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JP2002316918A - 育毛剤 - Google Patents

育毛剤

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Publication number
JP2002316918A
JP2002316918A JP2002032420A JP2002032420A JP2002316918A JP 2002316918 A JP2002316918 A JP 2002316918A JP 2002032420 A JP2002032420 A JP 2002032420A JP 2002032420 A JP2002032420 A JP 2002032420A JP 2002316918 A JP2002316918 A JP 2002316918A
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tocopherol
hair restorer
hair
pantothenic acid
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Ayako Kamimura
彩子 神村
Tomoya Takahashi
知也 高橋
Takashi Mimura
孝 三村
Shinkichi Honda
伸吉 本多
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KH Neochem Co Ltd
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Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ホスファチジン酸を有効成分として含有する
ことを特徴とする育毛剤を提供すること。 【解決手段】 式(I) 【化6】 (式中、R1は奇数直鎖の炭素鎖のアルキル、奇数直鎖の
炭素鎖のアルケニルまたは奇数直鎖の炭素鎖のアルキニ
ルを表す)で表されるホスファチジン酸を含有すること
を特徴とする育毛剤を提供し、また、ホスファチジン酸
と、プロアントシアニジン、トコフェロール、トコフェ
ロール誘導体、パントテン酸、パントテン酸誘導体、プ
ロテインキナーゼC特異的阻害剤またはその薬理学的に
許容される塩、およびビオチンからなる群から選ばれる
一つ以上の成分とを有効成分として含有する育毛剤を提
供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はホスファチジン酸を
有効成分として含有することを特徴とする育毛剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ホスファチジン酸を含有する毛髪関連化
粧料、医薬品に関する発明としては、奇数直鎖炭素鎖の
脂肪酸残基を有するホスファチジン酸、すなわち、式
(II)
【0003】
【化2】
【0004】(式中、R2およびR3は脂肪族炭化水素基を
表し、R2およびR3のうち少なくとも一方は偶数の炭素鎖
長を有する直鎖式脂肪族炭化水素基である)で表される
ホスファチジン酸を含む養毛剤が知られている(特公昭
63−41363号公報)。また、特開昭61−720
5号公報には2つの分岐鎖脂肪酸残基を有するホスファ
チジン酸を有効成分とする細胞賦活剤が記載されてい
る。しかしながら、偶数直鎖炭素鎖の脂肪酸残基のみを
脂肪酸残基として有し、かつ、グリセリン残基の2位に
アセチル基を有するホスファチジン酸を含む育毛剤は知
られていない。また、奇数の炭素鎖長を有する脂肪酸
と、ビオチンまたはビタミンB12とを有効成分とする細
胞賦活剤が知られている(特開昭61−15809)。
【0005】また、育毛剤の活性成分としてではない
が、育毛活性成分であるミノキシジルに添加されるリポ
ソーム用製剤基剤として、ホスファチジン酸が用いられ
ることが知られている(US 5030442)。ホス
ファチジン酸を含むいくつかのリン脂質の混合物に、脱
毛抑制効果があること(WO 97/09989)、ま
た、リン脂質混合物を含む育毛剤が知られている(DE
3222016、DE 4113346)。
【0006】プロアントシアニジンを含有する育毛剤
が、WO96/00561に記載されている。また、ト
コフェロール[毛の医学、283頁(1987年)、文光堂;
ヘアサイエンス、80頁(1986年)、社団法人 日本毛髪
科学教会]、パントテン酸およびビオチン[フレグラン
ス ジャーナル、95-103頁(1989年)、フレグランス ジ
ャーナル社]、ならびにプロテインキナーゼC特異的阻
害剤[スキン ファーマコロジー アンド アプライド ス
キン フィジオロジー(Skin Pharmacology and Applied
Skin Physiology), 13, 133-142 (2000)]がそれぞれ育
毛作用を有することが知られている。しかしながら、ホ
スファチジン酸と、プロアントシアニジン、トコフェロ
ール、トコフェロール誘導体、パントテン酸、パントテ
ン酸誘導体、プロテインキナーゼC特異的阻害剤または
その薬理学的に許容される塩、およびビオチンからなる
群から選ばれる一つ以上の成分とを有効成分とする育毛
剤については知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ホス
ファチジン酸を有効成分とする、頭髪の育毛・発毛効果
に優れた育毛剤を提供し、また、ホスファチジン酸と、
プロアントシアニジン、トコフェロール、トコフェロー
ル誘導体、パントテン酸、パントテン酸誘導体、プロテ
インキナーゼC特異的阻害剤またはその薬理学的に許容
される塩、およびビオチンからなる群から選ばれる一つ
以上の成分とを有効成分とする育毛剤を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下に関す
る。 (1) 式(I)
【0009】
【化3】
【0010】(式中、R1は奇数直鎖の炭素鎖のアルキ
ル、奇数直鎖の炭素鎖のアルケニルまたは奇数直鎖の炭
素鎖のアルキニルを表す)で表されるホスファチジン酸
を含有することを特徴とする育毛剤。
【0011】(2) 奇数直鎖の炭素鎖のアルキルが、
ウンデシル、トリデシル、ペンタデシルまたはヘプタデ
シルであり、奇数直鎖の炭素鎖のアルケニルがペンタデ
セニルまたはヘプタデセニルである上記(1)記載の育
毛剤。
【0012】(3) 上記(1)または(2)に記載の
ホスファチジン酸と、プロアントシアニジン、トコフェ
ロール、トコフェロール誘導体、パントテン酸、パント
テン酸誘導体、プロテインキナーゼC特異的阻害剤また
はその薬理学的に許容される塩、およびビオチンからな
る群から選ばれる一つ以上の成分とを有効成分として含
有する育毛剤。
【0013】(4) プロアントシアニジンを含有する
ことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の育毛
剤。
【0014】(5) プロアントシアニジンがプロシア
ニジンB-1、プロシアニジンB-2、プロシアニジンB-3、
プロシアニジンC-1およびプロシアニジンC-2からなる群
から選ばれる一種または二種以上のプロアントシアニジ
ンである上記(4)記載の育毛剤。
【0015】(6) トコフェロールまたはトコフェロ
ール誘導体を含有することを特徴とする上記(1)、
(2)、(4)または(5)のいずれかに記載の育毛
剤。
【0016】(7) トコフェロールまたはトコフェロ
ール誘導体がdl-α-トコフェロール、d-α-トコフェロ
ール、酢酸dl-α-トコフェロール、酢酸d-α-トコフェ
ロールおよびニコチン酸dl-α-トコフェロールからなる
群から選ばれる一種または二種以上のトコフェロールま
たはトコフェロール誘導体である上記(6)記載の育毛
剤。
【0017】(8) パントテン酸またはパントテン酸
誘導体を含有することを特徴とする上記(1)、(2)
または(4)〜(7)のいずれかに記載の育毛剤。
【0018】(9) パントテン酸またはパントテン酸
誘導体がパントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリ
ウム、D-パントテニルアルコール、DL-パントテニルア
ルコールおよびパントテニルエチルエーテルからなる群
から選ばれる一種または二種以上のパントテン酸または
パントテン酸誘導体である上記(8)記載の育毛剤。
【0019】(10) プロテインキナーゼC特異的阻
害剤またはその薬理学的に許容される塩を含有すること
を特徴とする上記(1)、(2)または(4)〜(9)
のいずれかに記載の育毛剤。
【0020】(11) プロテインキナーゼC特異的阻
害剤がカルフォスチンC、ヘキサデシルホスフォコリ
ン、パルミトイル-DL-カルニチンおよびポリミキシンB
から選ばれる一種または二種以上のプロテインキナーゼ
C阻害剤である上記(10)記載の育毛剤。
【0021】(12) ビオチンを含有することを特徴
とする上記(1)、(2)または(4)〜(11)のい
ずれかに記載の育毛剤。
【0022】(13) 実質的にミノキシジルを含有し
ない上記(1)〜(12)のいずれかに記載の育毛剤。
【0023】
【発明の実施の形態】式(I)の各基の定義において、
奇数直鎖の炭素鎖のアルキルとしては、例えば炭素数1
〜23、好ましくは7〜19の、より具体的には、メチル、
プロピル、ペンチル、ヘプチル、ノニル、ウンデシル、
トリデシル、ペンタデシル、ヘプタデシル、ノナデシ
ル、ヘンエイコシル、トリコシル等があげられ、より好
ましくはウンデシル、トリデシル、ペンタデシルまたは
ヘプタデシルがあげられる。奇数直鎖の炭素鎖のアルケ
ニルとしては、例えば炭素数3〜23、好ましくは7〜19
の、より具体的にはアリル、1−プロペニル、2−ペン
テニル、4−ペンテニル、ペンタジエニル、ヘプテニ
ル、ノネニル、ウンデセニル、トリデセニル、ペンタデ
セニル、ヘプタデセニル、ノナデセニル、ヘンエイコセ
ニル、トリコセニル等があげられ、より好ましくはペン
タデセニルまたはヘプタデセニルがあげられる。奇数直
鎖の炭素鎖のアルキニルとしては、例えば炭素数3〜2
3、好ましくは7〜19の、より具体的にはプロピニル、ペ
ンチニル、ヘプチニル、ノニル、ウンデシニル、トリデ
シニル、ペンタデシニル、ヘプタデシニル、ノナデシニ
ル、ヘンエイコシニル、トリコシニル等があげられる。
アルケニルおよびアルキニルにおける不飽和結合の個数
および位置は特に限定されることはない。
【0024】これらのホスファチジン酸は、主に化学合
成により得ることができる[ジャーナル オブ バイオロ
ジカル ケミストリー(Journal of Biological Chemist
ry), 189, 235-247 (1951)参照]。すなわち、脂肪酸
をグリセリンの1位に導入したのち、グリセリンの2位
にアセチル基を導入、グリセリンの3位をリン酸化する
ことによって得ることができる。なお、各合成ステップ
では、必要により、保護基の導入を行う。また、リン脂
質誘導体の酵素分解により、例えば、ホスファチジルコ
リン誘導体を原料とする場合、ホスフォリパーゼD等の
酵素を用い、コリンとのリン酸結合を加水分解すること
で、目的のホスファチジン酸を得ることもできる[奥山
治美、脂質の生化学(生化学実験講座3)、日本生化学
会編、289頁 (1974年)、東京化学同人]。しかしなが
ら、製造法はこれらに限定されるものではなく、いかな
る方法によって得た該ホスファチジン酸も本発明で用い
ることができる。
【0025】本発明に用いられるプロアントシアニジン
は、式(III)
【0026】
【化4】
【0027】(式中、R4およびR5は同一または異なっ
て水素原子または水酸基を表す)等で表されるフラバン
-7-オール誘導体を構成単位として重合した化合物群を
いう。フラバン-7-オール誘導体の具体例としては、カ
テキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキ
ン、アフゼレチン、エピアフゼレチン等があげられ、こ
れらの光学異性体もすべて含まれるが、本発明では、エ
ピカテキンまたはカテキンを構成単位とするプロアント
シアニジンがより好ましく用いられる。
【0028】式(III)で表されるフラバン-7-オール誘
導体の結合様式としては、いかなるものも含まれるが、
例えばフラバン-7-オール誘導体が2個重合した2量体と
しては、式(IV)
【0029】
【化5】
【0030】(式中、R6およびR7ならびにR6aおよび
7aはそれぞれ前記R4およびR5と同義である)で表さ
れる結合様式をとるものがあげられ、3量体以上の重合
体としては、同一または異なるこれらの結合様式の組み
合わせによるものがあげられる。本発明に用いられるプ
ロアントシアニジンは、フラバン-7-オール誘導体の2量
体以上であればよいが、好ましくは2〜10量体、より好
ましくは2〜5量体、さらに好ましくは2〜3量体である。
フラバン-7-オール誘導体の2量体としては、例えばエピ
カテキン-(4β→8)-カテキン等のエピカテキンとカテキ
ンの結合体、エピカテキン-(4β→8)-エピカテキン等の
エピカテキンの2量体、カテキン-(4α→8)-カテキン等
のカテキンの2量体等があげられ、フラバン-7-オール誘
導体の3量体としては、例えばエピカテキン-(4β→8)-
エピカテキン-(4β→8)-エピカテキン等のエピカテキン
の3量体、カテキン-(4α→8)-カテキン-(4α→8)-カテ
キン等のカテキンの3量体、エピカテキン-(4β→8)-エ
ピカテキン-(4β→8)-カテキン等のエピカテキンとカテ
キンの混合3量体等があげられる。
【0031】また、これらプロアントシアニジンに没食
子酸やグルコース、ラムノース等の糖類が付加した化合
物も本発明に用いられるプロアントシアニジンに含まれ
る。プロアントシアニジンは、ブドウ属、リンゴ属、オ
オムギ属、カキ属、ココヤシ属、カカオ属、マツ属、イ
ンゲン属、ナンキンマメ属等に属するブドウ、リンゴ、
オオムギ、カキ、ヤシ、カカオ、マツ、アズキ、ピーナ
ッツ等の各種の植物から抽出精製して得られる他、化学
合成によっても得ることができる。
【0032】例えば、プロアントシアニジンの植物から
の抽出精製は、次のような公知の方法で行うことができ
る。原料である植物の果実、種子、葉、茎、根、根茎等
を適当な時期に採取した後、そのままあるいは通常空気
乾燥等の乾燥工程に付し、抽出原料とする。乾燥した植
物体からプロアントシアニジンの抽出を行う場合は、公
知の方法[ケミカルアンド ファーマシューティカル ブ
リテン(Chemical & Pharmaceutical Bulletin), 3, 321
8 (1990)および同, 40, 889-898 (1992)]に準じて行う
ことができる。
【0033】すなわち、原料を粉砕もしくは細切した
後、溶媒を用いて抽出を行う。抽出溶媒としては、水、
エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等の
アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケト
ン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類等の親水
性もしくは親油性の溶媒を、単独でもしくは混合溶媒と
して用いることができる。抽出温度は、通常0〜100℃、
好ましくは5〜50℃である。抽出時間は、1時間〜10日間
程度であり、溶媒量は、乾燥原料に対して通常1〜30倍
重量、好ましくは5〜10倍重量である。抽出操作は、攪
拌または浸漬放置により行い、必要に応じて2〜3回繰り
返す。
【0034】上記の操作で得られた粗抽出液から不溶性
残渣を濾過もしくは遠心分離により取り除いた抽出液、
または植物の搾汁液や樹液からのプロアントシアニジン
の精製方法は、公知の分離精製方法であればどのような
ものでもよいが、二相溶媒分配法、カラムクロマトグラ
フィー法、分取高速液体クロマトグラフィー法等を単独
でもしくは組み合わせて用いることが好ましい。例えば
二相溶媒分配法としては、前記の抽出液から油溶性成分
や色素をn-ヘキサン、石油エーテル等により抽出除去す
る方法、該抽出液からn-ブタノール、メチルエチルケト
ン等の溶媒と水との分配により、溶媒相へプロアントシ
アニジンを回収する方法等があげられる。カラムクロマ
トグラフィー法としては、順相系シリカゲルを用いる方
法、逆相系シリカゲルを用いる方法、担体としてダイヤ
イオンHP-20、セパビーズSP-207等を用いる吸着カラム
クロマトグラフィー法、担体としてセファデックスLH-2
0等を用いるゲル濾過法等があげられ、これらを単独で
もしくは組み合わせて用い、反復して使用することもで
きる。分取高速液体クロマトグラフィー法としては、オ
クタデシルシリカ等を用いる逆相系のカラムを用いる方
法、シリカゲル等を用いる順相系のカラムを用いる方法
等があげられる。
【0035】上記精製方法により、前記の抽出液から塩
類等水溶性のイオン性物質、糖類・多糖類等の非イオン
性物質、油分、色素等を除去し、プロアントシアニジン
を精製することができる。また、ブドウ由来プロアント
シアニジンは、アクタ デルマト ベネレオロジカ(Acta
Dermato Venereologica), 78, 428-432 (1998)に記載の
方法またはその方法に準じて、プロシアニジンB-1[エ
ピカテキン-(4β→8)-カテキン]、プロシアニジンB-2
[エピカテキン-(4β→8)-エピカテキン]、プロシアニ
ジンB-3[カテキン-(4α→8)-カテキン]、プロシアニ
ジンC-1[エピカテキン-(4β→8)-エピカテキン-(4β
→8)-エピカテキン]およびプロシアニジンC-2[カテキ
ン-(4α→8)-カテキン-(4α→8)-カテキン]は、ジャー
ナル オブ インヴェスティゲイティブ デルマトロジー
(The Journal of Investigative Dermatology), 112,
310-316 (1999)に記載の方法またはその方法に準じてそ
れぞれ抽出精製することができる。
【0036】プロアントシアニジンの化学合成による製
造は、エピカテキンまたはカテキンの2量体の製造方法
が記載されているジャーナル オブ ケミカル ソサエテ
ィーパーキン トランサクション I (Journal of Chemi
cal Society, Perkin Transaction I), 1535-1543 (198
3)またはフィトケミストリー(Phytochemistry), 25,
1209-1215 (1986)に記載の方法あるいはそれらに準じた
方法により行うことができる。
【0037】プロアントシアニジンを本発明の有効成分
として用いる場合、プロアントシアニジンは、一種また
は二種以上混合してもよく、具体的な例としては、ブド
ウ種子由来プロアントシアニジン、リンゴ由来プロアン
トシアニジン、大麦由来プロアントシアニジン、マツ由
来プロアントシアニジン、精製プロシアニジンオリゴマ
ー、プロシアニジンB-1、プロシアニジンB-2、プロシア
ニジンB-3、プロシアニジンC-1、プロシアニジンC-2等
から選ばれる一種または二種以上があげられ、中でもプ
ロシアニジンB-1、プロシアニジンB-2、プロシアニジン
B-3、プロシアニジンC-1およびプロシアニジンC-2から
選ばれる一種または二種以上が好ましく用いられる。
【0038】本発明に用いられるトコフェロールまたは
トコフェロール誘導体としては、例えば市販されている
天然由来品、合成品のいずれも用いることができ、ま
た、酢酸エステルやニコチン酸エステル等の誘導体を用
いることもできる。具体的には、dl-α-トコフェロー
ル、d-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロー
ル、酢酸d-α-トコフェロール、ニコチン酸dl-α-トコ
フェロール等があげられる。
【0039】本発明に用いられるパントテン酸またはパ
ントテン酸誘導体としては、例えば市販されている天然
由来品、合成品のいずれも用いることができ、パントテ
ン酸またはパントテン酸誘導体であればどのようなもの
でもよく、具体的には、パントテン酸カルシウム、パン
トテン酸ナトリウム、D-パントテニルアルコール、DL-
パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル
等があげられる。
【0040】本発明に用いられるプロテインキナーゼC
特異的阻害剤としては、プロテインキナーゼCを特異的
に阻害するものであればいかなるものでも用いられる
が、好ましくは、プロテインキナーゼC(PKC)阻害活性
とプロテインキナーゼA(PKA)阻害活性を以下に示すPK
C阻害活性測定法およびPKA阻害活性測定法で測定したと
き、PKAの50%阻害定数(以下、PKA-IC50と略す)とPKC
の50%阻害定数(以下、PKC-IC50と略す)の比(以下、
PKA-IC50/PKC-IC50と略す)が3以上、好ましくは3〜1
09、より好ましくは10〜109であるプロテインキナーゼ
阻害剤が用いられる。具体的には、カルフォスチンC、
ヘキサデシルホスフォコリン、パルミトイル-DL-カルニ
チンおよびポリミキシンBまたはそれらの薬理学的に許
容される塩等から選ばれる一種または二種以上をあげる
ことができる。
【0041】これらの薬理学的に許容される塩として
は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、蟻酸塩、
酢酸塩、安息香酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハ
ク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、メタンス
ルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、アスパラギン酸
塩、グルタミン酸塩等があげられる。PKC阻害活性測定
法およびPKA阻害活性測定法について以下に示す。
【0042】(1)PKC阻害活性測定法 PKCの阻害活性の測定は、吉川らの方法[ジャーナル オ
ブ バイオロジカル ケミストリー(Journal of Biologi
cal Chemistry), 257, 13341 (1982)]に準じて行うこ
とができる。
【0043】2.5μmol酢酸マグネシウム、50μgヒスト
ンタイプIIIS(シグマ社製)、20μgホスファチジルセ
リン、0.8μgダイオレイン、25nmol塩化カルシウム、5
μg粗酵素(吉川らの方法によりラットの脳より部分精
製したもの)および5μmolトリス塩酸緩衝液(pH7.5)
を含む250μl水溶液に検体を含む前記水溶液(10μl)
を加え、30℃で3分間インキュベートする。インキュベ
ート後、1.25nmol[γ-32P]ATP(5〜10×103cpm/nmo
l)を加え、30℃で3分間リン酸化反応を行い、25%トリ
クロロ酢酸を加えて反応を停止させる。該反応液を酢酸
セルロース膜(ポアサイズ0.45μm)(東洋濾紙社製)
で濾過し、5%トリクロロ酢酸で4回洗浄後、該膜上に残
った放射活性を測定し検体値とする。また、上記操作を
検体を加えないで行い、放射活性を測定し対照値とす
る。
【0044】対照値に対して、50%の検体値を示すとき
の検体のモル濃度を、PKCの50%阻害定数(PKC-IC50
とする。 (2)PKA阻害活性測定法 PKAの阻害活性の測定は、クオ(Kuo)らの方法[バイオ
ケミストリー(Biochemistry), 64, 1349 (1969)]に
準じて行うことができる。
【0045】5μmolトリス塩酸緩衝液(pH6.8)、2.5μ
mol酢酸マグネシウム、100μgヒストンタイプIIS(シグ
マ社製)、0.25nmol c-AMPおよび200μg粗酵素[クオ
(Kuo)らの方法により子牛の心臓より部分精製したも
の]を含む250μlの水溶液に検体を含む前記水溶液(10
μl)を加え、30℃で3分間インキュベートする。インキ
ュベート後、1.25nmol[γ-32P]ATP(5〜10×103cpm/n
mol)を加え、30℃で3分間リン酸化反応を行い、25%ト
リクロロ酢酸を加えて反応を停止させる。該反応液を酢
酸セルロース膜(ポアササイズ0.45μm)(東洋濾紙社
製)で濾過し、5%トリクロロ酢酸で4回洗浄後、該膜上
に残った放射活性を測定し検体値とする。また、上記操
作を検体を加えないで行い、放射活性を測定し対照値と
する。
【0046】対照値に対して、50%の検体値を示すとき
の検体のモル濃度をPKAの50%阻害定数(PKA-IC50)と
する。本発明に用いられるビオチンとしては、例えば市
販されている天然由来品、合成品のいずれも用いること
ができ、D-ビオチンを用いてもよい。本発明の育毛剤の
剤型としては、ホスファチジン酸、あるいは該ホスファ
チジン酸と、プロアントシアニジン、トコフェロール、
トコフェロール誘導体、パントテン酸、パントテン酸誘
導体、プロテインキナーゼC特異的阻害剤またはその薬
理学的に許容される塩、およびビオチンからなる群から
選ばれる一つ以上の成分とを配合しうる剤型であればど
のような剤型を用いることもできる。例えば、適当な医
薬基剤と配合して液状または固形状の育毛剤として用い
ることができる。
【0047】液状または固形状の育毛剤型としては、ヘ
ヤーリキッド、ヘヤートニック、ヘヤーローション等の
液状剤型、軟膏、ヘヤークリーム等の固形状剤型があげ
られ、各々好適な基剤に本発明に用いられるホスファチ
ジン酸、あるいは該ホスファチジン酸と、プロアントシ
アニジン、トコフェロール、トコフェロール誘導体、パ
ントテン酸、パントテン酸誘導体、プロテインキナーゼ
C特異的阻害剤またはその薬理学的に許容される塩、お
よびビオチンからなる群から選ばれる一つ以上の成分と
を添加し、常法により製造することができる。
【0048】本発明の育毛剤中のホスファチジン酸の含
有量は、ホスファチジン酸の種類や物性に由来する経皮
吸収性によって大きく異なるが、単独または混合物とし
て通常0.01〜5.0重量%(以下、単に%という)、好ま
しくは0.01〜3.0%、より好ましくは、0.1〜1.0%であ
る。プロアントシアニジンの含有量は、精製度によって
異なるが、通常0.01〜10.0%、好ましくは0.1〜5.0%、
より好ましくは0.3〜2.0%である。トコフェロールまた
はトコフェロール誘導体の含有量は、通常0.01〜2%、
好ましくは0.05〜2%、より好ましくは0.05〜1%であ
る。パントテン酸またはパントテン酸誘導体の含有量
は、通常0.01〜2%、好ましくは0.05〜1%、より好まし
くは0.1〜0.5%である。プロテインキナーゼC阻害剤ま
たはその薬理学的に許容される塩の含有量は、阻害活性
の強さや物性に由来する経皮吸収性によって大きく異な
るが、単独または混合物として通常0.00001〜1%、好ま
しくは0.0001〜1%、より好ましくは0.001〜0.1%であ
る。ビオチンの含有量は、通常0.0001〜0.1%、好まし
くは0.001〜0.1%、より好ましくは0.001〜0.05%であ
る。
【0049】液状剤型に好適な基剤としては、育毛剤に
通常使用されているもの、例えば精製水、エチルアルコ
ール、多価アルコール類等があげられ、必要により添加
剤を添加してもよい。多価アルコールとしては、グリセ
ロール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコー
ル等があげられる。
【0050】添加剤としては、界面活性剤、ビタミン
類、消炎剤、殺菌剤、ホルモン剤、生薬エキス、チンキ
類、清涼剤、保湿剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、
香料等があげられる。界面活性剤としては、ポリオキシ
エチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン
(8)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オ
レイルエーテル、モノオレイン酸ポリオキシエチレン
(10)、ポリオキシエチレン(30)グリセリルモノステ
アレート、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリ
ン酸ポリオキシエチレン(30)グリセリル、モノオレイ
ン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、ショ糖脂肪
酸エステル、モノオレイン酸ヘキサグリセリン、モノラ
ウリン酸ヘキサグリセリン、ポリオキシエチレン還元ラ
ノリン、ポリオキシエチレン(20)ラノリンアルコー
ル、ポリオキシエチレン(25)グリセリルピログルタミ
ン酸イソステアリン酸ジエステル、N-アセチルグルタミ
ンイソステアリルエステル等があげられる。
【0051】ビタミン類としては、ニコチン酸ベンジ
ル、ニコチン酸アミド、塩酸ピリドキシン、リボフラビ
ン等があげられる。消炎剤としては、グリチルリチン酸
ジカリウム、β-グリチルレチン酸、アラントイン、塩
酸ジフェンヒドラミン、グアイアズレン、l-メントール
等があげられる。
【0052】殺菌剤としては、トリクロロヒドロキシジ
フェニルエーテル、ヒノキチオール、トリクロサン、ク
ロルヘキシジングルコン酸塩、フェノキシエタノール、
レゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、アズレ
ン、サリチル酸、ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニ
ウム、感光素301号、モノニトログアヤコールナトリウ
ム等があげられる。
【0053】ホルモン剤としては、エチニルエストラジ
オール、エストロン、エストラジオール等があげられ
る。生薬エキスとしては、センブリエキス、ニンニクエ
キス、ニンジンエキス、アロエエキス、キナエキス、冬
虫夏草エキス、サフランエキス等があげられる。チンキ
類として、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、カ
ンタリスチンキ等があげられる。
【0054】清涼剤としては、トウガラシチンキ、l-メ
ントール、カンフル等があげられる。保湿剤としては、
L-ピロリドンカルボン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コ
ンドロイチン硫酸等があげられる。酸化防止剤として
は、ブチルヒドロキシアニソール、イソプロピルガレー
ト、没食子酸プロピル、エリソルビン酸等があげられ
る。
【0055】金属イオン封鎖剤としては、エチレンジア
ミンテトラアセテートまたはその塩等があげられる。香
料としては、オレンジ油、レモン油、ベルガモット油、
ライム油、レモングラス油、ラベンダー油等の天然香料
およびメントール、ローズオキサイド、リナロール、シ
トラール、酢酸リナリル等の合成香料があげられる。
【0056】上記の液状剤型を噴霧剤として用いるとき
は、可燃ガス、不燃ガス等を用いることができる。可燃
ガスとしては、LPG(液化石油ガス)、ジメチルエーテ
ル等があげられ、不燃ガスとしては、窒素ガス、炭酸ガ
ス等があげられる。固体状剤型の基剤としては、ワセリ
ン、固形パラフィン、植物油、鉱物油、ラノリン、ろう
類、マクロゴール等があげられ、必要により前記の添加
剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低
級アルコール等を添加してもよい。
【0057】本発明の育毛剤の投与量は年齢、体重、症
状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、
成人一人当たり、一回にホスファチジン酸として0.1〜2
50mg、好ましくは1mg〜100mgが一日一回から数回、経皮
投与される。次に、実施例により本発明を詳細に説明す
る。
【0058】
【実施例】 実施例1: 組成物1および組成物2の作製 1-O-オレオイル-2-O-アセチルグリセリル-3-リン酸 0.4% エチルアルコール 70% 1,3-ブチレングリコール 3% N-アセチルグルタミンイソステアリルエステル 0.25% ポリオキシエチレン(25)グリセリルピログルタミン酸イソステアリン酸ジエス テル 0.25% 上記混合物に精製水を加えて100%とし、これを攪拌し
ながら均一にして、組成物1を調製した。上記組成物に
おいて、1-O-オレオイル-2-O-アセチルグリセリル-3-リ
ン酸の代わりに精製水を加えて、組成物2として調製し
た。
【0059】 実施例2: 組成物3および組成物4の作製 1-O-オレオイル-2-O-アセチルグリセリル-3-リン酸 0.4% プロシアニジンB-2 1% エチルアルコール 70% 1,3-ブチレングリコール 3% N-アセチルグルタミンイソステアリルエステル 0.25% ポリオキシエチレン(25)グリセリルピログルタミン酸イソステアリン酸ジエス テル 0.25% プロシアニジンB-2は、ジャーナル オブ インヴェステ
ィゲイティブ デルマトロジー(The Journal of Investi
gative Dermatology), 112, 310-316 (1999)に記載の方
法に従って製造した。上記混合物に精製水を加えて100
%とし、これを攪拌しながら均一にして、組成物3を調
製した。上記組成物において、1-O-オレオイル-2-O-ア
セチルグリセリル-3-リン酸の代わりに精製水を加え
て、組成物4として調製した。
【0060】 実施例3: 組成物5および組成物6の作製 1-O-オレオイル-2-O-アセチルグリセリル-3-リン酸 0.4% dl-α-トコフェロール 1.0% エチルアルコール 70% 1,3-ブチレングリコール 3% N-アセチルグルタミンイソステアリルエステル 0.25% ポリオキシエチレン(25)グリセリルピログルタミン酸イソステアリン酸ジエス テル 0.25% 上記混合物に精製水を加えて100%とし、これを攪拌し
ながら均一にして、組成物5を調製した。上記組成物に
おいて、1-O-オレオイル-2-O-アセチルグリセリル-3-リ
ン酸の代わりに精製水を加えて組成物6として調製し
た。
【0061】 実施例4: 組成物7および組成物8の作製 1-O-オレオイル-2-O-アセチルグリセリル-3-リン酸 0.4% パントテニルエチルエーテル 0.3% エチルアルコール 70% 1,3-ブチレングリコール 3% N-アセチルグルタミンイソステアリルエステル 0.25% ポリオキシエチレン(25)グリセリルピログルタミン酸イソステアリン酸ジエス テル 0.25% 上記混合物に精製水を加えて100%とし、これを攪拌し
ながら均一にして、組成物7を調製した。上記組成物に
おいて、1-O-オレオイル-2-O-アセチルグリセリル-3-リ
ン酸の代わりに精製水を加えて、組成物8として調製し
た。
【0062】 実施例5: 組成物9および組成物10の作製 1-O-オレオイル-2-O-アセチルグリセリル-3-リン酸 0.4% ビオチン 0.05% エチルアルコール 70% 1,3-ブチレングリコール 3% N-アセチルグルタミンイソステアリルエステル 0.25% ポリオキシエチレン(25)グリセリルピログルタミン酸イソステアリン酸ジエス テル 0.25% 上記混合物に精製水を加えて100%とし、これを攪拌し
ながら均一にして、組成物9を調製した。上記組成物に
おいて、1-O-オレオイル-2-O-アセチルグリセリル-3-リ
ン酸の代わりに精製水を加えて、組成物10として調製
した。
【0063】参考例1: 1-O-オレオイル-2-O-アセチル
グリセリル-3-リン酸(1-O-オレオイル-2-O-アセチルホ
スファチジン酸)の合成 1-O-オレオイル-2-O-アセチルグリセリル-3-リン酸の合
成は、ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー (J
ournal of Medicinal Chemistry), 2038-2044(1986)に
記載の方法またはこれに準じた方法で行うことができ
る。1-O-オレオイル-2-O-アセチルグリセロール(フナ
コシ社)(20.0 mg)のクロロホルム(8.0 ml)溶液
を、オキシ塩化リン700μl、トリエチルアミン1000μl
およびヘキサン50 mlの混合溶液に、室温下で攪拌しな
がら滴下した。15時間攪拌を行った後、精製水10 mlを
加え、さらに室温下で1時間攪拌した。有機層を取得
し、シリカゲル薄層クロマトグラフィープレートを用
い、クロロホルム:メタノール:酢酸:水=170:25:2
5:6の移動相で展開したのち、目的物を含むバンドをか
きとった。このシリカゲル粉にジエチルエーテルを加
え、有機層を取得した。さらにこの有機層を減圧濃縮
し、1-O-オレオイル-2-O-アセチルグリセリル-3-リン酸
55mgを得た。
【0064】次に、本発明の育毛剤の作用について、試
験例により具体的に示す。 試験例1: マウス毛包上皮細胞培養に対する促進効果 毛包上皮細胞の分離および培養はTanigakiらの方法[ア
ーカイヴズ オブ デルマトロジカル リサーチ(Archive
s of Dermatological Research), 284, 290-296 (199
2)]を改変して行った。
【0065】すなわち、4日令のC3Hマウス(日本チャー
ルスリバー)の背部皮膚を採取し、500単位/mlのディス
パーゼ(合同酒清)および5%ウシ胎児血清(FCS)を含
むMEM培地(Eagle's Minimum Essential Medium)で4
℃、16時間処理した。得られた皮膚切片から表皮を剥離
し、真皮層を0.25%コラゲナーゼN-2(新田ゼラチン)お
よび10%FCSを含むDMEM培地(Dulbecco's modified Eag
le Medium)で37℃、1時間処理し真皮懸濁液を得た。真
皮懸濁液を212ミクロンのナイロンメッシュ(日本理化
学機械)で濾過後、濾液を1000rpmで5分間遠心分離し、
毛包組織を含むペレットを得た。ペレットに、カルシウ
ム・マグネシウムフリーPBS(Dulbecco's Phosphate-Bu
ffered Saline)溶液を加え、ピペットを用いて懸濁
後、15分間静置することにより毛包組織を沈降させた。
得られた毛包組織を用いて、上記ペレットで行った、カ
ルシウム・マグネシウムフリーPBS溶液の添加、ピペッ
トによる懸濁、15分間静置・沈降操作と同様の操作を3
回繰り返した。
【0066】得られた毛包組織に0.1%エチレンジアミ
ン四酢酸(EDTA)−0.25%トリプシン液(ギブコ社製)
を加え、37℃で5分間処理後、10%FCSを含むDMEM培地を
加え、3×105/mlの細胞濃度の毛包組織細胞液を調製し
た。毛包組織細胞液を24穴コラーゲンコートプレート
(イワキガラス社製)へ1ml/ウェルずつ播種し、37℃、
5%CO2下で24時間培養を行った。
【0067】培養後、MCDB153培地(極東製薬社製)に
ウシインシュリン(シグマ社製)5mg/L;マウス上皮増
殖因子(EGF)(宝酒造社製)5μg/L;ウシ下垂体抽出
物(極東製薬社製)40mg/L;ヒトトランスフェリン(シ
グマ社製)10mg/L;ハイドロコーチゾン(シグマ社製)
0.4mg/L;プロゲステロン(コラボラティブ リサーチ社
製)0.63μg/L;O-ホスホエタノールアミン(シグマ社
製)14mg/L;エタノールアミン(シグマ社製)6.1mg/
L;ペニシリン(和光社製)50U/ml;ストレプトマイシ
ン(和光社製)50μg/ml;参考例1で得た1-O-オレオイ
ル-2-O-アセチルグリセリル-3-リン酸、および/または
プロシアニジンB-2もしくはdl-α-トコフェロールを含
むDMSO溶液(1/100体積加えた)を添加した培地へ培地
交換し、さらに、37℃、5%CO2存在下で5日間培養を行
った。なお培地は一日おきに交換した。
【0068】なお、上記培地において、1-O-オレオイル
-2-O-アセチルグリセリル-3-リン酸、および/またはプ
ロシアニジンB-2またはdl-α-トコフェロールを含むDMS
O溶液の代わりにDMSOのみを1/100体積量加えた培地で培
養したものを対照群とした。細胞増殖度の測定は、MTT
[3-(4,5-Dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyl tetraz
olium bromide]を用いた方法で行った[実験医学別冊
バイオマニュアルUPシリーズ 分子生物学研究のための
培養細胞実験法、89-92頁、羊土社(1995年)]。
【0069】24穴マイクロプレート(2cm2/ウェル)の
各ウェルに培養液1mlに対し1/10体積のMTTのPBS溶液(5
mg/ml)を加え、揺らして均一にし、37℃、5%CO2存在下
で4時間培養した。4時間後培養液を吸引し、各々のプレ
ートに1mlの0.04mol/L HClイソプロピルアルコール溶液
を加え、ウェル中に生成したフォルマザンが完全に溶け
るまで混和した。
【0070】650nmを対照とし、570nmにおける吸光度を
測定し、細胞の増殖度を測定した。本発明における化合
物の増殖促進活性を第1表に示す。
【0071】
【表1】
【0072】第1表に示すように、本発明におけるホス
ファチジン酸は、顕著なマウス毛包上皮細胞増殖促進活
性を示した。また、プロアントシアニジン、トコフェロ
ール各々のマウス毛包上皮細胞増殖促進活性は、前記ホ
スファチジン酸と混合することによって増強された。 試験例2: マウスの発毛に対する効果 小川らの方法[ジャーナル オブ デルマトロジー(The J
ournal of Dermatology), 10, 45-54 (1983)]を参考
に、マウスによる発毛効果の試験を行った。
【0073】毛周期の休止期にある9週令のC3H/HeSlc
雄性マウス(一群4〜5匹)の背部毛を電気バリカンと電
気シェーバーで剃毛し、実施例1〜5で作製した組成物
1〜10を一日一回、剃毛部に200μlずつ均一に塗布し
た。組成物2を対照群とした。試験塗布開始18日後のマ
ウス背部皮膚を採取し、写真撮影を行った後、画像解析
処理装置(アビオニクス社製、スピカII)を用いて背部
皮膚全面積に対する発毛部の100分率を求め、被検薬剤
群の発毛率の値から対照群の発毛率の値を差し引いた値
を増加発毛面積率(%)とした。
【0074】結果を第2表に示す。
【0075】
【表2】
【0076】第2表に示したように、本発明に示すホス
ファチジン酸を含有する育毛剤では、顕著なマウスの発
毛促進効果が見られた。また、プロアントシアニジン、
トコフェロール、パントテン酸誘導体、ビオチン各々の
発毛促進効果は、ホスファチジン酸と混合することによ
って増強された。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、1位の脂肪酸残基部分
が偶数かつ直鎖の炭素鎖の脂肪酸残基から構成され、2
位がアセチル基であるホスファチジン酸を有効成分とし
て含有することを特徴とする、頭髪の育毛・発毛効果に
優れた育毛剤、また、ホスファチジン酸と、プロアント
シアニジン、トコフェロール、トコフェロール誘導体、
パントテン酸、パントテン酸誘導体、プロテインキナー
ゼC特異的阻害剤またはその薬理学的に許容される塩、
およびビオチンからなる群から選ばれる一つ以上の成分
とを有効成分として含有することを特徴とする育毛剤を
提供することができる。
フロントページの続き (72)発明者 本多 伸吉 東京都千代田区大手町一丁目6番1号 協 和醗酵工業株式会社本社内 Fターム(参考) 4C083 AC102 AC122 AC582 AC641 AC642 AC662 AC841 AC842 AC861 AC862 AC901 AC902 AD411 AD631 AD632 AD661 AD662 4C086 AA01 AA02 DA34 MA01 MA02 MA03 MA04 MA06 NA14 ZA92

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 (式中、R1は奇数直鎖の炭素鎖のアルキル、奇数直鎖の
    炭素鎖のアルケニルまたは奇数直鎖の炭素鎖のアルキニ
    ルを表す)で表されるホスファチジン酸を含有すること
    を特徴とする育毛剤。
  2. 【請求項2】 奇数直鎖の炭素鎖のアルキルがウンデシ
    ル、トリデシル、ペンタデシルまたはヘプタデシルであ
    り、奇数直鎖の炭素鎖のアルケニルがペンタデセニルま
    たはヘプタデセニルである請求項1記載の育毛剤。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のホスファチジ
    ン酸と、プロアントシアニジン、トコフェロール、トコ
    フェロール誘導体、パントテン酸、パントテン酸誘導
    体、プロテインキナーゼC特異的阻害剤またはその薬理
    学的に許容される塩、およびビオチンからなる群から選
    ばれる一つ以上の成分とを有効成分として含有する育毛
    剤。
  4. 【請求項4】 プロアントシアニジンを含有することを
    特徴とする請求項1または2に記載の育毛剤。
  5. 【請求項5】 プロアントシアニジンがプロシアニジン
    B-1、プロシアニジンB-2、プロシアニジンB-3、プロシ
    アニジンC-1およびプロシアニジンC-2からなる群から選
    ばれる一種または二種以上のプロアントシアニジンであ
    る請求項4記載の育毛剤。
  6. 【請求項6】 トコフェロールまたはトコフェロール誘
    導体を含有することを特徴とする請求項1、2、4また
    は5のいずれかに記載の育毛剤。
  7. 【請求項7】 トコフェロールまたはトコフェロール誘
    導体がdl-α-トコフェロール、d-α-トコフェロール、
    酢酸dl-α-トコフェロール、酢酸d-α-トコフェロール
    およびニコチン酸dl-α-トコフェロールからなる群から
    選ばれる一種または二種以上のトコフェロールまたはト
    コフェロール誘導体である請求項6記載の育毛剤。
  8. 【請求項8】 パントテン酸またはパントテン酸誘導体
    を含有することを特徴とする請求項1、2または4〜7
    のいずれかに記載の育毛剤。
  9. 【請求項9】 パントテン酸またはパントテン酸誘導体
    がパントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、
    D-パントテニルアルコール、DL-パントテニルアルコー
    ルおよびパントテニルエチルエーテルからなる群から選
    ばれる一種または二種以上のパントテン酸またはパント
    テン酸誘導体である請求項8記載の育毛剤。
  10. 【請求項10】 プロテインキナーゼC特異的阻害剤ま
    たはその薬理学的に許容される塩を含有することを特徴
    とする請求項1、2または4〜9のいずれかに記載の育
    毛剤。
  11. 【請求項11】 プロテインキナーゼC特異的阻害剤が
    カルフォスチンC、ヘキサデシルホスフォコリン、パル
    ミトイル-DL-カルニチンおよびポリミキシンBから選ば
    れる一種または二種以上のプロテインキナーゼC阻害剤
    である請求項10記載の育毛剤。
  12. 【請求項12】 ビオチンを含有することを特徴とする
    請求項1、2または4〜11のいずれかに記載の育毛
    剤。
  13. 【請求項13】 実質的にミノキシジルを含有しない請
    求項1〜12のいずれかに記載の育毛剤。
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