JP2002296403A - 光学薄膜、光学部材およびそれを搭載した露光装置 - Google Patents
光学薄膜、光学部材およびそれを搭載した露光装置Info
- Publication number
- JP2002296403A JP2002296403A JP2001095553A JP2001095553A JP2002296403A JP 2002296403 A JP2002296403 A JP 2002296403A JP 2001095553 A JP2001095553 A JP 2001095553A JP 2001095553 A JP2001095553 A JP 2001095553A JP 2002296403 A JP2002296403 A JP 2002296403A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- optical
- thin film
- optical member
- wiping
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
- Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
- Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】光学部材の表面に汚染物質が付着して光学性能
が低下した場合、簡単な方法で光学性能を回復させるこ
とである。 【手段】光学部材の最表面に拭き取り可能な膜をコーテ
ィングしておき、汚染物質が付着したらその膜とともに
汚染物質を拭き取って除去し、再度拭き取り可能な膜を
コ−ティングして光学性能を回復させる。
が低下した場合、簡単な方法で光学性能を回復させるこ
とである。 【手段】光学部材の最表面に拭き取り可能な膜をコーテ
ィングしておき、汚染物質が付着したらその膜とともに
汚染物質を拭き取って除去し、再度拭き取り可能な膜を
コ−ティングして光学性能を回復させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学薄膜、光学部
材およびそれを搭載した露光装置に関する。
材およびそれを搭載した露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】大規模集積回路(ULSI)の高集積化と高
機能化は年々進み、現在、半導体回路の焼き付け線幅は
0.18μmと極めて微細になっている。それに伴い、露光
装置の光源の波長はg線(436nm)からi線(365nm)へ、さら
にKrF(248nm)やArF(193nm)、F2(157nm)エキシマレー
ザーへと短波長化が進められている。しかし、レンズ、
ミラー、プリズムなどの光学部材の表面および光路雰囲
気に存在する汚染物質は短波長の光を吸収しやすいた
め、これらの光学部材表面に汚染物質が堆積して透過率
が徐々に低下する恐れがある。従って、露光光源波長が
短くなるほど光路系を極めて清浄に保つ必要がある。こ
のような要求は、露光光源にArFやF2エキシマレーザー
を用いた場合、特に強くなると予想される。
機能化は年々進み、現在、半導体回路の焼き付け線幅は
0.18μmと極めて微細になっている。それに伴い、露光
装置の光源の波長はg線(436nm)からi線(365nm)へ、さら
にKrF(248nm)やArF(193nm)、F2(157nm)エキシマレー
ザーへと短波長化が進められている。しかし、レンズ、
ミラー、プリズムなどの光学部材の表面および光路雰囲
気に存在する汚染物質は短波長の光を吸収しやすいた
め、これらの光学部材表面に汚染物質が堆積して透過率
が徐々に低下する恐れがある。従って、露光光源波長が
短くなるほど光路系を極めて清浄に保つ必要がある。こ
のような要求は、露光光源にArFやF2エキシマレーザー
を用いた場合、特に強くなると予想される。
【0003】汚染物質は、クリーンルーム内にある建築
材料、塗装、空調設備、電気配線、レジストなどのプロ
セス材料から発生するため、露光装置内の雰囲気は常に
汚染される危険性がある。露光装置内部の雰囲気を極め
て清浄に保つため、ケミカルフィルターを通して化学的
に浄化したガスを導入し、微量の汚染物質が発生したと
してもすぐに装置外に排出するようにした。さらに、化
学汚染物質の発生源となる接着剤、電気コ−ド、プラス
チック類の使用を極力避けるように装置の設計段階で配
慮した。また、装置を組み立てる前に、部品の洗浄を徹
底することは言うまでもない。
材料、塗装、空調設備、電気配線、レジストなどのプロ
セス材料から発生するため、露光装置内の雰囲気は常に
汚染される危険性がある。露光装置内部の雰囲気を極め
て清浄に保つため、ケミカルフィルターを通して化学的
に浄化したガスを導入し、微量の汚染物質が発生したと
してもすぐに装置外に排出するようにした。さらに、化
学汚染物質の発生源となる接着剤、電気コ−ド、プラス
チック類の使用を極力避けるように装置の設計段階で配
慮した。また、装置を組み立てる前に、部品の洗浄を徹
底することは言うまでもない。
【0004】しかし、様々な処置を施し雰囲気中の化学
汚染物質を極めて微量にする努力をしたにもかかわら
ず、その効果は必ずしも絶対ではない。露光装置内にケ
ミカルフィルターを通したガスを導入しても、低分子量
の汚染物質を完全に除去することはできない。また、装
置内でプラスチック類や接着剤を全く使用しないように
することは困難である。そのため、化学汚染物質の量
は、減らすことはできても全くなくすことは不可能であ
る。その結果、レンズなどの光学部材に紫外光が長期間
照射されると、表面は汚染物質で覆われ徐々に透過率が
低下してしまう。従って、レンズ表面はいずれ必ず汚れ
るという前提で装置を設計した方がもはや合理的であ
る。すなわち、レンズは交換式にして、透過率が低下し
たら予備のレンズと交換するようにしなければならな
い。そこで問題になるのはレンズを再生させる方法で、
いかに簡単な方法でレンズの光学性能を回復させるかが
重要な課題になる。
汚染物質を極めて微量にする努力をしたにもかかわら
ず、その効果は必ずしも絶対ではない。露光装置内にケ
ミカルフィルターを通したガスを導入しても、低分子量
の汚染物質を完全に除去することはできない。また、装
置内でプラスチック類や接着剤を全く使用しないように
することは困難である。そのため、化学汚染物質の量
は、減らすことはできても全くなくすことは不可能であ
る。その結果、レンズなどの光学部材に紫外光が長期間
照射されると、表面は汚染物質で覆われ徐々に透過率が
低下してしまう。従って、レンズ表面はいずれ必ず汚れ
るという前提で装置を設計した方がもはや合理的であ
る。すなわち、レンズは交換式にして、透過率が低下し
たら予備のレンズと交換するようにしなければならな
い。そこで問題になるのはレンズを再生させる方法で、
いかに簡単な方法でレンズの光学性能を回復させるかが
重要な課題になる。
【0005】レンズの透過率を回復させるには、表面に
堆積した汚染物質を完全に除去すればよい。しかし、可
塑剤であるシロキサンが分解して生成したシリカ成分や
硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)などの無機汚染物質、
可塑剤であるフタル酸ジブチルなどが分解して生成した
有機汚染物質はレンズ表面のコーティング膜と強く付着
するため、軽く拭き取っただけでは完全に除去できな
い。強く拭き取ろうとするとコーティング膜を傷つけて
しまうため、結局レンズを再研磨してコーティング膜を
除去してから再度真空蒸着などのコーティングをしなけ
ればならない。このようにしてレンズを再生させると、
最初からレンズを作製するのと同じくらいの手間がかか
り、メンテナンス費用の大幅なコストアップにつながっ
てしまう。
堆積した汚染物質を完全に除去すればよい。しかし、可
塑剤であるシロキサンが分解して生成したシリカ成分や
硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)などの無機汚染物質、
可塑剤であるフタル酸ジブチルなどが分解して生成した
有機汚染物質はレンズ表面のコーティング膜と強く付着
するため、軽く拭き取っただけでは完全に除去できな
い。強く拭き取ろうとするとコーティング膜を傷つけて
しまうため、結局レンズを再研磨してコーティング膜を
除去してから再度真空蒸着などのコーティングをしなけ
ればならない。このようにしてレンズを再生させると、
最初からレンズを作製するのと同じくらいの手間がかか
り、メンテナンス費用の大幅なコストアップにつながっ
てしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、レン
ズやミラーなどの光学部材の表面に汚染物質が付着して
光学性能が低下した場合、簡単な方法で光学性能を回復
させることである。
ズやミラーなどの光学部材の表面に汚染物質が付着して
光学性能が低下した場合、簡単な方法で光学性能を回復
させることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】光学部材の最表面に拭き
取り可能な膜をコーティングしておき、汚染物質が付着
したらその膜とともに汚染物質を拭き取って除去し、再
度拭き取り可能な膜をコ−ティングして光学性能を回復
させる光学薄膜の使用方法を提供する。
取り可能な膜をコーティングしておき、汚染物質が付着
したらその膜とともに汚染物質を拭き取って除去し、再
度拭き取り可能な膜をコ−ティングして光学性能を回復
させる光学薄膜の使用方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】半導体露光装置の光学部材、例え
ば、投影レンズの場合、真空蒸着法などの成膜方法で反
射防止膜をコーティングしたのち、その膜の上にさらに
拭き取り可能な膜をコーティングしておき、拭き取り可
能な膜表面に付着した汚染物質を拭き取り可能な膜とと
もに除去するようにした。最表面にコーティングした拭
き取り可能な膜の機械的強度を弱くしておくことで、紙
や布を使って軽く拭き取るだけで容易に除去できるよう
にした。その結果、汚染物質を完全に除去することがで
きる。しかも、反射防止膜を傷める心配もない。汚染物
質と拭き取り可能な膜とを除去したのちに、拭き取り可
能な膜を再度コーティングすると透過率は初期状態(最
初に拭き取り可能な膜をコーティングしたのちであっ
て、汚染される前の状態)に回復する。このようにすれ
ば、極めて簡単に投影レンズを再生することができる。
ば、投影レンズの場合、真空蒸着法などの成膜方法で反
射防止膜をコーティングしたのち、その膜の上にさらに
拭き取り可能な膜をコーティングしておき、拭き取り可
能な膜表面に付着した汚染物質を拭き取り可能な膜とと
もに除去するようにした。最表面にコーティングした拭
き取り可能な膜の機械的強度を弱くしておくことで、紙
や布を使って軽く拭き取るだけで容易に除去できるよう
にした。その結果、汚染物質を完全に除去することがで
きる。しかも、反射防止膜を傷める心配もない。汚染物
質と拭き取り可能な膜とを除去したのちに、拭き取り可
能な膜を再度コーティングすると透過率は初期状態(最
初に拭き取り可能な膜をコーティングしたのちであっ
て、汚染される前の状態)に回復する。このようにすれ
ば、極めて簡単に投影レンズを再生することができる。
【0009】本発明における拭き取りとは、紙や布にア
ルコールやアセトンなどの有機溶剤をつけて手で拭く一
般的な方法のほかに、紙や布に研磨剤をつけて手で拭い
たり、光学部材を液体に浸したのちに表面を拭いたりす
る方法のことであるが、類似の方法でもかまわない。ま
た、超音波洗浄やエアーで吹き飛ばすことによって、拭
き取ってもかまわない。いずれの方法でも拭き取り可能
な膜は容易に除去できるが、必ずしも完全に除去する必
要はない。つまり、膜を除去した後は同じ膜を再度コー
ティングするので、拭き取り可能な膜が拭き取られた後
の反射防止膜上にわずかに拭き取り可能な膜が残ってい
ても問題はない。
ルコールやアセトンなどの有機溶剤をつけて手で拭く一
般的な方法のほかに、紙や布に研磨剤をつけて手で拭い
たり、光学部材を液体に浸したのちに表面を拭いたりす
る方法のことであるが、類似の方法でもかまわない。ま
た、超音波洗浄やエアーで吹き飛ばすことによって、拭
き取ってもかまわない。いずれの方法でも拭き取り可能
な膜は容易に除去できるが、必ずしも完全に除去する必
要はない。つまり、膜を除去した後は同じ膜を再度コー
ティングするので、拭き取り可能な膜が拭き取られた後
の反射防止膜上にわずかに拭き取り可能な膜が残ってい
ても問題はない。
【0010】一般に光学薄膜(反射防止膜)は、真空蒸
着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など
のドライプロセスで成膜される。これらの方法によって
成膜された膜は、緻密であるため、膜自身の強度及び膜
と基板との密着性が十分高いので、拭き取りを行っても
反射防止膜が剥がれることはない。反対に、拭き取り可
能となるような強度の低い膜を形成するには、膜の構造
を多孔質にするとよい。そのような多孔質な膜を形成す
る方法としては、ディップコート法、スピンコート法、
スプレー法およびメニスカス法などの湿式法が適してい
る。湿式法とは、微粒子が分散したゾル溶液を光学基板
上に塗布し、分散媒を蒸発させて膜を形成する方法であ
る。ディップコート法は不規則形状または曲面を有する
大型基板に適している。スピンコート法は小型で円形
状、平面もしくは緩い曲率の基板に適している。メニス
カス法は特に大型平面基板に適している。これらの技術
に関しては例えば、BrinkerとSherer著(Sol-Gel Scienc
e; Academic Press, inc., Sandiego, 1990)とFlochとP
riotton等の(Thin Solid Films, Vol.175(1989)pp.173-
178)に開示されている。本発明において塗布しようとす
る基板は主として小型円形の光学レンズなので、スピン
コート法で成膜することが好ましい。湿式法によって成
膜された膜を乾燥させるために熱処理を行う場合、膜を
構成する微粒子同士が焼結したり、微粒子と反射防止膜
とが強く結合してしまうと拭き取りが困難になる。よっ
て、500℃以下の温度で熱処理するのが好ましい。
着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など
のドライプロセスで成膜される。これらの方法によって
成膜された膜は、緻密であるため、膜自身の強度及び膜
と基板との密着性が十分高いので、拭き取りを行っても
反射防止膜が剥がれることはない。反対に、拭き取り可
能となるような強度の低い膜を形成するには、膜の構造
を多孔質にするとよい。そのような多孔質な膜を形成す
る方法としては、ディップコート法、スピンコート法、
スプレー法およびメニスカス法などの湿式法が適してい
る。湿式法とは、微粒子が分散したゾル溶液を光学基板
上に塗布し、分散媒を蒸発させて膜を形成する方法であ
る。ディップコート法は不規則形状または曲面を有する
大型基板に適している。スピンコート法は小型で円形
状、平面もしくは緩い曲率の基板に適している。メニス
カス法は特に大型平面基板に適している。これらの技術
に関しては例えば、BrinkerとSherer著(Sol-Gel Scienc
e; Academic Press, inc., Sandiego, 1990)とFlochとP
riotton等の(Thin Solid Films, Vol.175(1989)pp.173-
178)に開示されている。本発明において塗布しようとす
る基板は主として小型円形の光学レンズなので、スピン
コート法で成膜することが好ましい。湿式法によって成
膜された膜を乾燥させるために熱処理を行う場合、膜を
構成する微粒子同士が焼結したり、微粒子と反射防止膜
とが強く結合してしまうと拭き取りが困難になる。よっ
て、500℃以下の温度で熱処理するのが好ましい。
【0011】多孔質な膜を最上層にコーティングするこ
とは、光学部材の光学特性を向上させる上で好ましい。
特に、反射防止膜の角度特性を向上させるために有効で
ある。同じ物質でも膜が多孔質になると緻密な膜より屈
折率は低下する。一般に、反射防止膜は高屈折率膜と低
屈折率膜とを交互に積層させて構成される。最上層にな
る低屈折率膜の屈折率をできるだけ低くすると、入射角
を大きくしても残存反射を少なくすることができる。角
度特性が向上するとレンズの開口数が向上し、結果的に
分解能が向上する。従って、多孔質すなわち拭き取り可
能な光学薄膜を反射防止膜上にコーティングすること
は、レンズのメンテナンスを容易にするためだけでな
く、光学部材の光学性能を向上させるためにも有効な方
法である。
とは、光学部材の光学特性を向上させる上で好ましい。
特に、反射防止膜の角度特性を向上させるために有効で
ある。同じ物質でも膜が多孔質になると緻密な膜より屈
折率は低下する。一般に、反射防止膜は高屈折率膜と低
屈折率膜とを交互に積層させて構成される。最上層にな
る低屈折率膜の屈折率をできるだけ低くすると、入射角
を大きくしても残存反射を少なくすることができる。角
度特性が向上するとレンズの開口数が向上し、結果的に
分解能が向上する。従って、多孔質すなわち拭き取り可
能な光学薄膜を反射防止膜上にコーティングすること
は、レンズのメンテナンスを容易にするためだけでな
く、光学部材の光学性能を向上させるためにも有効な方
法である。
【0012】最上層にコーティングする拭き取り可能な
膜の材質は何でもよいが、紫外域における透過率が高
く、なおかつ屈折率の低い物質を用いると角度特性を改
善することができるので好ましい。フッ化リチウム、フ
ッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化マグネシウ
ム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化
バリウム、クライオライト(Na3AlF6)、KMgF3などのフ
ッ化物、石英(SiO2)およびフッ素ドープされた石英な
どが好ましい。
膜の材質は何でもよいが、紫外域における透過率が高
く、なおかつ屈折率の低い物質を用いると角度特性を改
善することができるので好ましい。フッ化リチウム、フ
ッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化マグネシウ
ム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化
バリウム、クライオライト(Na3AlF6)、KMgF3などのフ
ッ化物、石英(SiO2)およびフッ素ドープされた石英な
どが好ましい。
【0013】あるいはまた、有機物汚染を低減するため
に、酸化チタン(TiO2)などの光触媒膜を最上層に湿式
法にて成膜すればよい。酸化チタンなどの光触媒は紫外
光を吸収するので、膜厚を大きくすると透過率が大幅に
低下してしまうため、膜厚を数10Åと極めて薄くする必
要がある。
に、酸化チタン(TiO2)などの光触媒膜を最上層に湿式
法にて成膜すればよい。酸化チタンなどの光触媒は紫外
光を吸収するので、膜厚を大きくすると透過率が大幅に
低下してしまうため、膜厚を数10Åと極めて薄くする必
要がある。
【0014】(実施例)拭き取り可能な膜としてフッ化
マグネシウム膜をスピンコート法で成膜した。酢酸マグ
ネシウムとフッ化水素酸(フッ酸)とをそれぞれメタノ
−ルに溶かした。酢酸マグネシウムのメタノール溶液を
攪拌しながらフッ酸のメタノール溶液を徐々に加えるこ
とによってフッ化マグネシウムゾル溶液を調製した。
マグネシウム膜をスピンコート法で成膜した。酢酸マグ
ネシウムとフッ化水素酸(フッ酸)とをそれぞれメタノ
−ルに溶かした。酢酸マグネシウムのメタノール溶液を
攪拌しながらフッ酸のメタノール溶液を徐々に加えるこ
とによってフッ化マグネシウムゾル溶液を調製した。
【0015】石英ガラス基板上にフッ化マグネシウムと
酸化アルミニウムからなる反射防止膜を真空蒸着法でコ
ーティングした。さらに、得られたゾル溶液を滴下し、
基板を1000回転/分で回転させて最上層にフッ化マグネ
シウム膜をスピンコートした。膜構成および膜厚は以下
の通りである。本膜構成で成膜された石英ガラス基板を
以下、本光学部材という。 構成物質 成膜法 光学膜厚 第5層 MgF2 スピンコート法 0.3042λ 第4層 Al2O3 真空蒸着法 0.2741λ 第3層 MgF2 真空蒸着法 0.0879λ 第2層 Al2O3 真空蒸着法 0.1364λ 第1層 MgF2 真空蒸着法 0.1911λ 基板 石英ガラス (λ:設計中心波長) クリーンルーム内に存在する代表的な汚染物質であるデ
カメチルペンタシロキサンにヘリウムガスを通してバブ
リングし、本光学部材を入れた石英ガラス製のチャンバ
ーに導入した。チャンバー内の本光学部材に波長254nm
の紫外線を3日間照射した。デカメチルペンタシロキサ
ンは紫外線によって分解され、シリコンを含む重合体が
生成する。このようにしてできた汚染物質が表面上に堆
積したために透過率が低下した。波長193nmにおける透
過率は、紫外線照射開始前は99.62%であったが、紫外線
照射後は98.83%に低下した。走査型電子顕微鏡(日立製
作所製、S-5000)にて、紫外線照射後の本光学部材を観
察した。スピンコート法によって成膜された第5層の表
面はシリコンを含む汚染物質によって覆われていること
を確認した。
酸化アルミニウムからなる反射防止膜を真空蒸着法でコ
ーティングした。さらに、得られたゾル溶液を滴下し、
基板を1000回転/分で回転させて最上層にフッ化マグネ
シウム膜をスピンコートした。膜構成および膜厚は以下
の通りである。本膜構成で成膜された石英ガラス基板を
以下、本光学部材という。 構成物質 成膜法 光学膜厚 第5層 MgF2 スピンコート法 0.3042λ 第4層 Al2O3 真空蒸着法 0.2741λ 第3層 MgF2 真空蒸着法 0.0879λ 第2層 Al2O3 真空蒸着法 0.1364λ 第1層 MgF2 真空蒸着法 0.1911λ 基板 石英ガラス (λ:設計中心波長) クリーンルーム内に存在する代表的な汚染物質であるデ
カメチルペンタシロキサンにヘリウムガスを通してバブ
リングし、本光学部材を入れた石英ガラス製のチャンバ
ーに導入した。チャンバー内の本光学部材に波長254nm
の紫外線を3日間照射した。デカメチルペンタシロキサ
ンは紫外線によって分解され、シリコンを含む重合体が
生成する。このようにしてできた汚染物質が表面上に堆
積したために透過率が低下した。波長193nmにおける透
過率は、紫外線照射開始前は99.62%であったが、紫外線
照射後は98.83%に低下した。走査型電子顕微鏡(日立製
作所製、S-5000)にて、紫外線照射後の本光学部材を観
察した。スピンコート法によって成膜された第5層の表
面はシリコンを含む汚染物質によって覆われていること
を確認した。
【0016】次に、汚染された本光学部材の表面をエタ
ノールで濡らした拭き布で軽く拭くと、汚染物質ととも
に第5層(最上層)のフッ化マグネシウム膜を容易に拭
き取ることができた。走査型電子顕微鏡で観察すると、
汚染物質と最上層のフッ化マグネシウム膜層が拭き取ら
れていることが確認できた。拭き取りによって、第4層
(真空蒸着膜層)に傷などがついていないことも確認し
た。
ノールで濡らした拭き布で軽く拭くと、汚染物質ととも
に第5層(最上層)のフッ化マグネシウム膜を容易に拭
き取ることができた。走査型電子顕微鏡で観察すると、
汚染物質と最上層のフッ化マグネシウム膜層が拭き取ら
れていることが確認できた。拭き取りによって、第4層
(真空蒸着膜層)に傷などがついていないことも確認し
た。
【0017】汚染物質及び最上層を除去した後、再度ゾ
ル溶液をスピンコートして、第4層の上にフッ化マグネ
シウム膜を成膜した。透過率を測定すると99.61%であ
ったので、光学性能はほぼ初期状態にまで回復した。最
上層のフッ化マグネシウム膜をスピンコート法で成膜し
た光学部材Aと真空蒸着法で成膜した光学部材Bとの角
度特性を測定した。反射率が0.5%以下になるのは、光
学部材Aでは入射角が0°から50°までであるのに対し
て、光学部材Bでは0°から45°までであった。従っ
て、最上層に多孔質なフッ化マグネシウム層を成膜され
た光学部材は、真空蒸着法にて成膜された光学部材より
も角度特性がよいことがわかる。(製品への応用)次に
本発明の露光装置の一例を説明する。
ル溶液をスピンコートして、第4層の上にフッ化マグネ
シウム膜を成膜した。透過率を測定すると99.61%であ
ったので、光学性能はほぼ初期状態にまで回復した。最
上層のフッ化マグネシウム膜をスピンコート法で成膜し
た光学部材Aと真空蒸着法で成膜した光学部材Bとの角
度特性を測定した。反射率が0.5%以下になるのは、光
学部材Aでは入射角が0°から50°までであるのに対し
て、光学部材Bでは0°から45°までであった。従っ
て、最上層に多孔質なフッ化マグネシウム層を成膜され
た光学部材は、真空蒸着法にて成膜された光学部材より
も角度特性がよいことがわかる。(製品への応用)次に
本発明の露光装置の一例を説明する。
【0018】図2は、本発明に係る上記方法、装置で得
られたフッ化物薄膜を有する光学素子を用いた露光装置
の基本構造であり、フォトレジストでコートされたウェ
ハー上にレチクルのパターンのイメージを投影するため
の、ステッパと呼ばれるような投影露光装置に特に応用
される。
られたフッ化物薄膜を有する光学素子を用いた露光装置
の基本構造であり、フォトレジストでコートされたウェ
ハー上にレチクルのパターンのイメージを投影するため
の、ステッパと呼ばれるような投影露光装置に特に応用
される。
【0019】図2に示すように、本発明の露光装置は少
なくとも、表面301aに置かれた感光剤を塗布した基
板Wを置くことのできるウェハーステージ301,露光
光として用意された波長の真空紫外光を照射し、基板W
上に用意されたマスクのパターン(レチクルR)を転写
するための照明光学系101,照明光学系101に露光
光を供給するための光源100,基板W上にマスクRの
パターンのイメージを投影するためのマスクRが配され
た最初の表面P1(物体面)と基板Wの表面と一致させ
た二番目の表面(像面)との間に置かれた投影光学系5
00、を含む。照明光学系101は、マスクRとウェハ
ーWとの間の相対位置を調節するための、アライメント
光学系110も含んでおり、マスクRはウェハーステー
ジ301の表面に対して平行に動くことのできるレチク
ルステージ201に配置される。レチクル交換系200
は、レチクルステージ201にセットされたレチクル
(マスクR)を交換し運搬する。レチクル交換系200
はウェハーステージ301の表面301aに対してレチ
クルステージ201を平行に動かすためのステージドラ
イバーを含んでいる。投影光学系500は、スキャンタ
イプの露光装置に応用されるアライメント光学系を持っ
ている。
なくとも、表面301aに置かれた感光剤を塗布した基
板Wを置くことのできるウェハーステージ301,露光
光として用意された波長の真空紫外光を照射し、基板W
上に用意されたマスクのパターン(レチクルR)を転写
するための照明光学系101,照明光学系101に露光
光を供給するための光源100,基板W上にマスクRの
パターンのイメージを投影するためのマスクRが配され
た最初の表面P1(物体面)と基板Wの表面と一致させ
た二番目の表面(像面)との間に置かれた投影光学系5
00、を含む。照明光学系101は、マスクRとウェハ
ーWとの間の相対位置を調節するための、アライメント
光学系110も含んでおり、マスクRはウェハーステー
ジ301の表面に対して平行に動くことのできるレチク
ルステージ201に配置される。レチクル交換系200
は、レチクルステージ201にセットされたレチクル
(マスクR)を交換し運搬する。レチクル交換系200
はウェハーステージ301の表面301aに対してレチ
クルステージ201を平行に動かすためのステージドラ
イバーを含んでいる。投影光学系500は、スキャンタ
イプの露光装置に応用されるアライメント光学系を持っ
ている。
【0020】そして、本発明の露光装置は、前記本発明
の方法で製造されたフッ化物薄膜を含む光学素子を使用
したものである。具体的には、図2に示した本発明の露
光装置は、照明光学系101の光学レンズ90および/
または投影光学系500の光学レンズ100として本発
明にかかる光学レンズを備えることが可能である。
の方法で製造されたフッ化物薄膜を含む光学素子を使用
したものである。具体的には、図2に示した本発明の露
光装置は、照明光学系101の光学レンズ90および/
または投影光学系500の光学レンズ100として本発
明にかかる光学レンズを備えることが可能である。
【0021】
【発明の効果】本発明により、光学部材の表面に汚染物
質が付着して光学性能が低下しても、再研磨などの手間
をかけず、極めて簡単に光学性能を回復させることがで
きた。また、多孔質で屈折率の低い膜を最表面にコーテ
ィングすることにより、角度特性などの光学性能も向上
する効果があった。
質が付着して光学性能が低下しても、再研磨などの手間
をかけず、極めて簡単に光学性能を回復させることがで
きた。また、多孔質で屈折率の低い膜を最表面にコーテ
ィングすることにより、角度特性などの光学性能も向上
する効果があった。
【図1】本発明の反射防止膜の膜構成を示す図である。
【図2】本発明の露光装置の基本構成を示す構成図であ
る。 1…スピンコート法で成膜したMgF2膜 2…真空蒸着法で成膜したAl2O3膜 3…真空蒸着法で成膜したMgF2膜 4…真空蒸着法で成膜したAl2O3膜 5…真空蒸着法で成膜したMgF2膜 6…石英基板
る。 1…スピンコート法で成膜したMgF2膜 2…真空蒸着法で成膜したAl2O3膜 3…真空蒸着法で成膜したMgF2膜 4…真空蒸着法で成膜したAl2O3膜 5…真空蒸着法で成膜したMgF2膜 6…石英基板
Claims (6)
- 【請求項1】拭き取りにより除去できることを特徴とす
る光学薄膜。 - 【請求項2】前記光学薄膜は、湿式法によって成膜され
ることを特徴とする光学薄膜。 - 【請求項3】前記湿式法は、スピンコート法、ディップ
コート法であること特徴とする光学薄膜。 - 【請求項4】請求項1乃至3に記載の光学薄膜を含む光
学部材。 - 【請求項5】投影光学系を用いてマスクのパターン像を
基板上に投影露光する装置であって、真空紫外線を露光
光としてマスクを照明する照明光学系と、請求項4に記
載の光学部材を含み、前記マスクのパターン像を基板上
に形成する投影光学系とを備えた投影露光装置。 - 【請求項6】投影光学系を用いてマスクのパターン像を
基板上に投影露光する装置であって、請求項4に記載の
光学部材を含み、真空紫外線を露光光としてマスクを照
明する照明光学系と、前記マスクのパターン像を基板上
に形成する投影光学系とを備えた投影露光装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001095553A JP2002296403A (ja) | 2001-03-29 | 2001-03-29 | 光学薄膜、光学部材およびそれを搭載した露光装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001095553A JP2002296403A (ja) | 2001-03-29 | 2001-03-29 | 光学薄膜、光学部材およびそれを搭載した露光装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002296403A true JP2002296403A (ja) | 2002-10-09 |
Family
ID=18949581
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001095553A Pending JP2002296403A (ja) | 2001-03-29 | 2001-03-29 | 光学薄膜、光学部材およびそれを搭載した露光装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002296403A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004050266A1 (ja) * | 2002-12-03 | 2004-06-17 | Nikon Corporation | 汚染物質除去方法及び装置、並びに露光方法及び装置 |
JP2004302113A (ja) * | 2003-03-31 | 2004-10-28 | Nikon Corp | 反射防止膜、光学部材、光学系及び投影露光装置、並びに反射防止膜の製造方法 |
JP2005099707A (ja) * | 2003-08-29 | 2005-04-14 | Nikon Corp | 透過型光学素子及びその製造方法、並びに投影露光装置 |
-
2001
- 2001-03-29 JP JP2001095553A patent/JP2002296403A/ja active Pending
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009027195A (ja) * | 2002-12-03 | 2009-02-05 | Nikon Corp | 汚染物質除去方法及び露光方法 |
WO2004050266A1 (ja) * | 2002-12-03 | 2004-06-17 | Nikon Corporation | 汚染物質除去方法及び装置、並びに露光方法及び装置 |
US8920569B2 (en) | 2002-12-03 | 2014-12-30 | Nikon Corporation | Pollutant removal method and apparatus, and exposure method and apparatus |
EP1586386A1 (en) * | 2002-12-03 | 2005-10-19 | Nikon Corporation | Contaminant removing method and device, and exposure method and apparatus |
JPWO2004050266A1 (ja) * | 2002-12-03 | 2006-03-30 | 株式会社ニコン | 汚染物質除去方法及び装置、並びに露光方法及び装置 |
JP2009027196A (ja) * | 2002-12-03 | 2009-02-05 | Nikon Corp | 汚染物質除去方法及び露光方法 |
KR101139266B1 (ko) * | 2002-12-03 | 2012-05-15 | 가부시키가이샤 니콘 | 오염 물질 제거 방법 및 장치, 그리고 노광 방법 및 장치 |
EP1586386A4 (en) * | 2002-12-03 | 2010-04-21 | Nikon Corp | METHOD AND DEVICE FOR REMOVING CONTAMINATION AND EXPOSURE METHOD AND DEVICE |
JP4591843B2 (ja) * | 2002-12-03 | 2010-12-01 | 株式会社ニコン | 汚染物質除去方法及び露光方法 |
JP4591844B2 (ja) * | 2002-12-03 | 2010-12-01 | 株式会社ニコン | 汚染物質除去方法及び露光方法 |
KR101060983B1 (ko) * | 2002-12-03 | 2011-08-31 | 가부시키가이샤 니콘 | 오염 물질 제거 방법 및 장치, 그리고 노광 방법 및 장치 |
JP2004302113A (ja) * | 2003-03-31 | 2004-10-28 | Nikon Corp | 反射防止膜、光学部材、光学系及び投影露光装置、並びに反射防止膜の製造方法 |
JP4505670B2 (ja) * | 2003-08-29 | 2010-07-21 | 株式会社ニコン | 透過型光学素子の製造方法 |
JP2005099707A (ja) * | 2003-08-29 | 2005-04-14 | Nikon Corp | 透過型光学素子及びその製造方法、並びに投影露光装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0605966B1 (en) | X-ray optical element | |
JP3509804B2 (ja) | 多層薄膜付き光学素子及びそれを備える露光装置 | |
US7781029B2 (en) | Side seal for wet lens elements | |
JP3445120B2 (ja) | 露光装置及びデバイスの製造方法 | |
EP0605961B1 (en) | Method for repairing an optical element which includes a multilayer coating | |
TWI361799B (en) | Process for polishing glass substrate | |
EP1739801A2 (en) | Extended lifetime excimer laser optics | |
KR20130074066A (ko) | 초극자외선용 펠리클 및 그 제조방법 | |
US8252488B2 (en) | Mask blank substrate manufacturing method, and reflective mask blank manufacturing method | |
KR20130088565A (ko) | 그래핀을 이용한 초극자외선용 펠리클 및 그 제조방법 | |
US8052797B2 (en) | Method for removing foreign matter from substrate surface | |
JP2005353763A (ja) | 露光装置及びパターン形成方法 | |
JP2002296403A (ja) | 光学薄膜、光学部材およびそれを搭載した露光装置 | |
WO2007088862A1 (ja) | 高開口数露光装置用ペリクル | |
JP2004302112A (ja) | 光学薄膜、光学部材、光学系、及び投影露光装置、並びに光学薄膜の製造方法 | |
JP4371458B2 (ja) | ペリクルの製造方法 | |
CN110928137B (zh) | 掩膜版及其制造方法 | |
JPH049061A (ja) | 高光線透過性防塵体 | |
JP2000147204A (ja) | 保護膜を具える光学素子及びその製造方法及び光学装置及び半導体露光装置 | |
JPH1152102A (ja) | エキシマレーザー用光学部材、その仮保護方法及び投影露光装置 | |
JPS62210467A (ja) | レジスト塗布方法 | |
JPH1120034A (ja) | 光学部材の製造方法、光学部材及びその光学部材を用いた投影露光装置 | |
JPS6218560A (ja) | フオトマスクブランクとフオトマスク | |
JP2005345812A (ja) | 光学部材およびそれを搭載した投影露光装置 | |
JP3810226B2 (ja) | 有機薄膜体及びその製造方法 |