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JP2001236864A - 電力用真空遮断器の接点材料 - Google Patents

電力用真空遮断器の接点材料

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Publication number
JP2001236864A
JP2001236864A JP2000047979A JP2000047979A JP2001236864A JP 2001236864 A JP2001236864 A JP 2001236864A JP 2000047979 A JP2000047979 A JP 2000047979A JP 2000047979 A JP2000047979 A JP 2000047979A JP 2001236864 A JP2001236864 A JP 2001236864A
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alloy
phase
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particles
circuit breaker
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Isao Okutomi
功 奥富
Takashi Kusano
貴史 草野
Atsushi Yamamoto
敦史 山本
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Toshiba Corp
Shibafu Engineering Corp
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Toshiba Corp
Shibafu Engineering Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CuCr合金の再点弧特性を安定化させ電流
遮断特性の優れた電力用真空遮断器の接点材料を提供す
る。 【解決手段】 Cu−Cr合金からなる電力用真空遮断
器の接点材料に於いて、焼結工程後若しくは焼結・溶浸
工程後の、Cu−Cr合金中のCr粒子の硬度値をH
s、Cu相の硬度値をHmとし、Cu−Cr合金中のC
u相の持つ融解温度の直下温度に加熱し、常温にまで冷
却した時の、Cu−Cr合金中のCr粒子の硬度値をH
r、Cu相の硬度値をHoとした時、[Hs/Hr]比
を1.0〜1.6の範囲に、または[Hm/Ho]比を
1.0〜2.0の範囲にする。これにより再点弧特性と
電流遮断特性を安定化させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、すぐれた遮断特
性と再点弧抑制特性とを備えた真空バルブ等からなる電
力用真空遮断器の接点材料に関する。
【0002】
【従来の技術】真空中でのアーク拡散性を利用して、高
真空中で電流遮断を行わせる真空バルブの接点は、対向
する固定、可動の2つの接点から構成されている。
【0003】真空遮断器には、大電流断性能、耐電圧性
能、耐溶着性能の基本的3要件の他に再点弧現象の発生
の抑制が重要な要件となっている。
【0004】しかしながら、これらの要件の中には相反
するものがある関係上、単一の金属種によって総ての要
件を満足させることは不可能である。この為実用されて
いる多くの接点材料に於いては、不足する性能を相互に
補るような2種以上の元素を組合せることによって、例
えば大電流用、高耐圧用などのように特定の用途に合っ
た接点材料の選択採用が行われ、それなりに優れた特性
を持つ真空バルブが開発されているが、さらに強まる要
求を充分満足する真空バルブは未だ得られていないのが
実情である。
【0005】例えば、大電流遮断性を目的とした接点と
して、Crを50wt%程度含有させたCu−Cr合金
(特公昭45−35101号)が知られている。この合
金は、Cr自体がCuと略同等の蒸気圧特性を保持しか
つ強力なガスのゲッタ作用を示す等の効果で高電圧大電
流断性を実現し、高耐圧特性と大容量遮断とを両立させ
得る接点として多用されている。
【0006】この合金は、活性度の高いCrを使用して
いることから、原料粉の選択、不純物の混入、雰囲気の
管理などに十分に配慮しながら接点素材を製造(焼結工
程など)したり、接点素材から接点片へと加工に配慮し
ながら接点製品としている。
【0007】しかし再点弧の発生が引金となって遮断性
能を低下させる場合が見られ、その改善が望まれてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】CuCr接点は、両者
の高温度での蒸気圧特性が近似していることなどが主因
となって、電流遮断後でも接点表面は比較的平滑な損傷
特性を示し、安定した電気特性(安定した接触抵抗特
性、優れた遮断特性、再点弧抑制など)を発揮してい
る。しかし近年では一層の大電流遮断やより高電圧が印
加される可能性のある回路への適応が日常的に行われる
結果、接点として加工した新品時の表面状態、電流遮断
後の接点表面の損傷状態などによっては、再点弧の誘発
が見られるようになってきた。すなわち加工時の表面状
態や、電流遮断によって異常的に損傷・消耗した接点表
面では、次の定常電流の開閉時の接触抵抗の異常上昇や
温度の異常上昇を引起こす原因となったり、耐電圧不良
を示し、再点弧発生の一因となっている。
【0009】研究によれば、CuCr合金の再点弧特性
と遮断特性は、合金中のCr量の変動、Cr粒子の粒度
分布、Cr粒子の偏析の程度、合金中に存在する空孔の
程度などに依存することが判明した。また、CuCr合
金の再点弧特性と遮断特性は、合金中のCu相の特に遮
断前と遮断後との表面状態の変化状況にも依存すること
が判明した。
【0010】しかしその最適化を進めているにも拘ら
ず、上述した近年の適応状況では、まだばらつきが見ら
れ、両特性を兼備した真空バルブが必要となって来た。
【0011】この発明は、このような点に鑑み為された
もので、その目的は、CuCr合金の再点弧特性を安定
化させ電流遮断特性の優れた電力用真空遮断器の接点材
料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記発明の目的を達成す
る為に、請求項1に記載の本発明は、Cu又はCuを主
成分とするCu合金で構成されるCu相より成る導電性
成分と、粒子径が0.1〜150μmの範囲にあるCr
粒子を所定比率以上含んだCr粒子より成る耐弧性成分
とで構成されたCu−Cr合金からなる電力用真空遮断
器の接点材料に於いて、焼結工程後若しくは焼結・溶浸
工程後の、Cu−Cr合金中のCr粒子の硬度値(マイ
クロビッカース硬さ値)をHs、Cu−Cr合金中のC
u相の持つ融解温度の直下温度に加熱し、これを常温に
まで冷却した時の、Cu−Cr合金中のCr粒子の硬度
値(マイクロビッカース硬さ値)をHrとした時の[H
s/Hr]比を、1.0〜1.6の範囲としたことを特
徴とする電力用真空遮断器の接点材料である。
【0013】ここで、上記接点材料製造時(焼結工程後
若しくは焼結・溶浸工程後)のCr粒子の硬度値Hs
は、原料Crの内容や焼結、溶浸時に選択した熱処理条
件や接点材料加工時の残存歪みの程度などが互いに関連
し合って決定され、例えばHsのビッカース硬さは20
0近傍の値を示す。
【0014】ところで、この接点材料を真空バルブとし
て組み込み実際に稼働させると、定常電流開閉時や事故
電流遮断時にアーク熱を受け、接点面は次第に変化(軟
化)し最後には一定の硬度値HBを示す様になり、その
間に最初のビッカース硬さ200近傍の硬度値Hsから
大きく低下する。実際に真空バルブを稼働させた後最後
に一定となった時の硬度値HBと、上記Cu相の融解温
度の直下温度T1に加熱した後、常温にまで冷却した時
のCr粒子の硬度値Hrとを対比すると、両者(HB
Hr)はほぼ近似の硬度値を示していることが判った。
【0015】ところでHBの測定には真空バルブを製造
すること、実際に電流の遮断や開閉の作業を要すること
などで経済的、時間的負担が大きく不利の為、HBとH
rとがほぼ近似した値となる前記性質を利用して、Hr
によってHBを代用すること、すなわち測定の困難なHB
に代わって、測定の容易なHrによって、定常電流開閉
時や事故電流遮断時の接点面の軟化の状況をおきかえる
ことが可能であり有益である。
【0016】また上記接点材料製造時のCr粒子の硬度
値Hsが大で、常温にまで冷却した時の硬度値Hrとの
差が大きい程(すなわち[Hs/Hr]比が大)、再点
弧の発生頻度が大の傾向になることも判った。[Hs/
Hr]比として1.6を越えた接点を選択すると、Cu
−Cr合金中のCr粒子とCu相との硬度の差が大とな
り、接点の機械的仕上げ加工に際し硬さの差によって安
定した加工表面状態が得られず、目標とする低再点弧化
に対して好ましくない。
【0017】請求項2に記載の本発明は、Cu−Cr合
金中のCu相の持つ融解温度の直下温度が1030℃〜
1080℃であることを特徴とする請求項1に記載の電
力用真空遮断器の接点材料である。
【0018】ここで、Cu相の持つ融解温度の直下温度
T1より低い温度(l030℃より低い温度)で熱処理
した時のCrの硬さ値と、電流遮断・開閉経過後のCr
の硬さ値HBとが一致しない。その為、T1より低い温
度で熱処理した時のCrの硬さ値を使用すると、[Hs
/Hr]比と再点弧発生頻度との間の関係は、十分には
対応が取れず製品の管理が出来なくなる。
【0019】更に請求項3に記載の本発明は、Cu又は
Cuを主成分とするCu合金で構成されるCu相より成
る導電性成分と、粒子径が0.1〜150μmの範囲に
あるCr粒子を所定比率以上含んだCr粒子より成る耐
弧性成分とで構成されたCu−Cr合金からなる電力用
真空遮断器の接点材料に於いて、焼結工程後若しくは焼
結・溶浸工程後の、Cu−Cr合金中のCr粒子の硬度
値(マイクロビッカース硬さ値)をHs、非酸化性雰囲
気中で、Cu−Cr合金中のCu相の融解温度以下の温
度またはCu相の融解温度以上の温度で加熱し、これを
常温にまで冷却した時の、Cu−Cr合金中のCr粒子
の硬度値(マイクロビッカース硬さ値)をHrとした時
の[Hs/Hr]比を、1.0〜1.6の範囲に調整し
たことを特徴とする電力用真空遮断器の接点材料であ
る。
【0020】ここで、Cu−Cr接点材料の製造雰囲気
として、非酸化性雰囲気を選択することは、特に再点弧
発生頻度の低減化に対して好ましい。
【0021】更に請求項4に記載の本発明は、Crの一
部を、Cr量に対して50%(重量%)以下のTi,
V,Nb,Taより選ばれた1つによって置換したこと
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の
電力用真空遮断器の接点材料である。
【0022】ここで、Crの一部をTi,V,Nb,T
aの1つによって置換することによって、Cu−Cr接
点素材全体の機械的強度を大とし、Cr粒子の脱落が引
き金となって引き起こされる再点弧発生を軽減化する。
50%(重量%)を越えるとこれらの元素が主因となる
熱電子放出が盛んとなり、遮断特性を低下させる。
【0023】更に請求項5に記載の本発明は、Cu相中
には、Cu量に対して20%(重量%)以下のCr,T
i,V,B,Nb,Taより選ばれた1つを含有したこ
とを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
の電力用真空遮断器の接点材料である。
【0024】ここで、Cu相中でのCr,Ti,V,
B,Nb,Taの存在は、再点弧発生レベルを一層低く
すると共に[Hs/Hr]比を一層低く安定化させる。
【0025】更に請求項6に記載の本発明は、導電性成
分としてのCu相の量を10〜90%(重量%)、残部
が耐弧性成分としてCrを含有したことを特徴とする請
求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電力用真空遮断
器の接点材料である。
【0026】ここで、Cu−Cr合金中のCu相の量が
10%未満では、電流遮断特性が大幅に低下する。Cu
相の量が90%を越えると、1.6以下の[Hs/H
r]比を確保することが困難となり、再点弧発生頻度が
増大する。
【0027】更に請求項7に記載の本発明は、導電性成
分としてのCu相の量を10〜90%(重量%)、第1
補助成分としてAl,Siの少なくとも一方を最大1.
0%(重量%)、残部が耐弧性成分としてCrを含有し
たことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに
記載の電力用真空遮断器の接点材料である。
【0028】ここで、所定量のAl,Siの存在は、
[Hs/Hr]比を一層低く安定化させ、再点弧発生レ
ベルを低くすると共に、更に電流遮断特性も安定化させ
る。また、Al,Siの少なくとも一方の量が1%を越
えると、遮断時の大きなエネルギー処理の為の接点片表
面の荒れを招き、耐消耗特性と耐溶着特性の低下と再点
弧特性の不安定化を招く。
【0029】更に請求項8に記載の本発明は、第2補助
成分として1%(重量%)以下のBi,Sbの1つを含
有したことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれ
かに記載の電力用真空遮断器の接点材料である。
【0030】ここで、Cu相中での所定量のBi(又は
Sb)の存在は、1%以下なら電流遮断後の接点表面荒
れを安定化させ、再点弧発生レベルを一層低くする。1
%を越えた量のBi(又はSb)では再点弧発生の頻度
を増加させて好ましくない。
【0031】更に請求項9に記載の本発明は、第2補助
成分として5%(重量%)以下のTe,Se,Pbの1
つを含有したことを特徴とする請求項1乃至請求項7の
いずれかに記載の電力用真空遮断器の接点材料である。
【0032】ここで、Cu相中での所定量のTe,S
e,Pbの存在も、電流遮断後の接点表面荒れを安定化
させ、再点弧発生レベルを低くする。
【0033】更に請求項10に記載の本発明は、Cr粒
子は、平均粒子径が0.1〜150μmの範囲にあるC
r粒子が、Cr粒子全体の少なくとも75%(容積%)
を占めるCr粉よりなることを特徴とする請求項1乃至
請求項9のいずれかに記載の電力用真空遮断器の接点材
料である。
【0034】ここで、平均粒子径が0.1〜150μm
の範囲のCr粒子が少なくとも75%(容積%)を占め
る時、安定した再点弧特性を発揮する。Cr粒子の平均
粒子径が0.1μm未満では、Cu−Cr合金中のCr
粒子の分布は、十分には分散出来ず凝集部分が存在する
と共に、Cu−Cr接点素材中のガス量が低減化出来
ず、いずれも再点弧発生を増長させている。150μm
を越えると、仕上げ加工した接点表面には、Cr粒子と
Cu相界面に引っかき状の傷を残し平滑で均一な状態が
得難く、再点弧発生に大きなバラツキを示す。
【0035】また、請求項11に記載の本発明は、Cu
又はCuを主成分とするCu合金で構成されるCu相よ
り成る導電性成分と、粒子径が0.1〜150μmの範
囲にあるCr粒子を所定比率以上含んだCr粒子より成
る耐弧性成分とで構成されたCu−Cr合金からなる電
力用真空遮断器の接点材料に於いて、焼結工程後若しく
は焼結・溶浸工程後の、Cu−Cr合金中のCu相の硬
度値(マイクロビッカース硬さ値)をHm、Cu−Cr
合金中のCu相の持つ融解温度の直下温度に加熱し、こ
れを常温にまで冷却した時の、Cu−Cr合金中のCu
相の硬度値(マイクロビッカース硬さ値)をHoとした
時の[Hm/Ho]比を、1.0〜2.0の範囲とした
ことを特徴とする電力用真空遮断器の接点材料である。
【0036】ここで、上記接点材料製造時(焼結工程後
若しくは焼結・溶浸工程後)のCu相の硬度値Hmは、
焼結、溶浸時に選択した熱処理条件(例えば冷却速度な
ど)や接点加工時の残存歪みの程度などが互いに関連し
合って決定され、Hmのビッカース硬さは100近傍の
値である。
【0037】ところで、この接点材料を真空バルブとし
て組み込み実際に稼働させると、定常電流の開閉時や事
故電流の遮断時のアーク熱により、接点面は次第に変化
(軟化)し、最後には一定の硬度値Hbを示すようにな
り、その間に初期のビッカース硬さ100近傍の硬度値
Hmから大きく変化(低下)する。実際に真空バルブを
稼働させて最後に一定となった時の硬度値Hbと、上記
Cu相の融解温度の直下温度T1に加熱した後、常温に
まで冷却した時のCu相の硬度値Hoとを対比すると、
両者(Hb、Ho)は、ほぼ近似の硬度値を示している
ことが判った。
【0038】ところでHbの測定には,真空バルブを製
造しなければならないこと、実際の電流の遮断や開閉作
業をしなければならないことなどで経済的、時間的負担
が大きく不利の為、HbとHoとがほぼ近似した値とな
る前記性質を利用して、HoによってHbを代用するこ
と、すなわち測定の困難なHbに代わって、測定の容易
なHoによって、定常電流開閉時や事故電流遮断時の接
点面の軟化の状況をおきかえることが可能であり有益で
ある。
【0039】また上記接点材料の焼結・溶浸後のCu相
の硬度値Hmが大で、常温にまで冷却した時のCu相の
硬度値Hoとの差(すなわちHm/Ho]比)が大きい
程、再点弧の発生頻度が大の傾向になることも判った。
[Hm/Ho]比として2.0を越えた接点を選択する
と、Cu−Cr合金中のCu相とCr粒子との硬度の差
が大となり、接点の機械的仕上げ加工に際し硬さの差に
よって安定した加工表面状態が得られず、目標とする低
再点弧化に対して好ましくない。
【0040】更に請求項12に記載の本発明は、Cu−
Cr合金中のCu相の持つ融解温度の直下温度が103
0℃〜1080℃であることを特徴とする請求項11に
記載の電力用真空遮断器の接点材料である。
【0041】ここで、Cu相の持つ融解温度の直下温度
T1より低い温度(1030℃より低い温度)で熱処理
した時のCu相の硬さ値と、電流遮断・開閉経過後のC
u相の硬さ値Hbとが一致しない。その為、T1より低
い温度で熱処理した時のCu相の硬さ値を使用すると、
[Hm/Ho]比と再点弧発生頻度との間の関係は、十分
には対応が取れず製品の品質管理が出来なくなる。
【0042】更に請求項13に記載の本発明は、Cu又
はCuを主成分とするCu合金で構成されるCu相より
成る導電性成分と、粒子径が0.1〜150μmの範囲
にあるCr粒子を所定比率以上含んだCr粒子より成る
耐弧性成分とで構成されたCu−Cr合金からなる電力
用真空遮断器の接点材料に於いて、焼結工程後若しくは
焼結・溶浸工程後の、Cu−Cr合金中のCu相の硬度
値(マイクロビッカース硬さ値)をHm、非酸化性雰囲
気中で、Cu−Cr合金中のCu相の融解温度以下の温
度またはCu相の融解温度以上の温度で加熱し、これを
常温にまで冷却した時の、Cu−Cr合金中のCu相の
硬度値(マイクロビッカース硬さ値)をHoとした時の
[Hm/Ho]比を、1.0〜2.0の範囲としたこと
を特徴とする電力用真空遮断器の接点材料である。
【0043】ここで、Cu−Cr接点材料の製造雰囲気
として、非酸化性雰囲気を選択することは、特に再点弧
発生頻度の低減化に対して好ましい。
【0044】更に請求項14に記載の本発明は、Crの
一部を、Cr量に対して、50%(重量%)以下のT
i,V,Nb,Taより選ばれた1つによって置換した
ことを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか
に記載の電力用真空遮断器の接点材料である。
【0045】ここで、Crの一部をTi,V,Nb,T
aの1つによって置換することによって、Cu−Cr接
点素材全体の機械的強度を大とし、Cr粒子の脱落が引
き金となって引き起こされる再点弧発生を軽減化する。
50%(重量%)を越えるとこれらの元素が主因となる
熱電子放出が盛んとなり、遮断特性を低下させる。
【0046】更に請求項15に記載の本発明は、Cu相
中には、Cu量に対して20%(重量%)以下のCr,
Ti,B,V,Nb,Taより選ばれた1つを含有した
ことを特徴とする請求項11乃至請求項14のいずれか
に記載の電力用真空遮断器の接点材料である。
【0047】ここで、Cu相中でのCr,Ti,V,
B,Nb,Taの存在は、再点弧発生レベルを一層低く
すると共に[Hm/Ho]比を一層低く安定化させる。
【0048】更に請求項16に記載の本発明は、導電性
成分としてのCu相の量を10〜90%(重量%)、残
部が耐弧性成分としてCrを含有したことを特徴とする
請求項11乃至請求項15のいずれかに記載の電力用真
空遮断器の接点材料である。
【0049】ここで、Cu−Cr合金中のCu相の量が
10%未満では、電流遮断特性が大幅に低下する。Cu
相の量が90%を越えると、接点表面の消耗が大となり
再点弧発生頻度が増大する。
【0050】更に請求項17に記載の本発明は、導電性
成分としてのCu相の量を10〜90%(重量%)、第
1補助成分としてAl,Siの少なくとも一方を最大
1.0%(重量%)、残部が耐弧性成分としてCrを含
有したことを特徴とする請求項11乃至請求項15のい
ずれかに記載の電力用真空遮断器の接点材料である。
【0051】ここで、所定量のAl,Siの存在は、
[Hm/Ho]比を一層低く安定化させ、再点弧発生レ
ベルを低くすると共に、更に電流遮断特性も安定化させ
る。また、Al,Siの少なくとも一方の量が1%を越
えると、遮断時の大きなエネルギ処理の為の接点片表面
の荒れを招き、耐消耗特性と耐溶着特性の低下と再点弧
特性の不安定化を招く。
【0052】更に請求項18に記載の本発明は、第2補
助成分として1%(重量%)以下のBi,Sbの1つを
含有したことを特徴とする請求項11乃至請求項17の
いずれかに記載の電力用真空遮断器の接点材料である。
【0053】ここで、Cu相中での所定量のBi(又は
Sb)の存在は、1%以下なら電流遮断後の接点表面荒
れを安定化させ、再点弧発生レベルを一層低くする。1
%を越えた量のBi(又はSb)では再点弧発生の頻度
を増加させて好ましくない。
【0054】更に請求項19に記載の本発明は、第2補
助成分として5%(重量%)以下のTe,Se,Pbの
1つを含有したことを特徴とする請求項11乃至請求項
17のいずれかに記載の電力用真空遮断器の接点材料で
ある。
【0055】ここで、Cu相中での所定量のTe,S
e,Pbの存在も、電流遮断後の接点裏面荒れを安定化
させ、再点弧発生レベルを低くする。
【0056】更に請求項20に記載の本発明は、Cr粒
子は、平均粒子径が0.1〜150μmの範囲にあるC
r粒子が、Cr粒子全体の少なくとも75%(容積%)
を占めるCr粉よりなることを特徴とする請求項11乃
至請求項19のいずれかに記載の電力用真空遮断器の接
点材料である。
【0057】ここで、平均粒子径が0.1〜150μm
の範囲のCr粒子が少なくとも7575%(容積%)を
占める時、安定した再点弧特性を発揮する。Cr粒子の
平均粒子径が0.1μm未満では、Cu−Cr合金中の
Cr粒子の分布は、十分には分散出来ず凝集部分が存在
すると共に、Cu−Cr接点素材中のガス量が低域化出
来ず、いずれも再点弧発生を増長させている。Cr粒子
が150μmを越えると、仕上げ加工した接点表面に
は、相対的にCu相の幅も大となり、CuのまくれやC
u面に引っかき状の傷を残し平滑で均一な状態が得難
く、再点弧発生に大きなバラツキを示す。
【0058】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
詳細に説明する。
【0059】Cu−Cr接点の材料状態と再点弧発生に
ついて、発明者らの観察では、遮断前後の材料特性と、
再点弧のバラツキ発生との間の関連性について、以下の
様な知見を得た。Cu−Cr接点は、研磨、研削や切
削手段によって仕上げ加工するのが一般である。しかし
Cu−Crの諸内容(製造条件や加工条件など)を一定
としても、なお再点弧の発生にバラツキが見られる。発
明者らの観察の結果、接点表面にはCr粒子の脱落、C
u相部分の脱落、流れ(CuがCr粒子上にまでかぶ
る)や剥離、Cr粒子端部の欠け、引っかき状の傷など
種々存在していた。その一因として接点面上の特にミク
ロ領域での加工性の差異、すなわち再点弧発生のバラツ
キとミクロ領域での硬度の均一度の違いとの間に相関性
を認めた。この傾向は、接点素材の製造ロット間で、お
よび1枚の接点のミクロ領域中でも観察された。更
に、定常電流開閉動作や事故電流遮断動作の経過によっ
て、次第に再点弧発生頻度は、ほぼ一定値に安定してゆ
く場合が認められた。この状況はアーク熱を受け接点面
が次第に変化(軟化)し最後には一定の硬度値となる現
象を示していると考えられる。
【0060】そこで、実際の真空バルブに対して、事故
電流遮断動作を多数回与えてほぼ一定値となった接点の
Cr粒子の硬度値HB、及びCu相の硬度値Hbを測定
した。その接点のCu相部分の融解温度の直下温度を選
択し、その温度で十分加熱した後、常温にまで冷却した
時の、同接点中のCr粒子の硬度値Hr及びCu相の硬
度値Hoとそれぞれ対比すると、両者は、それぞれ、ほ
ぼ近似の値(HB=Hr、Hb=Ho)を示しているこ
とが判った。更に、Cr粒子の硬度値については、焼
結工程後若しくは焼結・溶浸工程後の、Cu−Cr合金
中のCr粒子の硬度値(マイクロビッカース硬さ値)を
Hsとして、Cu−Cr合金中のCu相の融解温度の直
下温度に加熱し、これを常温にまで冷却した時の、Cu
−Cr合金中のCr粒子の硬度値(マイクロビッカース
硬さ値)をHrとした時、Hsが大で、Hrとの差が大
きい程(すなわち[Hs/Hr]比が大の程)、再点弧
の発生頻度が大の傾向にあることを認めた。[Hs/H
r]比として1.6を越えた接点を選択すると、Cu−
Cr合金中のCr粒子とCu相との硬度の差が大とな
り、接点の機械的仕上げ加工の際に好ましい加工表面状
態が得られず、目標とする低再点弧化に対して好ましく
ない。これに対して、[Hs/Hr]比として1.6以
下好ましくは1.3以下の接点を選択すると、Cr粒子
とCu相との硬度の差が小となり、接点の機械的仕上げ
加工に際し、好ましい加工表面状態が得られ、常に一定
の安定した表面状態を得て、アークの停滞、集中が低減
化される結果、接点面の局部的異常蒸発現象の阻止や表
面荒れの軽減化などによって、低再点弧化の利益と共に
遮断特性の向上に寄与する。
【0061】また、Cu相の硬度値についても、焼結工
程後若しくは焼結・溶浸工程直後の、Cu−Cr合金中
のCu相の硬度値(マイクロビッカース硬さ値)をHm
として、Cu−Cr合金中のCu相の融解温度の直下温
度に加熱し、これを常温にまで冷却した時の、Cu−C
r合金中のCu相の硬度値(マイクロビッカース硬さ
値)をHoとした時、Hmが大で、Hoとの差が大きい
程(すなわち[Hm/Ho]比が大の程)、再点弧の発
生頻度が大の傾向にあることを認めた。[Hm/Ho]
比として2.0を越えた接点を選択すると、Cr粒子と
Cu相との硬度の差が大となり、接点の機械的仕上げ加
工の際に好ましい加工表面状態が得られず、目標とする
低再点弧化に対して好ましくない。これに対して、[H
m/Ho]比として2.0以下好ましくは1.3以下の
接点を選択すると、Cr粒子とCu相との硬度の差が小
となり、接点の機械的仕上げ加工に際し、好ましい加工
表面状態が得られ、常に一定の安定した表面状態を得
て、アークの停滞、集中が低減化される結果、接点面の
Cu相部分の局部的な異常蒸発現象を阻止、表面荒れの
軽減化などによって、低再点弧化の利益と共に遮断特性
の向上に寄与する。このような接点に外部磁界(例え
ば縦磁界)を与えると、遮断により発生したアークは、
接点面上に一様に拡がり移動拡散し、電流遮断特性を向
上させることが出来る。観察によれば、一定値以上の電
流値を遮断すると、アークは予測出来ない一点もしくは
複数点の場所で停滞する傾向を示すが、〔Hs/Hr]
比が1.6以下の接点の方が、1.6を越えた接点より
もその程度は低く優れている傾向にあり、また[Hm/
Ho]比が2.0以下の接点の方が、2.0を越えた接
点よりもその程度は低く優れている傾向にある。最終的
には接点の一部分を異常融解させ遮断限界に至る。また
異常融解によって瞬時的爆発的な蒸発によって発生した
金属蒸気は、開極過程にあった真空遮断器の絶縁回復性
を著しく阻害し、遮断限界の一層の劣化を招く。さらに
異常融解は、巨大な融滴を作り接点面の荒れを招き耐電
圧特性の低下、再点弧発生率の増加、材料の異常な消耗
をも招く。これらの現象の一因となるアークが、接点面
上のどこで停滞するかは全く予測出来ない以上、発生し
たアークが停滞させることなく移動拡散できるような表
面条件と移動拡散を促進させる手段とを接点に与えるこ
とが望ましい。本発明では、その望ましい条件として、
Cu−Cr合金中のCr粒子に関する[Hs/Hr]
比、またはCu−Cr合金中のCu相に関する[Hm/
Ho]比が重要となる。
【0062】[1][Hs/Hr]比を調整する実施例 上述のように、CuCr合金の接点特性の安定化には、
合金中のCr量の変動、Cr粒子の粒度、粒度分布、C
rの偏析の程度、合金中に存在する空孔の程度などに依
存することを認めたが、特に再点弧特性のより一層の安
定化には、上記に加えてCuCr合金中のCr粒子の挙
動が極めて重要であることが判った。すなわち真空バル
ブの再点弧の発生頻度は、遮断前後の合金中のCrの硬
度の変化について注目する必要があることが判った。
【0063】そこで、まずCu−Cr合金中のCr粒子
に関する[Hs/Hr]比を調整して接点材料を製造す
る実施例及び比較例について説明する。なお、実施例及
び比較例の試作の条件を図1及び図2に、またこれらの
実施例及び比較例の評価結果を図3及び図4に示す。
【0064】(遮断特性の評価)表面粗さを5μmに仕
上げたフラット接点と、同じ表面粗さを持つ曲率半径1
00Rの凸状接点とを対向させ、両接点を、開閉機構を
持つ真空度10-3Pa.以下に排気した着脱可能な真空
遮断実験装置に取り付け、荷重40kg、7.2kV−
20kA〜31.5kAで投入・遮断を10回操り返
し、溶着や再点弧の発生が軽微の時を「合格」とし、投
入・遮断を10回繰り返し、溶着や再点弧の発生多発の
時を「不合格」とした。
【0065】(再点弧特性の評価)6kV×500Aの
回路を1000回遮断させた時の再点弧発生頻度を6台
の真空バルブについて測定した。発生率(×10
-3(%))が0.3以下を評価S、0.3〜1の範囲を
評価A、1〜3の範囲を評価B、3〜10の範囲を評価
C、10〜100の範囲を評価Y、100以上を評価Z
とした。
【0066】(硬さの測定)Cu相部分、Cr粒子を個
別にマイクロビッカース硬度計を用いて荷重10〜25
gr.にて測定した。
【0067】([Hs/Hr]比の調整)接点は固相焼
結法、固相・溶浸法のいずれでも製造は可能であるが、
ここではCrスケルトンを製造し、その空隙にCuを溶
浸させる方法で製造した例について示す。粒子直径が4
4〜62μmの範囲にあるCu粉(全Cu粉中に95〜
99%占める)を用意した。粒子直径が0.1〜150
μmの範囲にあるCr粉(全Cr粉中に95〜99%占
める)の中から、これと近似した粒子直径を持つCuを
用意した。
【0068】焼結工程後若しくは焼結・溶浸工程後の、
前記Cu−Cr合金中のCr粒子の硬度値(マイクロビ
ッカース硬さ値)をHs、該Cu−Cr合金中のCu相
の持つ融解温度の直下温度に加熱し、これを常温にまで
冷却した時の、Cu−Cr合金中のCr粒子の硬度値
(マイクロビッカース硬さ値)をHrとした時の[Hs
/Hr]比は、次のようにして調整した。 Cr粉を成形する時にCr粉に与える加圧力を、0〜
8トン/cm2(Crを容器にいれそのまま焼結した時
を加圧力0とする)の範囲で調整する。例えば同比率を
大とする時には、高加圧力値を選択する。 Crスケルトンを製造する時の焼結温度を、800〜
1400℃の範囲で調整する。例えば同比率を大とする
時には、この温度範囲の中から低めの温度を選択する。 Crスケルトン中にCuを溶浸する時の温度を、11
00〜1400℃の範囲で調整する。例えば同比率を大
とする時には、溶浸温度は低目を選択する。 溶浸後の常温にまで冷却する時の冷却速度を、0.1
〜10℃/分の範囲に調整する。例えば同比率を大とす
る時には、小さい冷却速度を選択する。 焼結、焼結・溶浸後の接点に対して、再加熱処理を追
加し、その温度を、500〜1070℃の範囲で調整す
る。例えば同比率を大とする時には、例えば低めの65
0〜750℃での再加熱処理温度を選択する。 焼結、焼結・溶浸後の接点に対して、再加圧処理を追
加し、再加圧力を4〜10トン/cm2の範囲で調整す
る。例えば同比率を大とする時には、再加圧処理前の相
対密度が大となるよう、高めの再加圧力を選択する。 [Hs/Hr]比を更に微調整する際には、Cu相に
対してはCr,Ti,V,B,Nb,Taより選ばれた
1つを適宜量添加する。 Cr粒子に対してTi,V,Nb,Taより選ばれた
1つ、または第1の補助成分としてのAl,Siの少な
くとも一方を適宜量添加することによって、前記比率の
微調整は可能である。
【0069】これらなどを適宜組合わ
せることによって[Hs/Hr]比を調整した接点を得
た。
【0070】(実施例1〜3、比較例1〜2)上述のよ
うに用意したCu粉とCr粉とを用いて、固相・溶浸法
によって所定の[Hs/Hr]比を有する75%Cu−
残部Cr合金を製造した(実施例1〜3、比較例1〜
2)。[Hs/Hr]比を調整する為に、接点製造に際
しては上記〜の適宜選択又は組み合わせによって、
1.0〜1.6(実施例1〜3)、1.9〜2.3(比
較例1〜2)の[Hs/Hr]比を有する接点を選出し
た。
【0071】これらの接点を評価用真空パルプに搭載
し、前記所定条件で再点弧発生頻度(×10-3%で示し
た数値)と遮断特性とを測定した。[Hs/Hr]比=
1.0の場合では、6台のバルブを評価したところ、再
点弧発生頻度は、評価(S〜A)を示し良好な特性を発
揮した。遮断特性は、31.5kAの10回遮断に成功
し遮断特性も「合格」である。評価前の接点加工表面の
観察によれば、Cr粒子部分、Cu相部分の区別なくほ
ぼ均一に切削研磨された状況が見られ、極めて安定した
接点表面状態を示し、Cr粒子の脱落、研磨傷などによ
る表面荒れは見られていない。評価後の接点の最表面層
の顕微鏡的観察でも、最表面層領域からのCr粒子の脱
落もなかった(実施例1)。
【0072】また、[Hs/Hr]比=1.3の場合で
は、再点弧発生頻度は、評価(A〜B)を示し良好な特
性を発揮した。遮断特性は、24kAの10回遮断に成
功し遮断特性も「合格」である。Cr粒子部分、Cu相
部分の区別なくほぼ均一に切削研磨された状況が見ら
れ、極めて安定した接点表面の加工状態を示し、Cr粒
子の脱落、研磨傷などによる表面荒れは見られていない
(実施例2)。
【0073】更に、[Hs/Hr]比=1.6の場合で
も、再点弧発生頻度は、評価(C)を示し良好な特性を
発揮した。遮断特性は、20kAの10回遮断に成功し
遮断特性も「合格」である。Cr粒子部分、Cu相部分
の区別なくほぼ均一に切削研磨された状況が見られ、C
r粒子の脱落、研磨傷などによる表面荒れはなく、極め
て安定した接点表面状態を示している(実施例3)。
【0074】これに対して、[Hs/Hr]比=1.9
の場合では、再点弧発生頻度は、評価(C〜Y)を示し
再点弧特性に大幅な劣化が見られると共に大きなバラツ
キも示し好ましくない。遮断特性も、20kAの遮断テ
ストに於いて多数の遮断不能を示し「不合格」である。
遮断前の加工表面にはCr粒子の脱落跡が観察されてい
る。遮断後の接点面には局所的な荒れが存在している
(比較例1)。
【0075】また、[Hs/Hr]比=2.3の場合で
は、再点弧発生頻度は、評価(Z)を示し再点弧特性に
大幅な劣化が見られる。遮断特性も、20kAの遮断テ
ストに於いて多数の遮断不能を示し「不合格」である。
加工面の静耐圧値に大きなバラツキが見られている(比
較例2)。
【0076】以上から、再点弧特性と遮断特性との両立
に対して、[Hs/Hr]比の管理が極めて重要である
と共に、同比率を1.0〜1.6の範囲を選択する時に
目的を達する。
【0077】(実施例4〜6、比較例3〜4)前記実施
例では、Cu−Cr合金中のCuの量を75%に一定と
した時の、[Hs/Hr]比を変動させた場合の再点弧
特性と遮断特性に及ぼす効果を示したが、本発明技術は
Cu量75%に限ることなく、Cuの量が90〜10%
(実施例4〜6)に於いても効果を発揮する。
【0078】すなわち、[Hs/Hr]比=1.4に一
定とした時、Cu量が90%の場合では、再点弧発生頻
度は、評価(C)を示し良好な特性を発揮した。遮断特
性も、20kAの10回遮断に成功し遮断特性も「合
格」である(実施例4)。
【0079】Cu量が50%の場合でも、再点弧発生頻
度は、評価(B〜C)を示し良好な特性を発揮した。遮
断特性も、24kAの10回遮断に成功し遮断特性も
「合格」である(実施例5)。
【0080】Cu量が10%の場合でも、再点弧発生頻
度は、評価(A〜B)を示し良好な特性を発揮した。遮
断特性も、20kAの10回遮断に成功し遮断特性も
「合格」である(実施例6)。
【0081】これに対して、Cu量が95%の場合で
は、再点弧発生頻度は、評価(C〜Y)を示し、再点弧
特性に大福な劣化が見られると共に大きなバラツキも示
し好ましくない。但し遮断特性は、20kAの遮断に成
功し遮断特性では「合格」であったが、総合的には目的
達成に対して好ましくない(比較例3)。
【0082】一方、Cu量が5%の場合では、再点弧発
生頻度は、評価(Y〜Z)を示し再点弧特性に大福な劣
化が見られる共に大きなバラツキも示し好ましくない。
遮断特性も、20kAの遮断テストに於いて多数の遮断
不能を示し「不合格」である。遮断特性が著しく低下し
ていると共に遮断テスト中の温度上昇特性、遮断テスト
後の接触抵抗特性共に低下が顕著に示された(比較例
4)。
【0083】(実施例7〜12)前記実施例1〜6で
は、Cu−Cr合金中のCu相中には、0.01%のC
r成分を含有したCuを使用した例についてその効果を
示したが、本発明技術はCu相中の成分は、0.01%
のCrに限ることなく効果を発揮する。
【0084】すなわち、Cu−Cr合金中のCuの量を
75%に一定とした時、Cu相中に、0.2%のCr成
分を含有した75%Cu接点では、再点弧発生頻度は、
評価(S〜A)を示し極めて良好な特性を発揮した。遮
断特性も、31.5kAの10回遮断に成功し遮断特性
も「合格」である(実施例7)。
【0085】Cu相中に、0.5%のTiを含有させた
接点では、再点弧発生頻度は、評価(B〜C)を示し良
好な特性を発揮した。遮断特性も、20kAの10回遮
断に成功し遮断特性も「合格」である(実施例8)。
【0086】Cu相中に、1.0%のVを含有させた接
点では、再点弧発生頻度は、評価(B〜C)を示し良好
な特性を発揮した。遮断特性も、20kAの10回遮断
に成功し遮断特性も「合格」である(実施例9)。
【0087】Cu相中に、1.0%のBを含有させた接
点では、再点弧発生頻度は、評価(B〜C)を示し良好
な特性を発揮した。遮断特性も、20kAの10回遮断
に成功し遮断特性も「合格」である(実施例10)。
【0088】Cu相中に、10%のNbを含有させた接
点では、再点弧発生頻度は、評価(B)を示し良好な特
性を発揮した。遮断特性も、24kAの10回遮断に成
功し遮断特性も「合格」である(実施例10)。
【0089】Cu相中に、20%のTaを含有させた接
点では、再点弧発生頻度は、評価(B)を示し良好な特
性を発揮した。遮断特性も、24kAの10回遮断に成
功し遮断特性も「合格」である(実施例12)。
【0090】(実施例13〜16)Cu−Cr合金中の
Cr粒子中の成分として、Ti,V,Nb,Taを含有
したCrを使用した場合には、再点弧特性、遮断特性の
安定化に有益である。
【0091】すなわち、Cr粒子中1.0%のTiを含
有させた接点では、再点弧発生頻度は、評価(S〜A)
を示し極めて良好な特性を発揮した。遮断特性も、3
1.5kAの10回遮断に成功し遮断特性も「合格」で
ある(実施例13)。
【0092】Cr粒子中2.0%のVを含有させた接点
では、再点弧発生頻度は、評価(B)を示し良好な特性
を発揮した。遮断特性も、24kAの10回遮断に成功
し遮断特性も「合格」である(実施例14)。
【0093】Cr粒子中25%のNbを含有させた接点
では、再点弧発生頻度は、評価(A〜B)を示し良好な
特性を発揮した。遮断特性も、24kAの10回遮断に
成功し遮断特性も「合格」である(実施例15)。
【0094】Cr粒子中50%のTaを含有させた接点
では、再点弧発生頻度は、評価(B)を示し良好な特性
を発揮した。遮断特性も、24kAの10回遮断に成功
し遮断特性も「合格」である(実施例16)。
【0095】(実施例17〜18、比較例5)前記実施
例1〜16では、0.1〜150μmの平均粒子直径を
有するCr粒子が全Cr粒子の95%(容積%)以上を
占める例についてその効果を示したが、本発明技術では
全Cr粒子中に占める0.1〜150μmの平均粒子直
径を有するCr粒子は95%以上の場合に限ることなく
効果を発揮する。
【0096】すなわち、全Cr粒子中に占める平均粒子
直径0.1〜150μmのCrの比率が85%(容積
%)のCrを使用した接点では、再点弧発生頻度は、評
価(B)を示し良好な特性を発揮した。遮断特性も、2
4kAの10回遮断に成功し遮断特性も「合格」である
(実施例17)。
【0097】全Cr粒子中に占める平均粒子直径0.1
〜150μmのCrの比率が75%(容積%)のCrを
使用した接点では、再点弧発生頻度は、評価(B〜C)
を示し良好な特性を発揮した。遮断特性も、20kAの
10回遮断に成功し遮断特性も「合格」である(実施例
18)。
【0098】これに対して、全Cr粒子中に占める平均
粒子直径0.1〜150μmのCrの比率必50%(容
積%)のCrを使用した接点では、再点弧発生頻度は、
評価(B〜Z)を示し再点弧特性に大幅な劣化が見られ
ると共に大きなバラツキも示し好ましくない。遮断特性
も、20kAの遮断に成功と20kAの遮断に失敗とが
存在しバラツキが大で遮断特性は「不合格」である(比
較例5)。
【0099】(実施例19〜23、比較例6)Cu−C
r合金中のCr粒子中の第1の補助成分として、1.0
%以下のAl,Siを含有したCrを使用した場合に
は、再点弧特性、遮断特性の安定化に有益である。
【0100】すなわち、Cr粒子中に1.0%のAlを
含有させた接点では、再点弧発生頻度は、評価(A〜
B)を示し良好な特性を発揮した。遮断特性も、24k
Aの10回遮断に成功し遮断特性も「合格」である(実
施例19)。
【0101】Cr粒子中に0.1%のAlを含有させた
接点では、再点弧発生頻度は、評価(S〜A)を示し良
好な特性を発揮した。遮断特性も、31.5kAの10
回遮断に成功し遮断特性も「合格」である(実施例2
0)。
【0102】Cr粒子中に0.01%のAlを含有させ
た接点では、再点弧発生頻度は、評価(S〜A)を示し
極めて良好な特性を発揮した。遮断特性も、31.5k
Aの10回遮断に成功し遮断特性も「合格」である(実
施例21)。
【0103】Cr粒子中に0.001%のAlを含有さ
せた接点では、再点弧発生頻度は、評価(S〜A)を示
し極めて良好な特性を発揮した。遮断特性も、31.5
kAの10回遮断に成功し遮断特性も「合格」である
(実施例22)。
【0104】Cr粒子中に0.01%のSiを含有させ
た接点では、再点弧発生頻度は、評価(S〜A)を示し
極めて良好な特性を発揮した。遮断特性も、31.5k
Aの10回遮断に成功し遮断特性も「合格」である(実
施例23)。
【0105】これに対して、Cr粒子中に1.5%のA
lを含有させた接点では、再点弧発生頻度は、評価(Y
〜Z)を示し好ましくない。遮断特性も、31.5kA
の遮断テストに於いて10回中8回再点弧発生したバル
ブがあり「不合格」である(比較例6)。
【0106】(実施例24〜29、比較例7〜8)第2
の補助成分として、1.0%以下のBi,Sbを含有し
たCu−Cr合金を使用した場合には、再点弧特性、遮
断特性の安定化に有益である。また他の第2の補助成分
として、5.0%以下のTe,Se,Pbを含有したC
u−Cr合金を使用した場合にも、再点弧特性、遮断特
性の安定化に有益である。
【0107】すなわち、Cu−Cr合金中の第2の補助
成分として、0.1%のBiを含有させた接点では、再
点弧発生頻度は、評価(B)を示し良好な特性を発揮し
た。遮断特性も、24kAの10回遮断に成功し遮断特
性も「合格」である(実施例24)。
【0108】Cu−Cr合金中の第2の補助成分として
1.0%のBiを含有させた接点では、再点弧発生頻度
は、評価(B〜C)を示し良好な特性を発揮した。遮断
特性も、20kAの10回遮断に成功し遮断特性も「合
格」である(実施例25)。
【0109】Cu−Cr合金中の第2の補助成分とし
て、0.2%のSbを含有させた接点では、再点弧発生
頻度は、評価(B〜C)を示し良好な特性を発揮した。
遮断特性も、20kAの10回遮断に成功し遮断特性も
「合格」である(実施例26)。
【0110】Cu−Cr合金中の第2の補助成分とし
て、2.5%のTeを含有させた接点では、再点弧発生
頻度は、評価(B〜C)を示し良好な特性を発揮した。
遮断特性も、20kAの10回遮断に成功し遮断特性も
「合格」である(実施例27)。
【0111】Cu−Cr合金中の第2の補助成分とし
て、5.0%のTeを含有させた接点では、再点弧発生
頻度は、評価(C)を示し良好な特性を発揮した。遮断
特性も、20kAの10回遮断に成功し遮断特性も「合
格」である(実施例28)。
【0112】Cu−Cr合金中の第2の補助成分とし
て、2.5%のSeを含有させた接点では、再点弧発生
頻度は、評価(B〜C)を示し良好な特性を発揮した。
遮断特性も、20kAの10回遮断に成功し遮断特性も
「合格」である(実施例29)。
【0113】また、第2の補助成分として、0.2%の
Pbを含有させた接点でも同等の再点弧発生頻度および
遮断特性を発揮し「合格」である。
【0114】Cu−Cr合金中の第2の補助成分とし
て、3.0%のBiを含有させた接点では、再点弧発生
頻度は、評価(Y〜Z)を示し再点弧特性に大幅な劣化
が見られ好ましくない。遮断特性も、20kA以下の遮
断で再点弧が多発し遮断特性は「不合格」である(比較
例7)。遮断テスト後の接点表面には著しい荒れが見ら
れる。接触抵抗にもバラツキが見られた。
【0115】Cu−Cr合金中の第2の補助成分とし
て、8.0%のTeを含有させた接点では、再点弧発生
頻度は、評価(Y〜Z)を示し再点弧特性に大福な劣化
が見られると共に大きなバラツキも示し好ましくない。
遮断特性も、20kAの遮断に成功と20kAの遮断に
失敗とが存在しバラツキが大で遮断特性は「不合格」で
ある(比較例8)。遮断テスト後の接点表面には著しい
荒れが見られる。接触抵抗にもバラツキが見られた。
【0116】(その他の実施例)焼結工程後若しくは焼
結・溶浸工程後のCu−Crを、非酸化性雰囲気中で、
Cu−Cr合金中のCu相の融解温度以下の温度または
Cu相の融解温度以上の温度で加熱し、これを常温にま
で冷却することとし、この場合も焼結工程後若しくは焼
結・溶浸工程後の、Cu−Cr合金中のCr粒子の硬度
値(マイクロビッカース硬さ値)をHs、非酸化性雰囲
気中で、Cu−Cr合金中のCu相の融解温度以下の温
度またはCu相の融解温度以上の温度で加熱し、これを
常温にまで冷却した時の、Cu−Cr合金中のCr粒子
の硬度値(マイクロビッカース硬さ値)をHrとした時
の[Hs/Hr]比を、1.0〜1.6の範囲に調整す
ることとしてもよい。
【0117】このように、Cu−Cr接点材料の製造雰
囲気として、非酸化性雰囲気を選択することにより、特
に再点弧発生頻度の低減化を図ることができる。
【0118】[2][Hm/Ho]比を調整する実施例 また、上述のように、CuCr合金の接点特性の安定化
には、合金中のCu相の状態(表面荒れ、空孔の程
度)、Cu相の大きさ(粒度、粒度分布析の程度)など
に依存することを認めたが、特に再点弧特性のより一層
の安定化には、上記に加えてCu−Cr合金中のCu相
の挙動が極めて重要であることが判った。すなわち真空
バルブの再点弧の発生頻度は、遮断前後の合金中のCu
の硬度の変化について注目する必要があることが判っ
た。
【0119】そこで、Cu−Cr合金中のCu相に関す
る[Hm/Ho]比を調整して接点材料を製造する実施
例及び比較例について説明する。なお、実施例及び比較
例の試作の条件を図5及び図6に、またこれらの実施例
及び比較例の評価結果を図7及び図8に示す。
【0120】(遮断特性の評価)この[Hm/Ho]比
を調整する実施例の場合も、[Hs/Hr]比を調整す
る実施例の場合と同様に、表面粗さを5μmに仕上げた
フラット接点と、同じ表面粗さを持つ曲率半径100R
の凸状接点とを対向させ、両接点を開閉機構を持つ真空
度10-3Pa.以下に排気した着脱可能な真空遮断実験
装置に取り付け、荷重40kg、7.2kV−20kA
〜31.5kAで投入・遮断を10回繰り返し、溶着や
再点弧の発生が軽徴の時を「合格」とした。投入・遮断
を10回繰り返し、再点弧や溶着の発生多発の時を「不
合格」とした。
【0121】(再点弧特性の評価)6kV×500Aの
回路を1000回遮断させた時の再点弧発生頻度を6台
の真空バルブについて測定した。発生率(×10
-3(%))が0.3以下を評価S、0.3から〜1の範
囲を評価A、1〜3の範囲を評価B、3〜10の範囲を
評価C、10〜100の範囲を評価Y、100以上を評
価Zとした。
【0122】(硬さの測定)Cu相部分を、マイクロビ
ッカース硬度計を用いて荷重10〜25gr.にて測定
した。
【0123】([Hm/Ho]の調整)接点は固相焼結
法、焼結・溶浸法のいずれでも製造は可能である。焼結
工程後若しくは焼結・溶浸工程後のCu−Cr合金中の
Cu相の硬度値(マイクロビッカース硬さ値)をHm、
Cu−Cr合金中のCu相の持つ融解温度の直下温度に
加熱し、これを常温にまで冷却した時の、Cu−Cr合
金中のCu相の硬度値(マイクロビッカース硬さ値)を
Hoとした時の所定の[Hm/Ho]比を持つ接点は、
次のようにして調整した。 (1)前者の固相焼結法を採用した製造では、粒子直径
が0.1〜150μmの範囲にあるCr粉(全Cr粉中
に95〜99%占める)を用意し、これと近似した粒子
直径を持つCuとして、44〜62μmの範囲にあるC
u粉(全Cu粉中に95〜99%占める)を用意する。
所定比率のCuとCrとを混合、成型した後、例えば1
030℃で固相焼結してCu−Cr合金を製造する。な
おCu−Cr合金中のCu量が5〜95%の総ての範囲
の合金に対して採用可能であるが、主としてCu量が6
0〜95%、5〜45%の範囲の合金に対して適用し
た。
【0124】A)Cu−Cr混合粉を成形する時に混合
粉に与える加圧力を、0〜8トン/cm2(Crを容器
に入れそのまま焼結した時を加圧力0とする)の範囲で
[Hm/Ho]比を小さく調整する。
【0125】B)固相焼結後の常温にまで冷却する時の
冷却速度を、0.1〜10℃/分の範囲に調整する。例
えば冷却速度をより小さく選択すると、Cu相の硬度値
Hmは小となり、[Hm/Ho]比率を小とするのに有
益である。
【0126】C)固相焼結後の接点に対して、再加圧力
が4〜10トン/cm2の範囲の再加圧処理を追加し、
[Hm/Ho]比を小さく調整する。
【0127】D)[Hm/Ho]比を更に微調整する際
には、Cu相に対してはCr,Ti,V,B,Nb,T
aより選ばれた1つを適宜量添加することによって、ま
たは第1の補助成分としてのAl,Siの少なくとも一
方を適宜量添加することによって、前記比率の微調整は
可能である。これらA)B)C)D)などを適宜組合わ
せることによって[Hm/Ho]比を調整した接点を得
た。 (2)後者の溶浸法を採用した製造では、粒子直径が
0.1〜150μmの範囲にあるCr粉(全Cr粉中に
95〜99%占める)を用意する。溶浸用のCu塊を用
意する。このCrを用いて例えば1200℃でCrスケ
ルトンを製造した後、その空隙にCuを溶浸させCu−
Cr合金を製造する。なおCu−Cr合金中のCu量が
45〜60%の範囲の合金に対して適用した。 Cr粉を成形する時にCr粉に与える加圧力を、0〜
8トン/cm2(Crを容器にいれそのまま焼結した時
を加圧力0とする)の範囲で調整する。例えば同比率を
大とする時には、高加圧力値を選択する。 Crスケルトン中にCuを溶浸する時の温度を、11
00〜1400℃の範囲で調整する。 溶浸後の常温にまで冷却する時の冷却速度を、0.1
〜10℃/分の範囲に調整する。例えば冷却速度をより
小さく選択すると、Cu相の硬度Hmは小となり、[H
m/Ho]比を小とするのに有益である。 溶浸後の接点に対して、再加熱処理を追加し、その温
度を、500〜1070℃の範囲、実質的には650〜
750℃での再加熱処理温度を選択し、[Hm/Ho]
比を小さく謂整する。 溶浸後の接点に対して、再加圧力が4〜10トン/c
2の範囲の再加圧処理を追加し、[Hm/Ho]比を
小さく調整する。 [Hm/Ho]比を更に微調整する際には、Cu相に
対してはCr,Ti,V,B,Nb,Taより選ばれた
1つを適宜量添加することによって、または第1の補助
成分としてのAl,Siの少なくとも一方を適宜量添加
することによって、前記比率の微調整は可能である。こ
れらなどを適宜組合わせることによって
[Hm/Ho]比を調整した接点を得た。
【0128】(実施例30〜32、比較例9〜10)上
述のように用意したCu粉とCr粉とを用いて、固相焼
結法によって所定の[Hm/Ho]比を有する75%C
u−残部Cr合金を製造した(実施例30〜32、比較
例9〜10)。
【0129】[Hm/Ho]比を調整する為に、接点製
造に際しては上記A)B)C)D)の適宜選択又は組み
合わせによって、1.0〜2.0(実施例30〜3
2)、2.6〜3.0(比較例9〜10)の[Hm/H
o]比を有する接点を選出した。
【0130】これらの接点を評価用真空バルブに搭載
し、前記所定条件で再点弧発生頻度(×10-3%で示し
た数値)と遮断特性とを測定した。[Hm/Ho]比=
1.0の場合では、6台のバルブを評価したところ、再
点弧発生頻度は、評価(S)を示し極めて良好な特性を
発揮した。遮断特性も、24.kAの10回遮断に成功
し遮断特性も「合格」である。評価前の接点加工表面の
観察によれば、Cu相部分は完全に均一に切削研磨され
た状況が見られ、極めて安定した接点表面状態を示し、
Cu相の脱落、研磨傷などによる表面荒れは見られてい
ない。評価後の接点の最表面層の顕微鏡的観察でも、最
表面層領域からのCu相の脱落はなかった(実施例3
0)。なお[Hm/Ho]比が1.0未満の合金でも特
性的には同等の良好な性能を発揮する。
【0131】また、[Hm/Ho]比=1.3とした場
合では、再点弧発生頻度は、評価(A〜B)を示し良好
な特性を発揮した。遮断特性も24kAの10回遮断に
成功し「合格」である。Cu相部分はほぼ均一に切削研
磨された状況が見られ、極めて安定した接点表面の加工
状態を示し、Cu相の脱落、研磨傷などによる表面荒れ
は見られていない。評価後の接点の最表面層の顕微鏡的
観察でも、最表面層領域からのCu相の脱落はなかった
(実施例31)。
【0132】更に、[Hm/Ho]比=2.0とした場
合でも、再点弧発生頻度は、評価(C)を示し良好な特
性を発揮した。遮断特性も20kAの10回遮断に成功
し遮断特性も「合格」である。Cu相部分はほぼ均一に
切削研磨された状況が見られ、Cu相の脱落、研磨傷な
どによる表面荒れはなく、極めて安定した接点表面状態
を示している(実施例32)。
【0133】これに対して、[Hm/Ho]比=2.6
の場合では、再点弧発生頻度は、評価(Y〜Z)を示し
再点弧特性に大幅な劣化が見られると共に大きなバラツ
キも示し好ましくない。遮断特性も、20kAの遮断テ
ストに於いて多数の遮断不能を示し「不合格」である。
遮断前の加工表面にはCu相の脱落跡が観察されてい
る。遮断後の接点面には局所的な荒れが存在している
(比較例9)。
【0134】また、[Hm/Ho]比=3.0の場合で
も、再点弧発生頻度は、評価(Z)を示し再点弧特性に
大幅な劣化が見られる。遮断特性も、20kAの遮断テ
ストに於いて多数の遮断不能を示し「不合格」である。
加工面の静耐圧値に大きなバラツキが見られている(比
較例10)。
【0135】以上から、再点弧特性と遮断特性との両立
に対して、[Hm/Ho]比の管理が極めて重要である
と共に、[Hm/Ho]比を2.0以下の範囲を選択す
る時に目的を達する。
【0136】(実施例33〜35、比較例11〜12)
前記実施例では、Cu−Cr合金中のCuの量を75%
に一定とした時の、[Hm/Ho]比を変動させた場合
の、[Hm/Ho]比が再点弧特性と遮断特性に及ぼす
効果を示したが、本発明技術ではCu量は75%に限る
ことなく、Cuの量が90〜10%(実施例33〜3
5)に於いても効果を発揮する。
【0137】すなわち、[Hm/Ho]比=1.2〜
1.4に一定とした時,Cu量が90%の場合では、再
点弧発生頻度は、評価(B〜C)を示し良好な特性を発
揮した。遮断特性も、24kAの10回遮断に成功し遮
断特性も「合格」である(実施例33)。最表面層の顕
微鏡的観察では、加工面からのCu相の脱落や加工傷も
無く、評価後の接点面からもCu相の脱落はなかった。
【0138】Cu量が60%の場合でも、再点弧発生頻
度は、評価(B)を示し良好な特性を発揮した。遮断特
性も、20kAの10回遮断に成功し遮断特性も「合
格」である(実施例34)。
【0139】Cu量が10%の場合でも、再点弧発生頻
度は、評価(A〜B)を示し良好な特性を発揮した。遮
断特性も、20kAの10回遮断に成功し遮断特性も
「合格」である(実施例35)。最表面層の顕微鏡的観
察では、加工面からのCu相の脱落や加工傷も無く、評
価後の接点面からのCu相の脱落もなかった。
【0140】これに対して、Cu量が95%の場合で
は、再点弧発生頻度は、評価(C〜Y)を示し再点弧特
性に大幅な劣化が見られると共に大幅なバラツキも示し
好ましくない。但し遮断特性は、20kAの遮断に成功
し遮断特性では「合格」であったが、一部に溶着の発生
が見られ総合的には目的達成に対して好ましくない(比
較例11)。
【0141】一方、Cu量が5%の場合では、再点弧発
生頻度は、評価(Y〜Z)を示し再点弧特性に大幅な劣
化が見られる共に大福なバラツキも示し好ましくない。
遮断特性も、20kAの遮断テストに於いて多数の遮断
不能を示し「不合格」である。遮断特性の著しく低下し
ていると共に遮断テスト中の温度上昇特性、遮断テスト
後の接触抵抗特性の安定性に乏しい(比較例12)。最
表面層の顕微鏡的観察では、加工面上には著しい加工傷
が見られた。この加工傷が原因となって静耐圧値が低下
している。また加工時の機械的衝撃によってCu相部分
の一部に脱落が見られた。遮断評価後の接点面からもC
u相の脱落が認められた。
【0142】以上から、Cu−Cr合金中のCu相に関
する[Hm/Ho]比を所定量に管理する本発明技術
は、Cu−Cr合金中のCu相の量が90〜10%の時
にその効果を発揮する。
【0143】(実施例36〜41)前記実施例30〜3
5では、Cu−Cr合金中のCu相中に存在する成分に
ついては、注目していなかったが、Cu−Cr合金中の
Cu相に関する[Hm/Ho]比を管理する本発明技術
は、Cu相中への所定量のCr,Ti,B,V,Nb,
Taを含有したCuを使用したCu(Cr,Ti,B,
V,Nb,Taのいずれか1つ)−Cr合金に対して
も、再点弧特性、遮断特性が安定化する。
【0144】すなわち、Cu−Cr合金中のCuの量を
75%に一定とした時、Cu相中に、0.1%のCr成
分を含有した75%Cu接点では、再点弧発生頻度は、
評価(A)を示し良好な特性を発揮した。遮断特性も、
24.kAの10回遮断に成功し遮断特性も「合格」で
ある(実施例36)。
【0145】Cu相中に、0.3%のTiを含有させた
接点では、再点弧発生頻度は、評価(A〜B)を示し良
好な特性を発揮した。遮断特性も、20kAの10回遮
断に成功し遮断特性も「合格」である(実施例37)。
【0146】Cu相中に、0.5%のBを含有させた接
点では、再点弧発生頻度は、評価(A〜B)を示し良好
な特性を発揮した。遮断特性も、24kAの10回遮断
に成功し遮断特性も「合格」である(実施例38)。
【0147】Cu相中に、1.5%のVを含有させた接
点では、再点弧発生頻度は、評価(B)を示し良好な特
性を発揮した。遮断特性も、20kAの10回遮断に成
功し遮断特性も「合格」である(実施例39)。
【0148】Cu相中に、10%のNbを含有させた接
点では、再点弧発生頻度は、評価(B〜C)を示し良好
な特性を発揮した。遮断特性も、24kAの10回遮断
に成功し遮断特性も「合格」である(実施例40)。
【0149】Cu相中に、20%のTaを含有させた接
点では、再点弧発生頻度は、評価(B〜C)を示し良好
な特性を発揮した。遮断特性も、24kAの10回遮断
に成功し遮断特性も「合格」である(実施例41)。
【0150】実施例36〜41で示したように、Cu相
中への所定量のCr,Ti,B,V,Nb,Taの添加
は、Cu相の脱落を抑制し再点弧特性の安定化に寄与す
る。
【0151】以上から、Cu−Cr合金中のCu相に関
する[Hm/Ho]比を所定量に管理する本発明技術
は、Cu相中に所定量のCr,Ti,B,V,Nb,T
aのいずれか1つを含有したCuを採用したCu−Cr
合金に対しても有効に発揮される。
【0152】(実施例42〜45)Cu−Cr合金中の
Cu相に関する[Hm/Ho]比を管理する本発明技術
は、Cr粒子中に所定量のTi,V,Nb,Taを含有
したCrを使用したCu−Cr(Ti,V,Nb,Ta
のいずれか1つ)合金に対しても、再点弧特性、遮断特
性が安定化する。
【0153】すなわち、[Hm/Ho]比を1.2〜
1.4に一定とした上で、Cr粒子中に0.5%のTi
を含有させた接点では、再点弧発生頻度は、評価(A〜
B)を示し良好な特性を発揮した。遮断特性も、24.
kAの10回遮断に成功し遮断特性も「合格」である
(実施例42)。
【0154】Cr粒子中に2.0%のVを含有させた接
点では、再点弧発生頻度は、評価(B)を示し良好な特
性を発揮した。遮断特性も、20kAの10回遮断に成
功し遮断特性も「合格」である(実施例43)。
【0155】Cr粒子中に25%のNbを含有させた接
点では、再点弧発生頻度は、評価(B)を示し良好な特
性を発揮した。遮断特性も、24kAの10回遮断に成
功し遮断特性も「合格」である(実施例44)。
【0156】Cr粒子中に50%のTaを含有させた接
点では、再点弧発生頻度は、評価(B)を示し良好な特
性を発揮した。遮断特性も、24kAの10回遮断に成
功し遮断特性も「合格」である(実施例45)。
【0157】Cr粒子中での所定量のTi,V,Nb,
Taの存在効果は、Cu相とCr粒子との界面に作用し
合金全体としての耐消耗性や耐電圧特性を改善し、[H
m/Ho]比を所定量に管理する本発明技術との相乗的
効果によって、再点弧発生頻度のバラツキ幅を圧縮し接
点特性の安定化に寄与している。
【0158】以上から、Cu−Cr合金中のCu相に関
する[Hm/Ho]比を所定量に管理する本発明技術
は、Cr粒子中に所定量のTi,V,Nb,Taを含有
したCrを採用したCu−Cr(Ti,V,Nb,Ta
のいずれか1つ)合金に対しても有効に発揮される。
【0159】(実施例46〜47、比較例13)前記実
施例30〜45では、0.1〜150μmの平均粒子直
径を有するCr粒子が、全Cr粒子の95%(容積%)
以上(0.95〜0.99)を占める例についてその効
果を示したが、本発明技術では、全Cr粒子中に占める
0.1〜150μmの平均粒子直径を有するCr粒子
は、95%(容積%)以上のCu−Cr合金の場合に限
ることなく適応が可能である。
【0160】すなわち、全Cr粒子中に占める平均粒子
直径が、0.1〜150μmのCrの比率が85%(容
積%)のCrを使用したCu−Cr接点では、再点弧発
生頻度は、評価(B)を示し良好な特性を発揮した。遮
断特性も、20kAの10回遮断に成功し遮断特性も
「合格」である(実施例46)。
【0161】全Cr粒子中に占める平均粒子直径が、
0.1〜150μmのCrの比率が75%(容積%)の
Crを使用した接点では、再点弧発生頻度は、評価(B
〜C)を示し良好な特性を発揮した。遮断特性も、20
kAの10回遮断に成功し遮断特性も「合格」である
(実施例47)。
【0162】これに対して、全Cr粒子中に占める平均
粒子直径が、0.1〜150μmのCrの比率が50%
(容積%)のCrを使用した接点では、再点弧発生頻度
は、評価(C〜Z)を示し再点弧特性に大幅な劣化が見
られると共に大幅なバラツキも示し好ましくない。遮断
特性も、評価したバルブのうちの1本のみ20kAの遮
断に成功しているが、他の5本の総てのバルブでは20
kAの遮断不能多発し、バラツキが大で遮断特性は「不
合格」である(比較例13)。
【0163】以上から、Cu−Cr合金中のCu相に関
する[Hm/Ho]比を所定量に管理する本発明技術
は、全Cr粒子中に占める平均粒子直径の比率が75%
(容積%)以上のCr粒子を採用したCu−Cr合金に
於いて有効に発揮される。
【0164】(実施例48〜52、比較例14)Cu−
Cr合金中のCr粒子中の第1の補助成分として、1.
0%以下のAl,Siを含有したCrを使用した場合に
は、再点弧特性、遮断特性の安定化に有益である。
【0165】すなわち、Cr粒子中に1.0%のAlを
含有させた接点では、再点弧発生頻度は、評価(C)を
示し良好な特性を発揮した。遮断特性も、20kAの1
0回遮断に成功し遮断特性も「合格」である(実施例4
8)。
【0166】Cr粒子中に0.1%のAlを含有させた
接点では、再点弧発生頻度は、評価(B)を示し良好な
特性を発揮した。遮断特性も、20kAの10回遮断に
成功し遮断特性も「合格」である(実施例49)。
【0167】Cr粒子中に0.01%のAlを含有させ
た接点では、再点弧発生頻度は、評価(S〜A)を示し
極めて良好な特性を発揮した。遮断特性も、31.5k
Aの10回遮断に成功し遮断特性も「合格」である(実
施例50)。
【0168】Cr粒子中に0.001%のAlを含有さ
せた接点では、再点弧発生頻度は、評価(A)を示し極
めて良好な特性を発揮した。遮断特性も、20kAの1
0回遮断に成功し遮断特性も「合格」である(実施例5
1)。
【0169】Cr粒子中に0.01%のSiを含有させ
た接点では、再点弧発生頻度は、評価(S〜A)を示し
極めて良好な特性を発揮した。遮断特性も、31.5k
Aの10回遮断に成功し遮断特性も「合格」である(実
施例52)。
【0170】いずれもCu相の脱落や剥離がなく安定し
た接点面となっている。
【0171】これに対して、Cu−Cr合金中のCr粒
子中の第1の補助成分として、1.5%のAlを含有し
たCrを使用した場合には、再点弧発生頻度は、評価
(Z)を示し再点弧特性に大幅な劣化が見られ好ましく
ない。遮断特性も、10回の24kA遮断中に8回、2
0kA遮断中に2回の再点弧発生を記録し、遮断不能が
多発し遮断特性は「不合格」である(比較例14)。加
工直後の接点面にはすでにCu相の脱落が見られ、これ
が最初の再点弧発生の引き金となっている。
【0172】以上から、Cu−Cr合金中のCu相に関
する[Hm/Ho]比を所定量に管理する本発明技術
は、Cr粒子中の第1の補助成分として、1.0%以下
のAl,Siを含有したCr粒子を採用したCu−Cr
合金に対しても適用が可能である。
【0173】(実施例53〜58、比較例15〜16)
第2の補助成分として、1.0%以下のBi,Sbを含
有したCu−Cr合金を使用した場合には、再点粉特
性、遮断特性の安定化に有益である。また他の第2の補
助成分として、5.0%以下のTe,Se,Pbを含有
したCu−Cr合金を使用した場合にも、再点弧特性、
遮断特性の安定化に有益である。
【0174】すなわち、Cu−Cr合金中の第2の補助
成分として、0.1%のBiを含有させた接点では、再
点弧発生頻度は、評価(B)を示し良好な特性を発揮し
た。遮断特性も、24kAの10回遮断に成功し遮断特
性も「合格」である(実施例53)。
【0175】Cu−Cr合金中の第2の補助成分として
1.0%のBiを含有させた接点では、再点弧発生頻度
は、評価(B〜C)を示し良好な特性を発揮した。遮断
特性も、20kAの10回遮断に成功し遮断特性も「合
格」である(実施例54)。
【0176】Cu−Cr合金中の第2の補助成分とし
て、0.2%のSbを含有させた接点では、再点弧発生
頻度は、評価(B〜C)を示し良好な特性を発揮した。
遮断特性も、20kAの10回遮断に成功し遮断特性も
「合格」である(実施例55)。
【0177】Cu−Cr合金中の第2の補助成分とし
て、2.5%のTeを含有させた接点では、再点弧発生
頻度は、評価(B〜C)を示し良好な特性を発揮した。
遮断特性も、20kAの10回遮断に成功し遮断特性も
「合格」である(実施例56)。
【0178】Cu−Cr合金中の第2の補助成分とし
て、5.0%のTeを含有させた接点では、再点弧発生
頻度は、評価(C)を示し良好な特性を発揮した。遮断
特性も、20kAの10回遮断に成功し遮断特性も「合
格」である(実施例57)。
【0179】Cu−Cr合金中の第2の補助成分とし
て、2.5%のSeを含有させた接点では、再点弧発生
頻度は、評価(C)を示し良好な特性を発揮した。遮断
特性も、20kAの10回遮断に成功し遮断特性も「合
格」である(実施例58)。
【0180】また、Cu−Cr合金中の第2の補助成分
として、0.2%のPbを含有させた接点でも同等の再
点弧発生頻度および遮断特性を発揮し「合格」である。
【0181】いずれもCu相の脱落や剥離がなく安定し
た接点面となっている。
【0182】これに対して、Cu−Cr合金中の第2の
補助成分として、3.0%のBiを含有させた接点で
は、再点弧発生頻度は、評価(Y〜Z)を示し再点弧特
性に大幅な劣化が見られ好ましくない。遮断特性も、2
0kA以下の遮断で再点弧が多発し遮断特性は「不合
格」である(比較例15)。遮断テスト後の接点表面に
は著しい荒れが見られる。接触抵抗にもバラツキが見ら
れた。
【0183】Cu−Cr合金中の第2の補助成分とし
て、8.0%のTeを含有させた接点では、再点弧発生
頻度は、評価(Z)を示し再点弧特性に大幅な劣化が見
られれ好ましくない。遮断特性も、20kAの遮断に成
功と20kAの遮断失敗が多発し遮断特性は「不合格」
である(比較例16)。遮断テスト後の接点表面には著
しい荒れが見られる。接触抵抗にもバラツキが見られ
た。
【0184】以上から、Cu−Cr合金中のCu相に関
する[Hm/Ho]比を所定量に管理する本発明技術
は、Cr粒子中の第2の補助成分として、1.0%以下
のBi,Sbを含有したCu−Cr合金、または他の第
2の補助成分として、5.0%以下のTe,Se,Pb
を含有したCu−Cr合金に対しても適用が可能であ
る。
【0185】(その他の実施例)焼結工程後若しくは焼
結・溶浸工程後のCu−Crを、非酸化性雰囲気中で、
Cu−Cr合金中のCu相の融解温度以下の温度または
Cu相の融解温度以上の温度で加熱し、これを常温にま
で冷却することとし、この場合も焼結工程後若しくは焼
結・溶浸工程後の、Cu−Cr合金中のCu相の硬度値
(マイクロビッカース硬さ値)をHm、非酸化性雰囲気
中で、Cu−Cr合金中のCu相の融解温度以下の温度
またはCu相の融解温度以上の温度で加熱し、これを常
温にまで冷却した時の、Cu−Cr合金中のCu相の硬
度値(マイクロビッカース硬さ値)をHoとした時の
[Hm/Ho]比を、1.0〜2.0の範囲に調整する
こととしてもよい。
【0186】このように、Cu−Cr接点材料の製造雰
囲気として、非酸化性雰囲気を選択することにより、特
に再点弧発生頻度の低減化を図ることができる。
【0187】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
CuCr合金の再点弧特性を安定化させ電流遮断特性の
優れた電力用真空遮断器の接点材料を提供することがで
きるので、その工業的価値は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電力用真空遮断器の接点材料の
実施例1〜16及び比較例1〜4の評価条件を示す表
図。
【図2】 本発明に係る電力用真空遮断器の接点材料の
実施例17〜29及び比較例5〜8の評価条件を示す表
図。
【図3】 本発明に係る電力用真空遮断器の接点材料の
実施例1〜16及び比較例1〜4の評価結果を示す表
図。
【図4】 本発明に係る電力用真空遮断器の接点材料の
実施例17〜29及び比較例5〜8の評価結果を示す表
図。
【図5】 本発明に係る電力用真空遮断器の接点材料の
実施例30〜45及び比較例9〜12の評価条件を示す
表図。
【図6】 本発明に係る電力用真空遮断器の接点材料の
実施例46〜58及び比較例13〜16の評価条件を示
す表図。
【図7】 本発明に係る電力用真空遮断器の接点材料の
実施例30〜45及び比較例9〜12の評価結果を示す
表図。
【図8】 本発明に係る電力用真空遮断器の接点材料の
実施例46〜58及び比較例13〜16の評価結果を示
す表図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/08 C22F 1/08 B 1/11 1/11 H01H 1/02 H01H 1/02 C 11/04 11/04 D // B22F 7/00 B22F 7/00 A C22F 1/00 627 C22F 1/00 627 628 628 661 661A 687 687 691 691B H01B 1/02 H01B 1/02 A (72)発明者 草野 貴史 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 山本 敦史 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 Fターム(参考) 4K018 BB04 FA36 JA10 KA34 5G023 AA05 BA11 CA33 CA35 CA50 5G026 BA01 BB02 BB14 BB16 BB17 BB18 BB22 BC04 BC09 5G050 AA02 AA04 AA12 AA13 AA27 AA33 AA40 AA42 AA43 AA46 AA47 AA48 AA50 BA01 CA01 DA03 EA02 5G301 AA07 AA08 AD04 AE02

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cu又はCuを主成分とするCu合金で構
    成されるCu相より成る導電性成分と、粒子径が0.1
    〜150μmの範囲にあるCr粒子を所定比率以上含ん
    だCr粒子より成る耐弧性成分とで構成されたCu−C
    r合金からなる電力用真空遮断器の接点材料に於いて、
    焼結工程後若しくは焼結・溶浸工程後の、前記Cu−C
    r合金中のCr粒子の硬度値(マイクロビッカース硬さ
    値)をHs、前記Cu−Cr合金中のCu相の持つ融解
    温度の直下温度に加熱し、これを常温にまで冷却した時
    の、前記Cu−Cr合金中のCr粒子の硬度値(マイク
    ロビッカース硬さ値)をHrとした時の[Hs/Hr]
    比を、1.0〜1.6の範囲としたことを特徴とする電
    力用真空遮断器の接点材料。
  2. 【請求項2】前記Cu−Cr合金中のCu相の持つ融解
    温度の直下温度が1030℃〜1080℃であることを
    特徴とする請求項1に記載の電力用真空遮断器の接点材
    料。
  3. 【請求項3】Cu又はCuを主成分とするCu合金で構
    成されるCu相より成る導電性成分と、粒子径が0.1
    〜150μmの範囲にあるCr粒子を所定比率以上含ん
    だCr粒子より成る耐弧性成分とで構成されたCu−C
    r合金からなる電力用真空遮断器の接点材料に於いて、
    焼結工程後若しくは焼結・溶浸工程後の、前記Cu−C
    r合金中のCr粒子の硬度値(マイクロビッカース硬さ
    値)をHs、非酸化性雰囲気中で、前記Cu−Cr合金
    中のCu相の融解温度以下の温度またはCu相の融解温
    度以上の温度で加熱し、これを常温にまで冷却した時
    の、前記Cu−Cr合金中のCr粒子の硬度値(マイク
    ロビッカース硬さ値)をHrとした時の[Hs/Hr]
    比を、1.0〜1.6の範囲に調整したことを特徴とす
    る電力用真空遮断器の接点材料。
  4. 【請求項4】前記Crの一部を、Cr量に対して50%
    (重量%)以下のTi,V,Nb,Taより選ばれた1
    つによって置換したことを特徴とする請求項1乃至請求
    項3のいずれかに記載の電力用真空遮断器の接点材料。
  5. 【請求項5】前記Cu相中には、Cu量に対して20%
    (重量%)以下のCr,Ti,V,B,Nb,Taより
    選ばれた1つを含有したことを特徴とする請求項1乃至
    請求項4のいずれかに記載の電力用真空遮断器の接点材
    料。
  6. 【請求項6】導電性成分としてのCu相の量を10〜9
    0%(重量%)、残部が耐弧性成分としてCrを含有し
    たことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに
    記載の電力用真空遮断器の接点材料。
  7. 【請求項7】導電性成分としてのCu相の量を10〜9
    0%(重量%)、第1補助成分としてAl,Siの少な
    くとも一方を最大1.0%(重量%)、残部が耐弧性成
    分としてCrを含有したことを特徴とする請求項1乃至
    請求項5のいずれかに記載の電力用真空遮断器の接点材
    料。
  8. 【請求項8】第2補助成分として1%(重量%)以下の
    Bi,Sbの1つを含有したことを特徴とする請求項1
    乃至請求項7のいずれかに記載の電力用真空遮断器の接
    点材料。
  9. 【請求項9】第2補助成分として5%(重量%)以下の
    Te,Se,Pbの1つを含有したことを特徴とする請
    求項1乃至請求項7のいずれかに記載の電力用真空遮断
    器の接点材料。
  10. 【請求項10】前記Cr粒子は、平均粒子径が0.1〜
    150μmの範囲にあるCr粒子が、Cr粒子全体の少
    なくとも75%(容積%)を占めるCr粉よりなること
    を特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の
    電力用真空遮断器の接点材料。
  11. 【請求項11】Cu又はCuを主成分とするCu合金で
    構成されるCu相より成る導電性成分と、粒子径が0.
    1〜150μmの範囲にあるCr粒子を所定比率以上含
    んだCr粒子より成る耐弧性成分とで構成されたCu−
    Cr合金からなる電力用真空遮断器の接点材料に於い
    て、焼結工程後若しくは焼結・溶浸工程後の、前記Cu
    −Cr合金中のCu相の硬度値(マイクロビッカース硬
    さ値)をHm、前記Cu−Cr合金中のCu相の持つ融
    解温度の直下温度に加熱し、これを常温にまで冷却した
    時の、前記Cu−Cr合金中のCu相の硬度値(マイク
    ロビッカース硬さ値)をHoとした時の[Hm/Ho]
    比を、1.0〜2.0の範囲としたことを特徴とする電
    力用真空遮断器の接点材料。
  12. 【請求項12】前記Cu−Cr合金中のCu相の持つ融
    解温度の直下温度が1030℃〜1080℃であること
    を特徴とする請求項11に記載の電力用真空遮断器の接
    点材料。
  13. 【請求項13】Cu又はCuを主成分とするCu合金で
    構成されるCu相より成る導電性成分と、粒子径が0.
    1〜150μmの範囲にあるCr粒子を所定比率以上含
    んだCr粒子より成る耐弧性成分とで構成されたCu−
    Cr合金からなる電力用真空遮断器の接点材料に於い
    て、焼結工程後若しくは焼結・溶浸工程後の、前記Cu
    −Cr合金中のCu相の硬度値(マイクロビッカース硬
    さ値)をHm、非酸化性雰囲気中で、前記Cu−Cr合
    金中のCu相の融解温度以下の温度またはCu相の融解
    温度以上の温度で加熱し、これを常温にまで冷却した時
    の、前記Cu−Cr合金中のCu相の硬度値(マイクロ
    ビッカース硬さ値)をHoとした時の[Hm/Ho]比
    を、1.0〜2.0の範囲としたことを特徴とする電力
    用真空遮断器の接点材料。
  14. 【請求項14】前記Crの一部を、Cr量に対して、5
    0%(重量%)以下のTi,V,Nb,Taより選ばれ
    た1つによって置換したことを特徴とする請求項11乃
    至請求項13のいずれかに記載の電力用真空遮断器の接
    点材料。
  15. 【請求項15】前記Cu相中には、Cu量に対して20
    %(重量%)以下のCr,Ti,B,V,Nb,Taよ
    り選ばれた1つを含有したことを特徴とする請求項11
    乃至請求項14のいずれかに記載の電力用真空遮断器の
    接点材料。
  16. 【請求項16】導電性成分としてのCu相の量を10〜
    90%(重量%)、残部が耐弧性成分としてCrを含有
    したことを特徴とする請求項11乃至請求項15のいず
    れかに記載の電力用真空遮断器の接点材料。
  17. 【請求項17】導電性成分としてのCu相の量を10〜
    90%(重量%)、第1補助成分としてAl,Siの少
    なくとも一方を最大1.0%(重量%)、残部が耐弧性
    成分としてCrを含有したことを特徴とする請求項11
    乃至請求項15のいずれかに記載の電力用真空遮断器の
    接点材料。
  18. 【請求項18】第2補助成分として1%(重量%)以下
    のBi,Sbの1つを含有したことを特徴とする請求項
    11乃至請求項17のいずれかに記載の電力用真空遮断
    器の接点材料。
  19. 【請求項19】第2補助成分として5%(重量%)以下
    のTe,Se,Pbの1つを含有したことを特徴とする
    請求項11乃至請求項17のいずれかに記載の電力用真
    空遮断器の接点材料。
  20. 【請求項20】前記Cr粒子は、平均粒子径が0.1〜
    150μmの範囲にあるCr粒子が、Cr粒子全体の少
    なくとも75%(容積%)を占めるCr粉よりなること
    を特徴とする請求項11乃至請求項19のいずれかに記
    載の電力用真空遮断器の接点材料。
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