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JP2003171454A - ポリエステルおよびその製造方法 - Google Patents

ポリエステルおよびその製造方法

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Publication number
JP2003171454A
JP2003171454A JP2002010547A JP2002010547A JP2003171454A JP 2003171454 A JP2003171454 A JP 2003171454A JP 2002010547 A JP2002010547 A JP 2002010547A JP 2002010547 A JP2002010547 A JP 2002010547A JP 2003171454 A JP2003171454 A JP 2003171454A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
polyester
compound
aluminum
compounds
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002010547A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Nakajima
孝宏 中嶋
Shoichi Gyobu
祥一 形舞
Mitsuhiro Kuwata
光啓 桑田
Kenichi Tsukamoto
健一 塚本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2002010547A priority Critical patent/JP2003171454A/ja
Publication of JP2003171454A publication Critical patent/JP2003171454A/ja
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  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】アンチモンおよびゲルマニウム以外の金属成分
を触媒の主たる金属成分とする重合触媒を用いて製造さ
れたポリエステルであって、かつ成形時のフィルター詰
まり等が改善されたポリエステルおよびその製造方法を
提供する。 【解決手段】アルカリ金属およびそれらの化合物ならび
にアルカリ土類金属およびそれらの化合物からなる群よ
り選ばれる少なくとも一種と、アルミニウムおよびその
化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有
し、かつそれらを特定の量含有するポリエステル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステルおよび
その製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、成
形時のフィルター詰まり等が改善されたポリエステルお
よびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、特にポリエチレンテレフ
タレート(以下、PET と略す)は、機械的特性および化
学的特性に優れており、多用途への応用、例えば、衣料
用や産業資材用の繊維、包装用や磁気テープ用などの各
種フィルムやシート、ボトルやエンジニアリングプラス
チックなどの成形物への応用がなされている。
【0003】PETは、工業的にはテレフタル酸もしくは
テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとのエステ
ル化もしくはエステル交換によってビス(2-ヒドロキシ
エチル)テレフタレートを製造し、これを高温、真空下
で触媒を用いて重縮合することで得られる。重縮合時に
用いられる触媒としては、三酸化アンチモンが広く用い
られている。三酸化アンチモンは、安価で、かつ優れた
触媒活性をもつ触媒であるが、重縮合時に金属アンチモ
ンが析出するため、PET に黒ずみや異物が発生するとい
った問題点を有している。このような経緯で、アンチモ
ンを全く含まないか或いはアンチモンを触媒主成分とし
て含まないポリエステルが望まれている。
【0004】なおポリエステル中の上記の異物は例えば
以下のような問題を起こす。 (1)フィルム用のポリエステルにおいては、金属アン
チモンの析出は、ポリエステル中の異物となり、溶融押
し出し時の口金汚れの原因になるだけでなく、フィルム
の表面欠点の原因にもなる。また、中空の成形品等の原
料とした場合には、透明性の優れた中空成形品を得るこ
とが困難である。 (2)繊維用のポリエステル中の異物は、繊維中に強度
低下をもたらす異物となり、製糸時の口金汚れやフィル
ターの濾圧上昇の原因となる。ポリエステル繊維の製造
においては、主に操業性の観点から、異物の発生のない
ポリエステル重合触媒が求められる。
【0005】重縮合触媒として、三酸化アンチモンを用
いて、かつ PET の黒ずみや異物の発生を抑制する試み
が行われている。例えば、特許第2666502号において
は、重縮合触媒として三酸化アンチモンとビスマスおよ
びセレンの化合物を用いることで、PET 中の黒色異物の
生成を抑制している。また、特開平9-291141号において
は、重縮合触媒としてナトリウムおよび鉄の酸化物を含
有する三酸化アンチモンを用いると、金属アンチモンの
析出が抑制されることを述べている。ところが、これら
の重縮合触媒では、結局アンチモンの含有量を低減する
という目的は達成できない。
【0006】アンチモン化合物以外の重縮合触媒として
は、チタン化合物やスズ化合物がすでに提案されている
が、これらを用いて製造されたポリエステルは溶融成形
時に熱劣化を受けやすく、またポリエステルが著しく着
色するという問題点を有する。
【0007】このような、チタン化合物を重縮合触媒と
して用いたときの問題点を克服する試みとして、例え
ば、特開昭55−116722号では、テトラアルコキ
シチタネートをコバルト塩およびカルシウム塩と同時に
用いる方法が提案されている。また、特開平8−735
81号によると、重縮合触媒としてテトラアルコキシチ
タネートをコバルト化合物と同時に用い、かつ蛍光増白
剤を用いる方法が提案されている。ところが、これらの
技術では、テトラアルコキシチタネートを重縮合触媒と
して用いたときのPETの着色は低減されるものの、P
ETの熱分解を効果的に抑制することは達成されていな
い。
【0008】一方、アルカリ金属またはその化合物とア
ルミニウムのキレート化合物とを共存すると優れた触媒
活性が発現することが特公昭46-41031号に開示されてい
る。該公報に記載の方法に従って重合したポリエステル
は、熱安定性には優れるものの、ポリエステルに不溶性
の異物が多く生成し、ポリエステルの成形時に該異物に
起因したフィルター詰まりが起こり、かつ繊維に使用し
たときには紡糸時の糸切れ等が頻繁に起こり、またフィ
ルムに使用したときはフィルム物性などが悪化するとい
う問題を有しており、実用には向かなかった。
【0009】アンチモン化合物以外で優れた触媒活性を
有しかつ上記の問題を有しないポリエステルを与える触
媒としては、ゲルマニウム化合物がすでに実用化されて
いるが、この触媒は非常に高価であるという問題点や、
重合中に反応系から外へ留出しやすいため反応系の触媒
濃度が変化し重合の制御が困難になるという課題を有し
ており、触媒主成分として使用することには問題があ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アン
チモンおよびゲルマニウム以外の金属成分を触媒の主た
る金属成分とする重合触媒を用いて製造されたポリエス
テルであって、かつ成形時のフィルター詰まり等が改善
されたポリエステルおよびその製造方法を提供するもの
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の筆者らは、上記
課題の解決を目指して鋭意検討を重ねた結果、アルカリ
金属化合物とアルミニウム化合物とを共存した触媒を用
いて重合したときに生成するポリエステルに不溶性の異
物は主に、アルカリ金属化合物に起因することを見いだ
し、さらに、ポリエステル中のアルカリ金属化合物とア
ルミニウム化合物の含有量を特定の範囲内にすることに
よって、この不溶性の異物の生成は効果的に抑えられ、
ポリエステルを成形する時のフィルター詰まり等の問題
が改善されることを見いだし本発明に到達した。
【0012】すなわち、本発明は上記課題の解決法とし
て、アルカリ金属およびそれらの化合物ならびにアルカ
リ土類金属およびそれらの化合物からなる群より選ばれ
る少なくとも一種と、アルミニウムおよびその化合物か
らなる群より選ばれる少なくとも一種を含有し、かつそ
れらを下記(1)および(2)式を満足する量含有することを
特徴とするポリエステルを提供する。 (1) M<0.05 (2) M/Al≦20 (式(1),(2)中、Mはポリエステル中の酸成分に対するア
ルカリ金属原子とアルカリ土類金属原子の合計のモル%
を示し、Alはポリエステル中の酸成分に対するアルミニ
ウム原子のモル%を示す。)
【0013】また本発明は、上記金属および/または化
合物を触媒として用いて製造された上記ポリエステルお
よびその製造方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステルは、アルカ
リ金属およびそれらの化合物ならびにアルカリ土類金属
およびそれらの化合物からなる群より選ばれる少なくと
も一種を、ポリエステルのジカルボン酸や多価カルボン
酸などのカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対
して金属原子として合計して0.05モル%未満の量で含有
していなければならない。また、0.005モル%以上含有
することが好ましい。含有量が0.05モル%以上だと、ポ
リエステルに不溶性の異物が多く生じ、その結果、紡糸
時の糸切れや成形時のフィルター詰まり等が頻繁に起こ
るという問題が発生する。また、レジンの着色が顕著に
なり、成形品の外観が損なわれるという問題やレジンの
耐加水分解性が低下するという問題が発生する。含有量
が0.005モル%より少ないとレジンの熱安定性に乏しく
なるという問題が発生するとともに、触媒として用いる
場合に触媒活性が顕著に低下するため好ましくない。含
有量のより好ましい範囲としては、0.008モル%から0.0
3モル%であり、さらに好ましくは0.01モル%から0.02
モル%の範囲である。
【0015】本発明のポリエステルは、上記のアルカリ
金属およびそれらの化合物ならびにアルカリ土類金属お
よびそれらの化合物からなる群より選ばれる少なくとも
一種に加えてアルミニウムおよびその化合物からなる群
より選ばれる少なくとも一種を含有していなければなら
ない。また、アルカリ金属およびそれらの化合物ならび
にアルカリ土類金属およびそれらの化合物からなる群よ
り選ばれる少なくとも一種とアルミニウムおよびその化
合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の含有量
を、アルカリ金属原子とアルカリ土類金属原子の合計と
アルミニウム原子のモル比が20以下となるようにするこ
とが必要である。この比は0.1以上であることが好まし
い。比が20を越えると、ポリエステルに不溶性の異物が
多く生じ、その結果、紡糸時の糸切れや成形時のフィル
ター詰まり等が頻繁に起こるという問題が発生する。ま
た、触媒として用いる場合に触媒活性が顕著に低下する
という問題が発生する。比が0.1より小さいと、アルミ
ニウム化合物に起因するポリエステルに不溶性の異物が
多く生成し、またポリエステルの熱安定性も低下するた
め好ましくない。比のより好ましい範囲としては0.5か
ら10の範囲である。
【0016】ポリエステル中における、アルカリ金属お
よびそれらの化合物ならびにアルカリ土類金属およびそ
れらの化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種と
アルミニウムおよびその化合物からなる群より選ばれる
少なくとも一種の含有量を上記範囲とすることで、ポリ
エステルに不溶性の異物の発生が効果的に抑制され、紡
糸時の糸切れや成形時のフィルター詰まり等の問題が改
善される。
【0017】また、本発明のアルミニウムおよびその化
合物の含有量は、ポリエステルのジカルボン酸や多価カ
ルボン酸などのカルボン酸成分の全構成ユニットのモル
数に対して、アルミニウム原子として0.001モル%から
0.05モル%の範囲にあることが好ましい。アルミニウム
原子の含有量が0.05モル%を越えると、生成するポリエ
ステルの熱安定性が低下するため好ましくない。アルミ
ニウム原子の含有量が0.001モル%以下であると、触媒
として用いる場合に触媒活性が顕著に低下するため好ま
しくない。より好ましくは、0.005モル%から0.04モル
%の範囲であり、さらに好ましくは0.01モル%から0.03
モル%の範囲である。
【0018】本発明のポリエステルとしては、アルカリ
金属原子とアルカリ土類金属原子を合計で25ppm以
下の量で含有することが異物低減の観点から好ましい。
この含有量は20ppm以下であることがより好まし
く、15ppm以下であることがさらに好ましい。
【0019】また、本発明のポリエステルには、上記し
たようにアルカリ金属およびそれらの化合物ならびにア
ルカリ土類金属およびそれらの化合物からなる群より選
ばれる少なくとも一種を含有することが必要であるが、
このうち、アルカリ土類金属またはそれらの化合物を含
有するポリエステルは、熱安定性がより低下し、加熱に
よる着色が大きく、異物の発生量も比較的多いため、本
発明のポリエステルには、アルカリ土類金属が含有され
ずにアルカリ金属が含有されていることが好ましい。
【0020】本発明のポリエステルは、アンチモン化合
物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、スズ化合物な
どの重合触媒を、これらの成分の添加が前述のようなポ
リエステルの特性、加工性、色調等製品に問題を生じな
い添加量の範囲内において共存させて用いることは、こ
れらを重合触媒として用いる場合に重合時間の短縮によ
る生産性を向上させる際に有効であり、好ましい。
【0021】本発明のポリエステルはアンチモン原子の
含有量がポリエステルに対して50ppm以下の量であ
ると、ポリエステルの黒ずみや異物の発生が抑制される
ため好ましい。より好ましくは30ppm以下であり、
さらに好ましくは10ppm以下である。
【0022】また、本発明のポリエステルはゲルマニウ
ム原子の含有量がポリエステルに対して20ppm以下
の量であると、コスト的に不利にならないため好まし
い。より好ましくは10ppm以下であり、さらに好ま
しくは5ppm以下である。
【0023】また、本発明のポリエステルはチタン原子
の含有量がポリエステルに対して5ppm以下の量であ
ると、ポリエステルの熱安定性や色調に優れるため好ま
しい。より好ましくは3ppm以下であり、さらに好ま
しくは1ppm以下である。
【0024】また、本発明のポリエステルはリン化合物
を含有することが好ましい。リン化合物を含有すること
で、アルカリ金属やアルカリ土類金属に由来する異物の
発生が抑制されるという効果が得られるとともに、ポリ
エステルの熱安定性も改善する。アルミニウムまたはそ
の化合物およびアルカリ土類金属またはそれらの化合物
を含有するポリエステルは、上述したように、熱安定性
に劣る傾向があり、異物の発生量も比較的多いが、アル
カリ土類金属を本発明の範囲で含有し、さらにリン化合
物を含有することで、ポリエステルの熱安定性や異物の
問題が改善する。
【0025】本発明は、上記した金属および/または化
合物を触媒として用いて製造されたポリエステルおよび
その製造方法にも関する。金属および/または化合物の
添加量としては、最終的に得られるポリエステル中にお
ける金属原子の含有量が上記のようになることが必要で
ある。該方法により製造されたポリエステルは、ポリエ
ステルに不溶性の異物の発生が効果的に抑制され、紡糸
時の糸切れや成形時のフィルター詰まり等の問題が改善
される。
【0026】本発明において重合触媒として使用するア
ルカリ金属およびそれらの化合物ならびにアルカリ土類
金属およびそれらの化合物としては、Li,Na,K,
Rb,Cs,Be,Mg,Ca,Sr,Baから選択さ
れる少なくとも1種の金属ないしその化合物であること
が好ましく、このうちアルカリ金属ないしその化合物を
使用するとポリエステルに不溶性の異物が低減し、ポリ
エステルの熱安定性にも優れるためより好ましい。アル
カリ金属ないしその化合物を使用する場合、Li,N
a,Kないしそれらの化合物の使用が好ましく、このう
ちLiないしその化合物を使用するとポリエステルに不
溶性の異物がより低減するためとくに好ましい。アルカ
リ金属やアルカリ土類金属の化合物としては、例えば、
これら金属のギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸な
どの飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸、メタクリル
酸などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳
香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有
カルボン酸塩、乳酸、クエン酸、サリチル酸などのヒド
ロキシカルボン酸塩、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホス
ホン酸、炭酸水素、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チ
オ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、臭素酸などの無機
酸塩、1−プロパンスルホン酸、1−ペンタンスルホン
酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸塩、ラ
ウリル硫酸などの有機硫酸塩、メトキシ、エトキシ、n
−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、t
ert−ブトキシなどのアルコキサイド、アセチルアセ
トネートなどとのキレート化合物、水素化物、酸化物、
水酸化物などが挙げられる。
【0027】これらのアルカリ金属、アルカリ土類金属
またはそれらの化合物のうち、水酸化物等のアルカリ性
の強いものを用いる場合、これらはエチレングリコール
等のジオールもしくはアルコール等の有機溶媒に溶解し
にくい傾向があるため、水溶液で重合系に添加しなけれ
ばならず重合工程上問題となる場合が有る。さらに、水
酸化物等のアルカリ性の強いものを用いた場合、重合時
にポリエステルが加水分解等の副反応を受け易くなると
ともに、重合したポリエステルは着色し易くなる傾向が
あり、耐加水分解性も低下する傾向がある。従って、本
発明のアルカリ金属またはそれらの化合物あるいはアル
カリ土類金属またはそれらの化合物として好適なもの
は、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の飽和脂肪
族カルボン酸塩、不飽和脂肪族カルボン酸塩、芳香族カ
ルボン塩、ハロゲン含有カルボン酸塩、ヒドロキシカル
ボン酸塩、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、リン酸水
素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、
塩素酸、臭素酸から選ばれる無機酸塩、有機スルホン酸
塩、有機硫酸塩、キレート化合物、および酸化物であ
る。これらの中でもさらに、取り扱い易さや入手のし易
さ等の観点から、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金
属の飽和脂肪族カルボン酸塩、特に酢酸塩の使用が好ま
しい。
【0028】本発明において重合触媒として使用するア
ルミニウムまたはその化合物としては特に限定はされな
いが、金属アルミニウムの他に、例えば、ギ酸アルミニ
ウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、プ
ロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アクリル
酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン
酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、トリクロロ酢
酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、酒石酸アルミニウ
ム、クエン酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウムな
どのカルボン酸塩、塩化アルミニウム、水酸化アルミニ
ウム、水酸化塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウ
ム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、炭酸アルミ
ニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウム
などの無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニ
ウムエトキサイド、アルミニウムn-プロポキサイド、ア
ルミニウムiso-プロポキサイド、アルミニウムn-ブトキ
サイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウ
ムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネー
ト、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエ
チルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセ
テートジiso-プロポキサイドなどのアルミニウムキレー
ト化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミ
ニウムなどの有機アルミニウム化合物あるいはこれらの
部分加水分解物、アルミニウムのアルコキサイドやアル
ミニウムキレート化合物とヒドロキシカルボン酸からな
る反応生成物、酸化アルミニウム、超微粒子酸化アルミ
ニウム、アルミニウムシリケート、アルミニウムとチタ
ンやケイ素やジルコニウムやアルカリ金属やアルカリ土
類金属などとの複合酸化物などが挙げられる。これらの
うちカルボン酸塩、無機酸塩およびキレート化合物が好
ましく、これらの中でもさらに塩基性酢酸アルミニウ
ム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩
化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネー
トがとくに好ましい。塩基性酢酸アルミニウムはホウ酸
等の添加剤で安定化されたものを用いてもよい。
【0029】本発明において重合触媒として添加可能な
アンチモン化合物としては、好適な化合物として三酸化
アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アン
チモングリコキサイドなどが挙げられ、特に三酸化アン
チモンの使用が好ましい。また、ゲルマニウム化合物と
しては、二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウムなど
が挙げられ、特に二酸化ゲルマニウムが好ましい。二酸
化ゲルマニウムとしては結晶性のものと非晶性のものの
両方が使用できる。
【0030】また、チタン化合物、スズ化合物などの他
の重合触媒としては、チタン化合物としては、テトラ−
n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネー
ト、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソブチル
チタネート、テトラ−tert−ブチルチタネート、テ
トラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネ
ート、テトラベンジルチタネート、蓚酸チタン酸リチウ
ム、蓚酸チタン酸カリウム、蓚酸チタン酸アンモニウ
ム、酸化チタン、チタンとケイ素やジルコニウムやアル
カリ金属やアルカリ土類金属などとの複合酸化物、チタ
ンのオルトエステルまたは縮合オルトエステル、チタン
のオルトエステルまたは縮合オルトエステルとヒドロキ
シカルボン酸からなる反応生成物、チタンのオルトエス
テルまたは縮合オルトエステルとヒドロキシカルボン酸
とリン化合物からなる反応生成物、チタンのオルトエス
テルまたは縮合オルトエステルと少なくとも2個のヒド
ロキシル基を有する多価アルコール、2−ヒドロキシカ
ルボン酸および塩基からなる反応生成物などが挙げら
れ、このうちチタンとケイ素の複合酸化物、チタンとマ
グネシウムの複合酸化物、チタンのオルトエステルまた
は縮合オルトエステルとヒドロキシカルボン酸とリン化
合物からなる反応生成物が好ましい。またスズ化合物と
しては、ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズ
オキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオ
キサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、モノブ
チルヒドロキシスズオキサイド、トリイソブチルスズア
セテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルス
ズトリクロライド、ジブチルスズサルファイド、ジブチ
ルヒドロキシスズオキサイド、メチルスタンノン酸、エ
チルスタンノン酸などが挙げられ、特にモノブチルヒド
ロキシスズオキサイドの使用が好ましい。
【0031】本発明の方法に従ってポリエステルを製造
する際にリン化合物を添加すると、ポリエステルに不溶
性の異物の生成が効果的に抑制されるため好ましい。ま
た、リン化合物を添加することで、ポリエステルの熱安
定性等も向上することが可能であるため好ましい。
【0032】本発明のリン化合物としては、特に限定は
されないが、リン酸ならびにトリメチルリン酸、トリエ
チルリン酸、フェニルリン酸、トリフェニルリン酸等の
リン酸エステル、亜リン酸ならびにトリメチルホスファ
イト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファ
イト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファ
イト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4'
-ビフェニレンジホスファイト等の亜リン酸エステルな
どが挙げられる。
【0033】また一方で、本発明のリン化合物として
は、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホス
フィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜
ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物などが挙げ
られる。これらのリン化合物を重合時に添加すること
で、ポリエステルに不溶性の異物の生成が抑制され、ポ
リエステルの熱安定性が向上することに加えて、触媒活
性の向上効果が見られる。これらの中でも、ホスホン酸
系化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きいため好
ましい。上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有
する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ま
しい。
【0034】本発明のホスホン酸系化合物としては、例
えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジ
フェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホス
ホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベン
ジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチル
などが挙げられる。本発明のホスフィン酸系化合物とし
ては、例えば、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホ
スフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、
フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、
フェニルホスフィン酸フェニルなどが挙げられる。本発
明のホスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、
ジフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホ
スフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイ
ドなどが挙げられる。
【0035】本発明のリン化合物の使用量としては、重
合して得られるポリエステルのジカルボン酸や多価カル
ボン酸などのカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数
に対して5X10-5モル%から1モル%の範囲であることが
好ましく、更に好ましくは1X10-4モル%から0.5モル%
の範囲であることである。
【0036】本発明の方法に従ってポリエステルを製造
する際にフェノール系化合物を添加すると、ポリエステ
ルの熱安定性が効果的に向上するため好ましい。また、
フェノール系化合物を添加することで、触媒活性の向上
効果も見られる。
【0037】本発明のフェノール系化合物としては、フ
ェノール構造を有する化合物であれば特に限定はされな
いが、例えば、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-
ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テ
トラキス-[メチル-3-(3',5'-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート]メタン、チオジエチレン
ービス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]などが挙げられる。
【0038】本発明のフェノール系化合物の使用量とし
ては、重合して得られるポリエステルのジカルボン酸や
多価カルボン酸などのカルボン酸成分の全構成ユニット
のモル数に対して5X10-5モル%から1モル%の範囲であ
ることが好ましく、更に好ましくは1X10-4モル%から0.
5モル%の範囲であることである。
【0039】本発明によるポリエステルの製造は、従来
公知の方法で行うことができる。例えば、PETを製造す
る場合は、テレフタル酸とエチレングリコールとのエス
テル化後、重縮合する方法、もしくは、テレフタル酸ジ
メチルなどのテレフタル酸のアルキルエステルとエチレ
ングリコールとのエステル交換反応を行った後、重縮合
する方法のいずれの方法でも行うことができる。また、
重合の装置は、回分式であっても、連続式であってもよ
い。
【0040】本発明の触媒は、重縮合反応のみならずエ
ステル化反応およびエステル交換反応にも触媒活性を有
する。テレフタル酸ジメチルなどのジカルボン酸のアル
キルエステルとエチレングリコールなどのグリコールと
のエステル交換反応は、通常亜鉛などのエステル交換触
媒の存在下で行われるが、これらの触媒の代わりかもし
くはこれらの触媒と共存して本発明の触媒を用いること
もできる。また、本発明の触媒は、溶融重合のみならず
固相重合や溶液重合においても触媒活性を有しており、
いずれの方法によってもポリエステルを製造することが
可能である。
【0041】本発明の重合触媒は、重合反応の任意の段
階で反応系に添加することができる。例えば、エステル
化反応もしくはエステル交換反応の開始前および反応途
中の任意の段階、もしくは重縮合反応の開始直前あるい
は反応途中に反応系へ添加することができる。特に、ア
ルミニウムないしその化合物は重縮合反応の開始直前に
添加することが好ましい。
【0042】本発明の重合触媒の添加方法は、粉末状も
しくはニート状であってもよいし、エチレングリコール
などの溶媒のスラリー状もしくは溶液であってもよく、
特に限定されない。また、アルカリ金属またはそれらの
化合物あるいはアルカリ土類金属またはそれらの化合物
とアルミニウムまたはその化合物とを予め混合したもの
を添加してもよいし、これらを別々に添加してもよい。
また、これらの金属または化合物とリン化合物などの他
の金属または化合物を予め混合したものを添加してもよ
いし、これらを別々に添加してもよい。また、アルミニ
ウムまたはその化合物とアルカリ金属またはそれらの化
合物あるいはアルカリ土類金属またはそれらの化合物と
を同じ添加時期に重合系に添加してもよく、それぞれの
成分を別々の添加時期に添加してもよい。また、触媒の
全量を一度に添加しても、複数回に分けて添加してもよ
い。
【0043】本発明のポリエステルには、さらに、コバ
ルト化合物をコバルト原子としてポリエステルに対して
10ppm未満の量で含有する事が好ましい。より好ま
しくは5ppm未満で、さらに好ましくは3ppm以下
である。
【0044】コバルト化合物はそれ自体ある程度の触媒
活性を有していることは知られているが、十分な触媒効
果を発揮する程度に添加すると得られるポリエステル重
合体の明るさの低下や熱安定性の低下が起こる。本発明
においては、コバルト化合物を上記のような少量で添加
による触媒効果が明確でないような添加量にて添加する
ことにより、得られるポリエステルの明るさや熱安定性
の低下を起こすことなく着色をさらに効果的に消去でき
る。なお本発明におけるコバルト化合物は、着色の消去
が目的であり、添加時期は重合のどの段階であってもよ
く、重合反応終了後であってもかまわない。
【0045】添加可能なコバルト化合物としては特に限
定はないが、具体的には例えば、酢酸コバルト、硝酸コ
バルト、塩化コバルト、コバルトアセチルアセトネー
ト、ナフテン酸コバルトおよびそれらの水和物等が挙げ
られる。その中でも特に酢酸コバルト四水塩が好まし
い。
【0046】本発明に言うポリエステルとは、ジカルボ
ン酸を含む多価カルボン酸およびこれらのエステル形成
性誘導体から選ばれる一種または二種以上とグリコール
を含む多価アルコールから選ばれる一種または二種以上
とから成るもの、またはヒドロキシカルボン酸およびこ
れらのエステル形成性誘導体から成るもの、または環状
エステルから成るものをいう。
【0047】ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベ
リン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン
酸、ドデカンジカルボン酸、 テトラデカンジカルボン
酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3ーシクロブタン
ジカルボン酸、1,3ーシクロペンタンジカルボン酸、
1,2ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,3ーシクロヘ
キサンジカルボン酸、1,4ーシクロヘキサンジカルボン
酸、2,5ーノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸な
どに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらの
エステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコ
ン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸または
これらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸、5ー(アルカリ金属)スルホ
イソフタル酸、ジフェニン酸、1,3ーナフタレンジカ
ルボン酸、1,4ーナフタレンジカルボン酸、1,5ーナ
フタレンジカルボン酸、2,6ーナフタレンジカルボン
酸、2,7ーナフタレンジカルボン酸、4、4’ービフ
ェニルジカルボン酸、4、4’ービフェニルスルホンジ
カルボン酸、4、4’ービフェニルエーテルジカルボン
酸、1,2ービス(フェノキシ)エタンーp,p’ージカ
ルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸など
に例示される芳香族ジカルボン酸またはこれらのエステ
ル形成性誘導体が挙げられ、これらのジカルボン酸のう
ちテレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸とくに
2,6ーナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0048】これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸
として、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン
酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメ
リット酸、トリメシン酸、3、4、3’、4’ービフェ
ニルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性
誘導体などが挙げられる。
【0049】グリコールとしてはエチレングリコール、
1、2ープロピレングリコール、1、3ープロピレング
リコール、ジエチレングリ コール、トリエチレングリ
コール、1、2ーブチレングリコール、1、3ーブチレ
ングリコール、2、3ーブチレングリコール、1,4ー
ブチレングリコール、1、5ーペンタンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、1,6ーヘキサンジオー ル、1,
2ーシクロヘキサンジオール、1,3ーシクロヘキサン
ジオール、1,4ーシクロヘキサンジオール、1,2ーシ
クロヘキサンジメタノール、1,3ーシクロヘキサンジ
メタノール、1,4ーシクロヘキサンジメタノール、1,
4ーシクロヘキサンジエタノール、1,10ーデカメチ
レングリコール、1、12ードデカンジオール、ポリエ
チレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリ
テトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリ
コール、ヒドロキノン、4, 4’ージヒドロキシビスフ
ェノール、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシ)ベ
ン ゼン、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシフェニ
ル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテ
ル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス
(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1、2ービス(p
−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビ
スフェノールC、2,5ーナフタレンジオール、これら
のグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコー
ル、などに例示される芳香族グリコールが挙げられ、こ
れらのグリコールのうちエチレングリコールおよび1,
4ーブチレングリコールが好ましい。
【0050】これらグリコール以外の多価アルコールと
して、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリ
セロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。
【0051】ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、ク
エン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3ーヒド
ロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、pー( 2ーヒ
ドロキシエトキシ)安息香酸、4ーヒドロキシシクロヘ
キサンカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導
体などが挙げられる。
【0052】環状エステルとしては、ε-カプロラクト
ン、β-プロピオラクトン、β-メチル-β-プロピオラク
トン、δ-バレロラクトン、グリコリド、ラクチドなど
が挙げられる。
【0053】また、本発明のポリエステルには公知のリ
ン系化合物を共重合成分として含むことができる。リン
系化合物としては二官能性リン系化合物が好ましく、例
えば、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン
酸ジフェニル、(2-カルボキシルエチル)メチルホスフ
ィン酸、(2-カルボキシルエチル)フェニルホスフィン
酸、(2-メトキシカルボキシルエチル)フェニルホスフ
ィン酸メチル、(4-メトキシカルボニルフェニル)フェ
ニルホスフィン酸メチル、[2-(β-ヒドロキシエトキシ
カルボニル)エチル]メチルホスフィン酸のエチレング
リコールエステル、(1,2-ジカルボキシエチル)ジメチ
ルホスフィンオキサイド、9,10-ジヒドロ-10-オキサ-
(2,3-カルボキシプロピル)-10-ホスファフェナンスレ
ン-10-オキサイドなどが挙げられる。これらのリン系化
合物を共重合成分として含むことで、得られるポリエス
テルの難燃性等を向上させることが可能である。
【0054】多価カルボン酸もしくはヒドロキシカルボ
ン酸のエステル形成性誘導体としては、これらのアルキ
ルエステル、酸クロライド、酸無水物などが挙げられ
る。
【0055】本発明で用いられるポリエステルは主たる
酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体
もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形
成性誘導体であり、主たるグリコール成分がアルキレン
グリコールであるポリエステルが好ましい。主たる酸成
分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体もし
くはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性
誘導体であるポリエステルとは、全酸成分に対してテレ
フタル酸またはそのエステル形成性誘導体とナフタレン
ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を合計し
て70モル%以上含有するポリエステルであることが好ま
しく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステ
ルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリ
エステルである。主たるグリコール成分がアルキレング
リコールであるポリエステルとは、全グリコール成分に
対してアルキレングリコールを合計して70モル%以上含
有するポリエステルであることが好ましく、より好まし
くは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに
好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。
ここで言うアルキレングリコールは、分子鎖中に置換基
や脂環構造を含んでいても良い。
【0056】本発明で用いられるナフタレンジカルボン
酸またはそのエステル形成性誘導体としては、1,3ー
ナフタレンジカルボン酸、1,4ーナフタレンジカルボ
ン酸、1,5ーナフタレンジカルボン酸、2,6ーナフタ
レンジカルボン酸、2,7ーナフタレンジカルボン酸、
またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。
【0057】本発明で用いられるアルキレングリコール
としては、エチレングリコール、1、2ープロピレング
リコール、1、3ープロピレングリコール、1、2ーブ
チレングリコール、1、3ーブチレングリコール、2、
3ーブチレングリコール、1,4ーブチレングリコー
ル、1、5ーペンタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,6ーヘキサンジオー ル、1,2ーシクロヘキサ
ンジオール、1,3ーシクロヘキサンジオール、1,4ー
シクロヘキサンジオール、1,2ーシクロヘキサンジメ
タノール、1,3ーシクロヘキサンジメタノール、1,4
ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサ
ンジエタノール、1,10ーデカメチレングリコール、
1、12ードデカンジオール等があげられる。これらは
同時に2種以上を使用しても良い。
【0058】本発明のポリエステルには、テレフタル酸
またはそのエステル形成性誘導体、ナフタレンジカルボ
ン酸またはそのエステル形成性誘導体以外の酸成分とし
て蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、 テ
トラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、
1,3ーシクロブタンジカルボン酸、1,3ーシクロペン
タンジカルボン酸、1,2ーシクロヘキサンジカルボン
酸、1,3ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,4ーシク
ロヘキサンジカルボン酸、2,5ーノルボルナンジカル
ボン酸、ダイマー酸などに例示される飽和脂肪族ジカル
ボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、フマル
酸、マレイン酸、イタコン酸などに例示される不飽和脂
肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導
体、オルソフタル酸、イソフタル酸、5ー(アルカリ金
属)スルホイソフタル酸、ジフェニン酸、4、4’ービ
フェニルジカルボン酸、4、4’ービフェニルスルホン
ジカルボン酸、4、4’ービフェニルエーテルジカルボ
ン酸、1,2ービス(フェノキシ)エタンーp,p’ージ
カルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸な
どに例示される芳香族ジカルボン酸またはこれらのエス
テル形成性誘導体、エタントリカルボン酸、プロパント
リカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット
酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3、4、3’、
4’ービフェニルテトラカルボン酸などに例示される多
価カルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体など
を共重合成分として含むことができる。また、乳酸、ク
エン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3ーヒド
ロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、pー( 2ーヒ
ドロキシエトキシ)安息香酸、4ーヒドロキシシクロヘ
キサンカルボン酸などに例示されるヒドロキシカルボン
酸またはそのエステル形成性誘導体を含むこともでき
る。また、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、
β-メチル-β-プロピオラクトン、δ-バレロラクトン、
グリコリド、ラクチドなどに例示される環状エステルを
含むこともできる。
【0059】本発明のポリエステルには、アルキレング
リコール以外のグリコール成分として、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレ
ングリコールなどに例示される脂肪族グリコール、ヒド
ロキノン、4, 4’ージヒドロキシビスフェノール、
1,4ービス(βーヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,
4ービス(βーヒドロキシエトキシフェニル)スルホ
ン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス
(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒド
ロキシフェニル)メタン、1、2ービス(p−ヒドロキ
シフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノー
ルC、2,5ーナフタレンジオール、これらのグリコー
ルにエチレンオキシドが付加したグリコール、などに例
示される芳香族グリコール、トリメチロールメタン、ト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオールな
どに例示される多価アルコールなどを共重合成分として
含むことができる。
【0060】また、本発明のポリエステルには公知のリ
ン系化合物を共重合成分として含むことができる。リン
系化合物としては二官能性リン系化合物が好ましく、例
えば、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン
酸ジフェニル、(2-カルボキシルエチル)メチルホスフ
ィン酸、(2-カルボキシルエチル)フェニルホスフィン
酸、(2-メトキシカルボキシルエチル)フェニルホスフ
ィン酸メチル、(4-メトキシカルボニルフェニル)フェ
ニルホスフィン酸メチル、[2-(β-ヒドロキシエトキシ
カルボニル)エチル]メチルホスフィン酸のエチレング
リコールエステル、(1,2-ジカルボキシエチル)ジメチ
ルホスフィンオキサイド、9,10-ジヒドロ-10-オキサ-
(2,3-カルボキシプロピル)-10-ホスファフェナンスレ
ン-10-オキサイドなどが挙げられる。これらのリン系化
合物を共重合成分として含むことで、得られるポリエス
テルの難燃性等を向上させることが可能である。
【0061】本発明のポリエステルとしてはポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
プロピレンテレフタレート、ポリ(1,4ーシクロヘキサ
ンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレ
ート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフ
タレートおよびこれらの共重合体が好ましく、これらの
うちポリエチレンテレフタレートおよびこの共重合体が
特に好ましい。
【0062】本発明のポリエステル中にはフェノール
系、芳香族アミン系等の酸化防止剤を含むことができ、
これらを一種もしくは二種以上含有することによって、
例えばポリエステルの熱安定性を高めることなどができ
る。
【0063】本発明のポリエステル中には、青み付け
剤、有機系、無機系、あるいは有機金属系の染料、顔
料、ならびに蛍光増白剤などを含むことができ、これら
を一種もしくは二種以上含有することによって、ポリエ
ステルの黄み等の着色を抑えることができる。
【0064】本発明のポリエステル中には他の任意の重
合体や安定剤、酸化防止剤、制電剤、消泡剤、染色性改
良剤、染料、顔料、艶消剤、その他の添加剤が含有され
ていてもよい。
【0065】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが本発
明はもとよりこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0066】本発明の実施例で用いた評価方法について
以下に示す。
【0067】(1)ポリエステルの固有粘度(IV) ポリエステル0.1gをフェノール / 1,1,2,2- テトラクロ
ロエタンの重量比で6/4混合溶媒25mlに溶解し、
ウベローデ粘度計を用いて温度30℃で測定した。
【0068】(2)ポリマー中の金属およびリンの含有
量 リン、アンチモンおよびゲルマニウムの含有量は蛍光X
線法で測定した。測定試料ポリエステルを写真用フェロ
タイプ板上に置いた高さ5mm、直径40mmnステン
レス製リング内に投入し、オーブン内で300℃、10
分間加熱し溶融する。これを取り出し、冷却後リングか
ら成形サンプルを取り出し、平滑な面について測定し
た。また別途、化学分析法で含有量が定められたポリエ
ステル数点を上記の方法で成形し、蛍光X線強度を測定
し、化学分析法で求められた値と蛍光X線強度の検量線
を作成した。測定試料ポリエステルの蛍光X線強度デー
タから検量線を基に個々のサンプル中のリン、アンチモ
ン、およびゲルマニウム含有量を算出した。その他の金
属の含有量の測定は以下の方法で行った。白金るつぼに
ポリエステル1.0gを秤取し炭化したのち電気炉で5
50℃で灰化し、室温まで冷却後灰分を6N塩酸(チタ
ンの場合はフッ酸/塩酸混合物)に溶解し、蒸発乾固後
1.2N塩酸に溶解し、高周波プラズマ発光分析(島津
製作所製ICPS-2000 )および原子吸光分析(島津製作所
製AA-640-12 )に供するサンプルとした。また別途、測
定金属毎に市販原子吸光用標準溶液を用いて0.01〜
30mg/lの濃度範囲の検量線作成用溶液をつくり、
高周波プラズマ発光分析(Al,Ca,Mg,Co )および原子吸
光分析(Na,Li,K )を行い、検量線を作成し、この検量
線に基づき個々のサンプルの分析データからポリエステ
ル中の金属含有量を算出した。
【0069】(3)紡糸時の濾圧上昇および延伸時の糸
切れの評価 溶融重合で得られたPETレジンチップを乾燥後、溶融
押出機に供給し、フィルターとして20μmのものを使
用し、孔径0.14mmΦのオリフィスを108個有す
る紡糸口金から290℃で吐出させ、常法に従って冷
却、オイリング後、1720m/分で引き取った。引き
続き、予熱ローラー80℃、セット温度150℃で2.
127倍に延伸して47デシテックス、108フィラメ
ントのポリエステル延伸糸を得た。
【0070】紡糸時の濾圧上昇の程度により、以下のよ
うに評価した。 ○:濾圧上昇がほとんど認められない △:濾圧上昇が少し認められる ×:顕著に濾圧が上昇する
【0071】延伸時の糸切れの頻度により、以下のよう
に評価した。 ○:糸切れがほとんど起こらない △:糸切れが少し起こる ×:糸切れが多発する
【0072】(実施例1)高純度テレフタル酸とエチレ
ングリコールから常法に従って製造したビス(2−ヒド
ロキシエチル)テレフタレートおよびオリゴマーの混合
物に対し、重縮合触媒としてアルミニウムトリスアセチ
ルアセトネートの2.5g/lのエチレングリコール溶
液と酢酸リチウム二水和物50g/lのエチレングリコ
ール溶液を加えた。これらの化合物は最終的に得られる
ポリマー中の含有量として表1に示す量となるように添
加した。ただし、含有量はポリマー中の酸成分に対する
金属原子としてのモル%を示す。添加した触媒中の金属
成分は重合中、成形中に揮散することが少ないので分析
結果で得られた数値が仕込み量とほぼ同様であるが、リ
ン成分は重合中、成形中に揮散するので分析結果より多
めに添加した。また添加量は、重合に用いた反応器の特
性や重合条件に応じて適切な量を選んだ。上記溶液の添
加後、窒素雰囲気下常圧にて245℃で10分間撹拌し
た。次いで50分間を要して275℃まで昇温しつつ反
応系の圧力を徐々に下げて0.1Torrとしてさらに
275℃、0.1Torrで重縮合反応を行った。ポリ
エチレンテレフタレートのIVが0.65dl/gに到
達するまでに要した重合時間を表1に示す。また、上記
の重縮合にて得られたIVが0.65dl/gのポリエ
チレンテレフタレートを常法に従ってチップ化した。す
なわち、溶融重合で所定の撹拌トルクに到達した時点で
オートクレーブに窒素を導入し常圧に戻し重縮合反応を
停止させた後、約0.1MPaの加圧下、溶融ポリマーを連続
的に反応缶下部の吐出ノズルより冷水中にストランド状
に押し出して急冷し、カッターによって、長さ約3m
m、直径約2mmのシリンダー形状のレジンチップを得
た。冷水中での保持時間は約20秒間であった。このP
ETレジンチップを用いて紡糸時の濾圧上昇および延伸
時の糸切れの評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0073】(実施例2〜6、比較例1〜2)触媒を変
更したこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルを
重合した。結果を表1に示す。実施例6においては、重
縮合触媒として酢酸マグネシウムと酢酸アルミニウムを
添加したことに加えて、フェニルホスホン酸ジメチルを
ポリマー中の酸成分に対して0.01mol%添加した。
【0074】
【表1】
【0075】上記した実施例および比較例から明らかな
ように、ポリエステル中の金属の含有量が本発明の特許
請求の範囲にあるものは、紡糸および延伸の操業性に優
れるのに対して、本発明の特許請求の範囲外のものは、
紡糸時に濾圧上昇が顕著に起こったり、延伸時に糸切れ
が多発したりし、操業性に劣る。
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、アンチモンおよびゲル
マニウム以外の金属成分を触媒の主たる金属成分とする
重合触媒を用いて製造されたポリエステルであって、か
つ成形時のフィルター詰まり等が改善されたポリエステ
ルおよびその製造方法が提供される。本発明のポリエス
テルは、衣料用繊維、産業資材用繊維、各種フィルム、
シート、ボトルやエンジニアリングプラスチックなどの
各種成形物、および塗料や接着剤などへの応用が可能で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塚本 健一 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4J029 AA03 AB05 AC01 BA03 CB06A HA01 HB01 JA011 JA091 JA161 JA201 JA251 JA261 JB171 JC371 JC431 JC531 JF011 JF111 JF221 JF321 JF361 JF471 KB05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカリ金属およびそれらの化合物ならび
    にアルカリ土類金属およびそれらの化合物からなる群よ
    り選ばれる少なくとも一種と、アルミニウムおよびその
    化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有
    し、かつそれらを下記(1)および(2)式を満足する量含有
    することを特徴とするポリエステル。 (1) M<0.05 (2) M/Al≦20 (式(1),(2)中、Mはポリエステル中の酸成分に対するア
    ルカリ金属原子とアルカリ土類金属原子の合計のモル%
    を示し、Alはポリエステル中の酸成分に対するアルミニ
    ウム原子のモル%を示す。)
  2. 【請求項2】アルミニウムおよびその化合物の含有量が
    下記(3)式を満足することを特徴とする請求項1記載の
    ポリエステル。 (3)0.001≦Al≦0.05 (式(3)中、Alはポリエステル中の酸成分に対するアル
    ミニウム原子のモル%を示す。)
  3. 【請求項3】アルカリ金属原子とアルカリ土類金属原子
    を合計で25ppm以下の量含有することを特徴とする
    請求項1または2のいずれかに記載のポリエステル。
  4. 【請求項4】アルカリ土類金属が含有されていないこと
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエス
    テル。
  5. 【請求項5】アンチモンまたはその化合物を含有し、か
    つアンチモン原子として50ppm以下の量含有するこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエ
    ステル。
  6. 【請求項6】ゲルマニウムまたはその化合物を含有し、
    かつゲルマニウム原子として20ppm以下の量含有す
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポ
    リエステル。
  7. 【請求項7】チタンまたはその化合物を含有し、かつチ
    タン原子として5ppm以下の量含有することを特徴と
    する請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル。
  8. 【請求項8】リン化合物を含有することを特徴とする請
    求項1〜7のいずれかに記載のポリエステル。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載の金属およ
    び/または化合物を触媒として用いて製造された当該請
    求項に記載のポリエステル。
  10. 【請求項10】請求項1〜8のいずれかに記載の金属お
    よび/または化合物を触媒として用いることを特徴とす
    る当該請求項に記載のポリエステルの製造方法。
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