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JP2002187712A - 球状多孔質シリカ乃至シリカ金属複合体粒子及びその製造方法 - Google Patents

球状多孔質シリカ乃至シリカ金属複合体粒子及びその製造方法

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Publication number
JP2002187712A
JP2002187712A JP2000380760A JP2000380760A JP2002187712A JP 2002187712 A JP2002187712 A JP 2002187712A JP 2000380760 A JP2000380760 A JP 2000380760A JP 2000380760 A JP2000380760 A JP 2000380760A JP 2002187712 A JP2002187712 A JP 2002187712A
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JP
Japan
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silica
porous silica
metal composite
particles
spherical porous
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Application number
JP2000380760A
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Inventor
Katsunori Kosuge
勝典 小菅
Tatsuro Murakami
達朗 村上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
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Publication date
Application filed by Mizusawa Industrial Chemicals Ltd, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定の式で表され、粒径が0.1乃至500
μmの範囲にあり、外接円法で求めた真球度が実質上1
であり、回折角1乃至5度(Cu−Kα)にX線回折ピ
ークを有し且つ細孔径15乃至40オングストロームに
細孔容積の極大値を有する球状多孔質シリカ乃至シリカ
金属複合体粒子及びその製法を提供する。 【解決手段】 水混和性有機溶媒、アルキルアミン及び
ケイ酸エステル或いはケイ酸エステルと水混和性有機溶
媒に可溶な金属塩との組み合わせを含む混合液に、攪拌
下に水或いは酸性水溶液を添加し、生成するシリカ‐ア
ルキルアミン複合生成物を球状粒子に成長させ、球状粒
子中のアルキルアミンを除去して得られる球状多孔質シ
リカ乃至シリカ金属複合体粒子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、球状多孔質シリカ
乃至シリカ金属複合体粒子及びその製造方法に関するも
のである。より詳細には、ケイ酸エステルとしてシリコ
ンアルコキシドを使用し、それから生成するシリカ溶存
種、またシリカ溶存種と水混和性有機溶媒のアルコール
溶液中に溶解した金属塩を原料とするTi、Zr、A
l、Fe、Zn、Cr、Mn、Co、Cu、Ni、V、
Sn等種々の金属溶存種の1種類あるいは複数を同時に
含む溶液相において、アルキルアミンの秩序形成能に基
づいて、規則的に配列した細孔を持つと同時に直径ミク
ロンオーダーの球状多孔質シリカ粒子、あるいはSiの
他1種類以上の金属元素を含む球状多孔質シリカ金属複
合体粒子と、その製造法であり、形状選択性触媒、有用
イオン・分子の吸着・分離・貯蔵剤、また有害イオン・分
子の吸着・分離さらには分解用触媒として、工業および
環境保全に有用な材料などに適した球状多孔質シリカ乃
至シリカ金属複合体粒子及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】多孔性材料開発の歴史の中で、1992
年Nature誌上に発表された2〜10nmのメソ孔
がハニカム状に規則配列した多孔体MCM-41と合成
法は、エキサイティングな発見として特筆される。その
発見以来メソポア多孔性材料の研究は一気に加速され、
分子篩い性に基づいた触媒としてばかりでなく、メソ孔
内における機能性分子の規則配列を利用した光、磁気、
電気機能を有する包接化合物への応用も検討されてい
る。さらに、最近では、メソ孔の規則性ばかりでなく、
ミクロンからセンチメータサイズのマクロ形態を制御し
た、繊維状、球状、中空球状、板状あるいは薄膜状のメ
ソ多孔性材料の開発が注目されている。
【0003】本発明に係わる球状多孔質シリカに関し多
くの研究が報告されている。例えば; (1)Schacht, S.; Huo, Q.; Voigt-Martin, I.G.; St
ucky, G.D.; Schuth, F.等の「Science, 1996, 273, 76
8.」には、塩酸を添加したCTAB(セチルトリメチル
アンモニウムブロミド)水溶液に、メシチレンを含んだ
テトラエチルオルトシリケート(TEOS)を滴下する
際、攪拌速度を制御することによってミクロンオーダー
の中空状球状多孔性シリカ粒子が生成するすること、
(2)Huo, Q.; Feng, J.; Schuth, F.; Stucky, G.D.
等の「Chem. Mater. 1997, 9, 14.」には、CTABに
水とNaOH等を添加した溶液に、テトラブチルオルト
シリケート(TBOS)を添加して攪拌すると、粒径
0.1〜2mmの球状シリカ多孔体が作製できる。この
方法では、シリカ骨格中にCu、Co、Ti、ZrやV等の
遷移金属が導入可能であること、(3)Grun, M.; Laue
r, I.; Unger, K. K.等の「Adv. Mater. 1997, 9, 25
4.」には、CTAB等の陽イオン型界面活性剤水溶液
を、アンモニア水/エタノール混合溶液に加え、攪拌し
ながらTEOSを添加することによって、0.4〜1.1μm
の球状粒子が得られること、(4)Yang, H.; Vovk,
G.; Coombs, N.; Sokolov, I.; Ozin, G. A. J.等の「M
ater. Chem. 1998, 8, 743.」には、CTAC(セチル
トリメチルアンモニウムクロライド)、TEOS及び低
濃度の塩酸水溶液の混合割合を制御することによって、
静的条件下、80℃、7〜10日間で直径1〜10μm
の球状粒子を合成すること、(5)Qi, L.; Ma, J.; Ch
eng, H.; Zhao, Z.等の「Chem. Mater. 1998, 10, 162
3.」には、CTABとデカエチレングリコールモノヘキ
サデシルエーテル(C16EO10)との混合界面活性剤
を溶解させた低濃度の塩酸水溶液中でTEOSを静的条
件下で加水分解することにより、直径2〜6μmの球状
シリカメソ多孔体を作製すること、(6)Lin, H. P.;
Cheng, Y. R.; Mou, C. Y.等の「Chem. Mater. 1998, 1
0, 3772.」には、ミリスチルトリメチルアンモニウムブ
ロミド(C14TMAB)と珪酸ナトリウムにブタノー
ルを添加して2相分離させた状態で、塩酸水溶液を滴下
すると、直径4〜6μmの特殊な内部構造を有する中空
状球状シリカメソ多孔体が生成すること、(7)Singh,
P.S.; Kosuge, K.等の「Chem. Lett. 1998, 101.」に
は、TEOSと塩酸水溶液の混合溶液中に、攪拌しなが
ら直鎖オクチルアミンを添加すると、その混合比によ
り、球殻の厚さの異なる中空状やスパイラル状の直径1
〜6μmの球状シリカメソ多孔体を合成すること、
(8)Boissiere, C.; van der Lee, A.; El Mansouri,
A.; Larbot, A.; Prouzet, E. 等の「Chem. Commun. 1
999, 2047.」には、直鎖非イオン性ポリオキシエチレン
とTEOSを混合し、さらに塩酸を添加後、シリカの縮
合を進めるため、フッ化ナトリウムを加えて3日間反応
させ、直径10μm以下の球状シリカメソ多孔体を合成
すること、(9)Boissiere, C.; Larbot, A.; Prouze
t, E.等の「Chem. Mater. 2000, 12,1937.」には、直鎖
非イオン性ポリオキシエチレンを塩酸水溶液に溶解して
2℃に保持した後、珪酸ナトリウム溶液を添加し、20
〜70℃に加温する。さらに、シリカの縮合を進めるた
め、フッ化ナトリウムを加えて3日間反応させ、直径5
μm程度の球状シリカメソ多孔体を合成することが記載
されている。(10)Gallis, K.W.; Araujo, J.T.; Duf
f, K. J.; Moore, J. G.; Landry, C.C.等の「Adv. Mat
er. 1999, 11, 1452.」には、TEOSを希塩酸に溶解
したCTAB溶液に加え1時間攪拌後、150℃で40
分加熱することによって、直径4〜10μmの球状シリ
カメソ多孔体が得られること、が記載されている。
【0004】また、特開平10―328558号公報に
は、アルコキシシラン、水、界面活性剤及び酸を混合し
てアルコキシシランを縮合反応させた後、この反応液
を、アルカリを添加した有機溶剤に注入し、球状状含シ
リカ/界面活性剤複合体を生成した後これを取り出し、
その後このシリカ/界面活性剤複合体からその界面活性
剤を除去することにより、球状メソ多孔体の製造方法が
記載されている。
【0005】更に、本発明者等は、TEOSと直鎖アル
キルアミンの混合液に、塩酸水溶液を添加することで、
直径5〜300μmの球状シリカメソ多孔体を合成し、
さらに、常温で溶液状態にある金属アルコキシドを用い
TEOSとの混合溶液を作製することによって、同様な
手順で金属成分を含んだ球状シリカ・ベースメソ多孔体
を合成した。また、金属塩を予め直鎖アルキルアミンあ
るいは塩酸水溶液中に溶解して用いることで球状シリカ
・ベースメソ多孔体を合成した。(特許出願中)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の通り、これまで
に球状多孔質シリカの合成に関しては、幾つかの研究成
果が公表されているが、上記(1)〜(7)、(10)は細
孔構造を制御する試薬として高価な界面活性剤であるC
TAB等の四級アンモニウム塩を使用したり、付加的に
他の界面活性剤を添加している。さらに、上記(2)を
除いては、球状シリカメソ多孔体の直径は10μm以下で
あり、さらにシリカ純成分のみを取り扱っている。しか
も、最終生成物である球状多孔体の前駆体である界面活
性剤を含んだ有機無機ナノ複合体を作製するための反応
時間は、上記(10)を除き数十時間〜3日間と長時間を必
要とする。さらに、Si以外の金属成分を導入する場
合、ケイ酸エステルであるテトラエチルオルトシリケー
ト(TEOS)と安定な均質溶液相を形成させるため
に、高価な金属アルコキシドや直鎖アルキルアミンに可
溶な限られた金属塩しか使用できないこと等の課題があ
る。
【0007】また、金属アルコキシドを出発原料とした
ゾル・ゲル法によって直径数ミクロンオーダーの球状粒
子を作製することは可能であるが、多くの場合10μm
以上の粒子を作製することは難しく、しかも骨格構造に
基づいた細孔を有せず、粒子間隙に起因した多孔性しか
示さない。
【0008】従って、本発明は、細孔構造の制御剤とし
てアルキルアミンを使用し、ケイ酸エステル及び水混和
性有機溶媒を混合した溶液に、水あるいは酸性水溶液を
添加した極めて単純な反応系において、反応物質の混合
割合、酸性度、またアルキル鎖のカーボン数を変化させ
ることにより、ミクロンオーダーの球状多孔質シリカ粒
子を製造することを目的とした。さらに、ケイ酸エステ
ルとアルコールに溶解した金属塩を混合し、Siの一部
を他の金属で置換したり、また骨格外に金属酸化物等を
含む球状多孔質シリカ乃至シリカ金属複合体粒子を製造
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するため鋭意研究を重ねた結果、水混和性有機溶
媒、アルキルアミン及びケイ酸エステル或いはケイ酸エ
ステルと水混和性有機溶媒に可溶な金属塩との組み合わ
せを含む混合液に、攪拌下に水或いは酸性水溶液を添加
し、生成するシリカ‐アルキルアミン複合生成物を球状
粒子に成長させ、球状粒子中のアルキルアミンを除去す
ることを特徴とする球状多孔質シリカ乃至シリカ金属複
合体粒子の製造方法が提供する。本発明の製造方法によ
れば、 1.ケイ酸エステルとアルキルアミンとを1:0.1乃
至1:0.8のモル比で用いること、 2.水混和性有機溶媒をケイ酸エステル1モル当たり
0.05乃至10モルの量で用いること、 3.水をケイ酸エステル1モル当たり20乃至100モ
ルの量で添加すること、 4.酸をケイ酸エステル1モル当たり0.15モル以下
の量で用いること、 5.水混和性有機溶媒が1価乃至多価のアルコールであ
ること、 6.ケイ酸エステルが炭素数が1乃至4のアルコールの
ケイ酸エステルであること、が好ましい。本発明によれ
ばまた、球状多孔質シリカ乃至シリカ金属複合体粒子に
おいては、下記式 SiO・nMOm/2 式中、Mは多価金属を表し、mは多価金属の価数であ
り、nはゼロを含む0.1以下の数である、で表される
化学的組成を有する球状多孔質シリカ乃至シリカ金属複
合体粒子であって、粒径が0.1乃至500μmの範囲
にあり、外接円法で求めた真球度が実質上1であり、回
折角1乃至5度(Cu−Kα)にX線回折ピークを有し
且つ細孔径15乃至40オングストロームに細孔容積の
極大値を有することを特徴とする球状多孔質シリカ乃至
シリカ金属複合体粒子を提供する。本発明の球状多孔質
シリカ乃至シリカ金属複合体粒子は、走査型電子顕微鏡
写真で見て実質上単分散粒子からなることが好ましい。
本発明によればまたさらに、上記球状多孔質シリカ乃至
シリカ金属複合体粒子からなることを特徴とする触媒或
いは触媒担体、脱臭剤、調湿剤が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者等は、上記従来の技術の
(7)で記述した通り、テトラエチルオルトシリケート
(以下、略してTEOSということもある)、直鎖アル
キルアミン、塩酸水溶液を使用した反応系で、中空状並
びにスパイラル状の直径1〜6μmの球状中シリカ多孔
体が合成できることを明らかにした。さらに、前述
(7)と同じ反応系において、反応物質の添加順序を変
化させることで、5〜300ミクロンの球状多孔質シリ
カ乃至シリカ金属複合体粒子が作製できることを示し
た。
【0011】本発明では、ミクロンオーダーの球状多孔
質シリカ乃至シリカ金属複合体粒子の製造法において、
前記ケイ酸エステルとしてアルコキシド原料を用い、ア
ルコキシドがSi-アルコキシド以外の高価な金属アル
コキシドを使用する必要がないこと、反応系にアルコー
ルを加えることで不規則形状の粒子の生成を抑制し、粒
径分布が均一でより大きな球状多孔質シリカが得られる
こと、攪拌速度により粒径が制御可能なこと、また、酸
性水溶液を単なる水で代替できる場合がある等、製造条
件に格段の進歩性を有する。
【0012】本発明の球状多孔質シリカ乃至シリカ金属
複合体粒子は、水混和性有機溶媒、アルキルアミン及び
ケイ酸エステル或いはケイ酸エステルと水混和性有機溶
媒に可溶な金属塩との組み合わせを含む混合液に、攪拌
下に水或いは酸性水溶液を添加し、生成するシリカ‐ア
ルキルアミン複合生成物を球状粒子に成長させ、球状粒
子中のアルキルアミンを除去して製造することが特徴で
ある。
【0013】本発明の製造方法によれば、ケイ酸エステ
ルとアルキルアミンとを1:0.1乃至1:0.8、好
ましくは1:0.2乃至1:0.7のモル比、また、水
混和性有機溶媒、好ましくは1価乃至多価のアルコール
をケイ酸エステル1モル当たり0.05乃至10モル、
好ましくは0.1乃至3.0モルの量で混合し、その後
水をケイ酸エステル1モル当たり20乃至100モル、
好ましくは25乃至65の量で添加し、必要に応じて酸
をケイ酸エステル1モル当たり0.15モル以下、好ま
しくは0.11以下の量で用いることにより、外接円法
で求めた真球度が実質上1であり、且つ走査型電子顕微
鏡写真で見て実質上単分散粒子が得られる。この範囲以
外では不規則形状の粒子で真球度が実質上1のものは得
られず、走査型電子顕微鏡写真で見て単分散した粒子が
得られない。(後述する図8参照)
【0014】本発明によればまた、球状多孔質シリカ乃
至シリカ金属複合体粒子においては、下記式 SiO・nMOm/2 式中、Mは多価金属、好ましくはTi、Zr、Al、F
e、Zn、Cr、Mn、Co、Cu、Ni、V、Sn等
から選ばれる少なくとも一種を表し、mは多価金属の価
数であり、nはゼロを含む0.1以下の数、好ましくは
0.05以下である、で表される化学的組成を有する球
状多孔質シリカ乃至シリカ金属複合体粒子であって、粒
径が0.1乃至500μm、好ましくは1乃至300μ
mの範囲にあり、外接円法で求めた真球度が実質上1で
あり、回折角1乃至5度(Cu−Kα)にX線回折ピー
クを有し且つ細孔径15乃至40オングストロームに細
孔容積の極大値を有することを特徴とする球状多孔質シ
リカ乃至シリカ金属複合体粒子を提供することが特徴で
ある。
【0015】本発明の球状多孔質シリカ粒子の製造法の
具体的な一例として、概略を図1に示す。アルコール存
在下アルキルアミンの秩序形成能に基づいて、TEOS
及び金属溶存種との均質透明溶液(A)に、酸性水溶液を
添加することで、イオン化したアルキルアミンとSiを
含む金属溶存種との協調的な相互作用によってシリカ‐
アルキルアミン複合生成物が生成し(図1(B)中
3)、これが核となって1次粒子が生成し(B)、さら
に1次粒子間の衝突により粒子成長することで、ミクロ
ンオーダーのマクロ形態を有する球状粒子が生成する
(C)。有機成分を加熱等の処理により除去することで
得られる最終生成物は、ミクロンオーダーの球状を呈す
ると同時に、(A)の段階で形成されたミクロ構造すな
わち細孔構造の規則性を併せ持つことになり、2つの異
なるスケールで秩序構造を有していることになる。ま
た、1次粒子の衝突により球状粒子が成長することから
(図1中(B)から(C)への進行)、得られる球状多孔質シ
リカ粒子は1次粒子が凝集集合した充填型となる。さら
に、種々の金属塩はアルコールに可溶であり、Ti、Z
r、Al、Fe、Zn、Cr、Mn、Co、Cu、N
i、V、Sn等を含む球状多孔質シリカ金属複合体粒子
が作製できる。ここで、アルコールは金属塩とTEOS
の可溶化を促進するばかりでなく、溶媒の極性を低下さ
せることによって、図1中の(B)から(C)への成長を
速める効果があるものと推定される。
【0016】本製造法は、周期的に配列する細孔を有
し、しかも細孔径が容易にコントロール可能なことはも
とより、ミクロンオーダーの球状多孔質シリカ及び球状
多孔質金属複合体粒子の前駆体を、常温常圧下、80分
以内で製造できる。また、攪拌速度、酸濃度あるいはア
ルコールの添加割合により粒子径の制御が可能となる。
【0017】図2は上記製造法によって得られた球状多
孔質シリカ粒子((a)、(b))、およびAlを含む
球状多孔質シリカ金属複合体粒子((c)、(d))の
走査電子顕微鏡(SEM)写真である。図3は、図2の
(a)〜(d)に対応するX線回折図であり、底面反射
の存在は細孔配列が不規則的ではないことを示してい
る。また、図4は、図2の(a)〜(d)に対応する窒
素吸着等温線であり、Horvath-Kawazoe法によって求め
た細孔系分布曲線から、(a)は平均有効径1.8nm
を中心にブロードな分布を示し、(b)〜(d)はそれ
ぞれ(b)3.21nm、(c)1.85nm、(d)
3.54nmを中心にシャープな分布をしていることが
分かった。
【0018】図5に本発明の球状多孔質シリカ乃至シリ
カ金属複合体粒子のアンモニア昇温脱離スペクトルを示
す。スペクトルの形状から、含有される金属種によって
固体酸強度並びに固体酸量に差異が認められる。Feの
アンモニア脱離量は極めて少量であるが、Cr、Zn等
はAlと同様固体酸としての機能を有することから、種
々の触媒としての応用が可能である。
【0019】本発明の球状多孔質シリカ乃至シリカ金属
複合体粒子は、卓越的に発達したメソ細孔内へ悪臭物質
を吸着することもできるため、それ自体が消臭剤として
の機能を有する。また、表面に弱い強度ながらも固体酸
性を示すシラノール基を有し、アンモニアやアミンなど
の塩基性悪臭物質を化学吸着する。
【0020】図6に本発明の球状多孔質シリカ乃至シリ
カ金属複合体粒子のトリメチルアミン、アセトアルデヒ
ド、エチルメルカプタン及び硫化水素に対する脱臭試験
結果を示す。本図にはシリカ金属複合体粒子に関して
は、特に顕著な脱臭効果の認められた金属種を含む複合
体粒子についてのみ示し、比較のため球状多孔質シリカ
に関しては全ガス種の脱臭特性を示した。トリメチルア
ミン及びエチルメルカプタンに対する球状多孔質シリカ
粒子を除き、本発明の球状多孔質シリカ乃至シリカ金属
複合体粒子は悪臭成分に対して高い初期吸着能と飽和吸
着量を示すことから脱臭剤としての応用が可能である。
【0021】図7にアセトアルデヒドに対する光触媒能
の試験結果を示す。本図により、波長254nmの紫外
線を照射した結果、実施例1の球状多孔質シリカ粒子は
光触媒能を有しないことが解る。また、実施例6のCr
を含む球状多孔質シリカ金属複合体粒子に顕著な光触媒
能が認められた。本発明の球状多孔質シリカ金属複合体
粒子は、種々のガス成分に対して優れた初期吸着能と光
触媒能を併せ持つことから、悪臭成分ばかりでなくNO
x等の環境汚染分子の除去・分解のための光触媒として
使用できる。
【0022】さらに、水蒸気の吸着等温線を測定した結
果、本発明の球状多孔質シリカ乃至シリカ金属複合体粒
子は細孔径並びに加熱処理温度に応じたある一定範囲の
狭い相対圧で顕著な吸着能が認められる。例えば、球状
多孔質シリカ粒子を800℃で1時間加熱処理した場
合、相対圧0.5付近で急激な水蒸気吸着等温線の立ち
上がりが認められ、0.5〜0.6で430ml(ST
P)/gの吸着量を有することから、調湿剤としての利用
も可能である。
【0023】本発明で使用される水混和性有機溶媒、ア
ルキルアミン及びケイ酸エステル或いはケイ酸エステル
と水混和性有機溶媒に可溶な金属塩を示す。
【0024】本発明で使用するシリカ原料としてのケイ
酸エステルとしては、Si-アルコキシドで、テトラメチ
ルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、
テトライソプロピルオルトシリケート、テトラ-n-ブチ
ルオルトシリケート等を用いることが可能で好ましくは
テトラエチルオルトシリケート(以下TEOSと略す)
を使用する。
【0025】水混和性有機溶媒としては、メタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノール等を用いること
ができ、好ましくはエタノールを使用する。
【0026】アルキルアミンとしては、直鎖アルキルア
ミンが好ましく、カーボン数8〜18のものが使用さ
れ、比較的廉価で常温において溶液状態にあるオクチル
アミンとドデシルアミンが好ましい。
【0027】水混和性有機溶媒に可溶な金属塩として
は、塩化物、硝酸塩、硫酸塩やその水和物等アルコール
に可溶な全ての金属塩を使用することができる。
【0028】また、酸としては、塩酸、硝酸、酢酸等を
使用することができる。
【0029】本発明の球状多孔質シリカ乃至シリカ金属
複合体粒子の合成には、攪拌しながらTEOSにアルコ
ール、次いで1−アルキルアミンを添加し15秒〜5分
間後、酸性水溶液を添加し、充分な混合状態を保持しな
がら、室温で80分以内好ましくは10〜60分程度反
応させる。出発原料の混合モル比は、TEOS:1−ア
ルキルアミン:アルコール:酸:水:金属元素=1:
0.1〜0.8:0.05〜10:0〜0.15:20
〜100:0〜0.1である。
【0030】さらに出発原料の混合モル比を詳細に記述
すると、球状多孔質シリカ粒子の合成には、オクチルア
ミンの場合、好ましくは、TEOS:オクチルアミン:
エタノール:酸:水=1:0.20〜0.45:1.1
0〜2.95:0.030〜0.110:25〜63で
ある。ドデシルアミンの場合、好ましくはTEOS:ド
デシルアミン:エタノール:酸:水=1:0.30〜
0.65:0.10〜2.55:0.002〜0.00
7:25〜63である。
【0031】シリカマトリックス中に他の金属元素を含
む球状多孔質シリカ金属複合体粒子の合成には、予めア
ルコールに溶解した金属塩を攪拌しながらTEOSに添
加後、直ぐにアルキルアミンを加え1分から20分間攪
拌し、さらに攪拌を続けながら酸性水溶液を添加し、充
分な混合状態を保持しながら、室温で80分以内好まし
くは10〜60分程度反応させる。出発原料の混合モル
比は、オクチルアミンの場合、好ましくは、TEOS:
オクチルアミン:エタノール:金属元素:酸:水=1:
0.20〜0.45:1.10〜2.95:0.001
〜0.05:0〜0.035:25〜63である。ドデ
シルアミンの場合、好ましくは、TEOS:ドデシルア
ミン:エタノール:金属元素:酸:水=1:0.30〜
0.65:0.65〜2.55:0.001〜0.02
5:0〜0.004:25〜63である。
【0032】上記いずれの場合も、反応後懸濁液から固
体生成物を分離し、室温〜100℃で充分乾燥させる。最
後に有機成分を除去して球状多孔質シリカ乃至シリカ金
属複合体粒子を作製するために、400℃以上で2時間以
上、好ましくは500℃以上で1時間加熱処理する。
【0033】(用途)本発明の球状多孔質シリカ乃至シ
リカ金属複合体粒子は、触媒或いは触媒担体、脱臭剤、
調湿剤、吸着剤等として使用され、用途に応じて無機吸
着剤、抗菌剤、光反応性半導体、等を組み合わせて使用
できる。必要に応じて、例えば、本発明の球状多孔質シ
リカ乃至シリカ金属複合体粒子を顆粒状、棒状、ペレッ
ト状、ハニカム状に押出しを行うなど公知の方法によ
り、用途に応じた形状に容易に成形することができる。
また、これら様々な形状の素材に塗布、含浸、ねりこみ
等で添加することもできる。素材としては、木材、紙、
プラスチック、繊維や無機系内外装材等がある。また、
一般の塗料に添加して、調湿機能をもつ塗料として幅広
く利用できる。
【0034】悪臭成分の種類により上記本発明に用いる
球状多孔質シリカ乃至シリカ金属複合体粒子は、卓越的
に発達したメソ細孔内へ悪臭物質を吸着することもでき
るため、それ自体が消臭剤としての機能を有する。ま
た、表面に弱い強度ながらも固体酸性を示すシラノール
基を有し、アンモニアやアミンなどの塩基性悪臭物質を
化学吸着する。
【0035】本発明の球状多孔質シリカ乃至シリカ金属
複合体粒子を、消臭剤として用いる場合、消臭力を補助
するため、例えばセピオライト、パリゴルスカイト、活
性炭、ゼオライト、活性炭素繊維、セピオライト混合
紙、シリカゲル、活性白土、アルミナ、バーミキュライ
ト、ケイソウ土などを併用してよい。また、他の消臭
剤、例えば硫化水素、メチルメルカプタン、エチルメル
カプタン等に対して消臭性のある消臭剤と組み合わせ
て、総合的な消臭剤とすることもできる。 組み合わせ
る消臭剤としては合成フィロケイ酸マグネシウム、含ア
ルミニウムフィロケイ酸亜鉛が好ましい。
【0036】また、光反応性半導体としては、酸化チタ
ン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化セリウム、チタ
ン酸ストロンチウム及びニオブ酸カリウム等が挙げられ
る。本発明の球状多孔質シリカ乃至シリカ金属複合体粒
子100重量部に対し光反応性半導体を0.1乃至20
0重量部配合することができる。
【0037】更に、本発明の球状多孔質シリカ乃至シリ
カ金属複合体粒子100重量部に対し抗菌剤を0.1乃
至20重量部配合することにより、抗菌性及び消臭性の
機能をもつ抗菌消臭調湿剤として使用できる。具体的に
は、銀を担持したゼオライト、非晶質アルミノケイ酸
塩、アパタイト、リン酸ジルコニウム、シリカゲル、ケ
イ酸カルシウム及びガラス等の銀系無機抗菌剤又は塩化
ベンザルコニウム―シリカ複合体から成る徐放性抗菌剤
が挙げられる。
【0038】
【実施例】次に、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、本発明はこの実施例によって限定されな
い。尚、実施例で行った各試験方法は次の方法により行
った。
【0039】(測定法) (1)走査型電子顕微鏡:日本電子製JSM5300を
使用し、加速電圧10kV、WD11mmで観察した。
【0040】(2)比表面積・細孔径分布:日本ベル製
BELSORP28を使用し、液体窒素温度で測定した
窒素吸着等温線からBET比表面積を求め、細孔径分布
はHorvath-Kawazoe法により解析した。
【0041】(3)粒径:ベックマン・コールター製Co
ulter MultisizerIIを用い、200ミクロンメーターの
アパーチャー・チューブで測定した。
【0042】(4)真球度:粒子の代表的走査型電子顕
微鏡写真の粒子外周形状(外接円)を観察して求めた。
【0043】(5)X線回折:リガク製ロータフレック
スRU−300を使用し、Cu−Kα線源、加速電圧4
0kV、80mAで測定した。
【0044】(6)アンモニア昇温脱離スペクトル:日
本ベル製TPD装置を用い以下の条件で測定した。 前処理 400℃、1時間真空脱気 アンモニア吸着 100℃、30分 物理吸着分アンモニアの除去 180℃ TPD測定 100〜600℃、昇温速度10℃/min
【0045】(7)脱臭試験:ガステック製ガス検知管
を用いて、サンプル0.1g、測定室容積900mlの
条件で対象ガス初期濃度100ppmに対する濃度変化
を測定した。
【0046】(8)光触媒能試験:低圧水銀灯を用い
て、波長254nmの紫外線を上記脱臭試験装置に照射
し、ガステック製ガス検知管を用いて、アセトアルデヒ
ドガスの濃度変化を測定した。
【0047】(9)水蒸気吸着:日本ベル製BELSO
RP18を使用し、25℃で測定した吸着等温線から水
蒸気量を求めた。
【0048】(10)化学組成分析 シリカ(SiO)分はフッ化水素酸溶融法により測定
し、金属(M)のAl、Zr、Fe、Cr、Zn、Sn
については、アルカリ溶融後、ICP−AES法により
測定した。
【0049】(実施例1)TEOSを600rpmで攪拌
し、エタノールとオクチルアミンを添加後、塩酸水溶液
を加え、そのまま1時間攪拌する。混合溶液のモル比は
TEOS:オクチルアミン:エタノール:HCl:水
= 1:0.34:1.94:0.068:38であ
る。反応後懸濁液から固体生成物を濾別し、50℃で充
分乾燥させた後、600℃で1時間加熱して有機成分を
除去して球状多孔質シリカ粒子を作製する。生成球状多
孔質シリカ粒子の中位径は34.9μmで、比表面積は
955m /gを示す。また、分析結果を表4に示す。
【0050】(実施例2)TEOSを一定速度で攪拌
し、エタノールとドデシルアミンを添加後、塩酸水溶液
を加え、そのまま1時間攪拌する。混合溶液のモル比は
TEOS:ドデシルアミン:エタノール:HCl:水
= 1:0.35:0.87:0.004:38であ
る。反応後懸濁液から固体生成物を濾別し、50℃で充
分乾燥させた後、600℃で1時間加熱して有機成分を
除去して球状多孔質シリカ粒子を作製する。また、反応
物質の混合比を同一として、攪拌速度を変化させると、
粒径の異なる球状多孔質シリカ粒子が得られ、中位径は
攪拌速度によって表1のように顕著に変化する。
【0051】
【表1】 回転数(rpm) 中位径(μm) 比表面積(m/g) 実施例2−1 400 73.9 917 実施例2−2 600 53.5 927 実施例2−3 800 32.1 979 実施例2−4 1000 22.1 984
【0052】(実施例3)TEOSを600rpmで攪拌
し、エタノールに溶解したAlCl・6HOを添加
後、オクチルアミンを加え20分間攪拌した後、水ある
いは塩酸水溶液を加え、さらにそのまま1時間攪拌す
る。混合溶液のモル比はTEOS:オクチルアミン:エ
タノール:Al:HCl:水 = 1:0.34:1.1
9:0.023:0〜0.07:38である。反応後懸
濁液から固体生成物を濾別し、50℃で充分乾燥させた
後、600℃で1時間加熱して有機成分を除去して球状
多孔質シリカ金属複合体粒子を作製する。また、本反応
系では、塩酸水溶液の混合モル比を変化させても球状多
孔質シリカ金属複合体粒子が得られ、表2に中位径と比
表面積等を示す。
【0053】
【表2】 塩酸の混合 中位径(μm) 比表面積(m/g) モル比 実施例3−1 0(純水) 38.7 1013 実施例3−2 0.0007 − 960 実施例3−3 0.007 − 954 実施例3−4 0.035 33.3 948 実施例3−5 0.07 − 877
【0054】(実施例4)TEOSを600rpmで攪拌
し、エタノールに溶解したAlCl・6HOを添加
後、ドデシルアミンを加え3分間攪拌した後、水を加
え、さらにそのまま1時間攪拌する。混合溶液のモル比
はTEOS:ドデシルアミン:エタノール:Al:水
= 1:0.34:1.16〜1.36:0.004:
38である。反応後懸濁液から固体生成物を濾別し、5
0℃で充分乾燥させた後、600℃で1時間加熱して有
機成分を除去して球状多孔質シリカ金属複合体粒子を作
製する。表3に示すように、生成球状多孔質シリカ金属
複合体粒子の中位径はエタノールの僅かな混合比の差異
により顕著に変化することが分かる。また、分析結果を
表4に示す。
【0055】
【表3】 エタノールの 中位径(μm) 比表面積(m/g) モル混合比 実施例4−1 1.16 16.6 869 実施例4−2 1.36 19.1 902
【0056】(実施例5)TEOSを600rpmで攪拌
し、エタノールに溶解したZrOCl・8HOを添
加後、オクチルアミンを加え10分間攪拌した後、塩酸
水溶液を加え、さらにそのまま1時間攪拌する。混合溶
液のモル比はTEOS:オクチルアミン:エタノール:
Zr:HCl:水 = 1:0.35:1.18:0.0
17:0.034:38である。反応後懸濁液から固体
生成物を濾別し、50℃で充分乾燥させた後、600℃
で1時間加熱して有機成分を除去して球状多孔質シリカ
金属複合体粒子を作製する。生成球状多孔質シリカ金属
複合体粒子の中位径は63.4μmで、比表面積は82
2m/gである。また、分析結果を表4に示す。
【0057】(実施例6)TEOSを600rpmで攪拌
し、エタノールに溶解したCrCl・6HOを添加
後、オクチルアミンを加え10分間攪拌した後、塩酸水
溶液を加え、さらにそのまま1時間攪拌する。混合溶液
のモル比はTEOS:オクチルアミン:エタノール:C
r:HCl:水 = 1:0.34:1.18:0.0
1:0.034:38である。反応後懸濁液から固体生
成物を濾別し、50℃で充分乾燥させた後、600℃で
1時間加熱して有機成分を除去して球状多孔質シリカ金
属複合体粒子を作製する。生成球状多孔質シリカ金属複
合体粒子の中位径は39.0μmで、比表面積は774
/gである。また、分析結果を表4に示す。
【0058】(実施例7)TEOSを600rpmで攪拌
し、エタノールに溶解したFeCl・6HOを添加
後、オクチルアミンを加え10分間攪拌した後、塩酸水
溶液を加え、さらにそのまま1時間攪拌する。混合溶液
のモル比はTEOS:オクチルアミン:エタノール:F
e:HCl:水 = 1:0.34:1.17:0.0
1:0.068:38である。反応後懸濁液から固体生
成物を濾別し、50℃で充分乾燥させた後、600℃で
1時間加熱して有機成分を除去して球状多孔質シリカ金
属複合体粒子を作製する。また、分析結果を表4に示
す。
【0059】(実施例8)TEOSを600rpmで攪拌
し、エタノールに溶解したZnClを添加後、オクチ
ルアミンを加え10分間攪拌した後、塩酸水溶液を加
え、さらにそのまま1時間攪拌する。混合溶液のモル比
はTEOS:オクチルアミン:エタノール:Zn:HC
l:水 = 1:0.35:1.18:0.02:0.0
69:38である。反応後懸濁液から固体生成物を濾別
し、50℃で充分乾燥させた後、600℃で1時間加熱
して有機成分を除去して球状多孔質シリカ金属複合体粒
子を作製する。また、分析結果を表4に示す。
【0060】(実施例9)TEOSを600rpmで攪拌
し、エタノールに溶解したSnCl・5HOを添加
後、オクチルアミンを加え10分間攪拌した後、塩酸水
溶液を加え、さらにそのまま1時間攪拌する。混合溶液
のモル比はTEOS:オクチルアミン:エタノール:S
n:HCl:水 = 1:0.35:1.18:0.0
1:0.034:38である。反応後懸濁液から固体生
成物を濾別し、50℃で充分乾燥させた後、600℃で
1時間加熱して有機成分を除去して球状多孔質シリカ金
属複合体粒子を作製する。カ金属複合体粒子が得られ、
表2に中位径と比表面積等を示す。
【0061】
【表4】
【0062】(比較例1)本製造法の特徴は溶媒にエタ
ノールを添加することであり、その添加効果を示すた
め、エタノール無添加で実施例1と同様な合成を行っ
た。エタノールの添加の有無により比表面積やX線回折
図にほとんど差異は認められないが、図8のSEM写真
から明らかなように、エタノールの添加によって、不規
則形状の粒子の生成が抑制されることが分かる。
【0063】
【発明の効果】本発明は、細孔構造の制御剤としてアル
キルアミンを使用し、TEOSとアルコールとの混合溶
液に、水あるいは酸性水溶液を添加した極めて単純な反
応系において、反応物質の混合割合、酸性度、またアル
キル鎖のカーボン数を変化させることにより、常温、常
圧下で球状多孔体の前駆体となる界面活性剤を含んだ有
機無機ナノ複合体を短時間で作製し、最終的に有機物を
取除くことによる、直径数ミクロン〜数百ミクロンにわ
たるミクロンオーダーの球状多孔質シリカ粒子の製造方
法を提供する。さらに、TEOSと、アルコールに溶解
した金属塩を混合後、その均質溶液にアルキルアミン、
次いで水あるいは酸性水溶液を添加することにより、S
iの一部を他の金属で置換したり、また骨格外に金属酸
化物等を含むミクロンオーダーの球状多孔質シリカ金属
複合体粒子の製造方法を提供する。しかも、球状という
マクロ形態の秩序性と、同時に15〜40オングストロ
ームの細孔が規則性をもって配列しており、2つの異な
るスケールで規則性を有する高比表面積球状多孔質シリ
カ乃至シリカ金属複合体粒子の製造法を提供するもので
ある。さらに高比表面積、細孔径の均一性を有すること
から、形状選択能を発揮して効率的に種々の有用あるい
は有害な分子、イオンをトラップできることから、工業
および環境保全の両面で有用な分子篩い、触媒担体、触
媒さらにはセンサー等の機能性セラミックス素材の製造
法として活用できる。特に、ミクロンオーダーの球状粒
子の特性を活かし、固定床ばかりでなく、流動床反応用
の化学プロセス用触媒・触媒担体やクロマト分離用カラ
ム充填剤の製造法として価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の球状多孔質シリカ乃至シリカ金属複合
体粒子の製造法を示す模式図である。
【図2】実施例1(a)、実施例2-2(b)の球状多
孔質シリカ粒子、および実施例3-4(c)、実施例4-
1(d)のAlを含む球状多孔質シリカ金属複合体粒子
の走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例1、実施例2-2の球状多孔質シリカ粒
子、および実施例3-4、実施例4-1のAlを含む球状
多孔質シリカ金属複合体粒子のX線回折パターン図であ
る。
【図4】実施例1、実施例2-2の球状多孔質シリカ粒
子、および実施例3-4、実施例4-1のAlを含む球状
多孔質シリカ金属複合体粒子の窒素吸着等温線である。
白抜きは吸着、塗りつぶしは脱着等温線である。
【図5】Alを含む球状多孔質シリカ金属複合体粒子
(実施例3−4(□);実施例4−1(◆))、Crを
含む球状多孔質シリカ金属複合体粒子(実施例6
(○))、Feを含む球状多孔質シリカ金属複合体粒子
(実施例7(△))、およびZnを含む球状多孔質シリ
カ金属複合体粒子(実施例8(●))のアンモニア昇温
脱離スペクトルである。
【図6】実施例1(■、▲、●、◆)の球状多孔質シリ
カ粒子、および実施例6のCrを含む球状多孔質シリカ
金属複合体粒子(△、◇)、実施例8のZnを含む球状
多孔質シリカ金属複合体粒子(○)、実施例9のSnを
含む球状多孔質シリカ金属複合体粒子(□)の脱臭試験
結果である。
【図7】実施例1(□)の球状多孔質シリカ粒子、およ
び実施例6(○)のCrを含む球状多孔質シリカ金属複
合体粒子の光触媒能試験結果である。
【図8】比較例1の球状多孔質シリカ粒子の走査型電子
顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 20/10 B01J 20/10 C 4G072 20/30 20/30 4G073 21/08 21/08 M C01B 37/02 C01B 37/02 39/02 39/02 (72)発明者 小菅 勝典 茨城県つくば市小野川16番3 工業技術院 資源環境技術総合研究所内 (72)発明者 村上 達朗 東京都中央区日本橋室町4丁目1番21号 水澤化学工業株式会社内 Fターム(参考) 4C080 AA05 AA06 BB02 CC04 CC05 CC09 HH05 JJ04 KK08 NN06 QQ03 4D012 BA01 CA01 CA09 CA20 CG01 CG02 CG05 4D052 AA08 CE00 GA04 GB12 GB13 GB14 GB16 GB17 HA00 HA36 HB02 4G066 AA18B AA20B AA21B AA22B AA25B AA27B AA32A AA37A AA39A AB13D AB18A AE19B BA09 BA20 BA24 BA26 BA31 CA02 CA43 DA03 FA03 FA11 FA21 FA22 FA33 FA37 4G069 AA01 AA08 AA09 AA11 AA14 BA02A BA02B BA21A BA21C BC16B BC22B BC31B BC35B BC50B BC51B BC54B BC58B BC62B BC66B BC67B BC68B BE01A BE01C BE06A BE06C BE14A BE14C CA17 DA05 EA04X EA04Y EB18X EB18Y EC04Y EC13X EC14X EC25 FA01 FB05 FB08 4G072 AA25 AA38 BB07 BB15 GG03 HH28 JJ30 JJ38 JJ42 LL11 MM02 MM03 TT01 TT09 UU11 UU15 UU17 4G073 BA20 BA21 BA24 BA28 BA32 BA36 BA40 BA44 BA48 BA52 BA57 BA63 BA75 BB24 BB58 BC02 BD11 BD23 CD01 FB01 FD01 FD05 GA01 GA03 GA11 GA38 UA02 UA06

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水混和性有機溶媒、アルキルアミン及び
    ケイ酸エステル或いはケイ酸エステルと水混和性有機溶
    媒に可溶な金属塩との組み合わせを含む混合液に、攪拌
    下に水或いは酸性水溶液を添加し、生成するシリカ‐ア
    ルキルアミン複合生成物を球状粒子に成長させ、球状粒
    子中のアルキルアミンを除去することを特徴とする球状
    多孔質シリカ乃至シリカ金属複合体粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 球状多孔質シリカ乃至シリカ金属複合体
    粒子が下記式 SiO・nMOm/2 式中、Mは多価金属を表し、mは多価金属の価数であ
    り、 nはゼロを含む0.1以下の数である、で表される化学
    的組成を有することを特徴とする請求項1に記載の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 球状多孔質シリカ乃至シリカ金属複合体
    粒子が0.1乃至500μmの粒子径を有することを特
    徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 ケイ酸エステルとアルキルアミンとを
    1:0.1乃至1:0.8のモル比で用いることを特徴
    とする請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 水混和性有機溶媒をケイ酸エステル1モ
    ル当たり0.05乃至10モルの量で用いることを特徴
    とする請求項1乃至4の何れかに記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 水をケイ酸エステル1モル当たり20乃
    至100モルの量で添加することを特徴とする請求項1
    乃至5の何れかに記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 酸をケイ酸エステル1モル当たり0.1
    5モル以下の量で用いることを特徴とする請求項1乃至
    6の何れかに記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 水混和性有機溶媒が1価乃至多価のアル
    コールであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか
    に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 ケイ酸エステルが炭素数が1乃至4のア
    ルコールのケイ酸エステルであることを特徴とする請求
    項1乃至8の何れかに記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 下記式 SiO・nMOm/2 式中、Mは多価金属を表し、mは多価金属の価数であ
    り、 nはゼロを含む0.1以下の数である、で表される化学
    的組成を有する球状多孔質シリカ乃至シリカ金属複合体
    粒子であって、粒径が0.1乃至500μmの範囲にあ
    り、外接円法で求めた真球度が実質上1であり、回折角
    1乃至5度(Cu−Kα)にX線回折ピークを有し且つ
    細孔径15乃至40オングストロームに細孔容積の極大
    値を有することを特徴とする球状多孔質シリカ乃至シリ
    カ金属複合体粒子。
  11. 【請求項11】 前記球状粒子が走査型電子顕微鏡写真
    で見て実質上単分散粒子からなることを特徴とする請求
    項10に記載の球状多孔質シリカ乃至シリカ金属複合体
    粒子。
  12. 【請求項12】 請求項10又は11に記載の球状多孔
    質シリカ乃至シリカ金属複合体粒子からなることを特徴
    とする触媒或いは触媒担体。
  13. 【請求項13】 請求項10又は11に記載の球状多孔
    質シリカ乃至シリカ金属複合体粒子からなることを特徴
    とする脱臭剤。
  14. 【請求項14】 請求項10又は11に記載の球状多孔
    質シリカ乃至シリカ金属複合体粒子からなることを特徴
    とする調湿剤。
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