JP2002209355A - 車両用交流発電機 - Google Patents
車両用交流発電機Info
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Abstract
や音の発生を防止すること。 【解決手段】 車両用交流発電機の固定子2の固定子巻
線は、ほぼU字状に形成された導体セグメント33を固
定子鉄心32の各スロット35に挿入し、異なるスロッ
ト35に挿入された導体セグメント33の先端部33f
同士を接合して結線することにより構成される。先端部
33fと斜行部33eの一部を覆うように樹脂部材36
が形成されており、この樹脂部材36によってそれぞれ
の先端部33fが円還状に連結される。
Description
動される車両用交流発電機に関し、乗用車、トラック等
に搭載される車両用交流発電機に関する。
して、複数の導体セグメントを接合することにより形成
された巻線を有するものが従来から知られている。例え
ば、特開昭63−274335号公報には、複数のセグ
メント状導体を用いて固定子巻線を形成し、各セグメン
トの接合部に対応して環状の樹脂12bが装着された固
定子が開示されている。この固定子の樹脂12bは、セ
グメントの先端部分に設けられており、その根元部分に
は冷却風が流れる空間が形成されている。
開昭63−274335号公報に開示された固定子にお
いては、セグメントの接合部から延びる斜行部分は、樹
脂12aによって完全に覆われており、冷却風の通風部
分は、軸方向に延びる平行な部分のみに形成されてい
る。したがって、セグメントの先端部分のみが相互に固
定されており、円周方向に沿った剛性が充分ではなく、
なびくように倒れやすいという問題があった。また、剛
性不足のため、先端部分に設けられた樹脂12bが振動
しやすく、振動音の増大を招いていた。
先端部分をわずかに覆っているだけであり、一般には樹
脂と金属との結合は弱いため、セグメントに振動や熱が
加わったときに樹脂12bが抜けやすく、強固な固着が
得られないという問題があった。また、セグメントの接
合部は、溶接やはんだ付け等の加熱を伴う方法で接合す
ると、部分的な変質を伴う。例えば、セグメントの接合
部が銅によって形成されている場合を考えると、接合部
近傍の銅表面の酸化等による変質や、銅に被覆された樹
脂被膜層の損傷などが生じる。このような接合部近傍の
変質部分は、表面が樹脂12bとなじみにくくなってい
る場合があり、先端の接合部分のみに設けた樹脂12b
は、特にその固着状態が弱くなる傾向にある。
て覆われる複数のセグメントの接合部に沿った形状には
形成されておらず、円周方向に一様な表面形状を有する
環状部材として形成されている。したがって、セグメン
トが覆われた部分とそれ以外の部分では、円周方向の断
面形状が急変することになり、樹脂12bの材質によっ
ては、樹脂12bとセグメントとの熱膨張係数の違い
や、厚さの違いによる熱膨張量の違い等から、樹脂12
bにクラックなどの損傷が生じやすく、その損傷部分に
水分が浸入することによって接合部に腐食や電気的な短
絡が起こるおそれがあった。そのため、このような不具
合から接合部を保護する必要がある。
たものであり、コイルエンドの剛性を高めることにより
振動や音の発生を防止することを目的とする。また、本
発明は、セグメントの接合部を保護することを目的とす
る。
ために、本発明の車両用交流発電機は、回転子と、前記
回転子の外周に対向配置した固定子と、前記回転子と前
記固定子とを支持するフレームとを有する車両用交流発
電機において、前記固定子は、複数のスロットを有する
固定子鉄心と、前記スロット内に収納される内部導体と
前記固定子鉄心から露出するコイルエンドとによって固
定子巻線を形成する複数の導体セグメントと、前記複数
の導体セグメント間を連結する樹脂部材とを有し、前記
導体セグメントは、前記コイルエンドにおいて、他の前
記導体セグメントと交差する斜行部と、前記斜行部の先
端に位置する先端部とを形成しており、前記樹脂部材
は、前記複数の導体セグメントの前記先端部間を周方向
に連結するとともに、前記先端部から前記斜行部の一部
にかけて付着していることを特徴としている。
とにより高い剛性を得ることができ、先端部近傍での振
動や音の発生を抑制することができる。先端部につなが
る斜行部の一部にまで樹脂部材を付着させることによ
り、樹脂部材によって導体セグメントの曲がった部分ま
で覆うことになるため、樹脂部材が軸方向に関して強固
に固着し、振動等による脱落を防止することができる。
また、樹脂部材の被覆範囲に、導体セグメントの斜行部
の一部が含まれおり、樹脂部材の全体が軸方向に抜けに
くくなっており、振動や熱が加わったときの欠落を防止
することができる。
別の樹脂材料を付着させることが望ましい。別の樹脂材
料を斜行部に付着させることにより、先端部間を連結す
る樹脂部材を先端部から斜行部にかけて強固に固着させ
ることができる。例えば、別に追加する樹脂材料として
は、粘度が低く、先端部から斜行部にかけてを薄く覆う
ことができる、いわゆる含浸固着用の樹脂材料が適して
いる。
に、上述した樹脂部材を形成することが望ましい。補強
用に形成された樹脂部材によって接合部を覆うことによ
り、接合部の保護も同時に行うことができる。特に、導
体セグメントが樹脂被膜によって覆われている場合に
は、接合部近傍であって接合時に損傷を受けた部位を含
んで健全な部位に至るまで樹脂部材で覆うことが望まし
い。一般に、損傷を受けた樹脂被膜は、樹脂部材となじ
みにくくなっていることが多いため、健全な部位までを
含んで樹脂部材を付着させることにより、樹脂部材を強
固に付着させることができる。
し、その根元を樹脂部材で覆うことが望ましい。先太部
分があることによって樹脂部材が導体セグメントから抜
けにくくなり、振動等による欠落を防止することができ
る。また、上述した樹脂部材は、先端部の表面に沿った
波形の表面形状に形成することが望ましい。このような
形状とすることにより、接合部周辺の樹脂部材の厚さが
ほぼ一定になるため、過剰な肉厚部、肉薄部がなくな
り、膨張収縮量のばらつきを抑えることができ、樹脂部
材の損傷を防止することができる。したがって、損傷に
起因する腐食や電気的な短絡の発生を防止することがで
きる。
ることが望ましい。各導体セグメントの先端部を環状に
連結することにより、樹脂部材として最も高い剛性が得
られるため、振動や音の発生を最小限に抑えることがで
きる。
態の車両用交流発電機について、図面を参照しながら詳
細に説明する。図1は、一実施形態の車両用交流発電機
の全体構造を示す断面図である。同図に示すように、本
実施形態の車両用交流発電機1は、固定子2、回転子
3、フレーム4、整流器5等を含んで構成されている。
線を構成する複数の導体セグメント33と、固定子鉄心
32と導体セグメント33との間を電気絶縁するインシ
ュレータ34と、各導体セグメント33の先端部間を連
結するように形成された円還状の樹脂部材36とを備え
ている。固定子鉄心32は、薄い鋼板シートを重ね合わ
せて形成されており、その内周面には多数のスロットが
形成されている。また、この固定子鉄心32から露出し
ている導体セグメント33によって固定子巻線のコイル
エンド31が形成されている。固定子2の詳細構造につ
いては後述する。
かつ同心状に巻き回した界磁コイル8を、それぞれが6
個の爪部を有するポールコア7によって、シャフト6を
通して両側から挟み込んだ構成を有している。また、フ
ロント側のポールコア7の端面には、フロント側から吸
い込んだ冷却風を軸方向および径方向に吐き出すために
軸流式の冷却ファン11が溶接等によって取り付けられ
ている。同様に、リヤ側のポールコア7の端面には、リ
ヤ側から吸い込んだ冷却風を径方向に吐き出すために遠
心式の冷却ファン12が溶接等によって取り付けられて
いる。
収容しており、回転子3がシャフト6を中心に回転可能
な状態で支持されているとともに、回転子3のポールコ
ア7の外周側に所定の隙間を介して配置された固定子2
が固定されている。また、フレーム4は、固定子2のコ
イルエンド31に対向した部分に冷却風の吐出孔42
が、軸方向端面に吸入孔41がそれぞれ設けられてい
る。
は、ベルト等を介してプーリ20にエンジン(図示せ
ず)からの回転力が伝えられると回転子3が所定方向に
回転する。この状態で回転子3の界磁コイル8に外部か
ら励磁電圧を印加することにより、ポールコア7のそれ
ぞれの爪部が励磁され、固定子巻線に3相交流電圧を発
生させることができ、整流器5の出力端子からは所定の
直流電流が取り出される。
図2は、固定子巻線を構成する導体セグメント33の斜
視図であり、固定子鉄心32に組み付ける前の状態が示
されている。図2に示すように、導体セグメン33は、
棒状あるいは板状の金属材料(例えば銅)をターン部3
3cで折り曲げたほぼU字状に形成されており、ターン
部33cよりスロットの内周側に配置される内層側導体
部33aと、ターン部33cよりスロットの外周側に配
置される外層側導体部33bとを含んで構成される。ま
た、これらの内層側導体部33aと外層側導体部33b
のそれぞれは、固定子2のスロット内に収容される直線
部としての内部導体と、スロットの外部に露出してコイ
ルエンド31を形成する外部導体とによって構成されて
いる。
る。固定子2の固定子巻線は、固定子鉄心32の各スロ
ット35に2本の導体セグメント33を挿入し、異なる
スロット35に挿入された導体セグメント33の先端部
同士を互いに結線することにより構成されている。図3
に示すように、この導体セグメント33の内層側導体部
33aおよび外層側導体部33bのそれぞれの断面形状
は、周方向よりも径方向に長い長方形を有しており、こ
の長方形の長辺が径方向に沿って配置されている。この
導体セグメント33は、その表面に絶縁被膜が形成され
ており、隣接する導体セグメント33の絶縁はそれぞれ
の表面に形成された絶縁被膜331によって行われる。
また、各導体セグメント33とスロット35の内壁面と
の間の電気的絶縁は、インシュレータ34によって行わ
れる。
る。この図に示すように、固定子巻線を構成する各導体
セグメント33は、固定子鉄心32の軸方向側面の一方
にターン部33cが、他方にターン部33cと反対側の
整列部分としての先端部33fが配置されている。固定
子2の一方のコイルエンド31を構成する導体セグメン
ト33の斜行部33eは、外層と内層とで逆方向に傾斜
した交差部分であり、各層内では同一方向に傾斜してい
る。また、各導体セグメント33の斜行部33eより先
の先端部33f同士の結線は、超音波溶着、アーク溶
接、ろう付け等の電気的接合による場合の他に、かしめ
などの機械加工手段を用いてもよい。
にかけて樹脂部材36が形成されている。この樹脂部材
36は、各導体セグメント33の先端部33fを円還状
に連結しており、高い剛性を得ることができる。また、
樹脂部材36の被覆範囲に、導体セグメント33の斜行
部33eの一部が含まれおり、樹脂部材36の全体が軸
方向に抜けにくくなっており、振動や熱が加わったとき
の欠落を防止することができる。また、導体セグメント
33の斜行部33eは、その一部に樹脂部材36がかか
っているだけであり、そのほとんどに樹脂部材36が付
着していない。したがって、各導体セグメント33の斜
行部33eによって網目状の通風路が形成されており、
固定子巻線の良好な冷却性が確保されている。
33fの接合部およびその近傍は、接合に伴って変質を
生じる。例えば、溶接によって先端部33fの溶融部分
の表面が酸化するとともに、その周辺の絶縁被膜が損傷
を受ける。図5は、導体セグメント33の接合部近傍の
状態を示す図である。図5に示すように、溶接によって
接合部を形成した場合には、接合部分である溶融部分
(領域A)の表面が著しく酸化される。また、溶融部分
に隣接する区域(領域B)の表面の絶縁被膜が溶接の熱
によって損傷あるいは劣化する。このように表面が著し
く酸化したり絶縁被膜が損傷や劣化すると、樹脂部材3
6の密着性が悪くなる傾向にある。例えば、粉体を熱硬
化させて樹脂部材36を形成した場合には、領域Aおよ
び領域Bに対応する導体セグメント33の表面と樹脂部
材36との間、あるいは導体セグメント33の表面と劣
化した絶縁被膜との間の密着性が悪いため、本実施形態
では、図5に示すように、樹脂部材36の被覆範囲を領
域Aと領域B、さらにはその先の絶縁被膜が劣化してい
ない健全部分に至るように設定している。密着性が良好
な健全部分までを含めることにより、樹脂部材36が導
体セグメント33に強固に固着する。
先端部33fにかけての断面図である。斜行部33eの
表面には、銅線としての導体セグメント33に設けられ
た絶縁被膜331が付着している。そして、先端部33
fから斜行部33eの一部にかけて樹脂部材36をなす
樹脂材料が付着している。さらに、これら全体を覆うよ
うにして別の樹脂材料としての薄い樹脂層361が付着
している。この薄い樹脂層361は、絶縁被膜331な
らびに樹脂部材36とは異なる樹脂材料である。
を覆っている。さらに、薄い樹脂層361は、斜行部3
3eの間に樹脂の膜を張ることがあるが、斜行部33e
における放熱に寄与する表面積を大幅に減少させること
はない。斜行部33eに樹脂の膜が張る場合でも、斜行
部33eの表面に沿って流れる空気によって十分な冷却
が可能である。
る。まず、固定子鉄心32の各スロット35にインシュ
レータ34を挿入する。次に、図2に示す外層側導体部
33bと内層側導体部33aとターン部33cとで構成
されたほぼ同一形状のU字状の導体セグメント33を、
固定子鉄心32の軸方向側面の同一側にターン部33c
が揃うように重ね、図3に示すように外層側導体部33
bがスロット35の奥側に、内層側導体部33aがスロ
ット35の開口側に位置するように、各導体セグメント
33をスロット35内であって先に挿入されたインシュ
レータ34内に挿入する。この導体セグメント33は、
絶縁被膜を持つ銅平板を折り曲げ、プレス等でほぼU字
型形状に整形することにより製作され、ほぼ平行のスロ
ット側面に外層側導体部33bおよび内層側導体部33
aの両側面がインシュレータ34を介して当接するよう
に圧入される。次に、図7に示すように、ターン部33
cによって形成されるコイルエンド31とは反対側に位
置する先端部33fを互いに反対の周方向に折り曲げた
後、異層の他の導体セグメント33の先端部33f同士
が接合されて結線される。次に、エポキシ系の粉体を各
導体セグメント33の先端部33fおよびこれにつなが
る斜行部33eの一部に付着させた後に熱硬化させる。
なお、図4等に示したように、先端部33fと斜行部3
3eの一部の表面形状に沿った波形形状に樹脂部材36
を形成するためには、先端部33fを下方に向けた状態
で流動させた粉体を付着させる、いわゆる流動浸漬が適
している。その後、粉体を硬化させた範囲を含む所定範
囲を含浸固着用の液状樹脂に浸した後、加熱してこれを
硬化させ、樹脂層361を形成する。一般に、粉体を硬
化させた場合、粉体による導体セグメント先端部の密着
封止性は、液状樹脂を硬化させた場合の密着封止性に比
べて弱いため、粉体を熱硬化させて樹脂部材36を形成
した後に、液状樹脂に浸してこれを硬化させることによ
り、樹脂部材36と導体セグメント33との間に形成さ
れる微細な隙間の間を液状樹脂で埋めることができ、樹
脂部材36を導体セグメント33に対して強固に固着さ
せることができる。
形成された樹脂部材36によって、各導体セグメント3
3の先端部33f同士を連結しており、高い剛性を得る
ことができるため、コイルエンド31の変形や振動・音
の発生、隣接する導体セグメント33間の接触等を防止
することができる。また、接合部を含む先端部33fが
樹脂部材36に覆われているため、樹脂部材36が保護
部材としても機能し、接合部を確実に保護することがで
きる。また、先端部33fから斜行部33eの一部にか
けて樹脂部材36を付着させることにより、樹脂部材3
6が軸方向に関して強固に固着し、振動等による脱落を
防止することができる。また、斜行部33eについて
は、樹脂部材36が一部に付着しているだけであるた
め、冷却風が通る空間が充分確保されており、良好な放
熱性を達成することができ、発電時の温度低減が可能に
なる。また、樹脂部材36は、先端部33fの表面に沿
った波形に形成されており、接合部を含む先端部33f
周辺の厚さがほぼ一定になっているため、過剰な肉厚
部、肉薄部がなくなり、膨張収縮量のばらつきを抑える
ことができ、樹脂部材36の損傷を防止することができ
る。樹脂部材36の損傷がなくなるため、水等が進入す
ることによって生じる腐食や電気的な短絡等を防止する
ことができる。
脂部材36とは別の液状樹脂を付着させており、樹脂部
材36による固着をさらに強くすることができる。この
液状樹脂を導体セグメント33と固定子鉄心32のスロ
ット35の軸方向入口部の隙間に流し込むことにより、
これらの間の結合の度合いを強めることもできる。この
ように、2種類の樹脂の材質や付着させる部位を変える
ことにより、導体セグメント33同士の相互間の連結を
強固にする以外の数々の用途に用いることができる。
ものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形実施が
可能である。例えば、上述した実施形態では、導体セグ
メント33の接合部をほぼ均一な断面形状に形成した
が、先太形状に形成するようにしてもよい。図8は、接
合部を玉形状に形成した固定子の部分的な斜視図であ
る。例えば、各導体セグメント33の先端部同士の結線
をTIG(tungsten inert−gas)溶
接による接合によって行うことにより、接合部33gの
全体が表面張力によって丸くなってエッジのない雫状の
玉形状となる。一般に、TIG溶接は、不活性ガス気中
でタングステン電極と母材の間にアークを発生させ、こ
のアーク熱を利用して母材を溶融させて溶接する方法で
ある。高い熱伝導率を有する銅によって導体セグメント
33を形成した場合には、溶接時の溶融が先端部33g
の近傍に広がるため、接合部の全体が玉形状となる。こ
の接合部は、導体セグメント33の線材の断面寸法より
も大きく形成されており、先端部33gの根元から見る
と先太形状に形成されている。したがって、この接合部
を覆うように形成された樹脂部材36は抜けにくくな
り、振動等によって欠落することを防止することができ
る。
トの断面に比べて太くなっていることが重要であり、長
方形断面を有する導体セグメントの幅方向と厚さ方向の
両方に関して太くなっていることが望ましいが、幅方向
あるいは厚さ方向のいずれか一方に関してのみ太くなっ
ていてもよい。かかる形状においても、樹脂部材36が
先太先端部の根元にまで付着し、先太範囲を包み込む形
状を採用することで樹脂部材36の固着を強固にでき
る。
当たりの導体数が2本の場合を説明したが、1スロット
当たりの導体数を増やすようにしてもよい。例えば、図
9に示すように、固定子鉄心32に形成された各スロッ
ト135内に、4本の導体セグメント133をスロット
135の深さ方向に関してのみ配列して収容するように
してもよい。このような構造においては、図10に示す
ような接合構造が採用できる。1つのスロット135に
収容された4本の導体セグメント133は、周方向に向
けて交互に延び出している。図10では、手前に図示さ
れた最外周が時計回り方向に延びており、最も奥に位置
する最内周が反時計回り方向に延びている。そして、各
導体セグメント133の先端部133fは、所定ピッチ
離れた別のスロット135から延びる他の導体セグメン
ト133の先端部133fと接合されている。図10で
は、最内周の導体セグメント133と第2層の導体セグ
メント133とが接合され、第3層の導体セグメント1
33と最外層の導体セグメント133とが接合されてい
る。そして、少なくともそれぞれの導体セグメント13
3の先端部133fを覆うように樹脂部材136が形成
されている。
32の一方の側面側にターン部33cを有するほぼU字
状の導体セグメント33を用いたが、このターン部33
cで分離した折り返しのない導体セグメントを用い、こ
の導体セグメントの両端部を接合するようにしてもよ
い。図11は、I字状あるいはJ字状と呼びうる導体セ
グメントの形状を示す斜視図である。同図に示す導体セ
グメント233は、固定子鉄心32のスロット35内に
挿入される直線部である内部導体233hと、この内部
導体233hの両端において固定子鉄心32の軸方向両
側に延びる斜行部233iと、その先に形成される先端
部233fとによって構成されている。2つの斜行部2
33iの少なくとも一方は、スロット内への挿入後に破
線形状から曲げられる。そして、図12に示すように、
先端部233fが異なるスロットに挿入された他の導体
セグメント233の先端部233fと接合されて結線が
なされ、その後隣接する接合部間を樹脂部材236によ
って覆うことにより、全体として固定子巻線が形成され
る。この導体セグメント233はシンプルな形状を有し
ているため、製造が容易になる利点がある。また、各導
体セグメント233とインシュレータ34とを1対1に
対応させることができるため、スロット35内にインシ
ュレータ34を挿入し、さらにその中に導体セグメント
233を挿入する場合の作業が容易となる。
ント33の先端部33fを円還状の樹脂部材36によっ
て覆ったが、この樹脂部材36は単一の部材で形成する
必要はなく、2分割あるいはそれ以上に分割されたもの
であってもよい。また、導体セグメント33の斜行部3
3eは必ずしも、内層側と外層側の両方が傾斜している
必要はなく、どちらか一方の層に対応する斜行部33e
を軸方向に沿って形成し、他方の層に対応する斜行部3
3eのみを傾斜させるようにしてもよい。本明細書で
は、他の導体セグメント33と平行以外の所定の角度で
交差する部分を斜行部と称している。また、樹脂部材3
6によって斜行部33eの一部を覆うようにしたが、斜
行部33eについてもっと広範囲に、しかも先端部33
fよりも疎に(薄く)樹脂部材36を付着させるように
してもよい。この場合であっても、それぞれの導体セグ
メント33の斜行部33e同士が交差する隙間が形成さ
れ、これが冷却風の通風路となるため、良好な冷却性を
確保することができる。
6の形状を導体セグメント33の先端部33fの形状に
沿った波形形状にしたが、凹凸のない単純なリング形状
に形成してもよい。この場合であっても、剛性を高める
ことによって、コイルエンドの変形、振動・音の発生、
隣接する導体セグメント間の接触等を防止することがで
きる。また、斜行部には冷却風が流れる隙間を確保でき
るため、良好な冷却性を持たせることができる。
ない裸線により形成してもよい。この場合、導体セグメ
ントの内部導体毎にインシュレータ34を巻き付けるこ
とで固定子鉄心との絶縁が図られる。この構成において
は、導体セグメント間の接合に伴う絶縁被膜の損傷がな
いので、樹脂部材36の付着範囲を少なくできる。ま
た、かかる構成にあっては、コイルエンド群の全体に対
して薄く絶縁樹脂層を付着させることが望ましい。この
構成によると、薄い絶縁樹脂層を付着させた場合にも、
コイルエンドにおける放熱性を高めることができる。
鉄心の一方の端面側にのみ配列することが生産性の観点
から望ましい。例えば、固定子鉄心のフロント側(プー
リ20側)あるいはリア側(反プーリ20側)にのみ配
列することができる。このため、樹脂部材36も固定子
鉄心のフロント側(プーリ20側)あるいはリア側(反
プーリ20側)にのみ選択的に配置することができる。
す断面図である。
である。
図である。
視図である。
視図である。
た固定子の部分的な断面図である。
れた固定子の部分的な斜視図である。
斜視図である。
した固定子の部分的な平面図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 回転子と、前記回転子の外周に対向配置
した固定子と、前記回転子と前記固定子とを支持するフ
レームとを有する車両用交流発電機において、 前記固定子は、複数のスロットを有する固定子鉄心と、
前記スロット内に収納される内部導体と前記固定子鉄心
から露出するコイルエンドとによって固定子巻線を形成
する複数の導体セグメントと、前記複数の導体セグメン
ト間を連結する樹脂部材とを有し、 前記導体セグメントは、前記コイルエンドにおいて、他
の前記導体セグメントと交差する斜行部と、前記斜行部
の先端に位置する先端部とを形成しており、 前記樹脂部材は、前記複数の導体セグメントの前記先端
部間を周方向に連結するとともに、前記先端部から前記
斜行部の一部にかけて付着していることを特徴とする車
両用交流発電機。 - 【請求項2】 請求項1において、前記斜行部には、前
記樹脂部材とは別の樹脂材料が付着していることを特徴
とする車両用交流発電機。 - 【請求項3】 請求項1または2において、前記導体セ
グメントは、樹脂被膜を有する被覆線であって、その被
膜が前記接合部の近傍では損傷しており、前記樹脂部材
は、前記導体セグメントの前記樹脂被膜の健全な部位に
まで至っていることを特徴とする車両用交流発電機。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記
接合部は、先太に形成されており、先太となった前記接
合部を前記樹脂部材が包み込んでいることを特徴とする
車両用交流発電機。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記
樹脂部材は、前記先端部の表面に沿ってほぼ一定の厚さ
で付着して波状の表面形状を有していることを特徴とす
る車両用交流発電機。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記
樹脂部材は、環状に形成されていることを特徴とする車
両用交流発電機。
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- 2001-12-10 JP JP2001375945A patent/JP3854138B2/ja not_active Expired - Lifetime
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