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JP2002301857A - インクジェット記録方法および記録液 - Google Patents

インクジェット記録方法および記録液

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Publication number
JP2002301857A
JP2002301857A JP2001108148A JP2001108148A JP2002301857A JP 2002301857 A JP2002301857 A JP 2002301857A JP 2001108148 A JP2001108148 A JP 2001108148A JP 2001108148 A JP2001108148 A JP 2001108148A JP 2002301857 A JP2002301857 A JP 2002301857A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fine particles
solid content
recording liquid
resin fine
pigment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001108148A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuzuru Fukuda
譲 福田
Yoshimi Tokita
好美 鴇田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2001108148A priority Critical patent/JP2002301857A/ja
Publication of JP2002301857A publication Critical patent/JP2002301857A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高画質を得られ、画像濃度が高く、かつ耐擦
性の良好なインクジェット記録方法、及び該方法に使用
する記録液を提供する。 【解決手段】 顔料と樹脂微粒子とワックス微粒子とを
含む記録液を用いるインクジェット記録方法であって、
前記記録液の顔料固形分、樹脂固形分、及びワックス固
形分の合計に対する顔料固形分の割合が20〜70質量
%であり、100%カバレッジ印字時における記録紙上
の単位面積当りの固形分付着量が0.2mg/cm2
上であるインクジェット記録方法、及び該記録方法に使
用する記録液である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気信号に応じて
インク(記録液)を吐出するインクジェット記録方法及
び記録液に関し、顔料と樹脂微粒子を含む記録液を用い
るインクジェット記録方法及び記録液に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は、低騒音であ
り且つ記録の高速化、高密度化及びカラー化が容易であ
る等の利点を有している。これらのインクジェット記録
用インク(記録液)としては安全性、信頼性、印字品質
等の理由により、水溶性染料を主成分として水溶性媒体
中に溶解させた水性インクが使用されているのが現状で
ある。しかし水溶性染料を用いた場合には耐光性が満足
できなかったり、水、雨等の水分が印字部分についた場
合には染料が溶けだして印字が汚れたり、文字部が流れ
たりするという課題を抱えている。
【0003】一方、筆記具においても同様の問題がある
ことから、上記問題を解決する為に、染料に代えて顔料
を用いたインクの提案がなされており、特開昭56−2
8256号公報には有機顔料に水に不溶の樹脂エマルジ
ョンを添加するインクが保存安定性や定着性を改良する
ために提案されている。しかし記録ヘッドに設けられた
微細なノズルから液体を吐出させて記録を行なうインク
ジェット記録方法に用いるインクは、粘度、表面張力等
の物性値が適当であること、溶解成分の溶解安定性が高
く微細なノズルを目詰まりさせないこと、記録画像の鮮
明さ(高画像品位)、被記録剤への定着速さ(速乾
性)、記録画像の耐光性、耐水性等の記録物の耐候性、
さらに環境や人体に対する安全性など、一般の万年筆や
ボールペンの様な文具用インクに比べると多くの特性で
より厳密な条件が要求されるため筆記具用のインクをそ
のまま使用できなかった。
【0004】そこで、インクジェットに顔料を使用する
場合には、その顔料を長期間安定に微分散させたり、印
字中もしくは印字中断後の再起動時にノズルの目詰まり
を防止したりして、吐出安定性を満足させるためにイン
クとして改良がなされている。例えば、特開平6−17
1072号公報には画質の信頼性を改良するためにイン
クに対する顔料と高分子分散剤とエマルジョンとを含
み、かつ、単位面積当たりの固形分量も制限している。
しかしながら、特開平6−171072号公報において
は、記録紙上の単位面積当たりの固形分付着量が5.3
×10-5〜5.5×10-4g/cm2(0.053mg
/cm2〜0.55cm2)と記載されているものの、固
形分中色剤(顔料)濃度に関する規定がないため、画像
濃度あるいは印字濃度(記録紙上の画像の光学濃度)
は、何ら決定し得ていない。また、上記固形分付着量範
囲の固形分をインク中に含有させると、飛翔安定性が低
下し、実際のプリンタでの安定的継続印字ができないと
いう欠点があった。
【0005】また、一般にインクジェット記録は印字密
度に対して必要とする線幅、ドット径を満足するインク
重量をそれぞれのインクに対して最適化し印字を行なう
が、最適化したインク重量であっても、記録紙上に付着
する単位面積当りの顔料、樹脂エマルジョンの固形分が
少ない場合には、高画像濃度化、高画質化を達成するこ
とができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の従来
の問題点に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達
成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、高画
質が得られ、画像濃度が高く、耐擦性の良好なインクジ
ェット記録方法、及び該方法に使用する記録液を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、紙種によ
らず印字ムラ、さらなる高印字品質化、耐擦性、及び飛
翔安定性の課題を解決する為に検討を重ねた結果、記録
紙に付着する固形分の合計量が印字ムラや印字濃度、さ
らにはに耐擦性に大きな影響を与えていることを見いだ
すとともに、ワックス成分の添加が飛翔安定性改善に効
果があることを見いだした。そして、記録液の固形分付
着量を0.2mg/cm2以上とすることにより、高画
像濃度が達成でき、高画質が得られることを見いだし本
発明を完成するに至った。即ち、本発明は、
【0008】<1> 顔料、樹脂微粒子、及びワックス
微粒子を含む記録液を用いるインクジェット記録方法で
あって、前記記録液の顔料固形分、樹脂固形分、及びワ
ックス固形分の合計に対する顔料固形分の割合が20〜
70質量%であり、かつ100%カバレッジ印画時にお
ける記録紙上の単位面積当りの固形分付着量が0.2m
g/cm2以上であることを特徴とするインクジェット
記録方法である。 <2> 前記記録液において、顔料が顔料微粒子の水分
散物からなること、樹脂微粒子が水性樹脂エマルジョン
からなること、及びワックス微粒子が水性ワックスエマ
ルジョンからなることを特徴とする前記<1>に記載の
インクジェット記録方法である。 <3> 前記記録液中の樹脂微粒子が2種類以上からな
ることを特徴とする前記<1>または<2>に記載のイ
ンクジェット記録方法である。 <4> 前記記録液中の樹脂微粒子が3種類以上からな
ることを特徴とする前記<1>から<3>のいずれかに
記載のインクジェット記録方法である。
【0009】<5> 樹脂微粒子の平均粒子径が0.0
1μm〜5μmであることを特徴とする前記<1>から
<4>のいずれかに記載のインクジェット記録方法に使
用する記録液である。 <6> 前記記録液中の顔料固形分、樹脂微粒子固形
分、およびワックス微粒子固形分の合計が5〜50質量
%であり、かつ樹脂微粒子固形分とワックス微粒子固形
分の合計に対する樹脂微粒子固形分の割合が、20〜8
0質量%であることを特徴とする前記<5>に記載の記
録液である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるインクジェッ
ト記録方法、及びそれに使用する記録液について詳細に
説明する。 [インクジェット記録方法]本発明のインクジェット記
録方法は、顔料、樹脂微粒子、及びワックス微粒子を含
む記録液を用いるインクジェット記録方法であって、該
記録液の顔料固形分、樹脂固形分、及びワックス固形分
の合計に対する顔料固形分の割合が20〜70質量%で
あり、かつ100%カバレッジ(Coverage)印
字時における記録紙上の単位面積当りの固形分付着量が
0.2mg/cm2以上であることを特徴とする。ここ
で、固形分付着量とは100%カバレッジ(Cover
age)で紙に印字後、20〜25℃(湿度は40〜6
0%RH)の環境で24時間放置して印字前の紙の重量
に対しての増加重量分を単位面積当りの重量に換算して
算出した値をいう。
【0011】顔料インクは、分散系であり従来より用い
ている染料系とは記録紙上での挙動が大きく異なってい
る。これは、記録紙上でインク(記録液)の乾燥工程に
ともない顔料の分散系が変化し、顔料の凝集が起こるこ
と、及び紙表面の微少な凹凸が顔料の紙への付着状態を
不均一にしていることに起因すると考えられる。そこで
本発明では、このような現象を防止するとともに、耐擦
性を良好にするため、単位面積当りの固形分量を0.2
mg/cm2以上とすることにより高画像濃度および高
画質を得、また、その高固形分量を目詰まり無く飛翔さ
せるため、顔料と樹脂微粒子とワックス微粒子とを含む
水性インク(記録液)を用いた。
【0012】本発明に用いる顔料としては、主溶媒であ
る水との親和性が良いものであれば使用でき、例えば、
白黒用としては、ファーネスブラック、チャンネルブラ
ック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントッブラ
ック7)類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブ
ラック)等の有機顔料が挙げられる。さらに、カラー用
としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、
13、14、17、24、34、35、37、42、5
3、55、81、83、95、97、98、100、1
01、104、108、109、110、117、12
0、138、153、C.I.ピグメントバイオレット
1、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピ
グメントッブルー1、2、15、15:1、15:2、
15:3、15:4、15:6、16等の顔料がある。
記録液中に含まれる顔料の含有率は、1〜50質量%が
好ましいが、1.5〜40質量%がより好ましい。これ
らの顔料をより均一に分散するためには、場合によって
ボールミルや超音波分散等で分散処理してもよい。
【0013】これらの顔料は記録液に対して1〜50質
量%が好ましいが、さらには、1.5〜40質量%が好
ましい。粒径として、10μm以下の顔料を用いるが、
さらには0.2μm以下の粒子からなる微粒子顔料を用
いることが好ましい。これらの顔料をより均一に分散す
るためには、ロールミル、サンドミル、ジェットミル、
超音波ホモジナイザー、ボールミルや超音波分散等の手
段が使用できる。
【0014】本発明に用いる樹脂微粒子、および/また
は樹脂エマルジョン中の樹脂微粒子としては、自己架橋
性の樹脂微粒子と、架橋剤の作用により架橋する非自己
架橋型架橋性樹脂微粒子と、非架橋性樹脂微粒子が挙げ
られる。自己架橋性の樹脂微粒子として、アクリルシリ
コーン系樹脂微粒子、アクリルアミド系樹脂微粒子等を
挙げることができ、この中では、高速画像形成に適する
高速造膜性及び形成された膜の強さの観点から、着色剤
を閉じ込めた強固なシロキサン架橋膜を迅速に形成可能
なアルコキシシリル基含有アクリルシリコーン系樹脂微
粒子が好ましい。アルコキシシリル基含有アクリルシリ
コーン系樹脂微粒子のアルコキシシリル基のアルキル
は、好ましくは炭素数が1個〜3個のアルキルであり、
より好ましくは炭素数が1個〜2個のアルキルである。
アクリル骨格としては、例えば、スチレン、ビニルトル
エン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタク
リル酸2−エチルヘキシル、酢酸ビニル、アクリロニト
リル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタク
リル酸、アクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−
ヒドロキシエチル、アクリルアミド、N−メチロールア
クリルアミド、メタクリル酸グリシジル等をモノマーと
する重合体及び共重合体を挙げることができる。
【0015】非架橋性の樹脂微粒子及び非自己架橋型架
橋性樹脂微粒子としては、フッ素系樹脂微粒子、アクリ
ル系樹脂微粒子、ポリエステル系樹脂微粒子、酢酸ビニ
ル系樹脂微粒子、塩化ビニル系樹脂微粒子、スチレン−
ブタジエン重合体系樹脂微粒子、ポリウレタン系樹脂系
樹脂微粒子、ポリスチレン系樹脂微粒子、酢酸ビニル−
アクリル共重合体系樹脂微粒子、酢酸ビニル−アクリル
アミド共重合体系樹脂微粒子、エチレン−酢酸ビニル共
重合体樹脂、エポキシ樹脂系樹脂微粒子、ポリアミド樹
脂系樹脂微粒子、及びシリコーン系樹脂微粒子等を挙げ
ることができる。上記のうち、非架橋性の樹脂微粒子と
しては、特に、フッ素系樹脂微粒子が、造膜性すなわち
画像形成性に優れ、かつ高撥水性、高耐水性、高耐候性
を備えているため有用である。特に、フルオロオレフィ
ン単位を有するフッ素系樹脂微粒子などが有用である。
より具体的には、フルオロオレフィン単位およびビニル
エーテル単位から構成される含フッ素ビニルエーテル系
樹脂微粒子が効果的に使用できる。ここでフルオロオレ
フィン単位は、−CF2CF2−、−CF2CF(CF3
−、−CF2CFCl−から選ばれた化合物である。ま
たビニルエーテル単位は、−CH2CH(OCH3)−、
−CH2CH(OC25)−、−CH2CH(OC37
−、−CH2CH(OC49)−、−CH2CH(OC5
11)−、−CH2CH(OCH2OH)−、−CH2
H(OC24OH)−、−CH2CH(OC36OH)
−、−CH2CH(OC48OH)−、−CH2CH(O
510OH)−、−CH2CH(OCH2COOH)
−、−CH2CH(OC24COOH)−、−CH2CH
(OC36COOH)−、−CH2CH(OC48CO
OH)−、−CH2CH(OC510COOH)−、−C
HCH3CH(OCH3)−、−CHCH3CH(OC2
5)−、−CHCH3CH(OC37)−、−CHCH 3
CH(OC49)−、−CHCH3CH(OC511
−、−CHCH3CH(OCH2OH)−、−CHCH3
CH(OC24OH)−、−CHCH3CH(OC36
OH)−、−CHCH3CH(OC48OH)−、−C
HCH3CH(OC5 10OH)−、−CHCH3CH
(OCH2COOH)−、−CHCH3CH(OC24
OOH)−、−CHCH3CH(OC36COOH)
−、−CHCH3CH(OC48COOH)−、−CH
CH3CH(OC510COOH)−等である。フルオロ
オレフィン単位とビニルエーテル単位を完全に交互に組
合せた交互共重合体が好ましい。
【0016】2種類以上の樹脂微粒子の組み合わせは任
意であり、特に紙上画像形成能の一層増加の観点からは
自己架橋性樹脂微粒子と非架橋性樹脂の組み合わせ、ま
た印字安定性の一層増加の観点からは非架橋性樹脂同志
の組み合わせの選択が、所望の印字プリンタの機能ある
いは性能に合わせて適宜可能である。
【0017】記録ヘッドから飛翔した記録液の液滴が記
録紙に付着した直後から、記録液中の水分の蒸発と紙へ
の浸透に伴い、架橋性樹脂微粒子あるいは非架橋性樹脂
微粒子の膜化(造膜)が進行し、これにより、記録液の
滲みや浸透が防止され、樹脂とその中に分散し閉じ込め
られた着色剤とからなる高濃度でかつ高い耐水性のある
画像を、紙などの記録体上に形成することが可能にな
る。
【0018】記録液中に2種類以上の異なる樹脂微粒子
が含まれると、記録液中で、ある樹脂微粒子の周囲(最
近接配位位置)にこの樹脂微粒子と同種の樹脂微粒子が
存在する確率が減少する。これにより同種樹脂微粒子同
士の接近及び衝突確率が減少し、同種樹脂微粒子同士の
接近から衝突、融着を経て、造膜に至る一連のプロセス
が阻害され(配位効果)、目詰まりが防止される。ま
た、記録液中に同種樹脂微粒子のみが存在する場合よ
り、異種樹脂微粒子が存在する場合の方が粒子間引力が
働きにくくなる(反発力が働き易くなる)ので、互いに
樹脂微粒子の接近が妨げられ、樹脂微粒子同士の衝突確
率が減少し(粒子間反発力効果)、このため上記と同様
樹脂微粒子同士の接近から衝突、融着を経て、造膜に至
る一連のプロセスが阻害され、目詰まりが防止される。
さらに、目詰まり防止に関しては、同種微粒子間の粒径
及び形状等の差より異種微粒子間の粒径及び形状等の差
の方が大きいと考えられ、ある樹脂微粒子の周囲に、こ
の樹脂微粒子の粒径、形状等と大きく異なる粒径、形状
等を有する異種の樹脂微粒子が存在することによって、
同程度の粒径、形状等を有する微粒子のみが存在する場
合と比べて、同種、異種の樹脂微粒子同士の接近が妨害
され(幾何構造効果)、上記と同様に目詰まりが防止さ
れるとも考えられる。
【0019】記録液中に含有する異なる樹脂微粒子を2
種類以上とすることにより、同種樹脂同志の接近が抑制
され、本発明の効果である樹脂固形分高含有化による画
像の高濃度化、高画質化と目詰まり回避の両立は十分に
達成し得るものであるが、特に3種類以上とすることに
より、前述した最近接配位位置に同種樹脂微粒子の存在
する確率が一層減少し(配位効果の促進)、また粒子間
引力が一層働きにくくなるなどのため、目詰まりの発生
をより効果的に防止できる。樹脂微粒子を球形と仮定し
た場合、粒子を最密充填した時の、ある粒子の回りに近
接し等距離に存在する粒子の数いわゆる最近接粒子数
(配位数)は12となる。従って、樹脂微粒子種類数の
上限の最適値は12と考えられ、さらに確率的な振れの
幅を考慮して、樹脂微粒子種類数の上限は12種類プラ
ス6種類の18種類までとすることが好ましい。従っ
て、本発明における記録液中に含有される異なる種類の
樹脂微粒子の合計数は、基本的に2種類以上で上限は特
にないものであるが、より好適には、配位効果による同
種樹脂微粒子同志の接近および衝突確率減少の観点から
2種類以上18種類以下が好ましく、一層さらに好適に
は3種類以上12種類以下が望ましい。この場合、樹脂
微粒子の種類数として、同じ系であっても変性の仕方な
どの違いにより樹脂微粒子分散液の特性、すなわち最低
成膜温度、ガラス転移点、イオン性、pH、及び重量平
均分子量などのいずれか一つ以上の特性が異なれば別の
種類の樹脂微粒子と考える。
【0020】本発明に用いるワックスとしては、天然ワ
ックスおよび合成ワックスを挙げることができる。天然
ワックスとしては、石油系ワックスであるパラフィンワ
ックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム
等、あるいは植物系ワックスであるカルナバワックス、
キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウ等、さ
らにまた動物植物系ワックスであるラノリン、みつろう
等を挙げることができる。また合成ワックスとしては、
合成炭化水素系ワックスであるポリエチレンワックス、
フィッシャー・トロブシュワックス等、あるいは変性ワ
ックス系であるパラフィンワックス誘導体、モンタンワ
ックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等
を挙げることができる。これらワックスの内、石油系ワ
ックスとしてパラフィンワックスは、炭素数20〜40
の炭化水素を主成分とするもので、その使用は、パラフ
ィンワックスの特性としての、画像の光沢感や、吐出口
先端での水分の系外蒸発防止、水分保留(保存)のため
の閉塞効果がすぐれている点で好ましい。また、合成炭
化水素系ワックスとしてポリエチレンワックスの使用
は、本件発明のもう一方の主成分である樹脂との相溶性
が優れ、よって均質で良好な画像を形成しやすい点で好
ましい。さらに、ポリエチレンワックスは変性し易い利
点を有する点で好ましい。その一例として、グリコール
変性ポリエチレンワックスの使用は、グリコールに起因
する湿潤性の付与により、吐出口先端での記録液の自己
湿潤性効果を誘引でき、よって目詰まり防止が一層効果
的に出来る点でより好ましい。
【0021】以上の記録液中の顔料は顔料微粒子の水分
散物とし、樹脂微粒子は水性樹脂エマルジョンとしする
ことが好ましい。ワックス微粒子は、省エネルギーの観
点から画像形成に熱エネルギーを使用しないため固体ワ
ックスではなく、液体の形態をとるワックスエマルジョ
ン、特に、水性ワックスエマルジョンとして使用するこ
とが好ましい。
【0022】本発明に用いる水には、イオン交換水、超
純水、蒸留水、限外濾過水を使用することが好ましい。
その他必要に応じて、リン酸二水素カリウム、リン酸二
水素ナトリウム等のpH調節剤、防カビ、防腐、防錆等
の目的で安息香酸、ジクロフェン、ヘキサクロロフェ
ン、ソルビンン酸等を記録液に添加することができる。
さらに必要に応じて、ジエチレングリコール、グリセリ
ンなどの湿潤剤等の各種一般添加剤を記録液に加えても
よい。その他、必要に応じて記録液の物性を調節するた
めの粘度調整剤、表面張力調整剤等を添加することがで
きる。
【0023】また、上記成分によって調製された記録液
は、目詰まりの原因となる粗大粒子や異物を除去する為
に、金属フィルター、メンブレンフィルター等を用いた
減圧及び加圧濾過や遠心分離を行うことが望ましい。
【0024】[記録液]本発明の記録液は、以上の本発
明のインクジェット記録方法に使用する記録液であっ
て、以上に説明した記録液の構成の他、樹脂微粒子の平
均粒子径が、0.01μm〜5μmであることを特徴と
する。該樹脂微粒子の平均粒子径は、0.05μm〜3
μmであることがより好ましい。樹脂微粒子の平均粒子
径が0.01μm未満であると造膜性が悪く、また5μ
mを超えると光学濃度(画像濃度)が低下する。
【0025】本発明の記録液において、記録液中の顔料
固形分、樹脂微粒子固形分およびワックス微粒子固形分
の合計が、5〜50質量%であることが好ましく、10
〜40質量%の範囲であることがより好ましく、15〜
35質量%の範囲であることがさらに好ましい。5質量
%未満になると画像の光学濃度が低くなり画質が低下す
ることがあり、50質量%を超えると吐出安定性が低下
することがある。さらに、記録液中の樹脂微粒子固形分
とワックス樹脂微粒子固形分の合計に対する樹脂微粒子
固形分の割合は、20〜80質量%であることが好まし
く、10〜60質量%の範囲であることがより好まし
い。10質量%未満になると吐出安定性が低下する懸念
があり、また70質量%を超えると画像の機械的強度が
低下し、またワックスによるブロッキングが生じ易くな
る。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。まず本実施例
に用いる記録液の組成を以下に示す。組成比の数値は、
水性溶媒以外は固形分換算量でありすべて質量%であ
る。
【0027】[実施例1]本実施例の記録液は以下のよ
うにして調製した。即ち、水系銅フタロシアニン系顔料
(ピグメントブルー15:3)分散液(大日精化工業製
EP−700、固形分=35%)26質量部と、水及
びメトキシシリル基を有するアクリルシリコン樹脂微粒
子(平均粒子径=0.1〜0.2μm)を含む樹脂分散
液(固形分=35%、三洋化成工業社製、商品名:SW
−131)25質量部と、水及びフルオロオレフィンと
ビニルエーテルの乳化重合により作製された含フッ素ビ
ニルエーテル系樹脂微粒子(平均粒子径:0.15μ
m)を含む樹脂分散液(固形分=50%、旭硝子社製、
商品名:FE−3000)16質量部と、グリコール変
性ポリエチレンワックスエマルジョン(三洋化成工業製
KUE−100、固形分=20%)40質量部とを添加
し、撹拌して均一に混合させた。その後、この混合液を
孔径5μmのメンブランフィルターにてろ過して、ゴミ
及び粗大粒子を除去し、記録液中顔料(着色剤)濃度
{=顔料固形分×100/記録液(液体)全量}が9質
量%、固形分中顔料(着色剤)濃度{=顔料固形分×1
00/(顔料固形分+樹脂微粒子固形分+ワックス固形
分合計)}が30質量%、記録液中樹脂微粒子全固形分
濃度{=(樹脂微粒子固形分合計+ワックス固形分)×
100/記録液全量}が21質量%の記録液を得た。
【0028】このようにして調製した記録液を、ドット
密度360dpi(dots per inch)の市
販のピエゾ方式インクジェットプリンターを用いて、1
00%カバレッジ(Coverage)で普通紙(富士
ゼロックス、J紙)に印字後、22℃(湿度は55%R
H)の環境で24時間放置した。その後印字前の紙の重
量に対しての増加重量分を単位面積当りの重量に換算し
て算出した所、単位面積当りの固形分付着量は、0.2
mg/cm2であり、その時の光学濃度は、1.2と高
いものであった。また、印字ムラは認められず、高画質
の画像が得られた。また、本印字サンプルに水を故意に
こぼし、耐水性を評価した。その結果、水による画像の
滲み、着色剤の広がりは認められず、本実施例に係る印
字画像が耐水性の高いものであることがわかった。
【0029】[比較例1]実施例1と同様にして作製し
た記録液を、等量の水で希釈して、記録液の単位体積中
の固形分含有量を相対的に減少させた。このようにして
作製した記録液を、実施例1と同様のドット密度360
dpi(dots per inch)の市販のピエゾ
方式インクジェットプリンターを用いて、100%カバ
レッジ(Coverage)で普通紙(富士ゼロック
ス、J紙)に印字後、22℃(湿度は55%RH)の環
境で24時間放置した。その後印字前の紙の重量に対し
ての増加重量分を単位面積当りの重量に換算して算出し
た所、単位面積当りの固形分付着量は、0.1mg/c
2であり、その時の光学濃度は、0.5と低いもので
あった。また、一部に印字ムラが認められ、画質の低い
ものであった。
【0030】[実施例2]第1の樹脂微粒子として、フ
ッ素樹脂微粒子の水分散液(旭硝子製FE−4400、
固形分=50%)5.0質量部と、第2の樹脂微粒子と
して、側鎖にカルボキシル基を付加した変性ポリエステ
ル樹脂微粒子の水分散液(高松油脂製A−215G、固
形分=30%) 8.4質量部と、第3の樹脂微粒子と
して、側鎖にカルボキシル基を付加した変性ポリエステ
ル樹脂微粒子の水分散液(高松油脂製A−115G、固
形分=25%) 10.1質量部と、第4の樹脂微粒子
として、側鎖にカルボキシル基を付加した変性ポリエス
テル樹脂微粒子の水分散液(高松油脂製A−515G、
固形分=30%)8.4質量部と、第5の樹脂微粒子と
して、水及び変性スチレン−ブタジエン共重合体樹脂微
粒子を含む樹脂分散液(固形分=48%、住化エイビー
エス・ラテックス社製、商品名:SN−348)5.3
質量部と、グリコール変性ポリエチレンワックスエマル
ジョン(三洋化成工業製KUE−100、固形分=20
%) 13.0質量部と、パラフィンワックスエマルジ
ョン(三洋化成工業製KUE−11、固形分=31%)
8.1質量部と、水系銅フタロシアニン系顔料(ピグ
メントブルー15:3)分散液(大日精化工業製EP−
700、固形分=35%)21.7質量部と、ジエチレ
ングリコール20質量部とを攪拌しながら均一に混合し
て、記録液中顔料濃度(顔料固形分×100/記録液全
量)が7.6質量%、固形分中顔料濃度(顔料固形分×
100/(顔料固形分+樹脂微粒子固形分+ワックス固
形分合計))が30質量%、記録液中樹脂微粒子および
ワックス合計固形分濃度((樹脂微粒子固形分合計+ワ
ックス固形分合計×100)/記録液全量)が17.7
質量%の記録液を作製した。
【0031】このようにして作製した記録液を、ドット
密度360dpi(dots per inch)の市
販のピエゾ方式インクジェットプリンターを用いて、1
00%カバレッジ(Coverage)で普通紙(富士
ゼロックス、J紙)に印字後、22℃(湿度は55%R
H)の環境で24時間放置した。その後印字前の紙の重
量に対しての増加重量分を単位面積当りの重量に換算し
て算出した所、単位面積当りの固形分付着量は、0.4
mg/cm2であり、その時の光学濃度は、1.3と高
いものであった。また、印字ムラは認められず、高画質
の画像が得られた。また、本印字サンプルに水を故意に
こぼし、耐水性を評価した。その結果、水による画像の
滲み、着色剤の広がりは認められず、本実施例に係る印
字画像が耐水性の高いものであることがわかった。
【0032】[比較例2]実施例2と同様にして作製し
た記録液を、その80%に相当する重量の水で希釈し
て、記録液の単位体積中の固形分含有量を相対的に減少
させた。このようにして作製した記録液を、実施例1と
同様のドット密度360dpi(dotsper in
ch)の市販のピエゾ方式インクジェットプリンターを
用いて、100%カバレッジ(Coverage)で普
通紙(富士ゼロックス、J紙)に印字後、22℃(湿度
は55%RH)の環境で24時間放置した。その後印字
前の紙の重量に対しての増加重量分を単位面積当りの重
量に換算して算出した所、単位面積当りの固形分付着量
は、0.12mg/cm2であり、その時の光学濃度
は、0.75と低いものであった。また、一部に印字ム
ラが認められ、画質の低いものであった。
【0033】[実施例3]第1の樹脂微粒子として、フ
ッ素樹脂微粒子の水分散液(旭硝子製FE−4400、
固形分=50%)9.8質量部と、第2の樹脂微粒子と
して、側鎖にカルボキシル基を付加した変性ポリエステ
ル樹脂微粒子の水分散液(高松油脂製A−215G、固
形分=30%) 16.6質量部と、第3の樹脂微粒子
として、水及び変性スチレン−ブタジエン共重合体樹脂
微粒子を含む樹脂分散液(固形分=48%、住化エイビ
ーエス・ラテックス社製、商品名:SN−348)1
0.3質量部と、パラフィンワックスエマルジョン(三
洋化成工業製KUE−11、固形分=31%) 15.
9質量部と、ジメチルキナクリドン系顔料(ピグメント
レッド−122)分散液(大日精化工業製EP−100
0、固形分=31%)27.5質量部と、ジエチレング
リコール20質量部とを攪拌しながら均一に混合して、
記録液中顔料濃度(顔料固形分×100/記録液全量)
が8.5質量%、固形分中顔料濃度(顔料固形分×10
0/(顔料固形分+樹脂微粒子固形分+ワックス固形分
合計))が30質量%、記録液中樹脂微粒子およびワッ
クス合計固形分濃度((樹脂微粒子固形分合計+ワック
ス固形分合計×100)/記録液全量)が19.7質量
%の記録液を作製した。
【0034】このようにして作製した記録液を、ドット
密度360dpi(dots per inch)の市
販のピエゾ方式インクジェットプリンターを用いて、1
00%カバレッジ(Coverage)で普通紙(富士
ゼロックス、J紙)に印字後、22℃(湿度は55%R
H)の環境で24時間放置した。その後印字前の紙の重
量に対しての増加重量分を単位面積当りの重量に換算し
て算出した所、単位面積当りの固形分付着量は、0.6
mg/cm2であり、その時の光学濃度は、1.35と
高いものであった。また、印字ムラは認められず、高画
質の画像が得られた。また、本印字サンプルに水を故意
にこぼし、耐水性を評価した。その結果、水による画像
の滲み、着色剤の広がりは認められず、本実施例に係る
印字画像が耐水性の高いものであることがわかった。
【0035】[比較例3]実施例3と同様にして作製し
た記録液を、その75%に相当する重量の水で希釈し
て、記録液の単位体積中の固形分含有量を相対的に減少
させた。このようにして作製した記録液を、実施例1と
同様のドット密度360dpi(dotsper in
ch)の市販のピエゾ方式インクジェットプリンターを
用いて、100%カバレッジ(Coverage)で普
通紙(富士ゼロックス、J紙)に印字後、22℃(湿度
は55%RH)の環境で24時間放置した。その後印字
前の紙の重量に対しての増加重量分を単位面積当りの重
量に換算して算出した所、単位面積当りの固形分付着量
は、0.14mg/cm2であり、その時の光学濃度
は、0.95と低いものであった。また、一部に印字ム
ラが認められ、画質の低いものであった。
【0036】以上の実施例1〜3、及び比較例1〜3に
おける固形分付着量に対する光学濃度を図1のグラフに
示す。図1のグラフは、縦軸が光学濃度を示し、横軸が
前記固形分付着量(mg/cm2)を示す。図1より、
固形分付着量を2g/cm2以上とすることにより、一
定以上の光学濃度を達成することができることが明らか
である。
【0037】
【発明の効果】本発明によると、高画質が得られ、画像
濃度が高く、耐擦性の良好なインクジェット記録方法、
及び該方法に使用する記録液を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 固形分付着量に対する光学濃度の変化をグラ
フで示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA13 FC02 2H086 BA03 BA55 BA59 BA60 BA62 4J039 AB12 AD01 AD04 AD06 AD09 AD12 AE11 BA04 BB01 BC02 BE01 CA06 EA36 GA24

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顔料、樹脂微粒子、及びワックス微粒子
    を含む記録液を用いるインクジェット記録方法であっ
    て、 前記記録液の顔料固形分、樹脂固形分、及びワックス固
    形分の合計に対する顔料固形分の割合が20〜70質量
    %であり、かつ100%カバレッジ印画時における記録
    紙上の単位面積当りの固形分付着量が0.2mg/cm
    2以上であることを特徴とするインクジェット記録方
    法。
  2. 【請求項2】 前記記録液において、顔料が顔料微粒子
    の水分散物からなること、樹脂微粒子が水性樹脂エマル
    ジョンからなること、及びワックス微粒子が水性ワック
    スエマルジョンからなることを特徴とする請求項1に記
    載のインクジェット記録方法。
  3. 【請求項3】 前記記録液中の樹脂微粒子が2種類以上
    からなることを特徴とする請求項1または2に記載のイ
    ンクジェット記録方法。
  4. 【請求項4】 前記記録液中の樹脂微粒子が3種類以上
    からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1
    項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 【請求項5】 樹脂微粒子の平均粒子径が0.01μm
    〜5μmであることを特徴とする請求項1から4のいず
    れか1項に記載のインクジェット記録方法に使用する記
    録液。
  6. 【請求項6】 前記記録液中の顔料固形分、樹脂微粒子
    固形分、およびワックス微粒子固形分の合計が5〜50
    質量%であり、かつ樹脂微粒子固形分とワックス微粒子
    固形分の合計に対する樹脂微粒子固形分の割合が、20
    〜80質量%であることを特徴とする請求項5に記載の
    記録液。
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