JP2003194121A - ブレーキ摩擦材 - Google Patents
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Abstract
摩擦材と同様の耐熱性、耐摩耗性、高度の摩擦係数を維
持しつつ、さらに強度が高く、使用時の割れ頻度が小さ
く、鳴き特性に優れるブレーキ摩擦材を提供する。 【解決手段】 少なくとも強化繊維、結合材、潤滑材、
摩擦調整材、及び充填材を含有するブレーキ摩擦材にお
いて、ブレーキ摩擦材を100質量%としたとき、平均
粒径0.2〜2mmの粒状バーミキュライトを1〜5質
量%、珪藻土を5〜15質量%、チタン酸カリウム板状
繊維を5〜20質量%含み、バーミキュライトと珪藻土
の合計量が10〜20質量%であることを特徴とするブ
レーキ摩擦材。
Description
摩擦材に関し、より詳しくは、摩擦係数の安定性、異音
の低減性、品質安定性に優れたブレーキ摩擦材に関す
る。 【0002】 【従来の技術】従来、自動車等のブレーキ摩擦材は、ス
チール繊維などの金属繊維、ロックウール、スラグウー
ル、チタン酸カリウムウィスカ、ガラス繊維、アラミド
繊維などの天然または人造の無機繊維、有機繊維などの
強化繊維材料;フェノール樹脂などの結合材;黒鉛、二
硫化モリブデンなどの潤滑材;カシューダスト、セラミ
ック粉、金属粉などの摩擦調整材;硫酸バリウムなどの
充填材;及び水酸化カルシウムなどのpH調整材;など
を配合して、混合して得られる混合物を、常温にて圧縮
成形(予備成形)し、次いで、予め接着剤を塗布した裏
金とともに加熱圧縮成形し、さらに熱処理した後、溝加
工や表面研磨を施すことにより製造されている。これら
の強化繊維材料の中ではチタン酸カリウムウィスカ、ロ
ックウール、スラグウールが性能コストバランスに優れ
ることから広く用いられている。チタン酸カリウムウィ
スカは強化繊維材料の中でも研削性硬質無機繊維とし
て、ブレーキ摩擦材全体の強度、耐熱性を高め、耐摩耗
性を向上させるだけでなく、ブレーキ摩擦材の摩擦係数
を高めるものとして高く評価されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】チタン酸カリウムウィ
スカはブレーキ摩擦材用強化繊維として優れた性能を有
するものの、チタン酸カリウムウィスカを用いたブレー
キ摩擦材に割れが生じることがあった。そこで、本発明
は、チタン酸カリウムウィスカを用いたブレーキ摩擦材
と同様のの耐熱性、耐摩耗性、高度の摩擦係数を維持し
つつ、さらに強度が高く、使用時の割れ頻度が小さく、
鳴き特性に優れるブレーキ摩擦材を提供することを目的
とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】ブレーキ摩擦材は、ブレ
ーキ摩擦材とロータの間の摩擦抵抗でロータの回転に制
動をかけるが、その際ロータや摩擦材の一部が摩耗す
る。また、制動時の熱により摩耗した摩擦材中の有機物
が分解し、この分解生成物が摩擦面に残るとブレーキ特
性が低下する。そこで、有機物の分解生成物を効率的に
除去して摩擦面を正常に保つ必要がある。本発明者らは
この観点から検討を進めたところ、ウィスカやロックウ
ールは分散性が悪く、毛玉化していることに気づき、こ
の毛玉化とブレーキ摩擦材性能との関係に着目して鋭意
検討した。 【0005】その結果、この毛玉化によって、気孔率で
表されるように空孔が保持され、気孔率が向上する。ま
た、摩擦面では、毛玉内部の繊維材は樹脂と結合してい
ないので繊維材が容易に脱落し、大きな孔が存在する。
そしてこの孔が制動により生じた有機物の分解生成物を
掻き取り、摩擦面を正常に保つ機能を有していると考え
るに至った。そこで、この観点から、チタン酸カリウム
ウィスカ、ロックウール、スラグウールの代替ぶつとな
り得るものにつき、探索した。かかる代替物としては以
下の性質が必要である。すなわち、耐熱性が必要なこと
から無機質であること、制動による力で物理的に分解さ
れて摩擦面から脱落しやすいこと、相手ロータを摩耗し
難い低硬度材料であること、毛玉形状の性能を具備する
ため、形状が無機繊維の毛玉と同程度の粒状であること
などである。そして、バーミキュライトが上記の性質を
有していることから、その粒径を検討し、かつ、強度向
上のためにチタン酸カリウム板状繊維、さらに成形性、
気孔率向上のために珪藻土を複合して用いることで、制
動性能に優れ、かつ、高強度で使用時の割れ頻度が小さ
く、鳴き特性に優れるブレーキ摩擦材が得られることを
見出し、本発明に到達した。 【0006】すなわち、本発明の要旨は、少なくとも強
化繊維、結合材、潤滑材、摩擦調整材、及び充填材を含
有するブレーキ摩擦材において、ブレーキ摩擦材を10
0質量%としたとき、平均粒径0.2〜2mmの粒状バ
ーミキュライトを1〜5質量%、珪藻土を5〜15質量
%、チタン酸カリウム板状物を5〜20質量%含み、バ
ーミキュライトと珪藻土の合計量が10〜20質量%で
あることを特徴とするブレーキ摩擦材にある。本発明の
ブレーキ摩擦材としては、pH調整材を含有していても
よく、さらに軟質金属繊維を含んでいてもよい。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明のブレーキ摩擦材は、ブレ
ーキ摩擦材を100質量%としたとき、平均粒径0.2
〜2mmの粒状バーミキュライトを1〜5質量%、珪藻
土を5〜15質量%含み、かつこの両者の合計量が、1
0〜20質量%であり、強化繊維材料としてチタン酸カ
リウム板状繊維をブレーキ摩擦材を100質量%とした
とき、5〜20質量%含んでいる必要がある。このよう
な構成にすることにより、気孔率を高めて、フェード試
験時に高温になることによって生成した分解生成物を気
孔に取り込んで、摩擦係数の低下を抑制し、耐フェード
性を向上できる。また、気孔率が高くなることによって
ブレーキ摩擦材が柔らかくなって、振動を抑制し、スキ
ール音の発生を抑制することができる。従って、チタン
酸カリウムウィスカ等のウィスカを含まずとも高性能の
ブレーキ摩擦材となる。 【0008】本発明のブレーキ摩擦材は、さらに、スチ
ールなどの硬質金属繊維、銅繊維などの軟質金属繊維、
アラミド繊維などの有機繊維等を含んでいてもよい。結
合材としてはフェノール樹脂を例示できる。潤滑材とし
ては黒鉛、三硫化アンチモン、二硫化モリブデンなどを
例示でき、摩擦調整材としては、カシューダスト、セラ
ミック粉、金属粉、アルミナ粉などの金属酸化物粉、ゴ
ム粉などを例示できる。充填材としては、硫酸化バリウ
ムなど、pH調整材としては水酸化カルシウムなどが用
いられる。 【0009】本発明においては、粒状バーミキュライト
の平均粒径が0.2mmより小さいと、鳴きが発生しや
すくなり、2mmより大きくなるとブレーキ摩擦材を構
成する材料の分散性が不良となり、ブレーキ摩擦材の製
造が困難となる。バーミキュライトが1質量%より少な
いと、鳴きが多くなる。逆にバーミキュライトが5質量
%より多くなるとブレーキ摩擦材成型時に割れが発生し
やすくなる。 【0010】珪藻土が5質量%より少ないとパッド摩耗
量が増加し、鳴きが多く、耐フェード性が低下する。珪
藻土が15質量%より多くなってもパッド摩耗量が増加
し、鳴きも多く、さらにグー音も発生しやすくなる。バ
ーミキュライトと珪藻土の双方が上記範囲内にあって
も、この合計量が10質量%未満になると、耐フェード
性の低下や鳴きも多くなる問題点がある。チタン酸カリ
ウム板状繊維の配合量が5質量%より少ないと、パッド
摩耗量も大きくなり、グー音が発生しやすくなる。チタ
ン酸カリウム板状繊維が20質量%より多く配合される
と耐フェード性が大きく低下し、鳴きが非常に多くな
る。 【0011】 【実施例】以下に、実施例を用いて、本発明をさらに詳
しく説明する。 (実施例1〜5、比較例1〜8)まず、裏金を充分に洗
浄した後、接着剤を塗布し、乾燥した。次いで、表1に
記載の材料を表1に記載の量配合し、均一に混合した。
なお、表1の各実施例におけるバーミキュライトは平均
粒径0.5mm、1.0mm、2.0mmの粒状バーミ
キュライトの混合物を用い、比較例1では平均粒径0.
1mm、比較例2では平均粒径3.0mmのものを用い
た。また、強化繊維としては、スチール繊維(平均繊維
径50μm、平均長さ2mm)と、アラミド繊維、銅繊
維(平均繊維径60μm、平均長さ3mm)の混合物を
用いた。潤滑材としては、黒鉛及び二硫化モリブデンの
混合物を用いた。摩擦調整材としては、カシューダス
ト、ゴム粉及びアルミナ粉の混合物を用い、pH調整剤
として水酸化カルシウムを用いた。 【0012】 【表1】 【0013】これを、常温で所定の金型を用いて圧力5
0MPaで冷間圧縮成形して予備成形品を得た。次い
で、接着剤を塗布した裏金と、この予備成形品とを15
0℃に設定した金型に投入し、40MPaの圧力で25
0〜300秒加熱圧縮成形(本成形)した。さらに、こ
の加熱圧縮成形品を220℃、6時間の条件で熱処理
し、研磨、溝加工を施してブレーキ摩擦材(ブレーキパ
ッド)を得た。各実施例においてはこのブレーキ摩擦材
製造工程における予備成形品の取り扱い性は良好で、取
り扱い時に予備成形品が崩れたものは1つもなかった。
これらのブレーキ摩擦材につき、摩擦摩耗特性(自動車
技術会規格JASOC−406)及び実車における異音
を調査した。その結果を表2に示す。また、ロータの摩
耗性を調べたが、チタン酸カリウムウィスカを用いたブ
レーキ摩擦材を用いた場合に比べて、各実施例で得たブ
レーキ摩擦材を用いた場合は使用時における摩擦材の割
れの頻度は少なかった。 【0014】 【表2】 【0015】表2中、効力は第2効力のミニマム値で1
30km/h、8.0m/s2の時の値を示し、フェー
ドは第1フェードのミニマム値(100km/h、4.
5m/s2、35s毎)を示しており、これらの値が大
きいほどブレーキの効力が高くなる、あるいは、フェー
ド現象が発生し難くなることを示している。また、パッ
ド摩耗量は1000回あたりの値であり、この値が小さ
いほど摩耗量が少なく、良好であることを示している。
また、鳴き回数は、3000回あたりの値である。 【0016】各実施例のブレーキ摩擦材は予備成形品の
取り扱い性にすぐれ、かつ、表2から明らかなように、
耐フェード性、摩擦摩耗特性、鳴き特性、異音とも性能
に優れるが、比較例1のブレーキ摩擦材はバーミキュラ
イトの粒径が小さすぎるため鳴きが発生しやすくなり、
フェード値も低めの値となっている。比較例2ではバー
ミキュライトの粒径が大きすぎるため、材料の分散性が
不良となり、ブレーキ摩擦材の製造が困難となってい
る。比較例3ではバーミキュライトを含まないため、鳴
きが発生しやすくなっている。比較例4では予備成形品
の取り扱い性に劣り、成型時に割れが多発している。比
較例5では、珪藻土が少なすぎるため、フェード値が低
めの値となり、パッド摩耗量が多くなり、鳴きが発生し
やすくなっている。比較例6では、珪藻土が多すぎるた
め、フェード値が低めとなり、パッド摩耗量が大きく、
鳴きも多い。比較例7では、チタン酸カリウム板状繊維
が少なすぎるため、フェード値が低く、パッド摩耗量も
多く、グー音が発生している。比較例8では、チタン酸
カリウム板状繊維が多すぎるため、フェード値が低くな
り、鳴きが非常に多くなっていることがわかる。 【0017】 【発明の効果】本発明のブレーキ摩擦材は、平均粒径
0.2〜2mmのバーミキュライトと珪藻土、及びチタ
ン酸カリウム板状繊維を所定量配合することにより、チ
タン酸カリウムウィスカを使用せずとも良好な耐フェー
ド性を示し、高強度で使用時の割れの発生頻度が小さ
く、鳴き特性に優れるという特徴を有する。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 少なくとも強化繊維、結合材、潤滑材、
摩擦調整材、及び充填材を含有するブレーキ摩擦材にお
いて、ブレーキ摩擦材を100質量%としたとき、平均
粒径0.2〜2mmの粒状バーミキュライトを1〜5質
量%、珪藻土を5〜15質量%、チタン酸カリウム板状
繊維を5〜20質量%含み、バーミキュライトと珪藻土
の合計量が10〜20質量%であることを特徴とするブ
レーキ摩擦材。
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---|---|---|---|
JP2001395573A JP3810684B2 (ja) | 2001-12-27 | 2001-12-27 | ブレーキ摩擦材 |
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Publications (2)
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JP2003194121A true JP2003194121A (ja) | 2003-07-09 |
JP3810684B2 JP3810684B2 (ja) | 2006-08-16 |
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WO2012004844A1 (ja) | 2010-07-05 | 2012-01-12 | 三菱電機株式会社 | ブレーキライニング及びその製造方法 |
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2001
- 2001-12-27 JP JP2001395573A patent/JP3810684B2/ja not_active Expired - Fee Related
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