JP2002284887A - エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物の製造方法Info
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Abstract
ル共重合体(EVOH)への無機物の添加方法を改善
し、EVOHの熱劣化を抑制しながらさらに良好な無機
物の分散性を得る。 【解決手段】 押出機に含水率が0.5重量%以上のE
VOHを導入し、この押出機内で、含水かつ溶融状態の
EVOHに対し、無機微粒子の水分散液を配合して溶融
混練する。
Description
アルコール共重合体(以下、「EVOH」と略称する)
樹脂組成物の製造方法に関する。
保香性、透明性などに優れている。この特性を利用し
て、EVOHは、フィルム、シート、ボトルなどに成形
され、食品包装用途などで利用されている。
の各種特性を改善できることが知られている。例えば、
特開平5−39392号公報では、EVOHのガスバリ
ヤー性を向上させるために、水膨潤性フィロケイ酸塩が
添加されている。同公報には、具体的には、上記ケイ酸
塩(例えばモンモリロナイト)の水分散液にEVOHと
ともにメタノールを加えてEVOHが溶解した溶液を調
製し、この溶液を冷却固化し、粉砕し、さらに乾燥する
方法が記載されている。メタノールの揮散は、作業環境
上、問題となる。
公報では、EVOHを溶融成形する際の滑り性を改善す
るために、酸化珪素などの酸化物が添加されている。同
公報には、EVOH溶液に酸化物微粒子を添加してから
凝固液中で析出させるEVOH樹脂組成物の製造方法が
開示されている。ここでも、析出工程におけるアルコー
ルの揮散が作業環境上の問題を引き起こす。
VOHなどのビニルアルコール共重合体にモンモリロナ
イトなどの粘土鉱物を添加することが提案されている。
同公報には、具体的には、乾燥状態の粘土鉱物を添加し
たビニルアルコール共重合体を押出機内で溶融および混
練してから、さらに水を添加する方法が記載されてい
る。この方法では、ビニルアルコール共重合体を高温で
溶融混練する必要があるから(同公報の実施例ではEV
OHを220℃にまで加熱している)、特にEVOHを
用いる場合には、熱劣化による着色が問題となる。
モンモリロナイトなどの水膨潤性層状無機化合物と、含
水率が25〜50重量%のEVOHとを押出機内で溶融
混合する方法が提案されている。この方法においても、
無機化合物は、粉体として添加されている。この方法で
は、含水状態のEVOHを用いているため、溶融混練す
る温度は低くてよい。しかし、押出機内に粉体を配合し
て機械的に混練するだけでは、無機化合物の分散性と劈
開とを十分に得ることが容易ではない。また、EVOH
に含有された水により無機化合物を膨潤させる必要があ
るが、その一方で高すぎる含有率はEVOHの成形を困
難にするため、EVOHの含水率を比較的狭い範囲内に
制御する必要もある。
出機内におけるEVOHへの無機物の添加方法を改善
し、EVOHの熱劣化を抑制しながらさらに良好な無機
物の分散性を得ることを目的とする。
に、本発明のEVOH樹脂組成物の製造方法は、押出機
に含水率が0.5重量%以上のEVOHを導入し、前記
押出機内で、含水かつ溶融状態のEVOHに対し、無機
微粒子の水分散液を配合して溶融混練することを特徴と
する。
にEVOHを低温で溶融できる。このため、EVOHの
熱劣化を抑制できる。また、含水状態で溶融しているE
VOHに水分散液として無機微粒子を配合すると、粉体
として配合した場合よりも、無機微粒子をより均一に分
散させることができる。特にモンモリロナイトなど水膨
張性を有する無機物は、水に分散させると劈開が促進さ
れるため、水分散液として添加することにより、EVO
Hの酸素バリア性が向上する。さらに、水分散液として
配合すると、粉体として配合する場合よりも、配合量の
連続制御が容易になるという利点も得られる。
について説明する。本発明の製造方法では、無機微粒子
の水分散液中の固形分濃度が0.1〜50重量%、さら
に0.5〜40重量%、特に1.0〜30重量%である
ことが好ましい。上記濃度が低すぎると、添加効果が十
分に得られず、また系内に過剰の水を添加することにな
るため、脱水スリットから樹脂が漏れたり、ストランド
が発泡するなどして押出不良の原因となる。逆に高すぎ
ると、微粒子の再凝集により分散性が低下し、外観不良
や酸素バリア性低下の原因となる。
によって異なるが、一般には、EVOH100重量部に
対して無機微粒子の配合量を0.001〜50重量部と
するとよい。配合量が低すぎると配合の効果が得られに
くく、逆に高すぎると溶融成形に支障を来す場合があ
る。かかる観点から、無機微粒子の上記配合量は、0.
005〜30重量部、特に0.01〜10重量部が好適
である。
ば特に限定されず、例えばガラス繊維、ガラスフレー
ク、ガラスビーズなどのガラス系フィラー、ゼオライ
ト、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チタン、二酸化ケ
イ素、チタン酸カリウム、ワラストナイト、酸化亜鉛、
硫酸バリウム、カーボンファイバーおよび無機層状化合
物から選ばれる少なくとも1種を例示することができ
る。
合には、無機層状化合物を用いるとよい。ここで、無機
層状化合物とは、原子が共有結合などによって強く結合
して密に配列したシート状物を形成し、これらシート状
物がファンデルワールス力、静電気力などによってほぼ
平行に積み重なった構造を有する化合物をいい、例え
ば、タルク、マイカ、カオリナイト、モンモリロナイ
ト、バーミキュライトなどが該当する。無機層状化合物
は、天然品であっても合成品であってもよい。
とにより膨潤または劈開する膨潤性無機化合物が好まし
く、バーミキュライト、モンモリロナイト、層間にリチ
ウム、ナトリウムなどがインターカレートされた合成膨
潤性フッ素雲母などが好適である。特に、モンモリロナ
イト、合成膨潤性フッ素雲母は、劈開性および操作性に
優れている。なお、ここで、膨潤とは、大過剰の水に浸
漬した際に、X線回折法で測定した層間隔が広がること
をいい、劈開とは、同様の操作を加えた場合、層相互の
間隔を示すピークが、小さくなるまたは消滅するような
挙動を示すことをいう。
(α)は、3以上、さらに5以上、特に10以上が好ま
しい。3未満のアスペクト比では、酸素バリア性付与効
果が十分に得られない場合がある。ここで、無機層状化
合物の重量平均アスペクト比(α)とは、重量平均フレ
ーク径lと重量平均フレーク厚さdとから、(1)式を
用いて算出される値である。
フレーク径lは、粉体を各種目開きのマイクロシーブま
たはフルイで分級し、その結果をRosin‐Ramm
lar線図にプロットし、測定に供した粉体の全重量の
50重量%が通過するマイクロシーブまたはフルイの目
開きl50に相当する値である。すなわち粉体の重量平均
フレーク径lは(2)または(3)式で定義される。
フルイによって分級し、粒度の細かい部分についてはマ
イクロシーブによって分級すればよい。
さdとは、C.E.Capesらの報告による水面単粒
子膜法{C.E.Capes and R.C.Cole
man.Ind.Eng.Chem.Fundam.,
Vol.12,No.2,P.124−126(197
3)}により測定されるフレークの水面での占有面積S
を用いて以下の(4)式より算出される値である。
は粉体の比重、(1−ε)は粉体が水面上で最密充填状
態をとった場合の占有率である。
ペクト比(α)が高い無機層状化合物の配合に特に適し
ている。上記のように、モンモリロナイトなど水膨潤性
を有する無機物は、水に分散させると劈開が促進される
ため、水分散液として添加するとEVOHの酸素バリア
性が向上する。
は、10μm以下、さらに8μm以下、特に6μm以下
が好ましい。重量平均フレーク径lが10μmを超える
と、水分散液での分散安定性が悪化するとともに、成形
品の透明性が劣化するおそれがある。
は、EVOH100重量部に対して0.1〜10重量部
が好適である。0.1重量部未満ではバリア性改善の効
果が十分に得られず、10重量部を超えると樹脂全体の
粘度が増大して成形が困難になり、成形体にピンホール
が発生しやすくなるからである。
り、重ね合わせたりすると、表面が互いに粘着(ブロッ
キング)して、皺などの原因になることがある。このよ
うな場合には、ブロッキング防止剤として、酸化ケイ素
粒子を添加して成形品のスリップ性を改善するとよい。
子、特にケイ酸のゲル化によりSi−O結合の3次元網
目構造を形成させた多孔質合成シリカが好適である。酸
化ケイ素粒子の平均粒子径は、10μm以下、さらに5
μm以下、特に3μm以下が好適である。平均粒子径が
10μmを超えると、水分散液における分散安定性が悪
化するとともに、成形品の透明性が劣化するおそれがあ
る。
は、EVOH樹脂100重量部に対して0.01〜10
重量部が好適である。0.01重量部未満ではスリップ
性改善の効果が十分に得られない場合があり、10重量
部を超えると酸化ケイ素粒子の凝集が生じて成形体の透
明性が劣化しやすくなる。
層状化合物および/または酸化ケイ素粒子が好適である
が、上記に例示したその他の無機微粒子を単独で、ある
いは無機層状化合物および酸化ケイ素粒子から選ばれる
少なくとも1種とともに、用いても構わない。
Hの溶融および混練についてさらに具体的に説明する。
図1には、本発明の一実施形態の説明を容易にするため
に、2軸押出機のシリンダとその内部に配置されるスク
リューとを並べて示す。まず、2軸押出機の原料供給部
1から含水状態のEVOHを供給する。含水状態で加熱
されて溶融ないし半溶融状態となったEVOHは、フル
フライトスクリュー部7aによって前方(図示右方向)
へと送られ、脱液部2において過剰の水分が絞られる。
次いで、EVOHは、逆フライトスクリュー部8aで混
合されてから、フルフライトスクリュー部7bに送ら
れ、ベント口3から水蒸気が放出されて樹脂の含水率が
さらに調整される。
リュー部8bに送られ、微量成分添加部4から供給され
た添加剤(例えばカルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化
合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選
ばれる少なくとも1種)と溶融混練される。脱液されて
はいるが、添加剤と混練されるEVOHは依然として含
水状態にある。
は、フルフライトスクリュー部7cを経て逆フライトス
クリュー部8cに送られ、無機微粒子添加部5から水分
散液として供給される無機微粒子と溶融混練される。な
お、樹脂の温度は、さらに後段の最終のフルフライトス
クリュー部7dに配置された温度センサー6により測定
した温度に基づいて制御される。
機内における洗浄の後に、EVOHに添加することが好
ましい。無機微粒子は、カルボン酸などその他の添加剤
よりも後に添加すると、添加剤の量の制御が容易とな
る。無機微粒子が添加剤をトラップするものである場
合、無機微粒子を先に添加すると、添加剤の量の制御が
困難となることがある。
テル共重合体をケン化して得たものを用いればよい。エ
チレン含有量は、通常3〜70モル%が好適であるが、
ガスバリア性と溶融成形性に優れた成形物を得るという
観点からは、エチレン含有量は、10〜60モル%、さ
らに20〜55モル%、特に25〜55モル%が好まし
い。EVOHにおけるビニルエステル成分のケン化度
は、通常80〜100モル%が好適であるが、ガスバリ
ア性に優れた成形物を得るという観点からは、95モル
%以上、特に99モル%以上が好ましい。
VOHは、水溶性を付与したEVOHとして好適に用い
られる。このEVOHを含む水溶液はバリア性、塗膜成
形性に優れ、コート材料として用いることができる。ま
た、ケン化度80〜95モル%のEVOHは、溶融成形
性を改善するために好適に用いられる。このEVOHは
単独で用いてもよいが、ケン化度が99モル%を超える
EVOHとブレンドして用いることもできる。
Hおよびケン化度80〜95モル%のEVOHは、いず
れも、単にEVOHのメタノール溶液を凝固浴にストラ
ンド状に押し出したのでは、安定した形状のペレットを
得ることが困難である。しかし、本発明を適用すれば、
上記EVOHについても、ペレットを安定して製造し、
かつEVOHに添加する無機微粒子を均一化できる。
%未満では溶融成形性が悪く、耐水性、耐熱水性、高湿
度下でのガスバリア性が低下するおそれがある。一方、
70モル%を超える場合は、バリア性や印刷適性などが
不足する場合がある。また、ケン化度が80モル%未満
では、バリア性、耐着色性、耐湿性が十分に得られな
い。
0.5重量%以上であればよいが、5重量%以上、さら
に7重量%以上が好ましい。乾燥状態のEVOHの融点
よりも低い温度でEVOHを溶融できるからである。こ
うして、押出機内におけるEVOHの熱劣化を抑制でき
る。
は、70重量%以下、さらに60重量%以下、特に50
重量%以下が好ましい。含水率が70重量%を超える
と、EVOH組成物において、樹脂と樹脂に含有される
水とが相分離を起こしやすくなる。水が相分離を起こす
と、樹脂表面が濡れ状態となって摩擦が大きくなるた
め、押出機ホッパー内でブリッジが発生しやすくなり、
ペレットの生産性に悪影響を及ぼすおそれがある。
調整する方法としては、特に限定されない。含水率を上
げるためには、樹脂に水をスプレーする方法、樹脂を水
中に浸漬させる方法、樹脂を水蒸気と接触させる方法な
どを採用すればよい。一方、含水率を下げるためには、
各種の乾燥方法を用いればよく、例えば、流動式熱風乾
燥機、静置式熱風乾燥機を用いて乾燥する方法を採用す
ればよい。ただし、乾燥斑を低減するという観点からは
流動式熱風乾燥機を使用することが好ましい。なお、熱
劣化を抑制するために、乾燥温度は120℃以下が好適
である。
限されない。凝固浴中に析出させたストランドをカット
して得られるペレットが好適であるが、EVOHのペー
ストが不定形に凝固したクラム状析出物などを用いても
よい。EVOHのペーストを直接押出機に投入しても構
わない。
らケン化触媒残渣を除去することもできる。具体的に
は、押出機の少なくとも1箇所から洗浄液を注入して、
EVOHを洗浄し、注入部よりも下流側の少なくとも1
箇所から洗浄液を排出すればよい。従来は、樹脂ペレッ
トを固体状態のまま洗浄容器に入れて洗浄液と接触させ
ることにより、ペレット内部からの拡散に頼ってケン化
触媒残渣を抽出していた。しかし、押出機内において同
時に洗浄を行うと、効率良くかつ省スペースで洗浄でき
る。
化触媒残渣は、典型的には、アルカリ金属イオンであ
る。そして、このアルカリ金属イオンの含有量が金属換
算で0.1〜5重量%の範囲である場合に、押出機内に
おける上記洗浄方法を適用すると大きな効果が得られ
る。含有量が0.1重量%未満では、従来の洗浄方法を
適用した場合と大差はなく、逆に5重量%を超えると、
十分な洗浄を行うためにはスクリュー長さ(L)/スク
リュー径(D)の大きい押出機が必要となってコストア
ップとなる。上記含有量は、0.2重量%以上、特に
0.5重量%以上が好適であり、さらに、4重量%以
下、特に3重量%以下が好適である。
リ金属イオンは、金属換算で0.05重量%以下、さら
に0.04重量%以下、特に0.03重量%以下が好適
である。0.05重量%を超えてアルカリイオン金属イ
オンが残留すると、EVOHの熱安定性が低下すること
がある。
媒残渣を除去できるものであれば特に限定されず、例え
ば水を用いることもできるが、25℃におけるpKaが
3.5以上の酸の水溶液が好適である。上記pKaが
3.5未満の酸の水溶液を用いると、EVOHの耐着色
性や層間接着性が十分に得られない場合がある。pKa
が3.5以上の酸としては、カルボン酸、特に酢酸また
はプロピオン酸が好適である。カルボン酸水溶液におけ
るカルボン酸濃度は、0.01〜10g/リットル、特
に0.1〜2g/リットルが好ましい。また、洗浄液の
注入量は、EVOH1kgあたり0.1〜100リット
ル程度が好適である。
ば特に限定されず、例えばプランジャーポンプなどを用
いて圧入すればよい。洗浄液の排出方法は、注入部より
も下流側において押出機から液体を排出できれば特に限
定されず、例えば脱水スリットや脱水孔を用いればよ
い。なお、複数の注入部、複数の排出部を配置しても構
わない。
Hの洗浄を行った後で、あるいは洗浄を行わずに、含水
状態のEVOHを脱水または脱気してもよい。具体的に
は、押出機の少なくとも1箇所から水(液体または気体
(水蒸気))を排出するとよい。水の排出は、特に限定
されないが、例えば、押出機のシリンダーに配置された
脱水スリット、脱水孔またはベント口を用いて行えばよ
い。
は脱水孔の採用が好ましい。液体、気体のいずれであっ
ても排出可能であって、含水率が高い樹脂から効率的に
水分を除去できるからである。これに対し、ベント口
(減圧下に水蒸気を除去する真空ベント、常圧下に水蒸
気を除去するオープンベント)は、一般に水蒸気しか排
出できない。また、ベント口に付着した樹脂が劣化して
押出機内に混入する可能性にも配慮する必要がある。な
お、脱水孔からは溶融樹脂がはみ出ることがあるため、
かかる観点からは脱水スリットがより好適である。脱水
スリットとしては、ウェッジワイヤー式脱水スリット、
スクリーンメッシュ式脱水スリットなどが挙げられる。
もよいが、同一種類のものを複数用いてもよく、あるい
は異なる種類のものを組み合わせて用いてもよい。例え
ば、含水率の多い樹脂から脱水スリットを用いて水分を
ある程度除去してから、その下流側でベント口からさら
に水分を除去すると合理的に脱水できる。
/または脱気の各工程を行った後、押出機内において、
カルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金
属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる添加剤を、
単独で添加してもよいことは勿論であるが、実施態様に
応じて選択した複数種を添加することにより、EVOH
の各種性能を改善するとよい。
定性を改善できる。カルボン酸としては、シュウ酸、コ
ハク酸、安息香酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、乳
酸などが例示できるが、コストなどを考慮すると、酢
酸、プロピオン酸または乳酸が好ましい。
樹脂組成物ペレットにおいて、10〜5000ppmが
好ましい。カルボン酸の含有量が10ppm未満である
と、溶融成形時の耐着色性が十分に得られないことがあ
り、逆に5000ppmを超えると、層間接着性が不十
分となるおそれがある。カルボン酸の含有量の下限は好
適には30ppm以上、さらに好適には50ppm以上
である。一方、カルボン酸の含有量の上限は好適には1
000ppm以下であり、さらに好適には500ppm
以下である。
安定性を改善できる。乾燥EVOH樹脂組成物ペレット
中のリン酸化合物の含有量は、リン酸根換算で1〜10
00ppmが好ましい。リン酸化合物を適切な範囲で添
加することにより、成形体の着色やゲル・ブツの発生を
抑制することが可能となる。リン酸化合物の添加による
上記改善効果は、EVOH樹脂組成物ペレットを用いた
ロングラン成形時および成形物の回収時に特に顕著とな
る。リン酸化合物としては、リン酸、亜リン酸などの各
種の酸やその塩などが例示できるが、これらに限定され
ない。リン酸塩は、第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3
リン酸塩のいずれの形で含まれていてもよく、そのカチ
オン種も特に限定されないが、アルカリ金属塩、アルカ
リ土類金属塩であることが好ましい。中でも、リン酸2
水素ナトリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2
ナトリウム、リン酸水素2カリウムとしてリン酸化合物
を添加することが好ましい。
酸化合物の含有量は、リン酸根換算で表示して、10p
pm以上、特に30ppm以上がより好ましく、さらに
500ppm以下、特に300ppm以下がより好まし
い。かかる範囲のリン酸化合物を含有させると、より着
色が少なく、よりゲル化しにくいペレットを得ることが
できる。なお、リン酸化合物の含有量が1ppm未満で
あると、溶融成形時の着色抑制効果が十分に得られない
ことがある。特に、熱履歴を重ねるときにその傾向が顕
著となるために、ペレットを成形して得られた成形体
が、回収性に乏しいものとなる場合がある。一方、リン
酸化合物の含有量が1000ppmを超えると成形体の
ゲル・ブツが発生しやすくなる。
VOHの熱安定性や機械的性質を向上させることができ
る。これは、EVOHとホウ素化合物との間にキレート
化合物が生成するためであると考えられる。ホウ素化合
物としては、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水
素化ホウ素類などが挙げられるが、これらに限定されな
い。ホウ酸類としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四
ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステルとしては、ホウ
酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ
酸塩としては上記各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アル
カリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これら化合
物の中では、オルトホウ酸(以下、単に「ホウ酸」と称
する)が好適である。
素化合物の含有量は、ホウ素換算で10〜2000pp
m、さらに50〜1000ppmが好ましい。10pp
m未満ではホウ素化合物を添加することによる熱安定性
の改善効果が十分に得られないことがあり、2000p
pmを超えるとゲル化しやすく、成形性不良となるおそ
れがある。
層間接着性や相容性を効果的に改善できる。乾燥EVO
H樹脂組成物ペレット中のアルカリ金属塩の含有量は、
アルカリ金属元素換算で5〜5000ppm、さらに2
0〜1000ppm、特に30〜750ppmが好まし
い。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カ
リウムなどが挙げられ、アルカリ金属塩としては、脂肪
族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、燐酸塩、金属錯
体などが挙げられる。例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カ
リウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウ
ム、燐酸ナトリウム、燐酸リチウム、ステアリン酸ナト
リウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢
酸のナトリウム塩などが挙げられる。中でも酢酸ナトリ
ウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピ
オン酸カリウム、燐酸ナトリウムが好適である。
と、耐着色性の改善効果が若干低下するものの、ペレッ
トの溶融成形時において、熱劣化した樹脂の成形機のダ
イへの付着量を低減することが可能となる。アルカリ土
類金属塩としては、特に限定されないが、マグネシウム
塩、カルシウム塩、バリウム塩、ベリリウム塩などが挙
げられ、マグネシウム塩およびカルシウム塩が好適であ
る。アルカリ土類金属塩のアニオン種は、特に限定され
ないが、酢酸アニオン、プロピオン酸アニオン、リン酸
アニオンが好適である。
カリ土類金属塩の含有量は、同金属換算で10〜100
0ppm、さらに20〜500ppmが好適である。ア
ルカリ土類金属の含有量が10ppm未満の場合はロン
グラン性の改善効果が不十分となることがあり、100
0ppmを超えると樹脂溶融時の着色を十分に抑制でき
ないことがある。
加剤を配合すると、これらの添加剤を均一に混練でき
る。こうして、溶融成形時の押出機のモータートルクお
よびそのトルク変動が小さい方法により、押出安定性、
耐着色性およびロングラン性に優れ、ゲル・ブツの発生
およびダイ付着量が少ないEVOH樹脂組成物ペレット
を得ることができる。また、上記の添加剤は、EVOH
が含水かつ溶融状態となっている位置へと供給すると、
上記効果が十分に得られる。また、押出機の混練部に供
給すると、添加剤がより均一に配合されやすくなる。
に限定されない。押出機内に乾燥粉末として添加する方
法、溶媒を含浸させたペースト状で添加する方法、液体
に懸濁させた状態で添加する方法、溶媒に溶解させて溶
液として添加する方法などが例示されるが、添加量の制
御や、EVOH中に添加剤を均質に分散させる観点から
は、添加剤を溶媒に溶解させた溶液として添加する方法
が特に好ましい。この場合、溶媒は特に限定されない
が、添加剤の溶解性、コスト的なメリット、取り扱いの
容易性、作業環境の安全性などを考慮すると、水が好適
である。また、上記添加剤は、押出機の1箇所から添加
してもよいが、2箇所以上から添加しても構わない。溶
液の注入方法は、洗浄液と同様、特に限定されない。こ
の点は、無機微粒子の水分散液についても同様である。
て添加する際には、EVOHの乾燥重量100重量部に
対して、溶液の添加量の下限は1重量部以上、さらに3
重量部以上、特に5重量部以上が好ましい。また、溶液
の添加量の上限は、EVOHの乾燥重量100重量部に
対して、50重量部以下、さらに30重量部以下、特に
20重量部以下が好ましい。溶液の添加量を1重量部未
満とすると、一般に、溶液の濃度が高くなって添加剤の
分散性の改善効果が十分に得られないことがある。一
方、溶液の添加量を50重量部よりも大きくすると、E
VOHの含水率の制御が困難となることがあり、押出機
内で樹脂と樹脂に含有される水とが相分離しやすくな
る。
処理方法は知られていたが、このような方法では、EV
OHのクラム状析出物などについては良好な品質の製品
を得ることが困難であった。しかし、押出機内で配合す
ると、かかる形態のEVOHについてもカルボン酸など
の添加剤を均質に添加することが可能となり、安定した
品質のEVOH樹脂組成物ペレットを得ることができ
る。
0℃であることが好ましい。樹脂温度が70℃未満の場
合は、EVOHが完全に溶融しないおそれがある。樹脂
温度は、80℃以上、特に90℃以上が好適である。一
方、樹脂温度が170℃を超えると、EVOHが熱劣化
を受けやすくなる。さらに、樹脂温度が170℃を超え
ると水分の蒸発が激しくなるため、好適な分散液濃度ま
たは水溶液濃度でEVOHと混合することが困難とな
る。かかる観点から、樹脂温度は、150℃以下、さら
に130℃以下が好適である。樹脂温度の調整方法は、
特に限定されないが、押出機内シリンダの温度を適切に
設定する方法が好ましい。
した温度センサーにより測定した温度を適用して判断す
ればよい。温度センサーの設置場所は、押出機先端部吐
出口近傍が適当である。
水率は5〜40重量%、特に5〜35重量%が好まし
い。押出機吐出直後のEVOH樹脂組成物の含水率が4
0重量%を超えると、樹脂と樹脂に含有される水とが相
分離を起こしやすくなる。相分離が生じると押出機吐出
後のストランドが発泡しやすくなる。一方、押出機吐出
直後のEVOH組成物の含水率が5重量%未満である
と、押出機内において加熱によるEVOHの劣化を抑制
する効果が不十分となって、EVOHペレットの耐着色
性が十分に得られない場合がある。含水率は、押出機に
水を供給するか、押出機から水を除去するか、押出機へ
の水の供給と押出機からの水の除去とを組み合わせるこ
とによって調整される。押出機には、洗浄液、水分散
液、水溶液などとしても水が供給されるため、これらも
考慮して、水の供給量および排出量を調整するとよい。
をペレット化する方法は、特に限定されないが、樹脂組
成物をダイスからストランド状に凝固浴中に押出し、適
切な長さにカットするとよい。ペレットの取り扱いを容
易にするために、ダイスの口径は2〜5mmφ(φは直
径。以下同じ)が好適であり、ストランドは1〜5mm
程度の長さでカットするとよい。
される。乾燥後のEVOH樹脂組成物ペレットの含水率
は、1重量%以下、さらに0.5重量%とすることが好
ましい。乾燥方法は特に限定されないが、静置乾燥法、
流動乾燥法などが好適であり、幾つかの乾燥方法を組み
合わせた多段階の乾燥工程を適用してもよい。中でも、
まず流動乾燥法で乾燥し、引き続いて静置乾燥法で乾燥
する方法が好ましい。
に浸漬して処理すると、処理後のEVOHの含水率は、
通常、40〜70重量%程度にまで至る。しかし、本発
明のように、EVOHを押出機で溶融し、この押出機内
で必要な処理剤を添加することとすると、押出機吐出直
後のEVOH樹脂組成物の含水率を容易に調整できる。
EVOH樹脂組成物における含水率は、好ましくは5〜
40重量%である。このような含水率の小さいペレット
を用いると、乾燥工程におけるエネルギー消費を削減す
ることもできる。
乾燥温度を100℃以上にすると、ペレット同士の融着
が発生することがある。この点においても、押出機内で
の添加物の配合は有利である。
物ペレットに、重合度、エチレン含有率およびケン化度
の異なるEVOHをブレンドし溶融成形することも可能
である。また、このペレットに他の各種可塑剤、安定
剤、界面活性剤、色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、乾
燥剤、架橋剤、金属塩、充填剤、各種繊維等の補強剤な
どを適量添加することも可能である。
とも可能である。熱可塑性樹脂としては各種ポリオレフ
ィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテ
ン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピ
レン共重合体、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィ
ンとの共重合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との
共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体、またはこれらを不飽
和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性した変性
ポリオレフィンなど)、各種ナイロン(ナイロン−6、
ナイロン−6,6、ナイロン−6/6,6共重合体な
ど)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエス
テル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレ
タン、ポリアセタールおよび変性ポリビニルアルコール
樹脂などが用いられる。
溶融成形によりフィルム、シート、容器、パイプ、繊維
など、各種の成形体に成形される。これらの成形体は、
再使用の目的で粉砕し再度成形してもよい。また、フィ
ルム、シート、繊維などを一軸または二軸延伸すること
も可能である。溶融成形法としては、押出成形、インフ
レーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、射出成形など
を適用できる。溶融温度は、共重合体の融点などにより
適宜選択すればよいが、150〜270℃程度が好まし
い。
ルム、シートなどとして成形し、他の層との多層構造体
として実用に供してもよい。多層構造体としては、特に
限定されないが、EVOH樹脂組成物をE、接着性樹脂
をAd、熱可塑性樹脂をTで表わすと、E/Ad/T、
T/Ad/E/Ad/Tなどが挙げられる。各層は、単
層であってもよいし、多層であってもよい。
と成形してもよいが、物性を改善するために延伸処理を
施してもよい。延伸処理を施すと、破断、ピンホール、
延伸ムラ、デラミなどが生じない延伸フィルム、延伸シ
ートなどとすることができる。延伸は、一軸延伸、二軸
延伸のいずれであってもよく、一般には、できるだけ高
倍率の延伸を行ったほうが物性的に良好となる。延伸方
法としては、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブ
ラー延伸法、延伸ブロー法などの他、深絞成形、真空成
形などのうち延伸倍率の高いものを採用してもよい。二
軸延伸の場合は、同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式
のいずれを適用してもよい。延伸温度は、例えば80〜
170℃、好ましくは100〜160℃である。本発明
を適用して無機微粒子を均一に分散させたEVOH樹脂
組成物は、延伸により分散した無機微粒子が配向し、酸
素バリア性が向上する。特に、二軸延伸する場合に酸素
バリア性の向上が顕著に見られる。
熱固定は、従来から行われてきた方法により実施すれば
よく、例えば、延伸フィルムを緊張状態を保ちながら8
0〜170℃、好ましくは100〜160℃で2〜60
0秒間程度処理すればよい。得られた延伸フィルムは、
必要に応じ、冷却処理、印刷処理、ドライラミネート処
理、溶液または溶融コート処理、製袋加工、箱加工、チ
ューブ加工、スプリット加工などを行ってもよい。
するが、本発明はこの実施例に限定されるものではな
い。なお、水はすべてイオン交換水を使用した。
に取り、熱風乾燥機で120℃、24時間乾燥し、乾燥
前と乾燥後のEVOHの重量変化から、下記式を用いて
EVOHの含水率を求めた。
後重量)/乾燥前重量}×100
「乾燥チップ」とは、押出機内で、カルボン酸、ホウ素
化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ
土類金属塩から選ばれる少なくとも1種が添加されたE
VOH樹脂組成物ペレットを、流動式熱風乾燥機を用い
て100℃で15時間乾燥し、引き続いて静置式熱風乾
燥機を用いて100℃で15時間乾燥して得たものであ
る。
に投入し、95℃で6時間加熱抽出した。抽出液にフェ
ノールフタレインを指示薬として1/50規定のNaO
Hで中和滴定し、酢酸含有量を定量した。
液50mlに投入し、95℃で6時間撹拌した。撹拌後
の水溶液をイオンクロマトグラフィーを用いて定量分析
し、Kイオンの量を定量した。カラムは、(株)横河電
機製「ICS−C25」を使用し、溶離液は5.0mM
の酒石酸と1.0mMの2,6−ピリジンジカルボン酸
を含む水溶液とした。なお、定量に際しては塩化カリウ
ム水溶液で作成した検量線を用いた。こうして得られた
Kイオンの量から、乾燥チップ中のアルカリ金属塩の量
を金属換算の量で得た。
るつぼで600℃で灰化させた。得られたサンプルに塩
酸を加えて溶解し、ICP発光分光分析法によりホウ素
化合物の含有量をホウ素換算で定量した。
液50mlに投入し、95℃で6時間撹拌した。撹拌後
の水溶液をイオンクロマトグラフィーを用いて定量分析
し、リン酸イオンの量を定量した。カラムは、(株)横
河電機製「ICS−A23」を使用し、溶離液は2.5
mMの炭酸ナトリウムと1.0mMの炭酸水素ナトリウ
ムを含む水溶液とした。なお、定量に際してはリン酸水
溶液で作成した検量線を用いた。こうして得られたリン
酸イオンの量から、リン酸化合物の含有量をリン酸根換
算で得た。
用し、温度190℃、荷重2160gの条件にて測定し
た。
層製膜を行い、フィルム外観を評価した。評価は製膜開
始から1時間後のフィルム外観を目視にて判定した。
のフィルム)を紙管に巻き取り、フィルム端面の着色を
目視にて判定した。
測定装置「MOCONOX−TRANS2/20型」を
使用し、20℃、65%RHの条件下でJIS K71
26(等圧法)に記載の方法に準じて測定した。
「HR−100」を使用し、ASTM D1003−6
1に従って測定した。
スペクト比20〜30、表面積9(m2/g)である膨潤
性フッ素雲母(コープケミカル社製「ソマシフ(登録商
標)ME−100」)を、8.0重量%となるように水
に添加し、ヘンシェルミキサーを用いて約15分間攪拌
して、無機微粒子(膨潤性フッ素雲母)水分散液を調製
した。
9.5モル%、乾燥時のメルトインデックス5g/10
分、含水率50重量%のEVOHペレットを図1に示し
たと同様の構造を有する二軸押出機の原料供給部1から
投入した。脱液部(脱水スリット)2およびベント口3
より排出される水分を補集したところ、排出液量は4.
0L/時であった。さらに、微量成分添加部4より酢酸
/ホウ酸/リン酸二水素カリウム水溶液からなる処理液
を、無機微粒子添加部5より上記のようにして調製した
膨潤性フッ素雲母水分散液を、それぞれ添加した。
は10kg/時(含有する水の重量を含む)、膨潤性フ
ッ素雲母水分散液の単位時間当りの添加量は1.25L
/時、微量成分添加部からの処理液の添加量は0.25
L/時とした。このときの処理液の組成は酢酸2.2g
/L、ホウ酸30g/L、リン酸二水素カリウム0.6
g/Lであった。
1と同様)。 形式 二軸押出機 L/D 45.5 口径 30mmφ スクリュー 同方向完全噛合型 回転数 300rpm モーター容量 DC22KW ヒーター 13分割タイプ ダイスホール数 5穴(3mmφ) 押出機内樹脂温度 100℃ 引取り速度 5m/分
押出機吐出後のEVOH樹脂組成物ペレットの含水率
は、33重量%であった。得られたペレットを流動乾燥
機を用いて100℃で25時間乾燥し、引き続き静置乾
燥機を用いて100℃で15時間乾燥した結果、含水率
は0.3重量%となった。乾燥後のEVOH樹脂組成物
ペレットにおいて、酢酸の含有量は100ppm、ホウ
素化合物の含有量はホウ素換算で270ppm、リン酸
化合物の含有量はリン酸根換算で20ppm、アルカリ
金属塩の含有量はカリウムが金属換算で6ppmであっ
た。また、メルトインデックスは1.5g/10分であ
った。
単層製膜を行い、製膜品の外観および着色を評価した。
製膜品の膜面を観察した結果、無機微粒子による凝集物
は認められず、また、EVOHの熱劣化による着色もな
く、外観は極めて良好であった。このフィルムの酸素透
過度は0.6(cc/m2・day・atm)であり、
無機微粒子を含有しないEVOHに比べて、約2.5倍
のバリア性の改善が認められた。また、フィルムのヘイ
ズは1.7%であり、無機微粒子を含有しないEVOH
とほぼ同等の良好な品質を示した。
子水分散液を変更する以外は実施例1と同様にして樹脂
組成物を得た。
にして調製したものを用いた。無機層状化合物として、
平均粒径100〜2000(nm)、アスペクト比32
0(平均)、表面積25(m2/g)であるモンモリロ
ナイト(クニミネ工業社製「クニピア(登録商標)F」
を使用し、当該無機微粒子を4重量%となるように水に
添加し、ヘンシェルミキサーを用いて約15分間攪拌し
た。
膜試験を実施した。その結果、膜面に無機微粒子による
凝集物は認められず、また、EVOHの熱劣化による着
色もなく、外観は極めて良好であった。このフィルムの
酸素透過度は0.9(cc/m2・day・atm)で
あり、無機微粒子を含有しないEVOHに比べ、約1.
7倍のバリア性の改善が認められた。また、フィルムの
ヘイズは1.7%であり、無機微粒子を含有しないEV
OHとほぼ同等の良好な品質を示した。
子水分散液を変更する以外は実施例1と同様にして樹脂
組成物を得た。
にして調製したものを用いた。多孔性合成シリカとし
て、平均粒径1.4μm(コールターカウンター法)、
表面積300(m2/g、BET法)である「サイリシ
ア310」(富士シリシア化学(株)製)を用いた。こ
の合成シリカを4重量%となるように水を添加し、ヘン
シェルミキサーを用いて15分間攪拌した。
試験を実施した。その結果、膜面は無機微粒子による凝
集物は認められず、また、EVOHの熱劣化による着色
もなく、外観は極めて良好であった。このフィルムは耐
ブロッキング性に優れ、皺のない良好な巻き取りロール
が得られた。一方、フィルムの酸素透過度は1.5(c
c/m2・day・atm)であり、無機微粒子を含有
しないEVOHと同等であった。また、ヘイズは3.0
%であったが、外観上、特に問題のないレベルであっ
た。
ケン化度99.5モル%、含水率0.3重量%、メルト
インデックス5g/10分のEVOHペレットを実施例
1と同じ押出機の原料供給部に投入し、押出機内の樹脂
温度を250℃とする以外は実施例1と同様にして樹脂
組成物を得た。
は10kg/時(含有する水の重量を含む)とした。実
施例1と同様にして調製した8.0重量%のコープケミ
カル社製「ソマシフME−100」の水分散液を、無機
微粒子添加部より、2.5L/時で供給した。また、酢
酸2.2g/L、ホウ酸30g/L、リン酸二水素カリ
ウム0.6g/Lの組成の処理液を単位時間当り添加量
0.5L/時で添加した。
出機吐出後のEVOHは着色が激しく、また、水分の発
泡により、サンプリングできなった。
エチレン−酢酸ビニル共重合体の45重量%メタノール
溶液をケン化反応器に仕込み、苛性ソーダ/メタノール
溶液(80g/L)を共重合体中の酢酸ビニル成分に対
し、0.4当量となるように添加し、メタノールを添加
して共重合体濃度が20重量%になるように調整した。
60℃に昇温し反応器内に窒素ガスを吹き込みながら約
4時間反応させた。4時間後、酢酸で中和し反応を停止
させ、エチレン含有量44モル%、ケン化度99.5モ
ル%のEVOHのメタノール溶液を得た。
から水中に押し出してストランド析出させ、切断するこ
とで直径約3mm、長さ約5mmのペレットを得た。得
られたペレットは遠心分離機で脱液し、さらに大量の水
を加え脱液する操作を繰り返した。
量%)3.5kgを、酢酸0.1g/L、リン酸二水素
カリウム0.04g/L、ホウ酸0.7g/Lを含有す
る水溶液6Lに25℃で6時間浸漬した。浸漬後脱液
し、得られたEVOH樹脂組成物ペレット(含水率55
重量%)を流動乾燥機を用いて80℃で15時間、引き
続いて静置乾燥機を用いて100℃で24時間乾燥を行
い、乾燥ペレット(含水率0.3%)を得た。
酸の含有量は100ppm、ホウ素化合物の含有量はホ
ウ素換算で270ppm、リン酸化合物の含有量はリン
酸根換算で20ppm、アルカリ金属塩の含有量はカリ
ウムが金属換算で10ppmであった。 メルトインデ
ックスは1.5g/10分であった。
に、実施例1で使用した膨潤性フッ素雲母(コープケミ
カル社製「ソマシフ(登録商標)ME−100」)を2
重量部添加し、全体がよく混ざるようにタンブラー(N
ISSUI KAKO社製)で5分間混ぜた。
雲母との混合物を実施例1と同じ押出機に投入し、押出
機内樹脂温度を250℃とし、微量成分添加部および無
機微粒子添加部からは何も添加しなかった以外は、実施
例1と同様にして押出試験を実施した。
られたペレットを流動乾燥機を用いて100℃で25時
間乾燥した結果、含水率は0.3重量%であった。得ら
れた乾燥ペレットを使用し、EVOHの単層製膜を行
い、製膜品の外観および着色を評価した。
面に認められ、EVOHの熱劣化により、黄変が激し
く、外観は不良であった。当該フィルムの酸素透過度は
1.5(cc/m2・day・atm)であり、無機微
粒子を含有しないEVOHと同等であり、無機微粒子添
加によるバリア性の改善効果は認められなかった。ま
た、当該フィルムのヘイズは25%であった。
を、「ME−100」から「サイリシア310」に変更
する以外は、比較例2と同様に押出試験を実施した。
面に認められ、著しく外観不良のフィルムが得られた。
また、ヘイズが10%であり、無機微粒子を含有しない
EVOHに比べ透明性不良であった。 当該フィルムの
酸素透過度は1.5(cc/m2・day・atm)で
あった。
チレン−酢酸ビニル共重合体の45重量%メタノール溶
液をケン化反応器に仕込み、苛性ソーダ/メタノール溶
液(80g/L)を共重合体中の酢酸ビニル成分に対
し、0.4当量となるように添加し、メタノールを添加
して共重合体濃度が20重量%になるように調整した。
60℃に昇温し反応器内に窒素ガスを吹き込みながら約
4時間反応させた。4時間後、酢酸で中和し反応を停止
させ、エチレン含有量44モル%、ケン化度99.5モ
ル%のEVOHのメタノール溶液を得た。
から水中に押し出してストランド析出させ、切断するこ
とで直径約3mm、長さ約5mmのペレットを得た。得
られたペレットは遠心分離機で脱液しさらに大量の水を
加え脱液する操作を繰り返した。
率55重量%)3.5kgを、酢酸0.1g/L、リン
酸二水素カリウム0.04g/L、ホウ酸0.7g/L
を含有する水溶液6Lに25℃で6時間浸漬した。浸漬
後脱液し、得られたEVOH樹脂組成物ペレット(含水
率55重量%)を流動乾燥機を用いて80℃で15時
間、引き続いて静置乾燥機を用いて100℃で24時間
乾燥を行い、乾燥ペレット(含水率0.3%)を得た。
酢酸の含有量は100ppm、ホウ素化合物の含有量は
ホウ素換算で270ppm、リン酸化合物の含有量はリ
ン酸根換算で20ppm、アルカリ金属塩の含有量はカ
リウムが金属換算で10ppmであった。 メルトイン
デックスは1.5g/10分であった。
面を評価した。その結果、外観は良好であり、着色も少
ない良好なフィルムが得られた。当該フィルムの酸素透
過度は1.5(cc/m2・day・atm)であっ
た。ヘイズは1.7%であった。
れば、EVOHの熱劣化を抑制しながら添加した無機物
をより均一化したEVOH樹脂組成物を得ることができ
る。また、各種添加剤を併用することにより、EVOH
樹脂組成物の特性をさらに改善することもできる。
のシリンダとスクリューとのを示す平面図である。
Claims (11)
- 【請求項1】 押出機に含水率が0.5重量%以上のエ
チレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を導入し、前記
押出機内で、含水かつ溶融状態のエチレン−ビニルアル
コール共重合体樹脂に対し、無機微粒子の水分散液を配
合して溶融混練することを特徴とするエチレン−ビニル
アルコール共重合体樹脂組成物の製造方法。 - 【請求項2】 無機微粒子の水分散液中の固形分濃度が
0.1〜50重量%である請求項1に記載のエチレン−
ビニルアルコール共重合体樹脂組成物の製造方法。 - 【請求項3】 エチレン−ビニルアルコール共重合体樹
脂100重量部に対する無機微粒子の配合量が0.00
1〜50重量部である請求項1または2に記載のエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物の製造方法。 - 【請求項4】 無機微粒子が無機層状化合物および酸化
ケイ素粒子から選ばれる少なくとも1種である請求項1
〜3のいずれかに記載のエチレン−ビニルアルコール共
重合体樹脂組成物の製造方法。 - 【請求項5】 エチレン−ビニルアルコール共重合体の
エチレン含有量が3〜70モル%で、ケン化度が80〜
100モル%である請求項1〜4のいずれかに記載のエ
チレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物の製造方
法。 - 【請求項6】 押出機に導入するエチレン−ビニルアル
コール共重合体樹脂の含水率が0.5〜70重量%であ
る請求項1〜5のいずれかに記載のエチレン−ビニルア
ルコール共重合体樹脂組成物の製造方法。 - 【請求項7】 押出機から吐出した直後の樹脂組成物の
含水率が5〜40重量%である請求項1〜6のいずれか
に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成
物の製造方法。 - 【請求項8】 押出機に水を供給するか、押出機から水
を除去するか、押出機への水の供給と押出機からの水の
除去とを組み合わせることによって、押出機内で含水か
つ溶融状態にあるエチレン−ビニルアルコール共重合体
樹脂の含水率を調整する、請求項1〜7のいずれかに記
載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物の
製造方法。 - 【請求項9】 押出機内の樹脂の溶融温度が70〜17
0℃である請求項1〜8のいずれかに記載のエチレン−
ビニルアルコール共重合体樹脂組成物の製造方法。 - 【請求項10】 押出機内で含水かつ溶融状態のエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体樹脂に対し、カルボン
酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およ
びアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添
加剤を配合して溶融混練する請求項1〜9のいずれかに
記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物
の製造方法。 - 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の方
法によって得られたエチレン−ビニルアルコール共重合
体樹脂組成物を押出機から吐出し、ペレット状に切断し
た後、含水率が1重量%以下になるまで乾燥するエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物ペレットの製
造方法。
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