JP2001213615A - 圧密化黒鉛粒子、その製造方法、及びリチウム二次電池用負極材料 - Google Patents
圧密化黒鉛粒子、その製造方法、及びリチウム二次電池用負極材料Info
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Abstract
鉛スラリー中の黒鉛濃度を高くすることができ、成型後
の成型品としては、黒鉛密度が高く、等方性が高い成型
品を得ることができる圧密化黒鉛粒子、及びその製造方
法を提供すること、並びに、負極そのものの黒鉛密度が
高く、負極の容積当たりのエネルギー密度が高いリチウ
ムイオン二次電池を提供すること。 【解決手段】 紡錘状をなす黒鉛粒子、若しくは円盤状
をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、アスペ
クト比が1〜5の前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量が
10体積%以上、若しくはアスペクト比が1〜10の前
記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%以上であ
り、タップ密度が0.7〜1.3g/cm 3である圧密
化黒鉛粒子を用いる。
Description
晶性の黒鉛粒子、及びその製造方法に関する。この黒鉛
粒子は、リチウムイオン二次電池や燃料電池セパレータ
ー等のフィラーとして有用である。
されてきた。近年、リチウムイオン二次電池用負極や燃
料電池セパレーター等の成型品のフィラーとしても用い
られている。しかし、従来の黒鉛粒子を上記材料やフィ
ラーとして用いる場合は、黒鉛粒子の嵩密度が低いこ
と、黒鉛粒子が形状的に大きなアスペクト比を有するこ
と等に由来する多くの使用上の欠点が指摘されている。
に、リチウムイオン二次電池用負極を製造する際に用い
る黒鉛スラリー中の黒鉛濃度を高くすることができな
い。そのため、得られる負極の黒鉛密度が低くなり、負
極の容積当たりのエネルギー密度が低くなる問題があ
る。また、上記黒鉛粒子はアスペクト比が大きいため
に、この黒鉛粒子を用いて製造する電極やセパレーター
は電気抵抗に大きな異方性を有する等の問題がある。
を有機バインダーを用いて成型する方法、黒鉛粒子をロ
ーラーで展圧する方法、黒鉛を回転式ディスクミルで粉
砕する方法等が提案されている。
粒子を成型する方法は処理コストに難がある。しかも黒
鉛粒子に加えられる有機バインダーの炭素化から生成す
る炭素は、その物性を考慮する必要がある。即ち有機バ
インダーの種類や炭素化の条件等によっては生成炭素の
物性に悪影響を与え、惹いては電極やセパレーターの性
能に悪影響を与えるという問題がある。
である。また、この展圧中のある時点においては高い嵩
密度になる形状をした黒鉛粒子が得られることもある。
しかし、この形状の黒鉛粒子は、篩分けや混練時に外力
が加わると破壊され、再び元の低い嵩密度になる形状を
した黒鉛粒子に戻り易いという問題がある。
スクミルで粉砕して黒鉛粒子を製造する方法では、その
大きいアスペクト比を改善して小さくすることは難しい
という問題がある。
ムイオン二次電池用負極材料や燃料電池セパレーターの
フィラーとして適した炭素材料を種々検討した結果、リ
チウムイオン二次電池用負極材料としては放電容量が大
きく、充放電速度が大きく、かつサイクル寿命の長い炭
素材料は黒鉛の理論格子定数に近い格子定数を持った高
結晶性であり、かつ50μm以下、好ましくは20μm
以下の平均粒子径を持った微粒子であることを知得し
た。しかしながら高結晶性であり、かつ微粒子化された
黒鉛は、黒鉛の基礎物性評価の段階では十分な性能を発
現するが、実際に電池を製造する段階ではその嵩高さに
起因して低濃度黒鉛スラリーしか得ることができない。
この結果、電池缶中に負極材料としての黒鉛量を高密度
に充填することができず、電池としての高エネルギー密
度化を更に高めることができなかった。即ち負極材料と
しての黒鉛には高結晶性、微粒子であることに加え、高
い嵩密度を有することが不可欠である。負極調製用の黒
鉛スラリーの高濃度化はスラリー調製装置の改良によっ
ても達成できるが、最も工程的に容易かつ低コストな方
法は嵩密度の高い黒鉛を用いることによって達成され
る。
黒鉛粒子は、高結晶性、高導電性であることが望まれる
と同時に、リチウムイオン二次電池用負極材料に用いら
れる場合と同様に、高い嵩密度を有することが必要であ
り、またアスペクト比が小さいことが必要である。
して適した黒鉛粒子について種々検討した結果、黒鉛粒
子を、衝撃を加えて粉砕する振動ミル等の粉砕機で圧密
化することにより、タップ密度0.7〜1.3g/cm
3の高い嵩密度が得られるのみならず、得られた黒鉛粒
子はアスペクト比が小さくなり、かつ円盤状の形状ない
し紡錘状の形状を有する事を見出した。
且つ所定形状の粒子を所定量以上含有する黒鉛粒子であ
って、しかも嵩密度が所定範囲である圧密化黒鉛粒子
を、上記フィラーとして用いることによって、上記問題
を解決することができ、高密度成型品を得ることができ
ることを見出した。
って、上記圧密化黒鉛粒子を得ることができることを見
出した。
チウムイオン二次電池負極は、本来通常の黒鉛粒子を用
いた負極が有している黒鉛粒子個々の体積当たりの放電
容量が高いのみならず、負極そのものの体積当たりの放
電容量が高いという特性も有するものである。
ト比に起因して、負極の成型時において黒鉛の選択的配
向を防止することができ、黒鉛の配向の均一性は極めて
高いものである。そのため、上記圧密化黒鉛粒子を用い
たリチウムイオン二次電池負極は、負極厚み方向にも高
い導電性を有するものである。
記製造方法によって得られる圧密化黒鉛粒子、又は、こ
れらの圧密化黒鉛粒子の表面を炭素で被覆した圧密化黒
鉛粒子からなるリチウムイオン二次電池用負極材料は、
高いエネルギー密度を有し、電気抵抗に大きな異方性を
生ずることの無い負極材料を得ることができる。
パレーターに用いる場合は、セパレーターの黒鉛密度が
高いことに起因してガス透過性が低く、同時にセパレー
ターの厚み方向にも導電性が高い燃料電池用セパレータ
ーを得ることができる。
で、その目的とするところは、その黒鉛粒子を用いて成
型品を成型する時は、黒鉛スラリー中の黒鉛濃度を高く
することができ、成型後の成型品としては、黒鉛密度が
高く、等方性が高い成型品を得ることができる圧密化黒
鉛粒子、及びその製造方法を提供することにある。更
に、負極そのものの密度が高く、負極の容積当たりのエ
ネルギー密度が高いリチウムイオン二次電池を提供する
ことを目的とする。
に、本発明は以下のことを提案するのものである。
をなす黒鉛粒子、若しくはアスペクト比が1〜10の円
盤状をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、前
記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以上、若
しくは前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%
以上であり、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3で
ある事を特徴とする圧密化黒鉛粒子。
をなす黒鉛粒子、若しくはアスペクト比が1〜10の円
盤状をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、前
記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以上、若
しくは前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%
以上であり、且つ前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量と
前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量との合計が60体積
%以上であり、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3
である事を特徴とする圧密化黒鉛粒子。
圧密化することを特徴とする、アスペクト比が1〜5の
紡錘状をなす黒鉛粒子、若しくはアスペクト比が1〜1
0の円盤状をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であっ
て、前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以
上、若しくは前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50
体積%以上であり、タップ密度が0.7〜1.3g/c
m3である圧密化黒鉛粒子の製造方法。
圧密化することを、振動ミルを用いて行う〔3〕に記載
の圧密化黒鉛粒子の製造方法。
6g/cm3以下の黒鉛粒子である〔3〕又は〔4〕に
記載の圧密化黒鉛粒子の製造方法。
mm、振動周波数が10〜25ヘルツである〔4〕に記
載の圧密化黒鉛粒子の製造方法。
又は振動ボールミルである〔4〕に記載の圧密化黒鉛粒
子の製造方法。
化黒鉛粒子を製造するに当たって、原料黒鉛粒子を振動
ミルで圧密化して、第一次圧密化黒鉛粒子を得、前記第
一次圧密化黒鉛粒子を篩に掛けて、第一次篩上圧密化黒
鉛粒子と第一次篩下圧密化黒鉛粒子とを得、前記第一次
篩上圧密化黒鉛粒子を振動ミルに戻して再び圧密化し
て、第二次圧密化黒鉛粒子を得、前記第二次圧密化黒鉛
粒子を再び篩に掛けることを繰り返し、各篩下圧密化黒
鉛粒子を併せて圧密化黒鉛粒子を得ることを特徴とする
圧密化黒鉛粒子の製造方法。
載の製造方法によって得られる圧密化黒鉛粒子。
記載の圧密化黒鉛粒子、あるいは前記圧密化黒鉛粒子の
表面を炭素で被覆した圧密化黒鉛粒子からなるリチウム
イオン二次電池用負極材料。
明の圧密化黒鉛粒子は、紡錘状をなす黒鉛粒子、若しく
は円盤状をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であっ
て、アスペクト比が1〜5の前記紡錘状をなす黒鉛粒子
の含有量が10体積%以上、若しくはアスペクト比が1
〜10の前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積
%以上であり、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3
である。
さを厚みで除した値である。更に詳述すると、粒子の形
状が円盤状の場合のアスペクト比は、粒子の径を厚みで
除した値であり、粒子の形状が紡錘状の場合のアスペク
ト比は、粒子の軸長を径(厚み)で除した値である。
圧密化とは嵩密度を大きくすることをいい、具体的に
は、タップ密度で0.7〜1.3g/cm3の嵩密度に
することをいう。
が1〜5の紡錘状をなす黒鉛粒子を10体積%以上含む
か、若しくはアスペクト比が1〜10の円盤状をなす黒
鉛粒子を50体積%以上含むか、又は何れの所定範囲の
アスペクト比の黒鉛粒子をもそれぞれ所定量以上含む圧
密化黒鉛粒子である。
量と前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量との合計は、6
0体積%以上であることが好ましく、75体積%以上で
あることがより好ましく、特に90体積%以上であるこ
とが望ましい。
円盤状をなす黒鉛粒子でもない、残りの黒鉛粒子には、
例えば、アスペクト比が5を超える紡錘状をなす黒鉛粒
子、及びアスペクト比が10を超える円盤状をなす黒鉛
粒子を始め、アスペクト比が10を超える鱗片状の黒鉛
粒子などが挙げられる。
ムイオン二次電池や燃料電池セパレーター等の成型品の
フィラーとして用いてこれら成型品を成型する場合、黒
鉛スラリー中の黒鉛濃度を高くすることができ、成型後
の成型品は、黒鉛の密度が高く、等方性が高い。
ラーとして本発明の圧密化黒鉛粒子を用いる場合は、負
極中の黒鉛の密度が通常の黒鉛を用いた負極よりも高く
なる。
発明の圧密化黒鉛粒子は、原料黒鉛粒子を圧密化するこ
とによって製造することができる。
晶格子定数C0(002)は0.670〜0.673nmであ
ることが望ましい。例えば、リチウムイオン二次電池の
負極材料として用いる場合、結晶格子定数C0(002)が
0.673nmを超えると、リチウムイオンのドーピン
グ量が低下し、十分な充電量が得られない結果、リチウ
ムイオン二次電池の放電電気容量が低下する。また導電
性が低下する。
は、天然黒鉛、人造黒鉛のいずれを用いても良いが、結
晶性の高さと、入手の容易さとから、天然黒鉛が好まし
い。黒鉛はそのまま粉砕して原料黒鉛粒子にすることが
できるが、公知の方法で一旦膨張黒鉛としてから、これ
を粉砕して原料黒鉛粒子とすることもできる。
mm以下程度の比較的大きな黒鉛粒子も用いることがで
きるが、既に平均粒径が50μm以下に粉砕された黒鉛
粒子がより好ましい。
ル等の振動ミル、ボールミル、ハンマーミルのように黒
鉛に衝撃を加えて粉砕する方法がある。
粉砕メディアとするマイクロミル、回転体を粉砕メディ
アとするターボミル等の如く黒鉛にシェアストレスを与
えながら粉砕する方法がある。
できる。また膨張黒鉛を湿式で超音波を用いて粉砕する
方法も有効なものである。
撃を加えることにより行う。
いる圧密化処理は、特に圧密化を高くでき、より好まし
いものである。振動ミルの例としては、振動ボールミ
ル、振動ディスクミル、振動ロッドミル等が挙げられ
る。
は、振動ボールミルを用いて圧密化処理する場合は、円
盤状の圧密化黒鉛粒子が製造されやすい。一方、振動ロ
ッドミルを用いて圧密化処理する場合は、紡錘状の圧密
化黒鉛粒子が製造されやすい。
い。
できる。
くは本体の内張りの材質には、鉄、耐摩耗鋼、各種ステ
ンレス合金、アルミナ、ジルコニア等を用いることがで
きる。
〜30mm、ロッドの体積占有率は40〜80%、片振
幅は5〜10mm、振動周波数は10〜25ヘルツに設
定する事が好ましい。
40mm、ロッドの体積占有率は40〜80%、片振幅
は5〜10mm、振動周波数は10〜25ヘルツに設定
する事が好ましい。
連続式でも行う事ができる。なお、圧密化処理をより効
率的に行うには連続式圧密化が好ましい。
際に用いる連続式圧密化装置の一例を示すものである。
2より定量供給機4で振動ミル6に供給される。振動ミ
ル6の中では黒鉛粒子の圧縮化と粉砕が同時に進行し圧
密化処理が行われる。振動ミル6を出た圧密化黒鉛粒子
は、所定の大きさの篩8で粒度別に分けられる。10は
篩下の圧密化黒鉛粒子であり、12は篩上の圧密化黒鉛
粒子である。
圧密化黒鉛粒子は、ホッパー2に戻して再び圧密化処理
して、第二次圧密化黒鉛粒子を得ることができる。ま
た、第一次篩上圧密化黒鉛粒子を原料黒鉛粒子に混ぜて
圧密化処理してもよい。
池用負極材料や燃料電池用フィラーとして本発明の圧密
化黒鉛粒子を用いる場合、所定の粒子径以下の黒鉛粒子
のみ即ち所定の大きさの篩下の黒鉛粒子のみを用いる。
黒鉛粒子への変換率は、圧密化条件により異なるが、第
一次篩上圧密化黒鉛粒子から第二次篩下圧密化黒鉛粒子
への変換率とほぼ等しい。
際に用いる連続式圧密化装置の他の例を示すものであ
る。
22より定量供給機24で振動ミル26に供給される。
振動ミル26の中では黒鉛粒子の圧縮化と粉砕が同時に
進行し圧密化処理が行われる。振動ミル26を出た圧密
化黒鉛粒子は、所定の大きさの篩28で粒度別に分けら
れる。30は篩下の圧密化黒鉛粒子であり、32は篩上
の圧密化黒鉛粒子である。
圧密化黒鉛粒子32即ち第一次篩上圧密化黒鉛粒子を粉
体搬送機34で振動ミル26に戻し、新たに供給する原
料黒鉛粒子とともに再び圧密化する。この再圧密化処理
によって、新たに供給する原料黒鉛粒子は第一次圧密化
黒鉛粒子となり、2回目の圧密化となる篩上第一次圧密
化黒鉛粒子は第二次圧密化黒鉛粒子となる。これらの圧
密化黒鉛粒子は、互いに併さって新たな圧密化黒鉛粒子
となる。この新たな圧密化黒鉛粒子は、所定の大きさの
篩28で粒度別に分けられる圧密化処理が繰り返され
る。
第一次篩下圧密化黒鉛粒子への変換率は、圧密化条件に
より異なるが、第一次篩上圧密化黒鉛粒子から第二次篩
下圧密化黒鉛粒子への変換率とほぼ等しい。
みを考慮に入れ、新たに供給する原料黒鉛粒子は圧密化
処理の考慮から外すと、上記の原料黒鉛粒子から第一次
篩下圧密化黒鉛粒子への変換率を50%以上に条件設定
する事により、繰り返し圧密化される黒鉛粒子は5〜6
回以下の圧密化処理で篩上の圧密化黒鉛粒子32の原料
黒鉛粒子からの変換率は、ほぼ0%に収斂する。
黒鉛粒子への変換率は60〜80%に設定することが好
ましい。例えば、原料黒鉛粒子から第一次篩下圧密化黒
鉛粒子への変換率を70%とした場合、振動ミル26を
1回通過させた後の篩上の圧密化黒鉛粒子32即ち第一
次篩上圧密化黒鉛粒子は、原料黒鉛粒子に対して30
%、振動ミル26を2回通過させた後の篩上の圧密化黒
鉛粒子32即ち第二次篩上圧密化黒鉛粒子は、原料黒鉛
粒子に対して9%、振動ミル26を3回通過させた後の
篩上の圧密化黒鉛粒子32即ち第三次篩上圧密化黒鉛粒
子は、原料黒鉛粒子に対して2.7%となる。
黒鉛粒子は、5〜6回以内の振動ミル26の通過で、ほ
ぼ全量篩下圧密化黒鉛粒子30即ち所定粒度以下の圧密
化黒鉛粒子として回収する事が出来る。
粒子30を分級し、所定粒度の黒鉛粒子のみをリチウム
イオン二次電池や燃料電池セパレーター等のフィラーと
して用いることもできる。また振動ミル26中での黒鉛
の滞留時間は1回の振動ミル26の通過当たり1〜5分
である。よって、黒鉛が振動ミル26をたとえ5〜6回
通過したとしても篩下圧密化黒鉛粒子30のX線回折分
析(XRD)による結晶性が損なわれることはない。そ
のため、この篩下圧密化黒鉛粒子30は、リチウムイオ
ン二次電池用負極材料としての性能も変化しないもので
ある。
り、アスペクト比の大きな鱗片状の原料黒鉛粒子を圧密
化処理すると、原料黒鉛粒子は主に黒鉛のベーサルプレ
ーン(基礎面)で積層しながら二次粒子化し、同時に積
層した二次粒子の端部は丸く削られて厚みのある円盤
状、或は紡錘状に変化し、アスペクト比の小さな黒鉛粒
子に変換される。
小さなものに変換した結果、黒鉛粒子は高結晶性である
にもかかわらず、タップ密度が高いのみならず、スラリ
ーの流動性も良好なものが得られる。
芯材等に塗布する場合、黒鉛粒子のベーサルプレーンが
塗布時のシェア方向に配向する。
圧面に沿って配向する。
ト比が10を超える場合は、黒鉛粒子の塗布時、若しく
はプレス時において、配向が大きくなり、厚み方向の電
気抵抗が増大する等の不都合を生ずる。
比を10以下にした黒鉛粒子を成型品の芯材等に塗布す
る場合、又はプレスする場合には、配向する黒鉛粒子の
割合が減少して厚み方向の導電性を高める効果がある。
粒子、及び紡錘状圧密化黒鉛粒子の一例を示す電子顕微
鏡写真である。
用負極材料とする場合には、圧密化黒鉛粒子に表面処理
を施すか、又は圧密化黒鉛粒子の表面を炭素で被覆する
ことが特に好ましい。
ては、スチレン、沃素、過酸化ベンゾイル等のラヂカル
反応性試薬を黒鉛粒子表面の活性ラヂカルと反応させる
方法等がある。
する方法としては、化学蒸着処理法(CVD法)、ピッ
チ又は樹脂で黒鉛粒子表面を被覆した後、これらを炭化
させる方法などが挙げられる。
を流動床式反応炉中で有機物ガス又は有機物と不活性ガ
スとの混合ガスを用いて化学蒸着処理することにより、
圧密化黒鉛粒子の表面に炭素層を形成することが挙げら
れる。
有機物のモル濃度が2〜50%で、化学蒸着処理温度が
900〜1200℃であることが好ましい。
オン二次電池用負極材料は、圧密化黒鉛粒子と、前記圧
密化黒鉛粒子の全表面を被覆する結晶性炭素層とからな
り、炭素層の炭素002面を圧密化黒鉛粒子表面に平行
にして圧密化黒鉛粒子の全表面が炭素層で被覆されてい
る。
インターカレーションした負極材料の7Li−NMRス
ペクトルが、塩化リチウム基準ケミカルシフトの40〜
50ppmと、10〜30ppmとに吸収スペクトルを
有するものである。
鏡下に光学異方性を示す。
解を抑制すると共に、放電容量が高く、高速充放電が可
能なリチウム二次電池を実現できる負極材料、その製造
方法、同負極材料を用いて形成したリチウム二次電池を
提供することができるので、好ましい。
黒鉛粒子、あるいは、この圧密化黒鉛粒子に表面処理、
若しくは炭素被覆を施した圧密化黒鉛粒子を用いて、リ
チウムイオン二次電池の負極を調製する方法は特に限定
されないが、その調製方法の一例を以下に示す。
PVDF:ポリビニリデンフルオライド)を溶解した溶
剤(例えば、1−メチル−2−ピロリドン)を加え、十
分に混練する。この操作により、黒鉛粒子濃度40wt
%以上の高濃度の黒鉛粒子スラリーを調製することがで
きる。
トラフルオロエチレン等の各種のフッ素樹脂などを用い
ることができる。これらの中でもPVDFが最適であ
る。またカルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ
ビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド
(PEO)のような水溶性樹脂、あるいはこれらの水溶
性樹脂とスチレンブタジエンラバー(SBR)等のラテ
ックスとの混合物なども用いることができる。なお、黒
鉛粒子とバインダーとの混合比(重量比)は100:2
〜100:10となるように黒鉛粒子スラリーを調製す
ることが望ましい。
金属箔からなる集電体にドクターブレード等を用いて2
0〜100μmの厚みにコーティングする。これを乾燥
させることにより、黒鉛粒子が金属箔集電体に密着す
る。必要があれば加圧して密着性を高め、且つコーティ
ング層の厚みを均一化し、コーティング層を高密度化す
る。
公知のLiCoO2、LiNiO2又はLiMn2O4等の
リチウム含有化合物、或はこれらの混合物が好適であ
る。粉末状の正極材料は、必要があれば導電材を加え、
バインダーを溶解した溶剤等と十分に混練後、集電体と
共に成型して調製できる。又、セパレーターについても
特に限定はなく、公知の材料を用いることができる。
リチウム塩を溶解する非プロトン性低誘電率の公知の溶
媒が挙げられる。例えば、エチレンカーボネート、ジメ
チルカーボネート(以下DMCと略す)、メチルエチル
カーボネート(以下MECと略す)、プロピレンカーボ
ネート、ジエチレンカーボネート、アセトニトリル、プ
ロピオニトリル、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラク
トン、2−メチルテトラヒドロフラン、1、3−ジオキ
ソラン、4−メチル−1、3−ジオキソラン、1、2−
ジメトキシエタン、1、2−ジエトキシエタン、ジエチ
ルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、ニトロメ
タン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド等の溶媒を単独で、又は2種以上の溶媒を混合し
て用いることができる。
LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、L
iB(C6H5)4、LiCl、L iBr、CH3SO3L
i、CF3SO3Li等があり、これらの塩を単独、又は
2種類以上の塩を混合して用いることができる。
説明する。
以下の方法で測定した。
リンダーに試料を入れてタッピングし、試料の容積が変
化しなくなったところで試料容積を測定し、試料重量を
試料容積で除した値をタップ密度とした。
の大きさLC(002):東芝製X線回折装置XC−40Hを
用い、Cu−Kα線をNiで単色化し、高純度シリコン
を標準物質として学振法で測定した。
鏡JSM−5300での撮影画面から試料粒子を、円盤
状の形状の粒子と、紡錘状の形状の粒子とに類別した。
これらの形状の粒子それぞれについて、最大粒子径と厚
みを測定し、最大粒子径を厚みで除した値をアスペクト
比とした。即ち粒子の形状が円盤状の場合は、粒子の径
を厚みで除した値をアスペクト比とし、粒子の形状が紡
錘状の場合は、粒子の軸長を径(厚み)で除した値をア
スペクト比とした。更に上記顕微鏡撮影画面からニコレ
製画像解析装置LUZEXIIIUを用い、上記の円盤状
の形状の粒子、及び紡錘状の形状の粒子のそれぞれにつ
いて、粒子全体に対する存在割合を算出した。
用い、液体窒素温度で窒素吸着量を多点法で測定し、B
ET法で比表面積を求めた。
cm3の鱗片状天然黒鉛を原料黒鉛として用い、内容積
3リットルのバッチ式振動ロッドミル又は振動ボールミ
ルで圧密化処理試験を行った。圧密化処理の試験条件、
及び圧密化処理の試験結果を表1に示す。なお、振動ロ
ッドミル又は振動ボールミルの何れの振動ミルについて
も、振動数は16.5Hz、片振幅は7.4mmとし
た。
状天然黒鉛を原料黒鉛として用い、排出部に開孔率3%
の堰を設けた内容積100リットル(上下の粉砕ドラム
の内容積は各50リットル)の連続式式振動ロッドミル
で圧密化処理試験を行った。圧密化処理の試験条件、及
び圧密化処理の試験結果を表2に示す。なお、実施例5
及び6の何れについても、メディアであるロッドの直径
は32mm、占有率は60体積%とした。
を原料黒鉛として用い、排出部に開孔率3%の堰を設け
た内容積100リットル(上下の粉砕ドラムの内容積は
各50リットル)の連続式式振動ロッドミルで圧密化処
理試験を行った。圧密化処理の試験条件、及び圧密化処
理の試験結果を表3に示す。なお、メディアであるロッ
ドの直径は32mm、占有率は60体積%とした。
然黒鉛を原料黒鉛として用い、排出部に開孔率3%の堰
を設けた内容積100リットル(上下の粉砕ドラムの内
容積は各50リットル)の連続式式振動ロッドミルで圧
密化処理試験を行った。この際、53μm篩上黒鉛粒子
は再び連続式式振動ロッドミルに返す循環回路を設けて
圧密化処理試験を行った。圧密化処理の試験条件、及び
圧密化処理の試験結果を表4に示す。なお、メディアで
あるロッドの直径は32mm、占有率は70体積%とし
た。
後の黒鉛粒子は、圧密化処理前の黒鉛粒子と比較して、
タップ密度が極めて高いことがわかる。また、圧密化処
理後の黒鉛粒子は、53μm篩下粒子の割合が多く、低
いアスペクト比の粒子の割合が多いにもかかわらず、結
晶格子定数C0(002)は小さく、C軸方向の結晶の大きさ
LC(002)は大きいことがわかる。
鉛粒子を基材として、流動床反応器において熱化学蒸着
処理して炭素被覆圧密化黒鉛粒子を得た。
床反応器に仕込み、窒素を50L/分の流量で供給し
た。この状態で反応器内を昇温して反応器内が1000
℃に到達した後、炭素源としてトルエンを40モル%含
む窒素とトルエンとの混合ガスを50mL/分の流量で
反応器内に供給した。この状態で黒鉛粒子を120分間
熱化学蒸着処理した。
覆圧密化黒鉛粒子を負極材料として用いて、表5の条件
で、評価試験用のリチウムイオン二次電池を作製した。
この電池を用い、上記炭素被覆圧密化黒鉛粒子につい
て、表5の条件でリチウムイオン二次電池用負極材料と
しての評価試験を行った。その評価試験結果を、上記炭
素被覆圧密化黒鉛粒子の比表面積、タップ密度と共に表
6に示す。
は、タップ密度は1.24g/cm3と極めて高いもの
であった。
ては、所定量の黒鉛粒子を少量の溶剤で濡らすことがで
き、スラリー調製時の作業性は極めて良好であった。
の評価試験においては、表6に示すように、充電容量、
放電容量、及び効率とも極めて高いものであった。
比が低い粒子を所定量以上含み、且つ嵩密度が高い黒鉛
粒子であるため、黒鉛密度が高く、等方性が高い成型品
を得ることができる、成型品のフィラーとして適した黒
鉛粒子である。特に、上記の高密度成型品の作製に際し
ては、所定量の黒鉛粒子を少量の溶剤で濡らすことがで
き、高濃度のスラリーを容易に調製時することができ
る。
料黒鉛粒子に例えば振動ミルを用いて行うように衝撃を
加えて前記黒鉛を圧密化することにより、上記の圧密化
黒鉛粒子の実用的な規模で経済的な製造を可能にしてい
る。
としての黒鉛の結晶性を低下させずに圧密化することが
できるので、圧密化黒鉛粒子の製造方法として、より好
ましいものである。
された粒子を粒度別に分けること、圧密化を連続式にす
ること、粒度別に分けた粗粒分の再圧密化を繰り返すこ
と等によって、上記の黒鉛粒子の圧密化を更に高くする
ことができる。
密度が低いのに対して、黒鉛は高結晶性であり真密度が
高いものである。そのため、フィラーとして黒鉛を用い
たリチウムイオン二次電池負極は、黒鉛粒子個々の体積
当たりの放電容量は高いものである。
たリチウムイオン二次電池負極は、本来通常の黒鉛粒子
を用いた負極が有している黒鉛粒子個々の体積当たりの
放電容量が高いのみならず、負極そのものの体積当たり
の放電容量が高いという特性も有するものである。
ペクト比に起因して、負極の成型時において黒鉛の選択
的配向を防止することができ、黒鉛の配向の均一性は極
めて高いものである。そのため、本発明の圧密化黒鉛粒
子を用いたリチウムイオン二次電池負極は、負極厚み方
向にも高い導電性を有するものである。
被覆した圧密化黒鉛粒子を用いてリチウムイオン二次電
池を形成する場合は、負極そのものの密度が高く、負極
の容積当たりの放電容量が高いばかりでなく、充放電時
における電解液溶媒の分解を抑制するリチウムイオン二
次電池を得ることができる。
用セパレーターに用いる場合は、セパレーターの黒鉛密
度が高いことに起因してガス透過性が低く、同時にセパ
レーターの厚み方向にも導電性が高い燃料電池用セパレ
ーターを得ることができる。
連続式圧密化装置の一例を示す概略図である。
連続式圧密化装置の他の例を示す概略図である。
写真である。
写真である。
Claims (10)
- 【請求項1】 アスペクト比が1〜5の紡錘状をなす黒
鉛粒子、若しくはアスペクト比が1〜10の円盤状をな
す黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、前記紡錘状
をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以上、若しくは前
記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%以上であ
り、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3である事を
特徴とする圧密化黒鉛粒子。 - 【請求項2】 アスペクト比が1〜5の紡錘状をなす黒
鉛粒子、若しくはアスペクト比が1〜10の円盤状をな
す黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、前記紡錘状
をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以上、若しくは前
記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%以上であ
り、且つ前記紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量と前記円盤
状をなす黒鉛粒子の含有量との合計が60体積%以上で
あり、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3である事
を特徴とする圧密化黒鉛粒子。 - 【請求項3】 原料黒鉛粒子に衝撃力を加えて圧密化す
ることを特徴とする、アスペクト比が1〜5の紡錘状を
なす黒鉛粒子、若しくはアスペクト比が1〜10の円盤
状をなす黒鉛粒子を含む圧密化黒鉛粒子であって、前記
紡錘状をなす黒鉛粒子の含有量が10体積%以上、若し
くは前記円盤状をなす黒鉛粒子の含有量が50体積%以
上であり、タップ密度が0.7〜1.3g/cm3であ
る圧密化黒鉛粒子の製造方法。 - 【請求項4】 原料黒鉛粒子に衝撃力を加えて圧密化す
ることを、振動ミルを用いて行う請求項3に記載の圧密
化黒鉛粒子の製造方法。 - 【請求項5】 原料黒鉛粒子がタップ密度0.6g/c
m3以下の黒鉛粒子である請求項3又は4に記載の圧密
化黒鉛粒子の製造方法。 - 【請求項6】 振動ミルの、片振幅が5〜10mm、振
動周波数が10〜25ヘルツである請求項4に記載の圧
密化黒鉛粒子の製造方法。 - 【請求項7】 振動ミルが、振動ロッドミル、又は振動
ボールミルである請求項4に記載の圧密化黒鉛粒子の製
造方法。 - 【請求項8】 請求項1又は2に記載の圧密化黒鉛粒子
を製造するに当たって、原料黒鉛粒子を振動ミルで圧密
化して、第一次圧密化黒鉛粒子を得、前記第一次圧密化
黒鉛粒子を篩に掛けて、第一次篩上圧密化黒鉛粒子と第
一次篩下圧密化黒鉛粒子とを得、前記第一次篩上圧密化
黒鉛粒子を振動ミルに戻して再び圧密化して、第二次圧
密化黒鉛粒子を得、前記第二次圧密化黒鉛粒子を再び篩
に掛けることを繰り返し、各篩下圧密化黒鉛粒子を併せ
て圧密化黒鉛粒子を得ることを特徴とする圧密化黒鉛粒
子の製造方法。 - 【請求項9】 請求項3乃至8の何れかに記載の製造方
法によって得られる圧密化黒鉛粒子。 - 【請求項10】 請求項1、2又は9に記載の圧密化黒
鉛粒子、あるいは前記圧密化黒鉛粒子の表面を炭素で被
覆した圧密化黒鉛粒子からなるリチウムイオン二次電池
用負極材料。
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