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JP2002066705A - 連続鋳造鋳片、その鋳造方法および厚鋼板の製造方法 - Google Patents

連続鋳造鋳片、その鋳造方法および厚鋼板の製造方法

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Publication number
JP2002066705A
JP2002066705A JP2000249633A JP2000249633A JP2002066705A JP 2002066705 A JP2002066705 A JP 2002066705A JP 2000249633 A JP2000249633 A JP 2000249633A JP 2000249633 A JP2000249633 A JP 2000249633A JP 2002066705 A JP2002066705 A JP 2002066705A
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slab
thickness
center
reduction
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Application number
JP2000249633A
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Yoshinori Tanizawa
好徳 谷澤
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP2000249633A priority Critical patent/JP3494136B2/ja
Publication of JP2002066705A publication Critical patent/JP2002066705A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鋳片の全幅および全長にわたって中心偏析のな
い連続鋳造鋳片、その鋳片の鋳造方法およびその鋳片を
熱間圧延する厚鋼板の製造方法の提供。 【解決手段】鋳片の最終凝固部を厚さ方向の中央部に含
む厚さ中心部10mm以内の領域において、S含有率が
10ppm以下、かつMn含有率が2.0質量%以上の
面積率が0.2%未満で、Caを含有する鋼の鋳片。鋳
片をバルジングさせた後、厚さ中心部が凝固完了するま
での間に1つ以上の圧下ロール対により圧下する方法
で、中心固相率が0.2〜0.7の位置を、下記(A)
式で表される圧下率Lfが0.9〜1.5を満足する条
件で圧下する。 Lf=D1/D2・・・(A)、ここで、D1:鋳片の幅
中央部における圧下量(mm)、D2:圧下開始時の固相
率0.8以下の未凝固部の厚さ(mm)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造鋳片、そ
の鋳片の鋳造方法およびその鋳片を熱間で圧延すること
による耐水素誘起割れ性に優れた厚鋼板の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】天然ガスおよび原油の採掘、精製、輸送
などに用いられるラインパイプなどは、連続鋳造鋳片を
熱間で圧延して得られる厚鋼板を素材として加工するこ
とにより製造されている。これらラインパイプなどの鋼
材では、水素誘起割れ(HIC)によって油漏れなどの
事故が発生することが知られている。鋼材中の水素が、
非金属介在物(MnS、クラスター状の酸化物、CaS
など)の周囲に集積し、水素ガスの圧力が高まるととも
に、非金属介在物の形状に基づく切欠き効果などによっ
て、非金属介在物を起点に水素誘起割れが発生する。そ
の際、Mn、Pなどが偏析する異常組織が存在している
と、その異常組織に沿って割れが伝播し、さらに大きな
割れが発生しやすい。
【0003】特開昭54−38214号公報には、C
a、REMなどの添加によって、鋼材の水素誘起割れ感
受性を高める非金属介在物MnSの析出を抑制するとと
もに、MnSが球状となるように非金属介在物の形態を
制御する方法が提案されている。しかし、この方法で
は、Ca、REMなどの含有量の最適値が狭い範囲であ
るため、これらの添加量を適正に調整することが困難で
ある。これらCa、REMなどの添加量が最適値より少
ないと、非金属介在物の形態制御の効果が発揮できず、
また添加量が多いと添加によって生成する硫化物、酸化
物などの量が多くなり、かえって鋼材の水素誘起割れ感
受性が高くなる。
【0004】Mn、Pなどが偏析して発生する鋼材の異
常組織とは、連続鋳造鋳片に発生した中心偏析が、その
鋳片を熱間で圧延した鋼材にまで残存し、その部分の硬
度が高くなっている金属組織のことである。鋳片の中心
偏析は、凝固が進行する過程でデンドライト樹間に偏析
成分が濃化し、この濃化溶鋼が鋳片のバルジングなどに
より、デンドライト樹間より流出し、最終凝固部である
凝固完了点に向かって流動し、そのまま凝固して偏析成
分の濃化帯を形成するために発生する。
【0005】そこで、鋳片の中心偏析の防止対策とし
て、デンドライト樹間の偏析成分の濃化した溶鋼の移動
を防止し、また偏析成分の濃化した溶鋼の局所的な集積
を防ぐことが効果的であり、特開平9−57410号公
報および特開平9−206903号公報には、未凝固部
を含む鋳片をバルジングさせ、最終凝固部の鋳造方向の
上流側で、バルジング量相当分を圧下する方法が提案さ
れている。しかし、これらの方法では、圧下する際の中
心固相率、圧下量などの圧下条件によっては、鋳造方向
の全長、鋳片の全幅にわたって中心偏析の発生を安定し
て抑制することが困難な場合がある。
【0006】上記のような現状に鑑み、ラインパイプな
どの鋼材における水素誘起割れの発生を安定して抑制す
る連続鋳造鋳片およびその鋳片を得るための連続鋳造を
行う方法が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ラインパイ
プなどの鋼材における水素誘起割れの発生を安定して抑
制できる鋼の連続鋳造鋳片、およびその鋳片を得るため
の連続鋳造方法を提供することを目的とし、さらに、こ
れらの鋳片を熱間で圧延することによる耐水素誘起割れ
性に優れた厚鋼板の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
(1)に示す連続鋳造鋳片、(2)に示す連続鋳造方
法、および(3)に示す厚鋼板の製造方法にある。 (1)鋳片の最終凝固部を厚さ方向の中央部に含む厚さ
中心部10mm以内の領域において、S含有率が10p
pm以下であり、かつMn含有率が2.0質量%以上の
面積率が0.2%未満であるCaを含有する鋼の連続鋳
造鋳片。 (2)未凝固部を含む鋳片をバルジングさせた後、厚さ
中心部が凝固完了するまでの間に1つ以上の圧下ロール
対により圧下する方法において、中心固相率が0.2〜
0.7の鋳片の位置で、下記(A)式で表される圧下率
Lfが0.9〜1.5を満足する条件で鋳片を圧下する
上記(1)に記載の連続鋳造鋳片の鋳造方法。
【0009】Lf=D1/D2 ・・・(A) ここで、D1:未凝固部を含む鋳片の幅中央部における
圧下量(mm) D2:圧下開始時の固相率0.8以下の未凝固部の厚さ
(mm) (3)上記(1)に記載の連続鋳造鋳片を熱間で圧延す
る厚鋼板の製造方法。
【0010】本発明が対象とする連続鋳造鋳片は、横断
面形状が長方形の鋳片である。また、本発明で規定する
「鋳片の最終凝固部を厚さ方向の中央部に含む厚さ中心
部10mm以内の領域」とは、次に示す鋳片の領域を意
味する。図1は、鋳片の横断面を示す模式図である。長
方形の鋳片2の最終凝固部Tcは、厚さのほぼ1/2の
位置に相当するほぼ直線状の部分である。「鋳片の最終
凝固部を厚さ方向の中央部に含む厚さ中心部10mm以
内の領域」とは、ほぼ直線状の最終凝固部Tcの、図面
上で言えば、上側の5mmの位置の直線T1 と下側の5
mmの位置の直線T2 との間の鋳片の領域(図中に斜線
部で示す領域)のことである。長方形の鋳片の幅方向の
両側端部から、それぞれ1/2×T0 (T 0 は、鋳片厚
さを意味する)の距離までの間は、凝固の進行が速く、
最終凝固部とはならない。なお、図1では、T1 または
2 とTcとの間隔は誇張して示している。
【0011】鋳片の最終凝固部を厚さ方向の中央部に含
む厚さ中心部10mm以内の領域において、S含有率が
10ppm以下とは、次のことを意味する。すなわち、
鋳片の横断面の上述の両端部近傍以外で、最終凝固部を
厚さ方向の中央部に含む厚さ中心部10mm以内の領域
のいずれの位置でも、たとえば、直径3〜5mmのドリ
ル刃により切り削を採取し、通常の高周波燃焼−赤外線
吸収法などにより分析したSの値が10ppm以下であ
ることを意味する。
【0012】また、鋳片の最終凝固部を厚さ方向の中央
部に含む厚さ中心部10mm以内の領域において、Mn
含有率が2.0質量%以上の面積率が0.2%未満と
は、次のことを意味する。すなわち、鋳片の横断面の上
述の両端部近傍以外で、最終凝固部を厚さ方向の中央部
に含む厚さ中心部10mm以内の領域のいずれの位置で
も、鋳片の幅方向にWmmの範囲を、たとえば、50μ
mビームサイズのX線マイクロアナライザを用いてMn
含有率を測定する際に、Mn含有率が2.0質量%以上
となる測定点の数が、全測定点数の0.2%未満である
ことを意味する。たとえば、W=20mmの場合には、
鋳片厚さ方向の測定点は200点、幅方向の測定点は4
00点であり、全測定点は200×400=80000
点となる。Mn含有率が2.0質量%以上となる測定点
の数が、全測定点の0.2%未満、すなわち160点未
満であることを意味する。
【0013】図2は、厚鋼板の水素誘起割れ面積率に及
ぼす鋳片の厚さ中心部近傍10mm以内の領域における
SおよびMnの含有率の影響を示す図である。以下の内
容の試験を行った結果を示す図である。
【0014】すなわち、鋳片の最終凝固部を厚さ方向の
中央部に含む厚さ中心部10mm以内におけるS含有率
およびMn含有率2.0質量%以上の面積率が、それぞ
れ種々の値を有する厚さ230mmの鋳片サンプルを実
機の連続鋳造機で鋳造して準備し、これら鋳片サンプル
を実験室規模の圧延装置を用いて熱間で厚さ19mmの
鋼板に圧延した。得られた鋼板から試験片を採取し、5
質量%NaClおよび0.5質量%CH3 COOHを含
む飽和H2 SのNACE腐食液(pH:約3.0)中に
96時間浸漬し、水素誘起割れの発生状況を調査した結
果を示す。図中に示す水素誘起割れ面積率(%)とは、
超音波探傷(探傷子;ポイントフォーカス型、50MH
z)により割れ発生と判定される部分の面積を超音波探
傷した鋼板の試験片の全表面積で除した割合のことであ
る。
【0015】図2から、つぎのことがわかる。つまり、
Caを含有させて、非金属介在物MnSの析出を抑制す
るとともに、MnSを球状化させても、鋳片の最終凝固
部を厚さ方向の中央部に含む厚さ中心部10mm以内の
領域におけるS含有率が10ppmを超えると、これら
の領域におけるMn含有率が2.0質量%以上の面積率
が零でも、水素誘起割れが発生する。
【0016】また、鋳片の最終凝固部を厚さ方向の中央
部に含む厚さ中心部10mm以内の領域におけるS含有
率を10ppm以下にしても、Caを含有させないと、
これらの領域におけるMn含有率が2.0質量%以上の
面積率が0.2%未満でも、水素誘起割れが発生する。
【0017】さらに、鋳片の最終凝固部を厚さ方向の中
央部に含む厚さ中心部10mm以内の領域におけるS含
有率を10ppm以下にし、Caを含有させ、これらの
領域におけるMn含有率が2.0質量%以上の面積率を
0.2%未満とすると、水素誘起割れの発生を抑制でき
る。これらの領域に存在する非金属介在物MnSの析出
量が少なく、かつ存在するMnSの形状が安定して球状
となっているので、これらの領域の硬度は均一になる。
そのため、鋼材の水素誘起割れの発生を抑制できるので
ある。
【0018】本発明の連続鋳造方法では、未凝固部を含
む鋳片をバルジングさせた後に、厚さ中心部が凝固完了
するまでの間に鋳片を圧下するので、鋳片の厚さ中心部
近傍を効果的に圧下できる。
【0019】さらに、中心固相率が0.2〜0.7の鋳
片の位置で、前述の(A)式で表される圧下率Lfが
0.9〜1.5を満足する条件で鋳片を圧下するので、
圧下効果が鋳片の厚さ中心部にまで効果的に及び、最終
凝固部近傍に存在する偏析成分の濃化した溶鋼を鋳造方
向の上流側に速い速度で排出することができる。そのた
め、圧下により圧着される鋳片の厚さ方向の両側の凝固
界面に偏析成分の濃化した溶鋼が捕捉されることがない
ので、SおよびMnの含有率の低い領域が鋳造方向の全
長、鋳片の全幅にわたって、安定して生成する。
【0020】前述の(A)式において、圧下開始時の鋳
片の未凝固部の厚さD2を、鋳片内部の厚さ方向の両側
の固相率0.8の凝固界面の間の厚さとする理由は、こ
のような固相率が0.8以下の厚さの領域では、圧下力
が伝達しないからであり、この領域を未凝固部とする。
この固相率0.8の凝固界面は、鋳片サイズ、溶鋼過熱
度、鋳造速度、二次冷却比水量などが決まれば、通常用
いられている凝固伝熱解析方法を用いて計算できる。
【0021】さらに、本発明の厚鋼板の製造方法では、
前述の鋼の連続鋳造鋳片を用いて熱間圧延する。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明では、質量%で、Mn含有
率が1.0〜2.5%、S含有率が0.0001〜0.
0060%である炭素鋼および低合金鋼を対象とするの
に好適である。この程度のMnおよびSを含有する炭素
鋼および低合金鋼では、連続鋳造鋳片に中心偏析が発生
しやすく、その鋳片を素材とする厚鋼板などに、水素誘
起割れが発生しやすいからである。
【0023】さらに、本発明ではCaを含有する鋼を対
象とする。鋼のCa含有率は、質量%で10〜50pp
mとするのが望ましい。10ppm未満では、Caを添
加することによる非金属介在物MnSの形態制御の効果
が発揮されにくく、また50ppmを超えると、Ca添
加によって生成した硫化物、酸化物などが多くなりす
ぎ、かえって水素誘起割れ感受性が高くなる。
【0024】本発明の連続鋳造鋳片は、鋳片の最終凝固
部を厚さ方向の中央部に含む厚さ中心部10mm以内の
領域において、S含有率が10ppm以下であり、か
つ、Mn含有率が2.0質量%以上の面積率が0.2%
未満である鋳片とする。
【0025】鋳片の最終凝固部を厚さ方向の中央部に含
む厚さ中心部10mm以内の領域とするのは、鋼材の水
素誘起割れの発生の起点が多い領域に相当する鋳片の領
域であるからである。
【0026】また、Mn含有率が2.0質量%以上の面
積率を規定するのは、Mn含有率が2.0質量%以上に
なると、その鋼材の硬度が330Hvに達し、水素誘起
割れが発生しやすくなるからである。その際、Mn含有
率の上限は、とくに限定しない。ただし、本発明が対象
とする鋼が、前述のとおり、Mn含有率が1.0〜2.
5質量%の炭素鋼または低合金鋼であるので、たとえ
ば、前述の50μmビームサイズのX線マイクロアナラ
イザを用いて分析する際、Mn含有率が3.8質量%程
度となる場合がある。いずれにせよ、Mn含有率が2.
0質量%以上である面積率を求めるものとする。
【0027】さらに、上述の鋳片の領域におけるS含有
率およびMn含有率が2.0質量%以上の面積率をそれ
ぞれ上限を規定する理由は、これらの鋳片の領域に存在
する非金属介在物MnSの析出量が少なくなるからであ
る。Caを含有させることによるMnSの形態制御の効
果も合わさって、これらの鋳片の領域の硬度は均一にな
り、鋼材の水素誘起割れの発生を抑制できる。
【0028】鋳片の最終凝固部を厚さ方向の中央部に含
む厚さ中心部10mm以内の領域から、たとえば直径3
mm〜5mmのドリル刃により切り削を採取してS含有
率を分析するに際し、鋳片幅中央部および幅の1/4部
の少なくとも2カ所から切り削を採取するのが好まし
い。また、Mn含有率を、たとえば、50μmビームサ
イズのX線マイクロアナライザを用いて分析するに際
し、鋳片幅中央部および幅の1/4部の少なくとも2カ
所において、鋳片の幅方向にW=20mm程度の領域を
測定するのが好ましい。図3は、本発明の連続鋳造方法
を実施するための連続鋳造機の例を示す模式図である。
浸漬ノズル4を経て鋳型1内に注入された溶鋼3は、鋳
型で冷却されて凝固する。形成された凝固殻2aは、鋳
型の下方のノズル群(図示していない)から噴射される
冷却水により冷却され、その厚さが増していく。内部に
未凝固部2bを含む鋳片2は、ガイドロール5により支
持、案内されながら、ピンチロール7により引き抜かれ
る。その際、未凝固部を含む鋳片を、ガイドロールの鋳
片厚さ方向の間隔を拡げることにより、バルジングゾー
ン8内でバルジングさせる。さらに、バルジングさせた
鋳片を、厚さ中心部が凝固完了するまでの間の圧下ゾー
ン9で、圧下ロール対6を用いて圧下する。図3では、
2つの圧下ロール対を用いて鋳片を圧下する例を示す。
本発明の連続鋳造方法では、未凝固部を含む鋳片をバル
ジングさせた後、厚さ中心部が凝固完了するまでの間
の、中心固相率が0.2〜0.7の鋳片の位置で、1つ
以上の圧下ロール対を用いて鋳片を圧下する。
【0029】未凝固部を含む鋳片をバルジングさせた後
に鋳片を圧下するので、鋳片の厚さ中心部近傍を効果的
に圧下できる。中心固相率が0.2未満では、圧下時期
が早すぎて、未凝固部の厚さが厚く、圧下率Lfを0.
9以上とするためには圧下量を過大に大きくする必要が
あり、実際にはこのような大きな圧下量を確保すること
は困難である。また、中心固相率が0.7を超えると、
圧下時期が遅すぎるため未凝固部の溶鋼の流動性が悪い
ので、偏析成分の濃化した溶鋼を鋳造方向の上流側に完
全に排出できず、局所的に偏析成分の濃化した溶鋼が残
存する。
【0030】本発明の連続鋳造方法では、前述の(A)
式で表される圧下率Lfが0.9〜1.5を満足する条
件で鋳片を圧下する。
【0031】圧下率Lfが0.9未満では、圧下量が小
さいので、偏析成分の濃化した溶鋼が鋳造方向の上流側
に排出される量が少なくなったり、その排出速度が遅く
なる。したがって、偏析成分の濃化した溶鋼が鋳片の厚
さ中心部近傍に取り残されやすい。圧下率Lfが1.5
を超えると、圧下量が過大に大きくなり、実際にはこの
ような大きな圧下量を確保することは困難である。
【0032】さらに、圧下量はバルジング量の50%以
上とするのが望ましい。50%以上の場合に、鋳片の厚
さ中心部近傍をより効果的に圧下できる。
【0033】圧下ロール対は1対を1台とすれば、1台
以上で圧下する。複数台で圧下する場合は、それぞれの
圧下ロール対ごとに、前述の(A)式で表される圧下率
Lfが0.9〜1.5となる条件で圧下する。
【0034】図3の模式図では、垂直型連続鋳造機を示
しているが、湾曲型連続鋳造機、垂直曲げ型連続鋳造機
にも本発明の方法を適用できる。
【0035】耐水素誘起割れ性に優れた厚鋼板は、本発
明の連続鋳造鋳片を熱間で圧延して製造することができ
る。鋳片の加熱温度、在炉時間、圧延温度などは、通常
の同様な化学組成の連続鋳造鋳片を熱間で圧延する場合
と同じ条件で構わない。
【0036】
【実施例】垂直曲げ型連続鋳造機を用いて、合計12ヒ
ートの鋳造試験を行った。鋳片サイズは、いずれも厚さ
230mm、幅2300mmとし、1ヒートの単鋳で鋳
造した。1ヒートは約250tonである。表1に、用
いた鋼の化学組成を示す。用いた鋼は、Mn含有率が
1.50質量%、Nb含有率が0.042質量%で、C
a含有率が0.0025質量%の厚鋼板用の鋼とした。
【0037】
【表1】 タンディッシュ内における溶鋼の過熱度は25〜35℃
とした。鋳造速度は0.90〜1.13m/分とし、ま
た二次冷却比水量は1.2〜1.5リットル/kg−鋼
とし、これら鋳造速度、二次冷却比水量を変更すること
により、圧下開始時の中心固相率を変化させて試験し
た。中心固相率は、通常の凝固伝熱解析方法を用いて計
算により求めた。
【0038】圧下前のバルジング量は鋳片幅中央部で2
0mmとし、その後、直径400mmの1つの圧下ロー
ル対で未凝固部を含む鋳片を圧下した。この圧下ロール
対は溶鋼のメニスカスから21mの位置に配置した。鋳
造方向で長さ100mmの鋳片横断面サンプルを採取し
た。この横断面サンプルの厚さ中心部で、鋳片幅方向中
心部および幅の1/4部から、直径3mmのドリル刃に
より切り削を採取してSを分析し、その平均値を求め
た。また、ドリル刃で切り削を採取した部分を外して、
鋳片幅方向中心部および幅の1/4部から、幅方向に2
0mmで全厚のサンプルを切り出し、X線マイクロアナ
ライザを用いて、50μmビームサイズでMn含有率を
測定した。その際、Mn含有率が2.0質量%以上とな
る測定点の数を、全測定点数で除した面積率を求めた。
測定サンプル毎の全測定点は200×400=8000
0点である。
【0039】また、得られた鋳片を素材として厚さ19
mmの厚鋼板に圧延し、厚鋼板の引張強度を調査した。
また、縦100mm、横150mmの厚鋼板サンプルを
採取し、5質量%NaClおよび0.5質量%CH3
OOHを含む飽和H2 SのNACE腐食液(pH:約
3.0)中に96時間浸漬し、水素誘起割れの発生状況
を調査した。水素誘起割れの発生の有無は、超音波探傷
(感度8dB)により調査した。超音波探傷した厚鋼板
サンプルの面積に対して、水素誘起割れの発生している
領域の面積の割合を、水素誘起割れ面積率として求め
た。試験条件および試験結果を表2に示す。
【0040】
【表2】 試験No.1では、鋳造速度を1.0m/分、二次冷却
の比水量を1.4リットル/kg−鋼、圧下量D1を2
0mmとした。圧下開始時の、中心固相率は0.5、未
凝固部の厚さD2は20mmとなるので、圧下率Lfは
1.0であった。また、試験No.2では、鋳造速度を
0.95m/分、二次冷却の比水量を1.3リットル/
kg−鋼、圧下量D1を20mmとした。圧下開始時
の、中心固相率は0.7、未凝固部の厚さD2は15m
mとなるので、圧下率Lfは1.3であった。これら試
験No.1およびNo.2での中心固相率および圧下率
Lfは、それぞれ本発明で規定する条件の範囲内の値で
ある。
【0041】試験No.1では、鋳片の厚さ中心部近傍
10mm以内の領域において、S含有率は9ppm、M
n含有率が2.0質量%以上の面積率は0.1%で低い
値であった。また、試験No.2では、鋳片の厚さ中心
部近傍10mm以内の領域において、S含有率は7pp
m、Mn含有率が2.0質量%以上の面積率は0.05
%で低い値であった。これら試験No.1およびNo.
2でのS含有率、およびMn含有率が2.0質量%以上
の面積率は、本発明で規定する条件の範囲内である。厚
さ中心部にまで圧下の効果が効果的に及んだので、鋳片
の厚さ方向の両側の凝固界面に、偏析成分の濃化した溶
鋼が捕捉されることがなく、SおよびMnの含有率の低
い領域が安定して生成した。さらに、これら試験No.
1およびNo.2の鋳片を素材とする厚鋼板には、水素
誘起割れは発生しなかった。また、これら厚鋼板の引張
強度は590MPaまたは591MPaであった。この
引張強度は目標とする強度の範囲内である。なお、目標
とする厚鋼板の引張強度は、前述の表1に示す化学組成
の鋼であるので、500Mpa以上である。
【0042】試験No.3では、鋳造速度を1.05m
/分、二次冷却の比水量を1.4リットル/kg−鋼、
圧下量D1を20mmとした。圧下開始時の、中心固相
率は0.3、未凝固部の厚さD2は25mmとなるの
で、圧下率Lfは0.8であった。また、試験No.4
では、鋳造速度を0.95m/分、二次冷却の比水量を
1.3リットル/kg−鋼、圧下量D1を10mmとし
た。圧下開始時の、中心固相率は0.7、未凝固部の厚
さD2は15mmとなるので、圧下率Lfは0.7であ
った。これら試験No.3およびNo.4での圧下率L
fは、それぞれ本発明で規定する条件を外れて小さな値
である。
【0043】試験No.3では、鋳片の厚さ中心部近傍
10mm以内の領域において、S含有率は13ppm、
Mn含有率が2.0質量%以上の面積率は0.5%であ
った。また、試験No.4では、鋳片の厚さ中心部近傍
10mm以内の領域において、S含有率は14ppm、
Mn含有率が2.0質量%以上の面積率は0.8%であ
った。これら試験No.3およびNo.4でのS含有
率、およびMn含有率が2.0質量%以上の面積率は、
本発明で規定する条件を外れた大きな値である。圧下率
Lfが小さい値であったので、厚さ中心部にまで圧下の
効果が十分及ばなかったためである。さらに、これら試
験No.3およびNo.4の鋳片を素材とする厚鋼板に
は、水素誘起割れが発生し、これらの水素誘起割れ面積
率は7.6%または9.2%であった。また、これら厚
鋼板の引張強度は589MPaまたは592MPaであ
った。
【0044】試験No.5では、鋳造速度を1.13m
/分、二次冷却の比水量を1.5リットル/kg−鋼、
圧下量D1を20mmとした。圧下開始時の、中心固相
率は0.1、未凝固部の厚さD2は35mmとなるの
で、圧下率Lfは0.57であった。また試験No.6
では、鋳造速度を0.9m/分、二次冷却の比水量を
1.2リットル/kg−鋼、圧下量D1を20mmとし
た。圧下開始時の、中心固相率は0.8、未凝固部の厚
さD2は11mmとなるので、圧下率Lfは1.8であ
った。これら試験No.5およびNo.6での圧下開始
時の中心固相率、および圧下率Lfは、それぞれ本発明
で規定する条件を外れて、小さいかまたは大きな値であ
る。
【0045】試験No.5では、鋳片の厚さ中心部近傍
10mm以内の領域において、S含有率は13ppm、
Mn含有率が2.0質量%以上の面積率は2.1%であ
った。また、試験No.6では、鋳片の厚さ中心部近傍
10mm以内の領域において、S含有率は16ppm、
Mn含有率が2.0質量%以上の面積率は6.3%であ
った。これら試験No.5およびNo.6でのS含有
率、およびMn含有率が2.0質量%以上の面積率は、
本発明で規定する条件を外れた大きな値である。試験N
o.5では、中心固相率および圧下率Lfがともに小さ
く、厚さ中心部にまで圧下の効果が十分及ばなかったた
めである。また、試験No.6では、中心固相率および
圧下率Lfがともに大きく、厚さ中心部にまで圧下の効
果が十分及ばなかったためである。さらに、これら試験
No.5およびNo.6の鋳片を素材とする厚鋼板に
は、水素誘起割れが発生し、これらの水素誘起割れ面積
率は26.8%または32.2%であった。また、これ
ら厚鋼板の引張強度は590MPaまたは592MPa
であった。
【0046】
【発明の効果】本発明の連続鋳造鋳片、その鋳片の鋳造
方法およびその鋳片を熱間圧延する厚鋼板の製造方法の
適用により、ラインパイプ、油井管などの用途に適した
耐水素誘起割れ性に優れた厚鋼板などを得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋳片の横断面を示す模式図である。
【図2】厚鋼板の水素誘起割れ面積率に及ぼす鋳片の厚
さ中心部近傍10mm以内の領域におけるSおよびMn
の含有率の影響を示す図である。
【図3】本発明の連続鋳造方法を実施するための連続鋳
造機の例を示す模式図である。
【符号の説明】
1:鋳型 2:鋳片 2a:凝固殻 2b:未凝固部 3:溶鋼 4:浸漬ノズル 5:ガイドロール 6:圧下ロール対 7:ピンチロール 8:バルジングゾーン 9:圧下ゾーン Tc:ほぼ直線状の最終凝固部 T1 :Tcの上側の5mmの位置の直線 T2 :Tcの下側の5mmの位置の直線 T0 :鋳片厚さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22D 11/16 B22D 11/16 C

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋳片の最終凝固部を厚さ方向の中央部に含
    む厚さ中心部10mm以内の領域において、S含有率が
    10ppm以下であり、かつMn含有率が2.0質量%
    以上の面積率が0.2%未満であることを特徴とするC
    aを含有する鋼の連続鋳造鋳片。
  2. 【請求項2】未凝固部を含む鋳片をバルジングさせた
    後、厚さ中心部が凝固完了するまでの間に1つ以上の圧
    下ロール対により圧下する方法において、中心固相率が
    0.2〜0.7の鋳片の位置で、下記(A)式で表され
    る圧下率Lfが0.9〜1.5を満足する条件で鋳片を
    圧下することを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造鋳
    片の鋳造方法。 Lf=D1/D2 ・・・(A) ここで、D1:未凝固部を含む鋳片の幅中央部における
    圧下量(mm) D2:圧下開始時の固相率0.8以下の未凝固部の厚さ
    (mm)
  3. 【請求項3】請求項1に記載の連続鋳造鋳片を熱間で圧
    延することを特徴とする厚鋼板の製造方法。
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