JP2001291411A - 車両用前照灯 - Google Patents
車両用前照灯Info
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Abstract
せるように構成された車両用前照灯において、ビーム切
換えの際の可動シェードと変位規制部材との当接による
打音発生量を低減し、しかもこれを低コストでかつ灯具
配光性能を十分に確保した上で実現させる。 【解決手段】 リフレクタ20に固定されたバルブ支持
ベース26に、上下第1および第2の弾性片32C、3
2Dを有する変位規制部材32を取り付け、可動シェー
ド22がロービーム構成位置またはハイビーム構成位置
まで回動したとき、各弾性片32C、32Dを可動シェ
ード22のシェード脚部22Bに形成された第1突起部
22Bbに弾性的に当接させる。これによりシェード駆
動装置24のシェード移動機構のバックラッシュ等を吸
収して可動シェード22の変位を規制し、かつ該当接に
より発生する打音を極めて小さいものとする。変位規制
部材32は金属板の曲げ加工で形成し、これにより低コ
ストでかつ弾性片32C、32D相互間の位置関係精度
を高めた上で上記作用効果を得る。
Description
移動させて灯具配光を変化させるように構成された車両
用前照灯に関するものである。
クタで前方へ反射させてロービーム用またはハイビーム
用のビームを照射するようになっているが、ロービーム
とハイビームとでは要求される配光パターンが異なるの
で、2つの光源を有する光源バルブあるいは2つの光源
バルブを用い、その点灯切換えを行うことによりロービ
ームとハイビームとのビーム切換えを行うのが一般的で
ある。しかしながら、単一の光源でビーム切換えを行う
ように構成された車両用前照灯も知られている。特に、
光源バルブとして放電バルブを用いた2灯式前照灯にお
いては、このような構成とせざるを得ない場合が多い。
光源が単一である場合におけるビーム切換え方法の1つ
として、従来より可動シェードを移動させてビーム切換
えを行う方法が知られている。この方法では、シェード
駆動装置により可動シェードを、光源からリフレクタへ
の入射光に対する遮蔽量が異なった値となる2つの所定
位置間において移動させるようになっている。
ドを備えた車両用前照灯においては、シェード駆動装置
のシェード移動機構にバックラッシュや構成部材の寸法
のバラツキ等が存在するため、可動シェードが上記各所
定位置まで移動したとき該可動シェードに当接して該可
動シェードが該所定位置からその移動方向に変位するの
を規制する変位規制部材を設けることが、灯具配光性能
を高める上から好ましい。しかしながら、可動シェード
に当接するだけの単なる変位規制部材を設けた場合に
は、可動シェードが変位規制部材に当接したときに大き
な打音(衝撃音)が発生してしまうので、ビーム切換え
の度に車両乗員等に違和感を与えてしまうという問題が
ある。このような問題は、可動シェードを移動させてロ
ービームとハイビームとのビーム切換えを行う場合だけ
でなく、可動シェードを移動させて灯具配光を変化させ
るようにした場合一般に生じる問題である。本願発明
は、このような事情に鑑みてなされたものであって、可
動シェードを移動させて灯具配光を変化させるように構
成された車両用前照灯において、ビーム切換えの際の可
動シェードと変位規制部材との当接による打音発生量を
低減することができ、しかもこれを低コストでかつ灯具
配光性能を十分に確保した上で実現させることができる
車両用前照灯を提供することを目的とするものである。
材の構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図る
ようにしたものである。すなわち、本願発明に係る車両
用前照灯は、光源と、この光源からの光を前方へ反射さ
せるリフレクタと、上記光源から上記リフレクタへ入射
する光の一部を遮蔽可能な可動シェードと、この可動シ
ェードを上記入射光に対する遮蔽量が異なった値となる
2つの所定位置間において移動させるシェード駆動装置
と、を備えてなる車両用前照灯において、上記可動シェ
ードが上記各所定位置まで移動したとき、該可動シェー
ドに弾性的に当接して該可動シェードが該所定位置から
変位するのを規制する第1および第2の弾性片を有する
変位規制部材が設けられている、ことを特徴とするもの
である。上記「光源」の種類は特に限定されるものでは
なく、例えば、放電バルブの放電発光部であってもよい
し、ハロゲンバルブ等の白熱バルブのフィラメント等で
あってもよい。上記「可動シェード」は、光源バルブか
らリフレクタへの入射光の一部を遮蔽可能なものであれ
ば、その具体的構成は特に限定されるものではない。上
記「入射光に対する遮蔽量が異なった値となる2つの所
定位置」は、該所定位置に可動シェードが位置すること
によりロービーム用配光パターンまたはハイビーム用配
光パターンを形成する位置であってもよいし、それ以外
の配光パターンを形成する位置であってもよい。上記
「シェード駆動装置」は、可動シェードを上記2つの所
定位置間において移動させるように構成されたものであ
れば、特定の駆動装置に限定されるものではなく、例え
ばソレノイドを用いたもの、パルスモータを用いたもの
等が採用可能である。また、このシェード駆動装置によ
る可動シェードの「移動」の態様についても特に限定さ
れるものではなく、例えば、回動、直線往復動等が採用
可能である。上記「変位規制部材」は、可動シェードが
上記各所定位置まで移動したとき、これに弾性的に当接
して該可動シェードが該所定位置から変位するのを規制
する第1および第2の弾性片を備えたものであれば、そ
の材質や形状等の具体的構成は特に限定されるものでは
ない。
係る車両用前照灯は、光源からリフレクタへ入射する光
の一部を遮蔽可能な可動シェードを、入射光に対する遮
蔽量が異なった値となる2つの所定位置間において移動
させるように構成されているが、可動シェードが上記各
所定位置まで移動したとき、各弾性片が可動シェードに
弾性的に当接して該可動シェードが該所定位置から変位
するのを規制する第1および第2の弾性片を有する変位
規制部材が設けられているので、次のような作用効果を
得ることができる。すなわち、変位規制部材の各弾性片
が可動シェードに弾性的に当接することにより、シェー
ド駆動装置のシェード移動機構のバックラッシュやその
構成部材の寸法のバラツキ等を吸収して可動シェードが
上記各所定位置からその移動方向に変位するのを規制す
ることができ、かつ該当接により発生する打音を極めて
小さいものとすることができる。また、可動シェードが
上記各所定位置にあるときには弾性片から該可動シェー
ドに対して常に押圧力が作用しているので、可動シェー
ドの移動方向のみならずこれと直交する方向に関しても
弾性片および可動シェード間の摩擦力により可動シェー
ドの変位を抑制することができる。そしてこれにより、
車両走行中の振動等により可動シェードがブレてしまう
のを効果的に抑制することができる。また上記変位規制
部材は、金属板の曲げ加工等により単一部材として容易
に形成可能であるので、低コストで上記作用効果を得る
ことができる。しかも、このように変位規制部材を単一
部材で構成することにより、第1および第2の弾性片相
互間の位置関係精度を高めることができ、これにより可
動シェードの位置精度ひいては灯具配光性能を十分に確
保することができる。このように本願発明によれば、可
動シェードを移動させて灯具配光を変化させるように構
成された車両用前照灯において、ビーム切換えの際の可
動シェードと変位規制部材との当接による打音発生量を
低減することができ、しかもこれを低コストでかつ灯具
配光性能を十分に確保した上で実現させることができ
る。上記構成において、可動シェードの移動を前後方向
の回動運動として行う構成とした場合には、可動シェー
ドのシェード本体から下方へ延びるシェード脚部に後方
へ突出する突起部を形成し、この突起部の上下各端面に
おいて変位規制部材の各弾性片に当接させるように構成
すれば、変位規制部材をコンパクトに構成することがで
き、これにより一層の低コスト化を図ることができる。
この場合において、少なくとも一方の弾性片における突
起部との当接面を上記回動運動の半径方向に対して所定
角度傾斜した傾斜面で構成すれば、可動シェードと変位
規制部材との当接による打音発生量を効果的に低減する
ことができる。さらに、このような傾斜面で構成するこ
とにより、可動シェードのはね返りを低減することがで
き該可動シェードのブレを少なくすることができるの
で、配光のちらつきを効果的に抑えることができる。そ
の際、上記傾斜面を互いに向かい合う1対の傾斜面で構
成すれば、可動シェードに対する位置決め精度をより高
めることができ、これにより灯具配光性能の一層の向上
を図ることができる。上記構成において、少なくとも一
方の弾性片を、可動シェードと段階的に当接するように
配置された複数の弾性片素子で構成すれば、可動シェー
ドと各弾性片素子との当接による打音をかなり小さく抑
えることができ、しかもこれら各打音が時間差をおいて
発生するので、打音発生量を一層効果的に低減すること
ができる。また上記構成において、可動シェードが上記
所定位置を越えて所定量移動したとき可動シェードに当
接するストッパを設けるようにすれば、シェード駆動装
置の故障等により可動シェードが過度に移動して灯具配
光性能等に悪影響を及ぼしてしまうのを未然に防止する
ことができ、これによりフェイルセーフを図ることがで
きる。この場合において、上記「ストッパ」は、上記2
つの所定位置の各々に関して設けるようにしてもよい
し、いずれか一方に関してのみ設けるようにしてもよ
い。
実施の形態について説明する。図1は、本願発明の一実
施形態に係る車両用前照灯を示す側断面図であり、図2
は、図1のII部詳細図であり、図3は、図1のIII 方向
矢視図である。また、図4は、図1のII部を詳細に示す
断面斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係
る車両用前照灯10は、透明カバー12とランプボディ
14とで形成される灯室内に、リフレクタユニット16
が図示しないエイミング機構を介して上下方向および左
右方向に傾動可能に設けられてなっている。上記リフレ
クタユニット16は、放電バルブ(メタルハライドバル
ブ)18と、リフレクタ20と、可動シェード22と、
シェード駆動装置24と、バルブ支持ベース26と、固
定シェード28とを備えてなっている。上記透明カバー
12は素通し状に形成されており、リフレクタユニット
16に配光制御機能が付与されている。すなわち、この
リフレクタユニット16のリフレクタ20は、放電バル
ブ18の放電発光部18a(光源)からの光を前方へ反
射する反射面20aを有しており、該反射面20aの拡
散あるいは偏向反射機能により、所定の配光パターンを
形成するビームを前方に照射するようになっている。上
記放電バルブ18は、バルブ支持ベース26を介してリ
フレクタ20に固定支持されている。このバルブ支持ベ
ース26は、ダイカスト成形品で構成されており、リフ
レクタ20の後頂開口部20bに後方から挿入された状
態で、リフレクタ20の背面の複数箇所に設けられたボ
ス20cにネジ締め固定されている。そして放電バルブ
18は、このバルブ支持ベース26の環状支持部26a
に線バネ30により固定支持されている。その際、放電
バルブ18の放電発光部18aがリフレクタ20の光軸
Ax上に位置決めされるようになっている。上記リフレ
クタ20の反射面20aにおける後頂開口部20bの下
方部位には、該後頂開口部20bと連通するようにして
矩形開口部20dが形成されており、この矩形開口部2
0d内にシェード駆動装置24のシェード移動機構が収
容されるようになっている。また、リフレクタ20にお
ける反射面20aの下端部には下面壁20eが形成され
ており、この下面壁20eにおける矩形開口部20dの
前端部には固定シェード取付用突起部20fが上方へ突
出するように形成されている。そして、リフレクタ20
の反射面20aにおける矩形開口部20dの左右両側部
には、1対の立壁部20gが形成されている。これら各
立壁部20gの上端縁の位置は、その前端部においては
固定シェード取付用突起部20fの上面と略同じ高さに
設定されるとともに、その後端部においては後頂開口部
20bの下端部と略同じ高さに設定されており、途中部
分は後方へ向けて徐々に高くなるように設定されてい
る。上記可動シェード22は、後端縁が複雑な凹凸形状
に形成された筒状のシェード本体22Aと、このシェー
ド本体22Aの下端部から下方へ向けてやや後方寄りに
延びる板状のシェード脚部22Bとがリベット固定され
てなっている。この可動シェード22は、シェード駆動
装置24により、図2において実線で示すロービーム構
成位置と、同図において2点鎖線で示すハイビーム構成
位置とを取り得るようになっている。そして、この可動
シェード22は、ロービーム構成位置では、シェード本
体22Aにより、放電バルブ18の放電発光部18aか
らリフレクタ20の反射面20aへ入射する光の一部を
遮蔽して、ロービームでの照射に必要な光だけを反射面
20aへ入射させる一方、ハイビーム構成位置では、シ
ェード本体22Aによる反射面20aへの入射光の遮蔽
量を減らして、ハイビームでの照射に必要な光量を確保
するようになっている。上記シェード駆動装置24は、
リフレクタ20の光軸Axの下方においてバルブ支持ベ
ース26にネジ締め固定されたソレノイド34と、この
ソレノイド34の可動鉄芯36に装着され、該可動鉄芯
36を非励磁位置へ向けて付勢するリターンスプリング
38とを備えてなっている。上記可動鉄芯36は、バル
ブ支持ベース26の下端部に形成された逆U字溝26b
を挿通するようにして前方へ延びており、その中間部に
はリターンスプリング38の前端部に当接して該リター
ンスプリング38の弾性付勢力を受け止めるEリング4
0が装着されており、またその先端部は左右二又状に形
成されている。上記可動シェード22は、そのシェード
脚部22Bの中間部において、バルブ支持ベース26か
ら前方へ突出するように形成された支持ブラケット部2
6cに軸部材42を介して、左右方向に延びる回動軸線
A回りに回動可能に支持されている。なお、シェード脚
部22Bと支持ブラケット部26aとの間には環状スペ
ーサ48が装着されており、これによりシェード脚部2
2Bと軸部材42との連結部のガタ発生を最小限に抑え
るようになっている。また、上記可動シェード22は、
そのシェード脚部22Bの下端部において可動鉄芯36
の先端部に係合連結されている。この係合連結は、可動
鉄芯36の二又状に形成された先端部にピン44を左右
方向に貫通させておく一方、シェード脚部22Bの下端
部に上下方向に延びる長溝22Baを形成しておき、こ
の長溝22Baにピン44を挿入させることにより行わ
れている。可動シェード22が回動すると軸部材42お
よびピン44間の距離が変化するが、この距離変化はピ
ン44が長溝22Ba内を摺動することにより吸収され
るようになっている。上記バルブ支持ベース26の支持
ブラケット部26cにおける基端部近傍部位には、変位
規制部材32が取り付けられている。この変位規制部材
32は、図5に単品で示すように、金属板の曲げ加工品
であって、ネジ挿通孔32Aaが形成されたネジ締め座
部32Aと、位置決め孔32Baが形成された位置決め
座部32Bと、この位置決め座部32Bの上端部および
下端部から前方へ延びる第1および第2の弾性片32
C、32Dとからなっている。第1の弾性片32Cは、
前方やや下向きに平板状に延びるとともにその先端部3
2Caが下向きの略半円筒状に形成されている。一方、
第2の弾性片32Dは、前方へ向けて略水平に平板状に
延びている。一方、上記バルブ支持ベース26の前面に
おける支持ブラケット部26cの基端部近傍部位には、
前方へ突出するボス26dが形成されている。そして、
変位規制部材32のバルブ支持ベース26への取付け
は、その位置決め孔32Baにボス26dを挿入して位
置決め座部32Bをバルブ支持ベース26の前面に当接
させるとともにネジ締め座部32Aを支持ブラケット部
26cの側面に当接させた状態で、ネジ挿通孔32Aa
を介して支持ブラケット部26cの側面にネジ46を締
め付けることにより行われている。上記可動シェード2
2のシェード脚部22Bにおける後端面下部には、変位
規制部材32の弾性片32C、32Dの間に位置するよ
うにして後方へ突出する第1突起部22Bb(突起部)
が形成されている。この第1突起部22Bbはその上端
面が斜め下がりで延びるとともにその下端面が略水平に
延びる楔状に形成されている。また、上記シェード脚部
22Bにおける後端面上部には、後方へ突出する第2突
起部22Bcが形成されている。そして、バルブ支持ベ
ース26の前面における環状支持部26aの下端部に
は、前方へ突出するストッパピン26e(ストッパ)が
形成されている。このストッパピン26eは、可動シェ
ード22がロービーム構成位置にあるとき、該ストッパ
ピン26eの前端面がシェード脚部22Bの第2突起部
22Bcの後端面と僅かな間隔をおいて対向するよう、
その前方突出量が設定されている。上記可動シェード2
2の前方近傍には、該可動シェード22を覆う固定シェ
ード28が設けられている。この固定シェード28は、
キャップ状のシェード本体28Aと、このシェード本体
28Aの下端部から下方へ向けて延びるとともその中間
部分において後方へオフセットした断面コ字状のシェー
ド脚部28Bとが一体形成されてなっている。そして、
この固定シェード28は、そのシェード脚部28Bの下
端部においてリフレクタ20の固定シェード取付用突起
部20fの後面に後方からネジ50により締付け固定さ
れている。この固定シェード28のシェード脚部28B
は、リフレクタ20の矩形開口部20dの幅と略同じ幅
で形成されており、該シェード脚部28Bを矩形開口部
20dに挿入することにより、その両側の立壁部20g
に挟持されるようになっている。図6は、シェード駆動
装置24によるロービームとハイビームとのビーム切換
えの様子を示す、図2の要部詳細図である。同図(a)
に示すように、シェード駆動装置24のビーム切換えス
イッチ(図示せず)がオンからオフに切り換えられる
と、ソレノイド34の可動鉄芯36が非励磁状態とな
り、該可動鉄芯36はリターンスプリング38の弾性付
勢力により前方へ移動し、これにより可動シェード22
は回動軸線A回りに後方へ回動する。そして、可動シェ
ード22は、可動鉄芯36が非励磁位置へ到達する直前
(すなわちリターンスプリング38の弾性付勢力が消失
する直前)で、シェード脚部22Bの第1突起部22B
bの下端面22Bb2が変位規制部材32の弾性片32
Dに当接する。そして可動鉄芯36が非励磁位置へ到達
したときには、可動シェード22は、リターンスプリン
グ38に残存する弾性付勢力で弾性片32Dをある程度
弾性変形させた状態で停止し、ロービーム構成位置に固
定される。なお、シェード駆動装置24の故障等によ
り、可動シェード22がロービーム構成位置を越えて後
方へ回動したときには、僅かな過剰回動量で可動シェー
ド22の第2突起部22Bcがバルブ支持ベース26の
ストッパピン26eに当接し、これによりそれ以上の回
動が阻止される。一方、同図(b)に示すように、ビー
ム切換えスイッチのオンによりソレノイド34の可動鉄
芯36が励磁されると、該可動鉄芯36はその励磁位置
へ向けて後方へ移動し、これにより可動シェード22も
回動軸線A回りに前方へ回動する。そして、可動シェー
ド22は、可動鉄芯36が励磁位置へ到達する直前で、
シェード脚部22Bの第1突起部22Bbの上端面22
Bb1が変位規制部材32の弾性片32Cの先端部32
Caに当接する。そして、可動鉄芯36が励磁位置へ到
達したときには、可動シェード22は、弾性片32Cを
ある程度弾性変形させた状態で停止し、ハイビーム構成
位置に固定される。以上詳述したように、本実施形態に
係る車両用前照灯10は、放電バルブ18の放電発光部
18aからリフレクタ20の反射面20aへの入射光の
一部を遮蔽可能な可動シェード22を、入射光に対する
遮蔽量が異なった値となるロービーム構成位置およびハ
イビーム構成位置間において回動させるように構成され
ているが、バルブ支持ベース26には第1および第2の
弾性片32C、32Dを有する変位規制部材32が取り
付けられており、可動シェード22がロービーム構成位
置またはハイビーム構成位置まで回動したとき、各弾性
片32C、32Dが可動シェード22に弾性的に当接し
て該可動シェード22がロービーム構成位置またはハイ
ビーム構成位置から変位するのを規制するようになって
いるので、次のような作用効果を得ることができる。す
なわち、変位規制部材32の各弾性片32C、32Dが
可動シェード22に弾性的に当接することにより、シェ
ード駆動装置24のシェード移動機構のバックラッシュ
(例えば、シェード脚部22Bと軸部材42との連結部
や、シェード脚部22Bとソレノイド34の可動鉄芯3
6との連結部のバックラッシュ、さらには可動鉄芯36
自体のバックラッシュ)やその構成部材の寸法のバラツ
キ等を吸収して可動シェード22がロービーム構成位置
またはハイビーム構成位置からその回動方向に変位する
のを規制することができ、かつ該当接により発生する打
音を極めて小さいものとすることができる。また、可動
シェード22がロービーム構成位置またはハイビーム構
成位置にあるときには弾性片32C、32Dから可動シ
ェード22に対して常に押圧力が作用しているので、可
動シェード22の回動方向のみならずこれと直交する方
向に関しても、弾性片32C、32Dおよび可動シェー
ド22間の摩擦力により可動シェード22の変位を抑制
することができる。そしてこれにより、可動シェード2
2がロービーム構成位置およびハイビーム構成位置のい
ずれにあるときでも、車両走行中の振動等により可動シ
ェード22がブレてしまうのを効果的に抑制することが
できる。また、上記変位規制部材32は金属板の曲げ加
工により単一部材として形成されているので、低コスト
で上記作用効果を得ることができる。しかも、このよう
に変位規制部材32を単一部材で構成することにより、
その弾性片32C、32D相互間の位置関係精度を高め
ることができ、これにより可動シェード22の位置精度
ひいては灯具配光性能を十分に確保することができる。
このように本実施形態によれば、可動シェードを移動さ
せて灯具配光を変化させるように構成された車両用前照
灯において、ビーム切換えの際の可動シェードと変位規
制部材との当接による打音を低減することができ、しか
もこれを低コストでかつ灯具配光性能を十分に確保した
上で実現させることができる。また本実施形態において
は、可動シェード22のシェード脚部22Bに後方へ突
出する第1突起部22Bbが形成されており、この第1
突起部22Bbの上下各端面22b1、22b2におい
て変位規制部材32の各弾性片32C、32Dに当接す
るように構成されているので、変位規制部材32をコン
パクトに構成することができ、これにより一層の低コス
ト化を図ることができる。また本実施形態においては、
可動シェード22がロービーム構成位置を越えて後方へ
回動したとき、僅かな過剰回動量で該可動シェード22
のシェード脚部22Bに形成された第2突起部22Bc
がバルブ支持ベース26に形成されたストッパピン26
cに当接するようになっているので、シェード駆動装置
24の故障等により可動シェード22が過度に移動して
灯具配光性能等に悪影響を及ぼしてしまうのを未然に防
止することができ、これによりフェイルセーフを図るこ
とができる。特に本実施形態においては、第2突起部2
2Bcとストッパピン26cとの当接がロービーム構成
位置に対して僅かに過剰回動した位置で行われるように
なっているので、故障発生時等においてもロービーム照
射光の光量が可動シェード22の過剰遮光作用により減
少してしまうのを最小限に抑えることができる。次に、
上記実施形態の第1変形例について説明する。図7は、
本変形例に係る変位規制部材を単品で示す斜視図であ
り、図8は、本変形例におけるビーム切換えの様子を示
す、図6と同様の図であり、図9は、図8の要部詳細図
である。これらの図に示すように、本変形例は、灯具の
基本構成については上記実施形態と同様であるが、変位
規制部材および可動シェードの形状が上記実施形態とは
異なっている。すなわち、本変形例に係る変位規制部材
52は、ネジ挿通孔52Aaおよび肉盗み孔52Abが
形成されたネジ締め座部52Aと、位置決め孔52Ba
が形成された位置決め座部52Bと、第1および第2の
弾性片52Cおよび52D1、52D2とからなってい
る。この変位規制部材52のバルブ支持ベース26への
取付けは、上記実施形態の変位規制部材32と全く同様
にして行われている。上記第1の弾性片52Cは、上記
実施形態と同様、位置決め座部52Bの上端部から前方
へ平板状に延びており、その先端部52Caが下向きの
略半円筒状に形成されている。一方、上記第2の弾性片
52D1、52D2は、V字形に配置された前後1対の
弾性片からなり、ネジ締め座部52Aの前端部において
その下端部から側方へ向けて延びている。これら各弾性
片52D1、52D2は、やや内側に倒れ込むようにし
て形成されている。本変形例においては、可動シェード
22のシェード脚部22Bにおける第1突起部22Bb
が、上記実施形態のような楔形ではなく変形楔形に形成
されている。すなわち、この第1突起部22Bbの上端
面22Bb1は斜め下がりで延びるように形成されてい
るが、その下端面22Bb2は先端部が下向き台形状に
突出するように形成されている。そして、この下端面2
2Bb2の前後1対の傾斜面22Bb3、22Bb4に
おいて、第2の弾性片52D1、52D2の傾斜面52
D1a、52D2aと当接するようになっている。その
際、各弾性片52D1、52D2は、その倒れ込みを起
こす方向へ多少弾性変形するようになっている。このよ
うに本変形例においても、可動シェード22がロービー
ム構成位置またはハイビーム構成位置まで回動したと
き、第1および第2の弾性片52Cおよび52D1、5
2D2が可動シェード22に弾性的に当接して該可動シ
ェード22がロービーム構成位置またはハイビーム構成
位置から変位するのを規制するようになっているので、
上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。し
かも本変形例においては、第2の弾性片52D1、52
D2における第1突起部22Bbとの当接面が、可動シ
ェード22の回動運動の半径方向に対して所定角度傾斜
した傾斜面52D1a、52D2aで構成されているの
で、可動シェード22と変位規制部材52との当接によ
る打音発生量を効果的に低減することができる。さら
に、第1突起部22Bbのはね返りも低減することがで
き、これにより可動シェード22のブレが少なくなるの
で、配光のちらつきを効果的に抑えることができる。ま
た、V字形で互いに向かい合う1対の傾斜面52D1
a、52D2aが可動シェード22の傾斜面22Bb
3、22Bb4と当接するので、可動シェード22に対
する位置決め精度をより高めることができ、これにより
灯具配光性能をより高めることができる。なお本変形例
においては、灯具配光性能上、可動シェード22の位置
が特に重要となるロービーム構成位置で該可動シェード
22と当接する弾性片(第2の弾性片52D1、52D
2)について、その当接面を可動シェード22の回動運
動の半径方向に対して所定角度傾斜させるように構成し
たが、ハイビーム構成位置で可動シェード22と当接す
る弾性片(第1の弾性片52C)についても、その当接
面を可動シェード22の回動運動の半径方向に対して所
定角度傾斜させるように構成してもよく、このようにし
た場合には灯具配光性能をより一層高めることができ
る。次に、上記実施形態の第2変形例について説明す
る。図10は、本変形例におけるビーム切換えの様子を
示す、図9と同様の図である。図示のように、本変形例
は、上記第1変形例に対して変位規制部材の構成が一部
異なっている。すなわち、本変形例に係る変位規制部材
62も、その第2の弾性片62D1、62D2がV字形
に配置された前後1対の弾性片からなっているが、これ
ら各弾性片62D1、62D2は、可動シェード22と
段階的に当接するように配置された複数の弾性片素子で
構成されている。具体的には、前方側の弾性片52D1
は、3つの弾性片素子1s1、1s2、1s3で構成さ
れており、後方側の弾性片52D2は、3つの弾性片素
子2s1、2s2、2s3で構成されている。そして、
一番上の弾性片素子1s1、2s1は、次の弾性片素子
1s2、2s2に対してやや内側に倒れ込んでおり、こ
れら弾性片素子1s2、2s2は、一番下の弾性片素子
1s3、2s3に対してやや内側に倒れ込んでいる。こ
れにより、可動シェード22がロービーム構成位置まで
回動したとき、各弾性片52D1、52D2は、弾性片
素子1s1、2s1→弾性片素子1s2、2s2→弾性
片素子1s3、2s3の順で可動シェード22と当接す
るようになっている。なお、一番下の弾性片素子1s
3、2s3は、可動シェード22をロービーム構成位置
に確実に位置決めするよう、他の弾性片素子よりも広幅
で構成されている。本変形例のように構成することによ
り、可動シェード22と各弾性片素子との当接による打
音をかなり小さく抑えることができ、しかもこれら各打
音が時間差をおいて発生するので、打音発生量を一層効
果的に低減することができる。次に、上記実施形態の第
3変形例について説明する。図11は、本変形例におけ
るビーム切換えの様子を示す、図10と同様の図であ
る。図示のように、本変形例は、上記第2変形例に対し
て変位規制部材および可動シェードの構成が一部異なっ
ている。すなわち、本変形例に係る変位規制部材72
は、その第2の弾性片72Dが、V字形に配置された前
後1対の弾性片62D1、62D2ではなく、前後方向
に延びるように配置された弾性片からなっている。ただ
し、この弾性片72Dは、可動シェード22と段階的に
当接するように配置された5つの弾性片素子s1、s
2、s3、s4、s5で構成されている。これら各弾性
片素子s1、s2、s3、s4、s5は、多少内側に倒
れ込んでおり、その倒れ込み量は、この順で徐々に小さ
くなるように設定されている。本変形例においては、可
動シェード22のシェード脚部22Bにおける第1突起
部22Bbの下端面22Bb2は、その先端部が前後方
向に直線状に延びるように形成されている。そして、可
動シェード22がロービーム構成位置まで回動したと
き、その下端面22Bb2において弾性片72Dと当接
するようになっている。その際、弾性片72Dは、弾性
片素子s1→s2→s3→s4→s5と段階的に当接
し、その倒れ込みを起こす方向へ多少弾性変形するよう
になっている。なお、可動シェード22と最後に当接す
る弾性片素子s5は、可動シェード22をロービーム構
成位置に確実に位置決めするよう、他の弾性片素子より
も広幅で構成されている。本変形例のように構成した場
合においても、上記第2変形例と同様、可動シェード2
2と各弾性片素子との当接による打音をかなり小さく抑
えることができ、しかもこれら各打音が時間差をおいて
発生するので、打音発生量を一層効果的に低減すること
ができる。
す側断面図
斜視図
ービームとハイビームとのビーム切換えの様子を示す、
図2の要部詳細図
を単品で示す斜視図
示す、図6と同様の図
換えの様子を示す、図9と同様の図
換えの様子を示す、図10と同様の図
性片素子 s1、s2、s3、s4、s5 弾性片素子 A 回転軸線 Ax 光軸
Claims (6)
- 【請求項1】 光源と、この光源からの光を前方へ反射
させるリフレクタと、上記光源から上記リフレクタへ入
射する光の一部を遮蔽可能な可動シェードと、この可動
シェードを上記入射光に対する遮蔽量が異なった値とな
る2つの所定位置間において移動させるシェード駆動装
置と、を備えてなる車両用前照灯において、 上記可動シェードが上記各所定位置まで移動したとき、
該可動シェードに弾性的に当接して該可動シェードが該
所定位置から変位するのを規制する第1および第2の弾
性片を有する変位規制部材が設けられている、ことを特
徴とする車両用前照灯。 - 【請求項2】 上記可動シェードの移動が前後方向の回
動運動として行われるように構成されており、 上記可動シェードが、シェード本体とこのシェード本体
から下方へ延びるシェード脚部とからなり、 上記シェード脚部に後方へ突出する突起部が形成される
とともに、この突起部の上下各端面において上記変位規
制部材に当接するように構成されている、ことを特徴と
する請求項1記載の車両用前照灯。 - 【請求項3】 上記第1および第2の弾性片のうち少な
くとも一方の弾性片における上記突起部との当接面が、
上記回動運動の半径方向に対して所定角度傾斜した傾斜
面で構成されている、ことを特徴とする請求項2記載の
車両用前照灯。 - 【請求項4】 上記傾斜面が、互いに向かい合う1対の
傾斜面からなる、ことを特徴とする請求項3記載の車両
用前照灯。 - 【請求項5】 上記第1および第2の弾性片のうち少な
くとも一方の弾性片が、上記可動シェードと段階的に当
接するように配置された複数の弾性片素子からなる、こ
とを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の車両用前照
灯。 - 【請求項6】 上記可動シェードが上記所定位置を越え
て所定量移動したとき該可動シェードに当接するストッ
パが設けられている、ことを特徴とする請求項1〜5い
ずれか記載の車両用前照灯。
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