JP2003129215A - チタン合金ねじ部品の製造方法とそれを用いたチタン合金ねじ部品 - Google Patents
チタン合金ねじ部品の製造方法とそれを用いたチタン合金ねじ部品Info
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Abstract
表面の肌荒れや水素の侵入などによる疲労強度の低下を
改善する方法およびこの方法を用いたチタン合金部品を
提供することである。 【解決手段】 チタン合金のボルト素材を溶体化処理及
び時効処理した後に、雰囲気ガスの温度が350℃〜7
00℃の範囲に、その圧力が10〜2000Paの範囲
にあるプラズマ浸炭処理を施し、このプラズマ浸炭処理
後に、アルゴン雰囲気下で150℃から350℃の温度
域に再加熱し、ねじ転造加工をするようにしたのであ
る。このように、プラズマ浸炭処理後にねじ転造加工を
することにより、疲労破壊が発生しやすいねじ谷底部の
加工硬化層が軟化せず、また、圧縮応力が緩和せず、さ
らに、プラズマ浸炭処理によって生じた肌荒れが平滑化
されるなどの転造効果が維持され、チタン合金ねじ部品
の疲労強度が改善される。
Description
理を施したチタン合金ねじ部品の疲労特性を改善する製
造方法とそれを用いたチタン合金ねじ部品に関する。
性及び耐食性などに優れた特性を有しているため、航空
機材料として重要な位置を占めており、その使用量も増
加しつつあり、航空機の高速化や大型化などに伴い、外
板、フレーム、結合金具類やファスナー類などの一次構
造部材に使用されるようになり、純チタンよりも強度の
高いチタン合金が主として使用されている。また、チタ
ン合金は、その良好な耐食性と比強度のバランスを活か
して、海洋分野、発電分野や自動車分野などにおいても
実用例が見られる。
類では、熱応力を含めて繰返し応力を受ける苛酷な条件
で使用される場合や、また、炭素繊維強化プラスチック
の炭素繊維との接触電位差が小さく、腐食を引き起しに
くい利点を有することなどから、航空機の尾翼などに採
用される前記炭素繊維強化プラスチック積層材の締結に
も使用される場合などがある。
品としての所要の耐摩耗性及び設計上必要な締め付け力
を確保するための良好な摺動性などの特性が要求され
る。しかし、チタン合金は、無潤滑の状態では摩擦係数
が大きいため、焼付きの問題が生じる。一般に、潤滑
油、黒鉛、二硫化モリブデンなどの潤滑剤を使用するこ
とにより、摩擦係数を下げることができるが、長時間の
使用に耐えることができない。また、フェノール樹脂な
どにアルミ粉などの金属粉を混ぜた樹脂コーティングを
用いると、耐久性は改善されるが、導電性がないため
に、万一、飛行中に落雷があると、前記ねじ部品にごく
短時間、高電圧がかかり、前記プラスチック積層材とね
じ部品との空気間隙が膨らんで、小爆発を起こし、被締
結材が破損して墜落する危険性がある。この対策とし
て、前記ねじ部品を金属箔で覆ったり、アース取りをす
るなどにより導電性をもたせる方法がとられているが、
これには多大の費用を要している。
そして、万一の落雷時にも、安全性を確保するために
は、チタン合金の表面に耐摩耗性および摺動性を向上さ
せ、かつ導電性のある表面硬化処理をすることが必要で
ある。
処理を行う方法が知られている。このプラズマ浸炭処理
は、真空雰囲気中で、例えば、処理室内の上部断熱材が
直流電源の陽極に接続され、被処理物の載置台が前記直
流電源の陰極に接続され、両極間に直流電圧を加えてグ
ロー放電を生じさせ、処理室の要所に設けたマニホール
ドから、まず、水素ガスとアルゴンまたは窒素などの不
活性ガスとの混合ガスを導入し、イオン化した水素やア
ルゴンまたは窒素を金属被処理物の表面に衝突させて、
酸化被膜などの付着物除去してクリーニングを行う。次
いで、メタンやプロパンなどの炭化水素系の浸炭用ガス
と希釈ガスとの混合ガスを導入し、前記グロー放電によ
り活性炭素イオンを発生させ、この活性炭素イオンがチ
タン金属などの金属被処理物の表面に衝突して付着し内
部に拡散する、または加速された活性炭素イオンが金属
処理物の表面に衝突した際に、直接、内部に打ち込まれ
るなどして、Tiなどの金属原子と結合して、表面部に
TiCなどの金属炭化物の硬化層を形成する処理であ
る。
浸炭処理工程においては、浸炭処理時に加速された活性
炭素イオンがチタン合金の表面に衝突し、また、前処理
のクリーニング処理において、イオン化した窒素や水素
が酸化被膜などの付着物を撥ね飛ばす際に表面に衝突す
るなどのために、チタン合金の表面粗さは、プラズマ浸
炭処理の前に比べて大きくなり、肌荒れを生じる。この
ような肌荒れ、即ち表面の凹凸は結晶粒のずれをもたら
し、その部分が応力の集中源となるために、亀裂が発生
しやすくなり、とくに、亀裂などの切欠き効果に敏感な
チタン合金の疲労強度を低下させる原因となる。
ン化して、雰囲気内に存在するため、前記浸炭処理を施
さない場合に比べて、水素が被処理物内の、とくに表層
部に侵入しやすくなる。そのため、前記浸炭処理物は、
靱性の低下や引張り強度よりも低い荷重で疲労破壊する
など、所謂水素脆性を引起しやすくなる。
条件においても安全性が要求される航空機部品は勿論、
海洋分野や発電分野など他の産業分野において用いられ
るチタン合金部品にとって致命的な欠点となる。
処理を施したチタン合金ねじ部品の肌荒れや水素の侵入
などによる疲労強度の低下を改善する製造方法およびこ
の方法により製造されたチタン合金ねじ部品を提供する
ことである。
めに、この発明では、チタン合金ねじ部品の製造にあた
り、チタン合金素材を溶体化処理および時効処理した後
にプラズマ浸炭処理を施し、その後にねじ転造加工をす
るようにしたのである。
転造加工を行うことにより、転造ダイス面に設けたねじ
山が、チタン合金素材に食い込んで谷を形成し、押しの
けられた材料が流動して前記ダイス面のねじ山間に充満
してねじ山が成形され、ねじ面に沿って材料のマクロ組
織が連続して流れる。また、表面層、とくに、疲労破壊
が発生しやすいねじ谷底部が加工硬化し、圧縮応力が残
留し、さらに、このような塑性変形によってプラズマ浸
炭処理によって生じた肌荒れが平滑化される、などの転
造効果が得られる。このねじ転造加工が仕上げ加工とな
るために、前記転造効果がねじ部品に残存する。
た流れ、および表層部の加工硬化は強度の上昇をもたら
す。そして、前記圧縮残留応力は、負荷時の表層部の引
張り応力成分を小さくし、または打ち消し、また、チタ
ン合金表面の平滑化により応力集中が緩和されることと
相まって、表面の凹凸および表層部のα相とβ相の界面
に析出した水素化物を起点とする亀裂発生までの潜伏期
間が長くなり、亀裂の発生が遅延する。これらによっ
て、前記の肌荒れおよび水素脆性による疲労強度の低下
が改善される。
が350℃から700℃の範囲にあり、その圧力が10
〜2000Paの範囲にあることが望ましい。
雰囲気ガス温度が700℃を越える高温域では、前記時
効処理により生成した析出物が凝集、粗大化してチタン
合金部品の強度が低下するなどの材質劣化のおそれがあ
る。また、前記雰囲気ガス温度が、350℃よりも低い
低温域では、被処理物のチタン合金部品の表面に衝突し
た前記活性炭素イオンの部品内部への拡散が困難にな
り、前記部品の表面に煤が生成して、表層部に所望の浸
炭層、即ちTiCの硬化層を形成することが困難にな
る。
高圧では、雰囲気ガス中の活性炭素イオン濃度が高くな
って、チタン合金部品の表層部の侵入炭素量が飽和状態
となって、これ以上に前記製品表面に活性炭素イオンが
衝突しても、内部へ拡散せず、部品表面に煤が生成する
ようになる。
の低圧では、雰囲気ガス中の活性炭素イオン量の濃度が
低くなって、チタン合金部品の表層部の侵入炭素量が少
なくなり過ぎ、所望のTiCの硬化層が形成できず、前
記の耐摩耗性および摺動性を充分改善できなくなる。
は、浸炭速度が比較的遅いため、浸炭層、即ちTiCの
硬化層を、摺動特性の改善に必要な程度に、比較的薄く
形成しやすいので、プラズマ浸炭処理後でも、支障な
く、ねじ転造加工を行うことができる。とくに、加工性
の良好なβ型合金などでは、冷間でもクラックなどの表
面欠陥を発生せずに、ねじ転造加工を行うことができ
る。
域で行うことができる。
域で、即ち変形抵抗を下げた状態でチタン合金のねじ転
造加工を行えば、変形応力が小さくなって実質的に加工
性が向上するため、とくに、加工性があまり良好でな
い、Ti−6Al−4Vなどのα+β型合金に対して有
効である。また、転造圧力も低減して、転造ダイス寿命
の点でも好ましい。
であると、変形抵抗の低下が不十分となり、また、35
0℃を超える温度域でのねじ転造加工では、ねじ谷底な
どの加工硬化層が軟化し、圧縮残留応力が緩和され、い
ずれの場合も、上記の効果が得られない。
タン合金ねじ部品の製造方法を添付の図1および図2を
参照して説明する。
処理性及び成形性に優れた代表的なα+β型チタン合金
であるTi−6Al−4Vについて記せば、まず、所要
の長さに切断された前記チタン合金の丸棒が、前記溶体
化処理と同程度の900℃から980℃の温度域に加熱
され、周知のプレスにより、ボルト頭と所要の軸形状を
有するボルト素材が成形される。このボルト素材を、9
00℃から970℃の温度範囲に20分から70分程度
加熱保持した後、水冷することにより、溶体化処理が行
われ、次いで480℃から690℃の温度範囲に2〜8
時間保持することにより、時効処理が行われる。
電子工業社製)は、加熱炉の炉殻の内周面に取り付けら
れた断熱材等によって囲まれて処理室が形成され、この
処理室がその内部に設けたグラファイトロッドからなる
発熱体により加熱される。処理室内の上部断熱材が直流
電源の陽極に接続され、被処理物の載置台が前記直流電
源の陰極に接続され、両極間に直流電圧を加えてグロー
放電を生じさせ、処理室の要所に設けたマニホールドか
ら導入した炭化水素系の浸炭用ガスをイオン化して活性
炭素イオンを発生させ、この活性炭素イオンを被処理物
の表面に衝突させて浸炭処理を行うにようになってい
る。また、処理室には、その内部を真空状態にするため
に、真空ポンプが接続されている。
材は、まず、有機溶剤または超音波を用いた洗浄処理が
なされる。そして、前記処理室の載置台上に置かれたチ
タン合金素材を、前記発熱体により浸炭処理温度と同等
の350℃以上700℃未満の温度域の所定の温度に加
熱し、処理室内に導入し、前記グロー放電によりプラズ
マ化した水素ガスを混合した不活性ガスからなるクリー
ニング用ガスで、前記素材表面の酸化皮膜を跳ね飛ばす
クリーニング処理を行う。
に行い、時効処理直後に、時効処理時の顕熱を有するボ
ルト素材を、前記処理室に装入するようにすることもで
きる。また、前記クリーニング処理法として、前述の温
度域で、フッ化窒素(NF3)ガスを含む窒素ガスを処
理室内に導入し、前記酸化被膜をフッ化膜に置換する方
法もある。
のプロパンガスと希釈ガスとしてのクリーニング作用を
有する水素ガスとの混合ガスが、処理室内の圧力が10
Pa〜2000Paの範囲内の所定の圧力の真空雰囲気
になるようにそれぞれ流量調節されて導入され、チタン
合金素材が浸炭処理温度を維持できるように、前記発熱
体により、この混合ガス、即ち雰囲気ガスが350℃〜
700℃の温度範囲の所定の温度に保持される。そし
て、前記グロー放電によりプロパンガス中の炭素がイオ
ン化されて、活性炭素イオンが発生し、この活性炭素イ
オンがチタン合金素材の表面に衝突し、拡散してTiと
結合し、その表層部に浸炭層、即ちTiCの硬化層が形
成される。
の低温域にあるために、前記時効処理の温度域と同様の
温度レベルにあり、浸炭処理過程で、時効処理により生
成した析出物が凝集、粗大化し、引張り強度、剪断強度
および疲労強度の低下をもたらすなどの材質劣化をのお
それがなくなる。また、TiCの硬化層の厚みを、摺動
特性の改善に必要な程度に、例えば10μm程度と比較
的に薄くコントロールしやすくなる。
の浸炭性ガスが排気され、窒素ガスが処理室内に導入さ
れて、チタン合金素材が常温まで冷却され、処理室から
取り出される。そして、前記プラズマ浸炭処理装置に隣
接して設置した加熱装置で、アルゴンなどの不活性ガス
の雰囲気下で前記ボルト素材を150℃〜350℃の温
度域に再加熱した後、迅速に、平ダイスまたは丸ダイス
転造盤などの周知のねじ転造装置に供給され、前記15
0℃〜350℃の温度域で、所要のねじ転造加工が行わ
れる。そして冷却過程での割れを防止するため、その後
速やかに、不活性ガスを充満させた円筒型容器に投入し
て緩速冷却を行う。
転造加工を行うことにより、ねじ面に沿って材料のマク
ロ組織が連続して流れ、ねじ面、とくにねじ谷底部が加
工硬化し、圧縮応力が残留し、さらに、このような塑性
変形によってプラズマ浸炭処理によって生じた肌荒れが
平滑化されるなどの転造効果が得られる。
ため、前記のねじ面、とくにねじ谷底部に生じた加工硬
化層が軟化せず、また、圧縮応力が緩和されずに残留す
る。前記加工硬化層は強度の上昇をもたす。そして、前
記圧縮残留応力は、負荷時の表層部の引張り応力成分を
小さくし、または打ち消し、また、ねじ成形されたチタ
ン合金ねじ部品表面の平滑化により応力集中が緩和され
ることと相まって、表面の凹凸および表層部のα相とβ
相の界面に析出した水素化物を起点とする亀裂が発生す
るまでの潜伏期間が長くなり、その発生が遅延する。こ
れらによって、前記の肌荒れおよび水素脆性による疲労
強度の低下を改善でき、所要の疲労強度を有するチタン
合金ねじ部品を実現することができる。
iCの硬化層による耐摩耗性および摺動性の向上によ
り、圧力が作用した状態で繰り返し応力を受ける場合の
疲労特性、即ちフレッティング疲労特性の向上も期待さ
れる。
合金Ti−6Al−4Vの丸棒を、950℃に加熱し、
周知のプレスを用いて、所定の軸形状とボルト頭とを有
するボルト素材を成形した後、STA処理、即ち同じ9
50℃に1時間保持後、水冷して溶体化処理を行ない、
次いで、540℃に8時間保持して時効処理を行った。
このボルト素材の軸部を、研削により所要の寸法に仕上
げた後、アセトン中で超音波洗浄した後、前記プラズマ
浸炭装置の処理室内で浸炭処理温度と同等の630℃に
まで加熱し、水素ガスを混合した窒素ガスを用いて、前
述のクリーニング処理を行った。
(流量0.02L/min)と希釈ガスとしての水素ガ
ス(流量0.1L/min)の混合ガスからなる雰囲気
ガスを前記処理室に導入し、この雰囲気ガス温度、即ち
浸炭処理温度が約630℃、同ガス圧力が約30Pa、
処理時間が約40分の条件で、プラズマ浸炭処理を行っ
た。浸炭処理終了後、迅速に雰囲気ガスを排気し、処理
室に窒素ガスを導入してボルト素材を常温まで強制冷却
した。その後、前記ボルト素材を300℃に再加熱し、
迅速に、周知の平ダイス転造装置に供給し、ねじ転造加
工を行い、5/16インチのボルトを作製した。
試材として引張り疲労試験を実施した。この疲労試験に
は、デジタル油圧サーボ式疲労試験機(島津製作所製)
を用い、実部品に要求される疲労強度に基づいて応力条
件を設定し、最大応力530MPa、最小応力53MP
a、応力比0.1、応力振幅約240MPa、繰返し速
度10Hzで実施した。
A処理した後、ねじ転造加工を行い、その後、上記と同
じ処理条件でプラズマ浸炭処理を行ったボルト素材につ
いても、上記と同じ試験条件で引張り疲労試験を実施し
た。
るまでの繰返し数を表1に、破断面のSEM写真を図1
(a)(工程A:STA処理+プラズマ浸炭処理+ねじ
転造加工)、および(b)(工程B:STA処理+ねじ
転造加工+プラズマ浸炭処理)に示す。
理+ねじ転造加工+プラズマ浸炭処理」の場合には、繰
返し数が約7.1×103で破断したが、実施形態の工
程Aの「STA処理+プラズマ浸炭処理+ねじ転造加
工」の場合には、破断に至るまでの繰返し数は2.1×
105にまで増加した。
工程A、工程Bのいずれの場合も、破断は、切欠き効果
の大きいねじの導入部、即ち不完全ねじ部で生じてい
る。
浸炭処理を行うため、前述のようにボルト表面が肌荒れ
して、亀裂の起点となる結晶粒のずれをもたらし、ま
た、プラズマ浸炭処理時の加熱により、ねじ転造加工に
より生じたボルト表面の加工硬化層が軟化し、圧縮残留
応力が緩和されるため、前記不完全ねじ部の表面から内
部へ向かって小さな亀裂を生じ、この亀裂が疲労破壊の
起点となって早期に破断したと考えられる。
合に発生した不完全ねじ部表面の明瞭な亀裂は認められ
ない。これは、プラズマ浸炭処理後にねじ転造加工を行
うことにより、前述のように、ボルト表面に加工硬化層
および圧縮残留応力が存在し、しかも転造圧力による塑
性変形により、肌荒れが平滑化されるため、疲労破壊の
起点発生が抑制された結果、表1に示したように、破断
に至るまでの繰返し数が増加し、疲労強度が改善された
ものと考えられる。
にねじ転造加工を行うねじ部品の製造方法は、前記のT
i−6Al−4Vに代表されるα+β型チタン合金のほ
かに、Ti−15V−3Cr−3Al−3Snなどのβ
型チタン合金、Ti−4.5Al−3V−2Mo−2F
eなどの準α+β型チタン合金のいずれにも適用するこ
とができる。
用のみならず、コンロッドなどの自動車のエンジン周り
の部品の締結など、前述のチタン合金の特徴を活かした
各種の使用形態をとることができる。
化処理および時効処理後のチタン合金にプラズマ浸炭処
理を施し、このプラズマ浸炭処理後に、ねじ転造加工を
行うようにしたので、ねじ面、とくに疲労破壊が発生し
やすいねじ谷底部の加工硬化層が軟化せず、また、圧縮
応力が緩和されずに残留するなど、転造効果が維持され
る。さらに、転造圧力による塑性変形により、プラズマ
浸炭処理による肌荒れが平滑化される。これらにより、
プラズマ浸炭処理による肌荒れや侵入した水素に起因す
る亀裂の発生を遅延させることができ、疲労強度が改善
される。それにより、チタン合金ねじ部品の表層部に形
成されたTiCの硬化層の本来の特性が発揮でき、前述
の耐摩耗性及び摺動性が向上し、航空機等に適用される
部品としての要求特性を満足することができる。
ボルトの疲労試験後の破断面を示す写真 (b)同上の一部拡大写真
の破断面を示す写真 (b)同上の一部拡大写真
Claims (4)
- 【請求項1】 チタン合金素材を溶体化処理および時効
処理した後にプラズマ浸炭処理を施し、その後に転造加
工によりねじ成形するチタン合金ねじ部品の製造方法。 - 【請求項2】 前記プラズマ浸炭処理の雰囲気ガスの温
度が350℃から700℃の範囲にあり、その圧力が1
0〜2000Paの範囲にある請求項1に記載のチタン
合金ねじ部品の製造方法。 - 【請求項3】 前記転造加工を150℃〜350℃の温
度域で行う請求項1または2に記載のチタン合金部品の
製造方法。 - 【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載した製
造方法を用いたチタン合金ねじ部品。
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