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JP2001330976A - フルカラー電子写真装置 - Google Patents

フルカラー電子写真装置

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Publication number
JP2001330976A
JP2001330976A JP2000152179A JP2000152179A JP2001330976A JP 2001330976 A JP2001330976 A JP 2001330976A JP 2000152179 A JP2000152179 A JP 2000152179A JP 2000152179 A JP2000152179 A JP 2000152179A JP 2001330976 A JP2001330976 A JP 2001330976A
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Japan
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full
electrophotographic apparatus
color electrophotographic
group
image forming
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Application number
JP2000152179A
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Inventor
Tatsuya Niimi
達也 新美
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
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Publication of JP2001330976A publication Critical patent/JP2001330976A/ja
Publication of JP2001330976A5 publication Critical patent/JP2001330976A5/ja
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  • Discharging, Photosensitive Material Shape In Electrophotography (AREA)
  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Color Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高耐久で繰り返し使用に対し安定な画像を形
成可能で、かつ低コストな高速フルカラー用電子写真装
置を提供すること。 【解決手段】 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現
像手段、転写手段、および電子写真感光体を具備してな
る画像形成要素を複数配列したフルカラー電子写真装置
であって、黒色トナー像を形成する画像形成要素に搭載
された感光体の感光層の膜厚が、黒色以外のトナー像を
形成する画像形成要素に搭載された感光体の感光層の膜
厚より厚いことを特徴とするフルカラー電子写真装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンデム型電子写
真方式の画像形成装置に関する。詳しくは、高速フルカ
ラーの画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式を利用したフルカラー画像
形成装置としては、一般的には2つの方式が知られてい
る。1つはシングル方式あるいはシングルドラム方式と
呼ばれるものであり、装置中に1つの電子写真感光体が
搭載され、4色の現像部材が搭載されたものである。こ
の方式においては、感光体上もしくは被転写部材(出力
用の紙に直接、あるいは中間転写体に一旦転写され、そ
の後に紙に転写される)に4色(シアン、マゼンタ、イ
エローおよびブラック)のトナー像が形成される。この
場合、感光体の周りに配置される帯電部材、露光部材、
転写部材、クリーニング部材、定着部材は共通化するこ
とが可能で、後述のタンデム方式に比べ、小型で、低コ
ストに設計することが可能である。
【0003】一方、もう1つの方式としてタンデム方式
あるいはタンデムドラム方式と呼ばれるものがある。こ
れは、少なくとも装置中に複数の電子写真感光体が搭載
されたものである。一般的には、1本のドラムに対し、
帯電、露光、現像、クリーニングの各部材が1つずつ配
置され、1つの電子写真要素を形成し、これが複数個
(一般的には4つ)搭載されている。この方式において
は、1つの電子写真要素で1色のトナー像を形成し、順
次、被転写体にトナー像を転写し、フルカラー像を形成
する。この方式のメリットは、第1に高速画像形成が可
能であることが挙げられる。これは上述のように、各色
のトナー像を並列処理にて作製できるためである。この
ため、シングル方式に比べ、画像形成処理時間がおよそ
4分の1の時間で済み、4倍の高速プリントに対応が可
能になる。第2のメリットは、感光体をはじめとする前
記電子写真要素中に具備された各部材の耐久性を実質的
に高められるということである。これは、シングル方式
においては、1本の感光体で4回の帯電、露光、現像の
各工程を行ない、1つのフルカラー像を形成するのに対
し、タンデム方式では上記動作を1本で1回しか行なわ
ないからである。
【0004】ところが、装置全体が大きくなってしまう
という、またコストが高いものになってしまうというデ
メリットも併せ持っている。装置全体が大きくなる点に
関しては、感光体を小径化し、感光体の周りに設置され
る各部材を小型化し、1つの電子写真要素を小さくする
ことで対応が行なわれてきた。これにより、装置の小型
化のみならず材料費の低減といった効果も生じ、装置全
体としての低コスト化も多少進んだ。しかしながら、装
置のコンパクト化・小型化に伴い、電子写真要素に搭載
された感光体を含めた各部材の耐久性を上げなければな
らないという、新しい課題も新たに発生した。
【0005】このような課題に対し、無機系光導電材料
の代表であるアモルファスシリコンを用いた画像形成装
置も提案されているが、光導電層にアモルファスシリコ
ンを用いた感光体は、帯電能が低く、シアン、マゼン
タ、イエローの各色においてコントラストが得られない
という問題点がある。この問題に対し、特開平10−3
33393号公報には、黒色トナー像を使用する感光体
に特定の膜厚以上のアモルファスシリコン感光体を用
い、他のカラー3色用としてOPC(有機感光体)を用
いる技術が記載されている。この場合、アモルファスシ
リコン感光体の帯電能の低さをカバーするために、OP
Cとアモルファスシリコン感光体の帯電差を所定(20
0V)以下にコントロールして用いるものであった。ま
た、特開平11−82599号公報には、黒色トナー像
を使用する感光体に特定の膜厚以上のa−SiC光導電
層からなるものを使用する技術が記載されている。この
場合にも、黒色トナー像を使用する感光体の電位コント
ロールを行なうものであった。
【0006】いずれもフルカラープリンタもしくは複写
機において、出力される原稿のうち、モノクロ(黒色)
印字の割合が多く、黒色トナー像を形成する感光体の耐
久性を高めることで、実質的にシステム全体の耐久性を
高めようとするものである。この考え方はコストを考慮
した寿命設計上、極めてリーズナブルな考え方である。
しかしながら、1つの画像形成装置中に複数個の画像形
成要素を用い、お互いに光導電層が異なる感光体を設置
すると、それぞれの特性差により所望通りの着色が得ら
れない問題が発生する。この点に関しては、前記公報中
にも記載がある。この点に関し、前記公報記載の技術
は、特定の電位コントロールを行なうことにより、この
欠点をカバーするものであった。
【0007】しかしながら上記記載の技術では、画像形
成装置の使用環境が変化した場合、感光体の特性が変化
してしまい、必ずしも狙い通りのコントロールが得られ
ない場合が存在する。また、特定の電位コントロールを
行なう機能が必要になり、コスト高になってしまう。更
に、2種類の感光体を用いることにより、感光体の製造
コストが高くなる。特に、有機材料で形成されたOPC
は、大量生産に向いた湿式塗工法により作製され、製造
コストが比較的安価で済むことに比べ、アモルファスシ
リコンに代表わされる無機系の光導電層を有する感光体
は、一般的に真空薄膜形成法により成膜されるため、非
常に高価な設備を必要とし、バッチ方式になってしまう
ため、生産性が低いものになってしまう。以上のような
点に鑑み、フルカラータンデム型電子写真装置の低コス
トでの高耐久化が要望されるものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高耐
久で繰り返し使用に対し安定な画像を形成可能で、かつ
低コストな高速フルカラー用電子写真装置を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決しようとする手段】前記の過去に行なわれ
てきた結果を踏まえ検討を重ねた結果、少なくとも低コ
スト、高速フルカラー対応、高耐久の3つの柱を満足す
るためには、以下の条件が必要不可欠であることが分か
った。 すなわち、1.タンデム型電子写真装置(画像形成装
置)を低コストで高耐久化するためには、耐久性の律速
である黒トナー像を形成する画像形成要素の耐久性を向
上することが必要である。具体的には、黒トナー像を形
成する画像形成要素の寿命を、他の3色のカラートナー
像を形成する画像形成要素の寿命の2倍程度に高めるこ
とが必要である。 2.電子写真装置の使用環境がいろいろ変化することに
対応するためには、複数の画像形成要素の環境に対する
特性の変化(特に帯電性と光減衰特性が重要)がほぼ同
一である必要がある。 3.低コスト実現に関しては、材料及び製造コストの安
い有機系光導電材料を用い、湿式塗工方法にて感光体を
作製し、感光層そのものの静電的高耐久化も併せて発現
させる必要がある。上記の設計指針に基づき、タンデム
型フルカラー電子写真装置に使用する画像形成要素の構
成について検討した結果、複数の画像形成要素に搭載さ
れる感光体の感光層を有機光導電材料で構成し、複数本
とも同一材料を使用した構成にする。黒トナー像用画像
形成要素に搭載される感光体の高耐久化を実現するため
に、黒トナー像用画像形成要素に搭載される感光体の感
光層(積層構成の場合には電荷輸送層)の膜厚を、黒以
外のトナー像黒トナー像用画像形成要素に搭載される感
光体の感光層の膜厚よりも厚い構成とする。この際、黒
色トナー像用感光体は、初期及び繰り返し使用時におけ
る光減衰特性および帯電性が黒色以外のトナー像用感光
体と互換性であることが重要である。
【0010】過去のタンデム方式のフルカラー電子写真
システムに用いられてきた電子写真感光体は、その寿命
が静電的耐久性が律速になっており、耐摩耗性が律速に
なるほど、静電的耐久性は高くなく、本発明の課題はそ
れほど顕著なものではなかった。
【0011】また、比較的最近まで上記タンデム方式の
フルカラー電子写真システムは、アナログ方式が採用さ
れており、本発明のように特定のトナー像用の感光体の
CTL厚を厚くすると光感度が大きくなりカラーバラン
スが悪くなる、あるいは解像度が低くなる等の問題点を
抱えていた。この感度が早くなる現象は、感光層(電荷
輸送層)が厚くなるに従い、静電容量が小さくなるため
である。静電容量が小さくなると、同じ表面電位を感光
体上に帯電させた場合、その表面電荷数は少なくなる。
従って、同じ数のフォトン数が感光体に吸収された場
合、見かけ上、膜厚の厚い感光体の方が感度が早くなる
のである。
【0012】このような現象に対しては、電荷発生物質
の種類によってその程度を変えることができる。特開平
1−267551号公報に記載されたような電界強度に
対する量子効率のプロットにおいて、その傾きが大きい
感光体では、上記のような感光層(電荷輸送層)の感度
の膜厚依存性が小さく、良好に使用できる。この傾き
は、ほとんど電荷発生物質により決定されてしまうた
め、適当な傾きを持つ電荷発生物質を用いることにより
解決できた。しかしながら致命的な欠点として、このよ
うな電荷発生物質を用いた場合には、高感度な感光体が
設計できないという点が挙げられる。特に近年では、高
速化および感光体の小径化が求められ、このような設計
は感光体の使用制限を大きくするものであり、現実的で
はない。
【0013】一方、ごく最近においては、LDやLED
といった高出力の光源を用いた書き込み方式が発光デバ
イスの低コスト化に伴い利用されるようになってきた。
このように高出力の画像光を用い、しかもそのビームを
絞ることによりドットを書き込んでいくような、いわゆ
るデジタル方式の場合には、上記アナログ方式の場合に
比べ、感光体に書き込まれる単位面積当たりの光量が数
桁大きい。このような条件下では、上述の感度の膜厚依
存性は非常になまったものになり、傾向は残るものの顕
著には現れにくい。しかしながら、このような方式で
は、高感度はもちろんのこと高速応答性が重要な因子に
なってくる。一般にCTL厚が厚くなることにより、ト
ランジット時間が長くなり、その結果レスポンスが悪く
なる。従って、適切な材料を選択し、また適切な構成の
感光体を設計しなければ、単純に耐摩耗性向上のために
黒色トナー用感光体のCTL厚を厚くすることは、シス
テムの設計上、困難を伴うことである。
【0014】詳細に関しては後述するが、高感度化のた
めに上記電界依存性の小さな特性を持つ電荷発生物質を
使用し、また、LDやLEDといった高出力書き込み、
およびマシン設計の小型化に基づく感光体の小径化に対
応した高速応答性を確保するために高移動度を有する電
荷輸送物質の採用をすることで、はじめて本発明の構成
(黒色トナー像用感光体のCTL厚を黒色以外のトナー
像用感光体のCTL厚より厚くする)の特徴を生かしき
れないものである。
【0015】また、黒色及び黒色以外のトナー画像用感
光体に用いられる電荷発生物質が共通であることは、低
コスト化に加えて、初期及び繰り返し使用後の光減衰特
性や帯電性の安定性、環境特性の安定などに対し有利で
ある。特に前記一般式(XI)で表わされるアゾ顔料や
特定の結晶型を有するチタニルフタロシアニンは高感度
で耐久性が高いため、本画像形成装置には有効に用いる
ことができる。以上の構成用件を満足することにより、
低コストで高耐久・高安定なタンデム型電子写真装置を
設計できることがわかり、本発明を完成するに至った。
【0016】したがって、上記課題は、本発明の(1)
「少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写
手段、および電子写真感光体を具備してなる画像形成要
素を複数配列したフルカラー電子写真装置であって、黒
色トナー像を形成する画像形成要素に搭載された感光体
の感光層の膜厚が、黒色以外のトナー像を形成する画像
形成要素に搭載された感光体の感光層の膜厚より厚いこ
とを特徴とするフルカラー電子写真装置」、(2)「す
べての画像形成要素に搭載された感光体の感光層が、電
荷発生層と電荷輸送層の積層構成からなり、黒色トナー
像を形成する画像形成要素に搭載された感光体の電荷輸
送層の膜厚が、黒色以外のトナー像を形成する画像形成
要素に搭載された感光体の電荷輸送層の膜厚より厚いこ
とを特徴とする前記第(1)項に記載のフルカラー電子
写真装置」、(3)「前記フルカラー電子写真装置のす
べての画像形成要素に搭載された感光体の感光層が、有
機系感光層であることを特徴とする前記第(1)項また
は第(2)項に記載のフルカラー電子写真装置」、
(4)「前記フルカラー電子写真装置のすべての画像形
成要素に搭載された感光体の感光層が、同一の組成物か
らなることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項
の何れか1に記載のフルカラー電子写真装置」、(5)
「前記有機電荷発生物質が、アゾ顔料もしくはフタロシ
アニン顔料であることを特徴とする前記第(4)項に記
載のフルカラー電子写真装置」、(6)「前記アゾ顔料
が下記(XI)式で表わされるアゾ顔料であることを特徴
とする前記第(5)項に記載のフルカラー電子写真装
置、
【0017】
【化3】 (式中、Cp1、Cp2はカップラー残基を表わす。R
201、R202はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アル
キル基、アルコキシ基、シアノ基のいずれかを表わし、
同一でも異なっていてもよい。また、Cp1、Cp2は下
記(XII)式で表わされ、)
【0018】
【化4】 (式中、R203は、水素原子、メチル基、エチル基など
のアルキル基、フェニル基などのアリール基を表わす。
204、R205、R206、R207、R208はそれぞれ、水素
原子、ニトロ基、シアノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ
素などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基、メチル
基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ
基などのアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、水酸基を
表わし、Zは置換もしくは無置換の芳香族炭素環または
置換もしくは無置換の芳香族複素環を構成するのに必要
な原子群を表わす。)」、(7)「前記アゾ顔料のCp
1とCp2が互いに異なるものであることを特徴とする前
記第(6)項に記載のフルカラー電子写真装置」、
(8)「前記フタロシアニン顔料がチタニルフタロシア
ニン顔料であることを特徴とする前記第(5)項に記載
のフルカラー電子写真装置」、(9)「前記チタニルフ
タロシアニンが、CuKαの特性X線(波長1.514
Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2
°)として、少なくとも27.2°に最大回折ピークを
有するチタニルフタロシアニンであることを特徴とする
前記第(8)項に記載のフルカラー電子写真装置」によ
り解決される。
【0019】また、上記課題は、本発明の(10)「前
記フルカラー電子写真装置のすべての画像形成要素に搭
載された感光体の感光層が、電荷発生層と電荷輸送層の
積層構成からなり、いずれの電荷輸送層にも高分子電荷
輸送物質を含有したことを特徴とする前記第(2)項乃
至第(9)項の何れか1に記載のフルカラー電子写真装
置」、(11)「前記フルカラー電子写真装置のすべて
の画像形成要素に搭載された感光体の電荷輸送層に含有
される高分子電荷輸送物質が、少なくともトリアリール
アミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボ
ネートを含有することを特徴とする前記第(10)項に
記載のフルカラー電子写真装置」、(12)「前記電子
写真感光体の実使用時における画像光書き込み時の電界
強度における該電荷輸送層の移動度が1×10-5(cm
/Vsec)以上であることを特徴とする前記第(1)
項乃至第(11)項の何れか1に記載のフルカラー電子
写真装置」、(13)「前記感光体に用いられる支持体
が円筒状の支持体であり、円筒状支持体の外径が40m
m以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第
(12)項の何れか1に記載のフルカラー電子写真装
置」、(14)「前記フルカラー電子写真装置におい
て、画像露光がLDあるいはLEDによって感光体上に
静電潜像の書き込みが行なわれる、いわゆるデジタル方
式の電子写真装置であることを特徴とする前記第(1)
項乃至第(13)項の何れか1に記載のフルカラー電子
写真装置」、(15)「前記フルカラー電子写真装置の
すべての画像形成要素に搭載された帯電手段が感光体に
対し、接触もしくは近接配置されたものであることを特
徴とする前記第(1)項乃至第(11)項の何れか1に
記載のフルカラー電子写真装置」、(16)「前記フル
カラー電子写真装置において、前記帯電部材に対し直流
成分に交流成分を重畳した電圧を印可することにより、
感光体に帯電を与えることを特徴とする前記第(1)項
乃至第(15)項の何れか1に記載のフルカラー電子写
真装置」により解決される。
【0020】
【発明の実施の形態】次に図面を用いて本発明の電子写
真装置を詳しく説明する。図1は、本発明の電子写真装
置を説明するための概略図であり、下記するような変形
例も本発明の範疇に属するものである。図1において、
ドラム状の感光体(1C),(1M),(1Y),(1
K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも
回転順に帯電手段としての帯電部材(2C),(2
M),(2Y),(2K)、現像手段としての現像部材
(4C),(4M),(4Y),(4K)、クリーニン
グ手段としてのクリーニング部材(5C),(5M),
(5Y),(5K)が配置されている。帯電部材(2
C),(2M),(2Y),(2K)は、感光体表面を
均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材であ
る。この帯電部材(2C),(2M),(2Y),(2
K)と現像部材(4C),(4M),(4Y),(4
K)の間の感光体表面に図示しない画像露光手段として
の露光部材からのレーザー光(3C),(3M),(3
Y),(3K)が照射され、感光体(1C),(1
M),(1Y),(1K)に静電潜像が形成されるよう
になっている。そして、このような感光体(1C),
(1M),(1Y),(1K)を中心とした4つの画像
形成要素(6C),(6M),(6Y),(6K)が、
転写材搬送手段である転写搬送ベルト(10)に沿って
並置されている。転写搬送ベルト(10)は各画像形成
ユニット(6C),(6M),(6Y),(6K)の現
像部材(4C),(4M),(4Y),(4K)とクリ
ーニング部材(5C),(5M),(5Y),(5K)
の間で感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)
に当接しており、転写搬送ベルト(10)の感光体側の
裏側に当たる面(裏面)には転写バイアス(電圧)を印
加するための転写ブラシ(11C),(11M),(1
1Y),(11K)が配置されている。各画像形成要素
(6C),(6M),(6Y),(6K)は現像装置内
部のトナーの色が異なるのと、本発明に係わる黒トナー
像形成用感光体(1K)が他の感光体と感光層の膜厚が
異なる((1C),(1M),(1Y)の感光体の感光
層膜厚より(1K)の感光体の感光層膜厚が厚い)だけ
で、その他は全て同様の構成となっている。
【0021】図1に示す構成のカラー電子写真装置にお
いて、画像形成動作は次のようにして行なわれる。ま
ず、各画像形成要素(6C),(6M),(6Y),
(6K)において、感光体(1C),(1M),(1
Y),(1K)が矢印方向(感光体と連れ周り方向)に
回転する帯電部材(2C),(2M),(2Y),(2
K)により帯電され、次に露光部でレーザー光(3
C),(3M),(3Y),(3K)により、作成する
各色の画像に対応した静電潜像が形成される。次に現像
部材(4C),(4M),(4Y),(4K)により潜
像を現像してトナー像が形成される。現像部材(4
C),(4M),(4Y),(4K)は、それぞれC
(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブ
ラック)のトナーで現像を行なう現像部材で、4つの感
光体(1C),(1M),(1Y),(1K)上で作ら
れた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙
(7)は給紙コロ(8)によりトレイから送り出され、
一対のレジストローラ(9)で一旦停止し、上記感光体
上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト
(10)に送られる。転写搬送ベルト(10)上に保持
された転写紙(7)は搬送されて、各感光体(1C),
(1M),(1Y),(1K)との当接位置(転写部)
で各色トナー像の転写が行なわれる。感光体上のトナー
像は、転写ブラシ(11C),(11M),(11
Y),(11K)に印加された転写バイアスと感光体
(1C),(1M),(1Y),(1K)との電位差か
ら形成される電界により、転写紙(7)上に転写され
る。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重
ねられた記録紙(7)は定着装置(12)に搬送され、
トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。
また、転写部で転写されずに各感光体(1C),(1
M),(1Y),(1K)上に残った残留トナーは、ク
リーニング装置(5C),(5M),(5Y),(5
K)で回収される。なお、図1の例では各画像形成要素
は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けてC(シア
ン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラッ
ク)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものでは
なく、色順は任意に設定されるものである。また、黒色
のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素
((6C),(6M),(6Y))が停止するような機
構を設けることは、本発明に特に有効に利用できる。更
に、図1において帯電部材は感光体と当接しているが、
両者の間に適当なギャップ(10〜200μm程度)を
設けてやることにより、両者の摩耗量が低減できると共
に、帯電部材へのトナーフィルミングが少なくて済み、
良好に使用できる。
【0022】以上に示すような画像形成手段は、複写装
置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれ
ていてもよいが、各々の電子写真要素はプロセスカート
リッジの形でそれらの装置内に組み込まれてもよい。プ
ロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手
段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手
段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。
【0023】以下、本発明に用いられる電子写真感光体
を図面に沿って説明する。図2は、本発明の電子写真感
光体を表わす断面図であり、導電性支持体(31)上
に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする単層感
光層(33)が設けられている。図3は、本発明の電子
写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、電荷発生
材料を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送材
料を主成分とする電荷輸送層(37)とが、積層された
構成をとっている。電荷輸送層(37)の膜厚が、黒色
トナー像を形成する感光体の場合、黒色以外のトナー像
を形成する感光体の場合よりも厚い構成となっている。
【0024】導電性支持体(31)としては、体積抵抗
1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アル
ミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、
白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属
酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム
状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、
あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケ
ル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引
き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩な
どの表面処理した管などを使用することができる。ま
た、特開昭52−36016号公報に開示されたエンド
レスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導
電性支持体(31)として用いることができる。
【0025】この他、上記支持体上に導電性粉体を適当
な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性
支持体(31)として用いることができる。この導電性
粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラッ
ク、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、
亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、IT
Oなどの金属酸化物粉体などがあげられる。また、同時
に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−
アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重
合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステ
ル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレ
ート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セ
ルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチ
ラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、
ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコ
ーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹
脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、
熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂があげられる。このよ
うな導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当
な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタ
ン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布
することにより設けることができる。
【0026】さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニ
ル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン
(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた
熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、
本発明の導電性支持体(31)として良好に用いること
ができる。さらに、本発明は、感光体の支持体が小径の
円筒状の場合に有効に効果が発揮される。特に、前記支
持体の外径が40mm以下の場合に有用である。
【0027】次に感光層について説明する。感光層は単
層でも積層でもよいが、説明の都合上、先ず図3に示さ
れる電荷発生層(35)と電荷輸送層(37)で構成さ
れる場合から述べる。
【0028】電荷発生層(35)は、電荷発生物質を主
成分とする層である。電荷発生層(35)には、公知の
電荷発生物質を用いることが可能であり、その代表とし
て、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペ
リレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、
キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、他の
フタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズ
レニウム塩系染料等が挙げられ用いられる。これら電荷
発生物質は単独でも、2種以上混合してもかまわない。
電荷発生層(35)は、必要に応じて結着樹脂とともに
適当な溶剤中に、ボールミル、アトライター、サンドミ
ル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上
に塗布し、乾燥することにより形成される。特に、前記
一般式(XI)で表わされるアゾ顔料や特定の結晶型を
有するチタニルフタロシアニンは、高感度で耐久性が高
いため、本画像形成装置には有効に用いることができ
る。
【0029】必要に応じて電荷発生層(35)に用いら
れる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エ
ポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン
樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニ
ルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ
スルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリ
ルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェ
ノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢
酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリ
ビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられ
る。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し
0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適
当である。
【0030】ここで用いられる溶剤としては、イソプロ
パノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキ
サノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセル
ソールブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、
ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサ
ン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられる
が、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶
媒が良好に使用される。塗布液の塗工法としては、浸漬
塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコー
ト、スピナーコート、リングコート等の方法を用いるこ
とができる。電荷発生層(35)の膜厚は、0.01〜
5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmで
ある。黒色及び黒色以外のトナー画像用感光体に用いら
れる電荷発生物質が共通であることは、低コスト化に加
えて、初期及び繰り返し使用後の光減衰特性や帯電性の
安定性、環境特性の安定などに対し有利である。
【0031】電荷輸送層(37)は、電荷輸送物質およ
び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電
荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。ま
た、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を
添加することもできる。
【0032】電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸
送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロル
アニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラ
シアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フ
ルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フル
オレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、
2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−
トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン
−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェ
ン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電
子受容性物質が挙げられる。
【0033】正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニル
カルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリ
ルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホル
ムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレ
ン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾ
ール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘
導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘
導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、
α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジ
アリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9
−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジ
ビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘
導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチル
ベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げ
られる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上
混合して用いられる。
【0034】結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレ
ン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン
共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエ
ステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリ
レート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セル
ロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラ
ール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポ
リ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコー
ン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、
フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱
硬化性樹脂が挙げられる。
【0035】電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部
に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150
重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜1
00μm程度とすることが好ましい。ここで用いられる
溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トル
エン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロ
エタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセ
トンなどが用いられる。
【0036】電荷輸送層の膜厚について説明する。本発
明に用いられる感光体の電荷輸送層の膜厚は、使用する
プロセスの条件等により異なるものであるが、下限は静
電的および機械的耐久性、光感度により決定され、上限
は解像度、レスポンス、コストにより決定される。
【0037】一般的には、黒色以外のトナー像用感光体
の電荷輸送層膜厚は、5〜100μm、好ましくは10
〜30μm程度が適切である。黒色トナー像用感光体の
電荷輸送層膜厚は、前記黒色以外のトナー像用感光体の
電荷輸送層膜厚より厚いことが必須であるが、同時に同
じプロセスで使用するわけであるから、前述のように感
光体特性(特に、初期及び繰り返し使用後の帯電性、残
留電位および光減衰特性)が同等であること、また画像
特性が同等であることが必要である。
【0038】従って、黒色トナー像用感光体の電荷輸送
層膜厚の増加分は、使用するシステムの黒色以外のトナ
ー像用感光体の電荷輸送層の摩耗量に応じて、必要最低
限の増加分として決定されるべきである。設計するシス
テムの寿命を迎えるときに、黒色以外のトナー像用感光
体の電荷輸送層の膜厚減少分だけ、黒色トナー像用感光
体の電荷輸送層の膜厚を厚くすることにより、バランス
のよい設計が可能になる。
【0039】具体的には、黒色トナー像用感光体の電荷
輸送層膜厚は、10〜100μm、好ましくは10〜4
0μm程度が適切である。実際、光感度の電荷輸送層膜
厚依存性の大きな感光体においても、黒色以外のトナー
像用感光体の電荷輸送層が厚め(20μm以上)の場
合、それ以上電荷輸送層の膜厚を厚くしても光減衰特性
に大きな変化はなく、むしろ解像度低下、残留電位上
昇、レスポンス低下等が律速になる。解像度低下に関し
ては、画像光ビームを小さくする、感光体の使用電界強
度を大きくするなどでシステムとしての改良は可能であ
る。残留電位上昇に関しては、電荷輸送物質濃度を高く
する、各種添加剤を併用する等の手段が講じられる。レ
スポンス低下に関しては、電荷輸送能の大きな(特定の
移動度より大きい)電荷輸送物質を用いる等で改良でき
る。
【0040】また、電荷輸送層には電荷輸送物質として
の機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送
物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質か
ら構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものであ
る。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用で
きるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/
または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられ
る。中でも、一般式(I)〜(X)式で表わされる高分
子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示
し、具体例を示す。
【0041】
【化5】 式中、R1,R2,R3はそれぞれ独立して置換もしくは
無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子
又は置換もしくは無置換のアルキル基、R5,R 6は置換
もしくは無置換のアリール基、o,p,qはそれぞれ独
立して0〜4の整数、k,jは組成を表わし、0.1≦
k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表わ
し、5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、
環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表わされる2
価基を表わす。
【0042】
【化6】 式中、R101,R102は各々独立して置換もしくは無置換
のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表わ
す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1
〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、
−O−,−S−,−SO−,−SO2−,−CO−,−
CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を
表わす。)または、
【0043】
【化7】 (式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整
数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又は
アリール基を表わす。)を表わす。ここで、R101とR
102,R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよ
い。
【0044】
【化8】 式中、R7,R8は置換もしくは無置換のアリール基、A
1,Ar2,Ar3は同一又は異なるアリレン基を表わ
す。X,k,jおよびnは、一般式(I)の場合と同じ
である。
【0045】
【化9】 式中、R9,R10は置換もしくは無置換のアリール基、
Ar4,Ar5,Ar6は同一又は異なるアリレン基を表
わす。X,k,jおよびnは、一般式(I)の場合と同
じである。
【0046】
【化10】 式中、R11,R12は置換もしくは無置換のアリール基、
Ar7,Ar8,Ar9は同一又は異なるアリレン基、p
は1〜5の整数を表わす。X,k,jおよびnは、一般
式(I)の場合と同じである。
【0047】
【化11】 式中、R13,R14は置換もしくは無置換のアリール基、
Ar10,Ar11,Ar 12は同一又は異なるアリレン基、
1,X2は置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換
もしくは無置換のビニレン基を表わす。X,k,jおよ
びnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0048】
【化12】 式中、R15,R16,R17,R18は置換もしくは無置換の
アリール基、Ar13,Ar14,Ar15,Ar16は同一又
は異なるアリレン基、Y1,Y2,Y3は単結合、置換も
しくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシ
クロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエ
ーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わし、
同一であっても異なってもよい。X,k,jおよびn
は、一般式(I)式の場合と同じである。
【0049】
【化13】 式中、R19,R20は水素原子、置換もしくは無置換のア
リール基を表わし、R 19とR20は環を形成していてもよ
い。Ar17,Ar18,Ar19は同一又は異なるアリレン
基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と
同じである。
【0050】
【化14】 式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、A
20,Ar21,Ar22,Ar23は同一又は異なるアリレ
ン基を表わす。X,k,jおよびnは、一般式(I)の
場合と同じである。
【0051】
【化15】 式中、R22,R23,R24,R25は置換もしくは無置換の
アリール基、Ar24,Ar25,Ar26,Ar27,Ar28
は同一又は異なるアリレン基を表わす。 X,k,jお
よびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0052】
【化16】 式中、R26,R27は置換もしくは無置換のアリール基、
Ar29,Ar30,Ar 31は同一又は異なるアリレン基を
表わす。X,k,jおよびnは、一般式(I)の場合と
同じである。
【0053】以上に記載された電荷輸送層であるが、本
発明においては、使用される電子写真感光体の実使用状
態(感光体が帯電された未露光部電位)の電界強度にお
ける電荷輸送層の電荷移動度が、1×10-5(cm/V
sec)以上であることにより、より一層の効果が得ら
れるものである。
【0054】また電荷輸送層の移動度は、タイムオブフ
ライト法あるいはゼログラフィック法などで測定するこ
とが可能である。電界強度に対して広範囲な測定を行な
う場合には、タイムオブフライト法が有効な手段であ
り、一般的に用いられる。一般的には、測定対象となる
電荷輸送層を電極でサンドイッチ(片側は少なくとも半
透明)した構造のサンプルを作製し、窒素レーザーのよ
うな波長の短い励起光源を用い、パルス光にして電荷輸
送物質を直接励起して光キャリアを生成させ、移動度を
測定するものである。
【0055】本発明の感光体において、電荷輸送層(3
7)中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑
剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレー
トなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものが
そのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0
〜30重量%程度が適当である。レベリング剤として
は、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコ
ーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフ
ルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマ
ーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1
重量%が適当である。
【0056】次に感光層が単層感光層(33)の場合に
ついて述べる。上述した電荷発生物質を結着樹脂中に分
散した感光体が使用できる。単層感光層は、電荷発生物
質および電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶
解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形
成できる。さらに、この感光層には上述した電荷輸送材
料を添加した機能分離タイプとしてもよく、良好に使用
できる。また、必要により、可塑剤やレベリング剤、酸
化防止剤等を添加することもできる。
【0057】結着樹脂としては、先に電荷輸送層(3
7)で挙げた結着樹脂をそのまま用いるほかに、電荷発
生層(35)で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよ
い。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に
使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物
質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量
は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50
〜150重量部である。単層感光層は、電荷発生物質、
結着樹脂を必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒド
ロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサ
ン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬
塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して
形成できる。単層感光層の膜厚は、5〜100μm程度
が適当である。
【0058】本発明の感光体においては、導電性支持体
(31)と感光層との間に下引き層を設けることができ
る。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これら
の樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考える
と、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂である
ことが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニル
アルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の
水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロ
ン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン
樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エ
ポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等
が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電
位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸
化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示で
きる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0059】これらの下引き層は前述の感光層の如く適
当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に
本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタ
ンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用する
こともできる。この他、本発明の下引き層には、Al2
3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン
(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、Ti
2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて
設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のも
のを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μm
が適当である。
【0060】また、本発明においては、耐環境性の改善
のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止す
る目的で、各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸
収剤、低分子電荷輸送物質およびレベリング剤を添加す
ることができる。これらの化合物の代表的な材料を以下
に記す。
【0061】各層に添加できる酸化防止剤として、例え
ば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。 (a)フェノール系化合物 2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒ
ドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エ
チルフェノール、n-オクタデシル−3−(4’−ヒド
ロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブ
チルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−
エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ
ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブ
チルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル
−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−
t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ
−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]ク
リコールエステル、トコフェロ−ル類など。
【0062】(b)パラフェニレンジアミン類 N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジ
アミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレ
ンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−
フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p
−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’
−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
【0063】(c)ハイドロキノン類 2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジ
ドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノ
ン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t
−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オ
クタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
【0064】(d)有機硫黄化合物類 ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステ
アリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデ
シル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
【0065】(e)有機燐化合物類 トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホス
フィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリク
レジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキ
シ)ホスフィンなど。
【0066】各層に添加できる可塑剤として、例えば下
記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではな
い。 (a)リン酸エステル系可塑剤 リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリ
オクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロ
ルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチ
ル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェ
ニルなど。
【0067】(b)フタル酸エステル系可塑剤 フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソ
ブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタ
ル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチ
ル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フ
タル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸
ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシク
ロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチル
ラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチル
デシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
【0068】(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤 トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n
−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
【0069】(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤 アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、ア
ジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−
オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、ア
ジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼラ
イン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、
セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸
ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシ
ル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオ
クチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸
ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルな
ど。
【0070】(e)脂肪酸エステル誘導体 オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステ
ル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトー
ルエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、
トリアセチン、トリブチリンなど。
【0071】(f)オキシ酸エステル系可塑剤 アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブ
チル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルク
エン酸トリブチルなど。
【0072】(g)エポキシ可塑剤 エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステ
アリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキ
システアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジ
ル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキ
シヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
【0073】(h)二価アルコールエステル系可塑剤 ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレング
リコールジ−2−エチルブチラートなど。
【0074】(i)含塩素可塑剤 塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メ
チル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
【0075】(j)ポリエステル系可塑剤 ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケー
ト、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
【0076】(k)スルホン酸誘導体 p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンア
ミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエ
ンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチ
ルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシル
アミドなど。
【0077】(l)クエン酸誘導体 クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、ク
エン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセ
チルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエ
ン酸−n−オクチルデシルなど。
【0078】(m)その他 ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2
−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン
酸メチルなど。
【0079】各層に添加できる滑剤としては、例えば下
記のものが挙げられるが、これらに限定されるものでは
ない。 (a)炭化水素系化合物 流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワック
ス、低重合ポリエチレンなど。
【0080】(b)脂肪酸系化合物 ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン
酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
【0081】(c)脂肪酸アミド系化合物 ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミ
ド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステア
ロアミドなど。
【0082】(d)エステル系化合物 脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコ
ールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
【0083】(e)アルコール系化合物 セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレング
リコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール
など。
【0084】(f)金属石けん ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン
酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
【0085】(g)天然ワックス カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イ
ボタロウ、モンタンロウなど。
【0086】(h)その他 シリコーン化合物、フッ素化合物など。
【0087】各層に添加できる紫外線吸収剤として、例
えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。 (a)ベンゾフェノン系 2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ
ベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾ
フェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベン
ゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4−メトキシベン
ゾフェノンなど。
【0088】(b)サルシレート系 フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル
3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートな
ど。
【0089】(c)ベンゾトリアゾール系 (2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリ
アゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)
ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシ
ャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾト
リアゾール。
【0090】(d)シアノアクリレート系 エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレー
ト、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アク
リレートなど。
【0091】(e)クエンチャー(金属錯塩系) ニッケル(2,2’チオビス(4−t−オクチル)フェ
ノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジ
チオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメー
ト、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートな
ど。
【0092】(f)HALS(ヒンダードアミン) ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメ
チル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニ
ルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、
8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オ
クチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデ
カン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
【0093】以上のような構成で作製される本発明に用
いられる電子写真感光体であるが、本発明においてはも
う1つのポイントが存在する。通常、感光体の光感度は
感光層(積層タイプの場合には電荷輸送層)の膜厚に比
例して感度が早くなる。これは感光層(電荷輸送層)が
厚くなるに従い、静電容量が小さくなるためである。静
電容量が小さくなると、同じ表面電位を感光体上に帯電
させた場合、その表面電荷数は少なくなる。従って、同
じ数のフォトン数が感光体に吸収された場合、見かけ
上、膜厚の厚い感光体の方が感度が早くなるのである。
【0094】このような現象は、電荷発生物質の種類に
よってもその程度を変えることができる。特開平1−2
67551号公報に記載されたような電界強度に対する
量子効率のプロットにおいて、その傾きが大きい感光体
では、上記のような感光層(電荷輸送層)の感度依存性
が小さく、良好に使用できる。この傾きは、ほとんど電
荷発生物質により決定されてしまうため、本発明の感光
体に使用する電荷発生物質は、このような特性を持った
材料であることが好ましい。
【0095】もっとも上記の感度の膜厚依存性は、露光
量がかなり小さい(電荷輸送律速課程を含まない)条件
下で顕著に現れるものであり、レーザー光のように強い
光で露光された場合には、その効果がかなりなまる(依
存性が小さくなる)ものであるから、LDあるいはLE
Dにより露光されるシステムにおいては、それほど問題
になるものではない。
【0096】また、黒色トナー像用感光体の感光体の組
成物は、黒色以外のトナー像用感光体の組成物と同一に
することが好ましい。これは、感光体の静電特性をそろ
えることが容易であることと、塗工液を同一化すること
で、2種類の感光体をコストアップなしで作製すること
が可能になるからである。
【0097】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、
本発明が実施例により制約を受けるものではない。な
お、部はすべて重量部である。 (実施例1) [黒色以外のトナー像用感光体の作製]アルミニウムシ
リンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗
工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、
3.5μmの中間層、0.2μmの電荷発生層、23μ
mの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
【0098】 下引き層塗工液 二酸化チタン粉末 400部 メラミン樹脂 65部 アルキッド樹脂 120部 2−ブタノン 400部
【0099】 電荷発生層塗工液 下記構造のトリスアゾ顔料 12部
【0100】
【化17】 ポリビニルブチラール 5部 2−ブタノン 200部 シクロヘキサノン 400部
【0101】 電荷輸送層塗工液 ポリカーボネート 10部 下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0102】
【化18】 塩化メチレン 80部
【0103】[黒色トナー像用感光体の作製]上記黒色
以外トナー像用感光体の電荷輸送層の膜厚を28μmに
した以外は、同様に感光体を作製した。
【0104】(実施例2)実施例1における黒色トナー
像用感光体の電荷輸送の膜厚を33μmにした以外は、
同様に感光体を作製した。
【0105】(実施例3) (黒色以外トナー像用感光体の作製)実施例1における
黒色以外のトナー像用感光体の電荷輸送層塗工液を以下
のものに変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作
製した(電荷輸送層膜厚は23μm)。
【0106】 電荷輸送層塗工液 下記構造の高分子電荷輸送物質 10部
【0107】
【化19】 下記構造の添加剤 0.5部
【0108】
【化20】 塩化メチレン 100部
【0109】[黒色トナー像用感光体の作製]上記黒色
以外トナー像用感光体の電荷輸送層の膜厚を30μmに
した以外は、同様に感光体を作製した。
【0110】(実施例4)実施例1における黒色トナー
像用感光体の電荷輸送の膜厚を35μmにした以外は、
同様に感光体を作製した。
【0111】(実施例5)実施例1における電荷発生層
を以下の組成に変更した以外は、実施例1と同様に電子
写真感光体を作製し、同様に評価を行なった。
【0112】 電荷発生層塗工液 図4に示すX線回析スペクトルのチタニルフタロシアニン 6部 ポリビニルブチラール 4部 2−ブタノン 200部
【0113】(実施例6)実施例1における電荷輸送物
質を以下の組成に変更した以外は、実施例1と同様に電
子写真感光体を作製し、同様に評価を行なった。
【0114】
【化21】
【0115】(比較例1)実施例1における黒色トナー
像用感光体を黒色以外のトナー像用感光体と共通にした
以外は実施例1と同様にした。
【0116】(比較例2)実施例1の黒色トナー像用感
光体の電荷輸送層塗工液を以下のものに変更し、黒色ト
ナー像用感光体を黒色以外のトナー像用感光体と共通に
した以外は実施例1と同様にした。
【0117】 (電荷輸送層塗工液) ポリカーボネート 10部 下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0118】
【化22】 塩化メチレン 80部
【0119】以上のように作製した電子写真感光体を図
1に示す電子写真装置に装着し、4つの画像形成要素は
以下に示すプロセス条件にてモノクロ(黒色のみ)10
000枚、フルカラー画像10000枚の合計2000
0枚の画像評価を行なった。また、20000枚後の電
荷輸送層の摩耗量も併せて測定した。更にまた、各々の
実施例にて用いた電荷輸送層と同じ組成の移動度測定用
のサンプルを作製し、窒素レーザーを励起光源とする装
置にて、移動度を測定した。結果を表1に示す。
【0120】 帯電条件:DCバイアス:−800V ACバイアス:2.0kV(peak to peak) 周波数2kHz 露光条件:780nmの半導体レーザー (ポリゴンミラーによる画像書き込み)
【0121】
【表1】
【0122】(実施例5)実施例1で作製した感光体を
用い、前記図1に示す装置のすべての画像形成要素の帯
電条件をACバイアスを印可しない条件に変え、実施例
1と同様に連続20000枚の印刷を行なった。その結
果、初期および20000枚後でも画像は良好であっ
た。但し、20000枚後の画像において、問題になら
ないレベルではあるが、帯電ムラに起因する画像濃度ム
ラ(色ムラ)がわずかに発生した。
【0123】(実施例6)実施例1の感光体を用い、図
1に示すような電子写真装置の帯電部材を、帯電ローラ
ーからスコロトロンチャージャーに変更した。実施例3
と同じ表面電位になるように帯電を施し、同様に200
00枚の画像出力を行なった。その結果、20000枚
まで特別な異常画像は認められなかったが、実施例1に
比べオゾン臭がひどかった。
【0124】(実施例7)実施例1の感光体を用い、図
1に示すような電子写真装置の帯電部材(感光体と当
接)のセッティング方法を変えて、感光体表面と帯電部
材表面間に60μm程度のギャップを設けて、実施例1
と同様に20000枚のランニングテストを行なった。
その結果、実施例1よりも帯電部材へのトナーフィルミ
ングが少なく良好であった。
【0125】
【発明の効果】以上、詳細かつ具体的な説明から明らか
なように、本発明によれば、高耐久で繰り返し使用に対
し安定な画像を形成可能で、かつ低コストな高速フルカ
ラー用電子写真装置が提供されるという極めて優れた効
果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真装置を説明するための概略図
である。
【図2】本発明の電子写真感光体を表わす断面図であ
る。
【図3】本発明の電子写真感光体の別の構成例を示す断
面図である。
【図4】本発明の実施例5で用いられるX線回析スペク
トルのチタニルフタロシアニンを示した図である。
【符号の説明】
1C 感光体 1M 感光体 1Y 感光体 1K 感光体 2C 帯電部材 2M 帯電部材 2Y 帯電部材 2K 帯電部材 3C レーザー光 3M レーザー光 3Y レーザー光 3K レーザー光 4C 現像部材 4M 現像部材 4Y 現像部材 4K 現像部材 5C クリーニング部材 5M クリーニング部材 5Y クリーニング部材 5K クリーニング部材 6C 画像形成要素 6M 画像形成要素 6Y 画像形成要素 6K 画像形成要素 7 転写紙 8 給紙コロ 9 レジストローラ 10 転写搬送ベルト 11C 転写ブラシ 11M 転写ブラシ 11Y 転写ブラシ 11K 転写ブラシ 12 定着装置 31 導電性支持体 33 感光層 35 電荷発生層 37 電荷輸送層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 5/06 372 G03G 5/06 372 5/10 5/10 Z 15/01 15/01 M 111 111A 112 112A 21/00 350 21/00 350

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現
    像手段、転写手段、および電子写真感光体を具備してな
    る画像形成要素を複数配列したフルカラー電子写真装置
    であって、黒色トナー像を形成する画像形成要素に搭載
    された感光体の感光層の膜厚が、黒色以外のトナー像を
    形成する画像形成要素に搭載された感光体の感光層の膜
    厚より厚いことを特徴とするフルカラー電子写真装置。
  2. 【請求項2】 すべての画像形成要素に搭載された感光
    体の感光層が、電荷発生層と電荷輸送層の積層構成から
    なり、黒色トナー像を形成する画像形成要素に搭載され
    た感光体の電荷輸送層の膜厚が、黒色以外のトナー像を
    形成する画像形成要素に搭載された感光体の電荷輸送層
    の膜厚より厚いことを特徴とする請求項1に記載のフル
    カラー電子写真装置。
  3. 【請求項3】 前記フルカラー電子写真装置のすべての
    画像形成要素に搭載された感光体の感光層が、有機系感
    光層であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    フルカラー電子写真装置。
  4. 【請求項4】 前記フルカラー電子写真装置のすべての
    画像形成要素に搭載された感光体の感光層が、同一の組
    成物からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか
    1に記載のフルカラー電子写真装置。
  5. 【請求項5】 前記有機電荷発生物質が、アゾ顔料もし
    くはフタロシアニン顔料であることを特徴とする請求項
    4に記載のフルカラー電子写真装置。
  6. 【請求項6】 前記アゾ顔料が下記(XI)式で表わされ
    るアゾ顔料であることを特徴とする請求項5に記載のフ
    ルカラー電子写真装置。 【化1】 (式中、Cp1、Cp2はカップラー残基を表わす。R
    201、R202はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アル
    キル基、アルコキシ基、シアノ基のいずれかを表わし、
    同一でも異なっていてもよい。また、Cp1、Cp2は下
    記(XII)式で表わされ、) 【化2】 (式中、R203は、水素原子、メチル基、エチル基など
    のアルキル基、フェニル基などのアリール基を表わす。
    204、R205、R206、R207、R208はそれぞれ、水素
    原子、ニトロ基、シアノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ
    素などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基、メチル
    基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ
    基などのアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、水酸基を
    表わし、Zは置換もしくは無置換の芳香族炭素環または
    置換もしくは無置換の芳香族複素環を構成するのに必要
    な原子群を表わす。)
  7. 【請求項7】 前記アゾ顔料のCp1とCp2が互いに異
    なるものであることを特徴とする請求項6に記載のフル
    カラー電子写真装置。
  8. 【請求項8】 前記フタロシアニン顔料がチタニルフタ
    ロシアニン顔料であることを特徴とする請求項5に記載
    のフルカラー電子写真装置。
  9. 【請求項9】 前記チタニルフタロシアニンが、CuK
    αの特性X線(波長1.514Å)に対するブラッグ角
    2θの回折ピーク(±0.2°)として、少なくとも2
    7.2°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシア
    ニンであることを特徴とする請求項8に記載のフルカラ
    ー電子写真装置。
  10. 【請求項10】 前記フルカラー電子写真装置のすべて
    の画像形成要素に搭載された感光体の感光層が、電荷発
    生層と電荷輸送層の積層構成からなり、いずれの電荷輸
    送層にも高分子電荷輸送物質を含有したことを特徴とす
    る請求項2乃至9の何れか1に記載のフルカラー電子写
    真装置。
  11. 【請求項11】 前記フルカラー電子写真装置のすべて
    の画像形成要素に搭載された感光体の電荷輸送層に含有
    される高分子電荷輸送物質が、少なくともトリアリール
    アミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボ
    ネートを含有することを特徴とする請求項10に記載の
    フルカラー電子写真装置。。
  12. 【請求項12】 前記電子写真感光体の実使用時におけ
    る画像光書き込み時の電界強度における該電荷輸送層の
    移動度が1×10-5(cm/Vsec)以上であること
    を特徴とする請求項1乃至11の何れか1に記載のフル
    カラー電子写真装置。
  13. 【請求項13】 前記感光体に用いられる支持体が円筒
    状の支持体であり、円筒状支持体の外径が40mm以下
    であることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1に
    記載のフルカラー電子写真装置。
  14. 【請求項14】 前記フルカラー電子写真装置におい
    て、画像露光がLDあるいはLEDによって感光体上に
    静電潜像の書き込みが行なわれる、いわゆるデジタル方
    式の電子写真装置であることを特徴とする請求項1乃至
    13の何れか1に記載のフルカラー電子写真装置。
  15. 【請求項15】 前記フルカラー電子写真装置のすべて
    の画像形成要素に搭載された帯電手段が感光体に対し、
    接触もしくは近接配置されたものであることを特徴とす
    る請求項1乃至11の何れか1に記載のフルカラー電子
    写真装置。
  16. 【請求項16】 前記フルカラー電子写真装置におい
    て、前記帯電部材に対し直流成分に交流成分を重畳した
    電圧を印可することにより、感光体に帯電を与えること
    を特徴とする請求項1乃至15の何れか1に記載のフル
    カラー電子写真装置。
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