[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2001323004A - 被覆用水性重合体分散液の製造方法及びその組成物 - Google Patents

被覆用水性重合体分散液の製造方法及びその組成物

Info

Publication number
JP2001323004A
JP2001323004A JP2000139349A JP2000139349A JP2001323004A JP 2001323004 A JP2001323004 A JP 2001323004A JP 2000139349 A JP2000139349 A JP 2000139349A JP 2000139349 A JP2000139349 A JP 2000139349A JP 2001323004 A JP2001323004 A JP 2001323004A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
monomer mixture
film
coating
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000139349A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiharu Wakesu
喜治 分須
Wataru Kakizaki
渉 柿崎
Koichi Watanabe
浩一 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Saiden Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Saiden Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Saiden Chemical Industry Co Ltd filed Critical Saiden Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2000139349A priority Critical patent/JP2001323004A/ja
Publication of JP2001323004A publication Critical patent/JP2001323004A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 皮膜の造膜性、耐ブロッキング性、耐水性、
耐汚染性、強度物性を兼ね備えた塗料、コーティング用
途に適した被覆用水性重合体分散液の新規な製造方法の
提供。 【解決手段】 少なくとも水、界面活性剤及び重合開始
剤の存在下に、メチルメタクリレートを50重量%以上
(第1工程の単量体混合物を100重量%とする)を含
有する、共重合体のガラス転移温度が75〜105℃を
与える単量体混合物10〜45重量部を乳化重合する第
1工程、続いて該反応組成物に共重合体のガラス転移温
度が−30〜20℃を与える単量体混合物55〜90重
量部(全体の単量体混合物を100重量部とする)を滴
下して乳化重合する第2工程からなる被覆用水性重合体
分散液の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性の少なくとも
2種類のガラス転移温度を有する複合重合体の製造方法
及びその組成物に関し、特に造膜性、耐ブロッキング性
及び耐水性に優れた塗料、コーティング用途に適した被
覆用水性重合体分散液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水性重合体分散液からなる被覆剤、例え
ば塗料、紙やプラスティック上へのコーティング剤は安
全性、環境保全、経済性の観点から優位に使用されてい
る。しかしながら、水性重合体分散液からの造膜(皮膜
形成)はポリマー粒子の融合により行われるため、常温
付近で造膜させるためには樹脂のガラス転移温度を造膜
温度以上に高くすることは困難である。従って、低いガ
ラス転移温度から形成された皮膜は乾燥後も粘着性が残
り、埃や塵の付着による汚染性があり、紙やフィルムに
コーティングされたものを積み重ねるとブロッキングす
る等の問題がある。
【0003】これらの点を改善するために、水性重合体
分散液に高沸点の有機溶剤を造膜助剤として添加して樹
脂の造膜温度を下げる方法が一般的に行われるが、この
場合、比較的多量に添加すると皮膜の耐水性が低下した
り、長期の間に造膜助剤が揮散して皮膜物性が変化し、
脆化する等の問題がある。
【0004】また、高いガラス転移温度を有する硬質の
重合体エマルションと常温以下のガラス転移温度を有す
る軟質の重合体エマルションをブレンドして造膜性と皮
膜の硬さや耐ブロッキング性を両立させる方法が特開平
5−112758号公報、特開平9−111154号公
報などに開示されている。これらの方法は、上記の問題
点は改善されるものの皮膜強度が低下し、折り曲げ性が
低下したり、皮膜にクラックが生じ易くなる欠点があ
る。
【0005】更に、一般的にコア/シェル型エマルショ
ンと称される方法により、コア部(中心層)よりシェル
部(表面層)を高いガラス転移温度に設計することによ
り上記のブレンド型エマルションの欠点を改良すること
が行われている。例えば、特開平4−45169号公報
では中心層のガラス転移温度が−60〜10℃で、表面
層のガラス転移温度が0〜100℃の特定の粒子径範囲
を有するエマルション塗料組成物が開示されている。ま
た、特開平11−92708号公報では、多段乳化重合
によって得られるコア/シェル型エマルションのシェル
部(表面層)のガラス転移温度を0〜80℃、コア部
(中心層)のガラス転移温度を−40〜40℃に構成さ
れた建築外装塗料用エマルションが開示されている。し
かし、これらの中心層と表面層のガラス転移温度を違え
たエマルション粒子をミクロ構造的に証明することは極
めて困難であるため、これらの特許明細書においては、
多段重合における前段反応の仕込み成分からコア層(中
心層)が、また後段反応の仕込み成分からシェル層(表
面層)が形成されると仮定した製造方法を開示してい
る。
【0006】従って、従来のコア/シェル型エマルショ
ン法によって造膜性、皮膜の耐水性、耐ブロッキング
性、皮膜の強度物性などを改善する製造方法は、乳化重
合の前段反応に低いガラス転移温度を形成する単量体を
仕込み、続いて後段反応として高いガラス転移温度を形
成する単量体を仕込んで乳化重合を行う方法が一般的で
あった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、造膜
性に優れ、耐ブロッキング性、耐水性、耐汚染性、強度
物性を兼ね備えた塗料、コーティングなどの用途に適し
た被覆用水性重合体分散液の新規な製造方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、乳化重合
の工程を多段階に制御する方法に関して鋭意研究した結
果、驚くべきことには、従来のコア・シェル重合法と異
なる逆の手順により重合したエマルションが、従来の方
法と比較して優れた造膜性、耐ブロッキング性、耐水
性、耐汚染性、強度物性を兼ね備えた塗料、コーティン
グ用途に適した皮膜を与えることを見出し、本発明に到
達した。
【0009】即ち、本発明は少なくとも水、界面活性剤
及び重合開始剤の存在下に、メチルメタクリレートを5
0重量%以上(第1工程の単量体混合物を100重量%
とする)含有する、共重合体のガラス転移温度が75〜
105℃を与える単量体混合物10〜45重量部(全体
の単量体混合物を100重量部とする)を乳化重合する
第1工程、続いて該反応物に共重合体のガラス転移温度
が−30〜20℃を与える単量体混合物55〜90重量
部を滴下して乳化重合する第2工程からなる被覆用水性
重合体分散液の製造方法及び被覆用水性重合体組成物で
ある。更に好ましくは、第1工程の単量体混合物の重合
率が少なくとも90重量%に達して後、第2工程の単量
体混合物の乳化分散液を滴下して乳化重合することを特
徴とする被覆用に適した水性重合体分散液の製造方法で
ある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成を詳しく説明
する。本発明の水性重合体分散液は、乳化重合の第1工
程としてガラス転移温度(以後Tgで示す)が75〜1
05℃を与えるメチルメタクリレートを主成分とする単
量体混合物を仕込み、重合率が90重量%以上に達した
後、引き続いて、第2工程としてTgが−30〜20℃
を与える単量体混合物を仕込んで乳化重合を完結させる
ことによって得られる。第1工程と第2工程で使用する
単量体混合物の量的割合は、全体の単量体混合物を10
0重量部として、第1工程が10〜45重量部、第2工
程が55〜90重量部である。第1工程の重合体のTg
が75℃より低い場合、又は、その量的割合が10重量
%より少ない場合は、造膜性は良くても皮膜の耐ブロッ
キング性、耐汚染性が損なわれ好ましくない。一方、第
1工程の重合体のTgが105℃を超える場合、又は、
その量的割合が45重量%より多い場合は、造膜性が低
下し、本発明の目的とする皮膜が得られなくなる。ま
た、第1工程の単量体の重合率が90重量%より低い場
合は、第2工程の単量体の仕込み組成と実際の樹脂組成
が異なったものとなり、造膜性が低下し好ましくない。
ここで、共重合体のTgは、日本エマルジョン工業会規
格「合成樹脂エマルジョンの皮膜硬さ表示方法(107
−1996)」に記載された各ホモポリマーのTg値を
使用して計算式から求める。
【0011】第1工程に用いる単量体は、メチルメタク
リレート単独、又は、共重合体のTgを75〜105℃
になるよう選定されたメチルメタクリレートと共重合可
能な単量体との混合物として使用する。メチルメタクリ
レートが50重量%より少ない場合は、造膜性と皮膜の
耐ブロッキング性、耐汚染性等の物性の両立が困難とな
り本発明の効果を奏しない。共重合可能な単量体として
は、次のような単量体が挙げられる。(メタ)アクリレ
ート系単量体:メチルアクリレート、エチル(メタ)ア
クリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソ
プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)ア
クリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec
−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)ア
クリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチ
ルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)ア
クリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノ
ニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレー
ト、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メ
タ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、
イソアミル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)ア
クリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘ
キシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)ア
クリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−メ
トキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリ
レート等、芳香族ビニル系単量体:スチレン、α―メチ
ルスチレン、クロロスチレン、4−ヒドロキシスチレ
ン、ビニルトルエン、及び、(メタ)アクリロニトリ
ル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサテック酸
ビニル等。これらから選ばれた1種又は2種以上の単量
体が使用できる。
【0012】更に、これらの非官能性単量体に加えて、
カルボキシル基、水酸基、アミド基等の官能基を有する
単量体を併用することもできる。具体例としては、カル
ボキシル基含有単量体:(メタ)アクリル酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ク
ロトン酸、及びマレイン酸、イタコン酸の炭素数1〜1
2の直鎖又は分岐鎖を有するアルコールとのハーフエス
テル等、アミド基含有単量体:(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)ア
クリルアミド等、水酸基含有単量体:2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポ
リプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げ
られる。これらのカルボキシル基、水酸基、アミド基を
有する単量体を使用することにより乳化重合の安定性を
高める効果があるが、第1工程で使用する単量体混合物
の5重量%以下、更に、第2工程で使用するこれらの官
能性単量体より少ない割合、好ましくは0〜2重量%に
とどめることが本発明の造膜性と皮膜物性の両立を可能
とする上で効果的である。 さらに加えて、本発明の効
果を損なわない範囲で、少量のジビニルベンゼン、ジア
リルフタレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート
等の2〜3個の二重結合を有するラジカル重合性単量
体、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキ
シシクロヘキシル(メタ)アクリレート、N−メチロー
ルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アセト
アセトキシエチル(メタ)アクリレート等の反応性単量
体を使用することもできる。
【0013】第2工程で使用する単量体の組成及び量的
割合は特に限定するものではないが、共重合体のTg
が、−30〜20℃であることが必要である。Tgが−
30℃より低い場合には、皮膜の耐ブロキング性、耐汚
染性などの物性が低下し、Tgが20℃より高い場合に
は、造膜性が低下し、造膜助剤の併用により造膜させた
としても耐水性が低下して好ましくない。第2工程を構
成する単量体混合物の量的割合は、全体の単量体混合物
を100重量部として55〜90重量部である。その使
用量が55重量部より少ない場合には、水性重合体組成
物の造膜性が低下し、90重量部を超える場合には、本
発明の造膜性と皮膜物性の両立が困難となり好ましくな
い。
【0014】本発明の水性重合体分散液の製造法は、乳
化重合の第1工程で高いTg(75〜105℃)を形成
する単量体混合物を仕込み、続いて第2工程で低いTg
(−30〜20℃)を形成する単量体混合物を仕込んで
乳化重合する方法である。水、乳化剤及び重合開始剤の
存在下に、第1工程の単量体混合物を乳化重合し、重合
率が少なくとも90重量%に達した後、第2工程の単量
体混合物を乳化重合することが必要である。好ましくは
第1工程の単量体混合物を重合の進行速度に合わせて滴
下し、ほぼ第1工程の重合反応が終了した段階で、連続
して第2工程の単量体混合物を滴下することである。第
1工程の乳化重合の重合率が少なくとも90重量%に達
しないで第2工程の単量体混合物を続けて反応した場合
には、得られた重合体組成物は、第2工程で生成した共
重合体のTgが目的とする重合体のTgより高くなり、
本発明の造膜性と皮膜物性の両立性が低下し好ましくな
い。
【0015】第1工程の乳化重合法は、単量体混合物
を、少なくとも水、界面活性剤及び重合開始剤を仕込ん
だ反応容器に滴下する方法(モノマー滴下法)と、単量
体混合物を予め水及び界面活性剤共に乳化した状態のも
のを、水と、必要に応じて、界面活性剤及び重合開始剤
の一部を仕込んだ反応容器に滴下する方法(プレエマル
ション滴下法)があり、本発明の水性重合体分散液は、
この2つの方法を用いて得ることができる。特に、モノ
マー滴下法の場合は全体の共重合体組成を同じにして通
常の1工程で行う乳化重合法に比べて造膜温度を低下さ
せる効果が高い特徴がある。また、第2工程の乳化重合
法は、単量体混合物を予め乳化したプレエマルション滴
下法の方が重合時の反応安定性が良く好ましい。
【0016】本発明の水性重合体組成物を乳化重合する
際に使用する乳化剤としては、特に限定はしないが、ア
ニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤及び反応性乳化剤を
使用することができる。下記に示す群より少なくとも1
種以上使用することができる。アニオン性乳化剤として
は、オレイン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタ
レンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸
ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸
ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテ
ル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリル
エーテルリン酸エステル等が挙げられる。ノニオン性乳
化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキ
シエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリ
エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。反応性乳
化剤としては、種々の分子量(EO付加モル数の異な
る)のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル
(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキ
シエチルスルホン酸アンモニウム、ポリオキシエチレン
グリコールのモノマレイン酸エステル及びその誘導体、
(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレンアルキルエ
ーテルリン酸エステル等が挙げられる。好ましくは、ア
ニオン性乳化剤、反応性乳化剤及びそれらの併用であ
る。
【0017】乳化剤の使用量は、通常、単量体成分10
0重量部に対して、0.2〜10重量部程度使用すれば
良く、好ましくは、0.5〜5重量%である。乳化剤の
使用量がこの範囲にあることによって、凝固物を生じる
ことなく、適度な粒子径のエマルションが得られる。乳
化剤が多すぎると水性重合体組成物の耐水性が低下す
る。
【0018】本発明の水性重合体組成物を乳化重合する
際に使用する重合開始剤としては、一般に用いられるラ
ジカル重合開始剤である。ラジカル重合開始剤は、熱又
は還元性物質などによってラジカルを生成して重合性単
量体の付加重合を起こさせるもので、水溶性又は油溶性
の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等がある。具体
的には過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アン
モニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサ
イド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−ア
ゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジ
アミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−アゾビ
ス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等があり、好ま
しくは水溶性のものである。なお、重合速度の促進や低
温反応を望む場合には、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一
鉄、アスコルビン酸、ホルムアルデヒドスルホオキシレ
ート塩等の還元剤をラジカル重合開始剤と組み合わせて
用いることができる。
【0019】重合開始剤の使用量は、単量体成分100
重量部に対して、通常0.02〜3重量部であるが、好
ましくは0.05〜1重量部である。
【0020】本発明の水性重合体分散液を得るための乳
化重合は、水媒体中に固形濃度を通常30〜75重量
%、好ましくは40〜65重量%程度で行うことができ
る。重合反応は、通常40〜95℃、好ましくは60〜
90℃程度の反応温度で、1〜10時間、好ましくは3
〜6時間程度行えばよい。
【0021】必要に応じて乳化重合に際して、分子量調
整剤を使用することができる。分子量調整剤としては、
具体的に、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタ
ン、チオグリコール酸オクチル、イソプロピルアルコー
ル、メタノール、四塩化炭素等が挙げられる。その使用
量は、単量体成分に対して0.001〜2.0重量%で
あり、好ましくは、0.05〜1.0重量%である。
【0022】本発明の水性重合体分散液は、必要に応じ
て公知の添加剤である造膜助剤、可塑剤、充填剤、顔
料、粘性調整剤、消泡剤、防腐剤、分散剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、凍結防止剤、防炎
剤、難燃剤等を本発明の効果を損なわない範囲で配合す
ることができる。
【0023】
【実施例】以下実施例により本発明を説明するが、本発
明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、
実施例における部は重量部を示し、%は重量%を示す。
【0024】実施例1 予め、第2工程で使用する単量体混合物として、ビーカ
ーにスチレン30部、2−エチルヘキシルアクリレート
35.8部、メチルメタクリレート17.5部、アクリ
ル酸1.7部、反応性乳化剤アルキルアリルスルホコハ
ク酸ナトリウム(三洋化成工業(株)製 商品名エレミ
ノールJS−2)3.6部、ポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテル硫酸ナトリウム(花王(株)製 商品
名レベノールWZ)5.6部及び脱イオン水31.2部
を取り、攪拌して乳化する。攪拌機、還流冷却器、温度
計、窒素導入管及び滴下ロートを備えた反応装置に脱イ
オン水57部、反応性乳化剤アルキルアリルスルホコハ
ク酸ナトリウム(三洋化成工業(株)製 商品名エレミ
ノールJS−2)0.26部、及びポリオキシエチレン
ノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム(花王(株)製
商品名レベノールWZ)0.4部を仕込み、窒素を流
入させて、内温80℃まで昇温させ、脱イオン水で10
%に溶解した過硫酸アンモニウム2部を仕込む。続いて
第1工程のメチルメタクリレート14.7部とアクリル
酸0.3部の単量体混合物を1時間かけて滴下する。内
温80〜85℃で乳化重合を行う。第1工程の単量体混
合物の滴下終了直後に固形分濃度を測定した結果19%
であったことから、重合率に換算すると92重量%とな
った。続いて、予め調整した第2工程の単量体混合物の
乳化液を3時間かけて滴下し、並行して脱イオン水で1
0%に溶解した過硫酸アンモニウム2部を滴下する。第
2工程の滴下終了後同温度で3時間熟成した後室温まで
冷却する。25%アンモニア水1.6部及び水で調整
し、固形分濃度49.7%、粘度2,500mPa・
s、pH8.8なる水性重合体分散液を得た。該水性重
合体分散液の常温造膜性を観察し、常温で皮膜を形成さ
せ、その皮膜の耐ブロッキング性及び耐水白化性につい
て試験した。その結果は、表1に示すようにすべて極め
て良好であった。
【0025】実施例2〜実施例4 実施例2は、実施例1の第1工程で滴下するメチルメタ
クリレート及びアクリル酸の量を多くする以外、実施例
3及び実施例4は、実施例1の第1工程で滴下する単量
体の種類及び量を変える以外は全く実施例1と同様に反
応した。第1工程の滴下終了直後に固形分測定により重
合率を換算した結果共に93重量%であった。下記の表
1に示すような水性重合体分散液を得て、該水性重合体
分散液の常温造膜性を観察し、常温で皮膜を形成させ、
その皮膜の耐ブロッキング性及び耐水白化性について試
験した。その結果は、表1に示すように共にすべて極め
て良好であった。
【0026】比較例1及び比較例2 比較例1は、実施例3と単量体の種類は同じで量を変え
る以外は、実施例1と同様に反応した。比較例2は、実
施例2の第1工程をメチルメタクリレートの一部をスチ
レンに置き換える以外は、実施例1と同様に反応した。
表1に示すような水性重合体分散液を得て、該水性重合
体分散液の常温造膜性を観察し、その皮膜の耐ブロッキ
ング性及び耐水白化性について試験した。その結果は、
表1に示すように比較例1は、常温造膜性及び耐水白化
性は良好であったが耐ブロッキング性が不足した。比較
例2は、常温造膜性が悪く、耐ブロッキング性、耐水白
化性が不足した。
【0027】比較例3 比較例3は、実施例2の第2工程の単量体混合物を第1
工程で乳化重合し、第1工程の単量体を第2工程で乳化
重合する以外は実施例1と同様に反応した。表1に示す
ような水性重合体分散液を得て、該水性重合体分散液の
常温造膜性を観察し、その皮膜の耐ブロッキング性及び
耐水白化性について試験した。その結果は、表1に示す
ように常温造膜性が無く、耐ブロッキング性及び耐水白
化性が不足した。
【0028】比較例4 比較例4は、実施例1と単量体の種類及び量は同じで、
第1工程の反応はなく、単量体混合物を1段階で乳化重
合した水性重合体分散液である。反応は実施例1と同様
に行った。表1に示すような水性重合体分散液を得て、
該水性重合体分散液の常温造膜性を観察し、その皮膜の
耐ブロッキング性及び耐水白化性について試験した。表
1に示すように常温造膜性が無く、耐ブロッキング性及
び耐水白化性が不足した。
【0029】比較例5 比較例5は、実施例2の第1工程と同じ割合の単量体混
合物を乳化重合して得られる水性分散液(A)と、実施
例2の第2工程と同じ割合の単量体混合物を乳化重合し
て得られる水性分散液(B)とを、(A)/(B)=3
0/70(固形分比)の割合でブレンドしたものであ
る。そのブレンド液の常温造膜性を観察し、常温で皮膜
を形成させ、その皮膜の耐ブロッキング性及び耐水白化
性について試験したが、その結果は、表1に示すように
常温造膜性は良好であったが、耐ブロッキング性及び耐
水白化性は不足した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】表1及び表2中に使用した単量体を下記の
略号にて示した。 ST :スチレン(Tg:100℃) 2EHA :2−エチルヘキシルアクリレート(Tg:−70℃) MMA :メチルメタクリレート(Tg:105℃) AAc :アクリル酸(Tg:106℃)
【0033】表1及び表2中、最低造膜温度をM.F.
T.(℃)にて示した。
【0034】[試験方法]最低造膜温度(M.F.T.)
は、JIS K 6828の「最低造膜温度」試験法に
準じて測定をする。
【0035】常温造膜性は、ガラス板に本発明の水性重
合体分散液を100g/m2/wetになるように塗工
して、20℃、65%RH中での造膜性を観察する。 ○:造膜する △:造膜するが微小クラックが見られる ×:成膜しない
【0036】耐ブロッキング性は、ガラス板上に本発明
の製造方法で得られた水性重合体分散液を100g/m
2/wetになるように室温で塗工し、20℃、65%R
H中に3日間放置して造膜させ、これを試験試料とし
た。この試験試料をJIS K5400の「不粘着性」
試験法に準じ、80g/cm2になるように荷重をか
け、45℃の恒温槽中に16時間放置後、室温に戻しガ
ーゼの付着目により判定する。 ○:ガーゼの付着目なし △:ガーゼの付着目少しあり ×:ガーゼの付着目あり
【0037】耐水白化性は、「耐ブロッキング性」と同
様に作製した試験試料を60℃の温水に24時間放置後
直ちに、室温の水に24時間放置する。水より取り出し
て室温で乾燥させ皮膜の白化具合を観察する。 ○:白化なし △:少し白化する ×:白化する
【0038】
【発明の効果】本発明は、乳化重合の第1工程で高いT
g(75〜105℃)を形成する単量体混合物を仕込
み、続いて第2工程で低いTg(−30〜20℃)を形
成する単量体混合物を滴下して乳化重合する水性重合体
分散液の製造法である。得られた水性重合体分散液は、
造膜助剤の使用なく常温造膜性に優れ、適度な硬度を有
し、耐ブロッキング性、耐水白化性に優れた皮膜を得る
ことができ、塗料及び各種のコーティング用被覆剤とし
て有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 AA05 BA04 BB07 BB09 KA01 KA02 KA04 KA10 KA15 KB13 KB19 4J026 AA45 BA05 BA27 DA04 DB04 FA04 FA07 GA06 4J038 CP071 KA03 KA09 LA02 MA10 MA13 NA04 NA05 NA10 NA11

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも水、界面活性剤及び重合開始
    剤の存在下に、メチルメタクリレートを50重量%以上
    (第1工程の単量体混合物を100重量%とする)含有
    する共重合体のガラス転移温度が75〜105℃を与え
    る単量体混合物10〜45重量部(全体の単量体混合物
    を100重量部とする)を乳化重合する第1工程、続い
    て該反応組成物に共重合体のガラス転移温度が−30〜
    20℃を与える単量体混合物55〜90重量部を滴下し
    て乳化重合する第2工程からなる被覆用水性重合体分散
    液の製造方法。
  2. 【請求項2】 第1工程の単量体混合物の重合率が少な
    くとも90重量%に達して後、第2工程の単量体混合物
    の乳化分散液を滴下する請求項1記載の被覆用水性重合
    体分散液の製造方法。
  3. 【請求項3】 ガラス転移温度が75〜105℃の共重
    合体粒子10〜45重量部(全体の重合体を100重量
    部とする)の存在下に、共重合体のガラス転移温度が−
    30〜20℃を与える単量体混合物55〜90重量部を
    乳化重合させてなる被覆用水性重合体組成物。
JP2000139349A 2000-05-12 2000-05-12 被覆用水性重合体分散液の製造方法及びその組成物 Pending JP2001323004A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000139349A JP2001323004A (ja) 2000-05-12 2000-05-12 被覆用水性重合体分散液の製造方法及びその組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000139349A JP2001323004A (ja) 2000-05-12 2000-05-12 被覆用水性重合体分散液の製造方法及びその組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001323004A true JP2001323004A (ja) 2001-11-20

Family

ID=18646809

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000139349A Pending JP2001323004A (ja) 2000-05-12 2000-05-12 被覆用水性重合体分散液の製造方法及びその組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001323004A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007284559A (ja) * 2006-04-17 2007-11-01 Mitsubishi Rayon Co Ltd 水性被覆材
JP2008251690A (ja) * 2007-03-29 2008-10-16 Nanojoin Kk 電磁波抑制紙及びその製造方法
DE112005003537T5 (de) 2004-09-30 2009-06-18 Nippon Paper Industries Co. Ltd. Laminierter Bogen

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112005003537T5 (de) 2004-09-30 2009-06-18 Nippon Paper Industries Co. Ltd. Laminierter Bogen
JP2007284559A (ja) * 2006-04-17 2007-11-01 Mitsubishi Rayon Co Ltd 水性被覆材
JP2008251690A (ja) * 2007-03-29 2008-10-16 Nanojoin Kk 電磁波抑制紙及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2545727C (en) Aqueous dispersions containing multi-stage emulsion polymers
JP4596546B2 (ja) 水性ポリマー分散物
JPH10513212A (ja) 剥離のための水性(メタ)アクリルラテックスポリマー
JP5530156B2 (ja) シーラー用樹脂エマルションおよびその製造方法
JPH09328502A (ja) 非ブロッキング性で耐引掻性の弾性塗料のためのバインダーとしてのポリマー水性分散物
WO2015068751A1 (ja) 成膜助剤
JP2001106741A (ja) 被覆用ポリマー
JP2002012601A (ja) 塗料用水性重合体分散液の製造方法及びその分散液
AU779679B2 (en) Emulsion polymers
JP5515544B2 (ja) 塗料用水性重合体分散液の製造方法及びその分散液
JP2001323004A (ja) 被覆用水性重合体分散液の製造方法及びその組成物
JP3624236B2 (ja) 水性樹脂分散体
JP5515612B2 (ja) プラスチック塗料用樹脂組成物、水性重合体の製造方法、及びプラスチック塗料
JP2009091529A (ja) 弱溶剤系塗料用耐候性向上剤及び改質された弱溶剤系塗料
JPH07166143A (ja) ブチルアクリレートと(メト)アクリル酸とから形成された共重合体を基礎とする感圧接着剤分散液の製造法
JP3519119B2 (ja) 水性コーティング用組成物およびその製法
JPH11322812A (ja) エマルジョン樹脂の製造方法
JPH11116850A (ja) 水分散型樹脂組成物及びその製造方法
JP3366736B2 (ja) 水系架橋型塗料用重合体ラテックスおよびそのラテックスを用いた塗料組成物
JP4191302B2 (ja) アニオン性水分散性被覆組成物の製造方法及び該組成物を使用した塗料用トップコート
JP2001302963A (ja) 分解性被膜形成用水系エマルジョン組成物
JP3015015B1 (ja) 一液硬化型樹脂エマルジョン組成物
JP2004107518A (ja) 建材用エマルション塗料
JP6164833B2 (ja) 制振材用樹脂、制振材用組成物及び塗膜
JP3873296B2 (ja) 水性樹脂微粒子分散液の製造法