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JP2001293825A - 防曇性基材およびその形成方法 - Google Patents

防曇性基材およびその形成方法

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Publication number
JP2001293825A
JP2001293825A JP2000114517A JP2000114517A JP2001293825A JP 2001293825 A JP2001293825 A JP 2001293825A JP 2000114517 A JP2000114517 A JP 2000114517A JP 2000114517 A JP2000114517 A JP 2000114517A JP 2001293825 A JP2001293825 A JP 2001293825A
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JP
Japan
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water
film
antifogging
polyvinyl acetal
absorbing composite
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JP2000114517A
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Noboru Murata
昇 村田
Seiji Yamazaki
誠司 山崎
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Central Glass Co Ltd
Original Assignee
Central Glass Co Ltd
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Publication date
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  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】防曇性、耐水拭き性、耐摩耗性に優れ、長期間
にわたり防曇性能を維持することが可能な防曇性被膜を
得ること。 【解決手段】 アセタール化度が10モル%以下のポリ
ビニルアセタアール樹脂とシリルイソシアネートの加水
分解物もしくは部分加水分解物が混在されてなる吸水性
複合膜と、その上層に透水性を有する膜厚3〜10nm
の保護膜とを積層すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浴室用、洗面所用
等の防曇鏡、自動車用等の防曇窓ガラスあるいは防曇
鏡、建築用の防曇窓ガラス等各種の用途に用いることが
可能な防曇性基材およびその形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】吸水性高分子を使用した単層膜からなる
防曇性基材としては、特開平5−51471号公報には
表層部分が−P=N−骨格を有する高分子化合物からな
る基材上に、防曇性被膜としてケン化度70mol%以
上、平均重合度300以上のポリビニルアルコールに架
橋剤加えたものを硬化性被膜として設けてなる防曇性を
付与した被覆積層体が開示されており、また、特開平6
−157794号公報にはポリビニールアセタール樹脂
のみを塗布した後、常温で乾燥させて防曇膜とする塗布
型防曇剤が開示されており、特開平6−158031号
公報には、ガラス、鏡、プラスチックフィルム等の物品
表面に、アセタール化度2〜40mol%のポリビニル
アセタール樹脂からなる防曇層を設けるか、あるいは、
物品表面に、水溶性樹脂層が設けられ、その上にアセタ
ール化度2〜40mol%のポリビニルアセタール樹脂
からなる防曇層が設けられてている防曇性物品が開示さ
れている。
【0003】また、特開平10−212471号公報に
は水酸基を有する有機物であるポリビニルアルコール
と、金属有機化合物であるテトラメトキシシランと、こ
れらを縮合重合させる触媒である塩酸と、からなる防曇
剤が開示されている。
【0004】積層構成とした防曇性基材としては、特開
平9−136374号公報には、成形された樹脂基体上
に、親水性無機微粒子及びカップリング剤を含有する第
1層と、親水性樹脂及び/または界面活性剤よりなる第
2層を設けてなることを特徴とする防曇維持性を有する
樹脂成型品が開示されており、特開平11−84102
号公報には光学基材の表面に内層としてポリアクリル酸
類およびポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも
1つの吸水性高分子を使用し、外層が多孔質膜からなる
ことを特徴とする防曇性被膜及びこれを用いた光学部品
が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
5−51471号公報あるいは、特開平6−15779
4号公報、特開平6−158031号公報、特開平10
−212471号公報および特開平9−136374号
公報記載のものは、吸水性高分子樹脂が表面に曝された
構成となっているために、防曇性能は優れているが、乾
燥時の耐擦傷性が十分ではなく、吸湿時の耐擦傷性はさ
らに悪化する傾向にあり、日常的に拭き取りを行う物品
への使用は難しく、耐擦傷性を高めるために硬化性添加
物を添加すると防曇性能が劣るために、良好な耐擦傷性
と防曇性を得ることができない。また、特開平11−8
4102号公報のものは、外層の膜厚を明記していない
が使用用途から多孔質膜を得るためには、特定の成膜法
に限定される。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明は、前記従来の
問題点に鑑みてなしたものであって、基材表面に吸水性
を有するポリビニルアセタアール樹脂とシリルイソシア
ネートもしくはその部分加水分解物からなる吸水性複合
膜を形成し、さらにその上層に撥水性を有するシリカ化
合物を膜厚が10nm以下の単分子レベルになるように
制御することにより透水性をもたせた保護膜を積層する
ことにより、防曇性、耐水拭き性、耐摩耗性に優れ、長
期間にわたり防曇性能を維持することが可能な防曇性基
材およびその形成方法を開発した。
【0007】すなわち、本発明の防曇性基材は、基材の
表面に、下記に示すポリビニルアセタール樹脂よりなる
A成分とシリルイソシアネートであるB成分が混在され
てなる吸水性複合膜と、透水性を有する膜厚3〜10n
mの保護膜とが積層されてなることを特徴とする。 A成分;アセタール化度が10mol%以下のポリビニ
ルアセタール樹脂 B成分:一般式Si(NCO)4で表わされるシリルイ
ソシアネート、該シリルイソシアネートの加水分解物、
その部分縮合物の何れか1種以上 また、本発明の防曇性基材は、吸水性複合膜は、重量比
率としてポリビニルアセタアール樹脂が95.0wt%
〜99.5%wt%、シリルイソシアネート、該シリル
イソシアネートの加水分解物、その部分縮合物がシリル
イソシアネート換算で0.5wt%〜5.0wt%含ま
れることを特徴とする。
【0008】さらに、本発明の防曇性基材は、保護膜が
撥水性を有するシリカ化合物よりなるなることを特徴と
する。
【0009】また、本発明の防曇性基材の形成方法は、
上記の防曇性基材を形成するに際し、(a)基材を用意
する工程と、(b)アセタール化度が10mol%以下
のポリビニルアセタール樹脂と、一般式Si(NCO)
4で表わされるシリルイソシアネート、該シリルイソシ
アネートの加水分解物、その部分縮合物の何れか1種以
上を、溶媒とを含む液に添加し、混合して吸水性複合膜
用の塗布液を調製する工程と、(c)前記塗布液を、前
記基材表面上に塗布し、少なくとも90℃〜150℃の
低温で熱処理して吸水性複合膜を成膜する工程と、
(d)前記吸水性複合膜の上層に、撥水性を有するシリ
カ化合物を塗布して、少なくとも90℃〜150℃の低
温で熱処理して保護膜を成膜する工程と、によって基材
表面に防曇性硬化膜を形成することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の吸水性複合膜を形成する
一方の成分であるポリビニルアセタール樹脂としては、
アセタール化度が10mol%以下のポリビニルアセタ
ール樹脂を使用することにより良好な防曇性透明膜を形
成することができる。なお、ポリビニルアセタール樹脂
のアセタール化度が10mol%以上では防曇性に乏し
く、曇りが生じ易すくなり好ましくない。
【0011】また、吸水性複合膜を形成する他方の成分
としては、一般式Si(NCO)4で表わされるシリル
イソシアネート、該シリルイソシアネートの加水分解
物、その部分縮合物を用いることができる。なお、これ
らの成分は、ポリビニルアセタール樹脂とのバインディ
ング性に優れ、防曇性、耐水拭き性等各種物性にバラン
スよく優れさせるために、ポリビニルアセタール樹脂と
シリルイソシアネートは、該吸水性複合膜中の重量比率
として95.0:5.0〜99.5:0.5とすること
が好ましく、そのの比率が0.5wt%未満であると、
膜強度が弱くなり耐水拭き性が悪化し、5.0wt%を
超えると防曇性が劣ってくると共に調合後の液安定性が
劣ってくる。
【0012】上記の吸水性複合膜の各形成原料は、希釈
溶媒に添加し、更に必要であればレベリング剤を添加し
て塗布液とする。希釈溶媒としては、水およびアルコ−
ル系溶媒が好ましく、具体例としては、メタノ−ル、エ
タノ−ル、プロパノ−ル、エチレングリコ−ル、プロピ
レングリコール、ヘキシレングリコ−ル、さらには酢酸
エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル類、さ
らにはメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセ
ロソルブなどのセロソルブ類及びこれらを混合した溶媒
で、レベリング剤としてジメチルシリコーンなどのメチ
ルシリコーン類を適量加えても良い。本来溶液中に含ま
れるアルコ−ル系やセロソルブ系のものの単独または混
合物を、該溶液の蒸発速度や被膜粘度を勘案して選択す
ればよい。
【0013】次いでこれらを塗布液として、基材上へ塗
布する。塗布手段としてはディップコート、フローコー
ト、スピンコート、ロールコート、スプレーコート、ス
クリーン印刷、フレキソ印刷等の公知手段が採用でき
る。塗布後、90℃〜150℃の比較的低温で、30分
〜60分程度加熱することにより、溶媒の殆どが飛散す
るのと同時にシリルイソシアネート、該シリルイソシア
ネートの加水分解物、その部分縮合物がマトリックスと
して作用する。なお、前記吸水性複合膜は、ポリビニル
アセタール樹脂のOH基とシリルイソシアネートのイソ
シアネート基とが架橋反応して強固に結合するので膜強
度が強くなる。
【0014】吸水性複合膜の膜厚は、熱処理後において
3μm以上にするのが望ましく、3μm未満であると、
防曇耐久性が劣る傾向にある。なお、膜厚は、好ましく
は3〜60μm、より好ましい範囲としては10〜30
μmである。
【0015】次に、前記で得られた吸水性複合膜の上部
に保護膜を被覆する。保護膜としては、耐擦傷性、耐水
拭き性を改善することができるので撥水性を有するシラ
ン化合物を用いることが好ましく、該シリカ化合物とし
ては、特に限定されるものでなく、一般式(CH3n
iCl4-n(ここでnは1〜2)で表されるアルキルク
ロルシラン、一般式(CH3nSiR4-n(ここでnは
1〜2、Rは炭素数1〜5のアルコキシ基)で表される
アルキルアルコキシシラン、一般式CF3(CF2n
2CH2SiX3(ここでnは0〜9、Xはクロル基も
しくは炭素数1〜5のアルコキシ基)で表されるフルオ
ロアルキルシラン、一般式CH3HSiX2(Xはクロル
基もしくは炭素数1〜5のアルコキシ基)で表されるメ
チルハイドロジェンシラン、一般式(CH33SiNH
Si(CH33で表されるヘキサメチルジシラザン、一
般式(CH3nSi(CNO)4-n(ここでnは1〜
2)で表されるアルキルシリルイソシアネート等があげ
られ、これらの加水分解物および部分縮合物を含めて、
1種もしくは2種以上を併用して使用できる。さらに、
これらの撥水性シリカ化合物を吸水性能を低下させない
温度で硬化反応を促進させるために、硬化触媒を加える
ことが好ましい。
【0016】硬化触媒としては、キレート剤、酸、金属
塩があげられる。このうち、キレート剤としては、アル
ミニウムエチルアセトアセテートイソプロピレート、ア
ルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミ
ニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウム
ビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート
などのアルミニウムキレート化合物、ジ−イソ−プロポ
キシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、イソ−プロ
ポキシ(2−エチルヘキサンジオラト)チタンなどのチ
タンキレート化合物などがあげられる。
【0017】また、酸としては、硝酸、塩酸などの無機
酸、酢酸、マレイン酸、クエン酸、などの有機酸があげ
られる。さらに、金属塩としては、酢酸ナトリウム、ア
ルミン酸ナトリウム、ジルコン酸ナトリウム、ナフテン
酸コバルトなどがあげられる。これらの硬化触媒は、1
種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して
用いることもできる。前記保護膜形成の原料は、水、ア
ルコール、エステル、炭化水素等の溶媒に添加し、更に
必要であればレベリング剤を添加、混合して塗布液とす
る。
【0018】次いでこれらを塗布液として、ガラス基板
上へ塗布する。塗布手段としてはディップコート、フロ
ーコート、スピンコート、ールコート、スプレーコー
ト、スクリーン印刷、フレキソ印刷等の公知手段が採用
できる。塗布後、90℃〜150℃の比較的低温で、1
0分〜60分程度加熱することにより、溶媒の殆どが飛
散するのと同時に硬化膜となる。また、保護膜の膜厚
は、熱処理後において膜の立体構造から得られる透水性
を利用するために3〜10nmと単分子レベルに薄くす
ることが望ましく、10nmを超えると透水性が悪くな
り防曇性能が劣ってくる。
【0019】本発明に使用する基材としては、代表的な
ものとしてはガラスが用いられるが、そのガラスは自動
車用ならびに建築用、産業用ガラス等に通常用いられて
いる板ガラス、所謂フロート板ガラスなどであり、クリ
アをはじめグリ−ン、ブロンズ等各種着色ガラスや各種
機能性ガラス、強化ガラスやそれに類するガラス、合せ
ガラスのほか複層ガラス等、さらに平板あるいは曲げ板
等各種板ガラス製品として使用できることは言うまでも
ない。また板厚としては、例えば約1.0mm程度以上
約12mm程度以下であり、建築用としては約3.0m
m程度以上約10mm程度以下が好ましく、自動車用とし
ては約2.0mm程度以上約5.0mm程度以下のガラス
である。なお、比較的低温でガラス、プラスチック等の
基材表面に防曇性被膜を形成することができるので、例
えば鏡加工をしたガラス、曲げ加工、成型まで完了した
自動車用ガラス等に、全面もしくは部分的に容易に成膜
することがもできる。また、本発明の基材はガラスに限
定されるものではなく、ガラス以外でも樹脂、金属、セ
ラミックスなど、上記温度範囲で乾燥処理をしても変質
しないものであれば使用することができる。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし本発明はかかる実施例に限定されるものでは
ない。
【0021】なお、本発明および比較例で得られた、防
曇性被膜を有する防曇性光学部品は、以下に示す測定法
により諸物性を測定した。 〔繰返防曇性〕:”JIS S 4030眼鏡用くもり
止め剤試験法”により43℃に設定した温水の水蒸気中
に3分保持した時の曇り具合と、保持後に常温(23
℃、63%RH)中に取り出したときの呼気による曇り
具合を観察し、この操作を10サイクルまで行い、外観
に異常がなく曇りが発生しないものを合格とした。 〔冷温防曇性〕:4℃に設定した冷蔵庫内に防曇性光学
部品を30分保持した後、常温(23℃、63%RH)
中に取り出したときの外観、曇り具合、呼気による曇り
を観察し、この操作を10サイクルまで行い、外観が異
常なく曇りを合格とした。 〔耐水性〕:室温(23±2℃)の蒸留水中に6時間浸
漬し、浸漬後に外観に異常がなく、呼気により曇りの発
生しないものを合格とした。 〔耐水拭き性〕:布に水を含ませてしぼったもので防曇
膜表面を拭いていき、10回おきに呼気による曇り具合
を観察し、50回拭き取りで曇りが発生しないものを合
格とした。 〔トラバース摩耗性〕:キャンバス布を用いての荷重1
00g/cm2でトラバース試験を実施し、300回お
きに外観観察及び呼気による曇り具合を観察し、300
0回トラバースで外観に異常がなく曇りが発生しないも
のを合格とした。
【0022】実施例1 (吸水性複合膜用薬液の調製)吸水性樹脂としてのアセ
タール化度8mol%のポリビニルアセタール樹脂(商
品名「KX−1」、固形分8%、積水化学製)と、シリ
ルイソシアネート(商品名「オルガチックスSI−40
0」、固形分100%、松本製薬製)とを、エタノール
と水の混合溶媒を用いて固形分濃度3wt%になるよう
に調製した。
【0023】なお、成膜後の吸水性複合膜中のポリビニ
ルアセタール樹脂とシリルイソシアネートの加水分解物
もしくは部分加水分解物の重量比率が98.5wt%:
1.5wt%になるようし、混合溶媒を添加して混合処
理することにより吸水性複合膜用薬液を調製した。
【0024】(吸水性複合膜の形成)この薬液を塗布液
とした浸漬槽内に、片面をマスキングしたガラス板を浸
漬し引き上げるデッピング法により塗布し、該被塗布ガ
ラス板を約120℃で約30分程度加熱乾燥することに
より、膜厚9.5μmの膜を形成した。
【0025】(保護膜用薬液の形成)撥水性を有するヘ
キサメチルジシラザン+ジメチルシリコーン複合系薬液
(商品名「KPN−3504」、固形分100%、信越
化学製)にAl系硬化触媒を加えて保護膜用薬液とし
た。
【0026】(保護膜の形成)この薬液を塗布液とした
浸漬槽内に反吸湿性被膜成膜面をマスキングした吸湿性
被膜成膜板をディッピング法により塗布し、該被塗布ガ
ラス板を約120℃で約30分程度加熱乾燥することに
より、膜厚10nmの透水性の膜を形成した。上記方法
で得られた防曇性被膜を有するガラスは、表1に示すよ
うに、各種防曇性能、耐摩耗性,外観が優れたガラスで
あることが確認された。
【0027】
【表1】
【0028】実施例2 吸水性複合膜中のポリビニルアセタール樹脂とシリルイ
ソシアネートの重量比率が99.5wt%:0.5wt
%になるように調製した以外は、実施例1と同様の操作
で吸水性複合膜膜厚8μm、保護膜膜厚10nmの膜を
形成した。評価結果は、実施例1同様優れた物性を有す
るものであった。
【0029】実施例3 吸水性複合膜中のポリビニルアセタール樹脂とシリルイ
ソシアネート重量比率が95wt%:5wt%になるよ
うに調製した以外は、実施例1と同様の操作で吸水性複
合膜膜厚13μm、保護膜膜厚10nmの膜を形成し
た。評価結果は、実施例1同様優れた物性を有するもの
であった。
【0030】実施例4 保護膜としてメチルシリルトリイソシアネート系コーテ
ィング剤(商品名「SIC−003」松本製薬製)を使
用した以外は、実施例1と同様の操作で吸水性複合膜膜
厚11μm、保護膜膜厚10nmの膜を形成した。評価
結果は、実施例1同様優れた物性を有するものであっ
た。
【0031】実施例5 保護膜としてジメチルシリコーン系薬液(商品名「KF
−9901」信越化学製)を使用した以外は、実施例1
と同様の操作で吸水性複合膜膜厚12μm、保護膜膜厚
10nmの膜を形成した。評価結果は、実施例1同様優
れた物性を有するものであった。
【0032】比較例1 吸水性複合膜用薬液としてポリビニルアセタール樹脂単
独組成としたとした以外は、実施例1と同様の操作で吸
水性複合膜膜厚7μm、保護膜膜厚10nmの膜を形成
した。評価結果は、トラバース摩耗性において、300
回の試験後に表面に無数のキズが確認された。また、耐
水拭き性においても、10回の拭き取りで膜が剥離し
た。
【0033】比較例2 保護膜の膜厚を2nmになるよう調製した以外は、実施
例1と同様の操作で吸水性複合膜膜厚7μm、保護膜膜
厚2nmの膜を形成した。評価結果は、トラバース摩耗
性において、600回の試験後に表面に無数のキズが確
認された。また、耐水拭き性においても、30回の拭き
取りで膜が剥離した。
【0034】比較例3 保護膜の膜厚を20nmになるよう調製した以外は、実
施例1と同様の操作で吸水性複合膜膜厚7μm、保護膜
膜厚20nmの膜を形成した。評価結果は、初期防曇性
において呼気により曇りが発生した。
【0035】比較例4 吸水性複合膜用薬液のポリビニルアセタール樹脂として
アセタール化度70mol%以上の樹脂(積水化学製
商品名「エスレックKS−5」)を使用した以外は、実
施例1と同様の操作を行い、吸水性複合膜膜厚6μm、
保護膜10nmの膜を形成した。評価結果は、初期防曇
性において呼気により曇りが発生した。
【0036】比較例5 吸水性複合膜用薬液のポリビニルアセタール樹脂のかわ
りとしてポリビニルアルコール樹脂を使用した以外は、
実施例1と同様の操作を行い、吸水性複合膜膜厚約6μ
m、保護膜10nmの膜を形成した。評価結果は、耐水
拭き性において、20回の拭き取りで膜が剥離した。ま
た、耐水性試験においても、試験後1日以上放置しても
呼気による曇りが発生した。
【0037】比較例6 実施例1において保護膜を成膜せず吸水性複合膜単層膜
とした以外は、実施例1と同様の操作で吸湿性膜膜厚7
μmの膜を得た。
【0038】評価結果は、トラバース 摩耗性におい
て、300回の試験後に表面に無数のキズが確認され
た。また、耐水拭き性においても、20回の拭き取りで
膜が剥離した。
【0039】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
吸水性複合膜は、ポリビニルアセタール樹脂のOH基と
シリルイソシアネートのイソシアネート基とが架橋反応
して強固に結合するので膜強度が強くなっているととも
に、該吸水性複合膜の上層に撥水性を有し、膜厚が10
nm以下の単分子レベルの透水性の保護膜を積層してい
るので、防曇性、耐水拭き性、耐摩耗性が優れ長期間に
わたり防曇性能を維持することが可能であり、自動車
用、鏡用等に広く使用することができる。さらに、比較
的低温でガラス、プラスチック等の基材表面に防曇性被
膜を形成することができるので、例えば鏡加工をしたガ
ラス、曲げ加工、成型まで完了した自動車用ガラス等
に、全面もしくは部分的に容易に成膜することもできる
利点を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 1/10 G02B 1/10 Z Fターム(参考) 2K009 BB02 CC32 CC42 DD02 EE02 4D075 BB21Z CA39 DA06 DB13 DC13 EB02 EB19 4F100 AA20B AG00C AH02A AH02H AH03A AH03H AH06A AH06H AK23A AK52B AR00B AT00C BA02 BA03 BA07 BA10A BA10B BA10C CC00A CC00B EH461 EH462 EJ421 EJ422 GB07 GB32 JA20B JB06B JD05B JD15A JK09 JN30 YY00A YY00B 4H020 AA06 AB02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材の表面に、下記に示すポリビニルアセ
    タール樹脂よりなるA成分とシリルイソシアネートであ
    るB成分が混在されてなる吸水性複合膜と、透水性を有
    する膜厚3〜10nmの保護膜とが積層されてなること
    を特徴とする防曇性基材。 A成分;アセタール化度が10mol%以下のポリビニ
    ルアセタール樹脂 B成分:一般式Si(NCO)4で表わされるシリルイ
    ソシアネート、該シリルイソシアネートの加水分解物、
    その部分縮合物の何れか1種以上
  2. 【請求項2】吸水性複合膜は、重量比率としてポリビニ
    ルアセタール樹脂が95.0wt%〜99.5wt%、
    シリルイソシアネートが0.5wt%〜5.0wt%よ
    り構成されてなることを特徴とする請求項1記載の防曇
    性基材。
  3. 【請求項3】保護膜は、撥水性を有するシリカ化合物で
    あることを特徴とする請求項1記載の防曇性基材。
  4. 【請求項4】請求項1記載の防曇性基材を形成するに際
    し、(a)基材を用意する工程と、(b)アセタール化
    度が10mol%以下のポリビニルアセタール樹脂と、
    一般式Si(NCO)4で表わされるシリルイソシアネ
    ート、該シリルイソシアネートの加水分解物、その部分
    縮合物の何れか1種以上を、溶媒とを含む液に添加し、
    混合して塗布液を調製する工程と、(c)前記塗布液を
    前記基材表面上に塗布し、90℃〜150℃の低温で熱
    処理して吸水性複合膜を成膜する工程と、(d)前記吸
    水性複合膜の上層に、撥水性を有するシリカ化合物を塗
    布して、90℃〜150℃の低温で熱処理して保護膜を
    成膜する工程と、によって基材表面に防曇性硬化膜を形
    成することを特徴とする防曇性基材の形成方法。
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