルソチタン酸を溶解したペルオキソチタン酸水
溶液にたとえばチタン以外の元素の無機化合物粒子(た
とえば、シリカ粒子、シリカゾル、アルミナ粒子、ジル
コニア粒子)、アルコキシシラン、金属アルコキシド、
塩化ジルコニウム、塩化マグネシウムなどの塩を混合し
て加熱し、さらに必要に応じて前記工程(b)と同様にし
て水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基の存在
下、50〜300℃、好ましくは80〜250℃の温度
範囲で水熱処理することによって調製することができ
る。
【0035】水熱処理工程 このようにして調製した(i)酸化チタン粒子および/ま
たは(ii)酸化チタン系複合酸化物粒子の水分散ゾルをア
ルカリ金属水酸化物の存在下で水熱処理する。アルカリ
金属水酸化物としてはLiOH、NaOH、KOH、Rb
OH、CsOHおよびこれらの混合物を用いることがで
き、特にNaOH、KOHおよびこれらの混合物は管状
酸化チタン粒子の収率が高く好適である。
【0036】このときのアルカリ金属水酸化物の添加量
は、ゾル中の酸化チタン粒子または酸化チタン系複合酸
化物粒子中のTiO2のモル数(TM)とアルカリ金属水
酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM)/(TM)が
1〜30、さらには2〜25の範囲にあることが好まし
い。(AM)/(TM)が前記範囲内にあれば、効率よく
管状酸化チタン粒子を製造することができる。モル比
(AM)/(TM)が前記範囲の下限より少ない場合は、
酸化チタン粒子または酸化チタン系複合酸化物粒子の結
晶性化自体が起きにくいので、管状酸化チタン粒子が得
られず、またモル比(AM)/(TM)が前記範囲の上限
を越えていると板状の酸化チタン粒子が増加して管状酸
化チタン粒子の収率が低下する傾向にある。
【0037】本発明では、アルカリ金属水酸化物ととも
に、水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基との共
存下に水熱処理をしてもよい。また、有機塩基として
は、テトラメチルアンモニウム塩などの第4級アンモニ
ウム塩または水酸化物、モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類を
挙げることができる。
【0038】このような水酸化アンモニウムおよび/ま
たは有機塩基を共存させる場合、これらの添加量は、水
酸化アンモニウムおよび/または有機塩基のモル数(O
M)と(AM)との合計モル数とTiO2のモル数
(TM)との比[(AM)+(OBM)]/(TM)が1〜3
0、好ましくは2〜25となるように添加することが望
ましい。また、水酸化アンモニウムおよび/または有機
塩基が共存している場合、AM:OBMモル比は、0:1
より多く1:1まで、好ましくは0:1より多く0.
5:1までの範囲にあることが望ましい。このように水
酸化アンモニウムおよび/または有機塩基を共存させる
と、アルカリ金属水酸化物の使用量を少なくすることが
できるので、管状酸化チタン微粒子中に含まれるアルカ
リ金属不純物の量を少なくすることができる。このた
め、このような管状酸化チタン粒子を触媒や光触媒とし
て好適に使用することが可能となる。
【0039】上記のようなアルカリ金属水酸化物および
必要に応じて水酸化アンモニウムおよび/または有機塩
基の存在下で、酸化チタン粒子および/または酸化チタ
ン系複合酸化物粒子の水分散ゾルを50〜350℃、好
ましくは80〜250℃の温度範囲で水熱処理する。こ
のような温度範囲にあれば、効率よく管状酸化チタン粒
子を製造することができる。なお水熱処理温度が前記温
度範囲未満では、管状酸化チタン微粒子の生成に長時間
を要し、また管状酸化チタン微粒子の収率が低く、水熱
処理温度が上記温度範囲を越えても管状酸化チタン微粒
子の生成速度が速くなったり、収率がさらに高くなるこ
ともなく、余計に熱エネルギーを使用することになる。
【0040】得られた管状酸化チタン微粒子は、つい
で、必要に応じて洗浄してもよい。洗浄方法としてはア
ルカリ金属等を低減できれば特に制限はなく、従来公知
の脱水濾過法、限外濾過膜法、イオン交換樹脂法、電気
透析、逆浸透法等を採用することができる。また、塩
酸、硝酸などの酸を用いて洗浄することもできる。本発
明では、以上のようなアルカリ金属水酸化物および必要
に応じて水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基の
共存下に水熱処理した後、必要に応じて洗浄し、得られ
た粒子分散液に、さらにアルカリ金属カチオン以外のカ
チオン(プロトンを含む)存在下で水熱処理をしてもよ
い。
【0041】すなわち、本発明に係る他の管状酸化チタ
ン粒子の製造方法としては、前記した(i)酸化チタン粒
子および/または(ii)酸化チタンと酸化チタン以外の酸
化物の水分散ゾルを、アルカリ金属水酸化物の存在下、
および必要に応じて水酸化アンモニウムおよび/または
有機塩基の共存下に水熱処理した後(1段目)、さらに
アルカリ金属カチオン以外のカチオン(プロトンを含
む)存在下で水熱処理する(2段目)ことを特徴として
いる。
【0042】1段目で水熱処理において、使用される金
属水酸化物の存在下、水酸化アンモニウム、有機塩基の
種類、量および処理条件は前記と同一である。1段目の
アルカリ金属水酸化物の存在下に水熱処理したのち、必
要に応じて分散液を、洗浄し、分散液・粒子表面の遊離
アルカリ金属不純物を除去してもよい。また、2段目の
水熱処理では、アルカリ金属カチオン以外のカチオン
(プロトンを含む)存在下で水熱処理する。カチオン源
としては、酸、アルカリ金属を含まない塩、有機塩基な
どが挙げられる。酸としては、塩酸、硝酸、硫酸などの
鉱酸が挙げられる。またアルカリ金属を含まない塩とし
ては、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アン
モニウム、酢酸アンモニウムなどのアンモニウム塩が挙
げられる。有機塩基としては水酸化アンモニウム、テト
ラメチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩ま
たは当該アンモニウムイオンを含む水酸化物、モノエタ
ノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールア
ミンなどのアミン類等をあげることができる。
【0043】このような酸、アルカリ金属を含まない
塩、有機塩基の使用量は、酸化チタン粒子または酸化チ
タン系複合酸化物粒子中のTiO2のモル数(TM)と前記
酸、アルカリ金属を含まない塩、有機塩基のモル数(P
M)とのモル比(PM/TM)が1〜30、さらに2〜1
5の範囲にあることが好ましい。上記2段目の水熱処理
を行うと、高温で焼成することなく得られる管状酸化チ
タンの結晶性が向上させることができる。
【0044】さらには、酸化チタン粒子中のアルカリ金
属残存量も減少するので、触媒、触媒担体、光触媒、化
粧材料、光学材料、光電変換材料など等に用いるに際し
て結晶性の高い結晶性管状酸化チタン粒子を製造するこ
とができる。2段目で行うアルカリ金属カチオン以外の
カチオンの存在下でも、水熱処理は、さらに複数回繰り
返してもよい。
【0045】なお、2段目の水熱処理で得られる管状酸
化チタン粒子と、1段目の水熱処理で得られる管状酸化
チタン粒子は、粒子中に不純物として含まれるアルカリ
金属量が、2段目の方が少なく、結晶制が高くなること
を除いて、粒子形状、比表面積などは変化しない。この
ようにして得られる管状酸化チタン粒子は、外径(Dou
t)が5〜40nmの範囲にあり、内径(Din)が4〜
20nmの範囲にあり、管の厚みが0.5〜10nmの
範囲にあり、長さ(L)が50〜500nmの範囲にあ
り、この長さ(L)と前記外径(Dout)との比(L)
/(Dout)が10〜100の範囲にある。
【0046】このような管状酸化チタン粒子中の電子顕
微鏡写真を図1に示す。上記外径(Dout)、内径(Di
n)、長さ(L)等は透過型電子顕微鏡写真を撮影し、
100個の粒子について各値を測定し、この平均値とし
てもとめる。また、内径(Din)は、外径を求める線の
内側に認められるコントラストの境をなす線より求める
ことができる。
【0047】また得られる管状酸化チタン粒子の結晶型
は、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブ
ルッカイト型酸化チタンなどある。なお、得られる粒子
の結晶性は、加熱処理、原料酸化チタンゾルの種類など
に応じて変化する。特に、アルカリ処理を2段階で行
い、かつ2段目以降で水酸化アンモニウムおよび/また
は有機塩基の存在下で水熱処理して得られる管状酸化チ
タン粒子は、アルカリ含有量がNa2Oとして0.1重量
%以下、好ましくは0.05重量%以下、特に好ましく
は0.01重量%以下である。
【0048】このような管状酸化チタン粒子は、触媒、
吸着剤、紫外線吸収剤等に好適に使用できる。特に、管
状酸化チタン粒子のアルカリ含有量がNa2Oとして0.
01重量%以下の場合は、光触媒、光電変換用半導体材
料等として有用である。また触媒として使用する場合、
通常、白金、ニッケル、銀などの金属を担持して使用さ
れる。また管状であることを利用して、フィルター、管
内に有機・無機・金属材料を挿入して新たな機能性を有
する材料、磁性材料を管内に挿入して磁性特性を有する
材料などとしても使用することが可能である。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、酸化チタン源として特
定粒子径範囲にある酸化チタン粒子および/または酸化
チタンと酸化チタン以外の酸化物からなる酸化チタン系
複合酸化物粒子の水分散ゾルを用いるので酸化チタン源
を高温で焼成して結晶化させる必要が無く、得られる管
状酸化チタンは、収率が高く、凝集体が少なく粒子形状
が均一であり、さらにはアルカリ金属残存量の少ない管
状酸化チタンが得られ、このため、触媒、触媒担体、光
触媒、化粧材料、光学材料、光電変換材料などの機能性
材料原料として有用な管状酸化チタン粒子の製造方法お
よび管状酸化チタン粒子を提供することができる。
【0050】
【実施例】以下、実施例により説明するが、本発明はこ
れらの実施例により限定されるものではない。
【0051】
【実施例1】酸化チタン粒子(T-1)分散液の調製 塩化チタン水溶液を純水で希釈してTiO2として濃度5
重量%の塩化チタン水溶液を調製した。この水溶液を、
温度を5℃に調節した濃度15重量%のアンモニア水に
添加して中和・加水分解した。塩化チタン水溶液添加後
のpHは10.5であった。ついで、生成したゲルを濾
過洗浄し、TiO2として濃度9重量%のオルソチタン酸
のゲルを得た。
【0052】このオルソチタン酸のゲル100gを純水
2900gに分散させた後、濃度35重量%の過酸化水
素水800gを加え、攪拌しながら、85℃で3時間加
熱し、ペルオキソチタン酸水溶液を調製した。得られた
ペルオキソチタン酸水溶液のTiO2として濃度は0.5
重量%であった。(なお分散媒は水)ついで95℃で1
0時間加熱して酸化チタン粒子分散液とし、この酸化チ
タン粒子分散液に分散液中のTiO2に対するモル比が
0.016となるようにテトラメチルアンモニウムハイ
ドロオキサイド(TMAH、MW=149.2)を添加した。このとき
の分散液のpHは11であった。ついで、230℃で5
時間水熱処理して酸化チタン粒子(T-1)分散液を調製
した。酸化チタン粒子(T-1)の平均粒子径を表1に示
す。
【0053】管状酸化チタン粒子(PT-1-1)の調製 上記酸化チタン粒子(T-1)分散液に、濃度40重量%の
NaOH水溶液70gを、TiO2のモル数(TM)とアル
カリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM)/
(TM)が10となるように添加し、150℃で2時間
水熱処理した。得られた粒子は純水にて充分洗浄した。
このときのNa2O残存量は0.9重量%であった。つい
で陽イオン交換樹脂にてアルカリを低減した管状酸化チ
タン粒子(PT-1-1)を調製した。得られた粒子(PT-1-
1)についてNa2O残存量を分析し、またX線回折法に
より結晶性を測定し、以下の基準で評価した。
【0054】結果を表1に合わせて示す。 〈基準〉 格子定数d=1.89のピークの高さを基に評価 管状酸化チタン粒子(PT-1-1)より明らかに高い:◎ 管状酸化チタン粒子(PT-1-1)と同程度 :○ 管状酸化チタン粒子(PT-1-1)より明らかに低い:△ 実質的に無定型 :× なおPT-1-1の結晶性はアナターゼであった。
【0055】
【実施例2】管状酸化チタン粒子(PT-1-2)の調製実施
例1で得られた管状酸化チタン粒子(PT-1-1)の水分散
液(TiO2としての濃度5重量%)に有機塩基としてテ
トラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)をT
iO2に対するモル比が0.1となるように添加した。こ
のときのpHは13.2であった。ついで分散液を19
0℃で5時間水熱処理して管状酸化チタン粒子(PT-1-
2)を調製した。
【0056】得られた管状酸化チタン粒子(PT-1-2)を
水洗したのち、乾燥し、アルカリを分析し、また粒子の
TEM写真を撮影して平均粒子長(L)と平均管外径
(Dout)および平均管内径(Din)を求め、また粒子
の比表面積および結晶性を評価した。結果を表1に示
す。
【0057】
【実施例3】管状酸化チタン粒子(PT-2-1)の調製 実施例1と同様にして調製した酸化チタン粒子(T-1)
分散液に、濃度40重量%のNaOH水溶液40gと、
濃度25重量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオ
キサイド(TMAH)水溶液358gとをTiO2のモル数(T
M)に対するアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)と有
機塩基のモル数(OBM)の合計モル数とのモル比[(A
M)+(OBM)]/(TM)が10となるように添加し、
150℃で2時間水熱処理した。得られた粒子は純水に
て充分洗浄した。このときのNa2O残存量は0.3重量
%であった。ついで陽イオン交換樹脂にてアルカリを低
減した管状酸化チタン粒子(PT-2-1)を調製した。得ら
れた粒子(PT-2-1)についてNa2O残存量を分析し、ま
たX線回折法により結晶性を測定した。
【0058】結果を表1に示す。
【0059】
【実施例4】管状酸化チタン粒子(PT-2-2)の調製 上記実施例3で得た管状酸化チタン粒子(PT-2-1)の水
分散液(TiO2としての濃度5重量%)に有機塩基とし
てテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)
をTiO2に対するモル比が0.1となるように添加し
た。このときのpHは13.0であった。ついで分散液
を230℃で5時間水熱処理して管状酸化チタン粒子
(PT-2-2)を調製した。
【0060】得られた管状酸化チタン粒子(PT-2-2)を
水洗したのち、乾燥し、アルカリを分析し、また粒子の
TEM写真を撮影して平均粒子長(L)と平均管外径
(Dout)および平均管内径(Din)を求め、また粒子
の比表面積および結晶性を評価した。結果を表1に示
す。
【0061】
【実施例5】酸化チタン系複合酸化物粒子(T-3)分散液
の調製 実施例1と同様にしてTiO2として濃度が0.5重量%
ペルオキソチタン酸水溶液3800gを調製した。これ
にシリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI-350、
SiO2濃度30重量%、平均粒子径8nm)7.0gを
混合し、95℃で3時間加熱し、TiO2・SiO2として
の濃度が0.56重量%の酸化チタン系複合酸化物粒子
(T-3)分散液を調製した。なお、酸化物粒子(T-3)の
平均粒子径は表1に示した。
【0062】管状酸化チタン粒子(PT-3-1)の調製 上記酸化チタン系複合酸化物粒子(T-3)分散液に、濃度
40重量%のNaOH水溶液70gを、TiO2のモル数
(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモ
ル比(AM)/(TM)が10となるように添加し、15
0℃で2時間水熱処理した。得られた粒子は純水にて充
分洗浄した。このときのNa2O残存量は1.5重量%で
あった。
【0063】ついで陽イオン交換樹脂にてアルカリを低
減した管状酸化チタン粒子(PT-3-1)を調製した。得ら
れた粒子(PT-3-1)についてNa2O残存量を分析し、ま
たX線回折法により結晶性を測定した。結果を表1に示
す。
【0064】
【実施例6】管状酸化チタン粒子(PT-3-2)の調製 上記実施例5で得た管状酸化チタン粒子(PT-3-1)の水
分散液(TiO2・SiO2としての濃度3重量%)に有機
塩基としてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイ
ド(TMAH )をTiO2に対するモル比が0.1となるように
添加した。このときのpHは13.0であった。ついで
分散液を230℃で5時間水熱処理して管状酸化チタン
粒子(PT-3-2)を調製した。
【0065】得られた管状酸化チタン粒子(PT-3-2)を
水洗したのち、乾燥し、アルカリおよびSiO2を分析
し、また粒子のTEM写真を撮影して平均粒子長(L)
と平均管外径(Dout)および平均管内径(Din)を求
め、また粒子の比表面積および結晶性を評価した。結果
を表1に示す。
【0066】
【実施例7】酸化チタン系複合酸化物粒子(T-4)分散液
の調製 実施例1と同様にしてTiO2として濃度が0.5重量%
ペルオキソチタン酸水溶液3800gを調製した。これ
にシリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI-550、
SiO2濃度30重量%、平均粒子径8nm)15.8g
を混合し、95℃で3時間加熱し、TiO2・SiO2 とし
ての濃度が0.62重量%の酸化チタン系複合酸化物粒
子(T-4)分散液を調製した。酸化物粒子(T-4)の平均
粒子径は表1に示した。
【0067】管状酸化チタン粒子(PT-4-1)の調製 上記酸化チタン系複合酸化物粒子(T-4)分散液に、濃度
40重量%のNaOH水溶液70gを、TiO2のモル数
(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモ
ル比(AM)/(TM)が10となるように添加し、15
0℃で2時間水熱処理した。得られた粒子は純水にて充
分洗浄した。このときのNa2O残存量は2.0重量%で
あった。ついで陽イオン交換樹脂にてアルカリを低減し
た管状酸化チタン粒子(PT-4-1)を調製した。得られた
粒子(PT-4-1)についてNa2O残存量を分析し、またX
線回折法により結晶性を測定した。
【0068】結果を表1に示す。
【0069】
【実施例8】管状酸化チタン粒子(PT-4-2)の調製 上記実施例7で得た管状酸化チタン粒子(PT-4-1)の水
分散液(TiO2・SiO2としての濃度3重量%)に有機
塩基としてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイ
ド(TMAH )をTiO2に対するモル比が0.1となるように
添加した。このときのpHは13.5であった。ついで
分散液を230℃で5時間水熱処理して管状酸化チタン
粒子(PT-4-2)を調製した。
【0070】得られた管状酸化チタン粒子(PT-4-2)を
水洗したのち、乾燥し、アルカリおよびSiO2を分析
し、また粒子のTEM写真を撮影して平均粒子長(L)
と平均管外径(Dout)および平均管内径(Din)を求
め、また粒子の比表面積および結晶性を評価した。結果
を表1に示す。
【0071】
【実施例9】酸化チタン系複合酸化物粒子(T-5)分散液
の調製 実施例1と同様にしてTiO2として濃度が0.5重量%
ペルオキソチタン酸水溶液3800gを調製した。これ
にアルミナゾル(触媒化成工業(株)製:AS-2、Al
23濃度10重量%)21gを混合し、95℃で3時間
加熱し、TiO2・Al23としての濃度が0.55重量%
の酸化チタン系複合酸化物粒子(T-5)分散液を調製し
た。酸化チタン系複合酸化物粒子(T-5)の平均粒子径は
表1に示した。
【0072】管状酸化チタン粒子(PT-5-1)の調製 上記酸化チタン系複合酸化物粒子(T-5)分散液に、濃度
40重量%のNaOH水溶液70gを、TiO2のモル数
(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモ
ル比(AM)/(TM)が10となるように添加し、15
0℃で2時間水熱処理した。得られた粒子は純水にて充
分洗浄した。このときのNa2O残存量は1.6重量%で
あった。ついで陽イオン交換樹脂にてアルカリを低減し
た管状酸化チタン粒子(PT-5-1)を調製した。得られた
粒子(PT-5-1)についてNa2O残存量を分析し、またX
線回折法により結晶性を測定した。
【0073】結果を表1に示す。
【0074】
【実施例10】管状酸化チタン粒子(PT-5-2)の調製 上記実施例9で得た管状酸化チタン粒子(PT-5-1)の水
分散液(TiO2・Al23としての濃度3重量%)に有機
塩基としてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイ
ド(TMAH)をTiO2に対するモル比が0.1となるように
添加した。このときのpHは13.2であった。ついで
分散液を230℃で5時間水熱処理して管状酸化チタン
粒子(PT-5-2)を調製した。
【0075】得られた管状酸化チタン粒子(PT-5-2)を
水洗したのち、乾燥し、アルカリおよびAl23を分析
し、また粒子のTEM写真を撮影して平均粒子長(L)
と平均管外径(Dout)および平均管内径(Din)を求
め、また粒子の比表面積および結晶性を評価した。結果
を表1に示す。
【0076】
【実施例11】酸化チタン系複合酸化物粒子(T-6)分散液の調製 実施例
1と同様にしてTiO2として濃度が0.5重量%ペルオ
キソチタン酸水溶液3800gを調製した。これに下記
のようにして調製したジルコニアゾル19gを混合し、
95℃で3時間加熱し、TiO2・ZrO2としての濃度が
0.52重量%の酸化チタン系複合酸化物粒子(T-6)分
散液を調製した。酸化物粒子(T-6)の平均粒子径は表
1に示した。 〈ジルコニアゾルの調製〉塩化ジルコニウムとして0.
036重量%を含む塩化ジルコニウム水溶液5Kgを乾
留器付きフラスコに入れ、よく撹拌しながら0.1Nの
アンモニア水290gを徐々に添加した。さらにこの液
を95℃で50時間加熱して、ZrO2としての濃度が
0.034重量%、pH1.8の乳白色ゾルを得た。さら
に0.1Nのアンモニア水を添加してpH4.8とした
後、イオン交換水で濾液に塩素イオンが検出されなくな
るまで洗浄し、分散液としてZrO2濃度5重量%のジル
コニアゾル(平均粒子径50nm)を調製した。
【0077】管状酸化チタン粒子(PT-6-1)の調製 上記酸化チタン粒子(T-6)分散液に、濃度40重量%
のNaOH水溶液70gを、TiO2のモル数(TM)とア
ルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM
/(TM)が10となるように添加し、150℃で2時
間水熱処理した。得られた粒子は純水にて充分洗浄し
た。このときのNa2O残存量は1.7重量%であった。
ついで陽イオン交換樹脂にてアルカリを低減した管状酸
化チタン粒子(PT-6-1)を調製した。得られた粒子(PT
-6-1)についてNa2O残存量を分析し、またX線回折法
により結晶性を測定した。
【0078】結果を表1に示す。
【0079】
【実施例12】管状酸化チタン粒子(PT-6-2)の調製 上記実施例11で得た管状酸化チタン粒子(PT-6-1)の
水分散液(TiO2・ZrO2としての濃度3重量%)に有
機塩基としてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサ
イド(TMAH)をTiO2に対するモル比が0.1となるよう
に添加した。このときのpHは13.5であった。つい
で分散液を230℃で5時間水熱処理して管状酸化チタ
ン粒子(PT-6-2)を調製した。
【0080】得られた管状酸化チタン粒子(PT-6-2)を
水洗したのち、乾燥し、アルカリおよびZrO2を分析
し、また粒子のTEM写真を撮影して平均粒子長(L)
と平均管外径(Dout)および平均管内径(Din)を求
め、また粒子の比表面積および結晶性を評価した。結果
を表1に示す。
【0081】
【実施例13】管状酸化チタン粒子(PT-1-2)の調製 実施例1で得られた管状酸化チタン粒子(PT-1-1)の水
分散液(TiO2としての濃度5重量%)に有機塩基とし
てクエン酸をTiO2に対するモル比が3.0となるよう
に添加した。このときのpHは3.0であった。ついで
分散液を190℃で5時間水熱処理して管状酸化チタン
粒子(PT-1-13)を調製した。
【0082】得られた管状酸化チタン粒子(PT-1-13)
を水洗したのち、乾燥し、アルカリを分析し、また粒子
のTEM写真を撮影して平均粒子長(L)と平均管外径
(Dout)および平均管内径(Din)を求め、また粒子
の比表面積および結晶性を評価した。結果を表1に示
す。
【0083】
【比較例1】酸化チタン粒子(T-7)分散液の調製 実施例1と同様にして調製した酸化チタン粒子(T-1)分
散液を乾燥し、ついで600℃で2時間焼成し、これを
粉砕して平均粒子径200nmの酸化チタン粉体とし
た。ついで、水に分散してTiO2としての濃度10重量
%の酸化チタン粒子(T-7)分散液を調製した。
【0084】管状酸化チタン粒子(PT-7-1)の調製 上記酸化チタン粒子(T-7)分散液に、濃度40重量%
のNaOH水溶液70gを、TiO2のモル数(TM)とア
ルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM
/(TM)が10となるように添加し、150℃で2時
間水熱処理した。得られた粒子は純水にて充分洗浄し
た。このときのNa2O残存量は2.5重量%であった。
ついで陽イオン交換樹脂にてアルカリを低減した管状酸
化チタン粒子(PT-7-1)を調製した。得られた粒子(PT
-7-1)についてNa2O残存量を分析し、またX線回折法
により結晶性を測定した。結果を表1に示す。
【0085】
【比較例2】管状酸化チタン粒子(PT-7-2)の調製 比較例1で得た管状酸化チタン粒子(PT-7-1)の水分散
液(TiO2としての濃度3重量%)に有機塩基としてテ
トラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)をT
iO2に対するモル比が0.1となるように添加した。こ
のときのpHは13.2であった。ついで分散液を23
0℃で5時間水熱処理して管状酸化チタン粒子(PT-7-
2)を調製した。
【0086】得られた管状酸化チタン粒子(PT-7-2)を
水洗したのち、乾燥し、アルカリを分析し、また粒子の
TEM写真を撮影して平均粒子長(L)と平均管外径
(Dout)および平均管内径(Din)を求め、また粒子
の比表面積および結晶性を評価した。結果を表1に示
す。
【0087】
【比較例3】酸化チタン系複合酸化物粒子(T-8)分散液
の調製 実施例5と同様にして調製した酸化チタン系複合酸化物
粒子(T-3)分散液を乾燥し、ついで600℃で2時間焼
成し、これを粉砕して平均粒子径300nmの酸化チタ
ン粉体とした。ついで、水に分散してTiO2・SiO2
しての濃度10重量%の酸化チタン系複合酸化物粒子(T
-8)分散液を調製した。
【0088】管状酸化チタン粒子(PT-8-1)の調製 上記酸化チタン系複合酸化物粒子(T-8)分散液に、濃度
40重量%のNaOH水溶液70gを、TiO2のモル数
(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモ
ル比(AM)/(TM)が10となるように添加し、15
0℃で2時間水熱処理した。得られた粒子は純水にて充
分洗浄した。このときのNa2O残存量は5.0重量%?
であった。ついで陽イオン交換樹脂にてアルカリを低減
した管状酸化チタン粒子(PT-8-1)を調製した。得られ
た粒子(PT-8-1)についてNa2O残存量を分析した。結
果を表1に示す。
【0089】
【比較例4】管状酸化チタン粒子(PT-8-2)の調製 比較例3で得た管状酸化チタン粒子(PT-8-1)の水分散
液(TiO2としての濃度3重量%)に有機塩基としてテ
トラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)をT
iO2に対するモル比が0.1となるように添加した。こ
のときのpHは13.2であった。ついで分散液を23
0℃で5時間水熱処理して管状酸化チタン粒子(PT-8-
2)を調製した。
【0090】得られた管状酸化チタン粒子(PT-8-2)を
水洗したのち、乾燥し、アルカリおよびSiO2 を分析
し、また粒子のTEM写真を撮影して平均粒子長(L)
と平均管外径(Dout)および平均管内径(Din)を求
め、また粒子の比表面積および結晶性を評価した。結果
を表1に示す。
【0091】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で得られる管状酸化チタン粒子のTEM
写真を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/004 505 G03F 7/004 505 (72)発明者 田 中 敦 福岡県北九州市若松区北湊町13番2号 触 媒化成工業株式会社若松工場内 Fターム(参考) 2H025 CC12 4G047 CA02 CB05 CB08 CC03 CD04 4G069 AA08 AA11 BA01A BA01B BA02A BA02B BA04A BA04B BA05A BA05B BA20A BA20B BA21C BA26A BA44A BA47C BA48A BB01C BB05C BB06A BC01A BC01C BC02C BC03C BC04C BC05C BC06C BC08A BC15A BC20A BC24A BC30A BC34A BC38A BC40A BC43A BC49A BC53A BC57A BC60A BC61A BC65A BC66A BC69A BD01C BD02C BD06C EA01X EA01Y EB18Y EC03Y FA01 FB06 FB10 FC04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i)酸化チタン粒子および/または(ii)酸
    化チタンと酸化チタン以外の酸化物からなる酸化チタン
    系複合酸化物粒子が水に分散してなり、かつこれらの粒
    子の平均粒子径が2〜100nmの範囲にある水分散ゾ
    ルを、アルカリ金属水酸化物の存在下で水熱処理するこ
    とを特徴とする管状酸化チタン粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】アルカリ金属水酸化物とともに、水酸化ア
    ンモニウムおよび/または有機塩基の共存下に水熱処理
    することを特徴とする請求項1に記載の管状酸化チタン
    粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】(i)酸化チタン粒子および/または(ii)酸
    化チタンと酸化チタン以外の酸化物からなる酸化チタン
    系複合酸化物粒子が水に分散してなり、かつこれらの粒
    子の平均粒子径が2〜100nmの範囲にある水分散ゾ
    ルを、アルカリ金属水酸化物の存在下、および必要に応
    じて水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基の共存
    下に水熱処理した後、さらにアルカリ金属カチオン以外
    のカチオン(プロトンを含む)存在下で水熱処理するこ
    とを特徴とする管状酸化チタン粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】前記酸化チタン以外の酸化物が周期律表の
    第Ia族、第Ib族、第IIa族、第IIb族、第IIIa族、第IIIb
    族、第IVa族、第IVb族、第Va族、第Vb族、第VIa族、第V
    Ib族、第VIIa族、第VIII族から選ばれる元素の1種以上
    の酸化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載の管状酸化チタン粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】前記酸化チタン以外の酸化物がSiO2、Z
    rO2、ZnO、Al23、CeO2、Y 23、Nd23、W
    3、Fe23、Sb25から選ばれる1種以上であるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の管状酸
    化チタン粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】前記酸化チタンがペルオキソチタン酸に由
    来するものであることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載の管状酸化チタン粒子の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法
    で得られた管状酸化チタン粒子であり、かつ粒子中のナ
    トリウム含有量がNa2O換算で0.1重量%以下である
    ことを特徴とする管状酸化チタン粒子。
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