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JP2001354779A - エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物の製造方法及び樹脂ペレットの製造方法 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物の製造方法及び樹脂ペレットの製造方法

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Publication number
JP2001354779A
JP2001354779A JP2000177394A JP2000177394A JP2001354779A JP 2001354779 A JP2001354779 A JP 2001354779A JP 2000177394 A JP2000177394 A JP 2000177394A JP 2000177394 A JP2000177394 A JP 2000177394A JP 2001354779 A JP2001354779 A JP 2001354779A
Authority
JP
Japan
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ethylene
extruder
resin composition
vinyl alcohol
alcohol copolymer
Prior art date
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JP2000177394A
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English (en)
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JP4326122B2 (ja
Inventor
Hiroshi Kawai
宏 河合
Masao Hikasa
正雄 日笠
Takaharu Kawahara
孝春 川原
Toshio Tsuboi
俊雄 坪井
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】含水状態のエチレン−ビニルアルコール共重合
体(EVOH)樹脂に酸化防止剤を溶融混練することにより、
熱安定性に優れ、製造コストが安価でかつ押出機などへ
の噛み込み性も良好なペレットを提供する。 【解決手段】押出機内においてEVOH樹脂を含水かつ
溶融状態に保ち、酸化防止剤添加部4から酸化防止剤を
押出機内に供給し、樹脂と溶融混練する。押出機内にお
ける樹脂溶融温度は、70〜170℃の範囲に保ち、押
出機から吐出した直後の含水率が5〜40重量%となる
ように、脱液部2から過剰水分を除去し、押出機内の水
分量を調整するのが好ましい。押出後樹脂はカットす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱安定性に優れた
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下「EVO
H」ともいう。)樹脂組成物の製造方法及び樹脂ペレッ
トの製造方法に関する。さらに詳しくは、含水状態のエ
チレン−ビニルアルコール共重合体樹脂に酸化防止剤を
溶融混練した樹脂組成物の製造方法及び樹脂ペレットの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エチレン−ビニルアルコール共重合体
は、ガスバリヤー性が高く、耐油・耐有機溶剤性、保香
性、透明性などに優れるため、食品包装用として広く使
用されている。食品包装用としては、押出成形によるフ
ィルム、ブロー成形によるボトル、真空成形による各種
パック類など様々な成形加工法が採用されている。この
ような様々な成形加工法においては、樹脂ペレットを押
出機に供給し、いったん溶融した後に成形加工が開始さ
れる。この場合、溶融温度を200℃以上としなければ
ならず、ポリマーの熱安定性を向上しておかないと溶融
成形時にポリマーが熱劣化し、フィシュアイやブツが生
じて製品の品質を低下させる原因となる。そのため、ケ
ン化時に含まれるアルカリ触媒残渣または添加剤残渣を
ポリマー中から除去したり、酸化防止剤を添加する必要
がある。
【0003】従来、ポリマー内に酸化防止剤を添加する
ため、樹脂ペレットに酸化防止剤の粉体をドライブレン
ドする方法(特開昭64−69652号公報、特公昭6
3−286459号公報)、または200℃以上の押出
温度で上記ドライブレンド品を溶融ペレタイズする方法
などがあるが、ドライブレンドでは製品の移送工程にお
いて、ペレットと粉体が分離し、安定な品質が得られ
ず、また、200℃以上の押出温度で溶融ペレタイズす
る方法の問題点として、前記樹脂組成物が押出機内で熱
劣化したり、酸化防止剤が揮発性であるため、押出工程
で酸化防止剤が揮発する、あるいは溶融ペレタイズによ
り製造コストが高くなるといったことが挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の
問題を解決するため、含水状態のエチレン−ビニルアル
コール共重合体樹脂に酸化防止剤を溶融混練することに
より、熱安定性に優れかつ製造コストが安価なエチレン
−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物の製造方法及び
樹脂ペレットの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂
組成物の製造方法は、エチレン−ビニルアルコール共重
合体樹脂に酸化防止剤を添加する方法であって、押出機
内において前記樹脂を含水かつ溶融状態で前記酸化防止
剤と溶融混練することを特徴とする。
【0006】前記方法においては酸化防止剤の融点が1
70℃以下であることが好ましい。樹脂と溶融混練しや
すいからである。
【0007】また前記方法においては、酸化防止剤が、
ヒンダードフェノール基を有する化合物、ヒンダードア
ミン基を有する化合物及びハイドロタルサイト化合物か
ら選ばれる少なくとも一種の化合物であることが好まし
い。酸化防止効果に優れるからである。
【0008】また前記方法においては、樹脂に対する酸
化防止剤の添加量が0.001〜5重量%の範囲である
ことが好ましい。酸化防止の機能を有効に発揮するから
である。
【0009】また前記方法においては、溶融混練時の樹
脂の含水率が0.5〜70重量%の範囲であることが好
ましい。含水率が前記の範囲であると、樹脂の溶融温度
を下げることができ、樹脂の劣化を防ぐことができるか
らである。
【0010】また前記方法においては、押出機内の樹脂
溶融温度が70〜170℃の範囲であることが好まし
い。樹脂溶融温度が前記の範囲であると、樹脂の劣化を
防ぐことができるからである。
【0011】また前記方法においては、エチレン−ビニ
ルアルコール共重合体のエチレン含有量が3〜70モル
%の範囲であることが好ましい。
【0012】また前記方法においては、エチレン−ビニ
ルアルコール共重合体のケン化度が80%〜100%の
範囲であることが好ましい。
【0013】また前記方法においては、押出機から吐出
した直後の樹脂の含水率が5〜40重量%であることが
好ましい。
【0014】また前記方法においては、押出機から吐出
した直後の樹脂の含水率が5〜40重量%となるように
押出機中で不足水を供給しあるいは過剰水を除去するこ
とが好ましい。
【0015】また前記方法においては、押出機におい
て、カルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカ
リ金属塩及びアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくと
も1種の添加剤を溶融混練することが好ましい。さらに
耐熱安定性が向上するからである。
【0016】次に本発明のエチレン-ビニルアルコール
共重合体樹脂組成物ペレットの製造方法は、前記いずれ
かの方法によって得られたエチレン-ビニルアルコール
共重合体樹脂組成物を押出機から吐出した後、カットす
ることを特徴とする。
【0017】前記方法においては、エチレン−ビニルア
ルコール共重合体樹脂組成物をカットした後、水分率が
1重量%以下になるまで乾燥することが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】図面を用いて本発明を説明する。
図1は本発明方法の一実施形態の概略工程図を示す説明
図である。2軸押出機の原料供給部1から含水状態のE
VOHを供給するか、または乾燥状態のEVOHを供給
した後、押出機内において洗浄水を供給する。含水かつ
溶融または半溶融状態のEVOHは、フルフライトスク
リュー部6aにより前方に向けて送られ、次いで逆フル
フライトスクリュー部7aで混合される。次いでフルフ
ライトスクリュー部6bに送られ、脱液部2において過
剰の水分が絞られ脱水される。EVOHが製造工程のケ
ン化触媒残渣を含んでいる場合は、前記の過剰水の脱水
時に、触媒残渣は洗浄され脱離される。
【0019】次に、逆フルフライトスクリュー部7bに
送られ、微量成分添加部3から、例えばカルボン酸、ホ
ウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩またはアル
カリ土類金属塩等の添加剤が供給され、樹脂と溶融混練
される。
【0020】次に、フルフライトスクリュー部6cに送
られ、酸化防止剤添加部4から酸化防止剤が供給され、
樹脂と溶融混練される。5は樹脂の温度を検出し制御す
るための温度センサーである。
【0021】本発明に用いられるEVOHとしては、エ
チレン−ビニルエステル共重合体をケン化して得られる
ものが好ましい。エチレン含有量は通常3〜70モル%
であり、ガスバリア性と溶融成形性に優れた成形物を得
るという観点からは、好適には10〜60モル%、さら
に好適には20〜55モル%、最適には25〜55モル
%であるものが好ましい。さらに、ビニルエステル成分
のケン化度は80モル%以上であり、ガスバリア性に優
れた成形物を得るという観点からは、好ましくは95モ
ル%以上、特に好ましくは99モル%以上である。
【0022】一方、エチレン含量3〜20モル%のEV
OHは、水溶性を付与させたEVOHとして好適に用い
られ、かかるEVOH水溶液はバリア性、塗膜成形性に
優れ、優れたコート材料として用いられる。
【0023】また、ケン化度80〜95モル%のEVO
Hは、溶融成形性を改善するために好適に用いられる。
かかるEVOHは単独で用いることも可能であるが、ケ
ン化度が99モル%を超えるEVOHとブレンドして用
いる実施態様も好適である。
【0024】しかし、製造プロセスの観点から見た場
合、上記のエチレン含量が3〜20モル%のEVOHお
よびケン化度80〜95モル%のEVOHは、何れも従
来の方法通りに、かかるEVOHのメタノール溶液を凝
固浴にストランド状に押し出して析出させることが困難
であり、安定したペレットの生産が困難であり、かつ前
記ペレットに酸性物質および金属塩を均一に含有させる
ことも困難であった。このようなEVOHに対しても、
安定したペレットの生産が可能になった観点からも、本
発明の意義は大きい。
【0025】EVOHのエチレン含有量が3モル%未満
では溶融成形性が悪く、耐水性、耐熱水性、高湿度下で
のガスバリア性が低下する恐れがある。一方、70モル
%を超える場合は、バリア性や印刷適性等が不足する。
また、けん化度が80モル%未満では、バリア性、耐着
色性、耐湿性が不満足なものとなる。
【0026】本発明の樹脂(組成物)には、酸化防止剤を
樹脂(組成物)に対し、0.001〜5重量%、好適に
は、0.005〜0.5重量%配合することが好まし
い。これにより、樹脂(組成物)からなる層において経
時的に発生するゲルやフィッシュアイを防止することが
でき、長時間の運転安定性をさらに改善することができ
る。
【0027】酸化防止剤の配合量が、0.001重量%
未満である場合、熱劣化防止効果が充分ではなく、ま
た、5重量%を超える場合、ブリード現象が生じたり凝
集物が生じたりしやすくなり、成形品の外観が不良とな
りやすい。
【0028】配合する酸化防止剤の種類は特に限定され
るものではないが、無機化合物としてはハイドロタルサ
イト化合物が、有機化合物としてはヒンダードフェノー
ル基あるいはヒンダードアミン基を有する化合物が好適
なものとして挙げられる。
【0029】酸化防止剤としてハイドロタルサイト化合
物を用いることで、EVOHの熱劣化を防止できる。ハ
イドロタルサイト化合物は、無機化合物であるため、酸
化防止剤自身の分解による臭気を考慮する必要がない。
【0030】ここでハイドロタルサイト化合物としては
特にMXAly(OH)2X+3Y-2Z(A)Z・aH2O(MはM
g、CaまたはZn、AはCO3またはHPO4、x、
y、z、aは正数)で示される一般式の複塩化合物を挙
げることができる。前記一般式中、特に好適なものとし
て次のようなものが例示される。 (1) Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O (2) Mg8Al2(OH)20CO3・5H2O (3) Mg5Al2(OH)14CO3・4H2O (4) Mg10Al2(OH)22(CO32・4H2O (5) Mg6Al2(OH)16HPO4・4H2O (6) Ca6Al2(OH)16CO3・4H2O (7) Zn6Al6(OH)16CO3・4H2O (8) Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O また、ハイドロタルサイト化合物の一例として、特開平
1-308439号公報(米国特許第4,954,557号明細書)に記
載されているハイドロタルサイト系固溶体である、[M
0.75Zn0.250.67Al0.33(OH)2(CO3)0.167
0.45H2Oのような化合物も用いることができる。
【0031】酸化防止剤として有機化合物を用いる場合
には、融点が170℃以下であることが好ましい。酸化
防止剤の融点が170℃を超える場合、押出機内で溶融
しないため、酸化防止剤が樹脂中に局在化し、高濃度部
分が着色しやすい傾向を示す。また、分子量が300以
上の酸化防止剤も好適である。分子量300未満の場合
には成形品の表面に酸化防止剤がブリードして、成形品
の外観が不良となりやすい上に、熱安定性も低下しやす
い。
【0032】本発明の酸化防止剤として好適なものとし
て、ヒンダードフェノール基を有する化合物が挙げられ
る。ヒンダードフェノール基を有する化合物からなる酸
化防止剤は、それ自身が熱安定性に優れる一方で、酸化
劣化の原因である酸素ラジカルを捕捉する能力があり、
樹脂組成物に配合した場合、酸化劣化を防止する効果に
優れるものである。
【0033】本発明で使用できるヒンダードフェノール
基を有する化合物からなる酸化防止剤として代表的なも
のを例示すれば、以下のようなものが挙げられる。 (1) IRGANOXTM 1010(チバ・スペシャルティ・ケミカル
ズ株式会社製):融点110−125℃、分子量1178、ペンタ
エリスリトール テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4
-ヒドロキシフェニル)プロピオネート] (2) IRGANOXTM 1076(チバ・スペシャルティ・ケミカル
ズ株式会社製):融点50−55℃、分子量531、オクタデ
シル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート (3) IRGANOXTM 1098(チバ・スペシャルティ・ケミカル
ズ株式会社製):融点156−161℃、分子量637、N,N'-ヘ
キサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒ
ドロキシフェニル)プロピオナミド] (4) IRGANOXTM 245(チバ・スペシャルティ・ケミカル
ズ株式会社製):融点76−79℃、分子量587、トリエチ
レングリコール−ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-
ヒドロキシフェニル)プロピオネート] (5) IRGANOXTM 259(チバ・スペシャルティ・ケミカル
ズ株式会社製):融点104−108℃、分子量639、1,6-ヘ
キサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート] (6) SumilizerTM MDP-S(住友化学工業株式会社製):
融点 約128℃、分子量341、2,2'−メチレン−ビス(4-
メチル−6−tert−ブチルフェノール) (7) SumilizerTM GM(住友化学工業株式会社製):融点
約128℃、分子量395、2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチ
ル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)−4−メチルフェ
ニル アクリレート (8) SumilizerTM GA-80(住友化学工業株式会社製):
融点 約110℃、分子量741、3,9‐ビス[2-{3-(3-tert-
ブチル-4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオ
ニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオ
キサスピロ[5,5]ウンデカン 本発明の酸化防止剤として好適なものとして、ヒンダー
ドアミン基を有する化合物も挙げられる。ヒンダードア
ミン基を有する化合物からなる酸化防止剤は、EVOH
の熱劣化を防止するのみにとどまらず、EVOHの熱分
解により生成するアルデヒドを捕捉する効果もあり、分
解ガスの発生の低減による成形時のボイドあるいは気泡
の発生を抑制する。また、アルデヒドによる臭気はEV
OHを食品包装容器として用いた際に、内容物の味覚を
損ねるが、アルデヒドを捕捉することにより、この問題
は改善される。特に、立体障害を有するアミンであるこ
とが好ましい。
【0034】ヒンダードアミン基を有する化合物として
好ましいものはピペリジン誘導体であり、特に4位に置
換基を有する2,2,6,6−テトラアルキルピペリジ
ン誘導体が好ましい。その4位の置換基としては、カル
ボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基が挙げら
れる。
【0035】また、N位にはアルキル基が置換していて
もよいが、水素原子が結合しているものを用いる方が熱
安定効果に優れ好ましい。
【0036】本発明で使用できるヒンダードアミン基を
有する酸化防止剤として代表的なものを例示すれば、以
下のようなものが挙げられる。 (9) TINUVINTM 770(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ
株式会社製):融点81−85℃、分子量481、ビス(2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート (10) TINUVINTM 765(チバ・スペシャルティ・ケミカル
ズ株式会社製):液状化合物、分子量509、ビス(1,2,
2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートおよ
び1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペジルセバケート
(混合物) (11) TINUVINTM 622LD(チバ・スペシャルティ・ケミカ
ルズ株式会社製):融点55-70℃、分子量3100-4000、コ
ハク酸ジメチル・1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロ
キシ-2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物 (12) CHIMASSORBTM 119FL(チバ・スペシャルティ・ケ
ミカルズ株式会社製):融点130−140℃、分子量2000以
上、N,N'-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン・
2,4-ビス[N-ブチル-N-(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−
ピペリジル)アミノ]-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合
物 (13) CHIMASSORBTM 944LD(チバ・スペシャルティ・ケ
ミカルズ株式会社製):融点100−135℃、分子量2000-3
100、ポリ[[6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,
3,5-トリアジン-2,4-ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペジリル)イミノ]] (14) TINUVINTM 144(チバ・スペシャルティ・ケミカル
ズ株式会社製):融点146−150℃、分子量685、ビス(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス
(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチ
ル]ブチルマロネート (15) UVINULTM 4050H(BASFジャパン株式会社):融点1
57℃、分子量450
【0037】
【化1】
【0038】(16) UVINULTM 5050H(BASFジャパン株式会
社):融点104−112℃、分子量3500
【0039】
【化2】
【0040】これらのヒンダードフェノール基またはヒ
ンダードアミン基を有する化合物は単独で使用しても、
また、2種類以上を併用してもよい。
【0041】以下にEVOHの製造方法を具体的に説明
する。エチレンとビニルエステルの重合は溶液重合に限
るものではなく、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、バル
ク重合のいずれであっても良い。また連続式、回分式の
いずれであってもよい。回分式の溶液重合の重合条件の
一例を以下に示す。
【0042】溶媒;アルコール類が好ましいが、その他
エチレン、ビニルエステルおよびエチレン−ビニルエス
テル共重合体を溶解し得る有機溶剤(ジメチルスルホキ
シドなど)を用いることができる。アルコール類として
はメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアル
コール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール
等を用いることができ、特にメチルアルコールが好まし
い。
【0043】触媒;2,2−アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニト
リル)、2,2−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−
ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス−(2−
シクロプロピルプロピオニトリル)等のアゾニトリル系
開始剤およびイソブチリルパーオキサイド、クミルパー
オキシネオデカノエイト、ジイソプロピルパーオキシカ
ーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネー
ト、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、ラウロイ
ルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブ
チルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物系開始剤
等を用いることができる。
【0044】ビニルエステル;酢酸ビニル、脂肪酸ビニ
ルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルな
ど)も使用できる。また、EVOHは共重合成分として
ビニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有
することができる。ここで、ビニルシラン系化合物とし
ては、たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルト
リエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキ
シ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシ
ランが挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。 (1) 温度;20〜90℃、好ましくは40℃〜70℃。 (2) 時間;2〜15時間、好ましくは3〜11時間。 (3) 重合率;仕込みビニルエステルに対して10〜90
%、好ましくは30〜80%。 (4) 重合後の溶液中の樹脂分;5〜85%、好ましくは
20〜70%。 (5) 共重合体中のエチレン含有率;3〜70モル%。好
適には10〜60モル%、さらに好適には20〜55モ
ル%、最適には25〜55モル% なお、エチレンとビニルエステル以外にこれらと共重合
し得る単量体、例えば、プロピレン、イソブチレン、α
−オクテン、α−ドデセン等のα−オレフィン;アクリ
ル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコ
ン酸等の不飽和酸またはその無水物、塩、あるいはモノ
またはジアルキルエステル等;アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル等のニトリル類;アクリルアミド、メタ
クリルアミド等のアミド類;エチレンスルホン酸、アリ
ルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンス
ルホン酸またはその塩;アルキルビニルエーテル類、ビ
ニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化
ビニリデン等を少量共存させることも可能である。
【0045】所定時間の重合後、所定の重合率に達した
後、必要に応じて重合禁止剤を添加し、未反応のエチレ
ンガスを蒸発除去した後、未反応ビニルエステルを追い
出す。エチレンを蒸発除去したエチレン−ビニルエステ
ル共重合体から未反応のビニルエステルを追い出す方法
としては、例えば、ラシヒリングを充填した塔の上部か
ら前記共重合体溶液を一定速度で連続的に供給し、塔下
部よりメタノール等の有機溶剤蒸気を吹き込み塔頂部よ
りメタノール等の有機溶剤と未反応ビニルエステルの混
合蒸気を留出させ、塔底部より未反応ビニルエステルを
除去した前記共重合体溶液を取り出す方法などが採用さ
れる。
【0046】未反応ビニルエステルを除去した前記共重
合体溶液にアルカリ触媒を添加し、前記共重合体中のビ
ニルエステル成分をケン化する。ケン化方法は連続式、
回分式いずれも可能である。アルカリ触媒としては水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属アルコラ
ートなどが用いられる。例えば、回分式の場合のケン化
条件は次の通りである。 (1) 前記共重合体溶液濃度;10〜50% (2) 反応温度;30〜65℃ (3) 触媒使用量;0.02〜1.0当量(ビニルエステ
ル成分当り) (4) 時間;1〜6時間 反応後のEVOHはアルカリ触媒、副生塩類、その他不
純物等を含有するため、これらを必要に応じて中和、洗
浄することにより除去することが好ましい。
【0047】本発明は、押出機内に酸化防止剤を添加す
る方法であるが、押出機内に投入される前のEVOHの
形状は特に限定されない。凝固浴中に析出させたストラ
ンドをカットして得られるペレットが好適に用いられる
他、EVOHのペーストが不定形な形状で凝固したクラ
ム状析出物なども用いることが可能である。また、EV
OHのペーストを直接押出機に投入することもできる。
【0048】押出機内に投入される前のEVOHの含水
率の下限は0.5重量%以上であることが好ましく、5
重量%以上であることがより好ましく、7重量%以上で
あることがさらに好ましい。また、押出機内に投入され
る前のEVOHの含水率の上限は70重量%以下である
ことが好ましく、60重量%以下であることがより好ま
しく、50重量%以下であることがさらに好ましい。押
出機内に投入される前のEVOHの含水率がかかる範囲
にあることで、押出機内において、乾燥状態のEVOH
の融点よりも低い温度で溶融状態のEVOHを得ること
が可能となり、押出機内におけるEVOHの熱劣化を抑
制することが可能であり、かつ押出安定性を良好にする
ことが可能である。
【0049】押出機内に投入される前のEVOHの含水
率が0.5重量%未満の場合は、押出機内におけるEV
OHの熱劣化の抑制効果が不充分となる恐れがある。ま
た、含水率が70重量%を超える場合は、EVOHから
なる樹脂組成物において、樹脂と樹脂に含有される水が
相分離を起こしやすくなる恐れがある。樹脂と樹脂に含
有される水が相分離を起こした場合は、樹脂表面が濡れ
状態となり摩擦が大きくなるために、押出機ホッパー内
でブリッジが発生しやすくなる恐れがあり、EVOHか
らなる樹脂組成物ペレットの生産性に悪影響を及ぼす恐
れがある。
【0050】押出機内に投入される前のEVOHの含水
率を調整する方法としては特に限定されない。含水率を
上げる際には、樹脂に水をスプレーする方法、樹脂を水
中に浸漬させる方法、樹脂を水蒸気と接触させる方法な
どが挙げられる。また、含水率を低下させる際には適切
な乾燥方法を用いれば良く、たとえば流動式熱風乾燥機
あるいは静置式熱風乾燥機を用いて乾燥する方法が挙げ
られるが、乾燥斑を低減するという観点から流動式熱風
乾燥機を使用するのが好ましい。さらに、熱劣化を抑制
する観点から、乾燥温度は120℃以下であることが好
ましい。
【0051】押出機内における樹脂温度は、70〜17
0℃であることが好ましい。樹脂温度が70℃未満の場
合は、EVOHが完全に溶融しない恐れがある。また、
カルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金
属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも
1種を添加する場合には、その分散性の改善効果が不充
分となる恐れがある。好適には80℃以上であり、より
好適には90℃以上である。また、樹脂温度が170℃
を超える場合は、EVOHが熱劣化を受けやすくなる恐
れがある。さらに、カルボン酸、ホウ素化合物、リン酸
化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から
選ばれる少なくとも1種を水溶液として添加する場合
は、樹脂温度が170℃を超える場合は水分の蒸発が激
しくなるため、好適な水溶液濃度でEVOHと前記水溶
液を混合することが困難となる恐れがある。好適には1
50℃以下であり、より好適には130℃以下である。
かかる樹脂温度の調整方法は特に限定されないが、押出
機内シリンダの温度を好適に設定する方法が特に好まし
い。
【0052】本発明において、樹脂温度とは、押出機シ
リンダーに設置した温度センサーにより検出した温度を
いい、検出個所は押出機先端部吐出口付近の温度を示
す。
【0053】本発明においては、EVOHの製造時に含
まれるケン化触媒残渣を押出機中で洗浄し除去すること
もできる。具体的には、EVOH樹脂を押出機に供給
し、押出機の少なくとも1箇所から洗浄液を注入し、樹
脂を洗浄し、注入部よりも下流の少なくとも1箇所から
洗浄液を排出することができる。この方法は、樹脂ペレ
ットを洗浄容器に入れて、固体状態のまま洗浄水と接触
させてペレット内部から拡散によって外部にケン化触媒
残渣を抽出していた従来法に比べて、効率よく、かつ省
スペースで洗浄できる点から好ましい面がある。
【0054】この場合、押出機に供給するEVOHに含
まれるケン化触媒残渣は、アルカリ金属イオンであるこ
とが好ましい。
【0055】押出機に供給するEVOHに含まれるアル
カリ金属イオンの含有量は、金属換算で0.1〜5重量
%の範囲であることが好ましい。より好適には、0.2
重量%以上であり、さらに好適には0.5重量%以上で
ある。またより好適には4重量%以下であり、さらに好
適には3重量%以下である。0.1重量%未満では、従
来の洗浄方法でも十分に省スペースで製造可能であり、
本発明の製造方法を採用する実効に乏しい。一方、5重
量%を超える場合は、十分に洗浄を行うためにはL/D
の大きい押出機が必要となり、コストアップになるため
に好ましくない。
【0056】また、この場合において洗浄後のEVOH
に含まれるアルカリ金属イオンは、金属換算で0.05
重量%以下であることが好ましい。より好適には0.0
4重量%以下であり、さらに好適には0.03重量%以
下である。0.05重量%を超える場合には、EVOH
の熱安定性が悪化し、好ましくない。
【0057】また、この場合に使用される洗浄液は、ケ
ン化触媒残渣を除去できるものであれば特に限定される
ものではないが、25℃におけるpKaが3.5以上の
酸の水溶液であることが好ましい。25℃におけるpK
aが3.5未満の酸の水溶液を用いた場合には、EVO
Hの耐着色性や層間接着性が不満足になる恐れがある。
かかるpKaが3.5以上の酸としては、カルボン酸が
好ましく、コスト等の面から特に酢酸が好ましく用いら
れる。酢酸水溶液を用いた場合の酢酸濃度は、好適には
0.01〜10g/リットルであり、より好適には0.
1〜2g/リットルである。
【0058】洗浄液の注入量は樹脂投入重量1kgあた
り0.1〜100リットルであることが好ましい。
【0059】洗浄液の注入は、押出機に洗浄液を注入で
きるものであれば特に限定されるものではないが、プラ
ンジャーポンプ等を用いて圧入する方法などが挙げられ
る。洗浄液の排出は、注入部よりも下流に配置され、押
出機から液体を排出できるものであれば特に限定される
ものではないが、脱水スリットあるいは脱水孔が好適な
ものとして挙げられる。なお、複数の注入部、あるいは
複数の排出部を配置しても構わない。
【0060】また、本発明においては、上記洗浄を行っ
た後で、あるいは上記洗浄を行わずに、押出機内で含水
状態のEVOHから脱水または脱気することも好まし
い。具体的には、押出機の少なくとも1箇所から液体水
及び水蒸気から選ばれる少なくとも一つを排出すること
が好ましい。ここで排出する方法としては特に限定され
るものではないが、押出機のシリンダーに配置された脱
水スリット、脱水孔あるいはベント口から排出する方法
が挙げられる。
【0061】これらの内、脱水スリットまたは脱水孔が
好適なものとして挙げられる。これらのものは、液体水
および水蒸気のいずれであっても排出可能であることか
ら、含水率が高い樹脂から効率的に水分を除去すること
が可能であり、この点で、一般に水蒸気しか排出するこ
とができないベント口よりも有効な場合が多いものであ
る。また、ベント口を用いて水分を排出する際には、ベ
ント口に樹脂が付着しやすく、かかる付着樹脂が劣化し
て押出機内に混入する場合もあるので、この点からも脱
水スリットまたは脱水孔が好適である。
【0062】なお、ベント口としては減圧下に水蒸気を
除去する真空ベントや、常圧下に水蒸気を除去するオー
プンベントを用いることができる。
【0063】また、脱水孔を用いる場合には、その孔か
ら溶融樹脂がはみ出る場合があり、その点からは脱水ス
リットを用いることが好適である。かかる脱水スリット
としては、ウェッジワイヤー式脱水スリットやスクリー
ンメッシュ式脱水スリットが好適なものとしてあげられ
る。
【0064】なお上記脱水手段は、単独で用いてもよい
し、同一種類のものを複数用いてもよいし、あるいは異
なる種類のものを組み合わせて用いてもよい。例えば、
含水率の多い樹脂から脱水スリットを用いて水分をある
程度除去してから、その下流側でベント口からさらに水
分を除去することなどもできる。
【0065】押出機吐出直後のEVOHからなる樹脂組
成物の含水率は5〜40重量%であることが好ましく、
5〜35重量%であることが特に好ましい。押出機吐出
直後のEVOHからなる樹脂組成物の含水率が40重量
%を超える場合は、EVOHからなる樹脂組成物におい
て、樹脂と樹脂に含有される水が相分離を起こしやすく
なる恐れがあり、その結果、押出機吐出後のストランド
が発泡しやすくなる恐れがある。また、押出機吐出直後
のEVOHからなる樹脂組成物の含水率が5重量%未満
の場合は、前記押出機内におけるEVOHの加熱による
劣化の抑制効果が不充分となる恐れがあり、得られるE
VOHペレットの耐着色性が不満足なものとなる恐れが
ある。
【0066】押出機内で必要に応じ洗浄し、脱水又は脱
気した後、カルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、
アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる
少なくとも1種はそれぞれ単独で添加することも可能で
あるが、実施態様に応じて、カルボン酸、ホウ素化合
物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類
金属塩から選ばれる複数種の化合物を下記に示した好適
な範囲で添加することにより、EVOHからなる樹脂組
成物ペレットの各種性能を改善することが可能である。
【0067】本発明のEVOHからなる樹脂組成物ペレ
ットに対し、カルボン酸を添加することが、熱安定性改
善の観点から好ましい。上記カルボン酸としては、25
℃におけるpKaが3.5以上であることが好ましい。
25℃におけるpKaが3.5未満のカルボン酸を添加
した場合、EVOHからなる樹脂組成物のpHの制御が
困難となり、耐着色性や層間接着性が不満足なものにな
る恐れがある。上記カルボン酸としては、シュウ酸、コ
ハク酸、安息香酸、クエン酸、酢酸、乳酸などが例示さ
れるが、コストなどの面から、酢酸又は乳酸を用いるこ
とが好ましい。
【0068】本発明のEVOHからなる乾燥樹脂組成物
ペレット中のカルボン酸の含有量は、10〜5000p
pmであることが好ましい。カルボン酸の含有量が10
ppm未満の場合、溶融成形時に着色が発生する恐れが
あり、また5000ppmを超える場合は層間接着性が
不充分となる恐れがある。カルボン酸の含有量の下限は
好適には30ppm以上であり、さらに好適には50p
pm以上である。また、カルボン酸の含有量の上限は好
適には1000ppm以下であり、さらに好適には50
0ppm以下である。
【0069】また、本発明のEVOHからなる樹脂組成
物ペレットに対し、リン酸化合物を添加することが、熱
安定性改善の観点から好ましい。本発明のEVOHから
なる乾燥樹脂組成物ペレット中のリン酸化合物の含有量
はリン酸根換算で1〜1000ppmであることが好ま
しく、リン酸化合物を適切な範囲で添加することによ
り、成形物の着色およびゲル・ブツの発生を抑制するこ
とが可能である。リン酸化合物の添加による上記の改善
効果はEVOHからなる樹脂組成物ペレットを用いたロ
ングラン成形時および成形物の回収時に特に顕著であ
る。リン酸化合物としては、リン酸、亜リン酸等の各種
の酸やその塩等が例示されるが、これらに限定されな
い。リン酸塩としては第1リン酸塩、第2リン酸塩、第
3リン酸塩のいずれの形で含まれていても良く、そのカ
チオン種も特に限定されるものではないが、アルカリ金
属塩、アルカリ土類金属塩であることが好ましい。中で
もリン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素カリウム、リ
ン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウムの形でリ
ン酸化合物を添加することが好ましい。
【0070】リン酸化合物の含有量はリン酸根換算で下
限は10ppm以上が好ましく、より好ましくは30p
pm以上であり、上限は500ppm以下が好ましく、
300ppm以下がより好ましい。かかる範囲のリン酸
化合物を含有することで、より着色が少なく、ゲル化し
にくいEVOHからなる樹脂組成物ペレットを得ること
ができる。リン酸化合物の含有量が1ppm未満の場合
は、溶融成形時の着色が激しくなる恐れがある。特に、
熱履歴を重ねるときにその傾向が顕著であるために、前
記樹脂組成物ペレットを成形して得られた成形物が、回
収性に乏しいものとなる恐れがある。また、リン酸化合
物の含有量が1000ppmを超える場合は成形物のゲ
ル・ブツが発生しやすくなる恐れがある。
【0071】本発明のEVOHからなる樹脂組成物ペレ
ットは、熱安定性向上、機械的性質の改善の観点から、
ホウ素化合物を含有させることが好適である(特公昭4
9−20615号公報)。EVOHからなる樹脂組成物
にホウ素化合物を添加した場合、EVOHとホウ素化合
物との間にキレート化合物が生成すると考えられ、かか
るEVOHを用いることによって、通常のEVOHより
も熱安定性の改善、機械的性質を向上させることが可能
である。
【0072】ホウ素化合物としては、ホウ酸類、ホウ酸
エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる
が、これらに限定されない。具体的には、ホウ酸類とし
ては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げ
られ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ
酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の
各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、
ホウ砂などが挙げられる。これらの化合物の中でもオル
トホウ酸(単にホウ酸と表示)が好ましい。
【0073】本発明のEVOHからなる乾燥樹脂組成物
ペレット中のホウ素化合物の含有量はホウ素換算で20
〜2000ppmであることが好ましく、50〜100
0ppmであることがより好ましい。10ppm未満で
はホウ素化合物を添加することによる熱安定性の改善効
果が得られない恐れがあり、2000ppmを超えると
ゲル化しやすく、成形性不良となる恐れがある。
【0074】本発明のEVOHからなる樹脂組成物ペレ
ットに対し、アルカリ金属塩を含有させることにより、
層間接着性や相容性を効果的に改善することが可能であ
る。本発明のEVOHからなる乾燥樹脂組成物ペレット
中のアルカリ金属塩の添加量は、アルカリ金属元素換算
で5〜5000ppmが好ましい。より好ましくは20
〜1000ppm、さらに好ましくは、30〜750p
pmである。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリ
ウム、カリウムなどがあげられ、アルカリ金属塩として
は、一価金属の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸
塩、燐酸塩、金属錯体等が挙げられる。例えば、酢酸ナ
トリウム、酢酸カリウム、燐酸ナトリウム、燐酸リチウ
ム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、
エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩等が挙げられ
る。中でも酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、燐酸ナトリ
ウムが好適である。
【0075】また、本発明のEVOHからなる樹脂組成
物ペレットに対し、アルカリ土類金属塩を添加すること
も好適である。アルカリ土類金属塩を添加した場合、耐
着色性の改善効果が若干低下するが、前記樹脂組成物ペ
レットを用いた溶融成形時における、熱劣化した樹脂の
成形機のダイ付着量をさらに低減することが可能であ
る。アルカリ土類金属塩は特に限定されないが、マグネ
シウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、ベリリウム塩な
ど挙げられ、特にマグネシウム塩とカルシウム塩が好適
である。アルカリ土類金属塩のアニオン種も特に限定さ
れるものではないが、酢酸アニオンやリン酸アニオンが
好適である。
【0076】本発明のEVOHからなる乾燥樹脂組成物
ペレット中のアルカリ土類金属の含有量は金属換算で1
0〜1000ppmが好適であり、より好適には20〜
500ppmである。アルカリ土類金属の含有量が10
ppm未満の場合はロングラン性の改善効果が不充分と
なる恐れがあり、1000ppmを超えると樹脂溶融時
の着色が激しくなる恐れがある。
【0077】上記に示したカルボン酸、ホウ素化合物、
リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属
塩から選ばれる少なくとも1種をEVOHからなる樹脂
組成物ペレットに含有させるにあたり、エチレン含有量
3〜70モル%、ケン化度80モル%以上のEVOHに
押出機内でカルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、
アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる
少なくとも1種を添加することができる。押出機内でカ
ルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属
塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1
種を添加することにより、EVOHに対してカルボン
酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およ
びアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種を配
合させ、EVOHに対してカルボン酸、ホウ素化合物、
リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属
塩から選ばれる少なくとも1種を非常に良好な均一性で
混練させることが出来る。かかる構成を採用することに
より、溶融成形時の押出機のモータートルクおよびその
トルク変動が小さく、押出安定性、耐着色性およびロン
グラン性に優れ、ゲル・ブツの発生およびダイ付着量が
少ないEVOHからなる樹脂組成物ペレットを得ること
が可能となる。尚、本発明において、EVOHに押出機
内でカルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカ
リ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なく
とも1種を添加するにあたり、前記カルボン酸等の押出
機へのフィード位置は、押出機内のEVOHが溶融した
状態の位置で添加することが、本発明の効果を充分発揮
する点で好ましい。特に、含水かつ溶融状態のEVOH
に前記添加剤を添加することが好ましい。
【0078】なお、押出機は混練部を有していることが
好ましく、特に前記添加物の添加位置が押出機の混練部
であることが、添加剤が均質に配合されやすいことから
好ましい。
【0079】また、上記アルカリ金属塩およびアルカリ
土類金属塩以外の金属塩として、周期律表の第4周期に
記載される金属塩を使用することも可能である。
【0080】カルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合
物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ば
れる少なくとも1種の添加形態は特に限定されない。押
出機内に乾燥粉末として添加する方法、溶媒を含浸させ
たペースト状で添加する方法、液体に懸濁させた状態で
添加する方法、溶媒に溶解させて溶液として添加する方
法などが例示されるが、添加量の制御や、EVOH中に
カルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金
属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも
1種を均質に分散させる観点からは、カルボン酸、ホウ
素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカ
リ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種を溶媒に溶解
させて溶液として添加する方法が特に好適である。かか
る溶媒は特に限定されないが、カルボン酸、ホウ素化合
物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類
金属塩から選ばれる少なくとも1種の溶解性、コスト的
なメリット、取り扱いの容易性、作業環境の安全性等の
観点から、水が好適である。
【0081】EVOHに対してカルボン酸、ホウ素化合
物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類
金属塩から選ばれる少なくとも1種を添加する方法は特
に限定されない。カルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化
合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選
ばれる少なくとも1種を、1箇所あるいは2箇所以上か
ら押出機に添加することが好ましい。
【0082】EVOHに対してカルボン酸、ホウ素化合
物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類
金属塩から選ばれる少なくとも1種を溶液として添加す
る際には、EVOHの乾燥重量100重量部に対して、
前記溶液の添加量の下限は1重量部以上であることが好
ましく、3重量部以上であることがより好ましく、5重
量部以上であることが特に好ましい。また、前記溶液の
添加量の上限は、EVOHの乾燥重量100重量部に対
して50重量部以下であることが好ましく、30重量部
以下であることがより好ましく、20重量部以下である
ことが特に好ましい。前記溶液の添加量が1重量部未満
の場合は、一般に溶液の濃度が高くなるため、カルボン
酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およ
びアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添
加における分散性の改善効果が低下する恐れがある。ま
た、50重量部を超える場合はEVOHの含水率の制御
が困難となる恐れがあり、押出機内でEVOHからなる
樹脂組成物において、樹脂と樹脂に含有される水が相分
離を起こしやすくなる恐れがある。
【0083】従来の、EVOHを酸性物質および/また
は金属塩の溶液に含浸させる処理方法では、上記のよう
なEVOHのクラム状析出物などは良好な品質の製品を
得ることが困難であったが、本発明により、かかる形態
のEVOHに関してもカルボン酸、ホウ素化合物、リン
酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩か
ら選ばれる少なくとも1種を均質に添加することが可能
となり、安定した品質のEVOHからなる樹脂組成物ペ
レットを得ることが可能である。
【0084】本発明は、押出機内において含水かつ溶融
状態のEVOHに酸化防止剤を配合するものである。酸
化防止剤の配合位置は、押出機内の樹脂が溶融した後で
あれば特に限定されるものではないが、前述の、洗浄、
脱水あるいは脱気処理を行う場合には、それらの処理を
行った後の位置で配合することが好ましい。これは洗浄
液あるいは水分の除去とともに酸化防止剤が排出される
のを防ぐためである。
【0085】また、前述の、カルボン酸等の添加処理を
する場合には、その添加位置と酸化防止剤の配合位置と
の関係は特に限定されないが、はじめにカルボン酸等を
添加し、次に、酸化防止剤を添加する方法が好適であ
る。
【0086】酸化防止剤を押出機内に配合する方法は特
に限定されるものではない。酸化防止剤が粉体である場
合、紛体フィーダーを用いて押出機へフィードすること
ができる。この場合、酸化防止剤の添加位置のスクリュ
構成は、フルフライトスクリューであることが好まし
い。粉体の添加位置が混練機能を有する逆フライトスク
リューである場合、粉体フィーダーと連結する配管へ樹
脂が逆流し、配管詰りが発生する場合がある。一方、酸
化防止剤を融点以上に加熱し、液状で投入する場合ある
いは酸化防止剤の溶液を投入する場合、圧入ポンプで定
量フィードすることもできる。この時、酸化防止剤の添
加位置のスクリュー構成は、フルフライトスクリュー、
逆フライトスクリューのいずれであっても構わない。
【0087】押出機から吐出されたEVOHからなる樹
脂組成物をペレット化する方法は特に限定されないが、
前記樹脂組成物をダイスからストランド状に凝固浴中に
押出し、適切な長さにカットする方法が例示される。ペ
レットの取り扱いの容易性の観点から、ダイスの口径は
2〜5mmφ(φは直径。以下同。)が好適であり、ス
トランドを1〜5mm程度の長さでカットすることが好
ましい。
【0088】得られたペレットは、通常、乾燥工程に供
される。乾燥後のEVOHからなる樹脂組成物ペレット
の含水率は、一般に1.0重量%以下、好適には0.5
重量%とされる。乾燥方法は特に限定されないが、静置
乾燥法、流動乾燥法などが好適なものとして挙げられ、
幾つかの乾燥方法を組み合わせた多段階の乾燥工程を採
用することも可能である。この中でも、初めに流動乾燥
法で乾燥し、引き続いて静置乾燥法で乾燥する方法が好
適である。
【0089】従来のEVOHペレットを酸性物質および
/または金属塩を含有する処理液に浸漬する処理方法の
場合、処理後のEVOHの含水率は通常40〜70重量
%程度であった。ところが、本発明のEVOHを押出機
で溶融し、前記押出機内でカルボン酸、ホウ素化合物、
リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属
塩から選ばれる少なくとも1種を添加する処理方法の場
合は、押出機吐出直後のEVOHからなる樹脂組成物の
含水率を任意に調節が可能であり、押出機吐出直後の含
水率は好適には5〜40重量%である。従って従来法よ
りも、含水率の小さいペレットを得ることが可能であ
る。かかる含水率の小さいペレットは、乾燥プロセスに
おけるエネルギーの消費量を低減することができる観点
から好適である。
【0090】特に、含水率が40重量%を超えるペレッ
トは、乾燥温度を100℃以上にした場合、ペレット同
士の融着が発生する恐れがある。かかる観点からも、上
記のような含水率の低いペレットが得られる、EVOH
を押出機で溶融し前記押出機内でカルボン酸、ホウ素化
合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土
類金属塩から選ばれる少なくとも1種を添加する本発明
の処理方法は好適である。
【0091】上記の方法で得られたEVOHからなる樹
脂組成物ペレットに、重合度、エチレン含有率およびケ
ン化度の異なるEVOHをブレンドし溶融成形すること
も可能である。また、前記樹脂組成物ペレットに他の各
種可塑剤、安定剤、界面活性剤、色剤、紫外線吸収剤、
帯電防止剤、乾燥剤、架橋剤、金属塩、充填剤、各種繊
維等の補強剤等を適量添加することも可能である。本発
明のEVOHからなる樹脂組成物ペレットは押出機のモ
ータートルクおよびそのトルク変動が小さく、押出安定
性に優れているため、実施態様によっては滑剤の使用量
を大幅に低減すること、あるいは滑剤を使用しないこと
が可能な点で特に好適である。ただし、前記ペレットを
用いて成形物を成形する際の滑剤の使用は任意であり、
制限されない。
【0092】また、EVOH以外の熱可塑性樹脂を本発
明の目的を阻害しない範囲で適量配合することも可能で
ある。熱可塑性樹脂としては各種ポリオレフィン(ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−
メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合
体、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重
合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、
エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、またはこれらを不飽和カルボン
酸またはその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフ
ィンなど)、各種ナイロン(ナイロン−6、ナイロン−
6,6、ナイロン−6/6,6共重合体など)、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリス
チレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリア
セタールおよび変性ポリビニルアルコール樹脂などが用
いられる。
【0093】得られた本発明のEVOHからなる樹脂組
成物ペレットは溶融成形によりフィルム、シート、容
器、パイプ、繊維等、各種の成形体に成形される。これ
らの成形物は再使用の目的で粉砕し再度成形することも
可能である。また、フィルム、シート、繊維等を一軸ま
たは二軸延伸することも可能である。溶融成形法として
は押出成形、インフレーション押出、ブロー成形、溶融
紡糸、射出成形等が可能である。溶融温度は前記共重合
体の融点等により異なるが150〜270℃程度が好ま
しい。
【0094】本発明のEVOHからなる樹脂組成物ペレ
ットは、上述した如く前記樹脂組成物のみを単層とする
樹脂成形物の製造以外に、本発明の組成物フィルム、シ
ート等の成形物を少なくとも1層とする多層構造体とし
て実用に供せられることが多い。前記多層構造体の層構
成としては、本発明のEVOHからなる樹脂組成物を
E、接着性樹脂をAd、熱可塑性樹脂をTで表わすと、
E/Ad/T、T/Ad/E/Ad/T等が挙げられる
が、これに限定されない。それぞれの層は単層であって
もよいし、場合によっては多層であってもよい。
【0095】用いられる熱可塑性樹脂としては、直鎖状
低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリ
エチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピ
レン、プロピレン−α−オレフィン共重合体(炭素数4
〜20のα−オレフィン)、ポリブテン、ポリペンテン
等のオレフィンの単独またはその共重合体、ポリエチレ
ンテレフタレート等のポリエステル、ポリエステルエラ
ストマー、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリア
ミド樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビ
ニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポ
リウレタンエラストマー、ポリカーボネート、塩素化ポ
リエチレン、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられる。
上記の中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレ
ン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエステルが好まし
く用いられる。
【0096】EVOHと熱可塑性樹脂とを積層するに際
し、接着性樹脂を使用する場合があり、この場合の接着
性樹脂としてはカルボン酸変性ポリオレフィンからなる
接着性樹脂が好ましい。カルボン酸変性ポリオレフィン
とは、オレフィン系重合体にエチレン性不飽和カルボン
酸またはその無水物を化学的(たとえば付加反応、グラ
フト反応により)結合させて得られるカルボキシル基を
含有する変性オレフィン系重合体が好適である。ここで
オレフィン系重合体とはポリエチレン(低圧、中圧、高
圧)、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ボ
リブテンなどのポリオレフィン、オレフィンと前記オレ
フィンとを共重合し得るコモノマー(ビニルエステル、
不飽和カルボン酸エステルなど)との共重合体、たとえ
ばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル
酸エチルエステル共重合体などを意味する。このうち直
鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体(酢酸ビニルの含有量5〜55重量%)、エチレン−
アクリル酸エチルエステル共重合体(アクリル酸エチル
エステルの含有量8〜35重量%)が好適であり、直鎖
状低密度ポリエチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合
体が特に好適である。エチレン性不飽和カルボン酸また
はその無水物とはエチレン性不飽和モノカルボン酸、そ
のエステル、エチレン性不飽和ジカルボン酸、そのモノ
またはジエステル、その無水物があげられ、このうちエ
チレン性不飽和ジカルボン酸無水物が好適である。具体
的にはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイ
ン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステ
ル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチ
ルエステル、フマル酸モノメチルエステルなどが挙げら
れ、なかんずく、無水マレイン酸が好適である。
【0097】エチレン性不飽和カルボン酸またはその無
水物のオレフィン系重合体への付加量またはグラフト量
(変性度)はオレフィン系重合体に対し0.01〜15
重量%、好ましくは0.02〜10重量%である。エチ
レン性不飽和カルボン酸またはその無水物のオレフィン
系重合体への付加反応、グラフト反応は、たとえば溶媒
(キシレンなど)、触媒(過酸化物など)の存在下でラ
ジカル重合法などにより得られる。このようにして得ら
れたカルボン酸変性ポリオレフィンのASTM−D12
38に準じD−1238−65Tにより、190℃で測
定したメルトインデックス(MI)は0.2〜30g/
10分であることが好ましく、より好ましくは0.5〜
10g/10分である。これらの接着性樹脂は単独で用
いてもよいし、また二層以上を混合して用いることもで
きる。
【0098】本発明においては、上記多層構造体はその
まま各種形状のものに用いることが出来るが、前記多層
構造体の物性を改善するためには延伸処理を施すことも
好ましく、破断、ピンホール、延伸ムラ、デラミ等の生
じない延伸フィルムや延伸シート等が得られる。
【0099】延伸については、一軸延伸、二軸延伸のい
ずれであってもよく、できるだけ高倍率の延伸を行った
ほうが物性的に良好である。本発明においては、延伸時
にピンホールやクラック、延伸ムラ、デラミ等の生じな
い延伸フィルムや延伸シート等が得られる。
【0100】延伸方法としては、ロール延伸法、テンタ
ー延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法等の他、
深絞成形、真空成形等のうち延伸倍率の高いものも採用
できる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸
延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は80
〜170℃、好ましくは100〜160℃程度の範囲か
ら選ばれる。
【0101】かくして延伸が終了した後、次いで熱固定
を行う。熱固定は周知の手段で実施可能であり、上記延
伸フィルムを緊張状態を保ちながら80〜170℃、好
ましくは100〜160℃で2〜600秒間程度熱処理
を行う。又、得られる延伸フィルムは必要に応じ、冷却
処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液又は溶融
コート処理、製袋加工、箱加工、チューブ加工、スプリ
ット加工等を行うことができる。
【0102】かくして得られた多層構造体の形状として
は任意のものであってよく、フィルム、シート、テー
プ、ボトル、パイプ、フィラメント、異型断面押出物等
が例示される。又、得られる多層構造体は必要に応じ、
熱処理、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネ
ート処理、溶液又は溶融コート処理、製袋加工、深絞り
加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行う
ことができる。上記の如く得られたフィルム、シート或
いは容器等は食品、医薬品、工業薬品、農薬等各種の包
装材料として有用である。
【0103】上記に示す多層構造体を製造するに当たっ
ては、本発明のEVOHからなる樹脂組成物より得られ
たフィルム、シート等の成形物の層の片面又は両面に他
の基材をラミネートするのであるが、ラミネート方法と
しては、例えば、前記成形物(フィルム、シート等)に
熱可塑性樹脂を溶融押出する方法、逆に熱可塑性樹脂等
の基材に前記樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂とを共押出
する方法、熱可塑性樹脂とEVOHからなる樹脂組成物
を共射出する方法、更にはEVOHからなる樹脂組成物
より得られた成形物と他の基材のフイルム、シートとを
有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステ
ル系化合物等の公知の接着剤を用いてラミネートする方
法等が挙げられ、中でも他の熱可塑性樹脂とを共押出す
る方法が好ましく用いられる。本発明のEVOHからな
る樹脂組成物は層間接着性に非常に優れるため、共押出
成形用樹脂組成物、およびそれを用いた共押出多層構造
体に好適である。
【0104】本発明の組成物と熱可塑性樹脂との共押出
の方法は、マルチマニホールド合流方式Tダイ法、フィ
ードプロック合流方式Tダイ法、インフレーション法の
いずれでもよい。
【0105】このようにして得られた共押出多層構造体
を二次加工することにより、各種成形品(フィルム、シ
ート、チューブ、ボトルなど)を得ることができ、たと
えば以下のようなものが挙げられる。 (1)多層構造体(シート又はフィルムなど)を一軸ま
たは二軸方向に延伸、又は二軸方向に延伸、熱処理する
ことによる多層共延伸シート又はフィルム (2)多層構造体(シート又はフィルムなど)を圧延す
ることによる多層圧延シート又はフィルム (3)多層構造体(シート又はフィルムなど)真空成
形、圧空成形、真空圧空成形、等熱成形加工することに
よる多層トレーカップ状容器 (4)多層構造体(パイプなど)からのストレッチブロ
ー成形等によるボトル、カップ状容器 このような二次加工法には特に制限はなく、上記以外の
公知の二次加工法(ブロー成形など)も採用できる。
【0106】このようにして得られた共押出多層構造
体、共射出多層構造体はゲル・ブツの発生が少なく、ま
た、フィルム成形時のフィッシュアイおよびストリーク
の発生が少ないので、食品容器の材料、たとえば深絞り
容器、カップ状容器、ボトル等の材料として好適に用い
られる。
【0107】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明はこの実施例に限定されるものではい。
以下「%」、「部」とあるのは特に断わりのない限り重
量基準である。尚、水はすべてイオン交換水を使用し
た。 (1)含水率の測定 試料とする含水EVOH20gを良く乾燥した秤量ビン
に取り、熱風乾燥機で120℃、24時間乾燥し、乾燥
前と乾燥後のEVOHの重量変化から、下記式(1)を
用いてEVOHの含水率を求めた。 含水率(重量%)=(乾燥前重量−乾燥後重量)/乾燥前重量×100 (1) (2)添加した微量成分の定量 以下に示す方法に従って、定量を行った。なお、以下の
「乾燥チップ」とは、押出機内でカルボン酸、ホウ素化
合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土
類金属塩から選ばれる少なくとも1種を添加されたEV
OHからなる樹脂組成物ペレットを、流動式熱風乾燥機
を用いて100℃で15時間乾燥し、引き続いて静置式
熱風乾燥機を用いて100℃で15時間乾燥を行って得
られたものである。 (2−a)酢酸含有量の定量 試料とする乾燥チップ20gをイオン交換水100ml
に投入し、95℃で6時間加熱抽出した。抽出液にフェ
ノールフタレインを指示薬として1/50規定のNaO
Hで中和滴定し、酢酸含有量を定量した。 (2−b)Na、K、Mgイオンの定量 試料とする乾燥チップ10gを0.01規定の塩酸水溶
液50mlに投入し、95℃で6時間撹拌した。撹拌後
の水溶液をイオンクロマトグラフィーを用いて定量分析
し、Na、K、Mgイオンの量を定量した。カラムは、
(株)横河電機製のICS−C25を使用し、溶離液は
5.0mMの酒石酸と1.0mMの2,6−ピリジンジ
カルボン酸を含む水溶液とした。なお、定量に際しては
それぞれ塩化ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液お
よび塩化マグネシウム水溶液で作成した検量線を用い
た。こうして得られたNa、K、Mgイオンの量から、
乾燥チップ中のアルカリ金属塩の量およびアルカリ土類
金属の量を金属換算の量で得た。 (2−c)ホウ素化合物の定量 試料とするチップにNa2CO3水溶液を加え、白金るつ
ぼで600℃で灰化させた。得られたサンプルに塩酸を
加えて溶解し、ICP発光分光分析法によりホウ素化合
物の含有量をホウ素換算で定量した。 (2−d)リン酸イオンの定量 試料とする乾燥チップ10gを0.01規定の塩酸水溶
液50mlに投入し、95℃で6時間撹拌した。撹拌後
の水溶液をイオンクロマトグラフィーを用いて定量分析
し、リン酸イオンの量を定量した。カラムは、(株)横
河電機製のICS−A23を使用し、溶離液は2.5m
Mの炭酸ナトリウムと1.0mMの炭酸水素ナトリウム
を含む水溶液とした。なお、定量に際してはリン酸水溶
液で作成した検量線を用いた。こうして得られたリン酸
イオンの量から、リン化合物の含有量をリン酸根換算で
得た。 (3)メルトインデックス(MI) ASTM−D1238に準じ、メルトインデクサーを使
用し、温度190℃、荷重2160gの条件にて測定し
た。 (4)単層製膜試験 (4−a)押出機投入時のモータートルクおよびトルク
変動幅 下記仕様の押出機を使用してEVOHからなる樹脂組成
物の単層製膜を行い、EVOHからなる樹脂組成物ペレ
ットの押出機投入時のモータートルクおよびトルク変動
幅を調べた。
【0108】押出機の仕様は以下の通り。
【0109】 押出機 GT−40−A (株)プラスチック工学研究所製 形式 単軸押出機(ノンベントタイプ) L/D 26 CR 3.5 口径 40mmφ スクリュー 一条フルフライトタイプ、表面窒化鋼 回転数 40rpm 駆動機 住友重機株式会社製直流式電動機SCR−DC218B モーター容量 DC7.5KW(定格45A) ヒーター 4分割タイプ ダイ幅 300mm ダイ内樹脂温度 240℃ 引取り速度 10m/min. (4−b)ストリーク・フィッシュアイ 試料とする乾燥チップを用いてEVOHの単層製膜を実
施し、製膜開始から1時間後のフィルムのゲル状ブツ
(肉眼で確認できる約100μm以上のもの)を数え、
1.0m2あたりに換算した。ブツの個数によって以下
のように判定した。A;20個未満 B;20〜40個
C;40〜60個 D;60個以上 (4−c)着色 試料とする乾燥チップを用いてEVOHの単層製膜を実
施し、製膜開始から1時間後のフィルムを紙管に巻き取
り、フィルム端面の着色度を肉眼で判定し以下のように
判定した。 A;着色なし B;やや黄変 C;黄変 D;激しい着
色 (4−d)ダイ内付着量 試料チップを用いてEVOHの単層製膜を8時間実施
後、MI=1のLDPEで押出機内のEVOH樹脂を1
時間かけて置換した後、ダイ内部に付着したEVOH熱
劣化樹脂の重量を測定した。
【0110】
【実施例1】エチレン32モル%、ケン化度99.5モ
ル%、含水率33重量%のEVOHを図1に記載した二
軸押出機に投入し、脱水スリットからなる脱液部で水分
を減少させ、吐出口の樹脂温度を100℃とし、図1に
示した微量成分添加部より、酢酸/ホウ酸/酢酸ナトリ
ウム/酢酸マグネシウム/リン酸二水素カリウム水溶液
からなる処理液を添加した。EVOHの単位時間当たり
の投入量は10kg/hr(含有される水の重量を含
む)、処理液の単位時間当たりの投入量は0.67L/
hrであり、処理液の組成は酢酸を4.3g/L、ホウ
酸を15g/L、酢酸ナトリウムを4.6g/L、酢酸
マグネシウム四水塩を4.5g/L、リン酸二水素カリ
ウムを1.4g/L含有する水溶液であった。また、N,
N'-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-
4-ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]:IRGANOX1098
(チバ・スぺシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を0.
05重量%を粉体フィーダーを用いて添加した。二軸押
出機の仕様を以下に示す(詳細は図1に記載)。
【0111】 形式 二軸押出機 L/D 45.5 口径 30mmφ スクリュー 同方向完全噛合型 回転数 300rpm モーター容量 DC22KW ヒーター 13分割タイプ ダイスホール数 5穴(3mmφ) ダイス内樹脂温度 100℃ 引取り速度 5m/min押出機吐出後のEVO
Hからなる樹脂組成物ペレットの含水率は、20重量%
であった。得られたペレットを流動乾燥機を用いて10
0℃で15時間乾燥し、引き続き静置乾燥機を用いて1
00℃で15時間乾燥した結果、含水率は0.3重量%
であった。乾燥後のEVOHからなる樹脂組成物ペレッ
ト中の酢酸の含有量は300ppm、ホウ素化合物の含
有量はホウ素換算で270ppm、リン酸化合物の含有
量はリン酸根換算で100ppm、アルカリ金属塩の含
有量はカリウムが金属換算で40ppm、ナトリウムが
金属換算で130ppmであり、アルカリ土類金属塩の
含有量はマグネシウムが金属換算で50ppmであっ
た。また、MIは1.5g/10minであった。
【0112】得られた乾燥チップを用い、EVOHの単
層製膜を行い、押出機投入時のモータートルクおよびト
ルク変動幅、ストリーク・フィッシュアイ、耐着色性お
よびダイ付着量の試験を実施した。
【0113】単層製膜の結果、押出時のモータートルク
は220kg・cm、トルク変動幅は50kg・cmで
あった。ストリーク・フィッシュアイ試験および耐着色
性試験はいずれもA判定であり、ダイ内付着量は2.2
gであった。
【0114】
【実施例2〜3】EVOHに添加する酸化防止剤および
押出機内での樹脂温度を表1にまとめて示すように変更
し、カルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカ
リ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なく
とも1種溶液の組成を表2に示すように変更した以外
は、実施例1と同様にしてEVOHペレットを作成し
た。押出時の条件を表1に、処理液の組成を表2に、得
られたEVOHペレットの組成と品質を表3に、評価結
果を表4にそれぞれ示す。
【0115】
【比較例1】エチレン含有量32モル%のエチレン−酢
酸ビニル共重合体の45%メタノール溶液をケン化反応
器に仕込み、苛性ソーダ/メタノール溶液(80g/
L)を共重合体中の酢酸ビニル成分に対し、0.4当量
となるように添加し、メタノールを添加して共重合体濃
度が20%になるように調整した。60℃に昇温し反応
器内に窒素ガスを吹き込みながら約4時間反応させた。
4時間後、酢酸で中和し反応を停止させ、エチレン含有
量32モル%、ケン化度99.5%のEVOHのメタノ
ール溶液を得た。前記EVOH溶液を円形の開口部を有
する金板から水中に押し出してストランド析出させ、切
断することで直径約3mm、長さ約5mmのペレットを
得た。得られたペレットは遠心分離機で脱液しさらに大
量の水を加え脱液する操作を繰り返した。
【0116】こうして得られたEVOHペレット(含水
率55重量%)3.5kgを、酢酸0.4g/L、酢酸
ナトリウム0.3g/L、酢酸マグネシウム四水塩0.
3g/L、リン酸二水素カリウム0.2g/L、ホウ酸
0.7g/Lを含有する水溶液6Lに25℃で6時間浸
漬した。浸漬後脱液し、得られたEVOH樹脂組成物か
らなるペレット(含水率55重量%)を流動乾燥機を用
いて80℃で15時間、引き続いて静置乾燥機を用いて
100℃で24時間乾燥を行い、乾燥ペレット(含水率
0.3%)を得た。
【0117】得られた乾燥後のEVOHからなる樹脂組
成物ペレット中の酢酸の含有量は300ppm、ホウ素
化合物の含有量はホウ素換算で270ppm、リン酸化
合物の含有量はリン酸根換算で100ppm、アルカリ
金属塩の含有量はカリウムが金属換算で40ppm、ナ
トリウムが金属換算で130ppmであり、アルカリ土
類金属の含有量はマグネシウムが金属換算で50ppm
であった。また、MIは1.5g/10minであっ
た。前記ペレットを用いて、実施例1と同様に評価を行
った。結果を表4に示す。
【0118】
【比較例2】比較例1で得られた乾燥後のEVOH樹脂
組成物ペレットを用い、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-
ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルエチルアミド):IRG
ANOX1098((チバ・スぺシャリティ・ケミカルズ株式会社
製)を0.05重量%ドライブレンドし、下記仕様の押
出機を使用し、樹脂組成物ペレットを得た。押出機の仕
様は以下の通り。
【0119】 押出機 GT−40−A (株)プラスチック工学研究所製 形式 単軸押出機(ノンベントタイプ) L/D 26 CR 3.5 口径 40mmφ スクリュー 一条フルフライトタイプ、表面窒化鋼 回転数 40rpm 駆動機 住友重機株式会社製直流式電動機SCR−DC218B モーター容量 DC7.5KW(定格45A) ヒーター 4分割タイプ ダイ幅 6穴(3mmφ) ダイ内樹脂温度 240℃ 引取り速度 2m/min 得られたEVOH樹脂組成物からなるペレットを静置乾
燥機を用いて100℃で24時間乾燥を行い、乾燥ペレ
ット(含水率0.3%)を得た。乾燥後のEVOHから
なる樹脂組成物ペレット中の酢酸の含有量は220pp
m、ホウ素化合物の含有量はホウ素換算で270pp
m、リン酸化合物の含有量はリン酸根換算で100pp
m、アルカリ金属塩の含有量はカリウムが金属換算で4
0ppm、ナトリウムが金属換算で130ppmであ
り、アルカリ土類金属の含有量はマグネシウムが金属換
算で50ppmであった。また、MIは1.5g/10
minであった。前記ペレットを用いて、実施例1と同
様に評価を行った。結果を表4に示す。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
【表3】
【0123】
【表4】
【0124】以上表1〜4(とくに表4)から明らかな
とおり、本発明の実施例1〜3は、押出安定性、製膜品
質ともに優れていた。
【0125】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
含水状態のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂に
酸化防止剤を溶融混練することにより、熱安定性に優れ
かつ製造コストが安価なエチレン−ビニルアルコール共
重合体樹脂組成物ペレットを提供できる。また、ペレッ
トの流動性が良好になり、ホッパーなどでブリッジを形
成しにくく、押出機などへの噛み込み性も良好なものと
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の一実施形態の概略工程図を示す説
明図である。
【符号の説明】
1 原料供給部 2 脱液部 3 微量成分添加部 4 酸化防止剤添加部 5 温度センサー 6a,6b,6c フルフライトスクリュー部 7a,7b 逆フルフライトスクリュー部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/09 C08K 5/09 5/13 5/13 5/17 5/17 C08L 23/26 C08L 23/26 29/04 29/04 S (72)発明者 川原 孝春 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株式 会社クラレ内 (72)発明者 坪井 俊雄 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株式 会社クラレ内 Fターム(参考) 4F070 AA13 AA26 AB01 AB09 AC11 AC20 AC22 AC37 AC40 AC42 AC46 AC53 AE03 FA03 FB06 FC05 4J002 BB221 BE031 DE286 DH027 DH037 DK007 EF007 EG007 EJ016 EN006 EW047 FD076 GG01 GG02

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂
    に酸化防止剤を添加する方法であって、押出機内におい
    て前記樹脂を含水かつ溶融状態で前記酸化防止剤と溶融
    混練することを特徴とするエチレン−ビニルアルコール
    共重合体樹脂組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】酸化防止剤の融点が170℃以下である請
    求項1に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹
    脂組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】酸化防止剤が、ヒンダードフェノール基を
    有する化合物、ヒンダードアミン基を有する化合物及び
    ハイドロタルサイト化合物から選ばれる少なくとも一種
    の化合物である請求項1または2に記載のエチレン−ビ
    ニルアルコール共重合体樹脂組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】樹脂に対する酸化防止剤の添加量が0.0
    01〜5重量%の範囲である請求項1〜3のいずれかに
    記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物
    の製造方法。
  5. 【請求項5】溶融混練時の樹脂の含水率が0.5〜70
    重量%の範囲である請求項1に記載のエチレン−ビニル
    アルコール共重合体樹脂組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】押出機内の樹脂溶融温度が70〜170℃
    の範囲である請求項1に記載のエチレン−ビニルアルコ
    ール共重合体樹脂組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】エチレン−ビニルアルコール共重合体のエ
    チレン含有量が3〜70モル%の範囲である請求項1に
    記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物
    の製造方法。
  8. 【請求項8】エチレン−ビニルアルコール共重合体のケ
    ン化度が80%〜100%の範囲である請求項1に記載
    のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物の製
    造方法。
  9. 【請求項9】押出機から吐出した直後の樹脂の含水率が
    5〜40重量%である請求項1に記載のエチレン−ビニ
    ルアルコール共重合体樹脂組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】押出機から吐出した直後の樹脂の含水率
    が5〜40重量%となるように押出機中で不足水を供給
    しあるいは過剰水を除去する請求項9に記載のエチレン
    −ビニルアルコール共重合体樹脂組成物の製造方法。
  11. 【請求項11】押出機において、カルボン酸、ホウ素化
    合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩及びアルカリ土類
    金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を溶融混練
    する請求項1〜10のいずれかに記載のエチレン−ビニ
    ルアルコール共重合体樹脂組成物の製造方法。
  12. 【請求項12】請求項1〜11のいずれかに記載の方法
    によって得られたエチレン-ビニルアルコール共重合体
    樹脂組成物を押出機から吐出した後、カットすることを
    特徴とするエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂組
    成物ペレットの製造方法。
  13. 【請求項13】エチレン−ビニルアルコール共重合体樹
    脂組成物をカットした後、水分率が1重量%以下になる
    まで乾燥する請求項12に記載のエチレン−ビニルアル
    コール共重合体樹脂ペレットの製造方法。
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