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JP2003195111A - プラスチックフェルール、その製造方法及び成形型 - Google Patents

プラスチックフェルール、その製造方法及び成形型

Info

Publication number
JP2003195111A
JP2003195111A JP2002043538A JP2002043538A JP2003195111A JP 2003195111 A JP2003195111 A JP 2003195111A JP 2002043538 A JP2002043538 A JP 2002043538A JP 2002043538 A JP2002043538 A JP 2002043538A JP 2003195111 A JP2003195111 A JP 2003195111A
Authority
JP
Japan
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holding hole
cylinder portion
centering
inner cylinder
wire holding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002043538A
Other languages
English (en)
Inventor
栄悦 ▲高▼橋
Sakanobu Takahashi
Osamu Daikuhara
治 大工原
Shinichiro Kawaguchi
慎一郎 川口
Noboru Shimizu
登 清水
Hideo Miyazawa
英夫 宮澤
Kazuo Nomura
和男 野村
Susumu Yamamoto
進 山本
Hiroshi Matsumiya
博志 松宮
Koji Watanabe
弘二 渡邊
Hirohiko Tsugane
博彦 津金
Naoki Ikemori
直樹 池森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Component Ltd
Original Assignee
Fujitsu Component Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu Component Ltd filed Critical Fujitsu Component Ltd
Priority to JP2002043538A priority Critical patent/JP2003195111A/ja
Priority to US10/272,002 priority patent/US6877910B2/en
Publication of JP2003195111A publication Critical patent/JP2003195111A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • G02OPTICS
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    • G02B6/24Coupling light guides
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    • G02B6/38Mechanical coupling means having fibre to fibre mating means
    • G02B6/3807Dismountable connectors, i.e. comprising plugs
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    • G02B6/3834Means for centering or aligning the light guide within the ferrule
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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    • G02B6/3807Dismountable connectors, i.e. comprising plugs
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    • B29C45/1676Making multilayered or multicoloured articles using a soft material and a rigid material, e.g. making articles with a sealing part
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチックフェルールの心出し部における
高水準の成形寸法精度を確保して、接続相手方フェルー
ルに対する相対的偏心を可及的に低減する。 【解決手段】 フェルール10の心出し部14は、心出
し基準外周面12、心線保持孔22及び心線保持孔22
から中心軸線14aに沿って先端側へ延長される第3孔
すなわち固定孔24を有する外筒部分26と、素線保持
孔20を有し、外筒部分26の固定孔24に受容されて
固定される内筒部分28とを備える。外筒部分26と内
筒部分28とは、互いに独立した部材として、硬度の異
なる材料から個別に形成される。外筒部分26には、全
体に略一様な厚みの筒状壁30が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光コネクタで使用
されるプラスチックフェルールに関する。さらに本発明
は、プラスチックフェルールの製造方法、及びその製造
方法で使用される成形型に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光コネクタの分野において、量産
化及び価格低減を促進する観点で、樹脂材料から一体的
に成形されてなるプラスチックフェルールが開発されて
いる。従来のプラスチックフェルールは、軸線方向先端
面に光ファイバ素線露出口を有する円筒状の心出し部
と、心出し部の基端に隣接して径方向外方へ突設される
フランジ部とを備えて構成される。心出し部にはその中
心軸線に沿って、光ファイバ素線露出口に開口し、被覆
を除去した光ファイバ素線を固定的に収容する素線保持
孔と、素線保持孔よりも大径で、被覆付きの光ファイバ
心線を固定的に収容する心線保持孔とが、軸線方向へ互
いに連通して形成される。またフランジ部は、光コネク
タ内でばねによる軸線方向前方への付勢力を受ける部分
として、心出し部に一体的に設けられる。
【0003】光コネクタは通常、割りスリーブと称する
円筒状の位置合せ部材を備え、それぞれに光ファイバを
取付けた一対のフェルールの心出し部を1つの割りスリ
ーブ内で軸線方向へ整列させて、各心出し部の先端面同
士をばね付勢力下で突き合わせることにより、一対の光
ファイバを同心に接続できるように構成される。このと
き割りスリーブは、各フェルールの心出し部により押し
拡げられて弾性復原力を発揮し、その復原力下で両フェ
ルールを所定位置に心出し支持する。したがって、フェ
ルールの心出し部の円筒状外周面は、素線保持孔に収容
された光ファイバ素線の心出し基準面となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したプラスチック
フェルールは、成形性に優れた樹脂材料から射出成形工
程やトランスファ成形工程を経て一体成形されるが、従
来、成形品の寸法精度や機械的強度を実用上問題の無い
水準まで如何にして向上させるかが課題となっている。
特に、光コネクタによる接続作業中に、割りスリーブ内
で突き合わされる一対のフェルール心出し部の素線保持
孔同士の相対的偏心を可及的に低減するために、フェル
ールの特に心出し部の寸法精度(外径寸法公差、円筒
度、真円度、心出し基準外周面に関する素線保持孔の偏
心量等)を向上させる必要がある。例えばシングルモー
ド光ファイバの接続に使用される光コネクタでは、フェ
ルールの心出し部に0.1〜1μmオーダの極めて高い
各種寸法精度が要求される。
【0005】しかし、従来のプラスチックフェルールの
構成では、小径の素線保持孔と大径の心線保持孔との間
で、心出し部の円筒壁の肉厚が必然的に変化する。そし
てこの肉厚の変化に起因して、フェルールの樹脂材料の
成形収縮に不均衡が生じる傾向があった。その結果、従
来のプラスチックフェルールでは、心出し部に要求され
る上記した各種寸法精度が悪化し易くなる懸念があっ
た。そのようなフェルールの寸法精度の悪化は、割りス
リーブに支持される接続相手のフェルールに対する相対
的偏心を増加させる要因になり得る。
【0006】また、従来のプラスチックフェルールで
は、光コネクタの割りスリーブ内で突き合わされる相手
方のフェルールの心出し部が、セラミックス等の硬質材
料からなる場合、接続中に両フェルールの心出し部の先
端面同士に負荷される押圧力(通常は数N)により、樹
脂製心出し部の先端面が凹状に変形する場合がある。こ
の状態が長時間継続されると、樹脂製心出し部の先端面
に塑性変形(クリープ)が生じ、結果として光接続損失
が増大することが懸念される。
【0007】本発明の目的は、光コネクタで使用される
プラスチックフェルールにおいて、フェルールの心出し
部における高水準の成形寸法精度を比較的容易に確保で
き、割りスリーブ内で接続される相手方フェルールに対
する相対的偏心を可及的に低減できるプラスチックフェ
ルールを提供することにある。
【0008】本発明の他の目的は、光コネクタで使用さ
れるプラスチックフェルールにおいて、接続相手のフェ
ルールの心出し部が硬質材料からなる場合にも、接続中
に生じ得る心出し部先端面の塑性変形を回避でき、光接
続損失を低減できるプラスチックフェルールを提供する
ことにある。
【0009】本発明のさらに他の目的は、光コネクタで
使用されるプラスチックフェルールの製造方法におい
て、フェルールの心出し部を高水準の寸法精度で成形で
きる製造方法を提供することにある。本発明のさらに他
の目的は、そのような製造方法で使用できる成形型を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、心出し基準外周面を有す
る筒状の心出し部を具備し、該心出し部の中心軸線に沿
って、光ファイバ素線を固定的に収容する素線保持孔
と、該素線保持孔に連通して光ファイバ心線を固定的に
収容する心線保持孔とが設けられるプラスチックフェル
ールにおいて、前記心出し部は、前記心出し基準外周
面、前記心線保持孔及び該心線保持孔から前記中心軸線
に沿って延長される固定孔を有して、全体に略一様な厚
みの筒状壁を形成する樹脂製の外筒部分と、前記素線保
持孔を有して、前記外筒部分の前記固定孔に固定される
内筒部分とを具備すること、を特徴とするプラスチック
フェルールを提供する。
【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のプラスチックフェルールにおいて、前記内筒部分は、
前記外筒部分よりも硬度の高い材料から形成されるプラ
スチックフェルールを提供する。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
のプラスチックフェルールにおいて、前記内筒部分は、
前記外筒部分と同一の樹脂材料から形成されるプラスチ
ックフェルールを提供する。
【0013】請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の
いずれか1項に記載のプラスチックフェルールにおい
て、前記内筒部分は、前記外筒部分の前記心線保持孔か
ら離れた側の軸線方向端面が、該外筒部分の前記固定孔
から外部に露出するプラスチックフェルールを提供す
る。
【0014】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
のプラスチックフェルールにおいて、前記内筒部分の前
記軸線方向端面が、球面状の曲面形状を有して、前記外
筒部分の前記固定孔から外部に突出した位置に配置され
るプラスチックフェルールを提供する。
【0015】請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の
いずれか1項に記載のプラスチックフェルールにおい
て、前記外筒部分は、前記固定孔内での前記内筒部分の
軸線方向移動を防止する係止部を有するプラスチックフ
ェルールを提供する。
【0016】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載
のプラスチックフェルールにおいて、前記係止部は、前
記心線保持孔に設けられる突起を有し、前記内筒部分
が、該心線保持孔に隣接する側の軸線方向端面で該突起
に当接されるプラスチックフェルールを提供する。
【0017】請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の
いずれか1項に記載のプラスチックフェルールにおい
て、前記外筒部分の前記固定孔が円筒状の内周面を有
し、前記内筒部分が、該固定孔の該内周面に密接する円
筒状の外周面を有するプラスチックフェルールを提供す
る。
【0018】請求項9に記載の発明は、請求項8に記載
のプラスチックフェルールの製造方法であって、前記内
筒部分と前記外筒部分とを互いに独立した部材として形
成し、前記内筒部分を前記外筒部分の前記固定孔に嵌入
し、前記内筒部分の前記外周面を前記外筒部分の前記内
周面に密接させた状態で、該内筒部分を軸線中心に回転
させることにより、前記心出し基準外周面の前記中心軸
線と前記素線保持孔との相対的位置ずれを調整し、前記
位置ずれが最小となった回転位置で前記内筒部分を前記
外筒部分に固定すること、を特徴とする製造方法を提供
する。
【0019】請求項10に記載の発明は、心出し基準外
周面を有する筒状の心出し部を具備し、該心出し部の中
心軸線に沿って、光ファイバ素線を固定的に収容する素
線保持孔が設けられるプラスチックフェルールにおい
て、前記素線保持孔の軸線方向長さをL1(mm)と
し、前記心出し部の軸線方向有効長さをL2(mm)と
したときに、それら軸線方向長さが、L1=L2+α、
ただし0.5(mm)≦α≦3.0(mm)、の関係に
あることを特徴とするプラスチックフェルールを提供す
る。
【0020】請求項11に記載の発明は、請求項10に
記載のプラスチックフェルールにおいて、前記心出し部
は、前記心出し基準外周面、前記素線保持孔の主要長さ
部分を形成する第1素線保持孔、及び該第1素線保持孔
から径方向へ拡張して前記中心軸線に沿って延長され、
該心出し部の軸線方向端面に開口する固定孔を有する樹
脂製の外筒部分と、前記素線保持孔の残りの長さ部分を
形成する第2素線保持孔を有し、該第2素線保持孔を前
記外筒部分の前記第1素線保持孔に対し直線状に整合配
置した状態で前記固定孔に固定される内筒部分とを具備
するプラスチックフェルールを提供する。
【0021】請求項12に記載の発明は、請求項11に
記載のプラスチックフェルールにおいて、前記内筒部分
は、前記外筒部分よりも硬度の高い材料から形成される
プラスチックフェルールを提供する。
【0022】請求項13に記載の発明は、請求項11又
は12に記載のプラスチックフェルールにおいて、前記
内筒部分は、前記外筒部分の前記第1素線保持孔から離
れた側の軸線方向端面が、該外筒部分の前記固定孔から
外部に突出した位置に配置されるプラスチックフェルー
ルを提供する。
【0023】請求項14に記載の発明は、請求項13に
記載のプラスチックフェルールにおいて、前記内筒部分
の前記軸線方向端面が、球面状の曲面形状を有するプラ
スチックフェルールを提供する。
【0024】請求項15に記載の発明は、請求項11〜
14のいずれか1項に記載のプラスチックフェルールの
製造方法であって、前記内筒部分と前記外筒部分とを互
いに独立した部材として形成し、前記外筒部分の前記第
1素線保持孔に、前記素線保持孔の内径寸法よりも僅か
に小さい外径寸法を有する細長い案内治具を挿入して、
該案内治具の任意長さ部分を前記固定孔内に配置し、前
記外筒部分の前記固定孔内に配置された前記案内治具の
任意長さ部分を、前記内筒部分の前記第2素線保持孔に
挿入しながら、該内筒部分を該固定孔に嵌入して固定す
ること、を特徴とする製造方法を提供する。
【0025】請求項16に記載の発明は、心出し基準外
周面を有する筒状の心出し部を具備し、該心出し部の中
心軸線に沿って、光ファイバ素線を固定的に収容する素
線保持孔と、該素線保持孔に連通して光ファイバ心線を
固定的に収容する心線保持孔とが設けられるプラスチッ
クフェルールの製造方法であって、前記素線保持孔を有
するとともに前記心線保持孔の横断面輪郭と略同一の横
断面輪郭を呈する外周面を有する内筒部分を成形するた
めの第1キャビティと、前記心出し基準外周面及び前記
心線保持孔を有する外筒部分を成形するための第2キャ
ビティとを備える型を用意し、前記第1キャビティ内で
前記内筒部分を溶融樹脂材料から成形し、前記成形した
内筒部分を前記第1キャビティから取り出して前記第2
キャビティに配置し、前記第2キャビティ内で、前記内
筒部分の前記外周面の周囲に溶融樹脂材料を注入して固
化させることにより、前記外筒部分を成形すること、を
特徴とする製造方法を提供する。
【0026】請求項17に記載の発明は、請求項16に
記載の製造方法において、前記型を用意する際に、前記
第1キャビティ及び前記第2キャビティに交互に固定的
に設置され、前記外筒部分の前記心線保持孔を成形する
ための筒状コアと、該第1キャビティ及び該第2キャビ
ティに交互に、かつ該筒状コアに対して軸線方向移動可
能に設置され、前記内筒部分の前記素線保持孔を成形す
るためのコアピンとをさらに用意し、前記内筒部分を成
形する際に、前記第1キャビティを画定する壁面に前記
コアピンを係合させて、該コアピンを該第1キャビティ
内で固定的に保持し、前記成形した内筒部分を前記第2
キャビティに配置する際に、前記筒状コア及び前記コア
ピンが該内筒部分を支持した状態を維持し、前記外筒部
分を成形する際に、前記コアピンを前記筒状コアに対し
て軸線方向移動させて前記内筒部分の前記素線保持孔を
部分的に開放し、前記第2キャビティを画定する壁面に
該素線保持孔を係合させて、該内筒部分を該第2キャビ
ティ内で固定的に保持する、製造方法を提供する。
【0027】請求項18に記載の発明は、心出し基準外
周面を有する筒状の心出し部を具備し、該心出し部の中
心軸線に沿って、光ファイバ素線を固定的に収容する素
線保持孔と、該素線保持孔に連通して光ファイバ心線を
固定的に収容する心線保持孔とが設けられるプラスチッ
クフェルールを製造するための成形型であって、第1固
定型部と、前記第1固定型部とは異なる構造を有する第
2固定型部と、前記第1固定型部及び前記第2固定型部
に対して移動可能に設置され、該第1固定型部と該第2
固定型部とに交互に組合せ可能な可動型部とを具備し、
前記可動型部は、前記第1固定型部と協働して、前記素
線保持孔を有するとともに前記心線保持孔の横断面輪郭
と略同一の横断面輪郭を呈する外周面を有する内筒部分
を成形するための第1キャビティを形成し、前記第2固
定型部と協働して、前記一次型で成形した前記内筒部分
を収容した状態で、前記心出し基準外周面及び前記心線
保持孔を有する外筒部分を該内筒部分の周囲に成形する
ための第2キャビティを形成すること、を特徴とする成
形型を提供する。
【0028】請求項19に記載の発明は、請求項18に
記載の成形型において、前記可動型部は、前記第1キャ
ビティ及び前記第2キャビティに交互に固定的に設置さ
れ、前記外筒部分の前記心線保持孔を成形するための筒
状コアと、該第1キャビティ及び該第2キャビティに交
互に、かつ該筒状コアに対して軸線方向移動可能に設置
され、前記内筒部分の前記素線保持孔を成形するための
コアピンとを具備し、前記第1固定型部は、前記第1キ
ャビティを画定する壁面に、前記内筒部分の成形時に前
記コアピンに係合して該コアピンを該第1キャビティ内
に固定的に保持する溝穴を有し、前記コアピンは、前記
第2キャビティ内で前記外筒部分を成形する際に、前記
筒状コアに対し軸線方向移動して、前記内筒部分の前記
素線保持孔を部分的に開放し、前記第2固定型部は、前
記第2キャビティを画定する壁面に、前記外筒部分の成
形時に前記内筒部分の前記素線保持孔に係合して該内筒
部分を該第2キャビティ内に固定的に保持する突起を有
する、成形型を提供する。
【0029】請求項20に記載の発明は、請求項18又
は19に記載の成形型において、互いに同一構造の一対
の前記可動型部を具備し、それら可動型部が、前記第1
固定型部と前記第2固定型部とのそれぞれに同時に組み
合わさって、前記第1キャビティで前記内筒部分が成形
されると略同時に、前記第2キャビティで、他の前記内
筒部分の周囲に前記外筒部分が成形される成形型を提供
する。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明の実施の形態を詳細に説明する。図面において、同一
又は類似の構成要素には共通の参照符号を付す。図1〜
図3は、本発明の第1の実施形態によるプラスチックフ
ェルール10(以下、フェルール10と称する)を示す
図、図4はフェルール10を使用した光ファイバ接続部
を示す図、図5及び図6はそれぞれフェルール10の変
形例を示す図である。
【0031】フェルール10は、円筒状の外周面12を
有する中空筒状の心出し部14と、心出し部14の軸線
方向一端(すなわち基端)に隣接して径方向外方へ突設
されるフランジ部16と、フランジ部16を挟んで心出
し部14の反対側へ同心状に延長されるガイド部18と
を備えて構成される。心出し部14にはその中心軸線1
4a(すなわち円筒状外周面12の中心軸線)に沿っ
て、被覆を除去した光ファイバ素線を固定的に収容する
第1孔すなわち素線保持孔20と、素線保持孔20より
も大径で、被覆付きの光ファイバ心線を固定的に収容す
る第2孔すなわち心線保持孔22とが、軸線方向へ互い
に連通して形成される。
【0032】心出し部14の外周面12は、後述する光
ファイバ接続時に、素線保持孔20に収容された光ファ
イバ素線の心出し基準面として作用する。この心出し基
準外周面12は、心出し部14の軸線方向他端(すなわ
ち先端)近傍から、フランジ部16に隣接する心出し部
基端までの範囲で、一様な外径寸法を有して直線状に延
設される。フランジ部16は、後述する光コネクタに内
蔵されるばねによる軸線方向前方への付勢力を受ける部
分として、心出し部14に一体的に連結される。またガ
イド部18は、装着対象の光ファイバ心線をその接続端
の近傍で直線状に保持するとともに接着剤の塗布領域を
確保する部分として、心出し部14及びフランジ部16
に一体的に連結される。
【0033】フェルール10の心出し部14は、心出し
基準外周面12、心線保持孔22及び心線保持孔22か
ら中心軸線14aに沿って先端側へ延長される第3孔す
なわち固定孔24を有する外筒部分26と、素線保持孔
20を有し、外筒部分26の固定孔24に受容されて固
定される内筒部分28とを備える。図示実施形態では、
外筒部分26と内筒部分28とは、互いに独立した部材
として、硬度の異なる材料から個別に形成される。
【0034】図2(a)に示すように、外筒部分26の
心線保持孔22及び固定孔24は、中心軸線14aを両
者の実質的中心として互いに段差無く直線状に連結され
る一様な径寸法の円筒状内周面22a、24aをそれぞ
れに有する。また、心出し基準外周面12は、外筒部分
26の先端領域で環状テーパ面26aを介して略平坦な
先端面26bに接続され、この先端面26bに固定孔2
4が開口する。それにより外筒部分26には、心出し基
準外周面12と両内周面22a、24aとの間に、全体
に略一様な厚みの筒状壁30が形成される。なお、心線
保持孔22は、フランジ部16及びガイド部18を貫通
して一様な内径寸法を維持しつつ直線状に延長され、ガ
イド部18の軸線方向端面18aで開口する。このよう
な構成を有する外筒部分26は、液晶ポリマー等の所望
の樹脂材料から、例えば射出成形工程により、フランジ
部16及びガイド部18と共に一体成形される。
【0035】図2(b)に示すように、内筒部分28
は、外筒部分26の固定孔24の内周面24aに密接で
きる円筒状の外周面28aを有し、この外周面28aの
中心軸線に実質的に心合せされた位置に、素線保持孔2
0が形成される。素線保持孔20は、一様な径寸法を有
して直線状に延び、内筒部分28の軸線方向一端面28
bで開口するとともに、径方向へ徐々に拡張する環状テ
ーパ面28cを介して内筒部分28の軸線方向他端面2
8dに開口する。
【0036】このような構成を有する内筒部分28は、
金属、セラミックス等の、外筒部分26の樹脂材料より
も硬く、好ましくはより大きな弾性率を有する材料から
成形される。特に、後述する光ファイバ接続時に、接続
相手のフェルールが、光コネクタ用フェルールの材料と
して一般的なジルコニアセラミックス等の高靭性セラミ
ックスからなることを考慮すれば、内筒部分28の材料
は、少なくともジルコニアセラミックスと同程度の機械
的性質(硬度、弾性率、靭性等)を有することが有利で
ある。
【0037】内筒部分28は、環状テーパ面28c側の
軸線方向端面28dが外筒部分26の心線保持孔22に
隣接するように方向付けして、外筒部分26の固定孔2
4に嵌入される。このとき図示実施形態では、内筒部分
28は、他方の軸線方向端面28bが、固定孔24を開
口させる外筒部分26の先端面26bから所定長さだけ
突出するように、固定孔24内で位置決めされる(図3
(a))。或いは、軸線方向端面28bが先端面26b
と略同一の平面上で露出するように、内筒部分28を外
筒部分26に嵌着することもできる。なお内筒部分28
は、固定孔24に対し、締まり嵌め状態に圧入したり、
接着剤を用いたりすることによって、強固に固定され
る。
【0038】上記構成を有するフェルール10は、心出
し基準外周面12を有する心出し部14を、全体に略一
様な厚みの筒状壁30を有する樹脂製の外筒部分26
と、素線保持孔20を有する硬質材料製の内筒部分28
との組立構造として構成したから、外筒部分26をフラ
ンジ部18及びガイド部18と共に樹脂材料から一体成
形する際に、特に外筒部分26における樹脂材料の成形
収縮が均衡し、結果として心出し部14に高い寸法精度
(心出し基準外周面12の外径寸法公差、円筒度及び真
円度、中心軸線14aに対する内筒部分28の素線保持
孔20の偏心量、等)を確保することができる。したが
ってフェルール10は、特に光ファイバの接続損失に影
響を及ぼす心出し部14の素線保持孔20の偏心量並び
に心出し基準外周面12の円筒度及び真円度を、シング
ルモード光ファイバにも適用可能な0.1〜1μmオー
ダの高い精度レベルに維持することができる。
【0039】なお、外筒部分26及び内筒部分28のそ
れぞれの固定孔24(すなわち心線保持孔22)及び素
線保持孔20が、いずれも中心軸線に対するごく僅かな
偏心量を有する場合は、以下の組立手順により素線保持
孔20の偏心量を最小限にすることができる。すなわ
ち、前述したように内筒部分28を外筒部分26の固定
孔24に嵌入した後、内筒部分28の外周面28aを外
筒部分26の固定孔24の内周面24aに密接させた状
態で、内筒部分28を軸線中心に回転させる。それによ
り、心出し部14の中心軸線14aと素線保持孔20と
の位置ずれを調整し、位置ずれが最小となった回転位置
で、内筒部分28を外筒部分26に固定する。ここで、
内筒部分28を回転している間の素線保持孔20の位置
ずれの判定は、CCDカメラ等の撮像手段や他の周知の
光学的手段によってリアルタイムで実施できる。
【0040】上記構成を有するフェルール10を使用し
た光ファイバ接続部の一例を、図4を参照して説明す
る。なお、この光ファイバ接続部では、相互接続される
一対の光ファイバの一方にフェルール10が装着され、
他方には従来の一般的なセラミックスフェルール30
(以下、フェルール30と称する)が装着されている。
フェルール30は、ジルコニアセラミックス等のセラミ
ックスからなる筒状の心出し部32と、心出し部32の
基端を固定的に支持する金属製のシェル部34とを備え
る。心出し部32には、円筒状の心出し基準外周面36
と素線保持孔38とが設けられ、シェル部34には、フ
ランジ部分40と心線保持孔42とが設けられる。
【0041】フェルール10、30を装着する一対の光
ファイバ心線Cは、それぞれの先端の所定長さ(約3〜
5mm程度)部分で樹脂製の被覆が除去されて、光ファ
イバ素線Fが露出した状態に準備される。各光ファイバ
素線Fの露出部分の長さは、フェルール10、30の素
線保持孔20、38の長さよりも若干長く設定される。
これらの光ファイバ心線Fをそれぞれフェルール10、
30の後端側から挿入し、露出した光ファイバ素線Fを
素線保持孔20、38内に配置するとともに、被覆を有
する光ファイバ心線Cの接続端近傍領域を心線保持孔2
2、42内に配置する。このとき光ファイバ心線Cは、
それぞれ接着剤(図示せず)を介して心線保持孔22、
42に固定される。その後、各フェルール10、30の
素線保持孔20、38から外部に突出した光ファイバ素
線Fの余剰部分を研磨又は加熱して端面処理することに
より、フェルール装着が完了する。
【0042】それぞれにフェルール10、30を装着し
た一対の光ファイバ心線Cは、以下のようにして、光コ
ネクタ(図示せず)に内蔵した割りスリーブS内で相互
に接続される。両フェルール10、30の心出し部1
4、32は、それぞれの心出し基準外周面12、36を
割りスリーブSの円筒状内周面に密接させて、割りスリ
ーブS内で所定位置に配置される。このとき割りスリー
ブSは、各フェルール10、30の心出し部14、32
により押し拡げられて弾性復原力を発揮し、その復原力
下で各フェルール10、30を所定位置に心出し支持す
る。この状態で、両フェルール10、30には、光コネ
クタに内蔵された図示しないばねの付勢力が負荷され
て、フェルール10の内筒部分28の軸線方向端面28
bとフェルール30の心出し部32の先端面32aとが
互いに突き合わされる。これにより、両フェルール1
0、30の心出し部14、32に固定的に保持された光
ファイバ素線Fが、互いに同心に整列して接続される。
【0043】ここでフェルール10は、前述したよう
に、心出し部14の心出し基準外周面12が極めて高水
準の円筒度及び真円度を有する円筒面として形成される
とともに、素線保持孔20の偏心量が実質的に排除され
るので、一対のフェルール10、30を上記したように
割りスリーブS内に心出し支持したときに、それらフェ
ルール10、30の心出し部14、32の相対的偏心
(すなわち素線保持孔20、38同士の位置ずれ)を、
光ファイバの接続損失を所望の低レベルに維持し得る程
度まで低減することができる。
【0044】しかもフェルール10によれば、心出し部
14の内筒部分28を金属やセラミックス等の硬質材料
から形成したから、相手方フェルール30との接続中、
内筒部分28の軸線方向端面28bとセラミックス製心
出し部32の先端面32aとの間に長時間に渡り押圧力
(通常は数N)が負荷されても、内筒部分28の塑性変
形(クリープ)を確実に回避できる。その結果、光ファ
イバ接続部における接続損失を低減することができる。
【0045】上記実施形態においては、相手方フェルー
ル30との接続中、心出し部14の内筒部分28に軸線
方向への押圧力が負荷されている間に、内筒部分28の
軸線方向端面28b近傍に生じる内部応力を適当に分散
させることが、内筒部分28の塑性変形を確実に回避す
る観点で有利である。図5は、そのような目的で構成さ
れた内筒部分28を有するフェルール10の変形例を示
す。
【0046】図示変形例によるフェルール10では、内
筒部分28は、外筒部分26の先端面26bから突出す
る軸線方向端面28bが、球面状の曲面形状に形成され
る。このような曲面形状の軸線方向端面28bは、相手
方フェルール30から受ける軸線方向押圧力による内部
応力を、適当に分散させることができる。特にフェルー
ル10においては、内筒部分28を外筒部分26に組み
込む前に、内筒部分28の軸線方向端面28bに、例え
ば研摩工程等によって所望の曲面形状を付与することが
できる。
【0047】また、上記実施形態においては、相手方フ
ェルール30との接続中、心出し部14の内筒部分28
に軸線方向への押圧力が負荷されている間に、内筒部分
28を外筒部分26の固定孔24内で、確実に固定保持
する必要がある。このような固定作用の確実性を向上さ
せるために、フェルール10は、その外筒部分26に、
固定孔24内での内筒部分28の軸線方向移動を防止す
る係止部を設けることが有利である。図6は、そのよう
な目的で構成された外筒部分26を有するフェルール1
0の他の変形例を示す。
【0048】図示変形例によるフェルール10では、外
筒部分26は、上記係止部として、心線保持孔22に局
部的に設けられる突起44を有する。突起44は、心線
保持孔22と固定孔24との境界部に、心線保持孔22
の内周面22aに直交する肩面44aを配置して、内周
面22aに突設される。内筒部分28は、心線保持孔2
2に隣接する側の軸線方向端面28dが突起44の肩面
44aに当接され、その状態で、固定孔24内の適正位
置に位置決めされてる。それにより内筒部分28は、外
筒部分26内に押し込まれる方向への軸線方向押圧力に
抗して、固定孔24内で所定位置に強固に保持される。
なお、突起44は、図示のようにフェルール10のガイ
ド部18側から徐々に隆起するように形成してもよい
し、心線保持孔22と固定孔24との境界部近傍のみに
局部的に突設してもよい。また、心線保持孔22の周方
向の所望中心角度位置に、1つ以上の突起44を等間隔
又は無作為配置で形成することができる。
【0049】図7及び図8は、本発明の第2の実施形態
によるプラスチックフェルール50(以下、フェルール
50と称する)を示す。フェルール50は、心出し部に
おける高水準の成形寸法精度を比較的容易に確保するた
めの方策として、前述したフェルール10とは異なる方
策を採用したものである。
【0050】フェルール50は、円筒状の外周面52を
有する中空筒状の心出し部54と、心出し部54の軸線
方向一端(すなわち基端)に隣接して径方向外方へ突設
されるフランジ部56と、フランジ部56を挟んで心出
し部54の反対側へ同心状に延長されるガイド部58と
を備えて構成される。心出し部54、フランジ部56及
びガイド部58は、液晶ポリマー等の所望の樹脂材料か
ら、例えば射出成形工程により一体成形される。
【0051】心出し部54には、その中心軸線54a
(すなわち円筒状外周面52の中心軸線)に沿って、被
覆を除去した光ファイバ素線F(図4)を固定的に収容
する素線保持孔60が設けられる。またガイド部58に
は、素線保持孔60よりも大径で、被覆付きの光ファイ
バ心線C(図4)を固定的に収容する心線保持孔62
が、心出し部54の中心軸線54aの延長線上に同心に
形成される。素線保持孔60と心線保持孔62とは、フ
ランジ部56に対応する位置で、環状テーパ面64を介
して軸線方向へ互いに真直ぐに連通する。
【0052】心出し部54の外周面52は、図4を参照
して説明した光ファイバ接続時に、素線保持孔60に収
容された光ファイバ素線Fの心出し基準面として作用す
る。この心出し基準外周面52は、心出し部54の軸線
方向他端(すなわち先端)近傍から、フランジ部56に
隣接する心出し部基端までの範囲で、一様な外径寸法を
有して直線状に延設される。なお、図4に示すように、
一般に光コネクタの割りスリーブSは、装着対象のフェ
ルールの心出し部を、フランジ部に至るその全長ではな
く、フランジ部から僅かに離れた位置までの所定の軸線
方向長さ分だけ受容するように構成される。割りスリー
ブSに受容される心出し部の所定の軸線方向長さを、本
明細書では「軸線方向有効長さ」と称する。
【0053】フェルール50では、素線保持孔60と心
線保持孔62とが、以下の相関関係の下に形成される。
すなわち、素線保持孔60の軸線方向長さをL1(m
m)とし、心出し部54の軸線方向有効長さをL2(m
m)としたときに、それら軸線方向長さが、 L1=L2+α ただし0.5(mm)≦α≦3.0(mm) の関係にある。
【0054】L1とL2とがこのような相関関係を有す
れば、心出し部54の特に軸線方向有効長さ領域には、
素線保持孔60だけが形成されることになる。その結
果、心出し部54には、全体に略一様な厚みの筒状壁6
6が付与される。したがって、フェルール50を樹脂材
料から一体成形する際に、特に心出し部54における樹
脂材料の成形収縮が均衡し、結果として心出し部54に
高い寸法精度(心出し基準外周面52の外径寸法公差、
円筒度及び真円度、中心軸線54aに対する素線保持孔
60の偏心量、等)を確保することができる。したがっ
てフェルール50は、特に光ファイバの接続損失に影響
を及ぼす心出し部54の素線保持孔60の偏心量並びに
心出し基準外周面52の円筒度及び真円度を、シングル
モード光ファイバにも適用可能な0.1〜1μmオーダ
の高い精度レベルに維持することができる。
【0055】ここで、L1とL2との長さの差αの範囲
を規定するために、本願発明者らは、フェルール50
を、αの値を様々に変化させて実際に成形し、各α値に
おける心出し部54の心出し基準外周面52の円筒度を
測定した。なお、成形したフェルール50は、L2=
5.8mmのいわゆるSC型(JIS)と、L2=3.
8mmのいわゆるMU型(JIS)との2タイプであっ
た。各タイプのフェルール50における心出し部54の
円筒度の測定結果を図9に示す。
【0056】図9(a)の曲線は、種々のα値に対応し
て成形した複数のSC型フェルール50における心出し
部54の円筒度(μm)を、実測値でプロットしたもの
である。また、図9(b)の曲線は、種々のα値に対応
して成形した複数のMU型フェルール50における心出
し部54の円筒度(μm)を、実測値でプロットしたも
のである。いずれの図からも明らかなように、α≧0.
5mmのときに、円筒度は1μm以下となり、心出し部
54に所要の寸法精度が得られたと解される。αが0.
5mm未満では、心出し部54の円筒度が悪化し、接続
損失が増大することが予測される。
【0057】さらにフェルール50では、αの上限値を
3.0mmと規定したことにより、フランジ部56から
ガイド部58にかけて延設される心線保持孔62に、接
着剤を用いて光ファイバ心線Cを強固に固定するに十分
な長さの接着剤塗布領域を確保することができる。αが
3.0mmを超えると、接着剤塗布領域が不足し、フェ
ルール50における光ファイバ心線Cの固定強度が弱ま
ることが危惧される。
【0058】ところで、前述した第1実施形態によるフ
ェルール10の構成では、内筒部分28が樹脂材料から
なる場合であっても、全体に略一様な厚みの筒状壁30
を有する外筒部分26を、所望の樹脂材料から高い寸法
精度で成形できる。しかし、いずれも樹脂材料から成形
された外筒部分26と内筒部分28とを、後工程で互い
に組み合わせる場合は、組立作業に起因して微小な寸法
誤差が生じる懸念がある。そこで、二色成形技術を用い
て、外筒部分26と内筒部分28とを順次、所望の樹脂
材料から成形して、成形型内で一体化することが有利で
ある。
【0059】図10は、そのような二色成形法によって
成形された本発明の第3の実施形態によるプラスチック
フェルール70(以下、フェルール70と称する)を示
す。フェルール70は、円筒状の外周面72を有する中
空筒状の心出し部74と、心出し部74の軸線方向一端
(すなわち基端)に隣接して径方向外方へ突設されるフ
ランジ部76と、フランジ部76を挟んで心出し部74
の反対側へ同心状に延長されるガイド部78とを備えて
構成される。心出し部74にはその中心軸線74a(す
なわち円筒状外周面72の中心軸線)に沿って、光ファ
イバ素線F(図4)を固定的に収容する第1孔すなわち
素線保持孔80と、素線保持孔80よりも大径で、光フ
ァイバ心線C(図4)を固定的に収容する第2孔すなわ
ち心線保持孔82とが、軸線方向へ互いに連通して形成
される。
【0060】心出し部74の外周面72は、図4を参照
して説明した光ファイバ接続時に、素線保持孔80に収
容された光ファイバ素線Fの心出し基準面として作用す
る。この心出し基準外周面72は、心出し部74の軸線
方向他端(すなわち先端)近傍から、フランジ部76に
隣接する心出し部基端までの範囲で、一様な外径寸法を
有して直線状に延設される。フランジ部76は、光コネ
クタに内蔵されるばねによる軸線方向前方への付勢力を
受ける部分として、心出し部74に一体的に連結され
る。またガイド部78は、装着対象の光ファイバ心線C
を接続端の近傍で直線状に保持するとともに接着剤の塗
布領域を確保する部分として、心出し部74及びフラン
ジ部76に一体的に連結される。
【0061】フェルール70の心出し部74は、心出し
基準外周面72、心線保持孔82及び心線保持孔82か
ら中心軸線74aに沿って先端側へ延長される第3孔す
なわち固定孔84を有する外筒部分86と、素線保持孔
80を有し、外筒部分86の固定孔84に受容されて固
定される内筒部分88とを備える。図示実施形態では、
外筒部分86と内筒部分88とは、後述する二色成形法
により、互いに異なる樹脂材料から一体的に成形され
る。なお、外筒部分86と内筒部分88とを、同様の二
色成形法により、互いに同一の樹脂材料から成形するこ
ともできる。
【0062】図10(a)に示すように、外筒部分86
の心線保持孔82及び固定孔84は、中心軸線74aを
両者の実質的中心として互いに段差無く直線状に連結さ
れる一様な径寸法の円筒状内周面82a、84aをそれ
ぞれに有する。また、心出し基準外周面72は、外筒部
分86の先端領域で環状テーパ面86aを介して略平坦
な先端面86bに接続され、この先端面86bに固定孔
84が開口する。それにより外筒部分86には、心出し
基準外周面72と両内周面82a、84aとの間に、全
体に略一様な厚みの筒状壁90が形成される。なお、心
線保持孔82は、フランジ部76及びガイド部78を貫
通して一様な内径寸法を維持しつつ直線状に延長され、
ガイド部78の軸線方向端面78aで開口する。このよ
うな構成を有する外筒部分86は、液晶ポリマー等の所
望の樹脂材料から、射出成形工程により、フランジ部7
6及びガイド部78と共に一体成形される。
【0063】他方、内筒部分88は、外筒部分86の固
定孔84の内周面84aに密接する円筒状の外周面88
aを有し、この外周面88aの中心軸線に実質的に整合
して、素線保持孔80が形成される。素線保持孔80
は、一様な径寸法を有して直線状に延び、内筒部分88
の軸線方向一端面88bで開口するとともに、径方向へ
徐々に拡張する環状テーパ面88c及び一様な内径寸法
の円筒面88dを介して、内筒部分88の軸線方向他端
面88eに開口する。
【0064】フェルール70を成形する二色成形法にお
いては、外筒部分86と内筒部分88とのいずれか一方
を一次成形した後、その一次成形品をインサートとし
て、他方を二次成形する。したがって、外筒部分86の
固定孔84の内周面84a及び内筒部分88の外周面8
8aは、いずれか一方が一次成形工程により形成され、
他方はその一次成形面に対応して二次成形工程で形成さ
れることになる。したがって、外筒部分86の内周面8
4aと内筒部分88の外周面88aとの間の隙間が完全
に排除される。特に、外筒部分86と内筒部分88とが
同一樹脂材料からなる場合は、内周面84aと外周面8
8aとの境界は結果的に不明瞭になることが予測され
る。しかし、外筒部分86の成形時には、一次二次に関
わらず全体に略一様な厚みの筒状壁90を成形すること
になるから、外筒部分86における樹脂材料の成形収縮
が均衡し、前述したフェルール10と同様に、心出し部
74に高い寸法精度(心出し基準外周面72の外径寸法
公差、円筒度及び真円度、中心軸線74aに対する内筒
部分88の素線保持孔80の偏心量、等)を確保するこ
とができる。
【0065】図11は、フェルール70を成形するため
の本発明の一実施形態による成形型100を示す。成形
型100は、二色成形法を実施するための周知の回転構
造を有するものであって、成形機(例えば射出成形機)
の型締装置(図示せず)に固定的に搭載される固定側構
造102と、固定側構造102に対して直動式開閉動作
可能に型装置に搭載される可動側構造104とを備え
る。可動側構造104はさらに、型開き位置で、開閉動
作方向に平行な回転軸線104aを中心に、固定側構造
102に対して回転可能になっている。
【0066】可動側構造104には、回転軸線104a
を挟んで互いに対向する位置に、互いに同一の構成を有
する一対の可動型部106が設置される。また固定側構
造102には、それら可動型部106のそれぞれに組合
せ可能な位置に、互いに異なる構成を有する第1及び第
2の固定型部108、110が設置される。第1の固定
型部108は、1つの可動型部106と協働して、フェ
ルール70の内筒部分88を成形する一次型112を構
成する。また、第2の固定型部110は、1つの可動型
部106と協働して、成形された内筒部分88をインサ
ートとして収容した状態でフェルール70の外筒部分8
6を成形する二次型114を構成する。
【0067】一次型112及び二次型114を構成する
一対の可動型部106は、互いに同一の成形面を有する
キャビティ部材116を装着した型板118と、フェル
ール70の素線保持孔80を成形するための可動コア機
構120と、成形物を型から排出するための排出機構1
22とをそれぞれに備える。これら可動型部106は可
動側取付板124に支持され、可動側取付板124が、
図示しない型締め機構及び回転機構に作用的に連結され
る。
【0068】また、一次型112の固定型部108と二
次型114の固定型部110とは、互いに異なる輪郭の
成形面を有するキャビティ部材126、128を装着し
た型板130、132をそれぞれに備える。それら型板
130、132は、パーティング面を形成するそれぞれ
の端面130a、132aが、互いに異なる構成を有す
る。これら固定型部108、110は固定側取付板13
4に支持され、固定側取付板134が、両固定型部10
8、110に対応する一対のロケートリング136を介
して、図示しない型装置上で所定位置に位置決めして固
定される。
【0069】次に、図12〜図27を参照して、成形型
100のさらなる詳細、及び成形型100を用いた二色
成形法によりフェルール70を製造する本発明の一実施
形態による製造方法を説明する。まず、一次型112に
おいて、フェルール70の内筒部分88を成形する。一
次型112が図12に示す型締め状態にあるときに、可
動型部106の型板118は、その端面118aが固定
型部108の型板130の端面130aに密に当接さ
れ、可動コア機構120は、内筒部分88の素線保持孔
80を成形するためのコアピン138を作用位置に配置
し、排出機構122は、成形物を排出するための複数の
エジェクタピン140をいずれも非作用位置に配置す
る。
【0070】可動型部106の型板118に装着したキ
ャビティ部材116には、図13に示すように、フェル
ール70のフランジ部76及びガイド部78を成形する
凹所142と、凹所142内に延設されて外筒部分86
の心線保持孔82を成形する円筒コア144とが設けら
れる。円筒コア144は、その軸線方向貫通孔144a
に、コアピン138を軸線方向摺動可能に受容する。さ
らにキャビティ部材116には、複数のエジェクタピン
140を軸線方向摺動可能に個別に受容する複数の貫通
穴が形成される。他方、固定型部108の型板130に
装着したキャビティ部材126には、フェルール70の
内筒部分88を成形する凹所146と、凹所146に連
通する材料通路(すなわちゲート148、ランナ溝15
0及びスプルー溝152)とが設けられる。
【0071】一次型112が型締め状態にあるときに、
可動型部106の円筒コア144は、その先端近傍の所
定長さ領域が、固定型部108の凹所146に、少なく
とも内筒部分88の溶融樹脂材料に対して液密状に受容
される。同時にコアピン138は、その先端近傍の小径
部分138aが、円筒コア144の開口端から突出し
て、凹所146内の所定位置に固定的に保持される。こ
の状態で、コアピン138及び円筒コア144の外面と
凹所146の内面とが協働して、内筒部分88に対応す
る輪郭の第1の型キャビティ154を画定する。ゲート
148は、この型キャビティ154に開口する。また、
可動型部106の凹所142は、円筒コア144と凹所
146との液密状の係合により、材料通路(ゲート14
8、ランナ溝150及びスプルー溝152)から、少な
くとも内筒部分88の溶融樹脂材料の流通が生じないよ
うに隔離される。
【0072】可動コア機構120は、コアピン138を
固定的に支持する支持板156と、支持板156に固定
される一対のガイドピン158と、一端縁で支持板15
6に当接される一対の回転カム板160と、それら回転
カム板160の他端縁にそれぞれ当接される一対の作動
ピン162とを備える。支持板156及び一対の回転カ
ム板160は、可動型部106の型板118と可動側取
付板124との間に配置され、コアピン138、一対の
ガイドピン158及び一対の作動ピン162は、型板1
18を軸線方向移動可能に貫通して、それらの先端領域
が型板118の端面118aから突出できるように配置
される。支持板156は、型板118と一対のガイドピ
ン158との摺動係合下で、型板118に対して軸線方
向(すなわち回転軸線104aに平行な方向)へ平行移
動できる。
【0073】図12の型締め状態で、可動コア機構12
0は、両作動ピン162がそれらの先端面で固定型部1
08の型板130の端面130aに当接されて型板11
8内に押し込まれ、それにより両回転カム板160が支
軸164を中心に回転して、支持板156を型板118
に接触する前進位置に押し出す。その結果、コアピン1
38が、図13に示す作用位置に配置される。この作用
位置で、コアピン138は、前述したようにその小径部
分138aが円筒コア144の開口端から固定型部10
8の凹所146内に突出するとともに、その先端部分1
38bが、凹所146の底壁面に形成した溝穴146a
に液密状に嵌入され、それにより凹所146内の所定位
置に固定的に保持される。また、この位置で両ガイドピ
ン158は、それぞれの先端部分が型板118の端面1
18aから突出して、固定型部108の型板130の端
面130aに設けた一対の窪部166に障害無く受容さ
れる。
【0074】排出機構122は、複数(図では3本)の
エジェクタピン140を固定的に支持する支持板168
と、支持板168に固定される一対のガイドピン170
と、それらガイドピン170にそれぞれ関連して型板1
18と支持板168との間に設置される一対の付勢部材
172とを備える。支持板168は、可動コア機構12
0の支持板156と可動側取付板124との間に配置さ
れ、3本のエジェクタピン140及び一対のガイドピン
170は、支持板156及び型板118を軸線方向移動
可能に貫通して、それらの先端領域が型板118の端面
118aから突出できるように配置される。また、それ
ぞれが例えば圧縮ばねからなる一対の付勢部材172
は、支持板156を貫通して配置され、支持板168を
型板118から離れる方向に付勢する。支持板168
は、型板118と一対のガイドピン170との摺動係合
下及び一対の付勢部材172の付勢力下で、型板118
に対して軸線方向(すなわち回転軸線104aに平行な
方向)へ平行移動できる。
【0075】図12の型締め状態で、排出機構122
は、両ガイドピン170の先端面が固定型部108の型
板130の端面130aに当接されるとともに、両付勢
部材172の付勢力により、支持板168を可動側取付
板124に接触する後退位置に配置する。その結果、3
本のエジェクタピン140は、図12及び図13に示す
非作用位置に配置される。この非作用位置で、各エジェ
クタピン140はその先端面を、型板118に装着した
キャビティ部材116の凹所142内、及び固定型部1
08のスプルー溝152に軸線方向へ整列する貫通穴内
に引き込んで配置する。
【0076】このような型締め状態で、固定型部108
の材料通路148、150、152を介して、型キャビ
ティ154に所望の溶融樹脂材料を供給する。この間、
コアピン138の小径部分138aは、その先端部分1
38bと凹所146の溝穴146aとの係合により、材
料供給圧力に抗して所定位置に固定的に保持される。そ
の状態で、樹脂材料を固化させることにより、型キャビ
ティ154内で内筒部分88が成形される。
【0077】上記した型締め状態から、型締め機構の駆
動により、可動側構造104を固定側構造102から引
き離し、一次型112を開放する。このとき、図14及
び図15に示すように、成形された内筒部分88は、可
動型部106のコアピン138及び円筒コア144上に
保持されて、固定型部108の凹所146から脱離され
る。同様に、固定型部108の材料通路148、15
0、152内で固化した補助的材料部分Mは、キャビテ
ィ部材116に蟻ほぞ状に係合することにより可動型部
106上に保持されて、材料通路148、150、15
2から脱離される。それと同時に、内筒部分88が、ゲ
ート148の開口端の部位で、補助的材料部分Mから切
り離される。
【0078】一次型112を完全に開放した状態で、図
16に示すように、排出機構122の支持板168を、
外部の操作部材174により押圧操作し、付勢部材17
2の付勢力に抗して、可動コア機構120の支持板15
6に接近する方向へ移動させる。それにより、支持板1
68に支持された3本のエジェクタピン140は、それ
らの先端部分が、型板118に装着したキャビティ部材
116から外方へ突出する。その結果、補助的材料部分
Mは、蟻ほぞ状の係合部分が1本のエジェクタピン14
0によってキャビティ部材116から押し出されること
により、可動型部106から排出される。なお、他の2
本のエジェクタピン140は、内筒部分88に衝突する
ことなくキャビティ部材116から突出するので、内筒
部分88は、可動型部106のコアピン138及び円筒
コア144上に保持された状態を維持する(図17)。
【0079】補助的材料部分Mの排出が完了すると、図
示しない回転機構により、可動側構造104を回転軸線
104aの周りで180°回転させ、内筒部分88を保
持した可動型部106を、二次型114を構成する固定
型部110に対向配置する。次いで、型締め機構によ
り、可動側構造104を固定側構造102に接近させ、
二次型114を型締め状態に保持する。
【0080】二次型114が図18に示す型締め状態に
あるときに、可動型部106の型板118は、その端面
118aが固定型部110の型板132の端面132a
に密に当接され、可動コア機構120は、コアピン13
8を非作用位置に配置し、排出機構122は、3本のエ
ジェクタピン140を非作用位置に配置する。固定型部
110の型板132に装着したキャビティ部材128に
は、フェルール70の外筒部分86を成形する凹所17
6と、材料通路(すなわちランナ溝178及びスプルー
溝180)とが設けられる。なお、可動型部106のキ
ャビティ部材116には、可動型部106が固定型部1
08と協働して一次型112を構成する際に固定型部1
08のランナ溝150に連通しない位置に、凹所142
に開口するゲート182が予め設けられている(図1
9)。そして、可動型部106が固定型部110と協働
して二次型114を構成する際に、固定型部110のラ
ンナ溝178は、可動型部106のゲート182に流体
流通可能に連通する。
【0081】二次型114が型締め状態にあるときに、
内筒部分88は、可動型部106のコアピン138及び
円筒コア144の所定長さ領域と共に、固定型部110
の凹所176に、所定の隙間を介して受容される。この
ときコアピン138は、後述する可動コア機構120の
動作により、その小径部分138aが円筒コア144内
に部分的に引き込まれた非作用位置に配置される。同時
に、コアピン138及び円筒コア144に支持される内
筒部分88は、その軸線方向一端面88bを凹所176
の底壁面176aに密接させるとともに、底壁面176
aに突設した位置決め突起184が素線保持孔80の開
口端に密に嵌入される。それにより内筒部分88が、凹
所176内の所定位置に固定的に保持される。また、固
定型部110の凹所176は、その開口端で可動型部1
06の凹所142に連通し、したがって材料通路(ゲー
ト182、ランナ溝178及びスプルー溝180)に連
通する。この状態で、内筒部分88及び円筒コア144
の外面と、凹所176及び凹所142の内面とが協働し
て、外筒部分86並びにフランジ部76及びガイド部7
8(図10)に対応する輪郭を有する第2の型キャビテ
ィ186を画定する。
【0082】ここで、外筒部分86を成形してフェルー
ル70の製造が完了した後に、心出し部74の中心軸線
74a(図10)に対する内筒部分88の素線保持孔8
0の偏心量が、所要の精度レベルまで低減されているこ
とを確保するために、凹所176の底壁面176aに突
設した位置決め突起184を、心出し基準外周面72を
成形する凹所176の円筒状内周面176bに対して、
中心位置に正確に位置決めして形成する必要がある。さ
らに、位置決め突起184は、外筒部分86の成形時
に、内筒部分88の素線保持孔80の開口端に圧入され
ていることが、内筒部分88を所定位置に正確に位置決
めして固定的に保持する観点で好ましい。この場合、位
置決め突起184がその根元で凹状に湾曲する遷移面1
84a(図20)を介して、凹所176の底壁面176
aに連結されていることが有利である。このような構成
によれば、遷移面184aを内筒部分88の素線保持孔
80の開口端に押し付けることにより、位置決め突起1
84と内筒部分88との接触面積を拡大できるので、凹
所176への溶融樹脂材料の注入圧力に抗して、内筒部
分88を所定位置に強固に保持することができる。
【0083】図18の型締め状態で、可動コア機構12
0は、一対のガイドピン158がそれらの先端面で固定
型部110の型板132の端面132aに当接されて型
板118内に押し込まれ、それにより支持板156が、
型板118から離れた後退位置に移動する。その結果、
コアピン138が、図19に示す前述した非作用位置に
配置される。また、このとき、一対の回転カム板160
が支持板156に押されて支軸164を中心に回転し、
それにより対応の作動ピン162を、それぞれの先端部
分が型板118の端面118aから突出する方向へ押し
出す。そして、それら作動ピン162の先端部分は、固
定型部110の型板132の端面132aに設けた一対
の窪部188に障害無く受容される。なお、図18の型
締め状態で、排出機構122は、一次型112の型締め
状態におけると同様に、3本のエジェクタピン140
を、図18及び図19に示す非作用位置に配置する。
【0084】このような型締め状態で、固定型部110
の材料通路178、180及び可動型部106の材料通
路182を介して、型キャビティ186に所望の溶融樹
脂材料を供給する。この間、内筒部分88は、その素線
保持孔80の開口端と凹所176の位置決め突起184
との係合により、材料供給圧力に抗して所定位置に固定
的に保持される。その状態で、樹脂材料を固化させるこ
とにより、型キャビティ186内で外筒部分86並びに
フランジ部76及びガイド部78が成形され、外筒部分
86が内筒部分88と一体化されて心出し部74が形成
される。このようにして、フェルール70の全体が成形
される。
【0085】上記した型締め状態から、型締め機構の駆
動により、可動側構造104を固定側構造102から引
き離し、二次型114を開放する。このとき、図21及
び図22に示すように、成形されたフェルール70は、
可動型部106の凹所142内及び円筒コア144上に
保持されて、固定型部110の凹所176から脱離され
る。同様に、固定型部110の材料通路178、180
及び可動型部106の材料通路182内で固化した補助
的材料部分Mは、キャビティ部材116に係合すること
により可動型部106上に保持されて、材料通路17
8、180から脱離される。
【0086】二次型114を完全に開放した状態で、図
23に示すように、排出機構122の支持板168を、
外部の操作部材174により押圧操作し、付勢部材17
2の付勢力に抗して、可動コア機構120の支持板15
6に接近する方向へ移動させる。それにより、支持板1
68に支持された3本のエジェクタピン140は、それ
らの先端部分が、型板118に装着したキャビティ部材
116から外方へ突出する。その結果、図24に示すよ
うに、補助的材料部分Mは、蟻ほぞ状の係合部分が1本
のエジェクタピン140によってキャビティ部材116
から押し出されることにより、可動型部106から排出
される。また、他の2本のエジェクタピン140が、凹
所142内で成形されたフランジ部76に衝突して、フ
ェルール70を可動型部106から排出する。このとき
同時に、フェルール70が、ゲート182の開口端の部
位で、補助的材料部分Mから切り離される。このように
して、フェルール70が完成する。
【0087】このように、上記した製造方法によれば、
一次型112での内筒部分88の成形時に、内筒部分8
8の外周面88aに対して素線保持孔80が幾分偏心し
ていたとしても、二次型114で外筒部分86を成形す
る際に、型キャビティ186内で内筒部分88の素線保
持孔80を正確に位置決めしさえすれば、成形後のフェ
ルール70の心出し部74に、中心軸線74aに対する
素線保持孔80の偏心量を所要レベル(例えば1μm以
下)まで低減した高い寸法精度を付与することができ
る。また、外筒部分86の成形時には、予め成形された
内筒部分88の周囲に、全体に略一様な厚みの筒状壁9
0を成形することになるから、外筒部分86における樹
脂材料の成形収縮が均衡し、心出し部74に高い寸法精
度(心出し基準外周面72の外径寸法公差、円筒度及び
真円度、等)を確保することができる。さらに、二色成
形法を採用したので、第1実施形態による組立式のフェ
ルール10に比べて、製造コストを著しく低減すること
ができる。
【0088】特に、回転構造を備えた成形型100を使
用すれば、一次型112と二次型114とで同時に成形
工程を実施できるので、1製品の製造に要する時間は、
単色の成形工程とさほど変わらないものとなる。また、
可動型部106にコアピン138を設置し、一次型11
2を構成する固定型部108の凹所146の底壁面に設
けた溝穴146aにコアピン138の先端部分を嵌入す
る構成としたから、成形された内筒部分88は、素線保
持孔80の素線挿入側の開口端に、光ファイバ素線Fの
挿入作業の妨害になり得るバリを全く有しないものとな
る。
【0089】上記製造方法によって製造されたフェルー
ル70では、外筒部分86及び内筒部分88に使用する
樹脂材料によっては、成形後に内筒部分88が外筒部分
86から抜け落ちてしまうことが懸念される。図25
は、このような懸念を排除できる変形例によるフェルー
ル190を示す。フェルール190は、心線保持孔及び
固定孔を有する外筒部分に、固定孔内での内筒部分の軸
線方向移動を防止する係止部を設けたこと以外は、図1
0に示すフェルール70と実質的に同一の構成を有す
る。したがって、対応する構成要素には共通の参照符号
を付してその説明を省略する。
【0090】フェルール190は、外筒部分86の心線
保持孔82に、固定孔84内での内筒部分88の軸線方
向後方移動を防止する環状の突起192を備える。内筒
部分88は、その軸線方向端面88eで突起192に当
接される。また、任意選択的に、固定孔84をその開口
端で局部的に縮径することにより、固定孔84内での内
筒部分88の軸線方向前方移動を防止する環状の隆起1
94を形成することもできる。
【0091】このような構成を有するフェルール190
を成形する成形型の構成を、図26及び図27を参照し
て説明する。この成形型は、前述した成形型100にお
いて、可動型部106の可動コア機構120の構成と、
一次型112の固定型部108の構成とを、いずれも部
分的に変更したものである。すなわち、可動コア機構1
20は、前述した円筒コア144に代えて、コアピン1
38を軸線方向摺動可能に収容してキャビティ部材11
6に固定される内コア196と、内コア196を囲繞し
て内コア196及びキャビティ部材116に対し軸線方
向摺動可能に設置される外コア198とを備える。ま
た、固定型部108は、キャビティ部材126の凹所1
46に、その周壁面と底壁面との間に延びるテーパ面1
46bを有する。
【0092】一次型112が図26に示す型締め状態に
あるときに、可動型部106の円筒コアを構成する内コ
ア196と外コア198とは、図13に示す円筒コア1
44と実質的同一の形態を呈する相対配置で、固定型部
108の凹所146に液密状に受容される。同様にコア
ピン138は、その先端部分138bが凹所146の底
壁面に設けた溝穴146aに嵌入され、小径部分138
aが凹所146内の所定位置に固定的に保持される。
【0093】この型締め状態で、コアピン138、内コ
ア196及び外コア198の外面と凹所146の内面と
が協働して画定する型キャビティ154に、所望の溶融
樹脂材料を供給して、内筒部分88を成形する。この内
筒部分88には、固定型部108の凹所146に設けた
テーパ面146bに対応して、外周面88aと軸線方向
端面88bとの間に延びるテーパ面88f(図25)が
形成される。
【0094】成形された内筒部分88は、前述した製造
工程と同様にして、二次型114に移される。二次型1
14が図27に示す型締め状態にあるときに、可動型部
106のコアピン138は、図19と同様の非作用位置
に配置される。同時に、可動型部106の外コア198
は、図示しない駆動機構により、内コア196に対して
軸線方向後方へ所定距離だけ引き込まれる。また、コア
ピン138及び内コア196に支持される内筒部分88
は、固定型部110の凹所176の底壁面176aに突
設した位置決め突起184を素線保持孔80の開口端に
嵌入して、凹所176内の所定位置に固定的に保持され
る。
【0095】この型締め状態で、内筒部分88、内コア
196及び外コア198の外面と、凹所176及び凹所
142の内面とが協働して画定する型キャビティ186
に、所望の溶融樹脂材料を供給して、外筒部分86並び
にフランジ部76及びガイド部78が成形し、外筒部分
86を内筒部分88と一体化して心出し部74を形成す
る。このようにして成形されたフェルール190では、
二次型114における外コア198の後退動作により内
筒部分88の軸線方向端面88eと外コア198の軸線
方向端面との間に形成される環状空所に対応して、外筒
部分86の心線保持孔82に環状の突起192(図2
5)が形成されている。また、内筒部分88のテーパ面
88fに対応して、固定孔84の開口端に環状の隆起1
94(図25)が形成されている。
【0096】ところで、前述した第2実施形態によるフ
ェルール50(図7及び図8)では、第1及び第3実施
形態によるフェルール10、70と異なり、心出し部5
4の全体が単一の材料から作製されるので、接続相手の
フェルールの心出し部が硬質材料からなる場合、長時間
に渡る接続中に、心出し部54の先端面に塑性変形が生
じる危惧がある。そこで、フェルール10、70で採用
した複合構造の心出し部の構成を、フェルール50にも
適用すれば、心出し部先端面の塑性変形の危惧を排除す
ることができる。
【0097】図28は、そのような複合構造の心出し部
を採用した本発明の第4の実施形態によるプラスチック
フェルール200(以下、フェルール200と称する)
を示す。フェルール200は、円筒状の外周面202を
有する中空筒状の心出し部204と、心出し部204の
軸線方向一端(すなわち基端)に隣接して径方向外方へ
突設されるフランジ部206と、フランジ部206を挟
んで心出し部204の反対側へ同心状に延長されるガイ
ド部208とを備えて構成される。
【0098】心出し部204には、その中心軸線204
a(すなわち円筒状外周面202の中心軸線)に沿っ
て、被覆を除去した光ファイバ素線F(図4)を固定的
に収容する素線保持孔210が設けられる。またガイド
部208には、素線保持孔210よりも大径で、被覆付
きの光ファイバ心線C(図4)を固定的に収容する心線
保持孔212が、心出し部204の中心軸線204aの
延長線上に同心に形成される。素線保持孔210と心線
保持孔212とは、フランジ部206に対応する位置
で、環状テーパ面214を介して軸線方向へ互いに真直
ぐに連通する。
【0099】心出し部204の外周面202は、図4を
参照して説明した光ファイバ接続時に、素線保持孔21
0に収容された光ファイバ素線Fの心出し基準面として
作用する。この心出し基準外周面202は、心出し部2
04の軸線方向他端(すなわち先端)近傍から、フラン
ジ部206に隣接する心出し部基端までの範囲で、一様
な外径寸法を有して真直ぐに延設される。なお、図4に
示すように、一般に光コネクタの割りスリーブSは、装
着対象のフェルールの心出し部を、フランジ部に至るそ
の全長ではなく、フランジ部から僅かに離れた位置まで
の所定の軸線方向長さ分だけ受容するように構成され
る。割りスリーブSに受容される心出し部の所定の軸線
方向長さを、本明細書では「軸線方向有効長さ」と称す
る。
【0100】フェルール200の心出し部204は、心
出し基準外周面202、素線保持孔210の主要長さ部
分を形成する第1素線保持孔216、及び第1素線保持
孔216から径方向へ拡張して中心軸線204aに沿っ
て延長される固定孔218を有する樹脂製の外筒部分2
20と、素線保持孔210の残りの長さ部分を形成する
第2素線保持孔222を有し、第2素線保持孔222を
外筒部分220の第1素線保持孔216に対し真直ぐに
整合配置した状態で固定孔218に固定される内筒部分
224とを備える。図示実施形態では、外筒部分220
と内筒部分224とは、互いに独立した部材として、硬
度の異なる材料から個別に形成される。
【0101】図29に示すように、外筒部分220の第
1素線保持孔216は、心出し部204の軸線方向有効
長さの主要範囲に渡り、心線保持孔212に隣接して延
設され、固定孔218は、心出し部204の先端近傍の
僅かな範囲に渡って延設される。これら第1素線保持孔
216及び固定孔218は、心出し部204の中心軸線
204aを両者の実質的中心として同心状に連結される
いずれも一様な径寸法の円筒状内周面216a、218
aをそれぞれに有する。また、心出し基準外周面202
は、外筒部分220の先端領域で環状テーパ面220a
を介して略平坦な先端面220bに接続され、この先端
面220bに固定孔218が開口する。それにより外筒
部分220には、軸線方向有効長さの主要範囲に渡っ
て、心出し基準外周面202と内周面216aとの間
に、全体に略一様な厚みの筒状壁226が形成される。
なお、心線保持孔212は、ガイド部208を貫通して
一様な内径寸法を維持しつつ直線状に延長され、ガイド
部208の軸線方向端面208aで開口する。このよう
な構成を有する外筒部分220は、液晶ポリマー等の所
望の樹脂材料から、例えば射出成形工程により、フラン
ジ部206及びガイド部208と共に一体成形される。
【0102】図29に示すように、内筒部分224は、
外筒部分220の固定孔218の内周面218aに密接
できる円筒状の外周面224aを有し、この外周面22
4aの中心軸線に実質的に心合せされた位置に、第2素
線保持孔222が形成される。第2素線保持孔222
は、外筒部分220の第1素線保持孔216と略同一の
一様な径寸法を有して直線状に延び、内筒部分224の
軸線方向両端面224b、224cに開口する。なお第
2素線保持孔222は、一方の軸線方向端面224cに
向けて径方向へ徐々に拡張する環状テーパ面224dを
有することが、後述する組立工程を容易にする観点で有
利である。
【0103】このような構成を有する内筒部分224
は、金属、セラミックス等の、外筒部分220の樹脂材
料よりも硬く、好ましくはより大きな弾性率を有する材
料から成形される。特に、前述した光ファイバ接続時
に、接続相手のフェルールが、光コネクタ用フェルール
の材料として一般的なジルコニアセラミックス等の高靭
性セラミックスからなることを考慮すれば、内筒部分2
24の材料は、少なくともジルコニアセラミックスと同
程度の機械的性質(硬度、弾性率、靭性等)を有するこ
とが有利である。
【0104】内筒部分224は、いずれか一方(又は環
状テーパ面224d側)の軸線方向端面224cが外筒
部分220の第1素線保持孔216に隣接するように方
向付けして、外筒部分220の固定孔218に嵌入され
る。このとき図示実施形態では、内筒部分224は、他
方の軸線方向端面224bが、固定孔218を開口させ
る外筒部分220の先端面220bから所定長さだけ突
出する(図28(b))ように、固定孔218内で位置
決めされる。或いは、内筒部分224の軸線方向寸法を
固定孔218の軸線方向寸法と同一に形成することによ
り、軸線方向端面224bが先端面220bと略同一の
平面上で露出するように構成することもできる。なお内
筒部分224は、固定孔218に対し、締まり嵌め状態
に圧入したり、接着剤を用いたりすることによって、強
固に固定される。ただし、第1素線保持孔216と第2
素線保持孔222とを高精度に心合せするためには、接
着剤を使用して、外筒部分220及び内筒部分224が
有し得る寸法誤差を相殺できるようにすることが好まし
い。
【0105】フェルール200においては、前述した第
2実施形態によるフェルール50と同様に、心出し部2
04の軸線方向有効長さ(L2)と素線保持孔210の
軸線方向長さ(L1)との間に、所定の寸法関係(L1
=L2+α、ただし0.5≦α≦3.0(単位は全てm
m))が設定される。なお図示実施形態では、心出し部
204の軸線方向有効長さ(L2)は、外筒部分220
の先端面220bからの内筒部分224の突出長さを含
み、また素線保持孔210の軸線方向長さ(L1)は、
第1素線保持孔216と第2素線保持孔222との合計
値となる。
【0106】上記構成を有するフェルール200によれ
ば、心出し部204の軸線方向有効長さの主要範囲に渡
って、全体に略一様な厚みの筒状壁226が付与される
ので、前述したフェルール50と同様に、心出し部20
4の主要部分に高い寸法精度(心出し基準外周面202
の外径寸法公差、円筒度及び真円度、中心軸線204a
に対する第1素線保持孔216の偏心量、等)を確保す
ることができる。さらに、外筒部分220の固定孔21
8に内筒部分224を高精度の相対位置関係の下に固定
することにより、第2素線保持孔222を含む素線保持
孔210全体の寸法精度を確保できる。したがってフェ
ルール200は、特に光ファイバの接続損失に影響を及
ぼす心出し部204の素線保持孔210の偏心量並びに
心出し基準外周面222の円筒度及び真円度を、シング
ルモード光ファイバにも適用可能な0.1〜1μmオー
ダの高い精度レベルに維持することができる。
【0107】しかもフェルール200によれば、心出し
部204の内筒部分224を金属やセラミックス等の硬
質材料から形成したから、図4に示す相手方フェルール
30との接続中、内筒部分224の軸線方向端面224
bとセラミックス製心出し部32の先端面32aとの間
に長時間に渡り押圧力(通常は数N)が負荷されても、
内筒部分224の塑性変形(クリープ)を確実に回避で
きる。その結果、光ファイバ接続部における接続損失を
低減することができる。
【0108】上記実施形態においては、相手方フェルー
ル30との接続中、心出し部204の内筒部分224に
軸線方向への押圧力が負荷されている間に、内筒部分2
24の軸線方向端面224b近傍に生じる内部応力を適
当に分散させることが、内筒部分224の塑性変形を確
実に回避する観点で有利である。図30は、そのような
目的で構成された内筒部分224を有するフェルール2
00の変形例を示す。
【0109】図示変形例によるフェルール200では、
内筒部分224は、外筒部分220の先端面220bか
ら突出する軸線方向端面224bが、球面状の曲面形状
に形成される。このような曲面形状の軸線方向端面22
4bは、相手方フェルール30から受ける軸線方向押圧
力による内部応力を、適当に分散させることができる。
特にフェルール200においては、内筒部分224を外
筒部分220に組み込む前に、内筒部分224の軸線方
向端面224bに、例えば研摩工程等によって所望の曲
面形状を付与することができる。
【0110】上記構成を有するフェルール200では、
心出し部204の外筒部分220に内筒部分224を組
み付ける際に、素線保持孔210の内径寸法よりも僅か
に小さい外径寸法を有する細長い案内治具228を用い
ることができる。この場合、図29に示すように、予め
外筒部分220の第1素線保持孔216に、素線保持孔
210の内径寸法よりも僅かに小さい外径寸法を有する
細長い案内治具228を挿入して、この案内治具228
の任意長さ部分が固定孔218から外方へ突出するよう
に配置する。この状態で、外方へ突出した案内治具22
8の任意長さ部分を、内筒部分224の環状テーパ面2
24dを介して第2素線保持孔222に挿入しながら、
内筒部分224を固定孔218に嵌入して固定する。こ
れにより、内筒部分224が固定孔218内で正確に位
置決めされ、第2素線保持孔222と第1素線保持孔2
16とが、互いに高精度に心合せした状態に保持され
る。この状態で、外筒部分220の固定孔218と内筒
部分224との間に供給した接着剤(図示せず)を硬化
させれば、心出し部204に極めて高い寸法精度が付与
される。
【0111】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、光コネクタで使用されるプラスチックフェル
ールにおいて、フェルールの心出し部を、心出し基準外
周面を有する略均一厚みの外筒部分と素線保持孔を有す
る内筒部分とから構成したから、心出し部における高水
準の成形寸法精度を比較的容易に確保でき、割りスリー
ブ内で接続される相手方フェルールに対する相対的偏心
を可及的に低減できるようになる。また、接続相手のフ
ェルールの心出し部が硬質材料からなる場合にも、接続
中に生じ得る心出し部先端面の塑性変形を回避でき、光
接続損失を効果的に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるフェルールの図
で、図3(b)の線I−Iに沿った断面図で示す。
【図2】図1のフェルールの分解断面図で、(a)外筒
部分を含む一体成形部分、及び(b)内筒部分を示す。
【図3】図1のフェルールの、(a)正面図、及び
(b)矢印IIIから見た側面図である。
【図4】図1のフェルールと従来のフェルールとを相互
接続した状態を示す断面図である。
【図5】変形例によるフェルールの断面図である。
【図6】他の変形例によるフェルールの断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態によるフェルールの断
面図である。
【図8】図7のフェルールの正面図である。
【図9】図7のフェルールにおける心出し部の円筒度の
測定結果を示す図で、(a)SC型、及び(b)MU型
の各タイプに対応する。
【図10】本発明の第3の実施形態によるフェルール
の、(a)断面図、及び(b)正面図である。
【図11】図10のフェルールを製造するための本発明
の一実施形態による成形型の断面図である。
【図12】図11の成形型の一次型を型締め状態で示す
断面図である。
【図13】図12の一次型の部分拡大断面図である。
【図14】図12の一次型を型開き状態で示す断面図で
ある。
【図15】図14の一次型の部分拡大断面図である。
【図16】図12の一次型における成形物排出作用を示
す断面図である。
【図17】図16の一次型の部分拡大断面図である。
【図18】図11の成形型の二次型を型締め状態で示す
断面図である。
【図19】図18の二次型の部分拡大断面図である。
【図20】図19の二次型の部分拡大断面図である。
【図21】図18の二次型を型開き状態で示す断面図で
ある。
【図22】図21の二次型の部分拡大断面図である。
【図23】図18の二次型における成形物排出作用を示
す断面図である。
【図24】図23の二次型の部分拡大断面図である。
【図25】変形例によるフェルールの断面図である。
【図26】図25のフェルールを製造するための変形例
による成形型の断面図で、一次型を型締め状態で示す。
【図27】図26の成形型の二次型を型締め状態で示す
断面図である。
【図28】本発明の第4の実施形態によるフェルール
の、(a)断面図、及び(b)正面図である。
【図29】図28のフェルールの組立工程を示す断面図
である。
【図30】変形例によるフェルールの断面図である。
【符号の説明】
12、52、72、202…心出し基準外周面 14、54、74、204…心出し部 16、56、76、206…フランジ部 18、58、78、208…ガイド部 20、60、80、210…素線保持孔 22、62、82、212…心線保持孔 24、84、218…固定孔 26、86、220…外筒部分 28、88、224…内筒部分 30、66、90、220…筒状壁 44…突起 102…固定側構造 104…可動側構造 106…可動型部 108、110…固定型部 112…一次型 114…二次型 120…可動コア機構 122…排出機構 138…コアピン 140…エジェクタピン 144…円筒コア 154、186…型キャビティ 184…位置決め突起 216…第1素線保持孔 222…第2素線保持孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 11:00 B29L 11:00 31:36 31:36 (72)発明者 川口 慎一郎 東京都品川区東五反田二丁目三番五号 富 士通コンポーネント株式会社内 (72)発明者 清水 登 東京都品川区東五反田二丁目三番五号 富 士通コンポーネント株式会社内 (72)発明者 宮澤 英夫 東京都品川区東五反田二丁目三番五号 富 士通コンポーネント株式会社内 (72)発明者 野村 和男 長野県須坂市大字須坂1174番地 長野富士 通コンポーネント株式会社内 (72)発明者 山本 進 長野県須坂市大字須坂1174番地 長野富士 通コンポーネント株式会社内 (72)発明者 松宮 博志 長野県須坂市大字須坂1174番地 長野富士 通コンポーネント株式会社内 (72)発明者 渡邊 弘二 神奈川県川崎市宮前区宮前平3−12−3 A607 (72)発明者 津金 博彦 長野県須坂市大字須坂1174番地 長野富士 通コンポーネント株式会社内 (72)発明者 池森 直樹 長野県須坂市大字須坂1174番地 長野富士 通コンポーネント株式会社内 Fターム(参考) 2H036 QA18 QA20 4F202 AD04 AH34 AH77 CA11 CB01 CB12 CB28 CC01 CK19 CK53 CQ05 4F206 AD04 AH34 AH77 JA07 JB12 JB28 JC01 JN12 JN25 JQ06 JQ81

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 心出し基準外周面を有する筒状の心出し
    部を具備し、該心出し部の中心軸線に沿って、光ファイ
    バ素線を固定的に収容する素線保持孔と、該素線保持孔
    に連通して光ファイバ心線を固定的に収容する心線保持
    孔とが設けられるプラスチックフェルールにおいて、 前記心出し部は、 前記心出し基準外周面、前記心線保持孔及び該心線保持
    孔から前記中心軸線に沿って延長される固定孔を有し
    て、全体に略一様な厚みの筒状壁を形成する樹脂製の外
    筒部分と、 前記素線保持孔を有して、前記外筒部分の前記固定孔に
    固定される内筒部分とを具備すること、を特徴とするプ
    ラスチックフェルール。
  2. 【請求項2】 前記内筒部分は、前記外筒部分よりも硬
    度の高い材料から形成される請求項1に記載のプラスチ
    ックフェルール。
  3. 【請求項3】 前記内筒部分は、前記外筒部分と同一の
    樹脂材料から形成される請求項1に記載のプラスチック
    フェルール。
  4. 【請求項4】 前記内筒部分は、前記外筒部分の前記心
    線保持孔から離れた側の軸線方向端面が、該外筒部分の
    前記固定孔から外部に露出する請求項1〜3のいずれか
    1項に記載のプラスチックフェルール。
  5. 【請求項5】 前記内筒部分の前記軸線方向端面が、球
    面状の曲面形状を有して、前記外筒部分の前記固定孔か
    ら外部に突出した位置に配置される請求項4に記載のプ
    ラスチックフェルール。
  6. 【請求項6】 前記外筒部分は、前記固定孔内での前記
    内筒部分の軸線方向移動を防止する係止部を有する請求
    項1〜5のいずれか1項に記載のプラスチックフェルー
    ル。
  7. 【請求項7】 前記係止部は、前記心線保持孔に設けら
    れる突起を有し、前記内筒部分が、該心線保持孔に隣接
    する側の軸線方向端面で該突起に当接される請求項6に
    記載のプラスチックフェルール。
  8. 【請求項8】 前記外筒部分の前記固定孔が円筒状の内
    周面を有し、前記内筒部分が、該固定孔の該内周面に密
    接する円筒状の外周面を有する請求項1〜7のいずれか
    1項に記載のプラスチックフェルール。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載のプラスチックフェルー
    ルの製造方法であって、 前記内筒部分と前記外筒部分とを互いに独立した部材と
    して形成し、 前記内筒部分を前記外筒部分の前記固定孔に嵌入し、 前記内筒部分の前記外周面を前記外筒部分の前記内周面
    に密接させた状態で、該内筒部分を軸線中心に回転させ
    ることにより、前記心出し基準外周面の前記中心軸線と
    前記素線保持孔との相対的位置ずれを調整し、 前記位置ずれが最小となった回転位置で前記内筒部分を
    前記外筒部分に固定すること、を特徴とする製造方法。
  10. 【請求項10】 心出し基準外周面を有する筒状の心出
    し部を具備し、該心出し部の中心軸線に沿って、光ファ
    イバ素線を固定的に収容する素線保持孔が設けられるプ
    ラスチックフェルールにおいて、 前記素線保持孔の軸線方向長さをL1(mm)とし、前
    記心出し部の軸線方向有効長さをL2(mm)としたと
    きに、それら軸線方向長さが、 L1=L2+α ただし0.5(mm)≦α≦3.0(mm) の関係にあることを特徴とするプラスチックフェルー
    ル。
  11. 【請求項11】 前記心出し部は、前記心出し基準外周
    面、前記素線保持孔の主要長さ部分を形成する第1素線
    保持孔、及び該第1素線保持孔から径方向へ拡張して前
    記中心軸線に沿って延長され、該心出し部の軸線方向端
    面に開口する固定孔を有する樹脂製の外筒部分と、前記
    素線保持孔の残りの長さ部分を形成する第2素線保持孔
    を有し、該第2素線保持孔を前記外筒部分の前記第1素
    線保持孔に対し直線状に整合配置した状態で前記固定孔
    に固定される内筒部分とを具備する請求項10に記載の
    プラスチックフェルール。
  12. 【請求項12】 前記内筒部分は、前記外筒部分よりも
    硬度の高い材料から形成される請求項11に記載のプラ
    スチックフェルール。
  13. 【請求項13】 前記内筒部分は、前記外筒部分の前記
    第1素線保持孔から離れた側の軸線方向端面が、該外筒
    部分の前記固定孔から外部に突出した位置に配置される
    請求項11又は12に記載のプラスチックフェルール。
  14. 【請求項14】 前記内筒部分の前記軸線方向端面が、
    球面状の曲面形状を有する請求項13に記載のプラスチ
    ックフェルール。
  15. 【請求項15】 請求項11〜14のいずれか1項に記
    載のプラスチックフェルールの製造方法であって、 前記内筒部分と前記外筒部分とを互いに独立した部材と
    して形成し、 前記外筒部分の前記第1素線保持孔に、前記素線保持孔
    の内径寸法よりも僅かに小さい外径寸法を有する細長い
    案内治具を挿入して、該案内治具の任意長さ部分を前記
    固定孔内に配置し、 前記外筒部分の前記固定孔内に配置された前記案内治具
    の任意長さ部分を、前記内筒部分の前記第2素線保持孔
    に挿入しながら、該内筒部分を該固定孔に嵌入して固定
    すること、を特徴とする製造方法。
  16. 【請求項16】 心出し基準外周面を有する筒状の心出
    し部を具備し、該心出し部の中心軸線に沿って、光ファ
    イバ素線を固定的に収容する素線保持孔と、該素線保持
    孔に連通して光ファイバ心線を固定的に収容する心線保
    持孔とが設けられるプラスチックフェルールの製造方法
    であって、 前記素線保持孔を有するとともに前記心線保持孔の横断
    面輪郭と略同一の横断面輪郭を呈する外周面を有する内
    筒部分を成形するための第1キャビティと、前記心出し
    基準外周面及び前記心線保持孔を有する外筒部分を成形
    するための第2キャビティとを備える型を用意し、 前記第1キャビティ内で前記内筒部分を溶融樹脂材料か
    ら成形し、 前記成形した内筒部分を前記第1キャビティから取り出
    して前記第2キャビティに配置し、 前記第2キャビティ内で、前記内筒部分の前記外周面の
    周囲に溶融樹脂材料を注入して固化させることにより、
    前記外筒部分を成形すること、を特徴とする製造方法。
  17. 【請求項17】 前記型を用意する際に、前記第1キャ
    ビティ及び前記第2キャビティに交互に固定的に設置さ
    れ、前記外筒部分の前記心線保持孔を成形するための筒
    状コアと、該第1キャビティ及び該第2キャビティに交
    互に、かつ該筒状コアに対して軸線方向移動可能に設置
    され、前記内筒部分の前記素線保持孔を成形するための
    コアピンとをさらに用意し、 前記内筒部分を成形する際に、前記第1キャビティを画
    定する壁面に前記コアピンを係合させて、該コアピンを
    該第1キャビティ内で固定的に保持し、 前記成形した内筒部分を前記第2キャビティに配置する
    際に、前記筒状コア及び前記コアピンが該内筒部分を支
    持した状態を維持し、 前記外筒部分を成形する際に、前記コアピンを前記筒状
    コアに対して軸線方向移動させて前記内筒部分の前記素
    線保持孔を部分的に開放し、前記第2キャビティを画定
    する壁面に該素線保持孔を係合させて、該内筒部分を該
    第2キャビティ内で固定的に保持する、請求項16に記
    載の製造方法。
  18. 【請求項18】 心出し基準外周面を有する筒状の心出
    し部を具備し、該心出し部の中心軸線に沿って、光ファ
    イバ素線を固定的に収容する素線保持孔と、該素線保持
    孔に連通して光ファイバ心線を固定的に収容する心線保
    持孔とが設けられるプラスチックフェルールを製造する
    ための成形型であって、 第1固定型部と、 前記第1固定型部とは異なる構造を有する第2固定型部
    と、 前記第1固定型部及び前記第2固定型部に対して移動可
    能に設置され、該第1固定型部と該第2固定型部とに交
    互に組合せ可能な可動型部とを具備し、 前記可動型部は、 前記第1固定型部と協働して、前記素線保持孔を有する
    とともに前記心線保持孔の横断面輪郭と略同一の横断面
    輪郭を呈する外周面を有する内筒部分を成形するための
    第1キャビティを形成し、 前記第2固定型部と協働して、前記一次型で成形した前
    記内筒部分を収容した状態で、前記心出し基準外周面及
    び前記心線保持孔を有する外筒部分を該内筒部分の周囲
    に成形するための第2キャビティを形成すること、を特
    徴とする成形型。
  19. 【請求項19】 前記可動型部は、前記第1キャビティ
    及び前記第2キャビティに交互に固定的に設置され、前
    記外筒部分の前記心線保持孔を成形するための筒状コア
    と、該第1キャビティ及び該第2キャビティに交互に、
    かつ該筒状コアに対して軸線方向移動可能に設置され、
    前記内筒部分の前記素線保持孔を成形するためのコアピ
    ンとを具備し、 前記第1固定型部は、前記第1キャビティを画定する壁
    面に、前記内筒部分の成形時に前記コアピンに係合して
    該コアピンを該第1キャビティ内に固定的に保持する溝
    穴を有し、 前記コアピンは、前記第2キャビティ内で前記外筒部分
    を成形する際に、前記筒状コアに対し軸線方向移動し
    て、前記内筒部分の前記素線保持孔を部分的に開放し、 前記第2固定型部は、前記第2キャビティを画定する壁
    面に、前記外筒部分の成形時に前記内筒部分の前記素線
    保持孔に係合して該内筒部分を該第2キャビティ内に固
    定的に保持する突起を有する、請求項18に記載の成形
    型。
  20. 【請求項20】 互いに同一構造の一対の前記可動型部
    を具備し、それら可動型部が、前記第1固定型部と前記
    第2固定型部とのそれぞれに同時に組み合わさって、前
    記第1キャビティで前記内筒部分が成形されると略同時
    に、前記第2キャビティで、他の前記内筒部分の周囲に
    前記外筒部分が成形される請求項18又は19に記載の
    成形型。
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