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JP2002254852A - 平版印刷用湿し水 - Google Patents

平版印刷用湿し水

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Publication number
JP2002254852A
JP2002254852A JP2001061792A JP2001061792A JP2002254852A JP 2002254852 A JP2002254852 A JP 2002254852A JP 2001061792 A JP2001061792 A JP 2001061792A JP 2001061792 A JP2001061792 A JP 2001061792A JP 2002254852 A JP2002254852 A JP 2002254852A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
fountain solution
sulfonic acid
lithographic printing
printing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001061792A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsutomu Ishikawa
努 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chugai Pharmaceutical Co Ltd
Chugai Photo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Chugai Pharmaceutical Co Ltd
Chugai Photo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chugai Pharmaceutical Co Ltd, Chugai Photo Chemical Co Ltd filed Critical Chugai Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP2001061792A priority Critical patent/JP2002254852A/ja
Publication of JP2002254852A publication Critical patent/JP2002254852A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平版印刷用湿し水であって、版取れや、地汚
れを防ぎ、濃縮性に優れたものを提供する。 【解決手段】 芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物を含
有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、平版印刷版のオ
フセット印刷に用いる湿し水に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 平版印刷に用いられるPS版等の印刷
版は、その版上に油性インキとの親和性を持つ画像部
と、油性のインキとは反撥するが水とは親和性を持つ非
画像部を持っている。平版印刷は画像部と非画像部のこ
のような特性の違いにより、インキ供給ローラーによっ
て版面に与えられたインキは画像部へ、湿し水供給ロー
ラーによって与えられた湿し水は非画像部へ転移される
ため、同一平面上での印刷が可能となっている。
【0003】このため、印刷時における湿し水とインキ
のバランスは印刷品質に直接影響する重要な要因となっ
ている。例えば、湿し水の供給量が少なすぎた場合は、
非画像部の濡れが不充分となり、本来インキが付かない
部分にまでインキが転写されてしまう地汚れが起こり易
くなってしまう。又、湿し水の供給量が多すぎた場合
は、過剰分の湿し水がインキに混入し易くなるため、イ
ンキの過乳化が起こり易くなり、印刷物のインキ濃度低
下や画像部でのインキの滲みが起こり易くなってしま
う。このような印刷トラブルを防止するためには、湿し
水とインキの微妙なバランスを適正に調整することが重
要であるが、その調整は非常に困難であり、熟練した技
術が必要であった。このため、このバランスを調整し易
くする目的で、湿し水にイソプロピルアルコール(IP
A)を多量に添加することで表面張力を調整し、湿し水
が非画像部全体に素早く広がり易くする方法が以前より
行われている。
【0004】しかしながら、IPAは沸点が低く、蒸発
し易いこと、有機溶剤予防規則における第2種有機溶剤
であることから、作業環境上好ましくない物質である。
このため、IPAの使用量を低減もしくは全く使用しな
くとも適正な印刷が可能となるよう、グリコール系化合
物、グリコールエーテル系化合物、界面活性剤などのI
PAの代替となる物質を含む湿し水が種々提案されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、これ
らのIPA代替物質を含む湿し水は、以下の点で更なる
改善が求められている。例えば、ポリオキシエチレン・
ノニルフェニルエーテルやポリオキシエチレン・ポリオ
キシプロピレン共重合体といった界面活性剤を含む湿し
水は、IPA含有湿し水と同様に版面の濡れを改善する
効果は認められるものの、高速印刷を行った場合にはI
PAに比べて版面の濡れを改善する効果が弱いため、地
汚れが起き易い傾向がある。
【0006】このため確実に地汚れを防ぐためには、こ
れらの界面活性剤を多量に添加する必要がある。然し、
このような湿し水は、印刷時にインキと過乳化し易く、
印刷物にインキの滲みが発生し易い傾向がある。又、こ
のような界面活性剤を多量に含有する湿し水を用いてイ
ンキ消費量の少ない印刷物、即ち画像部が極端に少ない
ような印刷を行うと、これらの物質がインキ中に蓄積し
易くなる結果、PS版の画像部に影響を及ぼして画像部
が抜け落ちてしまう版取れという現象が起き易くなって
しまうという問題もある。
【0007】又、エチレングリコール−tert−モノ
ブチルエーテルなどのグリコールエーテル系化合物は、
IPAと同様に版面の濡れを改善し、地汚れを防ぐ効果
は優れているものの、グリコールエーテル系化合物を含
有する湿し水は、濃縮性に劣る傾向があり、濃縮液形態
製品の作製が困難であることや、臭気及び引火性の点で
劣っている。このため、グリコールエーテル系化合物を
含有する湿し水は、輸送コストや在庫スペース、保管環
境の点で不利である。又、前記界面活性剤と同様に、グ
リコールエーテル系化合物を湿し水に多量に添加する
と、これらの物質もインキ中に蓄積し易いため、版取れ
トラブルの原因となり易いという問題がある。
【0008】よって本発明の目的は、IPAの使用の有
無に関らず、どのような印刷条件においても版取れや地
汚れ、インキの滲みといった印刷トラブルがなく、優れ
た品質の印刷が可能であると共に、濃縮性に優れ、引火
性や臭気の問題もない平版印刷用湿し水を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】 上記の目的は次に示す
構成により達成される。即ち本発明は、印刷時における
版取れトラブルを防止するために、芳香族スルホン酸ホ
ルマリン縮合物を含有することを特徴とする平版印刷用
湿し水を提供するものである。
【0010】又、本発明は、芳香族スルホン酸ホルマリ
ン縮合物として、ナフタレンスルホン酸、メラミンスル
ホン酸、スルホフタール酸、1−スルホアントラセン、
ビスフェニルスルホン酸、ターフェニルジスルホン酸、
アルキルナフタレンスルホン酸、及びこれらの塩から選
ばれる化合物のうちのいずれかとホルムアルデヒドの縮
合物を含有することを特徴とする平版印刷用湿し水組成
物である。
【0011】又、本発明は、版面の濡れを改善して印刷
の地汚れを防止するために、下記の一般式(I)又は一
般式(II)で表される化合物のうち少なくとも一種を含
有することを特徴とする平版印刷用湿し水であり、同時
にかかる構成により界面活性剤の含有量を低減し、多量
の界面活性剤添加に起因するインキの滲み、版取れとい
った印刷トラブルや低濃縮性が改善された平版印刷用湿
し水である。
【化3】 Rは炭素数1〜6のアルキレン基又はヒドロキシル基で
置換されたアルキレン基を表し、EOはエチレンオキサ
イド鎖を、POはプロピレンオキサイド鎖を表す。又、
a、b、c、dは夫々3〜30の整数を表し、e、f、
g、hは夫々5〜30の整数を表し、(a+b+c+
d)/(e+f+g+h)は0.1〜2.4である。
【化4】 R’は炭素数1〜30アルキル基を表し、EOはエチレ
ンオキサイド鎖を、POはプロピレンオキサイド鎖を表
す。又、j、kは夫々2〜20の整数を表し、m、nは
夫々3〜30の整数を表し、(m+n)/(j+k)は
0.1〜2.4である。
【0012】又、本発明は、版取れや地汚れ、インキの
滲みといった印刷トラブル防止効果を更に高めるため
に、前記の一般式(I)又は(II)で表される化合物の
うち少なくとも一種を含有し、更に、芳香族スルホン酸
ホルマリン縮合物を含有することを特徴とする平版印刷
用湿し水である。
【0013】
【発明の実施の形態】 以下、本発明について詳細に説
明する。本発明で用いられる芳香族スルホン酸ホルマリ
ン縮合物とは、芳香族スルホン酸とホルマリン(ホルム
アルデヒド)を縮合重合させることによって得られる化
合物のことをいう。ここで用いられる芳香族スルホン酸
はナトリウム塩、カリウム塩などの塩となっているもの
でもよい。又、ここでいう「芳香族」とは、単環式芳香族
化合物、多環式芳香族化合物(ナフタレンなどの縮合芳
香族も含む)更には、酸素、窒素、硫黄原子を含む芳香
族複素環化合物も含まれる広い意味での芳香族化合物を
指すものである。
【0014】本発明に好ましく用いることができる芳香
族スルホン酸ホルマリン縮合物の具体例としては、例え
ばα−ナフタレンスルホン酸・ホルマリン縮合物、β−
ナフタレンスルホン酸・ホルマリン縮合物、β−ナフタ
レンスルホン酸Na塩・ホルマリン縮合物、β−ナフタ
レンスルホン酸K塩・ホルマリン縮合物、β−ナフタレ
ンスルホン酸Ca塩・ホルマリン縮合物、β−ナフタレ
ンスルホン酸Li塩・ホルマリン縮合物、メラミンスル
ホン酸Na塩・ホルマリン縮合物、スルホナフタレンN
a塩・スルホフタール酸Na塩・ホルマリン縮合物、1
−スルホアントラセンNa塩・ホルマリン縮合物、ビス
フェニルスルホン酸及びそのNa塩・ターフェニルジス
ルホン酸及びそのNa塩・ホルムアルデヒド縮合物、ア
ルキル(C1〜C14)ナフタレンスルホン酸Na塩・
ホルマリン縮合物などが挙げられる。
【0015】これらの芳香族スルホン酸ホルマリン縮合
物は、重合度が4〜6程度の低分子量のもの、重合度の
数十程度の高分子量のものなど、その重合度に関らず使
用することが可能である。又、これら芳香族スルホン酸
ホルマリン縮合物は市販品として容易に入手することが
可能であり、例えば、花王株式会社製の「デモール」シ
リーズ(「デモール」は花王株式会社の登録商標)やラ
イオン株式会社製の「ポリテイ」シリーズ(「ポリテ
イ」はライオン株式会社の登録商標)、日産化学工業株
式会社製「SMF−PG」「SMF−PA」(「SM
F」は日産化学工業株式会社の登録商標)などを入手す
ることができる。
【0016】本発明の平版印刷用湿し水にこれら芳香族
スルホン酸ホルマリン縮合物を使用液1リットル当たり
0.001g〜5g、好ましくは0.02g〜0.1g
を含有させることにより、印刷時にPS版の画像が損傷
してしまう版取れトラブルを防止することができる。本
化合物添加による版取れ防止効果は、印刷枚数が多い印
刷では特に顕著である。
【0017】又、本発明の湿し水には、印刷時における
版面の濡れを改善し、地汚れを防ぐ目的で、下記一般式
(I)又は一般式(II)で表される化合物を添加するこ
とができる。
【化5】 Rは炭素数1〜6のアルキレン基又はヒドロキシル基で
置換されたアルキレン基を表し、EOはエチレンオキサ
イド鎖を、POはプロピレンオキサイド鎖を表す。又、
a、b、c、dは夫々3〜30の整数を表し、e、f、
g、hは夫々5〜30の整数を表し、(a+b+c+
d)/(e+f+g+h)は0.1〜2.4である。
【化6】 R’は炭素数1〜30のアルキル基を表し、EOはエチ
レンオキサイド鎖を、POはプロピレンオキサイド鎖を
表す。又、j、kは夫々2〜20の整数を表し、m、n
は夫々3〜30の整数を表し、(m+n)/(j+k)
は0.1〜2.4である。
【0018】これら一般式(I)又は一般式(II)で表
される化合物のうち、少なくとも1種類を本発明の湿し
水の使用液1リットル当たり0.2g〜6.0g、特に
好ましくは0.4g〜2.0g添加することで、湿し水
の表面張力を印刷に適した値(具体的には100ミリ秒
時の動的表面張力を40〜60mN/m程度)にまで下
げることができる。このため湿し水の広がり速度が向上
し、版面の濡れが改善され、印刷時の地汚れ発生を確実
に防ぐことが可能になる。特に高速印刷では、非画像部
全体に渡って充分に湿し水が行き渡る前に印刷が行われ
てしまうと、非画像部にもインキが付着し、地汚れ発生
の原因となり易いため、湿し水は充分な広がり速度を持
つことが要求されるが、一般式(I)又は一般式(II)
で表される化合物のうち、少なくとも1種類を含有する
本発明の湿し水は、このような高速印刷でも優れた地汚
れ防止効果を示す。
【0019】又、これらの一般式(I)又は一般式(I
I)で表される化合物を使用することで、他のアルコー
ル類化合物やグリコールエーテル類化合物の使用量を低
減もしくはゼロとすることが可能となり、濃縮性能の低
下や臭気・引火性の心配のない湿し水を作製することが
できる。又、一般式(I)又は一般式(II)で表される
化合物は、前記のように比較的少量で版面の濡れを改善
する効果を有しているため、界面活性剤のように多量添
加に起因する過乳化の問題を心配する必要がなく、イン
キの滲み防止の点でも有利である。
【0020】これら一般式(I)又は一般式(II)で表
される化合物は、PO(プロピレンオキサイド鎖)に対
するEO(エチレンオキサイド鎖)の比率が低くなるほ
ど、溶解性が悪くなる傾向にあり、特に、POに対する
EOの比率が0.1未満の化合物は極端に溶解性が劣る
ため、湿し水に必要な量を加えることが困難である。
又、POに対するEOの比率が大きいほど、湿し水の動
的表面張力を下げる効果が弱い傾向にあり、POに対す
るEOの比率が2.4を超えるものは、地汚れ防止効果
が極端に劣ってしまう。よって、一般式(I)又は(I
I)で表される化合物のうち、特に本発明で効果的であ
るものは、POに対するEOの比率が0.1〜2.4の
ものであり、この中でも0.25〜1.5の比率である
ものが好ましく、より好ましくは0.4〜1.5の比率
のものである。
【0021】一般式(I)で表される化合物の具体例と
しては、例えば以下に示すものがある。
【化7】
【0022】又、一般式(II)で表される化合物の具体
例としては、例えば以下に示すものがある。
【化8】
【0023】尚、これら一般式(I)又は一般式(II)
で表される化合物は、単一化合物である必要はなく、例
えば式中のR’部分の炭素数が異なる複数化合物の混合
物を用いることもできる。このような混合物としては、
例えばヤシ油を原料として合成される式中のR’部分が
〜C18のアルキル基となる混合物がある。
【0024】これら一般式(I)又は一般式(II)で表
される化合物は、市販品としても容易に入手可能であ
り、一般式(I)で表される化合物としては、例えば旭
電化工業株式会社製の「アデカプロニックTR」シリー
ズ(「アデカ」は旭電化工業株式会社の登録商標)の「ア
デカプロニックTR701」、「アデカプロニックTR
702」、「アデカプロニックTR704」などがあ
る。又、一般式(II)で表される化合物としては、例え
ばライオン株式会社製の「エソプロポミンC/18―1
8」などがある。
【0025】本発明の湿し水は、更にアセチレングリコ
ール類化合物及びアセチレンアルコール類化合物から選
ばれる化合物のうち少なくとも1種を湿し水1リットル
当たり0.01g〜1.0g程度含有することが好まし
い。これらの化合物は、乳化抑制効果を持つため、過乳
化を抑制してインキの滲みを防止するのに効果的であ
る。又、同時にこれらの化合物は、前記一般式(I)又
は一般式(II)で表される化合物と同様に、版面の濡れ
を改善する効果も有している。この両者は夫々単独で使
用してもよいが、併用することで相乗効果を発揮し、地
汚れやインキの滲み防止により効果的である。
【0026】アセチレングリコール類化合物及びアセチ
レンアルコール類化合物の具体例としては、例えば3,
5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2,4,
7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオー
ル、プロパギルアルコール、3−ブチン−1−オール、
1−ブチン−3−オール、2―ブチン−1,4−ジオー
ル、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオー
ルなどが挙げられる。これらの化合物は溶解性に劣る傾
向があるため、これらの化合物はエチレンオキシド付加
物の形で用いることが好ましい。これらの化合物の中で
は、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−
ジオール及びこれらの化合物のエチレンオキシド付加物
が乳化抑制効果が高い点で特に好ましく用いることがで
きる化合物である。
【0027】尚、前述のようにこれらの化合物は、溶解
性に劣る傾向があるが、前記一般式(I)又は一般式
(II)で表される化合物はこれらの化合物の溶剤として
の効果を持つため、濃縮性能向上の点からも両者の併用
は好ましいといえる。
【0028】この他に、本発明の湿し水には、必要に応
じて親水性高分子化合物を添加することができる。具体
的な化合物としては、カルボキシメチルセルロース(C
MC)、アラビアガム、澱粉誘導体(デキストリン、酵
素変性デキストリン、アルファー化澱粉、リン酸澱粉、
カルボキシメチル澱粉、ヒドロキシアルキル澱粉な
ど)、繊維誘導体(カルボキシエチルセルロース、メチ
ルセルロースなど)、アルギン酸ナトリウム、アルギン
酸プロピレングリコールなどが挙げられる。これらの化
合物は、単独もしくは複数組合せて添加することがで
き、使用液1リットル当たり0.2g〜10g程度添加
することで良好な不感脂化効果が得られる。
【0029】又、本発明の湿し水には、有機酸、無機酸
及びそれらの塩が使用できる。これらは湿し水のpH緩
衝剤として作用すると共に、インキ中から溶け出してく
る脂肪酸などが非画像部に付着して感脂性となるのを防
ぎ、版面を適度にエッチングする効果が見られる。具体
的な有機酸としては、クエン酸、アスコルビン酸、リン
ゴ酸、酒石酸、ギ酸、プロピオン酸、コハク酸、グルタ
ル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、乳酸、酢酸、
グルコン酸、蓚酸、有機ホスホン酸などが挙げられる。
無機酸としては、リン酸、硝酸、硫酸、ポリリン酸など
が挙げられ、これらはアルカリ金属塩、アンモニウム塩
などとして良好に用いられる。更に、これらの効果を高
めるために、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミンなどの有機アミン類を加える
ことも望ましい。
【0030】又、本発明の湿し水には、キレート剤を加
えることも望ましい。キレート剤を加えることで濃縮さ
れた湿し水原液を希釈する際には、希釈水に含まれるカ
ルシウムイオンを隠蔽して不要な析出の発生を抑えた
り、印刷の際にも印刷用紙からの炭酸カルシウムの影響
を抑えることができ、良好な印刷を行うことができる。
好ましいキレート剤としては、例えばエチレンジアミン
テトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエ
チレンテトラミンヘキサ酢酸、ニトリロトリ酢酸、L−
グルタミンジ酢酸などが挙げられる。これらはアルカリ
金属塩などの塩として添加されてもよい。
【0031】又、本発明の湿し水には、防腐剤を加える
ことも望ましい。湿し水中の親水性高分子は微生物の影
響で徐々に分解され粘性が次第に低下してしまうため、
防腐剤や防黴剤を添加しておくことが望ましい。具体的
な化合物としてはサリチル酸、フェノール、フェノール
パラ安息香酸ブチル、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イ
ソチアゾロン−3−オンなどが挙げられる。
【0032】又、本発明の湿し水には、防錆剤を加える
ことも望ましい。印刷機のローラーは常に湿し水によっ
て影響を受ける。長期の使用によっても印刷機を傷めな
いためには防錆剤の使用が望ましく、具体的な化合物と
しては、硝酸塩、アミン類の塩、1H―ベンゾトリアゾ
ールなどが挙げられる。
【0033】又、本発明の湿し水には、版の乾燥を防ぐ
目的で湿潤剤を加えることも望ましい。湿潤剤を加える
ことにより、版面の湿し水が乾き難くなり、非画像部の
汚れをより効果的に防ぐことができる。湿潤剤の具体例
としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコー
ル、などのグリコール類化合物や、グリコール酸、ソル
ビトール、トリエタノールアミン、スルホコハク酸ビス
(2−エチルヘキシル)エステルナトリウム塩などが挙
げられる。
【0034】又、本発明の湿し水には、給水ローラー濡
れ性を向上させて水上がりを向上させるための化合物と
して、グリコールエーテル類化合物を添加することがで
きる。適度な水上がりの向上は版面の濡れ向上につなが
り、印刷トラブルの防止に効果的である。好ましいグリ
コールエーテル類化合物の具体例としては、例えばエチ
レングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエ
チルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、
エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレング
リコールイソブチルエーテル、エチレングリコール−t
ert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル
エーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエ
チレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコ
ール−tert−ブチルエーテル、プロピレングリコー
ルメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテ
ル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレ
ングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレ
ングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコール
エチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエー
テル、ジプロピレングリコール−tert−ブチルエー
テルなどが挙げられる。
【0035】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。表1に示した組成で、サンプル1〜14の各湿し水
を調整した。
【表1】
【化9】
【化10】
【0036】〔印刷テスト〕調整した各サンプル湿し水
を使用して、リョービイマジクス株式会社製印刷機Ry
obi3302H(「Ryobi」はリョービ株式会社の
登録商標)にて、PS版(富士写真フイルム株式会社製
PS版VS)を用いて、線画中心の画像部5%程度の印
刷を、印刷速度10,000枚/時で各試験夫々50,
000枚の印刷を行い、印刷品質を観察し、評価を行っ
た。尚、各印刷テストは湿し水にIPAを添加せずに行
った。評価項目は次の通りである。夫々の評価結果は表
2に示した。
【0037】版取れ:使用した印刷版及び印刷物を観察
し、版取れの発生状況を見た。 ◎:50,000枚印刷後も印刷版に版取れは認められ
ず、印刷品質も良好。 ○:30,000枚印刷後に印刷版に版取れが認めら
れ、印刷物上でも網点の細りが認められた。 ×:5,000枚印刷後に印刷版に版取れが認められ、
印刷物上でも網点の細りが認められた。
【0038】地汚れ:刷り上がった印刷物を観察し、非
画像部での汚れの発生状況を見た。 ○:50,000枚の印刷を行っても、印刷物に汚れは
認められなかった。 △:20,000枚程度の印刷を行った時点から、非画
像部に汚れが認められた。 ×:5,000枚程度の印刷を行った時点から、非画像
部に汚れが認められた。
【0039】インキの滲み:刷り上がった印刷物を観察
し、インキの滲み発生の有無を見た。 ◎:50,000枚の印刷を行っても、印刷物にインキ
の滲みは認められな い。 ○:10,000枚程度の印刷を行った時点から、わず
かにインキの滲みが見られた。 △:5,000枚程度の印刷を行った時点から、インキ
の滲みが見られた。 ×:1,000枚程度の印刷を行った時点から、インキ
の滲みが見られた。
【0040】〔濃縮性試験〕各湿し水組成について、濃
縮倍率を変えて原液作製を試み、夫々どの程度まで濃縮
しても析出等を生じずに原液が作製できるかを見た。 濃縮性: 〇:100倍以上の濃縮が可能。 △:50倍以上の濃縮が可能。 ×:50倍未満の濃縮で、原液に析出物の発生。
【0041】〔引火性試験〕各湿し水組成について、夫
々50倍濃縮の原液を作製し、吉田化学機械株式会社製
のTAGTESTER Type G(タグ密閉式)を
用いて引火性を測定した。 引火性: −:引火性なし。 +:引火性あり。
【0042】〔臭気〕 −:臭気は感じられない。 +:臭気あり。
【0043】
【表2】
【0044】表2に示した結果より、芳香族スルホン酸
ホルマリン縮合物を含有する本発明の湿し水(サンプル
No.1〜3)は、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物
が非含有である以外は、同組成である比較例の湿し水
(サンプルNo.11,12,14)に比べて、優れた
版取れ防止効果を有していることが分かる。
【0045】又、一般式(I)又は(II)で表される化
合物のうち、いずれかを含む本発明の湿し水(サンプル
No.4〜7)は、優れた地汚れ防止効果を有している
ことが分かる。
【0046】サンプルNo.1〜3の湿し水は、ポリオ
キシエチレンノニルフェニルエーテルやポリオキシエチ
レン・ポリオキシプロピレン共重合体といった界面活性
剤もしくはエチレングリコールモノ−tert−ブチル
エーテルの多量含有により、地汚れ防止効果は有するも
のの、本実施例の印刷条件ではインキの滲み防止効果で
やや劣っている。これに対して、一般式(I)又は(I
I)で表される化合物は少ない添加量で地汚れ防止効果
を有するため、これらの化合物を使用した本発明湿し水
であるサンプルNo.4〜7は、インキの滲み防止の点
でも優れている。このことは、界面活性剤もしくはエチ
レングリコールモノ−tert−ブチルエーテルをイン
キの滲みを全く起こさないだけの量しか含有しない比較
例No.10,13の湿し水が、地汚れ防止効果に劣っ
ていることからも明らかである。
【0047】又、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物と
一般式(I)又は(II)で表される化合物の両方を含有
するサンプルNo.8及びNo.9の本発明湿し水は、
特に優れた版取れ防止効果を有していることが分かる。
【0048】又、サンプルNo.1〜2及びサンプルN
o.4〜9の本発明湿し水は、版取れ、地汚れ、インキ
の滲みといった印刷トラブルを防止する優れた効果を維
持しつつ、濃縮性、引火性、臭気の点でも優れた性能を
有している。特にサンプルNo.4〜9は一般式(I)
又は(II)で表される化合物のもつ可溶化効果により、
溶解性の良くない2,4,7,9−テトラメチル−5−
デシン−4,7−ジオール・EO付加物を使用している
にもかかわらず、特に優れた濃縮性性能を有しているこ
とが分かる。
【0049】
【発明の効果】本発明の請求項1,2の平版印刷用湿し
水は、IPAの使用の有無に関らず、どのような印刷条
件においても、版取れトラブルがなく、優れた品質の印
刷を可能とするものであり、特に印刷枚数が多い場合に
顕著である。
【0050】又、請求項3によれば、上記の他に、地汚
れ、インキの滲みといった印刷トラブルを防止し、更
に、濃縮性に優れ、引火性や臭気の問題もないため、輸
送コストや在庫スペース、保管環境の点でも有利である
という効果を有するものである。
【0051】又、請求項4及び請求項5によれば、更
に、特に優れた版取れ防止効果を奏するものである。
又、請求項6によれば、更に、高い乳化抑制効果を持
ち、より優れたインキの滲み防止効果が得られる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物を含
    有することを特徴とする平版印刷用湿し水。
  2. 【請求項2】 前記芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物
    が、ナフタレンスルホン酸、メラミンスルホン酸、スル
    ホフタール酸、1−スルホアントラセン、ビスフェニル
    スルホン酸、ターフェニルジスルホン酸、アルキルナフ
    タレンスルホン酸、及びこれらの塩から選ばれる化合物
    のうちいずれかとホルムアルデヒドの縮合物であること
    を特徴とする請求項1に記載の平版印刷用湿し水。
  3. 【請求項3】 下記の一般式(I)または下記一般式
    (II)で表される化合物のうち少なくとも一種を含有す
    ることを特徴とする平版印刷用湿し水。 【化1】 Rは炭素数1〜6のアルキレン基又はヒドロキシル基で
    置換されたアルキレン基を表し、EOはエチレンオキサ
    イド鎖を、POはプロピレンオキサイド鎖を表す。又、
    a、b、c、dは夫々3〜30の整数を表し、e、f、
    g、hは夫々5〜30の整数を表し、(a+b+c+
    d)/(e+f+g+h)は0.1〜2.4である。 【化2】 R’は炭素数1〜30アルキル基を表し、EOはエチレ
    ンオキサイド鎖を、POはプロピレンオキサイド鎖を表
    す。又、j、kは夫々2〜20の整数を表し、m、nは
    夫々3〜30の整数を表し、(m+n)/(j+k)は
    0.1〜2.4である。
  4. 【請求項4】 芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物を含
    有することを特徴とする請求項3に記載の平版印刷用湿
    し水。
  5. 【請求項5】 ナフタレンスルホン酸、メラミンスルホ
    ン酸、スルホフタール酸、1−スルホアントラセン、ビ
    スフェニルスルホン酸、ターフェニルジスルホン酸、ア
    ルキルナフタレンスルホン酸、及びこれらの塩から選ば
    れる化合物のうちいずれかとホルムアルデヒドの縮合物
    である芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物を含有するこ
    とを特徴とする請求項3に記載の平版印刷用湿し水。
  6. 【請求項6】 3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−
    オールもしくはそのエチレンオキシド付加物及び2,
    4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオ
    ールもくしはそのエチレンオキシド付加物から選ばれる
    化合物のうち少なくとも一種を含有することを特徴とす
    る請求項1から請求項5のいずれかに記載の平版印刷用
    湿し水。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7329482B2 (en) 2004-03-26 2008-02-12 Fujifilm Corporation Dampening water composition for lithographic printing

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