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JP2003166656A - ディスクバルブ - Google Patents

ディスクバルブ

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Publication number
JP2003166656A
JP2003166656A JP2001364771A JP2001364771A JP2003166656A JP 2003166656 A JP2003166656 A JP 2003166656A JP 2001364771 A JP2001364771 A JP 2001364771A JP 2001364771 A JP2001364771 A JP 2001364771A JP 2003166656 A JP2003166656 A JP 2003166656A
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JP
Japan
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valve
diamond
valve body
hard carbon
carbon film
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Granted
Application number
JP2001364771A
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English (en)
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Inventor
Yasushi Ikeda
泰志 池田
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】互いに摺動する弁体の摺動面が平坦度1μm以
下で、かつ算術平均粗さ(Ra)で0.2μmの平滑面
を備えたディスクバルブにおいて、スティックスリップ
現象や異音の発生がなく、長期間にわたって滑らかな摺
動特性が得られるディスクバルブを提供する。 【解決手段】互いに摺動する2枚の弁体20、30のう
ち、一方の弁体20の摺接面21にダイヤモンド状硬質
炭素膜24を被着するとともに、他方の弁体30を、ビ
ッカース硬度(Hv1.0)が5〜12GPaの範囲にあ
るセラミック焼結体により形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シングルレバー混
合栓、サーモスタット混合栓をはじめとする水栓や湯水
混合栓、医療用サンプリングバルブ、薬液用バルブ等を
構成する可動弁体と固定弁体とからなるディスクバルブ
に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
水栓や湯水混合栓、あるいは医療用サンプリングバルブ
や薬液用バルブを構成するディスクバルブは、2枚の円
盤状をした弁体を互いに摺接させた状態で相対摺動させ
ることによって、各弁体に形成した流体通路の開閉を行
うようになっている。そして、この種のディスクバルブ
は互いが絶えず摺り合わされた状態で使用されることか
ら、ディスクバルブを構成する可動弁体や固定弁体は耐
摩耗性及び耐食性に優れるアルミナ質焼結体により形成
したものが用いられていた。
【0003】また、上記ディスクバルブは、弁体同士の
操作力を低減するために弁体間にグリース等の潤滑剤を
介在させて使用されていた。
【0004】ところが、潤滑剤を使用したディスクバル
ブでは、弁体同士の摺動により比較的短い期間で潤滑剤
が流出して無潤滑状態となるため、摺接面間で引っかか
りや異音を生じるとともに、徐々にレバーの操作力が上
昇して、ついには互いの弁体同士が貼り付いて動かなく
なるリンキング(凝着)を生じるといった課題があっ
た。しかも、潤滑剤の種類によっては長期使用中に劣化
し、ゴミ等の付着が発生して摺動特性を悪化させる恐れ
があるとともに、吐水時に潤滑剤が流出すると人体に害
を与える恐れもあった。
【0005】そこで、近年、無潤滑状態でも摺動させる
ことが可能なディスクバルブとして、互いに摺動する弁
体のうち、少なくともいずれか一方の弁体の摺動面に自
己潤滑性を有するとともに、耐摩耗性に優れたダイヤモ
ンド状硬質炭素膜を被着したディスクバルブが提案され
ている(特開平3−223190号公報)。
【0006】しかしながら、ダイヤモンド状硬質炭素膜
は、弁体を形成するセラミック焼結体との密着性がそれ
ほど良くないために、弁体の表面を若干粗くすることに
よりアンカー効果でもって弁体との密着力を向上させる
ようになっていた。
【0007】ところが、水栓や湯水混合栓等のように浄
水器を組み付けたものにあっては、水栓や湯水混合栓内
部の水圧が上昇して摺接面間に若干の隙間ができ、水漏
れを生じる恐れがあるために、弁体の摺接面をより平滑
に仕上げるとともに、弁体同士の押圧力を高める必要が
あるが、ダイヤモンド状硬質炭素膜の表面を平滑に仕上
げるためには弁体の表面も平滑に仕上げなければなら
ず、その結果、ダイヤモンド状硬質炭素膜の密着力が得
られず、剥離するといった問題があった。
【0008】そこで、平滑に仕上げた弁体表面にダイヤ
モンド状硬質炭素膜を形成するために、特開平5−79
069号公報、特開平6−227882号公報、特開平
9−292039号公報、特開平10−89506号公
報では、弁体とダイヤモンド状硬質炭素膜との間に中間
層を介在させて接合することにより密着性を高めるよう
にしたディスクバルブが提案されている。
【0009】しかしながら、互いに摺動する弁体の摺動
面における表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で0.2μ
m未満の平滑面としてダイヤモンド状硬質炭素膜とアル
ミナ質焼結体を摺動させると、スティックスリップ現象
と呼ばれる動作時の微妙な引っかかりや、操作時にキュ
ッ、キュッといった異音が発生するといった課題があっ
た。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を鑑
み、本発明のディスクバルブは、互いに摺動する2枚の
弁体のうち、一方の弁体の摺接面にダイヤモンド状硬質
炭素膜を被着するとともに、他方の弁体を、ビッカース
硬度(Hv1.0)が5〜12GPaであるセラミック焼
結体により形成したことを特徴とする。
【0011】上記セラミック焼結体としては、その主成
分が、MgO、SiO2、Al23のうち、二つ以上の
成分からなる複合酸化物からなるものを用いることが良
く、好ましくは、上記複合酸化物が、ステアタイト(M
gO・SiO2)、コージライト(2MgO・2Al2
3・5SiO2)、ムライト(3Al23・2SiO2
のいずれか一種からなるものを用いることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0013】図1は本発明のディスクバルブを備えたフ
ォーセットバルブを示す図で、(A)はバルブが閉じた
状態を示す斜視図であり、(B)はバルブを開いた状態
を示す斜視図である。また、図2は本発明のディスクバ
ルブのみを示す斜視図である。
【0014】可動弁体20は上下面を貫通する流体通路
22を備えた円盤状をしたもので、アルミナ質焼結体に
より形成するとともに、その表面には中間層23を介し
てダイヤモンド状硬質炭素膜24を被着して摺接面21
を形成してある。
【0015】また、固定弁体30は上下面を貫通する流
体通路32を備え、可動弁体20より大きな円盤状をし
たもので、ビッカース硬度(Hv1.0)が5〜12GP
aのセラミック焼結体により形成してあり、一方の主面
を摺接面31としてある。なお、ビッカース硬度(Hv
1.0)はJIS R 1610に準拠し、荷重1000g
にて測定した値である。
【0016】また、各弁体20,30の摺接面21、3
1は、水漏れ防止するためにその平面度を1μm以下と
するとともに、表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で0.
2μm以下としてある。
【0017】そして、これらの可動弁体20と固定弁体
30とを無潤滑状態で互いの摺接面21、31同士を摺
接させ、レバー40を動かすことによって、可動弁体2
0を矢印の方向に摺動させることにより、互いの弁体2
0、30に備える流体通路22、32の開閉を行い、供
給流体の流量調整を行うようになっている。
【0018】この時、可動弁体20の摺接面21には自
己潤滑性に優れるとともに、高硬度を有するダイヤモン
ド状硬質炭素膜24を被着してあることから、無潤滑状
態にも関わらず固定弁体30を大きく摩耗させることな
くレバー操作力を低減して滑らかに摺動させることがで
きる。
【0019】また、双方の摺接面21、31は、算術平
均粗さ(Ra)で0.2μm以下の平滑面としてあるも
のの、ダイヤモンド状硬質炭素膜24と摺動する固定弁
体30をビッカース硬度(Hv1.0)が5〜12GPa
と比較的小さな硬度を有するセラミック焼結体により形
成してあることから、ダイヤモンド状硬質炭素膜24と
の摺動によって固定弁体30の摺接面31を徐々に摩耗
させることができるため、摺動界面の剪断が容易で、か
つ摩擦係数を低減させることができるため、スティック
スリップ現象や異音の発生を効果的に防止し、長期間に
わたって滑らかに摺動させることができる。
【0020】即ち、双方の弁体20、30の摺接面2
1、31を算術平均粗さ(Ra)で0.2μm以下、好
ましくは0.1μm以下とし、かつその平面度を1μm
以下としたのは、双方の弁体20,30の摺接面21,
31における表面状態が上述した範囲を超えて粗くなる
と、特に浄水器を組み付けたものにあっては、弁体2
0、30間に大きな水圧が加わり、水漏れを生じ恐れが
あるからである。
【0021】また、固定弁体30に、ビッカース硬度
(Hv1.0)が5〜12GPaのセラミック焼結体を用
いたのは、ビッカース硬度(Hv1.0)が12GPaを
超えると、ダイヤモンド状硬質炭素膜24と硬質材同士
の摺動となることから、スティックスリップ現象や異音
の発生を抑える効果が小さく、逆に、ビッカース硬度
(Hv1.0)が5GPa未満となると、セラミック焼結
体の摩耗が早く、実用に供する程度の寿命が得られなく
なるからである。なお、好ましくはビッカース硬度(H
v1.0)が5〜10GPaの範囲にあるセラミック焼結
体を用いることが良い。
【0022】ところで、このようなビッカース硬度(H
v1.0)が5〜12GPaの範囲にあるセラミック焼結
体としては、その主成分が、MgO、SiO2、Al2
3のうち二つ以上の成分からなる複合酸化物よりなるも
のを用いることが良く、その中でもステアタイト(Mg
O・SiO2)、コージライト(2MgO・2Al2 3
・5SiO2)、ムライト(3Al23・2SiO2)、
フォルステライト(2MgO・SiO2)を挙げること
ができる。
【0023】このように、主成分が、MgO、Si
2、Al23のうち二つ以上の成分からなる複合酸化
物よりなるものは、アルミナを主成分とするものと比較
して摺接面に存在する硬質のAl23粒子の量が少ない
ため、硬質のダイヤモンド状硬質炭素膜24との摺動に
よって摩耗したとしても均一に摩耗させることができる
とともに、相手材との引っかかりを少なくすることがで
きるため、異音の発生やスティックスリップ現象を効果
的に防止することができる。
【0024】特に、複合酸化物としてステアタイト(M
gO・SiO2)を用いたものにおいては、その構成成
分が、MgOとSiO2からなり、比較的硬い結晶であ
るAl23粒子が介在しないので、より均一に摩耗させ
ることができるため、異音の発生やスティックスリップ
現象を効果的に防止することができるとともに、お湯等
に曝されても特性劣化等を生じることがなく、ダイヤモ
ンド状硬質炭素膜24と摺動する相手材として好適であ
る。
【0025】なお、固定弁体30を形成するビッカース
硬度(Hv1.0)が5〜12GPaのセラミック焼結体
として、ステアタイト(MgO・SiO2)を用いる場
合、滑石や凍石(タルク)を主原料とし、これにカオリ
ン、ロウ石などを5〜15%程度加えた粉末を用いる
か、MgSiO3やMg2SiO4、MgO・SiO2で表
される複合酸化物からなるステアタイト粉末を用いて所
定形状に成形した後、1200〜1450℃の温度範囲
の大気雰囲気中にて焼成したものを用いれば良い。
【0026】また、コージライト(2MgO・2Al2
3・5SiO2)を用いる場合、2MgO・2Al23
・5SiO2で表される複合酸化物からなるコージライ
ト粉末や、粘土、長石などを添加して、所定形状に成形
した後、1200〜1450℃の温度範囲の大気雰囲気
中で焼成したもの、あるいは、平均粒径が10μm以下
のコージライト粉末を10〜50重量%、希土類元素酸
化物粉末を0.5〜10重量%、残部をα型含有率が8
0%以上の窒化珪素粉末となるように秤量混合したもの
を所定形状に成形した後、真空もしくはAr、N2など
の不活性ガス雰囲気で1300〜1700℃、好ましく
は1400〜1600℃の温度範囲で焼成したものを用
いればよい。
【0027】さらに、ムライト(3Al23・2SiO
2)を用いる場合、純粋なカオリン素地またはケイ線石
族鉱物を主原料とするか、3Al23・2SiO2で表
される複合酸化物からなるムライト粉末を用いて、所望
の形状に成形した後、1300〜1650℃の温度範囲
の大気雰囲気中で焼成したものを用いれば良い。
【0028】また、フォルステライト(2MgO・Si
2)を用いる場合、凍石(タルク)とMgOあるい
は、純粋なMgOとSiO2から合成するか、MgSi
3やMg2SiO4、2MgO・SiO2で表される複合
酸化物からなるフォルステライト粉末を用いて、所望の
形状に成形した後、1200〜1450℃の温度範囲の
大気雰囲気中で焼成したものを用いれば良い。
【0029】一方、可動弁体20に形成するダイヤモン
ド状硬質炭素膜24は、実質的に炭素からなり、若干の
結晶質を含んでいても良いが基本的に非晶質構造をした
もので、規則的な結晶構造を持つダイヤモンド、立方晶
窒化硼素(cBN)、六方晶窒化硼素(hBN)とは異
なる組成のものである。
【0030】このダイヤモンド状硬質炭素膜24をグラ
ファイトやダイヤモンドの同定によく用いられるラマン
分光分析装置を使って調べると、ダイヤモンドのピーク
位置である1333cm-1と、グラファイトのピーク位
置である1550cm-1の近傍にそれぞれピークを有す
るものである。なお、本発明のディスクバルブに用いる
ダイヤモンド状硬質炭素膜24は、ピークがダイヤモン
ドあるいはグラファイトのいずれか一方に偏っていても
良く、好ましくはダイヤモンドのピーク位置に偏ってい
る方が良い。
【0031】このようなダイヤモンド状硬質炭素膜24
は、ビッカース硬度(Hv1.0)が20〜50GPaと
非常に硬い硬度を有しているため、固定弁体30との摺
動においても殆ど摩耗することがない。
【0032】さらに、ダイヤモンド状硬質炭素膜24中
に、ジルコニウム、タングステン、チタンのうち少なく
とも一種以上の金属と珪素を含有させても構わない。こ
のようにジルコニウム、タングステン、チタンのうち少
なくとも一種以上の金属と珪素を含有させることによ
り、膜内部における残留応力を低減して結合力を高める
ことができる。その為、可動弁体20との密着力をより
強固なものとすることができるとともに、ビッカース硬
度(Hv1.0)で55GPa以上の高硬度を持った膜と
することができる。なお、ジルコニウム、タングステ
ン、チタンのうち少なくとも一種以上の金属と珪素を含
有させたダイヤモンド状硬質炭素膜24は、これらの成
分を含まないダイヤモンド状硬質炭素膜24とは異な
り、ラマン分光分析装置における測定では1480cm
-1の近傍に一つにピークを有するものである。
【0033】また、可動弁体20とダイヤモンド状硬質
炭素膜24との密着性を高めるために使用する中間層2
3としては、両者の密着性を高めることができるもので
はあれば特に限定するものではなく、例えば、可動弁体
20側からTi膜とSi膜をこの順序で積層した中間層
23を用いれば良い。
【0034】なお、可動弁体20にダイヤモンド状硬質
炭素膜24と中間層23を被着する手段としては、スパ
ッタリング法、イオンプレーティング法、PVD法、C
VD法等の薄膜形成手段を用いることができ、例えば低
温で成膜が可能なプラズマCVD法により被着するに
は、まず、チャンバー室内に各被膜を被着するためのソ
ースガスとキャリアガスを供給し、可動弁体20を配置
したカソード(陽極)電極とアノード(陰極)電極との
間に電圧を印加することでカソード(陽極)電極から引
き出された電子をソースガス及びキャリアガスと衝突さ
せてプラズマを発生させ、プラズマ中のソースガス成分
を可動弁体20の表面に堆積させれば良い。そして、チ
ャンバー室に供給するソースガスとキャリアガスを置き
換えて可動弁体20の表面側からTi膜、Si膜、ダイ
ヤモンド状硬質炭素膜24といった順序で被着すること
により成膜することができる。
【0035】また、ダイヤモンド状硬質炭素膜24及び
中間層23を被着する可動弁体20はセラミック焼結体
により形成することが好ましい。即ち、可動弁体20を
樹脂で形成したものではダイヤモンド状硬質炭素膜24
を被着することができず、また、金属で形成したもので
はセラミック焼結体に比べ硬度が小さいことから、固定
弁体30との押圧力により変形し、その表面に被着する
ダイヤモンド状硬質炭素膜24を破損させてしまう恐れ
があるからである。
【0036】これに対し、セラミック焼結体は高硬度を
有することから固定弁体30との押圧力により変形する
ことがないため、その表面に被着するダイヤモンド状硬
質炭素膜24を破損させることがなく、また、高い加工
精度が得られることから、可動弁体20の表面を滑らか
な面に仕上げ、その表面に被着するダイヤモンド状硬質
炭素膜24の表面を可動弁体20の表面に倣った平滑か
つ平坦な面とすることができる。
【0037】なお、可動弁体20を形成するセラミック
焼結体としては、アルミナを主成分とするセラミック焼
結体により構成するのが好ましい。アルミナ質焼結体
は、ヤング率が250〜400GPaで、かつビッカー
ス硬度(Hv1.0)が12GPaより大きな値を有する
ため、固定弁体30との押圧力を大きくしても摺接面2
1を変形させることがなく、また、耐薬品性にも優れる
ことから長期間に渡って使用可能なフォーセットバルブ
11を提供することができる。
【0038】可動弁体20を構成するセラミック焼結体
として、アルミナ質焼結体を用いる場合、主原料のAl
23に対し、SiO2、MgO、CaOのうち1種以上
の焼結助剤を添加して1500〜1700℃の温度で焼
成すれば良い。
【0039】以上の本発明の実施形態では、固定弁体3
0を、ビッカース硬度(Hv1.0)が5〜10GPaの
範囲にあるセラミック焼結体により形成し、可動弁体2
0にはダイヤモンド状硬質炭素膜24を被着した2枚の
弁体20、30として説明したが、固定弁体30と可動
弁体20の材質を逆にして用いたものであっても同様の
効果を得ることができる。
【0040】また、本発明の実施形態では、フォーセッ
トバルブ11を例にとって説明したが、医療用サンプリ
ングバルブ、薬液用バルブに使用できることは勿論のこ
と、さらにはボールバルブやその他の各種弁部材、ある
いはメカニカルシール、軸受けなど様々な摺動部材にも
適用できることは言うまでもない。
【0041】
【実施例】以下、本発明の実施例を示す。
【0042】図1に示すフォーセットバルブ11を試作
し、固定弁体30の材質を変化させたときの摺動特性に
ついて調べる実験を行った。
【0043】本発明のフォーセットバルブ11を構成す
る可動弁体20にはAl23純度が96%のアルミナ質
焼結体を用い、その表面にプラズマCVD法によってT
i膜とSi膜をこの順序で積層した中間層23を介して
ダイヤモンド状硬質炭素膜24を被着したものを使用し
た。なお、可動弁体20は、外径25mm、厚み5mm
の円板状体とした。
【0044】また、固定弁体30には、ステアタイト質
焼結体、コージライト質焼結体、ムライト質焼結体、フ
ォルステライト質焼結体、Al23純度が96%のアル
ミナ質焼結体、及びアルミナ質焼結体上にダイヤモンド
状硬質炭素膜24(DLC)を被着したもの、ポリフェ
ニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテル
ケトン(PEEK)の8種類を用意し、それぞれ外径3
2mm、厚み5mmの円盤状体とした。
【0045】そして、双方の弁体20,30の摺接面2
1,31に研磨加工を施して平坦度を1μm以下、表面
粗さを算術平均粗さ(Ra)で0.2μm以下とした。
【0046】このようにして形成した双方の弁体20、
30を、互いの摺接面21、31が接するようにケーシ
ングによって軸力30kgfの力で押さえつけながらフ
ォーセット11(給水栓)にセットし、80℃の温水を
1kg/cm2の圧力で注入した状態のもとで、操作レ
バー40を操作するのに必要なレバー押し付け力をプッ
シュプルゲージで測定し、その値を操作レバー40の操
作力とした。
【0047】ただし、本実験の評価基準は、20万回の
摺動において最大操作力が7N以下のものを優れたもの
とした。また、スティックスリップ現象や、キュッ、キ
ュッという異音発生の有無、リーク発生の有無について
も発生した時点での摺動回数で記録し、評価した。
【0048】双方の弁体20、30の組み合わせは表1
に、それぞれの評価結果は表2に示す通りである。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】この結果、固定弁体30に、ビッカース硬
度(Hv1.0)が5〜12GPaの範囲にあるステアタ
イト、コージライト、ムライトを主成分とするセラミッ
ク焼結体を用いたものは、20万回摺動させたとしても
スティックスリップ現象や異音及び水漏れの発生がな
く、長期間にわたって滑らかな摺動特性を得ることがで
きた。
【0052】この中でも特に、固定弁体30に、ビッカ
ース硬度(Hv1.0)が5〜7GPaの範囲にあるステ
アタイト又はコージライトを主成分とするセラミック焼
結体を用いたものは、操作力を小さくすることができる
ため、特に優れていた。
【0053】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、互いに
摺動する2枚の弁体のうち、一方の弁体の摺接面にダイ
ヤモンド状硬質炭素膜を被着するとともに、他方の弁体
を、ビッカース硬度(Hv1.0)が5〜12GPaのセ
ラミック焼結体より形成してディスクバルブを構成する
ようにしたことから、無潤滑状態での摺動にもかかわら
ず、操作力の上昇やスティックスリップ現象あるいは異
音の発生がなく、長期間にわたって滑らかな摺動特性を
長期間にわたって得ることができ、ビッカース硬度(H
v1.0)が5〜12GPaのセラミック焼結体として、
その主成分が、MgO、SiO2、Al23のうち、二
つ以上の成分からなる複合酸化物、特にステアタイト
(MgO・SiO2)、コージライト(2MgO・2A
23・5SiO2)、ムライト(3Al23・2Si
2)のいずれか一種からなるものを用いることにより
上記効果を奏することができるとともに、これらの中で
もステアタイト(MgO・SiO2)又はコージライト
(2MgO・2Al23・5SiO2)を主成分とする
セラミック焼結体を用いることによりより小さな操作力
で摺動させることができ、好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のディスクバルブを備えたフォーセット
バルブを示す図で、(A)はバルブが閉じた状態を示す
斜視図であり、(B)はバルブを開いた状態を示す斜視
図である。
【図2】本発明のディスクバルブのみを示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
11・・・フォーセットバルブ 20・・・可動弁体 21,31・・・摺接面 22,32・・・流体通路 23・・・中間層 24・・・ダイヤモンド状硬質炭素膜 30・・・固定弁体 40・・・操作レバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H053 AA02 AA22 AA33 BA16 BA38 BB17 BB38 DA02 3H067 AA13 CC02 CC23 CC39 CC45 DD03 DD12 DD24 EA02 EA23 EA29 EB23 EB29 FF02 GG13 GG25 GG28 4G030 AA07 AA36 AA37 BA19 BA33 CA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いに摺動する2枚の弁体のうち、一方の
    弁体の摺接面にダイヤモンド状硬質炭素膜を被着すると
    ともに、他方の弁体を、ビッカース硬度(Hv1.0)が
    5〜12GPaの範囲にあるセラミック焼結体により形
    成したことを特徴とするディスクバルブ。
  2. 【請求項2】上記セラミック焼結体の主成分が、Mg
    O、SiO2、Al23のうち、二つ以上の成分からな
    る複合酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の
    ディスクバルブ。
  3. 【請求項3】上記複合酸化物が、ステアタイト(MgO
    ・SiO2)であることを特徴とする請求項2に記載の
    ディスクバルブ。
  4. 【請求項4】上記複合酸化物が、コージライト(2Mg
    O・2Al23・5SiO2)であることを特徴とする
    請求項2に記載のディスクバルブ。
  5. 【請求項5】上記複合酸化物が、ムライト(3Al23
    ・2SiO2)であることを特徴とする請求項2に記載
    のディスクバルブ。
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