JP2002233862A - 工場排水の処理方法 - Google Patents
工場排水の処理方法Info
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Abstract
化による(メタ)アクリル酸エステルの製造工程で発生
するCOD濃度が高くかつアルカリ金属を含有する排水
を、低コストで燃焼処理する方法の提供。 【解決手段】 熱交換器の熱源として廃液燃焼炉から発
生する排ガスをまた被加熱物質として(メタ)アクリル
酸エステルの製造工程から排出される有機物質を含む排
水をそれぞれ熱交換器に供給し、前記排水に含まれる水
分の一部を気化させて排水中の有機物を濃縮した後、有
機物の濃縮された排水を前記燃焼炉で燃焼するととも
に、前記濃縮工程で気化した水蒸気を凝縮させて工場用
水として再使用することを特徴とする工場排水の処理方
法。
Description
酸とアルコールのエステル化反応による(メタ)アクリ
ル酸エステルの合成およびその蒸留工程等において発生
するCODを高濃度に含有する排水の処理方法に関する
ものである。本発明においては、燃焼処理すべき排水を
加熱、濃縮し、濃縮された排水を燃焼炉で燃焼するが、
その際に発生する熱を前記排水の濃縮に利用するととも
に該濃縮で蒸発する水蒸気を液化させ工場用水として再
使用する。
製造工場においては、通常プロピレンの気相接触反応に
よるアクリル酸の製造、該アクリル酸とアルコールのエ
ステル化によるアクリル酸エステルの製造およびアクリ
ル酸、アクリル酸エステルの蒸留等の操作が行われてい
る。それぞれの工程からは有機物を含む排水が発生し、
従来よりその低コストの処理方法が検討されていた。プ
ロピレンを気相接触酸化させてアクリル酸を製造する工
程においては、気体状アクリル酸を水に吸収させて捕集
した後、アクリル酸吸収水溶液から水を分離してアクリ
ル酸を得ることが行われ、この工程からは、アクリル
酸、酢酸、アクロレイン、アセトンおよびアセトアルデ
ヒド等を高濃度(約1〜2重量%)に含む排水が多量に
発生する。また、エステル化反応においてはエステルと
水が化学量論的に発生するほか、硫酸、パラトルエンス
ルホン酸等の酸をエステル化触媒として使用するエステ
ル化方法の場合、未反応のアクリル酸や酸触媒を水酸化
ナトリウム水溶液等によって中和しさらには必要により
水洗する工程があり、その結果アクリル酸ソーダ、硫酸
ソーダを含む排水が発生する。さらに、アクリル酸エス
テルの蒸留工程等においては、通常蒸留が減圧下に行わ
れるためにそこで使用されるスチームエジェクター等か
らも多量の水が排出される。
によって工場排水基準を上回る水準にまで浄化された
後、環境に放出される。企業としては当然のことながら
低コストな排水処理方法を採用したく、アクリル酸、ア
クリル酸エステルの製造工場において発生する排水の総
合的な処理方法に関して、いくつかの提案がある(特開
昭53−140872号、特開昭53−142057号
等)。例えば、特開昭53−140872号において
は、排水をまず蒸留塔に導き、そこで低沸点の有機物の
除去を行い、高沸点の不純物を含む排水を蒸発缶に導き
そこで水分を蒸発させる。それによって高沸点の不純物
の濃縮された排水を焼却炉で焼却するが、ここで発生す
る熱を前記蒸発缶の熱源として利用するとともに蒸発缶
から発生する水蒸気は凝縮させて工場用水として再使用
するという処理方法が提案されている。
載の発明においては、低沸点の有機物および不揮発性化
合物の双方を高濃度にを含む排水を処理の対象にするた
め、低沸点有機物の除去のための蒸留操作が必要であ
り、その点で処理コストが高いという問題があった。こ
の処理方法における高コストの原因は、工場の各所で発
生する排水を一つにまとめたことにあると推察される。
すなわち、低沸点有機物をほとんど含有しない排水だけ
を処理するのであれば、低沸点有機物を除去するための
蒸留操作は不要になり、それだけ排水処理のための運転
コストは削減できる。
(メタ)アクリル酸とアルコールのエステル化以降の工
程において発生するCOD濃度が高くかつアルカリ金属
を含有する排水を低コストで燃焼処理する方法を提供す
る。
酸、アクリル酸エステルの製造工場の各所において発生
する排水を一つにまとめて処理するのでなく、個別の排
水に対して排水の内容に合った処理方法を適用すること
により、設備費および運転コストの合計額において低減
できること見出し、本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は、熱交換器の熱源として廃液燃焼炉から発
生する排ガスをまた被加熱物質として(メタ)アクリル
酸エステルの製造工程から排出される有機物質を含む排
水をそれぞれ熱交換器に供給し、前記排水に含まれる水
分の一部を気化させて排水中の有機物を濃縮した後、有
機物の濃縮された排水を前記燃焼炉で燃焼するととも
に、前記濃縮工程で気化した水蒸気を凝縮させて工場用
水として使用することを特徴とする工場排水の処理方法
である。以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
しては、(メタ)アクリル酸とアルコールのエステル化
以降の工程において発生するCOD濃度が高くかつアル
カリ金属を含有する排水が好ましい。処理対象の排水の
COD濃度は、通常数千〜数万ppmである。COD濃
度が低くまたアルカリ金属を含まない排水は、焼却より
安価な活性汚泥法または湿式酸化法等の処理方法が適用
可能であるのに対して、前記の排水は燃焼処理以外に適
当な処理方法がないのが現状である。かかる排水の代表
例としては、酸触媒を使用するエステル化反応の後に行
う中和、水洗の工程で発生する硫酸ソーダ、アクリル酸
ソーダを主な含有物とする排水が挙げられる。勿論、上
記中和、水洗工程で発生する排水以外に、他の工程で発
生する廃液を含むものであっても本発明の対象となる。
る。燃焼炉101としては、特に制限はなく目的に適う
ものであればいずれも使用できるが、水中燃焼装置等が
好ましく使用できる。焼却炉101における燃焼室の頂
上から可燃性廃液および補助燃料を噴霧し、燃焼室の肩
口から焼却すべき高COD濃度の排水を吹き込み、高温
(900〜1000℃)で燃焼させる。可燃性廃液およ
び高COD濃度の排水を燃焼室に噴霧する際に、噴霧を
容易にするためにスチームまたは空気を使用してもよ
い。燃焼ガスは、燃焼炉の下部に設けられた水封部の水
中を通過させるかまたは水スプレー処理を行うことによ
り急冷させ、同ガス中に含まれる水蒸気の大半を液化さ
せる。そうすることにより燃焼ガスの量は格段に低減す
る。また、燃焼ガスは、硫黄酸化物などの除去のため
に、燃焼炉内において水酸化ナトリウム水溶液等のアリ
カル水溶液と接触させる。図面では省略しているが、ア
リカル水溶液は燃焼炉下部の水封部に送られるが、燃焼
処理される排水と混合して燃焼室に導入しても良い。燃
焼炉を出た燃焼ガスは、水分をほぼ飽和で含む100℃
に近いガスとなり、このガスは熱交換器102に導か
れ、そこにおいて燃焼処理すべき排水(配管8から熱交
換器102に導かれる)の濃縮のための熱源として使用
される。焼却炉の水封部の水はアルカリ水溶液になって
おり、その量は、上記の廃液および排水処理の運転を行
う結果徐々に増えてくるが、増加分に見合う程度の量を
抜き出し、中和後に、工場外に排出される。
器例えば多管式熱交換器等が使用でき、COD濃度が数
千〜数万ppmの排水を熱交換器の塔頂から下方向きに
送り込み、濃縮された液を塔底の液層部に接続された配
管9から抜き出し、該液層部の上部にある気相部から配
管5により排水から発生した水蒸気を取り出す。処理対
象の排水として前記中和、洗浄の工程で発生する排水を
用いる場合、低沸点不純物の含有量が少ないために、配
管5から取り出される水蒸気には不純物が少なく、以後
蒸留等の操作を行わずに、工場用水として使用すること
ができる。すなわち、上記水蒸気は、セパレーター10
5で液化物質を分離した後、コンデンサー106で凝縮
させ工場用水として再使用する。
交換器に供給する排水量と配管9を経て液体のまま排出
される排水量の割合は、塩や不純物が析出しない範囲で
調整することが好ましく、処理排水がアクリル酸エステ
ルの製造に際して使用される酸触媒の中和・水洗液を主
体とする排水の場合には、通常2倍程度が上限である。
配管3を通って熱源として熱交換器に送られた燃焼排ガ
スは、上記排水の加熱のために熱を放出する。熱の放出
により排ガス中の水分の多くは凝縮し、配管4を経て燃
焼炉の水封部へ戻される。他方、熱交換器を通過した後
も気体状の成分は、ベンチュリスクラバー103で粉塵
などを除去された後、煙突104から放出される。
は燃焼炉101にて焼却されるが、燃焼温度を高温に維
持するために可燃廃液、補助燃料および当該排水の燃焼
炉への供給量は制御する必要がある。かかる制御のため
に、濃縮された排水は直接全量を燃焼炉に供給するので
なく、一旦排水タンク107に貯蔵することが好まし
い。
得られる水蒸気の凝縮水をアクリル酸またはアクリル酸
エステル製造の工場用水として使用するが、元の排水が
アクリル酸エステル製造工程における中和・水洗液を主
体とする排水である場合には、工程に悪影響を及ぼすこ
とが無い点で、凝縮液を再び中和・水洗で使用すること
が好ましい。
ルカリ金属を含有する排水を、環境中に有害物質を放出
することなくしかも低コストで処理することができる。
交換器102を主体とする排水の燃焼工程を示すフロー
チャートである。なお、1〜9はいずれも配管を示す。
Claims (3)
- 【請求項1】 熱交換器の熱源として廃液燃焼炉から発
生する排ガスをまた被加熱物質として(メタ)アクリル
酸エステルの製造工程から排出される有機物質を含む排
水をそれぞれ熱交換器に供給し、前記排水に含まれる水
分の一部を気化させて排水中の有機物を濃縮した後、有
機物の濃縮された排水を前記燃焼炉で燃焼するととも
に、前記濃縮工程で気化した水蒸気を凝縮させて工場用
水として再使用することを特徴とする工場排水の処理方
法。 - 【請求項2】 廃液燃焼炉の排ガス吹き出し口から放出
され後に水洗浄を受けた排ガスを加熱媒体として用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の工場排水の処理方
法。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の工場排
水の処理方法において得られる工場用水を(メタ)アク
リル酸エステルの製造における酸触媒の中和および/ま
たは水洗工程で用いることを特徴とする(メタ)アクリ
ル酸エステルの製造方法。
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