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JP2001213615A - 圧密化黒鉛粒子、その製造方法、及びリチウム二次電池用負極材料 - Google Patents

圧密化黒鉛粒子、その製造方法、及びリチウム二次電池用負極材料

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JP2001213615A
JP2001213615A JP2000021380A JP2000021380A JP2001213615A JP 2001213615 A JP2001213615 A JP 2001213615A JP 2000021380 A JP2000021380 A JP 2000021380A JP 2000021380 A JP2000021380 A JP 2000021380A JP 2001213615 A JP2001213615 A JP 2001213615A
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graphite particles
graphite
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particles
compacted
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JP2000021380A
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JP3597099B2 (ja
Inventor
Kenji Fukuda
憲二 福田
Yoshinori Yasumoto
義徳 安元
Tadanori Tsunawake
忠則 綱分
Katsuya Mitsuishi
勝也 三石
Yoichiro Hara
陽一郎 原
Tatsuo Umeno
達夫 梅野
Takashi Hiruta
孝士 蛭田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Mining Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Mining Co Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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  • Secondary Cells (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 黒鉛粒子を用いて成型品を成型する時は、黒
鉛スラリー中の黒鉛濃度を高くすることができ、成型後
の成型品としては、黒鉛密度が高く、等方性が高い成型
品を得ることができる圧密化黒鉛粒子、及びその製造方
法を提供すること、並びに、負極そのものの黒鉛密度が
高く、負極の容積当たりのエネルギー密度が高いリチウ
ムイオン二次電池を提供すること。 【解決手段】 紡錘状をなす黒鉛粒子、若しくは円盤状
をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、アスペ
クト比が1〜5の前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量が
10体積%以上、若しくはアスペクト比が1〜10の前
記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%以上であ
り、タップ密度が0.7〜1.3g/cm 3である圧密
化黒鉛粒子を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、嵩密度が高い高結
晶性の黒鉛粒子、及びその製造方法に関する。この黒鉛
粒子は、リチウムイオン二次電池や燃料電池セパレータ
ー等のフィラーとして有用である。
【0002】
【従来の技術】従来から黒鉛粒子は電極材料として重用
されてきた。近年、リチウムイオン二次電池用負極や燃
料電池セパレーター等の成型品のフィラーとしても用い
られている。しかし、従来の黒鉛粒子を上記材料やフィ
ラーとして用いる場合は、黒鉛粒子の嵩密度が低いこ
と、黒鉛粒子が形状的に大きなアスペクト比を有するこ
と等に由来する多くの使用上の欠点が指摘されている。
【0003】例えば上記黒鉛粒子は嵩密度が低いため
に、リチウムイオン二次電池用負極を製造する際に用い
る黒鉛スラリー中の黒鉛濃度を高くすることができな
い。そのため、得られる負極の黒鉛密度が低くなり、負
極の容積当たりのエネルギー密度が低くなる問題があ
る。また、上記黒鉛粒子はアスペクト比が大きいため
に、この黒鉛粒子を用いて製造する電極やセパレーター
は電気抵抗に大きな異方性を有する等の問題がある。
【0004】これらの問題を解決するために、黒鉛粒子
を有機バインダーを用いて成型する方法、黒鉛粒子をロ
ーラーで展圧する方法、黒鉛を回転式ディスクミルで粉
砕する方法等が提案されている。
【0005】しかしながら有機バインダーを用いて黒鉛
粒子を成型する方法は処理コストに難がある。しかも黒
鉛粒子に加えられる有機バインダーの炭素化から生成す
る炭素は、その物性を考慮する必要がある。即ち有機バ
インダーの種類や炭素化の条件等によっては生成炭素の
物性に悪影響を与え、惹いては電極やセパレーターの性
能に悪影響を与えるという問題がある。
【0006】黒鉛粒子をローラーで展圧する方法は簡便
である。また、この展圧中のある時点においては高い嵩
密度になる形状をした黒鉛粒子が得られることもある。
しかし、この形状の黒鉛粒子は、篩分けや混練時に外力
が加わると破壊され、再び元の低い嵩密度になる形状を
した黒鉛粒子に戻り易いという問題がある。
【0007】一方、従来行われている黒鉛を回転式ディ
スクミルで粉砕して黒鉛粒子を製造する方法では、その
大きいアスペクト比を改善して小さくすることは難しい
という問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、リチウ
ムイオン二次電池用負極材料や燃料電池セパレーターの
フィラーとして適した炭素材料を種々検討した結果、リ
チウムイオン二次電池用負極材料としては放電容量が大
きく、充放電速度が大きく、かつサイクル寿命の長い炭
素材料は黒鉛の理論格子定数に近い格子定数を持った高
結晶性であり、かつ50μm以下、好ましくは20μm
以下の平均粒子径を持った微粒子であることを知得し
た。しかしながら高結晶性であり、かつ微粒子化された
黒鉛は、黒鉛の基礎物性評価の段階では十分な性能を発
現するが、実際に電池を製造する段階ではその嵩高さに
起因して低濃度黒鉛スラリーしか得ることができない。
この結果、電池缶中に負極材料としての黒鉛量を高密度
に充填することができず、電池としての高エネルギー密
度化を更に高めることができなかった。即ち負極材料と
しての黒鉛には高結晶性、微粒子であることに加え、高
い嵩密度を有することが不可欠である。負極調製用の黒
鉛スラリーの高濃度化はスラリー調製装置の改良によっ
ても達成できるが、最も工程的に容易かつ低コストな方
法は嵩密度の高い黒鉛を用いることによって達成され
る。
【0009】また、燃料電池セパレーターに用いられる
黒鉛粒子は、高結晶性、高導電性であることが望まれる
と同時に、リチウムイオン二次電池用負極材料に用いら
れる場合と同様に、高い嵩密度を有することが必要であ
り、またアスペクト比が小さいことが必要である。
【0010】本発明者らは、高密度成型品のフィラーと
して適した黒鉛粒子について種々検討した結果、黒鉛粒
子を、衝撃を加えて粉砕する振動ミル等の粉砕機で圧密
化することにより、タップ密度0.7〜1.3g/cm
3の高い嵩密度が得られるのみならず、得られた黒鉛粒
子はアスペクト比が小さくなり、かつ円盤状の形状ない
し紡錘状の形状を有する事を見出した。
【0011】そして、所定範囲のアスペクト比であり、
且つ所定形状の粒子を所定量以上含有する黒鉛粒子であ
って、しかも嵩密度が所定範囲である圧密化黒鉛粒子
を、上記フィラーとして用いることによって、上記問題
を解決することができ、高密度成型品を得ることができ
ることを見出した。
【0012】また、所定の圧密化方法を用いることによ
って、上記圧密化黒鉛粒子を得ることができることを見
出した。
【0013】その結果、上記圧密化黒鉛粒子を用いたリ
チウムイオン二次電池負極は、本来通常の黒鉛粒子を用
いた負極が有している黒鉛粒子個々の体積当たりの放電
容量が高いのみならず、負極そのものの体積当たりの放
電容量が高いという特性も有するものである。
【0014】また、上記圧密化黒鉛粒子の低いアスペク
ト比に起因して、負極の成型時において黒鉛の選択的配
向を防止することができ、黒鉛の配向の均一性は極めて
高いものである。そのため、上記圧密化黒鉛粒子を用い
たリチウムイオン二次電池負極は、負極厚み方向にも高
い導電性を有するものである。
【0015】従って、上記圧密化黒鉛粒子、若しくは上
記製造方法によって得られる圧密化黒鉛粒子、又は、こ
れらの圧密化黒鉛粒子の表面を炭素で被覆した圧密化黒
鉛粒子からなるリチウムイオン二次電池用負極材料は、
高いエネルギー密度を有し、電気抵抗に大きな異方性を
生ずることの無い負極材料を得ることができる。
【0016】一方、上記圧密化黒鉛粒子を燃料電池用セ
パレーターに用いる場合は、セパレーターの黒鉛密度が
高いことに起因してガス透過性が低く、同時にセパレー
ターの厚み方向にも導電性が高い燃料電池用セパレータ
ーを得ることができる。
【0017】本発明は上記知見に基づきなされたもの
で、その目的とするところは、その黒鉛粒子を用いて成
型品を成型する時は、黒鉛スラリー中の黒鉛濃度を高く
することができ、成型後の成型品としては、黒鉛密度が
高く、等方性が高い成型品を得ることができる圧密化黒
鉛粒子、及びその製造方法を提供することにある。更
に、負極そのものの密度が高く、負極の容積当たりのエ
ネルギー密度が高いリチウムイオン二次電池を提供する
ことを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は以下のことを提案するのものである。
【0019】〔1〕 アスペクト比が1〜5の紡錘状
をなす黒鉛粒子、若しくはアスペクト比が1〜10の円
盤状をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、前
記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以上、若
しくは前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%
以上であり、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3
ある事を特徴とする圧密化黒鉛粒子。
【0020】〔2〕 アスペクト比が1〜5の紡錘状
をなす黒鉛粒子、若しくはアスペクト比が1〜10の円
盤状をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、前
記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以上、若
しくは前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%
以上であり、且つ前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量と
前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量との合計が60体積
%以上であり、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3
である事を特徴とする圧密化黒鉛粒子。
【0021】〔3〕 原料黒鉛粒子に衝撃力を加えて
圧密化することを特徴とする、アスペクト比が1〜5の
紡錘状をなす黒鉛粒子、若しくはアスペクト比が1〜1
0の円盤状をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であっ
て、前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以
上、若しくは前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50
体積%以上であり、タップ密度が0.7〜1.3g/c
3である圧密化黒鉛粒子の製造方法。
【0022】〔4〕 原料黒鉛粒子に衝撃力を加えて
圧密化することを、振動ミルを用いて行う〔3〕に記載
の圧密化黒鉛粒子の製造方法。
【0023】〔5〕 原料黒鉛粒子がタップ密度0.
6g/cm3以下の黒鉛粒子である〔3〕又は〔4〕に
記載の圧密化黒鉛粒子の製造方法。
【0024】〔6〕 振動ミルの、片振幅が5〜10
mm、振動周波数が10〜25ヘルツである〔4〕に記
載の圧密化黒鉛粒子の製造方法。
【0025】〔7〕 振動ミルが、振動ロッドミル、
又は振動ボールミルである〔4〕に記載の圧密化黒鉛粒
子の製造方法。
【0026】〔8〕 〔1〕又は〔2〕に記載の圧密
化黒鉛粒子を製造するに当たって、原料黒鉛粒子を振動
ミルで圧密化して、第一次圧密化黒鉛粒子を得、前記第
一次圧密化黒鉛粒子を篩に掛けて、第一次篩上圧密化黒
鉛粒子と第一次篩下圧密化黒鉛粒子とを得、前記第一次
篩上圧密化黒鉛粒子を振動ミルに戻して再び圧密化し
て、第二次圧密化黒鉛粒子を得、前記第二次圧密化黒鉛
粒子を再び篩に掛けることを繰り返し、各篩下圧密化黒
鉛粒子を併せて圧密化黒鉛粒子を得ることを特徴とする
圧密化黒鉛粒子の製造方法。
【0027】
〔9〕 〔3〕乃至〔8〕の何れかに記
載の製造方法によって得られる圧密化黒鉛粒子。
【0028】〔10〕 〔1〕、〔2〕又は
〔9〕に
記載の圧密化黒鉛粒子、あるいは前記圧密化黒鉛粒子の
表面を炭素で被覆した圧密化黒鉛粒子からなるリチウム
イオン二次電池用負極材料。
【0029】以下、本発明を詳細に説明する。
【0030】
【発明の実施の形態】(本発明の圧密化黒鉛粒子)本発
明の圧密化黒鉛粒子は、紡錘状をなす黒鉛粒子、若しく
は円盤状をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であっ
て、アスペクト比が1〜5の前記紡錘状をなす黒鉛粒子
の含有量が10体積%以上、若しくはアスペクト比が1
〜10の前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積
%以上であり、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3
である。
【0031】ここで、アスペクト比とは、粒子の最大長
さを厚みで除した値である。更に詳述すると、粒子の形
状が円盤状の場合のアスペクト比は、粒子の径を厚みで
除した値であり、粒子の形状が紡錘状の場合のアスペク
ト比は、粒子の軸長を径(厚み)で除した値である。
【0032】なお、本発明の圧密化黒鉛粒子において、
圧密化とは嵩密度を大きくすることをいい、具体的に
は、タップ密度で0.7〜1.3g/cm3の嵩密度に
することをいう。
【0033】本発明の圧密化黒鉛粒子は、アスペクト比
が1〜5の紡錘状をなす黒鉛粒子を10体積%以上含む
か、若しくはアスペクト比が1〜10の円盤状をなす黒
鉛粒子を50体積%以上含むか、又は何れの所定範囲の
アスペクト比の黒鉛粒子をもそれぞれ所定量以上含む圧
密化黒鉛粒子である。
【0034】ここで、前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有
量と前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量との合計は、6
0体積%以上であることが好ましく、75体積%以上で
あることがより好ましく、特に90体積%以上であるこ
とが望ましい。
【0035】前記紡錘状をなす黒鉛粒子でもなく、前記
円盤状をなす黒鉛粒子でもない、残りの黒鉛粒子には、
例えば、アスペクト比が5を超える紡錘状をなす黒鉛粒
子、及びアスペクト比が10を超える円盤状をなす黒鉛
粒子を始め、アスペクト比が10を超える鱗片状の黒鉛
粒子などが挙げられる。
【0036】本発明の圧密化黒鉛粒子は、これをリチウ
ムイオン二次電池や燃料電池セパレーター等の成型品の
フィラーとして用いてこれら成型品を成型する場合、黒
鉛スラリー中の黒鉛濃度を高くすることができ、成型後
の成型品は、黒鉛の密度が高く、等方性が高い。
【0037】特に、リチウムイオン二次電池負極のフィ
ラーとして本発明の圧密化黒鉛粒子を用いる場合は、負
極中の黒鉛の密度が通常の黒鉛を用いた負極よりも高く
なる。
【0038】(本発明の圧密化黒鉛粒子の製造方法)本
発明の圧密化黒鉛粒子は、原料黒鉛粒子を圧密化するこ
とによって製造することができる。
【0039】原料として用いる黒鉛粒子の002面の結
晶格子定数C0(002)は0.670〜0.673nmであ
ることが望ましい。例えば、リチウムイオン二次電池の
負極材料として用いる場合、結晶格子定数C0(002)
0.673nmを超えると、リチウムイオンのドーピン
グ量が低下し、十分な充電量が得られない結果、リチウ
ムイオン二次電池の放電電気容量が低下する。また導電
性が低下する。
【0040】また、本発明に用いる原料黒鉛粒子として
は、天然黒鉛、人造黒鉛のいずれを用いても良いが、結
晶性の高さと、入手の容易さとから、天然黒鉛が好まし
い。黒鉛はそのまま粉砕して原料黒鉛粒子にすることが
できるが、公知の方法で一旦膨張黒鉛としてから、これ
を粉砕して原料黒鉛粒子とすることもできる。
【0041】圧密化に供する黒鉛粒子は、平均粒子径3
mm以下程度の比較的大きな黒鉛粒子も用いることがで
きるが、既に平均粒径が50μm以下に粉砕された黒鉛
粒子がより好ましい。
【0042】このための粉砕方法としては振動ボールミ
ル等の振動ミル、ボールミル、ハンマーミルのように黒
鉛に衝撃を加えて粉砕する方法がある。
【0043】また、ジェットミル、回転式円盤状砥石を
粉砕メディアとするマイクロミル、回転体を粉砕メディ
アとするターボミル等の如く黒鉛にシェアストレスを与
えながら粉砕する方法がある。
【0044】粉砕は乾式、湿式を問わず実施することが
できる。また膨張黒鉛を湿式で超音波を用いて粉砕する
方法も有効なものである。
【0045】本発明の圧密化処理は、原料黒鉛粒子に衝
撃を加えることにより行う。
【0046】この圧密化処理のうちでも、振動ミルを用
いる圧密化処理は、特に圧密化を高くでき、より好まし
いものである。振動ミルの例としては、振動ボールミ
ル、振動ディスクミル、振動ロッドミル等が挙げられ
る。
【0047】圧密化処理により得られる黒鉛粒子の形状
は、振動ボールミルを用いて圧密化処理する場合は、円
盤状の圧密化黒鉛粒子が製造されやすい。一方、振動ロ
ッドミルを用いて圧密化処理する場合は、紡錘状の圧密
化黒鉛粒子が製造されやすい。
【0048】圧密化時間は、0.1〜10分間が好まし
い。
【0049】振動ミルは回分式でも連続式でも行う事が
できる。
【0050】振動ミルのメディア、並びに、ポット若し
くは本体の内張りの材質には、鉄、耐摩耗鋼、各種ステ
ンレス合金、アルミナ、ジルコニア等を用いることがで
きる。
【0051】振動ロッドミルの場合、ロッドの径は10
〜30mm、ロッドの体積占有率は40〜80%、片振
幅は5〜10mm、振動周波数は10〜25ヘルツに設
定する事が好ましい。
【0052】振動ボールミルの場合、ボールの径は5〜
40mm、ロッドの体積占有率は40〜80%、片振幅
は5〜10mm、振動周波数は10〜25ヘルツに設定
する事が好ましい。
【0053】上述したように、圧密化処理は回分式でも
連続式でも行う事ができる。なお、圧密化処理をより効
率的に行うには連続式圧密化が好ましい。
【0054】図1は本発明の圧密化黒鉛粒子を製造する
際に用いる連続式圧密化装置の一例を示すものである。
【0055】図1において、原料黒鉛粒子は、ホッパー
2より定量供給機4で振動ミル6に供給される。振動ミ
ル6の中では黒鉛粒子の圧縮化と粉砕が同時に進行し圧
密化処理が行われる。振動ミル6を出た圧密化黒鉛粒子
は、所定の大きさの篩8で粒度別に分けられる。10は
篩下の圧密化黒鉛粒子であり、12は篩上の圧密化黒鉛
粒子である。
【0056】篩上の圧密化黒鉛粒子12即ち第一次篩上
圧密化黒鉛粒子は、ホッパー2に戻して再び圧密化処理
して、第二次圧密化黒鉛粒子を得ることができる。ま
た、第一次篩上圧密化黒鉛粒子を原料黒鉛粒子に混ぜて
圧密化処理してもよい。
【0057】多くの場合、例えばリチウムイオン二次電
池用負極材料や燃料電池用フィラーとして本発明の圧密
化黒鉛粒子を用いる場合、所定の粒子径以下の黒鉛粒子
のみ即ち所定の大きさの篩下の黒鉛粒子のみを用いる。
【0058】なお、原料黒鉛粒子から第一次篩下圧密化
黒鉛粒子への変換率は、圧密化条件により異なるが、第
一次篩上圧密化黒鉛粒子から第二次篩下圧密化黒鉛粒子
への変換率とほぼ等しい。
【0059】図2は本発明の圧密化黒鉛粒子を製造する
際に用いる連続式圧密化装置の他の例を示すものであ
る。
【0060】図2において、原料黒鉛粒子は、ホッパー
22より定量供給機24で振動ミル26に供給される。
振動ミル26の中では黒鉛粒子の圧縮化と粉砕が同時に
進行し圧密化処理が行われる。振動ミル26を出た圧密
化黒鉛粒子は、所定の大きさの篩28で粒度別に分けら
れる。30は篩下の圧密化黒鉛粒子であり、32は篩上
の圧密化黒鉛粒子である。
【0061】振動ミル26を1回通過させた後の篩上の
圧密化黒鉛粒子32即ち第一次篩上圧密化黒鉛粒子を粉
体搬送機34で振動ミル26に戻し、新たに供給する原
料黒鉛粒子とともに再び圧密化する。この再圧密化処理
によって、新たに供給する原料黒鉛粒子は第一次圧密化
黒鉛粒子となり、2回目の圧密化となる篩上第一次圧密
化黒鉛粒子は第二次圧密化黒鉛粒子となる。これらの圧
密化黒鉛粒子は、互いに併さって新たな圧密化黒鉛粒子
となる。この新たな圧密化黒鉛粒子は、所定の大きさの
篩28で粒度別に分けられる圧密化処理が繰り返され
る。
【0062】なお、上述したように、原料黒鉛粒子から
第一次篩下圧密化黒鉛粒子への変換率は、圧密化条件に
より異なるが、第一次篩上圧密化黒鉛粒子から第二次篩
下圧密化黒鉛粒子への変換率とほぼ等しい。
【0063】ここで、繰り返し圧密化される黒鉛粒子の
みを考慮に入れ、新たに供給する原料黒鉛粒子は圧密化
処理の考慮から外すと、上記の原料黒鉛粒子から第一次
篩下圧密化黒鉛粒子への変換率を50%以上に条件設定
する事により、繰り返し圧密化される黒鉛粒子は5〜6
回以下の圧密化処理で篩上の圧密化黒鉛粒子32の原料
黒鉛粒子からの変換率は、ほぼ0%に収斂する。
【0064】通常、原料黒鉛粒子から第一次篩下圧密化
黒鉛粒子への変換率は60〜80%に設定することが好
ましい。例えば、原料黒鉛粒子から第一次篩下圧密化黒
鉛粒子への変換率を70%とした場合、振動ミル26を
1回通過させた後の篩上の圧密化黒鉛粒子32即ち第一
次篩上圧密化黒鉛粒子は、原料黒鉛粒子に対して30
%、振動ミル26を2回通過させた後の篩上の圧密化黒
鉛粒子32即ち第二次篩上圧密化黒鉛粒子は、原料黒鉛
粒子に対して9%、振動ミル26を3回通過させた後の
篩上の圧密化黒鉛粒子32即ち第三次篩上圧密化黒鉛粒
子は、原料黒鉛粒子に対して2.7%となる。
【0065】このように、振動ミル26に供給した原料
黒鉛粒子は、5〜6回以内の振動ミル26の通過で、ほ
ぼ全量篩下圧密化黒鉛粒子30即ち所定粒度以下の圧密
化黒鉛粒子として回収する事が出来る。
【0066】さらには、分級機を用いて篩下圧密化黒鉛
粒子30を分級し、所定粒度の黒鉛粒子のみをリチウム
イオン二次電池や燃料電池セパレーター等のフィラーと
して用いることもできる。また振動ミル26中での黒鉛
の滞留時間は1回の振動ミル26の通過当たり1〜5分
である。よって、黒鉛が振動ミル26をたとえ5〜6回
通過したとしても篩下圧密化黒鉛粒子30のX線回折分
析(XRD)による結晶性が損なわれることはない。そ
のため、この篩下圧密化黒鉛粒子30は、リチウムイオ
ン二次電池用負極材料としての性能も変化しないもので
ある。
【0067】本発明の圧密化黒鉛粒子の製造方法によ
り、アスペクト比の大きな鱗片状の原料黒鉛粒子を圧密
化処理すると、原料黒鉛粒子は主に黒鉛のベーサルプレ
ーン(基礎面)で積層しながら二次粒子化し、同時に積
層した二次粒子の端部は丸く削られて厚みのある円盤
状、或は紡錘状に変化し、アスペクト比の小さな黒鉛粒
子に変換される。
【0068】このようにして黒鉛粒子をアスペクト比の
小さなものに変換した結果、黒鉛粒子は高結晶性である
にもかかわらず、タップ密度が高いのみならず、スラリ
ーの流動性も良好なものが得られる。
【0069】アスペクト比が大きい黒鉛粒子を成型品の
芯材等に塗布する場合、黒鉛粒子のベーサルプレーンが
塗布時のシェア方向に配向する。
【0070】また、プレス時にはベーサルプレーンが受
圧面に沿って配向する。
【0071】このようなことから、黒鉛粒子のアスペク
ト比が10を超える場合は、黒鉛粒子の塗布時、若しく
はプレス時において、配向が大きくなり、厚み方向の電
気抵抗が増大する等の不都合を生ずる。
【0072】これに対して、圧密化処理してアスペクト
比を10以下にした黒鉛粒子を成型品の芯材等に塗布す
る場合、又はプレスする場合には、配向する黒鉛粒子の
割合が減少して厚み方向の導電性を高める効果がある。
【0073】図3及び4は、それぞれ円盤状圧密化黒鉛
粒子、及び紡錘状圧密化黒鉛粒子の一例を示す電子顕微
鏡写真である。
【0074】圧密化黒鉛粒子をリチウムイオン二次電池
用負極材料とする場合には、圧密化黒鉛粒子に表面処理
を施すか、又は圧密化黒鉛粒子の表面を炭素で被覆する
ことが特に好ましい。
【0075】圧密化黒鉛粒子に表面処理を施す方法とし
ては、スチレン、沃素、過酸化ベンゾイル等のラヂカル
反応性試薬を黒鉛粒子表面の活性ラヂカルと反応させる
方法等がある。
【0076】また、圧密化黒鉛粒子の表面を炭素で被覆
する方法としては、化学蒸着処理法(CVD法)、ピッ
チ又は樹脂で黒鉛粒子表面を被覆した後、これらを炭化
させる方法などが挙げられる。
【0077】化学蒸着処理法としては、圧密化黒鉛粒子
を流動床式反応炉中で有機物ガス又は有機物と不活性ガ
スとの混合ガスを用いて化学蒸着処理することにより、
圧密化黒鉛粒子の表面に炭素層を形成することが挙げら
れる。
【0078】化学蒸着処理条件としては、混合ガス中の
有機物のモル濃度が2〜50%で、化学蒸着処理温度が
900〜1200℃であることが好ましい。
【0079】このような製造方法で製造したリチウムイ
オン二次電池用負極材料は、圧密化黒鉛粒子と、前記圧
密化黒鉛粒子の全表面を被覆する結晶性炭素層とからな
り、炭素層の炭素002面を圧密化黒鉛粒子表面に平行
にして圧密化黒鉛粒子の全表面が炭素層で被覆されてい
る。
【0080】また、この負極材料は、リチウムイオンを
インターカレーションした負極材料のLi−NMRス
ペクトルが、塩化リチウム基準ケミカルシフトの40〜
50ppmと、10〜30ppmとに吸収スペクトルを
有するものである。
【0081】更に、この負極材料は、炭素層が偏向顕微
鏡下に光学異方性を示す。
【0082】上記の化学蒸着処理法は、電解液溶媒の分
解を抑制すると共に、放電容量が高く、高速充放電が可
能なリチウム二次電池を実現できる負極材料、その製造
方法、同負極材料を用いて形成したリチウム二次電池を
提供することができるので、好ましい。
【0083】以上のようにして製造した本発明の圧密化
黒鉛粒子、あるいは、この圧密化黒鉛粒子に表面処理、
若しくは炭素被覆を施した圧密化黒鉛粒子を用いて、リ
チウムイオン二次電池の負極を調製する方法は特に限定
されないが、その調製方法の一例を以下に示す。
【0084】圧密化黒鉛粒子に、バインダー(例えば、
PVDF:ポリビニリデンフルオライド)を溶解した溶
剤(例えば、1−メチル−2−ピロリドン)を加え、十
分に混練する。この操作により、黒鉛粒子濃度40wt
%以上の高濃度の黒鉛粒子スラリーを調製することがで
きる。
【0085】バインダーには公知の材料、例えばポリテ
トラフルオロエチレン等の各種のフッ素樹脂などを用い
ることができる。これらの中でもPVDFが最適であ
る。またカルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ
ビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド
(PEO)のような水溶性樹脂、あるいはこれらの水溶
性樹脂とスチレンブタジエンラバー(SBR)等のラテ
ックスとの混合物なども用いることができる。なお、黒
鉛粒子とバインダーとの混合比(重量比)は100:2
〜100:10となるように黒鉛粒子スラリーを調製す
ることが望ましい。
【0086】この黒鉛粒子スラリーを、例えば銅箔等の
金属箔からなる集電体にドクターブレード等を用いて2
0〜100μmの厚みにコーティングする。これを乾燥
させることにより、黒鉛粒子が金属箔集電体に密着す
る。必要があれば加圧して密着性を高め、且つコーティ
ング層の厚みを均一化し、コーティング層を高密度化す
る。
【0087】正極材料は特に限定されないが、当業者に
公知のLiCoO2、LiNiO2又はLiMn24等の
リチウム含有化合物、或はこれらの混合物が好適であ
る。粉末状の正極材料は、必要があれば導電材を加え、
バインダーを溶解した溶剤等と十分に混練後、集電体と
共に成型して調製できる。又、セパレーターについても
特に限定はなく、公知の材料を用いることができる。
【0088】電解液の主溶媒である非水溶媒としては、
リチウム塩を溶解する非プロトン性低誘電率の公知の溶
媒が挙げられる。例えば、エチレンカーボネート、ジメ
チルカーボネート(以下DMCと略す)、メチルエチル
カーボネート(以下MECと略す)、プロピレンカーボ
ネート、ジエチレンカーボネート、アセトニトリル、プ
ロピオニトリル、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラク
トン、2−メチルテトラヒドロフラン、1、3−ジオキ
ソラン、4−メチル−1、3−ジオキソラン、1、2−
ジメトキシエタン、1、2−ジエトキシエタン、ジエチ
ルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、ニトロメ
タン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド等の溶媒を単独で、又は2種以上の溶媒を混合し
て用いることができる。
【0089】電解質として用いるリチウム塩としては、
LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、L
iB(C654、LiCl、L iBr、CH3SO3
i、CF3SO3Li等があり、これらの塩を単独、又は
2種類以上の塩を混合して用いることができる。
【0090】以下、実施例により本発明を更に具体的に
説明する。
【0091】
【実施例】以下の実施例1〜9においては、各物性値は
以下の方法で測定した。
【0092】タップ密度: 10mlのガラス製メスシ
リンダーに試料を入れてタッピングし、試料の容積が変
化しなくなったところで試料容積を測定し、試料重量を
試料容積で除した値をタップ密度とした。
【0093】結晶格子定数C0(002)及びC軸方向の結晶
の大きさLC(002):東芝製X線回折装置XC−40Hを
用い、Cu−Kα線をNiで単色化し、高純度シリコン
を標準物質として学振法で測定した。
【0094】アスペクト比:日本電子製走査型電子顕微
鏡JSM−5300での撮影画面から試料粒子を、円盤
状の形状の粒子と、紡錘状の形状の粒子とに類別した。
これらの形状の粒子それぞれについて、最大粒子径と厚
みを測定し、最大粒子径を厚みで除した値をアスペクト
比とした。即ち粒子の形状が円盤状の場合は、粒子の径
を厚みで除した値をアスペクト比とし、粒子の形状が紡
錘状の場合は、粒子の軸長を径(厚み)で除した値をア
スペクト比とした。更に上記顕微鏡撮影画面からニコレ
製画像解析装置LUZEXIIIUを用い、上記の円盤状
の形状の粒子、及び紡錘状の形状の粒子のそれぞれにつ
いて、粒子全体に対する存在割合を算出した。
【0095】比表面積: 日本ベル製表面積測定装置を
用い、液体窒素温度で窒素吸着量を多点法で測定し、B
ET法で比表面積を求めた。
【0096】(実施例1〜4)タップ密度0.42g/
cm3の鱗片状天然黒鉛を原料黒鉛として用い、内容積
3リットルのバッチ式振動ロッドミル又は振動ボールミ
ルで圧密化処理試験を行った。圧密化処理の試験条件、
及び圧密化処理の試験結果を表1に示す。なお、振動ロ
ッドミル又は振動ボールミルの何れの振動ミルについて
も、振動数は16.5Hz、片振幅は7.4mmとし
た。
【0097】
【表1】 *1:直径50mmのロッドと直径25mmのロッドとを1:2に混合 (実施例5〜6)タップ密度0.42g/cm3の鱗片
状天然黒鉛を原料黒鉛として用い、排出部に開孔率3%
の堰を設けた内容積100リットル(上下の粉砕ドラム
の内容積は各50リットル)の連続式式振動ロッドミル
で圧密化処理試験を行った。圧密化処理の試験条件、及
び圧密化処理の試験結果を表2に示す。なお、実施例5
及び6の何れについても、メディアであるロッドの直径
は32mm、占有率は60体積%とした。
【0098】
【表2】 (実施例7)タップ密度0.56g/cm3の人造黒鉛
を原料黒鉛として用い、排出部に開孔率3%の堰を設け
た内容積100リットル(上下の粉砕ドラムの内容積は
各50リットル)の連続式式振動ロッドミルで圧密化処
理試験を行った。圧密化処理の試験条件、及び圧密化処
理の試験結果を表3に示す。なお、メディアであるロッ
ドの直径は32mm、占有率は60体積%とした。
【0099】
【表3】 (実施例8)タップ密度0.35g/cm3の鱗片状天
然黒鉛を原料黒鉛として用い、排出部に開孔率3%の堰
を設けた内容積100リットル(上下の粉砕ドラムの内
容積は各50リットル)の連続式式振動ロッドミルで圧
密化処理試験を行った。この際、53μm篩上黒鉛粒子
は再び連続式式振動ロッドミルに返す循環回路を設けて
圧密化処理試験を行った。圧密化処理の試験条件、及び
圧密化処理の試験結果を表4に示す。なお、メディアで
あるロッドの直径は32mm、占有率は70体積%とし
た。
【0100】
【表4】 表1、2、3、及び4から明らかなように、圧密化処理
後の黒鉛粒子は、圧密化処理前の黒鉛粒子と比較して、
タップ密度が極めて高いことがわかる。また、圧密化処
理後の黒鉛粒子は、53μm篩下粒子の割合が多く、低
いアスペクト比の粒子の割合が多いにもかかわらず、結
晶格子定数C0(002)は小さく、C軸方向の結晶の大きさ
C(002)は大きいことがわかる。
【0101】(実施例9)実施例8で得られた圧密化黒
鉛粒子を基材として、流動床反応器において熱化学蒸着
処理して炭素被覆圧密化黒鉛粒子を得た。
【0102】具体的には、前記基材60kgを前記流動
床反応器に仕込み、窒素を50L/分の流量で供給し
た。この状態で反応器内を昇温して反応器内が1000
℃に到達した後、炭素源としてトルエンを40モル%含
む窒素とトルエンとの混合ガスを50mL/分の流量で
反応器内に供給した。この状態で黒鉛粒子を120分間
熱化学蒸着処理した。
【0103】上記の熱化学蒸着処理して得られた炭素被
覆圧密化黒鉛粒子を負極材料として用いて、表5の条件
で、評価試験用のリチウムイオン二次電池を作製した。
この電池を用い、上記炭素被覆圧密化黒鉛粒子につい
て、表5の条件でリチウムイオン二次電池用負極材料と
しての評価試験を行った。その評価試験結果を、上記炭
素被覆圧密化黒鉛粒子の比表面積、タップ密度と共に表
6に示す。
【0104】
【表5】 *1 PVDF:ポリビニリデンフルオライド *2 PC:プロピレンカーボネート *3 EC:エチレンカーボネート *4 MEC:メチルエチルカーボネート
【0105】
【表6】 表6に示すように、実施例9の炭素被覆圧密化黒鉛粒子
は、タップ密度は1.24g/cm3と極めて高いもの
であった。
【0106】リチウムイオン二次電池負極の作製に際し
ては、所定量の黒鉛粒子を少量の溶剤で濡らすことがで
き、スラリー調製時の作業性は極めて良好であった。
【0107】リチウムイオン二次電池用負極材料として
の評価試験においては、表6に示すように、充電容量、
放電容量、及び効率とも極めて高いものであった。
【0108】
【発明の効果】本発明の圧密化黒鉛粒子は、アスペクト
比が低い粒子を所定量以上含み、且つ嵩密度が高い黒鉛
粒子であるため、黒鉛密度が高く、等方性が高い成型品
を得ることができる、成型品のフィラーとして適した黒
鉛粒子である。特に、上記の高密度成型品の作製に際し
ては、所定量の黒鉛粒子を少量の溶剤で濡らすことがで
き、高濃度のスラリーを容易に調製時することができ
る。
【0109】本発明の圧密化黒鉛粒子の製造方法は、原
料黒鉛粒子に例えば振動ミルを用いて行うように衝撃を
加えて前記黒鉛を圧密化することにより、上記の圧密化
黒鉛粒子の実用的な規模で経済的な製造を可能にしてい
る。
【0110】上記の圧密化黒鉛粒子の製造方法は、原料
としての黒鉛の結晶性を低下させずに圧密化することが
できるので、圧密化黒鉛粒子の製造方法として、より好
ましいものである。
【0111】上記の黒鉛粒子の圧密化に際して、圧密化
された粒子を粒度別に分けること、圧密化を連続式にす
ること、粒度別に分けた粗粒分の再圧密化を繰り返すこ
と等によって、上記の黒鉛粒子の圧密化を更に高くする
ことができる。
【0112】ところで、通常の炭素が低結晶性であり真
密度が低いのに対して、黒鉛は高結晶性であり真密度が
高いものである。そのため、フィラーとして黒鉛を用い
たリチウムイオン二次電池負極は、黒鉛粒子個々の体積
当たりの放電容量は高いものである。
【0113】その結果、本発明の圧密化黒鉛粒子を用い
たリチウムイオン二次電池負極は、本来通常の黒鉛粒子
を用いた負極が有している黒鉛粒子個々の体積当たりの
放電容量が高いのみならず、負極そのものの体積当たり
の放電容量が高いという特性も有するものである。
【0114】また、本発明の圧密化黒鉛粒子の低いアス
ペクト比に起因して、負極の成型時において黒鉛の選択
的配向を防止することができ、黒鉛の配向の均一性は極
めて高いものである。そのため、本発明の圧密化黒鉛粒
子を用いたリチウムイオン二次電池負極は、負極厚み方
向にも高い導電性を有するものである。
【0115】更に、前記圧密化黒鉛粒子の表面を炭素で
被覆した圧密化黒鉛粒子を用いてリチウムイオン二次電
池を形成する場合は、負極そのものの密度が高く、負極
の容積当たりの放電容量が高いばかりでなく、充放電時
における電解液溶媒の分解を抑制するリチウムイオン二
次電池を得ることができる。
【0116】一方、本発明の圧密化黒鉛粒子を燃料電池
用セパレーターに用いる場合は、セパレーターの黒鉛密
度が高いことに起因してガス透過性が低く、同時にセパ
レーターの厚み方向にも導電性が高い燃料電池用セパレ
ーターを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧密化黒鉛粒子を製造する際に用いる
連続式圧密化装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の圧密化黒鉛粒子を製造する際に用いる
連続式圧密化装置の他の例を示す概略図である。
【図3】円盤状圧密化黒鉛粒子の一例を示す電子顕微鏡
写真である。
【図4】紡錘状圧密化黒鉛粒子の一例を示す電子顕微鏡
写真である。
【符号の説明】
2 ホッパー 4 定量供給機 6 振動ミル 8 篩 10 篩下の圧密化黒鉛粒子 12 篩上の圧密化黒鉛粒子 22 ホッパー 24 定量供給機 26 振動ミル 28 篩 30 篩下の圧密化黒鉛粒子 32 篩上の圧密化黒鉛粒子 34 粉体搬送機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 綱分 忠則 福岡県北九州市若松区響町1丁目3番地 三井鉱山株式会社総合研究所内 (72)発明者 三石 勝也 福岡県北九州市若松区響町1丁目3番地 三井鉱山株式会社総合研究所内 (72)発明者 原 陽一郎 福岡県北九州市若松区響町1丁目3番地 三井鉱山株式会社総合研究所内 (72)発明者 梅野 達夫 福岡県北九州市若松区響町1丁目3番地 三井鉱山株式会社総合研究所内 (72)発明者 蛭田 孝士 福岡県北九州市若松区響町1丁目3番地 三井鉱山株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4G046 EA05 EB13 EC02 EC06 EC07 5H029 AJ03 AK03 AL07 AM03 AM04 AM05 AM07 CJ03 CJ22 CJ30 DJ16 HJ04 HJ08 5H050 AA08 BA17 CA08 CA09 CB08 DA03 DA10 EA09 FA17 GA03 GA22 GA29 HA00 HA01 HA04 HA08

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アスペクト比が1〜5の紡錘状をなす黒
    鉛粒子、若しくはアスペクト比が1〜10の円盤状をな
    す黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、前記紡錘状
    をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以上、若しくは前
    記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%以上であ
    り、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3である事を
    特徴とする圧密化黒鉛粒子。
  2. 【請求項2】 アスペクト比が1〜5の紡錘状をなす黒
    鉛粒子、若しくはアスペクト比が1〜10の円盤状をな
    す黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、前記紡錘状
    をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以上、若しくは前
    記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%以上であ
    り、且つ前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量と前記円盤
    状をなす黒鉛粒子の含有量との合計が60体積%以上で
    あり、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3である事
    を特徴とする圧密化黒鉛粒子。
  3. 【請求項3】 原料黒鉛粒子に衝撃力を加えて圧密化す
    ることを特徴とする、アスペクト比が1〜5の紡錘状を
    なす黒鉛粒子、若しくはアスペクト比が1〜10の円盤
    状をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、前記
    紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以上、若し
    くは前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%以
    上であり、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3であ
    る圧密化黒鉛粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】 原料黒鉛粒子に衝撃力を加えて圧密化す
    ることを、振動ミルを用いて行う請求項3に記載の圧密
    化黒鉛粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】 原料黒鉛粒子がタップ密度0.6g/c
    3以下の黒鉛粒子である請求項3又は4に記載の圧密
    化黒鉛粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】 振動ミルの、片振幅が5〜10mm、振
    動周波数が10〜25ヘルツである請求項4に記載の圧
    密化黒鉛粒子の製造方法。
  7. 【請求項7】 振動ミルが、振動ロッドミル、又は振動
    ボールミルである請求項4に記載の圧密化黒鉛粒子の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1又は2に記載の圧密化黒鉛粒子
    を製造するに当たって、原料黒鉛粒子を振動ミルで圧密
    化して、第一次圧密化黒鉛粒子を得、前記第一次圧密化
    黒鉛粒子を篩に掛けて、第一次篩上圧密化黒鉛粒子と第
    一次篩下圧密化黒鉛粒子とを得、前記第一次篩上圧密化
    黒鉛粒子を振動ミルに戻して再び圧密化して、第二次圧
    密化黒鉛粒子を得、前記第二次圧密化黒鉛粒子を再び篩
    に掛けることを繰り返し、各篩下圧密化黒鉛粒子を併せ
    て圧密化黒鉛粒子を得ることを特徴とする圧密化黒鉛粒
    子の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項3乃至8の何れかに記載の製造方
    法によって得られる圧密化黒鉛粒子。
  10. 【請求項10】 請求項1、2又は9に記載の圧密化黒
    鉛粒子、あるいは前記圧密化黒鉛粒子の表面を炭素で被
    覆した圧密化黒鉛粒子からなるリチウムイオン二次電池
    用負極材料。
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