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JP2002075845A - 荷電粒子ビーム露光方法及び荷電粒子ビーム露光装置 - Google Patents

荷電粒子ビーム露光方法及び荷電粒子ビーム露光装置

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JP2002075845A
JP2002075845A JP2000265074A JP2000265074A JP2002075845A JP 2002075845 A JP2002075845 A JP 2002075845A JP 2000265074 A JP2000265074 A JP 2000265074A JP 2000265074 A JP2000265074 A JP 2000265074A JP 2002075845 A JP2002075845 A JP 2002075845A
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area
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宏三 荻野
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Fujitsu Ltd
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Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】荷電粒子ビーム露光方法において,補助露光パ
ターンの数を抑制する。 【解決手段】複数のパターンを有するパターンデータか
ら露光パターンデータを有する露光データを生成し,露
光データにしたがって試料を露光する荷電粒子ビーム露
光方法において,パターンに対して複数の補正エリアを
発生する工程と,補正エリア内のパターンの面積密度を
求め,当該補正エリアの周囲の補正エリアの面積密度及
び補正エリア間の距離にしたがって,当該補正エリアの
面積密度を修正する工程と,パターンに交わる補正エリ
アの修正面積密度のうち最大の修正面積密度にしたがっ
て,各パターンの主露光量を決定する工程と,前記パタ
ーン内であって主露光量では露光エネルギー不足になる
補正エリアに補助露光パターンを発生する工程と,前記
補助露光パターンを追加した露光パターンデータにした
がって,試料を露光する工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,荷電粒子ビーム露
光方法及び荷電粒子ビーム露光装置に関し,特に,電子
ビームのような荷電粒子ビームで半導体ウエハ上にパタ
ーンを描画するための露光データを作成する方法及びそ
の方法を実施する荷電粒子ビーム露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子ビーム等の荷電粒子ビーム露光は,
サブミクロンのパターンを露光することができ,高集積
度を有するLSIの製造工程に利用される。特に,最近
において,マスクの製造に利用されるだけでなく,半導
体ウエハ上に形成したレジストに直接荷電粒子ビームを
照射して露光することが行われている。
【0003】LSIの設計工程において,所望の集積回
路を形成する為に,複数の層構造のパターンデータが作
成される。かかるパターンデータにしたがって,半導体
ウエハ上のレジスト或いはマスク基板上のレジストを露
光する。レジスト膜に荷電粒子ビームを照射してビーム
のエネルギーにより,レジストに化学反応を起こさせる
ことで露光が行われる。
【0004】その場合に,考慮すべき点は,荷電粒子ビ
ームをレジストに照射した時に,ビームのレジスト内の
前方散乱と後方散乱に起因する近接露光効果である。近
接露光効果は,ある領域に荷電粒子ビームを照射した時
にビームの散乱により隣接する領域にもビームのエネル
ギーが広がる現象である。例えば,露光パターン密度が
高い領域では,近接する露光パターン領域に照射された
荷電粒子ビームのエネルギーの影響で,現像後のパター
ンが拡大する。或いは,露光パターン密度が低い領域で
は,近接する領域からのエネルギーの影響がなく,現像
後のパターンが縮小或いは細くなる。或いは,前方散乱
の一種としてクーロン効果によるビームボケが発生し,
パターン精度を落とす原因になる。
【0005】したがって,かかる近接露光効果を考慮し
て,設計された露光データを修正する必要がある。本出
願人は,かかる露光データの修正の方法について,平成
9年(1997)10月1日付けの特許出願,特願平9
−269081(特開平11−111595号,平成1
1年(1999)4月23日)または米国特許第608
7052号(2000年7月11日発行)を提案した。
【0006】この特許出願で提案された方法は,要する
に,サブフィールド内に複数の補正エリアを発生させ,
その補正エリア内の面積密度を,周囲の補正エリアの面
積密度からの影響にしたがって修正して,近接露光効果
を考慮した修正された面積密度を求め,その修正面積密
度にしたがって,補正エリアが属するパターンの主露光
量(露光強度)を補正し,更に,露光量が不足している
補正エリアに補助露光パターンを発生させる。
【0007】この方法によれば,パターン毎に与えられ
た主露光量を,周囲の露光による近接露光効果を考慮し
て一旦補正し,更に,パターン内でもパターンの面積密
度が小さい領域であってレジストを反転させるに十分で
ない露光エネルギーしか与えられない領域に,補助露光
を行う。主露光量を補正することにより,過剰な露光量
によりパターンが膨張することを防止し,補助露光を行
うことで不十分な露光量によりパターン先端部などが細
くなるのを防止する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,第1
に,補助露光パターンを追加して発生することは,新た
なビームショットを必要とし,LSIを描画するために
必要なビームショット数の増大を招き,スループットの
低下につながる。
【0009】更に第2に,補助露光パターンは,パター
ンの主露光量では露光量が不足する場合に追加され,そ
の露光量が比較的小さい露光パターンである。そして,
補助露光パターンは,周囲からの近接露光効果が少ない
パターンの周囲や先端に必要になる場合が多い。
【0010】このような露光量が小さい補助露光パター
ンをパターンの角部や細長いパターンの先端に描画する
と,角部や先端部で露光エネルギーが少ない領域が拡が
り,角部や先端部における露光後の現像パターンのコン
トラストが低下する問題がある。即ち,現像パターンの
断面が,角部や先端部で裾を引くような形状になりがち
であり,平面図では丸みを帯びる傾向にある。したがっ
て,できるだけ角部や先端部での補助露光パターンの発
生を少なくすることが要求される。
【0011】第3に,荷電粒子ビームを照射した場合
に,電子のクーロン効果によりビーム内の電子がある広
がりをもって照射される。つまり,照射ビームのボケが
発生する。このビームボケは,特に0.1μm以下のパ
ターンルールにおいては無視できない大きさになる。し
たがって,ビームボケを考慮して適切にパターン補正を
行うことが必要となってくる。
【0012】そこで,本発明の目的は,補助露光パター
ンの数をできるだけ減らすことができる荷電粒子ビーム
露光方法及びその装置を提供することにある。
【0013】更に,本発明の別の目的は,細長いパター
ンの先端部での補助露光パターンの発生をできるだけ抑
制することができる荷電粒子ビーム露光方法及びその装
置を提供することにある。
【0014】更に,本発明の別の目的は,ビームボケに
よる露光パターン精度の低下を防止することができる荷
電粒子ビーム露光方法及びその装置を提供することにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに,本発明の第1の側面は,複数のパターンを有する
パターンデータから露光パターンデータを有する露光デ
ータを生成し,該露光データにしたがって試料を露光す
る荷電粒子ビーム露光方法において,(a)前記パター
ンに対して複数の補正エリアを発生する工程と,(b)
前記パターンデータのパターンであって,高さと幅の比
が基準値より大きい細長いパターンを,複数のパターン
に分割する工程と,(c)前記補正エリア内のパターン
の面積密度を求め,当該補正エリアの周囲の補正エリア
の面積密度及び補正エリア間の距離にしたがって,当該
補正エリアの面積密度を修正する工程と,(d)前記パ
ターンに交わる補正エリアの前記修正された面積密度の
うち最大の修正面積密度にしたがって,各パターンの主
露光量を決定する工程と,(e)前記パターン内であっ
て前記主露光量では露光エネルギー不足になる前記補正
エリアに補助露光パターンを発生する工程と,(f)前
記パターンデータに前記補助露光パターンを追加した露
光パターンデータにしたがって,前記試料を露光する工
程とを有することを特徴とする。
【0016】上記第1の側面によれば,細長いパターン
を複数に分割し,それぞれの分割されたパターンに対し
て,最適な主露光量を決定する。そして,その主露光量
では露光エネルギーが不足する領域には,補助露光パタ
ーンを発生して,露光不足を解決する。分割されたパタ
ーン毎に最適な主露光量が決定されるので,必要な補助
露光パターン数を減らすことができる。
【0017】上記の目的を達成するために,本発明の第
2の側面は,複数のパターンを有するパターンデータか
ら露光パターンデータを有する露光データを生成し,該
露光データにしたがって試料を露光する荷電粒子ビーム
露光方法において,(a)前記パターンに対して複数の
補正エリアを発生する工程と,(b)前記パターンを描
画する露光ビームサイズのうち,最大サイズに応じて前
記ビームの広がりによるビームボケを求め,当該ビーム
ボケに応じて前記パターンを縮小するように変更する工
程と,(c)前記変更されたパターンにしたがって求め
られた露光パターンデータにしたがって,前記試料を露
光する工程とを有することを特徴とする。
【0018】上記の第2の側面によれば,クーロン効果
によるビームボケを,パターンを描画するビームサイズ
に従って求め,そのビームボケに応じてパターンを縮小
変更している。従って,露光・現像後のパターン精度が
向上する。
【0019】上記の目的を達成するために,本発明の第
3の側面は,複数のパターンを有するパターンデータか
ら露光パターンデータを有する露光データを生成し,該
露光データにしたがって試料を露光する荷電粒子ビーム
露光方法において,(a)前記パターンに対して複数の
補正エリアを発生する工程と,(b)前記補正エリア内
のパターンの面積密度を求め,当該補正エリアの周囲の
補正エリアの面積密度及び補正エリア間の距離にしたが
って,当該補正エリアの面積密度を修正する工程と,
(c)前記パターンの境界に交わる補正エリアの前記修
正された面積密度のうち最大の修正面積密度にしたがっ
て,各パターンの主露光量を決定する工程と,(d)前
記パターン内であって前記主露光量では露光エネルギー
不足になる前記補正エリアに補助露光パターンを発生す
る工程と,(e)前記パターンデータに前記補助露光パ
ターンを追加した露光パターンデータにしたがって,前
記試料を露光する工程とを有することを特徴とする。
【0020】上記の第3の側面によれば,パターンの主
露光量は,パターン内の補正エリアのうち,パターン境
界に交わる補正エリアにおける最大の修正された面積密
度を基準として,補正される。この最大の修正面積密度
を,パターンを代表する面積密度として,しばしばパタ
ーン面積密度と称する。この方法によれば,パターンの
主露光量を,パターン境界に最適な露光量に設定するこ
とができる。したがって,パターン境界に発生する補助
露光パターンの数を減らすことができる。
【0021】上記の目的を達成するために,本発明の第
4の側面は,複数のパターンを有するブロックマスクを
透過した荷電粒子ビームにより試料を露光する荷電粒子
ビーム露光方法において,(a)前記ブロックマスクの
パターンに対して複数の補正エリアを発生する工程と,
(b)前記補正エリア内のパターンの面積密度を求め,
当該補正エリアの周囲の補正エリアの面積密度及び補正
エリア間の距離にしたがって,当該補正エリアの面積密
度を修正する工程と,(c)前記パターンの境界に交わ
る補正エリアの前記修正された面積密度のうち最大の修
正面積密度にしたがって,各パターンの露光量を決定
し,前記ブロックマスク内の複数のパターンの露光量の
うち最小の露光量を,当該ブロックマスクの主露光量に
する工程と,(d)前記パターン内であって前記主露光
量では露光エネルギー不足になる前記補正エリアに補助
露光パターンを発生する工程と,(e)前記ブロックマ
スクを通過した荷電粒子ビームで前記主露光量にしたが
って前記試料を露光し,更に,前記補助露光パターンで
前記試料を露光する工程とを有することを特徴とする。
【0022】上記の第4の側面によれば,ブロックマス
クの露光量を最適化することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下,図面を参照して本発明の実
施の形態例を説明する。しかしながら,かかる実施の形
態例が,本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また,本発明は荷電粒子ビーム露光方法及びその装置に
適用されるが,以下の実施の形態例は電子ビーム露光方
法及びその装置を例にして説明する。
【0024】図1は,本実施の形態例における電子ビー
ム露光装置の概略構成図である。この例では,電子ビー
ム露光装置は,パターンデータを有する設計データDin
を入力し,近接露光効果を考慮した露光データDoutを出
力する露光データ作成装置100と,その露光データDo
utを供給され露光装置を制御する電子ビーム制御装置2
00と,鏡筒300とを有する。鏡筒300内には,電
子銃31,矩形の透過マスク32,ブロックマスク等の
露光用の透過マスク34,マスク偏向器33,35,フ
ォーカスレンズ36,電磁偏向器37,静電偏向器38
及びウエハ40を載せるX,Yステージ39が設けられ
る。透過マスク32で形成された矩形ビームが,マスク
偏向器33,35で選択された透過マスク上の所定のマ
スクを通過し,偏向器37,38によりウエハ40の所
望の位置に照射される。
【0025】マスク偏向器33,35への制御信号S
1,透過マスク34を水平方向に移動させる制御信号S
2,フォーカスレンズへの制御信号S3,電磁偏向器3
7への制御信号S4,静電偏向器38への制御信号S
5,ステージの制御信号S6が,電子ビーム制御装置2
00により生成される。
【0026】図2は,上記の露光データ作成装置100
の内部構成を示す図である。パターンデータとして設計
データDinが格納されている設計データファイル10
2,サブフィールド領域内に補正エリアを発生する補正
エリア発生部103,補正エリア内の面積密度を算出す
る面積密度生成部104,補正エリア間の影響を考慮し
て補正エリア内の面積密度を修正する面積密度修正部1
05,パターンに交わる補正エリアの面積密度のうち最
大の面積密度をパターン面積密度(基準面積密度)と
し,そのパターン面積密度に応じてパターンの主露光量
を補正する露光量補正部107,パターンの主露光量と
補正エリアの修正面積密度の応じて,露光不足になる補
正エリア内に補助露光パターンを生成する補助露光パタ
ーン生成部108,露光データを格納する露光データフ
ァイル109を有する。更に,露光データ作成装置10
0は,高さhと幅wの比h/wが所定の基準値より大き
い細長いパターンを,後述するアルゴリズムで分割する
パターン分割部114と,電子ビームのクーロン効果に
よるビームぼけを考慮してパターンを収縮させるパター
ン変更部115とを有する。これらは,バス110を介
して演算部111に接続される。
【0027】[露光データ生成方法概略]以下,設計デ
ータから露光データを生成する方法の概略について説明
する。図3は,半導体チップ10内のメインフィールド
MFとサブフィールドSFとの関係を示す図である。通
常,半導体ウエハ上に複数の半導体チップ10が形成さ
れる。図3は,その半導体チップ10内のメインフィー
ルドとサブフィールドとの関係を示す。図1の露光装置
に示される通り,電子ビームの偏向器は,応答速度は遅
いが偏向範囲が大きい電磁偏向器37と応答速度は速い
が偏向範囲が狭い静電偏向器38とからなる。メインフ
ィールドMFは,この電磁偏向器37により偏向可能な
領域をいい,サブフィールドSFは,この静電偏向器3
8により偏向可能な領域をいう。
【0028】露光装置のX,Yステージ39を駆動して
所望のメインフィールドMFの中心にウエハが移動さ
れ,そのメインフィールドMF内で電磁偏向器37によ
り電子ビームが所望のサブフィールドに偏向されて,更
に所望の形状にされた電子ビームが静電偏向器38によ
り偏向されてサブフィールド内の所望の位置に照射され
る。図3の例では,1つのメインフィールド12内は,
5行5列のサブフィールドSF00〜SF44に分けら
れる。
【0029】サブフィールドSFには,それぞれ異なる
パターンを有するサブフィールドと,同じパターンを有
して繰り返し配置されるサブフィールドとがある。繰り
返し配置されるサブフィールドは,例えばメモリ装置の
メモリセル領域等によく見受けられるサブフィールドで
ある。一方,それぞれ異なるパターンを有するサブフィ
ールドは,周辺回路やロジック回路等に見受けられるサ
ブフィールドである。この様に,チップ10内は,複数
のメインフィールドと,メインフィールド内の複数のサ
ブフィールドに分けられ,設計データDinは,それぞれ
のサブフィールド内に存在するパターンデータを有す
る。
【0030】尚,サブフィールドは,必ずしも図3の如
く重なることなく又は間隔をあけることなく敷き詰めら
れる必要はなく,一部重なったり,間隔が存在しても良
い。
【0031】図4は,図3のメインフィールド12内の
サブフィールドにかかる設計データの構成例を示す図で
ある。この例では,サブフィールドSF00〜SF44
のデータは,それぞれサブフィールドの中心座標(x,
y),パターン数n,パターンアドレスadを有する。
この例では,サブフィールドデータは,メインフィール
ド12内のサブフィールドSF00,SF01....SF
11,SF12....SF44の順に並べられる。
【0032】一方,パターンデータは,例えば,パター
ンの左下の座標(x,y),パターンの幅wと高さhと
を有する。そして,サブフィールドデータ領域内のアド
レスadは,パターンデータ内のアドレスを示し,その
アドレスから連続してパターン数n個のアドレス領域の
パターンが,それぞれのサブフィールド内のパターンデ
ータであることを意味する。
【0033】したがって,それぞれ異なるパターンを有
するサブフィールドSF00,SF01のデータは,そ
れぞれ異なるパターンデータのアドレスを有する。一
方,繰り返し配置されるサブフィールドSF10〜13
のデータは,それぞれ同じパターンデータのアドレスを
有する。
【0034】図5は,露光データの作成を含む露光工程
のフローチャート図である。そして,図6は,あるサブ
フィールドSFの一例を示す図である。図6のサブフィ
ールドの例を使用して,露光データの作成の方法を説明
する。
【0035】前提として,各パターンに対してデフォル
トの主露光量Qmが設定されている。この主露光量Qm
は,例えば基本露光量が設定される。そして,各パター
ンデータにその設定された主露光量Qmが加えられてい
る。この主露光量Qmの設定の方法は,パターン形状に
応じて設定する種々の方法もあるが,本実施の形態例で
は本質的な部分ではないので省略する。
【0036】設計データは,ウエハ上のレジスト層に形
成したいパターンを含むのみである。ところが,ウエハ
上のレジスト層に電子ビームを照射すると,パターン密
度が高い領域では近接露光効果によりより多くのビーム
エネルギーを受けることになる。その反面,パターン密
度が低い領域では近接露光効果がなく,より少ないビー
ムエネルギーにより露光される。したがって,かかる近
接露光効果を考慮して,設計データのパターンに対し
て,その主露光量を補正し,必要な場合は補助露光を行
って,現像後のパターン形状の精度を高くする。本実施
の形態例では,設計データをもとに露光データを生成す
る為に,図6に示される通り,チップ全面にサブフィー
ルドより小さいメッシュ状の補正エリアを発生させる
(S10)。そして,その補正エリア内の面積密度をも
とに,上記主露光量の補正と補助露光パターンの生成を
行う。
【0037】更に,本実施の形態例では,高さhと幅w
との比h/wが所定の基準値を超えるような細長いパタ
ーンに対して,後述するアルゴリズムでその長辺方向に
ついて分割を行う(S12)。具体的には,細長いパタ
ーンの先端部を分割して,複数のパターンデータにす
る。それに伴い,分割後のパターンにはそれぞれ補正さ
れた主露光量が割り当てられ,パターン先端部により適
切な主露光量が割り当てられ,先端部での補助露光パタ
ーンの発生を抑えることができる。
【0038】また,本実施の形態例では,電子ビームの
クーロン効果によるビームの広がり(ビームボケ)を考
慮して,パターンサイズを縮小するパターン変更を行う
(S14)。本実施の形態例では,後述する通り,パタ
ーンを描画するためのビームサイズに応じてビームボケ
を検出し,そのビームボケに応じてパターンサイズを縮
小する。
【0039】図6に示されたサブフィールドSFには,
パターンP1,P2,P3が含まれる。そして,それぞ
れのパターンP1,P2,P3には,露光量Q1,Q
2,Q3が初期設定されている。更に,サブフィールド
SF上には,5行5列の補正エリアa11〜a55が存
在している。この補正エリアは,図2に示される補正エ
リア発生部103により生成される。補正エリアの発生
方法は,例えばチップ原点を基準にして,所定の大きさ
の領域をマトリクス状に配置する。
【0040】図6の例では,パターンP1が補正エリア
a21,a22,a31,a32,a41,a42上に
位置する。また,パターンP2が補正エリアa13,a
23,a33,a43,a53上に位置する。更に,パ
ターンP3が補正エリアa24,a25,a34,a3
5,a44,a45上に位置する。
【0041】そこで,ステップS16にて,各補正エリ
ア内のパターンの面積密度を求める。即ち,図2中の面
積密度生成部104により求められる。図7は,図6の
例のサブフィールド上に存在する補正エリア毎の面積密
度Smnを記入した例である。即ち,補正エリアa3
2,a34等が補正エリア面積に対するパターン面積の
比率(面積密度)が75%と高く,パターンが存在しな
い補正エリアa11等の面積密度は0%である。
【0042】次に,ステップS18にて,補正エリア間
の近接露光効果による影響に応じてそれぞれの補正エリ
ア内の面積密度を見直す。この面積密度の見直しは,図
2中の面積密度修正部105にて行われる。近接露光効
果にしたがい,補正エリアの周囲の補正エリア内のパタ
ーンに照射される電子ビームのエネルギーが,当該補正
エリアに対してエリア間の距離に応じた影響を及ぼす。
より近い位置の補正エリアからはその影響が大きく,よ
り遠い位置の補正エリアからはその影響が少ない。そこ
で,本実施の形態例では,距離に略反比例する係数β
(r)(rはエリア間の距離)を予め設定しておき,周
囲の補正エリアの面積密度Smnと露光量の積にその係
数β(r)を乗算し,注目している補正エリアの面積密
度に加算し,最後に注目している補正エリアの露光量で
割る。
【0043】さて,各補正エリアの面積密度が修正され
ると,その修正面積密度SRmnに基づいて,各パター
ンP1,P2,P3の露光量の補正が行われる(S2
0)。この工程では,パターン内の複数の補正エリアの
うち最も高い修正面積密度SRmnを有する補正エリア
を検出し,その修正面積密度(パターンの基準面積密度
またはパターン面積密度)から計算される露光エネルギ
ーが解像レベルになるように主露光量Qmを求める。そ
の結果,各パターンの主露光量が補正され,主露光量が
高すぎてパターンが膨張したり,低すぎて縮小したりす
ることが防止される。
【0044】パターンの主露光量の補正に伴い,ステッ
プS18で考慮した周辺の補正エリアからの影響にも変
動が生じるので,図5に示される通り,ある程度収束す
るまで,ステップS18とS20とを繰り返し行うこと
が好ましい。
【0045】本実施の形態例では,後述するとおり,主
露光量の補正を行う場合,パターンの境界に位置する補
正エリアのうち,最大の修正面積密度に応じて主露光量
の補正を行う。それにより,ライン・アンド・スペース
などの細長いパターンも,複数の補正エリアにまたがる
大きなパターンも,より最適な主露光量に補正され,補
助露光パターンの数を減らすことができる。
【0046】次に,パターン毎に与えられた主露光量に
よると,パターンの角部や先端部では露光量不足が発生
する。即ち,ステップS18で面積密度を見直した補正
エリアの露光エネルギーが解像レベルよりも低い場合
は,近接露光効果の影響が少なく,露光量不足でレジス
トを反転することができない。かかる補正エリアに対し
ては補助露光を行う為に,補助露光パターンを発生させ
て露光データに追加する(S22)。このとき,補助露
光量の下限値をあらかじめ設定しておき,下限値未満で
あって,現像後のパターン寸法精度にほとんど影響しな
い程の低い露光量の補助露光パターンは発生させないよ
うにする。ここで,補助露光パターンとは,露光エネル
ギーが低い領域に対して近接露光効果に該当する量のエ
ネルギーを与える為の露光パターンであり,露光される
エネルギーの例えば数%程度の低い露光量を均一に有す
る露光パターンである。その補助露光パターンの大きさ
は,補正エリア程度の大きさが好ましい。但し,補助露
光パターンの位置は,必ずしも面積密度見直しに発生さ
せた補正エリアと同一である必要はない。むろん,同一
でも良い。
【0047】図8は,各パターンの主露光量が補正さ
れ,パターンは存在するが露光エネルギーが低い補正エ
リアに補助露光パターン(太線)を発生させた結果を示
す図である。この例では,パターンP1,P2,P3の
主露光量が,補正後の露光量Q1’,Q2’,Q3’に
なっている。また,低い露光エネルギーを有するエリア
a13,a21,a25,a31,a35〜a42,a
44,a45,a53には,補助露光パターン(太線)
が発生される。
【0048】補助露光パターンを発生させると,修正面
積密度にも影響を及ぼす。したがって,図5に示される
通り,工程S18,S20,S22がある程度収束する
まで繰り返されることが好ましい。また,繰り返すこと
により,上記発生されなかった下限値未満の露光量の補
助露光パターンの露光エネルギーを,周辺の補助露光パ
ターンの露光量が調整されることで,ある程度補うこと
もできる。
【0049】図5に示される通り,チップ全面に補正エ
リアを発生してその面積密度を求め,周囲の補正エリア
からの影響で面積密度を修正し,その修正面積密度をも
とにして,パターンの主露光量Qmの補正と補助露光パ
ターンの発生を行う。その結果,露光後のパターン精度
を高くできる露光データが作成される。
【0050】図9は,作成された露光データの構成例を
示す図である。第1に,図4の設計データは,パターン
データは,その位置データ(x,y)と幅wと高さhを
有するのに対して,露光データのパターンデータは,更
に露光量Qを有する。この露光量Qは,通常パターンに
対しては補正された主露光量である。第2に,設計デー
タは,サブフィールドSF00〜SF44とそのサブフ
ィールドが有するパターンデータとから構成される。し
かし,露光データには,サブフィールドとして補助露光
パターンを有する補助露光用のサブフィールドTSF1
〜TSFnが追加される。この補助露光パターンには,
露光エネルギーの不足分に応じた補助露光量Qが与えら
れる。
【0051】サブフィールドは,必ずしも図3に示され
る通り,メインフィールド内に一面に敷き詰められた領
域ではなく,内部の露光パターンによって,お互いに一
部重なり合う領域であってもよい。露光工程において
は,単にそれぞれのサブフィールドの位置にそのサブフ
ィールドに含まれる露光パターンに電子ビームが照射さ
れるだけである。したがって,露光パターンのサブフィ
ールドに,補助露光パターンのサブフィールドが重なっ
て登録されることも許される。これにより,露光データ
の階層化データ構造を壊すことなく,補助露光パターン
を露光データに追加することができる。
【0052】上記のようにして作成された露光データD
outが電子ビーム制御装置に供給されて,その露光デ
ータにしたがって電子ビーム露光が行われる(S2
4)。その結果,露光現像後のパターンは,設計データ
により近い高精度のパターンになる。
【0053】[パターン分割工程]図10は,本実施の
形態例におけるパターン分割工程を説明する図である。
本実施の形態例のパターン分割工程では,高さhと幅w
の比h/wがある基準値よりも高いような細長いパター
ンを,長手方向に分割して,複数のパターンにする。そ
して,分割されたパターンそれぞれに主露光量が割り当
てられる。パターンの主露光量は,前述した通り,パタ
ーンに属する補正エリアの修正面積密度のうち,最大の
面積密度にしたがって決定される。より好ましくは,パ
ターンの境界に属する補正エリアのうち最大の面積密度
を持つ補正エリアにしたがって決定される。
【0054】図10(a)は,一例としての細長いパタ
ーンP0とメッシュ状の補正エリアCAとを示す。最初
の設計データでは,一つの細長いパターンP0である。
図10(b)は,パターンP0が複数のパターンP1〜
P5にパターン分割された状態を示す。このパターン分
割では,元のパターンP0を,先端部では細かく,中央
部になるほど大きく分割する。より好ましくは,補正エ
リア単位の大きさに分割する。図10の例では,最先端
のパターンP1,P5は,補正エリア1個の大きさに,
次のパターンP2,P4は,補正エリア2個の大きさで
あり,中央パターンP3は,その残りの大きさである。
【0055】そして,図10(c)に示される通り,分
割された5つのパターンP1〜P5に対して,それぞれ
補正された主露光量Qm1〜Qm5が与えられる。この主露光
量Qm1〜Qm5は,それぞれのパターンに属する補正エリア
のうち最大の修正面積密度(パターン面積密度)にした
がって決定される。したがって,中央のパターンP3の
ように修正パターン面積密度が高いものには主露光量が
少なく決定され,先端パターンP1,P5のように修正
パターン面積密度が低いものには主露光量が高く決定さ
れる。その結果,一つのパターンP0に一つの主露光量
を与えた場合に必要となる補助露光パターンの数を減ら
すことができる。
【0056】図11は,単一パターンと分割パターンの
場合の主露光量と補助露光量との関係を示す図である。
図11(A)は,単一パターンP0に単一の主露光量Q
mが与えられた場合の主露光量と補助露光量との関係を
示す。左側の平面図にはパターンP0と補正エリアCA
が示され,右側のグラフには主露光量Qmと補助露光量
Qsが,位置(縦軸)に対応して示される。右側のグラ
フの位置は,左側の平面図の位置に対応する。
【0057】図11(A)の単一パターンP0の場合
は,単一の主露光量Qmが与えられる。したがって,パ
ターンP0内では,中央部も先端部も同じ主露光量Qm
で露光が行われる。しかし,近接露光効果により,実際
に与えられる露光エネルギーEngは,図示されるとおり
面積密度が高い中央部で高く,面積密度が低い先端部で
低い。したがって,先端部で露光量不足になる。
【0058】そこで,破線で示される通り補助露光Qs0
が必要になる。この補助露光量Qs0は,パターンの先端
部で大きく,中央部に向かって徐々に小さくなる。しか
も,必要な補助露光量Qs0の変化は,先端部で大きく減
少し,中央部に向かって徐々に小さくなる。但し,実際
の補助露光パターンは,補正エリアの大きさ単位で設定
されるので,実際の補助露光量Qsは,破線のように階段
状になる。平面図の斜線部が補助露光パターンを示す。
つまり,パターン先端部から6個の補正エリアに補助露
光が行われ,その露光量Qsは,先端から徐々に減少す
る。
【0059】そこで,図10のように,パターンの先端
部を分割して複数のパターンにすると,分割したパター
ンそれぞれに個別の主露光量Qmを設定することができ
る。図11(B)は,分割パターンの場合の主露光量と
補助露光量との関係を示す。前述した露光量補正の工程
で,先端のパターンP1の修正パターン面積密度は低
く,次のパターンP2の修正パターン面積密度はそれよ
りやや高く,中央部のパターンP3の修正パターン面積
密度は一番高くなると予想される。したがって,露光量
補正により,先端のパターンP1の主露光量Qm1は最も
高く,次のパターンP2の主露光量Qm2はそれよりも低
く,中央部のパターンP3の主露光量Qm3は最も低く補
正される。その結果,近接露光効果を考慮した露光エネ
ルギーEngは,図示されるとおり,パターン先端部でも
現像の十分なレベルを有することになり,パターン先端
部での露光量不足は解消される。そのため,パターンP
1,P2の領域での補助露光パターンは不要になり,補
助露光パターン数を減らすことができるようになる。図
11(B)の左側の平面図によれば,補助露光パターン
はパターンP3の上の2個の補正エリアだけになってい
る。
【0060】分割するパターンの形状は,図11(A)
の補助露光量Qsの分布に対応して,先端部で分割パター
ンは小さく,中央になるにしたがって分割パターンが大
きくなることが好ましい。それにより,補正された主露
光量Qm1,Qm2,Qm3の変化も,先端部で急峻に変化し中央
になるにしたがってなだらかに変化させることができ
る。つまり,分割で新たに生成されたパターンP1,P
2に,補助露光パターンの補助露光量をそのまま割り当
てることができ,無駄な補助露光パターンの発生を抑え
ることができる。
【0061】パターン分割の単位は,例えば,補正エリ
アの大きさの倍数であって,先端部から中央部にかけ
て,徐々に倍数が大きくなることが好ましい。一例とし
て,先端部で補正エリア1個分,次に補正エリア2個
分,次に補正エリア3個分というように徐々に大きくす
る。或いは,補正エリア1個分の大きさを初項として,
等比数列(20,21,22....2n)倍にする。
【0062】補正エリア大きさを単位としてパターンを
分割し,且つ複数の補正エリアに対応する分割パターン
P2を生成することにより,分割したことに伴うパター
ンの増加より補助露光パターンの減少のほうが多くな
る。つまり,図11(B)の左側の平面図に示される通
り,分割によりパターンP1,P2が増加したが,補助
露光パターン数は,3補正エリア分減少し,トータルで
はパターン数が1個減る(増加2と減少3)ことにな
る。この場合,分割パターンP2が補正エリア2個分の
大きさになっていることが原因である。分割パターンが
全て補正エリア1個分の大きさでは,全体のパターンの
減少にはつながらない。
【0063】パターンの分割は,長辺方向についてのみ
行うことが好ましい。特に,ライン・アンド・スペース
のような,図10に示されるような長いパターンの場合
は,補助露光パターンは主にパターンの両先端部にのみ
発生する。したがって,先端部を分離して別のパターン
にすることで,補助露光パターンを減少させることがで
きる。パターンの短辺方向まで図形分割をすると,分割
によりパターン数は増加したが,補助露光パターン数は
減少しないことになり,有効ではない。
【0064】図12は,隣接するパターンの場合の分割
方法を示す図である。設計データが,連続する1つのパ
ターンに対して,図12のように複数の隣接するパター
ンP10,P11,P12,P13で構成される場合が
ある。その場合は,パターンP10〜P13をそれぞれ
分割する必要はない。隣接する複数のパターンのうち,
両端のパターンP10の先端側を,パターンP1,P2
のように分割すれば良い。パターンP11,P12の両
端には補助露光パターンが発生する可能性が低く,分割
によりむやみにパターン数が増大することを避けること
ができる。
【0065】[パターン変更]図13は,パターン変更
を説明するための図である。荷電粒子ビームの一種であ
る電子ビームは,電子間のクーロン効果によりビーム形
状が大きくなる傾向にある。このビームボケδは,電流
密度Jとパターン面積Sの積に比例する。つまり,δ=
k・J・Sである。電流密度Jが大きければそれだけ電
子間の反発力が大きくなり,ビームサイズは大きくな
る。また,ビームのサイズ自体が大きくなると同様に膨
張率も大きくなる。このビームボケδは,より正確には
露光強度分布である。クーロン効果により分布が拡がる
のである。
【0066】従来は,パターン寸法が比較的大きかった
ため,このクーロン効果によるビームボケを考慮する必
要はなかった。或いは,考慮する場合は,設計パターン
の面積Sと,露光装置に設定された電流密度Jとからビ
ームボケを推定し,その分パターンを縮小するパターン
変更が行われている。しかし,パターン寸法が0.1μ
mのオーダになると,このビームボケによるパターンの
膨張は無視できなくなる。
【0067】そこで,本実施の形態例では,設計パター
ンを矩形ビームで描画する場合,パターンを描画矩形ビ
ームに仮想的に分割し,その描画ビームの中で最大の面
積を有する描画ビームサイズから,ビームボケを求め
る。そして,求められたビームボケに応じて,そのパタ
ーンを縮小するように変更する。
【0068】図13には,3つのパターン(a)(b)
(c)が示されている。パターン(a)は,細長いパタ
ーンであるが,描画ビームで分割すると図示されるとお
りである。そこで,斜線部の描画ビームサイズに応じて
パターン縮小量が決定される。パターン(b)は,三角
形であるが,6個の可変矩形ビームで描画される。した
がって,斜線で示される描画ビームサイズに応じてパタ
ーン縮小量が決定される。パターン(c)は,平行四辺
形でありパターン(b)よりも大きい。しかし,パター
ン(c)を描画する描画ビームサイズのうち最大サイズ
は,パターン(b)と同じ斜線部である。したがって,
パターン(c)に対するビームボケ量は,パターン
(b)に対するビームボケ量と同じである。その結果,
パターン(c)のパターン縮小量はパターン(b)と同
じになる。
【0069】図5に示した通り,パターン変更工程S1
4は,パターン分割後に行われる。このパターン変更工
程により,設計パターンは描画ビームサイズに応じて縮
小変更される。したがって,クーロン効果により描画ビ
ームサイズが大きくなっても,露光後現像されるパター
ン形状は,設計パターンの形状に近いものになり,クー
ロン効果によるパターン精度の低下を避けることができ
る。
【0070】[露光量補正]図14は,本実施の形態例
における露光量補正を説明する図である。図14.Aは
比較例1を,図14.Bは比較例2をそれぞれ示す。こ
の例は,幅方向と高さ方向の両方に複数の補正エリアが
形成される比較的大きなパターンP20についての露光
量補正である。露光量補正は,前述した通り,パターン
に与えられている主露光量を,パターン内の補正エリア
の修正面積密度の代表であるパターン面積密度に応じて
補正をする工程である。
【0071】その場合,パターン内のどの補正エリアの
修正面積密度を基準にするかが問題になる。比較例1
は,パターンP20内の補正エリアのうち,最も高い修
正面積密度を有する補正エリアを基準にして露光量補正
をする。その場合,図中左側に示す通り,比較的大きな
パターンP20では,一般的にパターンの中央部の補正
エリアCA1で修正面積密度SR1が最も高く,パターンの境
界の一辺の中央の補正エリアCA2の面積密度SR2はそれよ
り低く,パターンの角部の補正エリアCA3,4の面積密度S
R3,4は最も低いと考えられる。比較例1では,パターン
内の補正エリアで最も高い修正面積密度を基準にして主
露光量を補正する。
【0072】その結果,補正された主露光量は小さく,
その小さな主露光量でパターンP20が露光されると,
パターン境界近傍の補正エリアでは露光量不足が発生す
る。その結果,図中右側に斜線で示す通り,補助露光パ
ターンが,パターンP20の周辺全てに必要になる。
【0073】比較例1の方法は,パターン内で最大の修
正面積密度を基準にして主露光量を補正することで,少
なくとも主露光量が過剰になり現像後のパターンが設計
値よりも太くなることを防止する。但し,比較的大きな
パターンでは,前述の通り,パターンの境界付近で補助
露光パターンが必要になる。
【0074】比較例2は,本実施の形態例に従う方法で
あり,パターンP20の境界の補正エリアのうち,最大
の修正面積密度を基準エリアにして,主露光量を補正す
る。図14.Bに示される例では,パターンP20の境
界に位置する16個の補正エリアのうち,一辺の中央部
の補正エリアCA2が境界補正エリアで最大の修正面積密
度を持つので,その面積密度を基準に主露光量が補正さ
れる。その結果,補正エリアCA2の領域では主露光量が
最適化されているので,補助露光パターンの発生は不要
になる。また,パターンP20の中央部の補正エリアCA
1では,露光量が過剰になるが,中央部であるのでパタ
ーン自体が膨張することはない。そして,結局のとこ
ろ,パターンP20の角部の補正エリアCA3,4で露光量
不足が発生し,図中右側に斜線で示される通り,その領
域にのみ補助露光パターンが生成される。
【0075】比較例1と2を比較すると明らかな通り,
露光量補正をパターン中央の補正エリアCA1の面積密度
を基準にすると多くの補助露光パターンが必要になるの
に対して,パターン境界の補正エリアCA2の面積密度を
基準にすると少ない補正露光パターンですむことにな
る。つまり,主露光量を補正する工程では,パターン形
状に最も影響を与えるパターン境界の補正エリアの面積
密度を基準にすることが,過剰露光量によるパターンの
膨張を防止し,補助露光パターンを減らすことに寄与す
るのである。
【0076】図15は,細長いパターンが一定間隔で配
置されるライン・アンド・スペースタイプのパターンで
の露光量補正を説明する図である。図15の例では,1
0本のライン状のパターンが一定スペースを隔てて並べ
られる。この場合も,補正エリアを発生させ,各補正エ
リアでの面積密度を求め,近接露光効果を考慮して修正
し,パターン内の補正エリアの最大修正面積密度(パタ
ーン面積密度)を基準にして主露光量を補正する。
【0077】図15の10本のパターンに対しては,補
正エリアCA11で修正面積密度が最大になり,パターン群
の境界領域の補正エリアCA12の修正面積密度はそれより
低くなり,更に,パターン群の角部の補正エリアCA13,1
4の修正面積密度は最も低くなる。
【0078】そこで,前述の通り,露光量補正の基準エ
リアをパターン境界と交わる補正エリアのうち最大修正
面積密度を有する補正エリアとすると,中央部のパター
ンP22では,中央部の補正エリアCA11が最も修正面積密
度が高く,それを基準にしてパターンP22の主露光量が
補正される。同様に,片隅のパターンP24でも,中央部
の補正エリアCA12が最も修正面積密度が高く,それを基
準にしてパターンP24の主露光量が補正される。その場
合,補正エリアCA12の修正面積密度は中央の補正エリア
CA11よりも低いので,パターンP24の主露光量は中央の
パターンP22の主露光量よりは大きくなるように補正さ
れる。
【0079】いずれにしても,それぞれのパターンP2
2,P24において,最適な主露光量に補正されるので,露
光量不足を補う補助露光パターンは,図中斜線で示す通
り,上下端の補正エリアCA13,14に生成される。
【0080】図15のように,補正エリアよりもパター
ン幅が狭い場合は,パターン内の補正エリアのうち最大
の修正面積密度を基準にしてパターンの主露光量を補正
しても,上記と同じ結果になる。しかし,図14のよう
に,パターン幅,高さ内に複数の補正エリアが交わる場
合は,パターン内の補正エリアで最大の修正面積密度を
基準にして露光量補正を行うと,比較例1のように補正
露光パターン数が増大する。したがって,比較例2のよ
うに,パターンの境界(露光領域と非露光領域の境界,
露光境界)と交わる複数の補正エリアのなかで最大の修
正面積密度を基準にして露光量補正を行うことが,補正
露光パターン数を減少させることになる。
【0081】以上の通り,パターンの境界上の補正エリ
アで最大の修正面積密度を基準にして主露光量を決定す
ることで,パターン境界での露光量不足する領域が減
り,補助露光パターン数を減らすことができる。また,
基準となる補正エリアを,パターンの境界に限定したこ
とで,露光量補正での計算量を減らすことができる。し
かも,露光量補正の基準エリアをパターン境界上に限定
したことで,パターンの形状が図14のように大きな場
合も,図15のように細い場合も汎用的に適用すること
ができる。
【0082】上記の露光量補正のアルゴリズムを採用す
る場合,パターンの境界に交わる補正エリアを検出する
必要がある。図16は,露光境界上の補正エリアを検出
する方法を説明する図である。図16には,2つのパタ
ーンP30,P31が接している例である。通常の設計パター
ンは,矩形で幅と高さで定義されるので,図16のよう
なT字形のパターンは,2つのパターンに分割される。
【0083】パターンの境界に交わる補正エリアを検出
する第1の例では,あるパターンに交わる補正エリアで
の当該パターンについての面積密度を算出し,その面積
密度が100%未満であれば,パターンの境界に交わる
補正エリアと判断する。つまり,周辺に存在するパター
ンの存在にかかわらず,単独のパターンのエッジをパタ
ーン境界とみなす。この方法によれば,パターンP30の
境界上の全ての補正エリアが該当し,パターンP32の境
界上の全ての補正エリアが該当する。したがって,検出
される露光境界上の補正エリアは,図中の斜線で示した
エリアになる。
【0084】この検出アルゴリズムは,単に注目パター
ンについて補正エリア内の面積密度を求めて判断するこ
とができるので,演算が簡単になり,演算処理の負荷が
軽い。しかし,パターンP30とP31の接している領域も境
界上の補正エリアとして検出されてしまう。
【0085】図17は,上記第1の例で境界上の補正エ
リアを求める工程を含めた露光工程のフローチャート図
である。図5と同じ工程には同じ番号を与えている。図
17において,ステップS30にて,あるパターンにつ
いて,補正エリアの面積密度を求め,ステップS32に
て,その面積密度が100%未満であれば,その補正エ
リアを境界エリアとする(S34)。このステップS3
0,S32,S34を,あるパターンの全ての補正エリ
アについて行う。また,これらのステップを全てのパタ
ーンについて行う。その結果,図16に示す通り,全て
のパターンの境界エリアを検出することができる。
【0086】ステップS18の補正エリアの面積密度を
近接露光補正を考慮して修正するのは,図5と同じであ
る。しかし,ステップS20では,境界エリアで最大の
修正面積密度を基準にして主露光量の補正が行われる。
ステップS18,S20は収束するまで繰り返されるこ
とが好ましい。更に,露光量補正が行われてパターンの
主露光量が求められた後,ステップS22にて,露光量
不足の補正エリアに補助露光パターンを発生する。
【0087】図18は,パターン境界の補正エリアを求
める第2の例を説明する図である。第2の例は,隣接す
る他のパターンを考慮して,パターンの境界上の補正エ
リアを求める方法である。即ち,パターンP30に交わる
補正エリアのうち,パターンP31にも交わる補正エリアC
A1,CA2は,境界上の補正エリアとはみなさない。
【0088】具体的には,各補正エリアの面積密度を全
てのパターンを考慮して求め,その面積密度が100%
であって,回りに面積密度が0%の補正エリアが存在し
ない場合は,境界上の補正エリアとはみなさない。逆に
言えば,回りに面積密度が0%の補正エリアが存在する
時は,境界に交わる補正エリアと判定する。このアルゴ
リズムによれば,補正エリアCA1,CA2は,境界エリアか
ら除外され,より最適化された境界エリアの検出方法と
なる。
【0089】このようにして求めた境界エリアのうち,
最大修正面積密度にしたがって,各パターンの主露光量
が決定されるのは,前述の通りである。
【0090】[ブロックマスク]電子ビーム露光による
直接描画は,露光ショット数が膨大になりスループット
の低下を招いている。その理由は,所定のサイズの矩形
の透過マスクを2枚重ねることで,所望のサイズの矩形
ビームを生成し,その矩形ビームで描画していくからで
ある。そのようなスループットの低下を防止するため
に,ブロックマスクが提案されている。
【0091】図19は,ブロックマスクの一例を示す図
である。図1に示した透過マスク34として,図19の
ようなブロックマスクが利用される。ブロックマスク3
4は,使用頻度の高いパターンBM1〜BM9をあらかじめ透
過マスクとして用意したものであり,それらのパターン
に電子ビームを照射することで,特殊なパターンを一回
のショットで露光する。したがって,ショット数を少な
くすることでき,露光工程全体のスループットを向上さ
せる。
【0092】このようなブロックマスクの特異な点は,
一つのブロックマスクBMに対して,同じ主露光量しか
与えることができないことにある。したがって,ブロッ
クマスクに対してどのようにして主露光量を決定するか
が問題になる。
【0093】図20は,本実施の形態例におけるブロッ
クマスクの主露光量を求める方法について説明する図で
ある。本実施の形態例において,ブロックマスクBM内
に複数のパターンP40,P41が含まれる場合は,前述した
通り,補正エリアを発生し,その補正エリアの面積密度
を求め,近接露光効果を考慮して面積密度を修正し,パ
ターン境界の補正エリアの修正面積密度の最大値に応じ
て,各パターンP40,P41の主露光量を補正する。そし
て,ブロックマスクBMに含まれる複数のパターンの補
正露光量のうち,最小の露光量をブロックマスクの露光
量に決定する。
【0094】上記のアルゴリズムによれば,図20の例
では,パターンP40の露光量補正は,境界の補正エリアC
A2の修正面積密度SR2に基づいて行われる。一方,パタ
ーンP41の露光量補正も,境界の補正エリアCA3の修正面
積密度SR3に基づいて行われる。したがって,パターンP
40の補正露光量Q2は,パターンP41の補正露光量Q3
より大きくなることが予想される。パターンP41の補正
エリアCA3のほうが密度が低いからである。したがっ
て,その場合は,ブロックマスクBMの主露光量は,小さ
い方のパターンP41の補正露光量Q3になる。そして,
ブロックマスクBM内で露光量不足になる補正エリアに
は,補助露光パターンが生成される。
【0095】図中,パターンP40の中央部の補正エリアC
A1の面積密度SR1を基準にした補正露光量Q1は,最も低
く,それをブロックマスクの露光量に設定すると,補助
露光パターンの数が増大することが予測される。
【0096】上記の実施の形態例では,露光量補正を行
って,パターン内で補正された主露光量では露光エネル
ギーが不足する補正エリアには,全て補助露光パターン
を発生させた。その場合,補助露光パターンの補助露光
量は,主露光量と修正面積密度との関係から求められ
る。そして,その補助露光量が基準値よりも小さい場合
は,かかる補助露光パターンの発生を行わないようにす
ることもできる。それにより補助露光パターンの数を更
に抑えることができる。
【0097】以上の実施の形態例を次の付記に示す通り
まとめる。 (付記1)複数のパターンを有するパターンデータから
露光パターンデータを有する露光データを生成し,該露
光データにしたがって試料を露光する荷電粒子ビーム露
光方法において,(a)前記パターンに対して複数の補
正エリアを発生する工程と,(b)前記パターンデータ
のパターンであって,高さと幅の比が基準値より大きい
細長いパターンを,複数のパターンに分割する工程と,
(c)前記補正エリア内のパターンの面積密度を求め,
当該補正エリアの周囲の補正エリアの面積密度及び補正
エリア間の距離にしたがって,当該補正エリアの面積密
度を修正する工程と,(d)前記パターンに交わる補正
エリアの前記修正された面積密度のうち最大の修正面積
密度にしたがって,各パターンの主露光量を決定する工
程と,(e)前記パターン内であって前記主露光量では
露光エネルギー不足になる前記補正エリアに補助露光パ
ターンを発生する工程と,(f)前記パターンデータに
前記補助露光パターンを追加した露光パターンデータに
したがって,前記試料を露光する工程とを有することを
特徴とする荷電粒子ビーム露光方法。 (付記2)付記1において,工程(b)において,前記
パターンの長辺方向に対してのみ分割を行うことを特徴
とする荷電粒子ビーム露光方法。 (付記3)付記1において,工程(b)において,前記
分割されたパターンは,前記補正エリア単位のサイズで
あることを特徴とする荷電粒子ビーム露光方法。 (付記4)付記3において,工程(b)において,前記
分割されたパターンのサイズは,前記パターンの先端か
ら順に徐々に大きくなっていることを特徴とする荷電粒
子ビーム露光方法。 (付記5)付記1において,工程(b)において,複数
のパターンが互いに接するように1列に配置される場合
は,当該1列に配置された複数のパターンのうち,両端
側のパターンを分割することを特徴とする荷電粒子ビー
ム露光方法。 (付記6)複数のパターンを有するパターンデータから
露光パターンデータを有する露光データを生成し,該露
光データにしたがって試料を露光する荷電粒子ビーム露
光方法において,(a)前記パターンを描画する露光ビ
ームサイズのうち,最大サイズに応じて前記ビームの広
がりによるビームボケを求め,当該ビームボケに応じて
前記パターンを縮小するように変更する工程と,(b)
前記変更されたパターンにしたがって求められた露光パ
ターンデータにしたがって,前記試料を露光する工程と
を有することを特徴とする荷電粒子ビーム露光方法。 (付記7)複数のパターンを有するパターンデータから
露光パターンデータを有する露光データを生成し,該露
光データにしたがって試料を露光する荷電粒子ビーム露
光方法において,(a)前記パターンに対して複数の補
正エリアを発生する工程と,(b)前記補正エリア内の
パターンの面積密度を求め,当該補正エリアの周囲の補
正エリアの面積密度及び補正エリア間の距離にしたがっ
て,当該補正エリアの面積密度を修正する工程と,
(c)前記パターンの境界に交わる補正エリアの前記修
正された面積密度のうち最大の修正面積密度にしたがっ
て,各パターンの主露光量を決定する工程と,(d)前
記パターン内であって前記主露光量では露光エネルギー
不足になる前記補正エリアに補助露光パターンを発生す
る工程と,(e)前記パターンデータに前記補助露光パ
ターンを追加した露光パターンデータにしたがって,前
記試料を露光する工程とを有することを特徴とする荷電
粒子ビーム露光方法。 (付記8)付記7において,工程(c)において,前記
パターンそれぞれの境界に交わる補正エリアを検出し,
当該検出された補正エリアのうち最大の修正面積密度に
したがって,前記各パターンの主露光量を決定すること
を特徴とする荷電粒子ビーム露光方法。 (付記9)付記7において,工程(c)において,前記
パターンそれぞれの境界に交わる補正エリアであって,
周囲に面積密度がゼロの補正エリアを有する補正エリア
を検出し,当該検出された補正エリアのうち最大の修正
面積密度にしたがって,前記各パターンの主露光量を決
定することを特徴とする荷電粒子ビーム露光方法。 (付記10)複数のパターンを有するブロックマスクを
透過した荷電粒子ビームにより試料を露光する荷電粒子
ビーム露光方法において,(a)前記ブロックマスクの
パターンに対して複数の補正エリアを発生する工程と,
(b)前記補正エリア内のパターンの面積密度を求め,
当該補正エリアの周囲の補正エリアの面積密度及び補正
エリア間の距離にしたがって,当該補正エリアの面積密
度を修正する工程と,(c)前記パターンの境界に交わ
る補正エリアの前記修正された面積密度のうち最大の修
正面積密度にしたがって,各パターンの露光量を決定
し,前記ブロックマスク内の複数のパターンの露光量の
うち最小の露光量を,当該ブロックマスクの主露光量に
する工程と,(d)前記パターン内であって前記主露光
量では露光エネルギー不足になる前記補正エリアに補助
露光パターンを発生する工程と,(e)前記ブロックマ
スクを通過した荷電粒子ビームで前記主露光量にしたが
って前記試料を露光し,更に,前記補助露光パターンで
前記試料を露光する工程とを有することを特徴とする荷
電粒子ビーム露光方法。 (付記11)複数のパターンを有するパターンデータか
ら露光パターンデータを有する露光データを生成し,該
露光データにしたがって試料を露光する荷電粒子ビーム
露光装置において,(a)前記パターンに対して複数の
補正エリアを発生する補正エリア発生部と,(b)前記
パターンデータのパターンであって,高さと幅の比が基
準値より大きい細長いパターンを,複数のパターンに分
割するパターン分割部と,(c)前記補正エリア内のパ
ターンの面積密度を求め,当該補正エリアの周囲の補正
エリアの面積密度及び補正エリア間の距離にしたがっ
て,当該補正エリアの面積密度を修正する面積密度生成
部と,(d)前記パターンに交わる補正エリアの前記修
正された面積密度のうち最大の修正面積密度にしたがっ
て,各パターンの主露光量を決定する露光量補正部と,
(e)前記パターン内であって前記主露光量では露光エ
ネルギー不足になる前記補正エリアに補助露光パターン
を発生する補助露光パターン生成部と,(f)前記パタ
ーンデータに前記補助露光パターンを追加した露光パタ
ーンデータにしたがって,前記試料を露光する露光部と
を有することを特徴とする荷電粒子ビーム露光装置。 (付記12)複数のパターンを有するパターンデータか
ら露光パターンデータを有する露光データを生成し,該
露光データにしたがって試料を露光する荷電粒子ビーム
露光装置において,(a)前記パターンを描画する露光
ビームサイズのうち,最大サイズに応じて前記ビームの
広がりによるビームボケを求め,当該ビームボケに応じ
て前記パターンを縮小するように変更するパターン変更
部と,(b)前記変更されたパターンにしたがって求め
られた露光パターンデータにしたがって,前記試料を露
光する露光部とを有することを特徴とする荷電粒子ビー
ム露光装置。 (付記13)複数のパターンを有するパターンデータか
ら露光パターンデータを有する露光データを生成し,該
露光データにしたがって試料を露光する荷電粒子ビーム
露光装置において,(a)前記パターンに対して複数の
補正エリアを発生する補正エリア生成部と,(b)前記
補正エリア内のパターンの面積密度を求め,当該補正エ
リアの周囲の補正エリアの面積密度及び補正エリア間の
距離にしたがって,当該補正エリアの面積密度を修正す
る面積密度生成部と,(c)前記パターンの境界に交わ
る補正エリアの前記修正された面積密度のうち最大の修
正面積密度にしたがって,各パターンの主露光量を決定
する露光量補正部と,(d)前記パターン内であって前
記主露光量では露光エネルギー不足になる前記補正エリ
アに補助露光パターンを発生する補助露光パターン生成
部と,(e)前記パターンデータに前記補助露光パター
ンを追加した露光パターンデータにしたがって,前記試
料を露光する露光部とを有することを特徴とする荷電粒
子ビーム露光装置。 (付記14)複数のパターンを有するブロックマスクを
透過した荷電粒子ビームにより試料を露光する荷電粒子
ビーム露光装置において,(a)前記ブロックマスクの
パターンに対して複数の補正エリアを発生する補正エリ
ア生成部と,(b)前記補正エリア内のパターンの面積
密度を求め,当該補正エリアの周囲の補正エリアの面積
密度及び補正エリア間の距離にしたがって,当該補正エ
リアの面積密度を修正する面積密度生成部と,(c)前
記パターンの境界に交わる補正エリアの前記修正された
面積密度のうち最大の修正面積密度にしたがって,各パ
ターンの露光量を決定し,前記ブロックマスク内の複数
のパターンの露光量のうち最小の露光量を,当該ブロッ
クマスクの主露光量にする露光量補正部と,(d)前記
パターン内であって前記主露光量では露光エネルギー不
足になる前記補正エリアに補助露光パターンを発生する
補助露光パターン生成部と,(e)前記ブロックマスク
を通過した荷電粒子ビームで前記主露光量にしたがって
前記試料を露光し,更に,前記補助露光パターンで前記
試料を露光する露光部とを有することを特徴とする荷電
粒子ビーム露光装置。
【0098】以上,本発明の保護範囲は,上記の実施の
形態例に限定されるものではない。
【0099】
【発明の効果】以上,本発明によれば,補助露光パター
ンの発生をできるだけ少なくすることができ,露光工程
のスループットを向上し,露光・現像後のパターン形状
がシャープになる。更に,ビームサイズのクーロン効果
による膨張を適切に防止することができる。また,ブロ
ックマスク露光を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態例における電子ビーム露光装置の
概略構成図である。
【図2】露光データ作成装置100の内部構成を示す図
である。
【図3】半導体チップ10内のメインフィールドMFと
サブフィールドSFとの関係を示す図である。
【図4】メインフィールド12内のサブフィールドにか
かる設計データの構成例を示す図である。
【図5】露光データの作成を含む露光工程のフローチャ
ート図である。
【図6】サブフィールドSFとその上に存在する補正エ
リアの一例を示す図である。
【図7】図6の例のサブフィールドの補正エリア毎の面
積密度Smnを記入した例である。
【図8】主露光量補正と補助露光パターン発生後のサブ
フィールドを示す図である。
【図9】作成された露光データの構成例を示す図であ
る。
【図10】本実施の形態例におけるパターン分割工程を
説明する図である。
【図11】単一パターンと分割パターンの場合の主露光
量と補助露光量との関係を示す図である。
【図12】隣接するパターンの場合の分割方法を示す図
である。
【図13】パターン変更を説明するための図である。
【図14】本実施の形態例における露光量補正を説明す
る図である。
【図15】ライン・アンド・スペースタイプのパターン
での露光量補正を説明する図である。
【図16】露光境界上の補正エリアを検出する方法を説
明する図である。
【図17】境界上の補正エリアを求める工程が含まれた
露光工程のフローチャート図である。
【図18】パターン境界の補正エリアを求める第2の例
を説明する図である。
【図19】ブロックマスクの一例を示す図である。
【図20】本実施の形態例におけるブロックマスクの主
露光量を求める方法について説明する図である。
【符号の説明】
100 露光データ作成装置 200,300 露光部 102 設計データ,パターンデータファイル 103 補正エリア発生部 104 面積密度生成部 105 面積密度修正部 107 露光量補正部 108 補助露光パターン生成部 109 露光データファイル 114 パターン分割部 115 パターン変更部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のパターンを有するパターンデータか
    ら露光パターンデータを有する露光データを生成し,該
    露光データにしたがって試料を露光する荷電粒子ビーム
    露光方法において,(a)前記パターンに対して複数の
    補正エリアを発生する工程と,(b)前記パターンデー
    タのパターンであって,高さと幅の比が基準値より大き
    い細長いパターンを,複数のパターンに分割する工程
    と,(c)前記補正エリア内のパターンの面積密度を求
    め,当該補正エリアの周囲の補正エリアの面積密度及び
    補正エリア間の距離にしたがって,当該補正エリアの面
    積密度を修正する工程と,(d)前記パターンに交わる
    補正エリアの前記修正された面積密度のうち最大の修正
    面積密度にしたがって,各パターンの主露光量を決定す
    る工程と,(e)前記パターン内であって前記主露光量
    では露光エネルギー不足になる前記補正エリアに補助露
    光パターンを発生する工程と,(f)前記パターンデー
    タに前記補助露光パターンを追加した露光パターンデー
    タにしたがって,前記試料を露光する工程とを有するこ
    とを特徴とする荷電粒子ビーム露光方法。
  2. 【請求項2】請求項1において,工程(b)において,
    前記パターンの長辺方向に対してのみ分割を行うことを
    特徴とする荷電粒子ビーム露光方法。
  3. 【請求項3】請求項1において,工程(b)において,
    前記分割されたパターンは,前記補正エリア単位のサイ
    ズであることを特徴とする荷電粒子ビーム露光方法。
  4. 【請求項4】請求項3において,工程(b)において,
    前記分割されたパターンのサイズは,前記パターンの先
    端から順に徐々に大きくなっていることを特徴とする荷
    電粒子ビーム露光方法。
  5. 【請求項5】複数のパターンを有するパターンデータか
    ら露光パターンデータを有する露光データを生成し,該
    露光データにしたがって試料を露光する荷電粒子ビーム
    露光方法において,(a)前記パターンを描画する露光
    ビームサイズのうち,最大サイズに応じて前記ビームの
    広がりによるビームボケを求め,当該ビームボケに応じ
    て前記パターンを縮小するように変更する工程と,
    (b)前記変更されたパターンにしたがって求められた
    露光パターンデータにしたがって,前記試料を露光する
    工程とを有することを特徴とする荷電粒子ビーム露光方
    法。
  6. 【請求項6】複数のパターンを有するパターンデータか
    ら露光パターンデータを有する露光データを生成し,該
    露光データにしたがって試料を露光する荷電粒子ビーム
    露光方法において,(a)前記パターンに対して複数の
    補正エリアを発生する工程と,(b)前記補正エリア内
    のパターンの面積密度を求め,当該補正エリアの周囲の
    補正エリアの面積密度及び補正エリア間の距離にしたが
    って,当該補正エリアの面積密度を修正する工程と,
    (c)前記パターンの境界に交わる補正エリアの前記修
    正された面積密度のうち最大の修正面積密度にしたがっ
    て,各パターンの主露光量を決定する工程と,(d)前
    記パターン内であって前記主露光量では露光エネルギー
    不足になる前記補正エリアに補助露光パターンを発生す
    る工程と,(e)前記パターンデータに前記補助露光パ
    ターンを追加した露光パターンデータにしたがって,前
    記試料を露光する工程とを有することを特徴とする荷電
    粒子ビーム露光方法。
  7. 【請求項7】複数のパターンを有するブロックマスクを
    透過した荷電粒子ビームにより試料を露光する荷電粒子
    ビーム露光方法において,(a)前記ブロックマスクの
    パターンに対して複数の補正エリアを発生する工程と,
    (b)前記補正エリア内のパターンの面積密度を求め,
    当該補正エリアの周囲の補正エリアの面積密度及び補正
    エリア間の距離にしたがって,当該補正エリアの面積密
    度を修正する工程と,(c)前記パターンの境界に交わ
    る補正エリアの前記修正された面積密度のうち最大の修
    正面積密度にしたがって,各パターンの露光量を決定
    し,前記ブロックマスク内の複数のパターンの露光量の
    うち最小の露光量を,当該ブロックマスクの主露光量に
    する工程と,(d)前記パターン内であって前記主露光
    量では露光エネルギー不足になる前記補正エリアに補助
    露光パターンを発生する工程と,(e)前記ブロックマ
    スクを通過した荷電粒子ビームで前記主露光量にしたが
    って前記試料を露光し,更に,前記補助露光パターンで
    前記試料を露光する工程とを有することを特徴とする荷
    電粒子ビーム露光方法。
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