JP2003171752A - 疲労耐久性および耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents
疲労耐久性および耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめっき鋼板及びその製造方法Info
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Abstract
性溶融亜鉛めっき鋼板を提供する。 【解決手段】 鋼板からなる母相の表面に溶融Znめっ
き相を有する溶融Znめっき鋼板であって、めっき相と
母相の界面に生じる粒界酸化相の最大深さを0.5μm
以下とするか、または、粒界酸化相の最大深さが1μm
以下で、かつ母相のミクロ組織における主相の平均粒径
が20μm以下である疲労耐久性および耐食性に優れた
高強度高延性溶融Znめっき鋼板。
Description
自動車などに適する疲労耐久性および耐食性に優れた高
強度高延性溶融亜鉛めっき鋼板および合金化亜鉛めっき
鋼板及びその製造方法に関する。
て施され、建材、家電製品、自動車など広範囲に使用さ
れている。その製造法としては、連続ラインに於いて、
脱脂洗浄後、非酸化性雰囲気にて加熱し、H2 及びN2
を含む還元雰囲気にて焼鈍後、めっき浴温度近傍まで冷
却し、溶融亜鉛浴に浸漬後、冷却、もしくは再加熱して
Fe−Zn合金相を生成させた後に冷却、というゼンジ
マー法があり、鋼板の処理に多用されている。
非酸化性雰囲気中での加熱を経ず直ちにH2及びN2 を
含む還元雰囲気にて焼鈍を行う、全還元炉方式も行われ
る場合がある。また、鋼板を脱脂、酸洗した後、塩化ア
ンモニウムなどを用いてフラックス処理を行って、めっ
き浴に浸漬、その後冷却、というフラックス法も行われ
ている。
中には溶融亜鉛の脱酸のために少量のAlが添加されて
いる。ゼンジマー法においてZnめっき浴は質量%で
0.1%程度のAlを含有している。この浴中のAlは
Feとの親和力がFe−Znよりも強いため、鋼がめっ
き浴に浸漬した際、鋼表面にFe−Al合金相すなわち
Alの濃化層が生成し、Fe−Znの反応を抑制するこ
とが知られている。Alの濃化層が存在するために、得
られためっき層中のAl含有率は通常、めっき浴中のA
l含有率より高くなる。
上や耐久性向上の観点からを目的とした加工性の良い高
強度めっき鋼板の需要が高まりつつある。一方、高強度
鋼板には種々の合金が添加されているうえ、組織制御に
よる高強度化と高延性化を両立させる観点から熱処理方
法にも大きな制約がある。
金成分、中でもSiやAlの含有量が高くなったり、熱
処理条件に大きな制約があったりすると、通常のAlを
含有しためっき浴を用いたのではめっき濡れ性が大きく
低下し、不めっきが発生するため外観品質が悪化する。
また、一部合金化を必要とする場合には、合金化熱処理
を施す必要がある。高強度鋼板の場合には、先にも述べ
たように添加元素が多量であるため、このめっき後の合
金加熱処理も軟鋼の場合に比べ高温・長時間化傾向にあ
るため、材質を作りこむ上での大きな障害の1条件にな
ってしまう。
ると、耐食性に加えて、疲労耐久性も重要となる。すな
わち、良好なめっき製造性と疲労耐久性および耐食性を
兼ね備えた高強度鋼板の開発が重要である。
−28359号公報、特開平3−64437号公報等に
見られるように、特定のめっきを付与することでめっき
性の改善を行っているが、この方法では、溶融めっきラ
イン焼鈍炉前段に新たにめっき設備を設けるか、もしく
は、あらかじめ電気めっきラインにおいてめっき処理を
行わなければならず、大幅なコストアップとなるという
問題点がある。また、疲労耐久性および耐食性について
は、近年Cu添加が有効であることが開示されている
が、耐食性との両立に関しては一切触れられていない。
開平5-230608号公報によりZn−Al−Mn−Fe系め
っき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板が開示されている。
しかし、この発明は特に製造性には十分な考慮が払われ
ているが、高強度かつ高延性材での高加工時のめっき密
着性については配慮された発明ではない。
を目的として、特開平11-189839号公報にフェライトを
主相とし,その平均粒径が10μm以下であり、第2相
として体積分率で3〜50%のオーステナイトまたは3
〜30%のマルテンサイトからなり、第2相の平均粒径
が5μm以下であり、選択的にベイナイトを含有する鋼
板が開示されている。しかし、この発明はめっき濡れ性
を考慮するものではなく、高強度化に伴う薄肉化に耐食
性の点で対応しうる発明ではない。
解決し、耐食性および疲労耐久性に優れた高強度高延性
溶融亜鉛めっき鋼板および合金化亜鉛めっき鋼板及びそ
の製造方法を提供することを目的とする。
を行った結果、めっき相と母相(鋼相)との界面(以下
「めっき相/母相界面」とも表記する)のミクロ組織を
規定することで熱処理条件を緩和しても良好な加工性と
高強度鋼板の耐食性および疲労耐久性の双方を同時に向
上させた亜鉛めっき鋼板の製造が可能であることを見出
した。さらに、めっき層に特定の元素を適正濃度含有さ
せることで、高強度鋼板の溶融亜鉛めっき濡れ性が向上
することもあわせて見いだした。また、この効果は、め
っき相中Al濃度を低減することで強められること、さ
らに、母相である鋼板のSi含有率:X(質量%)、M
n含有率:Y(質量%)及びAl含有率:Z(質量
%)、並びにめっき層のAl含有率:A(質量%)及び
Mn含有率:B(質量%)が、3−(X+Y/10+Z
/3)−12.5×(A−B)≧0を満たすめっき鋼板
とすることにより、極めて良好なめっきが合金元素を比
較的多量に含む高強度鋼板についても得られることを見
いだした。
もので、その要旨とするところは以下の通りである。 (1)鋼板からなる母相の表面に溶融Znめっき相を有
する溶融Znめっき鋼板であって、めっき相と母相の界
面に生じる粒界酸化相の最大深さが0.5μm以下であ
ることを特徴とする疲労耐久性および耐食性に優れた高
強度高延性溶融Znめっき鋼板。 (2)鋼板からなる母相の表面に溶融Znめっき相を有
する溶融Znめっき鋼板であって、めっき相と母相の界
面において、粒界酸化相の最大深さが1μm以下で、か
つ母相のミクロ組織における主相の平均粒径が20μm
以下であることを特徴とする疲労耐久性および耐食性に
優れた高強度高延性溶融Znめっき鋼板。 (3)鋼板からなる母相の表面に溶融Znめっき相を有
する溶融Znめっき鋼板であって、めっき相と母相の界
面に生じる粒界酸化相の最大深さを母相のミクロ組織に
おける主相の平均粒径で除した値が0.1以下であるこ
とを特徴とする、前記(1)または(2)記載の疲労耐
久性および耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめっき
鋼板。 (4)鋼板が、ミクロ組織において、主相としてフェラ
イト又はフェライト及びベイナイトを体積分率で50〜
97%含有し、第2相としてマルテンサイト、オーステ
ナイトの一方又は両方を、体積分率で合計3〜50%含
むことを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれか1
項に記載の疲労耐久性および耐食性に優れた高強度高延
性溶融Znめっき鋼板。 (5)めっき相が、Al:0.001〜0.5質量%、
Mn:0.001〜2質量%、を含有し、残部がZn及
び不可避不純物からなり、鋼板のSi含有率:X(質量
%)、Mn含有率:Y(質量%)及びAl含有率:Z
(質量%)、並びにめっき相のAl含有率:A(質量
%)及びMn含有率:B(質量%)が、下記(1)式を
満足することを特徴とする前記(1)〜(4)の何れか
1項に記載の疲労耐久性および耐食性に優れた高強度高
延性溶融Znめっき鋼板。 3−(X+Y/10+Z/3)−12.5×(A−B)≧0 ・・・(1) (6)めっき相中に,質量%で,Fe:5〜20%を含
有することを特徴とする前記(5)記載の疲労耐久性お
よび耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめっき鋼板。 (7)めっき相中に、質量%で、Ca:0.001〜
0.1%Mg:0.001〜3%Si:0.001〜
0.1%Mo:0.001〜0.1%W:0.001〜
0.1%Zr:0.001〜0.1%Cs:0.001
〜0.1%、Rb:0.001〜0.1%、K:0.0
01〜0.1%、Ag:0.001〜5%、Na:0.
001〜0.05%、Cd:0.001〜3%、Cu:
0.001〜3%、Ni:0.001〜0.5%、C
o:0.001〜1%、La:0.001〜0.1%、
Tl:0.001〜8%、Nd:0.001〜0.1
%、Y:0.001〜0.1%、In:0.001〜5
%、Be:0.001〜0.1%、Cr:0.001〜
0.05%、Pb:0.001〜1%、Hf:0.00
1〜0.1%、Tc:0.001〜0.1%、Ti:
0.001〜0.1%、Ge:0.001〜5%、T
a:0.001〜0.1%、V:0.001〜0.2
%、B:0.001〜0.1%、の1種または2種以上
を含有することを特徴とする前記(1)〜(6)の何れ
か1項に記載の疲労耐久性および耐食性に優れた高強度
高延性溶融Znめっき鋼板。 (8)鋼板が、質量%で、C :0.0001〜0.3
%、Si:0.01〜2.5%、Mn:0.01〜3
%、Al:0.0001〜4%を含有し、残部Fe及び
不可避不純物からなることを特徴とする前記(1)〜
(7)のいずれか1項に記載の疲労耐久性および耐食性
に優れた高強度高延性溶融Znめっき鋼板。 (9)鋼板が、さらに質量%で、Mo:0.001〜5
%、を含有することを特徴とする前記(8)記載の疲労
耐久性および耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめっ
き鋼板。 (10)鋼板が、さらに質量%で、Mg、Ca、Ti、
Y、Ce、Remの元素群中から1種または2種以上を
合計で0.0001〜1%含有することを特徴とする前
記(8)又は(9)記載の疲労耐久性および耐食性に優
れた高強度高延性溶融Znめっき鋼板。 (11)鋼板が、質量%で、Cr:0.001〜25
%、Ni:0.001〜10%、Cu:0.001〜5
%、Co:0.001〜5%の1種または2種以上を含
有することを特徴とする前記(8)〜(10)のいずれ
か1項に記載の疲労耐久性および耐食性に優れた高強度
高延性溶融Znめっき鋼板。 (12)鋼板が、さらに質量%で、Nb、Vの1種また
は2種を合計で0.0001〜1%含有することを特徴
とする前記(8)〜(11)のいずれか1項に記載の疲
労耐久性および耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめ
っき鋼板。 (13)鋼板が、さらも質量%で、B:0.0001〜
0.1%を含有することを特徴とする前記(8)〜(1
2)のいずれか1項に記載の疲労耐久性および耐食性に
優れた高強度高延性溶融Znめっき鋼板。 (14) 鋼が、さらに質量%で、Zr、Hf、Taの
1種または2種以上を合計で0.0001〜1%含有す
ることを特徴とする(8)〜(13)のいずれか1項に
記載の疲労耐久性および耐食性に優れた高強度高延性溶
融Znめっき鋼板。 (15) 鋼が、さらに質量%で、 W:0.001〜5
%含有することを特徴とする(8)〜(14)のいずれ
か1項に記載の疲労耐久性および耐食性に優れた高強度
高延性溶融Znめっき鋼板。 (16) 鋼が、さらに質量%で、 P:0.0001〜0.05% S:0.0001〜0.01% 含有することを特徴とする(8)〜(15)のいずれか
1項に記載の疲労耐久性および耐食性に優れた高強度高
延性溶融Znめっき鋼板。 (17) 鋼のSi量が0.001〜2.5質量%であ
るることを特徴とする(8)〜(16)のいずれか1項
に記載の疲労耐久性および耐食性に優れた高強度溶融亜
鉛めっき鋼板。 (18) めっき相/鋼板界面から深さ10μmまでの
範囲における鋼中にSiO2, MnO,およびAl2O3の1種また
は2種以上の合計を、面積率で0.1〜70%含有し、かつM
nO(面積率%)+Al2O3(面積率%/SiO2 (面積率%≧
0.1を満足することを特徴とする(8)〜(17)の
いずれか1項に記載の疲労耐久性および耐食性に優れた
高強度高延性溶融Znめっき鋼板。 (19) めっき相/鋼板界面から深さ10μmまでの
範囲における鋼中に、Y2O3, ZrO2, HfO2, TiO2, La
2O3, Ce2O3, CeO2, CaOおよびMgOの1種または2種
以上の合計を、面積率で0.0001〜10.0%含有することを
特徴とする(8)〜(18)のいずれか1項に記載の疲
労耐久性および耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめ
っき鋼板。 (20)(8)〜(17)の何れか1項に記載の成分か
らなる鋳造スラブを鋳造まま又は一旦冷却した後に再度
加熱し、熱延後巻取った熱延鋼板を酸洗後冷延し、その
後焼鈍時の最高温度が0.1×(Ac3 −Ac1 )+A
c1(℃)以上Ac3 −30(℃)以下で焼鈍した後
に、0.1〜10℃/秒の冷却速度で650〜710℃
の温度域に冷却し、引き続いて1〜100℃/秒の冷却
速度でZnめっき浴温度〜Znめっき浴温度+100
(℃)まで冷却した後、Znめっき浴温度〜Znめっき
浴温度+100(℃)の温度域で後続のめっき浸漬時間
を含めて1秒〜3000秒保持し、Znめっき浴に浸漬
して、その後室温まで冷却することを特徴とする疲労耐
久性および耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめっき
鋼板の製造方法。 (21)Znめっき浴に浸漬した後,300〜550℃
で合金化処理を行い、室温まで冷却することを特徴とす
る前記(20)記載の疲労耐久性および耐食性に優れた
高強度高延性溶融Znめっき鋼板の製造方法。
1〜0.3%、Si:0.001〜2.5%、Mn:
0.01〜3%、Al:0.001〜4%を含有し、残
部Fe及び不可避不純物からなる鋼板を焼鈍し、温度4
50〜470℃のZnめっき浴に3秒間浸漬を行い、さ
らに500〜550℃で10〜60秒加熱を行った。そ
の後、めっき鋼板表面の不めっき部面積を測定すること
でめっき性およびめっき鋼板の耐食性を調査した。耐食
性評価には、繰り返し塩水噴霧試験を行った。また、引
張り試験にて機械的性質を評価し、さらには、鋼板の引
張り強度の50%に相当する応力で平面曲げ疲労試験を
行い、めっき鋼板の疲労特性を比較評価した。
/母相界面において、結晶粒界に多く認められ、これら
の粒界酸化相の形態と疲労特性の関係について、最終的
に得られるミクロ組織において、これらの粒界酸化相の
最大深さおよび主相の平均粒径を制御することで疲労耐
久性および耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめっき
鋼板が製造可能なことを見出した。
相界面のミクロ組織において、Siを含む粒界酸化相の
最大深さを0.5μm以下とすることで溶融Znめっき
鋼板の疲労寿命の延長化が可能なことを見出した。更
に、粒界酸化相の最大深さを0.5μm以下、好ましく
は0.2μm以下とするような成分および製造条件を選
定することで更に溶融Znめっき鋼板の疲労寿命の延長
を図ることができる。さらに、粒界酸化物を含み、めっ
き相/鋼板界面から深さ10μmまでの範囲における鋼
中において酸化物の種類および面積比率を限定すること
で、特に合金化処理後の耐食性や疲労耐久性が一層良好
になることを見出した。すなわち、めっき相/鋼板界面
から深さ10μmまでの範囲における鋼中において、酸
化物として、SiO2, MnO,およびAl2O3の1種または2種
以上の合計を、面積率で0.1〜70%含有し、さらに、そ
れぞれの面積率の比がMnO(面積率%)+Al2O3(面積率
%)/SiO2(面積率%) ≧ 0.1とすることで耐食性お
よび疲労耐久性に優れた高強度高延性溶融合金化Znめ
っき鋼板が得られる。また、SiO2, MnO,およびAl2O3以
外にめっき相/鋼板界面から深さ10μmまでの範囲に
おける鋼中において、Y2O3, ZrO2, HfO2, TiO2, La
2O3, Ce2O3, CeO2, CaOおよびMgOの1種または2種
以上の合計を、面積率で0.0001〜10.0%含有することで
も合金化後の耐食性および疲労耐久性が向上することも
併せて見出した。ここで、上述したようなめっき相/鋼
板界面から深さ10μmまでの範囲の鋼中に存在する酸
化物の同定・観察や面積率測定は、EPMAやFE-SEMなどを
用いて行うことができる。本発明に当たっては、2000〜
20000倍で50視野以上を測定し、画像解析により面積率
を求めた。また、酸化物の同定には、抽出レプリカ試料
を作成してTEMを用いたり、EBSPを用いた。また、ここ
でいう、MnO, Al2O3, SiO2は、他の原子を含む複合酸化
物であったり、欠陥を多く含む構造であったりする場合
があるが、元素分析及び構造同定からもっとも近いもの
を見つけて判別した。面積率測定は、EPMAやFE-SEMなど
を用い各成分の面分析を行うことで求めることができ
る。この場合には、個々の正確な構造の同定は難しいも
のの、上述した構造解析の結果と併せて形態やその組成
から判断し得る。その後面分析の画像解析から各面積率
を求めることができる。
の平均粒径を20μm以下とすることで、めっき相/母
相界面の粒界酸化相の最大深さを1μm以下とすれば同
様の疲労寿命の延長が可能であることを見い出した。さ
らに、鋼板のミクロ組織における主相の平均粒径で除し
た値を0.1以下と制御することでより疲労耐久性およ
び耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめっき鋼板が得
られることを見出した。
鋼板中のSi含有率:X(質量%,以下同じ)、Mn含
有率:Y(%)及びAl含有率:Z(%)、並びにめっ
き相中のAl含有率:A(%)及びMn含有率:B
(%)として、整理したところ、下記(1)式を満たす
組成で、特にSiを多く含む鋼材についても不めっきが
なく、繰り返し塩水噴霧試験に置ける発錆の程度が極め
て小さいことが判明した。
の影響を整理した重回帰分析により新たに見出した式で
ある。
ターを含有した5%塩酸溶液で溶解した後、化学分析に
より測定した値と定義する。
ついては必ずしも明確ではないが、めっき浴中に添加さ
れたAlと鋼板表面に生成したSiO2 との濡れ性が悪
いため不めっきが発生すると考えられる。すなわち、Z
n浴に添加したAlの悪影響を除去する元素を添加する
ことで不めっきの発生を抑制することが可能となる。本
発明者らが鋭意検討した結果、Mnを適正な濃度範囲で
添加することで表記目的を達成出来ることが判明した。
MnはZn浴中に添加しているAlより優先的に酸化皮
膜を形成し、鋼板表面に生成しているSi系の酸化皮膜
との反応性を高めるものと推定される。
約は設けないが、耐食性の観点から片面付着量で5g/
m2 以上であることが望ましい。本発明の溶融Znめっ
き鋼板上に塗装性、溶接性を改善する目的で上層めっき
を施すことや、各種の処理、例えば、クロメート処理、
りん酸塩処理、潤滑性向上処理、溶接性向上処理等を施
しても、本発明を逸脱するものではない。
いて述べる。延性を十分に確保するためには主組織をフ
ェライト相とするのが望ましい。しかし、さらに高強度
化を指向する場合にはベイナイト相を含んでも良いが、
延性を確保する観点から主相としては、フェライトの単
独相、又は、フェライト及びベイナイトの複合相を(本
明細書中「フェライト又はフェライト及びベイナイト」
と表記する場合も特段の断らない限り同様の意味であ
る)、体積分率で50%以上含むことが望ましい。フェ
ライト及びベイナイトの複合相とする場合も、フェライ
トは延性を確保するために、体積分率で50%以上含有す
ることが好ましい。一方、高強度化と高延性をバランス
させるためには、フェライト又はフェライト及びベイナ
イトを体積分率で97%以下とすることが好ましい。ま
た、さらに高強度と高延性を両立させるため、残留オー
ステナイトおよび/またはマルテンサイトを含む複合組
織とすることも望ましい。高強度と高延性のために、残
留オーステナイト相および/またはマルテンサイトは、
体積分率で合計3%以上含有することが好ましいが体積
分率が合計50%を超えると脆化傾向を示す。
炭化物、窒化物、硫化物、酸化物の1又は2以上を体積
分率1%以下で含有する場合も本発明で用いることがで
きる鋼板である。なお、上記ミクロ組織の各相、フェラ
イト、ベイナイト、オーステナイト、マルテンサイト、
界面酸化相および残部組織の同定、存在位置の観察およ
び平均粒径(平均円相当径)と占積率の測定は、ナイター
ル試薬および特開昭59−219473号公報に開示さ
れた試薬により鋼板圧延方向断面または圧延直角方向断
面を腐食して500倍〜1000倍の光学顕微鏡観察に
より定量化が可能である。また、めっき相/母相界面の
粒界酸化相の形態・および同定は、走査型顕微鏡および
透過電子顕微鏡を用いて行い、最大深さについては、1
000倍以上の20視野以上を観察し、その中の最大値
を最大深さとした。
質量%の範囲とすることが好ましい。Alは、0.00
1質量%未満では、ドロス発生が顕著で良好な外観が得
られないこと、0.5質量%を超えてAlを添加すると
合金化反応を著しく抑制してしまい、合金化溶融亜鉛め
っき相を形成することが困難となるためである。
の範囲内としたのは、この範囲において不めっきが発生
せず、良好な外観のめっきが得られるためである。Mn
量が上限の2質量%を超えるとめっき浴中にてMn−Z
n化合物が析出し、めっき相中に取り込まれることで外
観が著しく低下する。
れる場合には、合金化処理によってこれらの特性を高め
ることができる。具体的には、Znメッキ浴に浸漬した
後、300〜550℃で合金化処理を施すことで、めっ
き相中にFeが取り込まれ、塗装性やスポット溶接性に
優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。
合金化処理後のFe量が5質量%未満ではスポット溶接
性が不十分となる。一方、Fe量が20質量%を超える
とめっき層自体の密着性を損ない、加工の際めっき層が
破壊・脱落し金型に付着することで、成形時の疵の原因
となる。したがって、合金化処理を行う場合のめっき層
中Fe量の範囲は5〜20質量%とする。
o、W、Zr、Cs、Rb、K、Ag、Na、Cd、C
u、Ni、Co、La、Tl、Nd、Y、In、Be、
Cr、Pb、Hf、Tc、Ti、Ge、Ta、V、Bの
1種または2種以上を下記に説明する範囲内で含有する
ことで、不めっきが抑制されることを見出した。
ないが、耐食性の観点から片面付着量で5g/m2 以上
であることが望ましい。本発明の溶融Znめっき鋼板上
に塗装性、溶接性を改善する目的で上層めっきを施すこ
とや、各種の処理、例えば、クロメート処理、りん酸塩
処理、潤滑性向上処理、溶接性向上処理等を施しても、
本発明を逸脱するものではない。
量%、Mg量を0.001〜3質量%、Si量を0.0
01〜0.1質量%、Mo量を0.001〜0.1質量
%、W量を0.001〜0.1質量%、Zr量を0.0
01〜0.1質量%、Cs量を0.001〜0.1質量
%、Rb量を0.001〜0.1質量%、K量を0.0
01〜0.1質量%、Ag量を0.001〜5質量%、
Na量を0.001〜0.05質量%、Cd量を0.0
01〜3質量%、Cu量を0.001〜3質量%、Ni
量を0.001〜0.5質量%、Co量を0.001〜
1質量%、La量を0.001〜0.1質量%、Tl量
を0.001〜8質量%、Nd量を0.001〜0.1
質量%、Y量を0.001〜0.1質量%、In量を
0.001〜5質量%、Be量を0.001〜0.1質
量%、Cr量を0.001〜0.05質量%、Pb量を
0.001〜1質量%、Hf量を0.001〜0.1質
量%、Tc量を0.001〜0.1質量%、Ti量を
0.001〜0.1質量%、Ge量を0.001〜5質
量%、Ta量を0.001〜0.1質量%、V量を0.
001〜0.2質量%、B量を0.001〜0.1質量
%の範囲内としたのは、それぞれこの範囲において不め
っきが抑制され、良好な外観のめっきが得られるためで
ある。各元素量が上限を越えるとそれぞれの元素を含有
するドロスの生成により、めっき外観が著しく低下す
る。
囲の限定理由について述べる。
ための第2相の体積分率を十分確保する目的で添加する
元素である。特に第2相がオーステナイトである場合に
は、体積分率のみならずその安定性向上にも寄与して延
性を大きく向上させる。強度および各第2相の体積分率
を確保するために下限を0.0001質量%(以下、同
じ)とし、溶接性を保持可能な上限として0.3質量%
とした。
させることおよび強度延性バランスを劣化させる炭化物
の生成を抑制する目的で添加する元素であり、その下限
を0.01質量%とした。また、過剰添加は溶接性およ
びめっき濡れ性に悪影響を及ぼす。また、内部粒界酸化
相生成を促進することからも低く押さえる必要がある。
このため、上限を2.5質量%とした。また、特に強度
よりも外観が問題となる場合には、製造操業上問題とな
らない0.001質量%まで低減させてもよいこととし
た。
に加えて、高強度化の目的で添加する。また、マルテン
サイトやオーステナイトなどの第2相を含む場合には、
強度低下と延性劣化の1つの原因である炭化物析出やパ
ーライト生成を抑制する目的で添加する。これらのこと
から、0.01質量%以上とした。一方では、第2相が
オーステナイトの場合に延性向上に寄与するベイナイト
変態を遅滞させることや溶接性を劣化させることから3
質量%を上限とした。
に加えて、延性向上特に第2相がオーステナイトの場合
に延性向上に寄与するベイナイト変態を促進させる効果
があり、強度延性バランスを向上させる。さらに、Si
系の内部粒界酸化生成の抑制にも効果的な元素である。
このため、0.0001質量%以上の添加とした。一方
過剰添加は溶接性およびめっき濡れ性を損なうため4質
量%を上限とした。
化物やパーライトの生成を抑制する目的で添加できる元
素であり、緩和した熱処理条件下において良好な強度延
性バランスを得るために重要な添加元素である。その下
限を0.001質量%とした。また、過剰添加は、延性
劣化を招くことから、上限を5質量%とした。
疲労耐久性および耐食性を劣化させるSi系の内部粒界酸
化相生成を抑制する目的で添加する。Si系の酸化物の
ように粒界酸化物が形成するのではなく、比較的微細な
酸化物を分散して形成させることができるため疲労特性
にこれらの添加元素の酸化物自体の悪影響はない。さら
に、Si系の内部粒界酸化相生成を抑制することから、
内部粒界酸化相深さを減じることが可能となり、疲労寿
命延長に寄与する。元素群中から1種または2種以上の
元素をあわせて0.0001質量%以上の添加とした。
また一方で過剰添加は鋳造性や熱間加工性などの製造性
および鋼板製品の延性を低下させるため1質量%を上限
とした。尚、Remとは希土類金属(Rare ear
th metals)の意味であるが、いわゆる「希土
類元素」(rare earthelements)と
同義である。
さらなる向上を目的としてCr、Ni、Cu、Coの1
種または2種以上を含有できる。
の目的から添加する元素で、0.001質量%以上と
し、25質量%を超える量の添加では、加工性に悪影響
を及ぼすため、これを上限とした。
0.001質量%以上とし、10質量%を超える量の添
加では、加工性に悪影響を及ぼすため、これを上限とし
た。
の添加とし、5質量%を超える量の添加では、加工性に
悪影響を及ぼす。
御による強度延性バランスの向上のため、0.001質
量%以上の添加とした。一方、添加の上限は特に設けな
いが、高価な元素であるため多量添加は経済性を損なう
ため、5質量%以下にすることが望ましい。
さらなる向上を目的として強炭化物形成元素であるN
b,Vの1種または2種を含有できる。
たは炭窒化物を形成して、鋼板の強化に極めて有効であ
るため、必要に応じて1種または2種を0.001質量
%以上の添加とした。一方で、延性劣化や残留オーステ
ナイト中へのCの濃化を阻害することから、合計添加量
の上限として1質量%とした。
は、0.0001質量%以上の添加で粒界の強化や鋼材
の高強度化に有効ではあるが、その添加量が0.1質量
%を超えるとその効果が飽和するばかりでなく、必要以
上に鋼板強度を上昇させ、加工性が低下するため、上限
を0.1質量%とした。
形成元素であるZr,Hf,Taの1種または2種以上
を含有できる。
たは炭窒化物を形成して、鋼板の強化には極めて有効で
あるため、必要に応じて1種または2種以上を合計で
0.001質量%以上の添加とした。一方で、延性劣化
や残留オーステナイト中へのCの濃化を阻害することか
ら、1種または2種以上の合計添加量の上限として1質
量%とした。
のは、0.001質量%以上で強化効果が現れること、
5質量%を上限としたのは、これを超える量の添加で
は、加工性に悪影響を及ぼすためである。
囲としたのは、0.0001質量%以上で強化効果が現
れることや極低化は経済的にも不利であることからこれ
を下限とした。また、0.05質量%を上限としたの
は、これを超える量の添加では、溶接性や鋳造時や熱延
時の製造性に悪影響を及ぼすためである。
囲としたのは、極低化は経済的にも不利であることか
ら、0.0001質量%を下限とし、また、0.1質量
%を上限としたのは、これを超える量の添加では、溶接
性や鋳造時や熱延時の製造性に悪影響を及ぼすためであ
る。
あるがこれら元素をSn≦0.01質量%以下の範囲で
含有しても本発明の効果を損なうものではない。
っき鋼板の製造方法について以下に説明する。
する場合には、所定の成分に調整されたスラブを鋳造ま
まもしくは一旦冷却した後再加熱して熱延を行う。この
とき、粒界酸化相生成を抑制するために再加熱温度を1
150℃以上または1100℃以下とすることが望まし
い。再加熱温度が高温になると全面に比較的均一に酸化
スケールが形成され粒界酸化は抑制される傾向に有る。
また、低温加熱では酸化相の生成自体が遅れる。また熱
延後は、高圧デスケーリング装置や強酸洗することなど
で表面スケール削除を行うと製品での粒界酸化深さ低減
に良い。その後、冷延後焼鈍することで最終製品とす
る。この時、熱延完了温度は鋼の化学成分によって決ま
るAr3 変態温度以上で行うのが一般的であるが、Ar
3 から10℃程度低温までであれば最終的な鋼板の特性
を劣化させない。また、冷却後の巻取温度は鋼の化学成
分によって決まるベイナイト変態開始温度以上とするこ
とで、冷延時の荷重を必要以上に高めることがさけられ
るが、冷延の全圧下率が小さい場合にはこの限りでな
く、鋼のベイナイト変態温度以下で巻き取られても最終
的な鋼板の特性を劣化させない。また、冷延の全圧下率
は、最終板厚と冷延荷重の関係から設定されるが、50
%以上であれば製品での粒界酸化相深さ低減に効果的
で、最終的な鋼板の特性を劣化させない。
成分によって決まる温度Ac1及びAc3温度(例えば
「鉄鋼材料学」:W.C.Leslie著、幸田成康監
訳、丸善P273)で、表現される0.1×(Ac3−
Ac1 )+Ac1 (℃)未満の場合には、焼鈍温度で得
られるオーステナイト量が少ないので、最終的な鋼板中
に残留オーステナイト相またはマルテンサイト相を残す
ことができないためにこれを焼鈍温度の下限とした。ま
た、焼鈍温度が高温となるほど粒界酸化相生成を促進す
る。
が促進されるうえ、製造コストの上昇をまねくために、
焼鈍温度の上限をAc3−30(℃)とした。特に、A
c3(℃)に近くなるほど粒界酸化相生成は促進され
る。この温度域での焼鈍時間は鋼板の温度均一化とオー
ステナイトの確保のために10秒以上が必要である。し
かし、30分超では、粒界酸化相生成が促進されるう
え、コストの上昇を招くのでこれを上限とした。
フェライト相への変態を促して、未変態のオーステナイ
ト相中にCを濃化させてオーステナイトの安定化をはか
るのに重要である。この冷却速度を0.1℃/秒未満に
することは、粒界酸化相生成が促進されるうえ、必要な
生産ライン長を長くしたり、生産速度を極めて遅くする
といった製造上のデメリットを生じるために、この冷却
速度の下限を0.1℃/秒とした。一方、冷却速度が1
0℃/秒超の場合にはフェライト変態が十分に起こら
ず、最終的な鋼板中の残留オーステナイト相確保が困難
となったり、マルテンサイト相などの硬質相が多量にな
ってしまうため、これを上限とした。
と、冷却中にパーライトが生成し、オーステナイト安定
化元素であるCを浪費し、最終的に十分な量の残留オー
ステナイトが得られないために、これを下限とした。し
かしながら、冷却が710℃超までしか行われなかった
場合にはフェライト変態の進行が十分ではないうえ、粒
界酸化相の成長を促進してしまうため、これを上限とし
た。
冷却中にパーライト変態や鉄炭化物の析出などが起こら
ないような冷却速度として最低1℃/秒以上が必要とな
る。但しこの冷却速度を100℃/秒超にすることは設
備能力上困難であることから、1〜100℃/秒を冷却
速度の範囲とした。
度よりも低いと操業上問題となり、めっき浴温度+10
0(℃)を超えると炭化物析出が短時間で生じるため得
られる残留オーステナイトやマルテンサイトの量が確保
できなくなる。このため、2次冷却の停止温度をZnめ
っき浴温度以上Znめっき浴温度+100(℃)とし
た。その後、操業上の通板の安定性確保やできるだけベ
イナイトの生成を促進すること、さらにはめっきの濡れ
性を十分確保する目的から、この温度域で、めっき浸漬
時間も合わせて1秒以上停留することが望ましい。また
この停留時間が長時間になると生産性上好ましくないう
え、炭化物が生成してしまうことから合金化処理を含ま
ずに3000秒以内とすることが望ましい。
室温で安定にするためには、その一部をベイナイト相へ
変態させる事でオーステナイト中の炭素濃度を更に高め
ることが必須である。合金化処理を併せてベイナイト変
態を促進するために300〜550℃の温度域に1秒〜
3000秒保持し、好ましくは15秒から20分保持す
ることが望ましい。300℃未満ではベイナイト変態が
起こりにくく、550℃を超えると炭化物が生じて十分
な残留オーステナイト相を残すことが困難となるため合
金化処理温度の上限を550℃とした。
オーステナイト相の場合とは異なりベイナイト変態を生
じさせる必要がない。一方では、炭化物やパーライト相
の生成は残留オーステナイト相と同様、抑制する必要が
あるため、2次冷却後の十分な合金化処理を行うため3
00〜550℃で合金化処理を行い、好ましくは400
〜550℃とする。界面に存在する酸化物を所定量得る
ためには、熱延段階から温度加工履歴を制御することが
望ましい。まず、鋳片の加熱温度を1150〜1250℃とし
て、1000℃までの圧延率を50%以上とし、仕上げ温度を
850℃以上として、巻取りを650℃以下とすることで、表
面酸化相をできるだけ均一に形成させるとともに、焼鈍
時のSi酸化物形成を抑制すべくできるだけTiやAlなどの
元素を固溶状態にしておくことが望ましい。また、仕上
げ圧延後のデスケには高圧デスケや強酸洗を行い、熱延
で形成した酸化相をできるだけ除去することが望まし
い。また、冷延率は形成した酸化物を分断する意味から
ロール直径1000mm以下のロールで30%以上とすること
が望ましい。その後の焼鈍では、SiO2の形成を抑制して
他の酸化物形成を促進する目的から750℃以上の温度
域まで5℃/s以上で昇温することが望ましい。一方、
焼鈍温度が高かったり、長時間になると多量の酸化物が
生じて、加工性や疲労耐久性を劣化させてしまうことか
ら、前記(20)に係る発明にあるように、焼鈍時の最
高温度が0.1×(Ac3−Ac1 )+Ac1 (℃)以
上Ac3−30(℃)以下の焼鈍温度域での滞留時間を6
0分以下とすることが望ましい。
説明する。
℃に加熱し、Ar3 変態温度以上で熱延を完了し、冷却
後各鋼の化学成分で決まるベイナイト変態開始温度以上
で巻き取った鋼帯を酸洗後、冷延して1.0mm厚とし
た。後述のM−1,N−1,O−1,P−1,Q−1は
熱間圧延において、1000℃までの圧下率を70%、
仕上温度を900℃、巻取温度を700℃とし、冷間圧
延において、ロール直径800mmのロールを用いて圧
下率50%で圧延を行った。その他の鋼板は、熱間圧延
において、1000℃までの圧下率を70%、仕上温度
を900℃、巻取温度を600℃とし、冷間圧延におい
て、ロール直径1200mmのロールを用いて圧下率5
0%で圧延を行った。
にしたがってAc1 とAc3 変態温度を計算により求め
た。 Ac1 =723−10.7×Mn%+29.1×Si
%、 Ac3 =910−203×(C%)1/2+44.7×S
i%+31.5×Mo%−30×Mn%−11×Cr%
+400×Al%、 これらのAc1 およびAc3 変態温度から計算される焼
鈍温度に5℃/secで10%H2−N2 雰囲気中で昇温・
保定したのち、0.1〜10℃/秒の冷却速度で600
〜700℃まで冷却し、引き続いて1〜20℃/秒の冷
却速度でめっき浴温度にまで冷却し、浴組成を種々変化
させた460℃の亜鉛めっき浴に3秒間浸漬することで
めっきを行った。
合金化処理として、めっき後の鋼板を300〜550℃
の温度域で15秒〜20分保持し、めっき層中のFe含
有率が5〜20質量%となるよう調節した。めっき表面
外観のドロス巻き込み状況の目視観察および不めっき部
面積の測定によりめっき性を評価した。作製しためっき
はめっき層をインヒビターを含有した5%塩酸溶液で溶
解し化学分析に供し組成を求めた。
5号引張り試験片を採取して、機械的性質を測定した。
さらに、平面曲げ疲労試験を、引張り強度の50%相当
の応力にて行い、破断寿命を比較評価した。また、耐食
性は、繰り返し塩水噴霧試験にて評価した。
界酸化相深さが浅く、引張り強度の50%の応力におけ
る寿命が106回を超えている。さらに強度・伸びバラ
ンスに優れるうえ、塩水噴霧試験における発錆もなく試
験後も良好な外観を保っている。
い鋼板においても、めっき層中での組成と鋼板成分を限
定した本発明鋼は不めっきもなく良好な耐食性を示す事
が分かる。
「めっき相中の他の元素」)が含まれると(1)式で規
定した値が小さい場合でもめっき性が良好であることが
わかる。
が所定の範囲内にあっても製造条件が所定の要件をみた
さないものは、粒界酸化深さが深く疲労寿命が短い。一
方、製造条件が所定の要件を満たす範囲内にあっても鋼
板の成分が所定の範囲を逸脱する場合には、短寿命であ
る事が分かる。表5に酸化物の形態の影響を示す。本発
明鋼は、発錆が無く、疲労強度も2×10 6回を超えており
良好な材質を示す。
に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき鋼板を得ることが
できる。
耐食性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき鋼板のめっ
き濡れ性、めっき密着性も良好である。
Claims (21)
- 【請求項1】 鋼板からなる母相の表面に溶融Znめっ
き相を有する溶融Znめっき鋼板であって、めっき相と
母相の界面に生じる粒界酸化相の最大深さが0.5μm
以下であることを特徴とする疲労耐久性および耐食性に
優れた高強度高延性溶融Znめっき鋼板。 - 【請求項2】 鋼板からなる母相の表面に溶融Znめっ
き相を有する溶融Znめっき鋼板であって、めっき相と
母相の界面において、粒界酸化相の最大深さが1μm以
下で、かつ母相のミクロ組織における主相の平均粒径が
20μm以下であることを特徴とする疲労耐久性および
耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめっき鋼板。 - 【請求項3】 鋼板からなる母相の表面に溶融Znめっ
き相を有する溶融Znめっき鋼板であって、めっき相と
母相の界面に生じる粒界酸化相の最大深さを母相のミク
ロ組織における主相の平均粒径で除した値が0.1以下
であることを特徴とする請求項1または2記載の疲労耐
久性および耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめっき
鋼板。 - 【請求項4】 鋼板が、ミクロ組織において、主相とし
てフェライト又はフェライト及びベイナイトを体積分率
で50〜97%含有し、第2相としてマルテンサイト、
オーステナイトの一方又は両方を、体積分率で合計3〜
50%含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
項に記載の疲労耐久性および耐食性に優れた高強度高延
性溶融Znめっき鋼板。 - 【請求項5】 めっき相が、 Al:0.001〜0.5質量%、 Mn:0.001〜2質量%、 を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなり、 鋼板のSi含有率:X(質量%)、Mn含有率:Y(質
量%)及びAl含有率:Z(質量%)、並びにめっき相
のAl含有率:A(質量%)及びMn含有率:B(質量
%)が、下記(1)式を満足することを特徴とする請求
項1〜4の何れか1項に記載の疲労耐久性および耐食性
に優れた高強度高延性溶融Znめっき鋼板。 3−(X+Y/10+Z/3)−12.5×(A−B)≧0 ・・・(1) - 【請求項6】 めっき相中に,質量%で,Fe:5〜2
0%を含有することを特徴とする請求項5記載の疲労耐
久性および耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめっき
鋼板。 - 【請求項7】めっき相中に、さらに質量%で、 Ca:0.001〜0.1%、 Mg:0.001〜3%、 Si:0.001〜0.1%、 Mo:0.001〜0.1%、 W:0.001〜0.1%、 Zr:0.001〜0.1%、 Cs:0.001〜0.1%、 Rb:0.001〜0.1%、 K:0.001〜0.1%、 Ag:0.001〜5%、 Na:0.001〜0.05%、 Cd:0.001〜3%、 Cu:0.001〜3%、 Ni:0.001〜0.5%、 Co:0.001〜1%、 La:0.001〜0.1%、 Tl:0.001〜8%、 Nd:0.001〜0.1%、 Y:0.001〜0.1%、 In:0.001〜5%、 Be:0.001〜0.1%、 Cr:0.001〜0.05%、 Pb:0.001〜1%、 Hf:0.001〜0.1%、 Tc:0.001〜0.1%、 Ti:0.001〜0.1%、 Ge:0.001〜5%、 Ta:0.001〜0.1%、 V:0.001〜0.2%、 B:0.001〜0.1%、の1種または2種以上を含
有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記
載の疲労耐久性および耐食性に優れた高強度高延性溶融
Znめっき鋼板。 - 【請求項8】 鋼板が、質量%で、 C :0.0001〜0.3%、 Si:0.01〜2.5%、 Mn:0.01〜3%、 Al:0.0001〜4% を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなることを特
徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の疲労耐久
性および耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめっき鋼
板。 - 【請求項9】 鋼板が、さらに質量%で、 Mo:0.001〜5%、 を含有することを特徴とする請求項8記載の疲労耐久性
および耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめっき鋼
板。 - 【請求項10】 鋼板が、さらに質量%で、Mg、C
a、Ti、Y、Ce、Remの元素群中から1種または
2種以上を合計で0.0001〜1%含有することを特
徴とする請求項8又は9記載の疲労耐久性および耐食性
に優れた高強度高延性溶融Znめっき鋼板。 - 【請求項11】 鋼板が、さらに質量%で、 Cr:0.001〜25%、 Ni:0.001〜10%、 Cu:0.001〜5%、 Co:0.001〜5%の1種または2種以上を含有す
ることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記
載の疲労耐久性および耐食性に優れた高強度高延性溶融
Znめっき鋼板。 - 【請求項12】 鋼板が、さらに質量%で、Nb、Vの
1種または2種を合計で0.001〜1%含有すること
を特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の疲
労耐久性および耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめ
っき鋼板。 - 【請求項13】 鋼板が、さらに質量%で、B:0.0
001〜0.1%を含有することを特徴とする請求項8
〜12のいずれか1項に記載の疲労耐久性および耐食性
に優れた高強度高延性溶融Znめっき鋼板。 - 【請求項14】 鋼が、さらに質量%で、Zr、Hf、
Taの1種または2種以上を合計で0.001〜1%含
有することを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項
に記載の疲労耐久性および耐食性に優れた高強度高延性
溶融Znめっき鋼板。 - 【請求項15】 鋼が、さらに質量%で、W:0.00
1〜5%含有することを特徴とする請求項8〜14のい
ずれか1項に記載の疲労耐久性および耐食性に優れた高
強度高延性溶融Znめっき鋼板。 - 【請求項16】 鋼が、さらに質量%で、 P:0.0001〜0.05% S:0.0001〜0.01% 含有することを特徴とする請求項8〜15のいずれか1
項に記載の疲労耐久性および耐食性に優れた高強度高延
性溶融Znめっき鋼板。 - 【請求項17】 鋼のSi量が0.001〜2.5質量
%であることを特徴とする請求項8〜16のいずれか1
項に記載の疲労耐久性および耐食性に優れた高強度溶融
亜鉛めっき鋼板。 - 【請求項18】 めっき相/鋼板界面から深さ10μm
までの範囲における鋼中にSiO2, MnO,およびAl2O3の1
種または2種以上の合計を、面積率で0.1〜70%含有
し、かつMnO(面積率%)+Al2O3(面積率%)/SiO
2(面積率%) ≧ 0.1を満足することを特徴とする請
求項8〜17のいずれか1項に記載の疲労耐久性および
耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめっき鋼板。 - 【請求項19】 めっき相/鋼板界面から深さ10μm
までの範囲の鋼中に、Y2O3, ZrO2, HfO2, TiO2, La
2O3, Ce2O3, CeO2, CaOおよびMgOの1種または2種
以上の合計を、面積率で0.0001〜10.0%含有することを
特徴とする請求項8〜18のいずれか1項に記載の疲労
耐久性および耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめっ
き鋼板。 - 【請求項20】 請求項8〜17の何れか1項に記載の成
分からなる鋳造スラブを鋳造まま又は一旦冷却した後に
再度加熱し、熱延後巻取った熱延鋼板を酸洗後冷延し、
その後焼鈍時の最高温度が0.1×(Ac3−Ac1 )
+Ac1 (℃)以上Ac3 −30(℃)以下で焼鈍した
後に、0.1〜10℃/秒の冷却速度で650〜710
℃の温度域に冷却し、引き続いて1〜100℃/秒の冷
却速度でZnめっき浴温度〜Znめっき浴温度+100
(℃)まで冷却した後、Znめっき浴温度〜Znめっき
浴温度+100(℃)の温度域で後続のめっき浸漬時間
を含めて1秒〜3000秒保持し、Znめっき浴に浸漬
して、その後室温まで冷却することを特徴とする疲労耐
久性および耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめっき
鋼板の製造方法。 - 【請求項21】 Znめっき浴に浸漬した後,300〜
550℃で合金化処理を行い、室温まで冷却することを
特徴とする請求項20記載の疲労耐久性および耐食性に
優れた高強度高延性溶融Znめっき鋼板の製造方法。
Priority Applications (17)
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JP2002131643A JP4331915B2 (ja) | 2001-07-12 | 2002-05-07 | 疲労耐久性および耐食性に優れた高強度高延性溶融Znめっき鋼板及びその製造方法 |
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DE60220191T DE60220191T2 (de) | 2001-06-06 | 2002-06-06 | Hochfestes feuerverzinktes galvanisiertes stahlblech und feuerverzinktes geglühtes stahlblech mit ermüdungsfestigkeit,korrosionsbeständigkeit,duktilität und plattierungshaftung,nach starker verformung und verfahren zu dessen herstellung |
CA002449604A CA2449604C (en) | 2001-06-06 | 2002-06-06 | High-strength hot-dip galvanized steel sheet and hot-dip galvannealed steel sheet having fatigue resistance, corrosion resistance, ductility and plating adhesion, after severe deformation, and a method of producing the same |
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