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JP2002220539A - 水分散型フッ素系共重合体組成物 - Google Patents

水分散型フッ素系共重合体組成物

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Publication number
JP2002220539A
JP2002220539A JP2001016731A JP2001016731A JP2002220539A JP 2002220539 A JP2002220539 A JP 2002220539A JP 2001016731 A JP2001016731 A JP 2001016731A JP 2001016731 A JP2001016731 A JP 2001016731A JP 2002220539 A JP2002220539 A JP 2002220539A
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JP
Japan
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group
water
polymer
monomer
surfactant
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JP2001016731A
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Shuichiro Sugimoto
修一郎 杉本
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】少量で優れた撥水撥油性を発現し、被処理物へ
の接着性が高く、かつ撥水撥油加工時の安定性に優れる
水分散型フッ素系共重合体組成物の提供。 【解決手段】水系媒体、ポリフルオロアルキル基を有す
る単量体の重合単位と、ポリフルオロアルキル基とカル
ボキシル基とを有さない単量体の重合単位とを含む共重
合体、および側鎖にアミノ基またはアンモニウム基を含
むポリアミン共重合体を含む水分散型フッ素系共重合体
組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被処理物へ撥水撥
油性を付与する水分散型フッ素系共重合体組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリフルオロアルキル基を含む付加重合
性の重合性単量体の重合単位を有する重合体を水系媒体
分散液とした撥水撥油剤を用いて繊維製品または紙等を
処理し、それらの表面に撥水撥油性や耐水耐油性を付与
する技術は、現在工業的に行われている。また、該水系
媒体分散液の製造方法は、重合体を水系媒体中に乳化剤
を用いて乳化分散して製造する方法や、付加重合性の重
合性単量体を用いて乳化重合により製造する方法が知ら
れている。これまでこれらの撥水撥油剤については、撥
水撥油性の向上とともに、洗濯や摩擦に対する耐久性の
向上や耐水耐油性の改良が行われてきた。また、ポリエ
ステル、ナイロンまたはアクリルなどの合成繊維、綿、
ウールまたは絹などの天然繊維等、種々の繊維に対する
適応性を向上させる技術が検討されている。これらを達
成するために特定の有機溶剤の使用、特定の単量体の使
用、特定の界面活性剤の使用等が提案されている。さら
に近年は、経済性の見地から少量で撥水撥油性、耐水耐
油性が付与できる効率的な撥水撥油剤、低い熱処理温度
で撥水撥油性、耐水耐油性が発現する撥水撥油剤、加工
効率の向上を目指して加工時に仕上り不良が発生せず、
加工条件に左右されない安定な撥水撥油剤に対する要望
が高まっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特開平6−49319
号公報では、含フッ素アクリル系重合体エマルションに
カチオン性水溶性高分子化合物を配合し、繊維等への接
着性を向上させる技術が開示されている。しかし、該重
合体にはカルボキシル基が含まれるため、カチオン性水
溶性高分子化合物と反応しやすく、加工安定性が不充分
であった。すなわち、撥水性と撥油性とを両立し、加工
時の安定性および被処理物への接着性を同時に確保する
ことは困難であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題を解
決するためになされたものであり、少量で撥水撥油性を
発現し、かつ撥水撥油加工時の安定性に優れた水分散型
フッ素系共重合体組成物を、特定のポリフルオロ基含有
共重合体と特定のポリアミン共重合体とを含む組成物と
することにより実現した。すなわち、本発明は下記の
(1)〜(4)に示す水分散型フッ素系共重合体組成物
である。 (1)水系媒体、下記重合体Aおよび下記重合体Bを含
む水分散型フッ素系共重合体組成物。 重合体A:ポリフルオロアルキル基と1個の重合性不飽
和基とを有する単量体の重合単位、およびポリフルオロ
アルキル基とカルボキシル基とを有さず1個以上の重合
性不飽和基を有する単量体の重合単位を含む共重合体。 重合体B:側鎖にアミノ基またはアンモニウム基を有す
るポリアミン共重合体。 (2)重合体Bが、下式1〜8で示される重合単位のい
ずれか1種以上を含むポリアミン共重合体である水分散
型フッ素系共重合体組成物。
【0005】
【化2】
【0006】式1〜8において、nは、それぞれ独立
に、1以上の正の整数を表し、X- は、それぞれ独立
に、アニオン残基を表す。 (3)コーティング用前処理、ボンディング用前処理ま
たはラミネート用前処理に用いる水分散型フッ素系共重
合体組成物。 (4)繊維、繊維織物または紙への処理に用いる水分散
型フッ素系共重合体組成物。
【0007】
【発明の実施の形態】本明細書においては、アクリレー
トとメタクリレートとを総称して(メタ)アクリレート
と記す。(メタ)アクリルアミド等の表記においても同
様である。また、本明細書においては、ポリフルオロア
ルキル基をRf 基と記す。本発明における重合体Aは、
f 基と1個の重合性不飽和基とを有する単量体の重合
単位、およびRf 基とカルボキシル基とを有さず1個以
上の重合性不飽和基を有する単量体の重合単位を含む共
重合体である。
【0008】本発明において、Rf 基とは、アルキル基
の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基をい
う。Rf 基の炭素数は2〜20が好ましく、特に6〜1
6が好ましい。Rf 基は、直鎖構造であっても分岐構造
であってもよく、直鎖構造が好ましい。分岐構造である
場合には、分岐部分がRf 基の末端部分に存在し、かつ
炭素数1〜4の短鎖であるのが好ましい。
【0009】Rf 基は、フッ素原子以外の他のハロゲン
原子を含んでいてもよい。他のハロゲン原子としては、
塩素原子が好ましい。また、Rf 基中の炭素−炭素結合
間には、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄
原子が挿入されていてもよい。Rf 基の末端部分の構造
としては、−CF2 CF3 、−CF(CF3 2 、−C
2 H、−CFH2 または−CF2 Cl等が挙げられ、
これらの中でも−CF 2 CF3 が好ましい。Rf 基中の
フッ素原子の数は、[(Rf 基中のフッ素原子数)/
(Rf 基と同一炭素数の対応するアルキル基中に含まれ
る水素原子数)]×100(%)で表現した場合に、6
0%以上が好ましく、特に80%以上が好ましい。
【0010】さらにRf 基は、アルキル基の水素原子の
全てがフッ素原子に置換された基(すなわちペルフルオ
ロアルキル基)、またはペルフルオロアルキル基を末端
部分に有する基が好ましい。ペルフルオロアルキル基の
炭素数は2〜20が好ましく、特に6〜16が好まし
い。ペルフルオロアルキル基の炭素数が少なすぎると撥
水性および撥油性が低下しやすく、ペルフルオロアルキ
ル基の炭素数が多すぎると取扱いが困難になるおそれが
ある。
【0011】Rf 基の具体例としては、以下の基が好ま
しく挙げられる。C4 9 −[F(CF2 4 −、(C
3 2 CFCF2 −、(CF3 3 C−、またはCF
3 CF2 (CF3 )CF−等の構造異性の基のいずれ
か]、 C 5 11−[たとえばF(CF2 5 −]、C
6 13−[たとえばF(CF2 6−]、C7 15
[たとえばF(CF2 7 −]、C8 17−[たとえば
F(CF2 8 −]、C9 19−[たとえばF(C
2 9 −]、C1021−[たとえばF(CF2
10−]、C1225−[たとえばF(CF2 12−]、C
1429−[たとえばF(CF2 14−]、C1633
[たとえばF(CF2 16−]、Cl(CF2 s
(sは1〜16の整数。)、H(CF2 t −(tは1
〜16の整数。)、(CF3 2 CF(CF2 y
(yは1〜14の整数。)等。
【0012】Rf 基が、炭素−炭素結合間にエーテル性
酸素原子、またはチオエーテル性硫黄原子が挿入された
基である場合の具体例としては、以下の基が好ましく挙
げられる。F(CF2 5 OCF(CF3 )−、F[C
F(CF3 )CF2 O]r CF(CF3 )CF2 CF2
−、F[CF(CF3 )CF2 O]r CF(CF3
−、F[CF(CF3 )CF2 O]u CF2 CF2 −、
F(CF2 CF2 CF2 O) v CF2 CF2 −、F(C
2 CF2 O)w CF2 CF2 −、F(CF2 5 SC
F(CF3 )−、F[CF(CF3 )CF2 S]r CF
(CF3 )CF2 CF 2 −、F[CF(CF3 )CF2
S]r CF(CF3 )−、F[CF(CF3 )CF
2 S]u CF2 CF2 −、F(CF2 CF2 CF2 S)
v CF2 CF2 −、F(CF2 CF2 S)w CF2 CF
2 −(ここで、rは独立に1〜10の整数、uは独立に
2〜6の整数、vは独立に1〜11の整数、wは独立に
1〜11の整数を示す。)等。
【0013】本発明における重合体Aは、Rf 基と1個
の重合性不飽和基とを有する単量体(a1 )の重合単
位、およびRf 基とカルボキシル基とを有さず1個以上
の重合性不飽和基を有する単量体(a2 )の重合単位を
含む共重合体であれば特に限定されない。重合性不飽和
基としては、オレフィン類の残基、ビニルエーテル類の
残基、ビニルエステル類の残基、(メタ)アクリレート
類の残基、スチレン類の残基等が挙げられる。Rf 基と
1個の重合性不飽和基とを有する単量体としては、Rf
基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。
【0014】重合体Aに含まれるRf 基を有する(メ
タ)アクリレートとは、Rf 基が(メタ)アクリレート
のアルコール残基部分に存在する化合物をいう。Rf
を有する(メタ)アクリレートとしては、下式a11で表
される化合物が好ましく挙げられる。ただし、式a11
おいてRf はRf 基、Qは2価の有機基、Rは水素原子
またはメチル基を示す。 Rf −Q−OCOCR=CH2 ・・・式a11 式a11におけるRf としては、上記において例示したR
f 基であればいずれであってもよいが、中でも、エーテ
ル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子を含まない
f 基が好ましく、特にペルフルオロアルキル基が好ま
しく、とりわけ直鎖構造のペルフルオロアルキル基が好
ましい。直鎖構造のペルフルオロアルキル基としては、
−(CF2 m F(ただし、mは1〜16の整数であ
り、4〜16の整数が好ましく、特に6〜12の整数が
好ましい。)で表される基が好ましい。
【0015】式a11におけるQとしては、−(CH2
p+q −、−(CH2 p CONRa(CH2 q −、−
(CH2 p OCONRa (CH2 q −、−(C
2 pSO2 NRa (CH2 q −、−(CH2 p
NHCONH(CH2 q −、−(CH2 p CH(O
H)(CH2 q −、−(CH2 p CH(OCO
a )(CH2 q −等が好ましく挙げられる。ただ
し、Ra は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を
示す。また、pおよびqはそれぞれ独立に0以上の整数
を示し、p+qは1〜22の整数である。
【0016】特に、式a11におけるQは、−(CH2
p+q −、−(CH2 p CONRa(CH2 q −、ま
たは−(CH2 p SO2 NRa (CH2 q −であ
り、かつ、qが2以上の整数であり、かつp+qが2〜
6である場合が好ましく、p+qが2〜6である場合の
−(CH2 p+q −(すなわち、エチレン基、トリメチ
レン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサ
メチレン基)である場合がさらに好ましい。また、式a
11において、Qと結合するRf の炭素原子には、フッ素
原子が結合しているのが好ましい。
【0017】Rf 基を有する(メタ)アクリレートとし
ては、具体的には、下記化合物が好ましく挙げられる。
ただし、下記化合物中のRは水素原子またはメチル基を
示す。 F(CF2)5CH2OCOCR=CH2 、 F(CF2)6CH2CH2OCOCR=CH2、 H(CF2)6CH2OCOCR=CH2 、 H(CF2)8CH2OCOCR=CH2 、 H(CF2)10CH2OCOCR=CH2、 H(CF2)8CH2CH2OCOCR=CH2、 F(CF2)8CH2CH2CH2OCOCR=CH2 、 F(CF2)8CH2CH2OCOCR=CH2、 F(CF2)10CH2CH2OCOCR=CH2 、 F(CF2)12CH2CH2OCOCR=CH2 、 F(CF2)14CH2CH2OCOCR=CH2 、 F(CF2)16CH2CH2OCOCR=CH2 、 (CF3)2CF(CF2)4CH2CH2OCOCR=CH2 、 (CF3)2CF(CF2)6CH2CH2OCOCR=CH2 、 (CF3)2CF(CF2)8CH2CH2OCOCR=CH2 、 F(CF2)8SO2N(C3H7)CH2CH2OCOCR=CH2、 F(CF2)8(CH2)4OCOCR=CH2、 F(CF2)8SO2N(CH3)CH2CH2OCOCR=CH2 、 F(CF2)8SO2N(C2H5)CH2CH2OCOCR=CH2、 F(CF2)8CONHCH2CH2OCOCR=CH2、 (CF3)2CF(CF2)5CH2CH2CH2OCOCR=CH2、 (CF3)2CF(CF2)5CH2CH(OCOCH3)OCOCR=CH2、 (CF3)2CF(CF2)5CH2CH(OH)CH2OCOCR=CH2 、 (CF3)2CF(CF2)7CH2CH(OH)CH2OCOCR=CH2 、 F(CF2)9CH2CH2OCOCR=CH2、 F(CF2)9CONHCH2CH2OCOCR=CH2
【0018】重合体A中には、上記のRf 基を有する
(メタ)アクリレートの重合単位を1種単独で、または
2種以上含むのが好ましい。Rf 基を有する(メタ)ア
クリレートの重合単位を2種以上含む場合には、炭素数
の異なるRf 基を有する(メタ)アクリレートの重合単
位を含むのが好ましい。
【0019】さらに重合体Aは、Rf 基と1個の重合性
不飽和基とを有する単量体(a1 )の重合単位ととも
に、Rf 基とカルボキシル基とを有さず1個以上の重合
性不飽和基を有する単量体(a2 )の重合単位を含む。
単量体(a2 )としては、Rf 基とカルボキシル基とを
有さない公知または周知の単量体が挙げられ、1種また
は2種以上の単量体(a2 )を組み合せて用いることが
できる。物性面からは、2種以上の単量体(a2 )を組
み合せて用いることが、被処理物への接着性が向上し、
かつエマルションの機械的安定性が確保できるため好ま
しい。
【0020】単量体(a2 )としては、例えば、ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプ
ロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有す
る単量体(a2 )、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニ
リデン等のハロゲン原子を有する単量体(a2 )、カル
ボン酸ビニルエステル、カルボン酸アリルエステル等の
オキシカルボニル基を有する単量体(a2 )、ジアルキ
ルマレート等の2以上のカルボニルオキシ基を有する単
量体(a2 )、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メ
タ)アクリルアミド等のアミド基を有する単量体
(a2 )、ブロック化イソシアネート基含有(メタ)ア
クリレート等のブロック化イソシアネート基を有する単
量体(a2 )、グリシジル(メタ)アクリレート、アリ
ルグリシジルエーテル等のグリシジル基を有する単量体
(a2 )、アジリジニル(メタ)アクリレート、アジリ
ジニルアルキル(メタ)アクリレート等のアジリジニル
基を有する単量体(a2 )、ポリオキシアルキレンモノ
(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、ポリオキシ
アルキレンジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアル
キレン基を有する単量体(a2 )、ポリジメチルシロキ
サン基を有する(メタ)アクリレート等のポリジメチル
シロキサン基を有する単量体(a2 )、トリアリルシア
ヌレート等のシアヌレートエステル基を有する単量体
(a2 )、その他、置換アミノアルキル(メタ)アクリ
レート、アルアルキル(メタ)アクリレート、アルキル
ビニルエーテル、(置換アルキル)ビニルエーテル、ビ
ニルアルキルケトン、N−ビニルカルバゾール、マレイ
ミド、N−メチルマレイミド、モノオレフィン、ジオレ
フィン、スチレン、炭素数1〜22のアルキル基を有す
るアルキル(メタ)アクリレートおよび炭素数5〜8の
シクロアルキル基を有するシクロアルキル(メタ)アク
リレート等が挙げられる。
【0021】中でも、ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート
等のヒドロキシル基を有する単量体(a2 )、塩化ビニ
ル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデ
ン、クロロプレン等のハロゲン原子を有する単量体(a
2 )、酢酸ビニル、酢酸アリル等のオキシカルボニル基
を有する単量体(a2 )、ジオクチルマレート等の2以
上のカルボニルオキシ基を有する単量体(a2 )、(メ
タ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミ
ド、メチロール化ジアセトン(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロ
ール(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有する単量
体(a2 )、ブロック化イソシアネート基含有(メタ)
アクリレート等のブロック化イソシアネート基を有する
単量体(a2 )、グリシジル(メタ)アクリレート、ア
リルグリシジルエーテル等のグリシジル基を有する単量
体(a2 )、アジリジニル(メタ)アクリレート、アジ
リジニルエチル(メタ)アクリレート等のアジリジニル
基を有する単量体(a2 )、ポリオキシアルキレンモノ
(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、ポリオキシ
アルキレンモノ(メタ)アクリレート(2−エチルヘキ
シル)エーテル、ポリオキシアルキレンジ(メタ)アク
リレート、2−ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アク
リレート等のポリオキシアルキレン基を有する単量体
(a2 )、ポリジメチルシロキサン基を有する(メタ)
アクリレート等のポリジメチルシロキサン基を有する単
量体(a2 )、トリアリルシアヌレート等のシアヌレー
トエステル基を有する単量体(a2 )その他、(2−ジ
メチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート、アルキルビニルエーテル、(ハ
ロゲン化アルキル)ビニルエーテル、ビニルアルキルケ
トン、N−ビニルカルバゾール、マレイミド、N−メチ
ルマレイミド、エチレン、ブタジエン、イソプレン、ス
チレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が
好ましい。
【0022】特に、単量体(a2 )としては、ヒドロキ
シル基またはN−メチロール基で置換されたアミド基を
有する単量体(a2 )を含むことが好ましく、ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メ
タ)アクリレートおよびN−メチロール(メタ)アクリ
ルアミドから選ばれる1種以上を含むことが特に好まし
い。さらに、単量体(a2 )としては、上記ヒドロキシ
ル基またはN−メチロール基で置換されたアミド基を有
する単量体と併用して、塩化ビニル、ブロック化イソシ
アネート基含有(メタ)アクリレート、炭素数1〜22
のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートお
よび炭素数5〜8のシクロアルキル基を有するシクロア
ルキル(メタ)アクリレート等から選ばれる1種以上を
含むことが好ましい。
【0023】本発明においては、単量体(a2 )として
カルボキシル基を有さない単量体を使用する。カルボキ
シル基を有すると、重合体Bとの反応性が高くなるため
に、繊維への接着性向上効果が不充分となる。さらに水
分散体(エマルション)の凝集沈降が起こり、希釈安定
性、機械的安定性などが不充分になり実用上好ましくな
い。ただし、重合体Bを過剰量用いると水分散体の安定
性を向上できる場合もあるが、この場合には撥水撥油性
が低下するために好ましくない。本発明では、カルボキ
シル基を有する単量体を使用しないので、安定性に優
れ、優れた撥水撥油性を被処理物に付与できる。
【0024】本発明において重合体Aとは、単量体(a
1 )の重合単位と単量体(a2 )の重合単位とを含む共
重合体であるが、単量体(a1 )の重合単位または単量
体(a2 )の重合単位のいずれか1種を含む重合体の混
合物であっても、本発明と同様の効果を有する。重合体
A中の各重合単位の割合は、単量体(a1 )の重合単位
は60〜96質量%が好ましく、単量体(a2 )の重合
単位は4〜40質量%が好ましい。
【0025】本発明においては、単量体(a1 )および
単量体(a2 )は、水系媒体中、界面活性剤(c)の存
在下に乳化分散させた後に、重合するのが好ましい。界
面活性剤(c)は1種単独でも2種以上を組み合せて用
いてもよく、界面活性剤(c)は、ノニオン性界面活性
剤のみからなっていてもよく、ノニオン性界面活性剤と
ともにノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤からなっ
ていてもよい。ノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤
としては、カチオン性界面活性剤または両性界面活性剤
が好ましい。
【0026】界面活性剤(c)におけるノニオン性界面
活性剤としては、下記界面活性剤(c1 )〜(c6 )か
ら選択される1種以上のノニオン性界面活性剤が好まし
い。界面活性剤(c1 )は、ポリオキシアルキレンモノ
アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアルケニ
ルエーテル、またはポリオキシアルキレンモノアルカポ
リエニルエーテルからなるノニオン性界面活性剤であ
る。界面活性剤(c1 )におけるアルキル基、アルケニ
ル基またはアルカポリエニル基は、それぞれ炭素数4〜
26であるのが好ましい。また、アルキル基、アルケニ
ル基またはアルカポリエニル基は、それぞれ直鎖構造で
あっても分岐構造であってもよい。分岐構造である場合
には、2級アルキル基、2級アルケニル基または2級ア
ルカポリエニル基が好ましい。アルキル基、アルケニル
基またはアルカポリエニル基の具体例としては、オクチ
ル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、
オクタデシル基、ベヘニル基(ドコシル基)、またはオ
レイル基(9−オクタデセニル基)等が挙げられる。
【0027】界面活性剤(c1 )は、ポリオキシアルキ
レンモノアルキルエーテル、またはポリオキシアルキレ
ンモノアルケニルエーテルであるのが好ましい。界面活
性剤(c1 )のポリオキシアルキレン部分は、1種また
は2種のオキシアルキレン基からなるのが好ましく、2
種からなる場合にはそれらの連なり方はブロック状であ
ることが好ましい。ポリオキシアルキレン部分は、オキ
シエチレン基および/またはオキシプロピレン基が2個
以上連なった部分からなるのが好ましい。
【0028】界面活性剤(c1 )としては、下式c11
表される化合物が好ましい。ただし、式c11中のR10
炭素数8以上のアルキル基または炭素数8以上のアルケ
ニル基を示し、gは0〜20の整数を示し、hは5〜5
0の整数を示す。また、gとhとが2以上である場合、
式C11中のオキシエチレン基とオキシプロピレン基とは
ブロック状になって連結されている。 R10O[CH2CH(CH3)O ]g -(CH2CH2O)h H ・・・式c11 式c11中のR10は、直鎖構造または分岐構造のいずれで
あってもよい。hは10〜30の整数が好ましく、gは
0〜10の整数が好ましい。hが4以下、またはgが2
1以上では、水に難溶性となり、水系媒体中に均一に溶
解しないため、浸透性向上効果を低下させるおそれがあ
る。また、hが51以上では親水性が高くなり、撥水性
を低下させるおそれがある。
【0029】化合物(式c11)の具体例としては下記化
合物が挙げられる。ただし、下式においてhおよびgは
上記と同じ意味を示し、好ましい態様も同じである。ま
た、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とはブロッ
ク状になって連結されている。 C18H37O[CH2CH(CH3)O]g -(CH2CH2O)h H 、 C18H35O[CH2CH(CH3)O]g -(CH2CH2O)h H 、 C16H33O[CH2CH(CH3)O]g -(CH2CH2O)h H 、 C12H25O[CH2CH(CH3)O]g -(CH2CH2O)h H 、 (C8H17)(C6H13CHO[CH2CH(CH3)O]g )-(CH2CH2O) h H 、 C10H21O[CH2CH(CH3)O]g -(CH2CH2O)h H 。
【0030】界面活性剤(c2 )は、分子中に1個以上
の炭素−炭素三重結合および1個以上の水酸基を有し、
かつ界面活性を示す化合物からなるノニオン性界面活性
剤である。界面活性剤(c2 )は、分子中に1個の炭素
−炭素三重結合、および1個または2個の水酸基を有す
る化合物からなるノニオン性界面活性剤が好ましい。ま
た、該ノニオン性界面活性剤は、部分構造としてポリオ
キシアルキレン部分を有していてもよい。ポリオキシア
ルキレン部分としては、ポリオキシエチレン部分、ポリ
オキシプロピレン部分、オキシエチレン基とオキシプロ
ピレン基とがランダム状に連なった部分、またはポリオ
キシエチレンとポリオキシプロピレンとがブロック状に
連なった部分、が挙げられる。
【0031】界面活性剤(c2 )としては、下式c21
式c22、式c23または式c24で表される化合物が好まし
い。 HO-CR11R12-C≡C-CR13R14-OH ・・・式c21 HO-(A1O)i -CR11R12-C≡C-CR13R14-(OA2) j -OH ・・・式c22 HO-CR15R16-C≡C-H ・・・式c23 HO-(A3O)k -CR15R16-C≡C-H ・・・式c24
【0032】ただし、式c21〜式c24中のA1 、A2
よびA3 は、それぞれ独立に、アルキレン基を示し、i
およびjはそれぞれ0以上の整数を示し(i+j)は1
以上の整数である。kは1以上の整数を示す。i、jま
たはkがそれぞれ2以上である場合には、A1 、A2
よびA3 は、それぞれ1種のアルキレン基のみからなっ
ていても、2種以上のアルキレン基からなっていてもよ
い。R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それ
ぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を示す。アルキ
ル基は炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、特に炭
素数6〜12のアルキル基が好ましい。具体例として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基および
イソブチル基などが挙げられる。また、オキシアルキレ
ン部分としては、オキシエチレン部分、オキシプロピレ
ン部分またはオキシエチレン部分とオキシプロピレン部
分の両方からなるのが好ましい。また、界面活性剤(c
2 )中のオキシアルキレン基の個数は、1〜50が好ま
しい。
【0033】さらに、界面活性剤(c2 )としては、下
式c25で表される化合物からなるノニオン性界面活性剤
が好ましい。ただし、式c25のxおよびzはそれぞれ0
以上の整数を示す。ノニオン性界面活性剤(式c25)は
1種でも2種以上を併用してもよい。
【0034】
【化3】
【0035】ノニオン性界面活性剤(式c25)として
は、xとzとの和の平均が10であるノニオン性界面活
性剤、xが0でありかつzが0であるノニオン性界面活
性剤、またはxとzとの和の平均が1.3であるノニオ
ン性界面活性剤が好ましい。
【0036】界面活性剤(c3 )は、オキシエチレンが
2個以上連続して連なったポリオキシエチレン部分と、
炭素数3以上のオキシアルキレンが2個以上連続して連
なった部分とが連結し、かつ、両末端が水酸基である化
合物からなるノニオン性界面活性剤である。界面活性剤
(c3 )における炭素数3以上のオキシアルキレンとし
ては、オキシテトラメチレンおよび/またはオキシプロ
ピレンが好ましい。
【0037】界面活性剤(c3 )としては、下式c31
たは下式c32で表される化合物が好ましい。なお式c31
および式c32中のaは0〜200の整数、bは2〜10
0の整数、cは0〜200の整数を示し、aが0である
場合にはcは2以上の整数、cが0である場合にはaは
2以上の整数である。また、式c31中の−C3 6 O−
部分は、−CH(CH3 )CH2 −であっても、−CH
2 CH(CH3 )−であっても、−CH(CH3 )CH
2 −と−CH2 CH(CH3 )−とが混在していてもよ
い。また、下式c31または下式c32中のポリオキシアル
キレン部分は、ブロック状に連結している。 HO-(CH2CH2O)a -(C3H6O)b -(CH2CH2O)c H ・・・式c31 HO-(CH2CH2O)a -(CH2CH2CH2CH2O)b -(CH2CH2O)c H ・・・式c32
【0038】界面活性剤(c3 )の具体例としては、下
記の化合物が好ましい。 HO-(CH2CH2O)15-(C3H6O)35-(CH2CH2O)15H 、 HO-(CH2CH2O)8-(C3H6O)35-(CH2CH2O)8H 、 HO-(CH2CH2O)45-(C3H6O)17-(CH2CH2O)45H 、 HO-(CH2CH2O)34-(CH2CH2CH2CH2O)28-(CH2CH2O)34H 。
【0039】界面活性剤(c4 )は、分子中にアミンオ
キシド部分を有するノニオン性界面活性剤であり、下式
41で表される化合物からなるノニオン性界面活性剤が
好ましい。 (R17)(R18)(R19)N(→O) ・・・式c41 式c41中のR17、R18およびR19は、それぞれ独立に1
価の炭化水素基を示す。分子中にアミンオキシド部分
(N→O)を有する界面活性剤は、カチオン性界面活性
剤に分類されることもあるが、本発明においては、ノニ
オン性界面活性剤として扱う。該界面活性剤は、1種で
も2種以上を併用してもよい。界面活性剤(c4 )とし
ては、特に下式c42で表されるノニオン性界面活性剤
が、重合体Aの分散安定性を向上させることから好まし
い。 (R20)(CH3 2 N(→O) ・・・式c42 式c42中のR20は、炭素数6〜22のアルキル基、炭素
数6〜22のアルケニル基、アルキル基(炭素数6〜2
2)が結合したフェニル基、またはアルケニル基(炭素
数6〜22)が結合したフェニル基を示し、炭素数8〜
22のアルキル基、または炭素数8〜22のアルケニル
基が好ましい。
【0040】ノニオン性界面活性剤(式c42)の具体例
としては、下記の化合物が好ましい。 [H(CH2 12](CH3 2 N(→O)、 [H(CH2 14](CH3 2 N(→O)、 [H(CH2 16](CH3 2 N(→O)、 [H(CH2 18](CH3 2 N(→O)。
【0041】界面活性剤(c5 )は、ポリオキシエチレ
ンモノ(置換フェニル)エーテルの縮合物、またはポリ
オキシエチレンモノ(置換フェニル)エーテルからなる
ノニオン性界面活性剤である。界面活性剤(c5 )にお
ける置換フェニル基としては、1価の炭化水素基で置換
されたフェニル基が好ましく、特にアルキル基、アルケ
ニル基またはスチリル基で置換されたフェニル基が好ま
しい。
【0042】界面活性剤(c5 )としては、ポリオキシ
エチレンモノ(アルキルフェニル)エーテルの縮合物、
ポリオキシエチレンモノ(アルケニルフェニル)エーテ
ルの縮合物、ポリオキシエチレンモノ(アルキルフェニ
ル)エーテル、ポリオキシエチレンモノ(アルケニルフ
ェニル)エーテル、またはポリオキシエチレンモノ
[(アルキル)(スチリル)フェニル]エーテルが好ま
しい。
【0043】ポリオキシエチレンモノ(置換フェニル)
エーテルの縮合物、またはポリオキシエチレンモノ(置
換フェニル)エーテルの具体例としては、ポリオキシエ
チレンモノ(ノニルフェニル)エーテルのホルムアルデ
ヒド縮合物、ポリオキシエチレンモノ(ノニルフェニ
ル)エーテル、ポリオキシエチレンモノ(オクチルフェ
ニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノ(オレイルフ
ェニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノ[(ノニ
ル)(スチリル)フェニル]エーテル、またはポリオキ
シエチレンモノ[(オレイル)(スチリル)フェニル]
エーテル等が挙げられる。
【0044】界面活性剤(c6 )はポリオールの脂肪酸
エステルからなるノニオン性界面活性剤である。界面活
性剤(c6 )における、ポリオールとしては、ポリエチ
レングリコール、デカグリセリン、ポリエチレングリコ
ールと(ポリエチレングリコール以外の)ポリオールと
のエーテル等が挙げられる。
【0045】界面活性剤(c6 )としては、オクタデカ
ン酸とポリエチレングリコールとの1:1(モル比)エ
ステル、ソルビットとポリエチレングリコールとのエー
テルと、オレイン酸とのl:4(モル比)エステル、ポ
リオキシエチレングリコールとソルビタンとのエーテル
と、オクタデカン酸との1:1(モル比)エステル、ポ
リエチレングリコールとソルビタンとのエーテルと、オ
レイン酸との1:1(モル比)エステル、ドデカン酸と
ソルビタンとの1:1(モル比)エステル、オレイン酸
とデカグリセリンとの(1または2):1(モル比)エ
ステル、オクタデカン酸とデカグリセリンとの(1また
は2):1(モル比)エステルが挙げられる。
【0046】界面活性剤(c)がカチオン性界面活性剤
を含む場合には、置換アンモニウム塩からなるカチオン
性界面活性剤を用いるのが好ましい。置換アンモニウム
塩からなるカチオン性界面活性剤は、アンモニウム塩の
窒素原子に結合する水素原子の1個以上が、アルキル
基、アルケニル基、または末端が水酸基であるポリオキ
シアルキレン基に置換された化合物からなるカチオン性
界面活性剤が好ましく、特に下式c51で表される化合物
が好ましい。
【0047】 [(R214 + ]・Y- ・・・式c51 ただし、式c51中の記号は以下の意味を示す。 R21:4つのR21はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数
1〜26のアルキル基、炭素数2〜26のアルケニル
基、または末端が水酸基であるポリオキシアルキレン基
である。ただし、4つのR21は同時に水素原子にはなら
ない。 Y- :対イオン。 R21がアルキル基である場合には、炭素数6〜26の長
鎖アルキル基が好ましい。R21が長鎖アルキル基以外の
アルキル基である場合には、メチル基またはエチル基が
好ましい。R21がアルケニル基である場合には、炭素数
6〜26の長鎖アルケニル基が好ましい。また、R21
ポリオキシアルキレン基である場合には、ポリオキシエ
チレン基が好ましい。Y- としては、塩素イオン、エチ
ル硫酸イオンまたは酢酸イオンが好ましい。
【0048】化合物(式c51)としては、モノ(長鎖ア
ルキル)アミン塩酸塩、モノ(長鎖アルキル)ジメチル
アミン塩酸塩、モノ(長鎖アルキル)ジメチルアミン酢
酸塩、モノ(長鎖アルケニル)ジメチルアミン塩酸塩、
モノ(長鎖アルキル)ジメチルアミン・エチル硫酸塩、
モノ(長鎖アルキル)トリメチルアンモニウムクロリ
ド、ジ(長鎖アルキル)モノメチルアミン塩酸塩、ジ
(長鎖アルキル)ジメチルアンモニウムクロリド、モノ
(長鎖アルキル)モノメチルジ(ポリオキシエチレン)
アンモニウムクロリド、ジ(長鎖アルキル)モノメチル
モノ(ポリオキシエチレン)アンモニウムクロリド等が
好ましく挙げられる。
【0049】さらに、化合物(式c51)としては、モノ
オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、モノオ
クタデシルジメチルモノエチルアンモニウムエチル硫酸
塩、モノ(長鎖アルキル)モノメチルジ(ポリエチレン
グリコール)アンモニウムクロリド、ジ(牛脂アルキ
ル)ジメチルアンモニウムクロリド、またはジメチルモ
ノココナッツアミン酢酸塩等が好ましい。
【0050】カチオン性界面活性剤としては、アミン
塩、4級アンモニウム塩、オキシエチレン付加型アンモ
ニウム塩等も挙げられ、具体的には、アルキルジメチル
アミン塩酸塩、ジアルキルメチルアミン塩酸塩、アルキ
ルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチ
ルアンモニウムクロリド、モノアルキルアミン酢酸塩、
アルキルメチルジポリオキシエチレンアンモニウムクロ
リド等が挙げられる。アルキル部位としては、炭素数4
〜26の飽和脂肪族基であって、直鎖または分岐鎖が挙
げられ、具体的には、オクチル基、ドデシル基、テトラ
デシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ベヘニル
基、2級アルキル基等が挙げられる。
【0051】界面活性剤(c)が、両性界面活性剤を含
む場合には、アラニン類、イミダゾリニウムベタイン
類、アミドベタイン類、または酢酸ベタイン等からなる
両性界面活性剤が好ましい。両性界面活性剤の具体例と
しては、ドデシルベタイン、オクタデシルベタイン、ド
デシルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニ
ウムベタイン、ドデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、
脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が
挙げられる。
【0052】界面活性剤(c)の量は、重合体Aに対し
て、1〜12質量%が好ましく、特に3〜10質量%が
好ましい。界面活性剤(c)の量が少なすぎるとエマル
ションの安定性が低下するおそれがあり、多すぎると水
系分散液の撥水撥油性の湿摩擦耐久性が低下するおそれ
がある。ただし、原料中の単量体が自己乳化性のある重
合性単量体を含む場合には、界面活性剤(c)の量を減
らしてもよい。
【0053】界面活性剤(c)として、カチオン性界面
活性剤および/または両性界面活性剤を使用する場合に
は、ノニオン性界面活性剤と併用することが好ましく、
カチオン性界面活性剤および/または両性界面活性剤の
量は、重合体Aに対して1質量%以下が好ましい。多す
ぎると併用する染色助剤との併用性を損なうことがある
からである。
【0054】本発明の水分散型フッ素系共重合体組成物
に用いる水系媒体は、水および水に溶解可能な有機溶媒
である。水系媒体中の有機溶媒としては、水100gに
対する溶解度が10g以上であれば特に限定されない
が、例えばアセトン、イソプロピルアルコール、飽和多
価アルコール、飽和多価アルコールの(モノまたはポ
リ)アルキルエーテル、および飽和多価アルコールのア
ルキレンオキシド付加物から選ばれる1種以上が好まし
い。
【0055】飽和多価アルコールとしては、2〜4個の
水酸基を有する化合物が好ましく、特にエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロ
ールエタン、またはトリメチロールプロパンが好まし
い。飽和多価アルコールの(モノまたはポリ)アルキル
エーテルとしては、ジオールのモノアルキルエーテルま
たはジオールのジアルキルエーテルが好ましく、例えば
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレ
ングリコールモノメチルエーテル、またはジプロピレン
グリコールジメチルエーテルが好ましく、とりわけ、ジ
エチレングリコールモノメチルエーテルまたはジプロピ
レングリコールモノメチルエーテルが好ましい。飽和多
価アルコールとエチレンオキシドおよび/またはプロピ
レンオキシドとの反応物としては、ジプロピレングリコ
ール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレング
リコール、オキシプロピレン基が5個以上連なったポリ
プロピレングリコールが好ましい。
【0056】これらの中でも、水系媒体中の有機溶媒と
しては、エチレングリコール、プロピレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テト
ラエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、グ
リセリン、ジプロピレングリコール、トリプロピレング
リコール、テトラプロピレングリコール、およびポリプ
ロピレングリコールから選ばれる1種以上の有機溶媒が
好ましい。
【0057】水系媒体中の有機溶媒の量は、重合体Aに
対して2〜50質量%が好ましく、特に10〜40質量
%が好ましい。有機溶媒の量が少なすぎるとエマルショ
ンの安定性の改善効果が認められない場合があり、有機
溶媒の量が多すぎると洗濯耐久性を低下させるおそれが
ある。また、水系媒体の量は重合体Aに対して1〜5倍
量が好ましい。
【0058】重合体Aは、上記水系媒体中で、界面活性
剤(c)の存在下に、単量体(a1)と単量体(a2
を公知の方法、例えば乳化重合法または分散重合法によ
り重合し、重合体Aを含むエマルションを生成するのが
好ましい。乳化重合法または分散重合法により重合させ
る場合、界面活性剤および水系媒体の存在下に、重合開
始剤、連鎖移動剤を加えて重合させる方法が例示でき
る。
【0059】重合開始剤は、水溶性または油溶性の重合
開始剤が好ましく、アゾ系、過酸化物系、レドックス系
等の汎用の開始剤が重合温度に応じて使用できる。重合
開始剤は水溶性であるのが好ましく、特にアゾ系化合物
の塩が好ましい。重合温度は特に限定されないが、20
〜150℃が好ましい。また、単量体の重合反応におい
ては、分子量を制御する目的で、連鎖移動剤を含ませて
もよい。連鎖移動剤としては芳香族系化合物またはメル
カプタン類が好ましく、アルキルメルカプタンが特に好
ましい。連鎖移動剤の具体例としては、n−オクチルメ
ルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシル
メルカプタン、ステアリルメルカプタン、またはα−メ
チルスチレンダイマ(CH2 =CPhCH2 C(C
3 2 Ph[ただしPhはフェニル基である])が好
ましく挙げられる。
【0060】乳化重合または分散重合を開始する前段階
として、単量体、界面活性剤および水系媒体からなる混
合物を、ホモミキサーまたは高圧乳化機等であらかじめ
前分散させてもよい。重合開始前に混合物をよく撹拌す
ることで、最終的に得られる重合体の収率を向上させる
ことができる。
【0061】重合体Aは、水系媒体中で粒子として存在
するのが好ましい。平均粒子径は10〜1000nmが
好ましく、特に10〜300nmが好ましく、とりわけ
10〜200nmが好ましい。平均粒子径が10nm未
満では、安定な分散液を得るために多量の界面活性剤が
必要となり、界面活性剤を多量に含むことにより撥水撥
油性が低下し、さらには染色された布帛類に処理した場
合に色落ちが発生する問題がある。平均粒子径が100
0nm超では水系媒体中で粒子が沈降する。平均粒子径
は、動的光散乱装置、電子顕微鏡等により測定できる。
後述する通常の乳化重合の方法で、界面活性剤の存在下
に重合を実施した場合、平均粒子径は上記の範囲に含ま
れる。
【0062】次に、本発明の重合体Bについて説明す
る。本発明の水分散型フッ素系共重合体組成物は、重合
体Aとともに、側鎖にアミノ基またはアンモニウム基を
有するポリアミン共重合体である重合体Bを含むことを
特徴としている。本発明の重合体Bとしては、側鎖にア
ミノ基またはアンモニウム基のいずれか1種を有する単
量体、またはこれらの基の両方を有する単量体、から選
ばれる1種以上の重合単位を含むポリアミン共重合体で
あれば特に限定されない。中でも、側鎖にアミノ基また
はアンモニウム基のいずれか1種を有する重合単位を1
種以上含むことが好ましく、特に、前記式1〜8で示さ
れる重合単位のいずれか1種以上を含むことが好まし
い。
【0063】重合体Bの数平均分子量は、5000〜5
0000が好ましく、特に10000〜30000が好
ましい。この範囲であれば、重合体Aとの反応性が制御
され、エマルションの機械的安定性が確保できるととも
に、被処理物との接着性向上効果が得られる。また、撥
水撥油性のバランスも高い。数平均分子量が5000未
満では、エマルションの機械的安定性の改善効果が乏し
く、撥油性も低下する。また、数平均分子量が5000
0超では撥水性が低下するおそれがある。ただし、本発
明の重合体Aは、重合体(a2 )がカルボキシル基を含
まないので、重合体Bを使用しても、組成物中における
反応性は低く、エマルションの安定性は損われにくい。
【0064】上式1〜8において、X- が表すアニオン
残基としては、例えば、塩素イオン、酢酸イオン、蟻酸
イオン、リンゴ酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中
でも、塩素イオン、酢酸イオンが好ましい。
【0065】本発明の重合体Bとしては、式1または式
5で表される重合単位の1種または2種を組み合せたポ
リアリルアミンや、式3または式7で表される重合単位
の1種または2種と、式4または式8で表される重合単
位の1種または2種とを組み合せた共重合体が好ましく
挙げられる。該組合せでは、希釈安定性および機械的安
定性が向上し、性能改善の点で優れる。前者の場合は、
さらに撥水撥油加工後の被処理物の表面の接着性も改善
でき、コーティング樹脂の剥離防止効果も付与できる。
後者の場合は、特に低濃度における撥水撥油性に優れ
る。
【0066】また、重合体Bは、無機酸または有機酸に
よってアンモニウム塩化されていることが好ましく、中
でも塩酸または酢酸によってアンモニウム塩化されてい
ることが好ましい。重合体Bは、1種単独でも2種以上
を混合して用いることもできる。組成物中の重合体Bの
配合量は、重合体Aの組成にも依存するが、通常は重合
体Aに対して、0.1〜3. 0質量%が好ましく、特に
0.5〜2.0質量%が好ましい。この範囲であれば、
被処理物への接着性向上効果と、エマルションの機械的
安定性とが両立できる。また、少量で撥水撥油性が発現
するので経済的である。一方、重合体Aに対する重合体
Bの量が0.1質量%未満では、安定性や性能改善効果
が期待できず、3.0質量%超では、撥水性を低下させ
やすい。
【0067】本発明のフッ素系共重合体組成物には、そ
の他の添加剤を含んでいてもよい。その他の添加剤とし
ては、架橋剤、他の重合体エクステンダー、他の撥水
剤、他の撥油剤、防虫剤、難燃剤、帯電防止剤、染料安
定剤、防シワ剤、ステインブロッカー等が挙げられる。
架橋剤としては、例えばブロックドイソシアネート化合
物、メラミン樹脂化合物、グリオキサール系樹脂化合
物、尿素系樹脂化合物、架橋性単量体(N−メチロール
アクリルアミド、2−イソシアネートエチルメタクリレ
ート等のブロック化体等)を必須重合単位とする重合体
等が挙げられ、ブロックドイソシアネート化合物または
メラミン樹脂化合物が好ましい。本発明において、フッ
素系共重合体組成物中の固形分濃度は、10〜40質量
%が好ましく、特に15〜30質量%が好ましい。
【0068】本発明のフッ素系共重合体組成物の製造方
法は特に限定されないが、例えば乳化重合法により得ら
れた重合体Aを含むエマルションに、予め重合体Bおよ
び他の添加剤を混合したものを均一に分散させた一液型
組成物としてもよく、重合体Bを使用時に混合する二液
型組成物とすることもできる。また、重合体Aを乳化重
合させる際に重合体Bを添加してエマルションを生成さ
せてもよい。
【0069】このようにして得られる本発明のフッ素系
共重合体組成物は、少量で撥水撥油性を発現し、かつそ
のバランスが高く、また被処理物への接着性が優れるた
め、繊維、繊維織物または紙へのコーティング用前処理
に好適に用いられる。さらに、エマルションの機械的安
定性が高いので、安定した生産が見込まれ効率的であ
る。本発明の水分散型フッ素系共重合体組成物は、目的
や用途等に応じて任意の濃度に希釈し、被処理物に適用
できる。被処理物への適用方法も、被処理物の種類や組
成物の調製形態等に応じて任意の方法が採用されうる。
例えば、浸漬塗布等の被覆加工方法により被処理物の表
面に付着させ乾燥する方法が採用される。また、必要な
らば適当な架橋剤とともに適用し、キュアリングを行っ
てもよい。
【0070】本発明の水分散型フッ素系共重合体組成物
を用いて処理される被処理物は、特に限定されず、繊
維、繊維織物または紙の他にも、木、皮革、毛皮、石
綿、ガラス、レンガ、セメント、金属およびその酸化
物、窯業製品、プラスチック等が挙げられる。これらの
中でも繊維織物が好ましく、繊維織物としては、綿、
麻、羊毛、絹等の動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリ
エステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリ
ル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の合成繊維、レ
ーヨン、アセテート等の半合成繊維、ガラス繊維、炭素
繊維、アスベスト繊維等の無機繊維、またはこれらの混
合繊維の織物が挙げられる。
【0071】また、本発明の水分散型フッ素系共重合体
組成物は、上記被処理物のボンディング用前処理または
ラミネート用前処理に好適に用いられる。本発明の水分
散型フッ素系共重合体組成物を使用することにより、ボ
ンディングまたはラミネートする際に使用する接着剤の
被処理物への浸透、裏抜けを効果的に防止できる。した
がって、本発明の水分散型フッ素系共重合体組成物は、
特に、繊維、繊維織物または紙への処理に用いるコーテ
ィング用前処理剤、ボンディング用前処理剤またはラミ
ネート用前処理剤として好適である。
【0072】
【実施例】<重合体Aの重合例1>1Lのガラス製ビー
カに、ペルフルオロアルキルエチルアクリレート[F
(CF2 n CH2 CH2 OCOCH=CH2 で示さ
れ、nが6〜16の混合物でありnの平均値は9である
化合物。以下FAと記す。](純度93.6質量%)2
01.3g、ジオクチルマレート(DOM)17.5
g、N−メチロールアクリルアミド(NMAA)6.7
g、n−ドデシルメルカプタン(DoSH)0.8g、
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(エチレンオキシ
ドの平均付加モル数30)(日本油脂(株) 社製、商品
名「ノニオンE230」)9.7g、ポリエチレン−ポ
リオキシプロピレンブロック共重合体(日本油脂(株)
製、商品名「プロノン204」)2.7g、ジポリオキ
シエチレン2, 4, 7, 9−テトラメチル−5−デシン
−4, 7−ジエーテル(Air Products and Chemical In
c.製、商品名「サーフィノール485」)2.2g、ジ
プロピレングリコール(DPG)107. 6g、イオン
交換水390. 3gを投入した。続いてこの混合物を水
浴中で50℃に加熱し、ホモミキサー(特殊機化(株)
製、「TKホモミクサーMK2」)を用いて混合した。
次にこの混合液を50℃に保ったまま高圧乳化器(AP
Vゴーリン社製「LAB60- 10TBS」)を用い、
40MPaの条件で乳化した。この乳化液の646.2
gを1Lのオートクレーブに移液し、酢酸1.9gと
2,2' −アゾビス[ 2−( 2−イミダゾリン−2イ
ル) プロパン]2.5gを加えた後に窒素で内部を置換
した。次に、塩化ビニル49.4gを圧入し、撹拌しな
がら温度を55℃に上げて10時間重合反応を行い、乳
白色エマルションを得た。この溶液をアドバンテック社
製C−63ろ紙を用いて加圧ろ過した。ろ過後のエマル
ションを120℃、4時間の条件で乾燥して求めた固形
分濃度は34.2質量%であった。また、動的光散乱粒
子径測定装置(大塚電子製、「ELS−800」)で測
定した重合体の平均粒子径は120nmであった。エマ
ルションの固形分濃度が20質量%となるようにイオン
交換水で希釈したものを原液Aとした。
【0073】<重合体Aの重合例2>1Lのガラス製ビ
ーカに、FAの201.3g、DOMの16.7g、N
MAAの6.2g、アクリル酸の4.0g、DoSHの
0.8g、重合例1で用いたポリオキシエチレンオレイ
ルエーテル、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロ
ック共重合体、ジポリオキシエチレン−2, 4, 7, 9
−テトラメチル−5−デシン−4, 7−ジエーテルおよ
びDPGをそれぞれ重合例1と同量、加えてイオン交換
水390. 1gを投入した。続いてこの混合物を重合例
1と同様にして乳化し、得られた乳化液の648.5g
を1Lのオートクレーブに移液し、酢酸1.9gと2,
2' −アゾビス[ 2−( 2−イミダゾリン−2イル) プ
ロパン] 2.5gを加えた後に窒素で内部を置換した。
次に、塩化ビニル47.1gを圧入し、撹拌しながら温
度を55℃に上げて10時間重合反応を行い、白色エマ
ルションを得た。この溶液をアドバンテック社製C−6
3ろ紙を用いて加圧ろ過した。ろ過後のエマルションの
固形分濃度は33.1質量%であった。また、重合体の
平均粒子径は145nmであった。エマルションの固形
分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈し
たものを原液Bとした。
【0074】[例1〜9]原液A、原液Bを用いて、表
1に示す評価用組成物を調製した。なお、表1における
重合体Bとは、下記のものを表す。 *PAA−HCL:ポリアリルアミン塩酸塩(日東紡績
(株) 製) *PVAD:ポリ環状アミジン(三菱化学(株) 製) *NK−100PM:アクリルグラフトポリエチレンイ
ミン塩酸塩(日本触媒(株) 製)
【0075】
【表1】
【0076】評価用組成物を水道水を用いて1質量%ま
たは2質量%となるように調製したものを処理液とし
た。未染色の綿(100%) ブロード布を試験布として
用い、処理液に試験布を浸漬し、2本のゴムローラーの
間で布を絞ってウェットピックアップを70質量%とし
た。次いで110℃で60秒間乾燥し、さらに170℃
で90秒間熱処理して試験布を作製した。得られた試験
布について、下記の方法で撥水性、撥油性を評価し、結
果を表5に示した。
【0077】[撥水性の評価]JIS L1092(1
992)のスプレー試験に従って行い、表2に示す撥水
性ナンバーで表した。また、それぞれの中間の撥水性ナ
ンバーを示すものについては+、−の符号をつけて表現
した。
【0078】
【表2】
【0079】[撥油性の評価]AATCC−Test
Method118−1997に従って行い、表3に示
す撥油性ナンバーで表した。また、それぞれの中間の撥
油性ナンバーを示すものについては+、−の符号をつけ
て表現した。
【0080】
【表3】
【0081】さらに下記の方法で撥水撥油加工浴の安定
性を評価し、結果を表5に示した。 [安定性の評価]評価用組成物を、容積が300mLの
ポリエチレン製カップに10g取り、水道水を227.
5g加えて希釈した。次に、アニオン性物質として0.
5質量%に希釈したナイロン用染料フィックス剤(明成
化学工業(株) 製、「ディマフィックスES」)を1
2.5g加えて評価溶液を作製した。得られた評価溶液
の温度を水浴で25℃にし、ホモミキサー(特殊機化
製、「TKホモミクサーMK2」)を用いて2500r
pm、5分間撹拌した。この溶液を黒色のポリエステル
ドスキン布を用いてろ過を行い、布上に残った残さの量
を目視で表4に示す5段階で評価した。5級は残さのな
い状態を示し、これがもっとも安定性が良好な状態を示
す。以下、1級まで順に残さ量が多くなることを示し、
1級は最も安定性の悪い状態を示している。フィックス
剤を添加しない評価用組成物のみの希釈液を用いて同じ
条件で評価した結果も合わせて表5に示した。
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
【発明の効果】本発明の水分散型フッ素系共重合体組成
物は、従来品と比べて少量で優れた撥水撥油性を発現
し、かつ被処理物への接着性に優れるので、コーティン
グ用前処理、ボンディング用前処理またはラミネート用
前処理に好適に使用できる。また、エマルションの機械
的安定性に優れるので、現場加工でも安定した生産が見
込まれる。そのため仕上り不良が低減できるので経済的
にも有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 139/02 C09D 139/02 157/08 157/08 157/12 157/12 C09K 3/18 101 C09K 3/18 101 102 102 D06M 15/277 D06M 15/277 D21H 19/20 D21H 19/20 A Z 21/16 21/16 Fターム(参考) 4H020 BA05 BA12 4J002 AC02W AC09W BB10W BC04W BD02W BD10W BD13W BD14W BE04W BF01W BF02W BF03W BF04W BG04W BG05W BG06W BG07W BG07X BG08W BG13W BH02W BJ00X BL00W BQ00W CD19W CH05W CM02X CP03W FD316 GH00 GK02 HA04 4J038 CB022 CB031 CC021 CE051 CF011 CG011 CG212 DN002 GA08 GA09 KA09 LA06 MA10 NA04 NA07 NA12 PA07 PB02 PC05 PC09 PC10 4L033 AC03 AC04 CA22 4L055 AG69 AG80 AG89 AH23 AH24 BE08 BE10 FA30 GA47 GA48

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水系媒体、下記重合体Aおよび下記重合体
    Bを含む水分散型フッ素系共重合体組成物。 重合体A:ポリフルオロアルキル基と1個の重合性不飽
    和基とを有する単量体の重合単位、およびポリフルオロ
    アルキル基とカルボキシル基とを有さず1個以上の重合
    性不飽和基を有する単量体の重合単位を含む共重合体。 重合体B:側鎖にアミノ基またはアンモニウム基を有す
    るポリアミン共重合体。
  2. 【請求項2】重合体Bが、下式1〜8で示される重合単
    位のいずれか1種以上を含むポリアミン共重合体であ
    る、請求項1に記載の水分散型フッ素系共重合体組成
    物。 【化1】 式1〜8において、 nは、それぞれ独立に、1以上の正の整数を表し、 X- は、それぞれ独立に、アニオン残基を表す。
  3. 【請求項3】コーティング用前処理、ボンディング用前
    処理またはラミネート用前処理に用いる、請求項1また
    は2に記載の水分散型フッ素系共重合体組成物。
  4. 【請求項4】繊維、繊維織物または紙への処理に用い
    る、請求項1、2または3に記載の水分散型フッ素系共
    重合体組成物。
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