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JP2003129139A - 焼結原料の事前処理方法 - Google Patents

焼結原料の事前処理方法

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JP2003129139A
JP2003129139A JP2001329303A JP2001329303A JP2003129139A JP 2003129139 A JP2003129139 A JP 2003129139A JP 2001329303 A JP2001329303 A JP 2001329303A JP 2001329303 A JP2001329303 A JP 2001329303A JP 2003129139 A JP2003129139 A JP 2003129139A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゲーサイト鉱石を多量に配合した鉄鉱石原料
の造粒性を向上させる焼結原料の事前処理方法を提供す
る。 【解決手段】 結晶水を4質量%以上含有するゲーサイ
ト鉱石を70質量%以上配合した鉄鉱石原料に水分を添
加し、これを高速撹拌羽根を内蔵した混合機を使用して
混合造粒する。これによって、造粒中に水分がゲーサイ
ト鉱石の気孔内に侵入して、ゲーサイト鉱石の気孔内及
び表面に水分をまんべんなく付着させることができるの
で、混合機によって造粒が適正に行われ、造粒物を焼結
パレット上に装入する時点においても造粒性は維持され
て、焼結時における充填層の通気性を向上できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼結鉱製造工程の
造粒工程における焼結原料の事前処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄鉱石焼結鉱の製造に際しては、まず鉄
鉱石、石灰石、蛇紋岩、粉コークス等の焼結原料を所定
の割合に配合してから、この焼結原料に必要量の水分を
加えて造粒し、焼結パレットに装入して焼結原料充填層
を形成する。次に、点火炉において、この焼結原料充填
層の表面(表層部)に火を着けると共に、ウインドボッ
クスを介して排風機によって装入原料(焼結原料充填)
層の上方の空気を吸引する。これにより、焼結原料中に
配合されたコークスが燃焼し、その熱で順次焼成が行わ
れた後、排鉱部において焼成物(焼結ケーキとも言う)
がパレットより排出される。排出された焼成物は、破砕
冷却された後、ある一定粒径以上の産物を焼結鉱として
高炉用原料に供給する。なお、一定粒径未満の粉粒体
(以下、返鉱と言う)は、再び焼結原料として使用され
る。この焼結鉱製造工程において、焼結原料の造粒は焼
成時の充填層の通気性を左右するものであり、焼結鉱の
生産性に大きく影響を及ぼす。従って、造粒工程の改善
については従来から多くの検討がなされてきた。
【0003】前記した焼結原料を製造する造粒装置とし
ては、世界的に普及しているドラムミキサーが一般的で
あったが、近年では、例えばパンペレタイザーや高速撹
拌羽根を内蔵したミキサー(以後、高速撹拌ミキサーと
略す)等の混合造粒機も実用化されている。特許第27
90008号では、0.5mm以下の微粉を30wt%
以上含む焼結原料の事前処理方法として、高速撹拌ミキ
サーを使用して焼結原料の水分を6.5〜10.0%に
して混合する方法が開示されている。これは、高速撹拌
ミキサー独特のねっか処理効果(剪断力を与えつつ混合
する効果)を引き出すために造粒水分量を規定したもの
であり、造粒水分を鉄鉱石毎の遠心分離法で計測される
吸水性指数よりも1.0〜3.0%高くする方法であ
る。また、近年、焼結原料に使用する鉄鉱石原料とし
て、従来から使用されているヘマタイト鉱石に比べて安
価な、例えばピソライト鉱石、マラマンバ鉱石等のゲー
サイト鉱石の使用が多くなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た焼結原料の事前処理方法を用いて、ヘマタイト鉱石の
処理方法と同様にゲーサイト鉱石を処理しようとする場
合、ゲーサイト鉱石はヘマタイト鉱石と吸水機構が異な
るため、高速撹拌ミキサーで混合造粒すると水分が不足
して、鉄鉱石原料の造粒性が悪化するので、焼成時の通
気悪化を引き起こす等の問題が生じる場合がある。本発
明はかかる事情に鑑みてなされたもので、ゲーサイト鉱
石を多量に配合した鉄鉱石原料の造粒性を向上させる焼
結原料の事前処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う本発明に
係る焼結原料の事前処理方法は、結晶水を4質量%以上
含有するゲーサイト鉱石を70質量%以上配合した鉄鉱
石原料に水分を添加し、これを高速撹拌羽根を内蔵した
混合機を使用して混合造粒する。ここで、本発明に係る
焼結原料の事前処理方法において、鉄鉱石原料に水分を
添加して、鉄鉱石原料の含水率を10.0質量%を超え
12.5質量%以下とすることが好ましい。本発明に係
る焼結原料の事前処理方法において、高速撹拌羽根の回
転数を100〜300rpmとすることが好ましい。
【0006】焼結原料として使用する鉄鉱石の種類は多
岐に亘っており、鉱石種毎に吸水機構が異なることか
ら、単純な吸水機構に基づく評価試験結果のみだけで
は、最適な水分量(含水率)を決定することができな
い。即ち、良好な造粒を行う場合には、この鉄鉱石の種
類の影響を考慮した適正水分量を設定することが求めら
れる。本発明者らは、近年その使用量が増加しつつある
例えばピソライト鉱石、マラマンバ鉱石等のゲーサイト
鉱石の造粒性特性について、詳細に検討を進めた。その
結果、ゲーサイト鉱石は、4質量%以上の結晶水(ゲー
サイト鉱物由来)を含有しているため、ヘマタイト鉱石
よりも濡れ性が高く、かつ気孔率が高いことが判明し
た。これらの濡れ性及び気孔率の高いゲーサイト鉱石を
例えば高速撹拌ミキサーで混合造粒する場合には、ヘマ
タイト鉱石を通常のドラムミキサー等で造粒する場合よ
り高水分レベルで混合を行うことにより、著しい造粒性
の改善効果が得られる現象を見出した。
【0007】即ち、ゲーサイト鉱石をドラムミキサーで
造粒した場合、このゲーサイト鉱石の気孔内に水分が侵
入することなく鉱石表面に水分が付着するので、高水分
(含水率:10.0質量%超〜12.5質量%)状態に
することで造粒時は水分過剰状態となって良好な造粒が
できなくなる。また、ヘマタイト鉱石と同等の低含水量
とすることで造粒を良好に行うことができるが、濡れ性
が良好である理由から、時間が経過するにつれて気孔内
に水分が順次侵入するので、焼結パレット上に装入する
時点では、ゲーサイト鉱石表面の水分が不足した状態と
なって造粒物が粉化して通気性を悪化する。一方、ゲー
サイト鉱石を高速撹拌ミキサーで造粒した場合、造粒中
に水分が気孔内に侵入して、このゲーサイト鉱石の気孔
内及び表面に水分がまんべんなく付着することから、前
記高水分状態にすると造粒が適正に行われ、しかも時間
が経過してもゲーサイト鉱石の気孔内に水分が侵入する
ことがないので、焼結パレット上に装入する時点におい
ても、その造粒性は維持されて通気性の悪化を招くこと
はない。
【0008】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1(A)、(B)はそれ
ぞれ本発明の一実施の形態に係る焼結原料の事前処理方
法を適用した造粒法の説明図、図2は同焼結原料の事前
処理方法に使用するゲーサイト鉱石が含有する結晶水と
湿潤熱との関係を示す説明図、図3は同焼結原料の事前
処理方法に使用する鉱石原料の含水率の影響を示す説明
図である。
【0009】図1(A)に示すように、本発明の一実施
の形態に係る焼結原料の事前処理方法は、結晶水を4質
量%以上含有するゲーサイト鉱石(例えば、ピソライト
鉱石、マラマンバ鉱石等)を70質量%以上配合した鉄
鉱石原料に水分を添加し、これを高速撹拌羽根を内蔵し
た混合機の一例である高速撹拌ミキサー(アイリッヒミ
キサー)を使用して混合造粒する方法である。以下、詳
しく説明する。
【0010】まず、粒径が例えば10mm以下(乾燥状
態で平均粒径が2mm)程度のピソライト鉱石及びマラ
マンバ鉱石を70質量%以上配合した鉄鉱石原料に、鉄
鉱石原料の含水率が10.0質量%を超え12.5質量
%以下となるように水分を添加し、これを高速撹拌ミキ
サーで例えば0.5〜2分程度混合造粒して、鉄鉱石原
料を造粒する。なお、高速撹拌ミキサーの高速撹拌羽根
(アジテータ)の回転数を100〜300rpmとし、
パンの回転数を10〜70rpmとしている(以上、事
前処理工程)。
【0011】このようにして混合造粒した鉄鉱石原料
に、結晶水が4質量%未満の鉄鉱石(例えば、ヘマタイ
ト鉱石)、雑原料(例えば、粒径が所定の粒径より小さ
い焼結鉱、高炉に投入できない粒径が小さい鉱石等)、
副原料(例えば、粒径が7mm以下の石灰石、5mm以
下の蛇紋岩等)、1mm以下の生石灰等を加えること
で、鉄鉱石原料を例えば20〜50質量%程度含有する
焼結原料とする。なお、この焼結原料には、焼結原料1
00質量%に対して外枠で、例えば10〜20質量%程
度の前記返鉱(その他、鉄鉱石)や、例えば2〜5質量
%程度の粉コークスが更に添加されているが、返鉱の量
を、雑原料の量に含めることも可能である。この焼結原
料をドラムミキサーを用いて、回転数を例えば5〜50
rpm、滞留時間を例えば2〜5分程度として転動造粒
して造粒物とした(以上、造粒工程)後、この造粒物を
焼結機にて焼成することで焼結鉱とする。ここで、ドラ
ムミキサーには、水分を加えることなく、又は図1に示
すように1〜2質量%の水分(添加水)を加えて転動造
粒する。なお、このドラムミキサーで、焼結原料に水分
を添加する場合、前記した鉄鉱石原料の含水率を考慮し
て添加を行う。
【0012】また、図1(B)に示すように、鉄鉱石原
料に、鉄鉱石原料の含水率を10.0質量%を超え1
2.5質量%以下となるように水分を加えて、これを高
速撹拌ミキサーで混合造粒した後、更に例えばパンペレ
タイザーを用いて転動造粒した鉄鉱石原料を、前記した
他の焼結原料と共にドラムミキサーに投入して転動造粒
することも可能である。
【0013】図2に示すように、前記したゲーサイト鉱
石(Fe23 ・nH2 O)は、結晶水が4質量%以上
になると、鉱石表面上に濡れ性の良いゲーサイトが増加
し湿潤熱が上昇するようになり、一方、それを下回ると
濡れ性の悪いヘマタイトが増加し湿潤熱が低下すること
が判明した。なお、湿潤熱とは、鉱石表面を乾燥状態か
ら湿潤状態へと変化させたときに発生する熱量であり、
市販の双子型微少熱量計を用いて測定した値である。ま
た、本発明が対象とするゲーサイト鉱石の代表的なもの
である豪州産のピソライト鉱石A、豪州産のマラマンバ
鉱石Bの化学成分と鉱石性状を、従来から使用されてい
る豪州産、又はブラジル産のヘマタイト鉱石C、Dと共
に表1に示す。
【0014】
【表1】
【0015】表1からも解るように、ピソライト鉱石
A、マラマンバ鉱石Bは、結晶水を4〜9質量%程度含
有しており、湿潤熱もヘマタイト鉱石C、Dに比して高
い値を示し、鉱石表面の濡れ性が良い事を示している。
また、表1中のBET比表面積は、実質的な気孔率を表
す指標の1つであり、これも高い値を示している。この
ため、ピソライト鉱石A、マラマンバ鉱石B等のゲーサ
イト鉱石は、高速撹拌ミキサーにより混合造粒を行った
場合に、該鉱石の気孔内に水分が急速に侵入して、気孔
内の内壁面及び鉱石の表面にまんべんなく水分が付着す
る。なお、比表面積とは、BET法で測定した値であ
る。このBET法は、窒素の吸着量から比表面積を求め
る一般的な測定方法である(例えば、久保輝一郎、水渡
英二、中川有三、早川宗八郎共編「粉体理論と応用」丸
善、P134(S37年発行))。
【0016】続いて、ゲーサイト鉱石の鉄鉱石原料への
配合率、鉄鉱石原料の含水率、高速撹拌羽根の回転数を
前記した数値に限定した理由について説明する。ゲーサ
イト鉱石の鉄鉱石原料への配合率を70質量%以上とし
たのは、70質量%未満の配合率では、ゲーサイト鉱石
の鉄鉱石原料に対する影響が支配的とならず、その他の
鉱石の特性に強く影響されるためである。一方、上限値
については規定していないが、鉄鉱石原料の全てがゲー
サイト鉱石の場合でも可能である。従って、鉄鉱石原料
に対するゲーサイト鉱石の影響を更に顕著に現すため、
また経済性を考慮することで、今後更にゲーサイト鉱石
の使用量が増加することを考慮すれば、ゲーサイト鉱石
の鉄鉱石原料への配合率を75質量%以上、更には80
質量%以上とすることが好ましい。
【0017】また、ピソライト鉱石Aの鉄鉱石原料中の
配合量を変化させると共に、鉄鉱石原料の含水率(水分
量)を種々調整した後、この鉄鉱石原料を高速撹拌ミキ
サーに装入し撹拌して、鉄鉱石原料の造粒性について検
討した。なお、この高速撹拌ミキサーの高速撹拌羽根の
回転数を200rpmとした。図3に示すように、鉄鉱
石原料の含水率を10質量%を超え12.5質量%以下
とすると、鉄鉱石原料の造粒性を改善できることが確認
できた。なお、マラマンバ鉱石Bは、曲線のピークがピ
ソライト鉱石Aと比較して水分量の低い方向へ僅かに移
動するが、ピソライト鉱石Aと類似した傾向を示すこと
が分かる。
【0018】ここで、鉄鉱石原料の含水率が10質量%
以下になると、水分がゲーサイト鉱石の気孔内部に侵入
するため、造粒に必要な表面水が不足するので、鉄鉱石
原料の造粒性が悪化する。一方、鉄鉱石原料の含水率が
12.5質量%を超えると、過剰水分により微粉粒子が
流れるため、団子状の強度のない造粒物となってしま
い、適正な粒度の造粒物はむしろ減少する。従って、造
粒に必要な表面水を確保し、適正な粒度の造粒物を得る
ためには、鉄鉱石原料の含水率を10.5質量%以上1
2.5質量%以下、更には10.5質量%以上12.0
質量%以下とすることが好ましい。なお、この鉄鉱石原
料の含水率、即ち10質量%を超え12.5質量%以下
は、前記特許第2790008号における吸水性指数か
ら求めた最適水分の範囲を逸脱するものであり、ピソラ
イト鉱石気孔内への高い浸水性を加味しても、過剰水分
と見なせる範囲に相当するものである。
【0019】このように高水分を加えた場合には、高速
撹拌ミキサーの回転羽根の回転数は100〜300rp
m程度が好ましい。ここで、回転数が100rpm未満
になると高速撹拌ミキサー特有の剪断力が不足し、通常
の転動造粒に近い造粒条件となり、水分と鉱石を効果的
に接触させる作用が失われ、水分をゲーサイト鉱石の気
孔内に十分に侵入させることができなくなる。また、こ
のような高水分条件で300rpmを超える強撹拌を行
うと、造粒作用よりも混合作用が強化され擬似粒子の崩
壊作用が促進されるため、望ましくない。従って、鉄鉱
石原料に十分な剪断力を与えると共に、擬似粒子の崩壊
を抑制するには、回転数を150〜300rpm、更に
は150〜250rpmとすることが好ましい。
【0020】
【実施例】本発明に係る焼結原料の事前処理方法を適用
した造粒法を用いて試験を行った結果について説明す
る。鉄鉱石原料の配合構成及び鉄鉱石原料の含水率を種
々変えた鉄鉱石原料を調製し、前記した図1(A)、
(B)の方法をそれぞれ使用して鉄鉱石原料を転動造粒
し、造粒法の効果を焼結機を用いた操業試験によって確
認した。ここで、結晶水を4質量%以上含有するゲーサ
イト鉱石、即ちピソライト鉱石及びマラマンバ鉱石と、
結晶水が4質量%未満のヘマタイト鉱石C、ヘマタイト
鉱石Dの配合条件、更にその試験結果を表2、表3にそ
れぞれ示す。なお、ピソライト鉱石、マラマンバ鉱石、
ヘマタイト鉱石C、ヘマタイト鉱石Dは、それぞれ表1
中の鉱石を意味する。
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】また、操業試験の前提条件、即ち事前処理
工程鉄及び造粒工程で使用する混合機の種類(アイリッ
ヒミキサー(A)、パンペレタイザー(B)、ドラムミ
キサー(C))、及び各混合機の運転条件、更に鉄鉱石
原料を焼結する焼結機について表4に示す。
【0024】
【表4】
【0025】表2に示すように、本発明例1の鉄鉱石原
料はピソライト鉱石が100質量%の原料であり、発明
例2の鉄鉱石原料はピソライト鉱石が40質量%、マラ
マンバ鉱石が60質量%(ゲーサイト鉱石が100質量
%)の原料、そして発明例3及び4の鉄鉱石原料はピソ
ライト鉱石が40質量%、マラマンバ鉱石が30質量%
(ゲーサイト鉱石が70質量%)、ヘマタイト鉱石Cが
30質量%の原料である。ここで、本発明例1〜3は前
記した図1(A)の方法、本発明例4は前記した図1
(B)の方法をそれぞれ使用している。
【0026】なお、造粒に必要な添加水分については、
混合造粒前の原料水分、即ちゲーサイト鉱石が含有する
水分4.0質量%程度、及び例えば鉱石の放置時に鉱石
の気孔内に侵入した水分(表1中の含水率)を考慮し
て、混合機における混合造粒時において更に全量加える
こととし、その添加水分(3.7〜4.1質量%)を調
整することによって、アイリッヒミキサー(撹拌羽根回
転数が150rpm又は250rpm)での混合造粒後
の水分、即ち鉄鉱石原料の含水率(造粒物水分)を1
1.2〜12.2質量%の範囲内で変化させた。この鉄
鉱石原料に、前記雑原料(その他雑原料)、副原料(石
灰石、蛇紋岩)、生石灰等を加えることで、鉄鉱石原料
を30〜45質量%含有する焼結原料を作製した。この
焼結原料には、焼結原料100質量%に対して外分で、
前記返鉱、粉コークスを更に添加し、添加水分(0.6
〜1.2質量%)を調整して、パンペレタイザー又はド
ラムミキサーを用いて、造粒物水分を6.7質量%に調
整した。
【0027】一方、表2に示すように、比較例1〜3の
鉄鉱石原料は、鉄鉱石原料の配合構成、及び造粒工程の
操業条件がいずれも本発明例1と略同じものであり、比
較例1の鉄鉱石原料は事前処理工程で使用する混合機の
種類(ドラムミキサー)が異なった場合、比較例2の鉄
鉱石原料は鉄鉱石原料の含水率が本発明の下限値、即ち
10質量%を下回った(9.2質量%)場合、比較例3
の鉄鉱石原料はアイリッヒミキサーの撹拌羽根回転数が
本発明の下限値、即ち100rpmを下回った(90r
pm)場合をそれぞれ示している。上記した方法で製造
した造粒物を、それぞれ焼結機によって焼成し焼結鉱を
製造した。
【0028】焼結機には、表4に示すようなDL型の焼
結機を使用し、パレット速度3.6m/分、パレット焼
結面積600m2 で、焼結原料の装入層(充填層)の厚
さを600mmとした操業条件によって造粒物を焼成し
た。表3に示す操業結果から解るように、発明例1〜4
の造粒物を使用した場合、焼結鉱の生産量は17800
〜18200(t/日)程度、焼成時の充填層の通気性
は31〜32程度、そしてこの操業における歩留は7
8.5〜78.9%であった。一方、比較例1〜3の造
粒物を使用した場合、焼結鉱の生産量は15200〜1
6000(t/日)程度、通気性は28〜30程度、そ
してこの操業における歩留は74.1〜75.1%であ
った。このことから分かるように、比較例においては、
混合機の選択、鉄鉱石原料の含水率、アイリッヒミキサ
ーの撹拌羽根回転数を適切にできなかったため、焼結原
料の造粒が不良となり、焼成時の充填層の通気性を悪化
させ、焼結鉱の生産性を本発明と比較して大きく低下さ
せ、更に歩留も低下させたと考えられる。
【0029】以上、本発明を、一実施の形態を参照して
説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記
載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に
記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施
の形態や変形例も含むものである。例えば、前記実施の
形態において、石灰石、蛇紋岩、生石灰の粒径、及び粉
コークスの量をそれぞれ示したが、前記した数値に限定
されることなく、他の数値であっても本発明は適用され
る。
【0030】
【発明の効果】請求項1〜3記載の焼結原料の事前処理
方法においては、高速撹拌羽根を内蔵した混合機を使用
するので、造粒中に水分がゲーサイト鉱石の気孔内に侵
入して、ゲーサイト鉱石の気孔内及び表面に水分をまん
べんなく付着させることができる。このため、混合機に
よって造粒が適正に行われ、しかも時間が経過してもゲ
ーサイト鉱石の気孔内に水分が侵入することがないの
で、鉄鉱石原料を基に作製した造粒物を、焼結パレット
上に装入する時点においても、その造粒性は維持され
て、焼結時における充填層の通気性の悪化を招く可能性
がない。従って、造粒性を良好にし、これにより焼結鉱
の生産性を向上させることができるので、経済的であ
る。
【0031】特に、請求項2記載の焼結原料の事前処理
方法においては、鉄鉱石原料の含水率を所定の範囲に限
定することで、鉄鉱石原料の表面に付着する水分量を、
適正な量に調整することが可能となる。従って、従来か
ら使用されてきたヘマタイト鉱石と吸水機構が異なるゲ
ーサイト鉱石を用いた場合においても、造粒性を良好に
できるので、鉄鉱石原料中により多くのゲーサイト鉱石
を配合でき、これにより鉄鉱石原料の原料コストを抑え
ることができ経済的である。請求項3記載の焼結原料の
事前処理方法においては、高速撹拌羽根の回転によって
発生する剪断力を、鉄鉱石原料に対して十分に与えるこ
とができると共に、鉄鉱石原料中で大きな粒径を有する
鉱石の周囲に、小さな粒径を有する鉱石を付着させた擬
似粒子を形成することが可能となる。従って、従来から
使用されてきたヘマタイト鉱石と吸水機構が異なるゲー
サイト鉱石を用いた場合においても、ゲーサイト鉱石の
気孔内及び表面に水分をまんべんなく付着させることが
できるので、鉄鉱石原料中により多くのゲーサイト鉱石
を配合でき、これにより鉄鉱石原料の原料コストを抑え
ることができ経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形
態に係る焼結原料の事前処理方法を適用した造粒法の説
明図である。
【図2】同焼結原料の事前処理方法に使用するゲーサイ
ト鉱石が含有する結晶水と湿潤熱との関係を示す説明図
である。
【図3】同焼結原料の事前処理方法に使用する鉱石原料
の含水率の影響を示す説明図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶水を4質量%以上含有するゲーサイ
    ト鉱石を70質量%以上配合した鉄鉱石原料に水分を添
    加し、これを高速撹拌羽根を内蔵した混合機を使用して
    混合造粒することを特徴とする焼結原料の事前処理方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の焼結原料の事前処理方法
    において、前記鉄鉱石原料に前記水分を添加して、該鉄
    鉱石原料の含水率を10.0質量%を超え12.5質量
    %以下とすることを特徴とする焼結原料の事前処理方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の焼結原料の事前処
    理方法において、前記高速撹拌羽根の回転数を100〜
    300rpmとすることを特徴とする焼結原料の事前処
    理方法。
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