JP2002339029A - 電子電気機器部品用銅合金材 - Google Patents
電子電気機器部品用銅合金材Info
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Abstract
曲げ加工性、メッキ特性を兼ね備えた電子電気機器部品
用銅合金材、特に、メッキ特性に優れ、端子、コネクタ
に好適な電子電気機器部品用銅合金材を提供する。 【解決手段】 Niを1.0〜3.0mass%、Siを0.2〜0.7mass
%、Mgを0.01〜0.2mass%、Snを0.05〜1.5mass%、Znを0.2
〜1.5mass%、Sを0.005mass%未満(零を含む)含有し、
残部がCu及び不可避的不純物からなる銅合金材であっ
て、最終塑性加工後の、表面粗度Raが0μmを越え0.1μm
未満であるか、または表面粗度Rmaxが0μmを越え2.0μm
未満である電子電気機器部品用銅合金材。
Description
用銅合金材に関し、特に、電子電気機器部品の小型化に
対応し得る端子、コネクタ、スイッチ、リレー等に好適
な電子電気機器部品用銅合金材に関する。
金が用いられ、Cu-Zn系合金、耐熱性に優れたCu-Fe系合
金、Cu-Sn系合金が多く用いられている。特に、自動車
等の用途では安価なCu-Zn系合金が多く使用されている
が、近年の自動車用端子、コネクタは小型化傾向が著し
く、またエンジンルーム内などの過酷な環境にさらされ
る場合が多いため、Cu-Zn系合金ではもちろんのこと、C
u-Fe系合金、Cu-Sn系合金でも対応できなくなってきて
いるのが現状である。このように、使用されている環境
の変化に伴い、端子、コネクタ用材料に求められる特性
もより厳しくなってきている。このような用途に使用さ
れる銅合金には、応力緩和特性、機械的強度、熱伝導
性、曲げ加工性、耐熱性、Snメッキの接続信頼性、耐マ
イグレーション特性など多岐に渡っているが、特に機械
的強度や応力緩和特性、熱・電気の伝導性、曲げ加工性
が重要な特性である。これらの厳しい要求特性を満たす
銅系材料として、Cu-Ni-Si系合金が注目されており、例
えば特開昭61-127842号公報が知られている。しかしな
がら、このようなCu-Ni-Si系合金でも使用に耐えない状
態に陥っている。具体的には部品の小型化、例えば一般
的な箱型端子において、挿入されるオス端子のタブ幅が
約2mmから約1mmへ小型化されたためバネ部の幅が1mm
程度となり、十分な接続強度を得ることが困難になって
いる。また、小型化に関連してバネ部での接続強度を確
保するために、端子の構造にも多くの工夫がなされてい
るが、その結果、材料に要求される曲げ加工性もより厳
しくなっており、従来のCu-Ni-Si系合金では曲げ部にク
ラックが生じる場合も多い。応力緩和特性も同様であ
り、材料に負荷される応力の増大、使用環境の高温化に
より従来のCu-Ni-Si系合金では長時間の使用は不可能な
状況である。
改善するためにはMgの添加が有効である。例えば特開平
5-59468号公報などにもMgの有効性が示されている。し
かしながら、Mgの添加により応力緩和特性は向上するも
のの、曲げ加工性が劣化し、例えば180°密着曲げ試験
でクラックが発生してしまう。自動車コネクタなどに使
用する場合には曲げ加工性の改善が不可欠である。曲げ
加工性を改善するための検討もされているが、強度及び
バネ性を保ったまま曲げ加工性を改善することはこれま
で困難であった。さらに、熱・電気の伝導性が悪いと、
自己の発熱で応力緩和を促進するため、伝導性と応力緩
和特性のバランスを考慮する必要がある。これらを満足
した銅合金としては、本発明者らによる、特開平11-222
641号公報に開示された銅合金が挙げられる。しかし、
次に述べるように、メッキを施す際のメッキ適性、及び
メッキ後のメッキの劣化防止性(総称してメッキ特性と
もいう)についてはさらなる改良の余地があった。前述
の箱型端子等の自動車コネクタに銅系材料を使用する際
は信頼性向上のため、材料にCuメッキを下地として施
し、さらに表層にSnメッキを施すことが一般的である。
メッキ厚さよりも材料表面の凹凸が大きい場合、凸部に
メッキされずにメッキがはじいた状態になり、均一なメ
ッキができない。また材料-メッキ界面の面積が増大
し、CuとSnの相互拡散が起こりやすくなり、Cu-Sn化合
物とボイド(空孔)の生成により、メッキが剥離しやす
くなる。このため材料表面はなるべく平滑にする必要が
ある。また、携帯端末やパソコン等の電気電子機器用端
子、コネクタには下地Niメッキの上にAuメッキを施すの
が一般的であるが、このような、表層がAuメッキで、か
つ、下地がNiメッキである場合も、材料表面の凹凸によ
り上記のようなメッキ剥離などのメッキの劣化が発生す
る。そこで、前記の各特性に加え、上記のようなメッキ
特性についても満足することのできる銅合金が求められ
ていた。
求に鑑み、第1に、優れた機械的特性、導電性、応力緩
和特性と曲げ加工性、メッキ適性を兼ね備えた電子電気
機器部品用銅合金材を提供することを目的とする。第2
に、上記性質を有する銅合金材にメッキを施してなる、
メッキの劣化防止性に優れる電子電気機器部品用銅合金
材を提供することを目的とする。本発明は、特にメッキ
特性(メッキ適性またはメッキ劣化防止性)に優れる、
端子、コネクタに好適な、メッキ前またはメッキ後の電
子電気機器部品用銅合金材を提供するものである。
(7)により上記課題を解決するものである。 (1)Niを1.0〜3.0mass%、Siを0.2〜0.7mass%、Mgを0.
01〜0.2mass%、Snを0.05〜1.5mass%、Znを0.2〜1.5mass
%、Sを0.005mass%未満(零を含む)含有し、残部がCu及
び不可避的不純物からなる銅合金材であって、最終塑性
加工後の、表面粗度Raが0μmを越え0.1μm未満である
か、または表面粗度Rmaxが0μmを越え2.0μm未満である
ことを特徴とする電子電気機器部品用銅合金材。 (2)Niを1.0〜3.0mass%、Siを0.2〜0.7mass%、Mgを0.
01〜0.2mass%、Snを0.05〜1.5mass%、Znを0.2〜1.5mass
%、Ag、Co及びCrからなる群から選ばれる少なくとも1種
を総量で0.005〜2.0mass%(但しCrは0.2mass%以下)、S
を0.005mass%未満(零を含む)含有し、残部がCu及び不
可避的不純物からなる銅合金材であって、最終塑性加工
後の、表面粗度Raが0μmを越え0.1μm未満であるか、ま
たは表面粗度Rmaxが0μmを越え2.0μm未満であることを
特徴とする電子電気機器部品用銅合金材。 (3)前記電子電気機器部品用銅合金材に、SnまたはSn
合金メッキが施されていることを特徴とする(1)また
は(2)項記載の電子電気機器部品用銅合金材。 (4)前記電子電気機器部品用銅合金材に、SnまたはSn
合金メッキが施され、かつ、リフロー処理が行われてい
ることを特徴とする(1)または(2)項記載の電子電
気機器部品用銅合金材。 (5)前記電子電気機器部品用銅合金材に、下地Cuまた
はCu合金メッキが施され、さらにその上にSnまたはSn合
金メッキが施されていることを特徴とする(1)または
(2)項記載の電子電気機器部品用銅合金材。 (6)前記電子電気機器部品用銅合金材に、下地Cuまた
はCu合金メッキが施され、さらにその上にSnまたはSn合
金メッキが施され、かつ、リフロー処理が行われている
ことを特徴とする(1)または(2)項記載の電子電気
機器部品用銅合金材。 (7)前記電子電気機器部品用銅合金材に、下地Niまた
はNi合金メッキが施され、さらにその上にAuまたはAu合
金メッキが施されていることを特徴とする(1)または
(2)項記載の電子電気機器部品用銅合金材。 本発明は端子、コネクタ材に好適な合金であるが、機械
的特性と導電性、応力緩和特性、曲げ加工性、メッキ特
性を要求されるあらゆる電子電気機器部品用材料に適用
可能である。
金材は、Cuマトリックス中にNiとSiの化合物を析出さ
せ、適当な機械的特性及び熱・電気導電性を有する銅合
金に、Sn、Mg、Znを特定量添加して応力緩和特性と曲げ
加工性を改善し、また表面が平滑になるよう表面粗度を
規定してSn等によるメッキ性を向上させたものである。
本発明者らは、この合金材成分の含有量と表面粗度を子
細に規定することで実用的に優れた電子電気機器部品用
材料を実現させることができた。以下に本発明の電子電
気機器部品用銅合金材に用いられる銅合金材の成分、及
び表面粗度の限定理由を説明する。
材に用いられる銅合金材に含有される各成分について説
明する。CuにNiとSiを添加するとNi-Si化合物を作り、
これをCu中に析出させると強度及び導電率が向上するこ
とが知られている。Ni含有量が1.0mass%未満であると析
出量が少ないため目標とする強度が得られない。逆にNi
含有量が3.0mass%を越えて添加されると鋳造、熱間加工
時に強度上昇に寄与しない析出が生じ添加量に見合う強
度を得ることができないばかりか、熱間加工性、曲げ加
工性にも悪影響を与えることになる。Si含有量は析出す
るNiとSiの化合物が主にNi2Si相であると考えられるた
め、添加Ni量を決定すると最適なSi添加量が決まる。Si
含有量が0.2mass%未満であるとNi含有量が少ないときと
同様十分な強度を得ることができない。逆にSi含有量が
0.7mass%を越えるときもNi含有量が多いときと同様の問
題が生じる。本発明では、Ni含有量を、好ましくは1.7
〜3.0mass%、より好ましくは2.0〜2.8mass%、Si含有量
を、好ましくは0.4〜0.7mass%、より好ましくは0.45〜
0.6mass%となるように調整することが好ましい。
元素である。これらの元素は相互に関係しあって良好な
特性バランスを実現している。Mgは先述の通り応力緩和
特性を大幅に改善するが、曲げ加工性には悪影響を及ぼ
す。応力緩和特性の観点からは、0.01mass%以上で含有
量は多ければ多いほど良い。逆に、0.01mass%未満だと
応力緩和特性の改善効果が現れず、0.2mass%を越えて添
加すると曲げ加工性を満たさなくなる。SnはMgと相互に
関係しあって、より一層応力緩和特性を向上することが
できる。Snはりん青銅にも見られるように、応力緩和特
性の改善効果を有するものの、その効果はMgほど大きく
ない。Snが0.05mass%未満であると改善効果は現れず、
逆に1.5mass%を越えて添加されると導電性が低下する。
Znは応力緩和特性には寄与しないが、曲げ加工性を改善
することができる。Znを0.2〜1.5mass%添加することに
より、Mgを最大0.2mass%まで添加しても実用上問題ない
レベルの曲げ加工性を達成できる。また、ZnはSnメッキ
や半田メッキの耐熱剥離性、耐マイグレーション特性も
改善し、0.2mass%以上添加することが好ましい。逆に導
電性を考慮し、1.5mass%を越えて添加することは好まし
くない。本発明では、Mg含有量は、好ましくは0.03〜0.
2mass%、より好ましくは0.05〜0.15mass%、Sn含有量
は、好ましくは0.05〜1.0mass%、より好ましくは0.1〜
0.5mass%、Zn含有量は、好ましくは0.2〜1.0mass%、よ
り好ましくは0.4〜0.6mass%である。
その含有量を0.005mass%未満に規制することで、熱間加
工性を向上させる。特にS含有量を0〜0.002mass%未満に
する事が好ましい。
項記載の銅合金材に、さらに、Ag、Co及びCrからなる群
から選ばれる少なくとも1種を含有させた以外は前記
(1)項記載の電子電気機器部品用銅合金材と同様であ
る。これらの合金元素Ag、Co及びCrは、さらなる強度向
上に寄与することができる。これらの合金元素の含有量
は合計で0.005〜2.0mass%であり、好ましくは0.005〜0.
5mass%である。0.005mass%未満ではその効果が十分に得
られず、2.0mass%を越えると、Agはコスト高を招き、Co
およびCrは鋳造時及び熱間加工時に粗大な化合物を晶出
(析出)して含有量に見合う強度が得られなくなり、ま
た熱間加工性および曲げ加工性が低下するためである。
Agは、耐熱性を向上させる効果及び結晶粒の粗大化を阻
止して曲げ加工性を向上させる効果も有する。しかし、
高価なためAgの含有量は0.3mass%以下が好ましい。Coは
Niと同様の作用を果たし、Niよりもその効果が大きい。
またCo-Si化合物は析出硬化能が高いため応力緩和特性
も改善される。従って、熱・電気伝導性が重視される部
材などにはNiの一部をCoで代替するのが有効である。し
かし、高価であるためCoの含有量は2.0mass%以下が好ま
しい。Crは銅中に微細に析出して強度向上に寄与する。
Crは曲げ加工性を低下させるためその含有量は0.2mass%
以下であり、好ましくは0.1mass%以下である。
に、例えば総量として0.01〜0.5mass%の含有率で、Fe、
Zr、P、Mn、Ti、V、Pb、Bi、Alなどを添加することがで
きる。例えばMnは熱間加工性を改善する効果があり、導
電性を劣化させない程度に0.01〜0.5mass%添加すること
は有効である。本発明に用いられる銅合金材において、
以上の各成分以外の残部は、Cu及び不可避的不純物であ
る。本発明に用いられる銅合金材は、常法により製造す
ることができ、特に制限するものではないが、鋳塊を熱
間圧延し、次いで冷間加工、例えば冷間圧延した後に、
再結晶と溶体化させる目的で熱処理を行い、直ちに焼き
入れを行うことにより製造することができる。また必要
に応じて時効処理を行うこともできる。
がある。本発明において規定されるRaとは、算術平均粗
さであり、JIS B 0601に説明されている。Rmaxとは、最
大高さであり、JIS B 0601にRyとして説明されているも
のと同じである。本発明の電子電気機器部品用銅合金材
は、前記組成を有する銅合金材の最終塑性加工後の表面
が、本発明に規定する表面粗度RaまたはRmaxを有するよ
うにして製造される。RaまたはRmaxの調整は、例えば、
圧延、研磨などにより行うことができる。実操業におい
ては表面粗度を調整した圧延ロールなどを用いて圧延す
ることにより、銅合金材の表面粗度を調整することがで
きる。
ッキを施すことも好ましい。メッキは、その方法に特に
制限はなく、通常行われる方法により施される。本発明
の電子電気機器部品用銅合金材にSnメッキを施す場合、
特にRaあるいはRmaxの値が大きいとはじき(不均一なメ
ッキ)が発生する。また、材料とSnメッキの界面面積が
大きくなり、材料のCu原子とメッキのSn原子の拡散が起
こりやすくなる。そのため、Cu-Sn化合物とボイド(空
孔)が発生しやすくなり、高温で保持した場合、メッキ
が剥離しやすくなる。本発明の電子電気機器部品用銅合
金材にAuメッキを施す場合、RaあるいはRmaxの値が大き
いと、ピンホールが発生して耐食性が劣化する。よって
Raは0μmを越え0.1μm未満、あるいはRmaxは0μmを越え
2.0μm未満と規定することでメッキ性が向上する。好ま
しくはRaが0.09μm未満、あるいはRmaxが0.8μm未満で
あることが好ましい。本発明の電子電気機器部品用銅合
金材の表面にSnまたはSn合金メッキを施すと大気中での
変色を防止することができ、好ましい。より好ましくは
0.1μmを越え10μm以下の厚さでSnまたはSn合金メッキ
を施すことである。メッキ厚さが、0.1μm未満ではその
効果が得られず、10μmを越えるとこの効果は飽和する
とともにコストが高くなる。Snメッキの下にCuあるいは
Cu合金をメッキするとメッキはじきを防止でき、さらに
好ましい。CuまたはCu合金メッキの厚さは、好ましくは
1.0μm以下である。なお、Sn合金として例えばSn-Pb系
合金、Sn-Sb-Cu系合金、またCu合金としてCu-Ag系合
金、Cu-Cd系合金などを用いることができる。またリフ
ロー処理を施すことも好ましく、この処理によりウィス
カーが発生しなくなり、短絡を防止できる。ここでリフ
ロー処理とは加熱溶融処理を意味し、メッキした材料を
加熱し溶融させ、その後冷却しメッキを凝固させること
である。また本発明の電子電気機器部品用銅合金材の表
面にAuまたはAu合金メッキを施すとコネクタ等の接続信
頼性を向上させることができ、好ましい。より好ましく
は0.01μmを越え2.0μm未満のAuまたはAu合金メッキを
施すことである。挿抜寿命特性向上のためにNiあるいは
Ni合金メッキをAuメッキの下に施しても良い。Niまたは
Ni合金メッキの厚さは2.0μm以下が好ましい。なお、Au
合金として例えばAu-Cu系合金、Au-Cu-Ag系合金、またN
i合金としてNi-Cu系合金、Ni-Fe系合金などを用いるこ
とができる。
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
高周波溶解炉にて、表1に記す組成の合金を溶解し、サ
イズ30mm×100mm×150mmに鋳造した。次にこれらの鋳塊
を900℃まで昇温し、1時間保持後に熱間圧延によって30
mmを12mmまで加工後、速やかに冷却を行った。表面の酸
化皮膜を除去するために厚さ9mmまで両面面削し、冷間
圧延により厚さ0.27mmに加工した。この後、供試材を再
結晶と溶体化させる目的で、750〜850℃で30sの熱処理
を行い、直ちに15℃/s以上の冷却速度で焼き入れを行っ
た。次に圧下率5%の冷間圧延を行い、時効処理を施し
た。時効処理条件は不活性雰囲気中で515℃×2時間であ
る。時効後、最終塑性加工である冷間圧延を行い、最終
的な板厚を0.25mmにそろえた。最終塑性加工後、バネ性
を改善する目的で350℃×2時間の焼鈍を施した。得られ
た銅合金材の表面を耐水ペーパーにて研磨し、表2に示
した表面粗度に仕上げた。ここで、表面粗度Ra及びRmax
は、圧延方向に対して直角方向に長さ4mmの間をそれぞ
れRaとRmaxについて測定し、任意の部位を5回測定し、
その平均値を用いた。このようにして得られた電子電気
機器部品用銅合金材の試料について各種特性評価を行っ
た。
電率はJISH0505に準じて測定し、結果を表2に併記し
た。曲げ加工性の評価は、内側曲げ半径が0mmの180°曲
げを行った。評価の指標はクラックの有無による二段階
評価とした。応力緩和特性の評価は、日本電子材料工業
会標準規格であるEMAS-3003に準拠して行った。ここ
で、特開平11-222641号公報の段落[0038]に記載の片持
ちブロック式を採用し、表面最大応力が450MPaとなるよ
う負荷応力を設定し、150℃恒温槽で試験を行った。表2
には1000時間試験後の緩和率(S.R.R)で示した。なお、
S.R.Rは23%以上を好ましくないものとした。
以下のように、Sn又はAuのメッキを施した試料を作製
し、メッキ特性を試験した。Snメッキは、前記試料上
に、下地Cuメッキを厚さ0.2μm、さらにSnメッキを厚さ
1.0μmとして施した。また、Auメッキは、前記試料上
に、下地Niメッキを厚さ1.0μm、さらにAuメッキを厚さ
0.2μmとして施した。メッキはじき試験は、このように
して得られたSnメッキされた試料の外観を、目視により
判断することにより行った。メッキ剥離試験は、Snメッ
キされた試料について、150℃×1000時間の大気圧下加
熱後に180°曲げ加工を行い、メッキの剥離の有無(耐
熱剥離性)を目視にて確認することにより行った。耐食
性試験は、Auメッキされた試料に対して、温度35℃、5%
NaCl水溶液雰囲気中で96時間まで塩水噴霧試験を行い、
腐食生成物の発生有無について目視にて判断することに
より行った。
各試料は、本発明の試料に比べ、各特性の少なくとも1
つが劣っている。具体的には、比較例のNo.151はNi及び
Si含有量が少なかったため所定の強度が得られなかっ
た。No.152、153はMg含有量が少ないため応力緩和特性
に劣った。No.154はMg含有量が多いため曲げ加工性が劣
った。No.155はSn含有量が少ないため応力緩和特性が劣
った。No.156はSn含有量が多いため導電率が低下した。
No.157はZn含有量が少ないためスズメッキ層の密着性が
低下し、No.158はCr含有量が多いため曲げ加工性が低下
した。No.159はS含有量が多いため熱間加工中に割れが
発生し製造を中止した。No.160はZn含有量が多いため導
電率が低下した。No.161はNi含有量が多いため曲げ加工
性が劣った。No.162はSi含有量が多いため導電率が低下
し、曲げ加工性が劣った。No.163はNi及びSi含有量がと
もに多いため熱間加工中に割れが発生し製造を中止し
た。No.164及びNo.165はRa及びRmaxの値が大きいためSn
メッキ耐熱剥離性が劣り、Snメッキはじきが発生した。
またAuメッキの耐食性が劣った。これに対し、本発明例
(試料No.101〜No.124)は、比較例に比べ、引張強さ、
伸び、導電率、曲げ加工性、応力緩和特性及びメッキ特
性のいずれも優れた特性を示していることがわかる。
は、機械的特性(引張強さ、伸び)や導電性、応力緩和特
性、曲げ加工性、メッキ適性(メッキはじき防止性)に
優れるものである。また、上記性質を有する銅合金材に
メッキを施してなる本発明の電子電気機器部品用銅合金
材は、メッキの劣化防止性(メッキ剥離防止性、メッキ
の耐食性)に優れるものである。したがって、本発明
は、近年の電子電気機器の小型、高性能化に対する要求
に好適に対応できる。また従来のものよりメッキ特性が
改善されたので、端子、コネクタ用に好適なものである
が、その他スイッチ、リレー材等、一般電子電気機器用導
電材料としても好適である。
Claims (7)
- 【請求項1】 Niを1.0〜3.0mass%、Siを0.2〜0.7mass
%、Mgを0.01〜0.2mass%、Snを0.05〜1.5mass%、Znを0.2
〜1.5mass%、Sを0.005mass%未満(零を含む)含有し、
残部がCu及び不可避的不純物からなる銅合金材であっ
て、最終塑性加工後の、表面粗度Raが0μmを越え0.1μm
未満であるか、または表面粗度Rmaxが0μmを越え2.0μm
未満であることを特徴とする電子電気機器部品用銅合金
材。 - 【請求項2】 Niを1.0〜3.0mass%、Siを0.2〜0.7mass
%、Mgを0.01〜0.2mass%、Snを0.05〜1.5mass%、Znを0.2
〜1.5mass%、Ag、Co及びCrからなる群から選ばれる少な
くとも1種を総量で0.005〜2.0mass%(但しCrは0.2mass%
以下)、Sを0.005mass%未満(零を含む)含有し、残部
がCu及び不可避的不純物からなる銅合金材であって、最
終塑性加工後の、表面粗度Raが0μmを越え0.1μm未満で
あるか、または表面粗度Rmaxが0μmを越え2.0μm未満で
あることを特徴とする電子電気機器部品用銅合金材。 - 【請求項3】 前記電子電気機器部品用銅合金材に、Sn
またはSn合金メッキが施されていることを特徴とする請
求項1または2記載の電子電気機器部品用銅合金材。 - 【請求項4】 前記電子電気機器部品用銅合金材に、Sn
またはSn合金メッキが施され、かつ、リフロー処理が行
われていることを特徴とする請求項1または2記載の電
子電気機器部品用銅合金材。 - 【請求項5】 前記電子電気機器部品用銅合金材に、下
地CuまたはCu合金メッキが施され、さらにその上にSnま
たはSn合金メッキが施されていることを特徴とする請求
項1または2記載の電子電気機器部品用銅合金材。 - 【請求項6】 前記電子電気機器部品用銅合金材に、下
地CuまたはCu合金メッキが施され、さらにその上にSnま
たはSn合金メッキが施され、かつ、リフロー処理が行わ
れていることを特徴とする請求項1または2記載の電子
電気機器部品用銅合金材。 - 【請求項7】 前記電子電気機器部品用銅合金材に、下
地NiまたはNi合金メッキが施され、さらにその上にAuま
たはAu合金メッキが施されていることを特徴とする請求
項1または2記載の電子電気機器部品用銅合金材。
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