JP3631710B2 - 耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents
耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建材、家電製品、自動車などに適する耐食性と延性に優れたSi含有高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融亜鉛めっきは鋼板の防食を目的として施され、建材、家電製品、自動車など広範囲に使用されている。その製造法としては、連続ラインに於いて、脱脂洗浄後、非酸化性雰囲気にて加熱し、H2 及びN2 を含む還元雰囲気にて焼鈍後、めっき浴温度近傍まで冷却し、溶融亜鉛浴に浸漬後、冷却、もしくは再加熱してFe−Zn合金相を生成させた後に冷却、というゼンジマー法があり、鋼板の処理に多用されている。
【0003】
めっき前の焼鈍については、脱脂洗浄後、非酸化性雰囲気中での加熱を経ず直ちにH2 及びN2 を含む還元雰囲気にて焼鈍を行う、全還元炉方式も行われる場合がある。また、鋼板を脱脂、酸洗した後、塩化アンモニウムなどを用いてフラックス処理を行って、めっき浴に浸漬、その後冷却、というフラックス法も行われている。
【0004】
これらのめっき処理で用いられるめっき浴中には溶融亜鉛の脱酸のために少量のAlが添加されている。ゼンジマー法においてZnめっき浴は質量%で0.1%程度のAlを含有している。この浴中のAlはFeとの親和力がFe−Znよりも強いため、鋼がめっき浴に浸漬した際、鋼表面にFe−Al合金相すなわちAlの濃化層が生成し、Fe−Znの反応を抑制することが知られている。Alの濃化層が存在するために、得られためっき層中のAl含有率は通常、めっき浴中のAl含有率より高くなる。
【0005】
近年、特に自動車車体において燃費向上を目的とした車体軽量化の観点から、延性の高い高強度鋼板の需要が高まりつつある。安価な強化法として鋼中へのSi添加が行われ、特に高延性高強度鋼板には1質量%以上含有する場合もある。
【0006】
一方で、めっきの観点からすると鋼中のSiの含有率が、質量%で0.1%を超えると、通常のAlを含有しためっき浴を用いたゼンジマー法ではめっき濡れ性が大きく低下し、不めっきが発生するため、使用環境によっては不めっき部分の耐食性が問題となる。また、加工部のめっき密着性についても、めっき剥離部分が不めっき部同様、使用環境によっては剥離部の耐食性が問題となる。
【0007】
これらのSi添加鋼について問題を解決する手段として、特開平3−28359号公報、特開平3−64437号公報等に見られるように、特定のめっきを付与することでめっき性の改善を行っているが、この方法では、溶融めっきライン焼鈍炉前段に新たにめっき設備を設けるか、もしくは、あらかじめ電気めっきラインにおいてめっき処理を行わなければならず、大幅なコストアップとなるという問題点がある。また、これらの発明では、加工時のめっき剥離部の耐食性を改善し得るものではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決し、不めっきが抑制され、耐食性と延性に優れたSi含有高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、種々検討を行った結果、めっき層に特定の元素を適正濃度含有させることおよびそれと鋼板の成分と組み合わせることで、高強度鋼板の溶融亜鉛めっき濡れ性および合金化めっきに於ける合金化促進を見いだすとともに、めっき剥離時の耐食性が確保できることも併せて見出した。この効果は、めっき層中のFe, SiおよびMo量を制御することで出現する。すなわち、質量%で、めっき層中Fe含有率をX、めっき層中Si含有率をY、めっき層中Mo含有率をZとすると、X、Y、Zが下記(1)式
X/10−(Y+Z)+1≧0 ・・・(1)
を満たすことで達成される。耐食性向上の理由の詳細は不明であるが、めっき層自体の耐食性向上にはめっき層中に含有されるMoが効果的と考えられ、剥離部近傍の耐食性向上にはめっき中および鋼中のSiがめっきの腐食生成物である塩基性塩化亜鉛を安定化し、腐食生成物による下地鋼板の保護作用が向上するためであると推定される。
【0010】
本発明は、上記知見に基づいて完成されたもので、その要旨とするところは以下の通りである。
〔1〕 質量%で、
C :0.0001〜0.3%、
Si:0.1〜3.0%、
Mn:0.01〜3%、
Al:0.001〜4%
Mo:0.001〜1%、
P:0.0001〜0.3%、
S:0.0001〜0.1%、
を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼板の表面に、質量%で、
Al:0.001〜4%、
Mo:0.0001〜1%、
Si:0.0001〜0.1%、
Fe:20%未満、
を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなるめっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板であって、質量%で、めっき層中Fe含有率をX、めっき層中Si含有率をY、めっき層中Mo含有率をZとすると、X,Y,Zが(1)式を満たすことを特徴とする耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
【0011】
X/10−(Y+Z)+1≧0 ・・・(1)
〔2〕 めっき層が、さらに質量%で、
Mn:0.0001〜3%
Ni:0.001〜3%
の1種または2種を含有することを特徴とする〔1〕記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
〔3〕 めっき層が、さらに質量%で、
Ca:0.001〜0.1%、
Mg:0.001〜3%、
W:0.001〜0.1%、
Zr:0.001〜0.1%、
Cs:0.001〜0.1%、
Rb:0.001〜0.1%、
K:0.001〜0.1%、
Ag:0.001〜5%、
Na:0.001〜0.05%、
Cd:0.001〜3%、
Cu:0.001〜3%、
Co:0.001〜1%、
La:0.001〜0.1%、
Tl:0.001〜8%、
Nd:0.001〜0.1%、
Y:0.001〜0.1%、
In:0.001〜5%、
Be:0.001〜0.1%、
Cr:0.001〜0.05%、
Pb:0.001〜1%、
Hf:0.001〜0.1%、
Tc:0.001〜0.1%、
Ti:0.001〜0.1%、
Ge:0.001〜5%、
Ta:0.001〜0.1%、
V:0.001〜0.2%、
B:0.001〜0.1%、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
〔4〕 鋼が、さらに質量%で、
Cr:0.001〜25%、
Ni:0.001〜10%、
Cu:0.001〜5%、
Co:0.001〜5%、
W:0.001〜5%、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする〔1〕〜〔3〕の何れか1項に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
〔5〕 鋼が、さらに質量%で、Nb、Ti、V、Zr、Hf、Taの1種または2種以上を合計で0.001〜1%含有することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
〔6〕 鋼が、さらに質量%で、B:0.0001〜0.1%を含有することを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼。
〔7〕 鋼が、さらに質量%で、Y、Rem、Ca、Mg、Ceの1種又は2種以上を0.0001〜1%含有することを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
〔8〕 鋼のミクロ組織が、体積分率で50〜97%のフェライト相又はフェライト相とベイナイト相を主相とし、残部はマルテンサイト相、残留オーステナイト相の一方もしくは両方を、体積分率で合計3〜50%含む複合組織であることを特徴とするとする〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
〔9〕 鋼板のミクロ組織が、体積分率で70〜97%のフェライトを主相とし、その平均粒径が20μm以下であり、第2相として体積分率で3〜30%のオーステナイト及び/またはマルテンサイトからなり、第2相の平均粒径が10μm以下であることを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
〔10〕 鋼板の第2相がオーステナイトであり、鋼中の炭素量:C(質量%)、鋼中のMn量:Mn(質量%)、オーステナイトの体積率:Vγ(%)、フェライト及びベイナイトの体積率:Vα(%)が(2)式を満たすことを特徴とする〔1〕〜〔9〕の何れか1項に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
【0012】
(Vγ+Vα)/Vγ×C+Mn/8 ≧ 2.000 ・・・(2)
〔11〕 鋼板のミクロ組織が、体積分率で50〜95%のフェライトを主相とし、その平均粒径が20μm以下であり、第2相として体積分率で3〜30%のオーステナイト及び/またはマルテンサイトを含有し、それらの平均粒径が10μm以下であり、さらに体積分率で2〜47%のベイナイトからなることを特徴とする〔1〕〜〔10〕の何れか1項に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
〔12〕 〔1〕〜〔11〕の何れか1項に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法であって、請求項1、4〜7の何れか1項に記載の鋼板の成分からなる鋳造スラブを鋳造ままもしくは一旦冷却した後に1180〜1250℃に再度加熱し、880〜1100℃で熱延を終了させた後巻取った熱延鋼板を酸洗後冷延し、その後、0.1×(Ac3 −Ac1 )+Ac1 (℃)以上Ac3 +50(℃)以下の温度域で10秒〜30分焼鈍した後に、0.1〜10℃/秒の冷却速度で650〜700℃の温度域に冷却し、引き続いて0.1〜100℃/秒の冷却速度でめっき浴温度−50℃〜めっき浴温度+50(℃)にまで冷却した後めっき浴に浸漬し、浸漬時間を含めて、めっき浴温度−50℃〜めっき浴温度+50(℃)の温度域に2〜200秒保持した後、室温まで冷却することを特徴とする耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
〔13〕 めっき浴浸漬および保持処理後に、合金化処理を400〜550℃の温度域で行い、室温まで冷却することを特徴とする〔12〕に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
発明者らは、質量%で、
C :0.0001〜0.3%、
Si:0.1〜3.0%、
Mn:0.01〜3%、
Al:0.001〜4%、
Mo:0.001〜1%、
P:0.0001〜0.3%、
S:0.0001〜0.1%、
を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼板を焼鈍し、温度450〜470℃のZnめっき浴に3秒間浸漬を行い、さらに一部試料については500〜550℃で10〜60秒加熱を行った。その後、めっき鋼板表面の欠陥発生率に基づき耐食試験前の外観を5段階評価した。また、耐食試験は、めっき後試料表面にカッターナイフで長さ1cmのキズをつけて、乾・湿繰り返しのサイクル試験を100サイクルまでおこない、再度外観評価をした。また、機械的性質を引張り試験にて合わせて評価した。その結果、鋼板の表面に、質量%で、
Al:0.001〜4%、
Mo:0.0001〜1%、
Si:0.0001〜0.1%、
Fe:20%未満、
を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなるめっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板であって、質量%で、めっき層中Fe含有率をX、めっき層中Si含有率をY、めっき層中Mo含有率をZとすると、X,Y,Zが(1)式を満たすことで、
X/10−(Y+Z)+1≧0 ・・・(1)
腐食試験前後で外観欠陥や発錆がほとんど生じない評点5〜4を得ることがわかった。
【0015】
評点1〜5はそれぞれ、めっきの外観は不めっきの発生状態および傷や模様の欠陥発生状態や腐食性生物形態を目視にて評価した。評価指標は以下の通りである。
評点5:不めっき、傷や模様、腐食試験後の発錆はほとんど無し(面積率で0.1%以下)
評点4:不めっき、傷や模様、腐食試験後の発錆は微小(面積率で0.1%超3%以下)
評点3:不めっき、傷や模様、腐食試験後の発錆は小(面積率で3%超50%未満)
評点2:不めっき、傷や模様、腐食試験後の発錆は多数(面積率で50%超)
評点1:めっき濡れずまたは、腐食試験後、前面錆。
【0016】
めっき付着量については、特に制約は設けないが、耐食性の観点から片面付着量で5g/m2 以上であることが望ましい。本発明の溶融Znめっき鋼板上に塗装性、溶接性を改善する目的で上層めっきを施すことや、各種の処理、例えば、クロメート処理、りん酸塩処理、潤滑性向上処理、溶接性向上処理等を施しても、本発明を逸脱するものではない。
【0017】
めっき層中Al量を0.001〜4質量%の範囲としたのは、0.001%未満では、ドロス発生が顕著で良好な外観が得られないこと、4%を超えてAlを添加すると合金化反応を著しく抑制してしまい、合金化溶融亜鉛めっき層を形成することが困難となるためである。
【0018】
めっき層中Mo量を0.0001〜1質量%の範囲内としたのは、この範囲において不めっきが抑制され、良好な外観のめっきが得られるためうえ、耐食性を向上できるためである。Mo量が上限の1質量%を越えるとMoを含有するドロスの生成により、めっき外観が著しく低下する。
【0019】
めっき層中Si量を0.0001〜0.1質量%としたのは、不めっきが抑制され、良好な外観のめっきが得られることに加えて、耐食性が向上するためである。一方、上限を越えるとそれぞれの元素を含有するドロスの生成により、めっき外観が著しく低下する。
【0020】
また特に、不めっきの抑制や密着性の更なる改善には、めっき層中にMnおよび/またはNiをMn:0.0001〜3質量%、Ni:0.001〜3質量%とした。この範囲において不めっきが発生せず、良好な外観のめっきが得られるためである。Mn量およびNi量が上限の3質量%を超えるとめっき浴中にてZn化合物が析出し、めっき層中に取り込まれることで外観が著しく低下したり、ドロスの発生が顕著となり、これも外観を損ねる原因となる。
【0021】
さらにめっき層中にMg,Ca,W、Zr、Cs、Rb、K、Ag、Na、Cd、Cu、Co、La、Tl、Nd、Y、In、Be、Cr、Pb、Hf、Tc、Ti、Ge、Ta、V、Bの1種または2種以上を含有することで、不めっきが抑制されることおよび合金化が促進させることを見出した。
【0022】
Ca量を0.001〜0.1%、Mg量を0.001〜3%、W量を0.001〜0.1質量%、Zr量を0.001〜0.1質量%、Cs量を0.001〜0.1質量%、Rb量を0.001〜0.1質量%、K量を0.001〜0.1質量%、Ag量を0.001〜5質量%、Na量を0.001〜0.05質量%、Cd量を0.001〜3質量%、Cu量を0.001〜3質量%、Co量を0.001〜1質量%、La量を0.001〜0.1質量%、Tl量を0.001〜8質量%、Nd量を0.001〜0.1質量%、Y量を0.001〜0.1質量%、In量を0.001〜5質量%、Be量を0.001〜0.1質量%、Cr量を0.001〜0.05質量%、Pb量を0.001〜1質量%、Hf量を0.001〜0.1質量%、Tc量を0.001〜0.1質量%、Ti量を0.001〜0.1質量%、Ge量を0.001〜5質量%、Ta量を0.001〜0.1質量%、V量を0.001〜0.2質量%、B量を0.001〜0.1質量%の範囲内としたのは、それぞれこの範囲において不めっきが抑制され、良好な外観のめっきが得られるためである。各元素量が上限を越えるとそれぞれの元素を含有するドロスの生成により、めっき外観が著しく低下する。
【0023】
合金化処理によってめっき層中にFeが取り込まれ、塗装性やスポット溶接性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。前記(1)に係る発明ではめっき層のFe量が20質量%を超えるとめっき層自体の密着性を損ない、加工の際めっき層が破壊・脱落し金型に付着することで、成形時の疵の原因となる。一方、スポット溶接性を良好にするためにはFe量を5質量%以上とすることが好ましい。したがって、合金化処理を行う場合のめっき層中Fe量の範囲は5〜20質量%とする。
【0024】
また、合金化処理を行わない場合めっき層のFe量が5質量%未満でも、合金化により得られる塗装性やスポット溶接性などの効果以外の効果である耐食性と延性や加工性等は良好である。
【0025】
次に、本発明における鋼板成分の限定理由について述べる。
【0026】
C:強度を確保するためにC量の下限を0.0001質量%とした。また、特に残留オーステナイトを充分な量と安定性を確保するのに必要な不可欠な添加元素である。一方では、溶接性を保持可能な上限として0.3質量%とした。
【0027】
Si:製造性および材質上強度を確保するため0.1%以上とし、また、過剰添加はフェライトの硬化につながり延性を劣化させるうえ、溶接性も劣化させることから3.0%以下とした。
【0028】
Mn:0.01〜3質量%の範囲としたのは、0.01質量%以上で強化効果が現れること、3質量%を上限としたのは、これを上回る添加は伸びに悪影響を及ぼすためである。
【0029】
Al:0.001〜4質量%の範囲としたのは、低Siであるがゆえに脱酸の目的で0.001質量%以上とした。また、強度延性バランスを向上させたりめっきの合金化挙動を促進させる効果を有する。一方、過剰添加は溶接性やめっき濡れ性、製造性に悪影響を及ぼすため4%を上限とした。
【0030】
Mo:強化元素である。強度延性バランスに悪影響を及ぼすパーライトや炭化物析出を抑制するために0.001%以上添加する。一方で、過剰添加は残留オーステナイトの生成や安定化およびフェライトを硬化させることから延性低下を伴うため1%を上限とした。
【0031】
P量を0.0001〜0.3質量%の範囲としたのは、0.0001質量%以上で強化効果が現れることや極低化は経済的にも不利であることからこれを下限とした。また、0.3質量%を上限としたのは、これを超える量の添加では、溶接性や鋳造時や熱延時の製造性に悪影響を及ぼすためである。
【0032】
S量を0.0001〜0.1質量%の範囲としたのは、極低化は経済的にも不利であることから、0.0001質量%を下限とし、また、0.1質量%を上限としたのは、これを超える量の添加では、溶接性や鋳造時や熱延時の製造性に悪影響を及ぼすためである。
【0033】
さらに、本発明が対象とする鋼は、強度のさらなる向上を目的としてCr、Ni、Cu、Co,Wの1種または2種以上を含有できる。
【0034】
Cr量を0.001〜25質量%の範囲としたのは、0.001質量%以上で強化効果が現れること、25質量%を上限としたのは、これを超える量の添加では、加工性に悪影響を及ぼすためである。
【0035】
Ni量を0.001〜10質量%の範囲としたのは、0.001%以上で強化効果が現れること、10質量%を上限としたのは、これを超える量の添加では、加工性に悪影響を及ぼすためである。
【0036】
Cu量を0.001〜5質量%の範囲としたのは、0.001質量%以上で強化効果が現れること、25質量%を上限としたのは、これを超える量の添加では、加工性に悪影響を及ぼすためである。
【0037】
Co量を0.001〜5質量%の範囲としたのは、0.001質量%以上で強化効果が現れること、5質量%を上限としたのは、これを超える量の添加では、加工性に悪影響を及ぼすためである。
【0038】
W量を0.001〜5質量%の範囲としたのは、0.001質量%以上で強化効果が現れること、5質量%を上限としたのは、これを超える量の添加では、加工性に悪影響を及ぼすためである。
【0039】
さらに、本発明が対象とする鋼は、強度のさらなる向上を目的として強炭化物形成元素であるNb,Ti,V,Zr,Hf,Taの1種または2種以上を含有できる。
【0040】
これらの元素は、微細な炭化物、窒化物または炭窒化物を形成して、鋼板の強化のは極めて有効であるため、必要に応じて1種または2種以上を合計で0.001質量%以上の添加とした。一方で、延性劣化や残留オーステナイト中へのCの濃化を阻害することから、1種又は2種以上の合計添加量の上限として1質量%とした。
【0041】
Bもまた、必要に応じて添加できる。Bは、0.0001%以上の添加で粒界の強化や鋼材の高強度化に有効ではあるが、その添加量が0.1質量%を超えるとその効果が飽和するばかりでなく、必要以上に鋼板強度を上昇させ、加工性が低下するため、上限を0.1質量%とした。
【0042】
Y、Rem、Ca、Mg、Ce、:めっきの濡れ性を劣化させるSi系の内部粒界酸化相生成を抑制する目的で添加する。Si系の酸化物のように粒界酸化物が形成するのではなく、比較的微細な酸化物を分散して形成させることができる。これらの元素群中から1種または2種以上の元素をあわせて0.0001%以上の添加とした。また一方で過剰添加は鋳造性や熱間加工性などの製造性および鋼板製品の延性を低下させるため1質量%を上限とした。
【0043】
次に、基材鋼板の好ましいミクロ組織について述べる。
加工性を十分に確保するためには主組織を体積分率で50%以上、好ましくは70%以上のフェライト相とするのが望ましいが、高強度化を考慮するとベイナイト相を含んでも良い。また、高強度と高延性を両立させるため、残留オーステナイト相および/またはマルテンサイト相を含む複合組織とする。高強度と高延性のために、残留オーステナイト相とマルテンサイト相は、体積率で合計3%以上とした。体積率が合計50%を超えると脆化傾向を示すため、50%以下が望ましい。
【0044】
フェライトの体積分率の増加は延性を高めるが強度低下に結びつくため、上限はベイナイト相を含有しない場合は体積分率で97%,ベイナイト相を含有する場合は体積分率で95%とする。また、高強度と高延性を両立させるため、残留オーステナイト及び/又はマルテンサイトを含む複合組織とする。高強度と高延性のために、残留オーステナイト相及び/又はマルテンサイトは、体積分率で合計3%以上とした。体積分率が合計30%を超えると脆化傾向を示すため、これを上限とした。
【0045】
鋼板自体の高延性を確保するたに、フェライトの平均粒径を20μm以下とし、第2相であるオーステナイト及び/又はマルテンサイトの平均粒径を10μm以下と規定する。またここで、第2相をオーステナイト及び/又はマルテンサイトとし、主相であるフェライトの平均粒径に対して0.7以下の比率を確保することが望ましい。一方、第2相であるオーステナイト及び/又はマルテンサイトの平均粒径はフェライトの平均粒径の0.01倍未満とすることは実製造上困難であるため、0.01倍以上であることが好ましい。
【0046】
さらに、めっき密着性と高い強度延性・延性のバランスを良好にするためには、鋼板の第2相がオーステナイトである場合に鋼中の炭素量:C、鋼中のMn量:Mn、オーステナイトの体積率:Vγ、フェライト及びベイナイトの体積率:Vαとしたき(2)式を満たすこととした。
【0047】
(Vγ+Vα)/Vγ×C+Mn/8 ≧ 2.000 ・・・(2)
この式を満たすことで特に強度・延性のバランスに優れ、かつめっき密着性も良好な鋼板が得られる。
【0048】
ベイナイトを含む場合における体積分率等について説明すると次のとおりである。ベイナイト相は体積分率で2%以上含有することにより高強度化に役立つ上、オーステナイト相と共存するとオーステナイトの安定化に寄与して結果として高n値化に役立つ。また、この相は基本的に微細であり、高加工時のめっき密着性にも寄与する。特に第2相がオーステナイトの場合には、ベイナイトの体積分率を2%以上とすると、さらにめっき密着性と延性のバランスが向上する。一方で、過多に生成すると延性低下を招く事からベイナイト相は体積分率で47%以下とする。
【0049】
上記の他にミクロ組織の残部組織として、炭化物、窒化物、硫化物、酸化物の1又は2種以上を含有する場合も本発明の鋼板の範疇であるが、これらの1種又は2種以上は体積分率で1%以下であることが好ましい。なお、上記ミクロ組織の、フェライト、ベイナイト、オーステナイト、マルテンサイトおよび残部組織の同定、存在位置の観察および平均粒径(平均円相当径)と占積率の測定は、ナイタール試薬および特開昭59−219473号公報に開示された試薬により鋼板圧延方向断面または圧延方向と直角な断面を腐食して500倍〜1000倍の光学顕微鏡観察により定量化が可能である。ここで、マルテンサイトの粒径測定は光学顕微鏡を用いた場合困難なことがある。この場合には、走査型電子顕微鏡を用いてマルテンサイトのブロック境界、パケット境界またはそれらの集合を観察・粒径測定して平均円相当径を求めることとする。
【0050】
平均粒径は、上記の方法により20視野観察以上した結果に基づいて、JISにより求めた値と定義する。
【0051】
このような組織を有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法について以下説明する。
【0052】
熱延後冷延・焼鈍して本発明の鋼板を製造する場合には、所定の成分に調整されたスラブを鋳造ままもしくは一旦冷却した後1180℃以上に再加熱して均一なスケールを鋼片表面に形成させてデスケール性を高める。一方、1250℃超の加熱が局部的な異常酸化を促進させてしまうことからこれを加熱温度の上限とした。また、過剰な内部酸化生成を抑制する目的から熱延は880℃以上で終了することとし、その後酸洗し、冷延後焼鈍することで最終製品とする。この時、熱延完了温度は鋼の化学成分によって決まるAr3 変態温度以上で行うのが一般的であるが、Ar3 から10℃程度低温までであれば最終的な鋼板の特性を劣化させない。一方、酸化スケールの多量生成を避けるために、熱延完了温度は1100℃以下とする。
【0053】
また、冷却後の巻取温度は鋼の化学成分によって決まるベイナイト変態開始温度以上とすることで、冷延時の荷重を必要以上に高めることが避けられるが、冷延の全圧下率が小さい場合にはこの限りでなく、鋼のベイナイト変態温度以下で巻き取られても最終的な鋼板の特性を劣化させない。また、冷延の全圧下率は、最終板厚と冷延荷重の関係から設定されるが、40%以上であれば最終的な鋼板の特性を劣化させない。
【0054】
冷延後焼鈍する際に、焼鈍温度が鋼の化学成分によって決まる温度Ac1 及びAc3 温度(例えば「鉄鋼材料学」:W. C. Leslie著、幸田成康監訳、丸善P273)で、表現される0.1×(Ac3 −Ac1 )+Ac1 (℃)未満の場合には、焼鈍温度で得られるオーステナイト量が少ないので、最終的な鋼板中に残留オーステナイト相またはマルテンサイト相を残すことができないためにこれを焼鈍温度の下限とした。また、焼鈍温度がAc3 +50(℃)を超えても何ら鋼板の特性を改善することがでず製造コストの上昇をまねくために、焼鈍温度の上限をAc3 +50(℃)とした。この温度での焼鈍時間は鋼板の温度均一化とオーステナイトの確保のために10秒以上が必要である。しかし、30分超では、効果が飽和するばかりでなくコストの上昇を招くのでこれを上限とした。
【0055】
その後の一次冷却はオーステナイト相からフェライト相への変態を促して、未変態のオーステナイト相中にCを濃化させてオーステナイトの安定化をはかるのに重要である。この冷却速度が0.1℃/秒未満にすることは、必要な生産ライン長を長くしたり、生産速度を極めて遅くするといった製造上のデメリットを生じるために、この冷却速度の下限を0.1℃/秒とした。一方、冷却速度が10℃/秒超の場合にはフェライト変態が十分に起こらず、最終的な鋼板中の残留オーステナイト相確保が困難となったり、マルテンサイト相などの硬質相が多量になってしまうため、これを上限とした。
【0056】
この一次冷却が650℃未満まで行われると、冷却中にパーライトが生成したり充分なフェライトが生成しないことからこれを下限とした。しかしながら、冷却が700℃超までもフェライト変態の進行が十分ではないのでこれを上限とした。
【0057】
引き続き行われる二次冷却の急速冷却は、冷却中にパーライト変態や鉄炭化物の析出などが起こらないような冷却速度として最低0.1℃/秒以上が必要となる。但しこの冷却速度を100℃/秒超にすることは設備能力上困難であることから、0.1〜100℃/秒を冷却速度の範囲とした。
【0058】
この二次冷却の冷却停止温度がめっき浴温度−50℃よりも低いと操業上大きな問題となり、めっき浴温度+50(℃)を超えると炭化物析出が短時間で生じるため得られる残留オーステナイトやマルテンサイトの量が確保できなくなる。このため、2次冷却の停止温度をめっき浴温度−50℃以上めっき浴温度+50(℃)とした。鋼板中に残留しているオーステナイト相を室温で安定にするためには、その一部をベイナイト相へ変態させる事でオーステナイト中の炭素濃度を更に高めることが必須である。合金化処理を併せてベイナイト変態を短時間で進行させるため、めっき温度−50℃からめっき温度+50℃の温度域で浸漬時間を含めて2〜200秒保持することとした。
めっき温度−50℃未満ではベイナイト変態が起こりにくく、めっき温度+50℃を超えると炭化物が生じて十分な残留オーステナイト相を残すことが困難となる。
【0059】
マルテンサイト相を生成させるには、残留オーステナイト相の場合とは異なりベイナイト変態を生じさせる必要がない。一方では、炭化物やパーライト相の生成は残留オーステナイト相と同様、抑制する必要があるため、2次冷却後の十分な合金化処理を行うため400〜550℃の温度域で合金化処理することとする。
【0060】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
【0061】
表1に示すような組成の鋼板を、1180〜1250℃に加熱し、880〜1100℃で熱延を完了し、冷却後各鋼の化学成分で決まるベイナイト変態開始温度以上で巻き取った鋼帯を酸洗後、冷延して1.0mm厚とした。
【0062】
【表1】
【0063】
その後、各鋼の成分(質量%)から下記式にしたがってAc1 とAc3 変態温度を計算により求めた。
【0064】
Ac1 =723−10.7×Mn%+29.1×Si%、
Ac3 =910−203×(C%)1/2+44.7×Si%+31.5×Mo%−30×Mn%−11×Cr%+400×Al%
これらのAc1 およびAc3 変態温度から計算される焼鈍温度に10%H2 −N2 雰囲気中で昇温・保定したのち、0.1〜10℃/秒の冷却速度で650〜700℃温度域に冷却し、引き続いて0.1〜20℃/秒の冷却速度でめっき浴温度にまで冷却し、浴組成を種々変化させた460〜470℃の亜鉛めっき浴に3秒間浸漬することでめっきを行った。
【0065】
また、一部の鋼板については、Fe−Zn合金化処理として、めっき後の鋼板を400〜550℃の温度域で15秒〜20分保持し、めっき層中のFe含有率が質量%で5〜20%となるよう調節した。めっき表面外観のドロス巻き込み状況の目視観察および不めっき部面積の測定によりめっき外観を評価した。作製しためっきはめっき層をインヒビターを含有した5%塩酸溶液で溶解し化学分析に供し組成を求め表2に示した。
【0066】
表2および表3より、本発明鋼は、外観評点が耐食試験前後ですべて5〜4で、かつ強度・伸びバランスにも優れる。一方、本発明の範囲を満たさない比較例は、いずれも外観評点が低く、強度・伸びバランスに劣る。また、本願発明の請求項の範囲で製造した鋼板は、ミクロ組織も上述した組織になっており外観及び強度・伸びバランスに優れている。
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
【発明の効果】
本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板は耐食性に極めて優れ、加工性が良好であり、建材、家電製品、自動車車体用途等に極めて有効である。
Claims (13)
- 質量%で、
C :0.0001〜0.3%、
Si:0.1〜3.0%、
Mn:0.01〜3%、
Al:0.001〜4%、
Mo:0.001〜1%、
P:0.0001〜0.3%、
S:0.0001〜0.1%、
を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼板の表面に、質量%で、
Al:0.001〜4%、
Mo:0.0001〜1%、
Si:0.0001〜0.1%、
Fe:20%未満、
を含有し、残部がZn及び不可避不純物からなるめっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板であって、質量%で、めっき層中Fe含有率をX、めっき層中Si含有率をY、めっき層中Mo含有率をZとすると、X,Y,Zが(1)式を満たすことを特徴とする耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
X/10−(Y+Z)+1≧0 ・・・(1) - めっき層が、さらに質量%で、
Mn:0.0001〜3%、
Ni:0.001〜3%、
の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。 - めっき層が、さらに質量%で、
Ca:0.001〜0.1%、
Mg:0.001〜3%、
W:0.001〜0.1%、
Zr:0.001〜0.1%、
Cs:0.001〜0.1%、
Rb:0.001〜0.1%、
K:0.001〜0.1%、
Ag:0.001〜5%、
Na:0.001〜0.05%、
Cd:0.001〜3%、
Cu:0.001〜3%、
Co:0.001〜1%、
La:0.001〜0.1%、
Tl:0.001〜8%、
Nd:0.001〜0.1%、
Y:0.001〜0.1%、
In:0.001〜5%、
Be:0.001〜0.1%、
Cr:0.001〜0.05%、
Pb:0.001〜1%、
Hf:0.001〜0.1%、
Tc:0.001〜0.1%、
Ti:0.001〜0.1%、
Ge:0.001〜5%、
Ta:0.001〜0.1%、
V:0.001〜0.2%、
B:0.001〜0.1%、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。 - 鋼が、さらに質量%で、
Cr:0.001〜25%、
Ni:0.001〜10%、
Cu:0.001〜5%、
Co:0.001〜5%、
W:0.001〜5%、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。 - 鋼が、さらに質量%で、Nb、Ti、V、Zr、Hf、Taの1種または2種以上を合計で0.001〜1%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
- 鋼が、さらに質量%で、B:0.0001〜0.1%を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
- 鋼が、さらに質量%で、Y、Rem、Ca、Mg、Ceの1種又は2種以上を0.0001〜1%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
- 鋼のミクロ組織が、体積分率で50〜97%のフェライト相又はフェライト相とベイナイト相を主相とし、残部はマルテンサイト相、残留オーステナイト相の一方もしくは両方を、体積分率で合計3〜50%含む複合組織であることを特徴とするとする請求項1〜7のいずれか1項に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
- 鋼板のミクロ組織が、体積分率で70〜97%のフェライトを主相とし、その平均粒径が20μm以下であり、第2相として体積分率で3〜30%のオーステナイト及び/またはマルテンサイトからなり、第2相の平均粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
- 鋼板の第2相がオーステナイトであり、鋼中の炭素量:C(質量%)、鋼中のMn量:Mn(質量%)、オーステナイトの体積率:Vγ(%)、フェライト及びベイナイトの体積率:Vα(%)が(2)式を満たすことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
(Vγ+Vα)/ Vγ×C+Mn/8 ≧ 2.000 ・・・(2) - 鋼板のミクロ組織が、体積分率で50〜95%のフェライトを主相とし、その平均粒径が20μm以下であり、第2相として体積分率で3〜30%のオーステナイト及び/またはマルテンサイトを含有し、それらの平均粒径が10μm以下であり、さらに体積分率で2〜47%のベイナイトからなることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
- 請求項1〜11の何れか1項に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法であって、請求項1、4〜7の何れか1項に記載の鋼板の成分からなる鋳造スラブを鋳造ままもしくは一旦冷却した後に1180〜1250℃に再度加熱し、880〜1100℃で熱延を終了させた後巻取った熱延鋼板を酸洗後冷延し、その後、0.1×(Ac3 −Ac1 )+Ac1 (℃)以上Ac3 +50(℃)以下の温度域で10秒〜30分焼鈍した後に、0.1〜10℃/秒の冷却速度で650〜700℃の温度域に冷却し、引き続いて0.1〜100℃/秒の冷却速度でめっき浴温度−50℃〜めっき浴温度+50(℃)にまで冷却した後めっき浴に浸漬し、浸漬時間を含めて、めっき浴温度−50℃〜めっき浴温度+50(℃)の温度域に2〜200秒保持した後、室温まで冷却することを特徴とする耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- めっき浴浸漬および保持処理後に、合金化処理を400〜550℃の温度域で行い、室温まで冷却することを特徴とする請求項12記載の耐食性と延性に優れたSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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