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JP2001526914A - ヒト・調節タンパク質 - Google Patents

ヒト・調節タンパク質

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Publication number
JP2001526914A
JP2001526914A JP2000526544A JP2000526544A JP2001526914A JP 2001526914 A JP2001526914 A JP 2001526914A JP 2000526544 A JP2000526544 A JP 2000526544A JP 2000526544 A JP2000526544 A JP 2000526544A JP 2001526914 A JP2001526914 A JP 2001526914A
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JP
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hrgp
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acid sequence
nucleic acid
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Application number
JP2000526544A
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ラル、プリーティ
バンドマン、オルガ
ヒルマン、ジェニファー・エル
オウ−ヤング、ジャニス
タング、トム・ワイ
ユエ、ヘンリー
シャー、パルビ
ゲグラー、カール・ジェイ
コーレイ、ニール・シー
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Incyte Corp
Original Assignee
Incyte Pharmaceuticals Inc
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Publication date
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    • AHUMAN NECESSITIES
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    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
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    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒト・調節タンパク質(HRGP)及びHRGPを特定し、コードするポリヌクレオチドを提供する。また本発明は、発現ベクター、宿主細胞、アゴニスト、抗体、及びアンタゴニストを提供する。また本発明は、HRGPの発現に関連する疾病を診断、処置、及び予防するための方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、疾病において重要なヒト・調節タンパク質の核酸及びアミノ酸配列
、及び細胞増殖に関連する疾病の診断、予防、処置におけるこれらの配列の使用
法に関するものである。
【0002】 (発明の背景) 細胞の成長及び分化は、細胞の構造的役割又は代謝における役割を果たし、生
物体の発達に関与し、及び細胞の遺伝子発現を変化させることによってそれらの
環境に応答する。細胞の機能は、数千の各遺伝子に起因する発現のタイミングと
量によって調節される。発現の調節は、エネルギーを保存し、中間体、例えば未
翻訳RNA及び不完全な又は不活性のタンパク質の合成及び蓄積を防止するため
に重要である。
【0003】 調節タンパク質分子は、遺伝子の発現の調節に必要不可欠である。これらの分
子は、その細胞又は生物体の様々な誘導機構に応答して各遺伝子又は遺伝子群の
活性を調節し、転写が開始されるか否か、亢進されるか否か、又は抑制されるか
否かを決定することにより転写調節因子として作用し、かつ特定の細胞又は組織
において指令を受けたとき転写物のスプライシングを行う。調節分子は、全ゲノ
ムにわたって分布しているDNAの短いストレッチと相互作用するが、大抵の遺
伝子の発現は、発現される遺伝子のオープンリーディングフレームの内部又は転
写開始部位の近傍で調節される。調節されえるDNAのストレッチは、単一のも
のであって一個のタンパク質のみと相互作用するか、或いは遺伝子発現を調節す
るために複合体の一部として機能する幾つかのタンパク質を必要とし得る。
【0004】 DNAの二重らせん構造及び反復配列は、調節分子によって認識され得る外部
の特徴的部分を形成する。これらの外部の特徴的部分としては、水素結合の供与
基及び受容基、疎水性パッチ、主溝及び副溝、及びらせんにおいて個々の曲げを
生じさせる調節性反復配列ストレッチがある。、そのような特徴的部分は、調節
タンパク質が結合するための認識部位となる。一般的に、これらの認識部位は2
0ヌクレオチド未満の長さであるが、複数の部位が互いに隣接し合うことがあり
、それぞれが一個の遺伝子上で調節を与え得る。数百のこれらの認識部位が特定
されてきており、それぞれが、遺伝子調節を行う異なるタンパク質又はタンパク
質複合体によって認識される。
【0005】 調節タンパク質分子又は複合体は、オープンリーディングフレーム(ORF)
の第1の翻訳されるエキソンに先行する、上流(5’末端側)の非翻訳領域の特
定のヌクレオチド配列;ORFの多くのエキソンの間に生ずる、イントロン接合
部の特定のヌクレオチド配列;及びORFの後にある、下流(3’末端側)の非
翻訳領域の特定のヌクレオチド配列を認識し、それに結合する。調節分子の表面
の特徴的部分は、二重らせんの表面の特徴的部分に広く相補的である。タンパク
質(群)とらせんとの個々の結合は比較的弱い結合(水素結合、イオン結合、及
び/又は疎水性相互作用)であり得るが、タンパク質とDNAとの間の複数の接
合部によって、高度に特異的で非常に強い相互作用が生ずる。
【0006】 調節分子のファミリー 多くの調節分子は、αヘリックス又はβシートの何れかを含むDNA結合構造
モチーフを込み込んでおり、DNAの主溝に結合する。調節分子に共通の7種の
構造モチーフは、ヘリックス・ターン・ヘリックス構造、ホメオドメイン、ジン
クフィンガー、ステロイド受容体、βシート、ロイシンジッパー、及びヘリック
ス・ループ・ヘリックス(HLH)構造である。
【0007】 ヘリックス・ターン・ヘリックスモチーフは、一定の角度をなすように短いア
ミノ酸の鎖で結合された2つのαヘリックスから構築される。より多く存在する
カルボキシ末端ヘリックスは認識ヘリックスである。これは、DNAの主溝に適
合するからである。このヘリックスのアミノ酸側鎖は、該タンパク質が結合する
特定のDNA配列を認識する。他の部分の構造は、このモチーフを有する調節タ
ンパク質の間で多種多様に異なっている。ヘリックス・ターン・ヘリックス構造
は、タンパク質の他の部分が無いと安定せず、安定性を付与する他のペプチド領
域が無いとDNAに結合しない。他のペプチド領域もDNAと相互作用し、この
ためヘリックス・ターン・ヘリックス構造が認識できる独特の配列の数が増加す
る。
【0008】 多くの配列特異的DNA結合タンパク質は、実際には、対称的な二量体として
、同様に対称的に構成されている2つの非常に類似した半分の部分からなるDN
A配列に結合する。この構造によって、各タンパク質の単量体が、同じようにD
NA認識部位と相互作用できるようになり、かつDNAとの結合部の数が2倍に
なる。このように結合部の数が2倍になることによって、相互作用の自由エネル
ギーが2倍になるだけで、結合親和性が非常に高められる。ヘリックス・ターン
・ヘリックスモチーフが常に結合するDNAは、B−DNAの形態にある。
【0009】 ホメオドメインモチーフは、ホメオティックな(相同異質形成の)セレクター
遺伝子によってコードされるヘリックス・ターン・ヘリックス構造の特殊な群の
上に見出される。そのような名称とされているのは、これらの遺伝子によってコ
ードされるタンパク質が、発達のスイッチを調節するからである。例えば、これ
らの遺伝子に変異が生ずると、体の一部が、ショウジョウバエDrosophilaの別の
部分に変換される。これらの遺伝子は、調べられた全ての真核生物において見出
された。異なるホメオドメインのヘリックス・ターン・ヘリックス領域は、必ず
しも配列は同一ではないが、同一の構造によって常に取り囲まれており、該モチ
ーフはDNAに常に同じ形で存在する。このヘリックス・ターン・ヘリックス構
造はそれ自身で安定的で、単離したときも同様にDNAに結合し得る。ホメオド
メインにおけるヘリックスは、通常は、大抵のHLH調節タンパク質におけるヘ
リックスよりも長い。DNAと殆ど直接相互作用するモチーフの部分は、これら
の2つのファミリーの間で異なっている(例えば、Pabo, C.O.及びR.T. Sauer (
1992) Ann. Rev. Biochem. 61:1053-1095参照)。
【0010】 ジンクフィンガーモチーフと呼ばれる第3のモチーフは、タンパク質の重要な
部分に亜鉛分子を組み込んでいる。このファミリーに属するタンパク質は、多く
の場合、配列パターンCys-X2又は4-Cys-X12-His-X3-5-Hisを含む、30残基のジ
ンクフィンガーモチーフの直列型反復配列を有する。これらの調節タンパク質の
それぞれは、αヘリックス及び逆平行βシートを有する。αヘリックスにおける
2個のヒスチジン及びβシートにおけるターンの近傍の2個のシステインは、亜
鉛イオンと相互作用する。この亜鉛イオンは、αヘリックスとβシートとを互い
に近い位置に維持する。DNAとの結合は、αヘリックスに先行するアルギニン
、及びαヘリックスにおける第2、第3、及び第6の残基によって形成される。
ジンクフィンガーの数を変えることによって、結合相互作用の特異性及び強さを
変えることができる。
【0011】 ステロイド受容体は、ステロイド、レチノイド、ビタミンD、甲状腺ホルモン
、及び他の重要な化合物のための受容体を含む調節タンパク質のファミリーであ
る。これらのタンパク質のDNA結合ドメインは、約70個の残基を含み、その
なかの8個は保存的システインである。ステロイド受容体モチーフは、互いに直
交し、球形状をなす2本のαヘリックスからなる。各ヘリックスは、そのヘリッ
クスのN末端に対してペプチドループを保持する亜鉛イオンを有する。第1のヘ
リックスは、DNAの主溝に適合し、側鎖がDNAの塩基の縁部に接触する。ス
テロイド受容体タンパク質は、ヘリックス・ターン・ヘリックスのタンパク質と
同様に、DNAに結合する二量体を形成する。各単量体の第2のヘリックスは、
DNAバックボーン部のリン酸基に接合し、これは二量体化の境界部にもなる。
多数の遺伝子の調節のための他の仕組みを作り出す、ヘテロ二量体化のための多
数の選択が存在し得る。
【0012】 調節タンパク質の別のファミリーは、DNAの主溝に認識において機能を果た
す2本鎖の逆平行βシートからなるモチーフを含む。このモチーフによって認識
される正確なDNA配列は、そこから側鎖が延び、DNAと接合するβシートの
アミノ酸配列によって決まる。2つの真核生物におけるβシートの例では、調節
タンパク質が、DNAに結合したとき四量体を形成する。
【0013】 ロイシンジッパーモチーフは、一般的に二量体を形成し、それぞれ各単量体の
一方に由来する2つのαヘリックスが結合して、短いコイルドコイル構造を形成
する30〜40個の残基を有する。各ヘリックスの一方の側鎖から延びる、多く
の場合7回反復型ロイシン上の疎水性アミノ酸の側鎖の間の相互作用によって、
前記ヘリックスは一体に保持される。この構造の後の部分でヘリックスは分離し
、各塩基性領域(basic region)がDNAの主溝と接合する。このモチーフを備
えたタンパク質は、ホモ二量体かヘテロ二量体の何れかを形成して、発現の調節
のために利用できる特定の組み合わせを延ばすことができる。
【0014】 別の重要なモチーフは、ループによって長いαヘリックスに結合された短いα
ヘリックスからなる、ヘリックス・ループ・ヘリックス(HLH)構造である。
前記ループは柔軟性に富み、2つのヘリックスが相互に折り返す形になるように
することができる。前記αヘリックスは、DNAに結合し得るとともに、別のタ
ンパク質のHLH構造にも結合し得る。その第2のタンパク質は、第1のタンパ
ク質、即ちホモ二量体を作り出すタンパク質と同一であるか、若しくは異なった
タンパク質、即ちヘテロ二量体を作り出すタンパク質であり得る。幾つかのHL
H単量体は、DNAに結合するために十分なαヘリックスを有していないが、こ
れらの単量体は、特定の調節タンパク質に影響を与えることができるヘテロ二量
体を形成し得る。
【0015】 現在までに数百種類の調節タンパク質が特定されてきており、かつより多くの
種類のものが様々な生物体において特性化されている。たいていの調節タンパク
質は、DNAとの接合を媒介する、上述の共通の構造的モチーフの少なくとも1
つを有する。しかし、幾つかの重要な調節タンパク質、例えばp53癌抑制遺伝
子は、他の既知の調節タンパク質とそれらの構造を共有していない。既知のモチ
ーフの変化や新たなモチーフが特性化されてきており、現在も特性化されつつあ
る(例えば、Faisst. S.及びS. Meyer (1992) Nucl. Acids Res. 20: 3-26参照 )。
【0016】 DNAの調節タンパク質への結合は非常に特異的であるが、特定の調節タンパ
ク質がK都合する正確なDNA配列、又は特定のDNA配列に対する調節タンパ
ク質の一次構造は予測不可能である。従って、DNAと調節タンパク質との相互
作用は、上述のモチーフに限定されない。前記タンパク質の他のドメインは多く
の場合DNAとの重要な接合部を形成し、補助タンパク質(accessory protein )は、特定のタンパク質複合体を活性化因子又はリプレッサーに変換し得る、又
は結合を防止し得る重要な相互作用を提供し得る(例えば、Alberts, B.ら(1994
) Molecular Biology of the Cell, Garland Publishing Co, New York, NY pp.
401-474参照)。
【0017】 遺伝子調節に関連する疾病及び疾患 ヒトにおける新生物の増殖の原因は、遺伝子調節における問題にあることが多
い。悪性の細胞の増殖は、転写活性化因子の過剰又はインヒビター又はサプレッ
サーの欠損に起因し得る(例えば、Cleary, M.L. (1992) Cancer Surv. 15:89-1
04参照)。遺伝子融合は、スイッチドメインを備えたキメラ座位を作り出し、こ
れによってこのキメラによる標的遺伝子の適切な活性化を中断させることができ
る。
【0018】 感染症又は外傷に対する細胞の応答は、遺伝子発現が適切であるときには有益
である。しかし、遺伝子発現の調節が不適切又は不充分であるために調節反応亢
進又は他の不均衡が生じ、これによって組織や器官の著しい損傷が生ずることが
ある。この損傷は、アレルゲン、心臓発作、脳卒中、及び感染症に対する免疫学
的応答について論文に多く記載されている(例えば、Harrison's Principles of Internal Medicine , 13th ed., (1994) McGraw Hill, Inc.及びTetron Data Sy
stems Software参照)。加えて、体細胞変異の蓄積及び細胞応答の調節の不可能
性の増加は、変形性関節症の有病率及び老化に関連する他の疾患の発症と関連が
あった。
【0019】 疾病の発達において重要な新規なヒト・調節タンパク質分子、及びそれらの分
子をコードするポリヌクレオチドの発見は、細胞増殖、特に免疫応答及び癌に関
連する疾病の診断、処置、及び予防において有用な新規な組成物を提供すること
によって、当分野における必要性を満たすものである。
【0020】 (発明の概要) 本発明は、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列
番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番
号:10、配列番号:11、及び配列番号:12からなる群から選択されたアミ
ノ酸配列を有する、実質的に精製されたヒト・調節タンパク質(HRGP)を提
供する。
【0021】 更に本発明は、HRGPをコードする単離され実質的に精製されたポリヌクレ
オチドを提供する。特定の実施態様では、前記ポリヌクレオチドは、配列番号:
13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配
列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:
22、配列番号:23、及び配列番号:24からなる群から選択された核酸配列
を有する。
【0022】 加えて、本発明は、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:
4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9
、配列番号:10、配列番号:11、及び配列番号:12からなる群から選択さ
れたHRGPをコードするポリヌクレオチドの何れかとハイブリダイゼーション
ダイズするポリヌクレオチド又はその断片を提供する。
【0023】 更に本発明は、HRGPをコードするポリヌクレオチドの何れか1つに相補的
な分子を含むポリヌクレオチド、又はその断片を提供する。別の実施態様では、
本発明は、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16
、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番
号:21、配列番号:22、配列番号:23、及び配列番号:24、又はそれら
の断片に相補的な配列を含む、単離され精製されたポリヌクレオチドを含む組成
物を提供する。
【0024】 更に本発明は、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号
:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、
配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、及び配列番号:24からな
る群から選択sあれたポリヌクレオチドの何れか1つの少なくとも断片を含む発
現ベクターを提供する。別の実施態様では、前記ポリヌクレオチドを含む前記発
現ベクターが、宿主細胞に含められる。
【0025】 また本発明は、ポリペプチド又はその断片の製造方法であって、(a)前記ポ
リペプチドの発現に適した条件の下でHRGPをコードするポリヌクレオチド配
列の少なくとも断片を含む発現ベクターを含む宿主細胞を培養する過程と、(b
)前記宿主細胞の培地から前記ポリペプチドを回収する過程とを含む、ポリペプ
チド又はその断片の製造方法を提供する。
【0026】 また本発明は、実質的に精製されたHRGPを、適切な医薬用担体と共に含む
医薬品組成物を提供する。
【0027】 また本発明は、HRGPの精製されたアンタゴニストを提供する。或る実施態
様では、本発明は、HRGPに結合する精製された抗体を提供する。
【0028】 更に本発明は、HRGPの精製されたアゴニストを提供する。
【0029】 また本発明は、HRGPの発現又は活性の低下と関連する癌の処置又は予防方
法であって、そのような処置が必要な患者に、HRGPを含む医薬品組成物を有
効な量投与する過程を含む、HRGPの発現又は活性の低下と関連する癌の処置
又は予防方法を提供する。
【0030】 また本発明は、HRGPの発現又は活性の増加と関連する癌の処置又は予防方
法であって、そのような処置が必要な患者に、HRGPを含む医薬品組成物を有
効な量投与する過程を含む、HRGPの発現又は活性の増加と関連する癌の処置
又は予防方法を提供する。
【0031】 また本発明は、HRGPの発現又は活性の増加と関連する免疫応答の処置又は
予防方法であって、そのような処置が必要な患者に、HRGPを含む医薬品組成
物を有効な量投与する過程を含む、HRGPの発現又は活性の増加と関連する免
疫応答の処置又は予防方法を提供する。
【0032】 また本発明は、細胞増殖を刺激する方法であって、細胞に精製されたHRGP
を有効な量投与する過程を含む、細胞増殖を刺激する方法を提供する。
【0033】 また本発明は、生物学的サンプル内のヒト・調節タンパク質をコードする核酸
配列を検出する方法であって、(a)前記生物学的サンプル内の核酸配列と、H
RGPをコードするポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド配列とをハイ
ブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複合体を検出する過程と、(b)前記
ハイブリダイゼーション複合体を検出する過程であって、前記ハイブリダイゼー
ション複合体の存在が、前記生物学的サンプル内の前記ヒト・調節タンパク質を
コードする核酸配列の存在と相互関係を有する、該過程とを有する、生物学的サ
ンプル内のヒト・調節タンパク質をコードする核酸配列を検出する方法を提供す
る。
【0034】 また、本発明は、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4
、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、
配列番号:10、配列番号:11、及び配列番号:12からなる群から選択され
たアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの少なくと
も1つの少なくとも断片を含むマイクロアレイを提供する。
【0035】 また、本発明は、生物学的サンプル内のヒト・調節タンパク質をコードする核
酸の発現レベルを検出する方法であって、前記生物学的サンプルの核酸配列と、
相補的ポリヌクレオチドとをハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複合
体を形成する過程と、前記ハイブリダイゼーション複合体を検出することによっ
て、前記生物学的サンプル内のヒト・調節タンパク質をコードする核酸配列の発
現を判定する過程とを含む、生物学的サンプル内のヒト・調節タンパク質をコー
ドする核酸の発現レベルを検出する方法を提供する。好ましい実施態様では、ハ
イブリダイゼーションを行う過程の前に、前記生物学的サンプル内の前記核酸配
列を、ポリメラーゼ連鎖反応法により増幅し、標識する。
【0036】 (発明の実施の形態) 本発明のタンパク質、ヌクレオチド配列、及び方法について説明する前に、本
発明は、ここに開示した特定の方法論、プロトコル、細胞系、ベクター、及び試
薬に限定されず、それらは様々に変更可能であることを理解されたい。また、本
明細書において用いられる用語法は、特定の実施例のみを説明する目的で用いら
れたものであり、特許請求の範囲の記載のみによって限定される本発明の範囲を
限定することを意図したものではないということも理解されたい。
【0037】 本明細書及び請求の範囲において、単数を表す「或る」及び「その(この)」
と形容されたものは、前後関係でそうでないことが明らかである場合以外は、複
数の意味も含んでいることに注意しなければならない。従って、例えば「或る宿
主細胞」なる表記が表すものには、複数のそのような宿主細胞が含まれ、「或る
抗体」なる表記は、1種または複数の種類の抗体及び当業者に周知のその等価物
等も表している。
【0038】 本明細書における全ての科学技術専門用語は、特別に定義されていない限り、
本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者に一般に理解されるのと
同じ意味を有する。ここに説明したものと類似のまたは等価な方法や材料を本発
明の実施や試験において用いることができるが、好適な方法、装置、及び材料を
本明細書において説明する。本明細書に記載された全ての文献は、本発明の関連
において用いられ得る文献で報告された細胞系、ベクター、アレイ及び方法論を
説明し開示する目的で引用されたものであり、引用により本明細書の一部とする
。また本明細書のあらゆる開示内容を、本発明におけるそのような開示内容が従
来技術に先行しないということを認めるものと解釈してはならない。
【0039】 (定義) 本明細書において、HRGPは、任意の種、具体的にはウシ、ヒツジ、ブタ、
マウス、ウマ、及び好ましくはヒト等のような哺乳動物に由来し、天然の、合成
の、半合成の、又は組換え体の何れかから得られる実質的に精製されたHRGP
のアミノ酸配列である。
【0040】 本明細書において、用語「アゴニスト」は、HRGPに結合したときHRGP
の効果を強めたり、その効果の持続時間を長くさせる分子である。アゴニストに
は、HRGPに結合し、その効果を変調するタンパク質、核酸、糖質や、任意の
他の分子が含まれ得る。
【0041】 本明細書において「アレル」或いは「アレル配列」とは、HRGPをコードす
る遺伝子の対立形である。アレルは、核酸配列の少なくとも一箇所の変異によっ
て生じ、変異したmRNA或いはポリペプチドを生ずるが、その変異したmRN
A或いはポリペプチドの構造や機能が変わる場合もあれば変わらない場合もある
。与えられた元のままの遺伝子または組換え遺伝子には、アレル形が存在しない
もの、1つ存在するもの、或いは多数存在するものがある。一般的なアレルを生
じる変異はヌクレオチドの自然な欠失、付加並びに置換に因るものである。この
タイプの変異はそれぞれ単独で、或いは他の変異と同時に、所定の配列内で1回
又は2回以上生じ得る。
【0042】 本明細書において、HRGPをコードする「変異」核酸配列とは、異なるヌク
レオチド残基の置換、挿入や欠失を含み、結果的に同一の、または機能的に等価
なHRGPをコードするポリヌクレオチドとなるものである。この定義には、H
RGPをコードするポリヌクレオチド配列の通常の染色体上の遺伝子座以外の座
位を有する多型、アレルとの不適切なまたは予期しないハイブリダイゼーション
によって起こる多型、及びHRGPをコードするポリヌクレオチドの特定のオリ
ゴヌクレオチドプローブを用いて容易に検出可能な、或いは検出が困難な多型が
含まれている。コードされたタンパク質も同様に「変異」したものであり得、サ
イレント変異を生じ、結果的に機能的に等価なHRGPとなるアミノ酸残基の欠
失、挿入並びに置換を含むものであり得る。意図的なアミノ酸の置換は、HRG
Pの生物学的活性が保持される限り、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水
性並びにまた両親媒性についての類似性に基づいて生じさせることができる。例
えば負に荷電したアミノ酸にはアスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれ、正に
荷電したアミノ酸にはリジン及びアルギニンが含まれ、近い親水性値を有する荷
電していない極性頭基を有するアミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、及びバ
リン;グリシン及びアラニン;アスパラギン及びグルタミン;セリン及びスレオ
ニン;及びフェニルアラニン及びチロシンが含まれる。
【0043】 本明細書において「アミノ酸」又は「アミノ酸配列」は、オリゴペプチド、ペ
プチド、ポリペプチド、又はタンパク質の配列、又はそれらの何れかの断片であ
り、自然発生の分子又は合成した分子である。HRGPの断片は、好ましくは約
5個〜約15個のアミノ酸からなる長さを有し、かつHRGPの生物学的活性又
は免疫学的活性を保持しているものである。ここで、「アミノ酸配列」が自然発
生タンパク質分子のアミノ酸配列を指している場合に、「アミノ酸配列」や類似
の用語は、そのアミノ酸配列を本明細書に記載のタンパク質分子に関連する完全
で元のままのアミノ酸配列に限定する意味で用いられているわけではない。
【0044】 本明細書において「増幅」は、核酸配列の更なるコピーを生成することであり
、通常は当業者に周知のポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)を用いて行われる
(Dieffenbach, C.W.及びG.S. Dveksler (1995) PCR Primer. a Laboratory Man ual , Cold Spring Harbor Press, Plainview, NY)。
【0045】 本明細書において、用語「アンタゴニスト(拮抗物質)」は、HRGPに結合
したとき、HRGPの生物学的又は免疫学的効果の大きさを低下させたり、効果
の継続時間を短縮させる分子である。アンタゴニストとしては、HRGPの効果
を低下させるタンパク質、核酸、糖質、抗体、または他の分子等が挙げられる。
【0046】 本明細書において、用語「抗体」は、完全な抗体分子を意味するとともに、例
えばFa、F(ab')2、及びFv断片のような抗原決定基と結合し得るその断
片を意味する。HRGPポリペプチドに結合する抗体は、免疫化の抗原として完
全なポリペプチド又は目的の小ペプチドを含むその断片を用いることによって作
り出すことができる。動物を免疫化するのに用いられるポリペプチドまたはペプ
チドは、RNAの翻訳に由来するもの、又は化学的に合成されたものであり得、
必要ならば担体タンパク質と結合させることができる。ペプチドに化学的に結合
する担体として通常用いられるものとしては、ウシ血清アルブミン、サイログロ
ブリン、及びキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)が挙げられる。この
結合したペプチドを用いて動物(例えばマウス、ラット、またはウサギ)を免疫
化する。
【0047】 本明細書において、用語「抗原決定基」は、特定の抗体と結びつく分子の断片
(即ちエピトープ)である。タンパク質の一部分、即ち断片を用いてホストの動
物を免疫化すると、このタンパク質の様々な領域が、該タンパク質上の所定の領
域または三次元構造に特異的に結合する抗体の産生を誘発し得る。このような領
域または構造を抗原決定基と称する。抗原決定基は、抗体への結合について元の
抗原(即ち免疫応答を誘導するに用いられる免疫原)と競合し得る。
【0048】 本明細書において用語「アンチセンス」は、特定のDNAまたはRNA配列に
相補的なヌクレオチド配列を含む組成物である。用語「アンチセンス鎖」は、「
センス」鎖に相補的な核酸鎖の意味で用いられる。アンチセンス分子としてはペ
プチド核酸があり、アンチセンス分子は合成や転写を含む任意の方法で作り出す
ことができる。この相補的ヌクレオチドは、一旦細胞内に導入されると、細胞に
よって作られた自然の配列と結合して二重鎖を形成し、これが更なる転写や翻訳
を阻害する。「マイナス(−)」なる表現がアンチセンス鎖の意味で用いられ、
「プラス(+)」はセンス鎖の意味で用いられることがある。
【0049】 本明細書において、用語「生物学的に活性」は、自然発生の分子の構造上の機
能、調節の機能、又は生化学的な機能を有するタンパク質である。同様に「免疫
学的に活性」は、天然の、組換え体の、又は合成のHRGP、若しくはそのオリ
ゴペプチドの、適当な動物や細胞における特定の免疫応答を誘発し、特定の抗体
に結合する能力である。
【0050】 本明細書において、用語「相補的」または「相補性」は、許容的な塩濃度及び
温度条件の下で、塩基対を形成してポリヌクレオチド同士が自然に結合すること
である。例えば、配列「A−G−T」は相補的な配列「T−C−A」に結合する
。2本の一本鎖分子間の相補性は、幾つかの核酸のみが結合する「部分的」なも
のであるか、若しくは、一本鎖分子間に完全な相補性が存在する場合は完全に相
補的なものであり得る。核酸鎖同士の相補性の程度は、核酸鎖同士のハイブリダ
イゼーションの効率及び強さに有意な影響を与える。このことは、核酸鎖同士の
結合によって左右される増幅反応や、ペプチド核酸(PNA)分子の設計及び使
用において特に重要である。
【0051】 本明細書において「所定のポリヌクレオチド配列を含む組成物」とは、所定の
ポリヌクレオチド配列を含むあらゆる物質をさす。この組成物は、粉末製剤また
は水溶液の形態であり得る。HRGPをコードするポリヌクレオチド、例えば配
列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:
17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配
列番号:22、配列番号:23、及び配列番号:24、又はその断片を含む組成
物は、ハイブリダイゼーションプローブとして利用することができる。このプロ
ーブは凍結乾燥した状態で保存することができ、糖質のような安定化剤と結合さ
せることができる。ハイブリダイゼーションにおいて、このプローブを、塩(例
えばNaCl)、界面活性剤(例えばSDS)及び他の物質(例えばデンハート
液、粉乳、サケ精子DNA等)を含む水溶液に分散させることができる。
【0052】 本明細書において「コンセンサス」は、配列決定し直して不要な塩基を分離し
、XL-PCRTM(Perkin Elmer, Norwalk, CT)を用いて5′方向及び/または3′ 方向に延長した上で再度配列決定し直した核酸配列か、または断片を組み合わせ
るためのコンピュータプログラム(例えばGELVIEWTM Fragment Assembly system
, GCG, Madison WI)を用いて2種以上のインサイト社クローンの重複した配列 を組み合わせて導き出した核酸配列である。延長と組み合わせの両方によってコ
ンセンサス配列が作られることもある。
【0053】 本明細書において、「ポリヌクレオチドの発現と相互関係を有する」なる表現
は、ノーザン法による解析でリボ核酸の存在が検出されることが、サンプル内の
HRGPをコードするmRNAの存在を表し、従って該タンパク質をコードする
遺伝子からの転写物の発現と相互関係を有している、ということを表している。
【0054】 用語「HRGP」は、ヒトポリペプチド、配列番号:1、配列番号:2、配列
番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番
号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、及び配列番号:12
の何れかまたは全てを指す。
【0055】 本明細書において「欠失」は、1個または2個以上のヌクレオチド若しくはア
ミノ酸残基が欠けるような、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列における変化
である。
【0056】 本明細書において、用語「誘導体」は、HRGPをコードする核酸或いはそれ
に相補的な核酸又はコードされたHRGPを化学的に修飾したものを意味する。
このような修飾の例には、水素からアルキル基、アシル基、又はアミノ基への置
換がある。核酸誘導体は、元のままの分子の生物学的又は免疫学的機能を保持し
ているポリペプチドをコードする。誘導体ポリペプチドは、元のポリペプチドの
生物学的又は免疫学的機能の少なくとも1種類を保持しており、グリコシル化、
ポリエチレングリコール化(PEGylation)、又は他の何らかのプロセスで修飾さ
れたものである。
【0057】 本明細書において、用語「相同性」は、或る程度の相補性を意味する。用語「
(配列)同一性」は、用語「相同性」と置換えることができる。同一の配列が標
的の核酸とハイブリダイズするのを少なくとも部分的に阻害する部分的に相補的
な配列を、「実質的に相同」という。完全に相補的な配列と標的配列とのハイブ
リダイゼーションの阻害は、ストリンジェンシー(厳密さ)を低くした条件の下
で、ハイブリダイゼーションアッセイ(サザンブロット法またはノーザンブロッ
ト法、溶液ハイブリダイゼーション等)を用いて調べることができる。実質的に
相同な配列またはプローブは、低いストリンジェンシー条件の下で、標的の配列
と完全に相同な配列またはプローブとの結合(即ちハイブリッド形成)について
競合し、それを阻害する。このことは、低いストリンジェンシー条件が、非特異
的な結合を許容するものであることを意味するわけではない。低いストリンジェ
ンシー条件では、2つの配列の相互の結合が特異的(即ち選択的)相互作用であ
ることが必要だからである。非特異的結合が存在しないことは、部分的な程度の
相補性(即ち約30%未満の相同性即ち同一性)も有していない第2の標的配列
を用いることにより調べることができる。非特異的結合が存在しない場合、プロ
ーブは第2の非相補的標的配列とハイブリダイズしない。
【0058】 「パーセント同一性」或いは「%同一性」という言いまわしは、2以上のアミ
ノ酸または核酸配列を比較した際の配列類似性のパーセンテージである。パーセ
ント同一性は、例えばMegAlignプログラム(DNASTAR, Inc., Madison WI)を用 いることによって電子的に求めることができる。このMegAlignTMプログラムは、
異なる方法、例えばクラスタ法(clustal method)(例えばHiggins, D.G.及びP
.M. Sharp (1988) Gene 73:237-244参照)に従って2以上の配列のアライメント
を作成することができる。このクラスタ法のアルゴリズムでは、配列群を、全て
の配列の対について両配列間の距離を調べることによってクラスタ(集団)にグ
ループ分けする。このクラスタ群について、一対毎にアライメントをとり、次に
グループにおいてアライメントをとる。2つのアミノ酸配列、例えば配列Aと配
列Bの間のパーセント類似性は、(配列Aの長さ−配列Aにおけるギャップ残基
の数−配列Bにおけるギャップ残基の数)/(配列Aと配列Bとの間の残基の一
致の総数)×100で計算する。2つのアミノ酸配列の間の類似性の差が低いか
無いケースは、パーセント類似性の計算に含められない。核酸配列間のパーセン
ト同一性も、他の周知の方法、例えばJotun Hein法(例えばHein J. (1990) Met
hods Enzymol. 183: 626-645参照)によってカウント即ち計算することができる
。配列間の同一性は、他の周知の方法、例えばハイブリダイゼーション条件を変
えることによっても決定することができる。
【0059】 「ヒト人工染色体」(HACs)は約10kb〜10mbのサイズのDNA配
列を含んでいるものであり得、安定した分裂染色体の分離及び維持に必要な全て
の要素を含む線状の小形染色体である(Harrington, J.J.他 (1997) Nat Genet.
15:345-355)。
【0060】 本明細書において、用語「ヒト化抗体」は、その元の結合能をそのまま保持し
つつ、ヒトの抗体により近づくように非抗原結合領域のアミノ酸配列を改変した
抗体分子である。
【0061】 本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション(ハイブリッド形成)」は
、核酸の鎖が塩基対の形成によって相補鎖と結合する過程である。
【0062】 本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、相補的なG塩
基とC塩基の間及び相補的なA塩基とT塩基の間での水素結合の形成によって、
2つの核酸配列で形成された複合体である。ハイブリダイゼーション複合体は、
溶液中で形成されるか(例えばC0t又はR0t解析の場合)、或いは核酸は溶液
中に存在する一方の核酸と、固体支持体(例えば細胞やその核酸が固定される紙
、メンブラン、フィルター、ピン、またはスライドガラスまたは他の適切な基板
)に固定されたもう一方の核酸との間で形成され得る。
【0063】 「免疫応答」は、炎症、外傷、免疫疾患、又は感染症や遺伝病等と関連のある
状態を指すものであり得る。これらの状態は、細胞や全身の防御系を活性化する
様々な因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、及び他のシグナル伝達分子の産
生によって特性化され得る。
【0064】 本明細書において、用語「挿入」或いは「付加」は、自然発生の分子と比較し
て、1個または2個以上のヌクレオチド、アミノ酸残基がそれぞれ加わるような
、ヌクレオチド配列或いはアミノ酸配列の変化を指す。
【0065】 本明細書において、用語「マイクロアレイ」は、個々のポリヌクレオチド又は
オリゴヌクレオチドを基板上に高密度で配列したものである。基板としては、例
えば紙、ナイロン又は他の種類のメンブラン、濾紙、チップ、スライドガラス、
又は他の任意の適切な固体支持体等がある。
【0066】 本明細書において、用語「変調」は、HRGPの活性の変化である。例えば、
変調によって、タンパク質の活性の増加や減少、結合特性の変化、又は他のHR
GPの生物学的、機能的、免疫学的特性の変化がもたらされる。
【0067】 本明細書において「核酸配列」は、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、又は
ポリヌクレオチド、及びその断片、一本鎖か二本鎖であり、またセンス鎖又はア
ンチセンス鎖である、ゲノム起源の若しくは合成したDNA又はRNA、ペプチ
ド核酸(PNA)、又は、DNA様又はRNA様物質である。この文脈において
、「断片(フラグメント)」は、長さが60ヌクレオチド以上の核酸配列であり
、最も好ましくは、長さが100ヌクレオチド以上又は1000ヌクレオチド以
上、及び10000ヌクレオチド以上の断片である。
【0068】 本明細書において、用語「オリゴヌクレオチド」は、PCR増幅又はハイブリ
ダイゼーションアッセイ、若しくはマイクロアレイで用いることができる核酸配
列であって、長さが約6ヌクレオチド以上、最大60ヌクレオチド程度、好適に
は15〜30ヌクレオチド、より好適には20〜25ヌクレオチドであるものを
指す。本明細書において、用語「オリゴヌクレオチド」は、当分野において一般
に定義されているような用語「アンブリマー」、「プライマー」、「オリゴマー
」、及び「プローブ」と実質的に同義である。
【0069】 本明細書において「ペプチド核酸」(PNA)は、末端がリジンであるアミノ
酸残基のペプチドバックボーンに結合した5ヌクレオチド以上の長さのオリゴヌ
クレオチドを含むアンチセンス分子即ち抗遺伝子剤を意味する。末端のリジンが
この物質に溶解性を与えている。PNAは、相補的な一本鎖DNAやRNAに優
先的に結合して転写物の伸長を止め、かつPNAをポリエチレングリコール化す
ることにより、細胞でのその寿命を延ばすことができる(例えばNielsen, P.E. 他(1993) Anticancer Drug Des. 8:53-63参照)。
【0070】 本明細書において、タンパク質に関連して例えば「所定のタンパク質の部分」
と用いられる用語「一部(又は部分)」は、そのタンパク質の断片である。この
断片のサイズは、5個のアミノ酸残基からなるサイズから全アミノ酸マイナス1
個の数のアミノ酸残基からなるサイズまでの範囲であり得る。従って、「HRG
Pのアミノ酸配列の少なくとも一部を含む」タンパク質は、完全長HRGP及び
その断片を包含する。
【0071】 本明細書において、用語「サンプル」は、その最も広い意味で用いられている
。HRGPをコードする核酸またはその断片またはHRGP自体を含む疑いのあ
る生物学的サンプルには、体液や、細胞から単離された染色体、細胞小器官、又
は細胞膜からの抽出物や、細胞や、(溶液中の、または固体支持体に結合した)
ゲノムのDNA、RNA、またはcDNAや、組織や、組織プリント(tissue p
rint)その他が含まれる。
【0072】 本明細書において、用語「特異的結合」または「特異的に結合する」は、タン
パク質又はペプチドと、アゴニスト、抗体、及びアンタゴニストとの相互作用で
ある。この相互作用は、結合する分子によって認識されるタンパク質上の特定の
構造(即ち抗原決定基、即ちエピトープ)の存在に左右される。例えば、抗体が
エピトープ「A」に対して特異的である場合、標識した「A」及びその抗体を含
む反応において、エピトープA(つまり結合していない、非標識のA)を含むタ
ンパク質が存在すると、抗体が結合した標識したAの量が低下する。
【0073】 本明細書において、用語「ストリンジェントな(厳密な)条件」は、ポリヌク
レオチド配列と、特許請求の範囲に記載されたポリヌクレオチド配列との間のハ
イブリダイゼーションを許容する条件を指す。適切なレベルのストリンジェント
な条件は、例えば、プレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション領
域における塩又はホルムアミドの濃度、又はハイブリダイゼーション温度によっ
て決定することができ、当分野でよく知られている。詳述すると、ストリンジェ
ンシー(厳密さ)は、塩の濃度を低下させること、ホルムアミドの濃度を上昇さ
せること、又はハイブリダイゼーション温度を高めることによって高めることが
できる。
【0074】 例えば、高いレベルのストリンジェントな条件の下でのハイブリダイゼーショ
ンは、約37℃〜42℃における約50%のホルムアミド濃度で生じ得る。低い
レベルのストリンジェントな条件の下でのハイブリダイゼーションは、約30℃
〜35℃の温度での約35%〜25%のホルムアミド濃度で生じ得る。詳述する
と、高いストリンジェンシーの条件の下でのハイブリダイゼーションは、50%
のホルムアミド濃度、5X SSPE、0.3%SDS、及び200μg/ml
の同じ長さに切り揃え変性させたサケ精子DNAを用いて42℃で生じ得る。低
いストリンジェンシーの条件の下でのハイブリダイゼーションは、上述の条件で
、温度を35℃に下げ、ホルムアミド濃度を35%にした時に生じ得る。特定の
レベルのストリンジェンシーに対応する温度範囲は、目的の核酸のプリン対ピリ
ミジン比を計算し、それに従って温度を調節することによって更に狭めることが
できる。上述の温度範囲及び条件の変更については当分野で周知である。
【0075】 本明細書において、用語「実質的に精製」は、天然の環境から取り除かれ、単
離または分離されて、自然にはそれが結合して存在する他の構成要素が60%以
上、好ましくは75%以上、最も好ましくは90%以上除去された核酸配列又は
アミノ酸配列である。
【0076】 本明細書において「置換」は、1個または2個以上のヌクレオチド或いはアミ
ノ酸を、それぞれ異なるヌクレオチド或いはアミノ酸に置き換えることである。
【0077】 本明細書の定義では、「形質転換」は、外来DNAが入ってレシピエント細胞
を変化させるプロセスを意味する。このプロセスは、よく知られた様々な方法を
用いて、自然または人工の条件の下で生じ得る。形質転換は、外来核酸配列を原
核生物または真核生物の宿主細胞に挿入するための既知の方法によって行うこと
ができる。この方法は形質転換される宿主細胞の型に基づいて選択され、以下に
限定するものではないが、ウイルスを感染させる方法、電気穿孔法(エレクトロ
ポレーション)、リポフェクション、及び微粒子銃を用いる方法等があり得る。
このような「形質転換された」細胞には、そのなかで挿入されたDNAが、自律
的に複製するプラスミドか、または宿主の染色体の一部として複製できる、安定
的に形質転換された細胞がある。またこのような細胞には、限られた時間での挿
入されたDNAやRNAの一過性の発現が起こる細胞もある。
【0078】 本明細書においてHRGPの「変異体」は、1又は2箇所以上のアミノ酸が変
化したアミノ酸配列である。この変異体は「保存的」変化を含むものであり得、
この保存的変化の場合は、例えばロイシンをイソロイシンで置き換える場合のよ
うに置換されるアミノ酸が類似な構造的及び化学的特性を有する。稀に、変異体
が「非保存的」に変化する場合もあり、この非保存的変化の場合は、例えばグリ
シンがトリプトファンで置換される。類似した小さな変化として、アミノ酸の欠
失か挿入、若しくはその両方が含まれる。生物学的或いは免疫学的活性を損なわ
ずに置換、挿入、又は欠失させることができるアミノ酸は何れかということは、
例えばDNASTARソフトウエアのような周知のコンピュータプログラムを用いて決 定することができる。
【0079】 (発明) 本発明は、集合的にHRGPを称し、個別にはHRGP−1、HRGP−2、
HRGP−3、HRGP−4、HRGP−5、HRGP−6、HRGP−7、H
RGP−8、HRGP−9、HRGP−10、HRGP−11、及びHRGP−
12と称するヒト・調節タンパク質、HRGPをコードするポリヌクレオチド(
配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号
:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、
配列番号:22、配列番号:23、及び配列番号:24)、及び細胞増殖及び免
疫応答に関連する疾病の診断、処置、又は予防のためのこれらの組成物の使用法
の発見に基づくものである。表1は、ここに開示する各ヒト・調節タンパク質に
ついての配列番号、インサイト社クローン番号、cDNAライブラリー、NCB
I配列番号、及びGenBankでの説明を示す。
【0080】
【表1】
【0081】 HRGP−1(配列番号:1)は、PANCNOT07 cDNAライブラリーを起源と
するインサイト社クローンNo. 1331739において、アミノ酸配列アライメントの コンピュータ検索を用いて初めに特定された。コンセンサス配列の配列番号:1
3は、インサイト社クローンNo. 1529406(PANCNOT04が起源)、883517(PANCNO
T05が起源)、及び1331739、1329209、1329359、1328354、1329158、及び132845
1(PANCNOT07が起源)の延長及び組み立てから導き出されたものである。
【0082】 或る実施態様では、本発明は、配列番号:1のアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドを包含する。HRGP−1は419個のアミノ酸からなる長さを有し、P(1
70番)〜F(203番)及びH(306番)〜Y(317番)にわたる亜鉛カ
ルボキシペプチダーゼ/亜鉛結合領域のシグネチャ配列(signature sequence)
;T(197番)にある1個のcAMP−及びcGMP依存性プロテインキナー
ゼリン酸化可能部位;S(29番)、S(31番)、T(88番)、S(95番
)、T(124番)、T(221番)、S(282番)、S(288番)、S(
363番)、T(399番)、及びT(409番)にある11個のカゼインキナ
ーゼIIリン酸化可能部位;S(167番)、T(232番)、T(384番)、
及びT(399番)にある4個のプロテインCリン酸化可能部位;及びT(11
9番)にある1個のチロシンキナーゼリン酸化可能部位を有する。HRGP−1
は、ヒトカルボキシペプチダーゼA(GI 35330)と配列相同性を有する。HRG
P−1をコードするmRNAは、胃腸管組織、特に膵臓に由来するcDNAライ
ブラリーにおいて発現され、癌及び糖尿病との関連を有していた。
【0083】 HRGP−2(配列番号:2)は、PROSNOT11 cDNAライブラリーを起源と
するインサイト社クローンNo. 1345619において、アミノ酸配列アライメントの コンピュータ検索を用いて初めに特定された。コンセンサス配列の配列番号:1
4は、インサイト社クローンNo. 1345619(PROSNOT11が起源)、2732826(OVART
UT04が起源)、1447240(PLACNOT02が起源)、3598860(DRGTNOT01が起源)、16
86916(PROSNOT15が起源)、410406(EOSIHET02が起源)、及び345964(THYMNOT
02が起源)の延長及び組み立てから導き出されたものである。
【0084】 或る実施態様では、本発明は、配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドを包含する。HRGP−2は403個のアミノ酸からなる長さを有し、残基K
(103番)〜F(110番)及びR(181番)〜M(188番)にわたる2
つの真核生物の推定上のRNA結合領域PNP−1シグネチャ配列;N(46番
)及びN(47番)にある2個のグリコシル化可能部位;S(54番)、T(7
4番)、S(151番)、及びT(390番)にある4個のカゼインキナーゼII
リン酸化可能部位;及びS(90番)、T(99番)、S(169番)、T(1
79番)、T(191番)、及びT(276番)にある6個のプロテインキナー
ゼCリン酸化可能部位を有する。HRGP−2は、ヒトRNA結合タンパク質S
CR2(GI 558529)と配列の相同性を有する。HRGP−2をコードするmR NAは、活発に増殖する細胞、特に癌又は免疫応答関連の細胞、及び生殖器系及
び神経系の組織に関連する細胞に由来するcDNAライブラリーにおいて発現さ
れた。
【0085】 HRGP−3(配列番号:3)は、THYRNOT03 cDNAライブラリーを起源と
するインサイト社クローンNo. 1442636において、アミノ酸配列アライメントの コンピュータ検索を用いて初めに特定された。コンセンサス配列の配列番号:1
5は、インサイト社クローンNo. 1442636(THYRNOT03が起源)、1548951(RPOSN
OT06が起源)、及び930473及び930805(CERVNOT01が起源)の延長及び組み立て から導き出されたものである。
【0086】 或る実施態様では、本発明は、配列番号:3のアミノ酸配列を有するポリペプ
チドを包含する。HRGP−3は334個のアミノ酸からなる長さを有し、残基
D(164番)〜V(170番)にわたる無機ピロホスファターゼシグネチャ配
列;N(54番)及びN(289番)にある2個のNグリコシル化可能部位;S
(72番)、T(148番)、S(179番)、T(303番)、S(309番
)、及びS(322番)にある6個のカゼインキナーゼIIリン酸化可能部位;及
びS(28番)にある1個のプロテインキナーゼCリン酸化可能部位を有する。
HRGP−3は、酵母菌無機ピロホスファターゼ(GI 4199)と配列相同性を有 する。HRGP−16をコードするmRNAは、癌関連のcDNAライブラリー
(46%)及び炎症関連のcDNAライブラリー(30%)、特に生殖器、心血
管、及び胃腸管組織に由来するcDNAライブラリーで発現された。
【0087】 HRGP−4(配列番号:4)は、COLNFET02 cDNAライブラリーを起源と
するインサイト社クローンNo. 1458327において、アミノ酸配列アライメントの コンピュータ検索を用いて初めに特定された。コンセンサス配列の配列番号:1
6は、インサイト社クローンNo. 1458327(COLNFET02が起源)、3224639(UTRSN
OT03が起源)、022648(ADENINB01が起源)、2185537(PROSNOT26が起源)、546
947(BEPINOT02が起源)、993339(COLNNOT11が起源)、1615883(BRAITUT12が 起源)、1538280(SINTTUT01が起源)、及び1419851(KIDNNOT09が起源)の延長
及び組み立てから導き出されたものである。
【0088】 或る実施態様では、本発明は、配列番号:4のアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドを包含する。HRGP−4は623個のアミノ酸からなる長さを有し、残基F
(229番)〜L(243番)にわたるABC輸送体ファミリーのシグネチャ配
列;残基G(430番)〜S(437番)にわたるATP/GTP結合部位モチ
ーフ(Pループ);S(110番)及びI(131番)にある2個のアミド化可
能部位;N(82番)、N(90番)、N(400番)、及びN(516番)に
ある4個のNグリコシル化可能部位;S(458番)にあるcAMP−及びcG
MP−依存性プロテインキナーゼリン酸化可能部位;T(51番)、T(104
番)、T(316番)、及びS(478番)にある4個のカゼインキナーゼIIリ
ン酸化可能部位;S(110番)、S(154番)、T(167番)、T(27
3番)、S(349番)、T(372番)、S(377番)、S(402番)、
T(506番)、及びT(617番)にあるプロテインキナーゼCリン酸化可能
部位;及びY(601番)にあるチロシンキナーゼリン酸化可能部位を有する。
HRGP−4は、酵母菌ABC輸送体タンパク質ファミリー(GI 507374)のメ ンバーと配列相同性を有する。HRGP−4をコードするmRNAは、活発に増
殖中の細胞に由来するcDNAライブラリー、特に癌又は免疫応答関連のcDN
Aライブラリーにおいて発現された。
【0089】 HRGP−5(配列番号:5)は、PROSNOT15 cDNAライブラリーを起源と
するインサイト社クローンNo. 1686892において、アミノ酸配列アライメントの コンピュータ検索を用いて初めに特定された。コンセンサス配列の配列番号:1
7は、インサイト社クローンNo. 003036(HMC1NOT01が起源)、754127(BRAITUT
02が起源)、1235963(LUNGFET03が起源)、1412956(BRAINOT12が起源)、1645
848(PROSTUT09が起源)、1686892(PROSNOT15が起源)、及び3215905(TESTNOT
07が起源)の延長及び組み立てから導き出されたものである。
【0090】 或る実施態様では、本発明は、配列番号:5のアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドを包含する。HRGP−5は437個のアミノ酸からなる長さを有し、残基G
(120番)APNAGKSにABC結合部位モチーフA(Pループ);S(6
8番)、S(77番)、T(157番)、S(185番)、S(312番)、及
びT(343番)にあるカゼインキナーゼIIリン酸化可能部位;及びS(5番)
、S(142番)、T(147番)、T(157番)、S(2007番)、T(
318番)、及びS(432番)にあるプロテインキナーゼCリン酸化可能部位
を有する。HRGP−5は、大腸菌(GI 1033155)を起源とするGTP結合タン
パク質と配列相同性を有する。HRGP−5をコードするmRNAは、活発に増
殖中の細胞に由来するcDNAライブラリー、特に癌又は免疫応答関連のcDN
Aライブラリーにおいて発現された。
【0091】 HRGP−6(配列番号:6)は、COLNNOT09 cDNAライブラリーを起源と
するインサイト社クローンNo. 1846116において、アミノ酸配列アライメントの コンピュータ検索を用いて初めに特定された。コンセンサス配列の配列番号:1
8は、インサイト社クローンNo. 776000(COLNNOT05が起源)、954544(KIDNNOT
05が起源)、1846116(COLNNOT09が起源)、1856648(PROSNOT18が起源)、及び
2183017(SININOT01が起源)の延長及び組み立てから導き出されたものである。
【0092】 或る実施態様では、本発明は、配列番号:6のアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドを包含する。HRGP−6は483個のアミノ酸からなる長さを有し、G(4
23番)にあるC末端アミド化可能部位;T(2番)、S(43番)、S(58
番)、T(95番)、S(190番)、S(276番)、T(297番)、T(
301番)、S(345番)、S(350番)、及びS(351番)にあるカゼ
インキナーゼIIリン酸化可能部位;S(174番)、S(232番)、S(27
6番)、T(276番)、T(297番)、S(361番)、及びS(372番
)にあるプロテインキナーゼCリン酸化可能部位;及びY(388番)にあるチ
ロシンキナーゼリン酸化可能部位を有する。HRGP−6は、線虫cDNA yk8
9e9.5(GI 1213557)のメンバーと配列相同性を有する。HRGP−6をコード するmRNAは、癌関連のcDNAライブラリー(54%)、特に前立腺癌、肺
癌、結腸癌、乳癌、及び脳腫瘍のcDNAライブラリーにおいて発現され、また
免疫応答関連のcDNAライブラリー(23%)において発現された。
【0093】 HRGP−7(配列番号:30)は、PROSTUT04 cDNAライブラリーを起源
とするインサイト社クローンNo. 1913206において、アミノ酸配列アライメント のコンピュータ検索を用いて初めに特定された。コンセンサス配列の配列番号:
19は、インサイト社クローンNo. 897272(BRSTNOT05が起源)、917341(BRSTN
OT04が起源)、1260595(SYNORAT05が起源)、1913206(PROSTUT04が起源)、及
び3224569(UTRSNON03が起源)の延長及び組み立てから導き出されたものである
【0094】 或る実施態様では、本発明は、配列番号:30のアミノ酸配列を含むポリペプ
チドを包含する。HRGP−7は543個のアミノ酸からなる長さを有し、概ね
残基M(1番)〜I(34番)にわたるシグナルペプチド配列;G(28番)に
あるシグナルペプチド内の内部ミリストイル化可能部位;N(57番)、N(1
09番)、N(200番)、N(204番)、N(228番)、及びN(534
番)にあるNグリコシル化可能部位;S(13番)、S(97番)、S(186
番)、S(213番)、S(254番)、S(361番)、S(387番)、S
(428番)、及びS(538番)にあるカゼインキナーゼIIリン酸化可能部位
;及びS(4番)、S(31番)、S(90番)、S(97番)、S(186番
)、S(361番)、S(420番)、及びS(538番)にあるプロテインキ
ナーゼCリン酸化可能部位を有する。HRGP−7は、ブタ胃ムチンタンパク質
(GI 915208)と配列相同性を有する。HRGP−7をコードするmRNAは、 活発に増殖中の細胞に由来するcDNAライブラリー、特に癌関連(42%)、
免疫応答関連(32%)、及び胎児の発達関連(18%)のcDNAライブラリ
ーにおいて発現された。
【0095】 HRGP−8(配列番号:8)は、 BONTNOT01cDNAライブラリーを起源と
するインサイト社クローンNo. 2637177において、アミノ酸配列アライメントの コンピュータ検索を用いて初めに特定された。コンセンサス配列の配列番号:2
0は、インサイト社クローンNo. 2014984(TESTNOT03が起源)及び2637177(BON
TNOT01が起源)及びショットガン配列SAEA00455、SAEA00561、及びSAEA01588の 延長及び組み立てから導き出されたものである。
【0096】 或る実施態様では、本発明は、配列番号:8のアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドを包含する。HRGP−8は180個のアミノ酸からなる長さを有し、N(5
7番)及びN(124番)にある2個のNグリコシル化可能部位;S(116番
)にあるグリコサミノグリカン付着可能部位:及びT(5番)、Y(45番)、
S(48番)、T(76番)、T(84番)、S(135番)、及びS(149
番)にある7個のリン酸化可能部位を有する。HRGP−8は、線虫タンパク質
C43E11.9(GI 1703574)と配列相同性を有する。
【0097】 HRGP−9(配列番号:56)は、HEARFET02 cDNAライブラリーを起源
とするインサイト社クローンNo. 3026841において、アミノ酸配列アライメント のコンピュータ検索を用いて初めに特定された。コンセンサス配列の配列番号:
21は、インサイト社クローンNo. 3092189(HEARFET02が起源)、2494035(ADR
ETUT05が起源)、489738(HNT2AGT01が起源)、1493228(PROSNON01が起源)、2
106486(BRAITUT03が起源)、2741492(BRSTTUT14が起源)、2111992(BRAITUT0
3が起源)、1874754(LEUKNOT02が起源)、及び1513059(PANCTUT01が起源)の 延長及び組み立てから導き出されたものである。
【0098】 或る実施態様では、本発明は、配列番号:9のアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドを包含する。HRGP−9は130個のアミノ酸からなる長さを有し、N(1
4番)及びN(59番)にある2個のNグリコシル化可能部位;及びT(16番
)、S(33番)、S(47番)、S(61番)、Y(62番)、S(70番)
、S(90番)、S(104番)、及びS(116番)にある9個のリン酸化可
能部位を有する。HRGP−9は、糖尿病において豊富に見られるヒトタンパク
質(GI 2196870)と配列相同性を有する。HRGP−9をコードするmRNAは
、活発に増殖中の細胞に由来するcDNAライブラリー、特に癌関連のcDNA
ライブラリー(50%)において発現された。
【0099】 HRGP−10(配列番号:10)は、LUNGTUT13 cDNAライブラリーを起
源とするインサイト社クローンNo. 3119737において、アミノ酸配列アライメン トのコンピュータ検索を用いて初めに特定された。コンセンサス配列の配列番号
:22は、インサイト社クローンNo. 3119737(LUNGTUT13が起源)、1854190(H
NT3AZT01が起源)、772126(COLNCR01が起源)、1443080(THYRNOT03が起源)、
1453628(PENITUT01が起源)、及び1538342(SINTTUT01が起源)の延長及び組み
立てから導き出されたものである。
【0100】 或る実施態様では、本発明は、配列番号:10のアミノ酸配列を含むポリペプ
チドを包含する。HRGP−10は193個のアミノ酸からなる長さを有し、T
(37番)、S(73番)、及びT(127番)にある3個のカゼインキナーゼ
IIリン酸化可能部位;残基T(127番)〜S(160番)にわたる1個のAT
P結合部位モチーフ(Pループ);及び残基C(番)にある1個のプレニル基結
合部位(CAAXボックス)を有する。HRGP−10は、ヒトrhoCコード領域
(GI 36034)と配列相同性を有する。ノーザン法による解析の結果から、様々な
ライブラリーにおけるHRGP−10の発現がわたる。そのようなライブラリー
の少なくとも52%は、不死化又は癌性のものであり、少なくとも30%は免疫
応答関連のものである。
【0101】 HRGP−11(配列番号:11)は、OVARTUN01 cDNAライブラリーを起
源とするインサイト社クローンNo. 3257165において、アミノ酸配列アライメン トのコンピュータ検索を用いて初めに特定された。コンセンサス配列の配列番号
:23は、インサイト社クローンNo. 3257165(OVARTUN01が起源)、1976041(P
ANCTUT02が起源)、862467(BRAITUT03が起源)、及び1352543(LATRTUT02が起 源)の延長及び組み立てから導き出されたものである。
【0102】 或る実施態様では、本発明は、配列番号:11のアミノ酸配列を含むポリペプ
チドを包含する。HRGP−11は202個のアミノ酸からなる長さを有し、T
(94番)にあるcAMP−及びcGMP−依存性プロテインキナーゼリン酸化
可能部位;S(187番)にあるカゼインキナーゼIIリン酸化可能部位;G(2
3番)及びG(27番)にある2個のNミリストイル化可能部位;及びS(31
番)、T(43番)、T(60番)、T(71番)、S(74番)、S(89番
)、T(94番)、及びT(97番)にあるプロテインキナーゼCリン酸化可能
部位を有する。HRGP−11は、ラットPTTG(GI 1763265)と配列相同性
を有する。ノーザン法による解析の結果から、HRGP−11の様々なライブラ
リーにおける発現がわかる。そのようなライブラリーの少なくとも48%は不死
化又は癌性のものであり、少なくとも29%は免疫応答関連のものであり、少な
くとも32%は胎児の疾患に関連するものである。
【0103】 HRGP−12(配列番号:12)は、CONNTUT05 cDNAライブラリーを起
源とするインサイト社クローンNo. 3371455において、アミノ酸配列アライメン トのコンピュータ検索を用いて初めに特定された。コンセンサス配列の配列番号
:24は、インサイト社クローンNo. 3371455(CONNTUTが起源)、2210345(SIN
TFET03が起源)、915388、196186、及び918434(BRSTNOT04が起源)、760643(B
RAITUT02が起源)、674891(CRBLNOT01が起源)、3526393(ESOGTUN01が起源) 、968807(BRSTNOT05が起源)、925515(BRAINOT04が起源)、1997822(BRSTTUT
03が起源)、2149413(BRAINOT09が起源)、1210219(BRSTNOT02が起源)、及び
1939856(HIPONOT01が起源)の延長及び組み立てから導き出されたものである。
【0104】 或る実施態様では、本発明は、配列番号:12のアミノ酸配列を含むポリペプ
チドを包含する。HRGP−12は387個のアミノ酸からなる長さを有し、S
(152番)にあるcAMP−及びcGMP−依存性プロテインキナーゼリン酸
化可能部位;S(10番)、S(62番)、S(64番)、S(89番)、T(
107番)、T(145番)、S(228番)、S(230番)、T(243番
)、S(269番)、S(346番)、S(356番)、及びT(367番)に
ある13個のカゼインキナーゼIIリン酸化可能部位;T(107番)、T(14
5番)、S(269番)、及びT(314番)にある4個のプロテインキナーゼ
Cリン酸化可能部位;残基R(100番)にある1個の細胞付着可能配列;及び
C(384番)SIMにある1個のフェニル基結合部位(CAAXボックス)を
有する。HRGP−12は、ヒトKIAA0270(GI 1665807)と100%の配列相同
性を有する。ノーザン解析の結果から、様々なライブラリーにおけるHRGP−
70の発現がわかる。そのようなライブラリーの少なくとも44%は不死化又は
癌性のものであり、少なくとも21%は胎児の疾患に関連するものである。
【0105】 また本発明は、HRGPの生物学的又は機能的活性を保持しているHRGP変
異体を包含する。好ましいHRGPの変異体は、HRGPのアミノ酸配列と少な
くとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有
するものである。最も好ましいHRGP変異体は、ここに開示するHRGPと少
なくとも95%の配列同一性を有するものである。
【0106】 また本発明は、HRGPをコードするポリヌクレオチドを包含する。従って、
HRGPのアミノ酸配列をコードする任意の核酸配列を用いて、HRGPを発現
する組換え分子を作り出すことができる。特定の実施態様では、本発明は、配列
番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:1
7、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列
番号:22、配列番号:23、及び配列番号:24からなる群から選択された核
酸配列からなるポリヌクレオチドを包含する。
【0107】 当業者には理解されるように、遺伝暗号の縮重の結果、任意の既知の自然発生
遺伝子のヌクレオチド配列と最小限の相同性しか有していないものも含めて、多
種のHRGPをコードするヌクレオチド配列が作り出され得る。従って本発明は
、可能なコドン選択に基づく組み合わせを選択することによって作り出されるあ
らゆる可能な核酸配列の変異をその範囲に含んでいる。それらの組み合わせは、
自然発生のHRGPのヌクレオチド配列に適用されるような標準的なトリプレッ
ト遺伝暗号に基づいて作り出されるものであり、このような変異は全てここに具
体的に開示されたものと考えられたい。
【0108】 HRGPをコードするヌクレオチド配列及びその変異配列は、適切に選択され
たストリンジェンシーの条件の下で自然発生配列のヌクレオチド配列とハイブリ
ダイズ可能であるのが好ましいが、実質的に異なるコドンを有しているHRGP
又はその誘導体をコードするヌクレオチド配列を作り出すことは有益であり得る
。コドンの選択においては、特定のコドンが宿主によって使用される頻度に従っ
て、特定の原核細胞又は真核細胞の発現宿主におけるペプチド発現の発生率を高
めるように選択することができる。HRGP及びその誘導体をコードするヌクレ
オチド配列を、コードされるアミノ酸配列が変わらないように実質的に改変する
他の理由として、例えば自然発生配列から作られる転写物より長い半減期のよう
な、より望ましい特性を有するRNA転写物を作り出すことが挙げられる。本発
明の範囲には、HRGP又はその誘導体をコードするDNA配列又はその断片の
、完全な合成ケミストリによる作製も含まれる。作製した後、この合成遺伝子を
、周知の試薬を用いて入手可能な様々な発現ベクター及び細胞系に挿入すること
ができる。更に、合成ケミストリを用いてHRGPをコードする配列又はその任
意の断片に突然変異を導入することができる。
【0109】 また本発明の範囲に含まれるものとして、様々なストリンジェンシーの条件(
例えばWahl, G.M. 及びS.L.Berger(1987; Methods Enzymol. 152:399-407)及 びKimmel, A.R.(1987; Methods in Enzymol. 152:507-511)参照)の下で請求 の範囲に記載のヌクレオチド配列、特に配列番号:13、配列番号:14、配列
番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:1
9、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、及び
配列番号:24に示すヌクレオチド配列とハイブリダイズし得るポリヌクレオチ
ド配列がある。
【0110】 DNAシークエンシングの方法は、周知で当業者が通常利用可能であり、本発
明の実施例の何れかの実施のために用いることができる。この方法では、例えば
DNAポリメラーゼIのKlenowフラグメントであるSequenase(US Biochemical
Corp. Cleveland OH)、Taqポリメラーゼ(Perkin Elmer)、熱安定性T7ポリメ ラーゼ(Amersham, Chicago IL)、或いはGibco BRL(Gaithersburg MD)から発
売されているELONGASE Amplification Systemに見られるもののような校正エキ ソヌクレアーゼと組換え体ポリメラーゼとの組み合わせたもののような酵素を用
いることができる。このプロセスは、Hamilton Micro Lab2200(Hamilton, Reno
, NV)、Peltier Thermal Cycler(PTC200;MJ Reserch, Watertown MA)並びに
ABI Catalyst及びABI377及び377 DNAシーケンサ(Perkin Elmer)のような装置 を用いて自動化するのが好ましい。
【0111】 HRGPをコードする核酸配列を、部分的なヌクレオチド配列を利用して、周
知の様々な方法を用いて伸長させ、プロモーター及び調節エレメントのような上
流の配列を検出することができる。例えば、使用可能な方法の一つである制限部
位PCR法では、汎用プライマーを用いて既知の位置に隣接する未知の配列を得
る(例えばSarkar, G. (1993) PCR Methods Applic 2:318-322参照)。詳述する
と、まずゲノムDNAを、既知の領域に特異的なプライマー及びリンカー配列に
対するプライマーの存在の下で増幅する。増幅された配列を、同じリンカープラ
イマーと最初のプライマーの内に含まれる別の特異的プライマーを用いてPCR
の2巡目にかける。各回のPCRの産物を、適切なRNAポリメラーゼを用いて
転写させ、逆転写酵素を用いて配列決定する。
【0112】 逆PCR法を用いて、既知の領域に基づく多様なプライマーを利用して配列を
増幅、または延長することもできる(例えばTriglia, T.他(1988)Nucleic Aci
ds Res 16:8186参照)。プライマーは、OLIGO 4.06 Primer Analysis software (National Biosciences Inc., Plymouth MN)のような市販のソフトウェアや他
の適切なプログラムを用いて、長さが22〜30ヌクレオチド、GC含量が50
%以上、かつ約68〜72℃の温度で標的配列にアニールするように設計する。
この方法では数種の制限酵素を用いて遺伝子の既知の領域の適当な断片を作り出
す。次にこの断片を分子内ライゲーションにより環状にし、PCR用の鋳型とし
て使用する。
【0113】 使用できる別の方法にキャプチャPCR法があり、この方法ではヒト及び酵母
菌人工染色体DNA内の既知の配列に隣接するDNA断片をPCRによって増幅
する(例えば、Lagerstrom, M.他(1991)PCR Methods Applic 1:111-119参照)
。この方法では、PCRを行う前に、複数の制限酵素による消化及び連結によっ
てそのDNA分子の未知の断片のなかに、組換え二本鎖配列を組み入れておくこ
ともできる。
【0114】 未知の配列を得るために用いることができる別の方法は、Parker, J.D.他の方
法(例えば、1991; Nucleic Acids Res 19:3055-3060参照)である。更に、PC
R、入れ子プライマー、PromoterFinderTMライブラリーを用いて、ゲノムDNA
内歩行を行うことができる(Clontech, Palo Alto CA)。このプロセスは、ライ
ブラリーをスクリーニングする必要がなく、イントロン/エクソン接合部を探し
出すのに有用である。
【0115】 完全長cDNAをスクリーニングするときには、より大きなcDNAを含むよ
うにサイズ選択されたライブラリーを用いるのが好ましい。またランダムプライ
ミングした(random primed)ライブラリーは、遺伝子の5′領域を含む配列を より多く含むという点で好適である。ランダムプライミングしたライブラリーを
用いることは、オリゴd(T)ライブラリーでは完全長cDNAが得られない場
合に特に好ましい。またゲノムライブラリーは、転写されない5′調節領域まで
配列を延長するために有用であり得る。
【0116】 シークエンシングやPCRの産物のヌクレオチド配列をサイズ分析したりその
存在を確認するために、市販のキャピラリー電気泳動システムを用いることがで
きる。特に、キャピラリーシークエンシングでは、電気泳動による分離のための
流動性ポリマー、レーザーで活性化される4種の異なる蛍光色素(各ヌクレオチ
ドに対して1種類)を使用し、CCDカメラにより放射された波長の検出を行う
。出力/光強度は適切なソフトウエア(例えばPerkin Elmer製のGenotyperTM及 びSequence NavigatorTM)を用いて電気信号に変換され、サンプルの負荷からコ
ンピュータ解析及び電子データ表示までの全過程がコンピュータ制御される。キ
ャピラリー電気泳動法は、特定のサンプル内に少量しか存在しないようなDNA
の小片の配列決定に特に適している。
【0117】 本発明の別の実施例では、HRGPをコードするポリヌクレオチド配列または
その断片を組換えDNA分子に組み入れることにより、適切な宿主細胞内でのH
RGP、その断片または機能的等価物の発現を誘導することができる。遺伝暗号
固有の縮重のために、実質的に同一即ち機能的に等価なアミノ酸配列をコードす
る他のDNA配列も作り出され得、これらの配列をHRGPのクローン化や発現
のために用いることができる。
【0118】 当業者には理解されるように、非自然発生コドンを有するHRGPコーディン
グヌクレオチド配列を作り出すことは有益であり得る。例えば、特定の原核細胞
或いは真核細胞の宿主において選好されるコドンを選択して、タンパク質の発現
率を増大させたり、或いは自然発生配列から生成された転写物より長い半減期の
ような望ましい特性を有するRNA転写物を作り出すことができる。
【0119】 本発明のヌクレオチド配列は、様々な目的でHRGPをコードする配列を改変
するために、周知の方法を用いて組換えることができる。この配列改変の目的と
しては、限定するものではないが、例えば遺伝子産物のクローニング、プロセシ
ング及び/又は発現を変えること等が挙げられる。無作為断片によるDNA再編
成や遺伝子断片及び合成オリゴヌクレオチドのPCRによる再構成(reassembly
)によって、ヌクレオチド配列を組換えることができる。例えば、特定部位突然
変異誘発によって、新しい制限部位の挿入、グリコシル化パターンの変更、コド
ン選好の変化、スプライスバリアントの生成、及び突然変異の導入等をもたらす
ことができる。
【0120】 本発明の別の実施例では、元のHRGPコーディング配列、改変したHRGP
コーディング配列、或いは組換えHRGPコーディング配列を異種の配列に結合
して、融合タンパク質をコードする配列にすることができる。例えば、HRGP
活性のインヒビターをペプチドライブラリーからスクリーニングするために、市
販の抗体により認識されるキメラHRGPタンパク質をコードすることが役立つ
ことがある。融合タンパク質はHRGPをコードする配列と異種のタンパク質配
列との間の位置に切断部位を有する形に設計することもでき、これによってHR
GPを切断して、異種の部分から分けて精製することが可能となる。
【0121】 本発明の別の実施例では、周知の化学的方法(例えばCaruthers. M.H.他(198
0)Nucl. Acids Res. Symp. Ser. 7:215-223; Horn, T.他(1980)Nucl. Acids
Res. Symp. Ser. 225-232参照)を用いて、HRGPをコードする配列の全体、 或いはその一部を合成することができる。或いは、化学的方法を用いてタンパク
質自体を作り出して、HRGPのアミノ酸配列またはその断片を合成することが
できる。例えば、様々な固相技術(例えば、Roberge, J.Y.他(1995) Science 26
9:202-204参照)でペプチド合成を行うことができ、合成の自動化は、例えばABI
431Aペプチド合成機(Perkin Elmer)を用いることにより達成することができ る。
【0122】 この新たに合成されたペプチドは、分離用高速液体クロマトグラフィーにより
実質的に精製することができる(例えば、Chiez. R.M.及びF.Z. Regnier (1990)
Methods Enzymol. 182:392-421参照)。合成されたペプチドの組成は、アミノ 酸解析或いはシークエンシングにより確認することができる(例えばCreighton
T.(1983)Proteins Structure and Molecular Principles, WH Freeman and Co
., NY参照)。さらにHRGPのアミノ酸配列或いはその任意の一部分を、その 直接の合成の際の改変することにより、及び/又は化学的方法を用いて他のタン
パク質或いはその任意の部分に由来する配列と結合させることにより、変異体ポ
リペプチドを作り出すことができる。
【0123】 生物学的に活性なHRGPを発現させるためには、HRGPをコードするヌク
レオチド配列或いはその機能的等価物を、適切な発現ベクター、すなわち挿入さ
れたコーディング配列の転写及び翻訳に必要なエレメントを含むベクターに挿入
する。
【0124】 HRGPをコードする配列及び適切な転写や翻訳の調節領域を含む発現ベクタ
ーを作製するために当業者に周知の方法を用いることができる。これらの方法と
しては、in vitro組換えDNA技術、合成技術、並びにin vivo遺伝子組換え技 術が挙げられる(例えば、Sambrook, J.他(1989)Molecular Cloning, A Labor atory Manual , Cold Spring Harbor Press, Planview NY及びAusubel, F.M.他Cu rrent Protocol in Molecular Biology , John Wiley &Sons, New York, NY参照 )。
【0125】 HRGPをコードする配列の保持、発現のために様々な発現ベクター/宿主系
を用いることができる。このようなものとしては、限定するものではないが、組
換えバクテリオファージ、プラスミド或いはコスミドDNA発現ベクターで形質
転換した細菌のような微生物や、酵母菌発現ベクターで形質転換した酵母菌や、
ウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系や、
ウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルスCaMV、タバコモザ
イクウイルスTMV)或いは細菌の発現ベクター(例えばTi、或いはpBR322プラス ミド)で形質転換した植物細胞系や、或いは動物細胞系等が挙げられる。本発明
は、使用される宿主細胞によって限定されるものではない。
【0126】 「調節領域」或いは「制御配列」とは、転写及び翻訳を行うために宿主細胞の
タンパク質と相互作用するベクターの非翻訳領域、即ちエンハンサー、プロモー
ター及び3′非翻訳領域である。このようなエレメントの作用の強さや特異性は
様々に異なったものであり得る。使用されるベクター系及び宿主に応じて、構成
的及び誘導的プロモーターを含む適切な転写及び翻訳エレメントを任意の数だけ
用いることができる。例えば、細菌系にクローン化する際には、Bluescript フ ァージミド(Stratagene, LaJolla CA)またはpSportITMプラスミド(Gibco BRL
)等のハイブリッドlacZプロモーターのような誘導的プロモーターを用いること
ができる。昆虫細胞では、バキュロウイルスポリヘドリンプロモーターを用いる
ことができる。植物細胞のゲノムに由来するプロモーター或いはエンハンサー(
例えば熱ショック RUBISCO及び貯蔵タンパク質遺伝子)、若しくは植物ウイルス
に由来するプロモーター或いはエンハンサー(例えばウイルス性プロモータ或い
はリーダー配列)を、ベクターにクローン化してもよい。哺乳動物の細胞系では
、哺乳動物の遺伝子或いは哺乳動物ウイルス由来のプロモーターが適している。
HRGPをコードする配列の複数のコピーを含む細胞系を作る必要がある場合に
は、SV40またはEBVをベースにしたベクターを適切な選択マーカーと共に用いる ことができる。
【0127】 細菌系では、HRGPの用途に応じて多種の発現ベクターを選択することがで
きる。例えば抗体の誘発のために大量のHRGPが必要な場合には、精製が容易
であり得る融合タンパク質を高レベルで発現できるベクターを用いることができ
る。そのようなベクターとしては、限定するものではないが、多機能の大腸菌ク
ローニング・発現ベクターである、Bluescript(Stratagene)(このベクターで
は、HRGPをコードする配列を、アミノ末端メチオニン及び後続のβ−ガラク
トシダーゼの7個の残基からなる配列を備えたベクターのフレーム内に結合して
ハイブリッドタンパク質を生成できる)や、pINベクター(Van Heeke, G.及びS.
M. Schuster(1989)J. Biol. Chem. 264:5503-5509)等が挙げられる。また、 グルタチオンS−トランスファーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペ
プチドを発現させるために、pGEXベクター(Promage、Madison WI)を用いるこ ともできる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、グルタチオン
アガロースビーズに吸着させた後、フリーのグルタチオンの存在下で溶出させる
ことによって溶解した細胞から容易に精製できる。そのような系において作り出
されるタンパク質は、ヘパリン、トロンビン或いはXa因子プロテアーゼ切断部
位を含むように設計し、目的のクローン化ポリペプチドをGST部分から随意に放 出させられるようにすることができる。
【0128】 酵母菌、サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)では、α因
子、アルコールオキシダーゼ及びPGHのような構成的或いは誘導的プロモーター を含む多種のベクターを用いることができる(例えば、Ausubel他(前出)及びG
rant他(1987)Methods Enzymol 153:516-544参照)。
【0129】 植物の発現ベクターを用いる場合、HRGPをコードする配列の発現は、多数
のプロモーターの何れかによって促進され得る。例えばCaMVの35S及び19Sプ
ロモーターのようなウイルスのプロモーターを、単独で、或いはTMV(例えば
、Takamatsu,N.他(1987)EMBO J 6:307-311参照)由来のオメガリーダー配列と
組み合わせて用いることができる。或いは、RUBISCOの小サブユニット、熱ショ ックプロモーターのような植物のプロモーターを用いてもよい(例えば、Coruzz
i, G.他(1984)EMBO J 3:1671-1680); Broglie, R.他(1984)Science 224:83
8-843; 及びWinter, J.他(1991)Results Probl. Cell Differ. 17:85-105参照
)。これらの作製物は、直接のDNA形質転換或いは病原体を介したトランスフ
ェクションにより植物細胞内に導入できる。このような技術は、様々な一般に入
手できる文献に記載されている(例えばMcGraw Hill Yearbook of Science and Technology (1992)McGraw Hill NY, pp191-196に記載のHobbs, S.又はMurry, L
.E.を参照されたい)。
【0130】 HRGPの発現のために昆虫系も用いることができる。例えば、そのような系
の一つでは、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞或いはイラクサキンウワ バ(Trichoplusia)幼虫において外来遺伝子を発現するためのベクターとして、 Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)を用いる。HRGPをコ ードする配列は、ポリヘドリン(polyhedrin)遺伝子のようなウイルスの非必須
領域にクローン化して、ポリヘドリンプロモーターの制御下に置くことができる
。HRGPコーディング配列の挿入が成功すると、ポリヘドリン遺伝子が失活し
、コートタンパク質膜を欠く変異体ウイルスが生成される。次に、この変異体ウ
イルスを、ヨトウガ(S.frugiperda)細胞或いはイラクサキンウワバ(Trichopl usia )幼虫へ感染させ、その中でHRGPを発現させることができる(Engelhar
d, E.K.他(1994)Proc. Nat. Acad. Sci. 91:3224-3227)。
【0131】 哺乳動物の宿主細胞では、様々なウイルスをベースにした発現系を利用するこ
とができる。発現ベクターとしてアデノウイルスが用いられる場合には、HRG
Pをコードする配列は、後期プロモータ及び三連リーダー配列からなるアデノウ
イルス転写/翻訳コンプレックス(transcription/translation complex)のな かに結合することが可能である。ウイルスのゲノムにおける必須でないE1又はE3
領域へ挿入することにより、感染した宿主細胞でHRGPを発現できる生ウイル
スが得られる(Logan, J.及びShenk, T.(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. 81:36
55-3659)。加えて、哺乳類宿主細胞内の発現を増加させるためにラウス肉腫ウ イルス(RSV)エンハンサーのような転写エンハンサーを用いることができる。
【0132】 また、ヒト人工染色体(HACs)を用いることにより、プラスミドに含めて
発現させることができるDNA断片より大きいDNAの断片を供給することもで
きる。治療上の目的で、6〜10MのHACsを構築し、それを従来のデリバリ
ー方法(リポソーム、ポリカチオンのアミノポリマー、又は小胞)を利用して供
給することができる。
【0133】 また、HRGPをコードする配列のより効率的な翻訳のためには、特定の開始
シグナルも必要である。このようなシグナルとしては、ATG開始コドン及び隣接 する配列が挙げられる。HRGP及びその開始コドン及び上流配列が適切な発現
ベクター内に挿入される場合には、他の転写または翻訳の制御シグナルは不要で
ある。しかし、コーディング配列又はその断片のみが挿入される場合には、ATG 開始コドンを含む外来の翻訳制御シグナルを与えなければならない。さらに、全
インサートの転写が確実に行われるようにするために、開始コドンは正しい読み
枠に存在しなければならない。外来転写エレメント及び開始コドンは、自然及び
合成両方の様々な起源に由来するものであり得る。例えば文献(例えば、Scharf
,D.他(1994)Results Probl. Cell Differ. 20:125-162参照)に記載されてい るように、使用される特定の細胞系に適切なエンハンサーを含めることにより、
発現の効率を高めることができる。
【0134】 加えて、宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節するその能力、若しくは
発現したタンパク質を望ましい形にプロセシングするその能力ついて選択するこ
とができる。このようなポリペプチドの修飾としては、以下のものに限定はしな
いが、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化(lipida
tion)並びにアシル化等が挙げられる。またタンパク質の「プレプロ」部分を切
り離す翻訳後プロセシングも、正しい挿入、折り畳み、及び/又は機能の発揮の
ために重要である。そのような翻訳後の作用のための特定の細胞装置及び特徴的
な機構を有している種々の宿主細胞(例えばCHO、HeLa、MDCK、HEK293、及びWI3
8)は、American Type Culture Collection(ATCC; Bethesda, MD)より入手で き、導入される外来タンパク質の正しい修飾やプロセシングが確実に行われるよ
うに、このなかから選択することができる。
【0135】 長期間にわたって組換えタンパク質の高収率の産生を確保するためには安定し
た発現が望ましい。例えば、ウイルスの複製起点及び/または内在性発現エレメ
ント及び選択マーカー遺伝子を同一のベクター上、或いは別のベクター上に含む
発現ベクターを用いることにより、HRGPを安定的に発現する細胞系を形質転
換することができる。ベクターの導入の後、細胞は、選択培地に切り替える前に
濃縮培地内で1〜2日間増殖させる。選択マーカーの目的は、選択のための耐性
を与え、その存在に基づいて導入された配列を発現する細胞を増殖、回収できる
ようにすることである。安定的に形質転換された細胞の耐性クローンは、その細
胞の型に適した組織培養技術を用いて増殖することができる。
【0136】 形質転換された株細胞を回収するために任意の数の選択系を用いることができ
る。選択系としては、以下のものに限定はしないが、単純ヘルペスウイルスチミ
ジンキナーゼ(tk)(例えば、Wigler, M.他(1977)Cell 11:223-32参照)及び
アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(aprt)(例えば、Lowy, I.他(19
80)Cell 22:817-823参照)遺伝子等があり、それぞれtk-又はaprt-細胞におい て用いられる。また代謝拮抗物質、抗生物質或いは除草剤への耐性を選択の基礎
として用いることができる。例えばdhfrはメトトレキセートに対する耐性を与え
(例えば、Wigler, M.他(1980) Proc. Natl. Acad. Sci. 77:3567参照)、nptは
アミノ配糖体のネオマイシン及びG-418に対する耐性を与え(例えば、Colberre-
Garapin, F.他(1981)J. Mol. Biol. 150:1-14参照)、als或いはpatはクロル スルフロン(chlorsulfuron)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラー ゼ(phosphinotricin acetyltransferase)に対する耐性を与える(Murry, 前出
)。別の選択に利用できる遺伝子として、例えば細胞がトリプトファンの代わり
にインドールを利用できるようにするtrpB、細胞がヒスチジンの代わりにヒスチ
ノール(histinol)を利用できるようにするhisDが文献に記載されている(例え
ば、Hartman, S.C.及びR.C. Mulligan(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. 85:8047
-51参照)。最近になって、形質転換体を特定するためばかりではなく、特定ベ クター系による一過性の或いは安定的なタンパク質発現の量を定量するために、
例えばアントシアニン、β−グルクロニダーゼ及びその基質であるGUS、及びル シフェラーゼ及びその基質であるルシフェリンのような可視マーカーが用いられ
るようになった(例えば、Rhodes, C.A.他(1995)Methods Mol. Biol. 55:121-
131参照)。
【0137】 マーカー遺伝子の発現の存在/不存在が目的の遺伝子の存在をも示唆するが、
その存在及び発現を確認する必要がある場合がある。例えばHRGPをコードす
る配列がマーカー遺伝子配列内に挿入される場合は、HRGPをコードする配列
を含む形質転換された細胞を、マーカー遺伝子の機能を欠いていることで確認で
きる。或いは、マーカー遺伝子が、HRGPをコードする配列と直列に配置され
て、両者が単一のプロモータの制御下となり得る。誘導または選択に応じてのマ
ーカー遺伝子の発現は、通常、直列に配置された配列の発現をも同時に示すこと
になる。
【0138】 或いは、当業者には周知の様々な方法により、HRGPをコードする核酸配列
を含みHRGPを発現する宿主細胞を特定できる。このような方法としては、以
下に限定するものではないが、DNA−DNA或いはDNA−RNAハイブリダ
イゼーションや、核酸及びタンパク質を検出及び/又は定量するための膜、溶液
、或いはチップを用いる技術を含むタンパク質バイオアッセイ或いはイムノアッ
セイ等が挙げられる HRGPをコードする配列のプローブ、一部分、或いは断片を用いるDNA−
DNA又はDNA−RNAハイブリダイゼーションまたは増幅により、HRGP
をコードするポリヌクレオチド配列の存在を検出することができる。核酸増幅を
利用するアッセイでは、HRGPをコードするDNA或いはRNAを含む形質転
換体を検出するために、HRGPをコードする配列をベースにしたオリゴヌクレ
オチドまたはオリゴマーを用いる。
【0139】 HRGPの発現を検出、測定するための、このタンパク質に特異的なポリクロ
ーナル抗体及びモノクローナル抗体のいずれかを用いる様々なプロトコルが周知
である。このようなプロトコルの例としては、酵素結合免疫検定法(ELISA
)、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び蛍光表示式細胞分取器法(FACS)
が挙げられる。HRGPポリペプチド上で2種の非干渉なエピトープに対して反
応するモノクローナル抗体を利用する二部位モノクローナルベースイムノアッセ
イ(two-site, monoclonal-based immunoassay)が好適であるが、競合的結合ア
ッセイも用いることができる。これらアッセイの並びに他のアッセイは、他の文
献に記載されている(例えば、Hampton, R.他(1990) Serological Methods, a L aboratory Manual , APS Press, St. Paul MN及びMaddox, D.E.他(1983) J. Exp.
Med. 158:1211-1216参照)。
【0140】 さらに様々な標識・結合技術が周知であり、様々な核酸及びアミノ酸のアッセ
イにおいて用いることができる。近縁な配列を検出するための、標識されたハイ
ブリダイゼーションプローブやPCRプローブを作製するための手段としては、
オリゴ標識、ニックトランスレーション法、末端標識、或いは標識したヌクレオ
チドを用いるPCR増幅等が挙げられる。或いは、HRGPをコードする配列ま
たはその任意の断片を、mRNAプローブの作製のためベクターにクローン化す
る。そのようなベクターは周知で、市販されており、これを用いてT7、T3、或い
はSP6のような適切なRNAポリメラーゼ及び標識されたヌクレオチドを加える ことによって、in vitroでRNAプローブを合成することができる。このような
方法は、種々の市販のキット(Pharmacia & Upjohn(Kalamazoo, MI);Promega
(Madison WI);及びU.S. Biochemical Corp.(Cleveland OH))を用いて実施
することができる。検出を容易にするために用いられる適切なリポーター分子、
即ち標識としては、放射性核種、酵素、フルオレセント(蛍光剤)、化学発光剤
或いは色素剤のほか、基質、補助因子、インヒビター、磁気粒子等が挙げられる
【0141】 HRGPをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞を、このタ
ンパク質を細胞培地で発現させ、そこから回収するのに適した条件の下で培養す
ることができる。形質転換された細胞により産生されるタンパク質は、用いられ
る配列及び/またはベクターに応じて、分泌されるか、或いは細胞内に含められ
る。当業者には理解されるように、HRGPをコードするポリヌクレオチドを含
む発現ベクターを、原核細胞か真核細胞の細胞膜を通してのHRGPの分泌を誘
導するシグナル配列を含むように設計することができる。また他の構築物を用い
て、HRGPをコードする配列を、可溶性タンパク質の精製を容易にするポリペ
プチドドメインをコードするヌクレオチド配列に結合することができる。そのよ
うな精製を容易にするドメインとしては、限定するものではないが、固定化金属
上での精製を可能にするヒスチジントリプトファンモジュールのような金属キレ
ートペプチド、固定化免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメ
イン、並びにFLAGS 延長/アフィニティ精製システム(Immunex Corp., Seattle
WA)において用いられるドメイン等が挙げられる。精製ドメインとHRGPの 間に、例えばXa因子またはエンテロキナーゼに特異的な配列(Invitrogen, Sa
n Diego CA)のような切断可能なリンカー配列を含めることによって、精製を促
進することができる。このような発現ベクターの1つは、HRGPをコードする
配列とともに、6個のヒスチジン残基をコードする核酸配列、それに続くチオレ
ドキシン及びエンテロキナーゼ切断部位をコードする配列を発現させて、融合タ
ンパク質を作り出す。ヒスチジン残基が固定化金属イオンアフィニティクロマト
グラフィー(IMIAC)での精製を容易にするとともに、エンテロキナーゼ切断部 位が融合タンパク質からHRGPを精製するための手段となる(例えば、Porath
, J.他(1992)Prot. Exp. Purif. 3: 263-281及びKroll, D.J.他 (1993) DNA C
ell Biol. 12:441-453)。
【0142】 HRGPの断片は、組換え体の作製による方法のみならず、固相技術を用いた
直接的なペプチド合成によってもを作り出すことができる(例えば、Merrifield
J. (1963) J. Am. Chem. Soc. 85:2149-2154参照)。タンパク質合成は手作業 で行えるが、自動化することもできる。自動的な合成は、例えば、Applied Bios
ystem 431Aペプチドシンセサイザ(Perkin Elmer)を用いて行うことができる。
様々なHRGPの断片を個別に化学的に合成し、それを化学的方法で結合して完
全長分子を作り出すことも可能である。
【0143】 (治療) 本発明のヒト・調節タンパク質の間に化学的及び構造的相同性が存在する。ま
た、HRGPの発現は、細胞増殖と強い関連性を有する。従って、HRGPが活
性化因子、転写調節因子、又はエンハンサーであり、細胞増殖を促進する癌又は
免疫応答においては、HRGPの発現を低下させることが望ましい。HRGPが
インヒビター又はサプレッサーであり、細胞増殖を調節又は低下させる状態では
、該タンパク質を供給又はHRGPの発現を増加させることが望ましい。
【0144】 或る実施態様では、HRGPがインヒビターである場合に、腺癌、白血病、リ
ンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、及び奇形癌腫のような癌の処置又は予防のため
に、HRGP又はその断片若しくは誘導体を患者に投与し得る。そのような癌と
しては、以下に限定するものではないが、副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、軟
骨、子宮頚、胆嚢、神経節、胃腸管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓
、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、及び子
宮の癌等が挙げられる。
【0145】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む癌の処
置又は予防のために、精製されたHRGPを含む医薬品組成物を用いることがで
きる。
【0146】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む癌の処
置又は予防のために、HRGPに特異的なアゴニストを患者に投与し得る。
【0147】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む癌の処
置又は予防のために、HRGP又はその断片若しくは誘導体を発現し得るベクタ
ーを患者に投与し得る。
【0148】 HRGPが細胞増殖を促進する場合である別の実施態様では、腺癌、白血病、
リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、及び奇形癌腫のような癌の処置又は予防のた
めに、HRGPの発現又は処置のために、HRGPの発現又は活性を低下させる
アンタゴニストを患者に投与し得る。そのような癌としては、以下に限定するも
のではないが、副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、軟骨、子宮頚、胆嚢、神経節
、胃腸管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺
、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、及び子宮の癌等が挙げられる。或
る実施態様では、HRGPに特異的に結合する抗体を、アンタゴニストとして直
接的に用いたり、或いはHRGPを発現する細胞又は組織に薬物を送達するため
にターゲティング又はデリバリー機構として関節的に用いることができる。
【0149】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む癌の処
置又は予防のために、HRGPをコードするポリヌクレオチドに相補的な分子を
発現するベクターを患者に投与し得る。
【0150】 HRGPが白血球の活性又は増殖を促進するばあいに、免疫応答の処置又は防
止のため、HRGPの活性を低下させるアンタゴニストを患者に投与し得る。そ
のような応答は、例えば、AIDS、アジソン病、成人呼吸窮迫症候群、アレル
ギー、貧血症、喘息、アテローム性動脈硬化症、気管支炎、胆嚢炎、クローン病
、潰瘍性大腸炎、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺気腫、萎縮性胃炎、
腎炎、痛風、グレーブス病、過好酸球増加症、過敏性腸症候群、紅斑性狼瘡、多
発性硬化症、重症筋無力症、心筋炎又は心膜炎、変形性関節炎、骨粗鬆症、膵炎
、多発性筋炎、リウマチ性関節炎、強皮症、シェーグレン症候群、及び自己免疫
性甲状腺炎;癌と血液透析と体外循環の合併症;ウイルス感染、細菌感染、真菌
感染、寄生虫感染、原虫感染、及び蠕虫感染;及び外傷等の疾病に関連し得る。
或る実施態様では、HRGPに特異的に結合する抗体を、アンタゴニストとして
直接的に用いたり、或いはHRGPを発現する細胞又は組織に薬物を送達するた
めにターゲティング又はデリバリー機構として関節的に用いることができる。
【0151】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む免疫応
答を処置又は防止するために、HRGPをコードするポリヌクレオチドに相補的
な分子を発現し得るベクターを患者に投与し得る。
【0152】 別の実施態様では、細胞増殖を刺激するために、HRGP又はその断片若しく
は誘導体を細胞に与えることができる。具体的には、細胞増殖及び組織又は器官
の再生を促進する目的で、HRGPを、リポソーム、ウイルスをベースにしたベ
クター、又はエレクトロインジェクション等のデリバリー機構を用いてin vino で培養液中の細胞又は細胞群に与え得る。詳述すると、異種又は自家移植で用い
るべく細胞増殖を刺激するために、HRGPを、細胞、細胞系、組織又は器官の
培養液に加えることができる。幾つかの場合には、感染症若しくは癌と戦うその
能力、又は例えば鎌状赤血球性貧血、β地中海貧血、嚢胞性繊維腫症、又はハン
チントン舞踏病のような疾病における遺伝子欠損を修正するその能力について、
細胞を予め選択しておく。
【0153】 別の実施態様では、上述のように細胞増殖を刺激するために、HRGPに特異
的なアゴニストを細胞に与え得る。
【0154】 別の実施態様では、上述のように細胞増殖を刺激するために、HRGP又はそ
の断片若しくは発現し得るベクターを細胞に与え得る。
【0155】 別の実施態様では、本発明のタンパク質、アンタゴニスト、抗体、アゴニスト
、相補的配列、又はベクターの何れかを、他の適切な薬剤と組み合わせて投与す
ることができる。当業者であれば、従来の薬学上の原理に基づいて併用療法で用
いるための適切な薬剤を選択することができよう。治療薬を組み合わせることに
より、上述の様々な疾患の治療又は予防に効果を奏する相乗作用が得られる。こ
の方法を用いることにより、より低い用量の各薬剤で治療効果を上げることがで
き、副作用が生ずる可能性を低下させることができる。
【0156】 HRGPのアンタゴニストは、周知の方法を用いて製造することができる。詳
述すると、精製されたHRGPを用いることによって、抗体を作り出したり、或
いはHRGPに特異的に結合するものを同定するために薬物のライブラリーをス
クリーニングすることができる。
【0157】 HRGPに対する抗体も、周知の方法を用いて作り出すことができる。このよ
うな抗体としては、限定するものではないが、ポリクローナル抗体、モノクロー
ナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、及びFab発現ライ
ブラリーから作られたフラグメントが含まれる。中和抗体(即ち二量体形成を阻
害するもの)は治療の用途に特に好適である。
【0158】 抗体を作り出すため、HRGPか、免疫学的特性を有するその断片或いはオリ
ゴペプチドを注射することによって、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス等の様々な
ホストを免疫化することができる。免疫学的反応を増強するために、ホストの種
に応じた様々なアジュバントを用いることができる。そのようなアジュバントと
しては、限定するものではないが、フロイントのアジュバント、水酸化アルミニ
ウムのような無機質ゲル、リゾレシチンのような界面活性物質、プルロニックポ
リオール(pluronic polyol)、ポリアニオン、ペプチド、油性乳剤、キーホー ルリンペットヘモシアニン、並びにジニトロフェノール等が挙げられる。ヒトで
使用するアジュバントのなかでは、BCG(カルメット‐ゲラン杆菌)及びコリ
ネバクテリウム−パルヴム(Corynebacterium parvum)が特に好適である。
【0159】 HRGPに対する抗体を誘発するために用いられるオリゴペプチド、ペプチド
、またはその断片は、好ましくは5個以上のアミノ酸、より好ましくは10個以
上のアミノ酸からなるアミノ酸配列を有する。またこれらの配列は、元のタンパ
ク質のアミノ酸配列の一部と同一であり、小形の自然発生の分子の全アミノ酸配
列を含んでいるのが好ましい。HRGPアミノ酸の短いストレッチを、キーホー
ルリンペットヘモシアニンのような他のタンパク質のストレッチと融合し、その
キメラ分子に対する抗体を産生させることができる。
【0160】 HRGPのモノクローナル抗体は、培地内の無制限増殖性細胞系(continuous
cell line)に抗体分子を産生させる技術を用いて作製できる。このような技術
として、限定するものではないが、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリド
ーマ技術、及びEBV−ハイブリドーマ技術等が挙げられる(例えば、Kohler,
G.他(1975) Nature 256:495-497;Kozbor, D.他(1985)J. Immunol. Methods 81
:31-42;Cote, R.J.他(1983) Proc. Natl. Acad. Sci. 80:2026-2030;Cole, S.
P.他(1984) Mol. Cell Biol. 62:109-120参照)。
【0161】 加えて、適切な抗原特異性並びに生物活性を有する分子を得るための、マウス
抗体遺伝子をヒト抗体遺伝子にスプライシングする技術のような「キメラ抗体」
の産生のために開発された技術を用いることができる(例えば、Morrison,S.L. 他(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. 81:6851-6855;Neuberger, M.S.他(1984)
Nature 312:604-608;Takeda, S.他(1985)Nature 314:452-454参照)。或いは
、一本鎖抗体の生成のための周知技術を適用して、周知の方法によりHRGPに
特異的な一本鎖抗体を作り出すことができる。関連する特異性を有しているがイ
ディオタイプの構成が異なる抗体は、無作為組み合わせ免疫グロブリンライブラ
リーからの鎖再編成(chain shuffling)によって作り出すことができる(例え ば、Burton D.R.(1991) Proc. Natl. Acad. Sci. 88:11120-3参照)。
【0162】 また、文献(例えば、Orlandi, R.他(1989), Proc. Natl. Acad. Sci. 86:383
3-3837;Winter, G.他 (1991) Nature 349:293-299参照)に開示されているよう
に、高度に特異的な結合試薬のパネルや組換え免疫グロブリンライブラリーをス
クリーニングすることによって、或いはリンパ球集団でのin vivoの産生を誘導 することによって抗体を作り出すこともできる。
【0163】 HRGPに対する特異結合部位を含む抗体断片を作り出すこともできる。この
ような断片としては、以下に限定するものではないが、抗体分子のペプシンによ
る消化で生成することができるF(ab′)2フラグメントや、F(ab′)2
ラグメントのジスルフィド架橋を減らすことにより作り出すことができるFab
フラグメント等が挙げられる。或いは、所望の特異性を有するモノクローナルF
abフラグメントを迅速かつ容易に同定できるように、Fab発現ライブラリー
を作製してもよい(例えば、Huse, W.D.他(1989)Science 256:1275-1281参照 )。
【0164】 様々なイムノアッセイを、所望の特異性を有する抗体を同定するためのスクリ
ーニングに利用することができる。確立された特異性を有するモノクローナル抗
体或いはポリクローナル抗体のいずれかを用いる競合的結合アッセイ或いはラジ
オイムノアッセイの、様々なプロトコルが当分野で周知である。このようなイム
ノアッセイでは、HRGPとその特異的抗体との複合体の形成量の測定を行う。
2つの互いに非干渉なエピトープに反応するモノクローナル抗体を用いる二部位
モノクローナル抗体ベースイムノアッセイ(two sites monoclonal based immun
oassay)が好適であるが、競合的結合アッセイを用いてもよい(Maddox , 前出 )。
【0165】 本発明の別の実施例では、HRGPをコードするポリヌクレオチド、またはそ
の任意の断片や相補配列を、治療上の目的で用いることができる。或る実施態様
では、mRNAの転写を阻害することが望ましいような状況において、HRGP
をコードするポリヌクレオチドに対する相補配列を用いることができる。詳述す
ると、HRGPをコードするポリヌクレオチドに相補的な配列で細胞を形質転換
することができる。従って、相補的分子または断片を用いて、HRGPの活性を
変調、即ち遺伝子の機能を調節することができる。このような技術は現在周知で
あり、センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチド、若しくはより大きな断片は
、HRGPコーディング配列のコード領域や調節領域の様々な位置から設計する
ことができる。
【0166】 レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス或いはワクシニアウイルス由来の
発現ベクター、或いは種々の細菌性プラスミドに由来する発現ベクターを、標的
の器官、組織、または細胞群へのヌクレオチド配列の送達のために用いることが
できる。HRGPをコードする遺伝子のポリヌクレオチドに相補的な核酸配列を
発現するベクターは、当業者に周知の方法を用いて作製することができる。これ
らの技術は文献に記載されている(Sambrook他(前出)及びAusubel他(前出) 参照)。
【0167】 HRGPをコードするポリヌクレオチドまたはその断片を高レベルで発現する
発現ベクターで細胞または組織を形質転換することにより、HRGPをコードす
る遺伝子を機能停止させることができる。このような作製物を用いて、翻訳不可
能なセンス配列或いはアンチセンス配列を細胞に導入することができる。このよ
うなベクターは、DNAへ組み入れられない場合でも、そのベクターが内在性ヌ
クレアーゼにより破壊されるまでRNA分子の転写を続ける。このような一過性
の発現は、非複製ベクターでも1ヶ月以上、適当な複製エレメントがベクター系
の一部である場合には更に長い期間継続し得る。
【0168】 上述のように、HRGPをコードする遺伝子の制御領域、5′領域、または調
節領域(シグナル配列、プロモーター、エンハンサー、及びイントロン)に相補
的な配列、即ちアンチセンス分子(DNA、RNAまたはPNA)を設計するこ
とにより遺伝子の発現の仕方を変えることができる。転写開始部位、例えば開始
部位の概ね+10〜−10の間の位置にある領域に由来するオリゴヌクレオチド
が好適である。同様に、三重らせん塩基対合法を用いて阻害を達成することがで
きる。三重らせん対合が有用なのは、二重らせんがポリメラーゼ、転写因子、或
いは調節分子の結合のために十分にほどける能力を、それが阻害するからである
。三重らせんDNAを用いた最近の治療上の進歩については、文献に記載されて
いる(例えば、Huber, B.E.及びB.I. Carr, Molecular and Immunologic Approa ches , Futura Publishing Co, Mt Kisco NYにおけるGee, J.E.他(1994)参照)。
また、転写物のリボソームへの結合を妨げてmRNAの転写を阻害するために、
相補的配列、即ちアンチセンス分子を設計することもできる。
【0169】 酵素性RNA分子であるリボザイムを、RNAの特異的切断を触媒するために
用いることもできる。リボザイムの作用機構では、リボザイム分子が相補的標的
RNAに配列特異的にハイブリダイズし、その後エンドヌクレアーゼによる切断
(endonucleolytic cleavage)がなされる。使用できるリボザイムの例として、
HRGPをコードする配列のエンドヌクレアーゼによる切断を特異的かつ効果的
に触媒し得る人工合成のハンマーヘッド型リボザイム分子がある。
【0170】 標的となり得るRNA内の特異的なリボザイム切断部位を、初めに、標的の分
子における配列GUA、GUU並びにGUCを含むリボザイム切断部位をスキャンするこ とによって同定する。一旦同定されれば、切断部位を含む標的遺伝子の領域に対
応する15〜20個のリボヌクレオチドからなる短いRNA配列について、その
オリゴヌクレオチドの機能を停止させる2次構造の特徴を評価することができる
。候補の標的の適切性も、リボヌクレアーゼプロテクションアッセイ(ribonucl
ease protection assay)によって、相補的なオリゴヌクレオチドとのハイブリ ダイゼーションについての接触性(accessibility)を測定することにより評価 することができる。
【0171】 本発明の相補的リボ核酸分子及びリボザイムは、核酸分子の合成のための周知
の方法により作製することができる。これらの技術としては、固相ホスホラミダ
イト化学合成法のようなオリゴヌクレオチドの化学合成技術等がある。或いは、
RNA分子は、in vivo及びin vitroでのHRGPをコードするDNA配列の転 写により作り出すことができる。このようなDNA配列は、T7或いはSP6の
ような適切なRNAポリメラーゼプロモーターを有する様々なベクターに組み入
れることができる。或いは、構成的RNAを合成するcDNA作製物を、細胞系
、細胞或いは組織内に導入することができる。
【0172】 RNA分子はその細胞内での安定性を高めたり、半減期を長くするために修飾
することができる。可能な修飾としては、限定するものではないが、その分子の
5′末端か3′末端、或いはその両方へのフランキング配列の付加や、分子のバ
ックボーン内でホスホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオネート(phosph
orothioate)或いは2′O−メチルを使用すること等が挙げられる。この方式(
concept)は本来PNAの作製において用いられるもので、以下のようにこれら の分子全てに拡張することができる。即ち、内在性エンドヌクレアーゼにより容
易に認識されないアデニン、グアニン、シチジン、チミン、及びウリジンの、ア
セチル−、メチル−、チオ−形態、及び類似の形態の修飾によるだけでなく、イ
ノシン、キュエオシン(queosine)、及びワイブトシン(wybutosine)のような
従来あまり用いられなかった塩基を含めることによって、これら分子全てにこの
方式を拡張することができる。
【0173】 細胞或いは組織内にベクターを導入するための多くの方法が利用可能であり、
それらの方法は、in vivoin vitro、及びex vivoでの使用についても同様に適
している。ex vivo治療の場合には、患者から採取された幹細胞にベクターを導 入し、自家移植用にクローンとして増殖して同じ患者に戻す方法がある。またト
ランスフェクションによるデリバリー、リポソーム注入またはポリカチオンアミ
ノポリマーによるデリバリーは、当分野で周知の方法を用いて実施することがで
きる(例えば、Goldman, C.K.他(1997) Nature Biotechnology 15:462-66参照)
【0174】 上述の治療法の何れも、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル、及び
最も好ましくはヒトのような哺乳動物を含む、任意の適切な被験体に適用するこ
とができる。
【0175】 本発明の更に別の実施例では、上述の治療効果をあげるために、医薬品組成物
を医薬上許容される担体とともに投与する。このような医薬品組成物は、HRG
P、HRGPに対する抗体、HRGPの模擬体(mimetics)、アゴニスト、アン
タゴニスト、又はインヒビターからなるものであり得る。この医薬品組成物は、
単独で、或いは例えば安定化剤のような1種以上の他の薬剤とともに、滅菌した
生体適合性の医薬用担体を用いて投与する。このような担体としては、限定はし
ないが、生理食塩水、緩衝食塩水、ブドウ糖或いは水等が挙げられる。このよう
な組成物は、単体で、或いは他の薬剤やホルモンと組み合わせた形で患者に投与
することができる。
【0176】 本発明で用いられる医薬品組成物の投与経路としては、以下に限定するもので
はないが、経口投与、静脈内投与、筋内投与、動脈内投与、髄内投与、髄腔内投
与、心室内投与、経皮投与、皮下投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、経腸投与、局
所投与、舌下投与、或いは直腸内投与等が挙げられる。
【0177】 これらの医薬品組成物は、主成分に加えて、作用物質を医薬上使用可能な製剤
にするための処理を容易にする、賦形剤及び添加剤のような適切な医薬上許容さ
れる担体を含み得る。調合或いは投与に関する技術の詳細は、Remington's Phar maceutical Sciences (Maack Publishing Co, Easton PA)の最新版において見 ることができる。
【0178】 経口投与用の医薬品組成物は、当分野で周知の医薬上に許容される担体を用い
て適切な剤形に製剤することができる。このような担体により、この医薬品組成
物を、患者が服用するための、錠剤、丸剤、糖衣剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤
、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤等に製剤することができる。
【0179】 経口投与するための医薬製剤は、主成分と固形の賦形剤とを組み合わせた上で
、所望に応じて得られた混合物を粉砕し、錠剤或いは糖衣剤コア(dragee core )を作るために必要ならば適切な添加剤を添加した後、顆粒の混合物を加工する
ことによって得られる。適切な添加剤としては、ラクトース、スクロース、マン
ニトール或いはソルビトールを含む砂糖のような糖質或いはタンパク質の賦形剤
(filler)、トウモロコシ、コムギ、コメ、ジャガイモ等のデンプン、メチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース或いはカルボキシルメチルセル
ロースナトリウムのようなセルロース、アラビアゴム或いはトラガカントのよう
なゴム、並びにゼラチン或いはコラーゲンのようなタンパク質がある。必要なら
ば、崩壊剤または可溶化剤、或いは橋かけ結合したポリビニルピロリドン、寒天
、アルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸或いはアルギン酸ナトリウムのよう
なその塩を加えてもよい。
【0180】 糖衣剤コアは、濃縮砂糖溶液等により適切な錠皮を塗布して用いられる。錠皮
を作るための溶液としては、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カ
ルボポルゲル剤、ポリエチレングリコール、及び/または二酸化チタン、ラッカ
ー溶液及び適切な有機溶剤或いは溶剤混合物等が挙げられる。錠剤の識別のため
、或いは主成分の量即ち投与量を表示するために染料或いは色素を錠剤或いは錠
皮に加えてもよい。
【0181】 経口投与可能な製剤は、ゼラチンからなるプッシュフィットカプセル、ゼラチ
ンからなる柔軟な密封されたカプセル、並びにグリセロール或いはソルビトール
のような錠皮を有する。プッシュフィットカプセルは、ラクトース或いはでんぷ
んのような賦形剤或いは結合剤、タルク或いはステアリン酸マグネシウムのよう
な潤滑剤、並びに所望に応じて安定化剤と混合された主成分を含み得る。柔軟な
カプセルでは、主成分が、安定化剤とともに或いは安定化剤なしで、脂肪油、液
体パラフィン、液体ポリエチレングリコールのような適切な液体に溶解或いは懸
濁されている。
【0182】 非経口投与用の医薬製剤は、水溶液、好ましくはハンクス溶液、リンゲル溶液
或いは生理緩衝食塩水のような生理学的に適合性の緩衝液において配合すること
ができる。水性の注射用懸濁剤には、 例えばカルボキシルメチルセルロースナ トリウム、ソルビトール或いはデキストランのような懸濁剤の粘性を高める物質
を含めることができる。更に、主成分の懸濁液は、適切な油性注射用懸濁剤とし
て調製することができる。適切な親油性の溶媒或いは担体としては、胡麻油のよ
うな脂肪油や、オレイン酸エチル、トリグリセリド或いはリポソームのような合
成脂肪酸エステルがある。脂質でないポリカチオンのアミノポリマーをデリバリ
ーのために用いることもできる。懸濁剤には、溶解度を高め濃縮度の高い溶液の
調製を可能にする適切な薬剤または安定剤を、所望に応じて加えることができる
【0183】 局所適用または経鼻粘膜投与用には、浸透される特定の障壁に対して適切な浸
透剤を用いて製剤する。このような浸透剤は、当技術分野において周知である。
【0184】 本発明の医薬品組成物は周知の方法、例えば従来通りの混合、溶解、顆粒化、
糖衣形成、微粒子化(levigating)、乳化、カプセル化、包入(entrapping)、
或いは凍結乾燥により製造される。
【0185】 この医薬品組成物は塩として提供することもでき、限定するものではないが塩
酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等を含む種々の酸とともに
形成することができる。塩は、水性或いはプロトニック溶剤において、対応する
フリーの塩基形態より可溶性が高くなる傾向がある。この他、好ましい製剤には
、pH4.5〜5.5の範囲にあって、使用前に緩衝剤を配合した、1mM〜5
0mMのヒスチジン、0.1%〜2%のショ糖、及び2%〜7%のマンニトール
の全てまたは何れかを含む凍結乾燥粉末がある。
【0186】 医薬品組成物は、調製した後に適切な容器内に入れ、さらに提示した状態の処
置に用いられるようにラベル付けすることができる。HRGPの投与の場合、こ
のようなラベルには、投与の量、頻度、及び方法が表示される。
【0187】 本発明において使用するために適切な医薬品組成物は、有効成分を所望の目的
を達成するために有効な量含む組成物である。有効な量の決定は、当業者の能力
の範囲内で十分行うことができる。
【0188】 あらゆる化合物について、治療上有効な量は、初めに、新生物細胞、或いは通
常マウス、ウサギ、イヌ、ブタのような動物モデルの何れかの細胞培地のアッセ
イから推定することができる。この動物モデルを、適切な濃度範囲や投与経路を
決定するために用いることもできる。次に、このような情報を利用して、ヒトに
おける有効な量や投与経路を決定することができる。
【0189】 治療上有効な量とは、症状や状態を改善する有効成分、例えばHRGPまたは
その断片、HRGPの抗体、HRGPのアゴニスト、アンタゴニスト、またはイ
ンヒビターの量である。そのような化合物の治療上の有効性及び毒性は、細胞培
地における或いは実験動物を用いた標準的な薬学的手順によって、例えばED5
0(集団の50%における治療上の有効量、50%有効量)及びLD50(集団
の50%の致死投与量)として決定することができる。毒性と治療有効性との間
の投与量の比は治療指数であり、LD50/ED50の比として表すことができ
る。
【0190】 大きな治療指数を示す医薬品組成物が好ましい。これらの細胞培地のアッセイ
及び動物研究から得られるデータは、ヒトでの使用における投与量の範囲を決め
る際に利用することができる。そのような化合物の投与量は、毒性がほとんど或
いは全くなく、ED50を達成する循環濃度の範囲内にあることが望ましい。投
与量は、用いられる剤形、患者の感受性並びに投与経路に応じてこの範囲内で変
わってくる。
【0191】 正確な投与量は、処置が必要な患者に関連する要因を考慮して担当医師が選択
する。用量及び投与は、主成分を十分なレベルだけ与え、かつ所望の効果を維持
するべく調節する。考慮すべき要素としては、疾病状態の重症度、患者の全身の
健康状態、患者の年齢、体重、並びに性別、食事、投与の時間及び頻度、併用す
る薬剤、反応感受性、並びに治療に対する耐性/反応等が挙げられる。長期的に
作用する医薬品組成物は、その特定の製剤のクリアランス率に応じて、3〜4日
毎に、1週間毎に、或いは2週間に1度投与することができる。
【0192】 通常の投与量は0.1〜100,000μgの範囲にあって、全投与量は最大
約1gであり、投与経路に応じて変わってくる。特定の投与量或いはデリバリー
方法に関する手引きは、当分野の実施者が通常入手できる文献に見出すことがで
きる。当業者であれば、ヌクレオチドでは、タンパク質やインヒビター用の剤形
とは異なる剤形を採用するであろう。同様に、ポリヌクレオチドまたはポリペプ
チドのデリバリーの方式は、特定の細胞、状態、位置等によって決まってくる。
【0193】 (診断) 別の実施例では、HRGPに特異的に結合する抗体を、HRGPの発現によっ
て特性化される状態や疾病の診断、或いは、HRGPやHRGPのアゴニスト、
アンタゴニスト、またはインヒビターで治療を受けている患者のモニタリングの
ためのアッセイにおいて用いることができる。診断のために有用な抗体は、上述
の治療用のものと同一の方法で作り出すことができる。HRGPの診断アッセイ
として、ヒトの体液、細胞或いは組織の抽出物においてHRGPを検出するため
に抗体或いは標識を利用する方法がある。この抗体は、修飾して用いても、修飾
なしで用いてもよく、共有結合または非共有結合の何れかでリポーター分子と結
合させることにより標識することができる。その幾つかについては上記した種々
のリポーター分子が知られており、それを用いることができる。
【0194】 例えばELISA(酵素結合免疫測定法)、RIA(ラジオイムノアッセイ)
並びにFACS(蛍光表示式細胞分取器法)のようなHRGPを測定するための
種々のプロトコルが当分野では周知であり、これによってHRGP発現の変化や
異常を診断するための基礎が得られる。HRGPの発現の正常値、即ち標準値は
、哺乳動物、好ましくはヒトの正常な被験者から得られる体液或いは細胞抽出物
とHRGPの抗体とを、複合体形成に適した条件の下で結合させることによって
確立する。標準の複合体形成量は、様々な方法、好ましくは測光手段を用いるこ
とにより定量することができる。被験者の生検組織の患部組織サンプル及び対照
サンプルにおいて発現されたHRGPの量を、標準値と比較する。標準値と被験
者の値との偏差から、疾病の診断のためのパラメータを確立する。
【0195】 本発明の別の実施例では、HRGPをコードするポリヌクレオチドを診断目的
で用いることができる。使用できるポリヌクレオチドとしては、オリゴヌクレオ
チド配列、相補的RNA及びDNA分子、及びPNA等がある。このポリヌクレ
オチドは、HRGPの発現が疾病と関係がある可能性がある生検組織における遺
伝子発現を検出し、定量するために用いられる。診断アッセイは、HRGPが存
在する状態か、存在しない状態か、過剰発現している状態の何れの状態にあるか
を区別したり、治療的な介入においてHRGPレベルの調節をモニタリングする
ために利用することができる。
【0196】 或る実施態様では、HRGPまたは近縁な分子をコードする、ゲノム配列を含
むポリヌクレオチド配列を検出できるPCRプローブとのハイブリダイゼーショ
ンを利用して、HRGPをコードする核酸配列を同定することができる。そのプ
ローブの特異性、即ちそのプローブが非常に高度に特異的な領域(例えば5′調
節領域における10個の独特のヌクレオチド)、或いは特異性の低い領域(例え
ば特に3′コーディング領域)の何れに由来するのかということ、及びハイブリ
ダイゼーション或いは増幅の(高い、中程度の或いは低い)ストリンジェンシー
により、そのプローブが自然発生HRGPのみを同定するものであるか、或いは
アレル配列や近縁な配列も同定するものであるかが決まる。
【0197】 プローブは、近縁な配列を検出するためにも用いることができ、好ましくは、
HRGPをコードする任意の配列に基づくヌクレオチドを少なくとも50%含む
べきである。本発明のハイブリダイゼーションプローブは、配列番号:13、配
列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:
18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配
列番号:23、及び配列番号:24のヌクレオチド配列か、自然発生HRGPの
イントロン、プロモータ、及びエンハンサーエレメントを含むゲノムの配列に由
来するものであり得る。
【0198】 HRGPをコードするDNAに対して特異的なハイブリダイゼーションプロー
ブを作製するための手段としては、HRGPやHRGP誘導体をコードする核酸
配列を、mRNAプローブ生成のためのベクターにクローン化する方法がある。
このようなベクターは周知で市販されており、適切なRNAポリメラーゼや適切
な標識ヌクレオチドを付加することによりin vitroでのRNAプローブ合成のた
めに用いることができる。ハイブリダイゼーションプローブは様々なリポータ分
子により標識することができる。例えば、32Pや35Sのような放射性核種により
、アビジン/ビオチン結合系を介してプローブに結合するアルカリホスファター
ゼのような酵素標識等により標識することができる。
【0199】 HRGPをコードするポリヌクレオチド配列を、HRGPの発現の増加又は低
下の何れかに関連する状態、疾患、又は疾病の診断のために用いることができる
。そのような状態、疾患、又は疾病の例としては、以下に限定するものではない
が、 腺癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、及び奇形癌腫のような癌、
副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、軟骨、子宮頚、胆嚢、神経節、胃腸管、心臓
、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚
、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、及び子宮の癌; 例えば静座不能、アルツハイマー病、健忘症、筋萎縮性側索硬化症、双極性障
害、カタトニー、脳新生物、痴呆、うつ病、ダウン症候群、遅発性ジスキネジア
、ジストニー、てんかん、ハンチントン病、多発性硬化症、神経線維腫症、パー
キンソン病、妄想性精神病、分裂病、及びトゥーレット症状群のような神経疾患
;及び AIDS、アジソン病、成人呼吸窮迫症候群、アレルギー、貧血症、喘息、ア
テローム性動脈硬化症、気管支炎、胆嚢炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、アトピ
ー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺気腫、萎縮性胃炎、腎炎、痛風、グレーブス
病、過好酸球増加症、過敏性腸症候群、紅斑性狼瘡、多発性硬化症、重症筋無力
症、心筋炎又は心膜炎、変形性関節炎、骨粗鬆症、膵炎、多発性筋炎、リウマチ
性関節炎、強皮症、シェーグレン症候群、及び自己免疫性甲状腺炎等の疾病に関
連する免疫応答が挙げられる。HRGPをコードするポリヌクレオチド配列を、
患者の生検組織や体液を利用する、サザンブロット法或いはノーザンブロット法
、ドットブロット法或いは他の膜をベースにした技術や、PCR技術、ディップ
スティック試験法(試験紙法)、ピン技術、及びELISAアッセイや、マイク
ロアレイにおいて用いることによって、HRGP発現の変化を検出することがで
きる。このような定性的或いは定量的試験法は当分野では周知である。
【0200】 特定の実施態様では、種々の癌、特に上に列挙した癌の活性化即ち誘発を検出
するアッセイにおいてHRGPをコードするヌクレオチド配列が有用であり得る
。HRGPをコードするヌクレオチド配列を標準的な方法で標識し、ハイブリダ
イゼーション複合体の形成に適した条件の下で患者の体液や組織サンプルに加え
ることができる。適当なインキュベーション時間の経過後、このサンプルを洗浄
し、シグナルを定量して標準値と比較する。生検サンプルまたは抽出サンプルに
おけるシグナルの量が、比較できる対照サンプルのシグナル量と有意に異なって
いる場合、このヌクレオチド配列はサンプルのヌクレオチド配列とハイブリダイ
ズしており、サンプルのなかのHRGPをコードするヌクレオチド配列のレベル
の変化が生じていることは、関連する疾患の存在を示している。このようなアッ
セイは、動物実験、臨床試験、または個々の患者の治療のモニタリングにおいて
特定の治療上の処置の有効性を評価するために用いることもできる。
【0201】 HRGPの発現に関連する疾病の診断の基礎とするために、正常な、即ち標準
の発現プロフィールを確立する。この標準プロフィールは、動物或いはヒト何れ
かの正常な被験者から採取された体液或いは細胞の抽出物を、ハイブリダイゼー
ション或いは増幅に適した条件下でHRGPをコードする配列又はその断片と結
合することにより確立し得る。標準のハイブリッド形成量は、既知の量の実質的
に精製されたHRGPが用いられる実験で得られる値と、正常被験者で得られる
値とを比較することにより定量することができる。正常なサンプルから得られた
標準値は、疾病の症状を呈する患者のサンプルから得られる値と比較することが
できる。標準値と被験者値との偏差を用いて疾病の存在を確認する。
【0202】 一旦疾患が確認され、治療プロトコルが開始されると、ハイブリダイゼーショ
ンアッセイを定期的に反復して行って、患者における発現のレベルが正常な患者
において観察されるレベルに近づき始めたか否かを評価することができる。継続
的なアッセイから得られる結果を用いて、数日間或いは数ヶ月にわたる期間での
治療の効果を知ることができる。
【0203】 癌については、患者の生検組織において転写物が比較的多量に存在することが
、疾病の発生の素因を示す。つまり実際の臨床的症状が現れる前に疾病を検出す
る手段となり得る。このタイプの確定診断により、医療従事者が予防的処置を講
じたり、より早期に積極的な治療を開始し、癌の発生や更なる進行を予防するこ
とが可能となる。
【0204】 HRGPをコードする配列から設計されたオリゴヌクレオチドの別の診断目的
の使用法では、PCR法での利用があり得る。このようなオリゴマーは化学的に
合成したり、酵素を用いて作製したり、或いはin vitroで作製することができる
。オリゴマーは、好ましくは、特定の遺伝子或いは状態を特定するために最適な
条件下で用いられる2種のヌクレオチド配列、即ちセンス方向(5′→3′)の
ヌクレオチド配列及びアンチセンス方向(3′←5′)のヌクレオチド配列から
なる。また、同一の2種のオリゴマーや入れ子オリゴマーの組、或いはオリゴマ
ーの縮重プールを、近縁なDNAまたはRNA配列の検出及び/または定量のた
め低いレベルのストリンジェントな条件の下で用いることもできる。
【0205】 HRGPの発現を定量するために用いることができる方法として、放射標識(
radiolabeling)或いはビオチン標識したヌクレオチドの利用、対照の核酸の同 時増幅(coamplification)の利用、並びに実験結果を補完して引かれた標準の グラフ曲線の利用等がある(例えば、Melby, P.C.他(1993) J. Immunol. Method
s, 159:235-44及びDuplaa, C.他(1993) Anal. Biochem. 229-236参照)。多数の
サンプルの定量では、目的のオリゴマーが複数の希釈溶液中に存在し、分光光度
計を用いたり比色定量により迅速に定量することができるようなELISA形式
のアッセイを行うことによって一層定量のスピードを上げることができる。
【0206】 別の実施例では、ここに開示するポリヌクレオチド配列の何れかに由来するオ
リゴヌクレオチドまたはより大形の断片を、マイクロアレイにおけるターゲット
(標的)として用いることができる。マイクロアレイを用いることにより、多く
の遺伝子の発現レベルを同時にモニタし(転写物イメージを生成する)、また遺
伝子の変異体、変異及び多型を同定することができる。この情報は、遺伝子の機
能の決定や、疾病の遺伝的な基礎の理解、疾病の診断、及び治療薬の開発やその
活性のモニタリングのために利用することができる。
【0207】 或る実施例では、文献(例えば、Chee他 (1995) PCT出願WO95/11995、Lock
hart, D. J. 他(1996) Nat.Biotech. 14: 1675-1680及びSchena, M. 他(1996) P
roc. Natl. Acad. Sci. 93: 10614-10619参照)に記載の方法によりマイクロア レイを準備し、利用する。
【0208】 好ましくは、マイクロアレイは、固体支持体に固定された、通常は合成アンチ
センスオリゴヌクレオチドかcDNAの断片の何れかである、数多くの独特の一
本鎖の核酸配列から構成される。このオリゴヌクレオチドの長さは、好ましくは
6〜60個のヌクレオチドからなる長さ、より好ましくは15〜30個のヌクレ
オチドからなる長さ、最も好ましくは20〜25個のヌクレオチドからなる長さ
である。或るタイプのマイクロアレイでは、7〜10ヌクレオチドの長さしかな
いオリゴヌクレオチドを用いるのが好ましいことがある。マイクロアレイは、既
知の5’又は3’配列をカバーするオリゴヌクレオチド、完全長配列をカバーす
る連続的なオリゴヌクレオチド、又は配列の長さ方向に沿った特定の領域から選
択された独特のオリゴヌクレオチドを有し得る。マイクロアレイにおいて用いら
れるポリヌクレオチドは、少なくとも配列の断片が既知であるターゲットの遺伝
子又は遺伝子群に特異的なオリゴヌクレオチド、或いは特定の細胞の型、発達又
は疾病の状態について共通な1種又は2種以上の未同定cDNAに特異的なオリ
ゴヌクレオチドであり得る。
【0209】 マイクロアレイ用の既知の配列に対するオリゴヌクレオチドを作製するために
、コンピュータアルゴリズムを用いてヌクレオチド配列の5’またはより好まし
くは3’末端から目的の遺伝子を調べる。このアルゴリズムでは、その遺伝子に
独特でハイブリダイゼーションに適した範囲内のGC含量を有し、ハイブリダイ
ゼーションを妨げる可能性のある推定上の二次構造の無い、決まった長さのオリ
ゴマーを同定する。或る場合には、オリゴマーを、光照射化学プロセスを用いて
基板上の所定の領域において合成する。この基板は、紙、ナイロン、又は他のタ
イプのメンブラン、濾紙、チップ、スライドガラス、又は他の任意の適切な固体
支持体であり得る。
【0210】 別の実施態様では、オリゴマーを、文献(例えば、Baldeschweiler他(1995)P
CT出願WO95/251116参照)に記載のように化学結合プロシージャ及びインクジ ェット装置を用いることによって基板の表面上で合成することができる。別の実
施態様では、ドットブロット又はスロットブロット(HYBRIDOT(登録商標)装置
, GIBCO/BRL)に類似した「格子型」アレイを使用し、真空システム、熱、UV 、機械的又は化学的結合プロシージャを利用してcDNA断片又はオリゴヌクレ
オチドを基板の表面上に配置し結合させることができる。別の実施態様では、ア
レイは、手作業で製作するか、或いは市販の装置(スロットブロット又はドット
ブロット装置)、材料(任意の適切な固形支持体)、及び機械(Brinkmann(登 録商標)マルチチャネルピペッター又はロボット装置を含む)を用いることによ
り製作することができ、このアレイは市販の器具を効果的に使用できる、例えば
2から100万の範囲の任意の数のオリゴヌクレオチドを含み得る。
【0211】 マイクロアレイを用いてサンプルの解析を行うために、ポリヌクレオチドを生
物学的サンプルから抽出する。この生物学的サンプルは、体液(例えば血液、尿
、唾液、痰、胃液等)、培養された細胞、生検組織、又は他の組織調製物から得
ることができる。プローブを作製するため、サンプルから抽出したポリヌクレオ
チドを用いて、マイクロアレイ上の核酸に相補的な核酸配列を作り出す。マイク
ロアレイがcDNAからなる場合には、アンチセンスRNA(aRNA)が適切
なプローブである。従って或る実施態様では、mRNAを用いてcDNA作り出
し、このcDNAを蛍光標識したヌクレオチドの存在下で用いて、断片、即ちオ
リゴヌクレオチドaRNAプローブを作製する。これらの蛍光標識したプローブ
を、プローブの配列がマイクロアレイのcDNAオリゴヌクレオチドとハイブリ
ダイズするように、マイクロアレイとともにインキュベートする。別の実施態様
では、相補的核酸配列をプローブとして使用する。この相補的核酸配列には、ハ
イブリダイゼーション技術の領域で周知の制限酵素、PCR技術、及びOligolav
elingまたはTransProbeキット(Pharmacia)を用いて作製した、ポリヌクレオチ
ド、断片、相補的即ちアンチセンス配列も含まれる。
【0212】 ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーションが正確な相補的一致
をもって起こるか、或いは種々のより低いレベルの相補性で起こるように調節す
る。ハイブリダイズしたプローブを取り除いた後、スキャナーを用いて、蛍光の
レベル及びパターンを決定する。スキャンされたイメージを調べて、マイクロア
レイ上の各オリゴヌクレオチド配列の相補性の程度及び相対的な量を求める。検
出システムを用いることにより、全ての個別の配列について同時にハイブリダイ
ゼーションの不存在、存在、及び量を測定することができる。このデータは、サ
ンプルにおける配列、突然変異、変異体、又は多型についてのラージスケールの
相互関係の研究のために用いることができる(例えば、Heller, R.A.他 (1997)
Proc. Natl. Acad. Sci. 94:2150-55参照)。
【0213】 本発明の別の実施例では、HRGPをコードする核酸配列を用いて、自然発生
のゲノム配列マッピングのために有用なハイブリダイゼーションプローブを作り
出すこともできる。この配列は、特定の染色体、染色体の特定の領域、又は人工
染色体作製物にマッピングし得る。人工染色体作製物としては、例えばヒト人工
染色体(HACs)、酵母菌人工染色体(YACs)、細菌人工染色体(BAC
s)、細菌性P1作製物又は単染色体cDNAライブラリー等がある(例えば、
Price, C.M. (1993) Blood Rev. 7:127-134, 及びTrask, B.J. (1991) Trends G
enet. 7:149-154参照)。
【0214】 蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)は、他の物理的染色体マッピン グ技術及び遺伝子地図データと関連を有し得る(例えば、Verma他(1988)Human Chromosomes: A Manual of Basic Technique , Pergamon Press, New York, NY ”参照)。遺伝子地図データの例は、種々の科学誌や、Online Mendelian Inher
itance in Man(OMIM)に見ることができる。物理的染色体地図上でのHRGP をコードする配列の位置と特定の疾病(または特定の疾病の素因)との相関関係
を助けとして、或る遺伝病に関連するDNAの領域を決定することができる。本
発明のヌクレオチド配列を用いて、正常者、キャリア、または患者の遺伝子配列
の違いを検出することができる。
【0215】 染色体調製物のin situハイブリダイゼーションや、確立された染色体マーカ ーを用いる連鎖解析のような物理的マッピング技術を、遺伝子地図を拡大するた
めに用いることができる。多くの場合、特定のヒト染色体の数やアームが未知で
あっても、マウスのような別の哺乳動物の染色体上の遺伝子配置から、関連する
マーカーがわかる。新たな配列は、物理的マッピングにより染色体のアームまた
はその一部へ割当てることができる。これにより、位置クローニング或いは他の
遺伝子発見技術を用いて疾病遺伝子を調査する研究者に貴重な情報を提供するこ
とができる。例えば毛細血管拡張性運動失調(AT)が11q22-23に位置決定された
ように(例えば、Gatti, R.A.他(1988)Nature 336:577-580参照)、一旦疾患 或いは症候群が特定のゲノム領域に粗く位置決定されたならば、その領域にマッ
ピングされる任意の配列は、さらなる研究のための関連する遺伝子、或いは調節
遺伝子を表し得ることになる。本発明のヌクレオチド配列を、転座、逆位等によ
って生じた、正常者、キャリア、及び患者の間の染色体の位置の違いを検出する
ために用いることもできる。
【0216】 本発明の別の実施例では、HRGPや、その触媒作用性または免疫原性断片、
オリゴペプチドを、様々な薬物スクリーニング技術において化合物のスクリーニ
ングのために用いることができる。このようなスクリーニングにおいて用いられ
る断片は、溶液に遊離した形態で存在するか、固体支持体へ付着した形態で存在
するか、細胞表面へ付着した形態で存在するか、或いは細胞内に存在するもので
あり得る。HRGPと試験対象の薬剤との結合複合体形成を測定することができ
る。
【0217】 別の薬物スクリーニング技術によって、対象のタンパク質に対する適切な結合
親和性を有する化合物の高スループットのスクリーニングを行うことができる(
例えば、Geysen他(1984)PCT出願WO84/03564参照)。この方法では、HRGP
に適用する場合、多数の異なる小形の試験対象の化合物を、プラスチックピン或
いは他の表面のような固体基板上で合成する。この試験対象の化合物をHRGP
又はその断片と反応させ、洗浄する。次に結合したHRGPを当分野で周知の方
法により検出する。また、前述の薬物スクリーニング技術において使用するため
に、精製したHRGPをプレート上に直接コーティングすることもできる。或い
は、非中和抗体を用いてペプチドを捕捉し、固体基板上に固定することができる
【0218】 別の実施例では、HRGPに結合し得る中和抗体が、HRGPとの結合につい
て試験対象の化合物と特異的に競合する競合的薬物スクリーニングアッセイを用
いることができる。この方法では、抗体を用いて、HRGPの1または2以上の
抗原決定基を共通に有する任意のペプチドの存在を検出することができる。
【0219】 更に別の実施例では、現在までに開発されていない分子生物学上の技術であっ
ても、その新技術がヌクレオチド配列の現在までに知られている特性(例えば、
以下に限らないが、トリプレット遺伝暗号及び特異的塩基対合のような特性)に
基づく技術であるならば、その技術においてHRGPをコードするヌクレオチド
配列を用いることができる。
【0220】 以下の実施例は、本発明の単なる例示であり、本発明をこの実施例に限定しよ
うとするものではない。
【0221】
【実施例】
例示の目的のため、インサイトクローンNo. 1913206がそこから単離されたPRO
STUT04 cDNAライブラリーの調製及び配列決定について説明する。LIFESEQTM データベースにおけるライブラリーのcDNAの調製及び配列決定は時間の経過
とともに変化してきており、ライブラリーが作製され解析された特定の時期に利
用可能なキット、プラスミド、及び装置の使用は漸次変化する。
【0222】 1 PROSTUT04 cDNAライブラリーの作製 PROSTUT04 cDNAライブラリーを、年齢57歳の白人男性の前立腺癌組織か
ら作製した。外科手術として、根治的前立腺切除術、両睾丸の摘出、所属リンパ
節の切除を行った。病状報告は、左右両方の前立腺周囲における腺癌(Gleason グレード3+3)を示していた。神経周囲の浸潤が存在しており、前立腺周囲組
織に及んでいた。右骨盤リンパ節の1つ、左右の外科手術先端縁は腫瘍陽性であ
り、精嚢は陰性であった。患者の既往症として、アデノイド切除術を伴う扁桃摘
出術、虫垂切除術、及び大腸の良性新生物があった。前記患者は、I型糖尿病の
ためにインスリンを投薬されていた。患者の家族歴としては、患者の父親の前立
腺の悪性新生物、及び母親の合併症を伴わないI型糖尿病があった。
【0223】 冷凍組織を、BrinkmannホモジナイザーPOLYTRON-PT-3000(Brinkmann Instrum
ents, Westbury NY)を用いて、グアニジンイソチオシアネート溶液内でホモジ ナイズし、溶解した。StratageneのRNA単離プロトコル(Stratagene)に従っ
て、フェノールクロロホルムpH5.5で抽出し、次いで酸性フェノールpH4.7で抽出
した溶解産物に1.0mlの2M酢酸ナトリウムを加えた。Stratageneのプロトコルに 従って、等量のイソプロパノールでRNAを2回沈殿させた。RNAペレットを
、DEPC処理した水に再懸濁し、37℃で50分間DNアーゼで処理した。等量の酸性
フェノールを用いてこの反応を止めた。RNAを、0.3Mの酢酸ナトリウムと2.5 倍量のエタノールを用いて沈殿させ、DEPC処理した水に再懸濁した。RNAをQi
agen Oligotexキット(QIAGEN Inc, Chatworth, CA)を用いて単離し、それを用
いてcDNAライブラリーを作製した。
【0224】 このRNAは、SuperScript Plasmid System for cDNA synthesis and plasmi
d cloning(品番18248-013, Gibco/BRL)の推奨プロトコルに従って取り扱った 。cDNAをSepharose CL4Bカラム(品番275105-01; Pharmacia)上で分画化し
、400bpを越えるcDNAをpSport Iに連結した。次にこのプラスミドpSpo
rt IをDH5αTMコンピテント細胞(品番18258-012; Gibco/BRL)に形質転換した 。
【0225】 2 cDNAクローンの単離及び配列決定 プラスミドDNAはこの細胞から放出され、これをREAL Prep 96 Plasmid Kit
(Catalog #26173,QIAGEN, Inc., Chatsworth, CA)を用いて精製した。このキ ットは、マルチチャネル試薬ディスペンサを用いて96穴ブロックにおける96
個のサンプルの同時増幅が可能なものであった。推奨プロトコルを利用したが、
以下の点を変更した。(1)25mg/Lのカルベニシリン及び0.4%のグリ
セロールを含む1mlの滅菌Terrific Broth (品番22711, Gibco/BRL)におい て細菌を培養した。(2)植菌の後、培溶液を19時間インキュベートし、イン
キュベーションの終了時に、この細胞を0.3mlの溶解バッファーに溶解した
。(3)イソプロパノール沈殿を行った後、プラスミドDNAのペレットを0.
1mlの蒸留水に再懸濁した。プロトコルの最終ステップの後、サンプルを96
穴ブロックに移し4℃で保管した。
【0226】 このcDNAの配列決定は、Peltier Thermal Cyclers (MJ Research, Water
town, MA製のPTC200)及びApplied Biosystems社製の377 DNA Sequencing Syste
msと組み合わせてHamilton Micro Lab 2200 (Hamilton, Reno, NV)を用いて、
Sangerらの方法(1975, J. Mol. Biol.94:441f)により行い、読み枠を決定した
【0227】 3 cDNAクローン及びそれらの類推されるタンパク質の相同性検索 配列表のヌクレオチド配列及び、それらから類推されるアミノ酸配列を問い合
わせ配列として用いて、例えばGenBank、SwissProt、BLOCKS、及びPima IIのよ うなデータベースを検索した。これらのデータベースには既に同定された配列が
注釈付きで含められており、BLAST(Basic Local Alignment Toolを表す)を用 いて相同性(類似性)を有する領域をこのデータベースのなかから検索した(Al
tschul. S.F. (1993) J. Mol. Evol. 36:290-300; Altschul他(1990) J. Mol. B
iol. 215:403-10)。
【0228】 BLASTは、ヌクレオチド及びアミノ酸配列の両方のアライメントを作成して配 列の類似性を決定する。そのアライメントの局所的性質のために、BLASTは正確 な一致、すなわち原核生物(細菌)や真核生物(動物、菌類、又は植物)を起源
とするホモログを特定する際に特に有効である。一次配列パターンや二次構造の
ギャップペナルティを処理する際には、他のアルゴリズムを用いることができる
(例えば、Smith, T他(1992) Protein Engineering 5:35-51参照)に記載のよう
な。本明細書に開示された配列の長さは少なくとも49ヌクレオチドであり、不
必要な塩基は12%以下である(ここでNはA、C、G、又はT以外と記録され
たものである)。
【0229】 BLAST法は、問い合わせ配列とデータベースの配列の一致を検索し、発見した あらゆる配列の一致の統計的有意性を評価して、ユーザが選択した有意性の閾値
を満たす一致のみを報告する。本出願での閾値は、ヌクレオチドで10-25、ペ プチドで10-14に設定した。
【0230】 インサイト社のヌクレオチド配列を、霊長類(pri)、げっ歯類(rod)、及び
他の哺乳類配列(mam)のGenBankデータベースで検索し、次に同じクローンから
類推されるアミノ酸配列を、GenBankの機能性タンパク質データベース、哺乳類 (mamp)、脊椎動物(vrtp)、及び真核生物(eukp)で、相同性について検索し
た。
【0231】 4 ノーザン法による解析 ノーザン法解析は、遺伝子の転写物の存在を検出するために用いられる実験技
術であり、標識されたヌクレオチド配列と、特定の細胞タイプまたは組織のRN
Aが結合しているメンブランとのハイブリダイゼーションを行う(Sambrook他、
前出)。
【0232】 BLASTを用いる類似のコンピュータ技術を用いて、GenBankまたはLIFESEQTMデ ータベース(Incyte Pharmaceuticals)のようなデータベースにおいて同一のま
たは近縁な分子を検索する。この解析は、多くの膜を用いるハイブリダイゼーシ
ョンより非常に短時間で行うことができる。更に、コンピュータ検索の感度を変
更して、ある特定の一致が正確な一致に分類されるか、相同的に分類されるかを
決定することができる。
【0233】 検索の基準値は、積スコア(product score)であり、これは以下の式で定義 されるものである。 (配列の一致(%)×最大BLASTスコア(%))/100 この積スコアでは、2つの配列間の類似性の程度、及び配列の長さの一致の双方
が考慮される。例えば、積スコアが40の場合は、一致は誤差が1〜2%の範囲
で正確であり、スコアが70の場合は正確に一致している。相同な分子は、通常
積スコアとして15〜40を示すものを選択することにより同定されるが、これ
よりスコアの低いものは近縁な分子として同定される。
【0234】 ノーザン解析の結果は、HRGPをコードする転写物が発生するライブラリー
のリストとして報告される。配列の存在量(abundance)、及びパーセント存在 率(percent abundance)のリストも報告される。存在量は、特定の転写物の検 出回数を直接反映し、パーセント存在率は、存在量をcDNAライブラリー内で
検出された配列の総数で除したものである。
【0235】 5 HRGPをコードする配列の延長 本発明のポリヌクレオチドの1つの配列を用いて、部分的ヌクレオチド配列を
完全長まで伸長させるためのオリゴヌクレオチドプライマーを設計した。一方の
プライマーはアンチセンス方向の延長を開始するために合成し、他方のプライマ
ーはセンス方向に配列を延長するために合成した。これらのプライマーを用いて
、既知のHRGP配列を「外側に」延長し、興味の対象の領域の新しい未知のヌ
クレオチド配列を含むアンプリコンを生成した。初めのプライマーは、OLIGO 4.
06(National Biosciences社)、或いは他の適切なプログラムを用いて設計した
もので、約22個から約30個のヌクレオチドからなる長さで、50%以上のG
C含量を有し、かつ約68〜約72℃の温度で標的配列にアニールするように設
計した。ヘアピン構造及びプライマー−プライマー二量体化を生じるようなあら
ゆるヌクレオチドのストレッチは除いた。
【0236】 選択されたヒトcDNAライブラリー(Gibco/BRL)を用いて、この配列を延 長した。2段階以上の延長が必要または望ましい場合は、既知領域をさらに延長
するための追加のプライマーの組を設計する。
【0237】 XL-PCRキット(Perkin Elmer)の説明書の指示に従って、酵素と反応混合物と
を徹底的に混合することにより、高い忠実度の増幅がなされる。40pmolの
各プライマーと、推奨された濃度のキットの他の全ての成分とから増幅を開始す
る場合、Peltier Thermal Cycler(PTC200;M.J. Reserch, Watertown MA)を用
いて、以下のパラメータ、即ち ステップ1 94℃で1分間(初期変性) ステップ2 65℃で1分間 ステップ3 68℃で6分間 ステップ4 94℃で15秒間 ステップ5 65℃で1分間 ステップ6 68℃で7分間 ステップ7 ステップ4〜6をさらに15サイクル反復 ステップ8 94℃で15秒間 ステップ9 65℃で1分間 ステップ10 68℃で7分15秒間 ステップ11 ステップ8〜10を12サイクル反復 ステップ12 72℃で8分間 ステップ13 4℃(その温度を保持) でPCRを行った。
【0238】 反応混合物の5〜10μlのアリコットを、低濃度(約0.6〜0.8%)ア
ガロースミニゲル上での電気泳動で解析して、配列を延長する反応が成功したか
否かを決定した。最も大きな生成物即ちバンドを選択して、ゲルから切り出し、
QIAQuickTM(QIAGEN Inc., Chatsworth, CA)を用いて精製し、Klenow酵素を用 いて一本鎖ヌクレオチドの延び出し(overhang)を切り取って、再結合及びクロ
ーニングを容易にする平滑末端を作った。
【0239】 エタノール沈殿の後、生成物を13μlの連結バッファーに再溶解し、1μl
のT4−DNAリガーゼ(15単位)及び1μlのT4ポリヌクレオチドキナー
ゼを加えて、その混合物を室温で2〜3時間、或いは16℃で終夜インキュベー
トした。コンピテントな大腸菌細胞(40μlの適切な培養液内にある)を、3
μlのライゲーション混合物を用いて形質転換し、80μlのSOC培地(Semb
rook他、前出)で培養した。37℃で1時間のインキュベーションの後、全ての
形質転換混合物を、2xCarbを含むLuria Bertani(LB)寒天(Sembrook他、前 出)上にのせた。後日、いくつかのコロニーを各プレートから無作為に選択し、
適切な市販の無菌の96穴マイクロタイタープレートの各のウェル内に入れられ
た150μlの液状LB/2xCarb培地で培養した。さらに後日、各5μl
の終夜の培養物を非滅菌96穴プレート内に移し、水で1:10に希釈した後、
それぞれ5μlのサンプルをPCRアレイに移した。
【0240】 PCR増幅のため、4単位のrTth DNAポリメラーゼを含む18μlの濃縮 PCR反応混合物(3.3x)、ベクタープライマー、並びに延長反応に用いら
れる遺伝子に特異的なプライマーの一方或いは両方を各ウェルに加えた。増幅は
、以下の条件、即ち ステップ1 94℃で60秒間 ステップ2 94℃で20秒間 ステップ3 55℃で30秒間 ステップ4 72℃で90秒間 ステップ5 ステップ2〜4をさらに29サイクル反復 ステップ6 72℃で180秒間 ステップ7 4℃(そのまま保持) で行った。
【0241】 PCR反応物のアリコットを、分子量マーカーと共にアガロースゲル上を走ら
せた。PCR生成物のサイズを元の部分的cDNAと比較して、適切なクローン
を選択し、プラスミドに結合して、配列決定を行った。
【0242】 同様に、本発明のヌクレオチド配列の1つを用いて、上述の手順を用いて5′
調節配列を得ること、5′方向の延長のために設計されたオリゴヌクレオチドを
得ること、及び適切なゲノムライブラリーを得ることが可能である。
【0243】 6 ハイブリダイゼーションプローブの標識及び使用 本発明のヌクレオチド配列の1つから作られたハイブリダイゼーションプロー
ブを用いて、cDNA、mRNA並びにゲノムDNAをスクリーニングする。約
20の塩基対からなるオリゴヌクレオチドの標識について特に記すが、より大き
なcDNAフラグメントの場合でも概ね同じ手順を用いる。OLIGO4.06(Nationa
l Bioscience)のような最新式のソフトウェアを用いてオリゴヌクレオチドを設
計し、それぞれ50pmolのオリゴマーと、250μCiの[γ‐32P]アデノ
シン三リン酸(Amersham)及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ(DuPont NEN、Bo
ston MA)とを結合することによって標識する。標識されたオリゴヌクレオチド を、Sephadex G-25超微粒子樹脂カラム(Pharmacia & Upjohn)を用いて精製す
る。毎分107カウントの標識されたプローブを含むアリコットを、エンドヌク レアーゼAseI,Bgl II,EcoRI,Pst I,Xba1或いはPvuII;DuPont NENの1つを 用いて消化したヒトゲノムDNAの一般的な膜を用いるハイブリダイゼーション
解析において用いる。
【0244】 各消化物からのDNAを、0.7%アガロースゲル上で分画化して、ナイロン
膜(Nytran Plus, Schleicher & Schuell, Durham NH)にトランスファーする。
ハイブリダイゼーションは40℃で16時間かけて行う。非特異的シグナルを取
り除くため、ブロットを、0.1xクエン酸ナトリウム水及び0.5%ドデシル
硫酸ナトリウムまでの、段階的にストリンジェンシーが増す条件下で室温にて順
次洗浄する。XOMAT ARTMフィルム(Kodak, Rochester, NY)を、Phosphoimager カセット(Molecular Dynamics, Sunnyvale, CA)においてブロットに数時間露 光した後、ハイブリダイゼーションパターンを視覚的に比較する。
【0245】 7 マイクロアレイ マイクロアレイ用のオリゴヌクレオチドを作製するために、配列番号:2を、
ヌクレオチド配列の3’末端からコンピュータアルゴリズムを用いて調べる。こ
のアルゴリズムは、その遺伝子に独特で、ハイブリダイゼーションに適した範囲
内のGC含量を有し、且つハイブリダイゼーションを妨げるような推定上の2次
構造が存在しない、決まった長さのオリゴマーを同定する。このアルゴリズムは
、長さ20ヌクレオチドの(20量体)20個の配列特異的オリゴヌクレオチドを同定
する。各配列の中央の1個のヌクレオチドだけが変化して他は一致しているオリ
ゴヌクレオチドの組を作製する。このプロセスはマイクロアレイにおける各遺伝
子について反復され、20個の20量体の組が2組、光照射化学プロセスを用いてシ
リコンチップの表面上で合成され配列される(Chee, M.他 PCT/WO95/11995)。
【0246】 別法では、化学結合プロシージャ及びインクジェット装置を用いて、基板の表
面上でオリゴマーを合成する(Baldeschweiler, J.D.他 PCT/WO95/25116)。更 に別の方法では、ドットブロット法(スロットブロット法)で用いるものに類似
した「格子型」アレイを用いて、真空システム、熱、UV、機械的又は化学的結
合プロシージャを用いて、cDNA断片又はオリゴヌクレオチドを基板の表面に
配置し結合させる。アレイは、手作業により、又は市販の材料及び機械を用いる
ことによって製作することができ、任意の適切な数の断片又はオリゴヌクレオチ
ドを含み得る。ハイブリダイゼーションの後、マイクロアレイを洗浄してハイブ
リダイズしていないプローブを取り除き、スキャナーを用いて蛍光のレベル及び
パターンを求める。スキャンされた画像を調べて、マイクロアレイ上の各オリゴ
ヌクレオチド配列の相補性の程度及び相対的な量/発現レベルを求める。
【0247】 8 相補的ポリヌクレオチド HRGPをコードする配列或いはその任意の一部分に相補的な配列は、自然発
生のHRGPの発現を低下、即ち阻害するために用られる。約15〜約30塩基
対からなるオリゴヌクレオチドの使用について特に記すが、より小さな或いはよ
り大きな配列フラグメントの場合でも基本的に同じ方法を用いることができる。
Oligo4.06ソフトウェア及び本発明のヌクレオチドの何れか1つの配列を用いて 、適切なオリゴヌクレオチドを設計する。転写を阻害するためには、最も独特な
5′配列から相補的なオリゴヌクレオチドを設計し、これを用いてプロモーター
が結合しないようにする。翻訳を阻害するためには、相補的なオリゴヌクレオチ
ドを設計して、リボソームがHRGPをコードする転写物に結合しないようにす
る。
【0248】 9 HRGPの発現 HRGPの発現は、cDNAを適切なベクター内にサブクローニングし、その
ベクターを宿主細胞にトランスフェクトすることによって達成される。この場合
、大腸菌においてHRGPを発現させるためにクローニングベクターも用いられ
る。このベクターは、クローニング部位の上流において、β−ガラクトシダーゼ
のプロモータを有し、その後ろのアミノ基末端Met、それに後続するβ−ガラク トシダーゼの7つの残基を有する。これら8つの残基に後続するのは、転写に役
立つバクテリオファージプロモーター及び多くの独特の制限部位を含むリンカー
である。
【0249】 形質転換された菌株を単離し、それを標準的な方法でIPTGで誘導して、初
めのβガラクトシダーゼの7残基、約5〜15残基のリンカー、及び完全長タン
パク質からなる融合タンパク質を作り出す。このシグナル残基群は、細菌増殖培
地へのHRGPの分泌を誘導し、この培地は次の活性のアッセイにおいて直接用
いることができる。
【0250】 10 HRGP特異的抗体の産生 標準的なプロトコルを用いて、PAGE電気泳動法(Sambrook, 前出)を用いて実
質的に精製されたHRGPを用いてウサギを免疫化し、抗体を作り出す。本発明
のヌクレオチド配列の1つから類推されるアミノ酸配列をDNASTARソフトウエア (DNASTAR Inc.)を用いて解析して免疫原性の高い領域を決定し、対応するオリ
ゴペプチドを合成し、当業者に周知の方法でこれを用いて抗体を産生させる。適
切なペプチド配列の選択及び抗体の産生の技術は当業者に周知である。C末端付
近のエピトープ或いは親水性領域内のエピトープのような適切なエピトープの選
択については、Ausubel他(前出)や他の文献に記載されている。
【0251】 一般的に、15残基の長さを有するオリゴペプチドを、Applied Biosystemsの
ペプチドシンセサイザModel 431Aを用いてfmoc法のケミストリにより合成し
、M−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS
:Ausubel他、前出)を用いる反応によってキーホールリンペットヘモシニアン (KLH、Sigma, St. Louis, MO)に結合する。フロイントの完全アジュバント
中のオリゴペプチド−KLH複合体を用いてウサギを免疫化する。得られた抗血
清の抗ペプチド活性を試験するには、例えばペプチドをプラスチックに結合し、
1%BSAでブロックし、ウサギ抗血清と反応させて洗浄し、さらに放射性ヨウ
素標識したヤギ抗ウサギIgGと反応させる。
【0252】 11 特異的抗体を用いる自然発生HRGPの精製 自然発生のHRGP或いは組換えHRGPを、HRGPに特異的な抗体を用い
るイムノアフィニティークロマトグラフィにより実質的に精製する。イムノアフ
ィニティーカラムは、CnBr-活性化 Sepharose(Pharmacia & Upjohn)のような 活性化クロマトグラフィーレジンとHRGP抗体とを共有結合で結合させること
により構築する。結合の後、そのレジンを使用説明書の指示に従って、ブロック
し洗浄する。
【0253】 HRGPを含む培養液をイムノアフィニティーカラムに通し、そのカラムをH
RGPを優先的に吸着できる条件下で(例えば界面活性剤の存在下において高イ
オン強度バッファーで)洗浄する。このカラムを、抗体とHRGPとの結合を切
るような条件下(例えばpH2〜3のバッファー、或いは高濃度の尿素またはチ
オシアン酸塩イオンのようなカオトロピックイオン)で溶出させ、HRGPを回
収する。
【0254】 12 HRGPと相互作用する分子の同定 HRGP又は生物学的に活性なその断片を、125Iボルトンハンター試薬(Bol
ton 他 (1973) Biochem. J. 133:529)で標識する。マルチウェルプレートのウ ェルに予め配列しておいた候補の分子を、標識したHRGPとともにインキュベ
ートし、洗浄して、標識HRGP複合体を有するウェルをアッセイする。異なる
濃度のHRGPを用いて得られたデータを用いて、候補の分子とHRGPの会合
、親和性、数の数値を計算する。
【0255】 上記のすべての刊行物及び特許明細書は、引用により本明細書の一部とする。
本発明の範囲及び精神から逸脱しない本明細書に記載した本発明の方法及びシス
テムの様々な改変は、当業者には明らかであろう。本発明は、特に好適な実施例
に関連して説明されているが、本発明の真の範囲は、そのような特定の実施例に
不当に制限されるべきではないことを理解されたい。実際に、分子生物学或いは
関連分野の専門家には明らかな本発明の実施形態の様々な改変は、請求の範囲内
に含まれるものである。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/47 C12N 1/15 4C084 16/18 1/19 4H045 C12M 1/00 1/21 C12N 1/15 C12P 21/02 C 1/19 C12Q 1/68 A 1/21 C12N 15/00 ZNAA 5/10 A61K 37/02 C12P 21/02 C12N 5/00 A C12Q 1/68 F (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 バンドマン、オルガ アメリカ合衆国カリフォルニア州94043・ マウンテンビュー・アンナアベニュー 366 (72)発明者 ヒルマン、ジェニファー・エル アメリカ合衆国カリフォルニア州94040・ マウンテンビュー・#12・モンロードライ ブ 230 (72)発明者 オウ−ヤング、ジャニス アメリカ合衆国カリフォルニア州94702・ バークレイ・カインズアベニュー 1419 (72)発明者 タング、トム・ワイ アメリカ合衆国カリフォルニア州94087・ サニーベイル・#14・イーストレミントン ドライブ 110 (72)発明者 ユエ、ヘンリー アメリカ合衆国カリフォルニア州94087・ サニーベイル・ルイスアベニュー 826 (72)発明者 シャー、パルビ アメリカ合衆国カリフォルニア州94087・ サニーベイル・#5・クイーンシャルロッ トドライブ 1608 (72)発明者 ゲグラー、カール・ジェイ アメリカ合衆国カリフォルニア州94025・ メンロパーク・オークランドアベニュー 1048 (72)発明者 コーレイ、ニール・シー アメリカ合衆国カリフォルニア州94040・ マウンテンビュー・#30・デールアベニュ ー 1240 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA44 BA80 CA04 CA09 CA12 DA02 DA05 DA11 EA04 FA01 GA01 GA11 HA01 HA03 4B029 AA07 BB20 CC03 FA12 4B063 QA01 QA19 QQ01 QQ42 QQ52 QR08 QR42 QR56 QR59 QR62 QR80 QS05 QS25 QS36 QX01 4B064 AG01 AG27 CA01 CA19 CA20 CC24 DA01 DA13 4B065 AA01X AA57X AA87X AB01 AB02 BA02 BA08 CA24 CA25 CA44 CA46 4C084 AA02 AA07 AA17 BA01 BA08 BA13 BA22 CA18 DC50 NA14 ZB071 ZB261 4H045 AA10 AA11 BA10 CA40 DA76 EA20 EA50 FA72 FA74

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:
    4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9
    、配列番号:10、配列番号:11、及び配列番号:12からなる群から選択さ
    れたアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、実質的に精製されたヒト・調節
    タンパク質(HRGP)。
  2. 【請求項2】 請求項1のHRGPをコードするポリヌクレオチドに、ス
    トリンジェントな条件の下でハイブリダイズする、単離され精製されたポリヌク
    レオチド。
  3. 【請求項3】 配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列
    番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:2
    0、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、及び配列番号:24か
    らなる群から選択された核酸配列を有する、単離され精製されたポリヌクレオチ
    ド。
  4. 【請求項4】 請求項1のHRGPをコードするポリヌクレオチドの少な
    くとも1つの少なくとも断片を含むマイクロアレイ。
  5. 【請求項5】 請求項3のポリヌクレオチドの核酸配列に相補的な核酸配
    列を有する、単離され精製されたポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 請求項3のポリヌクレオチドを含む組成物。
  7. 【請求項7】 請求項3のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  8. 【請求項8】 請求項7のベクターを含む宿主細胞。
  9. 【請求項9】 ヒト・調節タンパク質をコードするポリペプチドの製造方
    法であって、 (a)前記ポリペプチドの発現に適した条件の下で請求項8の宿主細胞を培養
    する過程と、 (b)前記宿主細胞の培地から前記ポリペプチドを回収する過程とを有するこ
    とを特徴とするヒト・調節タンパク質をコードするポリペプチドの製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1の実質的に精製されたヒト・調節タンパク質を
    、適切な医薬用担体と共に含む医薬品組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1のヒト・調節タンパク質に特異的に結合する精
    製された抗体。
  12. 【請求項12】 請求項1のヒト・調節タンパク質の精製されたアゴニス
    ト。
  13. 【請求項13】 請求項1のヒト・調節タンパク質の精製されたアンタゴ
    ニスト。
  14. 【請求項14】 細胞増殖を刺激する方法であって、 細胞に、請求項1のヒト・調節タンパク質を有効な量与える過程を含む、細胞
    増殖を刺激する方法。
  15. 【請求項15】 癌の処置又は予防方法であって、 そのような処置が必要な患者に、請求項10の医薬品組成物を有効な量投与す
    る過程を含む、癌の処置又は予防方法。
  16. 【請求項16】 癌の処置又は予防方法であって、 そのような処置が必要な患者に、請求項13のアンタゴニストを有効な量投与
    する過程を含む、癌の処置又は予防方法。
  17. 【請求項17】 免疫応答の処置又は防止方法であって、 そのような処置が必要な患者に、請求項13のアンタゴニストを有効な量投与
    する過程を含む、免疫応答の処置又は防止方法。
  18. 【請求項18】 生物学的サンプル中のヒト・調節タンパク質をコードす
    る核酸配列の検出方法であって、 (a)請求項5のポリヌクレオチドと、前記生物学的サンプルの核酸配列とを
    ハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複合体を形成する過程と、 (b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する過程であって、前記ハイ
    ブリダイゼーション複合体の存在が、前記生物学的サンプル中のヒト・調節タン
    パク質をコードする核酸配列の存在と相互関係を有する、該過程とを含むことを
    特徴とする生物学的サンプル中のヒト・調節タンパク質をコードする核酸配列の
    検出方法。
  19. 【請求項19】 生物学的サンプル中のヒト・調節タンパク質をコードす
    る核酸配列の発現レベルを検出する方法であって、 (a)前記生物学的サンプルの核酸配列と、請求項5のポリヌクレオチドとを
    ハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複合体を形成する過程と、 (b)前記ハイブリダイゼーション複合体の存在を特定することによって、前
    記生物学的サンプル中のヒト・調節タンパク質をコードする核酸配列の存在を判
    定する過程とを有することを特徴とする生物学的サンプル中のヒト・調節タンパ
    ク質をコードする核酸配列の発現レベルを検出する方法。
  20. 【請求項20】 ハイブリダイゼーションを行う過程の前に、前記生物学
    的サンプルの前記ポリヌクレオチドを、ポリメラーゼ連鎖反応法により増幅し、
    標識することを特徴とする請求項19に記載の方法。
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