JP2002206469A - 燃料噴射弁およびこれを搭載した内燃機関 - Google Patents
燃料噴射弁およびこれを搭載した内燃機関Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】燃料噴射弁のノズル先端面に付着するデポジッ
トによる燃料噴霧の劣化を防止する。 【解決手段】噴射孔7bと、この噴射孔の上流側に位置
するシート面7aと、このシート面と接離して前記噴射
孔7bへの燃料通路の開閉を行うボール6とを備えた燃
料噴射弁1において、前記噴射孔の出口の縁部から微少
距離を隔てたノズル先端面7dに凹部7eを設けたこと
を特徴とする。
トによる燃料噴霧の劣化を防止する。 【解決手段】噴射孔7bと、この噴射孔の上流側に位置
するシート面7aと、このシート面と接離して前記噴射
孔7bへの燃料通路の開閉を行うボール6とを備えた燃
料噴射弁1において、前記噴射孔の出口の縁部から微少
距離を隔てたノズル先端面7dに凹部7eを設けたこと
を特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料噴射弁および
該燃料噴射弁により燃料を噴射するように構成した内燃
機関に関する。
該燃料噴射弁により燃料を噴射するように構成した内燃
機関に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの吸気管内に燃料を噴射する吸
気管内燃料噴射装置に対して、燃焼室内に燃料を直接噴
射する筒内燃料噴射装置が普及している。
気管内燃料噴射装置に対して、燃焼室内に燃料を直接噴
射する筒内燃料噴射装置が普及している。
【0003】このような筒内燃料噴射装置を使用した筒
内噴射ガソリンエンジンとして、特開平9−26896
1号公報に記載されたものがある。この従来の技術で
は、燃料噴射弁の噴口の軸方向長さ寸法を噴口直径寸法
より短くなるように構成することにより、デポジットの
付着による噴口面積の低減割合を減少させ、噴射量の経
時変化を抑制するようにしている。
内噴射ガソリンエンジンとして、特開平9−26896
1号公報に記載されたものがある。この従来の技術で
は、燃料噴射弁の噴口の軸方向長さ寸法を噴口直径寸法
より短くなるように構成することにより、デポジットの
付着による噴口面積の低減割合を減少させ、噴射量の経
時変化を抑制するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術では、以下に述べるように、噴口の近くにデポジット
が付着した際に、点火性(着火性)と燃焼性(未燃ガス
排出量低減)を共に維持することが可能な噴霧形状或い
は燃料噴霧を生成ことが困難であった。
術では、以下に述べるように、噴口の近くにデポジット
が付着した際に、点火性(着火性)と燃焼性(未燃ガス
排出量低減)を共に維持することが可能な噴霧形状或い
は燃料噴霧を生成ことが困難であった。
【0005】デポジットが付着しても点火性および燃焼
性を維持するためには、以下のような特性を考慮する必
要がある。
性を維持するためには、以下のような特性を考慮する必
要がある。
【0006】第1は噴霧形状であり、噴霧燃料の広がり
角度や到達距離が一定であることが望ましい。何故なら
ば、燃料噴射弁と点火装置の幾何学的な位置関係は固定
されているために、常に点火装置へ適切な濃度の噴霧燃
料を供給するためには、噴霧燃料の広がりが一定である
ことが必要であるからである。
角度や到達距離が一定であることが望ましい。何故なら
ば、燃料噴射弁と点火装置の幾何学的な位置関係は固定
されているために、常に点火装置へ適切な濃度の噴霧燃
料を供給するためには、噴霧燃料の広がりが一定である
ことが必要であるからである。
【0007】第2は噴霧構造であり、噴霧される燃料粒
子の空間的分布を適正に保つ必要がある。
子の空間的分布を適正に保つ必要がある。
【0008】言い換えれば、従来の燃料噴射弁が噴射す
る噴霧燃料は、デポジットが付着すると、噴霧とデポジ
ットが干渉するために、噴霧燃料の広がり角度や噴霧燃
料の到達距離が変化する傾向がある。そして、噴霧燃料
の広がり角度や噴霧燃料の到達距離が変化すると、適切
な濃度の噴霧燃料が点火装置に届かなくなったり、ピス
トンに過剰な噴霧燃料が供給されて付着することで、適
切な点火および燃焼が得られなくなる。
る噴霧燃料は、デポジットが付着すると、噴霧とデポジ
ットが干渉するために、噴霧燃料の広がり角度や噴霧燃
料の到達距離が変化する傾向がある。そして、噴霧燃料
の広がり角度や噴霧燃料の到達距離が変化すると、適切
な濃度の噴霧燃料が点火装置に届かなくなったり、ピス
トンに過剰な噴霧燃料が供給されて付着することで、適
切な点火および燃焼が得られなくなる。
【0009】本発明の目的は、デポジットの付着により
適切な燃料噴霧,点火および燃焼が妨げられるのを防止
することができる燃料噴射弁および内燃機関を提案する
ことにある。
適切な燃料噴霧,点火および燃焼が妨げられるのを防止
することができる燃料噴射弁および内燃機関を提案する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、噴射孔と、こ
の噴射孔の上流側に位置する弁座と、この弁座と接離し
て前記噴射口への燃料通路の開閉を行う弁と、この弁を
駆動する駆動手段とを備えた燃料噴射弁において、前記
噴射孔の出口の縁部から微少距離を隔てたノズル先端面
に凹部を設けたことを特徴とする。
の噴射孔の上流側に位置する弁座と、この弁座と接離し
て前記噴射口への燃料通路の開閉を行う弁と、この弁を
駆動する駆動手段とを備えた燃料噴射弁において、前記
噴射孔の出口の縁部から微少距離を隔てたノズル先端面
に凹部を設けたことを特徴とする。
【0011】そして、前記噴射孔の出口の縁部から凹部
までの微少距離を前記噴射孔の直径の0.01〜0.2
5倍に設定したことを特徴とする。
までの微少距離を前記噴射孔の直径の0.01〜0.2
5倍に設定したことを特徴とする。
【0012】また、前記凹部は、前記噴射孔の周囲に環
状に形成したことを特徴とする。
状に形成したことを特徴とする。
【0013】また、前記噴射孔の出口開口部を段差面に
形成し、前記凹部は、低い方の面に形成したことを特徴
とする。
形成し、前記凹部は、低い方の面に形成したことを特徴
とする。
【0014】また、本発明は、シリンダと、このシリン
ダの中で往復運動するピストンと、前記シリンダ内に空
気を導入する吸気手段と、前記シリンダ内から燃焼ガス
を排気する排気手段と、前記シリンダ内に燃料を噴射す
る燃料噴射弁と、この燃料噴射弁に燃料タンクから燃料
を供給する燃料供給手段と、前記吸気手段によって前記
シリンダ内に導入した空気と前記燃料噴射弁によって前
記シリンダ内に噴射した燃料との混合気に点火する点火
装置とを備えた内燃機関において、前記燃料噴射弁とし
て、前述した燃料噴射弁を使用したことを特徴とする。
ダの中で往復運動するピストンと、前記シリンダ内に空
気を導入する吸気手段と、前記シリンダ内から燃焼ガス
を排気する排気手段と、前記シリンダ内に燃料を噴射す
る燃料噴射弁と、この燃料噴射弁に燃料タンクから燃料
を供給する燃料供給手段と、前記吸気手段によって前記
シリンダ内に導入した空気と前記燃料噴射弁によって前
記シリンダ内に噴射した燃料との混合気に点火する点火
装置とを備えた内燃機関において、前記燃料噴射弁とし
て、前述した燃料噴射弁を使用したことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態を図1
〜図3を参照して説明する。図1は燃料噴射弁の縦断側
面図である。図2はノズル部分を拡大して示す図面であ
り、(a)は縦断側面図、(b)は(a)における矢印
N方向から見たノズル部材の平面図、(c)は(a)に
おけるA−A断面図である。以下の説明において、弁軸
線(弁軸心)を含み、且つ弁軸線に平行な面を縦断面と
呼び、弁軸線に直行する平面を横断面と呼ぶ。
〜図3を参照して説明する。図1は燃料噴射弁の縦断側
面図である。図2はノズル部分を拡大して示す図面であ
り、(a)は縦断側面図、(b)は(a)における矢印
N方向から見たノズル部材の平面図、(c)は(a)に
おけるA−A断面図である。以下の説明において、弁軸
線(弁軸心)を含み、且つ弁軸線に平行な面を縦断面と
呼び、弁軸線に直行する平面を横断面と呼ぶ。
【0016】電磁式燃料噴射弁1は、コントロールユニ
ット(図示省略)により演算されたデューティのON−
OFF駆動信号に基づく電磁力によって弁体を駆動して
燃料通路の開閉を行うことにより、加圧して供給される
燃料を噴射する。
ット(図示省略)により演算されたデューティのON−
OFF駆動信号に基づく電磁力によって弁体を駆動して
燃料通路の開閉を行うことにより、加圧して供給される
燃料を噴射する。
【0017】磁気回路は、ヨーク3と、このヨーク3の
開口端を閉じる鍔状の栓体部2aと前記ヨーク3の中心
部に延びる柱状部2bとを有するコア2と、このコア2
に往復動作空隙を隔てて対面するアンカー4とによって
構成する。前記コア2の柱状部2bとアンカー4の中心
には貫通穴2a,4aを設け、磁性材料製の前記アンカ
ー4とロッド5とこのロッド5に接合した弁としてのボ
ール6とによって構成した弁体40をノズル部材7の弁
座であるシート面7aに押圧するように弾性部材として
のスプリング10を挿入して保持する。スプリング10
の上端は、セット荷重を調整するためにコア2とアンカ
ー4の中心の貫通穴2c,4aに挿通したスプリングア
ジャスタ11の下端に当接する。前記シート面7aは、
噴射孔7bと共に該噴射孔7bの上流側に位置するよう
にノズル部材7に形成する。
開口端を閉じる鍔状の栓体部2aと前記ヨーク3の中心
部に延びる柱状部2bとを有するコア2と、このコア2
に往復動作空隙を隔てて対面するアンカー4とによって
構成する。前記コア2の柱状部2bとアンカー4の中心
には貫通穴2a,4aを設け、磁性材料製の前記アンカ
ー4とロッド5とこのロッド5に接合した弁としてのボ
ール6とによって構成した弁体40をノズル部材7の弁
座であるシート面7aに押圧するように弾性部材として
のスプリング10を挿入して保持する。スプリング10
の上端は、セット荷重を調整するためにコア2とアンカ
ー4の中心の貫通穴2c,4aに挿通したスプリングア
ジャスタ11の下端に当接する。前記シート面7aは、
噴射孔7bと共に該噴射孔7bの上流側に位置するよう
にノズル部材7に形成する。
【0018】なお、弁体40を構成するボール6は、必
ずしも球状でなくても良い。すなわち、円錐状の針弁で
あっても良い。
ずしも球状でなくても良い。すなわち、円錐状の針弁で
あっても良い。
【0019】磁気回路を励磁するコイル14はボビン1
3に巻装してその外周をプラスチック材でモールドする
ことによりコイル組立体15とて構成し、前記コア2の
柱状部2bの外周に嵌着し、前記ヨーク3で外周を包囲
する。コイル組立体15のコイル14に給電する端子1
7は、コア2の栓体部2aに設けた穴2dに挿入して外
部に導出し、コントロールユニット(図示省略)の端子
に接続する。
3に巻装してその外周をプラスチック材でモールドする
ことによりコイル組立体15とて構成し、前記コア2の
柱状部2bの外周に嵌着し、前記ヨーク3で外周を包囲
する。コイル組立体15のコイル14に給電する端子1
7は、コア2の栓体部2aに設けた穴2dに挿入して外
部に導出し、コントロールユニット(図示省略)の端子
に接続する。
【0020】コア2の柱状部2bの先端部とヨーク3の
弁体40側で対面する隙間部(アンカー4の外周部)に
は、コイル14側へ燃料が流出するのを防ぐために、両
者間に機械的に結合したシールリング12を設ける。
弁体40側で対面する隙間部(アンカー4の外周部)に
は、コイル14側へ燃料が流出するのを防ぐために、両
者間に機械的に結合したシールリング12を設ける。
【0021】ヨーク3の先端部には、弁体40を受容す
るプランジャ受容部3aを形成し、更にこのプランジャ
受容部3aの先端部には該プランジャ受容部3aの径よ
り大径でそこにストッパ19およびノズル部材7を受容
するノズル受容部3bをヨーク3の先端まで貫設してい
る。
るプランジャ受容部3aを形成し、更にこのプランジャ
受容部3aの先端部には該プランジャ受容部3aの径よ
り大径でそこにストッパ19およびノズル部材7を受容
するノズル受容部3bをヨーク3の先端まで貫設してい
る。
【0022】ロッド5のアンカー4側には燃料の通過を
許す空洞部5aを設け、この空洞部5aには燃料の流出
口5bを連通させる。
許す空洞部5aを設け、この空洞部5aには燃料の流出
口5bを連通させる。
【0023】弁体40は、アンカー4の外周をシールリ
ング12の内周に当接することでその軸方向の動きを案
内すると共に、ボール6またはロッド5のボール6側端
部近傍を燃料旋回素子22の案内穴22aの内周面で案
内させる。燃料旋回素子22は、円筒体の外周の四方に
円周面を残して軸方向に切り落した形状に形成し、ノズ
ル部材7に形成した中空部7cに挿入することにより、
ノズル部材7のシート面7aの上流側で該中空部7cの
内周壁に前記円周面を接触させて位置決めすると共に前
記切り落し部が燃料通路25を形成するようにしてい
る。また、この底面には、径方向の溝を設けて燃料通路
26を形成するようにしている。
ング12の内周に当接することでその軸方向の動きを案
内すると共に、ボール6またはロッド5のボール6側端
部近傍を燃料旋回素子22の案内穴22aの内周面で案
内させる。燃料旋回素子22は、円筒体の外周の四方に
円周面を残して軸方向に切り落した形状に形成し、ノズ
ル部材7に形成した中空部7cに挿入することにより、
ノズル部材7のシート面7aの上流側で該中空部7cの
内周壁に前記円周面を接触させて位置決めすると共に前
記切り落し部が燃料通路25を形成するようにしてい
る。また、この底面には、径方向の溝を設けて燃料通路
26を形成するようにしている。
【0024】この実施の形態において、前記ノズル部材
7は、円筒状の側壁部(周壁部)と噴射穴7bを設けた
端面(底面)とを有する有底円筒状の1つの部材で構成
し、開口端を前記ノズル受容部3bに嵌着している。そ
して、このノズル部材7は、燃料旋回素子22および弁
体40の一部を収納するハウジングを構成する。
7は、円筒状の側壁部(周壁部)と噴射穴7bを設けた
端面(底面)とを有する有底円筒状の1つの部材で構成
し、開口端を前記ノズル受容部3bに嵌着している。そ
して、このノズル部材7は、燃料旋回素子22および弁
体40の一部を収納するハウジングを構成する。
【0025】また、弁体40のストローク(図1では軸
上方への移動量)は、ロッド5の首部の受け面5cとス
トッパ19間の空隙の寸法によって設定する。
上方への移動量)は、ロッド5の首部の受け面5cとス
トッパ19間の空隙の寸法によって設定する。
【0026】なお、フィルター24は、燃料に混入した
ゴミや異物がボール6とシート面7aの間のバルブシー
ト側へ侵入するのを防ぐために設ける。
ゴミや異物がボール6とシート面7aの間のバルブシー
ト側へ侵入するのを防ぐために設ける。
【0027】次に、図2を参照しながら、この実施の形
態におけるノズル部材7に設けたデポジット対策用の凹
部について説明する。図2(a)はノズル部材7の縦断
側面図、(b)は(a)に示したノズル部材7をN方向
から見た平面図、(c)は(a)におけるA−A断面図
である。
態におけるノズル部材7に設けたデポジット対策用の凹
部について説明する。図2(a)はノズル部材7の縦断
側面図、(b)は(a)に示したノズル部材7をN方向
から見た平面図、(c)は(a)におけるA−A断面図
である。
【0028】噴射孔7bは、その中心が弁体40のロッ
ド5の軸線(弁軸心)Jと一致し、且つ壁面を軸線Jと
平行に形成している。噴射孔7bの出口開口を形成する
ノズル先端面7dには、前記噴射孔7bの縁部から微少
距離δを隔てて、幅W0,深さ(Hn―Hn’)の環状
の凹部7eを該噴射孔7bを取り囲むように形成する。
このノズル先端面7dに設けた前記凹部7eは、噴射孔
7bの出口開口部近傍において付着するデポジットが剥
離し易いように、この凹部7eに沿ってデポジットを積
極的に付着させるように構成する。
ド5の軸線(弁軸心)Jと一致し、且つ壁面を軸線Jと
平行に形成している。噴射孔7bの出口開口を形成する
ノズル先端面7dには、前記噴射孔7bの縁部から微少
距離δを隔てて、幅W0,深さ(Hn―Hn’)の環状
の凹部7eを該噴射孔7bを取り囲むように形成する。
このノズル先端面7dに設けた前記凹部7eは、噴射孔
7bの出口開口部近傍において付着するデポジットが剥
離し易いように、この凹部7eに沿ってデポジットを積
極的に付着させるように構成する。
【0029】また、実用的には、前記微少距離δ,凹部
7eの幅W0の最小値は、噴射孔7bの出口開口部の加
工性を考慮すると、噴射孔7bの直径寸法の0.01倍
程度が適当である。一方、前記微少距離δの最大値は、
以下に説明する方法により求める。
7eの幅W0の最小値は、噴射孔7bの出口開口部の加
工性を考慮すると、噴射孔7bの直径寸法の0.01倍
程度が適当である。一方、前記微少距離δの最大値は、
以下に説明する方法により求める。
【0030】図3(a)は、この実施の形態の燃料噴射
弁1における噴射孔7b付近を拡大して示す縦断側面図
である。デポジット31は、模式的に図示したように付
着する。ここで、デポジット31において燃料噴霧と干
渉する部分に注目して、図3(b)のように長方形断面
の梁と仮定すると、デポジット31に加わる最大曲げ応
力(σbmax)は、次式で求められる。
弁1における噴射孔7b付近を拡大して示す縦断側面図
である。デポジット31は、模式的に図示したように付
着する。ここで、デポジット31において燃料噴霧と干
渉する部分に注目して、図3(b)のように長方形断面
の梁と仮定すると、デポジット31に加わる最大曲げ応
力(σbmax)は、次式で求められる。
【0031】 σbmax= 定数 × 荷重 / 断面二次モーメント = m × W / Ij …… 数1 ここに、Ij:軸Jに関する断面二次モーメント = I +(Hd×δ)×(δ/2+d0/2) = (Hd×δ3)/12+(Hd×δ)×(δ/2+d0/2) ここで、デポジット31の剥離し易さは、δ/d0=
0.01のときの最大曲げ応力σbmaxを100とした無
次元量で定義する。
0.01のときの最大曲げ応力σbmaxを100とした無
次元量で定義する。
【0032】図4は、δ/d0とデポジット31の剥離
し易さの関係を示す特性図である。デポジット31は、
δが大きくなるほど、剥離しにくくなる。従って、δ/
d0の最大値は、0.25程度(デポジット31の剥離
し易さ=5)に設定するのが良い。すなわち、実用的に
は、0.01≦δ/d0≦0.25に設定することが望
ましい。
し易さの関係を示す特性図である。デポジット31は、
δが大きくなるほど、剥離しにくくなる。従って、δ/
d0の最大値は、0.25程度(デポジット31の剥離
し易さ=5)に設定するのが良い。すなわち、実用的に
は、0.01≦δ/d0≦0.25に設定することが望
ましい。
【0033】また、図2において、燃料旋回素子22に
は、この燃料旋回素子22の外周部を平面に切り落して
形成した燃料通路25と径方向溝によって形成した燃料
通路26が設けてある。この実施の形態では、燃料通路
25は平面で形成しているが、環状通路等他の形状であ
っても良い。この燃料通路25,26は、燃料旋回素子
22の上方から導入される燃料の通路となるが、軸方向
の燃料通路25を通過した燃料は、径方向の溝によって
形成される燃料通路26によって軸中心より偏心導入し
て旋回が付与され、ノズル部材7に設けた噴射孔7bか
ら噴射する際の微粒化を促進する。ここで、燃料旋回素
子22により付与される旋回強度(スワール数S)は次
式で求められる。
は、この燃料旋回素子22の外周部を平面に切り落して
形成した燃料通路25と径方向溝によって形成した燃料
通路26が設けてある。この実施の形態では、燃料通路
25は平面で形成しているが、環状通路等他の形状であ
っても良い。この燃料通路25,26は、燃料旋回素子
22の上方から導入される燃料の通路となるが、軸方向
の燃料通路25を通過した燃料は、径方向の溝によって
形成される燃料通路26によって軸中心より偏心導入し
て旋回が付与され、ノズル部材7に設けた噴射孔7bか
ら噴射する際の微粒化を促進する。ここで、燃料旋回素
子22により付与される旋回強度(スワール数S)は次
式で求められる。
【0034】 S=(角運動量)/((噴射軸方向の運動量)×(噴射孔半径)) =(2・do・Ls)/(n・ds2・cos (θ/2))……数2 ここに、do:噴射孔の直径 Ls:溝の偏心量(弁軸心と溝(幅)中心間の距離) n :溝の数 θ :弁座の角度 ds:流れ学的等価直径で溝幅Wと溝高さHを用いて表される =2・W・H/W+H である。このスワール数を大きくすると、微粒化が促進
され噴霧が分散する。
され噴霧が分散する。
【0035】ここで、この実施の形態における燃料噴射
弁1の動作を説明する。電気的駆動信号がコイル14に
与えられると、コア2,ヨーク3,アンカー4の磁気回
路が励磁され、アンカー4がコア2側に吸引される。ア
ンカー4が移動すると、ボール6がシート面7aから離
れて燃料通路を開放し、燃料を噴射する。
弁1の動作を説明する。電気的駆動信号がコイル14に
与えられると、コア2,ヨーク3,アンカー4の磁気回
路が励磁され、アンカー4がコア2側に吸引される。ア
ンカー4が移動すると、ボール6がシート面7aから離
れて燃料通路を開放し、燃料を噴射する。
【0036】燃料は、フィルタ24から燃料噴射弁1の
内部に流入し、コア2の内部通路,アンカー4の外周部
およびアンカー4内に設けた燃料の通過を許す空洞部5
aから燃料の流出口5bを経て下流に至り、ストッパ1
9とロッド5の隙間,軸方向燃料通路25,径方向燃料
通路26を通ってシート面7a部へ旋回供給される。
内部に流入し、コア2の内部通路,アンカー4の外周部
およびアンカー4内に設けた燃料の通過を許す空洞部5
aから燃料の流出口5bを経て下流に至り、ストッパ1
9とロッド5の隙間,軸方向燃料通路25,径方向燃料
通路26を通ってシート面7a部へ旋回供給される。
【0037】次に、図5を用いて、この実施の形態にお
ける燃料噴射弁1によって得られる噴霧構造を説明す
る。(a)は、デポジットが付着していない場合の噴霧
構造を模式的に示している。この場合、噴霧80の広が
り角はαsである。一方、(b)は、デポジット31が
付着した状態における噴霧80およびデポジット31を
模式的に示している。
ける燃料噴射弁1によって得られる噴霧構造を説明す
る。(a)は、デポジットが付着していない場合の噴霧
構造を模式的に示している。この場合、噴霧80の広が
り角はαsである。一方、(b)は、デポジット31が
付着した状態における噴霧80およびデポジット31を
模式的に示している。
【0038】この実施の形態では、凹部7eに沿って付
着したデポジット31は、剥離し易いために、デポジッ
ト31の開口角αdを噴霧80の広がり角α’sよりも
大きくすることが可能である。凹部30の幅W0,深さ
(Hn−Hn’)を調整することで、噴霧80とデポジ
ット31が干渉することが少なくなり、噴霧形状および
噴霧構造を一定に保つことが可能である。すなわち、α
s≒α’sとすることが可能である。以上により、デポジ
ット31が付着しても、点火性と燃焼性を維持すること
が可能である。
着したデポジット31は、剥離し易いために、デポジッ
ト31の開口角αdを噴霧80の広がり角α’sよりも
大きくすることが可能である。凹部30の幅W0,深さ
(Hn−Hn’)を調整することで、噴霧80とデポジ
ット31が干渉することが少なくなり、噴霧形状および
噴霧構造を一定に保つことが可能である。すなわち、α
s≒α’sとすることが可能である。以上により、デポジ
ット31が付着しても、点火性と燃焼性を維持すること
が可能である。
【0039】本発明の第2の実施の形態を図6および図
7を用いて説明する。前述した実施の形態における構成
部品に相応する部品には同一参照符号を付して重複する
説明を省略する。
7を用いて説明する。前述した実施の形態における構成
部品に相応する部品には同一参照符号を付して重複する
説明を省略する。
【0040】図6は、電磁式燃料噴射弁のノズル部分を
拡大して示す図面であり、(a)は縦断側面図、(b)
は(a)における矢印N方向から見たノズル部材の平面
図である。
拡大して示す図面であり、(a)は縦断側面図、(b)
は(a)における矢印N方向から見たノズル部材の平面
図である。
【0041】この実施の形態の燃料噴射弁において、ノ
ズル部材7に設けた噴射孔7bの出口開口が形成される
ノズル先端面7dには、軸線Jに直交する面7f,7g
と、軸線Jに略平行な面7hによって構成する切り欠き
部を形成する。そして、この切り欠き部の面7hが中心
を横切るように位置させて噴射孔7bを設けることによ
り、この噴射孔7bの長さは、最も深く切り欠かれた部
分でL、切り欠かれていない(最も切り欠きの少ない)
部分でL”となる。このような構成によれば、噴射孔7
bの出口開口面は、段差を有する平面7f,7g上に段
差を有して形成されることになる。そして、凹部7e
は、平面7g上に半円弧状に形成する。
ズル部材7に設けた噴射孔7bの出口開口が形成される
ノズル先端面7dには、軸線Jに直交する面7f,7g
と、軸線Jに略平行な面7hによって構成する切り欠き
部を形成する。そして、この切り欠き部の面7hが中心
を横切るように位置させて噴射孔7bを設けることによ
り、この噴射孔7bの長さは、最も深く切り欠かれた部
分でL、切り欠かれていない(最も切り欠きの少ない)
部分でL”となる。このような構成によれば、噴射孔7
bの出口開口面は、段差を有する平面7f,7g上に段
差を有して形成されることになる。そして、凹部7e
は、平面7g上に半円弧状に形成する。
【0042】このような構成の燃料噴射弁1の噴射孔7
bから燃料を噴射することにより、次のような特徴を有
する噴霧を形成することができる。 (イ)噴射孔7bを形成する通路壁の切り欠かれた平面
7g側に、噴霧の分布量(混合気の分布量)を多くする
ことができる。すなわち、点火装置側に差し向ける燃料
分布量を多くする形状の燃料噴霧を形成することができ
る。 (ロ)切り欠かれた平面7g側から噴射する噴霧燃料は
運動エネルギーが大きいために、噴霧の粒径が小さくな
る。
bから燃料を噴射することにより、次のような特徴を有
する噴霧を形成することができる。 (イ)噴射孔7bを形成する通路壁の切り欠かれた平面
7g側に、噴霧の分布量(混合気の分布量)を多くする
ことができる。すなわち、点火装置側に差し向ける燃料
分布量を多くする形状の燃料噴霧を形成することができ
る。 (ロ)切り欠かれた平面7g側から噴射する噴霧燃料は
運動エネルギーが大きいために、噴霧の粒径が小さくな
る。
【0043】そして、(イ)および(ロ)の結果、着火
性が良くなり、燃費が向上する。
性が良くなり、燃費が向上する。
【0044】この実施の形態では、噴霧燃料は、点火プ
ラグ側に多く分布するので、デポジット31もノズル7
bの底部の点火プラグ側に多く付着する。従って、凹部
7eは、図に示すように、分布量の多い部分にのみ設け
れば十分である。具体的には、平面7g上にのみ設ける
ことによって所期の目的を達成することができる。
ラグ側に多く分布するので、デポジット31もノズル7
bの底部の点火プラグ側に多く付着する。従って、凹部
7eは、図に示すように、分布量の多い部分にのみ設け
れば十分である。具体的には、平面7g上にのみ設ける
ことによって所期の目的を達成することができる。
【0045】この実施の形態において、ノズル先端面7
dに形成する段差面7f,7g,7hおよび凹部7e
は、切削加工や型材を用いたプレス加工(塑性加工)や
鋳造等の加工方法を用いて形成すると良い。これは、以
下の実施の形態においても同様である。
dに形成する段差面7f,7g,7hおよび凹部7e
は、切削加工や型材を用いたプレス加工(塑性加工)や
鋳造等の加工方法を用いて形成すると良い。これは、以
下の実施の形態においても同様である。
【0046】図6(b)は、(a)のノズル部材7を矢
印Nから見た平面図であり、矢印“点火プラグ”と矢印
“ピストン”と線K,Mを定義する。線Kは、噴射孔7
bの中心を通り切り欠き面7fに平行な線、線Mは、噴
射孔7bの中心を通り線Kに直交する線であり、矢印
“点火プラグ”と矢印“ピストン”は、線Mに平行であ
る。
印Nから見た平面図であり、矢印“点火プラグ”と矢印
“ピストン”と線K,Mを定義する。線Kは、噴射孔7
bの中心を通り切り欠き面7fに平行な線、線Mは、噴
射孔7bの中心を通り線Kに直交する線であり、矢印
“点火プラグ”と矢印“ピストン”は、線Mに平行であ
る。
【0047】また、図6(a),(b)に示すノズル部
材7では、その底面部(端面部)の外周部を肉厚に形成
している。すなわち、この構成は、肉厚部の剛性によっ
て、ボール6がシート面7aに着座するときの振動騒音
を低減する。
材7では、その底面部(端面部)の外周部を肉厚に形成
している。すなわち、この構成は、肉厚部の剛性によっ
て、ボール6がシート面7aに着座するときの振動騒音
を低減する。
【0048】図7は、図6を参照して説明した燃料噴射
弁1を適用した内燃機関の縦断側面図である。
弁1を適用した内燃機関の縦断側面図である。
【0049】内燃機関60におけるシリンダ68内に往
復動可能に設けたピストン69は、クランクシャフト
(図示省略)の回転に連動してシリンダ68内を上下動
する。シリンダ68の上部には、シリンダヘッド63を
取り付け、シリンダ68と共に密閉空間を形成する。シ
リンダヘッド63には、スロットルバルブを内蔵した吸
入空気量制御装置61を介して外部からの吸入空気81
をシリンダ68内に導く吸気マニホールド62と、シリ
ンダ68内で燃焼した燃焼ガス83を排気装置(図示省
略)へ導く排気マニホールド84を結合する。
復動可能に設けたピストン69は、クランクシャフト
(図示省略)の回転に連動してシリンダ68内を上下動
する。シリンダ68の上部には、シリンダヘッド63を
取り付け、シリンダ68と共に密閉空間を形成する。シ
リンダヘッド63には、スロットルバルブを内蔵した吸
入空気量制御装置61を介して外部からの吸入空気81
をシリンダ68内に導く吸気マニホールド62と、シリ
ンダ68内で燃焼した燃焼ガス83を排気装置(図示省
略)へ導く排気マニホールド84を結合する。
【0050】シリンダヘッド63の吸気マニホールド6
2側には吸気弁64を設け、中央部には点火装置である
点火プラグ65を設け、そして吸気弁64と反対側には
排気弁66を設ける。吸気弁64および排気弁66は、
燃焼室67内に延在して設ける。
2側には吸気弁64を設け、中央部には点火装置である
点火プラグ65を設け、そして吸気弁64と反対側には
排気弁66を設ける。吸気弁64および排気弁66は、
燃焼室67内に延在して設ける。
【0051】ここで、燃料噴射弁1は、シリンダヘッド
63とシリンダ68の結合部付近に先端が燃焼室67内
に露出するように取り付けて設置する。燃料噴射弁1の
軸線Jは、燃焼室67内でやや下向きとなるように(点
火プラグ65が設けられている高さ位置とは反対方向を
向くように)設定する。その取り付け角度γは、一般に
は、10°〜50°程度である。
63とシリンダ68の結合部付近に先端が燃焼室67内
に露出するように取り付けて設置する。燃料噴射弁1の
軸線Jは、燃焼室67内でやや下向きとなるように(点
火プラグ65が設けられている高さ位置とは反対方向を
向くように)設定する。その取り付け角度γは、一般に
は、10°〜50°程度である。
【0052】図中の白抜きの矢印は、吸気の流れを示し
ており、ハッチングの矢印は排気の流れを示している。
ており、ハッチングの矢印は排気の流れを示している。
【0053】内燃機関60の燃料は、吸気のタイミング
に合わせて燃料噴射弁1から燃焼室67内へ直接に噴射
し、着火の直前には噴霧角θsで点火プラグ65を直撃
するように伸びる噴霧80を形成する。一方、噴霧80
のピストン69の方向に向かう成分は、希薄となりピス
トン69側に燃料噴霧を過剰に送ることがない。従っ
て、燃料噴霧のピストン69への付着を低減することが
できる。しかる後の混合気は、圧縮行程中に圧縮され、
点火プラグ65にて安定して着火され、未燃焼ガスの排
出量を抑制する安定した燃焼を実現することができる。
に合わせて燃料噴射弁1から燃焼室67内へ直接に噴射
し、着火の直前には噴霧角θsで点火プラグ65を直撃
するように伸びる噴霧80を形成する。一方、噴霧80
のピストン69の方向に向かう成分は、希薄となりピス
トン69側に燃料噴霧を過剰に送ることがない。従っ
て、燃料噴霧のピストン69への付着を低減することが
できる。しかる後の混合気は、圧縮行程中に圧縮され、
点火プラグ65にて安定して着火され、未燃焼ガスの排
出量を抑制する安定した燃焼を実現することができる。
【0054】このような筒内噴射ガソリンエンジンは、
噴霧燃料を点火プラグ65に導くために燃焼室67の流
動空気を積極的に利用する必要がなくなり、従来のエン
ジンのシリンダヘッドを大幅に変更することなく希薄燃
焼を実現することができる。
噴霧燃料を点火プラグ65に導くために燃焼室67の流
動空気を積極的に利用する必要がなくなり、従来のエン
ジンのシリンダヘッドを大幅に変更することなく希薄燃
焼を実現することができる。
【0055】この実施の形態における燃料噴射弁1によ
れば、噴射孔7bの出口部で該噴射孔7bを形成する壁
面の一部を取り除くことにより、噴霧の流れの拘束を解
き、拘束を解いた側で可燃濃度の混合気が濃く、拘束し
た側で可燃濃度の混合気が希薄な偏向噴霧を形成する。
このために、噴射孔の一部を遮蔽して偏向噴霧を形成す
る構成に比べて噴霧の流れを阻害しにくい。これは、燃
料に旋回力を付与して噴射する燃料噴射弁1において、
付与した旋回エネルギーを損なうことがなく、特に有効
である。
れば、噴射孔7bの出口部で該噴射孔7bを形成する壁
面の一部を取り除くことにより、噴霧の流れの拘束を解
き、拘束を解いた側で可燃濃度の混合気が濃く、拘束し
た側で可燃濃度の混合気が希薄な偏向噴霧を形成する。
このために、噴射孔の一部を遮蔽して偏向噴霧を形成す
る構成に比べて噴霧の流れを阻害しにくい。これは、燃
料に旋回力を付与して噴射する燃料噴射弁1において、
付与した旋回エネルギーを損なうことがなく、特に有効
である。
【0056】本発明の第3の実施の形態を図8および図
9を用い説明する。前述した実施の形態における構成部
品に相応する部品には同一参照符号を付して重複する説
明を省略する。
9を用い説明する。前述した実施の形態における構成部
品に相応する部品には同一参照符号を付して重複する説
明を省略する。
【0057】図8は、電磁式燃料噴射弁1のノズル部材
7の部分を拡大して示すものであり、(a)はノズル部
材7の縦断側面図、(b)は(a)のノズル部材7を矢
印N方向から見た平面図である。
7の部分を拡大して示すものであり、(a)はノズル部
材7の縦断側面図、(b)は(a)のノズル部材7を矢
印N方向から見た平面図である。
【0058】この実施の形態において、ノズル部材7
は、燃料旋回素子22および弁体40の一部を収納する
ハウジングを別部材である側壁部材71と底壁部材72
を結合することによって構成している。側壁部材71
は、その先端に底壁部材72を嵌着する嵌着窓71aを
備え、シート面7aと噴射孔7bと段差面7i,7j,
7k,7m,7nと凹部7eを設けた底壁部材72を前
記嵌着窓71aに嵌着して接合部73を溶接することに
より両者を一体化している。
は、燃料旋回素子22および弁体40の一部を収納する
ハウジングを別部材である側壁部材71と底壁部材72
を結合することによって構成している。側壁部材71
は、その先端に底壁部材72を嵌着する嵌着窓71aを
備え、シート面7aと噴射孔7bと段差面7i,7j,
7k,7m,7nと凹部7eを設けた底壁部材72を前
記嵌着窓71aに嵌着して接合部73を溶接することに
より両者を一体化している。
【0059】このような構成の燃料噴射弁1によれば、
エンジンの容積と燃料噴射弁の取付角によって適宜設定
する部分を、ノズル部材7の底壁部材72に集約するこ
とができるので、各種の燃料噴射弁1を構成する部品を
共用することが可能となり、生産性を向上することがで
きる。
エンジンの容積と燃料噴射弁の取付角によって適宜設定
する部分を、ノズル部材7の底壁部材72に集約するこ
とができるので、各種の燃料噴射弁1を構成する部品を
共用することが可能となり、生産性を向上することがで
きる。
【0060】デポジットの付着を規制する凹部7eは、
底壁部材72のノズル先端面7d上に設けている。底壁
部材72に設けた噴射孔7bの出口開口が形成されるノ
ズル先端面7dには、軸線Jに直交する前記面7j,7
mと軸線Jに略平行な前記面7i,7k,7nによって
構成される段付き矩形溝を形成する。
底壁部材72のノズル先端面7d上に設けている。底壁
部材72に設けた噴射孔7bの出口開口が形成されるノ
ズル先端面7dには、軸線Jに直交する前記面7j,7
mと軸線Jに略平行な前記面7i,7k,7nによって
構成される段付き矩形溝を形成する。
【0061】この実施の形態においては、燃料の流れを
拘束する燃料噴孔7bの壁面を矩形型に取り去ること
で、燃料の流れに対する開放の度合いを強めている。従
って、偏平の強い噴霧を生成するのに有効である。ま
た、噴霧の拡散・分散を促進するために、比較的中実な
噴霧を形成することにも有効である。更に、比較的中実
な噴霧を生成することにより、筒内圧力の変動に影響を
受け難い噴霧を生成することが可能であり、噴霧の広が
り角や到達距離を特定することが容易となる。噴霧粒径
については、第1の実施の形態と同様になる。
拘束する燃料噴孔7bの壁面を矩形型に取り去ること
で、燃料の流れに対する開放の度合いを強めている。従
って、偏平の強い噴霧を生成するのに有効である。ま
た、噴霧の拡散・分散を促進するために、比較的中実な
噴霧を形成することにも有効である。更に、比較的中実
な噴霧を生成することにより、筒内圧力の変動に影響を
受け難い噴霧を生成することが可能であり、噴霧の広が
り角や到達距離を特定することが容易となる。噴霧粒径
については、第1の実施の形態と同様になる。
【0062】また、段付き矩形溝のオリフィス長さH
n’をHn”より大きくすることで、“プラグ”側に噴
霧を偏向させることが可能である。その他の構成は、第
1の実施の形態と同じである。
n’をHn”より大きくすることで、“プラグ”側に噴
霧を偏向させることが可能である。その他の構成は、第
1の実施の形態と同じである。
【0063】図9は、この実施の形態における燃料噴射
弁1を、内燃機関に適合した図である。図9(a)は内
燃機関の縦断側面図、(b)はピストンの平面図、
(c)は燃料噴射弁の側面図である。
弁1を、内燃機関に適合した図である。図9(a)は内
燃機関の縦断側面図、(b)はピストンの平面図、
(c)は燃料噴射弁の側面図である。
【0064】この実施の形態における内燃機関60は、
タンブル流83を用いて点火プラグ65に噴霧を到達し
易くするように、ピストン69にキャビティ69aを設
けている。このキャビティ69aは、ピストン69の径
方向において、吸気弁64の略直下から排気弁66の略
直下までの範囲に設けている。タンブル流83は、シリ
ンダヘッド側を排気弁66側に流れ、排気弁66の下方
でピストン69側に向きを変え、キャビティ69aの曲
面に沿って流れ、吸気弁64の直下から噴霧を持ち上げ
るように、点火プラグ65に向かう流れを作る。キャビ
ティ69aが誘導するタンブル流83によって、可燃濃
度の混合気(噴霧)80の点火プラグ65への収斂性を
高めることが可能である。
タンブル流83を用いて点火プラグ65に噴霧を到達し
易くするように、ピストン69にキャビティ69aを設
けている。このキャビティ69aは、ピストン69の径
方向において、吸気弁64の略直下から排気弁66の略
直下までの範囲に設けている。タンブル流83は、シリ
ンダヘッド側を排気弁66側に流れ、排気弁66の下方
でピストン69側に向きを変え、キャビティ69aの曲
面に沿って流れ、吸気弁64の直下から噴霧を持ち上げ
るように、点火プラグ65に向かう流れを作る。キャビ
ティ69aが誘導するタンブル流83によって、可燃濃
度の混合気(噴霧)80の点火プラグ65への収斂性を
高めることが可能である。
【0065】また、(c)に示すように、燃料噴射弁1
のノズル部材7の長さLiを径Diに対して大きくする
と良い。このような構成の燃料噴射弁1は、この燃料噴
射弁1と他の部品(例えば、図5に示したシリンダヘッ
ド63や吸気マニホールド62等)との干渉を避けるこ
とが容易な内燃機関60を実現することを容易にする。
これにより、例えば、燃料噴射弁1の取付け角θiを小
さくすることが可能であり、ピストン69側への噴霧分
布量を抑制して、燃焼性を向上させることに有効であ
る。なお、実用的には、搭載性や強度を考慮して、1<
Li/Di<5で使用される。
のノズル部材7の長さLiを径Diに対して大きくする
と良い。このような構成の燃料噴射弁1は、この燃料噴
射弁1と他の部品(例えば、図5に示したシリンダヘッ
ド63や吸気マニホールド62等)との干渉を避けるこ
とが容易な内燃機関60を実現することを容易にする。
これにより、例えば、燃料噴射弁1の取付け角θiを小
さくすることが可能であり、ピストン69側への噴霧分
布量を抑制して、燃焼性を向上させることに有効であ
る。なお、実用的には、搭載性や強度を考慮して、1<
Li/Di<5で使用される。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、燃料噴射弁の噴射孔の
出口縁部から微少距離を隔てて凹部を設けることで、剥
離し易いデポジットを形成し、デポジットが成長するこ
とによる燃料噴霧形状や噴霧構造の変化を抑制すること
ができる。更に、前記噴射孔の出口の縁部から凹部まで
の微少距離を、噴射孔の直径の0.01〜0.25倍に
設定することにより、良好な噴霧形状と構造を確保する
ことができる。
出口縁部から微少距離を隔てて凹部を設けることで、剥
離し易いデポジットを形成し、デポジットが成長するこ
とによる燃料噴霧形状や噴霧構造の変化を抑制すること
ができる。更に、前記噴射孔の出口の縁部から凹部まで
の微少距離を、噴射孔の直径の0.01〜0.25倍に
設定することにより、良好な噴霧形状と構造を確保する
ことができる。
【0067】また、本発明の内燃機関によれば、燃料噴
射弁から点火プラグに向かって伸びるように噴射する燃
料噴霧形状がデポジットによって阻害されるのを防止す
ることができ、点火性や燃焼性の劣化を防止することが
できる。
射弁から点火プラグに向かって伸びるように噴射する燃
料噴霧形状がデポジットによって阻害されるのを防止す
ることができ、点火性や燃焼性の劣化を防止することが
できる。
【図1】本発明の第1の実施の形態における電磁式燃料
噴射弁の縦断側面図である。
噴射弁の縦断側面図である。
【図2】図1に示した電磁式燃料噴射弁のノズル部分を
拡大して示す図面であり、(a)は縦断側面図、(b)
は(a)における矢印N方向から見たノズル部材の平面
図、(c)は(a)におけるA−A断面図である。
拡大して示す図面であり、(a)は縦断側面図、(b)
は(a)における矢印N方向から見たノズル部材の平面
図、(c)は(a)におけるA−A断面図である。
【図3】本発明に係る燃料噴射弁の噴射孔先端部に設け
た凹部とデポジットを模式的に示す図面である。
た凹部とデポジットを模式的に示す図面である。
【図4】本発明に係る燃料噴射弁におけるデポジットの
剥離性を示すグラフである。
剥離性を示すグラフである。
【図5】本発明の第1の実施の形態における燃料噴射弁
から噴射する噴霧の縦断面をデポジットとの関係におい
て模式的に示した図面である。
から噴射する噴霧の縦断面をデポジットとの関係におい
て模式的に示した図面である。
【図6】本発明の第2の実施の形態におけるノズル部分
を拡大して示す図面であり、(a)は縦断側面図、
(b)は(a)における矢印N方向から見たノズル部材
の平面図である。
を拡大して示す図面であり、(a)は縦断側面図、
(b)は(a)における矢印N方向から見たノズル部材
の平面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態における内燃機関の
縦断側面図である。
縦断側面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるノズル部分
を拡大して示す図面であり、(a)は縦断側面図、
(b)は(a)における矢印N方向から見たノズル部材
の平面図である。
を拡大して示す図面であり、(a)は縦断側面図、
(b)は(a)における矢印N方向から見たノズル部材
の平面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態における内燃機関の
縦断側面図である。
縦断側面図である。
【符号の説明】 1…電磁式燃料噴射弁、40…弁体、6…ボール、7…
ノズル部材、7a…シート面、7b…噴射孔、7e…凹
部、60…内燃機関。
ノズル部材、7a…シート面、7b…噴射孔、7e…凹
部、60…内燃機関。
フロントページの続き (72)発明者 門向 裕三 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 安部 元幸 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 久保 博雅 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器グループ内 (72)発明者 石川 亨 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器グループ内 (72)発明者 生井沢 保夫 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器グループ内 Fターム(参考) 3G066 AA02 AD12 BA32 CC06U CC15 CC32 CC34 CC48 CE22
Claims (5)
- 【請求項1】噴射孔と、この噴射孔の上流側に位置する
弁座と、この弁座と接離して前記噴射口への燃料通路の
開閉を行う弁と、この弁を駆動する駆動手段とを備えた
燃料噴射弁において、 前記噴射孔の出口の縁部から微少距離を隔てたノズル先
端面に凹部を設けたことを特徴とする燃料噴射弁。 - 【請求項2】請求項1において、前記噴射孔の出口の縁
部から凹部までの微少距離を前記噴射孔の直径の0.0
1〜0.25倍に設定したことを特徴とする燃料噴射
弁。 - 【請求項3】請求項1または2において、前記凹部は、
前記噴射孔の周囲に環状に形成したことを特徴とする燃
料噴射弁。 - 【請求項4】請求項1または2において、前記噴射孔の
出口開口部を段差面に形成し、前記凹部は、低い方の面
に形成したことを特徴とする燃料噴射弁。 - 【請求項5】シリンダと、このシリンダの中で往復運動
するピストンと、前記シリンダ内に空気を導入する吸気
手段と、前記シリンダ内から燃焼ガスを排気する排気手
段と、前記シリンダ内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、
この燃料噴射弁に燃料タンクから燃料を供給する燃料供
給手段と、前記吸気手段によって前記シリンダ内に導入
した空気と前記燃料噴射弁によって前記シリンダ内に噴
射した燃料との混合気に点火する点火装置とを備えた内
燃機関において、 前記燃料噴射弁として、請求項1〜4の1項に記載した
燃料噴射弁を使用したことを特徴とする内燃機関。
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JP2001005016A JP2002206469A (ja) | 2001-01-12 | 2001-01-12 | 燃料噴射弁およびこれを搭載した内燃機関 |
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JP2001005016A JP2002206469A (ja) | 2001-01-12 | 2001-01-12 | 燃料噴射弁およびこれを搭載した内燃機関 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004106728A1 (ja) * | 2003-05-30 | 2004-12-09 | Mikuni Corporation | 液体用噴射弁 |
JP2008291738A (ja) * | 2007-05-24 | 2008-12-04 | Denso Corp | 燃料噴射弁 |
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JP2021102932A (ja) * | 2019-12-25 | 2021-07-15 | 株式会社Subaru | インジェクタ及び直噴エンジンの燃焼室構造 |
-
2001
- 2001-01-12 JP JP2001005016A patent/JP2002206469A/ja active Pending
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