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JP2002220596A - 締結体締付け力安定化剤、これを用いた締付け力安定化法、安定化剤を付着した締結体構成部品 - Google Patents

締結体締付け力安定化剤、これを用いた締付け力安定化法、安定化剤を付着した締結体構成部品

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Publication number
JP2002220596A
JP2002220596A JP2001024519A JP2001024519A JP2002220596A JP 2002220596 A JP2002220596 A JP 2002220596A JP 2001024519 A JP2001024519 A JP 2001024519A JP 2001024519 A JP2001024519 A JP 2001024519A JP 2002220596 A JP2002220596 A JP 2002220596A
Authority
JP
Japan
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stabilizer
fastener
tightening
fastening
force
Prior art date
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Application number
JP2001024519A
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English (en)
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JP5308608B2 (ja
Inventor
Kyoichi Komatsu
恭一 小松
Hiroshi Tsuji
洋 辻
Naohiro Ishida
直洋 石田
Kazuhiro Okubo
一宏 大久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Metropolitan Government
Tohnichi Mfg Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Metropolitan Government
Tohnichi Mfg Co Ltd
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Publication date
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Priority to US10/466,684 priority patent/US20040071997A1/en
Priority to EP02716406.0A priority patent/EP1357174B1/en
Priority to PCT/JP2002/000587 priority patent/WO2002061021A1/ja
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  • Details Of Spanners, Wrenches, And Screw Drivers And Accessories (AREA)
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 トルク法で締結体の締付け力を管理するのに
適したトルク係数の変動を可及的に抑制することができ
る締付け力安定化剤を提供する。 【解決手段】 炭素数4の不飽和鎖状炭化水素の重合体
を有効成分としてこれを、ボルト部材等のねじ部品、座
金、被締結体のねじ螺合部又は座面の少なくともいずれ
か一つに付着させた後、締付け作業する締付体締付け力
安定化剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、締結体の締付け力
を安定化することができる安定化剤、及びこれを用いた
締結体の締付け力安定化方法、更に、同安定化剤を予め
付着させてなる締結体を構成する部品に関する。ここで
「締結体を構成する部品(締結体構成部品)」というの
は、螺合するねじ部品である雄ねじが形成されたボルト
部材、雌ねじが形成されたナット部材、例えば、ボル
ト、ねじ、ナット、配管継手等が含まれ、その他、締結
体に補助的に用いられる座金、ワッシャーさらに被締結
体なども含まれる。なお、本明細書における用語は、ね
じの締付けについての通則(JIS B1083)及び
ねじ用語(JIS B0101)に従った。
【0002】
【従来の技術】ねじの締付けについてはJISB108
3に通則が定められている。ここで本願発明と関連する
部分を概説すると、図8はボルトの伸びと締付け軸力と
の関係を示すグラフであり、降伏するまでは弾性域にあ
って、ボルトの伸びと締付け軸力とは直線状に変化す
る。そして、弾性域においては、締付けトルクTf と
締付け力Ff との関係は下記式(1)で示される。
【0003】 Tf =Ts +Tw =K・Ff ・d ・・・・ (式1) ここで式(1)中のK,Ts ,Tw は以下の通りであ
る。
【0004】 K=(1/2d)・((P/π)+μs・d2・sec α´+μwDw) ( 式2) Ts =(Ff /2)・((P/π)+μs ・d2 ・sec α´) ( 式3) Tw =(Ff /2)・μw Dw ( 式4) また、接触する座面(座金を用いる場合を含む)が円環
状の場合には、式(4)中のDw は下記式(5)で与
えられる。
【0005】 Dw =(2/3)・((Do3−Di3)/(Do2−Di2)) (式5) 上記各式中の記号とその意味は以下の通りである。
【0006】Dw :座面における摩擦トルクの等価直
径 Di :接触する座面の内径 Do :接触する座面の外径 Ff :初期締付け力または締付け力 K :トルク係数 P :ねじのピッチ Tf :締付けトルク Ts :ねじ部トルク Tw :座面トルク d :ねじの呼び径 d2 :ねじの有効径 α :ねじ山のフランク角 α´:ねじ山の山直角断面におけるフランク角(tan α
´=tan α・cos β) β :ねじ山のリード角 μs :ねじ面摩擦係数 μw :座面摩擦係数 ところで、締結体の締付け力管理は締結体に所要の締結
力を与えるために重要であり、管理方法としては、トル
ク法、回転角法、及びトルク勾配法が一般に知られてい
るが、締付け作業時に締付けトルクだけを管理するトル
ク法は、特殊な締付け用具を必要としないという利点が
あるため実用上はこのトルク法が広く用いられている。
【0007】しかし、締付けトルクTf の90%前後
はねじ面及び座面の摩擦によって費やされてしまい、ま
た、初期締付け力は締付け作業時のねじ面や座面の摩擦
や接触状態により大きく左右されるという問題がある。
【0008】すなわち、上記(式1)を変形した下記
(式1´) Ff =Tf /K・d ・・・・ (式1´) をみると、締付け力(締付け軸力)Ff は、締付けト
ルクTf に正比例し、トルク係数Kとねじの呼び径d
に反比例することが分かるが、同一規格のボルト部材、
ナット部材を用いて同じ締結体を多数形成する場合に
は、ねじの呼び径dは同一(公差程度の微小な違いはあ
っても基本的には同一径)であるから、一定の締付けト
ルクTf で締付けを行った場合、トルク係数Kが一定
とすれば、常に一定の締付け力(締付け軸力)Ff が
得られるはずである。しかしながら実際には、同一規格
のボルト−ナットの締結体の締付け作業を一定の締付け
トルクで行った場合に必ずしも一定の締付け力が得られ
るとは限らない。
【0009】これは、ボルト部材とナット部材の締結体
における締付け力は、機械や加工分野における通常の摩
擦、摩耗、潤滑とは異なり、ねじの螺合面や座面の摩擦
や接触の多様性、特異性に影響を受け易いという理由に
よる。例えば、ねじの螺合面や座面でかじりや焼き付き
が部分的に生ずると、摩擦状態が不均一になりトルク係
数が変化するという問題があり、締付け特性の変動を招
いて不安定にしまうからである。
【0010】つまり、トルク法のように、締付け力で間
接的にねじ締付け力を安定に得るためには、ねじ面及び
座面の摩擦や接触の多様性や特異性を十分に考慮しなけ
ればならないが、ねじ面や座面でかじりや焼き付きが部
分的に生じて摩擦状態が不均一になると、ねじ面や座面
の摩擦係数が変化するのみならず、ねじ面や座面におけ
る摩擦トルクの等価直径やねじの有効径などの因子も影
響を受け、締付け特性の変動を招き、不安定となってし
まうのである。
【0011】図9は以上のような締付け軸力Ff がト
ルク係数Kの変動によって変化する状態を示し、これに
更に締付けトルクTf の変動を招いた場合には最大軸
力Ffmaxと最小Ffminの相違は相当に大きくな
って、これが締結作業時に安定した締付け力を得ること
の大きな阻害原因となることが分かる。
【0012】以上のような状況から、締付けトルクの管
理で一定の締付け力を安定して得るようにする工夫が従
来からされている。
【0013】トルク法で締結体の締付け力を安定化する
従来技術としては、 1)マシン油や固体潤滑粉末入りペーストを塗布する方
法。
【0014】2)二硫化モリブデンやPTFE(ポリテ
トラフルオロエチレンあるいは四フッ化エチレン)の粉
末を樹脂バインダーなどとともに被覆する方法(特開昭
50−139256号公報、特開平10−338824
号公報等)。
【0015】3)ボンデライト・ボンダリューベ処理を
する方法(特開昭49−81237号公報等)。
【0016】4)水に分散させた酸化低分子ポリエチレ
ンと合成樹脂エマルジョンを浸漬・塗布し、乾燥被覆す
る方法(特開平9−40991号公報)、 5)黒鉛粉末をエポキシ樹脂などとともに塗布し被覆す
る方法(特開平08−028535号公報、特開200
0−120638号公報)。
【0017】6)水などに分散または溶解した樹脂を塗
布し、乾燥被覆する方法。
【0018】この6)の方法は、特開昭52−0814
62号公報、特開昭52−149566号公報、特開昭
55−60711号公報、特開昭55−062985号
公報、特開昭56−041285号公報、特開平06−
080983号公報、特開平07−224824号公報
等に開示されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ここで「安定化」とい
うのは、締付け軸力一定にて、締付けトルクを測定し、
式(1)から平均トルク係数Kmを求め、そのばらつき
(トルク係数の標準偏差Sk、変動係数B)を算出した
下記式(6)のトルク係数の変動係数Bの程度をいい、
相対的にバラツキが小さい場合を「安定」、大きい場合
を「不安定」という。
【0020】B=Sk/Km ・・・・ (式6) B:トルク係数の変動係数 Sk:トルク係数の標準偏差 Km:平均トルク係数 この「安定化」の観点から従来技術を考えると、上記
1)の単に鉱油(マシン油)類を塗布する方法や上記
2)の粉末を樹脂バインダーとともに被覆する方法は、
締付け力やトルク係数の安定化が十分ではなく、また、
温度が締付け特性に及ぼす影響が大きく、摩擦抵抗を小
さくすることはできても安定化剤としての作用がなく、
本発明の目的を達成できない。
【0021】つまり、鉱油の付着や固体潤滑粉末入りペ
ーストの付着による方法は、摩擦面の抵抗を減少させる
という効果は奏されるものの、上述した安定化には有効
でない。
【0022】更に加えて、安定化剤が高価であること、
固体潤滑粉末を用いる方法では放置すると比重の違いか
ら固体粉末と油分とが分離しやすいという問題があり、
さらに、一度締付けると固体粉末が変形や破壊したり、
繰返し締付け・緩めを行うとなじみ効果が生じることで
締付け特性が変化してしまい、安定しないという問題が
ある。なお「締付け・緩みを繰り返す」ことがある理由
は、例えば、化学プラントや原子力プラント、航空機や
鉄道の分野におけるメンテナンスさらに自動車の修理や
タイヤ交換においては、分解−組立を繰り返し行うた
め、ねじ締結体の締付け−ゆるめを繰り返すことが必要
性となるからである。
【0023】上記3)〜6)の方法は締結体締付け力の
安定化に用いられるものであるがそれぞれ問題がある。
例えば、上記のうちのボンデライト・ボンダリューベ処
理をする方法は、温度に対する感受性が強く、温度変化
によりトルク係数値が大幅に変化してしまうという問題
がある。
【0024】上記4)の水分散の酸化低分子ポリエチレ
ンと合成樹脂エマルジョンを浸漬・塗布・乾燥する方法
(特開平9−40991号公報)によると、 1)有機溶剤に溶解しているわけではないので、水に安
定化物質を均一に分散させることが困難で、分散状態に
よって締結体に形成される膜厚などの被膜特性が異なり
トルク係数がばらつく。
【0025】2)有機溶剤に溶かしてあれば、揮発する
のでスプレー後にすぐに使用できるが、水を乾燥させる
のに乾燥装置を必要とするのでエアゾール(スプレー)
化しても、現場で締結体にスプレーしてすぐに使えない
という問題がある。
【0026】上記5)の黒鉛粉末をエポキシ樹脂ととも
に塗布・被覆する方法(特開平08−028535号公
報、特開2000−120638号公報)によると、黒
鉛粉末により、摩擦係数が低下し振動などにより締結体
に緩みを生じやすくなる。また黒鉛粉末の分散状態、粒
径によりトルク係数が変化し、バラツキが大きくなると
いう問題がある。
【0027】さらに、上記6)の水などに分散または溶
解した樹脂を塗布し、乾燥被覆する方法(「固体被覆タ
イプ」という)のでは、次のような問題点がある。 [イ]安定化が十分でない。 [ロ]特殊な処理設備が必要で、少量生産に適さない。 [ハ]被覆膜厚が締付け特性に影響を及ぼす。 [ニ]輸送中の接触やねじ込みの途中で被膜が剥離す
る。 [ホ]繰返し締付け緩めによって被膜が剥離し、締付け
特性が変化する。 [ニ]水や油などの付着物によって締付け特性が変化す
る。
【0028】以上のように、従来技術の締結体締付け力
の安定化法は、いずれも問題があった。
【0029】本発明は、これらの問題を解消し、実用的
に優れたトルク法で締結体の締付け力を管理するのに適
したトルク係数の変動を可及的に抑制することができる
締付け力安定化剤を提供することを目的としたものであ
る。
【0030】又本発明の別の目的は、この締付け力安定
化剤を用いて、締結体の締付け力を安定して得ることが
できる締結体締付け力安定化法を提供するところにあ
る。
【0031】本発明の更に別の目的は、締結体構成部品
を製造しあるいは出荷する工場等において、同構成部品
に予め上記締付け力安定化剤を付着させ、これを同締結
体を機械的に組み立てる工場等に供給するという安定化
剤付着済みの締結体構成部品を提供するところにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的は以下
の構成を有する各発明により達成される。なお、本発明
における「締結体」というのは、JIS B1083の
「ねじ締結体」のことをいう。 (1)炭素数4の不飽和鎖状炭化水素の重合体を安定化
剤の有効成分とする締結体締付け力安定化剤。 (2)炭素数4の不飽和鎖状炭化水素の重合体が、n−
ブテンの重合体、イソブテンの重合体、又はn−ブテン
及びイソブテンの共重合体のいずれか、あるいはこれら
の混合物であることを特徴とする上記発明(1)に記載
の締結体締付け力安定化剤。 (3)安定化剤の有効成分を鉱油中に10質量%以上相
溶させたことを特徴とする上記発明(1)又は(2)に
記載の締結体締付け力安定化剤。 (4)安定化剤の有効成分を有機溶剤に溶解したことを
特徴とする上記発明(1)ないし(3)のいずれかに記
載の締結体締付け力安定化剤。
【0033】(5)上記有効成分が、ASTM D25
03−92で測定した数平均分子量が5000以下であ
ることを特徴とする上記発明(1),(2)に記載の締
結体締付け力安定化剤。 (6)上記有効成分が、NPCC法(NIPPON PETROCHE
MICALS Method :GPC)で測定した重量平均分子量が
50000以上であることを特徴とする上記発明
(1),(2)に記載の締結体締付け力安定化剤。 (7)締結体の締付け作業時の環境温度において、安定
化剤の粘度が235mPa・s以上であるように調製し
た上記発明(1)ないし(6)に記載の締結体締付け力
安定化剤。 (8)ボルト部材、ナット部材などのねじ部品および被
締結体のねじ螺合部、並びにボルト部材、ナット部材な
どのねじ部品および座金、被締結体などの座面の少なく
ともいずれか一つに上記発明(1)ないし(7)のいず
れかの安定化剤を付着させて用いることを締結体締付け
力の安定化法。 (9)上記発明(1)ないし(7)のいずれかに記載の
締付け力安定化剤を予め、ねじ部品および座金、被締結
体のねじ螺合部又は座面の少なくともいずれか一つに付
着させて保管することを特徴とする締結体を構成する締
結体構成部品。 (10)上記発明(1),(2),(3)又は(5),
(6),(7)のいずれかの安定化剤の有効成分を有機
溶剤に溶解した後、有機溶剤を揮発させて被膜を形成し
たことを特徴とする締結体を構成する上記発明(9)に
記載の締結体構成部品。 (11)上記発明(1)ないし(7)のいずれかに記載
の締付け力安定化剤を表面に付着させた締結体構成部品
が、ボルト部材,ナットなどのねじ部品、又は座金及び
被締結体の少なくともいずれかであることを特徴とする
締結体を構成する締結体構成部品。
【0034】
【発明の実施の形態】上記の発明(1)において、炭素
数4の不飽和鎖状炭化水素には発明(2)のオレフィン
系炭化水素のブテン(ブチレンともいう)が好ましく用
いられ、n−ブテン、イソブテンのいずれであってもよ
い。重合体(ポリブテン)はこれらの単独の重合物(重
合体)であっても、両者の共重合物(共重合体)であっ
てもよいし、これらの重合体,共重合体単独であっても
混合物であってもよい(なお以下の説明においてポリブ
テン(重合体)という場合は、実施例の記載を除いて単
独の重合体、共重合体あるいは混合物の場合を含むもの
とする)。
【0035】本発明で用いられるポリブテンは、好まし
くは数平均分子量数Mnが300以上で、粘度平均分子
量Mvが1×107以下、より好ましくは数平均分子量
数Mnが500以上で、粘度平均分子量Mvが6×10
6以下が適当である場合が多い。平均分子量があまり小
さいと後述するトルク係数の変動係数が大きくなる傾向
があり、また引火点も低下するため危険性が増す。反対
に平均分子量が大きすぎると安定化物質が硬くなり、ね
じ面、座面での摩擦抵抗ならびにトルク係数が大きくな
りすぎる。更に平均分子量が大きくなると、安定化物質
が固体化してねじ面、座面に加わる力で割れてしまいト
ルク係数のバラツキが大きくなる。
【0036】このようなポリブテンとしては、例えば、
グリソパール(Glissopal )1000,1300,2300:ビーエー
エスエフ(株)社製(以下「BASF社製」という):
GPC(gel permeation chromatgraphy )法による重量
平均分子量 1000 〜2300、テトラックス (TETRAX) 3
T,4T,5T,6T:日本石油化学(株)社製:NP
CCC法(GPC)による重量平均分子量 66000〜1290
00、出光ポリブテンOH,5H,2000H (水素添加グレー
ド)、15R,35R,100R,300R (水素未添加グレード):出
光石油化学(株)社製:ASTM D2503−92に
よる数平均分子量350〜3000等を代表的に挙げることが
できる。
【0037】なお、締結体を高温で使用する際の焼き付
き現象を避けるためには、固体潤滑剤を本発明の締結体
締付け力安定化剤に添加し混合してもよい。
【0038】また、粘度が高く付着しにくく作業性が悪
い場合には、n−ブテンの重合体、イソブテンの重合
体、またはイソブテンとn−ブテンとの共重合体、ある
いは、これらの混合組成物を適当な溶剤に溶解して粘度
を調製してもよいし、n−ブテンの重合体、イソブテン
の重合体、またはn−ブテンとイソブテンの共重合体の
二つ以上を混合してなる混合組成物を非相溶性の分散媒
(例えば水)下で界面活性剤を用いてエマルジョンにし
て用いることもできる。
【0039】上記において、ブテン重合体(ポリブテ
ン)を有効成分とする安定化剤は、例えば鉱油に相溶し
てボルト部材等に付着させるか、あるいは有機溶剤に溶
解してボルト部材等に付着させる前あるいは付着させた
後に、乾燥して溶剤を揮発除去するようにして使用する
こともできる。前者の鉱油を相溶剤として用いる場合に
は、上記発明(3)のように安定化剤の有効成分を鉱油
中に10質量%以上相溶して用いることがよい。相溶量
がこれよりも少ないと変動係数が大きくなるという傾向
が大きくなって、本発明の目的の達成が難しくなる。な
お有機溶剤を使用する後者の場合は、ブテン重合物を相
溶できかつ揮発性の溶剤が使用でき、限定されるもので
はないが、例えばトルエン,ヘキサン等を用いることが
できる。これらの有機溶剤を溶媒として用いる場合に
は、該溶媒は乾燥することで揮発除去できる。鉱油とし
ては、パラフィン系、ナフテン系、中間基系などの鉱油
を蒸留分離し、水素化精製あるいは溶剤精製処理を行っ
たニュートラル油、ブライトストック等を挙げることが
でき、また、常圧蒸留抽出油を溶剤脱ろう処理した油、
それをさらに高圧下にて水素精製し硫黄分などの不純物
を除去した油なども使用でき、更にこれに限定されず、
一般的なねじ締付けに用いられるものであれば使用する
ことができるが、特にはマシン油(ISO VG46)
を代表的に挙げることができる。
【0040】本発明の安定化剤には、必要に応じて他の
目的のための剤を添加することを排除するものではな
い。このような添加剤としては、例えば、極圧添加剤、
泡消し剤、付着の有無を目視確認しやすくするための着
色剤、等を挙げることができ、一般的にはこれらの添加
剤の添加量は微量であり、本発明の締付け力を安定化さ
せるための上記変動係数Bの影響は実質的に無視でき
る。
【0041】本発明の安定化剤は、平均分子量の大きさ
の違いによって、ねじ面等に形成される被膜等の付着層
の性状は、液状、柔らかい粘性体、ゴム状のものとな
る。
【0042】本発明にてゴム状とは、粘性体及びゴム状
を示す(但し表5は除く)。
【0043】このような被膜の性状の違いは、本発明の
安定化剤を使用する用途により大きく影響し、例えば、
自動車工業等の大量の個数を使用する用途では、締結体
製造の作業現場で安定化剤を付着させる作業を行うこと
は作業能率上、適当でない場合が多いので、締結体構成
部品を同部品供給者の工場等で安定化剤付着済みの製品
として予め製造し提供することが好ましい。このために
ボルト部材等の表面に付着した状態でゴム状の性状を呈
するブテン重合体の重量平均分子量50000以上のも
のを配合した安定化剤が適している。反対に、締結体を
少量個数使用する場合には、ボルト部材等の表面への付
着作業性などからむしろ組み立て作業現場で安定化剤の
塗布を行うことが好ましく、付着した状態で液状を呈す
る数平均分子量5000以下のものが適している。重量
平均分子量5000を越え30000未満のものは工場
での付着作業を行う方式や、現場で付着作業を行う方式
のいずれの効果を得るために用いることができ、上述し
た、ゴム状の付着層(被膜:重量平均分子量50000
以上)、あるいは液状の付着層(数平均分子量5000
以下)のそれぞれの効果を折衷的に利用することにな
る。
【0044】n−ブテン,イソブテン、これら単体の重
合体及び共重合体の混合物を用いる場合には、混合物を
構成する各ブテンの平均分子量は、同程度であってもよ
いし異なっていてもよい。平均分子量が大きく異なって
いるものを混合して用いる場合には、粘度や使用環境温
度での安定化特性の調製範囲を広げることができる利点
がある。また、組成的に同じブテン重合体(ポリブテ
ン)を、その平均分子量が異なるもの(例えば平均分子
量数千のイソブテンと数万のイソブテン)を混合して用
いてもよく、粘度や使用環境温度での安定化特性の調製
範囲を広げることができる。
【0045】上記において「付着」というのは、目的と
する表面(ねじ面等)に安定化剤を被覆させることがで
きれば手法は特に限定されず、ブラシ等による塗布、浸
漬(ディッピング)、噴霧などのいずれであってもよ
い。
【0046】締結体の表面状態によっては、極圧添加剤
(「潤滑の物理化学」p226〜229 :昭和49年.幸書
房:参照)や泡消し剤などを本発明の締結体締付け力安
定化剤に添加してもよいし、安定化剤の特性上で問題が
なければ他の適当な添加剤を添加してもよい。また、付
着の有無を目視確認しやすくするために着色剤(顔料,
染料等)を本発明の締結体締付け力安定化剤に添加して
もよい。
【0047】
【実施例】以下、本発明の締結体締付け力安定化剤、本
発明の締結体締付け力安定化方法及び本発明の締付け力
安定化剤を付着させた締結体構成部品に係る実施例につ
いて、添付図面を参照して説明するが、本発明がこの実
施例に限定されるものではない。
【0048】種々の締付け力安定化剤の実施例と比較例
の潤滑剤及び安定化剤を、それぞれボルト、ナット、座
金(以下「ボルト等」という)に塗布した後、以下の
〜の条件の下で締付け試験を行い、締結体締付け力安
定化特性を比較した。なお、本発明においては、平均分
子量の測定は、数平均分子量Mnが5000以下につい
てはASTM D2503−92により、数平均分子量
Mnが5000を越える場合は、重量平均分子量Mwを
NPCC法(GPC)で求め、さらに重量平均分子量M
w100000以上では粘度平均分子量MvをBASF
法によってスタウディンガーインデックスを求め算出し
た。但し実施例1は重量平均分子量Mw(BASF法:
GPC)で求めた。
【0049】:本発明の締結体締付け力の安定化の程
度を示す上記式(6)のトルク係数の変動係数Bの数値
は次の条件の試験により求めた。
【0050】締付け試験条件 標準ねじ締結体:呼び径六角ボルト(M16ピッチ2m
m)、六角ナット(両面取り)M16ピッチ2mm ボルト強度区分:8.8 ナット強度区分:8 平座金使用:平座金(HRC40±5)使用 ねじ締結体表面処理:亜鉛めっきクロメート処理(JI
S H8610 1種B,3級:クロメート処理) 締付け軸力:80KN(但し、表7、図1〜図3、図
6、図7は除く) 締付け試験は、締結体、測定装置を設置し、室内の温度
が設定する締付け作業時の環境温度に達した後、1時間
以上保持してから開始した。
【0051】:安定化剤の有効成分として、イソブテ
ン(イソブチレン)の重合物、すなわち、ポリイソブチ
レンとしては、BASF社製の商品名「Glissop
al」、商品名「Oppanol」が市販されており、
本例においては、これらのうちの「Glissopa
l」、「Oppanol」を用いた。
【0052】:安定化剤の有効成分として、イソブテ
ン、n−ブテンの重合物、すなわちポリブテンとして
は、日本石油化学(株)社製の商品名「テトラック
ス」、「ハイモール」、「エバータック」、「日石ポリ
ブテン」、「SV−7000」、Exxon社製の商品
名「VISTANEX」、出光石油化学(株)社製の商
品名「出光ポリブテン」、日本油脂(株)社製の商品名
「Polyvis」及びAmoco社製の商品名「In
dopol」、BP社製の商品名「Napvis」が市
販されているが、本例においては、これらのうちの「テ
トラックス」及び「出光ポリブテン」を用いた。
【0053】:上記のポリイソブテンと上記のポ
リブテンの混合組成物を用いた。
【0054】:本発明品の締付け力安定化剤はイソブ
テン重合体、n−ブテン重合体及びイソブテンとn−ブ
テンの共重合体、あるいはこれらの二種又はそれ以上の
混合物を用いることができ、混合物の場合には、種々の
粘度のものを調製(詳細は表2,表3の欄外に記載)す
ることもできる。なお、表2(実施例1〜12)は、ポ
リブテンを有機溶剤に溶解せずに付着して被膜とした場
合を示し、表3(実施例13〜27)は、ポリブテンを
マシン油(ISO VG46)に相溶して用いた場合を
示している(相溶割合は表3中に記載)。
【0055】:比較例1で用いた潤滑剤である鉱油
(マシン油)は、一般にねじ締付けに用いられる「IS
O VG46」とし、比較例2の固体潤滑剤入りペース
トはカルシウム化合物系固体潤滑剤を配合した潤滑剤
(ゾルベスト103:STT社製)を用いた。また、比
較例3の安定化剤である水溶性樹脂乾燥被覆品には、ト
ルカーCHAグリーン(日本油脂(株)社製)のトルカ
ー処理品を用い、比較例4には、エポキシ樹脂(エピコ
ート828:油化シェルエポキシ(株))を用いた。
【0056】以上の〜の条件・設定に従って、従来
例の潤滑剤、安定化剤を用いた場合の締付け試験を行っ
た結果の締結体締付け力安定化特性(トルク係数の変動
係数B)を下記表1に示し、本発明例の締付け力安定化
剤を用いた場合の締付け試験結果の締結体締付け力安定
化特性(トルク係数の変動係数B)を下記表2、表3に
示した。また、表2、表3の「混合」の状態は、相溶し
ている状態を示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】上記表1〜表3から分かるように、比較例
1〜3はトルク係数の変動係数B(以下単に「変動係数
B」という)が0.06を越えているのに比べ、ブテン
重合体をボルト等に付着させた本発明品の例(表2参
照)は、変動係数Bが0.06未満と低く、更に安定化
粘度が338mPa・s以上、あるいは平均分子量が4
00以上の例では変動係数Bは0.04未満、特に安定
化粘度が628mPa・s以上、あるいは平均分子量が
570以上の例では変動係数Bは0.02未満という極
めて優れた安定化が得られ、バラツキが小さいことが試
験により確認された。
【0061】また、ブテン重合体を鉱油に相溶してボル
ト等に付着させた本発明品の例(表3参照)の変動係数
Bは、ブテン重合体の配合割合を多くすることに伴って
小さくなる傾向が示され、配合割合が10質量%以上に
なると変動係数Bは0.04未満、特に配合割合が30
質量%以上になると変動係数Bは0.03未満という極
めて優れた安定化が得られ、バラツキが小さいことが確
認された。
【0062】試験例1 以上の測定結果が現れる原因を確認するために、締結体
構成部品の座金座面の状態を電子顕微鏡で観察し、結果
を図1〜図3に示した。
【0063】図1〜図3の状態は、締付けて緩めた状態
を示す。
【0064】すなわち、図1の電子顕微鏡写真は実施例
38と同じ配合の安定化剤を塗布・乾燥した後に締結体
締付け軸力60KNで締付けたときの座金座面を示すも
のであり、図2は比較例5の潤滑剤(マシン油)を塗布
した後に軸力60KNで締め付けたときの座金座面を示
す電子顕微鏡写真、図3は比較例7の固体潤滑剤入りペ
ースト(カルシウム化合物系固体潤滑剤入りペースト)
を塗布した後に軸力60KNで締め付けたときの座金座
面を示す電子顕微鏡写真である。
【0065】これらの電子顕微鏡写真から分かるよう
に、鉱油(マシン油)を塗布した後に締付けを行った締
結体の座金座面は、図2に示すように、めっき表面のク
ロム層(黒部)が部分的に消失しており、かじりが生じ
たものと推測される。
【0066】また、比較例7の固体潤滑剤入りペースト
を塗布した後に締付けを行った締結体の座金座面は、図
3に示すように、全面的に線状の傷が観察され、硬い固
体潤滑剤がこすり付けられた跡であると推測される。
【0067】これに比べて、本発明品の締付け安定化剤
を付着させた例では、締付けた座金座面は、図1に示す
ように部分的に強くこすれているが、クロム層(図1の
黒色部分参照)が多く残っていることが明瞭に観察され
る。
【0068】したがって、これらの電子顕微鏡写真か
ら、本発明品で用いた締付け力安定化剤は、比較例の潤
滑剤等に比べて締付け力安定化特性が優れていることが
分かる。
【0069】試験例2 図4は実施例の締付け力安定化剤のポリブテンの粘度と
トルク係数との関係を示したグラフである。
【0070】粘度2000mPa・s以上の範囲におい
ては、粘度の対数とトルク係数がほぼ直線上にならんで
いることが分かる。そして先に示した表3からわかるよ
うに粘度が235mPa・s以上であれば、従来例に比
べて、実用上十分な優れた性能を有するバラツキの小さ
い目的の安定化剤を得ることができ、粘度を調整するこ
とによって所望のトルク係数に設定できるという利点が
得られることが分かる。更に、表2から分かるように、
粘度が630mPa・s以上の範囲においては、変動係
数Bのバラツキを非常に小さくした安定化剤を得ること
ができる利点が得られることが分かる。
【0071】試験例3 図5は、実施例1の締付け力安定化剤を用いた場合と、
比較例1の潤滑剤としてマシン油を用いた場合につい
て、締付け作業時の環境温度がトルク係数に及ぼす影響
を調べた結果を示したグラフである。
【0072】実施例1の締付け力安定化剤については、
トルク係数の締付け温度依存性が非常に小さいのに対
し、比較例1の潤滑剤のマシン油についてはトルク係数
が大きく変化することが分かる。
【0073】ねじ締付け作業において、締結体の締結体
締付け軸力を締付けトルクで管理する場合に、温度の影
響を考慮することは従来ほとんどされていないが、建設
現場のような屋外で作業が行われる場合には、締付け作
業時の環境温度は大きく変化するのが普通である。この
ような場合、トルク係数の変動係数Bの締付け温度依存
性が小さいことは、トルク法で締付け軸力を管理するた
めに、その軸力の安定化に大きく寄与するものである。
【0074】試験例4 図6は、実施例38の締付け力安定化剤を用いた場合、
比較例5のマシン油を用いた場合、比較例7のカルシウ
ム化合物系物質入りペーストを用いた場合、および二硫
化モリブデン系固体潤滑剤入りペーストを用いた場合に
ついて、繰返し締付け特性を試験した結果を示したグラ
フである。締付け作業時の環境温度は24℃である。
【0075】締結体によっては締付けと緩めを何回も繰
返す場合があり、この際にトルク係数が下がると、締め
過ぎが生じ、逆に、上ると締付け力が不足し、重大な事
故を招き兼ねない。
【0076】この図6から分かるように、10回繰返し
締付けを行った場合、比較例5のマシン油、比較例7の
固体潤滑剤入りペーストを用いると、繰返し締め付ける
につれてトルク係数が大きく低下することが分かる。こ
れでは、締付け回数が増えると締め過ぎが起きやすい傾
向になり、締結体に過大な力が負荷されてしまう。
【0077】これに対して本発明品である安定化剤を用
いた実施例7の場合には、トルク係数変化はほとんど生
じないことが分かり、上記従来例の問題を招くことがな
いという利点が得られる。
【0078】試験例5 図7は実施例7の締付け力安定化剤を用いた場合と、比
較例1の潤滑剤のマシン油を用いた場合について、ゆる
み特性を比較試験した結果を示したグラフである。
【0079】この比較試験の結果から分かるように、潤
滑剤のマシン油を用いた場合には、ある締付け軸力(5
5〜60KN)を境に急峻にゆるむのに対し、本発明品
の実施例7の締付け力安定化剤を用いた場合には、締付
け軸力は少しずつ徐々にゆるんでいくことが分かる。
【0080】このような本発明品で生ずる現象は、例え
ば、航空機などに用いられている損傷許容設計概念から
も非常に有利な点である。つまり損傷許容設計とは、欠
陥(損傷)がはじめから存在するという前提で、運用中
の繰返し点検により、これらの損傷が致命的な大きさに
成長する前に発見し、適切な修理を施す事により構造の
健全を保つことを目的としたものであり、たとえねじ締
結体がゆるみを生じたとしても、次の点検まで致命的な
ゆるみに達しにくくなるという意味において従来例に比
べて非常に優れており、安全性が極めて重要視される用
途において、本発明品を適用することによる利点,重要
性は多大なものである。
【0081】次に、締結体表面への付着物(水、油)が
実施例の締付け力安定化剤の安定化効果に及ぼす影響を
確認した試験の結果を示す。
【0082】すなわち、ボルト等の締結体構成部品の表
面に締結力安定化剤を付着する際に、該表面に水や油が
付着していると、締結力安定化剤の付着によるトルク係
数の安定化に悪影響を及ぼすかを検討した。この影響は
小さいことが望ましいことは言うまでもない。結果を表
4に示した。なお、水,油の付着程度はボルトとナット
全体を水または油に浸漬させ、水または油がたれない程
度で安定化剤を付着とした。
【0083】
【表4】
【0084】この結果から分かるように、本発明品の安
定化剤は、締結体構成部品の表面に水や油が付着してい
ても、トルク係数の変動係数Bが若干低下するものの
0.02未満という極めて優れた数値範囲内にあること
が確認された。
【0085】試験例6 更に、安定化剤を有機溶剤に溶解し、ボルト等の締結体
構成部品の表面に塗布等の方法で付着させ、乾燥した後
の付着層の性状による安定化特性の違いを検討した試験
を行い、その結果を下記表5に示した(有機溶剤に溶解
したのは本試験例のみ)。
【0086】
【表5】
【0087】この表5の結果から分かるように、ブテン
重合体を有効成分とする本発明品を用いた場合には、重
合度の違い(つまり平均分子量の違い)によりボルト等
の締結体構成部品の表面に形成される付着層の性状は、
ゴム状、液状、軟らかい粘性体と異なるが、いずれの場
合にも変動係数Bは0.02未満という極めて安定した
状態を示すことが確認された。
【0088】試験例7 締結体における表面処理の影響を調べた結果を表6に示
した。表面処理は、亜鉛メッキクロメート処理はJIS
H8610 1種B,3級を用い、ダクロタイズト処
理は、亜鉛粒子とクロム化合物を被膜化したものを使用
した。
【0089】
【表6】
【0090】この表6の結果から分かるように、変動係
数Bは極めて安定した状態を示すことが確認された。
【0091】試験例8 締結体における、締付け軸力の影響を調べた結果を表7
に示した。
【0092】
【表7】
【0093】この表7の結果から分かるように、締付け
軸力が変わったとしても変動係数Bは極めて安定した状
態を示すことが確認された。
【0094】
【発明の効果】本発明の締結体締付け力の安定化剤及び
締結体締付け力の安定化方法及び締付け力安定化剤を付
着させた締結体によって以下の効果が得られた。
【0095】効果1) トルク係数の変動係数Bのバラ
ツキが極めて少なく、締付けトルクを一定としたときの
締付け軸力が、極めて変動の少ない範囲で安定して確保
することができる。
【0096】効果2) 従来例の固体潤滑剤入りペース
トなどに比べ、コストが安い。
【0097】効果3) 粘度を変化させるという手法
で、トルク係数や変動係数Bを目的とする範囲に設定す
ることができるという利点がある。
【0098】効果4) 締付け作業時の環境温度の変化
による変動係数Bが小さい。
【0099】効果5) 急激なゆるみを生じ難い。
【0100】効果6) (固体被覆タイプに比べ)剥離
し難い。
【0101】効果7) 締結体の繰返し締め付けとゆる
めの使用においても、締付け力が安定している。
【0102】効果8) 締結体に付着させるのに特別な
装置を必要としない。よって、処理数、処理場所の制限
を受け難い。
【0103】効果9) 被覆タイプに見られる膜厚の影
響を受け難い。
【0104】効果10) 締結体への水や油の付着の影
響を受け難い。
【0105】効果11) 締結体への付着処理数が少な
くても容易に対応可能。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例38の締付け力安定化剤のブテン重合体
を塗布し、締め付けて緩めた後の座金座面の状態を示し
た電子顕微鏡写真。
【図2】比較例5の潤滑剤(マシン油)を塗布した後
に、締め付けて緩めた座金座面の状態を示した電子顕微
鏡写真。
【図3】比較例7の潤滑剤(カルシウム化合物系固体潤
滑剤入りペースト)を塗布した後に、締め付けて緩めた
座金座面を示した電子顕微鏡写真。
【図4】試験例2の締付け力安定化剤のブテン重合体の
粘度とトルク係数との関係を示したグラフ。
【図5】実施例1の締付け力安定化剤のブテン重合体と
比較の潤滑剤の鉱油について、締付け作業時の環境温度
がトルク係数に及ぼす影響を示したグラフ。
【図6】実施例38の締付け力安定化剤のブテン重合体
と比較の潤滑剤のマシン油、カルシウム化合物系及び二
硫化モリブデン系固体潤滑剤入りペーストについての繰
返し締付け特性を示すグラフ。
【図7】実施例7の締付け力安定化剤のブテン重合体と
比較の潤滑剤のマシン油についてゆるみ特性比較したグ
ラフ。
【図8】ボルトの伸びと締付け軸力との関係を示したグ
ラフ。
【図9】トルク係数の変化が締付けトルクと締付け軸力
に及ぼす影響を示したグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C10N 30:00 C10N 30:00 Z 40:00 40:00 G (72)発明者 辻 洋 東京都大田区大森北2丁目2番12号 株式 会社東日製作所内 (72)発明者 石田 直洋 東京都北区西が丘3丁目13番10号 東京都 立産業技術研究所内 (72)発明者 大久保 一宏 東京都北区西が丘3丁目13番10号 東京都 立産業技術研究所内 Fターム(参考) 3C038 AA01 AA06 EA01 4H104 CA04C CA05C DA02A LA20 PA38 4J002 AE05W BB17X BB18X GH01 HA05

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数4の不飽和鎖状炭化水素の重合体
    を安定化剤の有効成分とする締結体締付け力安定化剤。
  2. 【請求項2】 炭素数4の不飽和鎖状炭化水素の重合体
    が、n−ブテンの重合体、イソブテンの重合体、又はn
    −ブテン及びイソブテンの共重合体のいずれか、あるい
    はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記
    載の締結体締付け力安定化剤。
  3. 【請求項3】 安定化剤の有効成分を鉱油中に10質量
    %以上相溶させたことを特徴とする請求項1又は2に記
    載の締結体締付け力安定化剤。
  4. 【請求項4】 安定化剤の有効成分を有機溶剤に溶解し
    たことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載
    の締結体締付け力安定化剤。
  5. 【請求項5】 前記有効成分が、ASTM D2503
    −92で測定した数平均分子量が5000以下であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の締結体締付け力
    安定化剤。
  6. 【請求項6】 前記有効成分が、NPCC法(GPC)
    で測定した重量平均分子量が50000以上であること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の締結体締付け力安
    定化剤。
  7. 【請求項7】 締結体の締付け作業時の環境温度におい
    て、安定化剤の粘度が235mPa・s以上であるよう
    に調製した請求項1ないし6のいずれかに記載の安定化
    剤。
  8. 【請求項8】 ボルト部材、ナット部材などのねじ部品
    及び被締結体のねじ螺合部、並びにボルト部材、ナット
    部材などのねじ部品及び座金、被締結体の座面の少なく
    ともいずれか一つに、請求項1ないし7のいずれかの安
    定化剤を付着させて用いることを特徴とする締結体締付
    け力の安定化法。
  9. 【請求項9】 前記請求項1ないし7のいずれかに記載
    の締付け力安定化剤を予めねじ部品、座金、被締結体の
    ねじ螺合部又は座面の少なくともいずれか一つに付着さ
    せて保管することを特徴とする締結体を構成する締結体
    構成部品。
  10. 【請求項10】 前記請求項1ないし3、又は5ないし
    7のいずれかの安定化剤の有効成分を有機溶剤に溶解し
    て付着した後、有機溶剤を揮発させて被膜を形成したも
    のであることを特徴とする請求項9に記載の締結体構成
    部品。
  11. 【請求項11】 前記請求項1ないし7のいずれかに記
    載の締付け力安定化剤を表面に付着させた締結体構成部
    品がボルト部材,ナット部材などのねじ部品、又は座金
    及び被締結体の少なくともいずれかであることを特徴と
    する請求項9又は10に記載の締結体構成部品。
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