[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2002080529A - 熱可塑性ポリマー - Google Patents

熱可塑性ポリマー

Info

Publication number
JP2002080529A
JP2002080529A JP2001131579A JP2001131579A JP2002080529A JP 2002080529 A JP2002080529 A JP 2002080529A JP 2001131579 A JP2001131579 A JP 2001131579A JP 2001131579 A JP2001131579 A JP 2001131579A JP 2002080529 A JP2002080529 A JP 2002080529A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
nitrogen
thermoplastic polymer
mol
side chain
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001131579A
Other languages
English (en)
Inventor
Keisuke Chino
圭介 知野
Makoto Ashiura
誠 芦浦
Tetsuji Kawamo
哲司 川面
Katsuhiro Igawa
勝弘 井川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yokohama Rubber Co Ltd filed Critical Yokohama Rubber Co Ltd
Priority to JP2001131579A priority Critical patent/JP2002080529A/ja
Priority to US09/883,239 priority patent/US6809157B2/en
Priority to DE10131659A priority patent/DE10131659A1/de
Publication of JP2002080529A publication Critical patent/JP2002080529A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】通常の熱可塑性樹脂の成形温度で流動性を示す
とともに、常温では安定な架橋構造を形成し、ゴム弾性
を有しており、温度変化により架橋形成および架橋解離
を繰り返し再現しうる熱可塑性ポリマーの提供。 【解決手段】カルボニル含有基と含窒素5員環状複素環
含有基とを側鎖に有する熱可塑性ポリマー、あるいはエ
チレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−ブ
テン共重合体(EBM)またはエチレン−プロピレン−
ジエン三元共重合体(EPDM)、若しくはブチルゴム
またはハロゲン化ブチルゴム含有基を主鎖としカルボニ
ル含有基と含窒素複素環含有基とを側鎖に有する熱可塑
性ポリマー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温度変化により架
橋形成および架橋解離を繰り返し再現しうる熱可塑性ポ
リマー、その製造方法、およびそれを用いた組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年環境保護や省資源等の立場から使用
済み材料の再利用が望まれている。加硫ゴムは、高分子
物質と加硫剤とが共有結合した安定な三次元網目構造を
有し、非常に高い強度を示すが、強い共有結合架橋のた
めに再成形が難しい。一方、熱可塑性エラストマーは、
物理的架橋を利用するものであり、予備成形などを含む
煩雑な加硫・成形工程を必要とせずに、加熱溶融により
容易に成形加工することができる。このような熱可塑性
ポリマーの典型例としては、樹脂成分とゴム成分とを含
み、常温では微結晶樹脂成分が三次元網目構造の架橋点
の役割を果たすハードセグメントとなり、ゴム成分(ソ
フトセグメント)の塑性変形を阻止し、昇温により樹脂
成分の軟化あるいは融解により塑性変形する熱可塑性エ
ラストマーが知られている。しかし、このような熱可塑
性エラストマーでは、樹脂成分を含んでいるためゴム弾
性が低下しやすい。そのため、樹脂成分を含まずに熱可
塑性が付与できる材料が求められている。
【0003】かかる課題に対し、本発明者らは先に、水
素結合を形成しうる反応部位を有するエラストマーと、
このエラストマーの反応部位と水素結合を形成しうる反
応部位を有する化合物とを含有するエラストマー組成物
が、水素結合を利用して温度変化により架橋形成と架橋
解離とを繰り返すことができることを開示した(特開平
11−209524号公報)。該エラストマー組成物
は、変性を受けていないオレフィン系樹脂などの熱可塑
性樹脂の成形温度で充分に溶融流動性を示すことがで
き、低温では架橋形成により優れた破断強度などの機械
的強度を有し、温度変化により架橋形成および架橋解離
(軟化)を繰り返し再現できる。このような特性を有す
る熱可塑性エラストマーは、その産業上の利用価値、お
よび環境保護上の価値は極めて高く、さらに高い架橋強
度が得られるとともに、架橋形成および架橋解離を繰り
返しても物性変化のない、リサイクル性に優れた材料が
期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、通常の熱可
塑性樹脂の成形温度で充分に溶融流動性を示すととも
に、常温では安定な架橋構造を形成し、ゴム弾性を有し
ており、温度変化により硬化および流動化を繰り返し再
現しうる熱可塑性ポリマーを提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決するために鋭意検討した結果、エラストマー性
ポリマーを主鎖とし、その側鎖に、カルボニル含有基と
含窒素5員環状複素環含有基とを有することにより、架
橋時の引張強度が非常に高く、かつゴム弾性を有してお
り、120℃程度で容易に軟化することができ、しかも
架橋形成および架橋解離を繰り返し行っても物性が低下
せず、リサイクル性を付与できることを見出した。ま
た、エラストマー性ポリマーとしてジエン部分が5mo
l%以下のエラストマー性ポリマー、例えばEPM、E
BMまたはEPDM、あるいはブチルゴムまたはハロゲ
ン化ブチルゴムを用い、側鎖に特定の割合でカルボニル
含有基と含窒素複素環含有基とを有していれば、該環状
複素環含有基の環員数に関わらず、5員環状でなくて
も、優れた機械的強度、およびリサイクル性を付与でき
ることを見出した。なお、ここでのmol%とは、ポリ
マーを形成しているモノマーユニットを基準とした値で
示す。
【0006】すなわち、本発明の第一の態様は、カルボ
ニル含有基と含窒素5員環状複素環含有基とを側鎖に有
する熱可塑性ポリマーである。本発明の第二の態様は、
ジエン部分が5mol%以下のエラストマーを主鎖と
し、カルボニル含有基と含窒素複素環含有基とを側鎖に
有し、主鎖部分100mol%に対して、側鎖部分を
0.1〜50mol%の割合で有する熱可塑性ポリマー
である。本発明の第三の態様は、エチレン−プロピレン
共重合体(EPM)、エチレン−ブテン共重合体(EB
M)またはエチレン−プロピレン−ジエン共重合体(E
PDM)を主鎖とし、カルボニル含有基と含窒素複素環
含有基とを側鎖に有し、主鎖部分100mol%に対し
て、側鎖部分を0.1〜50mol%の割合で有する熱
可塑性ポリマーである。また、本発明の第四の態様は、
ブチルゴムまたはハロゲン化ブチルゴムを主鎖とし、カ
ルボニル含有基と含窒素複素環含有基とを側鎖に有し、
主鎖部分100mol%に対して、側鎖部分を0.1〜
50mol%の割合で有する熱可塑性ポリマーである。
上記第二、 第三、第四の態様において、前記含窒素複素
環が5員環または6員環であることが好ましい。上記第
一、 第二、 第三、第四の態様において、前記カルボニル
含有基がアミド、エステル、イミドおよびカルボキシル
基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記側鎖は、 α位またはβ位で主鎖に結合するに
式(1)、(2)、(3)の少なくとも1種を有するこ
とが好ましい。
【0007】
【化2】 ここで、Rは含窒素5員環状複素環を表す。さらに、上
記第一、 第二、 第三、第四の態様において、前記熱可塑
性ポリマーのガラス転移点(Tg)は25℃以下である
ことが好ましい。また本発明は、環状酸無水物基を側鎖
に有するポリマーと、含窒素5員環状複素環化合物と
を、前記含窒素5員環状複素環化合物が前記環状酸無水
物基と化学的に結合しうる温度にて反応させる、第一の
態様にかかる熱可塑性ポリマーの製造方法を提供する。
また、第二、第三、第四の態様にかかる熱可塑性ポリマ
ーの製造方法では、含窒素複素環化合物を環状酸無水物
基を側鎖に有するポリマーである、それぞれ、ジエン部
分が5mol%以下のエラストマー、EPM、EBMま
たはEPDM、ブチルゴムまたはハロゲン化ブチルゴム
と、含窒素複素環化合物が環状無水物基と化学的に結合
しうる温度にて反応させる。また本発明は、第一、第
二、第三、第四の態様にかかる熱可塑性ポリマーを含有
するゴム組成物を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を具体的に説明す
る。 <第一の態様>本発明の第一の態様にかかる熱可塑性ポ
リマーは、カルボニル含有基と含窒素5員環状複素環含
有基とを側鎖に有することを特徴とする。第一の態様に
かかる熱可塑性ポリマーの主鎖となるエラストマー性ポ
リマーは、一般的に加硫(架橋、硬化)用ゴム弾性材料
として公知の天然高分子または合成高分子である。この
ようなエラストマー性ポリマーとしては、具体的にたと
えば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,
2−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニト
リルゴム、クロロプレンゴムなどのジエン系ゴム、ブチ
ルゴム、エチレン−プロピレン系ゴム(EPDM、EP
M)、エチレン−ブテンゴム(EBM)、クロロスルホ
ン化ポリエチレン、アクリルゴム、フッ素ゴムなどのオ
レフィン系ゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴ
ム、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどを挙げることが
できる。また、樹脂成分を含む熱可塑性エラストマーで
あってもよく、たとえば水添されていてもよいポリスチ
レン系エラストマー性ポリマー(SBS、SIS、SE
BS)、ポリオレフィン系エラストマー性ポリマー、ポ
リ塩化ビニル系エラストマー性ポリマー、ポリウレタン
系エラストマー性ポリマー、ポリエステル系エラストマ
ー性ポリマーまたはポリアミド系エラストマー性ポリマ
ーなどであってもよい。
【0009】上記のようなエラストマー性ポリマーは、
液状または固体状のいずれであってもよい。またその分
子量は特に限定されず、使用目的、架橋密度などに応じ
て適宜選択することができるが、熱可塑性ポリマーを製
造する際の利便性、および熱可塑性ポリマー加熱(脱架
橋)時の流動性から液状ゴムであることが好ましい。ま
た液状を示すような分子量であることが好ましく、たと
えばイソプレンゴム、ブタジエンゴムなどのジエン系ゴ
ムでは重量平均分子量が1, 000〜10万であること
が好ましく、1,000〜5万程度が特に好ましい。一
方強度を重視する場合は固体ゴムであることが特に好ま
しく、たとえばイソプレンゴム、ブタジエンゴムなどの
ジエン系ゴムでは、重量平均分子量が10万〜200万
であることが好ましく、50万〜150万が特に好まし
い。
【0010】本発明の熱可塑性ポリマーは、上記のよう
なエラストマー性ポリマーの側鎖にカルボニル含有基と
含窒素5員環状複素環含有基とを導入したものである。
上記カルボニル含有基としては、たとえばアミド、エス
テル、イミドおよびカルボキシル基などが挙げられる。
このような基を導入しうる化合物としては特に限定され
ず、たとえばカルボン酸化合物およびその誘導体などが
挙げられる。カルボン酸化合物としては、飽和または不
飽和の炭化水素基を有する有機酸が挙げられ、炭化水素
基は、脂肪族、脂環族、芳香族カルボン酸などいずれで
あってもよい。またカルボン酸誘導体としてはカルボン
酸無水物、エステル、ケトン、アミノ酸、アミド類、イ
ミド類、チオカルボン酸(メルカプト基含有カルボン
酸)などが挙げられる。
【0011】具体的には、マロン酸、マレイン酸、スク
シン酸、グルタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフ
タル酸、p−フェニレンジ酢酸、p−ヒドロキシ安息香
酸、p−アミノ安息香酸、メルカプト酢酸などのカルボ
ン酸および置換基含有カルボン酸、無水コハク酸、無水
マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、無水プロ
ピオン酸、無水安息香酸などの酸無水物、マレイン酸エ
ステル、マロン酸エステル、スクシン酸エステル、グル
タル酸エステル、酢酸エチルなどの脂肪族エステル、フ
タル酸エステル、イソフタル酸エステル、テレフタル酸
エステル、エチル−m−アミノベンゾエート、メチル−
p−ヒドロキシベンゾエートなどの芳香族エステル、キ
ノン、アントラキノン、ナフトキノンなどのケトン、グ
リシン、トリシン、ビシン、アラニン、バリン、ロイシ
ン、セリン、スレオニン、リジン、アスパラギン酸、グ
ルタミン酸、システイン、メチオニン、プロリン、N−
(p−アミノベンゾイル)−β−アラニンなどのアミノ
酸、マレインアミド、マレインアミド酸(マレインモノ
アミド)、コハク酸モノアミド、5−ヒドロキシバレル
アミド、N−アセチルエタノールアミン、N,N’−ヘ
キサメチレンビス(アセトアミド)、マロンアミド、シ
クロセリン、4−アセトアミドフェノール、p−アセト
アミド安息香酸などのアミド類、マレインイミド、スク
シンイミドなどのイミド類が挙げられる。これらのうち
でも、本発明のカルボニル含有基としては、無水コハク
酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸な
どの環状酸無水物から導かれることが好ましく、特に無
水マレイン酸から導かれることがより好ましい。
【0012】また、本発明の第一の態様にかかる含窒素
5員環状複素環含有基は、複素環内に窒素原子を含むも
のであれば特に限定されず、複素環内に窒素原子以外の
他のヘテロ原子、たとえば硫黄原子、酸素原子、リン原
子などを有していてもよい。また上記複素環は置換基を
有していてもよく、置換基としては、メチル基、エチル
基、(イソ)プロピル基、ヘキシル基などのアルキル
基、メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基な
どのアルコキシ基、フッ素、ヨウ素、塩素などのハロゲ
ン原子からなる基、シアノ基、アミノ基、芳香族炭化水
素基、エステル基、エーテル基、アシル基、チオエーテ
ル基などが挙げられ、これらの組合せであってもよい。
これらの置換位置は特に限定されず、また置換基数も限
定されない。また、上記複素環は、芳香族性を有してい
ても、有していなくてもよいが、芳香族性を有している
と架橋時の引張強度がより高まるので好ましい。また、
上記含窒素5員環状複素環含有基は、上記含窒素5員環
状複素環が主鎖と直接共有結合することにより結合して
いてもよいが、上記複素環と主鎖を構成するエラストマ
ー性ポリマーとの間に結合基を有しているのが好まし
く、該結合基を介して主鎖と化学的に結合(共有結合)
しているのが好ましい。このような結合基としては、ア
ミド基、メチレン基、エチレン基、エステル基などが好
ましく挙げられ、これらのうちでも、アミド基が相補的
な水素結合を形成するため好ましい。なお、上記含窒素
5員環状複素環と、上記結合基との結合位置は特に限定
されず、上記複素環と結合基とが結合していてもよく、
上記複素環の有する置換基と結合基とが結合していても
よい。含窒素5員環状複素環の3、4 位で結合すると、
2位で結合するものが分子内で水素結合するのに対し
て、分子間で水素結合するので硬化物の機械的特性が高
く好ましい。3位が特に好ましい。また、複素環中の窒
素原子の数は2以上が好ましく、3が特に好ましい。特
には、主鎖との介在基がアミド基で窒素の数が3である
含窒素5員環状複素環の3、4 位で結合するのが好まし
い。
【0013】本発明の含窒素5員環状複素環の代表例と
しては、下記の化合物が好ましく例示される。これらは
種々の置換基を有していてもよいし、水素付加あるいは
脱離されたものであってもよい。
【0014】
【化3】 また、上記単環複素環にベンゼン環が縮合したものや、
上記単環複素環同士が縮合したものも用いることがで
き、たとえば下記の縮合環が挙げられる。
【0015】
【化4】
【0016】本発明の含窒素5員環状複素環含有基は、
上記含窒素5員環状複素環と、主鎖を構成するエラスト
マー性ポリマーと共有結合しうる基とを含む、含窒素5
員環状複素環化合物により導入される。このような基と
しては、たとえばアミノ基、水酸基、カルボキシル基、
チオール基またはスルフィド基などが挙げられる。
【0017】本発明の第一の態様にかかる熱可塑性ポリ
マーは、上記のようなカルボニル含有基と、含窒素5員
環状含有基とを側鎖に有する熱可塑性ポリマーである。
これらの基は、上記エラストマー性ポリマーの側鎖に共
有結合しており、これらは互いに独立の側鎖として主鎖
に結合していてもよく、またカルボニル基と、含窒素5
員環状含有基とを同一側鎖に分岐状に有していてもよ
い。特に合成上の観点からは、同一側鎖に有しているこ
とが好ましく、たとえば下記式(1)、(2)、(3)
に示す構造を有するものが挙げられる。
【0018】
【化5】 ここで、Rは含窒素5員環状複素環を表し、上記例示し
た5員環状複素環が挙げられる。上記式(1)〜(3)
に示す構造は、式中のα位またはβ位で、上記エラスト
マー性ポリマーと結合するのが好ましい。
【0019】これらの基で構成される側鎖部分は、主鎖
部分100mol%に対して、0.1〜50mol%の
割合で有していることが好ましく、1〜15mol%の
割合で有していることがより好ましい。この割合は、主
鎖部分がイソプレンゴムである場合には、イソプレンモ
ノマー単位モル当り、側鎖部分の導入されたモノマー
が、0.1〜35mol%程度であるのが好ましい。こ
の範囲内であれば、分子間あるいは分子内でこれらの側
鎖の相互作用のバランスがよく、上記熱可塑性ポリマー
は、架橋時の引張強度が非常に高く、かつゴム弾性を有
したものとなる。この熱可塑性ポリマーは、120℃以
上に加熱することにより三次元の架橋構造が解離し、流
動性が付与される。側鎖同士の相互作用が弱まるためで
あると考えられる。主鎖部分100mol%に対する側
鎖部分の割合は、0.1mol%未満では架橋時の強度
が充分でなく、50mol%を超えるとゴム弾性が失わ
れるため好ましくない。カルボニル含有基と、含窒素5
員環状含有基との割合は特に限定されないが、2:1で
あると相補的な相互作用を形成しやすくなるため好まし
い。また、本発明の第一の態様にかかる熱可塑性ポリマ
ーは、常温で所望のゴム弾性を得たい場合は、そのガラ
ス転移点が25℃以下であるのが好ましい。
【0020】本発明の第一の態様にかかる熱可塑性ポリ
マーの製造方法は特に限定されず、通常の方法により合
成することができる。本発明の第一の態様にかかる熱可
塑性ポリマーのうちでも、カルボニル含有基と含窒素5
員環状複素環含有基とを同一側鎖に有するものは、たと
えばカルボニル含有基で変成されたエラストマー性ポリ
マーを、含窒素5員環状複素環含有基を導入しうる化合
物と反応させて、該カルボニル含有基と、該含窒素5員
環状複素環含有基とを共有結合させることにより得られ
る。カルボニル含有基で変成されたエラストマー性ポリ
マーは、たとえばブタジエンゴムなどのジエン系ゴム
と、無水マレイン酸あるいはメルカプト酢酸を含むトル
エン溶液を、室温であるいは加熱下で窒素雰囲気下、5
時間撹拌し、反応混合物をメタノールに沈殿させ、減圧
乾燥することにより得られる。このような変性エラスト
マー性ポリマーとしては、市販品を利用することもで
き、たとえばLIR−403A(クラレ社製)、LIR
−410A(クラレ社試作品)などの無水マレイン酸変
性イソプレンゴム、LIR−410(クラレ社製)など
のカルボキシル変性イソプレンゴム、クライナック11
0、−221、−231(ポリサー社製)などのカルボ
キシル変性ニトリルゴム、CPIB(日石化学社製)、
HRPIB(日石化学ラボ試作品)などのカルボキシル
変性ポリブテン、ニュクレル (三井デュポンポリケミカ
ル社製) 、ユカロン(三菱化学社製)などを挙げること
ができる。また、予めカルボニル含有基と含窒素5員環
状複素環含有基とを導入しうる化合物同士を結合させた
後、エラストマー性ポリマーの側鎖に結合させることも
できる。
【0021】また、カルボニル含有基と含窒素5員環状
複素環含有基とを、それぞれ独立して側鎖に有する熱可
塑性ポリマーを合成する場合には、エラストマー性ポリ
マーの製造時に、該ポリマーの主鎖を形成しうるモノマ
ーと、上記基を導入しうる共重合モノマーとを共重合さ
せて、上記熱可塑性ポリマーを直接製造してもよく、予
め重合などにより主鎖(エラストマー性ポリマー)を形
成し、次いで、上記基を導入しうる化合物でグラフト変
性してもよい。上記の各製造方法においては、エラスト
マー性ポリマーの側鎖の各基は、独立に結合している
か、あるいは互いに結合したものであるかは、NMR、
IRスペクトルなどの通常用いられる分析手段により確
認することができる。
【0022】本発明の第一の態様では、上記のうちでも
予め形成されたエラストマー性ポリマーの同一側鎖にカ
ルボニル含有基と含窒素5員環状複素環含有基とが結合
していることが好ましく、特に環状酸無水物を側鎖に有
する変性エラストマー性ポリマーと、含窒素5員環状複
素環化合物とを、含窒素5員環状複素環化合物が環状酸
無水物基と化学結合(たとえば共有結合、イオン結合)
しうる温度にて反応させることにより結合させることが
好ましい。(この反応により酸無水物は開環する。)含
窒素5員環状複素環化合物が環状酸無水物基と化学結合
しうる温度は、化合物の種類によっても異なるが、通常
室温から200℃程度である。反応時間は通常3〜5時
間程度である。
【0023】次に、本発明の第二の態様について説明す
る。本発明の第二の態様は、ジエン部分が5mol%以
下のエラストマーを主鎖とし、カルボニル含有基と含窒
素複素環含有基とを側鎖に有し、主鎖部分100mol
%に対して、側鎖部分を0.1〜50mol%の割合で
有する熱可塑性ポリマーである。ジエン部分が5mol
%以下のエラストマ−を主鎖とする本発明の第二の態様
の熱可塑性ポリマーは、上記の特定の側鎖を有するの
で、側鎖を有しないエラストマーを硫黄加硫して得られ
る硬化物より機械的強度の高い熱可塑性ポリマーの架橋
物を得ることができる。特に、引張強度、破断強度、破
断伸びが高い。これはイソプレン等のジエン部分の含有
量の多いエラストマーを主鎖とする場合に比べると向上
が顕著であり、従来予想されていなかった。すなわち本
発明の第二の態様は、ジエン部分が5mol%以下のエ
ラストマーの側鎖に、カルボニル含有基と含窒素複素環
含有基とを主鎖部分100mol%に対して、側鎖部分
を0.1〜50mol%の割合で導入して、破断強度、
破断伸びを高め、ジエン部分が5mol%以下のエラス
トマーに熱可逆な可塑性を付与する方法を提供する。ジ
エン部分が5mol%以下のエラストマーの代表例とし
て以下にエチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エ
チレン−ブテン共重合体(EBM)またはエチレン−プ
ロピレン−ジエン共重合体(EPDM)を主鎖とする場
合、あるいは、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムを主
鎖とする場合を挙げて説明するが、本発明の第二の態様
のエラストマ−は、これらの主鎖に限定されるものでは
ない。例えば、これら以外に、アクリルゴム、多流化ゴ
ム、シリコーンゴム、ウレタンゴムが挙げられる。以下
に本発明の第二の態様の例示として第三、第四の態様を
説明する。本発明の第二の態様の具体的説明は、以下の
第三、第四の態様で説明することと同様である。
【0024】本発明の第三の態様にかかる熱可塑性ポリ
マーは、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エ
チレン−ブテン共重合体(EBM)またはエチレン−プ
ロピレン−ジエン共重合体(EPDM)を主鎖とし、カ
ルボニル含有基と含窒素複素環含有基とを側鎖に有する
ことを特徴とする。ジエンとしては、一般にジシクロペ
ンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,
4−ヘキサジエンなどが用いられる。また、プロピレン
の他に1−ブテンが用いられる場合もある。EPMまた
はEPDMを主鎖とすると、第一の態様で挙げた他のポ
リマーを用いる場合と比べて架橋時の引張強度がより高
くなる。EPMおよびEPDMは液状でも固体状でもよ
く、その分子量は特に限定されないが、固体状である方
が高物性であるため好ましい。EPM、EPDMとして
は、重量平均分子量が1,000〜2,000,00
0、好ましくは100,000〜1,000,000程
度であることが好ましい。
【0025】本発明の第三の態様にかかる熱可塑性ポリ
マーは、上記EPM、EBM、またはEPDMにより構
成される主鎖に、カルボニル含有基と含窒素複素環含有
基とを側鎖に導入したものである。すなわち本発明の第
三の態様は、EPM、EBMまたはEPDMにより構成
されるポリマーの側鎖に、カルボニル含有基と含窒素複
素環含有基とを主鎖部分100mol%に対して、側鎖
部分を0.1〜50mol%の割合で導入して、破断強
度、破断伸びを高め、EPM、EBMまたはEPDMに
熱可逆な可塑性を付与する方法を提供する。第三の態様
にかかるカルボニル含有基は、第一の態様で例示される
ものと同じものを用いることができ、該カルボニル基を
導入しうる化合物、およびこれらの好ましい例について
も同様である。また本発明の第三の態様では、上記主鎖
骨格とすることにより、上記含窒素複素環含有基に含ま
れる含窒素複素環は、5員環状に限らなくても、得られ
る熱可塑性ポリマーの架橋時の強度は充分に高く、3〜
8の多員環や縮合環などを広く用いることができる。
【0026】第三の態様で用いられる含窒素複素環は、
5員環のみではなく複素環内に窒素原子を含むものであ
れば特に限定されず、複素環内に、硫黄原子、酸素原
子、リン原子などの窒素原子以外の他のヘテロ原子を含
んでいてもよい。たとえば、第一の態様で例示した含窒
素5員環状複素環や、含窒素6員環状複素環、ピロロリ
ン、ピロリドン、オキシインドール(2−オキシインド
ール)、インドキシル(3−オキシインドール)、ジオ
キシインドール、イサチン、インドリル、フタルイミジ
ン、β−イソインジゴ、モノポルフィリン、ジポルフィ
リン、トリポルフィリン、アザポルフィリン、フタロシ
アニン、ヘモグロビン、ウロポルフィリン、クロロフィ
ル、フィロエリトリン、イミダゾール、ピラゾール、ト
リアゾール、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベン
ゾピラゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾリン、イ
ミダゾロン、イミダゾリドン、ヒダントイン、ピラゾリ
ン、ピラゾロン、ピラゾリドン、インダゾール、ピリド
インドール、プリン、シンノリン、ピロール、ピロリ
ン、インドール、インドリン、オキシルインドール、カ
ルバゾール、フェノチアジン、インドレニン、イソイン
ドール、オキサゾール類、チアゾール類、イソオキサゾ
ール類、イソチアゾール、オキサジアゾール、チアジア
ゾール、オキサトリアゾール、チアトリアゾール、フェ
ナントロリン、オキサジン、ベンゾオキサジン、フタラ
ジン、プテリジン、ピラジン、フェナジン、テトラジ
ン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ア
ントラニル、ベンゾチアゾール、ベンゾフラザン、ピリ
ジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナン
トリジン、アントラゾリン、ナフチリジン、チアジン、
ピリダジン、ピリミジン、キナゾリン、キノキサリン、
トリアジン、ヒスチジン、トリアゾリジン、メラミン、
アデニン、グアニン、チミン、シトシン等が挙げられ
る。含窒素複素環は、他のヘテロ原子を環中に含んでい
てもよい。また、上記複素環は置換基を有していてもよ
く、置換基としては、メチル基、エチル基、(イソ)プ
ロピル基、ヘキシル基などのアルキル基、メトキシ基、
エトキシ基、(イソ)プロポキシ基などのアルコキシ
基、フッ素、ヨウ素、塩素などのハロゲン原子からなる
基、シアノ基、アミノ基、芳香族炭化水素基、エステル
基、エーテル基、アシル基、チオエーテル基などが挙げ
られ、これらの組合せであってもよい。これらの置換位
置は特に限定されず、また置換基数も限定されない。ま
た、上記複素環は、芳香族性を有していても、有してい
なくてもよいが、第一の態様と同様に芳香族性を有して
いるほうが好ましい。含窒素5員環状複素環を用いる
と、強固な水素結合を発現する利点がある。また本発明
の第三の態様にかかる含窒素複素環含有基は、上記複素
環が主鎖と直接結合していてもよいが、上記複素環と主
鎖を構成するEPM、EBMまたはEPDMとの間に結
合基を有しているのが好ましい。結合基としては、第一
の態様で例示したものが好ましく、アミド基、メチレン
基、エチレン基、エステル基などが挙げられ、これらの
うちでもアミド基が相補的な水素結合を形成するため特
に好ましい。なお、第一の態様と同様に、上記複素環と
上記結合基との結合位置は特に限定されず、上記複素環
と結合基とが結合していてもよく、上記複素環の有する
置換基と結合基とが結合していてもよい。
【0027】上記含窒素複素環含有基は、含窒素複素環
と、主鎖を構成するEPM、EBMまたはEPDMと共
有結合しうる基とを含む、含窒素複素環化合物により導
入される。主鎖を構成するエラストマー性ポリマーと共
有結合しうる基としては、たとえばアミノ基、水酸基、
カルボキシル基、チオール基またはスルフィド基などが
挙げられる。上記含窒素複素環は上記例示した含窒素5
員環状複素環であることが、得られる熱可塑性ポリマー
の架橋時の引張強度が特に高いため好ましい。含窒素5
員環状複素環の3、4位で結合すると、2位で結合する
ものが分子内で水素結合するのに対して、分子間で水素
結合するので硬化物の機械的特性が高く好ましい。3位
が特に好ましい。また、複素環中の窒素原子の数は2以
上が好ましく、3が特に好ましい。特には、主鎖との介
在基がアミド基で窒素の数が3である含窒素5員環状複
素環の3、4位で結合するのが好ましい。
【0028】また本発明の第三の態様にかかる熱可塑性
ポリマーは、カルボニル含有基と含窒素複素環含有基と
を、それぞれ独立の側鎖として主鎖に結合していてもよ
く、また同一側鎖内に分岐状に有してもよい。第三の態
様においても、同一側鎖内に有していることが容易に合
成できるため好ましく、特に、第一の態様で示したよう
に、上記式(1)、(2)、(3)に示す構造を有して
いることが好ましい。ここで、Rは含窒素複素環を表
し、上記で例示した含窒素複素環が好ましく挙げられ、
これらのうちでも、5員環状の含窒素複素環であると、
強度特性に特に優れているためより好ましい。結合部位
はα位またはβ位が好ましい。
【0029】かかる構成を有する本発明の第三の態様の
熱可塑性ポリマーにおいて、カルボニル含有基と、含窒
素複素環含有基とからなる側鎖部分(moiety)は、EP
MまたはEPDMからなる主鎖部分100mol%に対
し、0.1〜50mol%、好ましくは1〜20mol
%の割合で有している。この範囲内であれば、分子間あ
るいは分子内でこれらの側鎖による相互作用のバランス
に優れ、架橋構造が非常に安定であるとともに、ゴム弾
性を有する熱可塑性エラストマーが得られる。この熱可
塑性ポリマーは、120℃以上に加熱することにより架
橋構造が崩壊し、流動性が付与される。主鎖部分100
mol%に対する側鎖部分の割合が、0.1重量部未満
では架橋時の引張強度が充分でなく、50mol%を超
えるとゴム弾性が失われるため好ましくない。上記カル
ボニル含有基と、含窒素複素環含有基との割合は、特に
限定されないが、2:1であると相補的水素結合の観点
から好ましい。また、本発明の第三の態様にかかる熱可
塑性ポリマーにおいても、所望のゴム弾性を得るため
に、ガラス転移点(Tg)は25℃以下であることが好
ましい。
【0030】本発明の第三の態様にかかる熱可塑性ポリ
マーの製造方法は特に限定はなく、第一の態様で示した
方法と同様にして合成することができる。すなわち、カ
ルボニル含有基と含窒素複素環含有基とを同一側鎖に有
するものは、たとえばカルボニル含有基で変成されたE
PM、EBMまたはEPDMを、含窒素複素環含有基を
導入しうる化合物と反応させることにより得られる。こ
こで、カルボニル含有基で変成されたEPM、EBMま
たはEPDMは、第一の態様と同様にメルカプト酢酸を
含むトルエン溶液と反応させることにより得られる。ま
た、変性EPM、EBMまたはEPDMとしては、市販
品を利用することもでき、たとえば、三井化学社製のタ
フマーMP0610、MP0620などが挙げられる。
また、予めカルボニル含有基と含窒素複素環含有基とを
導入しうる化合物同士を結合させた後にEPM、EBM
またはEPDMと結合させることもできる。また、カル
ボニル含有基と含窒素複素環含有基とを、それぞれ独立
して側鎖に有する熱可塑性ポリマーを合成する場合に
も、第一の態様と同様にして製造することができる。
【0031】本発明の第三の態様においても、EPM、
EBMまたはEPDMの同一側鎖内にカルボニル含有基
と含窒素複素環含有基とが結合していることが好まし
く、特に環状酸無水物を側鎖に有するEPMまたはEP
DMと、含窒素複素環化合物とを、含窒素複素環化合物
が環状酸無水物基と化学結合しうる温度にて反応させる
ことにより結合させることが好ましい。含窒素複素環化
合物が環状酸無水物基と化学結合しうる温度は、通常室
温から150℃程度であり、反応時間は通常3〜5時間
程度である。
【0032】次に、本発明の第四の態様について説明す
る。本発明の第四の態様にかかる熱可塑性ポリマーは、
ブチルゴムまたはハロゲン化ブチルゴムを主鎖とし、カ
ルボニル含有基と含窒素複素環含有基とを側鎖に有し、
主鎖部分100mol%に対して、側鎖部分を0.1〜
50mol%の割合で有する熱可塑性ポリマーである。
ブチルゴムは、イソブチレンと少量のイソプレンとの共
重合体であり、ハロゲン化ブチルゴムは、ブチルゴムの
イソプレン部分をハロゲン化したものであり、塩素化ブ
チルゴムと臭素化ブチルゴムとが市販されている。また
特殊なブチルゴムとして部分架橋されたブチルゴム、液
状のブチルゴム、星型分岐の高分子量体を含有するブチ
ルゴム等があり、本発明の第三の態様に用いるブチルゴ
ムまたはハロゲン化ブチルゴムはいずれのブチルゴムを
用いることもできる。ブチルゴムまたはハロゲン化ブチ
ルゴムは液状でも固体状でもよく、その分子量は特に限
定されないが、固体状である方が高物性であるため好ま
しい。重量平均分子量が1,000〜2,000,00
0、好ましくは100,000〜1,000,000程
度であることが好ましい。
【0033】第四の態様で用いられるカルボニル含有基
と、含窒素複素環は、すでに第二の態様で説明したもの
と同様である。また、第三の態様と同様に、側鎖の構造
は、第一、第二の態様で示した式(1)、(2)、
(3)に示す構造を有していることが好ましい。さら
に、含窒素複素環は特に5員環状複素環であることが、
得られる熱可塑性ポリマーの架橋時の引張強度が特に高
いため好ましい。また、含窒素5員環状複素環の3、4
位で結合すると、2位で結合するものが分子内で水素結
合するのに対して、分子間で水素結合するので硬化物の
機械的特性が高く好ましい。3位が特に好ましい。ま
た、複素環中の窒素原子の数は2以上が好ましく、3が
特に好ましい。特には、主鎖との介在基がアミド基で窒
素の数が3である含窒素5員環状複素環の3、4位で結
合するのが好ましい。
【0034】本発明の第四の態様の熱可塑性ポリマーに
おいて、カルボニル含有基と、含窒素複素環含有基とか
らなる側鎖部分(moiety)は、ブチルゴムまたはハロゲ
ン化ブチルゴムからなる主鎖部分100mol%に対
し、0.1〜50mol%、好ましくは1〜20mol
%の割合で有する。この範囲内であれば、分子間あるい
は分子内でこれらの側鎖による相互作用のバランスに優
れ、架橋構造が非常に安定であるとともに、本発明に用
いられる側鎖を有しない加硫したブチルゴムまたはハロ
ゲン化ブチルゴムより高い破断強度、破断伸びを示す熱
可塑性ポリマーが得られる。すなわち本発明の第四の態
様は、ブチルゴムまたはハロゲン化ブチルゴムの側鎖
に、カルボニル含有基と含窒素複素環含有基とを主鎖部
分100mol%に対して、側鎖部分を0.1〜50m
ol%の割合で導入して、破断強度、破断伸びを高め、
ブチルゴムまたはハロゲン化ブチルゴムに熱可逆な可塑
性を付与する方法を提供する。この熱可塑性ポリマー
は、120℃以上に加熱することにより架橋構造が崩壊
し、流動性が付与される。主鎖部分100mol%に対
する側鎖部分の割合が、0.1mol%未満では架橋時
の強度が充分でなく、50mol%を超えるとゴム弾性
が失われるため好ましくない。上記カルボニル含有基
と、含窒素複素環含有基との割合は、特に限定されない
が、2:1であると相補的水素結合の観点から好まし
い。また、本発明の第三の態様にかかる熱可塑性ポリマ
ーにおいても、所望のゴム弾性を得るために、ガラス転
移点(Tg)は25℃以下であることが好ましい。
【0035】本発明の第四の態様にかかる熱可塑性ポリ
マーの製造方法は特に限定はなく、第二の態様で示した
方法と同様にして合成することができる。すなわち、カ
ルボニル含有基と含窒素複素環含有基とを同一側鎖に有
するものは、たとえばカルボニル含有基で変成されたブ
チルゴムまたはハロゲン化ブチルゴムを、含窒素複素環
含有基を導入しうる化合物と反応させることにより得ら
れる。また、その他の製造方法も第二、第三の態様で説
明したことと同様に用いることができる。
【0036】以上のようにして得られる第一、第二、第
三、第四の態様にかかる熱可塑性ポリマーは、側鎖にカ
ルボニル基と含窒素複素環含有基とを含むことにより、
一度架橋させると、再成形できなかった主鎖成分である
エラストマー性ポリマーにリサイクル性を付与すること
ができる。これらの基は、分子間あるいは分子内で相互
作用することができ、この分子間相互作用により三次元
の架橋構造を形成することができる。120℃以下で
は、その架橋構造は極めて安定に保持され、またゴム弾
性を有している。ところが、120℃以上に昇温する
と、架橋構造が解離し、流動性を示すようになる。これ
は、分子運動が活発なため、水素結合部位が崩壊し架橋
構造を保持できなくなるためであると考えられる。この
ように本発明の熱可塑性ポリマーは熱可塑性を有してお
り、架橋時の引張強度は、含窒素複素環含有基が5員環
状であると特に高い。また含窒素複素環含有基が5員環
状でなくても、主鎖としてEPM、EBMまたはEPD
Mを用いる場合には、同様に高い引張強度を有する熱可
塑性ポリマーが得られ、主鎖にブチルゴムまたはハロゲ
ン化ブチルゴムを用いる場合には、破断強度、破断伸び
が、特定の側鎖を有しないブチルゴムまたはハロゲン化
ブチルゴムの加硫物より高い。以上のように、本発明の
第一、第二、第三、第四の態様にかかる熱可塑性ポリマ
ーは、架橋構造が非常に安定であるとともに、ゴム弾性
を有している。上記熱可塑性ポリマーは、120℃以上
に昇温することにより軟化した後も、成形性や引張物性
などの物性は低下せず、再成形後の強度も保持されるた
め、リサイクル性に非常に優れている。
【0037】このような特性を有する本発明の第一、第
二、第三、第四の態様にかかる熱可塑性ポリマーは、た
とえばゴム弾性を活用して種々の加硫ゴム用途に使用す
ることができる。またホットメルト接着剤に含ませる
と、耐熱性およびリサイクル性を向上させることができ
る。特に自動車周り、たとえば、タイヤのトレッド、カ
ーカス;外装のラジエータグリル、サイドモール、ガー
ニッシュ(ピラー、 リア、カウルトップ)、エアロパー
ツ(エアダム、スポイラー)、ホイールカバー、ウェザ
ーストリップ、カウベルトグリル、エアアウトレット・
ルーバー、エアスクープ、フードバルジ、換気口部品、
防触対策部品(オーバーフェンダー、サイドシールパネ
ル、モール(ウインドー、フード、ドアベルト)、マー
ク類;ドア、ライト、ワイパーのウェザーストリップ、
グラスラン、グラスランチャンネル等の内装窓枠用部
品;エアダクトホース、ラジエターホース、ブレーキホ
ース;クランクシャフトシール、バルブステムシール、
ヘッドカバーガスケット、A/Tオイルクーラーホー
ス、ミッションオイルシール、P/Sホース、P/Sオ
イルシール等の潤滑油系部品;燃料ホース、エミッショ
ンコントロールホース、インレットフィラーホース、タ
イヤフラム類等の燃料系部品;エンジンマウント、イン
タンクポンプマウント等の防振用部品;CVJブーツ、
ラック&ピニオンブーツ等のブーツ類;A/Cホース、
A/Cシール等のエアコンデショニング用部品;タイミ
ングベルト、補機用ベルト等のベルト部品;ウィンドシ
ールドシーラー、ビニルプラスチゾルシーラー、嫌気性
シーラー、ボディシーラー、スポットウェルドシーラー
等のシーラー類;等に好適に用いることができる。また
ゴムの改質剤として、たとえば流れ防止剤として、室温
でコールドフローを起こす樹脂あるいはゴムに含ませる
と、押出し時の流れやコールドフローを防止することが
できる。
【0038】また本発明の熱可塑性ポリマーは、カーボ
ンブラックと混合して組成物として用いることもでき
る。カーボンブラックは、用途に応じて適宜選択され
る。一般に、カーボンブラックは粒子径に基づいて、ハ
ードカーボンとソフトカーボンとに分類される。ソフト
カーボンはゴムに対する補強性が低く、ハードカーボン
はゴムに対する補強性が強い。本発明では、特に、補強
性の強いハードカーボンを用いるのが好ましく、熱可塑
性ポリマー100重量部に対して、10〜70重量部、
好ましくは20〜60重量部、より好ましくは30〜5
0重量部含んでいるのがよい。
【0039】また本発明の目的を損わない範囲で、シリ
カ等の他の補強剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料など
を添加することもできる。他の補強剤としては、ヒュー
ムドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶
融シリカ、けいそう土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタ
ン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ろう石クレー、カオ
リンクレー、焼成クレーなどが挙げられ、熱可塑性ポリ
マー100重量部に対して、20〜80重量部、より好
ましくは30〜60重量部添加するのがよい。老化防止
剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、脂肪族
および芳香族のヒンダードアミン系等の化合物が挙げら
れ、熱可塑性ポリマー100重量部に対して、0.1〜
10重量部、より好ましくは1〜5重量部添加するのが
よい。酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシ
トルエン(BHT) 、ブチルヒドロキシアニソール(BHA) 等
が挙げられ、熱可塑性ポリマー100重量部に対して、
0.1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部添加
するのがよい。顔料としては、二酸化チタン、酸化亜
鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、
コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔
料、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等の有機顔料など
が挙げられ、熱可塑性ポリマー100重量部に対して、
0.1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部添加
するのがよい。
【0040】本発明の熱可塑性ポリマーは自己架橋する
ことができるが、本発明の目的を損わない範囲で加硫
剤、加硫助剤、加硫促進剤などを併用することもでき
る。加硫剤としては、粉末イオウ、沈降性イオウ、高分
散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフ
ォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファ
イドなどのイオウ系加硫剤や、亜鉛華、酸化マグネシウ
ム、リサージ、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイ
ルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノ
ン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン、メチリンジアニリ
ンなどが挙げられる。加硫助剤としては、アセチル酸、
プロピオン酸、ブタン酸、ステアリン酸、アクリル酸、
マレイン酸等の脂肪酸;アセチル酸亜鉛、プロピオン酸
亜鉛、ブタン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、アクリル酸亜
鉛、マレイン酸亜鉛等の脂肪酸亜鉛などが挙げられる。
加硫促進剤とては、テトラメチルチウラムジスルフィド
(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(T
ETD)等のチウラム系;ヘキサメチレンテトラミン等
のアルデヒド・アンモニア系;ジフェニルグアニジン等
のグアニジン系:ジベンゾチアジルジサルファイド(D
M)等のチアゾール系;シクロヘキシルベンゾチアジル
スルフェンアマイド等のスルフェンアミド系;等が挙げ
られる。さらにアルキルフェノール樹脂やそのハロゲン
化物等を用いることもできる。
【0041】本発明の熱可塑性ポリマーを含む組成物
は、カーボンブラック等を含むことにより、引張強度、
引裂き強度、曲げ強度がさらに向上し、特にタイヤ、ホ
ース、ベルト、シート、防振ゴム、ローラー、ライニン
グ、ゴム引布、シール材、手袋、防眩材などの用途に好
適に使用できる。
【0042】
【実施例】次に、実施例を示し、本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 <第一の態様にかかる熱可塑性ポリマーの合成>市販の
無水マレイン酸変性イソプレンゴム(変性率2.7mo
l%、LIR−410A、クラレ社製)12.73g
(6.55mmol)に、3−アミノ−1,2,4−ト
リアゾール0.551g(6.55mmol)を加え、
150℃で4時間加熱撹拌した。
【0043】均一溶液になったことを確認した後、一晩
放置することによりゲル状の反応物を得た。反応物はN
MR、IRにより、下記構造の熱可塑性ポリマー1であ
ることを確認した。以下、対応する含窒素複素環含有化
合物を、同じ割合で用いて、熱可塑性ポリマー2〜8を
合成した。また、比較化合物として、上記無水マレイン
酸変性イソプレンゴムと4−アミノピリジンとを同じ割
合で反応させて、熱可塑性ポリマー9を得た。さらに、
比較化合物として、上記無水マレイン酸変性イソプレン
ゴムと、フランとを同じ割合で反応させて、熱可塑性ポ
リマー10を得た。得られた熱可塑性ポリマー1〜10
の模式的な構造は、下記に示すとおりである。
【0044】
【化6】 ここで、l:m≒358:10である。
【0045】実施例1〜8 得られた熱可塑性ポリマー1〜8について、JIS A
硬度を測定し、120℃加熱時の状態を観察した。結果
を第1表に示す。
【0046】比較例1 得られた熱可塑性ポリマー9について、実施例と同様に
してJIS A硬度および120℃加熱時の状態を観察
した。 比較例2 得られた熱可塑性ポリマー10について、実施例と同様
にしてJIS A硬度および120℃加熱時の状態を観
察した。
【0047】
【表1】
【0048】第1表からわかるように、本発明の5員環
状の含窒素複素環含有基を有する実施例の化合物は、6
員環のピリジル基を有する場合、または窒素を有しない
フラン環の場合、7員環の場合と比べて、JIS A硬
度が著しく高いことがわかる。また、含窒素複素環の2
位で結合しているポリマー3,4,6,7より他の3,
4位で結合しているポリマーの効果が高い。
【0049】<第三の態様にかかる熱可塑性ポリマーの
合成>120℃に加熱した加圧ニーダーに無水マレイン
酸変性EPDM(変性率0.8mol%、無水マレイン
酸導入量6.63g、DSM社試作品)301.2g
(0.0676mol:酸無水物の量)を加え、短時間
の素練りの後、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール
5.68g(0.0676mol)を加え、20分間混
合を行った。IR分析を行うことにより、トリアゾール
環の導入されたポリマー12であることを確認した。
【0050】
【化7】 (ここで、n+o+p:q≒99.2:0.8 R=炭素数1〜12の炭化水素基)
【0051】同様にして、本発明の第三の態様にかかる
熱可塑性ポリマー13を合成した。150℃に加熱した
加圧ニーダーに無水マレイン酸変性EPM(変性率0.
2mol%、無水マレイン酸導入量1.50g、タフマ
ーM0610、三井化学社製、)300.0g(0.0
153mol:酸無水物の量)を加え、短時間の素練り
の後、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール1.29
g(0.0153mol)を加え、20分間混合を行っ
た。IR分析を行うことにより、トリアゾール環の導入
されたポリマー13であることを確認した。
【0052】
【化8】 (ここで、r+s:t≒99.8:0.2 R=炭素数1〜12の炭化水素基)
【0053】実施例9 得られた熱可塑性ポリマー12について、上記と同様に
して平板サンプルを作製し、試験を行い結果を第2表に
示した。なお、実施例、比較例の評価試験は以下の条件
で行った。
【0054】1.引張試験 150℃に25分間熱プレスし、2mm厚さのシートを
作製した。シートから3号ダンベル状の試験片を打ち抜
き、JIS K 6251に準拠して、引張速度500
mm/分にて引張試験を行った。50%モジュラス(M
50)、100%モジュラス(M100 )、200%モジュ
ラス(M200 )、300%モジュラス(M300 )、40
0%モジュラス(M400 )、破断強度(TB )、破断伸
び(EB)、破断エネルギー(ENG)を室温にて測定
した。 2.繰り返し成形試験 直径2.8mm、高さ1.2mmの円筒形状のモールド
にて160℃、20分でプレス成形した後、サンプルを
細かく切断して再度プレス成形し、継ぎ目のない一体化
したサンプルが作製できるかどうかで評価した。また5
回繰り返し成形後にも同様にサンプルを作製して上記引
張試験を行い、初期の値と比較した。 3.硬度試験 150℃にて5分間熱プレスし2mm厚さのシートを作
製後、シートを重ね合わせて150℃×30分熱プレス
し、リュプケサンプルを作製した。JIS A型硬度計
を使用して、硬度を室温で測定した。JIS K 62
53に準ずる。 4.高温引張試験 150℃にて5分間熱プレスし、2mm厚さのシートを
作製した。作製したシートを、ダンベル3号で打ち抜
き、引張速度500mm/分にて引張試験を行った。破
断強度(TB)・破断伸び(EB)を100℃恒温槽内
にて測定した。JIS K 6251に準ずる。 5.圧縮永久歪み(C−Set) 150℃にて5分間熱プレスし2mm厚さのシートを作
製後、シートを重ね合わせて150℃×30分熱プレス
し、リュプケサンプルを作製した。リュプケサンプル
を、専用治具で25%圧縮し、70℃×22H放置した
後の圧縮永久歪みを測定した。JIS K 6262に
準ずる。 6.流出開始温度 高化式フローテスターを使用し、昇温法にて流出開始温
度を測定した。ダイの直径は1mm、長さは10mmで
あった。サンプル量は2gとし、荷重は100kgf、
昇温速度は5℃/分とした。 7.メルトフローレート(M.F.R) メルトインデクサーにより測定した。ダイ直径は2.0
95mm、ダイ長さは8mmとした。測定温度は230
℃、サンプル量は5g、余熱時間は6分、荷重は10k
gfの条件にて行った。
【0055】実施例10 熱可塑性ポリマー12(100重量部)に、カーボンブ
ラック(N330、東海カーボン社製)50重量部を加
え、バンバリーミキサーにより、160℃にて、充分に
均一になるまで混練した。得られた組成物について、実
施例9と同様にして引張強度、および繰り返し成形性を
評価した。
【0056】実施例11 熱可塑性ポリマー12に代えて、熱可塑性ポリマー13
を用いたことを除いては、実施例9と同様にして引張強
度、および繰り返し成形性を評価した。
【0057】比較例3 熱可塑性ポリマー12に代えて、EPDM(KELTA
N312、DSM社製)を未変性で用い、第2表に示す
量比で、亜鉛華3号(正同化学社製)、ステアリン酸
(ビーズステアリン酸、日本油脂社製)、イオウ(粉末
イオウ、軽井沢精錬所製)、促進剤としてノクセラーT
S(テトラメチルチウラムモノスルフィド)、ノクセラ
ーM(2−メルカプトベンゾチアゾール、以上、大内新
興化学社製)を混合し、バンバリーミキサーで混練し
て、均一な組成物を得た。得られた組成物について、実
施例9と同様にして引張強度、および繰り返し成形性を
評価した。
【0058】比較例4 カーボンブラック50重量部を加えたことを除いては、
比較例3と同様にして組成物を得、引張強度を測定し
た。結果を合わせて第2表に示す。なお、第2表,第3
表中、「〜回以上」とは、〜回成形を繰り返しても物性
変化がなかったことを表し、さらに再成形を繰り返すこ
とも可能である。また「×」は、再成形できなかったこ
とを表す。
【0059】
【表2】
【0060】実施例12〜17および比較例5〜10 実施例8〜11と同様に第3表に示す構成で130℃〜
200℃でニーダーで30分程度混合し、実施例12〜
17の熱可塑性ポリマーを合成し、実施例8〜11と同
様に第3表に示す試験を行った。結果を第3表に示す。
なお、第3表の構成は以下のとおりであった。実施例は
比較例(元のポリマー)よりもすべての強度が上昇し、
また熱時での成形性を確保している。 三井化学タフマー種 MH7020:エチレン/ブテン系、密度0.872、
無水マレイン酸導入率は不明だが低い MH5020:エチレン/ブテン系、密度0.866、
無水マレイン酸導入率は不明だが低い TX−1032:エチレン/ブテン系、密度0.87
4、無水マレイン酸導入率は不明だが高い TX−1024:エチレン/プロピレン系、密度0.8
70、無水マレイン酸導入率は不明だが低い TX−1023:エチレン/プロピレン系、密度0.8
70、無水マレイン酸導入率は不明だが高い TX−1031:エチレン/プロピレン系、密度0.8
74、無水マレイン酸導入率は不明だが高い
【0061】
【表3】
【0062】〈第四の態様にかかる熱可塑性ポリマーの
合成〉 (実施例18)80℃に加熱した加圧ニーダーに、臭素
化ブチルゴム(ブロモブチル×2、Bayer Polysar B.N.
V 製)350.0g(6.07mol;ブチルユニッ
ト)を入れ、短時間の素練り後、N−(1,3ジメチル
ブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
3.5g(1.0phr)、無水マレイン酸35.1g
(0.358mol)ならびにキシレン38.0g
(0.358mol)を加え、10分間混合した。一
旦、この混合物を取り出し、加圧ニーダーを190℃に
設定した。取り出した混合物をニーダーに入れて40分
間混練した。得られたゴムの一部をトルエンに溶解し、
再沈殿操作を行うことにより精製した。精製品を用い
て、IR分析ならびに 1H- NMR分析を行うことによ
り、酸無水物骨格の導入が確認され、その導入率は2.
0mol%であった。この無水マレイン化ブチルゴム3
57.7g(0.113mol;酸無水物の量) 、3−
アミノ−1,2,4−トリアゾール9.51g(0.1
13mol)ならびにN−(1,3ジメチルブチル)−
N’−フェニル−p−フェニレンジアミン3.54g
(1.0phr)を、温度を100℃に設定した加圧ニ
ーダー中で、20分間混練した。IR分析を行うことに
より、トリアゾール環の導入を確認した。 (比較例11)実施例18で用いた臭素化ブチルゴムを
160℃×20分の条件で硫黄加硫し、実施例18の熱
可逆ポリマーと引張特性を比較し第4表に示した。
【0063】
【表4】
【0064】第4表に示すように、酸無水物骨格を有す
るブチルゴムに3−アミノ1,2,4−トリアゾールを
担持させたポリマーが熱可逆性を示し、さらにそのポリ
マーは、加硫したブチルゴム以上の機械的強度を示し
た。特に200%伸び以上のモデュラス、破断強度、破
断伸の向上が著しい。
【0065】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
リサイクル性を有さないエラストマー性ポリマーに、カ
ルボニル含有基と含窒素5員環状複素環含有基とを側鎖
に導入することにより、温度変化により架橋形成と架橋
解離とを繰り返し行っても、物性が低下せず優れたリサ
イクル性を付与することができる。また、常温ではその
架橋構造は極めて安定であり、非常に高い引張強度を有
している。特にエラストマー性ポリマーとして、ジエン
部分が5mol%以下の例えば、EPM、EBMまたは
EPDM、ブチルゴムまたはハロゲン化ブチルゴムを用
いれば、その効果が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川面 哲司 神奈川県平塚市追分2番1号 横浜ゴム株 式会社平塚製造所内 (72)発明者 井川 勝弘 神奈川県平塚市追分2番1号 横浜ゴム株 式会社平塚製造所内 Fターム(参考) 4J002 AC00W AC11X AC12X BB20X BB28X FD010 GJ02 GM00 GN00 GN01 4J100 AA02P AA03Q AA04Q AA06P AB02P AK32Q AK32R AK32S AR00R AS02P AS02Q AS03P AS03Q AS11R AU21R BA34H BC53H BC55H BC66H BC73H BC80H BC83H CA01 CA04 CA05 HA00 HA11 HA61 HC30 HC63 HG31 HG32 JA28 JA29

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボニル含有基と含窒素5員環状複素環
    含有基とを側鎖に有する熱可塑性ポリマー。
  2. 【請求項2】ジエン部分が5mol%以下のエラストマ
    ーを主鎖とし、カルボニル含有基と含窒素複素環含有基
    とを側鎖に有し、主鎖部分100mol%に対して、側
    鎖部分を0.1〜50mol%の割合で有する熱可塑性
    ポリマー。
  3. 【請求項3】エチレン−プロピレン共重合体(EP
    M)、エチレン−ブテン共重合体(EBM)またはエチ
    レン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)を主鎖
    とし、カルボニル含有基と含窒素複素環含有基とを側鎖
    に有し、主鎖部分100mol%に対して、側鎖部分を
    0.1〜50mol%の割合で有する熱可塑性ポリマ
    ー。
  4. 【請求項4】ブチルゴムまたはハロゲン化ブチルゴムを
    主鎖とし、カルボニル含有基と含窒素複素環含有基とを
    側鎖に有し、主鎖部分100mol%に対して、側鎖部
    分を0.1〜50mol%の割合で有する熱可塑性ポリ
    マー。
  5. 【請求項5】前記含窒素複素環が5員環または6員環で
    ある請求項2〜4のいずれかに記載の熱可塑性ポリマ
    ー。
  6. 【請求項6】前記カルボニル含有基がアミド、エステ
    ル、イミドおよびカルボキシル基から選ばれる少なくと
    も1種である請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性
    ポリマー。
  7. 【請求項7】前記側鎖は、 α位またはβ位で主鎖に結合
    する式(1)、(2)、(3)の少なくとも1種である
    請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性ポリマー。 【化1】 ここで、Rは含窒素複素環を表す。
  8. 【請求項8】前記含窒素複素環が5員環、または6員環
    である請求項7に記載の熱可塑性ポリマー。
  9. 【請求項9】前記熱可塑性ポリマーのガラス転移点(T
    g)が25℃以下である請求項1〜8のいずれかに記載
    の熱可塑性ポリマー。
  10. 【請求項10】環状酸無水物基を側鎖に有するポリマー
    と、含窒素複素環化合物とを、前記含窒素複素環化合物
    が前記環状酸無水物基と化学的に結合しうる温度にて反
    応させる、請求項1〜9のいずれかに記載の熱可塑性ポ
    リマーの製造方法。
  11. 【請求項11】請求項1〜9のいずれかに記載の熱可塑
    性ポリマーを含有するゴム組成物。
JP2001131579A 2000-06-29 2001-04-27 熱可塑性ポリマー Pending JP2002080529A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001131579A JP2002080529A (ja) 2000-06-29 2001-04-27 熱可塑性ポリマー
US09/883,239 US6809157B2 (en) 2000-06-29 2001-06-19 Thermoplastic polymer and thermoplastic elastomer composition
DE10131659A DE10131659A1 (de) 2000-06-29 2001-06-29 Thermoplastisches Polymer und thermoplastische Elastomermasse

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000-196213 2000-06-29
JP2000196213 2000-06-29
JP2001131579A JP2002080529A (ja) 2000-06-29 2001-04-27 熱可塑性ポリマー

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002080529A true JP2002080529A (ja) 2002-03-19

Family

ID=26594969

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001131579A Pending JP2002080529A (ja) 2000-06-29 2001-04-27 熱可塑性ポリマー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002080529A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004091766A (ja) * 2002-07-10 2004-03-25 Yokohama Rubber Co Ltd:The 無水マレイン化ブチルゴムの製造方法およびその利用
WO2005044869A1 (ja) * 2003-11-06 2005-05-19 The Yokohama Rubber Co., Ltd. 熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性エラストマー組成物
JP2006176575A (ja) * 2004-12-21 2006-07-06 Yokohama Rubber Co Ltd:The 変性ブチルゴム含有熱可塑性エラストマー組成物
CN100443512C (zh) * 2003-11-06 2008-12-17 横滨橡胶株式会社 热塑性弹性体和热塑性弹性体组合物
WO2010101106A1 (ja) * 2009-03-04 2010-09-10 横浜ゴム株式会社 2種以上の架橋性基を形成し得るゴム組成物
JP2010202784A (ja) * 2009-03-04 2010-09-16 Yokohama Rubber Co Ltd:The 2種以上の架橋性基を形成し得るゴム組成物
JP2010242013A (ja) * 2009-04-09 2010-10-28 Yokohama Rubber Co Ltd:The 2種以上の架橋性基を形成し得るポリマーを含有するブレンドゴム組成物
JP2012503060A (ja) * 2008-09-18 2012-02-02 アルケマ フランス 新規エラストマー材料および該材料を得る方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004091766A (ja) * 2002-07-10 2004-03-25 Yokohama Rubber Co Ltd:The 無水マレイン化ブチルゴムの製造方法およびその利用
JP4617640B2 (ja) * 2002-07-10 2011-01-26 横浜ゴム株式会社 無水マレイン化ブチルゴムの製造方法
WO2005044869A1 (ja) * 2003-11-06 2005-05-19 The Yokohama Rubber Co., Ltd. 熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性エラストマー組成物
CN100443512C (zh) * 2003-11-06 2008-12-17 横滨橡胶株式会社 热塑性弹性体和热塑性弹性体组合物
JP2006176575A (ja) * 2004-12-21 2006-07-06 Yokohama Rubber Co Ltd:The 変性ブチルゴム含有熱可塑性エラストマー組成物
JP2012503060A (ja) * 2008-09-18 2012-02-02 アルケマ フランス 新規エラストマー材料および該材料を得る方法
WO2010101106A1 (ja) * 2009-03-04 2010-09-10 横浜ゴム株式会社 2種以上の架橋性基を形成し得るゴム組成物
JP2010202784A (ja) * 2009-03-04 2010-09-16 Yokohama Rubber Co Ltd:The 2種以上の架橋性基を形成し得るゴム組成物
JP2010242013A (ja) * 2009-04-09 2010-10-28 Yokohama Rubber Co Ltd:The 2種以上の架橋性基を形成し得るポリマーを含有するブレンドゴム組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4076381B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
US6746562B2 (en) Methods of making and recycling rubber bodies bonded with a thermo-reversible, crosslinkable elastomer
JP4307155B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP4011057B2 (ja) 熱可塑性エラストマー
JP5918878B1 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法
JP4350434B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
US20060199917A1 (en) Thermoplastic elastomer and thermoplastic elastomer composition
JP2002363189A (ja) シランカップリング剤およびそれを含むポリマー組成物
US20060189755A1 (en) Thermoplastic elastomer composition
JP2008111022A (ja) 熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性エラストマー組成物
US6809157B2 (en) Thermoplastic polymer and thermoplastic elastomer composition
JP4037016B2 (ja) 熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、およびそれらの製造方法
JP4073452B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2002080529A (ja) 熱可塑性ポリマー
JP2005068210A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2004307576A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP3998690B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP6453803B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法
JP2002317122A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2004051814A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2003261617A (ja) 熱可塑性エラストマーおよびそれを含む組成物
JP2005179456A (ja) 熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性エラストマー組成物
JP2003171559A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法
JP2006232983A (ja) 熱可塑性エラストマーの製造方法
JP2004149614A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050223

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050301

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050428

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060620