JP2002146679A - 炭素繊維束、樹脂組成物、成形材料およびそれを用いた成形品 - Google Patents
炭素繊維束、樹脂組成物、成形材料およびそれを用いた成形品Info
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- JP2002146679A JP2002146679A JP2000338773A JP2000338773A JP2002146679A JP 2002146679 A JP2002146679 A JP 2002146679A JP 2000338773 A JP2000338773 A JP 2000338773A JP 2000338773 A JP2000338773 A JP 2000338773A JP 2002146679 A JP2002146679 A JP 2002146679A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明は、優れた導電性(低い体積固有抵抗
値、低い表面抵抗値、高い電界シールド性)と力学的特
性とを兼ね備えた炭素繊維束、樹脂組成物、成形材料お
よびそれを用いた成形品を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明の炭素繊維束は、還元粘度ηsp/
Cが0.3〜2の範囲である飽和ポリエステル系サイジ
ング剤が付着していることを特徴とする。また、本発明
の樹脂組成物は、少なくともかかる炭素繊維束と熱可塑
性樹脂とからなり、本発明の成形材料、成形品は、かか
る樹脂組成物を用いて加工、成形されることを特徴とす
る。
値、低い表面抵抗値、高い電界シールド性)と力学的特
性とを兼ね備えた炭素繊維束、樹脂組成物、成形材料お
よびそれを用いた成形品を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明の炭素繊維束は、還元粘度ηsp/
Cが0.3〜2の範囲である飽和ポリエステル系サイジ
ング剤が付着していることを特徴とする。また、本発明
の樹脂組成物は、少なくともかかる炭素繊維束と熱可塑
性樹脂とからなり、本発明の成形材料、成形品は、かか
る樹脂組成物を用いて加工、成形されることを特徴とす
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた導電性、す
なわち低い体積固有抵抗値、低い表面抵抗値、高い電界
シールド性などに優れる上に、力学的特性、成形時の流
動性および成形の容易さなどの成形性にも優れた炭素繊
維束、樹脂組成物、成形材料およびそれを用いた成形品
に関するものである。
なわち低い体積固有抵抗値、低い表面抵抗値、高い電界
シールド性などに優れる上に、力学的特性、成形時の流
動性および成形の容易さなどの成形性にも優れた炭素繊
維束、樹脂組成物、成形材料およびそれを用いた成形品
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、樹脂に導電性材料(例えば炭
素繊維など)を配合することによって、所望の導電性を
有する樹脂組成物の提案が行われている。これに対して
近年、更に高い導電性を得るために、導電性材料の配合
量の増量、複数の導電性材料の併用、導電性材料の表面
処理などの各種試みが行われてきた。
素繊維など)を配合することによって、所望の導電性を
有する樹脂組成物の提案が行われている。これに対して
近年、更に高い導電性を得るために、導電性材料の配合
量の増量、複数の導電性材料の併用、導電性材料の表面
処理などの各種試みが行われてきた。
【0003】前述の導電性材料の増量による高導電化に
おいては、組成物の高粘度化、衝撃強度などの力学的特
性の大幅な低下、更には得られた成形品の外観品位の低
下といった問題点が生じる場合がほとんどであった。
おいては、組成物の高粘度化、衝撃強度などの力学的特
性の大幅な低下、更には得られた成形品の外観品位の低
下といった問題点が生じる場合がほとんどであった。
【0004】また、前述の複数の導電性材料の併用によ
る高導電化としては、導電性繊維とカーボンブラックと
を併用する技術が例として挙げられ、例えば特開昭59
−217395号公報、特公平3−44583号公報、
特開平6−240049号公報、特公平8−19256
号公報、特開平9−87417号公報などで提案されて
いる。しかし、これらの提案のいずれも、力学的特性の
低下、成形性(例えば成形時の流動性)の低下などの問
題が生じるため、高い導電性と成形性とを同時に満足さ
せるものではなかった。
る高導電化としては、導電性繊維とカーボンブラックと
を併用する技術が例として挙げられ、例えば特開昭59
−217395号公報、特公平3−44583号公報、
特開平6−240049号公報、特公平8−19256
号公報、特開平9−87417号公報などで提案されて
いる。しかし、これらの提案のいずれも、力学的特性の
低下、成形性(例えば成形時の流動性)の低下などの問
題が生じるため、高い導電性と成形性とを同時に満足さ
せるものではなかった。
【0005】更に、前述の導電性材料の表面処理による
高導電化としては、各種繊維の表面に無電解メッキなど
により金属を被覆する技術が例として挙げられ、例えば
特開平1−271439号公報、特開平11−1171
79号公報などには、金属被覆した炭素繊維を使用する
旨の記載がある。しかし、この提案によっても、やはり
金属をマトリックス樹脂との接着強度が十分ではないた
め、力学的特性に問題が存在するだけでなく、強化繊維
と金属との接着強度も十分でないため、各種繊維と金属
とが剥離して、期待する導電性が得られないといった問
題があった。
高導電化としては、各種繊維の表面に無電解メッキなど
により金属を被覆する技術が例として挙げられ、例えば
特開平1−271439号公報、特開平11−1171
79号公報などには、金属被覆した炭素繊維を使用する
旨の記載がある。しかし、この提案によっても、やはり
金属をマトリックス樹脂との接着強度が十分ではないた
め、力学的特性に問題が存在するだけでなく、強化繊維
と金属との接着強度も十分でないため、各種繊維と金属
とが剥離して、期待する導電性が得られないといった問
題があった。
【0006】その他に、炭素繊維の表面に特定のサイジ
ング剤を付着させる技術も例として挙げられ、例えば特
開平3−26726号公報、特開平5−106164号
公報などには、サイジング剤への導電性材料の配合や、
サイジング剤そのものの導電性を良好にすることによ
り、サイジング剤自体をマトリックス樹脂より高導電化
することによる組成物を高導電化する旨の記載がある。
しかし、サイジング剤自体をある程度高導電化しても、
元々絶縁体である樹脂よりも大幅に導電性に優れる導電
性材料を用いた成形品の場合にはその改善程度はごく微
少であり、導電性に関しては満足できるものではなかっ
た。
ング剤を付着させる技術も例として挙げられ、例えば特
開平3−26726号公報、特開平5−106164号
公報などには、サイジング剤への導電性材料の配合や、
サイジング剤そのものの導電性を良好にすることによ
り、サイジング剤自体をマトリックス樹脂より高導電化
することによる組成物を高導電化する旨の記載がある。
しかし、サイジング剤自体をある程度高導電化しても、
元々絶縁体である樹脂よりも大幅に導電性に優れる導電
性材料を用いた成形品の場合にはその改善程度はごく微
少であり、導電性に関しては満足できるものではなかっ
た。
【0007】つまり、以上の提案によると、電磁波シー
ルド性を発現するレベルの高導電性を発現し、かつ高い
力学的特性をも同時に達成でき、更に成形時の流動性や
成形の容易さなどの成形性を満足できる成形品や成形材
料、およびその成形品を得るための炭素繊維束、それを
用いた樹脂組成物、成形材料を得ることができないでい
た。
ルド性を発現するレベルの高導電性を発現し、かつ高い
力学的特性をも同時に達成でき、更に成形時の流動性や
成形の容易さなどの成形性を満足できる成形品や成形材
料、およびその成形品を得るための炭素繊維束、それを
用いた樹脂組成物、成形材料を得ることができないでい
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、優れた導電性、すなわち低い体積固
有抵抗値、低い表面抵抗値、高い電界シールド性などに
優れる上に、力学的特性、成形時の流動性および成形の
容易さなどの成形性にも優れた優れた炭素繊維束、樹脂
組成物、成形材料およびそれを用いた成形品を提供せん
とするものである。
技術の背景に鑑み、優れた導電性、すなわち低い体積固
有抵抗値、低い表面抵抗値、高い電界シールド性などに
優れる上に、力学的特性、成形時の流動性および成形の
容易さなどの成形性にも優れた優れた炭素繊維束、樹脂
組成物、成形材料およびそれを用いた成形品を提供せん
とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、つぎのような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の炭素繊維束は、下記還元粘度η
sp/Cが0.3〜2の範囲である飽和ポリエステル系
サイジング剤が付着していることを特徴とする。
解決するために、つぎのような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の炭素繊維束は、下記還元粘度η
sp/Cが0.3〜2の範囲である飽和ポリエステル系
サイジング剤が付着していることを特徴とする。
【0010】還元粘度ηsp/C:絶乾状態の飽和ポリ
エステル系サイジング剤を、フェノール/テトラクロロ
エタン=6:4の混合溶媒にて溶液濃度C=0.4g/
100mlになるように溶かした試料溶液について、3
0℃の恒温槽内でウベローデ型粘度計で2つの標線間を
流れる秒数を測定し、フェノール/テトラクロロエタン
6:4の混合溶媒に対する前記試料溶液の秒数比で表さ
れる相対粘度ηrelから1を減じた比粘度ηspを溶
液粘度C(=0.4)で除した値。
エステル系サイジング剤を、フェノール/テトラクロロ
エタン=6:4の混合溶媒にて溶液濃度C=0.4g/
100mlになるように溶かした試料溶液について、3
0℃の恒温槽内でウベローデ型粘度計で2つの標線間を
流れる秒数を測定し、フェノール/テトラクロロエタン
6:4の混合溶媒に対する前記試料溶液の秒数比で表さ
れる相対粘度ηrelから1を減じた比粘度ηspを溶
液粘度C(=0.4)で除した値。
【0011】また、本発明の樹脂組成物は、少なくとも
かかる炭素繊維束または前記炭素繊維束を切断したチョ
ップド炭素繊維と熱可塑性樹脂とからなり、本発明の成
形材料、成形品は、かかる樹脂組成物を用いて加工、成
形されることを特徴とするものである。
かかる炭素繊維束または前記炭素繊維束を切断したチョ
ップド炭素繊維と熱可塑性樹脂とからなり、本発明の成
形材料、成形品は、かかる樹脂組成物を用いて加工、成
形されることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、すなわち、
優れた導電性(低い体積固有抵抗値、低い表面抵抗値、
高い電界シールド性)、力学的特性、成形性(成形時の
流動性、成形の容易さなど)を兼ね備えた炭素繊維束、
樹脂組成物、成形材料およびそれを用いた成形品につい
て鋭意検討し、特定条件を満たすサイジング剤を付着さ
せた炭素繊維束、樹脂組成物、成形材料およびそれを用
いた成形品をつくってみたところ、かかる課題を一挙に
解決することを究明したものである。以下、本発明につ
いて順に説明する。
優れた導電性(低い体積固有抵抗値、低い表面抵抗値、
高い電界シールド性)、力学的特性、成形性(成形時の
流動性、成形の容易さなど)を兼ね備えた炭素繊維束、
樹脂組成物、成形材料およびそれを用いた成形品につい
て鋭意検討し、特定条件を満たすサイジング剤を付着さ
せた炭素繊維束、樹脂組成物、成形材料およびそれを用
いた成形品をつくってみたところ、かかる課題を一挙に
解決することを究明したものである。以下、本発明につ
いて順に説明する。
【0013】一般的にサイジング剤とは、付着させる繊
維束の集束、成形品にする際に併用するマトリックス樹
脂との親和性の制御などの所望の機能を繊維束に付与す
るものを指す。本発明においては、本発明の課題を解決
することを目的として炭素繊維の表面に付着させるもの
を総じてサイジング剤と称し、特に本発明の飽和ポリエ
ステル系サイジング剤は、下記還元粘度ηsp/Cが
0.3〜2の範囲である。
維束の集束、成形品にする際に併用するマトリックス樹
脂との親和性の制御などの所望の機能を繊維束に付与す
るものを指す。本発明においては、本発明の課題を解決
することを目的として炭素繊維の表面に付着させるもの
を総じてサイジング剤と称し、特に本発明の飽和ポリエ
ステル系サイジング剤は、下記還元粘度ηsp/Cが
0.3〜2の範囲である。
【0014】ここで、還元粘度ηsp/Cとは、絶乾状
態の飽和ポリエステル系サイジング剤を、フェノール/
テトラクロロエタン=6:4の混合溶媒にて溶液濃度C
=0.4g/100mlになるように溶かした試料溶液
について、30℃の恒温槽内でウベローデ型粘度計で2
つの標線間を流れる秒数を測定し、フェノール/テトラ
クロロエタン6:4の混合溶媒に対する前記試料溶液の
秒数比で表される相対粘度ηrelから1を減じた比粘
度ηspを溶液粘度C(=0.4)で除した値を指す。
態の飽和ポリエステル系サイジング剤を、フェノール/
テトラクロロエタン=6:4の混合溶媒にて溶液濃度C
=0.4g/100mlになるように溶かした試料溶液
について、30℃の恒温槽内でウベローデ型粘度計で2
つの標線間を流れる秒数を測定し、フェノール/テトラ
クロロエタン6:4の混合溶媒に対する前記試料溶液の
秒数比で表される相対粘度ηrelから1を減じた比粘
度ηspを溶液粘度C(=0.4)で除した値を指す。
【0015】サイジング剤として、前述の範囲の飽和ポ
リエステル系樹脂を用いた場合に本発明の課題を解決で
きる理由の詳細は定かではないが、現在の処は下述の様
に推察される。つまり、成形品中において絶縁体である
サイジング剤が炭素繊維の表面に付着し、成形品となっ
ても絶縁被膜を形成し続けた状態である場合には導電性
に劣るが、本発明の特定粘度範囲の飽和ポリエステル系
サイジング剤の場合には、成形中に炭素繊維の表面から
マトリックス樹脂である熱可塑性樹脂中に分散し、炭素
繊維の表面に残存しないことにより、炭素繊維同士の接
触を阻害せずに直接接触させ、導電性に優れると推察さ
れる。
リエステル系樹脂を用いた場合に本発明の課題を解決で
きる理由の詳細は定かではないが、現在の処は下述の様
に推察される。つまり、成形品中において絶縁体である
サイジング剤が炭素繊維の表面に付着し、成形品となっ
ても絶縁被膜を形成し続けた状態である場合には導電性
に劣るが、本発明の特定粘度範囲の飽和ポリエステル系
サイジング剤の場合には、成形中に炭素繊維の表面から
マトリックス樹脂である熱可塑性樹脂中に分散し、炭素
繊維の表面に残存しないことにより、炭素繊維同士の接
触を阻害せずに直接接触させ、導電性に優れると推察さ
れる。
【0016】ここで、サイジング剤が存在しない場合が
最も導電性に優れるようにも考えられるが、実際にはそ
うではなく、サイジング剤としてマトリックス樹脂であ
る熱可塑性樹脂と同一のものを用いた場合は、本発明の
課題である導電性に優れた成形品を得ることができな
い。これは、前記熱可塑性樹脂をサイジング剤とした場
合は、その溶融温度(溶融粘度)の高さにより炭素繊維
の均一な分散性に劣ることによると考えられる。一方、
本発明の特定粘度範囲の飽和ポリエステル系サイジング
剤を用いた場合には、マトリックス樹脂である熱可塑性
樹脂よりも適度に低い溶融温度(溶融粘度)を有するこ
とにより、炭素繊維の均一な分散に寄与していると推察
される。
最も導電性に優れるようにも考えられるが、実際にはそ
うではなく、サイジング剤としてマトリックス樹脂であ
る熱可塑性樹脂と同一のものを用いた場合は、本発明の
課題である導電性に優れた成形品を得ることができな
い。これは、前記熱可塑性樹脂をサイジング剤とした場
合は、その溶融温度(溶融粘度)の高さにより炭素繊維
の均一な分散性に劣ることによると考えられる。一方、
本発明の特定粘度範囲の飽和ポリエステル系サイジング
剤を用いた場合には、マトリックス樹脂である熱可塑性
樹脂よりも適度に低い溶融温度(溶融粘度)を有するこ
とにより、炭素繊維の均一な分散に寄与していると推察
される。
【0017】このように、本発明は、還元粘度が特定範
囲の飽和ポリエステル系樹脂をサイジング剤として炭素
繊維の表面に付着させることにより本発明の課題を解決
できることを見出したものであり、従来のようにサイジ
ング剤自体の導電性を向上させることを利用したの提案
などとは技術的発想が根本的に異なる。
囲の飽和ポリエステル系樹脂をサイジング剤として炭素
繊維の表面に付着させることにより本発明の課題を解決
できることを見出したものであり、従来のようにサイジ
ング剤自体の導電性を向上させることを利用したの提案
などとは技術的発想が根本的に異なる。
【0018】つまり、本発明のサイジング剤は、前述の
ように適度の流動性を有することにより炭素繊維の均一
な分散が達成でき、且つ成形温度においても著しい分解
が発生せずに、変性したサイジング剤が炭素繊維の表面
に絶縁被膜を形成しにくいものを意図したものであり、
還元粘度ηsp/Cが0.3〜2の範囲である飽和ポリ
エステル系樹脂によりそれらは達成される。還元粘度η
sp/Cが2を超える場合は流動性に劣り、炭素繊維の
均一な分散が達成しにくく、特に炭素繊維の繊維長さが
長い場合は、炭素繊維の未分散が発生しやすくなる。ま
た、還元粘度ηsp/Cが0.3未満の場合は流動性に
は優れるものの、成形温度において著しい分解が発生し
やすく、変性したサイジング剤が炭素繊維の表面に絶縁
被膜を形成しやすくなるため好ましくない。より好まし
くはηsp/Cが0.4〜1.2、更に好ましくは0.
45〜0.9の範囲であるポリエステル樹脂である。と
りわけ、ηsp/C0.5〜0.7の範囲であるポリエ
ステル樹脂が好ましい。
ように適度の流動性を有することにより炭素繊維の均一
な分散が達成でき、且つ成形温度においても著しい分解
が発生せずに、変性したサイジング剤が炭素繊維の表面
に絶縁被膜を形成しにくいものを意図したものであり、
還元粘度ηsp/Cが0.3〜2の範囲である飽和ポリ
エステル系樹脂によりそれらは達成される。還元粘度η
sp/Cが2を超える場合は流動性に劣り、炭素繊維の
均一な分散が達成しにくく、特に炭素繊維の繊維長さが
長い場合は、炭素繊維の未分散が発生しやすくなる。ま
た、還元粘度ηsp/Cが0.3未満の場合は流動性に
は優れるものの、成形温度において著しい分解が発生し
やすく、変性したサイジング剤が炭素繊維の表面に絶縁
被膜を形成しやすくなるため好ましくない。より好まし
くはηsp/Cが0.4〜1.2、更に好ましくは0.
45〜0.9の範囲であるポリエステル樹脂である。と
りわけ、ηsp/C0.5〜0.7の範囲であるポリエ
ステル樹脂が好ましい。
【0019】前述の飽和ポリエステル系サイジング剤の
還元粘度ηsp/Cは、炭素繊維に付着させる前のサイ
ジング剤から測定してもよいし、炭素繊維にサイジング
剤を付着させた後に抽出したサイジング剤から測定して
もよい。
還元粘度ηsp/Cは、炭素繊維に付着させる前のサイ
ジング剤から測定してもよいし、炭素繊維にサイジング
剤を付着させた後に抽出したサイジング剤から測定して
もよい。
【0020】炭素繊維束から飽和ポリエステル系サイジ
ング剤を抽出して測定する場合には、炭素繊維が不溶で
且つ飽和ポリエステル系サイジング剤が可溶な溶媒、例
えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、n−プロピルアルコール、イソブタノール、n−ブ
タノール、イソアミルアルコールなどのアルコール類
や、ヘキサフルオロイソプロパノール、ジメチルホルム
アルデヒド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセト
ニトリル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、ア
セトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、プロピレン
グリコールモノメチルエーテルアセテート、イソホロ
ン、n−ブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブフェ
ノール、テトラクロロエタン、o−クロロフェノール、
フェノール、ジクロロエタン、ジクロロ酢酸、トリフル
オロ酢酸、水などにサイジング剤が付着した炭素繊維束
を浸漬する(溶けにくい場合には更に加熱や振動付与す
る)ことにより飽和ポリエステル系サイジング剤を抽出
し、サイジング剤の溶解した溶液を脱溶媒または脱水し
て前述の還元粘度の評価に供する。抽出したサイジング
剤の溶解溶液に炭素繊維などの不純物が混入した場合に
は、脱溶媒または脱水する前に、フィルター(例えばP
TFEフィルター)などで不純物を濾過したものを脱溶
媒または脱水する。
ング剤を抽出して測定する場合には、炭素繊維が不溶で
且つ飽和ポリエステル系サイジング剤が可溶な溶媒、例
えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、n−プロピルアルコール、イソブタノール、n−ブ
タノール、イソアミルアルコールなどのアルコール類
や、ヘキサフルオロイソプロパノール、ジメチルホルム
アルデヒド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセト
ニトリル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、ア
セトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、プロピレン
グリコールモノメチルエーテルアセテート、イソホロ
ン、n−ブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブフェ
ノール、テトラクロロエタン、o−クロロフェノール、
フェノール、ジクロロエタン、ジクロロ酢酸、トリフル
オロ酢酸、水などにサイジング剤が付着した炭素繊維束
を浸漬する(溶けにくい場合には更に加熱や振動付与す
る)ことにより飽和ポリエステル系サイジング剤を抽出
し、サイジング剤の溶解した溶液を脱溶媒または脱水し
て前述の還元粘度の評価に供する。抽出したサイジング
剤の溶解溶液に炭素繊維などの不純物が混入した場合に
は、脱溶媒または脱水する前に、フィルター(例えばP
TFEフィルター)などで不純物を濾過したものを脱溶
媒または脱水する。
【0021】ここで、サイジング剤としての本発明の飽
和ポリエステル系樹脂は、例えば実質的に多塩基酸と多
価アルコールとの重縮合物、環状ラクトンの開環重合
物、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物、二塩基酸とグリ
コールとの重縮合物、これらの共重合体や混合物などが
挙げられる。多塩基酸成分としては、コハク酸、アジピ
ン酸、アゼラン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン
酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタ
ンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−
ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカ
ルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,
p’−ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット
酸、およびそれらの誘導体などが挙げられる。多価アル
コール成分としては、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタ
ンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、テトラエチレング
リコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリ
コール、トリプロピレングリコール、1,4−シクロヘ
キサンジオール、ビスフェノールA、ハイドロキノン、
グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプ
ロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、それら
の誘導体などが挙げられる。ヒドロキシカルボン酸成分
としては、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロ
キシエトキシ)安息香酸、およびそれらの誘導体などが
挙げられる。
和ポリエステル系樹脂は、例えば実質的に多塩基酸と多
価アルコールとの重縮合物、環状ラクトンの開環重合
物、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物、二塩基酸とグリ
コールとの重縮合物、これらの共重合体や混合物などが
挙げられる。多塩基酸成分としては、コハク酸、アジピ
ン酸、アゼラン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン
酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタ
ンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−
ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカ
ルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,
p’−ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット
酸、およびそれらの誘導体などが挙げられる。多価アル
コール成分としては、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタ
ンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、テトラエチレング
リコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリ
コール、トリプロピレングリコール、1,4−シクロヘ
キサンジオール、ビスフェノールA、ハイドロキノン、
グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプ
ロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、それら
の誘導体などが挙げられる。ヒドロキシカルボン酸成分
としては、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロ
キシエトキシ)安息香酸、およびそれらの誘導体などが
挙げられる。
【0022】その中でも、サイジング剤としての本発明
の飽和ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸とグリコー
ルとの重縮合物であるのが好ましく、ジカルボン酸成分
として、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカ
ルボン酸およびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも
1種を含むジカルボン酸と、グリコール成分として、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジ
オール、1,4−ブタンジオールおよびそれらの誘導体
から選ばれる少なくとも1種を含むグリコールとの重縮
合物が好ましい。とりわけ、テレフタル酸、イソフタル
酸などの芳香族ジカルボン酸、それらの誘導体から選ば
れる少なくとも1種を含むジカルボン酸と、エチレング
リコールおよびその誘導体から選ばれる少なくとも1種
を含むグリコールとの重縮合物が好ましい。特にジカル
ボン酸成分の30mol%以上(より好ましくは50m
ol%以上、更に好ましくは70mol%以上)がテレ
フタル酸および/またはイソフタル酸であるのが好まし
く、グリコール成分の30mol%以上(より好ましく
は50mol%以上、更に好ましくは70mol%以
上)がエチレングリコールであり、3価以上のアルコー
ル成分を用いる場合には70mol%以下(より好まし
くは30mol%以下、更に好ましくは0mol%)で
あるのが好ましい。
の飽和ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸とグリコー
ルとの重縮合物であるのが好ましく、ジカルボン酸成分
として、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカ
ルボン酸およびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも
1種を含むジカルボン酸と、グリコール成分として、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジ
オール、1,4−ブタンジオールおよびそれらの誘導体
から選ばれる少なくとも1種を含むグリコールとの重縮
合物が好ましい。とりわけ、テレフタル酸、イソフタル
酸などの芳香族ジカルボン酸、それらの誘導体から選ば
れる少なくとも1種を含むジカルボン酸と、エチレング
リコールおよびその誘導体から選ばれる少なくとも1種
を含むグリコールとの重縮合物が好ましい。特にジカル
ボン酸成分の30mol%以上(より好ましくは50m
ol%以上、更に好ましくは70mol%以上)がテレ
フタル酸および/またはイソフタル酸であるのが好まし
く、グリコール成分の30mol%以上(より好ましく
は50mol%以上、更に好ましくは70mol%以
上)がエチレングリコールであり、3価以上のアルコー
ル成分を用いる場合には70mol%以下(より好まし
くは30mol%以下、更に好ましくは0mol%)で
あるのが好ましい。
【0023】また、これらの飽和ポリエステル系樹脂を
サイジング剤として用いる場合、これらは水溶性または
部分水溶性であることが好ましく、分子鎖中または末端
基にポリアルキレンオキシド鎖、スルホン酸基またはそ
の塩、カルボキシル基またはその塩、アミノ基またはそ
の塩などを導入することにより達成することができ、そ
の中ではポリアルキレンオキシド鎖の導入および/また
はスルホン酸基またはその塩の導入が好ましく、その塩
としてはアルカリ金属塩が好ましい。
サイジング剤として用いる場合、これらは水溶性または
部分水溶性であることが好ましく、分子鎖中または末端
基にポリアルキレンオキシド鎖、スルホン酸基またはそ
の塩、カルボキシル基またはその塩、アミノ基またはそ
の塩などを導入することにより達成することができ、そ
の中ではポリアルキレンオキシド鎖の導入および/また
はスルホン酸基またはその塩の導入が好ましく、その塩
としてはアルカリ金属塩が好ましい。
【0024】また、かかる飽和ポリエステル系サイジン
グ剤は、その分子鎖が直鎖型であるのが好ましい。分子
鎖が直鎖型ではない場合(例えば、分岐型など)は、サ
イジング剤が成形時の温度により大きな化分子構造の変
化を伴い、炭素繊維の表面に比較的強固な絶縁被膜を形
成しやすく、本来の導電性が得られにくい。ここで、直
鎖型の分子鎖とは、分子の主鎖に側差を有していないも
のを指す。かかる側鎖としては、芳香環や、脂環や、主
鎖からメチレンなどの炭素原子数が1または2の分岐鎖
は含まないものとする。
グ剤は、その分子鎖が直鎖型であるのが好ましい。分子
鎖が直鎖型ではない場合(例えば、分岐型など)は、サ
イジング剤が成形時の温度により大きな化分子構造の変
化を伴い、炭素繊維の表面に比較的強固な絶縁被膜を形
成しやすく、本来の導電性が得られにくい。ここで、直
鎖型の分子鎖とは、分子の主鎖に側差を有していないも
のを指す。かかる側鎖としては、芳香環や、脂環や、主
鎖からメチレンなどの炭素原子数が1または2の分岐鎖
は含まないものとする。
【0025】更に、かかる飽和ポリエステル系サイジン
グ剤は、マトリックス樹脂である熱可塑性樹脂の溶融温
度Tmとサイジング剤の溶融温度Tsとの差(Tm−T
s)が20〜250℃の範囲であるのが好ましい。(T
m−Ts)が20℃未満である場合、サイジング剤の溶
融粘度が高すぎ、前述のように炭素繊維の均一な分散が
達成しにくい。また、(Tm−Ts)が250℃を越え
る場合には、サイジング剤の分解が著しく発生し、前述
のように変性したサイジング剤が炭素繊維の表面に絶縁
被膜を形成しやすくなるため所望の効果が得られにく
い。好ましくは(Tm−Ts)が40〜230℃の範囲
であり、より好ましくは50〜220℃の範囲である。
とりわけ70〜200℃の範囲であるのが好ましい。こ
こで、溶融温度とは、融点を示すものについては、示差
熱量測定において、重合を完了したサイジング剤を室温
から10℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸
熱ピーク温度Tの観測後、T+20℃の温度で5分間保
持した後、10℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し
た後、再度10℃/分の昇温条件で測定した際に観測さ
れる吸熱ピーク温度を指す。融点を示さないものについ
ては、JIS K 2531(環球法)による軟化温度
を指す。
グ剤は、マトリックス樹脂である熱可塑性樹脂の溶融温
度Tmとサイジング剤の溶融温度Tsとの差(Tm−T
s)が20〜250℃の範囲であるのが好ましい。(T
m−Ts)が20℃未満である場合、サイジング剤の溶
融粘度が高すぎ、前述のように炭素繊維の均一な分散が
達成しにくい。また、(Tm−Ts)が250℃を越え
る場合には、サイジング剤の分解が著しく発生し、前述
のように変性したサイジング剤が炭素繊維の表面に絶縁
被膜を形成しやすくなるため所望の効果が得られにく
い。好ましくは(Tm−Ts)が40〜230℃の範囲
であり、より好ましくは50〜220℃の範囲である。
とりわけ70〜200℃の範囲であるのが好ましい。こ
こで、溶融温度とは、融点を示すものについては、示差
熱量測定において、重合を完了したサイジング剤を室温
から10℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸
熱ピーク温度Tの観測後、T+20℃の温度で5分間保
持した後、10℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し
た後、再度10℃/分の昇温条件で測定した際に観測さ
れる吸熱ピーク温度を指す。融点を示さないものについ
ては、JIS K 2531(環球法)による軟化温度
を指す。
【0026】本発明のサイジング剤としては、前述の飽
和ポリエステル系サイジング剤が含まれていれば特に制
限はなく、飽和ポリエステル系サイジング剤を単独で用
いても、その他のサイジング剤と併用して用いてもよ
い。なお、本発明の飽和ポリエステル系サイジング剤の
分子鎖中にイソシアネート成分が共重合されていると、
本発明の効果が十分に発揮されにくいため好ましくな
い。イソシアネート成分は飽和ポリエステル系サイジン
グ剤に共重合されていなければ大きな問題なく、その他
のサイジング剤として混合、併用する場合には問題な
い。
和ポリエステル系サイジング剤が含まれていれば特に制
限はなく、飽和ポリエステル系サイジング剤を単独で用
いても、その他のサイジング剤と併用して用いてもよ
い。なお、本発明の飽和ポリエステル系サイジング剤の
分子鎖中にイソシアネート成分が共重合されていると、
本発明の効果が十分に発揮されにくいため好ましくな
い。イソシアネート成分は飽和ポリエステル系サイジン
グ剤に共重合されていなければ大きな問題なく、その他
のサイジング剤として混合、併用する場合には問題な
い。
【0027】本発明の飽和ポリエステル系サイジング剤
は、炭素繊維に対して0.01〜20重量%の範囲で付
着しているのが好ましい。これより少なくい場合、所望
の効果が得られにくい。逆にこれより多い場合は、優れ
た導電性が得られにくく好ましくない。より好ましくは
0.05〜10重量%、更に好ましくは0.1〜3重量
%の範囲である。とりわけ、0.2〜1.5重量%の範
囲が好ましい。
は、炭素繊維に対して0.01〜20重量%の範囲で付
着しているのが好ましい。これより少なくい場合、所望
の効果が得られにくい。逆にこれより多い場合は、優れ
た導電性が得られにくく好ましくない。より好ましくは
0.05〜10重量%、更に好ましくは0.1〜3重量
%の範囲である。とりわけ、0.2〜1.5重量%の範
囲が好ましい。
【0028】炭素繊維へのサイジング剤の付着を均一な
ものにするために、表面張力を低下させることが有効で
あるが、そのために更に界面活性剤、有機溶媒、潤滑
剤、消泡剤などの処理剤(1)を付与することができ
る。前記処理剤(1)の付与方法としては、それらを予
め炭素繊維に付与させた後にサイジング剤を付着させた
り、サイジング剤の溶液に処理剤(1)の溶液を配合し
てサイジング剤と共に付着させたりすることができる。
ものにするために、表面張力を低下させることが有効で
あるが、そのために更に界面活性剤、有機溶媒、潤滑
剤、消泡剤などの処理剤(1)を付与することができ
る。前記処理剤(1)の付与方法としては、それらを予
め炭素繊維に付与させた後にサイジング剤を付着させた
り、サイジング剤の溶液に処理剤(1)の溶液を配合し
てサイジング剤と共に付着させたりすることができる。
【0029】かかる界面活性剤とは、例えばアルキル硫
酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシア
ルキレンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンス
ルホン酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤や、ポ
リエチレングリコールやポリプロピレングリコール、ま
たはその共重合体などを含むポリアルキレングリコール
類、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエ
チレングリコールアルキルフェニルエーテルなどのノニ
オン系界面活性剤が挙げられ、その中でもポリアルキレ
ングリコール類(特にポリエチレングリコール)などの
ノニオン系界面活性剤が好ましい。
酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシア
ルキレンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンス
ルホン酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤や、ポ
リエチレングリコールやポリプロピレングリコール、ま
たはその共重合体などを含むポリアルキレングリコール
類、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエ
チレングリコールアルキルフェニルエーテルなどのノニ
オン系界面活性剤が挙げられ、その中でもポリアルキレ
ングリコール類(特にポリエチレングリコール)などの
ノニオン系界面活性剤が好ましい。
【0030】かかる有機溶媒とは、例えばメタノール、
エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルア
ルコール、イソブタノール、n−ブタノール、イソアミ
ルアルコールなどのアルコール類や、ジメチルホルムア
ルデヒド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、アセトニトリル、シクロヘキサノン、
メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、キシレン、
酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル
アセテート、イソホロン、n−ブチルセロソルブ、t−
ブチルセロソルブなどが挙げられる。
エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルア
ルコール、イソブタノール、n−ブタノール、イソアミ
ルアルコールなどのアルコール類や、ジメチルホルムア
ルデヒド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、アセトニトリル、シクロヘキサノン、
メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、キシレン、
酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル
アセテート、イソホロン、n−ブチルセロソルブ、t−
ブチルセロソルブなどが挙げられる。
【0031】かかる潤滑剤とは、例えばキャンディラワ
ックス、カルナウバワックス、木ロウなどの植物系ワッ
クス、みつろう、ラノリン、鯨ロウなどの動物系ワック
ス、モンタンワックス、石油ワックスなどの鉱物系ワッ
クス、テトラエチレンペンタミンジステアレート、ブチ
ルステアレートなどの脂肪酸系滑剤などが挙げられる。
ックス、カルナウバワックス、木ロウなどの植物系ワッ
クス、みつろう、ラノリン、鯨ロウなどの動物系ワック
ス、モンタンワックス、石油ワックスなどの鉱物系ワッ
クス、テトラエチレンペンタミンジステアレート、ブチ
ルステアレートなどの脂肪酸系滑剤などが挙げられる。
【0032】これら界面活性剤を使用する場合は、その
添加は少量で十分であり、炭素繊維に対して0.005
〜3重量%または処理液に対して0.01〜6%の範囲
が好ましい。有機溶媒を使用する場合は、その添加量は
処理溶液に対して0.1〜40重量%の範囲が好まし
い。潤滑剤を使用する場合は、その添加は、少量で十分
であるが、好ましくは炭素繊維に対して0.005〜3
重量%、または処理液に対して0.01〜6重量%の範
囲であるのがよい。
添加は少量で十分であり、炭素繊維に対して0.005
〜3重量%または処理液に対して0.01〜6%の範囲
が好ましい。有機溶媒を使用する場合は、その添加量は
処理溶液に対して0.1〜40重量%の範囲が好まし
い。潤滑剤を使用する場合は、その添加は、少量で十分
であるが、好ましくは炭素繊維に対して0.005〜3
重量%、または処理液に対して0.01〜6重量%の範
囲であるのがよい。
【0033】また、本発明の炭素繊維束または後述のチ
ョップド炭素繊維を用いた成形品が、本発明の課題であ
る高い力学的特性を達成するためや、チョップド炭素繊
維として高い集束性を付与するためには、炭素繊維と後
述の構成要素[B]である樹脂との密着性・接着性を高
くすることや、炭素繊維束の集束能を高くすることが有
効であるが、そのために更に処理剤(2)として、カッ
プリング剤、接着性向上剤、集束剤などを、予め炭素繊
維に付与することができる。
ョップド炭素繊維を用いた成形品が、本発明の課題であ
る高い力学的特性を達成するためや、チョップド炭素繊
維として高い集束性を付与するためには、炭素繊維と後
述の構成要素[B]である樹脂との密着性・接着性を高
くすることや、炭素繊維束の集束能を高くすることが有
効であるが、そのために更に処理剤(2)として、カッ
プリング剤、接着性向上剤、集束剤などを、予め炭素繊
維に付与することができる。
【0034】かかる処理剤(2)の付与方法としては、
それらを炭素繊維に付与させた後に本発明のサイジング
剤を付着させたり、本発明のサイジング剤の溶液に処理
剤(2)の溶液を配合して、これを他のサイジング剤と
共に付着させたり、本発明のサイジング剤を炭素繊維に
付着させた後に付与することができる。特に集束性を付
与する場合には、本発明のサイジング剤を付着させた後
に、前記処理剤を付与すると、その効果が最大限に発現
されるため好ましい。
それらを炭素繊維に付与させた後に本発明のサイジング
剤を付着させたり、本発明のサイジング剤の溶液に処理
剤(2)の溶液を配合して、これを他のサイジング剤と
共に付着させたり、本発明のサイジング剤を炭素繊維に
付着させた後に付与することができる。特に集束性を付
与する場合には、本発明のサイジング剤を付着させた後
に、前記処理剤を付与すると、その効果が最大限に発現
されるため好ましい。
【0035】かかる処理剤(2)としては、例えばシラ
ンカップリング剤(例えばアミノシラン、エポキシシラ
ン、ビニルシラン、アクリルシラン、クロルシラン、メ
ルカプトシランなど)、アルミネートカップリング剤、
チタネートカップリング剤などカップリング剤、エポキ
シ系、ウレタン系、エステル系、アミド系、アクリル
系、オレフィン系、ビニル系、スチレン系、フェノール
系樹脂、液晶性樹脂などが挙げられる。
ンカップリング剤(例えばアミノシラン、エポキシシラ
ン、ビニルシラン、アクリルシラン、クロルシラン、メ
ルカプトシランなど)、アルミネートカップリング剤、
チタネートカップリング剤などカップリング剤、エポキ
シ系、ウレタン系、エステル系、アミド系、アクリル
系、オレフィン系、ビニル系、スチレン系、フェノール
系樹脂、液晶性樹脂などが挙げられる。
【0036】これら処理剤(2)を付与する場合は、炭
素繊維に対して0.01〜12重量%の範囲が好まし
い。これより少なくい場合、所望の効果が得られにく
い。またこれより多い場合は、優れた導電性が得られに
くく好ましくない。より好ましくは0.1〜6重量%、
更に好ましくは0.2〜3重量%の範囲である。
素繊維に対して0.01〜12重量%の範囲が好まし
い。これより少なくい場合、所望の効果が得られにく
い。またこれより多い場合は、優れた導電性が得られに
くく好ましくない。より好ましくは0.1〜6重量%、
更に好ましくは0.2〜3重量%の範囲である。
【0037】これら飽和ポリエステル系サイジング剤
は、処理剤(1)、処理剤(2)など各種サイジング
剤、その他炭素繊維に付着させる全ての付着物の総量に
対して、本発明の飽和ポリエステル系サイジング剤が、
好ましくは5重量%以上、より好ましくは30重量%以
上、更に好ましくは65重量%以上、とりわけ70重量
%以上の範囲であるのが好ましい。これより少ない場
合、本発明の効果が十分に発現されない場合がある。
は、処理剤(1)、処理剤(2)など各種サイジング
剤、その他炭素繊維に付着させる全ての付着物の総量に
対して、本発明の飽和ポリエステル系サイジング剤が、
好ましくは5重量%以上、より好ましくは30重量%以
上、更に好ましくは65重量%以上、とりわけ70重量
%以上の範囲であるのが好ましい。これより少ない場
合、本発明の効果が十分に発現されない場合がある。
【0038】本発明の飽和ポリエステル系サイジング
剤、場合によっては処理剤(1)、処理剤(2)は、溶
媒液または水溶液または水系エマルジョンまたはそれら
の混合液による溶液の状態にて炭素繊維に接触または浸
漬させ、その後に水および/または溶媒を乾燥させるこ
とにより炭素繊維に付着してもよいが、作業環境の面か
ら溶媒を含まない水溶液または水系エマルジョン溶液を
用いて炭素繊維に付着させるのが好ましい。なお、サイ
ジング剤の付着量は、溶液の濃度により調整することが
できる。
剤、場合によっては処理剤(1)、処理剤(2)は、溶
媒液または水溶液または水系エマルジョンまたはそれら
の混合液による溶液の状態にて炭素繊維に接触または浸
漬させ、その後に水および/または溶媒を乾燥させるこ
とにより炭素繊維に付着してもよいが、作業環境の面か
ら溶媒を含まない水溶液または水系エマルジョン溶液を
用いて炭素繊維に付着させるのが好ましい。なお、サイ
ジング剤の付着量は、溶液の濃度により調整することが
できる。
【0039】本発明の炭素繊維とは、例えば、ポリアク
リロニトリル(PAN)系、ピッチ(等方性、メソフェ
ーズなど)系、セルロース(ビスコースレーヨン、酢酸
セルロースなど)系、気相成長(炭化水素など)系など
からつくられた炭素繊維や黒鉛繊維、それらをニッケ
ル、イッテルビウム、金、銀、銅などの金属を、メッキ
法(電解、無電解)、CVD法、PVD法、イオンプレ
ーティング法、蒸着法などにより少なくとも1層以上被
覆して構成された金属被覆炭素繊維や、これらを2種類
以上ブレンドして構成されたものを指す。また、前記炭
素繊維とガラス繊維やアラミド繊維などのその他の強化
繊維とをブレンドしたものも本発明では使用することが
できる。かかる炭素繊維としては、強度と弾性率などの
力学的特性と価格とのバランスに優れるPAN系炭素繊
維および/または高い導電性を有する気相成長系炭素繊
維が好ましい。
リロニトリル(PAN)系、ピッチ(等方性、メソフェ
ーズなど)系、セルロース(ビスコースレーヨン、酢酸
セルロースなど)系、気相成長(炭化水素など)系など
からつくられた炭素繊維や黒鉛繊維、それらをニッケ
ル、イッテルビウム、金、銀、銅などの金属を、メッキ
法(電解、無電解)、CVD法、PVD法、イオンプレ
ーティング法、蒸着法などにより少なくとも1層以上被
覆して構成された金属被覆炭素繊維や、これらを2種類
以上ブレンドして構成されたものを指す。また、前記炭
素繊維とガラス繊維やアラミド繊維などのその他の強化
繊維とをブレンドしたものも本発明では使用することが
できる。かかる炭素繊維としては、強度と弾性率などの
力学的特性と価格とのバランスに優れるPAN系炭素繊
維および/または高い導電性を有する気相成長系炭素繊
維が好ましい。
【0040】ここで、気相成長系炭素繊維とは、気相で
結晶を成長させる製造方法により得られる一般的には不
連続な炭素繊維、黒鉛繊維、ナノチューブを指し、針状
やコイル状やチューブ状の形態など任意の形態をとるこ
とができる。かかる製造方法としては、例えば特開平5
−221622号公報などに開示されているように、ベ
ンゼン、メタン、一酸化炭素などの炭素化合物と、触媒
であるフェロセン、メタロセンなどの鉄系、ニッケル系
の有機遷移金属化合物とを水素などのキャリアガス中で
高温焼成(一般的には800〜1300℃)する方法が
例として挙げられる。
結晶を成長させる製造方法により得られる一般的には不
連続な炭素繊維、黒鉛繊維、ナノチューブを指し、針状
やコイル状やチューブ状の形態など任意の形態をとるこ
とができる。かかる製造方法としては、例えば特開平5
−221622号公報などに開示されているように、ベ
ンゼン、メタン、一酸化炭素などの炭素化合物と、触媒
であるフェロセン、メタロセンなどの鉄系、ニッケル系
の有機遷移金属化合物とを水素などのキャリアガス中で
高温焼成(一般的には800〜1300℃)する方法が
例として挙げられる。
【0041】これら炭素繊維は、平均単繊維直径が0.
01〜20μmの範囲であるのが好ましい。より好まし
くは1〜16μm、更に好ましくは2〜13μmの範囲
である。とりわけ4〜11μmの範囲であるのが好まし
い。平均単繊維直径が0.01μm未満では、炭素繊維
として製造することが困難になるだけでなく、力学的特
性に劣る場合がある。また、炭素繊維を用いて樹脂組成
物を得る場合、炭素繊維束中への樹脂の含浸が困難とな
り、成形品中での炭素繊維の分散性に劣るなどの問題を
生じる場合がある。一方、平均単繊維直径が20μmを
超えても、炭素繊維としての力学的特性に劣り、所望の
導電化効果や補強効果が得ることができない場合があ
る。なお、気相成長系炭素繊維では、アスペクト比が5
〜1000の範囲であり、かつ平均単繊維直径が0.0
1〜1μmの範囲、好ましくは0.1〜0.5μmの範
囲であると、その導電性付与効果が高いため好ましい。
01〜20μmの範囲であるのが好ましい。より好まし
くは1〜16μm、更に好ましくは2〜13μmの範囲
である。とりわけ4〜11μmの範囲であるのが好まし
い。平均単繊維直径が0.01μm未満では、炭素繊維
として製造することが困難になるだけでなく、力学的特
性に劣る場合がある。また、炭素繊維を用いて樹脂組成
物を得る場合、炭素繊維束中への樹脂の含浸が困難とな
り、成形品中での炭素繊維の分散性に劣るなどの問題を
生じる場合がある。一方、平均単繊維直径が20μmを
超えても、炭素繊維としての力学的特性に劣り、所望の
導電化効果や補強効果が得ることができない場合があ
る。なお、気相成長系炭素繊維では、アスペクト比が5
〜1000の範囲であり、かつ平均単繊維直径が0.0
1〜1μmの範囲、好ましくは0.1〜0.5μmの範
囲であると、その導電性付与効果が高いため好ましい。
【0042】本発明の炭素繊維束は、連続繊維(フィラ
メント)タイプの場合、フィラメント数が4000〜3
50000本の範囲で束ねられていることが好ましい。
フィラメント数が4000本未満であると、炭素繊維自
体の生産性に劣るため好ましくない。また、フィラメン
ト数が350000本より多いと、炭素繊維束として取
り扱い性に劣るだけでなく、それらの炭素繊維束を用い
て得られた成形品は導電性や力学的特性に劣る場合があ
り、本発明の効果を効率的に発現できないため好ましく
ない。より好ましいフィラメント数は6000〜100
000本、さらに好ましくは12000〜75000本
の範囲である。とりわけ24000〜48000本の範
囲が好ましい。
メント)タイプの場合、フィラメント数が4000〜3
50000本の範囲で束ねられていることが好ましい。
フィラメント数が4000本未満であると、炭素繊維自
体の生産性に劣るため好ましくない。また、フィラメン
ト数が350000本より多いと、炭素繊維束として取
り扱い性に劣るだけでなく、それらの炭素繊維束を用い
て得られた成形品は導電性や力学的特性に劣る場合があ
り、本発明の効果を効率的に発現できないため好ましく
ない。より好ましいフィラメント数は6000〜100
000本、さらに好ましくは12000〜75000本
の範囲である。とりわけ24000〜48000本の範
囲が好ましい。
【0043】本発明で使用する炭素繊維としては、広角
X線回折法により測定された結晶サイズ(以下、Lcと
記す)が、1〜6nmの範囲であることが好ましい。L
cが1nm未満である場合、炭素繊維の炭化もしくは黒
鉛化が十分ではなく、炭素繊維自体の導電性が低くな
る。このことに起因して、得られた成形品の導電性が劣
る場合があるため好ましくない。一方、Lcが6nmを
越える場合、炭素繊維の炭化もしくは黒鉛化は十分であ
り、炭素繊維自体の導電性には優れるものの脆く繊維折
損しやすくなる。このことに起因して、成形品中の繊維
長さが短くなり、優れた導電性が期待できないため好ま
しくない。より好ましくは1.3〜4.5nm、さらに
好ましくは1.6〜3.5nmの範囲である。とりわけ
好ましくは1.8〜2.8nmの範囲であるものがよ
い。なお、広角X線回折法によるLcの測定は、日本学
術振興会第117委員会、炭素、36、p25(196
3)に記載された方法にて行った。
X線回折法により測定された結晶サイズ(以下、Lcと
記す)が、1〜6nmの範囲であることが好ましい。L
cが1nm未満である場合、炭素繊維の炭化もしくは黒
鉛化が十分ではなく、炭素繊維自体の導電性が低くな
る。このことに起因して、得られた成形品の導電性が劣
る場合があるため好ましくない。一方、Lcが6nmを
越える場合、炭素繊維の炭化もしくは黒鉛化は十分であ
り、炭素繊維自体の導電性には優れるものの脆く繊維折
損しやすくなる。このことに起因して、成形品中の繊維
長さが短くなり、優れた導電性が期待できないため好ま
しくない。より好ましくは1.3〜4.5nm、さらに
好ましくは1.6〜3.5nmの範囲である。とりわけ
好ましくは1.8〜2.8nmの範囲であるものがよ
い。なお、広角X線回折法によるLcの測定は、日本学
術振興会第117委員会、炭素、36、p25(196
3)に記載された方法にて行った。
【0044】本発明で使用する炭素繊維としては、X線
光電子分光法により測定される炭素繊維表面の酸素
(O)と炭素(C)の原子数の比である表面官能基量
(O/C)が、0.02〜0.4の範囲であるのが好ま
しい。(O/C)が0.02より小さいことは、炭素繊
維表面に樹脂との接着に寄与するような官能基(例えば
ヒドロキシル基、カルボキシル基など)が非常に少ない
ことを意味する。炭素繊維と樹脂との接着性が劣ると、
所望の力学的特性が得られないため好ましくない。逆に
(O/C)が0.4より大きいことは、炭素繊維表面の
酸性水溶液、もしくはアルカリ水溶液での電解処理など
による表面処理が必要以上に行われており、炭素や黒鉛
の結晶構造が破壊されて、炭素繊維表面に脆弱層が形成
されていることを意味する。この場合、炭素繊維同士が
接触した接触抵抗が高くなり、成形品に優れた導電性が
期待できないため好ましくない。
光電子分光法により測定される炭素繊維表面の酸素
(O)と炭素(C)の原子数の比である表面官能基量
(O/C)が、0.02〜0.4の範囲であるのが好ま
しい。(O/C)が0.02より小さいことは、炭素繊
維表面に樹脂との接着に寄与するような官能基(例えば
ヒドロキシル基、カルボキシル基など)が非常に少ない
ことを意味する。炭素繊維と樹脂との接着性が劣ると、
所望の力学的特性が得られないため好ましくない。逆に
(O/C)が0.4より大きいことは、炭素繊維表面の
酸性水溶液、もしくはアルカリ水溶液での電解処理など
による表面処理が必要以上に行われており、炭素や黒鉛
の結晶構造が破壊されて、炭素繊維表面に脆弱層が形成
されていることを意味する。この場合、炭素繊維同士が
接触した接触抵抗が高くなり、成形品に優れた導電性が
期待できないため好ましくない。
【0045】更に、(O/C)を0.02〜0.4の範
囲にすることは、成形品中の炭素繊維の分散性など、炭
素繊維と樹脂との接着性以外にも好ましい効果をもたら
す。より好ましい(O/C)は0.02〜0.2、さら
に好ましくは0.03〜0.15の範囲である。とりわ
け0.04〜0.1の範囲が好ましい。
囲にすることは、成形品中の炭素繊維の分散性など、炭
素繊維と樹脂との接着性以外にも好ましい効果をもたら
す。より好ましい(O/C)は0.02〜0.2、さら
に好ましくは0.03〜0.15の範囲である。とりわ
け0.04〜0.1の範囲が好ましい。
【0046】ここで、表面官能基(O/C)は、X線光
電子分光法により次のような手順によって測定した。な
お、本発明では島津製作所(株)製ESCA−750を
用いて測定を行い、前記感度補正値は2.85であっ
た。 (1)まず、サイジング剤などを溶媒で除去した炭素繊
維を銅製の試料支持台上に拡げて並べた後、光電子脱出
角度を90°とし、X線源としてMgKα1、2を用
い、試料チャンバー中を1.3×10-6Pa(1×10
-8Torr)に保つ。 (2)測定時の帯電に伴うピークの補正としてC1Sの主
ピークの運動エネルギー値B.E.を284.6eVに
合わせる。C1Sピーク面積は、282〜296eVの範
囲で直線のベースラインを引くことにより求める。O1S
ピーク面積は、528〜540eVの範囲で直線のベー
スラインを引くことにより求める。 (3)ここで表面官能基量(O/C)とは、前記O1Sピ
ーク面積とC1Sピーク面積の比から、装置固有の感度補
正値を用いて原子数比として算出する。
電子分光法により次のような手順によって測定した。な
お、本発明では島津製作所(株)製ESCA−750を
用いて測定を行い、前記感度補正値は2.85であっ
た。 (1)まず、サイジング剤などを溶媒で除去した炭素繊
維を銅製の試料支持台上に拡げて並べた後、光電子脱出
角度を90°とし、X線源としてMgKα1、2を用
い、試料チャンバー中を1.3×10-6Pa(1×10
-8Torr)に保つ。 (2)測定時の帯電に伴うピークの補正としてC1Sの主
ピークの運動エネルギー値B.E.を284.6eVに
合わせる。C1Sピーク面積は、282〜296eVの範
囲で直線のベースラインを引くことにより求める。O1S
ピーク面積は、528〜540eVの範囲で直線のベー
スラインを引くことにより求める。 (3)ここで表面官能基量(O/C)とは、前記O1Sピ
ーク面積とC1Sピーク面積の比から、装置固有の感度補
正値を用いて原子数比として算出する。
【0047】炭素繊維は、表面官能基(O/C)が0.
02〜0.2の範囲であれば、炭素繊維は酸性水溶液中
もしくはアルカリ水溶液中での電解処理が施されていて
もよいが、より(O/C)を好ましい範囲に制御しやす
い酸性水溶液中で電解処理されているのが好ましい。
02〜0.2の範囲であれば、炭素繊維は酸性水溶液中
もしくはアルカリ水溶液中での電解処理が施されていて
もよいが、より(O/C)を好ましい範囲に制御しやす
い酸性水溶液中で電解処理されているのが好ましい。
【0048】また、本発明で使用する炭素繊維として
は、引張破断伸度は少なくとも1.5%以上の炭素繊維
がよい。引張破断伸度が1.5%未満である場合、本発
明の樹脂組成物を用いた成形材料の製造工程(特に樹脂
含浸工程)や成形工程で炭素繊維が切断されやすく、成
形材料中、およびその成形品中の炭素繊維長さを大きく
することができないため、優れた導電性、力学的特性に
劣るだけでなく、成形材料の高い生産性が達成できな
い。前記問題を解決するためには、引張破断伸度が1.
5%以上、より好ましくは引張破断伸度が1.7%以
上、更に好ましくは引張破断伸度が1.9%以上の炭素
繊維を用いるのがよい。本発明で使用する炭素繊維の引
張破断伸度に上限はないが、一般的に5.0%以下であ
る。
は、引張破断伸度は少なくとも1.5%以上の炭素繊維
がよい。引張破断伸度が1.5%未満である場合、本発
明の樹脂組成物を用いた成形材料の製造工程(特に樹脂
含浸工程)や成形工程で炭素繊維が切断されやすく、成
形材料中、およびその成形品中の炭素繊維長さを大きく
することができないため、優れた導電性、力学的特性に
劣るだけでなく、成形材料の高い生産性が達成できな
い。前記問題を解決するためには、引張破断伸度が1.
5%以上、より好ましくは引張破断伸度が1.7%以
上、更に好ましくは引張破断伸度が1.9%以上の炭素
繊維を用いるのがよい。本発明で使用する炭素繊維の引
張破断伸度に上限はないが、一般的に5.0%以下であ
る。
【0049】本発明のチョップド炭素繊維は、上記の連
続炭素繊維束を1〜26mmの範囲に切断したものを指
す。チョップド炭素繊維が1mm未満であると、切断時
に集束させた炭素繊維が開繊しやすくなり、毛羽・毛玉
が発生し、チョップド炭素繊維として集束性に問題を有
する場合がある。また26mmを超えると、樹脂と混練
する際、押出機供給口(ホッパー、供給配管など)で詰
まったり、ブリッジしやすくなり、押出機への供給に問
題を有する場合がある。より好ましい切断長さは2〜1
3mmの範囲であり、更に好ましくは3〜10mmの範
囲である。
続炭素繊維束を1〜26mmの範囲に切断したものを指
す。チョップド炭素繊維が1mm未満であると、切断時
に集束させた炭素繊維が開繊しやすくなり、毛羽・毛玉
が発生し、チョップド炭素繊維として集束性に問題を有
する場合がある。また26mmを超えると、樹脂と混練
する際、押出機供給口(ホッパー、供給配管など)で詰
まったり、ブリッジしやすくなり、押出機への供給に問
題を有する場合がある。より好ましい切断長さは2〜1
3mmの範囲であり、更に好ましくは3〜10mmの範
囲である。
【0050】ここで、連続炭素繊維束の切断方法として
は特に制限はなく、サイジング剤、場合によっては処理
剤(1)、処理剤(2)を水溶液または水系エマルジョ
ンまたは溶媒液またはそれらの混合液により炭素繊維に
付着・付与させた後、その水分(または溶媒)を乾燥さ
せてから切断しても、乾燥する前に切断し、その後に乾
燥させてもよい。より集束性を高く切断するために、上
記の水溶液または水エマルジョンまたは溶媒液またはそ
れらの混合液を付着・付与させた後、その含水率(また
は含溶媒率)が3〜80%の範囲であるうちに切断し、
その後に含水率(または含溶媒率)が3%未満になるよ
うに乾燥させるのが好ましい。好ましい切断前の含水率
(または含溶媒率)は10〜70重量%の範囲であり、
より好ましくは15〜60重量%の範囲である。
は特に制限はなく、サイジング剤、場合によっては処理
剤(1)、処理剤(2)を水溶液または水系エマルジョ
ンまたは溶媒液またはそれらの混合液により炭素繊維に
付着・付与させた後、その水分(または溶媒)を乾燥さ
せてから切断しても、乾燥する前に切断し、その後に乾
燥させてもよい。より集束性を高く切断するために、上
記の水溶液または水エマルジョンまたは溶媒液またはそ
れらの混合液を付着・付与させた後、その含水率(また
は含溶媒率)が3〜80%の範囲であるうちに切断し、
その後に含水率(または含溶媒率)が3%未満になるよ
うに乾燥させるのが好ましい。好ましい切断前の含水率
(または含溶媒率)は10〜70重量%の範囲であり、
より好ましくは15〜60重量%の範囲である。
【0051】なお、かかる含水率(または含溶媒率)と
は、水または溶媒の沸点+40℃の循環雰囲気で2時間
以上(好ましくは4時間以上)乾燥させたものの重量を
乾燥前の重量で除した値を百分率に換算した値を指し、
測定対象物の重量上限は30gとした。
は、水または溶媒の沸点+40℃の循環雰囲気で2時間
以上(好ましくは4時間以上)乾燥させたものの重量を
乾燥前の重量で除した値を百分率に換算した値を指し、
測定対象物の重量上限は30gとした。
【0052】含水率が高い炭素繊維を乾燥させる場合に
は、振動を付与しながら乾燥させるのが好ましい。乾燥
時に振動を与えないと得られるチョップド炭素繊維の集
束性が劣るため好ましくない。与える振動としては、振
動数5〜50サイクル/秒、振幅1〜15mmの範囲で
あるのが好ましく、更に好ましくは振動数10〜40サ
イクル/秒、振幅2〜12mmの範囲である。
は、振動を付与しながら乾燥させるのが好ましい。乾燥
時に振動を与えないと得られるチョップド炭素繊維の集
束性が劣るため好ましくない。与える振動としては、振
動数5〜50サイクル/秒、振幅1〜15mmの範囲で
あるのが好ましく、更に好ましくは振動数10〜40サ
イクル/秒、振幅2〜12mmの範囲である。
【0053】本発明のチョップド炭素繊維は嵩密度が高
い方が、また安息角が低い方が好ましく、嵩密度が0.
25g/ml以上であるのが好ましい。また、安息角は
50°以下であるのが好ましい。嵩密度が0.25g/
ml未満のものや、安息角が50°を超えるものは、完
全に集束されているとはいえず、運搬中の振動や機械的
混合により、チョップド炭素繊維が開繊して毛羽や毛玉
が発生し、それが後述の熱可塑性樹脂と混練する場合な
どにはホッパー中に詰まったり、ブリッジしたりして、
作業上もその作業環境上も問題となるため好ましくな
い。より好ましい嵩密度は0.35g/ml以上、更に
好ましくは0.45g/ml以上である。また、より好
ましい安息角は40°以下、更に好ましくは35°以下
である。
い方が、また安息角が低い方が好ましく、嵩密度が0.
25g/ml以上であるのが好ましい。また、安息角は
50°以下であるのが好ましい。嵩密度が0.25g/
ml未満のものや、安息角が50°を超えるものは、完
全に集束されているとはいえず、運搬中の振動や機械的
混合により、チョップド炭素繊維が開繊して毛羽や毛玉
が発生し、それが後述の熱可塑性樹脂と混練する場合な
どにはホッパー中に詰まったり、ブリッジしたりして、
作業上もその作業環境上も問題となるため好ましくな
い。より好ましい嵩密度は0.35g/ml以上、更に
好ましくは0.45g/ml以上である。また、より好
ましい安息角は40°以下、更に好ましくは35°以下
である。
【0054】ここで、嵩密度とは、チョップド炭素繊維
100gを500mlメスシリンダーに入れた後、メス
シリンダーに数回振動を与え、その時の体積にて投入重
量を除した値を指し、単位はg/mlとした。また、安
息角とは、水平な平面の同一箇所にチョップド炭素繊維
100gを漏斗を用いてゆっくり落下させ、その時に堆
積した山の傾斜角度を指す。
100gを500mlメスシリンダーに入れた後、メス
シリンダーに数回振動を与え、その時の体積にて投入重
量を除した値を指し、単位はg/mlとした。また、安
息角とは、水平な平面の同一箇所にチョップド炭素繊維
100gを漏斗を用いてゆっくり落下させ、その時に堆
積した山の傾斜角度を指す。
【0055】本発明における樹脂組成物は、少なくとも
前述の炭素繊維束、チョップド炭素繊維である構成要素
[A]と後述の熱可塑性樹脂である構成要素[B]とか
らなる。
前述の炭素繊維束、チョップド炭素繊維である構成要素
[A]と後述の熱可塑性樹脂である構成要素[B]とか
らなる。
【0056】本発明の構成要素[B]とは、得られた成
形品の衝撃強度に優れ、かつ成形効率の高いプレス成形
または射出成形が可能である熱可塑性樹脂である。
形品の衝撃強度に優れ、かつ成形効率の高いプレス成形
または射出成形が可能である熱可塑性樹脂である。
【0057】かかる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテ
レフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレ
ート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PE
N)、液晶ポリエステル等のポリエステルや、ポリエチ
レン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン
等のポリオレフィンや、スチレン系樹脂の他や、ポリオ
キシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカ
ーボネート(PC)、ポリメチレンメタクリレート(P
MMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレン
スルフィド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PP
E)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PA
I)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン
(PSU)、ポリエーテルスルホン、ポリケトン(P
K)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエ
ーテルケトン(PEEK)、ポリアリレート(PA
R)、ポリエーテルニトリル(PEN)、フェノール
(ノボラック型など)フェノキシ樹脂、フッ素樹脂、更
にポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン
系、飽和ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエ
ン系、ポリイソプレン系、フッ素系等の熱可塑エラスト
マー等や、これらの共重合体、変性体、および2種類以
上ブレンドした樹脂などであってもよい。また、更に耐
衝撃性向上のために、上記熱可塑性樹脂にその他のエラ
ストマーもしくはゴム成分を添加した樹脂であってもよ
い。
リエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテ
レフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレ
ート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PE
N)、液晶ポリエステル等のポリエステルや、ポリエチ
レン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン
等のポリオレフィンや、スチレン系樹脂の他や、ポリオ
キシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカ
ーボネート(PC)、ポリメチレンメタクリレート(P
MMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレン
スルフィド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PP
E)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PA
I)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン
(PSU)、ポリエーテルスルホン、ポリケトン(P
K)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエ
ーテルケトン(PEEK)、ポリアリレート(PA
R)、ポリエーテルニトリル(PEN)、フェノール
(ノボラック型など)フェノキシ樹脂、フッ素樹脂、更
にポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン
系、飽和ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエ
ン系、ポリイソプレン系、フッ素系等の熱可塑エラスト
マー等や、これらの共重合体、変性体、および2種類以
上ブレンドした樹脂などであってもよい。また、更に耐
衝撃性向上のために、上記熱可塑性樹脂にその他のエラ
ストマーもしくはゴム成分を添加した樹脂であってもよ
い。
【0058】本発明における構成要素[B]としては、
その中でもスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポ
リフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂、液晶性樹脂およびフェノール系樹脂から選ば
れる少なくとも1種の熱可塑性樹脂がより好ましい。
その中でもスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポ
リフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂、液晶性樹脂およびフェノール系樹脂から選ば
れる少なくとも1種の熱可塑性樹脂がより好ましい。
【0059】本発明における熱可塑性樹脂としては、結
晶性の熱可塑性樹脂(以下、結晶性樹脂と呼ぶ)より
も、非晶性の熱可塑性樹脂(以下、非晶性樹脂と呼ぶ)
の方が本発明の効果を最大限に利用できる場合が多い。
一般的に非晶性樹脂は、結晶性樹脂より寸法安定性に優
れ、耐衝撃性にも優れるものの、溶融粘度が高いため、
優れた導電性を得るために必要な量の炭素繊維を単に配
合すると、成形性に著しく劣るのが一般的であった。し
かし、本発明の樹脂組成物において、熱可塑性樹脂とし
て特に非晶性樹脂を使用した場合、本発明の構成要素
[A]を用いることにより、炭素繊維の配合量を従来よ
りも低減することができ、上記の成形性の問題を大幅に
改善することができるだけでなく、コストをも改善で
き、本発明の効果が最大限に発現される。
晶性の熱可塑性樹脂(以下、結晶性樹脂と呼ぶ)より
も、非晶性の熱可塑性樹脂(以下、非晶性樹脂と呼ぶ)
の方が本発明の効果を最大限に利用できる場合が多い。
一般的に非晶性樹脂は、結晶性樹脂より寸法安定性に優
れ、耐衝撃性にも優れるものの、溶融粘度が高いため、
優れた導電性を得るために必要な量の炭素繊維を単に配
合すると、成形性に著しく劣るのが一般的であった。し
かし、本発明の樹脂組成物において、熱可塑性樹脂とし
て特に非晶性樹脂を使用した場合、本発明の構成要素
[A]を用いることにより、炭素繊維の配合量を従来よ
りも低減することができ、上記の成形性の問題を大幅に
改善することができるだけでなく、コストをも改善で
き、本発明の効果が最大限に発現される。
【0060】前記非晶性樹脂としては、スチレン系樹
脂、ポリカーボネート樹脂およびポリフェニレンエーテ
ル樹脂の少なくとも1種類が配合されていることが好ま
しい。
脂、ポリカーボネート樹脂およびポリフェニレンエーテ
ル樹脂の少なくとも1種類が配合されていることが好ま
しい。
【0061】かかるスチレン系樹脂とは、スチレンおよ
び/またはその誘導体(これらを総称して芳香族ビニル
系単量体と称する場合がある)から生成した単位を含有
する。
び/またはその誘導体(これらを総称して芳香族ビニル
系単量体と称する場合がある)から生成した単位を含有
する。
【0062】かかるスチレン系樹脂としては、スチレン
系(共)重合体、ゴム強化スチレン(共)重合体が挙げ
られる。スチレン系(共)重合体としては芳香族ビニル
系単量体の1種または2種以上を重合した重合体、芳香
族ビニル系単量体の1種または2種以上とそれと共重合
可能な単量体の1種または2種以上を共重合した共重合
体が挙げられる。また、ゴム強化スチレン(共)重合体
としては、スチレン単量体を含有する(共)重合体がゴ
ム質重合体にグラフトした構造をとるものと、スチレン
単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体に非グラ
フトした構造をとるものとが挙げられる。
系(共)重合体、ゴム強化スチレン(共)重合体が挙げ
られる。スチレン系(共)重合体としては芳香族ビニル
系単量体の1種または2種以上を重合した重合体、芳香
族ビニル系単量体の1種または2種以上とそれと共重合
可能な単量体の1種または2種以上を共重合した共重合
体が挙げられる。また、ゴム強化スチレン(共)重合体
としては、スチレン単量体を含有する(共)重合体がゴ
ム質重合体にグラフトした構造をとるものと、スチレン
単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体に非グラ
フトした構造をとるものとが挙げられる。
【0063】グラフト構造をとるものとしては、ゴム質
重合体に芳香族ビニル系単量体の1種または2種以上を
グラフト重合したゴム強化グラフト重合体、ゴム質重合
体に芳香族ビニル系単量体の1種または2種以上とそれ
と共重合可能な単量体の1種または2種以上をグラフト
共重合したグラフト共重合体が挙げられる。
重合体に芳香族ビニル系単量体の1種または2種以上を
グラフト重合したゴム強化グラフト重合体、ゴム質重合
体に芳香族ビニル系単量体の1種または2種以上とそれ
と共重合可能な単量体の1種または2種以上をグラフト
共重合したグラフト共重合体が挙げられる。
【0064】芳香族ビニル系単量体としては、スチレ
ン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブ
チルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルトルエ
ン、o−エチルスチレン、などを例として挙げられる
が、特にスチレンが好ましい。
ン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブ
チルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルトルエ
ン、o−エチルスチレン、などを例として挙げられる
が、特にスチレンが好ましい。
【0065】上記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な
単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量
体、シアン化ビニル系単量体などが代表例として挙げら
れる。かかる(メタ)アクリル酸エステル系単量体とし
ては、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチ
ル、プロピル、n−ブチル、i−ブチルによるエステル
化物などが挙げられるが、メタクリル酸メチルが好まし
く用いられる。また、かかるシアン化ビニル化合物とし
ては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタク
リロニトリルなどが挙げられるが、アクリロニトリルが
好ましく用いられる。また必要に応じて、他のビニル系
単量体、例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、N
−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体などを
使用することもできる。
単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量
体、シアン化ビニル系単量体などが代表例として挙げら
れる。かかる(メタ)アクリル酸エステル系単量体とし
ては、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチ
ル、プロピル、n−ブチル、i−ブチルによるエステル
化物などが挙げられるが、メタクリル酸メチルが好まし
く用いられる。また、かかるシアン化ビニル化合物とし
ては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタク
リロニトリルなどが挙げられるが、アクリロニトリルが
好ましく用いられる。また必要に応じて、他のビニル系
単量体、例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、N
−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体などを
使用することもできる。
【0066】上記ゴム状重合体としては、ガラス転移温
度が0℃以下のものが好適であり、ブタジエンゴム、ス
チレン・ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロ
ニトリル・ブタジエン共重合体ゴム(NBR)などのジ
エン系ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴ
ムおよびエチレン・プロピレン・非共役ジエン三元共重
合体ゴム(EPDM)などのポリオレフィン系ゴムが挙
げられ、なかでもポリブタジエン、エチレン・プロピレ
ン・非共役ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)が好ま
しく用いられる。
度が0℃以下のものが好適であり、ブタジエンゴム、ス
チレン・ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロ
ニトリル・ブタジエン共重合体ゴム(NBR)などのジ
エン系ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴ
ムおよびエチレン・プロピレン・非共役ジエン三元共重
合体ゴム(EPDM)などのポリオレフィン系ゴムが挙
げられ、なかでもポリブタジエン、エチレン・プロピレ
ン・非共役ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)が好ま
しく用いられる。
【0067】本発明において好ましいスチレン系樹脂と
しては、PS(ポリスチレン)等のスチレン系重合体、
HIPS(高衝撃ポリスチレン)等のゴム強化スチレン
系重合体、AS(アクリロニトリル/スチレン共重合
体)等のスチレン系共重合体、AES(アクリロニトリ
ル/エチレン・プロピレン・非共役ジエンゴム/スチレ
ン共重合体)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン
/スチレン共重合体)、MBS(メタクリル酸メチル/
ブタジエン/スチレン共重合体)、ASA(アクリロニ
トリル/スチレン/アクリルゴム共重合体)などのゴム
強化(共)重合体等が挙げられ、なかでも特にPS(ポ
リスチレン)等のスチレン系重合体、AS(アクリロニ
トリル/スチレン共重合体)等のスチレン系共重合体、
ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重
合体)、ASA(アクリロニトリル/スチレン/アクリ
ルゴム共重合体)が好ましい。
しては、PS(ポリスチレン)等のスチレン系重合体、
HIPS(高衝撃ポリスチレン)等のゴム強化スチレン
系重合体、AS(アクリロニトリル/スチレン共重合
体)等のスチレン系共重合体、AES(アクリロニトリ
ル/エチレン・プロピレン・非共役ジエンゴム/スチレ
ン共重合体)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン
/スチレン共重合体)、MBS(メタクリル酸メチル/
ブタジエン/スチレン共重合体)、ASA(アクリロニ
トリル/スチレン/アクリルゴム共重合体)などのゴム
強化(共)重合体等が挙げられ、なかでも特にPS(ポ
リスチレン)等のスチレン系重合体、AS(アクリロニ
トリル/スチレン共重合体)等のスチレン系共重合体、
ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重
合体)、ASA(アクリロニトリル/スチレン/アクリ
ルゴム共重合体)が好ましい。
【0068】かかるポリカーボネート樹脂(以下、PC
樹脂と記す)としては、芳香族二価フェノール系化合物
とホスゲンまたは炭酸ジエステルとを反応させることに
より得られる粘度平均分子量が10000〜10000
00の範囲の芳香族ホモまたはコポリカーボネート樹脂
が挙げられる。
樹脂と記す)としては、芳香族二価フェノール系化合物
とホスゲンまたは炭酸ジエステルとを反応させることに
より得られる粘度平均分子量が10000〜10000
00の範囲の芳香族ホモまたはコポリカーボネート樹脂
が挙げられる。
【0069】ここでいう二価フェノール系化合物の具体
例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ
メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフ
ェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ンおよび1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタンなどが挙げられ、これらは単独あるい
は混合物として使用することができる。
例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ
メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフ
ェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ンおよび1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタンなどが挙げられ、これらは単独あるい
は混合物として使用することができる。
【0070】かかるポリフェニレンエーテル系樹脂(以
下、PPE樹脂と記す)としては、クロロホルム中、3
0℃で測定した固有粘度が0.01〜0.8dl/gの
重合体が好ましく用いられる。具体的には、ポリ(2,
6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6
−ジメチルフェノール/2,4,6−トリメチルフェノ
ール共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,
6−トリエチルフェノール共重合体などを例として挙げ
ることができる。
下、PPE樹脂と記す)としては、クロロホルム中、3
0℃で測定した固有粘度が0.01〜0.8dl/gの
重合体が好ましく用いられる。具体的には、ポリ(2,
6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6
−ジメチルフェノール/2,4,6−トリメチルフェノ
ール共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,
6−トリエチルフェノール共重合体などを例として挙げ
ることができる。
【0071】これら非晶性樹脂は2種以上を併用しても
よく、具体的には、ABS樹脂またはASA樹脂または
AS樹脂とPC樹脂との組み合わせ、PPE樹脂とPS
樹脂またはHIPS樹脂との組み合わせ、PC樹脂とP
S樹脂またはHIPS樹脂との組み合わせなどの例を好
ましく挙げることができる。
よく、具体的には、ABS樹脂またはASA樹脂または
AS樹脂とPC樹脂との組み合わせ、PPE樹脂とPS
樹脂またはHIPS樹脂との組み合わせ、PC樹脂とP
S樹脂またはHIPS樹脂との組み合わせなどの例を好
ましく挙げることができる。
【0072】また、その他の特性、例えば耐薬品性、成
形時の流動性などを付与させるためにこれら非晶性樹
脂、または2種類以上の非晶性樹脂を併用したものの一
部(通常、樹脂成分の70重量%以下、好ましくは60
重量%以下、特に好ましくは50重量%以下)を結晶性
樹脂に置き換えることが可能である。このような結晶性
樹脂としては、例えばポリアミド樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリオレフィン樹
脂、液晶性樹脂などが挙げられ、具体的には、PC樹脂
またはPC樹脂とABS樹脂との組み合わせまたはPC
樹脂とASA樹脂との組み合わせとPBT樹脂および/
またはPETとの組み合わせ、ABS樹脂とポリアミド
樹脂との組み合わせ、PC樹脂とポリアミド樹脂との組
み合わせ、PC樹脂またはPC樹脂とABS樹脂との組
み合わせまたはPC樹脂とASA樹脂との組み合わせと
液晶性樹脂との組み合わせ、PPE樹脂とポリアミド樹
脂との組み合わせ、PPE樹脂とPS樹脂またはHIP
S樹脂との組み合わせと液晶性樹脂との組み合わせなど
の例を好ましく挙げることができる。
形時の流動性などを付与させるためにこれら非晶性樹
脂、または2種類以上の非晶性樹脂を併用したものの一
部(通常、樹脂成分の70重量%以下、好ましくは60
重量%以下、特に好ましくは50重量%以下)を結晶性
樹脂に置き換えることが可能である。このような結晶性
樹脂としては、例えばポリアミド樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリオレフィン樹
脂、液晶性樹脂などが挙げられ、具体的には、PC樹脂
またはPC樹脂とABS樹脂との組み合わせまたはPC
樹脂とASA樹脂との組み合わせとPBT樹脂および/
またはPETとの組み合わせ、ABS樹脂とポリアミド
樹脂との組み合わせ、PC樹脂とポリアミド樹脂との組
み合わせ、PC樹脂またはPC樹脂とABS樹脂との組
み合わせまたはPC樹脂とASA樹脂との組み合わせと
液晶性樹脂との組み合わせ、PPE樹脂とポリアミド樹
脂との組み合わせ、PPE樹脂とPS樹脂またはHIP
S樹脂との組み合わせと液晶性樹脂との組み合わせなど
の例を好ましく挙げることができる。
【0073】一方、結晶性樹脂を使用した場合にも、成
形品中での構成要素[A]の更なる分散性向上を達成す
ることができる。前記結晶性樹脂としては、ポリアミド
樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹
脂、ポリオレフィン樹脂、液晶性樹脂の少なくとも1種
類が配合されていることが好ましい。これら結晶性樹脂
は2種以上を併用してもよく、具体的には、ポリアミド
樹脂と液晶性樹脂との組み合わせ、ポリエステル樹脂と
液晶性樹脂との組み合わせ、ポリプロピレン樹脂と液晶
性樹脂との組み合わせなどの例を好ましく挙げることが
できる。
形品中での構成要素[A]の更なる分散性向上を達成す
ることができる。前記結晶性樹脂としては、ポリアミド
樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹
脂、ポリオレフィン樹脂、液晶性樹脂の少なくとも1種
類が配合されていることが好ましい。これら結晶性樹脂
は2種以上を併用してもよく、具体的には、ポリアミド
樹脂と液晶性樹脂との組み合わせ、ポリエステル樹脂と
液晶性樹脂との組み合わせ、ポリプロピレン樹脂と液晶
性樹脂との組み合わせなどの例を好ましく挙げることが
できる。
【0074】かかるポリオレフィン樹脂とは、エチレ
ン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン
−1、オクテン−1などの通常炭素数が2〜10個程度
のα−オレフィンを主たる構成単位として含む重合体で
ある。また、これらα−オレフィンの単独重合体や共重
合体、およびそれらと酢酸ビニルやアクリル酸エステル
や(無水)不飽和カルボン酸や不飽和シラン化合物など
との共重合体なども含まれる。好ましいポリオレフィン
樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
チレン、エチレン/プロピレン共重合体などが挙げら
れ、これらを単独もしくは混合物として使用することが
できる。
ン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン
−1、オクテン−1などの通常炭素数が2〜10個程度
のα−オレフィンを主たる構成単位として含む重合体で
ある。また、これらα−オレフィンの単独重合体や共重
合体、およびそれらと酢酸ビニルやアクリル酸エステル
や(無水)不飽和カルボン酸や不飽和シラン化合物など
との共重合体なども含まれる。好ましいポリオレフィン
樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
チレン、エチレン/プロピレン共重合体などが挙げら
れ、これらを単独もしくは混合物として使用することが
できる。
【0075】なお、本発明におけるかかる液晶性樹脂と
は、溶融時に異方性を形成し得る樹脂であり、液晶ポリ
エステル、液晶ポリエステルアミド、液晶ポリカーボネ
ート、液晶ポリエステルエラストマーなどが挙げられ、
中でも液晶ポリエステル、液晶ポリエステルアミドなど
が好ましく用いられる。とりわけ好ましい液晶性樹脂と
しては、液晶ポリエステルが挙げられる。
は、溶融時に異方性を形成し得る樹脂であり、液晶ポリ
エステル、液晶ポリエステルアミド、液晶ポリカーボネ
ート、液晶ポリエステルエラストマーなどが挙げられ、
中でも液晶ポリエステル、液晶ポリエステルアミドなど
が好ましく用いられる。とりわけ好ましい液晶性樹脂と
しては、液晶ポリエステルが挙げられる。
【0076】本発明における結晶性の熱可塑性樹脂とし
て、特に好ましくは構成要素[A]との界面接着性の面
から、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂を使用するの
がよい。
て、特に好ましくは構成要素[A]との界面接着性の面
から、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂を使用するの
がよい。
【0077】本発明において、特に有用なポリアミド樹
脂は、150℃以上の融点を有する上に、耐熱性や強度
に優れたナイロン樹脂であり、具体的な例としてはナイ
ロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン61
0、ナイロン612、ナイロン9T、ナイロン66/6
T、ナイロン6T/6、ナイロン6I/6、ナイロン6
6/6T、ナイロン66/6I、ナイロン12/6T、
ナイロン66/6T/6I、ナイロン6T/6I、ナイ
ロン6T/M5T、ナイロンXD6、およびこれらの混
合物ないし共重合体などを好ましく使用することができ
る。
脂は、150℃以上の融点を有する上に、耐熱性や強度
に優れたナイロン樹脂であり、具体的な例としてはナイ
ロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン61
0、ナイロン612、ナイロン9T、ナイロン66/6
T、ナイロン6T/6、ナイロン6I/6、ナイロン6
6/6T、ナイロン66/6I、ナイロン12/6T、
ナイロン66/6T/6I、ナイロン6T/6I、ナイ
ロン6T/M5T、ナイロンXD6、およびこれらの混
合物ないし共重合体などを好ましく使用することができ
る。
【0078】また、特性(特に耐衝撃性)改良の必要性
に応じて、酸変性オレフィン系重合体、オレフィン系共
重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリ
エステルポリエステルエラストマーなどのエラストマー
から選ばれる1種または2種以上の混合物を添加して、
所望の特性をさらに付与した樹脂も使用することもでき
る。
に応じて、酸変性オレフィン系重合体、オレフィン系共
重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリ
エステルポリエステルエラストマーなどのエラストマー
から選ばれる1種または2種以上の混合物を添加して、
所望の特性をさらに付与した樹脂も使用することもでき
る。
【0079】かかるポリエステル樹脂としては、実質的
に、ジカルボン酸とグリコールとの重縮合物、環状ラク
トンの開環重合物、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物、
二塩基酸とグリコールとの重縮合物などが挙げられ、具
体的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロ
ピレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタ
レート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエ
チレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹
脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂
およびポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタ
ン−4、4'−ジカルボキシレート樹脂などのほか、ポ
リエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4、
4'−ジカルボキシレート樹脂などのほか、ポリエチレ
ンイソフタレート/テレフタレート樹脂、ポリブチレン
テレフタレート/イソフタレート樹脂、ポリブチレンテ
レフタレート/デカンジカルボキシレート樹脂およびポ
リシクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタ
レート樹脂などの共重合体や混合物を挙げることができ
る。
に、ジカルボン酸とグリコールとの重縮合物、環状ラク
トンの開環重合物、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物、
二塩基酸とグリコールとの重縮合物などが挙げられ、具
体的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロ
ピレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタ
レート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエ
チレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹
脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂
およびポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタ
ン−4、4'−ジカルボキシレート樹脂などのほか、ポ
リエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4、
4'−ジカルボキシレート樹脂などのほか、ポリエチレ
ンイソフタレート/テレフタレート樹脂、ポリブチレン
テレフタレート/イソフタレート樹脂、ポリブチレンテ
レフタレート/デカンジカルボキシレート樹脂およびポ
リシクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタ
レート樹脂などの共重合体や混合物を挙げることができ
る。
【0080】特に本発明に好適なポリエステル樹脂とし
てはポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン
テレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート
樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン
ナフタレート樹脂を挙げることができ、より好ましくは
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチ
レンテレフタレート(PBT)樹脂である。
てはポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン
テレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート
樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン
ナフタレート樹脂を挙げることができ、より好ましくは
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチ
レンテレフタレート(PBT)樹脂である。
【0081】ここで、高い難燃性を成形品に付与する場
合には、前述の樹脂等にフェノール系樹脂を配合するの
が好ましい。かかるフェノール系樹脂とは、少なくとも
フェノール性水酸基を有する成分を単独もしくは共重合
されたものを指し、例えば各種フェノール樹脂(フェノ
ールノボラック、クレゾールノボラック、オクチルフェ
ノール、フェニルフェノール、ナフトールノボラック、
フェノールアラルキル、ナフトールアラルキル、フェノ
ールレゾールなど)や変性フェノール樹脂(アルキルベ
ンゼン変性(特にキシレン変性)、カシュー変性、テル
ペン変性など)などが挙げられる。好ましいフェノール
系重合体としては、フェノールノボラック樹脂、フェノ
ールアラルキル樹脂などが挙げられる。
合には、前述の樹脂等にフェノール系樹脂を配合するの
が好ましい。かかるフェノール系樹脂とは、少なくとも
フェノール性水酸基を有する成分を単独もしくは共重合
されたものを指し、例えば各種フェノール樹脂(フェノ
ールノボラック、クレゾールノボラック、オクチルフェ
ノール、フェニルフェノール、ナフトールノボラック、
フェノールアラルキル、ナフトールアラルキル、フェノ
ールレゾールなど)や変性フェノール樹脂(アルキルベ
ンゼン変性(特にキシレン変性)、カシュー変性、テル
ペン変性など)などが挙げられる。好ましいフェノール
系重合体としては、フェノールノボラック樹脂、フェノ
ールアラルキル樹脂などが挙げられる。
【0082】本発明で用いられるフェノール系樹脂とし
て特に優れたものとしては、フェノールノボラック、キ
シレン変性フェノール(とりわけメタキシレン変性フェ
ノール)が挙げられ、特に樹脂に配合した場合、その親
和性の高さに起因する優れた成形性と難燃性とを発現す
ることができる。
て特に優れたものとしては、フェノールノボラック、キ
シレン変性フェノール(とりわけメタキシレン変性フェ
ノール)が挙げられ、特に樹脂に配合した場合、その親
和性の高さに起因する優れた成形性と難燃性とを発現す
ることができる。
【0083】本発明の飽和ポリエステル系サイジング剤
と組み合わせると本発明の効果を最大限に発現する熱可
塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、ポリカーボネート
樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂から選ばれる少なく
とも1種が挙げられる。
と組み合わせると本発明の効果を最大限に発現する熱可
塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、ポリカーボネート
樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂から選ばれる少なく
とも1種が挙げられる。
【0084】本発明の樹脂組成物は、該樹脂組成物10
0重量%に対して、構成要素[A]は1〜85重量%の
範囲で配合されていることが望ましい。構成要素[A]
が1重量%未満であると、所望の導電性が得にくく、8
5重量%を越えると、成形時の流動性が低下し、成形性
に劣る。より好ましくは5〜50重量%、更に好ましく
は8〜40重量%の範囲である。とりわけ15〜30重
量%の範囲であるのが好ましい。
0重量%に対して、構成要素[A]は1〜85重量%の
範囲で配合されていることが望ましい。構成要素[A]
が1重量%未満であると、所望の導電性が得にくく、8
5重量%を越えると、成形時の流動性が低下し、成形性
に劣る。より好ましくは5〜50重量%、更に好ましく
は8〜40重量%の範囲である。とりわけ15〜30重
量%の範囲であるのが好ましい。
【0085】本発明の樹脂組成物には、その目的に応じ
て更に充填材、導電性付与材、難燃剤(ハロゲン系(臭
素化樹脂など)、アンチモン系(三酸化アンチモン、五
酸化アンチモンなど)、リン系(赤燐、ポリ燐酸アンモ
ニウム、ホスホネート、ホスフェートなど)、有機酸金
属塩系(有ホウ酸金属塩、カルボン酸金属塩、芳香族ス
ルホンイミド金属塩など)、無機系(硼酸亜鉛、亜鉛、
酸化亜鉛、ジルコニウム化合物など)、窒素系(シアヌ
ル酸、イソシアヌル酸、メラミン、メラミンシアヌレー
ト、メラミンホスフェート、窒素化グアニジンなど)、
フッ素系(PTFEなど)、シリコーン系(ポリオルガ
ノシロキサンなど)、金属水酸化物系(水酸化アルミニ
ウム、水酸化マグネシウム)など)、難燃助剤(酸化カ
ドミウム、酸化亜鉛、酸化第一銅、酸化第二銅、酸化第
一鉄、酸化第二鉄、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化
モリブデン、酸化スズおよび酸化チタンなど)、顔料、
染料、滑剤、離型剤、相溶化剤、分散剤、結晶核剤(マ
イカ、タルク、カオリンなど)、可塑剤(リン酸エステ
ルなど)、熱安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線
吸収剤、流動性改質剤、発泡剤、抗菌剤、制振剤、防臭
剤、摺動性改質剤、帯電防止剤(ポリエーテルエステル
アミドなど)等の任意の添加剤を、単独でも、2種類以
上ブレンドしたものでも使用することができる。
て更に充填材、導電性付与材、難燃剤(ハロゲン系(臭
素化樹脂など)、アンチモン系(三酸化アンチモン、五
酸化アンチモンなど)、リン系(赤燐、ポリ燐酸アンモ
ニウム、ホスホネート、ホスフェートなど)、有機酸金
属塩系(有ホウ酸金属塩、カルボン酸金属塩、芳香族ス
ルホンイミド金属塩など)、無機系(硼酸亜鉛、亜鉛、
酸化亜鉛、ジルコニウム化合物など)、窒素系(シアヌ
ル酸、イソシアヌル酸、メラミン、メラミンシアヌレー
ト、メラミンホスフェート、窒素化グアニジンなど)、
フッ素系(PTFEなど)、シリコーン系(ポリオルガ
ノシロキサンなど)、金属水酸化物系(水酸化アルミニ
ウム、水酸化マグネシウム)など)、難燃助剤(酸化カ
ドミウム、酸化亜鉛、酸化第一銅、酸化第二銅、酸化第
一鉄、酸化第二鉄、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化
モリブデン、酸化スズおよび酸化チタンなど)、顔料、
染料、滑剤、離型剤、相溶化剤、分散剤、結晶核剤(マ
イカ、タルク、カオリンなど)、可塑剤(リン酸エステ
ルなど)、熱安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線
吸収剤、流動性改質剤、発泡剤、抗菌剤、制振剤、防臭
剤、摺動性改質剤、帯電防止剤(ポリエーテルエステル
アミドなど)等の任意の添加剤を、単独でも、2種類以
上ブレンドしたものでも使用することができる。
【0086】ここでいう充填材とは、力学的特性(例え
ば引張強度、弾性率、伸度、衝撃強度、線膨張率、熱変
形温度など)、熱的特性(例えば熱膨張率、熱伝導率な
ど)、成形加工性(例えばスクリューへの噛込、粘度、
充填度、成形収縮、バリ、ヒケ、表面平滑性など)、比
重、異方性などの制御や、コストの低減など、本発明の
樹脂組成物に用途に応じた効果を付与するために配合さ
れる。かかる充填材としては、例えば、マイカ、タル
ク、カオリン、セリサイト、ベントナイト、ゾノトライ
ト、セピオライト、スメクタイト、モンモリロナイト、
ワラステナイト、シリカ、炭酸カルシウム、ガラス繊
維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバ
ルーン、クレー、二硫化モリブデン、酸化チタン、酸化
亜鉛、酸化アンチモン、ポリリン酸カルシウム、グラフ
ァイト、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、ホウ酸亜
鉛、ホウ酸亜カルシウム、ホウ酸アルミニウムウィス
カ、チタン酸カリウムウィスカ、高分子などを使用でき
る。これらの充填材は単独でも、2種類以上ブレンドし
たものでもよく、表面処理されていても有機化処理され
ていてもよい。これらの中でも樹脂中での分散性、力学
的特性、コスト、導電性などのバランスから、ガラス繊
維、ワラステナイト、モンモリロナイト、酸化チタン、
チタン酸カリウムが好ましい。
ば引張強度、弾性率、伸度、衝撃強度、線膨張率、熱変
形温度など)、熱的特性(例えば熱膨張率、熱伝導率な
ど)、成形加工性(例えばスクリューへの噛込、粘度、
充填度、成形収縮、バリ、ヒケ、表面平滑性など)、比
重、異方性などの制御や、コストの低減など、本発明の
樹脂組成物に用途に応じた効果を付与するために配合さ
れる。かかる充填材としては、例えば、マイカ、タル
ク、カオリン、セリサイト、ベントナイト、ゾノトライ
ト、セピオライト、スメクタイト、モンモリロナイト、
ワラステナイト、シリカ、炭酸カルシウム、ガラス繊
維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバ
ルーン、クレー、二硫化モリブデン、酸化チタン、酸化
亜鉛、酸化アンチモン、ポリリン酸カルシウム、グラフ
ァイト、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、ホウ酸亜
鉛、ホウ酸亜カルシウム、ホウ酸アルミニウムウィス
カ、チタン酸カリウムウィスカ、高分子などを使用でき
る。これらの充填材は単独でも、2種類以上ブレンドし
たものでもよく、表面処理されていても有機化処理され
ていてもよい。これらの中でも樹脂中での分散性、力学
的特性、コスト、導電性などのバランスから、ガラス繊
維、ワラステナイト、モンモリロナイト、酸化チタン、
チタン酸カリウムが好ましい。
【0087】また、ここでいう導電性付与材とは、導電
性を有しているものをいい、例えば金属(粒子状、フレ
ーク状、リボン状など)、金属酸化物(粒子状など)、
カーボン(カーボンブラックなど)、グラファイト(鱗
片状、膨張粒子状、微細粉末状など)、そのもの自体が
導電性を有する充填材や、非導電性の充填材の表面に導
電体を被覆したもの、導電性高分子などが挙げられ、こ
れらを単独で使用しても、2種類以上を併用してもよ
い。前述の充填材に被覆される導電体とは、導電性を有
しているものを差し、例えば金属、金属酸化物、カーボ
ンなどが挙げられるが、その中でも最も導電性の高い金
属が好ましい。これらの中でも樹脂中での分散性、力学
的特性、コスト、導電性などのバランスから、カーボン
ブラックが好ましい。
性を有しているものをいい、例えば金属(粒子状、フレ
ーク状、リボン状など)、金属酸化物(粒子状など)、
カーボン(カーボンブラックなど)、グラファイト(鱗
片状、膨張粒子状、微細粉末状など)、そのもの自体が
導電性を有する充填材や、非導電性の充填材の表面に導
電体を被覆したもの、導電性高分子などが挙げられ、こ
れらを単独で使用しても、2種類以上を併用してもよ
い。前述の充填材に被覆される導電体とは、導電性を有
しているものを差し、例えば金属、金属酸化物、カーボ
ンなどが挙げられるが、その中でも最も導電性の高い金
属が好ましい。これらの中でも樹脂中での分散性、力学
的特性、コスト、導電性などのバランスから、カーボン
ブラックが好ましい。
【0088】なお、本発明の樹脂組成物に上記充填材、
導電性付与材、難燃剤などを配合する場合には、樹脂な
どに予め押出機などにより混練してもよいし、樹脂組成
物とは別にドライブレンド、塗布などにより配合しても
よい。また、樹脂の重合時に予め混合しておいてもよ
い。
導電性付与材、難燃剤などを配合する場合には、樹脂な
どに予め押出機などにより混練してもよいし、樹脂組成
物とは別にドライブレンド、塗布などにより配合しても
よい。また、樹脂の重合時に予め混合しておいてもよ
い。
【0089】本発明の樹脂組成物は、例えば射出成形
(射出圧縮成形、ガスアシスト射出成形、インサート成
形、超臨界流体微細発砲成形など)、ブロー成形、回転
成形、押出成形、プレス成形、トランスファー成形、フ
ィラメントワインディング成形などの成形方法によって
成形されるが、最も望ましい成形法は、生産性の高い射
出成形により成形するのがよい。かかる成形に用いられ
る成形材料の形態としては、ペレット、スタンパブルシ
ート、プリプレグ等を使用することができるが、最も望
ましい成形材料は、射出成形に用いられるペレットであ
る。前記ペレットは、一般的には、所望量の樹脂と繊維
のチョップド糸、もしくは連続繊維を押出機中で混練
し、押出、ペレタイズすることによって得られたものを
指す。前述のペレットは、ペレットの長手方向の長さよ
り、ペレット中の繊維長さの方が短くなるが、本発明で
いうペレットには、長繊維ペレットも含まれる。長繊維
ペレットとは、特公昭63−37694号公報に示され
るような、繊維がペレットの長手方向に、ほぼ平行に配
列し、ペレット中の繊維長さが、ペレット長さと同一も
しくはそれ以上であるものを指す。この場合、樹脂は繊
維束中に含浸されていても、繊維束に被覆されていても
よい。特に樹脂が被覆された長繊維ペレットの場合、繊
維束には被覆されたものと同じか、あるいは被覆された
樹脂よりも低粘度(もしくは低分子量)の樹脂が、予め
含浸されていてもよい。
(射出圧縮成形、ガスアシスト射出成形、インサート成
形、超臨界流体微細発砲成形など)、ブロー成形、回転
成形、押出成形、プレス成形、トランスファー成形、フ
ィラメントワインディング成形などの成形方法によって
成形されるが、最も望ましい成形法は、生産性の高い射
出成形により成形するのがよい。かかる成形に用いられ
る成形材料の形態としては、ペレット、スタンパブルシ
ート、プリプレグ等を使用することができるが、最も望
ましい成形材料は、射出成形に用いられるペレットであ
る。前記ペレットは、一般的には、所望量の樹脂と繊維
のチョップド糸、もしくは連続繊維を押出機中で混練
し、押出、ペレタイズすることによって得られたものを
指す。前述のペレットは、ペレットの長手方向の長さよ
り、ペレット中の繊維長さの方が短くなるが、本発明で
いうペレットには、長繊維ペレットも含まれる。長繊維
ペレットとは、特公昭63−37694号公報に示され
るような、繊維がペレットの長手方向に、ほぼ平行に配
列し、ペレット中の繊維長さが、ペレット長さと同一も
しくはそれ以上であるものを指す。この場合、樹脂は繊
維束中に含浸されていても、繊維束に被覆されていても
よい。特に樹脂が被覆された長繊維ペレットの場合、繊
維束には被覆されたものと同じか、あるいは被覆された
樹脂よりも低粘度(もしくは低分子量)の樹脂が、予め
含浸されていてもよい。
【0090】本発明の樹脂組成物からなる成形品が、優
れた導電性、力学的特性(特に強度、耐衝撃性)を兼ね
備えるためには、成形品中の炭素繊維長さを長くするこ
とが有効であるが、そのためには、前述のペレットの中
でも長繊維ペレットを用いて成形するのが望ましい。
れた導電性、力学的特性(特に強度、耐衝撃性)を兼ね
備えるためには、成形品中の炭素繊維長さを長くするこ
とが有効であるが、そのためには、前述のペレットの中
でも長繊維ペレットを用いて成形するのが望ましい。
【0091】前記ペレットを得るための押出による混
練、ペレタイズにおいて、優れた導電性、力学的特性
(強度、耐衝撃性)を同時に達成するためには、ペレッ
トさらには成形品中の炭素繊維長さを長くすることが有
効であるが、この場合、特に押出条件および押出機、さ
らにペレット姿の影響を考慮しなければならない。押出
条件に関していえば、吐出量が低いほど、スクリュー回
転数が遅いほど、ペレット中の炭素繊維長さが長くでき
る傾向がある。押出機については、軸数が少ないほど、
ダイス径が太いほど、L/dが短いほど、スクリュー溝
深さが深いほど、圧縮比が低いほど、ペレット中の炭素
繊維長さが長くできる傾向がある。ペレット姿について
は、直径、長さを大きくするほど、ペレット中の炭素繊
維長さが長くできる傾向がある。
練、ペレタイズにおいて、優れた導電性、力学的特性
(強度、耐衝撃性)を同時に達成するためには、ペレッ
トさらには成形品中の炭素繊維長さを長くすることが有
効であるが、この場合、特に押出条件および押出機、さ
らにペレット姿の影響を考慮しなければならない。押出
条件に関していえば、吐出量が低いほど、スクリュー回
転数が遅いほど、ペレット中の炭素繊維長さが長くでき
る傾向がある。押出機については、軸数が少ないほど、
ダイス径が太いほど、L/dが短いほど、スクリュー溝
深さが深いほど、圧縮比が低いほど、ペレット中の炭素
繊維長さが長くできる傾向がある。ペレット姿について
は、直径、長さを大きくするほど、ペレット中の炭素繊
維長さが長くできる傾向がある。
【0092】前記ペレットを用いた射出成形による成形
品において、優れた導電性、力学的特性(強度、耐衝撃
性)を同時に達成するためには、成形品中の炭素繊維長
さを長くすることが有効であるが、この場合、特に成形
条件および射出成形機、さらに金型の影響を考慮しなけ
ればならない。成形条件に関していえば、背圧が低いほ
ど、射出速度が遅いほど、スクリュー回転数が遅いほ
ど、成形品中の炭素繊維長さが長くできる傾向があり、
特に背圧は、計量性が不安定にならない程度に、できる
だけ低く設定するのが望ましい。望ましい背圧は0.1
〜1MPa程度である。射出成形機については、ノズル
径が太いほど、ノズルのテーパー角度が小さいほど、ス
クリュー溝深さが深いほど、圧縮比が低いほど、成形品
中の炭素繊維長さが長くできる傾向がある。金型につい
ては、スプルー径、ゲート径を大きくするほど、成形品
中の炭素繊維長さが長くできる傾向がある。
品において、優れた導電性、力学的特性(強度、耐衝撃
性)を同時に達成するためには、成形品中の炭素繊維長
さを長くすることが有効であるが、この場合、特に成形
条件および射出成形機、さらに金型の影響を考慮しなけ
ればならない。成形条件に関していえば、背圧が低いほ
ど、射出速度が遅いほど、スクリュー回転数が遅いほ
ど、成形品中の炭素繊維長さが長くできる傾向があり、
特に背圧は、計量性が不安定にならない程度に、できる
だけ低く設定するのが望ましい。望ましい背圧は0.1
〜1MPa程度である。射出成形機については、ノズル
径が太いほど、ノズルのテーパー角度が小さいほど、ス
クリュー溝深さが深いほど、圧縮比が低いほど、成形品
中の炭素繊維長さが長くできる傾向がある。金型につい
ては、スプルー径、ゲート径を大きくするほど、成形品
中の炭素繊維長さが長くできる傾向がある。
【0093】本発明における成形品は、優れた力学的特
性だけでなく、優れた導電性を付与できるため、体積固
有抵抗値が50Ω・cm以下である成形品として用いら
れるのが好ましい。成形品としては、その体積固有抵抗
値が50Ω・cmを越える場合、電磁波シールド材等の
用途には適応しにくく、用途が限定される場合がある。
本発明の樹脂組成物より得られる成形品は、その体積固
有抵抗値が、望ましくは50Ω・cm以下であるものが
よい。好ましくは30Ω・cm以下、更に好ましくは1
0Ω・cm以下、とりわけ2Ω・cm以下が好ましい。
性だけでなく、優れた導電性を付与できるため、体積固
有抵抗値が50Ω・cm以下である成形品として用いら
れるのが好ましい。成形品としては、その体積固有抵抗
値が50Ω・cmを越える場合、電磁波シールド材等の
用途には適応しにくく、用途が限定される場合がある。
本発明の樹脂組成物より得られる成形品は、その体積固
有抵抗値が、望ましくは50Ω・cm以下であるものが
よい。好ましくは30Ω・cm以下、更に好ましくは1
0Ω・cm以下、とりわけ2Ω・cm以下が好ましい。
【0094】本発明においては、体積固有抵抗値を測定
する試験片を成形する場合、基本的に炭素繊維を試験片
の測定方向に配向させるようにして試験片を得る。ここ
で測定方向とは、体積固有抵抗値を測定する端子が位置
される直線と平行な方向を指す。特に射出成形にて成形
する場合は、試験片の測定方向と直交方向の辺に位置し
たフィルムゲート(またはファンゲート)または測定方
向の辺の内で測定方向と直交方向の辺の極近傍に位置す
るファンゲートにて充填させる金型を用いて成形して試
験片を得る。
する試験片を成形する場合、基本的に炭素繊維を試験片
の測定方向に配向させるようにして試験片を得る。ここ
で測定方向とは、体積固有抵抗値を測定する端子が位置
される直線と平行な方向を指す。特に射出成形にて成形
する場合は、試験片の測定方向と直交方向の辺に位置し
たフィルムゲート(またはファンゲート)または測定方
向の辺の内で測定方向と直交方向の辺の極近傍に位置す
るファンゲートにて充填させる金型を用いて成形して試
験片を得る。
【0095】前記体積固有抵抗値は成形品から測定す
る。ここでいう体積固有抵抗値とは、絶乾状態(水分率
0.05%以下)の直方体形状(長さ70mm×幅1
2.7mm×厚み2mm)を有している試験片の導電ペ
ーストを塗布された両端部(幅×厚み面)の電気抵抗値
から、測定機器、治具などの接触抵抗値を減じた値につ
いて、前記試験片の端部面積を乗じ、試験片長さで除す
ことにより算出する(単位はΩ・cm)。なお、電気抵
抗値の測定にはデジタルマルチメーター(アドバンテス
ト社製R6581)を用いた。
る。ここでいう体積固有抵抗値とは、絶乾状態(水分率
0.05%以下)の直方体形状(長さ70mm×幅1
2.7mm×厚み2mm)を有している試験片の導電ペ
ーストを塗布された両端部(幅×厚み面)の電気抵抗値
から、測定機器、治具などの接触抵抗値を減じた値につ
いて、前記試験片の端部面積を乗じ、試験片長さで除す
ことにより算出する(単位はΩ・cm)。なお、電気抵
抗値の測定にはデジタルマルチメーター(アドバンテス
ト社製R6581)を用いた。
【0096】また、本発明における成形品は、優れた力
学的特性だけでなく、優れた導電性を付与できるため、
表面抵抗値が1×106Ω/□以下である成形品として
用いられるのが好ましい。成形品としては、その表面抵
抗値が1×106Ω/□を越える場合、帯電防止材等の
用途には適応しにくく、用途が限定される場合がある。
本発明の樹脂組成物より得られる成形品は、その表面抵
抗値が、好ましくは1×105Ω/□以下であるものが
よい。好ましくは1×104Ω/□以下、さらに好まし
くは1×103Ω/□以下、とりわけ1×102Ω/□以
下が好ましい。
学的特性だけでなく、優れた導電性を付与できるため、
表面抵抗値が1×106Ω/□以下である成形品として
用いられるのが好ましい。成形品としては、その表面抵
抗値が1×106Ω/□を越える場合、帯電防止材等の
用途には適応しにくく、用途が限定される場合がある。
本発明の樹脂組成物より得られる成形品は、その表面抵
抗値が、好ましくは1×105Ω/□以下であるものが
よい。好ましくは1×104Ω/□以下、さらに好まし
くは1×103Ω/□以下、とりわけ1×102Ω/□以
下が好ましい。
【0097】本発明において、表面抵抗値を測定する試
験片は、炭素繊維の配向性の影響を最小限にするため、
フィルムゲートにて成形される正方形の成形品(長さ8
0mm×幅80mm×厚み3mm)を用いる。その試験
片に、幅20mm×長さ20mmの範囲で導電性ペース
トを、図1に示す4箇所に塗布するが、ここで隣り合う
塗布部分が、お互いに幅方向に20mm、長さ方向に2
0mmの距離を有し、4箇所の塗布部分に囲まれる導電
性ペーストが塗布されていない幅20mm×長さ20m
mの範囲の中心点が成形品の中心点となるように塗布す
る。この導電性ペーストを塗布した試験片について絶乾
状態(水分率0.05%以下)にて測定に供した。ここ
で、測定に際しては、導電性ペーストを塗布した範囲
(1)−(2)間、(3)−(4)間の電気抵抗値の平
均値を長さ方向の表面抵抗値とし、(1)−(3)間、
(2)−(4)間の電気抵抗値の平均値を幅方向の表面
抵抗値とし、長さ方向と幅方向との平均値をその試験片
における表面抵抗値とした(単位はΩ/□)。なお、電
気抵抗値の測定には、デジタルマルチメーター(アドバ
ンテスト社製R6581)を用いた。
験片は、炭素繊維の配向性の影響を最小限にするため、
フィルムゲートにて成形される正方形の成形品(長さ8
0mm×幅80mm×厚み3mm)を用いる。その試験
片に、幅20mm×長さ20mmの範囲で導電性ペース
トを、図1に示す4箇所に塗布するが、ここで隣り合う
塗布部分が、お互いに幅方向に20mm、長さ方向に2
0mmの距離を有し、4箇所の塗布部分に囲まれる導電
性ペーストが塗布されていない幅20mm×長さ20m
mの範囲の中心点が成形品の中心点となるように塗布す
る。この導電性ペーストを塗布した試験片について絶乾
状態(水分率0.05%以下)にて測定に供した。ここ
で、測定に際しては、導電性ペーストを塗布した範囲
(1)−(2)間、(3)−(4)間の電気抵抗値の平
均値を長さ方向の表面抵抗値とし、(1)−(3)間、
(2)−(4)間の電気抵抗値の平均値を幅方向の表面
抵抗値とし、長さ方向と幅方向との平均値をその試験片
における表面抵抗値とした(単位はΩ/□)。なお、電
気抵抗値の測定には、デジタルマルチメーター(アドバ
ンテスト社製R6581)を用いた。
【0098】更に、本発明における成形品は、優れた力
学的特性だけでなく、優れた導電性を付与できるため、
1GHzにおける電界シールド性が15dB以上である
成形品として用いられるのが好ましい。成形品として
は、その電界シールド性が15dB未満の場合、電磁波
シールド材等の用途には適応しにくく、用途が限定され
る場合がある。好ましくは1GHzにおいて17dB以
上、より好ましくは20dB以上、さらに好ましくは2
3dB以上、とりわけ29dB以上が好ましい。
学的特性だけでなく、優れた導電性を付与できるため、
1GHzにおける電界シールド性が15dB以上である
成形品として用いられるのが好ましい。成形品として
は、その電界シールド性が15dB未満の場合、電磁波
シールド材等の用途には適応しにくく、用途が限定され
る場合がある。好ましくは1GHzにおいて17dB以
上、より好ましくは20dB以上、さらに好ましくは2
3dB以上、とりわけ29dB以上が好ましい。
【0099】本発明において、電界シールド性を測定す
る試験片は、幅150mm×長さ150mm×厚さ1m
mの正方形の平板にて測定する。ここで、実際の成形品
における値をできるだけ反映させるため、図2に示す幅
155mm×長さ190mm×厚さ1mmの平面で、高
さ12mmの立ち壁を有するハウジングを直径1.5m
mの8点のピンゲートで成形し、その中心から幅150
mm×長さ150mm×厚さ1mmの正方形の平板を切
り出す。このピンゲートのレイアウトは図3に示す8箇
所で、ピンゲート(8)と(9)との間隔は105m
m、ピンゲート(10)と(12)、(13)と(1
5)との間隔は130mm、ピンゲート(11)と(1
4)との間隔は95mm、ピンゲート(10)と(1
3)、(12)と(15)との間隔は115mmであ
る。この切り出した試験片の板厚面の全周に導電性ペー
ストを塗布し、絶乾状態(水分率0.05%以下)にて
測定に供した(単位はdB)。なお、測定はアドバンテ
スト法にて行い、シールドボックスはTR−17301
A(アドバンテスト社製)、スペクトルアナライザーは
R3361B(アドバンテスト社製)を用い、周波数1
0MHz〜1GHzの範囲で測定した。
る試験片は、幅150mm×長さ150mm×厚さ1m
mの正方形の平板にて測定する。ここで、実際の成形品
における値をできるだけ反映させるため、図2に示す幅
155mm×長さ190mm×厚さ1mmの平面で、高
さ12mmの立ち壁を有するハウジングを直径1.5m
mの8点のピンゲートで成形し、その中心から幅150
mm×長さ150mm×厚さ1mmの正方形の平板を切
り出す。このピンゲートのレイアウトは図3に示す8箇
所で、ピンゲート(8)と(9)との間隔は105m
m、ピンゲート(10)と(12)、(13)と(1
5)との間隔は130mm、ピンゲート(11)と(1
4)との間隔は95mm、ピンゲート(10)と(1
3)、(12)と(15)との間隔は115mmであ
る。この切り出した試験片の板厚面の全周に導電性ペー
ストを塗布し、絶乾状態(水分率0.05%以下)にて
測定に供した(単位はdB)。なお、測定はアドバンテ
スト法にて行い、シールドボックスはTR−17301
A(アドバンテスト社製)、スペクトルアナライザーは
R3361B(アドバンテスト社製)を用い、周波数1
0MHz〜1GHzの範囲で測定した。
【0100】前述の体積固有抵抗値、表面抵抗値、およ
び電界シールド性など導電性が必要な成形品において、
成形品の導電性と原料コスト低減とを同時に満足させる
ためには、樹脂組成物において、構成要素[A]の添加
量を低く抑えるのが好ましいが、その場合は導電性が低
下する。その場合でも、前述のカーボンブラックなどの
導電性付与材により高導電化が達成されることから、特
に優れた導電性が必要な場合には導電性付与材を配合す
ることが好ましい。
び電界シールド性など導電性が必要な成形品において、
成形品の導電性と原料コスト低減とを同時に満足させる
ためには、樹脂組成物において、構成要素[A]の添加
量を低く抑えるのが好ましいが、その場合は導電性が低
下する。その場合でも、前述のカーボンブラックなどの
導電性付与材により高導電化が達成されることから、特
に優れた導電性が必要な場合には導電性付与材を配合す
ることが好ましい。
【0101】本発明における成形品は、特に構成要素
[A]に起因して、優れた導電性だけではなく高い剛性
を兼ね備えているため、ASTM D 790規格(ス
パン間距離L/板厚D=16)において、板厚6.4m
m(1/4インチ)での曲げ弾性率が5〜40GPaの
範囲である成形品として用いるのが最適である。好まし
くは8〜30GPa、より好ましくは10〜25GPa
の範囲である成形品として用いるのが本発明の効果をよ
り発揮できる。
[A]に起因して、優れた導電性だけではなく高い剛性
を兼ね備えているため、ASTM D 790規格(ス
パン間距離L/板厚D=16)において、板厚6.4m
m(1/4インチ)での曲げ弾性率が5〜40GPaの
範囲である成形品として用いるのが最適である。好まし
くは8〜30GPa、より好ましくは10〜25GPa
の範囲である成形品として用いるのが本発明の効果をよ
り発揮できる。
【0102】本発明における成形品は、優れた導電性だ
けではなく、難燃剤や難燃助剤を配合した場合には高い
難燃性を付与できるため、UL−94規格において、
1.6mm(1/16インチ)厚での難燃性がV−0ま
たはそれより良好なものが得られる成形品として用いら
れるのが好ましい。ここで、V−0の難燃性とは、UL
−94規格(Underwriters Labora
tories Inc.で考案された米国燃焼試験法)
において、燃焼時間やその状態、延焼の有無、滴下(ド
リップ)の有無やその滴下物の燃焼性などにより規定さ
れているV−0の条件を満たした難燃性を指す。また、
V−0よりも良好な難燃性とは、前記V−0クラスにお
ける規定値よりも更に少ない燃焼時間を示す難燃性や、
試験片の厚みがより薄い場合においてV−0の規定条件
を満たす難燃性を指す。
けではなく、難燃剤や難燃助剤を配合した場合には高い
難燃性を付与できるため、UL−94規格において、
1.6mm(1/16インチ)厚での難燃性がV−0ま
たはそれより良好なものが得られる成形品として用いら
れるのが好ましい。ここで、V−0の難燃性とは、UL
−94規格(Underwriters Labora
tories Inc.で考案された米国燃焼試験法)
において、燃焼時間やその状態、延焼の有無、滴下(ド
リップ)の有無やその滴下物の燃焼性などにより規定さ
れているV−0の条件を満たした難燃性を指す。また、
V−0よりも良好な難燃性とは、前記V−0クラスにお
ける規定値よりも更に少ない燃焼時間を示す難燃性や、
試験片の厚みがより薄い場合においてV−0の規定条件
を満たす難燃性を指す。
【0103】また、本発明における成形品は、優れた導
電性に加え、高い力学的特性(強度、剛性、耐衝撃性)
を兼ね備えているので、従来の成形品より肉厚をより小
さくすることが可能であり、好ましくは肉厚が4mm以
下の薄肉成形品として用いるのが最適であり、より好ま
しくは肉厚3mm以下、さらに好ましくは肉厚2mm以
下、とりわけ1.5mm以下の薄肉成形品として用いる
のがよい。ここでいう成形品の肉厚とは、成形品のう
ち、リブ部分やボス部分などの突起物などを除いた平板
部分の肉厚を指す。
電性に加え、高い力学的特性(強度、剛性、耐衝撃性)
を兼ね備えているので、従来の成形品より肉厚をより小
さくすることが可能であり、好ましくは肉厚が4mm以
下の薄肉成形品として用いるのが最適であり、より好ま
しくは肉厚3mm以下、さらに好ましくは肉厚2mm以
下、とりわけ1.5mm以下の薄肉成形品として用いる
のがよい。ここでいう成形品の肉厚とは、成形品のう
ち、リブ部分やボス部分などの突起物などを除いた平板
部分の肉厚を指す。
【0104】本発明における成形品の用途としては、優
れた導電性、力学的特性(特に剛性)が求められる電子
・電気機器用、OA機器用および精密機器用の部材、自
動車用の部材、ならびに例えばハウジング、ケーシング
用の部材などが好ましい例として挙げられ、特に軽量化
と電磁波シールド性の要求が高い携帯用の電子・電気機
器のハウジングなどがとりわけ好ましい例として挙げら
れる。より具体的には、大型ディスプレイ、ノート型パ
ソコン、携帯用電話機、PHS、PDA(電子手帳など
の携帯情報端末)、ビデオカメラ、ビデオカメラ、デジ
タルスチルカメラ、携帯用ラジオカセット再生機、イン
バーターなどのハウジングなどである。
れた導電性、力学的特性(特に剛性)が求められる電子
・電気機器用、OA機器用および精密機器用の部材、自
動車用の部材、ならびに例えばハウジング、ケーシング
用の部材などが好ましい例として挙げられ、特に軽量化
と電磁波シールド性の要求が高い携帯用の電子・電気機
器のハウジングなどがとりわけ好ましい例として挙げら
れる。より具体的には、大型ディスプレイ、ノート型パ
ソコン、携帯用電話機、PHS、PDA(電子手帳など
の携帯情報端末)、ビデオカメラ、ビデオカメラ、デジ
タルスチルカメラ、携帯用ラジオカセット再生機、イン
バーターなどのハウジングなどである。
【0105】また、優れた導電性を有しているため、構
成要素[A]の少量添加で帯電/放電防止性を付与する
ことができ、それらの特性が必要とされる部材、例えば
ICトレー、シリコンウェーハー運搬用バスケットなど
への適応にも有用である。
成要素[A]の少量添加で帯電/放電防止性を付与する
ことができ、それらの特性が必要とされる部材、例えば
ICトレー、シリコンウェーハー運搬用バスケットなど
への適応にも有用である。
【0106】本発明でいう表面抵抗値の測定方法につい
て、図により説明する。
て、図により説明する。
【0107】まず、図1は、表面抵抗値を測定する試験
片の平面図である。1〜4は、それぞれ導電性ペースト
塗布範囲(1)〜(4)をそれぞれ示し、これらは、フ
ィルムゲートにて成形される正方形の成形品(長さ80
mm×幅80mm×厚み3mm)上に、導電性ペースト
を塗布して十分に乾燥させたものである。測定は、該導
電性ペースト(1)−(2)間、(3)−(4)間の電
気抵抗値の平均値を長さ方向の表面抵抗値とし、(1)
−(3)間、(2)−(4)間の電気抵抗値の平均値を
幅方向の表面抵抗値とし、10サンプル測定し、それら
の平均値で評価するものである。
片の平面図である。1〜4は、それぞれ導電性ペースト
塗布範囲(1)〜(4)をそれぞれ示し、これらは、フ
ィルムゲートにて成形される正方形の成形品(長さ80
mm×幅80mm×厚み3mm)上に、導電性ペースト
を塗布して十分に乾燥させたものである。測定は、該導
電性ペースト(1)−(2)間、(3)−(4)間の電
気抵抗値の平均値を長さ方向の表面抵抗値とし、(1)
−(3)間、(2)−(4)間の電気抵抗値の平均値を
幅方向の表面抵抗値とし、10サンプル測定し、それら
の平均値で評価するものである。
【0108】次に、本発明でいう電界シールド性の測定
方法について、図により説明する。
方法について、図により説明する。
【0109】まず、図2は、電界シールド性を測定する
ハウジングの斜視図である。6は電界シールド性測定試
験片の切り出し位置を示し、7は電界シールド性を測定
するハウジングを示す。
ハウジングの斜視図である。6は電界シールド性測定試
験片の切り出し位置を示し、7は電界シールド性を測定
するハウジングを示す。
【0110】更に、図3は、電界シールド性を測定する
試験片の平面図である。8〜15は、それぞれピンゲー
ト(8)〜(15)を示し、16は電界シールド性測定
試験片を示す。この切り出した試験片の板厚面の全周に
導電性ペーストを塗布し、十分に乾燥させてから、絶乾
状態で測定に供した。測定は5サンプル測定し、1GH
zでの値の平均値で評価するというのもである。
試験片の平面図である。8〜15は、それぞれピンゲー
ト(8)〜(15)を示し、16は電界シールド性測定
試験片を示す。この切り出した試験片の板厚面の全周に
導電性ペーストを塗布し、十分に乾燥させてから、絶乾
状態で測定に供した。測定は5サンプル測定し、1GH
zでの値の平均値で評価するというのもである。
【0111】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を制限するものではな
く、前・後記の主旨を逸脱しない範囲で変更実施するこ
とは、全て本発明の技術範囲に包含される。
明するが、下記実施例は本発明を制限するものではな
く、前・後記の主旨を逸脱しない範囲で変更実施するこ
とは、全て本発明の技術範囲に包含される。
【0112】本発明の炭素繊維束を切断したチョップド
炭素繊維に関する評価項目およびその方法を下記する。 (1)集束性 チョップド炭素繊維100gを500mlメスシリンダ
ーに入れた後、メスシリンダーに5回軽く振動を与え、
その時の体積にて投入重量を除した値にて代表させた
(単位はg/ml)。
炭素繊維に関する評価項目およびその方法を下記する。 (1)集束性 チョップド炭素繊維100gを500mlメスシリンダ
ーに入れた後、メスシリンダーに5回軽く振動を与え、
その時の体積にて投入重量を除した値にて代表させた
(単位はg/ml)。
【0113】本発明の炭素繊維束を用いた樹脂組成物、
成形材料、および成形品に関する評価項目およびその方
法を下記する。 (2)体積固有抵抗値 まず、幅12.7mm×長さ70mm×厚さ2mmの試
験片を、長さ方向の辺の内で幅方向の辺の極近傍に位置
するファンゲートにて射出成形した。次いで、成形した
試験片の幅×厚さ面に導電性ペースト(藤倉化成(株)
製ドータイト)を塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥
させてから、絶乾状態(水分率0.05%以下)で測定
に供した。測定に際しては、幅×厚さ面を電極に圧着
し、電極間の電気抵抗値をデジタルマルチメーター(ア
ドバンテスト社製R6581)にて測定した。前記電気
抵抗値から測定機器、治具等の接触抵抗を減じた値に、
導電性ペースト塗布面の面積を乗じ、次いで試験片長さ
で除したものを固有抵抗値とした(単位はΩ・cm)。
なお、本測定では10サンプル測定し、それらの平均値
を用いた。 (3)表面抵抗値 まず、幅80mm×長さ80mm×厚さ3mmの試験片
を、幅方向の全辺に渡るフィルムゲートにて射出成形し
た。次いで、図1に示す4箇所に幅20mm×長さ20
mmの範囲で導電性ペースト(藤倉化成(株)製ドータ
イト)を塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥させてか
ら、絶乾状態(水分率0.05%以下)で測定に供し
た。測定に際しては、導電性ペーストを塗布した範囲
(1)−(2)間、(3)−(4)間の電気抵抗値の平
均値を長さ方向の表面抵抗値とし、(1)−(3)間、
(2)−(4)間の電気抵抗値の平均値を幅方向の表面
抵抗値とし、長さ方向と幅方向との平均値をその試験片
における表面抵抗値とした(単位はlogΩ/□)。な
お、電気抵抗値の測定には、デジタルマルチメーター
(アドバンテスト社製R6581)を用いた。なお、本
測定では10サンプル測定し、それらの平均値を用い
た。 (4)電界シールド性 まず、図2に示す幅155mm×長さ190mm×厚さ
1mmの投影面、高さ12mmの立ち壁を有するハウジ
ングを直径1.5mmの8点のピンゲートで成形し、そ
の中心から幅150mm×長さ150mm×厚さ1mm
の正方形の平板を切り出した。次いで、図3に示す切り
出した試験片の板厚面の全周に導電性ペースト(藤倉化
成(株)製ドータイト)を塗布し、十分に導電性ペース
トを乾燥させてから、絶乾状態(水分率0.05%以
下)で測定に供した(単位はdB)。測定はアドバンテ
スト法にて行い、シールドボックスはTR−17301
A(アドバンテスト社製)、スペクトルアナライザーは
R3361B(アドバンテスト社製)を用い、周波数1
0MHz〜1GHzの範囲で測定した。なお、本測定で
は5サンプル測定し、1GHzでの値の平均値を用い
た。 (5)剛性 ASTM D 790(スパン間距離L/厚さD=1
6)に準拠した曲げ弾性率にて評価した(単位はGP
a)。用いた試験片の板厚は6.4mm(1/4イン
チ)で、水分率0.05%以下で試験に供した。なお、
本測定では5サンプル測定し、それらの平均値を用い
た。 (6)難燃性 UL−94規格に準拠した難燃性試験にて評価した。用
いた試験片の板厚は1.6mm(1/16インチ)厚
で、試験片の長辺方向全長に渡るフィルムゲートにて射
出成形して試験片を得た。 実施例1〜5、比較例1、2 連続した炭素繊維束を、張力をかけながら所望の濃度に
調整した飽和ポリエステル系サイジング剤の水溶液また
は水系エマルジョン中に浸漬し、サイジング剤の水溶液
または水系エマルジョンで炭素繊維束の各々フィラメン
トが濡れた状態の炭素繊維束を6mmにカートリッジカ
ッターで切断する。次いで、切断された炭素繊維束を金
網上に受け取り、その金網を振動(振動数16サイクル
/秒、振幅6mm)させながら120℃の熱風にて10
分間乾燥し、チョップド炭素繊維(構成要素[A])を
得る。得られたチョップド炭素繊維における飽和ポリエ
ステル系サイジング剤の付着量は、チョップド炭素繊維
を100重量%とすると、2重量%であった。
成形材料、および成形品に関する評価項目およびその方
法を下記する。 (2)体積固有抵抗値 まず、幅12.7mm×長さ70mm×厚さ2mmの試
験片を、長さ方向の辺の内で幅方向の辺の極近傍に位置
するファンゲートにて射出成形した。次いで、成形した
試験片の幅×厚さ面に導電性ペースト(藤倉化成(株)
製ドータイト)を塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥
させてから、絶乾状態(水分率0.05%以下)で測定
に供した。測定に際しては、幅×厚さ面を電極に圧着
し、電極間の電気抵抗値をデジタルマルチメーター(ア
ドバンテスト社製R6581)にて測定した。前記電気
抵抗値から測定機器、治具等の接触抵抗を減じた値に、
導電性ペースト塗布面の面積を乗じ、次いで試験片長さ
で除したものを固有抵抗値とした(単位はΩ・cm)。
なお、本測定では10サンプル測定し、それらの平均値
を用いた。 (3)表面抵抗値 まず、幅80mm×長さ80mm×厚さ3mmの試験片
を、幅方向の全辺に渡るフィルムゲートにて射出成形し
た。次いで、図1に示す4箇所に幅20mm×長さ20
mmの範囲で導電性ペースト(藤倉化成(株)製ドータ
イト)を塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥させてか
ら、絶乾状態(水分率0.05%以下)で測定に供し
た。測定に際しては、導電性ペーストを塗布した範囲
(1)−(2)間、(3)−(4)間の電気抵抗値の平
均値を長さ方向の表面抵抗値とし、(1)−(3)間、
(2)−(4)間の電気抵抗値の平均値を幅方向の表面
抵抗値とし、長さ方向と幅方向との平均値をその試験片
における表面抵抗値とした(単位はlogΩ/□)。な
お、電気抵抗値の測定には、デジタルマルチメーター
(アドバンテスト社製R6581)を用いた。なお、本
測定では10サンプル測定し、それらの平均値を用い
た。 (4)電界シールド性 まず、図2に示す幅155mm×長さ190mm×厚さ
1mmの投影面、高さ12mmの立ち壁を有するハウジ
ングを直径1.5mmの8点のピンゲートで成形し、そ
の中心から幅150mm×長さ150mm×厚さ1mm
の正方形の平板を切り出した。次いで、図3に示す切り
出した試験片の板厚面の全周に導電性ペースト(藤倉化
成(株)製ドータイト)を塗布し、十分に導電性ペース
トを乾燥させてから、絶乾状態(水分率0.05%以
下)で測定に供した(単位はdB)。測定はアドバンテ
スト法にて行い、シールドボックスはTR−17301
A(アドバンテスト社製)、スペクトルアナライザーは
R3361B(アドバンテスト社製)を用い、周波数1
0MHz〜1GHzの範囲で測定した。なお、本測定で
は5サンプル測定し、1GHzでの値の平均値を用い
た。 (5)剛性 ASTM D 790(スパン間距離L/厚さD=1
6)に準拠した曲げ弾性率にて評価した(単位はGP
a)。用いた試験片の板厚は6.4mm(1/4イン
チ)で、水分率0.05%以下で試験に供した。なお、
本測定では5サンプル測定し、それらの平均値を用い
た。 (6)難燃性 UL−94規格に準拠した難燃性試験にて評価した。用
いた試験片の板厚は1.6mm(1/16インチ)厚
で、試験片の長辺方向全長に渡るフィルムゲートにて射
出成形して試験片を得た。 実施例1〜5、比較例1、2 連続した炭素繊維束を、張力をかけながら所望の濃度に
調整した飽和ポリエステル系サイジング剤の水溶液また
は水系エマルジョン中に浸漬し、サイジング剤の水溶液
または水系エマルジョンで炭素繊維束の各々フィラメン
トが濡れた状態の炭素繊維束を6mmにカートリッジカ
ッターで切断する。次いで、切断された炭素繊維束を金
網上に受け取り、その金網を振動(振動数16サイクル
/秒、振幅6mm)させながら120℃の熱風にて10
分間乾燥し、チョップド炭素繊維(構成要素[A])を
得る。得られたチョップド炭素繊維における飽和ポリエ
ステル系サイジング剤の付着量は、チョップド炭素繊維
を100重量%とすると、2重量%であった。
【0114】ここで、炭素繊維に付着させた飽和ポリエ
ステル系サイジング剤(場合によっては処理剤(1)、
(2)など)の付着量は熱分解法にて測定した。具体的
には、水分率0.05%以下に乾燥しているサイジング
剤が付着している炭素繊維の重量W1と、その炭素繊維
を窒素雰囲気下で450℃×15分間加熱、窒素雰囲気
下で25℃×15分間冷却、湿度50%雰囲気下で25
℃×10分間調湿した後の重量W2とを用いて、(W1−
W2)×100/W1から算出した(単位は重量%)。
ステル系サイジング剤(場合によっては処理剤(1)、
(2)など)の付着量は熱分解法にて測定した。具体的
には、水分率0.05%以下に乾燥しているサイジング
剤が付着している炭素繊維の重量W1と、その炭素繊維
を窒素雰囲気下で450℃×15分間加熱、窒素雰囲気
下で25℃×15分間冷却、湿度50%雰囲気下で25
℃×10分間調湿した後の重量W2とを用いて、(W1−
W2)×100/W1から算出した(単位は重量%)。
【0115】所望量の構成要素[B]を2軸押出機(ス
クリュー直径40mm、ダイス直径5mm×3、バレル
温度300℃、回転数100rpm)のメインホッパー
から投入し、十分溶融・混練された状態で押し出しなが
ら、水分率0.05%以下に十分乾燥した所望量のチョ
ップド炭素繊維をサイドホッパーから投入し、構成要素
[B]を炭素繊維束中に含浸させる。このようにして得
られた不連続の炭素繊維束を含有するガットを冷却後、
カッターで5mmに切断して、ペレットを得た。
クリュー直径40mm、ダイス直径5mm×3、バレル
温度300℃、回転数100rpm)のメインホッパー
から投入し、十分溶融・混練された状態で押し出しなが
ら、水分率0.05%以下に十分乾燥した所望量のチョ
ップド炭素繊維をサイドホッパーから投入し、構成要素
[B]を炭素繊維束中に含浸させる。このようにして得
られた不連続の炭素繊維束を含有するガットを冷却後、
カッターで5mmに切断して、ペレットを得た。
【0116】各構成要素の種類、およびその配合量は表
1に示した通りである。得られたペレットを80℃にて
5時間以上真空中で乾燥させた後、(株)日本製鋼所製
J150EII−P(スクリュー直径46mm)にてバ
レル温度320℃、金型温度80℃で射出成形し、
(1)〜(5)項記載の各試験に供した。評価結果を表
1に示す。 実施例6 連続した炭素繊維束を、張力をかけながら所望の濃度に
調整した処理剤(1)の水溶液または水系エマルジョン
中に浸漬した後に乾燥し、炭素繊維束の各々フィラメン
トに処理剤(1)を付着させる。その炭素繊維束を更に
所望の濃度に調整した飽和ポリエステル系サイジング剤
の水溶液または水系エマルジョン中に浸漬し、サイジン
グ剤の水溶液または水系エマルジョンで炭素繊維束の各
々フィラメントが濡れた状態の炭素繊維束を6mmにカ
ートリッジカッターで切断する。次いで、実施例1と同
じ方法でチョップド炭素繊維(構成要素[A])を得
る。得られたチョップド炭素繊維における処理剤
(1)、飽和ポリエステル系サイジング剤の付着量は、
チョップド炭素繊維を100重量%とすると、それぞれ
0.2重量%、1.8重量%であった。
1に示した通りである。得られたペレットを80℃にて
5時間以上真空中で乾燥させた後、(株)日本製鋼所製
J150EII−P(スクリュー直径46mm)にてバ
レル温度320℃、金型温度80℃で射出成形し、
(1)〜(5)項記載の各試験に供した。評価結果を表
1に示す。 実施例6 連続した炭素繊維束を、張力をかけながら所望の濃度に
調整した処理剤(1)の水溶液または水系エマルジョン
中に浸漬した後に乾燥し、炭素繊維束の各々フィラメン
トに処理剤(1)を付着させる。その炭素繊維束を更に
所望の濃度に調整した飽和ポリエステル系サイジング剤
の水溶液または水系エマルジョン中に浸漬し、サイジン
グ剤の水溶液または水系エマルジョンで炭素繊維束の各
々フィラメントが濡れた状態の炭素繊維束を6mmにカ
ートリッジカッターで切断する。次いで、実施例1と同
じ方法でチョップド炭素繊維(構成要素[A])を得
る。得られたチョップド炭素繊維における処理剤
(1)、飽和ポリエステル系サイジング剤の付着量は、
チョップド炭素繊維を100重量%とすると、それぞれ
0.2重量%、1.8重量%であった。
【0117】それ以外は、実施例1と同様な方法にてペ
レットを得て、評価に供した。 実施例7、8 連続した炭素繊維束を、張力をかけながら所望の濃度に
調整した飽和ポリエステル系サイジング剤の水溶液また
は水系エマルジョン中に浸漬した後に乾燥し、樹飽和ポ
リエステル系サイジング剤を炭素繊維束の各々フィラメ
ントに付着させる。更にその炭素繊維束を、張力をかけ
ながら処理剤(2)の水溶液または水系エマルジョン中
に浸漬し、処理剤(2)の水溶液または水系エマルジョ
ンで炭素繊維束の各々フィラメントが濡れた状態の炭素
繊維束を6mmにカートリッジカッターで切断する。次
いで、実施例1と同じ方法でチョップド炭素繊維(構成
要素[A])を得る。得られたチョップド炭素繊維にお
ける飽和ポリエステル系サイジング剤、処理剤(2)の
付着量は、チョップド炭素繊維を100重量%とする
と、それぞれ1重量%であった。
レットを得て、評価に供した。 実施例7、8 連続した炭素繊維束を、張力をかけながら所望の濃度に
調整した飽和ポリエステル系サイジング剤の水溶液また
は水系エマルジョン中に浸漬した後に乾燥し、樹飽和ポ
リエステル系サイジング剤を炭素繊維束の各々フィラメ
ントに付着させる。更にその炭素繊維束を、張力をかけ
ながら処理剤(2)の水溶液または水系エマルジョン中
に浸漬し、処理剤(2)の水溶液または水系エマルジョ
ンで炭素繊維束の各々フィラメントが濡れた状態の炭素
繊維束を6mmにカートリッジカッターで切断する。次
いで、実施例1と同じ方法でチョップド炭素繊維(構成
要素[A])を得る。得られたチョップド炭素繊維にお
ける飽和ポリエステル系サイジング剤、処理剤(2)の
付着量は、チョップド炭素繊維を100重量%とする
と、それぞれ1重量%であった。
【0118】それ以外は、実施例1と同様な方法にてペ
レットを得て、評価に供した。 実施例9 実施例1と同様な方法にてチョップド炭素繊維を得た。
レットを得て、評価に供した。 実施例9 実施例1と同様な方法にてチョップド炭素繊維を得た。
【0119】次に、水分率0.05%以下に十分乾燥し
た所望量の構成要素[B]、その他の成分を2軸押出機
(スクリュー直径40mm、ダイス直径3mm×5、バ
レル温度250℃、回転数200rpm)にて十分溶融
・混練しながら押し出し、その他の成分が構成要素
[B]中に均一したマスターペレットを用意する。
た所望量の構成要素[B]、その他の成分を2軸押出機
(スクリュー直径40mm、ダイス直径3mm×5、バ
レル温度250℃、回転数200rpm)にて十分溶融
・混練しながら押し出し、その他の成分が構成要素
[B]中に均一したマスターペレットを用意する。
【0120】このマスターペレットと構成要素[B]と
を所望比率にてドライブレンドしたものを2軸押出機
(スクリュー直径40mm、ダイス直径5mm×3、バ
レル温度250℃、回転数100rpm)のメインホッ
パーから投入し、十分溶融・混練された状態で押し出し
ながら、水分率0.05%以下に十分乾燥した所望量の
チョップド炭素繊維をサイドホッパーから投入し、構成
要素[B]、その他の成分を炭素繊維束中に含浸させ
る。このようにして得られた不連続の炭素繊維束を含有
するガットを冷却後、カッターで5mmに切断して、ペ
レットを得た。
を所望比率にてドライブレンドしたものを2軸押出機
(スクリュー直径40mm、ダイス直径5mm×3、バ
レル温度250℃、回転数100rpm)のメインホッ
パーから投入し、十分溶融・混練された状態で押し出し
ながら、水分率0.05%以下に十分乾燥した所望量の
チョップド炭素繊維をサイドホッパーから投入し、構成
要素[B]、その他の成分を炭素繊維束中に含浸させ
る。このようにして得られた不連続の炭素繊維束を含有
するガットを冷却後、カッターで5mmに切断して、ペ
レットを得た。
【0121】各構成要素の種類、およびその配合量は表
1に示した通りである。得られたペレットを80℃にて
5時間以上真空中で乾燥させた後、(株)日本製鋼所製
J150EII−P(スクリュー直径46mm)にてバ
レル温度270℃、金型温度80℃で射出成形し、
(1)〜(6)項記載の各試験に供した。評価結果を表
1に示す。 実施例10 連続した炭素繊維束を張力をかけながら、所望の濃度に
調整した飽和ポリエステル系サイジング剤の水溶液また
は水系エマルジョン中に浸漬し、乾燥させた後にボビン
に巻き取り、サイジング剤が炭素繊維束の各々フィラメ
ントに付着した連続炭素繊維(構成要素[A])を得
る。得られた連続炭素繊維束における飽和ポリエステル
系サイジング剤の付着量は、炭素繊維束を100重量%
とすると、1重量%であった。
1に示した通りである。得られたペレットを80℃にて
5時間以上真空中で乾燥させた後、(株)日本製鋼所製
J150EII−P(スクリュー直径46mm)にてバ
レル温度270℃、金型温度80℃で射出成形し、
(1)〜(6)項記載の各試験に供した。評価結果を表
1に示す。 実施例10 連続した炭素繊維束を張力をかけながら、所望の濃度に
調整した飽和ポリエステル系サイジング剤の水溶液また
は水系エマルジョン中に浸漬し、乾燥させた後にボビン
に巻き取り、サイジング剤が炭素繊維束の各々フィラメ
ントに付着した連続炭素繊維(構成要素[A])を得
る。得られた連続炭素繊維束における飽和ポリエステル
系サイジング剤の付着量は、炭素繊維束を100重量%
とすると、1重量%であった。
【0122】所望量の構成要素[B]を1軸押出機(ス
クリュー直径30mm、バレル温度300℃)にて、そ
の先端に取り付けたクロスヘッドダイ中に十分溶融・混
練された状態で押し出しながら、水分率0.05%以下
に十分乾燥した前記連続炭素繊維束(構成要素[A])
も連続して前記クロスヘッドダイ中に供給し、構成要素
[B]を炭素繊維束中に十分含浸させる。ここでクロス
ヘッドダイとは、そのダイ中で炭素繊維束を開繊させな
がら溶融樹脂等をその中に含浸させる装置のことをい
う。このようにして得られた連続した炭素繊維束を含有
するストランドを冷却後、カッターで7mmに切断し
て、長繊維ペレットを得た。
クリュー直径30mm、バレル温度300℃)にて、そ
の先端に取り付けたクロスヘッドダイ中に十分溶融・混
練された状態で押し出しながら、水分率0.05%以下
に十分乾燥した前記連続炭素繊維束(構成要素[A])
も連続して前記クロスヘッドダイ中に供給し、構成要素
[B]を炭素繊維束中に十分含浸させる。ここでクロス
ヘッドダイとは、そのダイ中で炭素繊維束を開繊させな
がら溶融樹脂等をその中に含浸させる装置のことをい
う。このようにして得られた連続した炭素繊維束を含有
するストランドを冷却後、カッターで7mmに切断し
て、長繊維ペレットを得た。
【0123】炭素繊維などの種類およびその配合率は表
1に示した通りである。得られたペレットを80℃にて
5時間以上真空中で乾燥させた後、(株)日本製鋼所製
J150EII−P(スクリュー直径46mm)にてシ
リンダ温度は340℃、金型温度は80℃で射出成形
し、(1)〜(5)項記載の各試験の射出成形に供し
た。評価結果を表1に示す。
1に示した通りである。得られたペレットを80℃にて
5時間以上真空中で乾燥させた後、(株)日本製鋼所製
J150EII−P(スクリュー直径46mm)にてシ
リンダ温度は340℃、金型温度は80℃で射出成形
し、(1)〜(5)項記載の各試験の射出成形に供し
た。評価結果を表1に示す。
【0124】
【表1】
【0125】なお、表1における各構成要素の表記は下
記に準じる。 <炭素繊維> CF1:湿式紡糸PAN系、フィラメント数=1200
0本、平均単繊維直径=5μm、引張破断伸度=1.9
%、Lc=1.9nm、O/C=0.09、サイジング
剤なし CF2 :湿式紡糸PAN系、フィラメント数=700
000本、平均単繊維直径=8μm、引張破断伸度=
1.3%、Lc=1.9nm、O/C=0.07、サイ
ジング剤なし CF3 :乾湿式紡糸PAN系、フィラメント数=24
000本、平均単繊維直径=7μm、引張破断伸度=
2.0%、Lc=1.7nm、O/C=0.06、サイ
ジング剤なし 飽和ポリエステル系サイジング剤 ES1:水溶性芳香族ポリエステル樹脂[還元粘度ηs
p/C=0.7] ES2:水溶性芳香族ポリエステル樹脂[還元粘度ηs
p/C=0.5] ES3:水溶性芳香族ポリエステル樹脂[還元粘度ηs
p/C=0.2] Ep :エポキシ樹脂[油化シェル製Ep828とEp
1001との等量混合物を乳化剤を用いて水分散した混
合エポキシ樹脂] 処理剤(1) BPEO:界面活性剤[ビスフェノールAエチレンオキ
サイド(10〜30mol%)付加物] 処理剤(2) PA :水溶性ポリアミド樹脂[東レ(株)製AQナイ
ロン] PU :水溶性ポリウレタン樹脂[1、6−ヘキサメチ
レンカーボネートジオールとヘキサメチレンジイソシア
ネートとを重合した自己乳化型ポリウレタン樹脂] 構成要素[B] PC :ポリカーボネート樹脂[GEプラスチックス社
製レキサン121] P/A:ポリカーボネートとアクリロニトリル・スチレ
ン・ブタジエン共重合樹脂とのポリマーブレンド樹脂
[バイエル社製バイブレンドFR2000] <その他の成分> CB :カーボンブラック[ファーネスブラック] RP :赤リン[燐化学工業(株)製ノーバエクセル1
40] Ph :フェノールノボラック[住友デュレズ(株)製
PR−50731] 表1の結果から以下のことが明らかである。 1.サイジング剤の効果 本発明のサイジング剤が付着していないチョップド炭素
繊維を用いた比較例1、2に比べて、本発明の飽和ポリ
エステル系サイジング剤が付着しているチョップド炭素
繊維を用いた実施例3、4は、体積固有抵抗、表面抵抗
を著しく低く、また電界シールド性を著しく高くするこ
とができ、大幅に導電性に優れた成形品を得ることがで
きる。また、剛性も、ほぼ同じレベルにすることがで
き、その優位性は明らかである。 2.炭素繊維の効果 実施例1〜3で明らかなように、どのような炭素繊維を
用いても体積固有抵抗、表面抵抗をより低く、また電界
シールド性をより高くすることができ、導電性に優れた
成形品を得ることができる。
記に準じる。 <炭素繊維> CF1:湿式紡糸PAN系、フィラメント数=1200
0本、平均単繊維直径=5μm、引張破断伸度=1.9
%、Lc=1.9nm、O/C=0.09、サイジング
剤なし CF2 :湿式紡糸PAN系、フィラメント数=700
000本、平均単繊維直径=8μm、引張破断伸度=
1.3%、Lc=1.9nm、O/C=0.07、サイ
ジング剤なし CF3 :乾湿式紡糸PAN系、フィラメント数=24
000本、平均単繊維直径=7μm、引張破断伸度=
2.0%、Lc=1.7nm、O/C=0.06、サイ
ジング剤なし 飽和ポリエステル系サイジング剤 ES1:水溶性芳香族ポリエステル樹脂[還元粘度ηs
p/C=0.7] ES2:水溶性芳香族ポリエステル樹脂[還元粘度ηs
p/C=0.5] ES3:水溶性芳香族ポリエステル樹脂[還元粘度ηs
p/C=0.2] Ep :エポキシ樹脂[油化シェル製Ep828とEp
1001との等量混合物を乳化剤を用いて水分散した混
合エポキシ樹脂] 処理剤(1) BPEO:界面活性剤[ビスフェノールAエチレンオキ
サイド(10〜30mol%)付加物] 処理剤(2) PA :水溶性ポリアミド樹脂[東レ(株)製AQナイ
ロン] PU :水溶性ポリウレタン樹脂[1、6−ヘキサメチ
レンカーボネートジオールとヘキサメチレンジイソシア
ネートとを重合した自己乳化型ポリウレタン樹脂] 構成要素[B] PC :ポリカーボネート樹脂[GEプラスチックス社
製レキサン121] P/A:ポリカーボネートとアクリロニトリル・スチレ
ン・ブタジエン共重合樹脂とのポリマーブレンド樹脂
[バイエル社製バイブレンドFR2000] <その他の成分> CB :カーボンブラック[ファーネスブラック] RP :赤リン[燐化学工業(株)製ノーバエクセル1
40] Ph :フェノールノボラック[住友デュレズ(株)製
PR−50731] 表1の結果から以下のことが明らかである。 1.サイジング剤の効果 本発明のサイジング剤が付着していないチョップド炭素
繊維を用いた比較例1、2に比べて、本発明の飽和ポリ
エステル系サイジング剤が付着しているチョップド炭素
繊維を用いた実施例3、4は、体積固有抵抗、表面抵抗
を著しく低く、また電界シールド性を著しく高くするこ
とができ、大幅に導電性に優れた成形品を得ることがで
きる。また、剛性も、ほぼ同じレベルにすることがで
き、その優位性は明らかである。 2.炭素繊維の効果 実施例1〜3で明らかなように、どのような炭素繊維を
用いても体積固有抵抗、表面抵抗をより低く、また電界
シールド性をより高くすることができ、導電性に優れた
成形品を得ることができる。
【0126】但し、比較的太い直径であり且つ結晶サイ
ズが小さい炭素繊維を用いた実施例2に比べて、細い直
径であり且つ結晶サイズがより大きい炭素繊維を用いた
実施例1(または実施例2)は、体積固有抵抗、表面抵
抗をより低く、また電界シールド性をより高くすること
ができ、大幅に導電性に優れた成形品を得ることができ
る。また、剛性も高くすることができ、その優位性は明
らかである。
ズが小さい炭素繊維を用いた実施例2に比べて、細い直
径であり且つ結晶サイズがより大きい炭素繊維を用いた
実施例1(または実施例2)は、体積固有抵抗、表面抵
抗をより低く、また電界シールド性をより高くすること
ができ、大幅に導電性に優れた成形品を得ることができ
る。また、剛性も高くすることができ、その優位性は明
らかである。
【0127】但し、実施例2も、比較例1に比べて体積
固有抵抗、表面抵抗はより低く、電界シールド性はより
高くなっており、十分優れた特性を有しているといえ
る。 3.処理剤(1)の効果 処理剤(1)に更に飽和ポリエステル系サイジング剤を
付着させた実施例6は、サイジング剤のみを付着させた
実施例4より僅かながら高い導電性と力学的特性とを発
現している。これは、処理剤(1)により本発明の飽和
ポリエステル系サイジング剤が、より均一に炭素繊維に
付着できたことによると推察される。 4.処理剤(2)の効果 本発明のサイジング剤に更に処理剤(2)を付着させた
実施例7、8は、サイジング剤のみを付着させた実施例
4とほぼ同等の導電性を有しながらより高い力学的特性
を発現している。これは、処理剤(2)により構成要素
[A]である炭素繊維と構成要素[B]である熱可塑性
樹脂の接着性が向上したことによると推察される。
固有抵抗、表面抵抗はより低く、電界シールド性はより
高くなっており、十分優れた特性を有しているといえ
る。 3.処理剤(1)の効果 処理剤(1)に更に飽和ポリエステル系サイジング剤を
付着させた実施例6は、サイジング剤のみを付着させた
実施例4より僅かながら高い導電性と力学的特性とを発
現している。これは、処理剤(1)により本発明の飽和
ポリエステル系サイジング剤が、より均一に炭素繊維に
付着できたことによると推察される。 4.処理剤(2)の効果 本発明のサイジング剤に更に処理剤(2)を付着させた
実施例7、8は、サイジング剤のみを付着させた実施例
4とほぼ同等の導電性を有しながらより高い力学的特性
を発現している。これは、処理剤(2)により構成要素
[A]である炭素繊維と構成要素[B]である熱可塑性
樹脂の接着性が向上したことによると推察される。
【0128】また、チョップド炭素繊維としても、処理
剤(2)により集束性(嵩密度)が向上しており、取り
扱い性が改善されている。 5.その他の成分(導電性付与材、難燃剤)の効果 カーボンブラックを配合していない実施例4に比べて、
本発明で用いられるカーボンブラックを配合している実
施例9は、体積固有抵抗、表面抵抗を著しく低く、また
電界シールド性を高くすることができ、さらに導電性に
優れた成形品を得ることができる。また、剛性も高くす
ることができ、その優位性は明らかである。この効果に
より、カーボンブラックよりも高価な構成要素[A]の
配合量を最小限に抑えることができるため、実施例4と
同じ導電性を得ようとした場合の材料コストの面から大
きな優位性を有する。
剤(2)により集束性(嵩密度)が向上しており、取り
扱い性が改善されている。 5.その他の成分(導電性付与材、難燃剤)の効果 カーボンブラックを配合していない実施例4に比べて、
本発明で用いられるカーボンブラックを配合している実
施例9は、体積固有抵抗、表面抵抗を著しく低く、また
電界シールド性を高くすることができ、さらに導電性に
優れた成形品を得ることができる。また、剛性も高くす
ることができ、その優位性は明らかである。この効果に
より、カーボンブラックよりも高価な構成要素[A]の
配合量を最小限に抑えることができるため、実施例4と
同じ導電性を得ようとした場合の材料コストの面から大
きな優位性を有する。
【0129】また、実施例9により、優れた導電性およ
び難燃性を兼ね備えることができることが明らかであ
る。 6.長繊維ペレットの効果 通常のペレットを用いた実施例4に比べて、長繊維ペレ
ットを用いた実施例10は、体積固有抵抗、表面抵抗を
より低く、また電界シールド性をより高くすることがで
き、導電性に優れた成形品を得ることができる。
び難燃性を兼ね備えることができることが明らかであ
る。 6.長繊維ペレットの効果 通常のペレットを用いた実施例4に比べて、長繊維ペレ
ットを用いた実施例10は、体積固有抵抗、表面抵抗を
より低く、また電界シールド性をより高くすることがで
き、導電性に優れた成形品を得ることができる。
【0130】これは、実施例4よりも実施例10の方
が、成形品中の構成要素[A]の長さを長くできること
による。つまり、実施例10の成形品中の重量的平均繊
維長さは0.411mmであったのに対して、実施例4
の場合には、得られた成形品中の重量平均繊維長は0.
221mmであったことによる。なお、重量的平均繊維
長さの算出方法については、”複合材料入門”D.Hu
ll著、p.65、培風館に詳細な記載がある。
が、成形品中の構成要素[A]の長さを長くできること
による。つまり、実施例10の成形品中の重量的平均繊
維長さは0.411mmであったのに対して、実施例4
の場合には、得られた成形品中の重量平均繊維長は0.
221mmであったことによる。なお、重量的平均繊維
長さの算出方法については、”複合材料入門”D.Hu
ll著、p.65、培風館に詳細な記載がある。
【0131】これらの比較から、導電性に及ぼす樹脂成
形品中の構成要素[A]の長さの重要性は明らかであ
り、本発明で用いられる樹脂組成物としては、繊維長さ
をできるだけ長くしたペレット、とりわけ長繊維ペレッ
トの形態をとることがより好ましい。
形品中の構成要素[A]の長さの重要性は明らかであ
り、本発明で用いられる樹脂組成物としては、繊維長さ
をできるだけ長くしたペレット、とりわけ長繊維ペレッ
トの形態をとることがより好ましい。
【0132】
【発明の効果】本発明の炭素繊維束によれば、優れた導
電性(低い体積固有抵抗値、低い表面抵抗値、高い電界
シールド性)と力学的特性とを兼ね備えた炭素繊維束を
提供することができ、もって、低比重で、且つ優れた導
電性、力学的特性(強度、剛性、耐衝撃性等)、薄肉成
形性(成形時の流動性等)、外観品位、難燃性を兼ね備
えた樹脂組成物、成形材料および成形品を提供すること
ができる。すなわち、特に電気・電子機器用、OA機器
用および精密機器用の部材、自動車用部材ならびにハウ
ジング、ケーシング用の部材などの成形品をはじめ、前
記特性を必要とする幅広い産業分野に好適なものを提供
することができる。
電性(低い体積固有抵抗値、低い表面抵抗値、高い電界
シールド性)と力学的特性とを兼ね備えた炭素繊維束を
提供することができ、もって、低比重で、且つ優れた導
電性、力学的特性(強度、剛性、耐衝撃性等)、薄肉成
形性(成形時の流動性等)、外観品位、難燃性を兼ね備
えた樹脂組成物、成形材料および成形品を提供すること
ができる。すなわち、特に電気・電子機器用、OA機器
用および精密機器用の部材、自動車用部材ならびにハウ
ジング、ケーシング用の部材などの成形品をはじめ、前
記特性を必要とする幅広い産業分野に好適なものを提供
することができる。
【図1】本発明の表面抵抗値を測定する試験片の平面図
である。
である。
【図2】本発明の電界シールド性を測定するハウジング
の斜視図である。
の斜視図である。
【図3】本発明の電界シールド性を測定する試験片の平
面図である。
面図である。
1:導電性ペースト塗布範囲(1) 2:導電性ペースト塗布範囲(2) 3:導電性ペースト塗布範囲(3) 4:導電性ペースト塗布範囲(4) 5:表面抵抗値を測定する試験片 6:電界シールド性測定試験片の切り出す位置 7:電界シールド性を測定するハウジング 8:ピンゲート(8) 9:ピンゲート(9) 10:ピンゲート(10) 11:ピンゲート(11) 12:ピンゲート(12) 13:ピンゲート(13) 14:ピンゲート(14) 15:ピンゲート(15) 16:電界シールド性測定試験片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/00 D06M 101:40 // D06M 101:40 15/507 Z Fターム(参考) 4F072 AB10 AB22 AC05 AC08 AD05 AD41 AD42 AD52 AG05 AK15 AL02 AL11 AL17 4J002 AA011 AC031 AC061 BB031 BB121 BB151 BB171 BC031 BC061 BC071 BC081 BC091 BD041 BD121 BG061 BH011 BN071 BN121 BN141 BN151 BN161 BP011 CB001 CC031 CF051 CF061 CF071 CF081 CF101 CF161 CG011 CH051 CH071 CH081 CH091 CJ001 CK021 CL001 CM041 CN011 CN031 DA016 FA046 FB266 4L033 AA09 AB01 AC12 CA45
Claims (13)
- 【請求項1】 下記還元粘度ηsp/Cが0.3〜2の
範囲である飽和ポリエステル系サイジング剤が付着して
いることを特徴とする炭素繊維束。 還元粘度ηsp/C:絶乾状態の飽和ポリエステル系サ
イジング剤を、フェノール/テトラクロロエタン=6:
4の混合溶媒にて溶液濃度C=0.4g/100mlに
なるように溶かした試料溶液について、30℃の恒温槽
内でウベローデ型粘度計で2つの標線間を流れる秒数を
測定し、フェノール/テトラクロロエタン6:4の混合
溶媒に対する前記試料溶液の秒数比で表される相対粘度
ηrelから1を減じた比粘度ηspを溶液粘度C(=
0.4)で除した値。 - 【請求項2】 該炭素繊維が、平均単繊維直径が0.0
1〜20μmの範囲であり、かつ、フィラメント数が4
000〜350000本の範囲である請求項1に記載の
炭素繊維束。 - 【請求項3】 該飽和ポリエステル系サイジング剤が、
テレフタル酸、イソフタル酸およびそれらの誘導体から
選ばれた少なくとも1種のジカルボン酸成分と、エチレ
ングリコールおよびその誘導体から選ばれた少なくとも
1種のグリコール成分とをそれぞれ30モル%以上含む
縮重合物である請求項1または2に記載の炭素繊維束。 - 【請求項4】 該飽和ポリエステル系サイジング剤が、
炭素繊維束の付着物の65重量%以上の範囲で含まれて
いる請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維束。 - 【請求項5】 該飽和ポリエステル系サイジング剤が、
炭素繊維に対して0.01〜20重量%の範囲で付着し
ている請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維束。 - 【請求項6】 該炭素繊維束が、1〜26mmの範囲で
切断されてなるチョップド炭素繊維である請求項1〜5
のいずれかに記載の炭素繊維束。 - 【請求項7】 少なくとも下記構成要素[A]および
[B]を含有することを特徴とする樹脂組成物。 [A]:請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維束 [B]:熱可塑性樹脂 - 【請求項8】 該樹脂組成物100重量%中に、該構成
要素[A]が、8〜40重量%の範囲で含有されている
請求項7に記載の樹脂組成物。 - 【請求項9】 該構成要素[B]が、スチレン系樹脂、
ポリカーボネート樹脂およびポリフェニレンエーテル樹
脂から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂である請
求項7または8に記載の樹脂組成物。 - 【請求項10】 請求項6〜9のいずれかに記載の樹脂
組成物が、ペレットの形態を有することを特徴とする成
形材料。 - 【請求項11】 請求項6〜9のいずれかに記載の樹脂
組成物または請求項10に記載の成形材料のいずれかで
構成されていることを特徴とする成形品。 - 【請求項12】 該成形品が、射出成形されたものであ
る請求項11記載の成形品。 - 【請求項13】 該成形品が、電気・電子機器用、OA
機器用および精密機器用の部材、自動車用部材ならびに
ハウジング用の部材から選ばれた部材である請求項11
または12に記載の成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000338773A JP2002146679A (ja) | 2000-11-07 | 2000-11-07 | 炭素繊維束、樹脂組成物、成形材料およびそれを用いた成形品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000338773A JP2002146679A (ja) | 2000-11-07 | 2000-11-07 | 炭素繊維束、樹脂組成物、成形材料およびそれを用いた成形品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002146679A true JP2002146679A (ja) | 2002-05-22 |
Family
ID=18813933
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000338773A Pending JP2002146679A (ja) | 2000-11-07 | 2000-11-07 | 炭素繊維束、樹脂組成物、成形材料およびそれを用いた成形品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002146679A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004060037A1 (ja) * | 2002-12-25 | 2004-07-15 | Toray Industries, Inc. | 電波吸収体用シート材および電波吸収体 |
JP2004250605A (ja) * | 2003-02-20 | 2004-09-09 | Asahi Glass Co Ltd | ポリテトラフルオロエチレン組成物、造粒物および成形物 |
JP2006045385A (ja) * | 2004-08-05 | 2006-02-16 | Teijin Chem Ltd | 電磁波遮蔽性熱可塑性樹脂組成物 |
JP2006342469A (ja) * | 2005-06-10 | 2006-12-21 | Owens Corning Seizo Kk | 変性ポリフェニレンエーテル樹脂成形材料用強化繊維の製造方法、及び繊維強化変性ポリフェニレンエーテル樹脂成形材料 |
JP2014122438A (ja) * | 2012-12-20 | 2014-07-03 | Teijin Ltd | 補強用炭素繊維束の製造方法およびそれを用いた炭素繊維複合材料 |
EP2799616B1 (en) * | 2011-12-27 | 2018-07-11 | Toray Industries, Inc. | Carbon fiber coated with sizing agent, process for producing carbon fiber coated with sizing agent, prepreg, and carbon fiber reinforced composite material |
JP2018188496A (ja) * | 2017-04-28 | 2018-11-29 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 炭素繊維/ポリカーボネート樹脂複合ペレット及びその製造方法 |
-
2000
- 2000-11-07 JP JP2000338773A patent/JP2002146679A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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US10138593B2 (en) | 2011-12-27 | 2018-11-27 | Toray Industries, Inc. | Sizing agent-coated carbon fibers, process for producing sizing agent-coated carbon fibers, prepreg, and carbon fiber reinforced composite material |
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JP2018188496A (ja) * | 2017-04-28 | 2018-11-29 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 炭素繊維/ポリカーボネート樹脂複合ペレット及びその製造方法 |
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