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JP2002098853A - 分散補償光ファイバおよびこれを用いた光ファイバ伝送路 - Google Patents

分散補償光ファイバおよびこれを用いた光ファイバ伝送路

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Publication number
JP2002098853A
JP2002098853A JP2001193338A JP2001193338A JP2002098853A JP 2002098853 A JP2002098853 A JP 2002098853A JP 2001193338 A JP2001193338 A JP 2001193338A JP 2001193338 A JP2001193338 A JP 2001193338A JP 2002098853 A JP2002098853 A JP 2002098853A
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JP
Japan
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optical fiber
dispersion
refractive index
core
wavelength
Prior art date
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Application number
JP2001193338A
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English (en)
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Inventor
Kazuhiko Aikawa
和彦 愛川
Takaaki Suzuki
孝昭 鈴木
Akira Wada
朗 和田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
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Publication date
Application filed by Fujikura Ltd filed Critical Fujikura Ltd
Priority to JP2001193338A priority Critical patent/JP3850235B2/ja
Publication of JP2002098853A publication Critical patent/JP2002098853A/ja
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 有効コア断面積が大きく、低損失な分散補償
光ファイバを提供する。 【解決手段】 コア4が、中心コア部1(半径a、比屈
折率差Δ1)、中間部2(半径b、比屈折率差Δ2)、リ
ングコア部3(半径c、比屈折率差Δ3)からなり、a
が2〜3μm、Δ1が0.9〜1.5%、Δ2が−0.3
0〜−0.45%、Δ3が0.2〜1.2%、b/aが
2.0〜3.5、c/aが3.0〜5.0であり、1.
53μm〜1.63μmから選択された使用波長帯にお
いて、有効コア断面積が20μm2以上、曲げ損失が4
0dB/m以下、波長分散が−65〜−45ps/nm
/kmであり、実質的にシングルモード伝搬可能なカッ
トオフ波長を有し、シングルモード光ファイバの波長分
散が零になるように補償したときの分散スロープ補償率
が80〜120%の分散補償光ファイバを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低損失な分散補償光
ファイバに関する。
【0002】
【従来の技術】波長1.53〜1.63μm帯から選択
された使用波長において、伝送用のシングルモード光フ
ァイバと、その波長分散および分散スロープと異なる符
号の波長分散および分散スロープを備えた分散補償光フ
ァイバとを組み合わせた光ファイバ伝送路が開発されて
いる。この光ファイバ伝送路は、波長分散が小さく、か
つ分散スロープがフラットで、長距離伝送および波長多
重伝送に適している。前記シングルモード光ファイバ
は、例えば1.3μm用シングルモード光ファイバのよ
うに、前記使用波長帯より短波長の零分散波長を有し、
この使用波長帯では比較的大きな正の波長分散と正の分
散スロープを有するものである。
【0003】図1は、分散補償光ファイバの一例の屈折
率プロファイルを示したものである。この分散補償光フ
ァイバはコア14とその外周上に設けられたクラッド1
5とからなる。このコア14は、前記クラッド15より
も高い屈折率を備えた中心コア部11と、その外周上に
設けられ、このクラッド15よりも低い屈折率を備えた
中間部12とから構成されている。図中、a1は中心コ
ア部11の半径、b1は中間部12の半径(コア14の
半径)、Δ11、Δ12は、それぞれクラッド15の屈折率
を基準(零)にしたときの中心コア部11の比屈折率差
と中間部12の比屈折率差である。すなわち、Δ11はプ
ラスの値、Δ12はマイナスの値をとる。
【0004】図2は、分散補償光ファイバの他の例の屈
折率プロファイルを示したものである。この分散補償光
ファイバはコア4とその外周上に設けられたクラッド5
とからなる。このコア4は、前記クラッド5よりも高い
屈折率を備えた中心コア部1と、その外周上に設けられ
た、このクラッド5よりも低い屈折率を備えた中間部2
と、その外周状に設けられた、このクラッド5よりも高
い屈折率を備えたリングコア部3とから構成されてい
る。図中、aは中心コア部1の半径、bは中間部2の半
径、cはリングコア部3の半径(コア4の半径)、
Δ1、Δ2、Δ3は、それぞれクラッド5の屈折率を基準
(零)にしたときの中心コア部1の比屈折率差と中間部
2の比屈折率差、およびリングコア部3の比屈折率差で
ある。すなわち、Δ1およびΔ3はプラスの値、Δ 2はマ
イナスの値をとる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図3は、図1に示した
屈折率プロファイルにおいて、使用波長1.55μmに
おいて、Δ11を2.3%、Δ12を−0.4%に固定し、
1とb1/a1を変化させたときの波長分散と、分散ス
ロープの関係を示したグラフである。
【0006】Δ11は全て2.3%である。グラフ中に示
されている直線Sは使用波長1.55μmにおいて、こ
の分散補償光ファイバが1.3μm用シングルモード光
ファイバの波長分散と分散スロープを双方とも100%
補償できるときの波長分散と分散スロープとの関係を示
しており、この直線Sに近い程理想的な補償の作用が得
られる。
【0007】このグラフ中にはb1/a1の比率を一定と
して、0.1μm間隔でb1の値を変化させたときの点
がb1/a1の値毎にまとめられている。各b1/a1につ
いて、b1を変化させた範囲は以下のようになってい
る。 b1/a1=2.5のとき、b1=2.4〜3.1μm、 b1/a1=3.0のとき、b1=3.0〜3.7μm、 b1/a1=3.5のとき、b1=3.5〜4.2μm、 b1/a1=4.0のとき、b1=4.0〜4.7μm、 b1/a1=4.5のとき、b1=4.6〜5.3μm、
【0008】b1の値が小さくなるにしたがって波長分
散の絶対値が大きくなる傾向があるため、これらのb1
/a1の値毎の曲線において、最も波長分散の絶対値が
大きいものはb1の範囲の下限値が設定されており、最
も波長分散の絶対値が小さいものは、b1の範囲の上限
値が設定されている。
【0009】このグラフより、例えばb1/a1が4.0
〜4.5の条件では、b1が4μm付近のときに波長分
散が−100〜−120ps/nm/km、分散スロー
プは−0.3ps/nm2/km程度となる。このよう
な特性は、例えば1.3μm用シングルモード光ファイ
バを補償する分散補償光ファイバとして、良好である。
【0010】しかしながら、この例のようにΔ11が2%
をこえると、中心コア部1に屈折率を調整するために添
加されるドーパントの添加量が多くなる。通常、コア1
4は屈折率を調整するドーパントを添加した石英系ガラ
スから形成するが、クラッド15は純粋石英ガラスから
形成する。また、ドーパントの添加量に比例して石英系
ガラスのガラス転移点が低くなる。したがって、ドーパ
ントの添加量が多くなると、ファイバ母材を加熱、溶融
して光ファイバを線引きする際に、コア14とクラッド
15との粘度の差が大きくなるため、機械的な強度の観
点から線引き速度が制限され、低損失の分散補償光ファ
イバを得ることができないという問題があった。また、
Δ11が大きいと有効コア断面積が小さくなる傾向があ
る。有効コア断面積が小さいと非線形効果が発生しやす
くなり、伝送特性が劣化するという問題があった。
【0011】しかしながら、従来の分散補償光ファイバ
においては、波長分散と分散スロープの補償効果を実現
し、かつΔ11が小さいものは得られておらず、製造性、
低損失性、非線形性などにおいて問題があった。
【0012】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、有効コア断面積が大きく、低損失な分散補償光ファ
イバを提供することを課題とする。また、線引き時にコ
アとクラッドの粘度の差が小さい分散補償光ファイバを
提供することを課題とする。具体的にはクラッドを基準
にしたときのコアの最も高い層の比屈折率差が比較的低
く、この層へのドーパントの添加量を少なくすることが
できる分散補償光ファイバを提供することを課題とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の第1の発明は、以下の(1)〜(7)の条
件を満足することを特徴とする分散補償光ファイバであ
る。 (1)コアとその外周上に設けられたクラッドとを備
え、該コアが、該クラッドよりも屈折率が高い中心コア
部と、該中心コア部の外周上に設けられた該クラッドよ
りも屈折率が低い中間部と、該中間コア部の外周上に設
けられた該クラッドよりも屈折率が高いリングコア部
と、からなる。 (2)前記中心コア部、前記中間部、および前記リング
コア部の、(半径、クラッドを基準にした比屈折率差)
を、それぞれ(a、Δ1)、(b、Δ2)、(c、Δ3
としたとき、aが2〜3μm、Δ1が0.9〜1.5
%、Δ2が−0.30〜−0.45%、Δ3が0.2〜
1.2%、b/aが2.0〜3.5、c/aが3.0〜
5.0である。 (3)1.53μm〜1.63μmから選択された使用
波長帯において、有効コア断面積が20μm2以上であ
る。 (4)前記使用波長帯において、曲げ損失が40dB/
m以下である。 (5)前記使用波長帯において、波長分散が−65〜−
45ps/nm/kmである。 (6)前記使用波長帯において、実質的にシングルモー
ド伝搬可能なカットオフ波長を有する。 (7)前記使用波長帯よりも短波長の零分散波長を有す
るシングルモード光ファイバの波長分散を零に補償でき
る長さで、当該シングルモード光ファイバを補償したと
きの分散スロープの補償率が80〜120%である。第
2の発明は、前記第1の発明の分散補償光ファイバにお
いて、クラッドが、ドーパントを添加した石英ガラスか
らなることを特徴とする分散補償光ファイバである。第
3の発明は、シングルモード光ファイバと、該シングル
モード光ファイバの波長分散と分散スロープを補償する
前記第1または第2の発明の分散補償光ファイバとを組
み合わせたことを特徴とする光ファイバ伝送路である。
第4の発明は、前記第3の発明の光ファイバ伝送路にお
いて、前記シングルモード光ファイバが、以下の(8)
〜(9)の条件を満足することを特徴とする光ファイバ
伝送路である。 (8)コアとその外周上に設けられたクラッドとを備
え、該コアが中心コア部と、その外周上に設けられた該
中心コア部よりも低い屈折率を備えた中間部と、該中間
部の外周上に設けられた該中間部よりも高く、前記中心
コア部よりも低い屈折率を備えたクラッドとを有する。 (9)前記分散補償光ファイバの使用波長帯において、
有効コア断面積が120μm2以上であり、かつ当該使
用波長帯において、実質的にシングルモード伝搬可能な
カットオフ波長を有する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の分散補償光ファイバは、
図2に示したものと同様の屈折率プロファイルを備えて
いる。本発明の分散補償光ファイバにおいては、図2に
示したaが2〜3μmとされる。2μm未満では曲げ損
失が大きくなり、3μmをこえると有効コア断面積が小
さくなるか、カットオフ波長が長くなり、所望の特性が
得られなくなる。
【0015】また、Δ1が0.9〜1.5%であると好
ましい。0.9%未満であると、所望の波長分散と分散
スロープが得られない場合がある。1.5%をこえると
中心コア部1に添加するドーパントの添加量が多くな
り、伝送損失が大きくなる。また、有効コア断面積が小
さくなることによって非線形効果が発生しやすくなる。
Δ2は−0.30〜−0.45%、好ましくは−0.3
5〜−0.45%とされる。−0.45%未満では伝送
損失が劣化しやすくなり、−0.30%をこえると分散
スロープ補償率が劣化する。Δ3は0.2〜1.2%と
される。0.2%未満では有効コア断面積が小さくなる
ことによって非線形効果が発生しやすくなり、1.2%
をこえるとカットオフ波長が長くなり、所望の特性が得
られなくなる。さらに、b/aは2.0〜3.5とされ
る2.0未満では分散スロープ補償率が劣化し、3.5
をこえると曲げ損失が劣化する。また、c/aは3.0
〜5.0とされる。3.0未満では有効コア断面積が小
さくなることによって非線形効果が発生やすくなり、
5.0をこえるとカットオフ波長が長くなり、所望の特
性が得られなくなる。なお、クラッド5の外径(分散補
償光ファイバの外径)は特に限定しないが、通常125
μm程度である。
【0016】本発明においては、このようにΔ1が比較
的小さい範囲であっても、他の複数の構造パラメータと
の適切な組み合わせにより、以下のような好ましい特性
を実現することができる。なお、これらの数値範囲を全
て満足していても以下のような特性を備えた分散補償光
ファイバを得ることができるとは限らない。適切な複数
の構造パラメータの組み合わせを選択することにより、
以下の様な特性を備えた分散補償光ファイバを得ること
ができる。したがって、本発明の分散補償光ファイバ
は、屈折率プロファイルと構造パラメータの数値範囲の
みでは特定することが困難であり、これらの構成に加え
て以下のような特性値によって特定するものである。こ
のように、Δ1が小さく、かつ波長分散と分散スロープ
の補償効果に優れ、非線形効果を抑制するために有効コ
ア断面積を拡大した分散補償光ファイバは、従来得られ
ていなかったものである。
【0017】本発明における使用波長帯とは、1.53
μm〜1.63μmから選択された波長帯をいう。使用
波長帯の帯域幅は必要に応じて適宜選択することがで
き、実質的にひとつの波長であってもよい。なお、波長
多重伝送などにおいては比較的広い波長帯が選択され、
例えば1.53〜1.57μm帯(いわゆるCバンド
帯)や、1.57〜1.63μm帯(いわゆるLバンド
帯)などを選択することができる。
【0018】そして、本発明の分散補償光ファイバは、
この選択した使用波長帯において、有効コア断面積が2
0μm2以上、好ましくは26μm2以上のものである。
Δ1が小さいため、このように大きな有効コア断面積を
実現することができる。上限値は特に限定しないが、実
質的には30μm2以下のものを製造することができ
る。20μm2未満では非線形効果を抑制することがで
きず、不都合である。なお、有効コア断面積(Aef
f)は以下の式で定義されるものである。
【0019】
【数1】
【0020】また、曲げ損失は小さい程好ましいが、本
発明の分散補償光ファイバは、前記選択した使用波長帯
において、40dB/m以下、好ましくは20dB/m
以下である。40dB/m以下にすることによって、ケ
ーブル化や敷設時などに加えられるわずかな応力によっ
て伝送損失が劣化することが少なく、安定した特性が得
られる。なお、曲げ損失は曲げ直径(2R)が20mm
の条件の値である。
【0021】さらに、本発明の分散補償光ファイバは、
前記選択した使用波長帯において、波長分散が−65〜
−45ps/nm/kmである。このような範囲であれ
ば、1.3μm用シングルモード光ファイバに代表され
る前記使用波長帯よりも短波長の零分散波長を備え、こ
の使用波長帯において比較的大きな正の波長分散を備え
たシングルモード光ファイバの波長分散を、比較的短い
長さの分散補償光ファイバによって補償することができ
る。
【0022】また、本発明の分散補償光ファイバはシン
グルモード光ファイバである必要がある。すなわち、実
際の使用状態でシングルモード伝搬を維持できるカット
オフ波長を備えていなければならない。カットオフ波長
は通常はいわゆる2m法によって測定された値を用いる
が、実際の長尺の使用状態では、2m法のカットオフ波
長が使用波長帯の最短波長よりも長くてもシングルモー
ド伝搬を行うことができる。したがって、カットオフ波
長は、使用波長帯および使用長さによって適切な上限値
を設定し、この上限値をこえない値を実現できるように
分散補償光ファイバを設計する。
【0023】また、本発明の分散補償光ファイバの分散
スロープは、この分散補償光ファイバによって補償する
シングルモード光ファイバの波長分散を零に補償できる
長さの分散補償光ファイバを用いたときの分散スロープ
の補償率が80〜120%である。この範囲外であると
分散スロープの補償が不十分になり、波長多重伝送など
において支障を来す場合がある。
【0024】この分散スロープの補償率は以下のように
して求める。使用波長帯において、シングルモード光フ
ァイバの単位長さ当たりの波長分散と分散スロープの絶
対値をそれぞれd1(ps/nm/km)、s1(ps
/nm2/km)、分散補償光ファイバの単位長さ当た
りの波長分散と分散スロープの絶対値をそれぞれd2
(ps/nm/km)、s2(ps/nm2/km)と
する。前記シングルモード光ファイバの波長分散および
分散スロープは、通常は正の値である。本発明の分散補
償光ファイバの波長分散および分散スロープは、通常は
負の値である。
【0025】まず、単位長さのシングルモード光ファイ
バの波長分散を零に補償できる分散補償光ファイバの長
さはd1/d2で表される。この長さにおける分散補償
光ファイバの分散スロープはd1/d2*s2となる。
そして、この長さの分散補償光ファイバによる単位長さ
当たりのシングルモード光ファイバの分散スロープの補
償率は、(d1/d2*s2)/s1*100となる。
【0026】このように分散スロープの補償率は、使用
波長帯における補償対象のシングルモード光ファイバの
波長分散と分散スロープ、および分散補償光ファイバ自
体の波長分散と分散スロープによって変化するため、目
的とする使用波長帯やシングルモード光ファイバにあわ
せて分散補償光ファイバを設計する必要がある。本発明
の分散補償光ファイバにおいては、上述の数値範囲から
選択される構造パラメータの適切な組み合わせにより、
1.3μm用シングルモード光ファイバに代表される、
上述の使用波長帯よりも短い零分散波長を備えたシング
ルモード光ファイバの分散スロープを、この分散スロー
プの補償率の範囲内で十分に補償することができる。例
えば分散補償光ファイバの負の分散スロープとしては−
0.13〜−0.27ps/nm2/kmの範囲のもの
を任意に設定することができる。
【0027】また、図2に示した屈折率プロファイルに
おいて、各層にドーパントが添加されていると好まし
い。特にクラッド5は上述のように純粋石英ガラスから
構成する場合が多いが、線引き時のコア4との粘度の差
を小さくして線引き速度を大きくし、低損失の分散補償
光ファイバを得るためには、クラッド5にドーパントを
添加すると有効である。すなわち、中心コア部1とリン
グコア部3は好ましくはゲルマニウム添加石英ガラス、
中間部2は好ましくはフッ素添加石英ガラス、クラッド
5は少量のフッ素を添加した石英ガラスから形成すると
好ましい。なお、クラッド5へのフッ素の添加において
は、例えば純粋石英基準の比屈折率差が−0.1〜−
0.4%程度になるように添加量を調整すれば、十分に
効果を得ることができる。
【0028】この分散補償光ファイバは、例えばVAD
法、MCVD法、PCVD法などの公知の方法を用いて
製造することができる。このように本発明の分散補償光
ファイバは、Δ1が小さいため、線引きの際のコア4と
クラッド5の粘度の差が小さく、従来の分散補償光ファ
イバよりも線引き速度を大きくしても分散補償光ファイ
バの機械的な強度が低下しにくい。そのため、従来より
も高速で紡糸して低損失のものを得ることができる。ま
た、有効コア断面積を拡大して非線形効果の発生を抑制
することができる。
【0029】また、本発明の分散補償光ファイバは、シ
ングルモード光ファイバと組み合わせて、波長多重伝
送、長距離伝送などに適した光ファイバ伝送路を構築す
ることができる。光ファイバ伝送路に使用する分散補償
光ファイバおよびシングルモード光ファイバの長さなど
は、各ファイバの特性や設計条件によって適切な値が設
定される。なお、通常は前段にシングルモード光ファイ
バを配置し、後段にこのシングルモード光ファイバを伝
搬することによって蓄積された波長分散と分散スロープ
を補償すべく、分散補償光ファイバが配置される。
【0030】組み合わせるシングルモード光ファイバは
上述のように1.3μm用シングルモード光ファイバで
あってもよいが、使用波長帯よりも短かい零分散波長を
有し、使用波長帯において正の波長分散と、正の分散ス
ロープを備えていれば特に限定することはない。
【0031】例えば以下のようなシングルモード光ファ
イバを用いると好ましい。すなわち、図1に示したもの
と同様の屈折率プロファイルを有するもので、コア14
とその外周上に設けられたクラッド15とを備え、コア
14が中心コア部11と、その外周上に設けられたこの
中心コア部11よりも低い屈折率を備えた中間部12
と、この中間部12の外周上に設けられたこの中間部1
2よりも高く、前記中心コア部11よりも低い屈折率を
備えたクラッド15とを有し、使用波長帯において、有
効コア断面積が120μm2以上、かつ実質的にシング
ルモード伝搬可能なカットオフ波長を有するシングルモ
ード光ファイバである。
【0032】有効コア断面積が120μm2以上である
と、非線形効果が発生しにくくなるため、低損失とな
り、特に長距離波長多重伝送などに適した特性が得られ
る。また、カットオフ波長は、シングルモード光ファイ
バであるための条件である。
【0033】このシングルモード光ファイバにおいても
1、b1、Δ11、Δ12の適切な値を選択して組み合わせ
ることにより、上述の有効コア断面積の条件とカットオ
フ波長の条件を備えたシングルモード光ファイバを得る
ことができる。b1/a1は例えば3.0〜5.0の範囲
から選択される。3.0未満では光の電磁界が中間部1
2をこえてクラッド15に到達しやすくなるので、曲げ
損失が増加する傾向がある。また、5.0をこえると中
間部12を設けた効果が低減し、コアへの光の電磁界の
閉じこめが強くなり過ぎるので、有効コア断面積拡大の
効果が減少する傾向がある。また、カットオフ波長はa
1の値を拡大することによって長波長側にシフトさせる
ことができる。上述のようにカットオフ波長は光ファイ
バの使用長さと波長帯によって設定されるため、一概に
1の数値範囲を示すことはできないが、通常、a1は5
〜20μmの範囲から選択される。クラッド15の外径
は通常約125μmとされる。また、Δ11は0.3%以
下、好ましくは0.26%以下、Δ12が−0.05〜0
−0.15%であると好ましい。Δ11が0.3%をこえ
ると有効コア断面積を拡大することが困難となる。ま
た、Δ12が−0.05%よりも大きくなると(Δ12の絶
対値が小さくなると)曲げ損失が大きくなり、Δ12が−
0.15%よりも小さくなると(Δ12の絶対値が大きく
なると)有効コア断面積が小さくなる傾向がある。
【0034】さらには、波長分散が+19〜+22ps
/nm/km、分散スロープが+0.065ps/nm
2/km以下、曲げ損失が10dB/m以下であると好
ましい。なお、中心コア部11は好ましくはゲルマニウ
ム添加石英ガラス、中間部12は好ましくはフッ素添加
石英ガラス、クラッド15は好ましくは純粋石英ガラス
またはフッ素添加石英ガラスから構成されている。この
シングルモード光ファイバも上述の分散補償光ファイバ
と同様に、一般的な製造方法によって製造することがで
きる。
【0035】このシングルモード光ファイバと本発明の
分散補償光ファイバとを組合わせることにより、低非線
形で低損失であり、波長分散が小さく分散スロープも低
い光ファイバ伝送路を構築することができる。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例を示して詳しく説明す
る。
【0037】(実施例1、比較例)VAD法、MCVD
法、PCVD法などの公知の方法によってファイバ母材
を製造し、線引きして9種類(A〜H:実施例、I:比
較例)の分散補償光ファイバを製造した。これらの分散
補償光ファイバは図2に示した屈折率プロファイルを備
え、それぞれの分散補償光ファイバにおいて、Δ1
Δ2、Δ3、b/a、c/aは表1の値になるようにし
た。また、中心コア部1とリングコア部3はゲルマニウ
ム添加石英ガラス、中間部2はフッ素添加石英ガラス、
クラッド5はフッ素を添加した石英ガラスから形成し
た。クラッド5のフッ素濃度は純粋石英ガラスの屈折率
を基準にして比屈折率差が0.1%となるようにした。
線引きの条件は線引き速度300m/min、線引き張
力250g、加熱温度2000℃とした。
【0038】しかし、実施例であるA〜Hの分散補償光
ファイバについては問題なく線引きを行うことができた
が、比較例であるΔ1が大きいIの分散補償光ファイバ
については、損失が高くなっため、線引きの条件を線引
き速度300m/min、線引き張力350g、加熱温
度1900℃とした。しかし、機械的な強度に問題があ
った。これらの分散補償光ファイバの光学特性を表1、
表2にあわせて示した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】A〜Hの分散補償光ファイバの伝送損失は
0.25〜0.30dB/kmと低損失でありAeff
も20μm2以上と大きく、大容量伝送、長距離伝送に
適したものであった。一方、Iの分散補償光ファイバは
機械的強度に問題が生じるレベルで線引きしても、伝送
損失が0.40dB/kmであり、大きかった。また、
有効コア断面積も小さかった。なお、カットオフ波長は
2m法による値であり、いずれも通常使用される長尺の
状態ではシングルモード伝搬を保証することができる値
が得られた。
【0042】(実施例2)前段に以下のシングルモード
光ファイバ30kmを配置し、後段に実施例1で製造し
たAの分散補償光ファイバを11.6km接続して光フ
ァイバ伝送路を構築した。すなわち、シングルモード光
ファイバは、VAD法やMCVD法などの公知の方法に
より製造したファイバ母材を線引きして製造したものを
用いた。このシングルモード光ファイバは、図1に示し
た屈折率プロファイルを有し、中心コアはゲルマニウム
添加石英ガラスから構成し、中間部はフツ素添加石英ガ
ラス、クラツドは純粋石英から構成した。また、Δ11
Δ12はそれぞれ0.24%と−0.05%、a、bはそ
れぞれ6.6μm、26.5μm、クラツド外径は12
5μmとした。表3にこのシングルモード光ファイバの
特性を示した。
【0043】
【表3】
【0044】光ファイバ伝送路全体について、波長分散
は波長1.55μmにおいて零であった。また、1.5
3〜1.63μmの範囲において、分散スロープは0.
1ps/nm2/km以下であり、分散スロープの補償
率はほぼ100%であった。この光ファイバ伝送路は、
前段のシングルモード光ファイバの有効コア断面積が大
きいため、低非線形であり、かつ分散補償光ファイバの
作用によって、波長分散、分散スロープが小さく、良好
な伝送特性が得られた。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明の分散補償光
ファイバにおいては、コアの最も高い屈折率を備えた層
の比屈折率差が小さいため、従来よりも低張力で紡糸し
て低損失のものを得ることができる。また、有効コア断
面積を拡大して非線形効果の発生を抑制することができ
る。また、本発明の分散補償光ファイバは、シングルモ
ード光ファイバと組み合わせて、波長多重伝送、長距離
伝送などに適した光ファイバ伝送路を構築することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 分散補償光ファイバの屈折率プロファイルの
一例を示したグラフである。
【図2】 分散補償光ファイバの屈折率プロファイルの
他の例を示したグラフであって、本発明の分散補償光フ
ァイバに適用するものである。
【図3】 図1に示した屈折率プロファイルにおいて、
波長分散、分散スロープの関係の一例を示したグラフで
ある。
【符号の説明】
1…中心コア部、2…中間部、3…リングコア部、4…
コア、5…クラッド。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和田 朗 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉事業所内 Fターム(参考) 2H050 AB03Z AB05X AB10Y AC09 AC13 AC71 AC73 AC76 AD00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(1)〜(7)の条件を満足する
    ことを特徴とする分散補償光ファイバ。 (1)コアとその外周上に設けられたクラッドとを備
    え、該コアが、該クラッドよりも屈折率が高い中心コア
    部と、該中心コア部の外周上に設けられた該クラッドよ
    りも屈折率が低い中間部と、該中間コア部の外周上に設
    けられた該クラッドよりも屈折率が高いリングコア部
    と、からなる。 (2)前記中心コア部、前記中間部、および前記リング
    コア部の、(半径、クラッドを基準にした比屈折率差)
    を、それぞれ(a、Δ1)、(b、Δ2)、(c、Δ3
    としたとき、 aが2〜3μm、 Δ1が0.9〜1.5%、 Δ2が−0.30〜−0.45%、 Δ3が0.2〜1.2%、 b/aが2.0〜3.5、 c/aが3.0〜5.0である。 (3)1.53μm〜1.63μmから選択された使用
    波長帯において、有効コア断面積が20μm2以上であ
    る。 (4)前記使用波長帯において、曲げ損失が40dB/
    m以下である。 (5)前記使用波長帯において、波長分散が−65〜−
    45ps/nm/kmである。 (6)前記使用波長帯において、実質的にシングルモー
    ド伝搬可能なカットオフ波長を有する。 (7)前記使用波長帯よりも短波長の零分散波長を有す
    るシングルモード光ファイバの波長分散を零に補償でき
    る長さで、当該シングルモード光ファイバを補償したと
    きの分散スロープの補償率が80〜120%である。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の分散補償光ファイバに
    おいて、 クラッドが、ドーパントを添加した石英ガラスからなる
    ことを特徴とする分散補償光ファイバ。
  3. 【請求項3】 シングルモード光ファイバと、該シング
    ルモード光ファイバの波長分散と分散スロープを補償す
    る請求項1または2に記載の分散補償光ファイバとを組
    み合わせたことを特徴とする光ファイバ伝送路。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の光ファイバ伝送路にお
    いて、 前記シングルモード光ファイバが、以下の(8)〜
    (9)の条件を満足することを特徴とする光ファイバ伝
    送路。 (8)コアとその外周上に設けられたクラッドとを備
    え、該コアが中心コア部と、その外周上に設けられた該
    中心コア部よりも低い屈折率を備えた中間部と、該中間
    部の外周上に設けられた該中間部よりも高く、前記中心
    コア部よりも低い屈折率を備えたクラッドとを有する。 (9)前記分散補償光ファイバの使用波長帯において、
    有効コア断面積が120μm2以上であり、かつ当該使
    用波長帯において、実質的にシングルモード伝搬可能な
    カットオフ波長を有する。
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