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JP2003082228A - ポリアミド組成物 - Google Patents

ポリアミド組成物

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Publication number
JP2003082228A
JP2003082228A JP2001279250A JP2001279250A JP2003082228A JP 2003082228 A JP2003082228 A JP 2003082228A JP 2001279250 A JP2001279250 A JP 2001279250A JP 2001279250 A JP2001279250 A JP 2001279250A JP 2003082228 A JP2003082228 A JP 2003082228A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
unit
polyamide
polyamide composition
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001279250A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideji Matsuoka
秀治 松岡
Hideaki Oka
秀明 岡
Shigeru Sasaki
繁 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2001279250A priority Critical patent/JP2003082228A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低反り性および寸法安定性、さらには流動
性、摺動性、耐ブリスタ性、強度に優れるポリアミド組
成物を提供すること。 【解決手段】 テレフタル酸単位を60〜100モル%
含有するジカルボン酸単位(a)と、1,9−ノナンジ
アミン単位、または1,9−ノナンジアミン単位および
2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜1
00モル%含有し、かつ1,9−ノナンジアミン単位:
2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が
100:0〜20:80であるジアミン単位(b)とか
らなるポリアミド(A)100重量部に対して、断面の
異形比が1より大きいガラス繊維(B)0.1〜250
重量部を含有してなるポリアミド組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアミド組成物
およびそれからなる成形品に関する。本発明のポリアミ
ド組成物は、低反り性、寸法精度、摺動性、強度、耐熱
性に優れる成形品を与えることから、産業資材、工業材
料、家庭用品、電気・電子部品、自動車用部品などの低
反り性および高寸法精度が要求される用途に好適に使用
することができる。
【0002】
【従来の技術】ナイロン6、ナイロン66に代表される
脂肪族ポリアミドは、耐熱性、耐薬品性、剛性、耐摩耗
性、成形性などの優れた性質を有することから、エンジ
ニアリングプラスチックとして多くの用途に使用されて
きた。電気・電子分野では、UL−94規格に基づく高
い難燃性が要求されることから、種々の難燃剤による難
燃化の方法が多数提案され、実用化されている。しかし
ながら、これらの脂肪族ポリアミドは吸水性が大きく、
成形品の寸法変化、物性低下などが問題となっていた。
さらに近年、難燃化が必要とされる電気・電子部品で
は、部品の高密度実装、半田付け工程の効率化などの目
的で、表面実装方式(SMT)と呼ばれる方法が急速に
浸透しており、それに伴ってこれまでのポリアミドでは
耐熱性の面でも対応できなくなっている。さらに、携帯
電話、パソコンの高機能化に伴い、カードコネクタが急
速に普及している。カードコネクタに要求される性能と
しては、耐熱性はもちろんのこと、低反り性、高摺動
性、高強度が求められる。この様な要求は、コネクタの
接続、リレー用途におけるハウジング、カードなどの用
途にも共通する課題である。
【0003】これに対して、最近では1,6−ヘキサン
ジアミンとテレフタル酸からなるポリアミドを主成分と
する6T系ポリアミドと呼ばれる半芳香族ポリアミドが
難燃性の必要な電気・電子部品分野に参入しており、特
開平3−239755号公報、特開平4−96970号
公報などには、6T系ポリアミドをはじめとする半芳香
族ポリアミドの難燃化技術が提案されている。しかしな
がら、テレフタル酸と1,6−ヘキサンジアミンからな
るポリアミドは、ポリマーの分解温度を超える370℃
付近に融点があるため、溶融重合、溶融成形が困難であ
り、実用に耐えるものではない。そのため、実際にはア
ジピン酸、イソフタル酸などのジカルボン酸成分または
ナイロン6などの脂肪族ポリアミドを30〜40モル%
共重合することにより、実使用可能温度領域、すなわち
280〜320℃程度にまで低融点化した組成で用いら
れているのが現状である。このように多量の第3成分
(場合によっては第4成分)を共重合することは、確か
にポリマーの低融点化には有効なものの、一方では結晶
化速度、到達結晶化度の低下を伴い、その結果、高温下
での剛性、耐薬品性、寸法安定性などの諸物性が低下す
るばかりでなく、成形サイクルの延長に伴う生産性の低
下をも招く。また、吸水による寸法安定性などの物性の
変動に関しても、芳香族基の導入により、従来の脂肪族
ポリアミドに比べれば多少改善されてはいるものの、実
質的な問題解決のレベルまでには達していない。
【0004】また、ポリアミド以外の高耐熱性樹脂とし
ては、液晶ポリマー(以下、これをLCPということが
ある)、ポリフェニレンサルファイド(以下、これをP
PSということがある)などが挙げられる。LCPは低
反り性に優れるが、摺動特性が低く、カードの出し入れ
により表面がめくれたり、ウェルド強さが低く、割れる
ケースが指摘されている。PPSは、流動性が低く、成
形が困難な場合が多い。これらの状況からカードコネク
タの要求性能を満たす材料は未だ提案されていない状況
にあるのが実情である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかして、本発明の目
的は、低反り性および寸法安定性、さらには流動性、摺
動性、耐ブリスタ性、強度に優れるポリアミド組成物お
よびそれからなる成形品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究した結果、テレフタル酸と
1,9−ノナンジアミン、または1,9−ノナンジアミ
ンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンを主成
分とするポリアミドと特定の断面形状を有するガラス繊
維を含有してなるポリアミド組成物が低反り性および寸
法安定性、さらには流動性、摺動性、耐ブリスタ性、強
度に優れることを見出して、本発明を完成するに至っ
た。
【0007】すなわち、本発明は、テレフタル酸単位を
60〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)
と、1,9−ノナンジアミン単位、または1,9−ノナ
ンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジ
アミン単位を60〜100モル%含有し、かつ1,9−
ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジ
アミン単位のモル比が100:0〜20:80であるジ
アミン単位(b)とからなるポリアミド(A)100重
量部に対して、断面の異形比が1より大きいガラス繊維
(B)0.1〜250重量部を含有してなるポリアミド
組成物である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明に用いられるポリアミド(A)を構成するジ
カルボン酸単位(a)は、テレフタル酸単位を60〜1
00モル%含有しており、テレフタル酸単位の含有率と
しては、75〜100モル%の範囲内が好ましく、90
〜100モル%の範囲内がより好ましい。テレフタル酸
単位の含有率が60モル%未満の場合には、得られるポ
リアミド組成物の耐熱性が低下する。
【0009】上記のジカルボン酸単位(a)は、40モ
ル%以下であれば、テレフタル酸単位以外の他のジカル
ボン酸単位を含んでいてもよく、該他のジカルボン酸単
位としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、
グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリ
メチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグル
タル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3
−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサ
ンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;イソフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタ
レンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、
1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレ
ンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’−オキシジ安
息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、
ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,
4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸
から誘導される単位を挙げることができ、これらのうち
1種または2種以上を用いることができる。これらのな
かでも芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が好まし
い。これらの他のジカルボン酸単位の含有率としては、
25モル%以下であるのが好ましく、10モル%以下で
あるのがより好ましい。さらに、トリメリット酸、トリ
メシン酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸から誘
導される単位を、溶融成形が可能な範囲内で含んでいて
もよい。
【0010】本発明に用いられるポリアミド(A)を構
成するジアミン単位(b)は、1,9−ノナンジアミン
単位、または1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル
−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%
含有する。すなわち、ジアミン単位(b)が1,9−ノ
ナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジア
ミン単位を含有する場合は、両者の含有率の総和が60
〜100モル%であり、2−メチル−1,8−オクタン
ジアミン単位を含有しない場合は、1,9−ノナンジア
ミン単位の含有率が60〜100モル%である。該含有
率としては、75〜100モル%の範囲内が好ましく、
90〜100モル%の範囲内がより好ましい。1,9−
ノナンジアミン単位、または1,9−ノナンジアミン単
位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位の含有
率が上記の範囲内にあると、得られるポリアミドの耐熱
性が高くなる。
【0011】上記のジアミン単位(b)における1,9
−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタン
ジアミン単位のモル比は、100:0〜20:80の範
囲内であり、100:0〜60:40の範囲内であるの
が好ましく、100:0〜80:20の範囲内であるの
がより好ましい。1,9−ノナンジアミン単位:2−メ
チル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が上記の
範囲内にあると、得られるポリアミドの耐熱性が高くな
る。
【0012】上記のジアミン単位(b)は、40モル%
以下であれば、1,9−ノナンジアミン単位および2−
メチル−1,8−オクタンジアミン単位以外の他のジア
ミン単位を含んでいてもよく、該他のジアミン単位とし
ては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4
−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8
−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,
12−ドデカンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタ
ンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサ
ンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサ
ンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミンなど
の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシ
クロヘキサンジアミン、イソホロンジアミンなどの脂環
式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレン
ジアミン、キシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフ
ェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどの芳香
族ジアミンから誘導される単位を挙げることができ、こ
れらのうち1種または2種以上を用いることができる。
これらの他のジアミン単位の含有率としては、25モル
%以下であるのが好ましく、10モル%以下であるのが
より好ましい。
【0013】本発明に用いられるポリアミド(A)は、
その分子鎖の末端基の10%以上が末端封止剤により封
止されているのが好ましい。分子鎖の末端基が末端封止
剤により封止されている割合(末端封止率)としては、
40%以上であるのがより好ましく、70%以上である
のがさらに好ましい。末端封止率が10%以上のポリア
ミドを用いると、溶融成形性、表面美麗性などの物性が
より優れたものとなる。
【0014】ポリアミド(A)の末端封止率は、ポリア
ミドに存在するカルボキシル基末端、アミノ基末端およ
び末端封止剤によって封止された末端基の数をそれぞれ
測定し、下記の式(1)により求めることができる。各
末端基の数は、H−NMRにより、各末端基に対応す
る特性シグナルの積分値より求めるのが精度、簡便さの
点で好ましい。
【0015】 末端封止率(%)=[(X−Y)/X]×100 (1) 〔式中、Xは分子鎖末端基総数(これは通常、ポリアミ
ド分子の数の2倍に等しい)を表し、Yはカルボキシル
基末端およびアミノ基末端の合計数を表す。〕
【0016】末端封止剤としては、ポリアミド末端のア
ミノ基またはカルボキシル基との反応性を有する単官能
性の化合物であれば特に制限はないが、反応性および封
止末端の安定性などの点から、モノカルボン酸またはモ
ノアミンが好ましく、取扱いの容易さなどの点から、モ
ノカルボン酸がより好ましい。その他、無水フタル酸等
の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化
物、モノエステル類、モノアルコール類などを使用する
こともできる。
【0017】末端封止剤として使用されるモノカルボン
酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば
特に制限はなく、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、
吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデ
カン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シク
ロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息
香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナ
フタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フ
ェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;これらの任意の
混合物などを挙げることができる。これらのなかでも、
反応性、封止末端の安定性、価格などの点から、酢酸、
プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル
酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸、安息香酸が好ましい。
【0018】末端封止剤として使用されるモノアミンと
しては、カルボキシル基との反応性を有するものであれ
ば特に制限はなく、例えば、メチルアミン、エチルアミ
ン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、
オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジ
メチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ
ブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルア
ミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;
アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルア
ミン等の芳香族モノアミン;これらの任意の混合物など
を挙げることができる。これらのなかでも、反応性、高
沸点、封止末端の安定性および価格などの点から、ブチ
ルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルア
ミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニ
リンが好ましい。
【0019】本発明に用いられるポリアミド(A)は、
結晶性ポリアミドを製造する方法として知られている任
意の方法を用いて製造することができる。例えば、酸ク
ロライドとジアミンを原料とする溶液重合法または界面
重合法、ジカルボン酸とジアミンを原料とする溶融重合
法、固相重合法、溶融押出機重合法などの方法により製
造することができる。
【0020】ポリアミド(A)は、例えば、最初にジア
ミン、ジカルボン酸、触媒および必要に応じて末端封止
剤を一括して添加してナイロン塩を製造した後、200
〜250℃の温度において加熱重合して濃硫酸中30℃
における極限粘度[η]が0.1〜0.6dl/gのプ
レポリマーとし、さらに固相重合するか、あるいは溶融
押出機を用いて重合することにより製造することができ
る。プレポリマーの極限粘度[η]が0.1〜0.6d
l/gの範囲内であると、後重合の段階においてカルボ
キシル基とアミノ基のモルバランスのずれや重合速度の
低下が少なく、さらに分子量分布の小さな、各種物性や
成形性に優れたポリアミドが得られる。重合の最終段階
を固相重合により行う場合、減圧下または不活性ガス流
動下に行うのが好ましく、重合温度が200〜280℃
の範囲内であれば、重合速度が大きく、生産性に優れ、
着色やゲル化を有効に抑制することができる。重合の最
終段階を溶融押出機により行う場合の重合温度として
は、370℃以下であるのが好ましく、かかる条件で重
合すると、ポリアミドの分解がほとんどなく、劣化の無
いポリアミドが得られる。
【0021】ポリアミド(A)を製造するに際して、前
記の末端封止剤の他に、例えば、触媒として、リン酸、
亜リン酸、次亜リン酸、それらの塩またはエステルを添
加することができる。上記の塩またはエステルとして
は、リン酸、亜リン酸または次亜リン酸とカリウム、ナ
トリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜
鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニ
ウム、チタン、アンチモン等の金属との塩;リン酸、亜
リン酸または次亜リン酸のアンモニウム塩;リン酸、亜
リン酸または次亜リン酸のエチルエステル、イソプロピ
ルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソ
デシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステ
ル、ステアリルエステル、フェニルエステルなどを挙げ
ることができる。
【0022】本発明に用いられるポリアミド(A)は、
濃硫酸中30℃で測定した極限粘度[η]が0.4〜
3.0dl/gであるのが好ましく、0.5〜2.0d
l/gであるのがより好ましく、0.6〜1.8dl/
gであるのがさらに好ましい。極限粘度[η]が上記の
範囲内のものを使用すると、力学的特性、耐熱性などに
より優れた成形品が得られる。
【0023】本発明のポリアミド組成物は、上記ポリア
ミド(A)以外の構成成分として、断面の異形比が1よ
り大きいガラス繊維(B)を含有する。ここでいう断面
の異形比は、図1のように長径と短径を定義し、長径と
短径の比(長径/短径)で表される。ガラス繊維の断面
形状としては、断面の異形比が1より大きければ特に制
限されず、例えば、楕円、繭型、長方形などが挙げら
れ、流動性、力学特性、低反り性の観点から、繭型、長
方形が好ましい。上記の異形比は、低反り性と力学特性
の観点から、1.2〜10の範囲内が好ましく、1.5
〜6の範囲内がより好ましい。また、上記のガラス繊維
は、1〜10mmの長さにカットされているのがコンパ
ウンドの生産性の観点から好ましい。さらに、上記のガ
ラス繊維は、ポリアミド中への分散性および密着性を高
める目的で、シランカップリング剤、チタンカップリン
グ剤、その他の高分子または低分子の表面処理剤で表面
処理されているのが好ましい。ガラス繊維(B)の含有
量は、ポリアミド(A)100重量部に対して0.1〜
250重量部の範囲内であり、低反り性と流動性の観点
から、50〜240重量部の範囲内が好ましく、100
〜230重量部の範囲内がより好ましい。
【0024】本発明のポリアミド組成物は、ガラス繊維
(B)以外の充填材の1種または2種以上を含有してい
てもよい。該充填材としては、繊維長と繊維径の比(繊
維長/繊維径)が50以下のガラス繊維(ミルドファイ
バ、カットガラス等)、ガラスフレイク、ガラスビーズ
などを挙げることができる。これらの充填材は、シラン
カップリング剤、チタンカップリング剤、その他の高分
子または低分子の表面処理剤で表面処理されているのが
好ましい。これらの充填材のうちでも、低反り性の観点
から、ミルドファイバが好ましい。ガラス繊維(B)と
上記充填材の配合比としては、100:0〜10:90
の範囲内が好ましく、99:1〜60:40の範囲内が
より好ましい。該配合比が上記の範囲内にあると、低反
り性および強度に優れるポリアミド組成物が得られる。
【0025】本発明のポリアミド組成物に臭素系難燃剤
(C)を配合すると、優れた難燃性を付与することがで
きる。臭素系難燃剤(C)としては、臭素化ポリスチレ
ン、ポリ臭素化スチレン、臭素化ポリフェニレンエーテ
ル、臭素化ビスフェノール型エポキシ系重合体、臭素化
スチレン無水マレイン酸重合体、臭素化エポキシ樹脂、
臭素化フェノキシ樹脂、デカブロモジフェニルエーテ
ル、デカブロモビフェニル、臭素化ポリカーボネート、
パークロロシクロペンタデカン、臭素化架橋芳香族重合
体などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用い
ることができる。これらのうちでも、ポリ臭素化スチレ
ン、臭素化ポリフェニレンエーテルが好ましい。また、
臭素系難燃剤はポリアミドとの相溶性を向上させるため
に酸無水物基、エポキシ基などで変性されていてもよ
い。臭素系難燃剤における臭素原子の含有量は15〜8
7重量%であるのが好ましい。また、臭素系難燃剤
(C)の含有量は、前記ポリアミド(A)100重量部
に対して、1〜100重量部であるのが好ましく、10
〜75重量部であるのがより好ましい。
【0026】本発明のポリアミド組成物に上記の臭素系
難燃剤(C)に加えて難燃助剤(D)を配合すると、少
量の難燃剤で優れた難燃性を付与することができる。難
燃助剤(D)としては、例えば、三酸化アンチモン、五
酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酸化ナトリ
ウム、酸化錫、錫酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化マ
グネシウム、水酸化カルシウム、硼酸亜鉛、カオリンク
レー、炭酸カルシウムなどを挙げることができ、これら
のうち1種または2種以上を用いることができる。これ
らの難燃助剤は、シランカップラー、チタンカップラー
などで処理されていてもよい。これらのなかでも、硼酸
亜鉛、錫酸亜鉛を用いるのが好ましい。難燃助剤(D)
の含有量は、ポリアミド(A)100重量部に対して、
0.1〜50重量部であるのが好ましく、1〜30重量
部であるのがより好ましい。これらの難燃助剤を配合す
ることにより、少量の難燃剤で優れた難燃性を付与する
ことができる。
【0027】本発明のポリアミド組成物には、必要に応
じて、ハイドロタルサイト等の酸キャッチャー;ポリフ
ェニレンスルフィド、ポリオレフィン、ポリエステル、
脂肪族ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、液晶ポリ
マー等の他種ポリマー;着色剤;紫外線吸収剤;光安定
化剤;ヒンダードフェノール系、チオ系、リン系、アミ
ン系等の酸化防止剤;帯電防止剤;結晶核剤;可塑剤;
離型剤;滑剤などを配合することもできる。
【0028】ポリアミド(A)にガラス繊維(B)およ
び必要に応じて配合される充填剤、臭素系難燃剤
(C)、難燃助剤(D)、上記の各種添加剤などの成分
を配合することにより本発明のポリアミド組成物を製造
することができる。配合方法としては、例えば、ポリア
ミド(A)の重縮合反応時にガラス繊維(B)等の成分
を添加する方法、ポリアミド(A)とガラス繊維(B)
等の成分をドライブレンドする方法、押出機を用いて溶
融混練する方法などが挙げられ、これらのなかでも操作
の容易さの点から、通常は押出機を用いて溶融混練する
方法が有利である。この際に用いられる押出機は2軸ス
クリューのものが好ましく、溶融混練温度としては28
0〜340℃の範囲内が好ましい。
【0029】本発明のポリアミド組成物を、射出成形、
押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形、
流延成形などの一般に熱可塑性樹脂組成物に対して用い
られている成形方法によって成形することにより、各種
形状を有する成形品を製造することができる。例えば、
本発明のポリアミド組成物を、シリンダ温度がポリアミ
ドの融点以上350℃以下の範囲内に調整された射出成
形機のシリンダ内で溶融させ、所定の形状の金型内に導
入(射出)することにより、所定の形状の成形品を製造
することができる。また、シリンダ温度が上記の範囲内
に調整された押出機内でポリアミド組成物を溶融させ、
口金ノズルより紡出することにより、繊維状の成形品を
製造することができる。さらに、シリンダ温度が上記の
範囲内に調整された押出機内でポリアミド組成物を溶融
させ、Tダイから押し出すことにより、フィルムやシー
ト状の成形品を製造することができる。また、この様な
方法で製造された成形品の表面に、塗料、金属、他種ポ
リマー等からなる被覆層を形成した形態で使用すること
もできる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではな
い。なお、実施例中の反り性、流動性、摺動性、耐ブリ
スタ性および強度は、以下の方法により評価した。
【0031】反り性:スマートメディア用コネクタ金型
にて射出成形品を作製して、カード挿入する部分の隙間
を寸法測定器(東京精密製Xyzax GJ600D)
にて測定した。隙間が0.085mm以上であれば○、
0.085mm未満でカードが入る場合には△、入らな
い場合には×とした。
【0032】流動性:シリンダー温度320℃、射出圧
力750kgf、金型温度140℃の条件下で、厚み
0.5mmの平板を射出成形したときの流動長を測定し
た。流動性が良い材料ほど高い値を示す。
【0033】摺動性:縦10cm×横4cm×厚み1m
mの金型にて射出成形品を作製して、23℃、絶乾状態
で48h放置した。500gの重りを載せた先が円錐状
の金属針(鋼材:S45C)を平板の上に置き、5cm
移動させた。そのときの削れた溝の深さを表面粗さ計に
て測定した。深さが10μm未満であれば○、10μm
以上20μm未満であれば△、20μm以上であれば×
と判定した。
【0034】耐ブリスタ性評価:射出成形にて成形した
厚さ0.5mm、幅10mm、長さ30mmの試験片を
温度40℃、相対湿度95%の条件で72時間調湿し
た。赤外線加熱炉(山陽精工製、SMTスコープ)を用
いて、図2に示す温度プロファイルのリフロー工程を行
った。成形品に温度センサーを設置して、プロファイル
を測定した。図2中の実測ピーク温度は240℃から2
70℃までの区間で5℃刻みで試験を実施した。工程通
過後、試験片の外観を観察した。試験片が溶融せず、且
つブリスタが発生しない限界の温度を耐ブリスタ温度と
した。ブリスタとは成形品表面に水脹れ状の脹れが生じ
る現象である。250℃未満で変化があった場合は
「×」、250〜260℃の範囲で変化が合った場合は
「△」、その他を「○」として判定した。
【0035】強度:ASTM D638に準拠して引張
強さを測定した。
【0036】以下の実施例および比較例では、ポリアミ
ドとして下記のものを使用した。 PA9MT:テレフタル酸単位をジカルボン酸単位と
し、1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−
1,8−オクタンジアミン単位をジアミン単位(1,9
−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8オクタンジ
アミン単位のモル比が85:15)とする、極限粘度
[η]1.00dl/g、融点308℃、末端封止率9
0%のポリアミド(末端封止剤:安息香酸)。 PA6IT:テレフタル酸単位およびイソフタル酸単位
をジカルボン酸単位(テレフタル酸単位:イソフタル酸
単位のモル比が60:40)とし、1,6−ヘキサンジ
アミン単位をジアミン単位とする、融点312℃、極限
粘度[η]1.02dl/g、末端封止率91%のポリ
アミド(末端封止剤:安息香酸)。
【0037】<実施例1〜4>PA9MTに対し、繭型ガ
ラス繊維(日東紡績(株)製「CSH−3PA 87
0」:断面の異形比=2.0±0.3)、ミルドファイ
バ(日東紡績(株)製「PF401」:繊維長/繊維径
=3)、グリシジルメタクリレートが2.0モル%付加
した臭素化ポリスチレン(以下、これを「GMA−PB
rS」と略記する)、硼酸亜鉛(ボラックス製「ファイ
アーブレイク415」)、錫酸亜鉛(日本軽金属(株)
製「FLAMTARD−S」)を下記の表1に示す割合で
予備混合した。これを2軸押出機(株式会社日本精鋼所
製「TEX44C」)に供給して、シリンダー温度32
0℃の条件下に溶融混錬して押出し、冷却、切断して、
ポリアミド組成物のペレットを得た。このペレットを射
出成形(シリンダー温度330℃、金型温度150℃)
して得られた成形品について、上記の方法で評価した結
果を表1に示す。
【0038】<比較例1>PA9MTに対し、繭型ガラ
ス繊維を使用せず、断面が円形のガラス繊維(日東紡績
製「CS−3J−256」:断面の異形比=1)を下記の
表1に示した割合で配合した以外は、実施例2と同様の
方法によりポリアミド組成物のペレットを得た。このペ
レットを射出成形(シリンダー温度330℃、金型温度
150℃)して得られた成形品について、上記の方法で
評価した結果を表1に示す。 <比較例2>ポリアミドとしてPA9MTに代えてPA
6Tを下記の表1に示した割合で配合した以外は、実施
例2と同様の方法によりポリアミド組成物のペレットを
得た。このペレットを射出成形(シリンダー温度330
℃、金型温度150℃)して得られた成形品について、
上記の方法で評価した結果を表1に示す。 <比較例3および4>高耐熱性樹脂であるLCP(住友
化学(株)製「スミカスーパーE6006L」)またはP
PS(ポリプラスチックス製「フォートロンA4」)を射
出成形して得られた成形品について、上記の方法で評価
した結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】上記の表1の結果から、PA9MTと繭型
ガラス繊維を含有する実施例1〜4のポリアミド組成物
は、低反り性、流動性、摺動性、耐ブリスタ性および引
張強さのいずれにも優れていることが分かる。これに対
して、繭型ガラス繊維を含有せず、断面の異形比が1の
ガラス繊維を含有する比較例1のポリアミド組成物は、
低反り性に劣り、またPA9MTを含有せず、PA6T
を含有する比較例2のポリアミド組成物は、低反り性、
摺動性および耐ブリスタ性に劣る。さらに、LCPを用
いた比較例3の成形品は、摺動性および引張強さに劣
り、PPSを用いた比較例4の場合は、PPSの流動性
が低く、金型に完全に充填することができず、カードコ
ネクタの成形ができなかった。さらに、比較例4で得ら
れた成形品(試験片)は、耐ブリスタ性に劣っていた。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、低反り性および寸法安
定性、さらには流動性、摺動性、耐ブリスタ性、強度に
優れるポリアミド組成物およびそれからなる成形品が提
供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ガラス繊維断面の異形比を説明する図であ
る。
【図2】 試験片の赤外線加熱炉通過時の温度プロファ
イル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA55X AA56X AB28 AD01 AE07 AE17 AF28 AF45 AF54 BA01 BB02 BB03 BB04 BB05 BB06 BC01 BC04 BC07 4J002 BC112 BH012 CD122 CG032 CH072 CL031 DE058 DE068 DE098 DE108 DE118 DE128 DE238 DJ038 DK008 DL006 EB097 EB137 ED047 FA046 FB086 FB096 FB098 FB166 FB168 FD016 FD132 FD137 FD138 GC00 GM00 GN00 GQ00 GQ01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テレフタル酸単位を60〜100モル%
    含有するジカルボン酸単位(a)と、1,9−ノナンジ
    アミン単位、または1,9−ノナンジアミン単位および
    2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜1
    00モル%含有し、かつ1,9−ノナンジアミン単位:
    2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が
    100:0〜20:80であるジアミン単位(b)とか
    らなるポリアミド(A)100重量部に対して、断面の
    異形比が1より大きいガラス繊維(B)0.1〜250
    重量部を含有してなるポリアミド組成物。
  2. 【請求項2】 ガラス繊維(B)の断面の異形比が1.
    2〜10であることを特徴とする請求項1記載のポリア
    ミド組成物。
  3. 【請求項3】 ポリアミド(A)100重量部に対し
    て、さらに臭素系難燃剤(C)1〜100重量部を含有
    してなる請求項1または2記載のポリアミド組成物。
  4. 【請求項4】 ポリアミド(A)100重量部に対し
    て、さらに難燃助剤(D)0.1〜50重量部を含有し
    てなる請求項3記載のポリアミド組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載のポリ
    アミド組成物からなる成形品。
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